第151回:中級講座『二の矢を放て』 森下 剛任

半年に渡って担当させて頂きました中級講座ですが、今回で最終稿となります。
最終稿は『二の矢を放て』という内容で、麻雀を打つ(対局を行う)上で私が大切に思っている事の一つを紹介します。

何度も言いますが、麻雀は4人で戦う対戦ゲームです。
人と人とが戦うゲームですので、その日のツキや実力はもちろん、そこには焦りなどの感情も生まれますし、調子が良い人・悪い人、リーグ戦でいえばポイントがプラスの人・マイナスの人、対局者の状況は千変万化です。
麻雀を打つ上で、人によっては調子の良し悪しで戦い方を変える人もいるでしょうし、単純に手牌の効率・自分と相手の持ち点の状況や残り局数などデジタルな情報を基に戦う人もいるでしょう。

戦い方について私が大事に思うことは、見える部分での的確な状況判断と、見えない部分に対してどれだけ深く考えるか、さらにそのバランスのとり方だと思います。
囲碁や将棋のように盤面だけを見て勝負するゲームであれば、熟練者より若い人の方が体力面は当然の事、記憶力・判断力・思考の瞬発力など思考面でも有利であると思います。

しかし、いまの麻雀界を振り返ると果たしてそうなっているでしょうか。
熟練者が優れている点としては、なんといっても経験値・経験則でしょう。
盤面や自分の手牌といった目に見えている部分だけで麻雀を打つのではなく、目に見えない部分をどのように推理・予測して戦うか。これこそ、経験則が物を言います。

さらには、「自分の手牌は待ちが悪い(もしくは、打点が低い)が、この局面ならリーチを打てば相手が反撃し辛い状況だから、リーチだ」など、目に見えない相手の心理面を突いた攻めなどは熟練者の業といえるでしょう。

戦い方について別の側面から考えた場合、人にはそれぞれの考え方・価値観・性格があり、それに沿った形での成功の仕方・失敗の仕方があります。
極力、安全牌1枚は手の内に確保して麻雀を打つ慎重なタイプ、ドラや役牌を積極的に切り出したり、相手のリーチに対して無筋を数枚は打ち出していく大胆なタイプ、ルールや対戦相手に応じて打ち方を変える事のできる器用なタイプ、一つの打ち方を愚直に進める不器用なタイプなど、打ち手のタイプは様々です。

性格などの違いも加味すると、麻雀においての勝ちパターン・負けパターンは打ち手によって千差万別です。そのため、まずは自分自身を知ることが大事だと思います。

自分は何が得意で、何が不得意か。
自分は何が好きで、何が嫌いか。
自分は何が強み(ストロングポイント)で、何が弱み(ウィークポイント)か。

自分がしたい麻雀と、自分に合った麻雀が異なっていることもあります。
まずは、たくさん麻雀を打ち、試合に出場し自分自身を分析してみましょう。

自分の手牌や捨て牌、相手の捨て牌など目に見える部分を基に状況判断が出来るようになったのなら、次は対戦相手のその場の状況や心理状態などの目に見えない部分を深く考えてみましょう。

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」

時に理不尽な出来事も起こりうるのが麻雀ですが、故事にあるように相手の実情までも熟知できれば勝てる場面・局面も増えると思います。

前置きが長くなってしまいましたが、これらを踏まえて『二の矢を放て』について紹介したいと思います。

イメージはリードがあるうちにしっかりと勝負するといった感覚でしょうか。
例えば、開局に2,000・4,000をアガっても、そのアガリだけでは決定打にはならない事が多いです。
このリードを軽いアガリで局を流すのではなく、更なる加点を目指して本手をぶつける事が二の矢という事になります。

リーグ戦の昇級ボーダーは100ポイント前後になることが多いです。
半年のリーグ戦では20半荘で結果を残さないといけません。

1半荘あたりアベレージ+5ポイントが必要です。
毎回30,000点を維持すればいけそうな数字ですが、簡単な事ではありません。

公式ルールは原点や着順も大事ですが、一番大事なのは素点だと私は思っています。
一の矢が成功したら二の矢、二の矢が成功すれば三の矢と、調子がいい時に得点を伸ばし不調の時は失点を減らす事が昇級や降級しない為に必要な事だと思います。

よく見かけられるのは、不調の時に着順を上げようと無理をし、さらに失点をするケースです。
私自身もこのケースでよく失敗経験がありますが、公式ルールは着順が大事なルールではないので、不調の時に無理しない事が結果的に良いケースが多いです。

仮に、不調時に何かアクションを起こしたいときは、親番でする事をお勧めします。

『二の矢を放て』ということは一の矢は成功したということなので、調子は悪くはなさそうです。

できることなら東場のうちに二の矢を放ちたいところです。
理由はとしては…

・東場で大きく抜け出すと他家の目標が2着狙いになりやすく、南場に入ってからも大きく加点できるチャンスが増えるため。
・南場に入ってからだと勝負に対するリスクが高くなるため。

今回は二の矢のケースですが、調子が悪い時や、状況を打破したい時に南場よりも東場での挑戦をお勧めします。

最後に、場況や自分の手牌といった目に見えている部分はしっかり学び、目に見えない部分をどのように考え、見えている部分との、バランスのとりかたが大事だと思います。
押し引きを見極めその時々で柔軟に対応していかなければなりません。

忘れていけないのは、自分1人で麻雀をしているのではないということ。
自分のコンセプトはあると思います。ただ、堅くならずに柔らかく考えてみることも時には大切なことだと思います。

麻雀は勉強したからといってすぐ結果がついてくるゲームではありません。
結果が出なくてつらい時もありますが、経験を積み学び続けることが大切だと思います。

半年に渡って書かせていただいた中級講座も今回で終了です。拙い文章にお付き合いいただきありがとうございました。

第14期女流桜花 Bリーグ 最終節成績表

A C

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 川原 舞子(愛知) 36.4 49.9 ▲ 2.0 110.7 ▲ 37.5 157.5
2 白銀 紗希(青森) 47.3 3.6 41.1 38.6 ▲ 2.9 127.7
3 藤井すみれ(埼玉) 43.6 43.1 26.7 ▲ 11.3 18.6 120.7
4 安田麻里菜(秋田) ▲ 33.1 ▲ 8.0 2.4 73.3 63.0 97.6
5 波奈 美里(宮城) 11.6 43.4 24.3 ▲ 42.3 53.4 90.4
6 井上 絵美子(東京) 1.7 ▲ 16.5 37.1 45.1 ▲ 14.7 52.7
7 早川 林香(宮城) ▲ 38.2 10.6 35.3 25.2 15.5 48.4
8 小島 優(愛知) ▲ 34.6 32.8 23.9 27.6 ▲ 12.1 37.6
9 北野 由実(東京) ▲ 30.8 ▲ 29.2 17.7 26.6 37.2 21.5
10 童瞳(上海) 14.7 ▲ 9.8 ▲ 19.6 ▲ 32.5 65.0 17.8
11 中川 由佳梨(大阪) ▲ 0.6 ▲ 4.1 ▲ 1.8 ▲ 35.9 44.1 1.7
12 和久津 晶(東京) 14.2 ▲ 61.8 22.0 36.3 ▲ 19.4 ▲ 8.7
13 高田 麻衣子(石川) 8.0 15.8 ▲ 41.3 ▲ 21.6 28.9 ▲ 10.2
14 優木 美智(福岡) 35.0 ▲ 32.8 ▲ 20.5 60.6 ▲ 53.1 ▲ 10.8
15 王 政芳(中国・ハルピン) 20.2 17.9 39.1 ▲ 104.8 ▲ 6.2 ▲ 33.8
16 蒼井 ゆりか(静岡) ▲ 10.8 12.8 3.0 ▲ 22.7 ▲ 30.2 ▲ 47.9
17 高宮 まり(茨城) 12.7 19.2 ▲ 18.7 ▲ 16.9 ▲ 50.0 ▲ 53.7
18 平岡 理恵(静岡) ▲ 57.6 ▲ 7.2 ▲ 39.5 21.9 24.0 ▲ 58.4
19 西嶋 ゆかり(群馬) ▲ 18.2 ▲ 36.0 29.8 ▲ 0.9 ▲ 36.5 ▲ 61.8
20 松本 千鶴(北海道) 51.3 ▲ 31.3 ▲ 83.5 ▲ 2.6 3.8 ▲ 62.3
21 長内 真実(北海道) ▲ 23.8 ▲ 27.9 ▲ 32.0 ▲ 9.1 28.7 ▲ 64.1
22 大久保 朋美(福井) ▲ 7.4 2.1 ▲ 20.6 ▲ 61.3 0.9 ▲ 86.3
23 京平 遥(静岡) ▲ 23.1 ▲ 7.3 ▲ 3.4 ▲ 28.9 ▲ 31.6 ▲ 94.3
24 石川 詩万(神奈川) 0.4 ▲ 3.9 ▲ 37.9 ▲ 37.8 ▲ 26.5 ▲ 105.7
25 菅原 千瑛(埼玉) ▲ 19.9 22.6 ▲ 8.6 ▲ 39.3 ▲ 64.4 ▲ 109.6

第14期女流桜花 Cリーグ 最終節成績表

A B

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 鈴木 彩夏(東京) ▲ 6.9 58.8 66.8 38.1 9.0 165.8
2 北條 恵美(アメリカ・ニューヨーク) 78.8 ▲ 19.4 62.6 ▲ 18.9 53.6 156.7
3 渋谷 菜瑠美(栃木) ▲ 39.2 25.8 47.4 57.4 60.6 152.0
4 土田 さおり(兵庫) 38.4 9.1 37.4 ▲ 13.3 68.4 140.0
5 一瀬 由梨(鳥取) 0.0 32.6 48.3 45.6 7.3 133.8
6 渡辺 明日華(栃木) 4.9 17.5 6.6 35.9 58.7 123.6
7 長井 梨世(千葉) 34.6 ▲ 16.0 43.9 51.1 0.0 113.6
8 西城 凛(東京) 14.8 ▲ 4.6 34.0 12.1 46.4 102.7
9 室伏 理麻(東京) ▲ 16.0 43.5 ▲ 15.4 ▲ 12.1 82.4 82.4
10 楠原 遊(東京) ▲ 64.1 85.9 62.1 ▲ 1.7 ▲ 2.8 79.4
11 宮内 こずえ(愛媛) 16.8 27.2 10.8 32.4 ▲ 8.1 79.1
12 大野 彩乃(東京) 62.2 17.9 ▲ 23.3 48.0 ▲ 30.9 73.9
13 桜川 姫子(静岡) 14.8 76.0 ▲ 15.6 ▲ 29.5 10.0 55.7
14 美晤(韓国・ソウル) ▲ 9.7 24.7 ▲ 3.3 5.5 33.8 51.0
15 日高 志穂(神奈川) 1.0 22.8 16.9 ▲ 20.8 26.7 46.6
16 古川 彩乃(東京) ▲ 36.2 ▲ 25.4 16.3 78.5 12.4 45.6
17 吉田 彩乃(福岡) 4.9 ▲ 11.0 37.4 86.6 ▲ 74.2 43.7
18 藤根 梨沙(奈良) ▲ 23.2 51.8 13.0 ▲ 12.3 8.1 37.4
19 松田 彩花(東京) 41.1 ▲ 35.8 ▲ 20.3 27.3 10.0 22.3
20 東城 りお(秋田) 11.4 ▲ 34.4 16.7 12.3 16.3 22.3
21 安部 久美子(福岡) 51.0 ▲ 11.1 ▲ 19.4 30.8 ▲ 29.0 22.3
22 ジェン(アメリカ・シアトル) 29.0 80.2 ▲ 40.3 ▲ 32.2 ▲ 18.3 18.4
23 天音 まこと(三重) 63.0 ▲ 38.7 ▲ 31.1 ▲ 13.2 35.1 15.1
24 伊達 朱里紗(兵庫) 12.7 44.5 ▲ 44.6 ▲ 36.4 35.6 11.8
25 咲良 美緒(東京) ▲ 34.9 123.9 11.3 ▲ 56.6 ▲ 38.5 5.2
26 安城 るい(石川) 18.7 ▲ 44.4 19.0 ▲ 36.3 45.8 2.8
27 内山 えみ(東京) 19.7 2.5 ▲ 50.1 41.2 ▲ 15.2 ▲ 1.9
28 大亀 あすか(広島) 2.3 28.7 ▲ 0.8 ▲ 69.6 30.0 ▲ 9.4
29 内田 みこ(東京) ▲ 36.3 8.4 ▲ 1.5 25.2 ▲ 5.8 ▲ 10.0
30 大月 れみ(富山) 58.4 7.5 ▲ 49.2 ▲ 33.6 3.8 ▲ 13.1
31 柊木 かえで(埼玉) 58.5 ▲ 20.5 ▲ 42.0 ▲ 68.8 52.3 ▲ 20.5
32 吉田 祥子(北海道) 22.2 8.1 ▲ 43.1 ▲ 29.5 21.3 ▲ 21.0
33 優月 みか(埼玉) ▲ 47.8 39.1 ▲ 2.1 14.8 ▲ 27.8 ▲ 23.8
34 駒田 真子(神奈川) ▲ 37.0 11.9 31.6 ▲ 25.0 ▲ 10.5 ▲ 29.0
35 高橋 慧(奈良) ▲ 17.5 2.8 55.5 ▲ 20.8 ▲ 50.0 ▲ 30.0
36 犬飼 あやの(岩手) ▲ 21.9 37.8 46.5 ▲ 29.2 ▲ 65.2 ▲ 32.0
37 水越 京子(埼玉) 32.0 ▲ 49.8 70.3 ▲ 25.0 ▲ 60.6 ▲ 33.1
38 手塚 紗掬(北海道) ▲ 47.0 ▲ 32.3 ▲ 32.4 40.6 35.1 ▲ 36.0
39 音羽 なお(兵庫) ▲ 22.5 47.0 9.1 ▲ 7.7 ▲ 63.2 ▲ 37.3
40 夏目 翠(東京) 20.2 ▲ 38.4 7.7 ▲ 35.0 8.2 ▲ 37.3
41 岡田 紗佳(東京) 74.2 ▲ 47.9 ▲ 4.6 ▲ 42.1 ▲ 24.2 ▲ 44.6
42 山口 やよい(千葉) 43.4 ▲ 66.6 43.2 ▲ 65.3 ▲ 4.2 ▲ 49.5
43 高橋 侑希(岐阜) ▲ 67.7 4.8 ▲ 44.0 25.2 26.5 ▲ 55.2
44 青山 めぐみ(千葉) ▲ 61.6 29.1 ▲ 31.0 9.8 ▲ 14.2 ▲ 67.9
45 小笠原 奈央(千葉) ▲ 38.8 ▲ 35.9 ▲ 4.2 ▲ 13.9 24.4 ▲ 68.4
46 片倉 まち(神奈川) ▲ 13.4 ▲ 36.0 ▲ 0.5 17.4 ▲ 37.4 ▲ 69.9
47 杉浦 まゆ(東京) ▲ 17.9 ▲ 54.2 ▲ 67.3 ▲ 10.9 66.3 ▲ 84.0
48 桜木 里咲(埼玉) 57.9 ▲ 33.8 ▲ 57.6 ▲ 9.4 ▲ 46.7 ▲ 89.6
49 襟川 麻衣子(埼玉) ▲ 46.8 ▲ 55.8 ▲ 2.3 11.8 ▲ 18.7 ▲ 111.8
50 くさの いおり(茨城) ▲ 19.8 ▲ 100.7 ▲ 9.5 52.5 ▲ 38.4 ▲ 115.9
51 蒼木 翔子(東京) 8.5 21.5 ▲ 43.7 ▲ 61.6 ▲ 49.5 ▲ 124.8
52 後藤 咲(愛知) ▲ 27.1 ▲ 66.9 ▲ 46.6 15.4 ▲ 60.3 ▲ 185.5
53 河野 みのり(福岡) ▲ 16.6 ▲ 79.0 ▲ 18.8 ▲ 18.5 ▲ 109.5 ▲ 242.4
54 齋藤 麻衣子(福井) ▲ 129.5 ▲ 55.8 ▲ 50.8 6.7 ▲ 57.9 ▲ 287.3

第197回:第1期小島武夫杯帝王戦優勝特別インタビュー 藤原 隆弘  インタビュアー:吉田 直

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“天国の小島先生に捧げる藤原隆弘涙の載冠”

こんな風に麻雀新聞に載るなんて本当にカッコよくて羨ましい。

私はというと、最終戦ラスを引かなければベスト16に残れる所で痛恨のラスを引いてしまい、残念ながら次の日は解説になった(涙)
準決勝の解説が終わり、決勝1回戦は携帯を見ながら家に向かい、最終戦は家のパソコンで見ていた。
最終戦のオーラス、藤原さんがテンパイして残り1枚しかない七筒が手元に舞い降りた瞬間、本当に嬉しくて当然の様に泣いていた(笑)

その翌日、夏目坂スタジオに行く用事があったので、編集担当者に帝王戦のインタビューって決まっていますか?と尋ねると、まだだよと言われ、是非やらせて下さいとお願いした。

連盟に出戻る前から大変お世話になっていて、ずっと藤原さんの麻雀を見てきた。だからどうしても書きたかった。
しかし、元々文章は得意ではないので、拙い文章になると思うがご了承願いたい。

吉田「わらさん(藤原プロ)インタビュー自分が書くのでいつ空いてますか?」

藤原「◯日の運営終わった後とかどう?」

吉田「自分はその日試合終わりなら行けるので、時間的にちょうどいいですね。」

藤原「じゃあその日、食事でもしながら話そう。」

当日待ち合わせ場所に着き、運営が終わった藤原さんと合流してお店に入る。
まずは藤原さんの大好きなビールを頼み乾杯。

 

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吉田「わらさん帝王戦優勝おめでとうございます(涙)」

藤原「ありがとう」

吉田「オーラス七筒ツモった瞬間、自分が優勝した時と同じくらい嬉しくて勝手に泣いてました。」

藤原「俺だってタダシが鳳凰戦で優勝した時、家族でファミレスでご飯食べてて携帯見ながら泣いちゃったよ(笑)」

吉田「ありがとうござます(涙)。本当にわらさんが優勝して良かったです。」

藤原「俺もチャンピオンズリーグしか勝てないと思ってたから本当に嬉しいよ。それに初代は気持ちいいよなぁ。」

吉田「確かに初代は本当羨ましいです(涙)。」

チャンピオンズリーグしかって言うけど、第8期、第16期、第24期って3回も優勝してるのは凄いよなぁ。ただこの人はオリンピック選手かとも思った(笑)
※チャンピオンズリーグ(現WRC)は半年に1回開催

とりあえずわらさんが酔っ払う前にインタビューしなければ

吉田「予選はどんな感じだったんですか?」

藤原「2回終わって2着1着でそこからずっと16位のボーダー付近。それで最終戦2着条件で誠さん(沢崎プロ)と瑠美ちゃん(二階堂瑠美プロ)と一般の人とやったんだけど、東1局からいきなり瑠美ちゃんが大三元ツモるんだよ(汗)」

吉田「えー!(◎_◎;)ヤバイじゃないですか?」

藤原「でも親じゃないから8,000点払っただけだし、2着になればいいからね」

吉田「自分だったらめちゃくちゃ焦りそうです」

藤原「ただこの後、誠さんが8,000点アガった時は流石にヤバイかなとは思ったけど(笑)」

吉田「相手が相手なだけに相当キツイですね」

藤原「そしたら親で9,600アガってその後、誠さんからリーチが来てそこが勝負局だった」

吉田「ほー。」

藤原「誠さんからリーチ来た時にダブ東ホンイツ三暗刻の一万四万のノベタンでテンパイしてるんだよ。だから一発でドラの七筒押して、そこから3枚ぐらい無筋切ったかなぁ。」

吉田「わらさんがそんだけ押してたら尋常じゃないなって周りも思いますね(笑)」

藤原「瑠美ちゃんも完全にオリてたね。それで一万をツモって8,000オール。」

吉田「それで通過が決まったんですね。」

藤原「小島先生が入れてくれた9,600と8,000オールかなって思って終わった後は気分が高揚してたね。」

吉田「やっぱり天国にいる小島先生はわらさんの事見てくれてるんですね(涙)。ただ予選も凄かったと思うのですが、自分が解説していた準決勝のオーラスが凄すぎて、
自分には一生かかっても真似出来ないなって思いました。」

藤原「まぁ確かにあれが優勝に繋がったよね」

 

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吉田「条件としては、6,400直撃か跳満ツモでしたが、ドラ単騎になった場合、ツモったら最悪だから普通リーチすると思うのですが、何故ヤミテンだったんですか?」

藤原「多分ほとんどの人がリーチでしょ。そっちの方がマジョリティ。ただ俺はヤミテンの方が6:4で得だと思った。」

吉田「えー!全然わかりません。」

藤原「親が切った西を誰もあわせなかったから山に2枚あるのは確信。ただ不安なのは、山に2枚あるからツモると困るんだよなぁ。」

吉田「じゃあやっぱりヤミテン駄目じゃないですかー。」

藤原「本当引退覚悟のヤミテンだよ(笑)。まぁツモった時は何か落として単騎で回して行こうと思ってたし、親がドラを切って来る以上、好形1シャンテンだろうからもう1局あるからね。」

確かに親と2人テンパイだと、次局は満貫ツモ条件になるし、ドラをツモってもいい単騎待ちなら直撃もある。
その前にドラが打たれる事もあると考えると、ヤミテンが本当にいいような気がしてきた。それを瞬時に判断するなんて流石“緻密な仕事師”。

