第13期北陸リーグ決勝レポート

2月11日、第13期目となる北陸リーグ決勝が開始された。

北陸リーグの今回の決勝システムは、予選通過順で上位3名に40P、20P、10Pが与えられる。

予選最終結果

1位・押川+214.2P(+40P)
2位・久保+132.0P(+20P)
3位・栗野+124.6P(+10P)
4位・中野+111.2P(±0P)

ポイント差がある為、1回戦から押川さんが全員にマークされる事は間違いない。
だが、押川さんも1回戦からポイントを伸ばせた場合、優勝にグッと近づく為、序盤から受け一辺倒ではないだろう。

1回戦
起家、栗野-押川-中野-久保

東2局2本場

静かに親の押川さんの手が開かれる。

二万三万四万六万七万八万三索四索二筒三筒四筒八筒八筒  ツモ二索  ドラ八索

4,200オールで早くも加点に成功。

東2局3本場、久保さんが親とのリーチ合戦を競り勝ち跳満を力強くツモ。

三万三万七万七万一索一索四筒四筒五筒五筒西西発  リーチ  ツモ発  ドラ発

東3局、親の中野さんが見事な手順を見せる。

二万三万五万六万七万二索三索四索一筒二筒三筒東東  ドラ中

ここから役無しヤミテンで123・234の三色とダブ東狙い。

ツモ四万

二万三万四万五万六万七万二索三索四索二筒三筒東東  打一筒 左向き

リーチ後に四筒が3枚切れになるも、最後のツモで四筒を引き当て3,900オール。

二万三万四万五万六万七万二索三索四索二筒三筒東東  リーチ  ツモ四筒

このアガリを皮切りに、ノーテン罰符やアガリを重ね、南3局の親でも加点し、50,000点オーバーで1回戦は中野さんが制した。
1回戦から様々なアガリがあり、誰もが譲らない決勝ならではの1回戦となったのではないか。

1回戦スコア

押川さん(+3.4P)久保さん(+9.5P)栗野さん(▲42.8P)中野さん(+29.9P)

2回戦目も1回戦同様、押川さん、中野さんの勢いが止まらない。
2人とも優勝を目指すにあたって、局回しはほとんどせず、高打点シフト重きを置いている。
その為、ツモや放銃による失点が敗因になりかねない。その緊張感の中で、アガリを重ね栗野さん、久保さんを引き離す。

2回戦スコア

押川さん(+17.2P)久保さん(▲25.2P)栗野さん(▲14.9P)中野さん(+22.9P)

前半戦終了時ポイント

1位・押川さん+60.6P
2位・中野さん+52.8P
3位・久保さん+4.3P
4位・栗野さん▲47.7P

3回戦
起家、栗野-中野-押川-久保

東1局に中野さんが1,000・2,000ツモ。
東2局に栗野さんが500・1,000をツモり、迎えた東3局に局面が大きく動く。

東3局、久保さんがドラ単騎でリーチ。

二万三万四万六万七万八万三索四索五索四筒五筒六筒白  ドラ白

それに対し、仕掛けを入れていた押川さんの手が開かれる。

五万五万南南南北北北白白  チー七万 左向き六万 上向き八万 上向き  ツモ白

追いかける3名の心を折るかのような8,000オール。
途中マンズの形が難しかったが、見事最高の手に育て上げた。

東4局、栗野さんが序盤に仕掛けて8,000点のテンパイ。

七万七万五筒五筒五筒八筒九筒北北北  ポン白白白  ドラ五筒

これもすぐ押川さんに阻まれる。

二万二万六万七万八万一筒二筒三筒六筒六筒七筒八筒八筒  ツモ七筒 

500・1,000

栗野さんも負けじと失点を取り返す力強いツモで楽にさせない。

南1局

栗野さん
六万六万八万八万二索二索三索三索一筒一筒南南発  リーチ  ツモ発  ドラ発

6,000オール。
これに対し、中野さんが南1局、南3局、南4局とアガリ、次回最終戦に臨みを繋げる。

南1局

中野さん
五万八万八万一索一索五索五索三筒三筒五筒五筒発発  リーチ  ツモ五万

6,400点

南3局

一索二索三索七索七索一筒二筒三筒五筒六筒西西西  ツモ七筒  リーチ  ドラ五筒

1,000・2,000。

南4局

八索八索三筒四筒  チー五万 左向き四万 上向き五万 上向き  ポン白白白  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ロン二筒  ドラ五筒

2,000点。

3回戦スコア

押川さん(+28.9P)中野さん(+9.7P)久保さん(▲32.1P)栗野さん(▲6.5P)

トータルポイント

1位・押川さん+89.5P
2位・中野さん+62.5P
3位・久保さん▲27.8P
4位・栗野さん▲54.2P

各自のポイント差を確認し、第13期北陸リーグ決勝もついに最終戦を迎える。

4回戦最終戦

規定により、起家、中野-久保-栗野-押川

東1局、追いかける中野さんがまず5,800をアガリ。

三万四万五万七万八万九索九索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ  ロン九万  ドラ九万

東1局2本場

久保さんが中野さんとのリーチ合戦に競り勝つ。3,000・6,000。

四万四万七万七万二索二索三索三索五索五索三筒三筒北  リーチ  ツモ北  ドラ七万

久保さん、栗野さんも優勝を諦めず、1局1局大事に進めていく。

南1局

中野さんの大事な親番であったが、栗野さんのツモ和了。だが押川 さんも沈んでいる為まだまだわからない。

四万四万九索九索九索一筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ二索

2,000・3,900。

南3局、中野さんが勝負手を入れる。これをアガれば逆転、手に力が入る。

三万四万五万八万八万八万四索五索五索六索七索三筒三筒  リーチ  ドラ七索

これに対し押川さんも追っかけリーチ。

一万二万三万五万六万七万三索三索四筒四筒四筒七筒八筒

中野さんから九筒で大きな1,300のアガリ。

南4局、押川さんは流局で優勝。
中野さんの条件は、12,000アガリ。満貫ツモ。6,400直。
配牌は良かったが、条件に見合うツモが来ず、海底牌を力なく切り対局は終了。

残念ながら河にある牌をかき集めても条件を満たす中野さんのアガリはなかった。

4回戦スコア
栗野さん+41.6 中野さん▲1.6 押川さん▲14.2 久保さん▲25.8 

決勝採集スコア

優勝・押川さん+75.3P
2位・中野さん+60.9P
3位・栗野さん▲12.6P
4位・久保さん▲53.6P

優勝者コメント

「展開に助けられた面もありましたが、最後まで集中して打てました。来期も決勝に残れるように頑張りたいです」

押川さん北陸リーグ初優勝おめでとうございます。予選から安定した成績での優勝は見事の一言です。
Aルールにおける攻守のバランスが素晴らしかったです。

最後になりますが、半年間ではありますが、拙いレポートに お付き合い戴き有難うございました。
次回も富山開催となります。
またいつかお目にかかる事があれば、宜しくお願い致します。

北陸リーグ レポート/第13期北陸リーグ決勝レポート

2月11日、第13期目となる北陸リーグ決勝が開始された。
北陸リーグの今回の決勝システムは、予選通過順で上位3名に40P、20P、10Pが与えられる。
予選最終結果
1位・押川+214.2P(+40P)
2位・久保+132.0P(+20P)
3位・栗野+124.6P(+10P)
4位・中野+111.2P(±0P)
ポイント差がある為、1回戦から押川さんが全員にマークされる事は間違いない。
だが、押川さんも1回戦からポイントを伸ばせた場合、優勝にグッと近づく為、序盤から受け一辺倒ではないだろう。
1回戦
起家、栗野-押川-中野-久保
東2局2本場
静かに親の押川さんの手が開かれる。
二万三万四万六万七万八万三索四索二筒三筒四筒八筒八筒  ツモ二索  ドラ八索
4,200オールで早くも加点に成功。
東2局3本場、久保さんが親とのリーチ合戦を競り勝ち跳満を力強くツモ。
三万三万七万七万一索一索四筒四筒五筒五筒西西発  リーチ  ツモ発  ドラ発
東3局、親の中野さんが見事な手順を見せる。
二万三万五万六万七万二索三索四索一筒二筒三筒東東  ドラ中
ここから役無しヤミテンで123・234の三色とダブ東狙い。
ツモ四万
二万三万四万五万六万七万二索三索四索二筒三筒東東  打一筒 左向き
リーチ後に四筒が3枚切れになるも、最後のツモで四筒を引き当て3,900オール。
二万三万四万五万六万七万二索三索四索二筒三筒東東  リーチ  ツモ四筒
このアガリを皮切りに、ノーテン罰符やアガリを重ね、南3局の親でも加点し、50,000点オーバーで1回戦は中野さんが制した。
1回戦から様々なアガリがあり、誰もが譲らない決勝ならではの1回戦となったのではないか。
1回戦スコア
押川さん(+3.4P)久保さん(+9.5P)栗野さん(▲42.8P)中野さん(+29.9P)
2回戦目も1回戦同様、押川さん、中野さんの勢いが止まらない。
2人とも優勝を目指すにあたって、局回しはほとんどせず、高打点シフト重きを置いている。
その為、ツモや放銃による失点が敗因になりかねない。その緊張感の中で、アガリを重ね栗野さん、久保さんを引き離す。
2回戦スコア
押川さん(+17.2P)久保さん(▲25.2P)栗野さん(▲14.9P)中野さん(+22.9P)
前半戦終了時ポイント
1位・押川さん+60.6P
2位・中野さん+52.8P
3位・久保さん+4.3P
4位・栗野さん▲47.7P
3回戦
起家、栗野-中野-押川-久保
東1局に中野さんが1,000・2,000ツモ。
東2局に栗野さんが500・1,000をツモり、迎えた東3局に局面が大きく動く。
東3局、久保さんがドラ単騎でリーチ。
二万三万四万六万七万八万三索四索五索四筒五筒六筒白  ドラ白
それに対し、仕掛けを入れていた押川さんの手が開かれる。
五万五万南南南北北北白白  チー七万 左向き六万 上向き八万 上向き  ツモ白
追いかける3名の心を折るかのような8,000オール。
途中マンズの形が難しかったが、見事最高の手に育て上げた。
東4局、栗野さんが序盤に仕掛けて8,000点のテンパイ。
七万七万五筒五筒五筒八筒九筒北北北  ポン白白白  ドラ五筒
これもすぐ押川さんに阻まれる。
二万二万六万七万八万一筒二筒三筒六筒六筒七筒八筒八筒  ツモ七筒 
500・1,000
栗野さんも負けじと失点を取り返す力強いツモで楽にさせない。
南1局
栗野さん
六万六万八万八万二索二索三索三索一筒一筒南南発  リーチ  ツモ発  ドラ発
6,000オール。
これに対し、中野さんが南1局、南3局、南4局とアガリ、次回最終戦に臨みを繋げる。
南1局
中野さん
五万八万八万一索一索五索五索三筒三筒五筒五筒発発  リーチ  ツモ五万
6,400点
南3局
一索二索三索七索七索一筒二筒三筒五筒六筒西西西  ツモ七筒  リーチ  ドラ五筒
1,000・2,000。
南4局
八索八索三筒四筒  チー五万 左向き四万 上向き五万 上向き  ポン白白白  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ロン二筒  ドラ五筒
2,000点。
3回戦スコア
押川さん(+28.9P)中野さん(+9.7P)久保さん(▲32.1P)栗野さん(▲6.5P)
トータルポイント
1位・押川さん+89.5P
2位・中野さん+62.5P
3位・久保さん▲27.8P
4位・栗野さん▲54.2P
各自のポイント差を確認し、第13期北陸リーグ決勝もついに最終戦を迎える。
4回戦最終戦
規定により、起家、中野-久保-栗野-押川
東1局、追いかける中野さんがまず5,800をアガリ。
三万四万五万七万八万九索九索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ  ロン九万  ドラ九万
東1局2本場
久保さんが中野さんとのリーチ合戦に競り勝つ。3,000・6,000。
四万四万七万七万二索二索三索三索五索五索三筒三筒北  リーチ  ツモ北  ドラ七万
久保さん、栗野さんも優勝を諦めず、1局1局大事に進めていく。
南1局
中野さんの大事な親番であったが、栗野さんのツモ和了。だが押川 さんも沈んでいる為まだまだわからない。
四万四万九索九索九索一筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ二索
2,000・3,900。
南3局、中野さんが勝負手を入れる。これをアガれば逆転、手に力が入る。
三万四万五万八万八万八万四索五索五索六索七索三筒三筒  リーチ  ドラ七索
これに対し押川さんも追っかけリーチ。
一万二万三万五万六万七万三索三索四筒四筒四筒七筒八筒
中野さんから九筒で大きな1,300のアガリ。
南4局、押川さんは流局で優勝。
中野さんの条件は、12,000アガリ。満貫ツモ。6,400直。
配牌は良かったが、条件に見合うツモが来ず、海底牌を力なく切り対局は終了。
残念ながら河にある牌をかき集めても条件を満たす中野さんのアガリはなかった。
4回戦スコア
栗野さん+41.6 中野さん▲1.6 押川さん▲14.2 久保さん▲25.8 
決勝採集スコア
優勝・押川さん+75.3P
2位・中野さん+60.9P
3位・栗野さん▲12.6P
4位・久保さん▲53.6P
優勝者コメント
「展開に助けられた面もありましたが、最後まで集中して打てました。来期も決勝に残れるように頑張りたいです」
押川さん北陸リーグ初優勝おめでとうございます。予選から安定した成績での優勝は見事の一言です。
Aルールにおける攻守のバランスが素晴らしかったです。
最後になりますが、半年間ではありますが、拙いレポートに お付き合い戴き有難うございました。
次回も富山開催となります。
またいつかお目にかかる事があれば、宜しくお願い致します。

第26期中部プロリーグ 決勝レポート

1月7日(日)第26期中部プロリーグの決勝戦が行われた。
それでは、見事勝ち上がった本日の決勝進出者を紹介しよう。

1位通過 森下剛任(22期生/四段)
決勝進出:3回目 最高成績 3位
第39期王位、前日行われた鳳凰戦B2リーグの昇級を決めた森下。門前手役型の麻雀を打ち、彼の最大の持ち味は攻撃力である。又、場況を読む力が優れており、簡単には撤退しない粘り強い麻雀が打てる。
ここ最近の実績を考慮すると森下が間違いなく本命といえよう。

2位通過 小野雅峻(29期生/初段)
決勝進出:初出場
Cリーグから連続昇級してきた小野。Aリーグ初出場ながら自分の麻雀をしっかりと打ち決勝戦まで勝ち上がってきたのは見事だと思う。中部プロリーグの中で最も勢いのある選手といえるだろう。
バランスの良い麻雀を打ち守備力が高く、どんな時でも丁寧に麻雀を打てる所が小野の武器である。

3位通過 樋口新(22期生/四段)
決勝進出:2回目 最高成績 3位
第19期マスターズ優勝、門前手役重視型でとても重厚な麻雀を心掛けている樋口。局面が深くなり、後半の勝負に持っていくことが出来れば樋口得意の展開になるのではないか。マスターズで見事優勝した時の強い意志と強い心を持った麻雀を是非この決勝戦で見せてもらいたい。

4位通過 佐藤あいり(25期生/三段)
決勝進出:2回目 最高成績 準優勝
中部本部で唯一の女流Aリーガー。彼女の持ち味は自分が攻められると判断した時の気持ちのよい攻撃である。特に親番を維持する意識は高く持っており、最近は本人の課題である後手に回らされた時の対応も以前より修正されており守備力を高くするように心掛けているようだ。今回も安定した成績での決勝戦進出。決勝戦では自分を信じて戦う意志を持って臨めるかが焦点になるのではないか。

 

1回戦(起家から樋口・森下・佐藤・小野)

東1局
開局から北家小野が積極的に中を仕掛ける。十分形からの仕掛けではなかったが、相手への牽制の意味も含めた仕掛けだろう。ノータイムで発声が出た所を見ると決勝戦初出場だが、普段の小野の麻雀が打てている様子であり、緊張とは無縁のようだ。
対するは、親番の樋口。配牌は悪かったが5巡目のドラ六索ツモより七対子へ移行するも河には6対子が並ぶ。
この河を眺めた樋口のため息混じりの顔に見えたのは私だけだろうか。この局は小野の1人テンパイとなる。

東2局1本場 ドラ発

一万二万三万四万五万七万八万九万一索一索七筒八筒九筒  リーチ  ツモ三万

佐藤が構想通りマンズの一気通貫でリーチ。安目だが一発ツモ。戦い振りを見ると前回の決勝戦より落ち着いて打てている様子だ。

南1局 ドラ二万

二万三万三万四万四万八万八万九万一索一索七索八索九索  ドラ二万

親番の樋口に配牌シャンテンの6,000オールが見える好配牌の勝負手を入れる。しかし無常にも森下が九種九牌を選択。やはり今日の樋口には厳しい展開が予想される。これが残り4回戦に影響が出なければ良いのだが・・・。

南1局1本場 ドラ北

東場は後手に回らされていた森下が8巡目に先制リーチ。

二万三万四万六索六索四筒四筒四筒五筒六筒七筒北北  ドラ北  ロン北

これに放銃したのが、ピンフでテンパイした樋口。樋口としては短期決戦での大切の親番、森下の現物待ちでのテンパイという理由だと思うが勝負を焦ってしまった感じがする。「あの北は甘かった・・」と答えてくれたが、普段の樋口なら回避していた放銃なだけに精神的にも点数的にも手痛い失点になったに違いない。

南2局 3本場 ドラ一索

親番の森下と南家の佐藤の手がぶつかる。
佐藤がダブ南暗刻のリーチ。打点も5,200点確定で十分である。

二万三万四万七万八万九万三索四索九筒九筒南南南  リーチ  ロン二索

森下も終盤に追いつきリーチするが、佐藤に軍配が上がる。

二万三万一索二索三索二筒三筒四筒六筒六筒六筒東東  リーチ

南4局 ドラ二索
点棒状況は小野31,000 樋口13,500 森下34.700 佐藤40,800
これまで全く出番が無かった樋口がツモリ四暗刻に手を仕上げ、渾身のリーチを放つ。

二万二万二万三万三万四万四万四万四索四索四索三筒三筒  リーチ

手になっていない小野、森下、佐藤はラス目の樋口のリーチだけに無理をしない。これをツモれれば1回戦の失点も十分すぎる程補える樋口にとっては不調から脱出するきっかけにしたかったに違いない。残念ながら樋口のアガリ牌である三が1枚山に眠っていたが流局となる。森下は安全策を取りながらテンパイをしっかりと維持して小野の原点を割らせる事に成功。安易に安牌を切らずに打ち進めた森下の巧さが見られた1局となった。
佐藤は自分のアガリ番をきっちり見極めて幸先の良いトップで初戦を終えた。

1回戦成績
佐藤+17.3P 森下+10.2P 小野▲4.5P 樋口▲24.0P 供託+1.0P

 

2回戦(起家から森下・小野・佐藤・樋口)

東1局
ここまで劣勢に立たされている樋口。何とかきっかけを掴みたいところ。一が優秀と判断して七対子でリーチをかける。思惑通り小野から討ち取る。

一万五万五万八万八万四索四索五筒五筒六筒六筒北北  リーチ  ロン一万  ドラ五索

東2局
1回戦、出番が少なかった親番の小野。1,000オール皮切りに小野らしい丁寧な打ち回しで連荘し、少しずつ加点して行く。

四万五万四索四索六索七索八索五筒六筒七筒七筒八筒九筒  ロン三万  ドラ九索

東4局
親番の佐藤、配牌でツモ次第では456の三色が狙える軽い手を入れる。今まで慎重に打っていたが、余剰牌の九索を温存して手拍子でドラの三万をツモ切りをしてしまう。先制リーチで形的には先手を取ったつもりだろうが、ドラを使ったカン四万リーチの選択は考えていなかったようだ。

五万六万四索四索四索七索八索九索四筒五筒六筒九筒九筒  リーチ  ドラ三万

先制リーチにより他家に問題を投げかけたつもりだが、問題をどう解くかは相手次第。この問題に勝負を挑んだのは森下。配牌から見える678の三色に標準を定め、佐藤に無筋を2枚平然と押して高め7,700のテンパイを入れる。しっかりと佐藤から高目をアガリきる森下。佐藤の早いドラ切りを見て打点もしっかりと推測していたに違いない。

六万七万八万六索七索三筒三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒  ロン八索

佐藤にとっては手痛い失点となってしまった。結果は同じだったかもしれないが、ドラを使いきるカン四万リーチの選択など、幅広い角度から問題をとらえてもらいたいと思った。

東4局、南1局
先程のアガリを機に森下が順調に加点していき、点棒は43,200.

南1局、南2局
この2回戦でもマイナスすると厳しくなる樋口。連続1,300・2,600ツモで意地を見せる。

二万二万三万四万五万四索五索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ三索  ドラ一筒

二万三万四万四万一索一索二索二索三索三索六索七索八索  リーチ  ツモ一万  ドラ白

南4局 ドラ九筒
調子が上がってきた親番の樋口。ピンズのチンイツもしくは七対子を視野に進めた10巡目、中タンキの七対子をテンパイ即リーチ。河にはマンズとソーズの中張牌。ピンズのメンホンか七対子が明白である。
この捨て牌には、ピンズと字牌は被せにくい。最悪の場合、致命傷になりかねない。流石に森下と小野もピンズと字牌だけは切らない構えを取っている。佐藤が七対子ドラ2のシャンテンをキープして15巡目、五索を重ねてテンパイに持ち込む。さらに危険牌を押して九筒に待ち変えして同テンパイで流局。佐藤の戦う姿勢が観戦者に伝わってきた非常に見応えのある1局であった。

2回戦成績
森下+17.9P 樋口+8.8P 小野▲6.2P 佐藤▲20.5P

2回戦終了時
森下+28.1P 佐藤▲3.2P 小野▲10.7P 樋口▲15.2P 供託+1.0P

 

3回戦(起家から佐藤・森下・小野・樋口)

2回戦まで終了して、森下が頭一つリードする形となる。森下以外の3人は自分のポイントをプラスにしたい所だが、それよりも森下にポイントを上積みさせることだけは阻止しなければならない。

東1局
トータルトップ目の森下が2巡目に中を早くも仕掛ける。森下の状況を考えれば、安くて早いか、ドラ2以上などと予想できる。これに対応した小野。タンヤオの1,000点で森下のチャンス手を潰すことに成功。リーグ戦の時から小野のこういった対応には定評がある。次局も森下の親のリーチを1,300・2,600で捌いていく。

南1局まで小場な展開が続き、親番の佐藤と西家の小野の3回戦最大の勝負局が訪れる。好配牌を手にする
佐藤。打点的にも十分で申し分ない配牌である。

三万四万四万九万八索八索三筒三筒六筒白白中中中  ドラ八索

これが12巡までに白三筒を仕掛け、跳満のテンパイに持ち込む。アガリ切ればこの半荘の決定打に成りえるだけに佐藤にも気合が入っている。

一方、小野も佐藤には警戒している模様だが、勝負局と踏んだようだ。ソーズに待ちに変化させてからノータイムのリーチの発声。

六万六万五索六索六索七索八索三筒四筒五筒七筒七筒七筒  リーチ  ツモ四索

価値のある2,000・3,900のツモアガリ。点棒が欲しい局面だったと思う。しかし安易にリーチを掛けず、テンパイから、自信のあるソーズまで変化を待てた小野の持ち味である丁寧な打ち回しが光った局であった。
南4局点棒状況は以下の通り。

東家・樋口 25,200
南家・佐藤 23,900
西家・森下 23,300
北家・小野 47,600

小野との勝負局に引き負けた佐藤であったが、ここから自分のやるべき事はしっかりと把握しているようだ。
出来れば、原点を確保したい所だが、それよりも森下より順位を上げる事を優先し森下にしっかりとラスを押し付ける。残り2回戦を見据えた佐藤の賢明な判断だったと思う。

3回戦成績
小野+28.6P 樋口▲5.8P 佐藤▲8.1P 森下▲14.7P

3回戦終了時
小野+17.9P 森下+13.4P 佐藤▲11.3P 樋口▲21.0P 供託+1.0P

 

4回戦(起家から樋口・森下・佐藤・小野)

3回戦まで終わりトップは小野。しかしまだ点差はトップからラスまでで39Pと、この4回戦次第では誰もが最終戦に望みが繋げることができる。この半荘の戦い方が大切となってくる。

東1局
高め三色に仕上げた森下が終盤でリーチ。これを一発ツモの1,300・2,600。

六万七万八万六索七索八索五筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ四筒  ドラ九筒

このアガリで森下が一歩リードする。

トップがどうしても欲しい樋口。東2局、点数が欲しい為、厳しい手材料から何とか白発ホンイツの8,000のテンパイを組むも佐藤にタンピンでかわされてしまう。アガリまでの一牌が遠い。やはり今日の樋口は牌の巡り会わせが悪い様だ。

東3局
親番の佐藤。配牌では、チャンタ三色がかろうじて見える形だが重く遠い手牌。しかしツモが効いて8巡目までに有効牌を6枚引いてリーチ。

三万三万三万三索三索七索八索九索三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ三万

この時点で、佐藤のアガリ牌は山に5枚。佐藤も自信があったようだ。あっさりと引いて4,000オールでトップ目に立つ。

南4局まで激しい高打点の乱打戦が続く。やはり対局者達もこの4回戦が優勝に向けて非常に大切だと感じているようだ。各自、主導権を握るために激しい攻防が繰り広げられている。

ここまでのアガリ回数は13回で、森下5回、佐藤4回、樋口3回、小野1回。
その内ツモアガリは6回で、流局は3回と互いに手がぶつかっている表れだろう。

東家・小野 11,400
南家・樋口 24,800
西家・森下 42,100
北家・佐藤 41,700

森下、佐藤のトップ争いは佐藤が最速の6巡目ピンフテンパイも軍配を上げたのは森下。正確なピンフの手順を追い、きっちりと3,900のアガリ。激しい乱打戦を制してトップを自力でもぎ取った。
必ずアガリが欲しい局面でもリーチ不要な選択に持っていき冷静に役有りテンパイを目指し、きっちりとアガリを取る。当たり前のことをしっかりと遂行していく森下に油断は全く感じられない。

4回戦成績
森下+24.0P 佐藤+15.7P 樋口▲9.2P 小野▲30.5P

4回戦終了時
森下+37.4P 佐藤+4.4P 小野▲12.6P 樋口▲30.2P 供託+1.0P

 

5回戦(起家から樋口・佐藤・森下・小野)

森下は3人の動向を見ながら戦うことが出来る。原点確保を維持して局回しに重点をおくだろう。自然と森下の後ろには観戦者達が集まる。森下の戦い方に関心があることだろう。
佐藤は、森下を原点を割らせる事ができれば、50,000点オーバーのトップでほぼ足りるだろう。
小野は、出来れば1人浮きの60,000点オーバーを目指さなければならない。
樋口は、対戦者の着順を考えなければならないが、現実的には森下をラスにして70,000点オーバーが条件になりそうだ。

東1局1本場
タンピンドラ1をテンパイする森下。小野が追いつき11巡目にメンホンドラ1の勝負手を入れる。

二万三万三万五万六万七万一索二索七索九筒南南西  ドラ六万

この配牌をしっかりとメンホンに仕上げ、森下から8,000は8,300をアガる。
小野の捨て牌からメンホンとは予想しにくかった森下。思った以上の打点に森下の動きが止まる。
現状だが32P縮める事に成功した小野。手応えがあったに違いない。

一万二万二万三万三万四万五万六万七万七万九万南南  ロン八万  ドラ六万

東3局
テンパイ料と、500・1,000のツモアガリで失点を補う森下。樋口からドラ2の先制リーチが入るも危険牌を押して森下も応戦。
これをアガリ切れば優勝へ大きく前進する為、森下も勝負局と踏んでいる。

森下

三万四万二索三索四索六索七索八索二筒三筒四筒八筒八筒  リーチ  ドラ六索

樋口

一万二万二万三万四万五万六万七万三索四索五索六索六索  ツモ三万  ドラ六索

競り勝ったのは樋口。4枚目の三万を引きアガリトップ目に立つ。樋口も最後まで諦めていない。

南1局ここまでのトータルポイントは以下の通り。

森下 +20.3P
佐藤 +11.0P
小野 ▲16.8P
樋口 ▲15.5P
供託 +1.0P

誰にも優勝の可能性が見えてきた。ここからどう親番を活かすかが鍵となってくるだろう。

南1局
小野が300・500で樋口の親番と森下の7,700が見えるチャンス手を潰す貴重なアガリをする。

南2局
配牌ドラ2を手にした佐藤。この手を仕上げる事が出来れば優勝がみえる。佐藤もこのチャンス手を物にしたいはずだ。佐藤のアガリを阻止したい小野が2巡目から四万を積極的に仕掛ける。チンイツを視野に入れ、決まれば点数的にも価値がある。私なら仕掛けられなかった。同じチンイツを視野に入れていたが、上家からの仕掛けも考えて又横の伸びを見ていたからである。小野の感性は違った。最初からチンイツトイトイを目指していた。これが嵌まり最速の7巡目12,000テンパイ。

迎えた12巡目、佐藤に試練の分岐点が訪れる。1シャンテンになった佐藤の手牌。

二索三索六索七索八索一筒二筒三筒五筒六筒南北北  ツモ二万

この二万は場には1枚も切れていない。二万南の2枚は小野に押しづらい牌だ。放銃を考えれば最低でも8,000。佐藤の思考はよく分かる。ここで放銃が付けば脱落の可能性が高い。小野のツモアガリ又は流局なら、まだ自分の優勝の目が残る。残り2局で勝負をかけるつもりだろう。佐藤の選択は、二万南を勝負しない二索三索のターツ落とし。しかし、「勝負局だった・・・。」と後で佐藤は後悔、反省していた。そこには、2回戦南4局で私達に戦う姿勢を見せてくれた逞しく凛々しい佐藤の姿はなかった。優勝したかった為の我慢だったかもしれない。優勝する為の勝負の二万だったかもしれない。佐藤に対する応えは結果から判断するしかないのだが。一度アガリを逃した佐藤にもう一度アガリきる力は残っていなかった。

見事、戦略通りに行った小野。点数以上に価値が感じられる12,000のアガリとなった。

七万七万八万八万  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ロン七万

南3局 親番の森下。点数、アガリが出来れば欲しい局面でこの手を入れることが森下の強さだろう。
配牌シャンテンから絶好のカン七索を簡単に引き入れてリーチ。

五万六万七万六索七索八索四筒五筒七筒七筒七筒白白  リーチ  ドラ七筒

他3者はこのリーチには押し返せる者はいない。アガることが出来れば決定打になっていただろう。
残り2枚山に残っていたが流局となる。

南4局
森下が小野に対して15.1Pのリード。森下が1巡目から小野の白を仕掛けて終局に向かう。小野もメンゼンで行きたかったが、妥協してポンテンの500オールで次局へ繋いでいく。

南4局 1本場
1本場で高め4,000オールのテンパイも流局。森下、小野2人とも苦しい表情を伺わせている。

南4局 2本場
小野が先制リーチを掛けるも流局。会場には静けさと重たい雰囲気に包まれている。

南4局 3本場
小野がタンヤオドラ2を仕掛け、見事カン三索をアガリきる。これで森下を3,100点逆転に成功。「最初からカン三索に標準を合わせていたとの事」カン三索でテンパイを果たした時は、アガリ牌である三索が4枚も眠っていた。道中で二索をツモるが高め3,900オールもある所をノータイムでツモ切り。場況をしっかりと考えて打てた小野らしい素晴らしいアガリだったと思う。

三万三万二索四索三筒四筒五筒  チー五索 上向き六索 上向き七索 上向き  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き  ツモ三索  ドラ三万

このアガリで交わされた森下。今まで終始局面をリードし、ゲーム回し等戦い方に、ミスらしいミスは無かったのではないか。又アガリが必要な時はしっかりとアガリをものにしていた森下だったが一番流したかった1局だけは思い通りにいかなかった事だけが大いに悔やまれる。最終局はノーテンで第26期中部プロリーグは小野の見事の逆転勝利で幕を閉じた。

5回戦成績
小野+43.1P 樋口▲2.7P 森下▲15.4P 佐藤▲25.0P

5回戦終了時
小野+30.5P 森下+22.0P 佐藤▲20.6P 樋口▲32.9P 供託+1.0P

決勝戦終了後の打ち上げの席にて、小野と優勝の勝因を振り返ってみた。
「5回戦が展開に恵まれたので勝つことができた」と謙遜していたが、最初から森下、佐藤、樋口の強敵3人に対して優勝するプランはしっかりと考えていたようだ。
見事小野の戦略通りに事が嵌まったように見えたのは私だけではないだろう。Cリーグからの連続昇級。そして決勝戦初出場で初優勝と素晴らしい結果を出している。
攻めて良し、守って良し,状況判断にも優れている小野の良さが全面的に発揮できたのが、今回の優勝の勝因だったと思う。
連盟のタイトルホルダー2人と戦ってのこの結果は小野の今後の結果に繋がる大きな自信になったと思う。
今後の抱負も「鳳凰戦に参戦する」と頼もしい発言をしてくれた。自分の力を信じて頑張ってもらいたいと思う。

私も決勝戦を観戦して、改めて麻雀は相手と戦う以上勝負事であると感じさせてくれた。非常に観戦する者を熱くさせてくれた見応えのあった決勝戦だったと思う。
既に戦いは始まっている。私自身もまた、決勝戦で自分らしい麻雀を打ち、観戦してくれる方達に自分の戦う熱い気持ちが伝えられるように日々努力して次に臨みたいと思う。

100
前列左より:木村本部長、小野雅峻
後列左より:樋口新、森下剛任、佐藤あいり

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 合計
1 小野 雅峻 ▲ 4.5 ▲ 6.2 28.6 ▲ 30.5 43.1 30.5
2 森下 剛任 10.2 17.9 ▲ 14.7 24.0 ▲ 15.4 22.0
3 佐藤 あいり 17.3 ▲ 20.5 ▲ 8.1 15.7 ▲ 25.0 ▲ 20.6
4 樋口 新 ▲ 24.0 8.8 ▲ 5.8 ▲ 9.2 ▲ 2.7 ▲ 32.9

中部プロリーグ レポート/第26期中部プロリーグ 決勝レポート

1月7日(日)第26期中部プロリーグの決勝戦が行われた。
それでは、見事勝ち上がった本日の決勝進出者を紹介しよう。
1位通過 森下剛任(22期生/四段)
決勝進出:3回目 最高成績 3位
第39期王位、前日行われた鳳凰戦B2リーグの昇級を決めた森下。門前手役型の麻雀を打ち、彼の最大の持ち味は攻撃力である。又、場況を読む力が優れており、簡単には撤退しない粘り強い麻雀が打てる。
ここ最近の実績を考慮すると森下が間違いなく本命といえよう。
2位通過 小野雅峻(29期生/初段)
決勝進出:初出場
Cリーグから連続昇級してきた小野。Aリーグ初出場ながら自分の麻雀をしっかりと打ち決勝戦まで勝ち上がってきたのは見事だと思う。中部プロリーグの中で最も勢いのある選手といえるだろう。
バランスの良い麻雀を打ち守備力が高く、どんな時でも丁寧に麻雀を打てる所が小野の武器である。
3位通過 樋口新(22期生/四段)
決勝進出:2回目 最高成績 3位
第19期マスターズ優勝、門前手役重視型でとても重厚な麻雀を心掛けている樋口。局面が深くなり、後半の勝負に持っていくことが出来れば樋口得意の展開になるのではないか。マスターズで見事優勝した時の強い意志と強い心を持った麻雀を是非この決勝戦で見せてもらいたい。
4位通過 佐藤あいり(25期生/三段)
決勝進出:2回目 最高成績 準優勝
中部本部で唯一の女流Aリーガー。彼女の持ち味は自分が攻められると判断した時の気持ちのよい攻撃である。特に親番を維持する意識は高く持っており、最近は本人の課題である後手に回らされた時の対応も以前より修正されており守備力を高くするように心掛けているようだ。今回も安定した成績での決勝戦進出。決勝戦では自分を信じて戦う意志を持って臨めるかが焦点になるのではないか。
 
1回戦(起家から樋口・森下・佐藤・小野)
東1局
開局から北家小野が積極的に中を仕掛ける。十分形からの仕掛けではなかったが、相手への牽制の意味も含めた仕掛けだろう。ノータイムで発声が出た所を見ると決勝戦初出場だが、普段の小野の麻雀が打てている様子であり、緊張とは無縁のようだ。
対するは、親番の樋口。配牌は悪かったが5巡目のドラ六索ツモより七対子へ移行するも河には6対子が並ぶ。
この河を眺めた樋口のため息混じりの顔に見えたのは私だけだろうか。この局は小野の1人テンパイとなる。
東2局1本場 ドラ発
一万二万三万四万五万七万八万九万一索一索七筒八筒九筒  リーチ  ツモ三万
佐藤が構想通りマンズの一気通貫でリーチ。安目だが一発ツモ。戦い振りを見ると前回の決勝戦より落ち着いて打てている様子だ。
南1局 ドラ二万
二万三万三万四万四万八万八万九万一索一索七索八索九索  ドラ二万
親番の樋口に配牌シャンテンの6,000オールが見える好配牌の勝負手を入れる。しかし無常にも森下が九種九牌を選択。やはり今日の樋口には厳しい展開が予想される。これが残り4回戦に影響が出なければ良いのだが・・・。
南1局1本場 ドラ北
東場は後手に回らされていた森下が8巡目に先制リーチ。
二万三万四万六索六索四筒四筒四筒五筒六筒七筒北北  ドラ北  ロン北
これに放銃したのが、ピンフでテンパイした樋口。樋口としては短期決戦での大切の親番、森下の現物待ちでのテンパイという理由だと思うが勝負を焦ってしまった感じがする。「あの北は甘かった・・」と答えてくれたが、普段の樋口なら回避していた放銃なだけに精神的にも点数的にも手痛い失点になったに違いない。
南2局 3本場 ドラ一索
親番の森下と南家の佐藤の手がぶつかる。
佐藤がダブ南暗刻のリーチ。打点も5,200点確定で十分である。
二万三万四万七万八万九万三索四索九筒九筒南南南  リーチ  ロン二索
森下も終盤に追いつきリーチするが、佐藤に軍配が上がる。
二万三万一索二索三索二筒三筒四筒六筒六筒六筒東東  リーチ
南4局 ドラ二索
点棒状況は小野31,000 樋口13,500 森下34.700 佐藤40,800
これまで全く出番が無かった樋口がツモリ四暗刻に手を仕上げ、渾身のリーチを放つ。
二万二万二万三万三万四万四万四万四索四索四索三筒三筒  リーチ
手になっていない小野、森下、佐藤はラス目の樋口のリーチだけに無理をしない。これをツモれれば1回戦の失点も十分すぎる程補える樋口にとっては不調から脱出するきっかけにしたかったに違いない。残念ながら樋口のアガリ牌である三が1枚山に眠っていたが流局となる。森下は安全策を取りながらテンパイをしっかりと維持して小野の原点を割らせる事に成功。安易に安牌を切らずに打ち進めた森下の巧さが見られた1局となった。
佐藤は自分のアガリ番をきっちり見極めて幸先の良いトップで初戦を終えた。
1回戦成績
佐藤+17.3P 森下+10.2P 小野▲4.5P 樋口▲24.0P 供託+1.0P
 
2回戦(起家から森下・小野・佐藤・樋口)
東1局
ここまで劣勢に立たされている樋口。何とかきっかけを掴みたいところ。一が優秀と判断して七対子でリーチをかける。思惑通り小野から討ち取る。
一万五万五万八万八万四索四索五筒五筒六筒六筒北北  リーチ  ロン一万  ドラ五索
東2局
1回戦、出番が少なかった親番の小野。1,000オール皮切りに小野らしい丁寧な打ち回しで連荘し、少しずつ加点して行く。
四万五万四索四索六索七索八索五筒六筒七筒七筒八筒九筒  ロン三万  ドラ九索
東4局
親番の佐藤、配牌でツモ次第では456の三色が狙える軽い手を入れる。今まで慎重に打っていたが、余剰牌の九索を温存して手拍子でドラの三万をツモ切りをしてしまう。先制リーチで形的には先手を取ったつもりだろうが、ドラを使ったカン四万リーチの選択は考えていなかったようだ。
五万六万四索四索四索七索八索九索四筒五筒六筒九筒九筒  リーチ  ドラ三万
先制リーチにより他家に問題を投げかけたつもりだが、問題をどう解くかは相手次第。この問題に勝負を挑んだのは森下。配牌から見える678の三色に標準を定め、佐藤に無筋を2枚平然と押して高め7,700のテンパイを入れる。しっかりと佐藤から高目をアガリきる森下。佐藤の早いドラ切りを見て打点もしっかりと推測していたに違いない。
六万七万八万六索七索三筒三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒  ロン八索
佐藤にとっては手痛い失点となってしまった。結果は同じだったかもしれないが、ドラを使いきるカン四万リーチの選択など、幅広い角度から問題をとらえてもらいたいと思った。
東4局、南1局
先程のアガリを機に森下が順調に加点していき、点棒は43,200.
南1局、南2局
この2回戦でもマイナスすると厳しくなる樋口。連続1,300・2,600ツモで意地を見せる。
二万二万三万四万五万四索五索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ三索  ドラ一筒
二万三万四万四万一索一索二索二索三索三索六索七索八索  リーチ  ツモ一万  ドラ白
南4局 ドラ九筒
調子が上がってきた親番の樋口。ピンズのチンイツもしくは七対子を視野に進めた10巡目、中タンキの七対子をテンパイ即リーチ。河にはマンズとソーズの中張牌。ピンズのメンホンか七対子が明白である。
この捨て牌には、ピンズと字牌は被せにくい。最悪の場合、致命傷になりかねない。流石に森下と小野もピンズと字牌だけは切らない構えを取っている。佐藤が七対子ドラ2のシャンテンをキープして15巡目、五索を重ねてテンパイに持ち込む。さらに危険牌を押して九筒に待ち変えして同テンパイで流局。佐藤の戦う姿勢が観戦者に伝わってきた非常に見応えのある1局であった。
2回戦成績
森下+17.9P 樋口+8.8P 小野▲6.2P 佐藤▲20.5P
2回戦終了時
森下+28.1P 佐藤▲3.2P 小野▲10.7P 樋口▲15.2P 供託+1.0P
 
3回戦(起家から佐藤・森下・小野・樋口)
2回戦まで終了して、森下が頭一つリードする形となる。森下以外の3人は自分のポイントをプラスにしたい所だが、それよりも森下にポイントを上積みさせることだけは阻止しなければならない。
東1局
トータルトップ目の森下が2巡目に中を早くも仕掛ける。森下の状況を考えれば、安くて早いか、ドラ2以上などと予想できる。これに対応した小野。タンヤオの1,000点で森下のチャンス手を潰すことに成功。リーグ戦の時から小野のこういった対応には定評がある。次局も森下の親のリーチを1,300・2,600で捌いていく。
南1局まで小場な展開が続き、親番の佐藤と西家の小野の3回戦最大の勝負局が訪れる。好配牌を手にする
佐藤。打点的にも十分で申し分ない配牌である。
三万四万四万九万八索八索三筒三筒六筒白白中中中  ドラ八索
これが12巡までに白三筒を仕掛け、跳満のテンパイに持ち込む。アガリ切ればこの半荘の決定打に成りえるだけに佐藤にも気合が入っている。
一方、小野も佐藤には警戒している模様だが、勝負局と踏んだようだ。ソーズに待ちに変化させてからノータイムのリーチの発声。
六万六万五索六索六索七索八索三筒四筒五筒七筒七筒七筒  リーチ  ツモ四索
価値のある2,000・3,900のツモアガリ。点棒が欲しい局面だったと思う。しかし安易にリーチを掛けず、テンパイから、自信のあるソーズまで変化を待てた小野の持ち味である丁寧な打ち回しが光った局であった。
南4局点棒状況は以下の通り。
東家・樋口 25,200
南家・佐藤 23,900
西家・森下 23,300
北家・小野 47,600
小野との勝負局に引き負けた佐藤であったが、ここから自分のやるべき事はしっかりと把握しているようだ。
出来れば、原点を確保したい所だが、それよりも森下より順位を上げる事を優先し森下にしっかりとラスを押し付ける。残り2回戦を見据えた佐藤の賢明な判断だったと思う。
3回戦成績
小野+28.6P 樋口▲5.8P 佐藤▲8.1P 森下▲14.7P
3回戦終了時
小野+17.9P 森下+13.4P 佐藤▲11.3P 樋口▲21.0P 供託+1.0P
 