吉田「自分がしーらさんの立場だと、ドラの西単騎ならリーチを打ってくると思って切っちゃいそうです。」

藤原「本当に直撃出来たのは上手く行き過ぎたけど、ああいう時にツモった記憶がないんだよ(笑)。だから俺のツモ山にはいないと思った。」

常に守備型というかネガティヴ思考の藤原さんだから出来たヤミテンなんだなぁ

吉田 「決勝で焦った所とかありました?」

藤原「決勝は伸び伸び楽しんで打とうと思ったんだよ。特に荒さんと決勝で打つことが出来るから。」

吉田「やっぱり藤原さんでも荒さんと決勝が打てるって嬉しいんですね」

藤原「荒さんとは、もう何年も前の十段戦で戦った以来だし、ずっと荒さんの背中を追っかけて来たから、決勝で打てるのは本当に楽しみだよね」

自分も藤原さんの背中を追っかけて来たから気持ちは凄くわかります(涙)
ちなみに、わらさんが十段戦で荒さんと戦ったのは、自分が入って来た23期ですよ。あの頃のわらさん本当カッコ良かったんだけどなぁ笑

藤原「荒さんが1回戦で4,000オールツモった時は、小島先生は荒さん選んだのかなぁって思ったよ(笑)。」

吉田「随分早いですね(笑)。ただ荒さんはそこから失速したんですよね。」

藤原「そうなんだよ。親の斉藤さんにリーチ負けして、ウラドラ2枚の親満打ったからビックリしたよ。」

吉田「勢い的には荒さん勝ちそうですもんね。ただ今回の決勝に残った斉藤さんも五月女さんも、準決勝から見ててめちゃくちゃ強いと思ったんですけど。」

藤原「斎藤さんは、以前連盟に居たので顔は見覚えあったけど麻雀の印象は無かった。五月女さんも関西の方だから勿論初対面。2人共決勝の1回目を打ってみて、かなり実力があることはわかった。お陰で最終戦は気合が入ったし、2人共無茶な事はしない方だから、麻雀にも信頼ができるので、そうした意味では安心して闘えると思ったよ。」

吉田「やっぱりわらさんも評価が高かったんですね。決め手になったと思う局はありますか?」

藤原「南2局の4,000オールの時に勝てるかもって思ったよ。まぁラス前に再逆転されたけどね(笑)。」

 

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吉田「確かに南場の攻防は目が離せなくてドキドキしました。それでも最後にラス牌の七筒がわらさんの所に来てくれましたね。」

藤原「第1期だし連盟員が優勝しなきゃって思いが強かったから、最後ツモった時は本当に嬉しかったし小島先生ありがとうございますって思った。」

吉田「本当におめでとうございます(涙)。最後に今後の目標を教えて下さい。」

藤原「今後の目標は、第1期小島杯覇者として、このタイトル戦のグレードを上げて権威あるタイトル戦にしていくために、僕が頑張って行かなければならない自覚、責任感を持って麻雀プロとしての活動を続けていく!勿論これまで以上に強い気持ちでA1への復帰と最年長鳳凰位を狙います!」

吉田「絶対泣くと思うけど決定戦やりましょう(笑)。今日はありがとうございました。」

日本プロ麻雀連盟を作り、ここまで麻雀界を盛り上げ大きくしてくれた第一人者と言っても過言ではなく、皆に愛されカッコイイ麻雀を打ってきた「ミスター麻雀」小島武夫。
自分も勉強会で一緒に打たせてもらったり、後ろで見させていただき本当に憧れの存在であり、今でもその背中を追いかけている。
そんな偉大な小島先生だからこそ、「第1期小島武夫杯帝王戦」というタイトル戦が作られた。我々連盟員はこれからもこの日本プロ麻雀連盟を皆さんに愛される、素晴らしい団体にしていきたいと思っています。

小島先生、どうか心配なさらず天国から「ガハハ」と豪快に笑いながら見守っていて下さい。

 

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第1期小島武夫杯帝王戦 決勝観戦記 望月 雅継

決勝戦

五月女義彦(B卓勝ち上がり、予選2位、関西代表)
『先程の役満連続を見て、最後まで諦めずに戦いたいと思います。』

荒正義(A卓勝ち上がり、予選1位)
『かなり強い人ばかりなので頑張ります。危ない人ばっかりです(笑)』

藤原隆弘(C卓勝ち上がり、予選11位)
『この席に座れているだけで大分満足していますけど、(天国の小島先生に)ここまで来たらいい決勝戦だったねと言われるように、あと半荘2回頑張ります。』

斉藤健人(D卓勝ち上がり、北関東支部代表)
『先程対局が終わって、一番勢いがあるところだと思っているので、決勝戦も飛ばしていきたいと思います。』

『小島武夫杯帝王戦』もついに決勝戦。泣いても笑っても残り半荘2回で初代チャンピオンが決定する。
準決勝はオーラスに驚くほどのドラマが立て続けに起こる、まさにスリリングな試合展開。
内容を見比べてみても、誰が勝っても全くおかしくないようなゲーム内容と選手の実力だけに、かなりの白熱した試合展開が予想されるだろう。

勝ち上がったのはプロ2人、アマチュア選手2人。
アマチュア選手の勝ち上がりは、若者の良さを十分に発揮して勝ち上がった北関東代表の斉藤さんと、熟練の技を如何なく発揮した関西代表の五月女さん。
対するプロは、剛と柔を使い分けての貫禄の勝ち上がりの荒と、緻密な仕事師らしく針に糸を通すような際どい勝負を勝ち上がった藤原。小島武夫杯らしく、故小島武夫プロに縁の深い2人が勝ち上がった。
この日の試合展開を振り返ってみても、恐らく最後まで誰が勝つのか全く分からないような試合展開になることだろう。

局が大きく動き始めたのは東2局。
親番荒の7巡目、タンヤオのテンパイもヤミテンに。9巡目、絶好の五筒を引いてリーチに。

二万三万四万四索五索六索二筒三筒三筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ツモ七筒  ドラ六筒  裏七万

当然のように七筒をツモって4,000オール。
小島武夫杯の初戴冠は俺だと言わんばかりの貫禄のアガリで堂々とトップに躍り出た。

しかし周りも黙っていない。
東2局1本場、荒の連続攻撃。1回戦からエンジン全開。トップを不動のものにすべく12巡目リーチ。

二万三万四万七索八索九索二筒三筒四筒五筒六筒東東  リーチ  ドラ発

このリーチを受け、丁寧に対応したのは五月女さん。テンパイを拒否し、中の暗刻落としを挟んで、ドラを重ねて最後はフリテンのツモアガリ。

四万四万五万五万六万二索三索四索五筒六筒七筒発発  ツモ三万

貴重な1,000・2,000のツモアガリ。これで五月女さんは原点復帰で2着浮上。
短期決戦とはいえ、勝負はまだまだわからない。

五月女さんはさらに攻めたてる。東4局11巡目リーチを放つ。

一万一万一万四万五万六万八索八索八索一筒一筒四筒五筒  リーチ  ドラ三筒

このリーチに荒が襲いかかる。同巡、高目三色の3メンチャンリーチ。

二万三万四万二索三索四索五索六索七索八索二筒三筒四筒  リーチ

この2件リーチに、さらにかぶせるのが親番の斉藤さん。
12巡目リーチに踏み込む。

七万七万八万八万八万四索五索四筒五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン三索  ドラ三筒  裏七万

この勝負を制したのは親の斉藤さん。
荒から三索を召し捕り、さらに裏ドラが七万。強烈な12,000で、ラスから一気にトップまで急浮上。準決勝D卓の勢いをそのまま継続させているようなアガリだ。

4人の牽制はまだまだ続く。
南1局4本場、五月女さん、11巡目一索チーで三色のテンパイ。

一万二万七万八万九万一筒二筒三筒七筒七筒  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ドラ九筒

藤原同巡七対子のテンパイ。

六万六万七万四索四索五索五索六索六索南南中中

13巡目には荒もテンパイと追いつく。

三万三万四万四万五万五万五筒五筒五筒六筒八筒白白

荒、テンパイ打牌が中
この中を藤原がポンして切り返す。七対子から五万八万に待ち変え。

局面が目まぐるしく揺れ動く。
五月女さんツモ七筒。これは荒のアタリ牌。場を一瞥すると打一万と、役無しになるが放銃回避。

それを確認した荒、ツモ切りリーチを敢行。そしてラス牌の七筒を引きアガる。

 

100

 

荒は1,000・2,000のツモアガリ。供託のリーチ棒3,000と4本場を全て回収して2着に再浮上。勝負の行方は全くわからない。

荒に喰らいつくのは藤原。
南2局、まずは斉藤さんが6巡目、ドラの白切りで役無しテンパイ。

二索四索六索七索八索五筒五筒五筒七筒八筒九筒東東  ドラ白

9巡目、ラス牌の白を重ねた藤原がテンパイ。当然のヤミテンから次巡、同テンの三索をツモアガリ。

七万八万九万一索二索七索八索九索一筒二筒三筒白白

ツモ、チャンタ、ドラ2で2,000・4,000。荒を差し切り今度は藤原が2着浮上。
藤原は後述する。

「前局の南1局2本場に、自分が強く押せれば自身のアガリがあった…。アガリ逃しの次局だけに、ここは丁寧に進める局であった。」

と、繊細な打ち手だけに、局面や自身の心の移り変わりや揺れなどを敏感に察知し、それを打牌や押し引きに反映させていく藤原の麻雀。道中、抜群の押し引きに感じられたその打牌の裏側には、経験と実績に裏打ちされた緻密な判断があることを若手プロ達には感じ取ってほしいと思う。

さて、いきなりですが問題です。
南3局、五月女さん4巡目の手牌。

二万三万三万四万七万七万七万五索六索二筒二筒二筒三筒  ツモ二筒  ドラ中

リャンメンと3メンチャンの1シャンテンのこの形にツモ二筒
皆さんならどうしますか?

ソウズの縦引きのテンパイをも取りこぼさないように打三万が自然な一打。マンズの膨らみやイーペーコーを狙いたい人は二筒のツモ切りという方もいるはずだ。

しかし五月女さんは二筒を暗カン。
そしてリンシャンからツモ四索でテンパイ。さらにはカンドラがなんと七万。信じられないアクションとそれに応える結果の連続に、解説席も驚嘆の声を上げる。

 

100

 

ツモ一万で少考。そしてドラ切りリーチへ。
そして五万を一発ツモ

一万二万三万三万四万七万七万四索五索六索  暗カン牌の背二筒 上向き二筒 上向き牌の背  リーチ  ドラ中七万  裏南発

この結果になる選手が果たしてどれだけいるだろうか。全てのアクションが連動した2,000・4,000。この手筋でないと、この巡目にはアガリ切ることが出来ない。
全ては結果である。しかし、勝つことにしか意味を持たない決勝戦の舞台で、このアイデアが浮かぶことがすごいことなのだし、そしてそれが結果に結びつけることがすごいことなのだ。

誤解の無いように補足しておくが、極めて常識的で数字に明るい打ち手であることは、対局を観戦していればすぐにわかること。その五月女さんが勝負とばかりにセオリーを無視し、効率を無視したアクションを起こし、結果を出すことが素晴らしいと思うのだ。

五月女さんはこのアガリでラスから一気に周りを振り切り斉藤さんと並び同点トップに。
さらに卓内は勝負の熱を帯びてきた。

そして迎えたオーラス。
五月女さんと斉藤さんは同点。このままで終わると順位点は2人で分け合う事になるが、最終戦の座順は規定により、斉藤さんが東家、五月女が北家になる。
オーラスに親番を迎える北家の方が有利に働く為、斉藤さんの立場ではここは是が非でもアガって単独トップで最終戦を迎えたいところだ。

五月女さん4巡目七対子テンパイ。待ちは西タンキ。

六万六万二索二索四索四索八索八索九索九索五筒五筒西  ドラ三筒

荒5巡目テンパイ。こちらはチャンタドラ1。待ちはペン七索
満貫ツモは単独トップ。斉藤さんか五月女さんからの出アガリは、放銃しない方との同点トップ。さらに藤原からの出アガリは、3人が同点で並ぶ事になる。
荒の選択はヤミテン。ツモった場合にのみトップに立つ道を選んだ。

対する五月女さんは7巡目、ドラをそっとツモ切る。あくまで西タンキで心中するようだ。

荒の七索と、五月女さんの西は共に山に3枚。
どちらもほぼ場に放たれる牌だけに、どちらが先に山にあるかが勝負となりそうだ。

五月女さんのドラ三筒
のツモ切りを見て、荒は8巡目リーチを選択。

一万二万三万八索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒中中  リーチ

すると同巡、斉藤さんのツモは五月女さんのアガリ牌西
この西を斉藤さんは止めて打八筒。見事に放銃回避。

さらに追いついたのは藤原。10巡目、二万五万待ちで覚悟を決めてリーチに打って出る。

三万四万四万五万六万七万八万九万四筒四筒北北北  リーチ

しかし…
勝ったのは五月女さん。力強く西を引き寄せツモ、七対子。800・1,600でトップを奪取。
決勝は半荘2回戦という短期決戦の中、価値あるトップを自らの手でもぎ取った

決勝1回戦終了
五月女+23.0P 斉藤+6.2P 藤原▲7.2P 荒▲22.0P

 

 

決勝2回戦

東1局から素晴らしい牌譜が残る1局が見られることとなる。
決勝1回戦はラスとなった荒、開局からドラ暗刻の勝負手。7巡目、藤原の切った二万にチーの声をかけてテンパイに。

二索三索一筒二筒三筒東東中中中  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  ドラ中

このチーを受けた五月女さんの手は、

一万三万五万八万一索四索五索六索七索九索九索東東  ツモ七万

と、絶体絶命。孤立牌の一索は荒のロン牌。
フラットな状況なら当然打一索となるこの形から…五月女さんは一索を切らない。打五万と放銃回避。次巡ツモ二索とアタリ牌の一索がターツとなり、方針変更。12巡目に、

六万七万八万一索二索三索四索五索六索七索九索東東

一気通貫のテンパイに。
このテンパイがついた瞬間の親番斉藤さん、

二万三万四万五万六万六万二索四索八索二筒四筒七筒七筒  ツモ二筒

こちらも打八索となりそうなところだが…
六万と放銃回避。対局に入りきっているように感じるアマチュア選手の両者。そしてディフェンス力の高さ。

結果、荒が八索を掴み五月女さんへの2,600の放銃で決着。

よく考え直してみよう。
1回戦ラスの荒が、リャンメンチー。それも三万四万四万からの二万をチーなのだ。
これはもう、緊急事態であると。

A1リーグで荒と共に長く戦ってきた者ならば、荒のこのアクションに恐怖を感じるのは各者の共通見解であろう。荒がチーなのだからテンパイは明白。ドラの中が恐らく刻子である以上、荒の待ち取りは二万五万以上の待ちになっているはず。それならば…この一索は危険牌の1つであろう。

ここまでの推理はわかる。
しかし、それでも自分に甘え、欲に駆られて打一索としてしまうのが並の打ち手であろう。
結果的に五月女さんは一索を切らなかった。そして一索がアタリ牌であった。さらに八索でアガリ切った。これが五月女さんの力なのだ。補足しておくと、八索を切り出さなかった斉藤さんも同等の評価を受けるべき打ち手であると思う。

 

100

 

この安定感とディフェンス力を見ると、五月女さんと斉藤さんのどちらかが大金星を挙げる可能性が高まったように思えた。そして、それがフロックではなく、ここまで勝ち上がってきた真の力であるという事の証明にもなるはずだと。

アマチュア選手2人のスーパープレーが、戦っている選手の目に映っていたかどうかは定かではない。しかし、このプレーが、明らかに1人の男の心に火をつけた。

 

100

 

東2局、優勝する為には是が非でも落とせない藤原の親番。
9巡目、理想的なツモ発でのテンパイを果たしリーチに。

七万七万九万九万九万三索四索五索五筒六筒発発発  リーチ  ツモ四筒  ドラ四索  裏九万

予選道中、準決勝、そして決勝。
数々のスーパープレーを見せてきた藤原に、麻雀の神様が、いや、小島武夫が届けてくれた裏ドラ3枚のプレゼント。

「このアガリで、五月女さんとほぼ並びになったことはすぐにわかった。ツモって4,000オールでも嬉しいのに、普段乗らない裏ドラが3枚も乗ったという事は、何か見えない力が背中を押してくれているようにも感じたんだ。」

藤原はこのアガリで五月女さんを1.2Pかわしてトータルトップに躍り出た。
まだ先が長いとはいえ、この6,000オールには点棒以上の価値があったはずだ。

東3局2本場は藤原が斉藤さんに2,600の放銃。
東4局、斉藤さんが藤原に2,000の放銃。

重い空気の中、終局に向かって一歩ずつ近づいている。

南1局、最後の親番の斉藤さん、10巡目リーチに。

七万八万三索四索五索七索八索九索三筒四筒五筒発発  リーチ  ドラ三万

この親リーチに荒がかぶせる。12巡目、リーチを宣言。

一万二万三万四万五万六万二索三索四索六筒六筒七筒八筒  リーチ

五月女さんも追いつく。同巡、タンヤオイーペーコーのテンパイをヤミテンで押す。

二万三万四万五索六索六索六索七索五筒五筒六筒七筒七筒

この3者の争いは、親番の斉藤さんが粘りこむ。荒から九万で2,000の出アガリ。

何とか粘った斉藤さんであったが、続く南1局1本場、五月女さんは何と2巡目テンパイ。斉藤さんの親番を落としにリーチで攻め立てる。

四万五万六万七万八万九万五索五索五索六索九索九索九索  リーチ

あっさりと五月女さんがツモって500・1,000は600・1,100。
斉藤さんの最後の親番を落とすことに成功。

親番が落ちた斉藤さんだが、この時点ではたった1万点程の差しかない。そんな斉藤さんに値千金のテンパイが。南2局9巡目、

二索二索七索七索九索九索東東西西発中中  ドラ八万

メンホン七対子の発タンキに。これをアガれば一気の再浮上も見えてくるところ。
しかし親番の藤原も譲れない。
10巡目藤原、こちらはドラを暗刻にしてのイーペーコードラ3の超勝負手。藤原らしくここは当然のヤミテンに。

四万五万八万八万八万四索四索一筒一筒二筒二筒三筒三筒  ツモ三万

斉藤さんの発は山に2枚。対して藤原の三万六万は山に4枚。
13巡目、藤原が手にしたのは待ち望んだ三万
初代小島武夫杯帝王位の座をグッと手元に引き寄せる4,000オール。これで優勝への道が一気に広がった。

南2局1本場
追いかける立場の3者。1局も無駄に出来ない。
斉藤さんはタンピン三色の1シャンテン。
荒はドラ暗刻の1シャンテン。
そんな中、五月女さんは12巡目三色のテンパイ。当然即リーチに。

四万五万六万四索六索二筒三筒四筒四筒五筒六筒南南  リーチ  ドラ二筒

しかし…
このリーチはジュンカラ。
同巡斉藤さん、三色ならずのタンピンテンパイ。点数が必要な斉藤さん、ここはまだヤミテンを選択。

二万三万四万五万六万七万五索五索六索七索六筒七筒八筒

ここは両者痛み分け。
丁寧に対応した藤原の親番が落ち、残すはあと2局。

南3局2本場親番の荒、10巡目東ポンでホンイツのテンパイ。
満貫を引きアガれば、荒にだってまだまだチャンスがひろがってくるはず。

二筒三筒四筒五筒五筒九筒九筒発発発  ポン東東東  ドラ四万

しかしそんな荒の前に立ちはだかったのは、逆転を目指す五月女さん。
12巡目渾身のリーチを放つ。高目がドラのタンピンリーチだ。

五万六万七万七万四索五索六索六索七索八索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ七万  ドラ四万  裏発

なんとここでも一発ツモで2,000・4,000は2,200・4,200。一気に藤原を再逆転。再度トップに躍り出た。
そしてこのアガリで、斉藤さんと荒の小島武夫杯は幕を閉じる事になってしまったのだ。

泣いても笑っても最後のオーラス。最後は2人のマッチレース。
五月女さんと藤原の差は4.3P。1,000・2,000のツモアガリか、2,600の直撃。周りからは5,200の出アガリが藤原の逆転条件。

五月女さんは伏せても逆転される事はない為、実質この1局で勝負が決まる。

南4局。勝利の女神が微笑むのは、五月女さんか、藤原か。
流局OKの五月女さんは、序盤から安全牌を確保しながらの手牌進行。無事終局する事を祈る。

対する藤原は、タンヤオベースで手を進める。13巡目、条件を満たすイーペーコーが完成してテンパイ。後は四筒七筒をツモるだけ。
山には七筒がたった1枚眠っているのだが…

三索三索三索六索六索七索七索八索八索二筒二筒五筒六筒  ツモ七筒  ドラ八筒

思い起こせば、予選道中から準決勝〜決勝と、数々のドラマが繰り広げられた『小島武夫杯帝王戦』。逆転に次ぐ逆転、さらには高打点の応酬、小島武夫のイズムを継承する打ち手達が、プロアマ問わず卓上で躍動し続けた2日間だった。

最後まで勝負の行方は全くわからなかった。
それは、戦いに挑んだ全ての選手が同じ思いの下、ゲームを創り上げてきたことに他ならない。

そして最後は、小島武夫を敬愛し、そして小島武夫にも寵愛されたこの男が、たった1枚の七筒を掴み取った。

タンヤオ、ツモ、イーペーコー。1,000・2,000のツモアガリでの逆転優勝。
藤原隆弘が第1期小島武夫杯帝王戦の頂点に立ったのだ。

 

〜戦いを終えて〜

4位 荒正義
『今のはしょうがないと思うんですけど、予選から今日まで6回やって5回トップだったんです。小島さんが背中を押してくれているのかな…と思ったら、決勝になったらガラッと風が変わってしまって。ありがとうございました。』

3位 斉藤健人(北関東支部代表)
『決勝は予選と違って手が入らなかったんですけど、 発タンキのメンホン七対子をテンパイした時にはチャンスがあるかな…と思ったんですが。久々に競技麻雀をやってみたんですけど、やっぱり面白いなって思いました。』

準優勝 五月女義彦(関西代表)
『最後、アガリにいけない状態だったので、自分でいきたかったなっていう気持ちはあります。森山会長が予選開始の際の挨拶で、藤原さんの名前を挙げた事がちょっと頭をよぎりました。なんかあるのかなぁというのは感じました。予選からずっと手が入っていたので楽しく打たせて頂きました。』