4回戦(起家から樋口・森下・佐藤・小野)
3回戦まで終わりトップは小野。しかしまだ点差はトップからラスまでで39Pと、この4回戦次第では誰もが最終戦に望みが繋げることができる。この半荘の戦い方が大切となってくる。
東1局
高め三色に仕上げた森下が終盤でリーチ。これを一発ツモの1,300・2,600。
六万七万八万六索七索八索五筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ四筒  ドラ九筒
このアガリで森下が一歩リードする。
トップがどうしても欲しい樋口。東2局、点数が欲しい為、厳しい手材料から何とか白発ホンイツの8,000のテンパイを組むも佐藤にタンピンでかわされてしまう。アガリまでの一牌が遠い。やはり今日の樋口は牌の巡り会わせが悪い様だ。
東3局
親番の佐藤。配牌では、チャンタ三色がかろうじて見える形だが重く遠い手牌。しかしツモが効いて8巡目までに有効牌を6枚引いてリーチ。
三万三万三万三索三索七索八索九索三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ三万
この時点で、佐藤のアガリ牌は山に5枚。佐藤も自信があったようだ。あっさりと引いて4,000オールでトップ目に立つ。
南4局まで激しい高打点の乱打戦が続く。やはり対局者達もこの4回戦が優勝に向けて非常に大切だと感じているようだ。各自、主導権を握るために激しい攻防が繰り広げられている。
ここまでのアガリ回数は13回で、森下5回、佐藤4回、樋口3回、小野1回。
その内ツモアガリは6回で、流局は3回と互いに手がぶつかっている表れだろう。
東家・小野 11,400
南家・樋口 24,800
西家・森下 42,100
北家・佐藤 41,700
森下、佐藤のトップ争いは佐藤が最速の6巡目ピンフテンパイも軍配を上げたのは森下。正確なピンフの手順を追い、きっちりと3,900のアガリ。激しい乱打戦を制してトップを自力でもぎ取った。
必ずアガリが欲しい局面でもリーチ不要な選択に持っていき冷静に役有りテンパイを目指し、きっちりとアガリを取る。当たり前のことをしっかりと遂行していく森下に油断は全く感じられない。
4回戦成績
森下+24.0P 佐藤+15.7P 樋口▲9.2P 小野▲30.5P
4回戦終了時
森下+37.4P 佐藤+4.4P 小野▲12.6P 樋口▲30.2P 供託+1.0P
 
5回戦(起家から樋口・佐藤・森下・小野)
森下は3人の動向を見ながら戦うことが出来る。原点確保を維持して局回しに重点をおくだろう。自然と森下の後ろには観戦者達が集まる。森下の戦い方に関心があることだろう。
佐藤は、森下を原点を割らせる事ができれば、50,000点オーバーのトップでほぼ足りるだろう。
小野は、出来れば1人浮きの60,000点オーバーを目指さなければならない。
樋口は、対戦者の着順を考えなければならないが、現実的には森下をラスにして70,000点オーバーが条件になりそうだ。
東1局1本場
タンピンドラ1をテンパイする森下。小野が追いつき11巡目にメンホンドラ1の勝負手を入れる。
二万三万三万五万六万七万一索二索七索九筒南南西  ドラ六万
この配牌をしっかりとメンホンに仕上げ、森下から8,000は8,300をアガる。
小野の捨て牌からメンホンとは予想しにくかった森下。思った以上の打点に森下の動きが止まる。
現状だが32P縮める事に成功した小野。手応えがあったに違いない。
一万二万二万三万三万四万五万六万七万七万九万南南  ロン八万  ドラ六万
東3局
テンパイ料と、500・1,000のツモアガリで失点を補う森下。樋口からドラ2の先制リーチが入るも危険牌を押して森下も応戦。
これをアガリ切れば優勝へ大きく前進する為、森下も勝負局と踏んでいる。
森下
三万四万二索三索四索六索七索八索二筒三筒四筒八筒八筒  リーチ  ドラ六索
樋口
一万二万二万三万四万五万六万七万三索四索五索六索六索  ツモ三万  ドラ六索
競り勝ったのは樋口。4枚目の三万を引きアガリトップ目に立つ。樋口も最後まで諦めていない。
南1局ここまでのトータルポイントは以下の通り。
森下 +20.3P
佐藤 +11.0P
小野 ▲16.8P
樋口 ▲15.5P
供託 +1.0P
誰にも優勝の可能性が見えてきた。ここからどう親番を活かすかが鍵となってくるだろう。
南1局
小野が300・500で樋口の親番と森下の7,700が見えるチャンス手を潰す貴重なアガリをする。
南2局
配牌ドラ2を手にした佐藤。この手を仕上げる事が出来れば優勝がみえる。佐藤もこのチャンス手を物にしたいはずだ。佐藤のアガリを阻止したい小野が2巡目から四万を積極的に仕掛ける。チンイツを視野に入れ、決まれば点数的にも価値がある。私なら仕掛けられなかった。同じチンイツを視野に入れていたが、上家からの仕掛けも考えて又横の伸びを見ていたからである。小野の感性は違った。最初からチンイツトイトイを目指していた。これが嵌まり最速の7巡目12,000テンパイ。
迎えた12巡目、佐藤に試練の分岐点が訪れる。1シャンテンになった佐藤の手牌。
二索三索六索七索八索一筒二筒三筒五筒六筒南北北  ツモ二万
この二万は場には1枚も切れていない。二万南の2枚は小野に押しづらい牌だ。放銃を考えれば最低でも8,000。佐藤の思考はよく分かる。ここで放銃が付けば脱落の可能性が高い。小野のツモアガリ又は流局なら、まだ自分の優勝の目が残る。残り2局で勝負をかけるつもりだろう。佐藤の選択は、二万南を勝負しない二索三索のターツ落とし。しかし、「勝負局だった・・・。」と後で佐藤は後悔、反省していた。そこには、2回戦南4局で私達に戦う姿勢を見せてくれた逞しく凛々しい佐藤の姿はなかった。優勝したかった為の我慢だったかもしれない。優勝する為の勝負の二万だったかもしれない。佐藤に対する応えは結果から判断するしかないのだが。一度アガリを逃した佐藤にもう一度アガリきる力は残っていなかった。
見事、戦略通りに行った小野。点数以上に価値が感じられる12,000のアガリとなった。
七万七万八万八万  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ロン七万
南3局 親番の森下。点数、アガリが出来れば欲しい局面でこの手を入れることが森下の強さだろう。
配牌シャンテンから絶好のカン七索を簡単に引き入れてリーチ。
五万六万七万六索七索八索四筒五筒七筒七筒七筒白白  リーチ  ドラ七筒
他3者はこのリーチには押し返せる者はいない。アガることが出来れば決定打になっていただろう。
残り2枚山に残っていたが流局となる。
南4局
森下が小野に対して15.1Pのリード。森下が1巡目から小野の白を仕掛けて終局に向かう。小野もメンゼンで行きたかったが、妥協してポンテンの500オールで次局へ繋いでいく。
南4局 1本場
1本場で高め4,000オールのテンパイも流局。森下、小野2人とも苦しい表情を伺わせている。
南4局 2本場
小野が先制リーチを掛けるも流局。会場には静けさと重たい雰囲気に包まれている。
南4局 3本場
小野がタンヤオドラ2を仕掛け、見事カン三索をアガリきる。これで森下を3,100点逆転に成功。「最初からカン三索に標準を合わせていたとの事」カン三索でテンパイを果たした時は、アガリ牌である三索が4枚も眠っていた。道中で二索をツモるが高め3,900オールもある所をノータイムでツモ切り。場況をしっかりと考えて打てた小野らしい素晴らしいアガリだったと思う。
三万三万二索四索三筒四筒五筒  チー五索 上向き六索 上向き七索 上向き  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き  ツモ三索  ドラ三万
このアガリで交わされた森下。今まで終始局面をリードし、ゲーム回し等戦い方に、ミスらしいミスは無かったのではないか。又アガリが必要な時はしっかりとアガリをものにしていた森下だったが一番流したかった1局だけは思い通りにいかなかった事だけが大いに悔やまれる。最終局はノーテンで第26期中部プロリーグは小野の見事の逆転勝利で幕を閉じた。
5回戦成績
小野+43.1P 樋口▲2.7P 森下▲15.4P 佐藤▲25.0P
5回戦終了時
小野+30.5P 森下+22.0P 佐藤▲20.6P 樋口▲32.9P 供託+1.0P
決勝戦終了後の打ち上げの席にて、小野と優勝の勝因を振り返ってみた。
「5回戦が展開に恵まれたので勝つことができた」と謙遜していたが、最初から森下、佐藤、樋口の強敵3人に対して優勝するプランはしっかりと考えていたようだ。
見事小野の戦略通りに事が嵌まったように見えたのは私だけではないだろう。Cリーグからの連続昇級。そして決勝戦初出場で初優勝と素晴らしい結果を出している。
攻めて良し、守って良し,状況判断にも優れている小野の良さが全面的に発揮できたのが、今回の優勝の勝因だったと思う。
連盟のタイトルホルダー2人と戦ってのこの結果は小野の今後の結果に繋がる大きな自信になったと思う。
今後の抱負も「鳳凰戦に参戦する」と頼もしい発言をしてくれた。自分の力を信じて頑張ってもらいたいと思う。
私も決勝戦を観戦して、改めて麻雀は相手と戦う以上勝負事であると感じさせてくれた。非常に観戦する者を熱くさせてくれた見応えのあった決勝戦だったと思う。
既に戦いは始まっている。私自身もまた、決勝戦で自分らしい麻雀を打ち、観戦してくれる方達に自分の戦う熱い気持ちが伝えられるように日々努力して次に臨みたいと思う。
100
前列左より:木村本部長、小野雅峻
後列左より:樋口新、森下剛任、佐藤あいり

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 合計
1 小野 雅峻 ▲ 4.5 ▲ 6.2 28.6 ▲ 30.5 43.1 30.5
2 森下 剛任 10.2 17.9 ▲ 14.7 24.0 ▲ 15.4 22.0
3 佐藤 あいり 17.3 ▲ 20.5 ▲ 8.1 15.7 ▲ 25.0 ▲ 20.6
4 樋口 新 ▲ 24.0 8.8 ▲ 5.8 ▲ 9.2 ▲ 2.7 ▲ 32.9

第139回:プロ雀士インタビュー 宮内 こずえ  インタビュアー:岡田 茂

第10期女流桜花 

終始安定した戦いぶりで、第10期女流桜花の座に輝いた宮内こずえ。
優勝トロフィー授与後のインタビューで今までの【想い】が堰を切ったようにあふれ出し、言葉に詰まる姿は記憶に新しいと思う。
映像対局では優勝経験が多数あるものの、この女流桜花が連盟公式戦初のタイトルとなった宮内こずえプロのインタビューを、後輩岡田茂が努めさせていただきます。

岡田「宮内さん女流桜花優勝おめでとう!」

宮内「ありがとう!これからはお局様じゃなくて、桜花様だからね(笑)」

100
第10期女流桜花様(24歳?)

岡田「かしこまりました桜花様・・・ さっそくなんだけど、優勝後のインタビューの時ってどんな想いだったの?」

宮内「女流桜花はすごく欲しいタイトルだったから、対局中はもちろんだけど、対局までの間もプレッシャーが凄くあったんだ。あの瞬間にプレッシャーから解放されて、優勝したんだなーって実感がわいたの。」

岡田「たしかにかなり気合はいってたもんね。調整のセットも相当やってたんじゃない?」

宮内「週に2、3回はやったかな?」

岡田「自分も何回か打ったけど、確認作業をしてるというより、気持ちを作ってる様に見受けられたけど?」

宮内「うん。対局に向けて、いい精神状態で迎えたかったのが一番かな。もちろんAルールとしての打ち方の調整もだけどね」

岡田「なるほどー。思い出せば、宮内さんが麻雀の仕事の日だったと思うんだけど【今日もし負けたらセットお願いします!】って言ってたもんね(笑)」

宮内「たしかにあったね(笑)」

岡田「話はかわるんだけど、今は(手なりの女王)って呼ばれてるけど、昔はかなり手役派だったとか?」

宮内「そうなのー。超面前高打点猪麻雀(笑)満貫のチーテン・ポンテンとか取らなかった(笑) かっちゃん(勝又プロ)とヒサトと稽古するようになって、このスタイルじゃ勝てないと思って。(笑) あと、三人麻雀を覚えたのも影響してるかな?」

岡田「今回の決定戦では、手なりの局と手役狙いの局がかなりはっきりとしてたよね。」

1回戦の南2局1本場 

配牌 
三万八万九万二索三索六索九索七筒八筒九筒九筒西西  ツモ二索  ドラ七筒

この第1ツモ二索をツモきり、ここから最終的に

九万九万九索九索九索七筒七筒八筒九筒九筒西西西

宮内「手ごたえはあったんだけど、直前に八筒を2枚切られて、ドラの七筒が出たのでポンしてトイトイに切り替えたけどアガれず、あまり感触がよくないなあと。」

四万四万六万七万八万九万七索二筒三筒四筒五筒六筒白白  ドラ八索

岡田「そのアガれなかった前局をふまえての次局、親和泉が連荘しての2本場4巡目。ここから打七索

宮内「ドラのくっつきからのタンピンドラ1を見たいんだけど、ここは親落しが優先と思って」

岡田「白ポンからの1,000点の出アガリで親落としに成功。この2局の切り替えは見ていてホントに素晴らしと思った。手なりでは出来ないよね。後は手役の見切りもだけど、押し引きのバランスも見事な局が多かったと思う。魚谷プロが観戦記者の女流桜花観戦記(2日目)にも書かれてるんだけど、

7回戦 東2局 親和泉 13巡目

五万五万五万六万二索二索六索七索二筒三筒四筒六筒七筒  ツモ八筒  ドラ八筒

親和泉プロが 

一万二万四万五万六万七万八万九万南南南中中 

このテンパイ ここでテンパイとらずの打二索
宮内「和泉とは対戦が多いから、雰囲気が結構わかりやすいの(笑) この時かなり雰囲気が出てからマンズは切るつもりはなかった」

岡田「次巡にアタリ牌の三万をツモ。自分だったら六万切りリーチで三万で12,000放銃してます。(笑) 後は12回戦の南1局1本場、親の和泉プロからリーチが入って

一万一万三万八万八万九万九万二索二索三索南南中中 

スジの三万を切ってテンパイ。暗刻となる二索を勝負しての三索のツモアガリ。トータル2着目の親リーチをかいくぐってのアガリとなりました。」
宮内「亜樹ちゃんと吾妻さんは親落しをしてこないだろうし、親に放銃してもまだポイント的にはリードがあったから勝負したの。」

岡田「そうとはわかっていても、あそこで勝負にいくのは相当精神力がいると思った。しかも結果を出してアガリきるのはスゴイよね。家で見ながら1人で(うわー!こらスゲー)とか独り言いってたよ(笑)」

宮内「ありがとー。ついてた部分が多かった」

岡田「ツキだけじゃないと思いますよ!」

決定戦の対局内容は魚谷プロによる観戦記がありますのでそちらをご覧いただければと思います。

岡田「プライベートについても聞いていこうかと思ったんだけど、過去のインタビューを見ると大体のことが質問されてるんだよねー。麻雀を覚えたキッカケ、趣味、好きな食べ物、男性のタイプ・・・ 」

宮内「たしかにー」

岡田「個人的に気になってたんだけど、いつも明るくてポジティブなイメージなんだけどさ、宮内さんてストレスたまるの?」

宮内「少しはありますー!」

岡田「発散ってどうしてるの?」

宮内「友達と話したりとか、好きな事してかなー?あんまりストレスたまらないかも(笑)」

岡田「好きな事って?」

宮内「ゲーム!アプリよくやるよー」

100
インタビュー後、携帯2台持ちでアプリをする桜花様

岡田「たしかに宮内さんメチャメチャのめり込むよねー(笑)強くなるのすごいはやいもん」

宮内「自分もでしょ!」

岡田「はい(笑)。それでは最後に今後の目標などお願いします。」

宮内「昔からかわらず目標は鳳凰位!リーグ戦もギリギリ残留したし、これから頑張っていきたいと思います!」

第10期女流桜花決定戦で優勝し、タイトルホルダーとなった宮内こずえ。
私が連盟に入ってから10年程になるが、公式戦、稽古でのセットなど何度か対局をしてきた。又、宮内プロが出場した映像対局などの後の打ち上げでも何度か同席した。
そんな時、勝った試合であれ、負けた試合であれ、彼女は必ずと言っていいほど、感想戦をする。先輩、後輩関係なく質問し、考えを聞き、自分の意見を話す。又、麻雀プロとしての在り方、プロ連盟の団体としての今後の事なども良く話題にする。その情熱、向上心が、今回の女流桜花優勝につながったのであろう。
あらためて女流桜花優勝 おめでとうございました。

P.S宮内女流桜花様へ もうお局様と呼びませんから、リーグ戦で残留争いをしている当面のライバルに、対局後「どうだった?えー もうちょっと負けてよー!」なんて言わないで下さい。残留したい気持ちは僕も一緒ですから。

100

プロ雀士インタビュー/第139回:プロ雀士インタビュー 宮内 こずえ  インタビュアー:岡田 茂

第10期女流桜花 
終始安定した戦いぶりで、第10期女流桜花の座に輝いた宮内こずえ。
優勝トロフィー授与後のインタビューで今までの【想い】が堰を切ったようにあふれ出し、言葉に詰まる姿は記憶に新しいと思う。
映像対局では優勝経験が多数あるものの、この女流桜花が連盟公式戦初のタイトルとなった宮内こずえプロのインタビューを、後輩岡田茂が努めさせていただきます。
岡田「宮内さん女流桜花優勝おめでとう!」
宮内「ありがとう!これからはお局様じゃなくて、桜花様だからね(笑)」
100
第10期女流桜花様(24歳?)
岡田「かしこまりました桜花様・・・ さっそくなんだけど、優勝後のインタビューの時ってどんな想いだったの?」
宮内「女流桜花はすごく欲しいタイトルだったから、対局中はもちろんだけど、対局までの間もプレッシャーが凄くあったんだ。あの瞬間にプレッシャーから解放されて、優勝したんだなーって実感がわいたの。」
岡田「たしかにかなり気合はいってたもんね。調整のセットも相当やってたんじゃない?」
宮内「週に2、3回はやったかな?」
岡田「自分も何回か打ったけど、確認作業をしてるというより、気持ちを作ってる様に見受けられたけど?」
宮内「うん。対局に向けて、いい精神状態で迎えたかったのが一番かな。もちろんAルールとしての打ち方の調整もだけどね」
岡田「なるほどー。思い出せば、宮内さんが麻雀の仕事の日だったと思うんだけど【今日もし負けたらセットお願いします!】って言ってたもんね(笑)」
宮内「たしかにあったね(笑)」
岡田「話はかわるんだけど、今は(手なりの女王)って呼ばれてるけど、昔はかなり手役派だったとか?」
宮内「そうなのー。超面前高打点猪麻雀(笑)満貫のチーテン・ポンテンとか取らなかった(笑) かっちゃん(勝又プロ)とヒサトと稽古するようになって、このスタイルじゃ勝てないと思って。(笑) あと、三人麻雀を覚えたのも影響してるかな?」
岡田「今回の決定戦では、手なりの局と手役狙いの局がかなりはっきりとしてたよね。」
1回戦の南2局1本場 
配牌 
三万八万九万二索三索六索九索七筒八筒九筒九筒西西  ツモ二索  ドラ七筒
この第1ツモ二索をツモきり、ここから最終的に
九万九万九索九索九索七筒七筒八筒九筒九筒西西西
宮内「手ごたえはあったんだけど、直前に八筒を2枚切られて、ドラの七筒が出たのでポンしてトイトイに切り替えたけどアガれず、あまり感触がよくないなあと。」
四万四万六万七万八万九万七索二筒三筒四筒五筒六筒白白  ドラ八索
岡田「そのアガれなかった前局をふまえての次局、親和泉が連荘しての2本場4巡目。ここから打七索
宮内「ドラのくっつきからのタンピンドラ1を見たいんだけど、ここは親落しが優先と思って」
岡田「白ポンからの1,000点の出アガリで親落としに成功。この2局の切り替えは見ていてホントに素晴らしと思った。手なりでは出来ないよね。後は手役の見切りもだけど、押し引きのバランスも見事な局が多かったと思う。魚谷プロが観戦記者の女流桜花観戦記(2日目)にも書かれてるんだけど、
7回戦 東2局 親和泉 13巡目
五万五万五万六万二索二索六索七索二筒三筒四筒六筒七筒  ツモ八筒  ドラ八筒
親和泉プロが 
一万二万四万五万六万七万八万九万南南南中中 
このテンパイ ここでテンパイとらずの打二索
宮内「和泉とは対戦が多いから、雰囲気が結構わかりやすいの(笑) この時かなり雰囲気が出てからマンズは切るつもりはなかった」
岡田「次巡にアタリ牌の三万をツモ。自分だったら六万切りリーチで三万で12,000放銃してます。(笑) 後は12回戦の南1局1本場、親の和泉プロからリーチが入って
一万一万三万八万八万九万九万二索二索三索南南中中 
スジの三万を切ってテンパイ。暗刻となる二索を勝負しての三索のツモアガリ。トータル2着目の親リーチをかいくぐってのアガリとなりました。」
宮内「亜樹ちゃんと吾妻さんは親落しをしてこないだろうし、親に放銃してもまだポイント的にはリードがあったから勝負したの。」
岡田「そうとはわかっていても、あそこで勝負にいくのは相当精神力がいると思った。しかも結果を出してアガリきるのはスゴイよね。家で見ながら1人で(うわー!こらスゲー)とか独り言いってたよ(笑)」
宮内「ありがとー。ついてた部分が多かった」
岡田「ツキだけじゃないと思いますよ!」
決定戦の対局内容は魚谷プロによる観戦記がありますのでそちらをご覧いただければと思います。
岡田「プライベートについても聞いていこうかと思ったんだけど、過去のインタビューを見ると大体のことが質問されてるんだよねー。麻雀を覚えたキッカケ、趣味、好きな食べ物、男性のタイプ・・・ 」
宮内「たしかにー」
岡田「個人的に気になってたんだけど、いつも明るくてポジティブなイメージなんだけどさ、宮内さんてストレスたまるの?」
宮内「少しはありますー!」
岡田「発散ってどうしてるの?」
宮内「友達と話したりとか、好きな事してかなー?あんまりストレスたまらないかも(笑)」
岡田「好きな事って?」
宮内「ゲーム!アプリよくやるよー」
100
インタビュー後、携帯2台持ちでアプリをする桜花様
岡田「たしかに宮内さんメチャメチャのめり込むよねー(笑)強くなるのすごいはやいもん」
宮内「自分もでしょ!」
岡田「はい(笑)。それでは最後に今後の目標などお願いします。」
宮内「昔からかわらず目標は鳳凰位!リーグ戦もギリギリ残留したし、これから頑張っていきたいと思います!」
第10期女流桜花決定戦で優勝し、タイトルホルダーとなった宮内こずえ。
私が連盟に入ってから10年程になるが、公式戦、稽古でのセットなど何度か対局をしてきた。又、宮内プロが出場した映像対局などの後の打ち上げでも何度か同席した。
そんな時、勝った試合であれ、負けた試合であれ、彼女は必ずと言っていいほど、感想戦をする。先輩、後輩関係なく質問し、考えを聞き、自分の意見を話す。又、麻雀プロとしての在り方、プロ連盟の団体としての今後の事なども良く話題にする。その情熱、向上心が、今回の女流桜花優勝につながったのであろう。
あらためて女流桜花優勝 おめでとうございました。
P.S宮内女流桜花様へ もうお局様と呼びませんから、リーグ戦で残留争いをしている当面のライバルに、対局後「どうだった?えー もうちょっと負けてよー!」なんて言わないで下さい。残留したい気持ちは僕も一緒ですから。
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第138回:第16回モンド杯優勝特別インタビュー 井出 康平  インタビュアー:内川 幸太郎

彼と出会ったのはもう8年前になるのかな。
可愛い感じの顔をして、ちょっと生意気そうな振る舞い。
わたしも人見知りしない方だが、それを超える人懐っこさと陽気で気さくな性格に、すぐに2人打ち解けたのを良く覚えている。
それ以来、公私共にお世話している内川幸太郎が、モンド杯覇者でお世話されている井出康平のインタビューをお送りします。

1月某日、千葉県某所。
何度足を運んだか分からない場所へインタビューに出向く。相変わらず遠い、、、

内川「まずは、モンド杯優勝おめでとう!」

井出「おう。やってやりましたよ、ようやく。」

内川「ついにやりましたな。何度目のチャレンジだっけか?」

井出「3度目だね。初回出演から決勝には全部残っているよ。あなた知らないの私の活躍を?」

内川「え。あ、そうなの?凄いじゃん。たしか、モンド杯に出られるようになったきっかけは、野口勝優勝だったよね。」

井出「そうそう、あれが初のテレビ的な対局だったのだけど、最高だったね。見られるっていうのが快感になった。」

内川「そうなんだ、こーへー君らしいね。で、去年までと比べて心境に変化あったの?てか、ここ数年の活躍は凄いよね。リーグ戦を除いてw」

井出「うるさいよwあんただってA1見えるとこまで来ているじゃない。」

内川「うるさいよwまたお預けだよ。

100

俺の話は置いといて、KO麻雀やっていた頃と比べると見違えて強くなっているじゃない?何か成長したとことか教えてよ。」

井出「やっぱり生活の変化かな。結婚して子供できて、負けていられないなって強く思ったのがあるのですよ。」

内川「何に負けてられないの?同世代のプロ?」

井出「同世代はもちろんだけど、それ以上に相方に追いつかなきゃなって。」

内川「奥様ですか。偉大ですな。」

100

ご存知の方もいると思うが、奥様はあの二階堂亜樹さん。
2人が付き合い始めたころ、食事に誘われてついて行ったら亜樹さん紹介された時はびっくりしたなーw
良く一緒に麻雀含みで遊んだりするのだが、本当に仲が良い夫婦。
麻雀の話も本当にしょっちゅう議論し合っている(こーへー君の麻雀であった不幸話を亜樹さんがなだめてあげているのが半分だが)
近くにプロとして指針になる人がいて幸せだね、いい刺激をもらっているのは大きいね。

井出「面と向かっては言えないけどね、やはり彼女の麻雀界に貢献してきた事って凄い事なんだなぁと思うよ。俺もそうなりたい、追いつきたいってね。あ、これは書かないでね。」

内川「(書くよ)うん、書かないでおくね。」

内川「精神的成長はわかったので、戦略というか何か決勝を戦う上での作戦とかあったの?」

井出「昨年、一昨年の決勝を何回も見て、なんか自分かかっているなって思ったのですよ。もっと落ち着いて打とう、めりはりをつける様にしようという意識を心掛けたね。予選に関しては、今年からチャレンジマッチ落ちがシステム導入されたから、そこをついてよりアグレッシブに攻めたかな。ほら、みんな手堅くなりがちでしょ。ま、めちゃくちゃ手が入っていたのが大きいけど、うまく立ち回れたかな。」

内川「へー、結構考えているのだねwあ、失礼w」

井出「うるさいなwあとは、ある収録で勝又さんとかヒロさんとかの思考や打牌選択を学んだ事かな。手役読みや鳴きの待ち読みは、格段に成長したと思う。2人に限らず連盟の先輩方から学んだことは多いよ。」

内川「今回の勝因の局とか見どころを教えて欲しいな。」

井出「印象にあるのは決勝全2回戦の2回戦目南2局での山井さんのリーチを受けた局かな。」

100

井出「1回戦山井さんがトップで俺が2着の2回戦目なんだけどね、山井さんが、

二万三万四万五索六索一筒二筒三筒六筒七筒八筒南南

これでリーチに来て、俺も単騎待ち変えて上手く七索同テン引き勝った局ね。点数状況的にもアガリが欲しかった場面で勝負所だったからさ。」

内川「あぁ、あの局みたけどぱっと見、なんか絵があった感がある局なんだけどw確かに競りの山井さんにアガられていたら優勝は山井さんだったかもね。」

後日、その局を見直してみた。
どうも記事にするには何ともがらくた感溢れるアガリ(総帥失礼します)だったので。

井出は

三筒四筒五筒八筒九筒白白  ポン西西西  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き

ここから山井が放った白をポンして単騎に待ちかえしている。
供託もありアガリも欲しい局面だが、致命傷も負いたくない場面で白を鳴かない方も多いのではないだろうか。
鳴いても点数は1,000点から2,000点になるだけだし、守りの白が無くなれば4センチで守備は皆無。

ん!?牌譜を追うと白を鳴かないと、山井は九筒七索と引くことになりアガリがある(実際の入り目が六筒)、しかも即ツモ!
その間井出のアガリ牌七筒が小林の手に行くがおそらく放つことはないし、村上もテンパイしないので、少しでも受けというか弱気に白をポンしないと山井のツモアガリが濃厚な場面であった。
ここで満貫を山井がアガれば、ほぼ優勝であったであろう。

私にはあの場面で白を鳴けるであろうか。
ここまで解析してから話したのかな?いやそれは無いな。していたらインタビュー当日に、さも自慢げに私に話したに違いない。
こーへー君凄いじゃん。感覚なのであろうけど。間違いなく勝負所だったよ。

他にも、2回戦東1局や東4局のいい押しっぷりがありましたので、そちらの局も是非観てみてください。

内川「ところでこーへー君にとってのプロ像ってどんなもの?」

井出「ファンの方に麻雀の奥深さを伝えられるような打ち手になりたいね。」

内川「ふむふむ(ちょっと質問と外れたが、まいっか) 」

井出「こう、決められた打ち方というか、デジタルっていうのか分からないけど、システム化されすぎた麻雀やっていたらつまらなくない?また、その打ち方が最も勝てるって思われている風潮も嫌なのよ。」

内川「まー、手とり早く勝ち組みには回れそうだけどね。基本ベースとしては大切だと思うけど。」

井出「決められた事だけ教えてもらった事だけを信じて、その事を疑いもせずやり続けているのを見ると今の教育と被って見えるのですよ。もっと自分で考え、自分で試し、自分で工夫するってことを見ているファンの方にもやってもらいたい。だから自分はそういう麻雀を打って伝えたい。麻雀って、自分を成長させるのに凄くいいものだと思うから。我慢も必要だし、勝負所では戦わなきゃいけない。まさに人生そのものだなと!」

内川「なるほどー」

井出「夢はもっと沢山の子供に麻雀をやってもらいたい。自分自身を成長させるツールにして欲しいですな。俺は、子供が生まれた年にモンド杯に初めて出たのね。この子が大きくなった時に何かこう見せてあげられるものというか、記録みたいなものを残してあげたいなと思って3年戦ってきたのですよ。これからもファンの方や子供の為にどんどんいい麻雀を打っていきたい。」

内川「あ、熱くなってきちゃったからこのへんで大丈夫!ありがとうw」

井出「なんだよー。これからが本番なのにー。」

数年前とは明らかに違う意識でプロ生活を送っているのだな、と思ったインタビューであった。
と同時に、良きライバルで良き友人に追いていかれない様、自分も負けていられないなとも思った。

井出君。改めてモンド杯優勝おめでとう。
そのうち倒しに行くから待っててね。

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プロ雀士インタビュー/第138回:第16回モンド杯優勝特別インタビュー 井出 康平  インタビュアー:内川 幸太郎

彼と出会ったのはもう8年前になるのかな。
可愛い感じの顔をして、ちょっと生意気そうな振る舞い。
わたしも人見知りしない方だが、それを超える人懐っこさと陽気で気さくな性格に、すぐに2人打ち解けたのを良く覚えている。
それ以来、公私共にお世話している内川幸太郎が、モンド杯覇者でお世話されている井出康平のインタビューをお送りします。
1月某日、千葉県某所。
何度足を運んだか分からない場所へインタビューに出向く。相変わらず遠い、、、
内川「まずは、モンド杯優勝おめでとう!」
井出「おう。やってやりましたよ、ようやく。」
内川「ついにやりましたな。何度目のチャレンジだっけか?」
井出「3度目だね。初回出演から決勝には全部残っているよ。あなた知らないの私の活躍を?」
内川「え。あ、そうなの?凄いじゃん。たしか、モンド杯に出られるようになったきっかけは、野口勝優勝だったよね。」
井出「そうそう、あれが初のテレビ的な対局だったのだけど、最高だったね。見られるっていうのが快感になった。」
内川「そうなんだ、こーへー君らしいね。で、去年までと比べて心境に変化あったの?てか、ここ数年の活躍は凄いよね。リーグ戦を除いてw」
井出「うるさいよwあんただってA1見えるとこまで来ているじゃない。」
内川「うるさいよwまたお預けだよ。
100
俺の話は置いといて、KO麻雀やっていた頃と比べると見違えて強くなっているじゃない?何か成長したとことか教えてよ。」
井出「やっぱり生活の変化かな。結婚して子供できて、負けていられないなって強く思ったのがあるのですよ。」
内川「何に負けてられないの?同世代のプロ?」
井出「同世代はもちろんだけど、それ以上に相方に追いつかなきゃなって。」
内川「奥様ですか。偉大ですな。」
100
ご存知の方もいると思うが、奥様はあの二階堂亜樹さん。
2人が付き合い始めたころ、食事に誘われてついて行ったら亜樹さん紹介された時はびっくりしたなーw
良く一緒に麻雀含みで遊んだりするのだが、本当に仲が良い夫婦。
麻雀の話も本当にしょっちゅう議論し合っている(こーへー君の麻雀であった不幸話を亜樹さんがなだめてあげているのが半分だが)
近くにプロとして指針になる人がいて幸せだね、いい刺激をもらっているのは大きいね。
井出「面と向かっては言えないけどね、やはり彼女の麻雀界に貢献してきた事って凄い事なんだなぁと思うよ。俺もそうなりたい、追いつきたいってね。あ、これは書かないでね。」
内川「(書くよ)うん、書かないでおくね。」
内川「精神的成長はわかったので、戦略というか何か決勝を戦う上での作戦とかあったの?」
井出「昨年、一昨年の決勝を何回も見て、なんか自分かかっているなって思ったのですよ。もっと落ち着いて打とう、めりはりをつける様にしようという意識を心掛けたね。予選に関しては、今年からチャレンジマッチ落ちがシステム導入されたから、そこをついてよりアグレッシブに攻めたかな。ほら、みんな手堅くなりがちでしょ。ま、めちゃくちゃ手が入っていたのが大きいけど、うまく立ち回れたかな。」
内川「へー、結構考えているのだねwあ、失礼w」
井出「うるさいなwあとは、ある収録で勝又さんとかヒロさんとかの思考や打牌選択を学んだ事かな。手役読みや鳴きの待ち読みは、格段に成長したと思う。2人に限らず連盟の先輩方から学んだことは多いよ。」
内川「今回の勝因の局とか見どころを教えて欲しいな。」
井出「印象にあるのは決勝全2回戦の2回戦目南2局での山井さんのリーチを受けた局かな。」
100
井出「1回戦山井さんがトップで俺が2着の2回戦目なんだけどね、山井さんが、
二万三万四万五索六索一筒二筒三筒六筒七筒八筒南南
これでリーチに来て、俺も単騎待ち変えて上手く七索同テン引き勝った局ね。点数状況的にもアガリが欲しかった場面で勝負所だったからさ。」

内川「あぁ、あの局みたけどぱっと見、なんか絵があった感がある局なんだけどw確かに競りの山井さんにアガられていたら優勝は山井さんだったかもね。」

後日、その局を見直してみた。
どうも記事にするには何ともがらくた感溢れるアガリ(総帥失礼します)だったので。
井出は
三筒四筒五筒八筒九筒白白  ポン西西西  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き
ここから山井が放った白をポンして単騎に待ちかえしている。
供託もありアガリも欲しい局面だが、致命傷も負いたくない場面で白を鳴かない方も多いのではないだろうか。
鳴いても点数は1,000点から2,000点になるだけだし、守りの白が無くなれば4センチで守備は皆無。
ん!?牌譜を追うと白を鳴かないと、山井は九筒七索と引くことになりアガリがある(実際の入り目が六筒)、しかも即ツモ!
その間井出のアガリ牌七筒が小林の手に行くがおそらく放つことはないし、村上もテンパイしないので、少しでも受けというか弱気に白をポンしないと山井のツモアガリが濃厚な場面であった。
ここで満貫を山井がアガれば、ほぼ優勝であったであろう。
私にはあの場面で白を鳴けるであろうか。
ここまで解析してから話したのかな?いやそれは無いな。していたらインタビュー当日に、さも自慢げに私に話したに違いない。
こーへー君凄いじゃん。感覚なのであろうけど。間違いなく勝負所だったよ。
他にも、2回戦東1局や東4局のいい押しっぷりがありましたので、そちらの局も是非観てみてください。
内川「ところでこーへー君にとってのプロ像ってどんなもの?」
井出「ファンの方に麻雀の奥深さを伝えられるような打ち手になりたいね。」
内川「ふむふむ(ちょっと質問と外れたが、まいっか) 」
井出「こう、決められた打ち方というか、デジタルっていうのか分からないけど、システム化されすぎた麻雀やっていたらつまらなくない?また、その打ち方が最も勝てるって思われている風潮も嫌なのよ。」
内川「まー、手とり早く勝ち組みには回れそうだけどね。基本ベースとしては大切だと思うけど。」
井出「決められた事だけ教えてもらった事だけを信じて、その事を疑いもせずやり続けているのを見ると今の教育と被って見えるのですよ。もっと自分で考え、自分で試し、自分で工夫するってことを見ているファンの方にもやってもらいたい。だから自分はそういう麻雀を打って伝えたい。麻雀って、自分を成長させるのに凄くいいものだと思うから。我慢も必要だし、勝負所では戦わなきゃいけない。まさに人生そのものだなと!」
内川「なるほどー」
井出「夢はもっと沢山の子供に麻雀をやってもらいたい。自分自身を成長させるツールにして欲しいですな。俺は、子供が生まれた年にモンド杯に初めて出たのね。この子が大きくなった時に何かこう見せてあげられるものというか、記録みたいなものを残してあげたいなと思って3年戦ってきたのですよ。これからもファンの方や子供の為にどんどんいい麻雀を打っていきたい。」
内川「あ、熱くなってきちゃったからこのへんで大丈夫!ありがとうw」
井出「なんだよー。これからが本番なのにー。」
数年前とは明らかに違う意識でプロ生活を送っているのだな、と思ったインタビューであった。
と同時に、良きライバルで良き友人に追いていかれない様、自分も負けていられないなとも思った。
井出君。改めてモンド杯優勝おめでとう。
そのうち倒しに行くから待っててね。
100

第32期鳳凰位決定戦 二日目観戦記 HIRO柴田

観ている側と座っている側では見えているものが違う。
観ている方が見えているようで、座っている方がよく見えているときもある。
A1リーグの戦いでは、観ている側が後で気づかされる場面が多々ある。
今日もそんな対局を楽しみにしながら鳳凰位決定戦2日目を観る。

100

 

5回戦 (起家から、瀬戸熊・前田・勝又・古川)

東1局、瀬戸熊が古川から2,900。

瀬戸熊
三万四万五万六万七万四索五索六索六索七索八索西西  リーチ  ロン八万  ドラ二万

続く1本場では古川が400・700の1本場をツモアガリ。

古川
二万三万四万七索八索九索白白発発  チー七索 左向き八索 上向き九索 上向き  ツモ白  ドラ四索

東2局、勝又リーチで瀬戸熊から古川へ1,000。

古川
一万一万七万八万三索四索五索発発発  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き  ロン九万  ドラ三筒

東3局、勝又リーチで流局の後、瀬戸熊が勝又から2,000は2,300と供託のリーチ棒を頂く。

瀬戸熊
一万一万三万四万五万四索五索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  ロン六索  ドラ九万

・・・・前田の動きがない小場で進むこの3者のペース。息をひそめている沈黙なのか、それともメンバーのかみ合わせが悪いのか。

東4局、古川の手順が面白い。

六万七万九索九索三筒三筒四筒五筒五筒七筒九筒  ポン中中中  ドラ七万

ここから打九筒、これは九索ポンなどを構えた打牌。チーを構える三筒打ちとは意見が分かれるところか。
だが、次ツモ東で打七筒と古川は打ってきた!そして古川の河には九筒が3枚、前述の打三筒ならここでテンパイ。
この時わたしは「親で打七筒は策に走り過ぎたのでは?」とメモを残した。

だが古川はここから三筒ポン九索ポンときて前田からアガる。

100

前田の分岐点は7巡目。

前田
四万六万八万四索五索六索二筒二筒五筒六筒白発発発

何切るだったら白だろう。前田の選択は二筒。古川の捨て身の手筋が前田の読みを狂わせているのだ。

南3局、古川がここから4枚目の九索をチーして二筒打ち。

古川
四索五索六索七索八索八索八索二筒東東南中中  ドラ中

解説でよく聞く真似しちゃだめなやつだ。続けざまに東をポンとすると、体感で古川がアガる感じがする。だがここは勝又の500オールのアガリ。

勝又
二万三万四万六万七万二索二索五索六索七索  ポン南南南  ツモ八万

しかし初日から言えるが、勝又は親でのアガリが本当に強い。
この親でも1人沈みの状態から一気にかけあがる。

100

勝又
五万五万五万五索六索七索七索八索八索八索七筒八筒九筒  リーチ  ツモ九索  ドラ白

五万六万九万九万一索二索三索三索四索五索三筒四筒五筒  ロン四万  ドラ九万

三万四万五万七万七万三索四索六索七索八索六筒七筒八筒  リーチ  ドラ八筒 流局

四万四万四索五索六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ三索  ドラ七筒

二万三万四万一索二索三索三索四索五索二筒二筒東東  リーチ  ツモ東  ドラ五筒

終ってみれば勝又1人浮きの快勝だ。
勝又以外の3者はこの場面を何度も味合わされているだけに厳しく感じているはずだ。

5回戦成績
勝又+33.7P 古川▲2.6P 瀬戸熊▲9.8P 前田▲21.3P

5回戦終了時成績
勝又+80.1P 古川▲18.3P 前田▲24.1P 瀬戸熊▲37.7P

 

6回戦 (起家から、瀬戸熊・前田・古川・勝又)

古川が開局から連続でアガリをものにする。

100

古川
二万二万五索六索六索七索八索八索八索八索  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ロン七索  ドラ北

五万六万三索三索六索七索八索五筒六筒七筒  ポン東東東  ロン七万  ドラ五筒

一索二索三索四索七索八索九索三筒三筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン一索  ドラ七索

四万五万八万八万八万九万九万一索二索三索発発発  リーチ  ツモ三万  ドラ中

1,000→2,000→3,900→2,600オールと倍々と高くなるアガリで一気に45,000持ちまで加点する。

南1局2本場、勝又の総合力の高さは死角無しとさえ思えてしまう。
状況と牌をよく見ているのだ。

100

1,000点という勝又の初アガリだが、テンパイ料を重ねることによりトップ目の古川に300差までこれで詰め寄るのだ。

南2局1本場、瀬戸熊が仕掛ける。

瀬戸熊
二万二万一索二索四筒四筒七筒発発発  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ドラ二万

早い仕掛けで押さえ込むか、引き付けてアガリをものにするかとは瀬戸熊のコトバ。
ここは押さえ込みなのだろう。

そこに前田がスピードを合わせにいく。

100

前田
五万五万五万三索四索六索六索六索八筒八筒  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ドラ二万