優勝 藤原隆弘
『ボーっとしてますね。僕なんかが勝っちゃっていいのかなと思うんですけど、50年くらい前に、中学生の時に11PMに出ている小島先生を観て、麻雀プロってカッコいいなって思って、それがキッカケでこの世界に入ってきた中の1人なので、勝ててメチャクチャ嬉しいです。森山会長、東京本部のプロ代表で出してもらって本当にありがとうございました。
(対局を振り返って)
あんまり覚えてないですけど、スゴイ手が入ったんで…1回戦ちょっと大事に行きすぎて日和過ぎて情けないなと思って、自分の顔を引っ叩いて2回戦に臨みましたけど、これだけ手が入ってくれたのは(小島)先生のおかげかなと思って。先生、ありがとうございました。今日、夢に出てきてほしいです。応援してくれている人のパワーのおかげで、手が入って勝てたと思います。本当にありがとうございます。』

 

100

 

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今回が第1期となった『小島武夫杯帝王戦』。
栄えある第1期は藤原隆弘の優勝で幕を閉じた。
普段から技を磨き研鑽を重ねる麻雀プロ達が、地方に居を構えながら、麻雀を愛し麻雀と共に生きるアマチュア選手達と、『小島武夫』の冠を賭けて真剣勝負をすること。
それぞれの仲間たちの想いを背負って、地区を代表して勝負に挑むこと。
皆に愛し愛され、そして憧れた『小島武夫』の存在の大きさ。
それらを実感することが出来た『小島武夫杯帝王戦』
そんな素敵な大会に、ほんの僅かではあるが携わることが出来た事を本当に嬉しく思う。

数々の対局を目にしてきたが、本当にお世辞抜きに素晴らしい対局の数々であった。
プロアマでの映像対局としては、間違いなくここ近年のベストバウトであろう。
まだ目にしていない方は、時間が許すならば是非全ての対局をご覧になって頂きたいとおもう。それくらい素晴らしく凄まじい戦いの連続であった。

その対局をどこかで見守ってくれているであろう、小島先生。
そしてこの対局を目にして、いつかこの舞台で戦ってみたいと思う若者達。
全国各地で麻雀と向き合っている全ての方々の為に、この大会を未来永劫継続していく事が出来るよう、日々の活動に邁進していこうと心から思っている。

この場を借りて、この大会の設立、運営、放送に関わって下さった全ての皆さまに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

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第17期プロクイーンベスト16A卓レポート 

1回戦(起家から吾妻、渋谷、仲田、水口)

第17期プロクイーン ベスト16 A卓は、対局開始2分、親・吾妻の四暗刻ツモ16,000オールによって幕が開いた。
第8、9期女流桜花連覇 吾妻さおり

 

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東2局1本場、前局4,000オールをアガった渋谷の親リーチ。

六万六万六万六索七索八索一筒一筒三筒四筒五筒六筒八筒  リーチ  ロン七筒  ドラ七索  裏一筒

ラス牌を掴んだ吾妻の放銃。
初タイトル奪取に気合いが入る渋谷菜瑠美が2局連続の親の満貫をアガる。

 

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続く東2局2本場、仲田がこの半荘2度目となる四暗刻を終局間際にツモアガる。
女流桜花3連覇 仲田加南

 

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ここまで放銃はしていないが、他家のツモアガリによって大きく持ち点を削られてしまった水口が、意地の3,000・6,000をツモアガリ迎えた親番。

四万五万六万六索六索七索八索九索二筒三筒四筒七筒八筒  リーチ  ロン九筒  ドラ四索  裏六万

九筒のトイツ落としが間に合わなかった吾妻の放銃となった次局、水口にダブルリーチの手が入る。

二万二万三万三万三索四索五索四筒五筒六筒九筒九筒九筒  ダブルリーチ  ツモ二万  ドラ西  裏九万

11巡目にダブルリーチの2,600オールをツモアガリ、昨年、決勝で悔しい思いをした水口が一気にトップ目に立った。
第16期プロクイーン決定戦で5位となった水口美香(日本プロ麻雀協会)

 

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この後、渋谷の1人テンパイで流局し大物手が多く出た東場が終了した。

南1局5本場、親の吾妻が7巡目にメンタンピンの先制リーチを放つが、そこに水口が無筋を4枚押しきり追っかけリーチ。

四万五万六万四索五索六索六索六索五筒六筒九筒九筒九筒  リーチ  ロン四筒  ドラ白  裏二索

吾妻が一発で高めの四筒を掴み満貫の放銃。この放銃によって親の四暗刻をアガった吾妻が持ち点30,000点を割ってしまう。

南3局、水口は再び吾妻からダメ出しの満貫を討ち取り、最後は2着キープとなる仲田の2,600によって役満が2度飛び出すといった激動の半荘が終了。

1回戦成績
水口美香+39.4P 仲田加南+8.3P 吾妻さおり▲14.4P 渋谷菜瑠美▲33.3P

 

 

2回戦(起家から仲田、水口、渋谷、吾妻)

1回戦とは裏腹に安いアガリが続いた2回戦だったが、南2局、仲田が均衡を破る。
3フーロしてのトイトイの満貫を終局間際にツモアガリトップ目に立つ。

 

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1回戦ラスになり、この半荘マイナスだけは避けたい南3局渋谷の親番であったが、リーチ宣言牌であるドラの北を水口に放銃。

 

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南4局、ここまで苦しい渋谷が、2,000をアガるも2戦連続でのラスとなってしまった。

2回戦成績
仲田加南+23.2P 水口美香+6.6P 吾妻さおり▲4.4P 渋谷菜瑠美▲25.4P

2回戦終了時
水口美香+46.0P 仲田加南+31.5P 吾妻さおり▲18.8P 渋谷菜瑠美▲58.7P

 

 

3回戦(起家から仲田、渋谷、水口、吾妻)

この半荘どうしてもトップが欲しい渋谷は、南2局まで小さなトップを守り抜くものの、南3局水口の親番。5,800を皮切りに4,000オールをアガリ、続く2本場。
8巡目に水口から先制の親リーチ。ここで引けない渋谷が七対子のテンパイを入れる。

 

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無情にもこのリーチ宣言牌が水口への12,000放銃。
このアガリよって水口がベスト16突破を確定づけ、一方の渋谷はベスト16突破が絶望的となってしまう。
ここからは残り1つのイスをかけた仲田、吾妻の戦いとなる。
この半荘、仲田よりも上の着順でないと最終戦の条件が厳しくなってしまう吾妻が、5,200、2,000オールとアガリを決めて2着をキープし最終戦に臨みを残す形で3回戦が終了。

3回戦成績
水口+36.0P 吾妻+7.1P 仲田▲3.8P 渋谷▲39.3P

3回戦終了時
水口+82.0P 仲田+27.7P 吾妻▲11.7P 渋谷▲98.0P

 

 

最終戦(起家から渋谷、仲田、吾妻、水口)

水口はほぼ当確、仲田と吾妻の差が39.4ポイント、渋谷が絶望的となった最終戦。
順位点は1着順1万点のWRC ルールのため、吾妻はトップが最低条件であるとともに並びが大事になってくる。

東2局吾妻が3巡目にリーチ。これを力強く一発でツモアガる。

四万五万二索三索四索一筒一筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ三万  ドラ四索  裏七万

このアガリで一気に仲田を交わした。

 

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このまま接戦で迎えた南3局親番の吾妻が先制リーチ。

 

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この同巡に仲田もカン三筒をいれて勝負の追っかけシャンポンリーチにでる。

 

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場に緊張が走った数秒後

 

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仲田が勝負を決めるラス牌の北を一発ツモ。
このアガリが決め手となり、仲田がベスト8へと勝ち進む2つ目のイスを勝ち取った。

最終戦成績
渋谷+28.6P 仲田+7.2P 吾妻▲9.9P 水口▲25.9P

最終戦終了時
水口+56.1P 仲田+34.9P 吾妻▲21.6P 渋谷▲69.4P

勝ち上がり 2位通過 水口美香 2位通過 仲田加南

第1期小島武夫杯帝王戦 準決勝観戦記 望月 雅継

『小島武夫杯帝王戦』

これは、全国で行われているプロアマリーグなどを予選とし、プロ連盟の地方本部支部8地区(北海道、東北、中部、関西、九州、北関東、北陸、静岡)から各地区プロ代表2名、アマチュア代表2名の計32名が、東京本部の代表プロ16名と、アマチュアの巣鴨道場代表、ロン2代表、麻雀格闘倶楽部代表合わせて16名、合計64名で争う今年度から新しく設立されたタイトル戦である。

日本プロ麻雀連盟初代会長で“ミスター麻雀”と呼ばれ親しまれた、

『小島武夫』

の名を冠にしたこの大会。単なる一つのタイトル戦の設立とは訳が違い、麻雀ファンを心から愛した小島プロの理念にも沿った、全ての麻雀ファンが目指すべきタイトル戦になるように、夏目坂スタジオがアマチュア選手にとっての"麻雀の甲子園”になるように祈念して設立されたタイトル戦である。

当然プロ側の熱量も凄まじく、普段のタイトル戦やリーグ戦以上の真剣勝負が繰り広げられた。また、アマチュア選手や地方プロにとってもこのような機会は貴重な場であり、それぞれの地区を背負っての戦いとなっていただけに、王位戦やマスターズ、またファン感謝祭などのプロアマイベントとも違った新しい雰囲気での大会の盛り上がりとなっていたように感じた。

初年度である第1回の今回は、故小島武夫プロにゆかりのあるプロから選出された選りすぐりのトッププロばかり。
小島武夫杯の名に相応しい選手が、7/20、21に東京に集結し、栄えある第一期の小島武夫杯帝王戦の頂きを目指して熱戦が繰り広げられたのだ。

ルールは一発、裏ドラありのWRCルール。
準決勝は各卓80分プラス1局、決勝は各回100分プラス1局となる。
決勝に進出出来るのは各卓から1人だけ。
トップ者だけが決勝に進出する事が出来る厳しいサバイバルレースだ。

それでは準決勝の各卓を振り返っていこう。

 

 

準決勝A卓

滝沢和典(予選16位)
『最後まで気を緩めずにしっかりと打ちたいと思います。』

黒田隆明(予選9位、九州代表)
『山口で普段は対局しています。恐れ多い卓に入らせて頂きましたが、遠く山口からでもアマチュアとしてこういった場所に立たせて頂けることに感謝しながら戦いたいと思います。』

森山茂和(予選8位)
『最悪の卓ですね。なんで荒プロと滝沢プロと戦わないといけないんだ…小島武夫は一体何を考えているんだ(笑)はっきり言いましてこの対局が一番の勝負所です。そういうつもりで戦います!』

荒正義(予選1位)
『昨日はちょっと出来が良すぎたんですけど、今日はそれが残っているかどうか。小島先生に喜ばれるような麻雀をみせていきたいと思います。』

(起家から、滝沢・黒田・森山・荒)

A卓はアマチュア選手が九州代表の黒田さん1人。
対するプロは森山、荒、滝沢と、プロ連盟を代表するレジェンドがいきなりの登場。
勝手知ったるプロ3人は自分の仕事をするだけだろうが、この3人に囲まれた黒田さんの心中を察すると、緊張感だけでなく脅威すら感じる事だろう。黒田さんには臆することなく自身の麻雀を打ち切ってもらいたいと願う。

開局、まずは先手を取ったのは親番滝沢。
7巡目、先制リーチと打って出る。

四万五万六万三索四索九索九索五筒六筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ロン二索  ドラ北  裏東

ここに飛び込んでしまったのは黒田さん。
滝沢の第一打には三索が光っていた。
丁寧に二索三索のターツ落としを選択した事が裏目に出てしまったか。裏ドラが乗らなかった事が幸いか。
滝沢としては打点的には不満残りも、まずまずのスタートを切ったといってもいいのではないか。

東2局、今度は黒田さんの親番。
ドラのトイツが黒田さんと荒に。
時間はかかったが、13巡目、黒田さんに高めツモ跳満のテンパイが。迷う事なくリーチを宣言する。

六万七万八万三索三索四索四索五索三筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三筒

このリーチに対して14巡目、森山に七対子のテンパイ。

三万三万五万五万七万七万九万九万八索五筒五筒北北  ロン八索

黒田さんの勝負手を、森山がキッチリと捌く。
黒田さんにとっては本当に痛恨の1局となってしまった。

局は進んで東3局1本場、後に滝沢がこの局の対応を悔いた局だ。
最初にテンパイは荒。7巡目、

二万二万四万五万六万七索八索九索三筒四筒五筒五筒七筒  ドラ二索

ここは即リーチではなく、じっくりと手牌変化を待ってのヤミテンに構える。
しかし先制リーチは滝沢。11巡目、高め三色のピンフテンパイをリーチに。

六万七万三索四索五索五索六索七索九索九索五筒六筒七筒  リーチ

荒、ツモ四筒。この変化を待っていた荒は真正面から滝沢に勝負を挑む。

二万二万四万五万六万七索八索九索三筒四筒四筒五筒五筒  リーチ  ロン三筒  ドラ二索  裏発

荒のこの判断が大正解。
先制リーチの滝沢から高めの三筒を討ち取り3,900は4,200と浮上のきっかけを掴んだか。

続く東4局、親番を迎えた荒、配牌ダブ東暗刻の超勝負手。
安めのツモ二万ながらも、4巡目リーチに。

一万一万二万三万四万四索五索六索七索八索東東東  リーチ  ツモ六索  ドラ五万  裏五索

当然のようにあっさりと六索ツモ。持ち点は50,000点を超え、荒は一気に独走態勢に入る。
連荘を続けたい荒、続く東4局1本場12巡目リーチ。

三万四万五万七万八万九万三索三索七索七索七索二筒四筒  リーチ  ドラ九筒

このリーチを受け、ここまで苦しい展開の続く黒田さんであったが13巡目に追いつきテンパイ。
リーチの選択もあるも、ここはヤミテンに。

五万六万七万八万九万七索八索八索八索八索九索五筒五筒

このヤミテンの判断が大正解。生牌の北を引いて受ける。
次巡、荒のアタリ牌を引いていただけに、黒田さんとしては好判断の1局となった。

この粘りが活きたか、東4局3本場、黒田さんにドラ暗刻の勝負手が入る。
7巡目二筒ポン、10巡目八筒引きでテンパイ。

六筒七筒八筒東東西西西白白  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ドラ西

仕掛けを受けた滝沢であったが、10巡目リーチに踏み切る。

一索一索三索四索五索七索八索九索五筒六筒七筒白白

白は互いの手に。滝沢の一索が2枚、黒田さんの東が1枚。この勝負の行方で展開は大きく変化するのだが…
ここは滝沢が一索をツモって700・1,300は、1,000・1,600。
黒田さんとしては荒を追いかける大チャンスを逃した形となってしまった。

荒を追いかける3者。
各自の親番は加点チャンスだけに、南入してからは一局一局が勝負となってくるはずだ。

まずは滝沢の親番。何とか連荘をしたいところだったが、先手を取ったのは森山。南1局1本場9巡目リーチ。

二万三万四万五万六万七索七索五筒六筒七筒  暗カン牌の背二索 上向き二索 上向き牌の背  リーチ  ロン一万  ドラ九索四索  裏一索九索

待ちは文句なし。暗カンして裏ドラチャンスでもあったが…
荒が放ったのは安めの一万。裏ドラも乗らず1,600は1,900。荒にとっては助かったと言えるだろうか。
森山とすれば荒からの直撃は追いかける立場としてはプラスに考えるところだろう。
逆に親番が落ちた滝沢とするとかなり厳しい状況に追い込まれた。

続く南2局は黒田さんの親番。しかし手牌が苦しい。
逃げる立場の荒、10巡目テンパイ。も、役無しのカン八万。ここは当然のヤミテンに構える。

一万二万三万七万九万三索四索五索北北北白白  ドラ九筒

親番の落ちた滝沢、加点が欲しいだけに僅かな望みに賭けて11巡目に先制リーチ。

三万四万四万五万六万八万八万七索八索九索七筒八筒九筒  リーチ

現在2着目の森山16巡目、ホンイツのチーテンに

三筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒白白  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き

この2人の攻勢に挟まれては、黒田さんとしてはかなり厳しい状況となってしまった。
最後まで可能性を探るものの、無念のノーテン。滝沢、森山の2人テンパイで、黒田さんとしてはここで事実上の敗退となってしまった。

残るは後2局。森山と荒の親を残すのみ。時間的にも残り3局がギリギリといったところ。
追手の森山としては、荒との点差約20,000点をどうやって詰めていくのかがカギとなるだろう。

そんな森山に大チャンスが訪れた。

南3局1本場森山14巡目、チャンタ三色のテンパイ。
引き上がっての跳満狙いも十分に考えられるところだが、森山は荒からの直撃を狙いに慎重にヤミテンに構える。

一万二万一索二索三索一筒二筒三筒九筒九筒九筒西西  ロン三万  ドラ二索

テンパイの前巡、荒は1シャンテンから一万三万のカンチャンターツを払って打一万
この一打を森山の目は見逃さなかったのだ。
まさにこのタイミングしかない絶好のヤミテンは、荒が築き上げたポイントを一瞬にして奪い取る、チャンタ三色ドラ1。一気に形勢は逆転し、今度は荒が追いかける立場に。
小島武夫の系譜を継承する森山らしい一撃。このアガリは本当に価値のある12,000となったのだ。

こうなると、荒も滝沢もターゲットは森山となる。
南3局2本場、滝沢8巡目テンパイも、打点が足りない。

五万五万三索七索七索九索九索八筒八筒南南西西  ドラ九万

七対子のテンパイも、ドラの九万を引くまではリーチには踏み込めないだろう。
対する荒は9巡目、役牌三暗刻のテンパイ。

一万一万一万四万五万六万六万二索二索二索発発発  ロン六万

このテンパイを果たした瞬間に、80分のコールが鳴る。この局プラス1局での終了が確定。
対局者に残された局は残り2局。
勝ち上がりの為には前に出るしかない九州代表の黒田さん。ドラの九万が対子の七対子を決める為には、六万を切り出す道しか残されていなかった。

役牌三暗刻は60符3翻の8,000は8,600。
森山を再度逆転して、残り1局となった。

荒と森山の差は2,900。
滝沢は倍満ツモも僅かに届かず。
実質的に2人のアガリ勝負となった。

南4局、泣いても笑ってもこの局で終了となる。

まずは荒が仕掛ける。
3巡目、東ポン。自力でアガって勝ち上がりを決める腹であろう。
難解な選択も残っていたが、10巡目、荒は見事にテンパイを果たす。

四万五万七万八万九万八索八索四筒五筒六筒  ポン東東東  ドラ一筒

が、この待ちは既に山に1枚。
すぐに滝沢に吸収され、自力でのツモアガリはない状態に。
後がない森山、1シャンテンが長く焦れるところだが、13巡目テンパイ。

二万三万四万二索三索四索三筒四筒五筒五筒六筒八筒八筒  リーチ  ドラ一筒

ヤミテンで直撃かツモアガリ。滝沢と黒田さんからは出アガリが出来ない。しかし状況が状況だけに、2人からの出アガリは恐らくないであろう。

それでも森山はリーチを選択した。
これが森山の中に脈々と流れている【小島イズム】なのだろう。“魅せて勝つ”道を選んだように感じた。

結果…
荒、森山の2人テンパイ。
最後まで手に汗握る戦いとなったが、荒の勝ち上がりで準決勝A卓は幕を閉じることになった。

〜戦いを終えて〜

黒田隆明(予選9位、九州本部代表)
『攻めていいのか、判断に迷う局が多かった。あんまり覚えてないです。』

滝沢和典(予選16位)
『567高め三色のリーチが満貫になるからって理由だけでリーチしてしまったのですが、あのリーチをヤミテンにしていたらどうだったか…?後は難しかったです。』

森山茂和(予選8位)
『(12,000直撃のシーンを振り返って)荒プロが一万を切ってきたから、ひょっとしたら三万が出るかもと思って。その後の荒プロの満貫が凄かったね。荒プロおめでとうございます。』

荒正義(予選1位)
『(東3局1本場の)カン六筒をずっとヤミテンにしていて、四筒と振り返って三筒でアガれたから、手ごたえはかなりあった。次の配牌を見たら『ほら来た!』って感じだったので。(森山に放銃した)三万は、嫌な気がしていたんですよ。切らなくてもいいじゃないですか。やめちゃおうかなぁと思ったんですけど…勝てて良かったです。ありがとうございました。』

 

 

準決勝B卓

丹野賢一(予選7位、巣鴨道場代表)
『2月に行われたプロアマオープン優勝で本大会に出場の権利を頂きました。僕が麻雀を覚えた80年代、小島さんはスーパースターでよくその姿を見ていましたので、その冠がついた大会に出られる事は光栄に思っています。今日は頑張ります。』

宮内こずえ(予選15位)
『A卓が素晴らしすぎて…観てて逆に緊張しちゃってて、いつもの麻雀を打てるかはわからないですけど、小島先生に女流で一番お世話になったのは私だと思うので、小島先生の力をお借りしてここを勝ち抜きたいと思います。』

五月女義彦(予選2位、関西本部代表)
『関西プロアマリーグの昨年度の上位者で戦って勝ち抜いてきました。プロアマリーグには15、6年出場させてもらっています。昨日の予選は手が入ってツキすぎていたので、今日はどうなるかわかりませんが、出来ることはやって頑張りたいと思います。』

中庭三四郎(予選12位、ロン2代表)
『ロン2予選を勝ち上がってきました。手元がおぼつかないのでご了解をお願いします。どんな状況でも、出来る限りの事をやって楽しみたいと思います。』

(起家から、丹野・宮内・五月女・中庭)

先程のA卓はプロ3人の対局だったが、こちらB卓はプロが宮内1人。アマチュア3人が宮内に対して挑戦する形となった。
とはいえ、丹野さんはプロアマオープン優勝者、五月女さんは関西競技麻雀界の強豪、中庭さんは厳しいロン2予選を勝ち上がっての準決勝進出だけに、どんな結果になるのか想像もつかない戦いとなった。

局が動いたのは東2局1本場、五月女さんは5巡目テンパイも、テンパイとらず。まだまだ余裕がありそうだ。
6巡目丹野さん、ペン三万をチーして、東とドラの白のダブルバックに。