前田はチーして七索の手出し、瀬戸熊は自分の手をものにしたい、放銃にまわるのは構わないが打てばこの局は終わりという葛藤で一索四索を入れ替える。
それを隙とみたのか、この前田の受け流したアガリとなる。

100

南2局2本場、そしてそれを機に前田反撃と移すも勝又がすかさず止める。

前田
二索二索五索六索七索八索九索  ポン中中中  ポン東東東  ドラ七万

勝又
四万六万七万七万  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ポン西西西  ロン五万

南3局、前田。

七万七万八万八万九万九万二索二索三索七索七索九筒九筒  ロン三索  ドラ二索

トップ目の勝又が形式テンパイで勝負した牌が、前田の七対子ドラ2のアガリとなり前田のトップとなる。
この局だけでみると勝又手痛い放銃だが、常に攻める姿勢を崩さないからこそ全てを親での連荘に繋げているよう私は見ている。
わたしの知る限り、いいとこだけアガろうというトッププロは誰一人いない。

6回戦成績
前田+12.9P 古川+7.2P 勝又▲4.7P 瀬戸熊▲15.4P

6回戦終了時成績
勝又+75.4P 古川▲11.1P 前田▲11.2P 瀬戸熊▲53.1P

 

7回戦 (起家から、勝又・瀬戸熊・古川・前田)

100

東1局

勝又は瀬戸熊からテンパイとなる四万がでる可能性があるからと言っていた。
仕掛けを多用する古川より、少しでも瀬戸熊のアガリとなる可能性の牌を打たず尚且つテンパイチャンス残す七万打ちだ。
瀬戸熊の攻めにより古川のアガリが生まれ、勝又を苦しめるスタートとなる。

東3局

100

古川がさらに加点した親番だが、勝又の仕掛けにより牌を止めることになる。
トータルトップの勝又が今回沈んでいる以上、勝又が立ち直るきっかけとなりうる發は危険牌である。
打つか打たないかだが、古川の立場の時に勝又はこれを打ってきて今の位置がある。
古川もずっとそれをやってきていたが数字が許さなかったのだろう。
頭でわかっているが体で打てるかどうか?非常に難しい局となっている。

南4局

勝又
二万七万九万三索四索九索二筒東西西北北中

勝又、古川の第一打西をポン。点数状況的に牌が鳴きやすいのと親の前田を押さえ込めれば1局で終ると読んだと思う。
すぐにドラ九万を重ね瀬戸熊から九万をポン。

100

前田
四万五万六万六筒七筒南南  ポン発発発  チー三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向き

前田ここにドラの九万を持ってきてテンパイを崩す。4枚目の九万を打てば勝又がチーしての跳満テンパイだ。
牌山を見てしまえば仮に九万をチーさせると八筒で前田のツモアガリだが、自分のわがままによるめくりあいで勝又にもうチャンスを与えることはできない。
運まかせにはもうできないという前田の誠実さにより、アガリこそは逃したものの勝又を4着にしてこの半荘を終える。

7回戦成績
古川+21.1P 瀬戸熊+4.8P 前田▲8.8P 勝又▲17.0P

7回戦終了時
勝又+58.4P 古川+10.0P 前田▲20.1P 瀬戸熊▲48.3P

 

8回戦 (起家から、前田・勝又・瀬戸熊・古川)

東1局

瀬戸熊
一万二万三万七万八万九万七索八索六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三筒

前田
三万四万五万六万六万三索四索三筒三筒三筒六筒七筒八筒  ロン二索

瀬戸熊、高め三色リーチだが、このリーチ現物で古川が前田のヤミテン12,000へつかまる。

東2局

100

仕掛けが入って瀬戸熊がヤミテンで3,900のアガリ、残り牌山には待ち牌は七万が1枚のみだった。
選択はあっていたのだろう、でもリーチをする瀬戸熊を見てみたかった気もする。

東3局

勝又
二万三万四万三索四索二筒三筒四筒五筒五筒北北北  リーチ  ツモ二索  ドラ九筒

北家なのでヤミテンの選択もあるが、私は前へいきますよとばかりに勝又が力強くリーチしてツモる。
そして先ほどの3,900を100点足しての4,000の払いとなる瀬戸熊。

南2局

100

解説で藤崎も触れていたが「古川の本手のヤミは怖い」これはわたしも同意見だ。
しかし古川、ここはリーチとくる。ヤミテンなら勝又からのアガリがあったかもしれないが、ここに瀬戸熊も追いつきお互い残り1枚の勝負となり、瀬戸熊のアガリとなる。

100

南3局

瀬戸熊
五万六万七万二索二索二索三索四索五索三筒三筒六筒八筒八筒  ドラ五筒

どう打つか?どう見えるか?結果論かもしれないが、この局はどう見えるかのテーマが正解だったのだろう。
7巡目の瀬戸熊の選択は打八筒、手順でいえば正着打、こう構えるならドラ引きもあるのでヤミテンがセオリー。
ただここで六筒切りリーチとくると先ほどのアガリを見るに、なかなか子方の3者は踏み込みにくいだろう。

100

そしてこの八筒の選択が勢いを止めない勝又のアガリを呼び非常に手痛い放銃となり、折り返しを迎えるにあたって勝又非常に手ごたえの有るトップとなる。

8回戦成績
勝又+19.0P 前田+8.3P 瀬戸熊+2.2P 古川▲29.5P

8回戦終了時成績
勝又+77.4P 前田▲11.8P 古川▲19.5P 瀬戸熊▲46.1P

プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第32期鳳凰位決定戦 二日目観戦記 HIRO柴田

観ている側と座っている側では見えているものが違う。
観ている方が見えているようで、座っている方がよく見えているときもある。
A1リーグの戦いでは、観ている側が後で気づかされる場面が多々ある。
今日もそんな対局を楽しみにしながら鳳凰位決定戦2日目を観る。
100
 
5回戦 (起家から、瀬戸熊・前田・勝又・古川)
東1局、瀬戸熊が古川から2,900。
瀬戸熊
三万四万五万六万七万四索五索六索六索七索八索西西  リーチ  ロン八万  ドラ二万
続く1本場では古川が400・700の1本場をツモアガリ。
古川
二万三万四万七索八索九索白白発発  チー七索 左向き八索 上向き九索 上向き  ツモ白  ドラ四索
東2局、勝又リーチで瀬戸熊から古川へ1,000。
古川
一万一万七万八万三索四索五索発発発  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き  ロン九万  ドラ三筒
東3局、勝又リーチで流局の後、瀬戸熊が勝又から2,000は2,300と供託のリーチ棒を頂く。
瀬戸熊
一万一万三万四万五万四索五索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  ロン六索  ドラ九万
・・・・前田の動きがない小場で進むこの3者のペース。息をひそめている沈黙なのか、それともメンバーのかみ合わせが悪いのか。
東4局、古川の手順が面白い。
六万七万九索九索三筒三筒四筒五筒五筒七筒九筒  ポン中中中  ドラ七万
ここから打九筒、これは九索ポンなどを構えた打牌。チーを構える三筒打ちとは意見が分かれるところか。
だが、次ツモ東で打七筒と古川は打ってきた!そして古川の河には九筒が3枚、前述の打三筒ならここでテンパイ。
この時わたしは「親で打七筒は策に走り過ぎたのでは?」とメモを残した。
だが古川はここから三筒ポン九索ポンときて前田からアガる。
100
前田の分岐点は7巡目。
前田
四万六万八万四索五索六索二筒二筒五筒六筒白発発発
何切るだったら白だろう。前田の選択は二筒。古川の捨て身の手筋が前田の読みを狂わせているのだ。
南3局、古川がここから4枚目の九索をチーして二筒打ち。
古川
四索五索六索七索八索八索八索二筒東東南中中  ドラ中
解説でよく聞く真似しちゃだめなやつだ。続けざまに東をポンとすると、体感で古川がアガる感じがする。だがここは勝又の500オールのアガリ。
勝又
二万三万四万六万七万二索二索五索六索七索  ポン南南南  ツモ八万
しかし初日から言えるが、勝又は親でのアガリが本当に強い。
この親でも1人沈みの状態から一気にかけあがる。
100
勝又
五万五万五万五索六索七索七索八索八索八索七筒八筒九筒  リーチ  ツモ九索  ドラ白
五万六万九万九万一索二索三索三索四索五索三筒四筒五筒  ロン四万  ドラ九万
三万四万五万七万七万三索四索六索七索八索六筒七筒八筒  リーチ  ドラ八筒 流局
四万四万四索五索六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ三索  ドラ七筒
二万三万四万一索二索三索三索四索五索二筒二筒東東  リーチ  ツモ東  ドラ五筒
終ってみれば勝又1人浮きの快勝だ。
勝又以外の3者はこの場面を何度も味合わされているだけに厳しく感じているはずだ。
5回戦成績
勝又+33.7P 古川▲2.6P 瀬戸熊▲9.8P 前田▲21.3P
5回戦終了時成績
勝又+80.1P 古川▲18.3P 前田▲24.1P 瀬戸熊▲37.7P
 
6回戦 (起家から、瀬戸熊・前田・古川・勝又)
古川が開局から連続でアガリをものにする。
100
古川
二万二万五索六索六索七索八索八索八索八索  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ロン七索  ドラ北
五万六万三索三索六索七索八索五筒六筒七筒  ポン東東東  ロン七万  ドラ五筒
一索二索三索四索七索八索九索三筒三筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン一索  ドラ七索
四万五万八万八万八万九万九万一索二索三索発発発  リーチ  ツモ三万  ドラ中
1,000→2,000→3,900→2,600オールと倍々と高くなるアガリで一気に45,000持ちまで加点する。
南1局2本場、勝又の総合力の高さは死角無しとさえ思えてしまう。
状況と牌をよく見ているのだ。
100
1,000点という勝又の初アガリだが、テンパイ料を重ねることによりトップ目の古川に300差までこれで詰め寄るのだ。
南2局1本場、瀬戸熊が仕掛ける。
瀬戸熊
二万二万一索二索四筒四筒七筒発発発  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ドラ二万
早い仕掛けで押さえ込むか、引き付けてアガリをものにするかとは瀬戸熊のコトバ。
ここは押さえ込みなのだろう。
そこに前田がスピードを合わせにいく。
100
前田
五万五万五万三索四索六索六索六索八筒八筒  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ドラ二万
前田はチーして七索の手出し、瀬戸熊は自分の手をものにしたい、放銃にまわるのは構わないが打てばこの局は終わりという葛藤で一索四索を入れ替える。
それを隙とみたのか、この前田の受け流したアガリとなる。
100
南2局2本場、そしてそれを機に前田反撃と移すも勝又がすかさず止める。
前田
二索二索五索六索七索八索九索  ポン中中中  ポン東東東  ドラ七万
勝又
四万六万七万七万  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ポン西西西  ロン五万
南3局、前田。
七万七万八万八万九万九万二索二索三索七索七索九筒九筒  ロン三索  ドラ二索
トップ目の勝又が形式テンパイで勝負した牌が、前田の七対子ドラ2のアガリとなり前田のトップとなる。
この局だけでみると勝又手痛い放銃だが、常に攻める姿勢を崩さないからこそ全てを親での連荘に繋げているよう私は見ている。
わたしの知る限り、いいとこだけアガろうというトッププロは誰一人いない。
6回戦成績
前田+12.9P 古川+7.2P 勝又▲4.7P 瀬戸熊▲15.4P
6回戦終了時成績
勝又+75.4P 古川▲11.1P 前田▲11.2P 瀬戸熊▲53.1P
 
7回戦 (起家から、勝又・瀬戸熊・古川・前田)
100
東1局
勝又は瀬戸熊からテンパイとなる四万がでる可能性があるからと言っていた。
仕掛けを多用する古川より、少しでも瀬戸熊のアガリとなる可能性の牌を打たず尚且つテンパイチャンス残す七万打ちだ。
瀬戸熊の攻めにより古川のアガリが生まれ、勝又を苦しめるスタートとなる。
東3局
100
古川がさらに加点した親番だが、勝又の仕掛けにより牌を止めることになる。
トータルトップの勝又が今回沈んでいる以上、勝又が立ち直るきっかけとなりうる發は危険牌である。
打つか打たないかだが、古川の立場の時に勝又はこれを打ってきて今の位置がある。
古川もずっとそれをやってきていたが数字が許さなかったのだろう。
頭でわかっているが体で打てるかどうか?非常に難しい局となっている。
南4局
勝又
二万七万九万三索四索九索二筒東西西北北中
勝又、古川の第一打西をポン。点数状況的に牌が鳴きやすいのと親の前田を押さえ込めれば1局で終ると読んだと思う。
すぐにドラ九万を重ね瀬戸熊から九万をポン。
100
前田
四万五万六万六筒七筒南南  ポン発発発  チー三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向き
前田ここにドラの九万を持ってきてテンパイを崩す。4枚目の九万を打てば勝又がチーしての跳満テンパイだ。
牌山を見てしまえば仮に九万をチーさせると八筒で前田のツモアガリだが、自分のわがままによるめくりあいで勝又にもうチャンスを与えることはできない。
運まかせにはもうできないという前田の誠実さにより、アガリこそは逃したものの勝又を4着にしてこの半荘を終える。
7回戦成績
古川+21.1P 瀬戸熊+4.8P 前田▲8.8P 勝又▲17.0P
7回戦終了時
勝又+58.4P 古川+10.0P 前田▲20.1P 瀬戸熊▲48.3P
 
8回戦 (起家から、前田・勝又・瀬戸熊・古川)
東1局
瀬戸熊
一万二万三万七万八万九万七索八索六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三筒
前田
三万四万五万六万六万三索四索三筒三筒三筒六筒七筒八筒  ロン二索
瀬戸熊、高め三色リーチだが、このリーチ現物で古川が前田のヤミテン12,000へつかまる。
東2局
100
仕掛けが入って瀬戸熊がヤミテンで3,900のアガリ、残り牌山には待ち牌は七万が1枚のみだった。
選択はあっていたのだろう、でもリーチをする瀬戸熊を見てみたかった気もする。
東3局
勝又
二万三万四万三索四索二筒三筒四筒五筒五筒北北北  リーチ  ツモ二索  ドラ九筒
北家なのでヤミテンの選択もあるが、私は前へいきますよとばかりに勝又が力強くリーチしてツモる。
そして先ほどの3,900を100点足しての4,000の払いとなる瀬戸熊。
南2局
100
解説で藤崎も触れていたが「古川の本手のヤミは怖い」これはわたしも同意見だ。
しかし古川、ここはリーチとくる。ヤミテンなら勝又からのアガリがあったかもしれないが、ここに瀬戸熊も追いつきお互い残り1枚の勝負となり、瀬戸熊のアガリとなる。
100
南3局
瀬戸熊
五万六万七万二索二索二索三索四索五索三筒三筒六筒八筒八筒  ドラ五筒
どう打つか?どう見えるか?結果論かもしれないが、この局はどう見えるかのテーマが正解だったのだろう。
7巡目の瀬戸熊の選択は打八筒、手順でいえば正着打、こう構えるならドラ引きもあるのでヤミテンがセオリー。
ただここで六筒切りリーチとくると先ほどのアガリを見るに、なかなか子方の3者は踏み込みにくいだろう。
100
そしてこの八筒の選択が勢いを止めない勝又のアガリを呼び非常に手痛い放銃となり、折り返しを迎えるにあたって勝又非常に手ごたえの有るトップとなる。
8回戦成績
勝又+19.0P 前田+8.3P 瀬戸熊+2.2P 古川▲29.5P
8回戦終了時成績
勝又+77.4P 前田▲11.8P 古川▲19.5P 瀬戸熊▲46.1P

第6期グランプリMAX開幕!

日本プロ麻雀連盟の今年度を締めくくる大会“麻雀グランプリMAX”。
この麻雀グランプリMAXには参加資格があり出場者は限られる。

・現タイトルホルダー、四大タイトルを持つ九段などの特別シード者、ポイントランキング上位者。

・連盟4大タイトルの内、3つ以上に出場していること。(特別な事情がない限り)
また、地方リーグの出場は本部リーグ出場と同等とみなし、女流桜花とプロクイーン両方に出場した場合も4大タイトルひとつ分とみなす。
これを満たした連盟員のみ参加資格が得られる。

決勝戦以外は全てトーナメント方式とし、日本プロ麻雀連盟競技Aルールにて行われる。

一次予選
・二次予選以上のシード権を有さない四大タイトル経験のある九段。
・今期の新人王&チャンピオンズリーグ優勝者。
・その他は、二次予選以上のシードに入らないポイントランキング上位者を入れ5卓20名とする。

二次予選【出場者】
・女流桜花、プロクイーン(連盟員のみ)
・一次予選からの勝ち上がり者10名
・その他は、ベスト16シードに入らないポイントランキング上位者を入れ5卓20名で行う。

ベスト16からは夏目坂スタジオにて全卓生配信。
【出場者】
・現鳳凰位、現十段位、現王位(連盟員のみ)、現マスターズチャンピオン(連盟員のみ)、前年度グランプリ優勝者。
・その他のポイントランキング最上位から順に入れ6名とする。
・二次予選からの勝ち上がり10名を入れ4卓16名で行う。
その後、ベスト8トーナメントそして決勝も生配信。

一次予選20名。
二次予選から10名(勝ち上がり10名が加わる)
ベスト16から6名(勝ち上がり10名が加わる)
たった36名しか出られない年度末のビッグタイトル戦。

現在、ベスト16の出場が決まっているのは、前年度優勝の荒正義、現十段位・柴田吉和、現マスターズチャンピオン・白鳥翔、そして、新鳳凰位の勝又健志。
さらに、シード者ではないポイント最上位、前田直哉、第2位、藤崎智の6名。

二次予選に出場を決めているのは、現女流桜花・宮内こずえ、現プロクイーンの童瞳。
特別シード灘麻太郎、ポイントランキング上位から櫻井秀樹、瀬戸熊直樹、ダンプ大橋、野方祐介、前原雄大、古川孝次、望月雅継の10名。

一次予選
2月27日土曜日じゃん亭

A卓
森山茂和(九段シード)
近藤久春A1(ランキング20位A1.8位、十段八九段戦)
和久津晶B1 (ランキング21位B1.優勝、マスターズB28、十段七段戦、プロクイーン第3位)
小川尚哉B1(ランキング33位マスターズB8、十段七段戦)
小川が12,250ポイントでボーダー

B卓
伊藤優孝A1(九段シード)
山田学武D1(ランキング19位王位準優勝)
高谷圭一関西C1(ランキング23位、マスターズB28、十段ベスト16、王位第4位)
吉田直A2(ランキング32位、A2.4位)
吉田はチャンピオンリーグ2期連続ベスト16に残っていなかったら、ポイントが足りなかった。

C卓
沢崎誠A1(九段シード)
ともたけ雅晴A1(ランキング16位、A1.11位、マスターズB16)
鈴木秀幸C1(ランキング24位、王位第3位)
仁平宣明A1(ランキング30位、A1.10位)

D卓
西島一彦C1(チャンピオン前期優勝シード)
柴田弘幸A2(ランキング14位、A2.準優勝、十段B8、チャンピオン前期準優勝)
土屋幸弘(ランキング30位タイ、新人王第4位、十段九段S、静岡優勝)
山田浩之A2(ランキング26位、A2.3位チャンピオン後期準優勝)

E卓
阿部謙一D3(チャンピオン後期優勝シード)
井上美里(新人王シード)
石渡正志A2(ランキング28位、A2.優勝)
猿川真寿A2(ランキング29位、A2.7位、マスターズ王位B28)

次点は紺野真太郎と藤本哲也その差はわずか50ポイント。
チャンピオンリーグに出場、もしくはトーナメントに進出するか、一つ上に勝ち上がるか程度の差。

グランプリ常連組では、滝沢和典、藤原隆弘、魚谷侑未、山井弘などが出場を逃した。
間もなく開幕!!

プロ雀士コラム/第6期グランプリMAX開幕!

日本プロ麻雀連盟の今年度を締めくくる大会“麻雀グランプリMAX”。
この麻雀グランプリMAXには参加資格があり出場者は限られる。
・現タイトルホルダー、四大タイトルを持つ九段などの特別シード者、ポイントランキング上位者。
・連盟4大タイトルの内、3つ以上に出場していること。(特別な事情がない限り)
また、地方リーグの出場は本部リーグ出場と同等とみなし、女流桜花とプロクイーン両方に出場した場合も4大タイトルひとつ分とみなす。
これを満たした連盟員のみ参加資格が得られる。
決勝戦以外は全てトーナメント方式とし、日本プロ麻雀連盟競技Aルールにて行われる。
一次予選
・二次予選以上のシード権を有さない四大タイトル経験のある九段。
・今期の新人王&チャンピオンズリーグ優勝者。
・その他は、二次予選以上のシードに入らないポイントランキング上位者を入れ5卓20名とする。
二次予選【出場者】
・女流桜花、プロクイーン(連盟員のみ)
・一次予選からの勝ち上がり者10名
・その他は、ベスト16シードに入らないポイントランキング上位者を入れ5卓20名で行う。
ベスト16からは夏目坂スタジオにて全卓生配信。
【出場者】
・現鳳凰位、現十段位、現王位(連盟員のみ)、現マスターズチャンピオン(連盟員のみ)、前年度グランプリ優勝者。
・その他のポイントランキング最上位から順に入れ6名とする。
・二次予選からの勝ち上がり10名を入れ4卓16名で行う。
その後、ベスト8トーナメントそして決勝も生配信。
一次予選20名。
二次予選から10名(勝ち上がり10名が加わる)
ベスト16から6名(勝ち上がり10名が加わる)
たった36名しか出られない年度末のビッグタイトル戦。
現在、ベスト16の出場が決まっているのは、前年度優勝の荒正義、現十段位・柴田吉和、現マスターズチャンピオン・白鳥翔、そして、新鳳凰位の勝又健志。
さらに、シード者ではないポイント最上位、前田直哉、第2位、藤崎智の6名。
二次予選に出場を決めているのは、現女流桜花・宮内こずえ、現プロクイーンの童瞳。
特別シード灘麻太郎、ポイントランキング上位から櫻井秀樹、瀬戸熊直樹、ダンプ大橋、野方祐介、前原雄大、古川孝次、望月雅継の10名。
一次予選
2月27日土曜日じゃん亭
A卓
森山茂和(九段シード)
近藤久春A1(ランキング20位A1.8位、十段八九段戦)
和久津晶B1 (ランキング21位B1.優勝、マスターズB28、十段七段戦、プロクイーン第3位)
小川尚哉B1(ランキング33位マスターズB8、十段七段戦)
小川が12,250ポイントでボーダー
B卓
伊藤優孝A1(九段シード)
山田学武D1(ランキング19位王位準優勝)
高谷圭一関西C1(ランキング23位、マスターズB28、十段ベスト16、王位第4位)
吉田直A2(ランキング32位、A2.4位)
吉田はチャンピオンリーグ2期連続ベスト16に残っていなかったら、ポイントが足りなかった。
C卓
沢崎誠A1(九段シード)
ともたけ雅晴A1(ランキング16位、A1.11位、マスターズB16)
鈴木秀幸C1(ランキング24位、王位第3位)
仁平宣明A1(ランキング30位、A1.10位)
D卓
西島一彦C1(チャンピオン前期優勝シード)
柴田弘幸A2(ランキング14位、A2.準優勝、十段B8、チャンピオン前期準優勝)
土屋幸弘(ランキング30位タイ、新人王第4位、十段九段S、静岡優勝)
山田浩之A2(ランキング26位、A2.3位チャンピオン後期準優勝)
E卓
阿部謙一D3(チャンピオン後期優勝シード)
井上美里(新人王シード)
石渡正志A2(ランキング28位、A2.優勝)
猿川真寿A2(ランキング29位、A2.7位、マスターズ王位B28)
次点は紺野真太郎と藤本哲也その差はわずか50ポイント。
チャンピオンリーグに出場、もしくはトーナメントに進出するか、一つ上に勝ち上がるか程度の差。
グランプリ常連組では、滝沢和典、藤原隆弘、魚谷侑未、山井弘などが出場を逃した。
間もなく開幕!!

麻雀日本シリーズ2015 プレーオフ終了時成績表

システム

■予選全18回戦(各自6回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全6回戦(各自3回対局)ポイント持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 プレーオフ3回戦 合計
1 村上 淳(第39期最高位) 50.0 9.6 ▲ 36.4 48.8 72.0
2 藤田 晋(2014最強位) 62.8 21.5 ▲ 7.2 ▲ 18.7 58.4
3 藤崎 智(ファン投票2位) 39.4 ▲ 21.3 52.6 ▲ 12.7 58.0
4 多井 隆晴(前期RMUリーグ優勝) 24.8 10.7 5.0 5.6 46.1
5 荒 正義(麻雀グランプリMAX優勝) 0.7 23.9 ▲ 36.5 42.8 30.9
6 山井 弘(WRCチャンピオン) 45.9 ▲ 24.6 36.1 ▲ 33.8 23.6
7 櫻井 秀樹(第31期十段位) ▲ 7.2 ▲ 10.9 7.6 3.7 ▲ 6.8
8 前田 直哉(鳳凰位) ▲ 4.6 ▲ 8.9 ▲ 22.2 ▲ 35.7 ▲ 71.4

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 半荘消化数 合計
1 藤田 晋(2014最強位) ▲ 23.8 37.8 5.3 3.0 24.6 15.9 6/6

62.8
2 村上 淳(第39期最高位) 8.4 ▲ 2.6 ▲ 10.1 ▲ 16.4 37.8 32.9 6/6

50.0
3 山井 弘(WRCチャンピオン) ▲ 31.4 8.3 34.5 53.4 ▲ 6.2 ▲ 12.7 6/6

45.9
4 藤崎 智(ファン投票2位) 6.2 4.7 ▲ 10.9 4.4 6.7 28.3 6/6

39.4
5 多井 隆晴(前期RMUリーグ優勝) 29.7 25.9 ▲ 3.4 ▲ 5.4 ▲ 8.1 ▲ 13.9 6/6

24.8
6 荒 正義(麻雀グランプリMAX優勝) 23.8 ▲ 9.8 8.4 ▲ 30.2 33.8 ▲ 25.3 6/6

0.7
7 前田 直哉(鳳凰位) 22.5 ▲ 23.2 ▲ 5.4 ▲ 6.5 ▲ 0.3 8.3 6/6

▲ 4.6
8 櫻井 秀樹(第31期十段位) 19.8 ▲ 16.0 ▲ 24.4 17.2 4.7 ▲ 8.5 6/6

▲ 7.2
9 瀬戸熊直樹(ファン投票1位) ▲ 14.8 ▲ 25.6 7.5 ▲ 34.0 4.8 29.7 6/6

▲ 32.4
10 前原 雄大(連盟推薦プロ) 4.7 ▲ 22.5 ▲ 34.7 ▲ 19.2 23.0 5.4 6/6

▲ 43.3
11 鈴木 たろう(第13期雀王) ▲ 11.1 ▲ 6.2 30.5 26.0 ▲ 60.5 ▲ 35.7 6/6

▲ 57.0
12 片山 まさゆき(連盟推薦著名人) ▲ 7.2 ▲ 21.0 ▲ 29.1 19.9 ▲ 24.3 ▲ 24.4 6/6

▲ 86.1

麻雀日本シリーズ 成績表/麻雀日本シリーズ2015 プレーオフ終了時成績表

システム
■予選全18回戦(各自6回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全6回戦(各自3回対局)ポイント持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦
プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 プレーオフ3回戦 合計
1 村上 淳(第39期最高位) 50.0 9.6 ▲ 36.4 48.8 72.0
2 藤田 晋(2014最強位) 62.8 21.5 ▲ 7.2 ▲ 18.7 58.4
3 藤崎 智(ファン投票2位) 39.4 ▲ 21.3 52.6 ▲ 12.7 58.0
4 多井 隆晴(前期RMUリーグ優勝) 24.8 10.7 5.0 5.6 46.1
5 荒 正義(麻雀グランプリMAX優勝) 0.7 23.9 ▲ 36.5 42.8 30.9
6 山井 弘(WRCチャンピオン) 45.9 ▲ 24.6 36.1 ▲ 33.8 23.6
7 櫻井 秀樹(第31期十段位) ▲ 7.2 ▲ 10.9 7.6 3.7 ▲ 6.8
8 前田 直哉(鳳凰位) ▲ 4.6 ▲ 8.9 ▲ 22.2 ▲ 35.7 ▲ 71.4

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 半荘消化数 合計
1 藤田 晋(2014最強位) ▲ 23.8 37.8 5.3 3.0 24.6 15.9 6/6 62.8
2 村上 淳(第39期最高位) 8.4 ▲ 2.6 ▲ 10.1 ▲ 16.4 37.8 32.9 6/6 50.0
3 山井 弘(WRCチャンピオン) ▲ 31.4 8.3 34.5 53.4 ▲ 6.2 ▲ 12.7 6/6 45.9
4 藤崎 智(ファン投票2位) 6.2 4.7 ▲ 10.9 4.4 6.7 28.3 6/6 39.4
5 多井 隆晴(前期RMUリーグ優勝) 29.7 25.9 ▲ 3.4 ▲ 5.4 ▲ 8.1 ▲ 13.9 6/6 24.8
6 荒 正義(麻雀グランプリMAX優勝) 23.8 ▲ 9.8 8.4 ▲ 30.2 33.8 ▲ 25.3 6/6 0.7
7 前田 直哉(鳳凰位) 22.5 ▲ 23.2 ▲ 5.4 ▲ 6.5 ▲ 0.3 8.3 6/6 ▲ 4.6
8 櫻井 秀樹(第31期十段位) 19.8 ▲ 16.0 ▲ 24.4 17.2 4.7 ▲ 8.5 6/6 ▲ 7.2
9 瀬戸熊直樹(ファン投票1位) ▲ 14.8 ▲ 25.6 7.5 ▲ 34.0 4.8 29.7 6/6 ▲ 32.4
10 前原 雄大(連盟推薦プロ) 4.7 ▲ 22.5 ▲ 34.7 ▲ 19.2 23.0 5.4 6/6 ▲ 43.3
11 鈴木 たろう(第13期雀王) ▲ 11.1 ▲ 6.2 30.5 26.0 ▲ 60.5 ▲ 35.7 6/6 ▲ 57.0
12 片山 まさゆき(連盟推薦著名人) ▲ 7.2 ▲ 21.0 ▲ 29.1 19.9 ▲ 24.3 ▲ 24.4 6/6 ▲ 86.1

第32期鳳凰位決定戦 優勝は勝又健志!

優勝:勝又健志 準優勝:前田直哉 第3位:古川孝次 第4位:瀬戸熊直樹

100

最終結果

勝又健志 +107.2P
前田直哉 +86.8P
古川孝次 ▲83.3P
瀬戸熊直樹 ▲111.7P

優勝者予想はこちら

B1・B2 C1・C2・C3 D1・D2・D3 E

A1リーグ 最終節(3/3卓)
A2リーグ 最終節(4/4卓)

Aリーグの対局全10節は連盟チャンネルにて生放送致します。
基本的に月曜日の17時からA1対局の配信、火曜日もしくは金曜日の17時からA2対局の配信となります。
※A1リーグは1日1卓の対局となり、3週間にかけて全3卓の生配信を行います。
※A2リーグも今年度より全卓の生配信が決定致しました。

日本プロ麻雀連盟チャンネルはこちら

連盟インフォメーション/第32期鳳凰位決定戦 優勝は勝又健志!

優勝:勝又健志 準優勝:前田直哉 第3位:古川孝次 第4位:瀬戸熊直樹

100

最終結果

勝又健志 +107.2P
前田直哉 +86.8P
古川孝次 ▲83.3P
瀬戸熊直樹 ▲111.7P

優勝者予想はこちら

B1・B2 C1・C2・C3 D1・D2・D3 E

A1リーグ 最終節(3/3卓)
A2リーグ 最終節(4/4卓)

Aリーグの対局全10節は連盟チャンネルにて生放送致します。
基本的に月曜日の17時からA1対局の配信、火曜日もしくは金曜日の17時からA2対局の配信となります。
※A1リーグは1日1卓の対局となり、3週間にかけて全3卓の生配信を行います。
※A2リーグも今年度より全卓の生配信が決定致しました。
日本プロ麻雀連盟チャンネルはこちら

第108回『確率の向こう側へ③』 瀬戸熊 直樹

皆さんこんにちは。
いきなりですが、本題に入る前に、今回はさらに細かく、配牌の入れ方に必須な「読み」と「サイン」を見逃さない方法を書きたいと思っておりましたが、書き出したら長文になりすぎてしまい、今回「読み」次回「サイン」と二部に分けさせて頂きましたので、ご了承ください。
また、この講座は「鳳凰位」になる為を念頭に入れて書いておりますので、連盟Aルールをベースに、牌姿など全てそこから抜粋しております。

では参りましょう。

以下の捨て牌をざっと見て牌姿と打点を想像してみて下さい。
※薄暗い牌はツモ切り※

A群  
【1】ドラ二筒 西家
100 

【2】ドラ六筒 東家
100 

【3】ドラ四索 東家
100 

A群それぞれの最終手牌にはある共通点があります。
もう一度考えてみましょう。

では解答です。以下が各最終形です。

【1】三万三万五万六万七万一索二索三索五索六索二筒二筒二筒
【2】二万三万三万四万五万五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒
【3】五万六万七万一索一索四索四索四索三筒三筒三筒六筒七筒

いかがですか。全て両面マチですね。

僕の思考はこうです。【1】と【2】の捨て牌には、キー牌があります。

【1】ドラ二筒 西家 
100 
          ↓
三万三万五万六万七万一索二索三索五索六索二筒二筒二筒(最終形)

五筒一筒の切り順とツモ切りですが、六索。そして宣言牌の二万
まず読みとして、二筒が2枚以上ではないかと予測できます。
それは、五筒のあとに一筒が切られ、ピンズのドラを除く一筒五筒が全て不用とされている所。
マンズが高い捨て牌ですが、ポイントは宣言牌の二万。このそばの一万四万を入り目と見るか、マチとみるか、関係なしと見るか。
最悪マンズの一色は?と質問もきそうですが、これだけのピンズの手出しがあると、ドラ色だけにその可能性はなさそうです。
六索ツモ切りのあと、手出し中となっており、この六索が意図的にツモ切られたものとするなら、六索の裏スジも一応考慮に入れなければなりません。この辺りは、打ち手の傾向も考慮にいれれば、よりマチが浮かびます。
かなり高い手と考えられ、勝負に行くにはそれ相応の勇気がいりそうです。

【2】ドラ六筒 東家 
100 
          ↓
二万三万三万四万五万五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒(最終形)

まず目につくのは、宣言牌の七万六筒三筒の切り順。
西八万東の切り出しから普通に手なりにスピードに重きを置いて、メンツを作っていった事は憶測できます。
典型的なピンフの捨て牌に見えます。ピンズは上より下の方が危険です。
宣言牌の七万のそばと、二万三万三万四万五万七万の形の七万切りもあり、マンズとピンズの下は危険なのが解ります。
二択なら場の状況から埋まった方を推測するしかありません。

【3】ドラ四索 東家
100 
          ↓
五万六万七万一索一索四索四索四索三筒三筒三筒六筒七筒(最終形)

非常に読みづらい捨て牌です。親なので、何でもありそうです。正直読めませんでした。
切り出しから、手なり進行だと憶測できますが、無筋が多すぎる為、こういう時は自分の手牌と相手の状況から押し引きを考えるしかないでしょう。

続いてもう一問いきましょう。

B群
【1】ドラ七筒 東家 
100 

【2】ドラ二索 西家 
100 

【3】ドラ七万 東家
一筒 上向き九索 上向き二索 上向き一索 上向き五索 上向き三索 上向き六万 左向き 

B群もそれぞれの最終手牌にはある共通点があります。
もう一度考えてみましょう。

それでは解答です。

B群最終形
【1】一万一万三万三万六万六万九万九万三索四筒四筒八筒八筒
【2】二万二万三万三万五万五万九索一筒一筒三筒三筒西西
【3】二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発

B群は七対子でした。

【1】ドラ七筒 東家 
100 
          ↓
一万一万三万三万六万六万九万九万三索四筒四筒八筒八筒(最終形)

捨て牌からある程度読めます。やはり宣言牌の八索六索七索とツモ切りの後に切られている所が最大のポイントです。
宣言牌までの3巡、六索七索とツモ切りのあとの最終手出しの宣言牌八索をどのように読むかにつきます。
1巡まわしてのカラ切りリーチでなければ、七対子が濃厚です。
ダブルメンツが埋まる、何らかの理由で1巡ヤミテン、スライドか八索ツモ八索宣言のレアケースが面子手のケースですが、レアケースを考えれば考えるほど切れない種類は増えますので、なるべくシンプルに考えます。
そこの読みと心中できればある程度押せる場面とみます。

【2】ドラ二索 西家 
100 
          ↓
二万二万三万三万五万五万九索一筒一筒三筒三筒西西(最終形)

非常に解りづらいです。打ち手も七対子と読めないと思ってリーチを打っているのが解ります。
ただ、こういう手牌は必要以上に読まず、自分の中でゴーサインが出れば真っ直ぐ打ち抜くだけです。
チャンス手をやめて、オリ打ちのような事態になれば攻守が完全に入れ替わります。
相手に主導権を握られる七対子の典型的な例です。

【3】ドラ七万 東家 
一筒 上向き九索 上向き二索 上向き一索 上向き五索 上向き三索 上向き六万 左向き 
          ↓
二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発(最終形)

捨て牌から変則手っぽいですが、実はこれ決勝戦で追い上げる立場の人のリーチでした。
河からは、変則としか読めませんが、この場面は、決勝戦の追う立場の人がリーチときていて、打点は高いと想定できる場面だったので、背景からドラがらみと予測できる捨て牌でした。

僕が前回言った、時間帯に突入させる為の行為に必要不可欠なものとして、ギリギリまで攻めると言う行為があります。
もし仮に、相手のマチが全て解れば麻雀の勝率は9割を超えるでしょう。
なぜならほとんど失点なく、加点だけできるからです。そして相手のチャンスを潰せば、必然的に自分の時間帯となっていくからです。
しかし、そんなことは不可能なのでラインぎりぎりまで押し進める行為が必要となります。
つまり押せる牌を増やすことと、押し引きです。
∴「読み」を強化することが第一のステップとしてもっとも重要なのです。

もちろん、一点で読むのは難しいですが、まず相手に攻め込まれた時に、自分の手牌と相談はもちろんですが、打点と相手のマチが両面なのか、リーチをする事の意味がどこにあるのか、そして場の状況からある程度推測して押し進める事が大事です。

今回はほとんど打点のある手牌でしたが、当然麻雀ですから、リーチのみや相手がオリてくれればラッキーくらいのリーチも多いです。
全てのリーチに逃げ回って、うまく追いついた時だけ、エイっと追いかけるような麻雀では、手牌はなかなか入ってきません。
普段の訓練から、常に相手の手牌を推測する事を繰り返すことで、大事な場面での究極の二択で、必ず正解できると信じで努力しております。

余談ですが、ある講習会で、若手がリーチに屈してオリてアガリ逃しをして、相手のペースになった場面で、
僕は「通る牌は全て行って、アタリ牌だけ止めるくらいの気持ちで行かなくちゃダメだよ」と言いました。
それを隣で聞いていた麻雀IQ220勝又さんが、
「瀬戸熊さん滅茶苦茶言ってますね」と笑いながら言ってきました。
もちろん彼も僕の意志は解ってくれていて、僕がそういう事を言ってから、彼が理論的に、どの牌とどの牌が押せて、リスクとリターンの事を教えるという暗黙の了解があったからの指導でした。

考えてみて下さい。放送対局では視聴者の皆さんは、たった一牌押せない、応援しているプロのプレイに対して、
「それくらい行けよ」とか、「行って欲しかった」と言いますよね。
それは、そのプロを本気で応援しているからです。だからプロは応援してくれる人の為にも、いや自分がこの世界で生きていく為にも、必死で戦わなければなりません。

だから、限界まで読むのです。考えるのです。
捨て牌、点数状況、打ち手の思考、先にある展開。

素晴らしい攻めの後のアガリには、素敵な時間帯が待っていますが、安易な放銃の後には、じわじわいと苦しい時間が押し寄せてくるものです。

以下の図を眺めてみてください。

100
 

これは、僕の麻雀ノートのある部分の抜粋です。
展開予想の基本の考えです。ここからさらに細かく枝わかれしていきますが、まず、読みをいれて、勇気をもって戦う人にしか手牌は入らないのが解ると思います。
さらに講座を進めて、完成チャートを作っていきましょう。

Capter3  沢崎 誠プロの場合

以前紹介したこともありますが、沢崎さんのスーパープレイとして何度でも紹介したい場面がこちら。

第27期鳳凰位決定戦 1回戦南1局沢崎三万ツモアガリ場面

100

四筒七筒の比較はほとんどない場面。しかし沢崎さんは、三色を捨てる四筒を切り、12,000点放銃となる⑦を止めた。
心が震えるプレイとはこの事でしょう。何度も見返すこの牌譜を見るたびに頂きの高さを感じます。

数年後、沢崎さんにこのシーンを聞くと、笑って
「三色が確定した訳でもない以上、やはり何回やってもあの場面は、四筒切るよ」
と、仰いました。 先輩カッコ良過ぎです!
  