五万六万二筒四筒五筒六筒東東白白  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ドラ白

五月女さん7巡目、理想的なツモ二索でリーチを宣言。

二万三万四万一索二索二索三索三索六索七索八索三筒三筒  リーチ  ロン四索  ドラ白  裏東

東をポンした丹野さんから四索が出て2,000は2,300。初アガリにホッと一安心の五月女さん。堂々とした打ち回しに自信の色が窺える。

さらに五月女さんは攻める。東3局、丹野さん7巡目リーチを受け、

五万五万三索四索五索一筒一筒一筒二筒三筒四筒五筒七筒  リーチ  ドラ五索

親番の五月女さん、9巡目に追いつきリーチに。

六万七万一索二索三索四索五索六索五筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン八万

安全牌に窮した中庭さんから5,800の価値あるアガリ。五月女さんはまずは一歩抜け出す事に成功する。

このままでは五月女さんペースか…
と思われた瞬間、ここでロン2代表の中庭さんがベールを脱ぐ。

東3局1本場、前局気持ちいいアガリを決めた親番の五月女さん、次局の配牌はなんと、

二万三万四万五万六万七万八万二索三索六索三筒四筒六筒六筒  打六索  ドラ白

234三色含みの1シャンテン!一気通貫も視野に入れ、第1打は当然打六索
ここでロン2代表の中庭さんがこの六索にポンの声。次巡南ポンで役が完成し、

七万九万四筒九筒九筒九筒西  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ポン南南南

ツモ五筒西八万チー打九筒で、あっという間のテンパイに。

四筒五筒九筒九筒  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ポン南南南  チー八万 左向き七万 上向き九万 上向き

この仕掛けによって、好配牌の五月女さんは無情にも迂回を選択。
五月女さんの6,000オールが見える配牌を、六索ポンの一声で潰した形となった中庭さん。結果、最後には再度テンパイ復活した五月女さんから1,000の出アガリ。
点数は安いものの、五月女さんのチャンス手を封じ込めた中庭さんの仕掛けには恐れ入った。

中庭さんが魅せるのなら、丹野さんだって負けてはいない。
東4局、丹野さん2巡目、

三万五万二索三索四索五索八索九索一筒四筒五筒西西  ツモ三万  ドラ一筒

さぁここから何を切る?
色々な手役の可能性がある中、丹野さんは何と打五万!この手が7巡目にはドラを重ねて、
リーチを宣言。

三万三万三万三索四索五索七索八索九索一筒一筒四筒五筒  リーチ  ツモ六筒  ドラ一筒  裏一筒

形を見ればドラの一筒を重ねた理想的なリーチに。
しかし難解な手筋なだけに、このテンパイ形を組める男が世の中にどれくらいいるのか?
そして当然のように一発ツモ。裏ドラも一筒で3,000・6,000。丹野さんが一気に抜け出し、南入へ。

ここまで息を潜めていた宮内、ようやく一つ結果を出す。
南1局、まずはアクションを起こしたのは中庭さん。7巡目一索ポン。次巡二索ポン。で一気にチンイツへ。

五索五索七索七索八索九索発  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ五索

対する宮内は9巡目テンパイ。ここは平和と三色の変化をみて打白でヤミテンに。

二万二万四万五万六万四索五索六索七索八索九索五筒五筒

この白を丹野さんがポンテンにとる。

五万六万九万九万一筒二筒三筒三筒四筒五筒  ポン白白白

宮内としては、この手を最高形に仕上げたかったところだが、ここはそのまま宮内のツモアガリで500・1,000。ようやく南入しての初アガリ。追撃態勢を整える。

局は進んで南3局1本場、ここまで苦しい展開の中庭さんが切り込む。
中庭さんは7巡目テンパイ。そして逆転を目指して即リーチに。

九万九万二索三索四索七索八索九索五筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  ロン九筒  ドラ五筒

このリーチに飛び込んだのはトップ目の丹野さん。裏ドラは乗らなかったが、3,900直撃で本当に誰が勝ってもおかしくないオーラスとなった。

トップの丹野さんが34,000、2着の五月女さんが32,800。その差僅か1,200点。3着の宮内が29,500で4,500点の差。3,900直撃か、1,000・2,000ツモ。脇からは5,200。中庭さんは23,700だがオーラスの親番。本当にわからない点差だ。

そして迎えた南4局、好配牌は中庭さん。逆に苦しいのは丹野さん。宮内は条件つきの手組や仕掛けが必要で、五月女さんは早くテンパイしたいところ。

宮内8巡目、2枚目の中をポンしてトイトイに。
連荘を狙う中庭さん、同巡リーチに。場合によっては一気の浮上も考えられるリーチだ。

五万五万七万八万九万二索三索四索五筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  ドラ五筒

勝ち上がりには後が無い宮内、11巡目、二万をポンしてドラの五筒を勝負に出る。これで勝ち上がりの条件は整った。

一万一万四索四索四索五索五索  ポン中中中  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き

この2人に追いついたのは五月女さん。同巡役無しながらテンパイに。
五月女さん、ここは腹を括ってリーチを宣言。

六万六万六万九万九万二索三索四索六索七索八索三筒四筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ五筒  裏六万

すると…五月女さんは何とこのリーチを一発ツモ。
さらに裏ドラが3枚のおまけつき。
色々な動きがあり、バラエティーに富んだ内容を見せてくれたB卓は、終始安定した打ち回しを見せた五月女さんが最後の直線で差し切り逆転勝利を収めた。

〜戦いを終えて〜

中庭三四郎(予選12位、ロン2代表)
『最後にツモって裏が乗れば逆転の手が入ったのですが…アガれなくて残念でしたが、私の実力が出た半荘でした。また研鑽して戻って来たいと思います。ありがとうございます。』

宮内こずえ(予選15位)
『最後はこうするしかないかなと思ったんですけど、南場の親番でもう少し粘れば良かったと思いました。』

丹野賢一(予選7位、巣鴨道場代表)
『南場、トップ目に立ってから鳴きで早めに流していきたかったんですけど、それが上手く実らなかったです。普段通りの戦い方は出来ました。』

五月女義彦(予選2位、関西代表)
『途中すごく手が入っていたのですが、それがことごとくアガれなかったんで…最後も親に1回アガってもらってと思っていたんですけど、1回勝負なんで。ツイてました。』

 

 

準決勝C卓

しーら(予選3位、巣鴨道場代表)
『この前この場所で負けているので、今日は頑張りたいと思います。』

稲岡ミカ(予選6位、関西本部代表)
『関西本部の予選があったんですけど、そちらで勝ちあがって本戦に出場しました。今日は最後まで悔いなく打てたらいいなと思います。』

藤原隆弘(予選11位)
『まだ準決勝なのでかかってはいないのですが、一発勝負、トップ条件という対局は今まで勝った事がないのであんまり自信がないのですが、トップ一本狙いでいきます。頑張ります。』

皆川直毅(予選14位、東北本部代表)
『東北の方やいろんな人に応援してもらっているので、イイ麻雀が打てるように頑張ります。』

(起家から、しーら・稲岡・藤原・皆川)

C卓はプロが3人。
関西代表の稲岡、東北代表の皆川と地方勢に、巣鴨道場代表のしーらさんと道場長の藤原。
東京VS地方勢といった見方も出来るか。
藤原としーらさんとは巣鴨道場でかなりの対戦回数があるとの事。相性も含め、当人たちにしかわからない感情もあるだろう。また藤原は、『小島武夫杯』という事でかなりの気合いが入っての戦いになっているはず。トップにしか意味の無いこの戦いは果たしてどんなドラマが見られるのだろうか。

東1局、最初のテンパイはしーらさん。
ピンフや一気通貫の変化があるこの形から、7巡目即リーチに打って出る。

七万七万一索一索三索四索五索七索八索九索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ七索

同巡稲岡、こちらもリーチに。真正面からぶつかり合う2人。

二万三万六万七万八万二索二索二索五索五索五筒六筒七筒  リーチ  ロン一万  ドラ七索  裏二万

時間はかかったが、稲岡がしーらさんから2,600の出アガリ。幸先の良いスタートを切った。

続く東2局は藤原VSしーらさんの1局。
藤原13巡目発のポンテンで、ホンイツのテンパイ。

五索六索七索八索八索八索九索九索北北  ポン発発発  ドラ八万

皆川16巡目七対子ドラ2のテンパイに。

一万一万三万八万八万四索四索西西北北白白

皆川は不穏な空気を感じてか、終盤だけにヤミテンを選択
しーらさん17巡目、藤原と同色のメンホンテンパイも…
余剰牌の九索が藤原のアガリ牌。

一索二索二索二索三索三索三索五索六索七索九索西西  ツモ一索  打九索  ドラ八万

しーらさんから藤原が5,200のアガリで一歩リード。しーらさんは2局連続の放銃で苦しい立ち上がりとなってしまった。
逆に藤原としては狙い通り。このリードを上手く活かせるか。

藤原の勢いは止まらない。
東3局、親番を迎えた藤原は5巡目リーチに。

六万七万八万四索五索六索八索八索六筒七筒八筒白白  リーチ  ドラ六万

ここも戦いを挑んだのはしーらさん。
9巡目テンパイ。こちらもリーチと勝負に出る。

一万二万三万七万八万九万三索四索五索六索七索七筒七筒  リーチ

稲岡10巡目テンパイ。稲岡はヤミテンを選択。
同巡皆川テンパイ。皆川もヤミテン。これで4者共にテンパイに。

しかし…
この激戦を制したのはまたしても藤原。
高目の白を引きアガっての4,000オール。本当に貴重な加点となった。

このままでは藤原のワンサイドゲームになってしまうのでは?と、誰もが感じ始めていた東3局1本場、ここでも攻めるのはしーらさん。
12巡目のしーらさん、ピンフイーペーコーのテンパイを即リーチに。

四索四索五索五索六索七索八索九索二筒二筒三筒四筒五筒  リーチ  ツモ六索  ドラ五筒  裏九索

4度目の正直とでも言えば良いのだろうか。しーらさんは高目六索を一発ツモ。
裏ドラも乗せて3,000・6,000は3,100・6,100。失点を一気に挽回して、2着目に浮上。藤原追撃の一歩を踏み出した。

南1局、さらに勢いをつけたいしーらさんの親番。
藤原6巡目テンパイも、ドラ単騎の仮テン。手牌の変化を求める。

七万八万九万二索三索四索五索六索七索三筒四筒五筒七筒  ドラ七筒

稲岡7巡目、カン三筒のチー。 そして10巡目八万チーでこの形。

三万四万四索五索七筒七筒南  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き

仕掛けたものの、まだまだアガリまでは時間が掛かりそうだ。
対する親番のしーらさんは11巡目、発を暗刻にしてテンパイ。待ち取りの選択があるも、二万五万でリーチに。

二万三万四万五万八索八索八索五筒六筒七筒発発発  リーチ  ロン二万  ドラ七筒  裏五筒

稲岡15巡目に五万を引いてテンパイ。
次巡ツモ二万は止まらない。痛恨の12,000の放銃で脱落。しーらさんはこのアガリで藤原に肉薄。一対一の構図になってきた。

南1局1本場、しーらさんはまだ攻め抜く。
しーらさん8巡目、稲岡から放たれたドラの六筒をポン。そして稲岡から南が出て12,000は12,300。藤原を一気に捲ってトップ目に躍り出た。

三万三万四索四索四索六索七索八索南南  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き  ロン南  ドラ六筒

稲岡としてはこの放銃で敗退がほぼ確定。
トップしか意味のない戦いで、最終的な手を見ると放銃も仕方なく映る。
しかし序盤からの手牌構成を丁寧に進めると、ドラを組み込んだ形にもなり得ただけに、ドラを切り出したことが結果的には敗着。残念な放銃となってしまった。

ここまで受けに回る展開が多かった皆川。
手牌進行で後手に回る局面が多く、しーらさんの攻勢もあっては仕方ない部分もあったのかもしれない。しかし、決勝の椅子はたった1つ。このまま黙って見ているわけにはいかないだろう。

南1局2本場、皆川13巡目リーチ。

四万五万六万七万八万一索二索三索四索五索六索六筒六筒  リーチ  ドラ一索

こちらは無念の流局。
そして南3局皆川11巡目テンパイ。
メンホンの勝負手だけに時間を使って少考。そしてリーチを宣言する。

三万四万五万七万八万九万東東発発発中中  リーチ  ドラ五万

このリーチに立ちはだかったのは…やはり藤原。

四万五万二索三索四索四索五索六索四筒四筒  ポン南南南  ロン六万

皆川のリーチに屈するようなことがあると、藤原自身の勝ち上がりに黄信号が灯るところであったが、ここは皆川から六万を討ち取り親番キープ。勝ち上がりに可能性を残した。

局は進んで南3局2本場、しーらさん追撃の為には親番を落とせない藤原は9巡目、三色の手変わりを待たずに即リーチを宣言。

五万六万七万七万八万九万三索五索五筒六筒七筒九筒九筒  リーチ  ドラ五筒

しかしこの藤原のリーチは、

四索五索六索七索八索九索二筒三筒四筒五筒六筒北北  ロン一筒

しーらさんが藤原の現物の一筒を稲岡から出アガリ2,000は2,600。藤原のリーチ棒込みで3,600の収入。追いかける藤原、いよいよ後がなくなった。
しーらさんと藤原の差は12,300。条件的にはかなり厳しいか。

そして運命の南4局。
藤原9巡目七対子テンパイ。これでは条件に届かず。そして10巡目、待望のドラの西を引く。
しーらさんとは6,400直撃か跳満ツモアガリ。リーチを宣言してツモアガリにかけるか、しーらさんからの直撃を狙うか…

藤原はヤミテンを選択し、しーらさんからの直撃に賭けた。これは9巡目、親の皆川からドラの西が放たれた事も理由の1つ。この瞬間なら直撃の可能性もあるとみたのだ。

テンパイした次巡、しーらさんの手には西が届いた。そして12巡目、しーらさんテンパイ。打西。藤原の手が開かれる。

六索六索七索七索二筒二筒四筒四筒東東西白白  ロン西  ドラ西

この道しかないと思われる藤原の大逆転劇。
見事としか言いようがないアガリであったが、このアガリはまだこの後に巻き起こるドラマのプロローグであった事は、この瞬間には誰も想像出来なかった。

〜戦いを終えて〜

稲岡ミカ(予選6位、関西本部代表)
『いつも通りと言ってはなんなんですが…大体こんな感じです。南3局の一筒放銃は申し訳なかったです。最後は流石藤原さんといった感じでした。楽しかったです。ありがとうございました。』

皆川直毅(予選14位、東北本部代表)
『見せ場なかったです。(笑)南3局のメンホンはヤミテンだったな、と。入れ替えてまだ粘れたかなと思ったのですが。』

しーら(予選3位、巣鴨道場代表)
『楽しかったです。藤原さんとやる時は配牌がいつも悪いので、いつも通りだなと思っていたのですが、途中から段々と良くなって今日は勝てるのかなと思ったんですが。最後は悔しいですね。』

藤原隆弘(予選11位)
『皆川くんが西を切った時、稲岡さんが合わせなかったから西は山にあるかと。直撃の僅かな可能性にかけてそれが上手くいったと。奇跡的でした。』

 

 

準決勝D卓

斉藤健人(予選4位、北関東支部代表)
『北関東のプロアマリーグに出場しています。応援してくれている地元の方々もたくさんいるので、頑張って勝ち上がりたいと思います。』

山屋洋平(予選13位、北海道本部代表)
『今日は視聴者の皆さんに、印象に残るようなワクワクする麻雀を打ちたいと思っています。』

小泉陽平(予選12位、北陸支部代表)
『北陸プロアマリーグに出場しています。せっかく掴んだチャンスなので、一発勝負ですけど決勝に残れるような打ち方で頑張ろうと思います。』

葭葉(5位通過、巣鴨道場代表)
『巣鴨道場に週3回くらい行っています。最初で最後のチャンスだと思いますので、精一杯打ちたいと思います。ちょっと緊張していますけど、打っているうちに緊張もほぐれるかと思います。』

(起家から、斉藤・山屋・小泉・葭葉)

予選最終卓となるD卓。
ここまで様々なパターンの大逆転劇を見せてもらったが、このD卓でもあっと驚くようなプレーの連続であった。
プロは北海道本部代表の山屋ただ1人。
対するアマチュア選手は、北関東支部代表の斉藤さん、北陸支部代表の小泉さん、そして巣鴨本部代表の葭葉さんと、この卓も全国各地の代表選手が顔を揃えた。
各地区を代表する選手の戦いを是非ご覧頂きたい。

まずは東1局。
親番斉藤さんが7巡目リーチ。

四万五万六万二索三索四索六索七索八索三筒四筒白白  リーチ  ツモ二筒  ドラ二万  裏三索

打点は安いリーチだったものの、ツモって裏1の2,000オールは幸先のいいスタートと言えるだろう。

続く東1局1本場は小泉さんが魅せる。
11巡目、三色のテンパイもヤミテンに。

七万九万七索八索九索二筒二筒二筒五筒五筒七筒八筒九筒  ロン八万  ドラ七筒

2枚切れのカン八万であったが、これを斉藤さんから出アガリ5,200は5,500。小泉さんとしても感触の良い滑り出しとなっただろう。

この2人に続くのは山屋。東2局、親番山屋は7巡目リーチ。

二万三万四万二索二索二筒三筒三筒四筒五筒南南南  リーチ  ツモ一筒  ドラ二万  裏九筒

山に2枚しかいない一筒四筒であったが、山屋はあっさりと一発ツモ。4,000オールで今度は山屋がリードする。

局面はさらに動きを加速させる。
東2局1本場斉藤さんの9巡目、ドラの五万を引き三色確定のテンパイ。これをヤミテンで構える。

一万一万三万四万五万一索一索三索四索五索三筒四筒五筒  ロン一万  ドラ五万

今度はトップ目の山屋から5,200は5,500。
前々局に小泉さんに放銃した手役と点数を、そっくりそのまま山屋から召し捕った斉藤さん。トップ目の山屋に迫る。

続く東3局、山屋10巡目東ポン
親番でドラ暗刻の小泉さん、山屋が切った四万をチーしてテンパイ。待ちはカン三索を選択。

二索四索六索七索七索七索八索二筒二筒二筒  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ドラ二筒

しかしカン三索はジュンカラ…。
このチーで斉藤さんに絶好のツモ四万。タンピン三色のテンパイをヤミテンに。1巡回してリーチを宣言。

三万四万二索三索三索四索四索五索三筒四筒五筒六筒六筒  リーチ  ロン五万  ドラ二筒  裏二万

このリーチを受け、山屋はテンパイするもあっさりと撤退を選択。
1枚押していれば、小泉さんからの出アガリか自身のツモアガリもあったのだが…

結果は親番でドラ暗刻の小泉さんが、ラス牌の高目五万を掴んで8,000の放銃。再びトップに返り咲く。

ここまで1人苦しい展開を強いられていた葭葉さん、ようやく手がまとまり始める。
南2局3本場葭葉さん6巡目リーチに。

二万二万二万四万五万六万六万七万七万七万四筒五筒六筒  リーチ  ツモ八万  ドラ九筒  裏六索

裏ドラは乗らなかったものの、ここへ来て葭葉さんに初アガリ。オーラスの親番に向けての足掛かりとなるか。

そう感じた矢先の南3局、葭葉さんにチャンス手が舞い込む。
6巡目リーチを宣言した葭葉さん。高目は三暗刻だが…。

一万二万三万四万六万六万六万八索八索八索一筒一筒一筒  リーチ  ツモ一万  ドラ三筒  裏一筒

見事に高目を一発ツモ。
そして裏ドラが3枚乗って4,000・8,000。
ここまで苦しんでいた葭葉さんがひとアガリでトップを逆転。このアガリでオーラスまで誰が勝つのか全くわからない展開になった。

オーラスを迎えて、トップの葭葉さんと2着の斉藤さんとの点差は僅か1,300。3着の山屋も7,700点差。三つ巴の戦いか…と思いきや、まだまだ大きなドラマが待ち構えていた。

南4局。
前局の親カブリで、小泉さんの点数は僅か6,000点に。逆転での勝ち上がりを決めるには役満のツモアガリが条件と、かなり厳しい状況でオーラスを迎える事になってしまった。

そんな状況下でも小泉さんは諦めない。
3巡目、中を重ねた小泉さんの手は、

三万三万三索四索一筒二筒白白発発発中中  ドラ六万

と、大三元の2シャンテンに。すぐに中が出てポン。
この仕掛けを受けて斉藤さんは7巡目八万チーと、自力で勝ち上がりを決める仕掛けに打って出る。

2つの仕掛けを見た葭葉さん、たまらず七索チーと、三色含みの仕掛けに。

アガれば通過の斉藤さん、ドラ六万をツモ切ると、山屋がポン。山屋も逆転条件が整った。
そして七筒をチーしてテンパイ。二索七索のシャンポンでアガれば勝ち上がり。

二索二索三索四索五索七索七索  ポン六万 上向き六万 上向き六万 上向き  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き

葭葉さん13巡目、三色のテンパイに。

八万九万二筒三筒三筒三筒四筒七筒八筒九筒  チー七索 左向き八索 上向き九索 上向き

小泉さん13巡目、ツモ三索で手が止まる。

三万三万三索四索五筒白白発発発  ポン中中中  ツモ三索

全員が前に出る展開。自分が放銃したらゲーム終了。大三元の1シャンテンを諦め、打三万
自身の勝ち上がりより、良いゲームを作る事を大切にしたその判断に敬意を表したい。

が…
皮肉にも次巡のツモは白
大三元のテンパイ逃し。
しかしそれが小泉さんの生き方なのだろう。

結果、山屋が七万を掴み、葭葉さんへ1,500の放銃。勝ち上がりの結果はまだわからない。

大三元のテンパイを果たしていても、小泉さんには大三元をツモアガる事は出来なかった。つまりはそういう事なのだろう。

しかし、まだまだドラマは終わらない。
大三元のテンパイを諦めた小泉さんに、麻雀の神、いや小島武夫はもう一度チャンスを与えたのだ。

南4局1本場、葭葉さんと斉藤さんとの差は2,800。
葭葉さんと山屋の差は10,700。勝負はまだわからない。

3巡目、葭葉さん六万チー。
あくまでアガリ倒して勝ち上がりを決めるつもりだろう。

このチーでツモ山がズレる。
それでも最初のテンパイは葭葉さん。

三万四万五万二索二索二筒二筒六筒七筒八筒  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き  ドラ一筒