次回は、手牌を入れる方法のもう一つのキモである、サインの感じ方と、「鳴き」についての説明を予定しておりますので、お楽しみに。

上級/第108回『確率の向こう側へ③』 瀬戸熊 直樹

皆さんこんにちは。
いきなりですが、本題に入る前に、今回はさらに細かく、配牌の入れ方に必須な「読み」と「サイン」を見逃さない方法を書きたいと思っておりましたが、書き出したら長文になりすぎてしまい、今回「読み」次回「サイン」と二部に分けさせて頂きましたので、ご了承ください。
また、この講座は「鳳凰位」になる為を念頭に入れて書いておりますので、連盟Aルールをベースに、牌姿など全てそこから抜粋しております。
では参りましょう。
以下の捨て牌をざっと見て牌姿と打点を想像してみて下さい。
※薄暗い牌はツモ切り※
A群  
【1】ドラ二筒 西家
100 
【2】ドラ六筒 東家
100 
【3】ドラ四索 東家
100 
A群それぞれの最終手牌にはある共通点があります。
もう一度考えてみましょう。
では解答です。以下が各最終形です。
【1】三万三万五万六万七万一索二索三索五索六索二筒二筒二筒
【2】二万三万三万四万五万五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒
【3】五万六万七万一索一索四索四索四索三筒三筒三筒六筒七筒
いかがですか。全て両面マチですね。
僕の思考はこうです。【1】と【2】の捨て牌には、キー牌があります。
【1】ドラ二筒 西家 
100 
          ↓
三万三万五万六万七万一索二索三索五索六索二筒二筒二筒(最終形)
五筒一筒の切り順とツモ切りですが、六索。そして宣言牌の二万
まず読みとして、二筒が2枚以上ではないかと予測できます。
それは、五筒のあとに一筒が切られ、ピンズのドラを除く一筒五筒が全て不用とされている所。
マンズが高い捨て牌ですが、ポイントは宣言牌の二万。このそばの一万四万を入り目と見るか、マチとみるか、関係なしと見るか。
最悪マンズの一色は?と質問もきそうですが、これだけのピンズの手出しがあると、ドラ色だけにその可能性はなさそうです。
六索ツモ切りのあと、手出し中となっており、この六索が意図的にツモ切られたものとするなら、六索の裏スジも一応考慮に入れなければなりません。この辺りは、打ち手の傾向も考慮にいれれば、よりマチが浮かびます。
かなり高い手と考えられ、勝負に行くにはそれ相応の勇気がいりそうです。
【2】ドラ六筒 東家 
100 
          ↓
二万三万三万四万五万五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒(最終形)
まず目につくのは、宣言牌の七万六筒三筒の切り順。
西八万東の切り出しから普通に手なりにスピードに重きを置いて、メンツを作っていった事は憶測できます。
典型的なピンフの捨て牌に見えます。ピンズは上より下の方が危険です。
宣言牌の七万のそばと、二万三万三万四万五万七万の形の七万切りもあり、マンズとピンズの下は危険なのが解ります。
二択なら場の状況から埋まった方を推測するしかありません。
【3】ドラ四索 東家
100 
          ↓
五万六万七万一索一索四索四索四索三筒三筒三筒六筒七筒(最終形)
非常に読みづらい捨て牌です。親なので、何でもありそうです。正直読めませんでした。
切り出しから、手なり進行だと憶測できますが、無筋が多すぎる為、こういう時は自分の手牌と相手の状況から押し引きを考えるしかないでしょう。
続いてもう一問いきましょう。
B群
【1】ドラ七筒 東家 
100 
【2】ドラ二索 西家 
100 
【3】ドラ七万 東家
一筒 上向き九索 上向き二索 上向き一索 上向き五索 上向き三索 上向き六万 左向き 
B群もそれぞれの最終手牌にはある共通点があります。
もう一度考えてみましょう。
それでは解答です。
B群最終形
【1】一万一万三万三万六万六万九万九万三索四筒四筒八筒八筒
【2】二万二万三万三万五万五万九索一筒一筒三筒三筒西西
【3】二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発
B群は七対子でした。
【1】ドラ七筒 東家 
100 
          ↓
一万一万三万三万六万六万九万九万三索四筒四筒八筒八筒(最終形)
捨て牌からある程度読めます。やはり宣言牌の八索六索七索とツモ切りの後に切られている所が最大のポイントです。
宣言牌までの3巡、六索七索とツモ切りのあとの最終手出しの宣言牌八索をどのように読むかにつきます。
1巡まわしてのカラ切りリーチでなければ、七対子が濃厚です。
ダブルメンツが埋まる、何らかの理由で1巡ヤミテン、スライドか八索ツモ八索宣言のレアケースが面子手のケースですが、レアケースを考えれば考えるほど切れない種類は増えますので、なるべくシンプルに考えます。
そこの読みと心中できればある程度押せる場面とみます。
【2】ドラ二索 西家 
100 
          ↓
二万二万三万三万五万五万九索一筒一筒三筒三筒西西(最終形)
非常に解りづらいです。打ち手も七対子と読めないと思ってリーチを打っているのが解ります。
ただ、こういう手牌は必要以上に読まず、自分の中でゴーサインが出れば真っ直ぐ打ち抜くだけです。
チャンス手をやめて、オリ打ちのような事態になれば攻守が完全に入れ替わります。
相手に主導権を握られる七対子の典型的な例です。
【3】ドラ七万 東家 
一筒 上向き九索 上向き二索 上向き一索 上向き五索 上向き三索 上向き六万 左向き 
          ↓
二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発(最終形)
捨て牌から変則手っぽいですが、実はこれ決勝戦で追い上げる立場の人のリーチでした。
河からは、変則としか読めませんが、この場面は、決勝戦の追う立場の人がリーチときていて、打点は高いと想定できる場面だったので、背景からドラがらみと予測できる捨て牌でした。
僕が前回言った、時間帯に突入させる為の行為に必要不可欠なものとして、ギリギリまで攻めると言う行為があります。
もし仮に、相手のマチが全て解れば麻雀の勝率は9割を超えるでしょう。
なぜならほとんど失点なく、加点だけできるからです。そして相手のチャンスを潰せば、必然的に自分の時間帯となっていくからです。
しかし、そんなことは不可能なのでラインぎりぎりまで押し進める行為が必要となります。
つまり押せる牌を増やすことと、押し引きです。
∴「読み」を強化することが第一のステップとしてもっとも重要なのです。
もちろん、一点で読むのは難しいですが、まず相手に攻め込まれた時に、自分の手牌と相談はもちろんですが、打点と相手のマチが両面なのか、リーチをする事の意味がどこにあるのか、そして場の状況からある程度推測して押し進める事が大事です。
今回はほとんど打点のある手牌でしたが、当然麻雀ですから、リーチのみや相手がオリてくれればラッキーくらいのリーチも多いです。
全てのリーチに逃げ回って、うまく追いついた時だけ、エイっと追いかけるような麻雀では、手牌はなかなか入ってきません。
普段の訓練から、常に相手の手牌を推測する事を繰り返すことで、大事な場面での究極の二択で、必ず正解できると信じで努力しております。
余談ですが、ある講習会で、若手がリーチに屈してオリてアガリ逃しをして、相手のペースになった場面で、
僕は「通る牌は全て行って、アタリ牌だけ止めるくらいの気持ちで行かなくちゃダメだよ」と言いました。
それを隣で聞いていた麻雀IQ220勝又さんが、
「瀬戸熊さん滅茶苦茶言ってますね」と笑いながら言ってきました。
もちろん彼も僕の意志は解ってくれていて、僕がそういう事を言ってから、彼が理論的に、どの牌とどの牌が押せて、リスクとリターンの事を教えるという暗黙の了解があったからの指導でした。
考えてみて下さい。放送対局では視聴者の皆さんは、たった一牌押せない、応援しているプロのプレイに対して、
「それくらい行けよ」とか、「行って欲しかった」と言いますよね。
それは、そのプロを本気で応援しているからです。だからプロは応援してくれる人の為にも、いや自分がこの世界で生きていく為にも、必死で戦わなければなりません。
だから、限界まで読むのです。考えるのです。
捨て牌、点数状況、打ち手の思考、先にある展開。
素晴らしい攻めの後のアガリには、素敵な時間帯が待っていますが、安易な放銃の後には、じわじわいと苦しい時間が押し寄せてくるものです。
以下の図を眺めてみてください。
100
 
これは、僕の麻雀ノートのある部分の抜粋です。
展開予想の基本の考えです。ここからさらに細かく枝わかれしていきますが、まず、読みをいれて、勇気をもって戦う人にしか手牌は入らないのが解ると思います。
さらに講座を進めて、完成チャートを作っていきましょう。
Capter3  沢崎 誠プロの場合
以前紹介したこともありますが、沢崎さんのスーパープレイとして何度でも紹介したい場面がこちら。
第27期鳳凰位決定戦 1回戦南1局沢崎三万ツモアガリ場面
100
四筒七筒の比較はほとんどない場面。しかし沢崎さんは、三色を捨てる四筒を切り、12,000点放銃となる⑦を止めた。
心が震えるプレイとはこの事でしょう。何度も見返すこの牌譜を見るたびに頂きの高さを感じます。
数年後、沢崎さんにこのシーンを聞くと、笑って
「三色が確定した訳でもない以上、やはり何回やってもあの場面は、四筒切るよ」
と、仰いました。 先輩カッコ良過ぎです!
  
次回は、手牌を入れる方法のもう一つのキモである、サインの感じ方と、「鳴き」についての説明を予定しておりますので、お楽しみに。

第19期特別昇級リーグ 決勝レポート 東谷 達矢

日本プロ麻雀連盟が誇る最高峰の戦い、鳳凰位決定戦が行われている最中、いつの日かその舞台で戦うことを夢見て4名の決勝進出者が座席に着いた。
特別昇級リーグ(※以下特昇リーグ)は、プロリーグまたはタイトル戦成績優秀者に参加資格があり、全8節の合計ポイントで優勝を争う。7節目までの上位4名だけが、最終節となる8節目の決勝で戦う権利を持つ。

7節目終了時点でのトータルポイント
中村慎吾 +199.9P
斉藤豪 +179.0P
一井慎也 +163.6P
吉野敦志 +31.5P

上位3名は半荘1回で順位が変わる点差だが、4位吉野はかなり苦しい。連盟Aルールの1半荘でのポイント変動は、素点に大きく左右される為、この決勝4回戦を全て1人浮きのトップで終えたとしても優勝できる保証はない。唯一の救いは、上位3人が競っている為、吉野が先手を取った時に3人が向かってこない可能性が高いことだろうか。うまくプレッシャーを掛けていきたいところだ。
さあ、果たしてこの中の誰が来期B2リーグへの切符を手にするのだろうか。

 

1回戦(起家から一井、中村、吉野、斉藤)

誰もが主導権を取りたいと思っているであろう。最初にリーチと発生したのは親の一井だった。

一万二万三万六万七万一索二索三索五索六索七索三筒三筒  リーチ  ドラ二筒

一発裏ドラの無いAルールにおいて、このようなピンフのみの手でリーチを掛けるか否かはしばしば議論になることがある。メリットとして、打点がわずかながら上昇すること、相手の手牌進行を遅らせ、場合によってはオロすことができるということが挙げられるが、一方でリーチを掛けていなければ出アガリできていたであろう牌が出てこなくなったり、手の入った者から押し返された際のリスクが高い等のデメリットもある。決して、リーチを掛けることが悪いというわけではない。点数の状況や場況、相手の心理状況等を総合的に勘案して、そこに意義を見出すことができるかが重要となる。
この一井のリーチは功を奏した。狙い通り、中村、吉野は早々にオリ、前に出てきた斉藤から2,900をアガリ、本人としてもほっと胸を撫で下ろしたことだろう。

一井は17期生である。17期生のプレイヤーを挙げれば、鳳凰位前田を筆頭に、リーグ戦や各タイトル戦で活躍している猛者揃いである。今もっとも勢いに乗っている世代だといっても過言ではないだろう。一井も前年度十段戦でベスト8まで進んだことは記憶に新しい。また、今期リーグ戦でも既に自力でB2昇級を決めている。だが、それでも同期の活躍を目の当たりにしては満足のいく成果をあげたとは言えないだろう。渇望しているのはタイトル戦優勝の座。この、特昇リーグでも簡単に後輩に負けるわけにはいかない、そう思っているはずだ。
1本場、その一井が更なる攻勢に出る。

一万一万二索三索四索一筒一筒六筒七筒八筒  加カン白白白白  ドラ一万

テンパイ打牌となった二万に他家の視線が一斉に注がれた。というのも、一井はこの数巡前に四万を手出ししているのだ。全員がこの瞬間に、一井が一万をトイツ以上で持っていることを確信しただろう。
更に、この時下家に座っている中村の手牌はこうだった。

一万三万七万七万八万一索一索七索八索九索七筒八筒九筒

一井の放った二万を鳴き七万を切れば、片アガリだが7,700のテンパイである。一井のテンパイ気配を感じ、打点も決して悪くなく、余剰牌も比較的安全。鳴くには十分すぎるほどの材料が揃っているが、この時中村は二万を鳴くことを良しとはしなかった。
急所はここではないと思っているのだ。鳴いて形を他家に悟られるよりも、先に九万を入れてのカン二万待ちに魅力がある、対局後に中村はそう語っていた。
中村は、先日V7という対局で7回連続勝ち上がりを達成したことで話題となった。第23期チャンピオンズリーグの覇者でもあり、勝負強さは抜群である。メリハリのある攻守の切り替えが持ち味で、突出した武器はなくとも総合的な実力では若手の中では頭ひとつ抜きんでている。
中村の読み通り、山に眠っていた二万をすぐに引き入れ、自力でテンパイを果たしたが、九万が場に出ることはなく流局となった。

東1局2本場、局面は動いた。ファーストテンパイを入れたのは斉藤。

三万三万五万五万五万七万八万九万七筒八筒九筒東東  リーチ  ドラ八筒

未だ5巡目。東でアガることができれば打点としては申し分ないだけに、斉藤の手に力が入る。だが、他家も楽はさせてくれない。

10巡目、親の一井

一万二万三万四索五索一筒一筒一筒三筒五筒六筒八筒八筒

ドラ2枚持ちの1シャンテンである。オリるつもりはないとばかりに、生牌の白をノータイムでツモ切る。これに反応したのは吉野。

一索一索七索八索九索中中  ポン白白白  ポン南南南

こうなっては吉野もオリるはずがない。誰がチャンス手をものにするのか、3者の摸打に一層緊張感が強まった。
決着が着いたのは2巡後。一際高くツモの声を発したのは、吉野だった。一索を手元に置き2,000・4,000。
斉藤は表情にこそ出さなかったものの、肩が静かに落ちた。放銃という最悪の結果にはならなかったが、中村との差を縮めるチャンスをひとつ失ったのだ。それは一井も同様だった。
そんな2人に東2局、親の中村が追いうちをかける。

三索三索五筒六筒七筒東東  ポン白白白  ポン発発発  ドラ五索  ツモ東

この4,000オールだ。

落胆する暇もない。1本場10巡目、親の中村の口からリーチと声が出た。
一井、斉藤共に戦える手牌ではない。これ以上中村の独走を許すわけにはいかない。そう思ってはいても、2人にはオリて耐えることしかできなかった。
そして、中村からリーチの声が掛かるまではマンズのホンイツを狙っていた吉野は、ドラを引きこの形、

三万四万五万六万六万八万九万二索発発  ポン白白白  ドラ二索

唯一戦えそうな吉野だが、果たして発が鳴けたらドラを切り勝負するのだろうか。ただ、このドラの二索は中村の待ち牌なのだ。

二万三万四万一索三索五索五索七索八索九索二筒三筒四筒

中村がリーチ前に少考したのは、このリーチにはリスクがあるからだ。他家をオロしてツモることができれば2,000オールだが、如何せんドラのカンチャン待ちでは出アガりは期待できない上、押し返された時に弱い。ただ、吉野がマンズで染めているのならドラも出るだろう、そう思いリーチに踏み切ったのだ。

確かに注文通り、吉野はドラを引いた。だが、これが誤算だった。吉野はこの後、なんとドラを2枚引き暗刻となりテンパイ。

三万四万五万六万六万二索二索二索発発  ポン白白白  ドラ二索

こうなっては中村に勝ち目はない。発を掴み満貫の放銃となった。
リスクは承知で抑えこみにいってのリーチなのだから悪いとは言い切れない。しかし、対局後本人が悔いていたように、やはりこのリーチは不要であっただろう。これは全員が優勝を狙う決勝戦なのだから。

東3局 前局放銃という結果になったが、中村の勢いが落ちない。

三万四万五万六万七万八万五索五索六索八索六筒七筒八筒  ドラ南

5巡目にしてこのテンパイである。当然のようにヤミテンに構える。更に次巡五索をツモると、三色はなくなるが好形でリーチを打った。

三万四万五万六万七万八万五索五索五索六索六筒七筒八筒  リーチ

これに飛び込んだのが斉藤。斉藤は中村の1期後輩の28期生である。リーグ戦やタイトル戦では突出した結果こそ出ていないものの、平均的にかなりの好成績をキープしている。だからこそ斉藤はこの決勝で勝ちたいはずだ。斉藤の安定力はリーグ戦でこそ真価を発揮する。麻雀に対する強い熱情も持っている斉藤は、早く上のリーグで戦いたい、そう思っているはずだ。
※尚、斉藤は決勝メンバーの中で唯一準優勝や3位でも意味を持つ(準優勝ならC1リーグ、3位ならC2リーグへ特別昇級)。

ただ、この放銃を見る限り、その勝ちへの執着が少し焦りを生んでいるのかもしれない。

一方、中村は、放銃直後のアガリで気分が悪かろうはずがない。2着だが、一井、斉藤が原点から大きく沈んでいる為、このままこの半荘が終わればかなり大きなアドバンテージを得ることになる。
そんな中村に待ったを掛けたのが吉野だった。

南2局

二万三万四万五万六万七万九万九万九万東東白白  ドラ一索  ツモ東 2,000・4,000

南3局

二万三万四万五万六万一索二索三索三筒三筒四筒五筒六筒  ドラ南  ツモ四万 700オール

南3局1本場

六万六万八万八万二索四索四索八索八索七筒七筒発発  ドラ三筒  ロン二索 2,400(+300)

この3連続アガリで、持ち点は一気に60,000点を越えた。その後は一井と斉藤もアガリ、中村の独走に歯止めを掛けた。

1回戦結果
吉野:+36.5P 一井:▲6.2P 中村:▲8.6P 斉藤:▲21.7P

トータルポイント
中村:+191.3P 一井:+157.4P 斉藤:+157.3P 吉野:+68.0P

 

2回戦(起家から吉野、一井、斉藤、中村)

1回戦で大きなトップを取った吉野は上位3人と50ポイント前後の点差を縮めたことになる。つまり、単純に考えれば同じことをあと3回やれば優勝できることになる。
吉野はリーグ戦がマイナス成績だったことで残念ながら特昇権利はない。モチベーションを高く持つのは大変だが、吉野はプロ意識が高い為、緩むことはないだろう。それに、このままライバル視する中村を簡単にB2に送り出すわけにもいくまい。もしここで逆転優勝を叶えることができれば、大きな自信がつき今後の対局に間違いなく活きるはずだ。

東1局

どうしても連荘したい吉野の配牌は

三万四万七万九万一索二索九索三筒六筒西西北白白  ドラ二筒

うまく寄れば高打点にもなり得る、悪くない配牌だ。吉野はここから打六筒とした。そしてその後出た白をスルー。
落ち着いているが、ここは上家の中村にプレッシャーを掛ける為に鳴く手もあったか。ここは雀風によるところだろう。
だが、この手が中々思うように寄らない。そして、斉藤は6巡目にテンパイ。

三万四万五万七万七万二索三索四索七索八索三筒四筒五筒

ドラ引き、又は五索を引いて三色が確定したらリーチといく腹だろう。無論、その間アガリ牌が場にこぼれればアガるはずだ。
ただ、この六索九索がなかなか顔を出さない。そして13巡目、誰もがいやがる中村のリーチが飛んできた。

四万五万五索六索七索七索八索九索二筒二筒二筒八筒八筒  リーチ

ドラが暗刻の強烈なリーチ。斉藤もトータルトップ目の中村がリーチを掛けてきているのだから、役なし良形、又は高打点のどちらか一方は当てはまるであろうことを想定しているはずだ。
だが、斉藤にとってはここでオリる理由がない。当然ヤミのまま押し続ける。
それを見た一井、吉野もここは斉藤を応援していたはずだ。
だが、ツモの発生は中村だった。

四万五万五索六索七索七索八索九索二筒二筒二筒八筒八筒   リーチ  ツモ六万 2,000・3,900

またもや先行する中村を追うことになってしまった3人。だが、中村に安心できるほどのリードを与えたわけでもない。東2局、斉藤はテンパイすると、即座にリーチと打ってでた。

六万七万八万一索二索三索四索五索六索七筒七筒南南  リーチ  ドラ九索

リーグ戦ならおそらくリーチは掛けないだろう。理由は冒頭のピンフのみでリーチを掛けるか否かで述べた通りだ。このリーチの打点は1,300~4,000で、押し返された時のリスクを考えると得られるリターンが大きいとは思えない。もし七筒を拾える自信があれば話はまた変わるのだが、本局に限ってはそういった情報も河にはない。
斉藤の狙いは中村の足止めで、出アガリは期待していないということであろう。
ただ、代わりに前に出たのは親の一井だった。

三万四万五万七索八索九索四筒五筒九筒九筒東東東  ツモ六筒

一井は12巡目にこの3,900オールを決め、中村を追う1番手に浮上した。斉藤としても、放銃にならずに中村の点数が削られたことを考えれば、悲観するほど悪い結果だったとは思っていないはずだ。

そして次局、いよいよ中村に勝負所がやってきた。

東2局1本場 西家中村の3巡目手牌

一万二万三万七万八万九万二索三索四索二筒四筒白白  ドラ四索

役なしカンチャンのテンパイである。1回戦親番の時とは形が似ているようで違う。雀頭が翻牌であることも大きく、ここはヤミテンに構える。
そして、親の一井が12巡目に追いつく。

一万一万四万五万六万六索七索八索四筒五筒中中中  リーチ  ドラ四索

こうなると、中村としても勝負にいきづらい所だが、この瞬間に中村の手元に四万が来た。一万を切れば確定三色となり、役あり5,200ならば危険牌を押す価値もある。
もし中村が追う側ならほとんどオリることはないだろう。しかし、リードする側は押し引きに選択の余地がある。有利である反面、選択を間違い敗因を作ることもあり得る。
そして、導かれるように次巡中村の手に完全無筋の七索がきた。

ドラ筋だからといって、放銃した時の打点が安いとは限らない。複合形でドラを使われている場合には7,700~12,000は覚悟しなければならない。
中村が長考に沈んだ。高打点の放銃をすればトータルポイントで逆転してしまう。一井の河は何度見ても、待ちを推測するだけの十分な情報は落ちていない。押すか引くか、ただそれだけのことだが、その選択が終局までの運命を決めてしまうことも麻雀には往々にしてあるのだ。

そして中村が意を決して河に牌を放った。その牌は七索。通った。
そのごほうびだろうか。次巡、中村の手に三筒が舞い降りた。

南1局 まだ2半荘目だが、吉野にとってはラストチャンスだろう。この親番を簡単に落としてしまえば優勝は非現実的なものとなってしまう。

四万六万三索四索二筒三筒四筒六筒六筒六筒八筒南中  ドラ六索

吉野は5巡目、この形から五万をチーした。確かにドラは無く、連荘しなければならないという点を考えれば鳴く気持ちもわかる。鳴けばアガれる可能性は非常に高いだろう。ただ、マンズが変化すれば234の三色も狙えるだけに、この形から鳴くのは若干もったいないようにも感じる。
ただそれはあくまで外から見たものの意見だ。この鳴きは、このまま終われないという吉野の意地がそうさせたのだ。
この後、吉野は3本場まで粘るが、原点を下回ったまま親権を落としてしまう。

2回戦結果
中村:+24.3P 一井:+5.4P 斉藤:▲12.0P 吉野:▲17.7P

トータルポイント
中村:+215.6P 一井:+162.8P 斉藤:+145.3P 吉野:+50.3P

 

3回戦(起家から斉藤、中村、一井、吉野)

東1局 斉藤が優勝する為には自身が浮き、中村を原点以下に抑えるのが必須。その上で可能な限り点差を広げたい。そんな斉藤にチャンス手が入った。

三万四万五万二索三索四索七索八索二筒二筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ三万

7巡目のリーチで、高めの六索をツモれば3,900オールだ。そうなれば反撃の狼煙としては十分である。中村はテンパイが入っていない限りは押してこないだろう。悠々とツモればいい。
しかし、ここで斉藤に立ちはだかったのは中村ではなく一井だった。

三万四万五万一索一索五索六索六索六索七索中中中  ロン一索

斉藤から3,200の出アガリである。一井にとってはアガるのが自然だ。もしこれを見逃したとして良い結果を生むことはほとんどないだろう。ただ、このアガリで一井以上に喜んだのが中村である。

東2局 一井が早々に切ったドラの発を斉藤が鳴いた。

四万五万六万三索三索七索八索八索九索九索  ポン発発発  ドラ発

これを見た瞬間、中村はすぐに撤退する。中村が親の為、斉藤がツモることができれば親被りをさせることができる。だが、一井の河にこぼれた七索を斉藤は掬った。
本局に関してもアガるのが自然だ。斉藤はもちろん優勝を最後まで狙うが、最終的に優勝が非現実味を帯びた場合準優勝狙いにシフトする為、斉藤にとっては一井も浮上させるわけにはいかないのだ。ただ、この局も中村の失点はゼロである。

そして南2局、決定打が出た。

三万四万五万六万七万八万二筒二筒三筒三筒四筒四筒五筒  ツモ五筒  ドラ八索

中村のこの2,600オールで大勢は決した。

3回戦結果
中村:+22.5P 吉野:+5.9P 斉藤:▲4.6P 一井:▲23.8P

トータルポイント
中村:+238.1P 斉藤:+140.7P 一井:+139.0P 吉野:+56.2P

4回戦結果
中村:+22.6P 斉藤:+7.5P 一井:▲8.7P 吉野:▲22.4P

トータルポイント
中村:+260.7P 斉藤:+148.2P 一井:+130.3P 吉野:+33.8P

こうして特昇リーグの決勝の幕が下りた。
トータルポイントだけみればかなりの開きがあるが、2回戦での結果如何では最終結果はまったく別のものとなっていたかもしれない。
ただ、この日の中村は押し引きの精度が非常に高く、優勝者にふさわしい戦い方を実践していたと言えるであろう。

これで来期B2リーグで戦うことになった中村、「1期で降級しないようにがんばります」とは言っていたが、おそらく昇級戦線に食い込んでくるはずだ。
今回敗れた一井も、リーグ戦昇級により来期B2で戦える為、次は中村にリベンジをすべく調整してくるだろう。
斉藤は4回戦で一井に競り勝ちC1昇級の権利を手にした。吉野は残念であったが、地力はあるので本場所のリーグ戦で来期は奮起するだろう。

さて、この特別昇級リーグだが、以前存続が危ぶまれたことがあった。それはリーグ参加者のレベル低下を懸念してのものだ。
”いや、そんなことはない、特別昇級リーグ参加者の中には有望な若手がいる”と声を大にして言う為には、特昇権利を勝ち取ったものが技術向上への意欲を持ち続け研鑽し、また公式戦で結果を出さなければならない。

今回決勝に残ったものはそれができるはずだ。そして来期以降登場する特昇リーグ参加者もそうあってほしい。

”いつかこのリーグ出身者から鳳凰位が誕生することを願って”

特別昇級リーグ 決勝観戦記/第19期特別昇級リーグ 決勝レポート 東谷 達矢

日本プロ麻雀連盟が誇る最高峰の戦い、鳳凰位決定戦が行われている最中、いつの日かその舞台で戦うことを夢見て4名の決勝進出者が座席に着いた。
特別昇級リーグ(※以下特昇リーグ)は、プロリーグまたはタイトル戦成績優秀者に参加資格があり、全8節の合計ポイントで優勝を争う。7節目までの上位4名だけが、最終節となる8節目の決勝で戦う権利を持つ。
7節目終了時点でのトータルポイント
中村慎吾 +199.9P
斉藤豪 +179.0P
一井慎也 +163.6P
吉野敦志 +31.5P
上位3名は半荘1回で順位が変わる点差だが、4位吉野はかなり苦しい。連盟Aルールの1半荘でのポイント変動は、素点に大きく左右される為、この決勝4回戦を全て1人浮きのトップで終えたとしても優勝できる保証はない。唯一の救いは、上位3人が競っている為、吉野が先手を取った時に3人が向かってこない可能性が高いことだろうか。うまくプレッシャーを掛けていきたいところだ。
さあ、果たしてこの中の誰が来期B2リーグへの切符を手にするのだろうか。
 
1回戦(起家から一井、中村、吉野、斉藤)
誰もが主導権を取りたいと思っているであろう。最初にリーチと発生したのは親の一井だった。
一万二万三万六万七万一索二索三索五索六索七索三筒三筒  リーチ  ドラ二筒
一発裏ドラの無いAルールにおいて、このようなピンフのみの手でリーチを掛けるか否かはしばしば議論になることがある。メリットとして、打点がわずかながら上昇すること、相手の手牌進行を遅らせ、場合によってはオロすことができるということが挙げられるが、一方でリーチを掛けていなければ出アガリできていたであろう牌が出てこなくなったり、手の入った者から押し返された際のリスクが高い等のデメリットもある。決して、リーチを掛けることが悪いというわけではない。点数の状況や場況、相手の心理状況等を総合的に勘案して、そこに意義を見出すことができるかが重要となる。
この一井のリーチは功を奏した。狙い通り、中村、吉野は早々にオリ、前に出てきた斉藤から2,900をアガリ、本人としてもほっと胸を撫で下ろしたことだろう。
一井は17期生である。17期生のプレイヤーを挙げれば、鳳凰位前田を筆頭に、リーグ戦や各タイトル戦で活躍している猛者揃いである。今もっとも勢いに乗っている世代だといっても過言ではないだろう。一井も前年度十段戦でベスト8まで進んだことは記憶に新しい。また、今期リーグ戦でも既に自力でB2昇級を決めている。だが、それでも同期の活躍を目の当たりにしては満足のいく成果をあげたとは言えないだろう。渇望しているのはタイトル戦優勝の座。この、特昇リーグでも簡単に後輩に負けるわけにはいかない、そう思っているはずだ。
1本場、その一井が更なる攻勢に出る。
一万一万二索三索四索一筒一筒六筒七筒八筒  加カン白白白白  ドラ一万
テンパイ打牌となった二万に他家の視線が一斉に注がれた。というのも、一井はこの数巡前に四万を手出ししているのだ。全員がこの瞬間に、一井が一万をトイツ以上で持っていることを確信しただろう。
更に、この時下家に座っている中村の手牌はこうだった。
一万三万七万七万八万一索一索七索八索九索七筒八筒九筒
一井の放った二万を鳴き七万を切れば、片アガリだが7,700のテンパイである。一井のテンパイ気配を感じ、打点も決して悪くなく、余剰牌も比較的安全。鳴くには十分すぎるほどの材料が揃っているが、この時中村は二万を鳴くことを良しとはしなかった。
急所はここではないと思っているのだ。鳴いて形を他家に悟られるよりも、先に九万を入れてのカン二万待ちに魅力がある、対局後に中村はそう語っていた。
中村は、先日V7という対局で7回連続勝ち上がりを達成したことで話題となった。第23期チャンピオンズリーグの覇者でもあり、勝負強さは抜群である。メリハリのある攻守の切り替えが持ち味で、突出した武器はなくとも総合的な実力では若手の中では頭ひとつ抜きんでている。
中村の読み通り、山に眠っていた二万をすぐに引き入れ、自力でテンパイを果たしたが、九万が場に出ることはなく流局となった。
東1局2本場、局面は動いた。ファーストテンパイを入れたのは斉藤。
三万三万五万五万五万七万八万九万七筒八筒九筒東東  リーチ  ドラ八筒
未だ5巡目。東でアガることができれば打点としては申し分ないだけに、斉藤の手に力が入る。だが、他家も楽はさせてくれない。
10巡目、親の一井
一万二万三万四索五索一筒一筒一筒三筒五筒六筒八筒八筒
ドラ2枚持ちの1シャンテンである。オリるつもりはないとばかりに、生牌の白をノータイムでツモ切る。これに反応したのは吉野。
一索一索七索八索九索中中  ポン白白白  ポン南南南
こうなっては吉野もオリるはずがない。誰がチャンス手をものにするのか、3者の摸打に一層緊張感が強まった。
決着が着いたのは2巡後。一際高くツモの声を発したのは、吉野だった。一索を手元に置き2,000・4,000。
斉藤は表情にこそ出さなかったものの、肩が静かに落ちた。放銃という最悪の結果にはならなかったが、中村との差を縮めるチャンスをひとつ失ったのだ。それは一井も同様だった。
そんな2人に東2局、親の中村が追いうちをかける。
三索三索五筒六筒七筒東東  ポン白白白  ポン発発発  ドラ五索  ツモ東
この4,000オールだ。
落胆する暇もない。1本場10巡目、親の中村の口からリーチと声が出た。
一井、斉藤共に戦える手牌ではない。これ以上中村の独走を許すわけにはいかない。そう思ってはいても、2人にはオリて耐えることしかできなかった。
そして、中村からリーチの声が掛かるまではマンズのホンイツを狙っていた吉野は、ドラを引きこの形、
三万四万五万六万六万八万九万二索発発  ポン白白白  ドラ二索
唯一戦えそうな吉野だが、果たして発が鳴けたらドラを切り勝負するのだろうか。ただ、このドラの二索は中村の待ち牌なのだ。
二万三万四万一索三索五索五索七索八索九索二筒三筒四筒
中村がリーチ前に少考したのは、このリーチにはリスクがあるからだ。他家をオロしてツモることができれば2,000オールだが、如何せんドラのカンチャン待ちでは出アガりは期待できない上、押し返された時に弱い。ただ、吉野がマンズで染めているのならドラも出るだろう、そう思いリーチに踏み切ったのだ。
確かに注文通り、吉野はドラを引いた。だが、これが誤算だった。吉野はこの後、なんとドラを2枚引き暗刻となりテンパイ。
三万四万五万六万六万二索二索二索発発  ポン白白白  ドラ二索
こうなっては中村に勝ち目はない。発を掴み満貫の放銃となった。
リスクは承知で抑えこみにいってのリーチなのだから悪いとは言い切れない。しかし、対局後本人が悔いていたように、やはりこのリーチは不要であっただろう。これは全員が優勝を狙う決勝戦なのだから。
東3局 前局放銃という結果になったが、中村の勢いが落ちない。
三万四万五万六万七万八万五索五索六索八索六筒七筒八筒  ドラ南
5巡目にしてこのテンパイである。当然のようにヤミテンに構える。更に次巡五索をツモると、三色はなくなるが好形でリーチを打った。
三万四万五万六万七万八万五索五索五索六索六筒七筒八筒  リーチ
これに飛び込んだのが斉藤。斉藤は中村の1期後輩の28期生である。リーグ戦やタイトル戦では突出した結果こそ出ていないものの、平均的にかなりの好成績をキープしている。だからこそ斉藤はこの決勝で勝ちたいはずだ。斉藤の安定力はリーグ戦でこそ真価を発揮する。麻雀に対する強い熱情も持っている斉藤は、早く上のリーグで戦いたい、そう思っているはずだ。
※尚、斉藤は決勝メンバーの中で唯一準優勝や3位でも意味を持つ(準優勝ならC1リーグ、3位ならC2リーグへ特別昇級)。
ただ、この放銃を見る限り、その勝ちへの執着が少し焦りを生んでいるのかもしれない。
一方、中村は、放銃直後のアガリで気分が悪かろうはずがない。2着だが、一井、斉藤が原点から大きく沈んでいる為、このままこの半荘が終わればかなり大きなアドバンテージを得ることになる。
そんな中村に待ったを掛けたのが吉野だった。
南2局
二万三万四万五万六万七万九万九万九万東東白白  ドラ一索  ツモ東 2,000・4,000
南3局
二万三万四万五万六万一索二索三索三筒三筒四筒五筒六筒  ドラ南  ツモ四万 700オール
南3局1本場
六万六万八万八万二索四索四索八索八索七筒七筒発発  ドラ三筒  ロン二索 2,400(+300)
この3連続アガリで、持ち点は一気に60,000点を越えた。その後は一井と斉藤もアガリ、中村の独走に歯止めを掛けた。
1回戦結果
吉野:+36.5P 一井:▲6.2P 中村:▲8.6P 斉藤:▲21.7P
トータルポイント
中村:+191.3P 一井:+157.4P 斉藤:+157.3P 吉野:+68.0P
 
2回戦(起家から吉野、一井、斉藤、中村)
1回戦で大きなトップを取った吉野は上位3人と50ポイント前後の点差を縮めたことになる。つまり、単純に考えれば同じことをあと3回やれば優勝できることになる。
吉野はリーグ戦がマイナス成績だったことで残念ながら特昇権利はない。モチベーションを高く持つのは大変だが、吉野はプロ意識が高い為、緩むことはないだろう。それに、このままライバル視する中村を簡単にB2に送り出すわけにもいくまい。もしここで逆転優勝を叶えることができれば、大きな自信がつき今後の対局に間違いなく活きるはずだ。
東1局
どうしても連荘したい吉野の配牌は
三万四万七万九万一索二索九索三筒六筒西西北白白  ドラ二筒
うまく寄れば高打点にもなり得る、悪くない配牌だ。吉野はここから打六筒とした。そしてその後出た白をスルー。
落ち着いているが、ここは上家の中村にプレッシャーを掛ける為に鳴く手もあったか。ここは雀風によるところだろう。
だが、この手が中々思うように寄らない。そして、斉藤は6巡目にテンパイ。
三万四万五万七万七万二索三索四索七索八索三筒四筒五筒
ドラ引き、又は五索を引いて三色が確定したらリーチといく腹だろう。無論、その間アガリ牌が場にこぼれればアガるはずだ。
ただ、この六索九索がなかなか顔を出さない。そして13巡目、誰もがいやがる中村のリーチが飛んできた。
四万五万五索六索七索七索八索九索二筒二筒二筒八筒八筒  リーチ
ドラが暗刻の強烈なリーチ。斉藤もトータルトップ目の中村がリーチを掛けてきているのだから、役なし良形、又は高打点のどちらか一方は当てはまるであろうことを想定しているはずだ。
だが、斉藤にとってはここでオリる理由がない。当然ヤミのまま押し続ける。
それを見た一井、吉野もここは斉藤を応援していたはずだ。
だが、ツモの発生は中村だった。
四万五万五索六索七索七索八索九索二筒二筒二筒八筒八筒   リーチ  ツモ六万 2,000・3,900
またもや先行する中村を追うことになってしまった3人。だが、中村に安心できるほどのリードを与えたわけでもない。東2局、斉藤はテンパイすると、即座にリーチと打ってでた。
六万七万八万一索二索三索四索五索六索七筒七筒南南  リーチ  ドラ九索
リーグ戦ならおそらくリーチは掛けないだろう。理由は冒頭のピンフのみでリーチを掛けるか否かで述べた通りだ。このリーチの打点は1,300~4,000で、押し返された時のリスクを考えると得られるリターンが大きいとは思えない。もし七筒を拾える自信があれば話はまた変わるのだが、本局に限ってはそういった情報も河にはない。
斉藤の狙いは中村の足止めで、出アガリは期待していないということであろう。
ただ、代わりに前に出たのは親の一井だった。
三万四万五万七索八索九索四筒五筒九筒九筒東東東  ツモ六筒
一井は12巡目にこの3,900オールを決め、中村を追う1番手に浮上した。斉藤としても、放銃にならずに中村の点数が削られたことを考えれば、悲観するほど悪い結果だったとは思っていないはずだ。
そして次局、いよいよ中村に勝負所がやってきた。
東2局1本場 西家中村の3巡目手牌
一万二万三万七万八万九万二索三索四索二筒四筒白白  ドラ四索
役なしカンチャンのテンパイである。1回戦親番の時とは形が似ているようで違う。雀頭が翻牌であることも大きく、ここはヤミテンに構える。
そして、親の一井が12巡目に追いつく。
一万一万四万五万六万六索七索八索四筒五筒中中中  リーチ  ドラ四索
こうなると、中村としても勝負にいきづらい所だが、この瞬間に中村の手元に四万が来た。一万を切れば確定三色となり、役あり5,200ならば危険牌を押す価値もある。
もし中村が追う側ならほとんどオリることはないだろう。しかし、リードする側は押し引きに選択の余地がある。有利である反面、選択を間違い敗因を作ることもあり得る。
そして、導かれるように次巡中村の手に完全無筋の七索がきた。
ドラ筋だからといって、放銃した時の打点が安いとは限らない。複合形でドラを使われている場合には7,700~12,000は覚悟しなければならない。
中村が長考に沈んだ。高打点の放銃をすればトータルポイントで逆転してしまう。一井の河は何度見ても、待ちを推測するだけの十分な情報は落ちていない。押すか引くか、ただそれだけのことだが、その選択が終局までの運命を決めてしまうことも麻雀には往々にしてあるのだ。
そして中村が意を決して河に牌を放った。その牌は七索。通った。
そのごほうびだろうか。次巡、中村の手に三筒が舞い降りた。
南1局 まだ2半荘目だが、吉野にとってはラストチャンスだろう。この親番を簡単に落としてしまえば優勝は非現実的なものとなってしまう。
四万六万三索四索二筒三筒四筒六筒六筒六筒八筒南中  ドラ六索
吉野は5巡目、この形から五万をチーした。確かにドラは無く、連荘しなければならないという点を考えれば鳴く気持ちもわかる。鳴けばアガれる可能性は非常に高いだろう。ただ、マンズが変化すれば234の三色も狙えるだけに、この形から鳴くのは若干もったいないようにも感じる。
ただそれはあくまで外から見たものの意見だ。この鳴きは、このまま終われないという吉野の意地がそうさせたのだ。
この後、吉野は3本場まで粘るが、原点を下回ったまま親権を落としてしまう。
2回戦結果
中村:+24.3P 一井:+5.4P 斉藤:▲12.0P 吉野:▲17.7P
トータルポイント
中村:+215.6P 一井:+162.8P 斉藤:+145.3P 吉野:+50.3P
 
3回戦(起家から斉藤、中村、一井、吉野)
東1局 斉藤が優勝する為には自身が浮き、中村を原点以下に抑えるのが必須。その上で可能な限り点差を広げたい。そんな斉藤にチャンス手が入った。
三万四万五万二索三索四索七索八索二筒二筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ三万
7巡目のリーチで、高めの六索をツモれば3,900オールだ。そうなれば反撃の狼煙としては十分である。中村はテンパイが入っていない限りは押してこないだろう。悠々とツモればいい。
しかし、ここで斉藤に立ちはだかったのは中村ではなく一井だった。
三万四万五万一索一索五索六索六索六索七索中中中  ロン一索
斉藤から3,200の出アガリである。一井にとってはアガるのが自然だ。もしこれを見逃したとして良い結果を生むことはほとんどないだろう。ただ、このアガリで一井以上に喜んだのが中村である。
東2局 一井が早々に切ったドラの発を斉藤が鳴いた。
四万五万六万三索三索七索八索八索九索九索  ポン発発発  ドラ発
これを見た瞬間、中村はすぐに撤退する。中村が親の為、斉藤がツモることができれば親被りをさせることができる。だが、一井の河にこぼれた七索を斉藤は掬った。
本局に関してもアガるのが自然だ。斉藤はもちろん優勝を最後まで狙うが、最終的に優勝が非現実味を帯びた場合準優勝狙いにシフトする為、斉藤にとっては一井も浮上させるわけにはいかないのだ。ただ、この局も中村の失点はゼロである。
そして南2局、決定打が出た。
三万四万五万六万七万八万二筒二筒三筒三筒四筒四筒五筒  ツモ五筒  ドラ八索
中村のこの2,600オールで大勢は決した。
3回戦結果
中村:+22.5P 吉野:+5.9P 斉藤:▲4.6P 一井:▲23.8P
トータルポイント
中村:+238.1P 斉藤:+140.7P 一井:+139.0P 吉野:+56.2P
4回戦結果
中村:+22.6P 斉藤:+7.5P 一井:▲8.7P 吉野:▲22.4P
トータルポイント
中村:+260.7P 斉藤:+148.2P 一井:+130.3P 吉野:+33.8P
こうして特昇リーグの決勝の幕が下りた。
トータルポイントだけみればかなりの開きがあるが、2回戦での結果如何では最終結果はまったく別のものとなっていたかもしれない。
ただ、この日の中村は押し引きの精度が非常に高く、優勝者にふさわしい戦い方を実践していたと言えるであろう。
これで来期B2リーグで戦うことになった中村、「1期で降級しないようにがんばります」とは言っていたが、おそらく昇級戦線に食い込んでくるはずだ。
今回敗れた一井も、リーグ戦昇級により来期B2で戦える為、次は中村にリベンジをすべく調整してくるだろう。
斉藤は4回戦で一井に競り勝ちC1昇級の権利を手にした。吉野は残念であったが、地力はあるので本場所のリーグ戦で来期は奮起するだろう。
さて、この特別昇級リーグだが、以前存続が危ぶまれたことがあった。それはリーグ参加者のレベル低下を懸念してのものだ。
”いや、そんなことはない、特別昇級リーグ参加者の中には有望な若手がいる”と声を大にして言う為には、特昇権利を勝ち取ったものが技術向上への意欲を持ち続け研鑽し、また公式戦で結果を出さなければならない。
今回決勝に残ったものはそれができるはずだ。そして来期以降登場する特昇リーグ参加者もそうあってほしい。
”いつかこのリーグ出身者から鳳凰位が誕生することを願って”