追いついたのは斉藤さん。9巡目リーチを宣言。条件を満たしたリーチだ。

八万八万八万五索六索七索三筒三筒四筒四筒五筒八筒八筒  リーチ

葭葉さん、斉藤さんとのマッチレース。誰もがそう思っただろう。
しかし小泉さんだけは諦めていなかった。11巡目、国士無双テンパイ。

一万九万一索九索一筒九筒南南西北白発中

前述した通り、小泉さんは役満ツモ条件。
しかし斉藤さんのリーチ棒が出たおかげで、葭葉さんからの出アガリだけは逆転となる。

1シャンテンの山屋から東が放たれる。平然とツモ山に手を伸ばす小泉さん。国士無双の見逃しだ。

勝負の行方は誰にもわからない。斉藤さんの逆転劇か。小泉さんの麻雀史に残るであろう役満での大逆転か。はたまた葭葉さんの連荘か…。
息を飲む実況解説陣。立会人の紺野も幾分前傾姿勢だ。

しかし…
ここも葭葉さんのツモアガリ。

三万四万五万二索二索二筒二筒六筒七筒八筒  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き  ツモ二索  ドラ一筒

麻雀の神様はまだ勝者を決めあぐねているようだ。

南4局2本場、葭葉さんと斉藤さんの差は7,200点。
まだ逆転には現実的な数字だ。
山屋との差は13,100点。こちらはかなり厳しい状況となったと言っていいだろう。

葭葉さんとしては、今度は伏せてゲームセットとなるだけに、今局が恐らく最終局になるだろう。

13巡目、斉藤さんがリーチ。
ツモれば条件を満たすリーチだ。

一万三万三万四万五万六索七索八索九索九索九索七筒七筒  リーチ  ツモ二万  ドラ一万  裏南

3度目の正直は…
斉藤さんが掴み取った。
ラス牌の二万をなんと一発ツモ。
ドラマのような目まぐるしく状況が変わるこの勝負は、斉藤さんが決勝の最後の椅子を自力で掴み取ったのだった。

〜戦いを終えて〜

小泉陽平(予選12位、北陸支部代表)
『見せ場はありましたね。東場の親番がちょっとダメでしたね。(国士無双の直撃は親からならOK?)もちろんわかっていました。ありがとうございました。』

山屋洋平(予選13位、北海道本部代表)
『もうちょっと色々やりたかったんですけど、限界でした。もうちょっと暴れたかったです。』

葭葉(5位通過、巣鴨道場代表)
『本当にツイてたんですけど、いつも通りの2着麻雀でした。最後も北を落として逃げようと思ったんですけど…やっぱり(斉藤さんが)上手かったですね。』

斉藤健人(予選4位、北関東支部代表)
『あれだけ配牌が良くて勝てなかったら、応援してくれた方々には笑われちゃうと思うので、とりあえずホッとしています。今日は345に縁があったかなと。(二万ツモった時は?)マジで⁉』

第28期東北プロリーグ 第5節成績表

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 皆川 直毅 57.4 49.9 46.5 80.0 7.8 241.6
2 石井 良樹 ▲ 47.2 4.0 42.1 51.9 74.2 125.0
3 菊田 政俊 35.6 28.3 32.1 ▲ 68.0 79.5 107.5
4 東 幸一郎 89.9 ▲ 31.3 8.9 ▲ 44.6 79.9 102.8
5 佐藤 晃大 20.0 ▲ 43.7 66.8 ▲ 9.0 ▲ 12.3 21.8
6 瀧田 亮 ▲ 41.7 ▲ 9.0 37.0 ▲ 9.3 35.2 12.2
7 粕谷 勇吉 23.1 ▲ 19.6 ▲ 7.0 ▲ 19.3 ▲ 16.5 ▲ 39.3
8 武藤 武 ▲ 27.0 ▲ 42.5 ▲ 10.8 58.9 ▲ 40.3 ▲ 61.7
9 藤本 修二 ▲ 29.6 50.3 ▲ 80.3 50.8 ▲ 63.1 ▲ 71.9
10 粕谷 祐太 8.4 39.1 ▲ 40.2 ▲ 11.5 ▲ 68.5 ▲ 72.7
11 波奈 美里 9.4 ▲ 30.8 20.8 ▲ 9.6 ▲ 62.5 ▲ 72.7
12 山下 敬介 2.9 23.4 ▲ 44.1 ▲ 29.1 ▲ 36.5 ▲ 83.4
13 安ヶ平 浩希 ▲ 80.7 7.6 ▲ 35.3 ▲ 20.9 40.9 ▲ 88.4
14 遠藤 昭太 ▲ 22.5 ▲ 25.7 ▲ 37.5 ▲ 20.3 ▲ 18.8 ▲ 124.8

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 櫻井 勇馬 32.4 37.0 37.0 46.2 1.1 153.7
2 石倉 弘之 ▲ 51.4 20.6 ▲ 21.7 53.9 39.9 41.3
3 吉田 勝弥 72.1 ▲ 41.9 2.0 ▲ 1.3 ▲ 5.0 25.9
4 菅原 直哉 31.5 ▲ 51.4 ▲ 13.9 ▲ 8.6 63.0 20.6
5 蓬田 一貴 29.4 55.3 ▲ 52.4 3.4 ▲ 31.2 4.5
6 大沼 慎 ▲ 12.5 18.7 ▲ 25.0 ▲ 30.3 30.8 ▲ 18.3
7 佐々木 啓文 ▲ 29.4 ▲ 77.5 9.7 ▲ 36.3 ▲ 59.1 ▲ 192.6
8 小山 幸廣 ▲ 71.2 18.8 ▲ 150.0 ▲ 27.0 ▲ 40.5 ▲ 269.9

第33回静岡リーグ(プロアマ混合)最終節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 鈴木秀幸 プロ 3.9 69.3 42.4 76.9 ▲ 7.8 184.7
2 後藤咲 プロ 13.4 19.3 98.1 3.0 39.5 173.3
3 高橋孝基 一般 ▲ 27.2 19.2 80.2 16.8 78.6 167.6
4 川崎義之 プロ ▲ 9.9 62.2 65.8 52.3 ▲ 14.9 155.5
5 牧野光治 一般 54.8 19.2 ▲ 5.2 16.2 56.7 141.7
6 杉村泰治 プロ 20.0 78.0 14.7 9.9 16.4 139.0
7 相沢かおる プロ 1.0 45.8 31.1 37.7 10.6 126.2
8 平野敬悟 プロ 14.2 60.8 ▲ 10.1 ▲ 36.3 86.5 115.1
9 原佑典 プロ 48.3 42.9 35.6 8.4 ▲ 23.3 111.9
10 鈴木郁孝 プロ ▲ 0.7 47.9 15.3 ▲ 16.5 58.4 104.4
11 堀孔明 一般 45.7 ▲ 1.6 42.3 5.4 11.3 103.1
12 斉藤隆 プロ 44.6 26.4 ▲ 7.6 6.4 28.7 98.5
13 都築友和 プロ 30.5 30.3 ▲ 46.7 30.5 53.2 97.8
14 望月雅継 プロ 48.5 ▲ 9.8 17.9 6.7 28.7 92.0
15 安藤真由美 一般 92.1 9.4 23.7 ▲ 27.7 ▲ 9.7 87.8
16 宮地孝尚 一般 16.7 51.5 ▲ 1.6 8.3 12.4 87.3
17 藤井太郎 一般 34.4 ▲ 9.3 47.1 ▲ 44.6 59.1 86.7
18 藤島健二郎 プロ 16.2 9.4 20.1 25.9 12.1 83.7
19 岡田智和 プロ ▲ 33.8 ▲ 10.9 127.2 1.4 ▲ 6.6 77.3
20 足立純哉 プロ ▲ 3.9 27.0 55.8 ▲ 26.3 18.5 71.1
21 浜田修 プロ ▲ 11.5 ▲ 21.3 ▲ 38.7 72.4 66.0 66.9
22 大橋幸正 プロ 56.8 4.3 ▲ 58.9 ▲ 1.4 51.8 52.6
23 岡本茂 一般 32.6 ▲ 22.5 ▲ 14.7 42.2 14.6 52.2
24 松清一樹 一般 6.4 10.7 ▲ 0.8 50.2 ▲ 19.4 47.1
25 小山剛史 一般 ▲ 42.0 54.9 16.4 ▲ 37.7 53.0 44.6
26 平田拓也 一般 18.9 46.0 19.5 2.6 ▲ 42.6 44.4
27 京平遥 プロ ▲ 44.4 5.5 62.8 ▲ 22.1 34.6 36.4
28 鷲見隼人 プロ 25.1 43.6 ▲ 23.5 12.7 ▲ 28.6 29.3
29 白戸隆寛 一般 38.7 ▲ 9.5 欠場 欠場 欠場 29.2
30 土屋幸弘 プロ ▲ 5.0 51.0 ▲ 5.3 12.9 ▲ 25.1 28.5
31 影山恒太 一般 ▲ 8.3 ▲ 0.9 ▲ 14.8 32.0 19.6 27.6
32 舟橋晃 一般 38.3 ▲ 28.8 19.3 ▲ 20.1 4.7 13.4
33 藤本哲也 プロ 1.2 ▲ 19.8 ▲ 13.3 53.6 ▲ 8.5 13.2
34 井上一雄 一般 ▲ 2.3 ▲ 83.2 23.3 48.7 20.8 7.3
35 伊藤真 一般 ▲ 1.1 ▲ 11.5 9.5 28.2 ▲ 18.5 6.6
36 太田昌樹 プロ ▲ 3.3 ▲ 15.8 ▲ 4.5 10.2 18.0 4.6
37 中野一男 一般 5.7 ▲ 7.0 ▲ 31.7 31.6 4.7 3.3
38 山本拓哉 プロ 11.1 ▲ 49.5 ▲ 10.1 78.4 ▲ 34.4 ▲ 4.5
39 源馬健太 一般 22.5 ▲ 36.3 ▲ 73.3 57.1 22.8 ▲ 7.2
40 松永誠 一般 ▲ 12.1 9.5 ▲ 6.8 13.0 ▲ 12.5 ▲ 8.9
41 鈴木翔穂 一般 ▲ 29.6 ▲ 0.6 ▲ 18.1 16.3 22.8 ▲ 9.2
42 中寿文 プロ 9.2 3.9 6.5 5.3 ▲ 41.4 ▲ 16.5
43 岩井健太 プロ 4.9 16.8 ▲ 39.0 18.4 ▲ 18.7 ▲ 17.6
44 高木翔太 プロ 23.1 ▲ 27.0 ▲ 41.5 7.4 17.3 ▲ 20.7
45 依田叡門 一般 ▲ 20.4 ▲ 17.4 34.3 ▲ 16.5 ▲ 3.1 ▲ 23.1
46 深見翔 一般 50.5 1.0 ▲ 39.5 25.7 ▲ 67.4 ▲ 29.7
47 田中寛治 プロ ▲ 69.9 ▲ 15.8 36.6 ▲ 5.3 23.5 ▲ 30.9
48 大月れみ プロ ▲ 29.8 ▲ 0.9 ▲ 55.5 10.8 39.8 ▲ 35.6
49 岡本和也 プロ 20.7 ▲ 26.3 43.9 ▲ 55.8 ▲ 19.7 ▲ 37.2
50 村瀬光佳 一般 31.0 ▲ 19.4 69.2 6.9 ▲ 129.0 ▲ 41.3
51 山本潤 一般 ▲ 17.4 ▲ 30.4 ▲ 47.2 11.1 35.4 ▲ 48.5
52 福井弘人 一般 ▲ 14.8 ▲ 24.2 31.2 ▲ 32.0 ▲ 10.7 ▲ 50.5
53 櫻井竜一郎 一般 ▲ 13.2 9.9 ▲ 50.1 欠場 欠場 ▲ 53.4
54 中野妙子 プロ ▲ 32.6 8.1 ▲ 15.1 ▲ 34.5 18.3 ▲ 55.8
55 阪本恭郎 一般 ▲ 13.3 ▲ 2.8 ▲ 26.9 ▲ 12.6 ▲ 5.0 ▲ 60.6
56 北島武弘 一般 17.0 ▲ 1.2 ▲ 46.9 32.3 ▲ 64.5 ▲ 63.3
57 平井良岳 一般 3.8 ▲ 26.6 ▲ 5.8 ▲ 49.5 0.0 ▲ 78.1
58 西田孝志 一般 ▲ 5.3 ▲ 25.8 ▲ 17.7 ▲ 45.4 11.4 ▲ 82.8
59 白井健夫 一般 2.0 ▲ 19.8 ▲ 24.0 ▲ 12.3 ▲ 34.2 ▲ 88.3
60 安藤順一 一般 ▲ 65.6 ▲ 61.4 ▲ 82.0 61.5 56.5 ▲ 91.0
61 田中良典 一般 6.8 ▲ 42.1 9.5 3.6 ▲ 79.7 ▲ 101.9
62 服部哲也 一般 38.2 ▲ 100.0 24.2 ▲ 65.0 ▲ 1.0 ▲ 103.6
63 片山一哉 一般 17.0 ▲ 27.6 ▲ 24.0 ▲ 4.4 ▲ 65.5 ▲ 104.5
64 青嶋宏樹 プロ ▲ 7.9 4.3 ▲ 1.7 ▲ 68.6 ▲ 33.1 ▲ 107.0
65 八木寛大 一般 1.7 ▲ 6.5 ▲ 24.1 ▲ 48.3 ▲ 42.0 ▲ 119.2
66 ドラコスアリストテレス 一般 ▲ 41.2 ▲ 17.3 ▲ 50.9 ▲ 12.1 欠場 ▲ 121.5
67 渡辺洋巳 プロ ▲ 64.0 18.5 9.2 ▲ 7.7 ▲ 80.4 ▲ 124.4
68 山内紀博 一般 ▲ 41.8 ▲ 48.5 ▲ 39.6 ▲ 32.1 20.5 ▲ 141.5
69 大谷数則 一般 ▲ 61.5 ▲ 36.8 ▲ 11.3 ▲ 37.8 4.8 ▲ 142.6
70 鈴木貴仁 一般 ▲ 30.4 ▲ 52.8 ▲ 14.2 ▲ 43.2 ▲ 3.4 ▲ 144.0
71 伊藤裕美子 一般 ▲ 51.3 ▲ 80.9 17.8 ▲ 32.8 1.4 ▲ 145.8
72 大橋義一 一般 ▲ 25.5 ▲ 45.9 ▲ 11.6 ▲ 31.2 ▲ 33.9 ▲ 148.1
73 本田真之 一般 4.8 ▲ 24.4 ▲ 46.6 ▲ 38.8 ▲ 44.7 ▲ 149.7
74 鈴木涼太 プロ ▲ 62.0 34.1 ▲ 54.1 ▲ 26.2 ▲ 44.5 ▲ 152.7
75 坂本彰光 一般 ▲ 13.2 ▲ 38.8 ▲ 78.7 ▲ 20.3 ▲ 57.4 ▲ 208.4
76 小倉雨 一般 ▲ 17.1 ▲ 76.1 ▲ 28.7 ▲ 67.0 ▲ 56.1 ▲ 245.0
77 鈴木雅人 一般 ▲ 83.2 ▲ 60.5 ▲ 26.7 ▲ 85.3 3.5 ▲ 252.2

第6期JPML WRCリーグ ベスト8B卓レポート 優月 みか

B卓対局メンバーは、第4期WRCリーグチャンピオンの藤島健二郎。
グランプリMAX優勝のダンプ大橋。
一次予選から勝ち上がり、ベスト16A卓では放送卓で見事金星を挙げた木原翼。
そして巣鴨道場でもお馴染み、ベスト16B卓から吉田直と共に勝ち上がりを決めた杉山俊彦。

トーナメントを得意とするダンプ、WRCリーグでは10戦9勝を誇る藤島を相手に若手2人はどう戦い抜くのか。

 

1回戦(起家から藤島→杉山→木原→ダンプ)

1回戦目では、開幕から激しい主導権争いが見られた。

親番藤島が3巡目に表示牌の中を仕掛ける。
だが親の仕掛けに臆することなく真っ直ぐ打ち抜いた木原、杉山が手を進めていき6巡目に木原が先制リーチをいれる。

木原
六万六万一索二索三索一筒二筒三筒五筒五筒六筒六筒七筒  ドラ白

木原からのリーチを受けた杉山は同巡この形、

四万二索三索四索六索七索八索四筒五筒七筒八筒白白  ツモ一筒

ドラの白トイツの勝負手、無筋の一筒を一発目にツモ切り攻めていく。
そして10巡目に九筒を引き入れ追いかけリーチ。

杉山
二索三索四索六索七索八索四筒五筒七筒八筒九筒白白  リーチ

木原、杉山からのリーチを受けた親番藤島は、さらに仕掛けてテンパイをとるも、ここは打ち出された三筒が杉山への放銃となった。

杉山5,200点のアガリを決め開幕を制する。

二索三索四索六索七索八索四筒五筒七筒八筒九筒白白  リーチ  ロン三筒

その後も激しい点棒の移動が続き、南2局まで流局なし、そのほとんどを出アガリで進むという目が話せない展開が続いた。

激しい攻防の末、オーラスを迎える頃の点数状況は
藤島22,000
杉山34,700
木原23,300
ダンプ38,000
となっていた。

オーラスでは、2本場供託2千点のところを4着目の藤島がリーチ一発ツモ白の満貫をアガリ、2着まで着順を上げて1回戦目が終了となる。

1回戦終了時トータルポイント
ダンプ大橋 +18.8P
藤島健二郎 +7.6P
杉山俊彦 ▲2.5P
木原翼 ▲23.9P

 

 

2回戦(起家から藤島→木原→ダンプ→杉山)

2回戦目では東1局に木原の満貫ツモアガリ。
東3局では杉山が仕掛けた東トイトイ三暗刻の手をリンシャンからツモアガリ、3,000・6,000。

高打点が続き迎えたオーラス。親番は杉山。
藤島31,900
木原32,100
ダンプ22,700
杉山33,300
とダンプの1人沈み、上3人はほとんどひとアガリで変わるような状況となっていた。

ダンプは満貫ツモでトップだが、手牌に打点がついていかなかった。
8巡目に先制リーチを入れるも、満貫になるには一発や高めツモ、裏ドラなどの条件が必要になる。

ダンプ
三万四万五万四索四索四筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒九筒  リーチ  ドラ二索

このリーチに仕掛けてペン七筒のテンパイをいれている親番杉山は真っ直ぐ押していき、15巡目にアタリ牌の三筒を掴む。テンパイノーテンでも着順が入れ替わるこの局面、杉山は三筒を勝負にいく。
だが、この三筒にダンプは声をかけず。
アガっても裏裏条件をとなるアガリをするよりも、親が押しているならもう1局に希望を繋ぐというトーナメントならではの見逃し。

親番杉山とダンプの2人テンパイで1本場となる。

ダンプが繋いだ南4局1本場。
誰もがアガリに向かう局面。

 

100

 

ダンプは難しい手牌を見事成就させ、藤島から8,000点のアガリ。4着から2着に逆転を決め2回戦目が終了した。

2回戦成績
杉山俊彦 +19.8P
ダンプ大橋 +7.5P
杉山俊彦 ▲4.4P
藤島健二郎 ▲22.9P

2回戦目終了時トータルポイント
ダンプ大橋 +26.3P
杉山俊彦 +17.3P
藤島健二郎 ▲15.3P
木原翼 ▲28.3P

 

 

3回戦(起家から藤島→木原→杉山→ダンプ)

激しいぶつかり合いの2回戦目を終えて、3回戦目が始まる。

東4局1本場、供託2千点。
藤島が5巡目にこの形。

二万四万四万五万二索二索二索四索四索五索五索三筒三筒  ドラ九索

七対子の1シャンテンでもある難しい形から四索のポンを選択。
さらに2巡後三筒のポンもすることができ、テンパイ。

四万四万五万二索二索二索五索五索  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き

四万切りのタンヤオか、五万切りのタンヤオトイトイか悩むところだが、藤島は五万切りで打点も追った。
7巡目に杉山から五索が打ち出され、3,900点のアガリとなり、正解の手順を掴んだ。

南3局2本場では、杉山が4,000オールのアガリをきめトップ目に立つ。
トータルポイントトップのダンプは、藤島に6,400の放銃などもあり、3回戦目は4着となってしまった。

3回戦目成績
杉山俊彦 +26.3P
藤島健二郎 +14.4P
木原翼 ▲9.6P
ダンプ大橋 ▲30.1P

3回戦終了時トータルポイント
杉山俊彦 +43.6P
藤島健二郎 ▲0.9P
ダンプ大橋 ▲3.8P
木原翼 ▲38.9P

 

 

4回戦(起家から木原→ダンプ→杉山→藤島)

最終戦は、開始時点で杉山の1人浮き、2位勝ち上がりを決めるにはダンプと藤島は着順勝負となるが、この最終戦は藤島にとって本当に辛い展開になってしまった。
東4局、藤島の親番、2位通過の座を争うダンプから5,800点の直撃アガリを決め、藤島が一歩リードを決める。
南2局、親番はダンプ。ここまでのポイントは以下の通り。

木原36,800
ダンプ24,500
杉山22,300
藤島36,400

着順勝負の藤島とダンプは、藤島が12,100点差で上に立っている。

8巡目、ドラドラの手牌を藤島が先制リーチ。

一万一万二索三索四索一筒一筒一筒五筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  ドラ一万

10巡目、親番のダンプも藤島にリーチをぶつけていく。

二万二万四万四万四万六万七万八万六索七索発発発

藤島の待ち牌六筒九筒は山に4枚、ダンプの待ち牌五索八索は山に5枚。
この息を呑むライバル同士の戦いは12巡目に藤島が五索を掴んで放銃となった。

二万二万四万四万四万六万七万八万六索七索発発発  ロン五索

開かれた手牌はリーチ役牌、親でも4,800点の手だがこの裏ドラが四万
ライバルであるダンプの親番、ドラドラの先制テンパイ。当然打つであろう先制リーチは12,000点の放銃となってしまった。

この後もダンプがダブリードラドラ ウラ3の4,000・8,000、杉山のリーチツモ七対子ウラウラ6,000オールなど天運がダンプ、杉山に味方し、両名の勝ち上がりでベスト8B卓は幕を閉じた。

勝ち上がり
ダンプ大橋
杉山俊彦

何を切る? 2019年9月

第36期A2リーグ第5節 C卓 3回戦 東4局 南家 白鳥翔プロ

 


 

 

■ Twitterで実施したアンケートの結果

 

 

■プロ解答

三筒切り

 

 

四筒切り

 

 

七筒切り

 

 

■プロの視点
白鳥翔プロ
「1シャンテンに取るとして、今この瞬間三筒は通るかもしれないが、次に六筒を打ち出さなければならない可能性が高く、巡目の深さと親の亜樹プロの中ツモ切りを重く見ました。
この巡目からタンピン三色を狙うのは無理筋かなと思ったので、七筒を合わせて打ち、テンパイ料がもらえれば良いかなという組み方をしました。
もちろんこの後は五筒八筒七索は仕掛けてテンパイに取ります。」

■終局図

 

 

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第26期特別昇級リーグ 決勝レポート 小林 正和

平成から令和へ元号が変わり世間は新時代の幕開けとなった。麻雀界も昨年度からMリーグが始まるなど今まさに変遷の時期を迎えている。そんな淘汰される時代において必要不可欠要素の一つに若手の台頭が挙げられるだろう。次世代のニュースターによる新陳代謝なくしてはより良いものは生まれない。

26期目を迎えた特別昇級リーグはそんな若手が檜舞台に立つ為の近道。決勝メンバーは以下の通りとなった。※カッコ内はプロリーグ最終成績

+291.5P(▲45.5P) 阿久津 翔太(23) O型 34期前期(2年目) D1
+132.3P(▲13.9P) 伏見 誠一郎(32) O型 32期前期(4年目) C3
+114.3P(▲11.2P) 厚谷 昇汰(27) A型 29期前期(7年目) C3
+105.0P(▲32.9P) 蒼山 秀佑(28) A型 28期前期(8年目) C1
+97.5P(+26.6P) 菊原 真人(33) O型 32期前期(4年目) C2
昇級権利があるのは菊原のみ。(※優勝B2準優勝C1)

 

【1回戦】(起家から菊原・厚谷・蒼山・伏見)
■東1局ドラ四索
最初のテンパイは厚谷

三万五万四索五索六索七索七索八索八索八索四筒五筒六筒

そこに伏見が一筒北をポン、親の菊原がダブ東と456三色を絡めた六筒チーで応戦する。結果はヤミテンを入れていた蒼山に軍配。

三万三万三万一索一索一索二索二索二索三索四索五索西

15巡目に菊原が掴み6,400の放銃。4者がぶつかる立ち上がりとなった。

■東2局ドラ発
いきなりの失点で挽回したい菊原、7巡目でこの形

七万八万九万一索一索四索五索六索七索八索七筒九筒北

しかしなかなかテンパイできない。先制は14巡目に伏見

六万七万八万四索五索六索四筒五筒六筒六筒八筒八筒八筒  リーチ

これをあっさり七筒をツモリ1,000・2,000。

■東3局ドラ二索
菊原はタイトルこそないが4年目という浅いキャリアにおいて決勝はこれで4回目(他はWRC、新人王、特別昇級リーグ)という実績があり、状況に応じて打ち方を変える雀風。そんな菊原が迷わずに

一万一万二万三万四万二索四索六索七索八索五筒五筒五筒  リーチ

親の蒼山のテンパイ打牌を逃さず2,600の出アガリ。このあたりの打点・待ちの範囲の広さは菊原らしい。

■東4局ドラ二索
8巡目の厚谷

四万五万六万九万九万二索二索一筒二筒三筒三筒四筒五筒  リーチ

12巡目に菊原が追いつく

一索二索三索四索五索六索七索七索三筒四筒五筒東東  リーチ

結果は菊原がハイテイで東をツモリ2,000・4,000。

■南1局ドラ三索
ここまでアガリの遠い南家の厚谷に再度チャンス手が入る。12巡目でこの形

三索三索一筒二筒三筒五筒六筒六筒七筒八筒九筒南南

14巡目に七筒をチーするがこれをペン七筒で鳴く。

三索三索一筒二筒三筒五筒六筒七筒南南  チー七筒 左向き八筒 上向き九筒 上向き

現状ダブ南バックだが四筒を引くと一通確定の形へ。そこに蒼山が追いつく

七万七万七万七万八万九万一索一索七索八索九索七筒九筒  リーチ

2人に合わせるように親の菊原も仕掛け形式テンパイへ向かう。

二万三万四万四筒五筒六筒南  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き

終盤まで決着がつかず迎えた菊原のハイテイ牌は八筒。蒼山のリーチの河には4巡目に五筒が捨てられている。菊原が選んだのは八筒を切って親番を維持する事だった。蒼山に8,000の放銃とはなるが決してサボらないのが菊原の良さでもあるのでこの結果は本人も受け止めているだろう。一方で厚谷が五筒六筒七筒で鳴いていたら違う結果になっていたかもしれない。

■南2局ドラ二筒
再三チャンス手を逃している親の厚谷の配牌。

五万五万六万七万五索六索七索八索一筒二筒三筒五筒七筒南

3巡目テンパイ

五万六万七万五索六索七索八索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ

それに対して菊原が9巡目に仕掛けて追いつく。

三索四索四索四索五索二筒二筒三筒三筒四筒  チー七万 左向き六万 上向き八万 上向き

片アガリだが四筒は現物待ち。ちなみに厚谷がヤミテンにしていると5巡目に西タンキに変わりすぐに菊原から出アガリしていたが、結果はマンズのメンホン1シャンテンとなった蒼山が前に出て厚谷に高め八索で12,000の放銃。

■南2局1本場ドラ一索
またしても親の厚谷に勝負手が入り9巡目でこの形。

一万三万九万九万一索九索一筒九筒南西白発中

しかし最初のテンパイは菊原

四万五万六万七万八万四索四索五索六索七索四筒五筒六筒

一手変わり三色だが九万がフリテン
選択肢が色々ある中、菊原が選んだのはリーチ。北が場に4枚切れてしまったので厚谷は撤退。一人旅となった数巡後に菊原が三万をツモリ1,300・2,600は1,400・2,700。

■南3局ドラ南
親の蒼山が567含みのメンタンピンの手で先にドラの南切り。
これを菊原が仕掛ける。

一万二万三万三万三万五万六万二筒三筒四筒  ポン南南南

あっさり四万をツモリ2,000・3,900。

■南4局ドラ白
5巡目6巡目とたて続けに菊原が仕掛けてこの形。

九万九万三筒四筒五筒八筒八筒  ポン南南南  ポン発発発

8巡目にツモ七筒で待ち変えからすぐに蒼山から六筒が出て3,900の出アガリ。そして1回戦目が終了する。

1回戦結果
菊原+21.5P、厚谷+6.3P、伏見▲7.4P、蒼山▲20.4P

トータル
阿久津+291.5P、伏見+124.9P、厚谷+120.6P、菊原+119.0P、蒼山+84.6P

 

 

【2回戦】(起家から厚谷・阿久津・蒼山・菊原)
■東1局ドラ二万
4巡目に西ポンしている蒼山が6巡目でテンパイ。

一万二万三万五万六万七万三索四索二筒二筒  ポン西西西

菊原から二索がこぼれ2,000の出アガリ。

■東2局ドラ三筒
親の阿久津はまだ2年目にしてこの決勝の舞台に上がってきた若手のホープ。プロ入り後は2期連続で昇級しWRCリーグや十段戦なども惜しい所まで勝ち上がっている。初の決勝が昇級権利なしの2位と150P以上離したトップという難しい位置ではあるがしっかり優勝して来期の特別昇級リーグの権利を勝ち取りたい所だ。4巡目の阿久津。

一万一万三索三索四索四筒四筒七筒八筒九筒西西西  ツモ五索

迷う事無く打四筒でテンパイ取らず。非常に落ち着いた入りでこの一打だけでも雀力の高さが垣間見れる。
すぐに三索ツモで、

一万一万三索三索三索四索五索七筒八筒九筒西西西  リーチ

これを一発で六索をツモリ1,300オール。

■東2局1本場ドラ四索
10巡目親の阿久津。

四万四万七万七万七万二索三索四索四索五索六索六筒七筒

これをヤミテンから15巡目に五筒ツモ3,900は4,000オール。いくら2位と離れているとはいえこのアガリで本人はかなり落ち着いた事だろう。逆に4者にとっては厳しいアガリとなった。

■東2局2本場ドラ四索
厚谷が阿久津の連荘を止める。

一万二万三万四万五万六万二索二索北北  ポン東東東

8巡目にツモ二索で400・700は600・900。

■東3局ドラ五索
中盤の菊原はこの形。

二万四万六万七万四索四索五索三筒四筒九筒南白中

ここから五万を両面でチーを入れ打二万とする。結果は厚谷のツモアガリとはなるが、このあたりの駆け引きも菊原らしい。相手にプレッシャーを与える事も麻雀なのである。

厚谷
六万六万八万八万三索三索八索八索四筒四筒九筒九筒中  ツモ中 800・1,600。

■東4局ドラ七索
親の菊原が中盤に、

四万四万三索三索三索二筒二筒四筒五筒六筒中中中  リーチ

しかし序盤にポンテンを入れていた阿久津がかわす。

四万五万七万七万七万四索四索六索七索八索  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き

ツモ三万で500・1,000。阿久津の冷静なプレーが光る。

■南1局ドラ西
阿久津が第一打にドラの西。西家の蒼山がそれを仕掛けこのテンパイ。

三索三索四索五索六索七索八索  ポン西西西  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き

厚谷から三索が出て7,700のアガリ。完全に阿久津が局を回す。

■南2局ドラ六万
中盤の菊原

三万四万八索八索六筒七筒八筒  ポン白白白  チー六万 左向き四万 上向き五万 上向き

そして蒼山

一索一索二索二索三索四筒四筒  明カン南南南南  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

菊原が二万をツモリ500・1,000。

■南3局ドラ三万
8巡目の菊原

三万四万二索三索四索一筒一筒四筒五筒五筒六筒七筒九筒

ここからツモ二筒で打九筒。12巡目にツモ三筒で打五筒でヤミテン。しかし次巡ツモ切りリーチとする。

三万四万二索三索四索一筒一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

厚谷も追いかける。

三万三万四索四索二筒二筒三筒三筒四筒七筒七筒発発  リーチ

2人勝負手の中、16巡目に菊原が静かに二万を引き寄せ3,000・6,000のツモアガリ。

■南4局ドラ白
5巡目に阿久津が動く。

二万二万六万八万三索五索四筒五筒五筒南  チー六筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き

その後、厚谷にドラの白ポンが入ると親の菊原が速度を合わせて、

五万七万四索五索六索二筒二筒五筒六筒七筒  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き

そしてツモ六万で500オールをアガリ連荘に繋げる。

■南4局1本場ドラ四万
10巡目またしても阿久津が動く。

四万五万五万六万七万二索三索八索八索南  チー五筒 左向き四筒 上向き六筒 上向き

この仕掛けにより場が動く。

11巡目に蒼山が、

五万六万六万七万八万五索五索一筒二筒三筒三筒四筒五筒  リーチ

12巡目に厚谷が追いかける。

三万四万五万二索三索四索七索七索七索一筒一筒発発  リーチ

16巡目に蒼山が高めの四万ツモアガリ1,300・2,600は1,400・2,700で2回戦が終了する。

2回戦結果
阿久津+19.3P、菊原+6.1P、蒼山+2.2P、厚谷▲27.6P

トータル
阿久津+310.8P、菊原+125.1P、伏見+124.9P、厚谷+93.0P、蒼山+86.8P

 

 

【3回戦】(起家から阿久津・伏見・蒼山・菊原)
■東1局ドラ四万
蒼山が局を流す。

六筒六筒中中  ポン西西西  チー七万 左向き八万 上向き九万 上向き  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き

ツモ六筒で700・1,300。

■東2局ドラ四索
伏見は32期生であるがこの期はデビュー1年目でタイトルを取った庄田や藤井、あるいは2年連続十段戦準優勝の上田、そして対戦相手の菊原など多く活躍している期でもある。伏見本人も今回の優勝には並ならぬ熱い思いがある事だろう。
その伏見の親番。

二万二万六万七万五索六索七索四筒五筒六筒七筒八筒九筒

ヤミテンからの厚谷から八万で出アガリ1,500、連荘へ。

■東2局1本場ドラ中
親の伏見にチャンス手。

二万三万五万六万七万三筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ダブルリーチ

これを一発で高めの四万をツモり6,000オールは6,100オール。阿久津にプレッシャーを与える。

■東2局2本場ドラ七索
6巡目親の伏見。

七万八万二索二索七索八索九索四筒五筒六筒八筒九筒中

このチャンス手。しかし蒼山がかわす。

三万三万八万八万八万三索四索五索六筒六筒  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き

阿久津から六筒を出アガリ1,000は1,600。

■東3ドラ四筒
10巡目親の蒼山。

四万五万六万二索二索四索六索一筒二筒三筒  チー五筒 左向き四筒 上向き六筒 上向き

そこに菊原が参戦する

四万五万六万一索二索三索三索四索五索四筒五筒六筒東  リーチ

生牌の東タンキを蒼山から一発で出アガリ2,600。

■東4局ドラ白
伏見が局を流す。

三万四万五万三索四索六索七索八索一筒一筒  ポン中中中

菊原から五索で出アガリ1,000。

■南1局ドラ三万
中盤の阿久津。

四万五万二索三索四索七索七索七索八索三筒四筒東東

ツモ六万で打東テンパイ取らずから二筒を引き入れて3面張でリーチ。そこに追いついたのが蒼山。

三万三万五万六万七万三索四索五索六索七索七筒七筒七筒  リーチ

結果は2人テンパイで流局。

■南1局1本場ドラ三筒
4巡目に親の阿久津がポン南で動く中、またしても蒼山が前に出る。

四万四万四万五万六万二筒三筒四筒四筒五筒六筒白白  リーチ

これを一発で白をツモリ2,000・3,900は2,100・4,000の供託2本付。

■南2局ドラ八万
親の伏見がドラドラのチャンス手だが先制は7巡目に菊原。

三万四万五万三索四索五索一筒一筒二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ

しかし阿久津がかわす。

四万五万四索五索六索一筒一筒発発発  チー九万 左向き七万 上向き八万 上向き

菊原から三万ロン2,000の供託1本付。

■南3局ドラ五索

蒼山
五索五索二筒三筒四筒六筒八筒  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き

伏見
一索一索二索三索四索六索八索九索南南  ポン白白白

阿久津
三万三万五万六万七万五索六索三筒四筒五筒  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き

制したのは阿久津。七索ツモで500・1,000。

■南4局ドラ三索
10巡目の伏見。

二索三索四索五筒五筒七筒八筒中中中  暗カン牌の背七索 上向き七索 上向き牌の背  リーチ

そこに親の菊原が追いつく。

五万五万五万六万六万五索五索六索六索四筒五筒六筒六筒  ツモ五索

静かに時間が流れる中、菊原が選択したのは打六筒リーチ。しかし無情にも伏見から声がかかり7,700の放銃で3回戦が終了する。

3回戦結果
伏見+31.7P、蒼山+9.3P、阿久津▲13.0P、菊原▲28.0P

トータル
阿久津+297.8P、伏見+156.6P、菊原+97.1P、蒼山+96.1P、厚谷+93.0P

 

 

【4回戦】(起家から厚谷・伏見・菊原・阿久津)
■東1局ドラ五筒
厚谷は元々は北海道本部出身で、数年前から東京本部に移籍してきた経歴を持ち、昨年度は麻雀最強戦プロ代表戦で活躍するなどブレイクしそうな若手の1人。また独特なファッションでも有名だ。そんな厚谷の親番

五万六万七万二索三索二筒三筒四筒六筒六筒七筒八筒九筒

ヤミテンからの阿久津から四索で出アガリ1,500。

■東1局1本場ドラ白
5巡目の親の厚谷

五万六万七万八万八万五索六索七索七索八索六筒七筒八筒

ヤミテンからの今度は菊原から九索で出アガリ1,500は1,800。

■東1局2本場ドラ七索
菊原が連荘を止める。

四索四索五索六索四筒五筒六筒  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き

ツモ七索で500・1,000は700・1,200。

■東2局ドラ七筒
2巡目に親の伏見が仕掛ける。

一筒一筒三筒五筒六筒八筒八筒東北五索  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き

それに合わせるかのように菊原も仕掛ける。

二万二万一索二索二索六索七索白白中  ポン南南南

親の上家の厚谷は絞り、菊原は色違いの親からアシストを受けるという構図の中、巡目が進み先にテンパイは伏見。

三筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

一方菊原はまだ1シャンテン。

一索二索二索二索七筒白白  ポン南南南  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き

菊原の捨て牌には六索が余っておりかつ字牌は親の伏見にも鳴かれる牌。そのせいもあってか、周りからアシストはなく伏見が押している状況。気合の二筒押しもあっさり伏見が三筒ツモの6,000オールを決める。振り返るとこの局を阿久津は菊原にアシストすれば良かったと後悔していたが、なかなか難しい判断ではあったように思う。

■東2局1本場ドラ二万
一気にポイントを伸ばして阿久津にプレッシャーをかけたい伏見だったが、ドラドラの手が伸びずテンパイできない。一方で菊原が最後のツモでテンパイ。

一万二万四万四万六万六万六万七万八万九万六索発発  ツモ三万

阿久津もテンパイしていたがハイテイで発を掴み冷静にオリを選択する。菊原の1人テンパイで流局。

■東3局2本場ドラ五筒
12巡目、親の菊原がメンツ手から上手くトイツ手に切り変えて最速テンパイ。

四万四万五万五万四索四索一筒一筒五筒五筒七筒七筒白  リーチ

次巡、厚谷が追いつく。

一万一万五万六万七万二索三索四索五索六索七索五筒六筒  リーチ

結果は2人テンパイで親連荘。

■東3局3本場ドラ東
厚谷ドラの東をポンしてカン五万待ちでテンパイしている所に伏見が追いつく。

五万六万五索六索七索四筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒  リーチ

これを安めだが四万をツモリ1,300・2,600は1,600・2,900の供託2本付で5,2900まで持ち点を伸ばす。

■東4局ドラ三万

厚谷
二万三万四万五万二索三索五索五索六索二筒三筒白白  ツモ一万

何切る問題に出てきそうな牌姿だが、厚谷は白のトイツ落としを選択。しかしこの後が伸びない。また国士無双狙いの伏見が1シャンテンで牌が余り場に重い空気が漂う。チャンス手の厚谷も終盤に対応し全員ノーテンで流局。

■南1局1本場ドラ四筒
4巡目の菊原

五万七万五索六索七索一筒二筒三筒五筒六筒七筒発発  リーチ

これを9巡目にツモリ2,000・3,900は2,100・4,000。

■南2局ドラ南
ドラの南を持ち合って全員ノーテンで流局。

■南3局1本場ドラ七万
親の菊原

四万六万七索八索九索五筒五筒  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン発発発

厚谷から五万で出アガリ1,500は1,800。

■南3局2本場ドラ七万

阿久津
七万七万八索八索八索三筒三筒  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き

これを厚谷から三筒で出アガリ3,900は4,500。

■南4局ドラ発
3巡目の伏見。

七万八万九万六索六索六索三筒四筒五筒七筒八筒九筒発  リーチ

4巡目に菊原も追いかける。

三万三万三万四万四万二索三索三索四索五索南南南  リーチ

すぐに阿久津が伏見の現物一索を切って菊原に3,200を放銃して4回戦が終了。阿久津の落ち着いた判断が際立つ。

4回戦結果
伏見+27.8P、菊原+13.6P、阿久津▲17.1P、厚谷▲24.3P

トータル
阿久津+280.7P、伏見+184.4P、菊原+110.7P、蒼山+96.1P、厚谷+68.7P

 

 

【5回戦】(起家から阿久津・伏見・厚谷・蒼山)
■東1局ドラ四索
蒼山は今期の決勝メンバーの中では比較的経験のある選手。タイトルこそないが特別昇級リーグにおいては3回連続で決勝に進出している。
その蒼山

一万二万三万五索五索六索七索八索二筒二筒白白白

ヤミテンからの厚谷から二筒で出アガリ1,300。

■東2局ドラ四筒
親の伏見が4巡目に、

三万三万四万五万六万一索一索一索七索八索四筒五筒六筒  リーチ

九索をツモリ2,000オール。

■東2局1本場ドラ八索
10巡目の蒼山。

四万四万三索四索五索三筒四筒五筒五筒六筒白白白  リーチ

14巡目親の伏見。

一万二万三万六万七万七万八万九万五索六索八索九索九索

ここから八万をチーして形式テンパイ取るが直後に蒼山が七筒をツモリ1,000・2,000は1,100・2,100。

■東3局ドラ八万
親の厚谷。

一万一万四万五万六万七万八万二筒三筒四筒六筒六筒六筒  リーチ

伏見
二万二万六万八万二索三索四索六索七索八索  暗カン牌の背九索 上向き九索 上向き牌の背

2人テンパイで親連荘。

■東3局1本場ドラ六索
8巡目親の厚谷。

二万三万四万六索七索八索九索九索四筒五筒七筒八筒九筒  リーチ

13巡目に三筒をツモリ2,600は2,700オール。

■東3局2本場ドラ八筒
親の厚谷が5巡目に、

五万五万六索七索八索四筒五筒六筒北北  ポン東東東

次巡北ツモで1,300は1,500オール。

■東3局3本場ドラ九索
13巡目親の厚谷。

三万四万五万四索四索四索三筒四筒六筒六筒  ポン東東東

ツモ五筒で1,000は1,300オール。

■東3局4本場ドラ一万
ここにきて連荘を重ねる厚谷の5巡目。

六万七万七万三索三索七索七索白白中  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き

しかし途中で役牌が東白に絞られ手が動かない厚谷。この局は東が暗刻の蒼山のアガリとなった。

四索五索六索八索八索二筒三筒四筒六筒七筒東東東

ヤミテンからの阿久津から八筒で出アガリ1,300は1,500。

■東4局ドラ白
9巡目の伏見。

三万四万五万六万七万八万三索四索六索七索八索中中  リーチ

一発で五索をツモリ500・1,000。

■南1局ドラ一筒

厚谷
六索六索六索二筒二筒六筒七筒八筒南南  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き

蒼山
四万五万六万七万八万九万五索五索六索七索八索五筒六筒

2人テンパイで流局。

■南2局1本場ドラ発
親の伏見の配牌。

一万二万二万三万三万七万九万四索七索二筒五筒八筒白中

ここから打五筒と高打点の手組とする。途中で蒼山が仕掛け出しドラの発も切って局を流してくる。それを受けて伏見が対応する中、蒼山の手牌は、

五索六索七索二筒二筒二筒三筒三筒四筒六筒  ポン西西西

結果はハイテイで蒼山が八索のスライドで五索を打ち厚谷に6,400は6,700放銃。

五万五万六万六万八万八万四索四索五索四筒四筒七筒七筒  ロン五索

伏見がもし真っ直ぐ手を組んでいたら、

一万二万二万三万三万四万七万七万八万九万九万北北

これでテンパイ。昇級権利がない伏見だった為、まっすぐ優勝を狙うかとおもったがここは手堅い選択をする。

■南3局ドラ九索
8巡目の蒼山

四万五万六万一索二索三索二筒三筒四筒八筒八筒中中  リーチ

これを厚谷から中で出アガリ2,600。

■南4局ドラ四万
親の蒼山1人テンパイ

一索二索三索三筒三筒六筒七筒  ポン中中中  チー一万 左向き二万 上向き三万 上向き

■南4局1本場ドラ西
8巡目の伏見。

三万三万五索六索六索七索八索八筒八筒八筒  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き

これに阿久津が四索で放銃1,000は1,300で最終半荘が終了する。

5回戦結果
厚谷+22.1P、蒼山+5.1P、伏見+1.7P、阿久津▲28.9P

トータル(最終結果)
阿久津+251.8P、伏見+186.1P、菊原+110.7P、蒼山+101.2P、厚谷+90.8P

第26期特別昇級リーグは終始安定してポイントを積み重ねた阿久津の優勝となった。阿久津は条件を満たさなかった為、昇級とはならなかったが、来期の特別昇級リーグの権利を再度獲得したので今後の活躍にも注目したい。またその他の選手も昇級とはならなかった。冒頭にも言ったように、これからは連盟の看板を背負うぐらいの新しい選手が出てこないといけない。自身を含め、どれだけ危機感をもって麻雀に取り組めるか、それが僕ら若手の課題なのである。

第18期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第5節レポート

Aリーグ第5節:高谷圭一

関西リーグもちょうど折り返しとなる第5節の組合せは以下の通りとなります
1卓 辻本・横山・吉本・稲岡
2卓 勝間・米川・佐々木・藤川
3卓 高谷・宮田・坂本・城

2卓の組合せは関西を代表するAリーガー同士の激突となった。
1回戦ここまでトータル成績が大きくマイナスしている勝間が奮闘しトップを取るが、続く2回戦、勝間は箱下寸前の大きなラスをとってしまい暗雲が立ち込める。
しかし、3回戦再び勝間がトップを取り2回戦までのマイナスを返済した。
対して、2回戦までプラスだった佐々木が3回戦目で▲30P程のマイナスをしてしまい今節マイナスに転じてしまった。

4回戦(起家から米川・藤川・佐々木・勝間)
東2局 親(藤川) ドラ八索
ここまで苦しい展開で1万点前半まで持ち点を削っていた勝間が、ドラ含みの跳満をツモりあげる。

三万四万五万八万八万八索八索八索四筒四筒四筒五筒五筒  ツモ八万  ドラ八索

常に冷静なうち回しの印象深いのがこの勝間である。
ここまで得点が削られてしまった場合、得点を取り返そうと焦ってリーチをかけてしまい他家に交わされてアガリを逃してしまう場面を過去によくみている。
しかし、この勝間はどんな状態になってもぶれずに自分の麻雀を打ち切っているように感じる。
簡単なようでこれが一番難しいと感じるし、下のリーグと上のリーグの差にこういったところにあるように思える。

東3局 親(佐々木) ドラ発
藤川が中巡に以下の役なしテンパイをいれるが、ヤミテンを。

二万四万六万七万八万六索七索八索二筒三筒四筒発発

数巡後、五万を引き入れ打二万の三面待ち変化でリーチを打つ。

四万五万六万七万八万六索七索八索二筒三筒四筒発発

佐々木も一気通貫の変化をみてヤミテンをしていたが、藤川に先制リーチをいれられたこともあり以下の牌姿で追っかけリーチをいれる。

二万三万四万五万五万七万八万九万三索三索三筒三筒三筒

数巡後、藤川が佐々木のあたり牌である五万を掴み、軍配は佐々木にあがった。
三索がノーチャンスでかなりよく見え、佐々木が親番ではあるが、このリーチを何人の人がいれられるのだろう?
この1局に佐々木の強さを感じられた。
しかし、この後佐々木は展開に恵まれずマイナスの3着で終了となるが、この半荘の丁寧なうち回しと豪快な部分が見られ、引き出しの多さを感じ取れた。

3卓
1回戦東場は、城が3連続アガリを決め一気に加点をして40,000点オーバーのトップに立つが、南場で7,700、5,200点の放銃をしてしまい、この回は原点を割りマイナスの3着となる。
対して、高谷は南場の7,700点のアガリが決め手となりこの回1人浮きのトップを取ると、続く2回戦、3回戦も連続トップを取り、今節40Pのプラスを叩きだすフィニッシュとなるが、これで今節までの借金を全て返済し次節以降での決定戦進出に望みを繋げている。

城も2回戦、3回戦と安定した打ち回しでプラスを重ねると4回戦目で60,000点近い1人浮きのトップを取って、今節大きくプラスとし今節リーグ戦の暫定首位に立ち決定戦進出に向けて大きく躍進した。
対して、宮田と坂本の2人が今節一度も原点キープできずに大きくマイナスをしてしまう。
坂本は降級圏内に入ってしまったが、次節以降奮起し必ずや挽回してくることだろうと思う。

Aリーグの対局を重ねるごとに、こんな凄いところで戦わせて貰っているという思いが強くなっていく。
だからこそ、このAリーグでもっともっとたくさん戦いたいと思うとともに、なんとか食らいついて太閤位決定戦進出のチャンスを伺えたらと思う。
今期Aリーグ初参戦の城が首位に立ち大健闘している中、前期太閤位決定戦に進出した勝間と辻本が降級圏内に入ってしまうという波乱の中、いよいよ次節後半戦に突入し前半戦以上に熱い戦いになるのは間違いないと思われる。

 

 

Bリーグ第5節:丸山直

前半戦の最後となる第5節。ここが終われば折り返しとなる。現在マイナスの者は、ポイントの如何によって後半戦の戦いが苦しくなるのでなんとかプラスしたいところ。

1卓(川上・山室・仁科・稲垣)
稲垣、川上が大きくポイントを伸ばす。仁科、山室は大きなマイナス。

2卓(杉田・大橋・筒井・辻井)
激しくぶつかり合う展開となった。
3回戦 南2局 持ち点17,100の杉田だったが、5巡目に2をチーするとすぐに筒井から

三索四索四索四索五索五索五索六索七索  チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き  ロン五索

と、速攻のチンイツ。

オーラス ドラ七筒
2着の大橋が34,000、辻井が39,200。
杉田が3巡目に東をポンし筒子の混一色模様。9巡目、

四万五万六万六索六索七索七索八索六筒七筒白白白

ここから九索を引いた大橋。七索を切ってリーチとし、2巡後、杉田がピンズを仕掛けるが大橋がツモ、トップをもぎ取った。

4回戦、 杉田

一万二万三万三万三万四万五万六万八万八万  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き

このテンパイだったが、切った六索

七万七万三索四索四索五索五索一筒二筒三筒四筒五筒六筒  ロン六索

筒井に放銃。
東2局は前局アガって勢いに乗る筒井が

三索三索四索四索五索七索八索九索三筒三筒三筒六筒六筒  ドラ三筒

ドラ暗刻のリーチを打つも空振り。
東4局1本場では、大橋と杉田からリーチが入るが、筒井が大橋から7,700。
南2局 ドラ八筒
辻井が2巡目に以下の形でリーチ。

五万六万七万六索七索八索一筒一筒四筒五筒六筒白白

これに真っ向勝負の下家の大橋。3巡目に四万をチー、5巡目に辻井から切られた八筒をポン。その後、筒井から、

三索三索三索四索五索六索六筒六筒六筒東東中中

このリーチが入るが。

四万五万二筒三筒四筒七筒七筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ロン四万

先制リーチの辻井から7,700。

南3局 ドラ南
辻井が7巡目にリーチ。
捨牌 一索 上向き白中五万 上向き五筒 上向き三筒 上向き一筒 上向き
ここに筒井が飛び込んでしまう。

三万三万四索四索二筒二筒七筒七筒南南西北北  ロン西

4回戦は辻井がトップとなり、卓内では大橋と辻井が大きくプラスとした。

3卓(貫上・福原・上村・山中)
全ての半荘で3万点台の浮きとした上村が卓内トップとなった。
3回戦まで厳しい福原であったが、

一万二万三万四万五万六万四索五索六索七索七索五筒六筒七筒

このアガリの形から一万切りのフリテンリーチとし、高目の七万をツモ。これが功を奏したか4回戦はトップを取った。

4卓(長尾・丸山・中川・音羽)
1、2回戦は長尾、丸山がそれぞれトップと2着を取り合う。3回戦は中川が逃げ切りトップ。
ここまで▲49.4Pと苦しい音羽だったが、4回戦開始早々

一万一万二万三万四万四万四万七万八万九万発発発  ツモ一万  ドラ一万

この倍満が炸裂。道中点棒が削られるが、オーラスには

一万二万三万四万五万四索五索六索四筒五筒六筒九筒九筒  ツモ六万

これをアガリトップで今節の負債を減らした。

 

 

C1リーグ第5節:根越英斗
夏本番、関西C1リーグの最終節が行われました。
これから暑さが厳しくなるこの季節、一足先に熱気が最高潮になっていました。
さて、4節までの上位陣の成績はこちらでした。

吉田哲史+113.0P
中島+105.0P
辰巳+47.7P
根越+46.0P
木下+42.7P
吉田圭吾+23.3P

現実的に昇級の2枠に届きそうなプラス域の方の成績はこちらですが、吉田哲史、中島の両名が頭2つほど抜けています。
最終節は、順位卓組となっていますので直接対決とはいえ、団子状態となっている2番手軍団の辰巳、根越、木下は戦い方が難しいところ。
直接対決なので点差は縮めやすいところですが、連盟公式ルールはポイントそのものが小さいので、50Pの差を縮めることは中々骨の折れる作業です。

中島・根越・吉田圭吾・山神での対戦。
1半荘目、上位の中島を落とさないと話にならない3者は、当然のことながら中島に辛く打ちます。
それが功を奏し、点棒をもぎ取ることに成功しました。
しかし、2半荘目以降はさすがここまでプラスを積み重ねてきた中島。必死で体勢を立て直してきます。

吉田哲史・辰巳・木下・松尾の卓組。
こちらの卓でもやはり吉田哲史が辰巳、木下、松尾の3者の包囲網に苦しんだようで、3半荘を終えてトータルポイントはこのようになりました。

中島+68.3P
吉田哲史+67.8P
根越+67.6P
木下+56.7P
辰巳+52.7P

上位5名が約18ポイント差であり、上位3名に至っては0.7ポイント差の中にひしめいております。
この中から2名しか昇級出来ないという過酷な状況。まさにデッドヒート、勝負熱は最高潮に達していました。

運命の最終半荘、中島・根越の対決です。着順が上の方が昇級ランプの色濃く点灯しそうな状況です。
ここで腹をくくった中島は小気味よくアガリを拾い、根越を突き放します。
ここまで根越は突き放されまいと必死で食らいつくもここで力尽く。
バランス良くポイントを稼ぎ、そして最後まで攻めの姿勢を崩さなかった中島が、最終半荘をトップで終え、昇級を確定させました。
別卓では辰巳が最後に吉田哲史をまくりきって最終半荘をトップで終え、2枠目の昇級枠を見事にもぎ取りました。
最後の最後まで誰が昇級しても不思議ではない、非常に熱く、おもしろい前期最終節のC1リーグが終了いたしました。
中島プロ、辰巳プロはBリーグでの活躍に期待したいです。
最後になりましたが、拙い文章を毎月ご拝読いただきまして、誠にありがとうございました。
これからも関西リーグに所属するプロ一丸となり盛り上げてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 

 

C2リーグ前期5節

C2リーグは新人を紹介しています。
以下の項目書いてもらいました。

①氏名  ②年齢  ③期
④好きな役  ⑤好きな雀士
⑥プロになろうと思ったきっかけ
⑦麻雀に思うこと、リーグに参加して感じたこと、これからどうなれば良いかなど自由に書いて下さい。

100

 

①桑田 憲汰(くわた けいた)
②24歳
③35期
④国士無双、タンヤオ、ピンフ、役牌
⑤松永侑己さん、佐々木寿人さん
⑥松永侑己さんや佐々木寿人さんの全ツッパの麻雀に憧れてプロ麻雀連盟を選びました
⑦全ツッパの麻雀で結果が残せるように頑張っていきたいですC2リーグは新人の紹介をしています。

 

 
100

 

①北村祐二(きたむら ゆうじ)
②25歳
③34期生
④ホンイツ、トイトイ(勿論、七対子も狙います。)
⑤同期である関西本部34期生全員
⑥好きなこと、やりたいことを極めたいと思ったから。
⑦私は、常にNo.1よりonly.1を志しており、良くも悪くも、多くの方々の印象に残る、「一風変わった面白い雀士」になることを目指しております。
その為にも、実力を向上させるだけでなく、他の見本となる所作・マナーを心がけ、「魅せる麻雀」を打てるよう、日々努力してまいります。
また、最後には、「麻雀プロになって良かった。」と思いながら、プロ人生を終えられるよう、1日1日のプロ活動を大切に取り組んでまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

第32期中部プロリーグ 第6節レポート

Aリーグ:大橋幸正


今期A・Bリーグのレポートを担当させて頂きます33期生の大橋幸正です。拙い文章になるかもしれませんが、読み応えのあるレポートを作成していきたいと思っています。半年間、どうぞ宜しくお願い致します。
第32期中部プロAリーグは第6節を迎え、いよいよ後半戦に突入した。第5節を終えた時点で、上位、中位、下位が割としっかり表れる結果となっている。各選手、決勝進出を目指すのはもちろんだが、16名中4名と4分の1が降級するという非常にシビアな戦いである。現状1位の清水、2位の小野は降級の心配をする必要が無いであろうが、3位の三戸以下は残留も意識して戦う必要がある。
第6節が行わる日の数日前、前中部プロリーグ優勝者の伊藤(鉄)と話をさせて頂いた。現状4位の伊藤(鉄)は決勝進出圏内にいる。しかし、伊藤(鉄)は下位の選手相手に厳しく打つと話をしていた。その言葉の意図する所は、下位の者を上位に浮上させない、つまりは決勝争いをする者を増やさないと同時に、自分が降級争いに巻き込まれないようにするということである。上位リーガーであればあるほど、このような駆け引きを意識して打っているように思う。その辺も注目しながら、対局を見ていこうと思う。

第6節の組み合わせは以下の通り。
1卓 清水・朝岡・林・村瀬
現状ダントツで首位を走る清水、朝岡、林は決勝を見据えながら残留も強く意識しなければならないポジション、村瀬は降級圏内におり、なんとしてもプラスにしたいポジションにいる。
対局開始前に清水に後半戦に向けてのコメントを聞いてみた。
「たぶん、大丈夫だと思うので、普段通り打ちます。」と回答。
非常に楽観的に聞こえるが、自信があるのだなと感じた。
結果は清水、朝岡、村瀬の壮絶なせめぎ合いとなり、3者ともプラスで終えた。割を食う形となったのは林。この日、オール逆連対で▲56.7Pと手痛いマイナスとなった。林は終始落ち着いて打っており、しっかりと手を組み、本手が入った時はぶつけるスタンスを取り続けていたが、私が見た限りだと、本手は1回もアガれず、3者のファインプレーに阻まれる形になってしまった。非常に良い内容の麻雀を打ち切っていたように見えたので、比較的スピード重視と攻め気の強い3者と噛み合わなかったとしか言いようが無い。内容が良くても結果がなかなかついてこないのが麻雀の難しい所である。
村瀬は嬉しい卓内トップで降級圏内を脱出に成功した。

2卓 小野・土岐・加藤・堤
1回戦、東場で落ち着いたゲームメイクをし、見事な1人浮きのトップを取った土岐のワンサイドゲームになるかと思ったが、それに待ったをかけたのは現在2位の小野。親番の優位性を上手く使い、3回戦目、4回戦目に大きくポイントを稼ぎ、+28.9Pの卓内トップとなった。トータルポイントも+158.6Pまで伸ばすことに成功。残り4節、大崩れをしにくい選手なだけに、決勝進出は安泰と見て良いだろう。堤は4回戦目のオーラス親番の大連荘で一気にプラスし、降級圏内を脱出、加藤は卓内ラスとなってしまい、降級圏内に入ってしまったが、まだまだ2者にとって、苦しい戦いが続くであろう。

3卓 三戸・寺戸・長谷川・斎藤
現在最下位の斎藤にとって、踏ん張り所の一戦となった。1回戦、2回戦とマイナスをしてしまい、いよいよ崖っぷちに追い込まれたが、3回戦目、4回戦目と大物手を何回もアガリきり、終わってみれば、+55.9Pの1人浮きの卓内トップとなった。対局終了後、斎藤に話を聞いてみた。
「他の選手のことは考えず、上だけを見て戦った。だからと言って、前のめりになり過ぎない様に注意しました。」と回答。焦らず、落ち着いてプレイできたことが勝因であろう。一方、マイナスをしてしまったが三戸のポイントを守ろうとせずに叩きにいく姿勢、寺戸の卓上を支配しようとする積極性が印象的であった。残り4節でどう決勝進出争いを進めていくか注目したい。

4卓 伊藤(鉄)・掛水・都築・森下
現在15位に低迷している森下にとって、やりにくい卓組に思い、苦戦必至かと予想したが、そんなの関係ないとばかりに森下の気迫が全面に出た対局となり、復活の+47.0Pの嬉しい卓内トップとなった。掛水も地力を見せつけ、3位まで駆け上がった。伊藤(鉄)は牌勢が悪く、苦しい試合となったが、さすが前中部プロリーグ優勝者、きっちりとプラスで終えることに成功した。対して、格上3人との対戦となった都築は4ラスの▲94.5Pと手痛い結果となってしまった。格上相手に気持ちでも負けてしまった感がある。残り4節、気持ちを切り替えて戦って欲しい。

第6節が行われる前日、第36期プロテストが中部地区で行われた。そこで合格した者は、9月より中部プロリーグ(Dリーグ)に参加することが決定している。これから入ってくる後輩になるであろう者達、また、連盟公式ルールを上達したい人達に伊藤(鉄)の印象的な1局を紹介したい。南場の北家5巡目に伊藤は以下の牌姿

六万七万四索五索六索一筒二筒三筒七筒八筒南白発発  ドラ南

南白を切れば1シャンテンであるが、伊藤(鉄)は七筒切りを選択。
リャンメンリャンメンの好形の1シャンテンであるが、南白と切り出し、すんなりテンパイをしても役が無い。そのテンパイに南白を場に打ち出す価値が無いと判断をし、1シャンテン取らずに構えた。連盟公式ルールは手役を作る価値が高く、また、ドラの価値が非常に高い。伊藤(鉄)は場に出た発をポンとし、南を使い切る手組を目指した。何気ない1局であったが、思考を参考にしていただけると良いと思う。また、東京本部所属現女流桜花Aリーグ2位の武石絵里プロが観戦に訪れていた。1回戦から4回戦まで食い入るように真剣に観戦する姿は、是非、見習って欲しい。強い打ち手のほとんどは他の麻雀をたくさん観戦しているのである。
今節の結果を受け、各々、自分のやるべきことがより明確になってきた。激しい決勝進出争いはもちろんのこと、残留争いにも注目して、今後も見ていこうと思う。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 清水 哲也 28.2 61.8 65.0 12.8 31.8 6.1 205.7
2 小野 雅峻 74.8 ▲ 4.8 39.5 0.7 19.5 28.9 158.6
3 掛水 洋徳 ▲ 28.9 34.0 1.1 31.9 8.5 41.5 88.1
4 伊藤 鉄也 64.4 35.6 ▲ 40.4 12.6 ▲ 9.2 6.0 69.0
5 三戸 亮祐 25.7 34.1 21.4 ▲ 18.6 12.6 ▲ 10.3 64.9
6 朝岡 祐 ▲ 26.6 22.9 ▲ 4.2 29.2 6.3 12.9 40.5
7 寺戸 孝志 0.8 29.6 40.4 57.4 ▲ 77.8 ▲ 21.4 29.0
8 土岐 雄太 30.0 52.8 ▲ 29.8 6.9 ▲ 18.8 ▲ 21.7 19.4
9 林 俊宏 40.8 ▲ 4.3 ▲ 82.8 30.2 39.7 ▲ 56.7 ▲ 33.1
10 村瀬 寛光 ▲ 25.0 ▲ 106.3 68.8 ▲ 45.1 33.5 37.7 ▲ 36.4
11 長谷川 弘 1.7 ▲ 47.3 12.6 0.4 ▲ 2.0 ▲ 25.2 ▲ 59.8
12 堤 文吾 ▲ 16.3 ▲ 75.2 10.8 ▲ 39.5 4.5 25.6 ▲ 90.1
13 加藤 泰史 ▲ 66.9 18.3 ▲ 27.5 27.8 ▲ 10.6 ▲ 32.8 ▲ 91.7
14 森下 剛任 ▲ 54.5 ▲ 9.7 ▲ 33.8 3.3 ▲ 51.5 47.0 ▲ 99.2
15 斎藤 寛生 ▲ 11.0 ▲ 65.4 ▲ 7.7 ▲ 47.5 ▲ 36.0 55.9 ▲ 111.7
16 都築 友和 ▲ 37.2 23.9 ▲ 35.4 ▲ 62.5 48.5 ▲ 94.5 ▲ 157.2

 

 

Bリーグ:大橋幸正


いよいよ第32期中部プロリーグ後期Bリーグが開幕した。6月に前期が終了し、そこで私は昇級を決めたわけだが、もう随分と前の出来事のように感じる。個人差はあるとは思うが、Bリーグを戦う選手も同じ様に感じ、気持ちを新たにリセットし、この日のための準備をしてきているであろう。
開幕を前に各選手に後期に向けてのコメントを頂いた。その中で印象に残った選手のコメントを紹介していこう。

・木村「みんなと麻雀をできる喜びを持って、頑張ります。」
・古川「降級しない様に頑張ります。」
・杉浦(勘)「鳳凰位戦でA2リーグへ昇級を決め、半年間、鳳凰位戦は休みとなったので、今期から中部プロリーグに参加できたことは、良い刺激になり、本当に良かったです。鳳凰位戦と同じ気持ちで、Aリーグ昇級を目指して、頑張りたいと思います。」
・太田(充)「前期最終節で集中力が欠けてしまった時があったので、今期は集中力を高めて、頑張ります。」
・杉村「ボーダーラインを常に意識しながら、昇級を目指して頑張ります。」
・佐藤「Aリーグを降級して1年半が経過しましたが、内容が非常に悪く、結果に繋がらない現状があります。きちんと自分を見つめ直し、昇級を狙いたいです。」
・富村「ずっと3~5位と昇級一歩手前で終わってしまい、昇級を逃しているので、今期は昇級できるよう頑張ります。」
・高橋「リーグ戦を戦うにあたって、私には克服しなければならない欠点がある。それはポイントを大きく稼ぐのが苦手ということ。大きくプラスできそうなチャンスが訪れた時も上手く活かすことができず、自分から勢いを殺してしまっていることも多い。今回はチャンスを見極め、きちんと捉えていきたいと思う。」

その他の選手もほとんどが昇級を狙うと力強いコメントを頂いた。そんな中、大ベテランの木村、古川はコメントを見てもわかるように、酸いも甘いも嚙み分けるような様子で笑顔でコメントをしてくれた。対局の様子を見ると、まだまだ元気で、他の選手の大きな壁となるであろう。
女流プロ3名は、しっかりと自己分析ができており、今期どういった戦いを見せてくれるか楽しみである。中部プロリーグ歴代優勝者に女流がいないのはおろか、現在Aリーグに女流は1人もいない。女流3名の中から昇級者が出るのか、大注目である。
第1節で好スタートを切ったのはCリーグを1位通過で昇級してきた河合。杉浦(勘)、杉村といった卓越した選手を相手に力強い麻雀を見せ、+40.7Pとこの日のトータルトップとなった。前期昇級してきた勢いがあるので、この先もその勢いを殺さずに戦い抜く姿に期待する。対して、オール逆連対で▲47.3Pと洗礼を浴びた形となった鈴木(涼)だが、対局終了後、同卓した先輩に積極的に話を聞いている姿が印象的だった。まだまだ若く、今は伸び盛りの時期。どんどん吸収すれば良い。
第1節で大きくポイントを叩けた選手はいなく、おそらくは大混戦になるであろう今期のBリーグ。この先も激戦必至の熱い戦いをしっかりとお伝えしていこうと思う。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 河合 慎悟 40.7 40.7
2 太田 充 27.3 27.3
3 大高坂 松城 21.1 21.1
4 杉村 泰治 20.1 20.1
5 日下 健司 19.0 19.0
6 木村 東平 16.1 16.1
7 山本 拓哉 6.7 6.7
8 高橋 侑希 0.0 0.0
9 佐藤 あいり 0.0 0.0
10 岡本 丈司 0.0 0.0
11 太田 峻也 0.0 0.0
12 古川 孝次 ▲ 5.5 ▲ 5.5
13 杉浦 勘介 ▲ 13.5 ▲ 13.5
14 金平 裕樹 ▲ 28.5 ▲ 28.5
15 鈴木 涼太 ▲ 47.3 ▲ 47.3
16 富村 つぐみ ▲ 56.2 ▲ 56.2

 

 

Cリーグ:越川清一


今期Cリーグのレポートを担当します24期越川清一です。よろしくお願いします。前期の結果を踏まえ新たな気持ちで今期に臨む選手たち。そんな選手たちをより知ってもらうために毎節2名ずつ注目の選手を紹介していきたいと思います。
まず1人目は29期池沢麻奈美。18才で麻雀を覚えアマチュア時代に夕刊フジ杯で個人優勝。鳴り物入りで連盟の門を叩き2年目には第13回野口恭一郎賞を受賞する。そこから最強戦、女流モンドへの道が開け第15回女流モンド優勝と輝かしい実績を持つ。

今期の意気込みを聞くと、「いつも通り」とのこと。見た感じのまま、ほんわか系女流雀士である。そんな池沢の戦いを後ろで観戦する。
池沢に麻雀のスタイルを聞くと以前は守備型だったが今は攻めに重きを置いているとのこと。それが垣間見えた局があった。上家の5巡目リーチに自身は平和のみの手だが無筋を4枚ノータイムで切り飛ばしリーチといく。これはアガれなかったがこの戦う姿勢には感心させられた。私はノータイムという言葉が好きである。全ての結果を受け入れる覚悟が感じられるから。
ただそんな池沢の気になった局がある。

1回戦東3局南家

二万三万四万一索二索三索四索二筒三筒四筒七筒八筒九筒  ツモ一索  ドラ一索

この3,000・6,000をツモアガった次局の親、6巡目

三万四万八万六索八索七筒八筒九筒白発発中中  ドラ六索

ここから上家から切られた1枚目の発を鳴く。
麻雀に流れはあるという池沢ならば、最高の状態でむかえた親はできるだけ面前にこだわるべきである。
結果は、同巡南家西家からリーチが入り、食い下げた六索を南家にツモアガリされてしまう。流れ論者の私からすると必然の結果と思う。
この局をどう捉えるか、池沢には今後の課題としてほしい。

2人目は35期新人平野祥太。
前期Dリーグで全節プラスでの1位昇級。そんな平野に今期の意気込みを聞くと、「自分のスタイルは守備型でラスをひかない麻雀です。Dリーグでは20戦でラスは1回だけでした。今期も全節プラスして昇級を狙いたいと思います。」と力強く語ってくれた。目標とするプロを聞くと「二階堂瑠美プロです。」と答えてくれた。手役派でもあるのだろう。
平野の戦いを後ろで観戦する。打牌リズムがよく、判断も速い。ただ東1局からの1,000点の仕掛けや、他家の仕掛けに対応しての中盤での親での形テンには守備型としては違和感を感じた。
3回戦を終えて大きくマイナスしてしまうが4回戦大きなトップをとりマイナスを40まで減らすことができたのだが、私が気になった局がひとつ。

南2局南家10巡目 持ち点48,100

二万二万三万三万三万六万六万三索三索四索五索四筒四筒四筒  ドラ八索

ここからテンパイとらずの五索切り。
ここまでのマイナスポイントを考えれば、気持ちはわかるがこれはやりすぎだろう。場にそぐわないと感じる。
結果は二万をポンしての1人テンパイで流局するのだが、こうしたのなら二万ポンせずのノーテンの方が私は強さを感じる。

平野には苦い第1節となってしまったが、まだ始まったばかりである。ここからの巻き返しを期待したい。
第1節の結果を踏まえ、選手それぞれが課題をもってしっかりと次節に臨んでほしいと思う。

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 安藤 大貴 64.5 64.5
2 中谷 彰吾 36.5 36.5
3 大滝 聡 32.3 32.3
4 池沢 麻奈美 22.1 22.1
5 山田 まさとし 18.9 18.9
6 浅野 文雅 0.3 0.3
7 青山 大 0.0 0.0
8 田村 良介 0.0 0.0
9 杉浦 貴紀 0.0 0.0
10 後藤 咲 0.0 0.0
11 岡田 智和 ▲ 11.9 ▲ 11.9
12 菅野 直 ▲ 19.1 ▲ 19.1
13 大町 篤志 ▲ 24.5 ▲ 24.5
14 若松 正和 ▲ 29.1 ▲ 29.1
15 平野 祥太 ▲ 40.3 ▲ 40.3
16 家田 みゆき ▲ 49.7 ▲ 49.7

第6期JPML WRCリーグ ベスト8A卓レポート 優月 みか

このベスト8A卓では、鳳凰位吉田直、十段位内川幸太郎、マスターズ連覇白鳥翔という連盟を代表するスター選手。そしてもう1席は今期麻雀プロ入りを果たした、声優としても大きく活躍している伊達朱里紗という非常に濃厚なメンツで対局が行われた。

タイトルホルダー同士の戦いも非常に注目する点である。だがそこに入るプロ歴半年、紅一点の伊達朱里紗は、この3人を相手にどう戦うのか。

1回戦目
起家から伊達→吉田→内川→白鳥

東3局1本場

7巡目に白鳥が七対子発タンキで先制リーチを打つ。
捨牌は 六筒八筒二筒九筒五筒五筒 宣言牌一索二筒のみツモ切り)

白鳥
五万五万七万七万九万九万一筒一筒東東北北発  ドラ西

このリーチを受けて同巡、親番の内川も七対子のテンパイを入れる。

内川
二万二万四万四万八万八万二索二索四索四索八索九索九索六筒

ここから一発目に八索を押し、白鳥の現物六筒単騎のヤミテンを入れる。
次巡、七筒を引き入れ打六筒と待ちを変え、下家の白鳥から七筒が打ち出される。
内川、2,400点と打点は少ないながらも見事な手順で先制リーチをかわし、加点を決めた。

東4局では、伊達が8巡目に高め三色の一索四索七索待ちという勝負手をリーチにいくも白鳥の2,000オールツモアガリとなる。
その後もメンピンドラドラの勝負手が白鳥への放銃になるなど、伊達にとっては苦しい展開が続き、1回戦目が終了した。

1回戦終了時トータルポイント
吉田直 +28.4P
内川幸太郎 +10.5P
白鳥翔 ▲7.4P
伊達朱里紗 ▲31.5P

 

 

2回戦目
起家から内川→白鳥→吉田→伊達

東1局、親番内川の先制リーチに対して15巡目に吉田がドラの白を勝負してリーチ。
これを吉田がハイテイでツモアガリ、1,000・2,000のアガリ。
その後も初戦トップをとった吉田が、自身のリードに甘えることなく押し続けるという強靭な精神力を見せつけた。

南1局では白鳥の繊細な手順が光る1局が見られた。

2巡目、

白鳥
五万五万六万七万七万八万二索六索八索八索二筒四筒五筒六筒  ドラ六筒

この手牌、三筒引きで3面張の形になる為、形で打二索となりそうだ。
だが白鳥は親の2打目の二索を見てソウズの下に手応えを感じ打二筒とした。

この繊細な選択が見事功を奏し、三索六万と連続で引き入れ4巡目に最速かつノーミスのリーチ。
このリーチにも押していった吉田がここはアタリ牌を掴み、白鳥へ8,000点の放銃となった。

五万五万六万六万七万七万二索三索八索八索四筒五筒六筒  リーチ  ロン一索  ドラ六筒

 

100

 

白鳥は一歩リードを決めるが、南3局吉田の親番。
ここでも吉田が強靭な精神力を発揮。
先制リーチにも臆することなく押して押して、吉田の親番は4本場まで続いた。そして6万点を超える大きなトップ、2連勝を掴み取り2回戦目が終了した。

 

100

 

2回戦ポイント
吉田直 +45.3P
白鳥翔 ▲0.5P
伊達朱里紗 ▲14.0P
内川幸太郎 ▲30.8P

2回戦目終了時トータルポイント
吉田直 +73.7P
白鳥翔 ▲7.9P
内川幸太郎 ▲20.3
伊達朱里紗 ▲45.5

 

 

3回戦目
起家から伊達→内川→白鳥→吉田

南1局まで親の連荘なし、流局1回、最高打点が伊達の700・1300と小場で進んでいった3回戦目。

大きく点棒が動いたのは南2局、内川の親番だ。
2巡目にトータルポイントで1人大きくプラスをしている吉田から中のポンが入る。

親番の内川は吉田の仕掛けをうけて3巡目にこの形になる。

三万三万五万六万四索四索五索六索六筒七筒発発中  ドラ二索

吉田からの仕掛けを受け、この手牌は親番であることもあり発は仕掛けていくであろうと予想される。
だが内川は、5巡目に白鳥から打ち出された発を仕掛けずに見送った。

9巡目には手牌をメンゼンテンパイまで育ててリーチにいった。
このリーチへ吉田から一発でアタリ牌が打ち出され、内川7,700点のアガリとなる。

三万三万三万六万六万四索五索六索六筒七筒八筒発発  リーチ  ロン発  ドラ二索

 

100

 

南4局では内川が白鳥から満貫の手をアガリ、最大のライバルである白鳥へ44.9P、伊達には52.7Pの条件をつけ、最終戦へと向かう。

3回戦終了時トータルポイント
吉田直 +63.7P
内川幸太郎 +11.3P
白鳥翔 ▲33.8P
伊達朱里紗 ▲41.1P

 

 

4回戦目
起家から内川→吉田→白鳥→伊達

いよいよ決勝戦への権利を賭けた最終戦が始まった。
ポイントとしては、吉田が+63.7Pと1人抜けていて、開始時トータル2位の内川と3位白鳥との差が44.9P。内川と伊達の差が52.7P。
白鳥は内川とトップラスで14,900点の点差を作ること。伊達は内川とトップラスで22,700点差、さらに白鳥よりも上の着順にいないといけない。となりそうだ。

東1局、白鳥が中トイツ、ドラの北トイツの手を仕掛けて伊達から3,900点のアガリを決めた。
まずは堅実に素点を稼いでいく。

東2局では、フリテンながらタンヤオの3面張テンパイを入れた吉田からドラの発が打ち出され、白鳥がポン。テンパイを入れるもここに伊達がピンフドラ1でリーチをぶつけた。
制したのは伊達、1,300・2,600のアガリを決めた。

東3局、白鳥の親番では内川が仕掛けたトイトイ、2,600を吉田からアガリ、白鳥の親を落とす。

局面が大きく動いた東4局1本場。親番は伊達。

5巡目白鳥の手牌

一万二万三万六万二索五索五索九索九索九索二筒三筒六筒  ドラ五筒

この形に九索をツモり暗カンを入れる。
リンシャン牌から、新たにドラになった六筒を引き入れ、満貫の1シャンテンの形にした。

そして9巡目、暗カンを入れた白鳥が満貫以上確定のリーチにいく。

一万二万三万四索五索六索二筒三筒六筒六筒  暗カン牌の背九索 上向き九索 上向き牌の背  リーチ  ドラ五筒六筒

白鳥からのリーチを受けた次巡、内川も高め三色のタンヤオテンパイを入れる。

四万五万六万八万八万四索五索六索八索八索八索四筒五筒

そして10巡目、内川は白鳥のアタリ牌である一筒を掴んだ。
白鳥への直撃はかなり痛い。仕掛けている吉田もいる。だがここの手をアガリ切れば決まり手となる。
長考の末、一筒が打ち出され白鳥の8,000点のアガりとなった。

このアガリにより、白鳥と内川はトップラス、満貫の直撃によりトータルポイントでも白鳥が上となる。だが内川としても、着順をひとつ上げればまた逆転。そして伊達は白鳥をまくりトップになれば勝ち上がりと、誰が通過するか目が離せない戦いが始まった。

南4局 親番 伊達

ここまで苦しい思いをしてきた。丁寧で慎重な打牌を続けてきた。先制リーチがアガれない事が続いた。そんな伊達にこの勝負所でこの配牌が。

二万四万五万六万二索五索一筒一筒二筒三筒三筒四筒五筒西  ドラ三筒

ドラを2枚使った2メンツと、マンズで1メンツが完成している。
2,600オールをアガると勝ち上がりの条件を達成する伊達。

3巡目に三万を引き入れ、さらに好形の手になる。
さらに4巡目に二筒をツモり、この形

二万三万四万五万六万六万一筒一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒  ドラ三筒

二万三筒六筒待ちのヤミテンに構えた。

条件的にはツモアガリが1番価値がある状況。
ヤミテンにするもアタリ牌は出てこない。

13巡目、伊達は小考の後ツモ切りリーチにいった。

そして15巡目、六筒のツモアガリ6,000オールと大きな大きなアガリを決めた。

三万四万五万六万六万一筒一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒  リーチ  ツモ六筒  ドラ三筒

 

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このアガリで、内川は満貫ツモ、白鳥は跳満ツモとライバル2人に条件を突き付けた伊達。
そして南4局1本場では吉田がそっと三色のヤミテンをアガリ、この大接戦のWRCベスト8A卓は伊達の大逆転で幕を閉じた。

勝ち上がり
吉田直、伊達朱里紗

第6期JPML WRCリーグ 優勝はダンプ大橋!

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決勝 吉田直 vs 伊達朱里紗 vs 杉山俊彦 vs ダンプ大橋

 

優勝:ダンプ大橋 第2位:吉田直 第3位:杉山俊彦 第4位:伊達朱里紗

 

ロン2カップ2019summerレポート 石田 亜沙己

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2019年08月10日
暑さ本番、夏空がまぶしく感じられるこの季節がやってきました!
ロン2カップ2019summer!!
今回のレポートを務めさせていただく石田亜沙己です。よろしくお願いします。

春夏秋冬、季節ごとに行われるロン2カップ。
ロン2カップとはインターネット麻雀サイト「ロン2」がプロデュースする麻雀対局番組で、ロン2内で行われる予選大会を勝ち抜くと一般ユーザーも大会に参加することができます。
「プロと打てる!プロと会える!」
つまりロン2カップとはロン2ユーザー参加型麻雀番組で、厳しい予選を勝ち抜いたユーザーと、プロ雀士が真剣勝負を繰り広げる大会なのです。

【大会のシステム】
ユーザー代表3名とプロ雀士9名の計12名での大会となります。
A卓、B卓、C卓の3卓に分かれ、戦います。それぞれの卓のトップ者は無条件で決勝戦に進出。2着の方は決勝進出をかけた敗者復活戦に進出になります。
敗者復活戦でトップを取ると決勝卓に進むことができます。
この敗者復活戦のもう1枠は、各卓の3着の方の中から、視聴者投票を行い決定します。最も得票数の多かった方が敗者復活戦に進むことができます。
予選で4着になってしまった場合は敗退となってしまいますが、2、3着であれば決勝戦進出の可能性があります。

【今大会のルール】
4人麻雀。ロン2リーチバトルのルールで赤牌が3枚入っています。
時間打ち切りや、飛び終了はありません。

それでは対局の模様をお伝えしてまいりましょう!

 

 

予選A卓
起家から、山脇千文美、石田亜沙己、手塚紗掬、MR.C.B.さん

 

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予選A卓は女流プロ3名とユーザー1名の対局。
開始前のインタビューも笑いが絶えないぐらいの賑やかさ!
MR.C.B.さんもリラックスした様子で対局がスタートしました。

東1局1本場 ドラ八万
6巡目にMR.C.B.さんがリーチ。

二万三万四万五万六万七万九索九索二筒三筒四筒東東  リーチ

そして次巡石田もリーチ。

二万三万四万九万九万一索二索三索五索赤五索赤五筒六筒七筒  リーチ

そしてテンパイした親の山脇から九万が打たれ、石田の8,000は8,300のアガリでスタートとなった。
その後MR.C.B.さんの満貫ツモ、山脇の満貫ツモと対局は荒々しい展開に。
そして南3局手塚の押し返しに合うも石田の逃げ切りとなった。

予選A卓結果
1着石田、2着MR.C.B.さん、3着山脇、4着手塚

 

 

予選B卓
起家からSpitzさん、沢崎、ともたけ、黄龍王しげさん

 

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この卓はプロ2名とユーザーさん2名の戦い。

東1局 ドラ南
10巡目に黄龍王しげさんがリーチ。

五万六万七万九万九万九万三索四索五索二筒三筒発発  リーチ

12巡目に親のSpitzさんが追っかけリーチ。

三万三万三万五万五万二索三索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  リーチ

さらには沢崎が3件目のリーチ。

一万一万三索四索六索七索八索赤五筒六筒七筒南南南

結果は一発で黄龍王しげさんが二索を掴み、沢崎へ12,000の放銃となった。
この予選B卓も開始早々激しいぶつかり合いだ。

東3局 ドラ二万
ここでも大物手がぶつかる。
3巡目にSpitzさんが三色確定のリーチ。

二万三万四万二索三索四索二筒三筒四筒五筒赤五筒八筒九筒  リーチ

そこへ追い付いたのが黄龍王しげさんが9巡目に追っかけリーチ。

二万三万四万六万七万八万赤五索六索七索東東白白

一発で、白をツモリ 3,000・6,000で前局の失点を取り戻した。
そしてこの次局、親番で猛連荘。6本場まで積み決勝卓へ。

予選B卓結果
1着黄龍王しげさん、2着沢崎、3着ともたけ、4着Spitz

 

 

予選C卓 起家から灘、伊藤、森山、荒

 

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いわゆるレジェンド卓。
伊藤の言葉をかりるのなら、クラシックカー4車の戦いだ。
解説の現鳳凰位吉田と現十段位内川もこの卓で打ちたいというくらいの、魅力的なメンバーだ。
東場は4者譲らず接戦に。

均衡を破ったのは伊藤。
南2局。親の伊藤が南をポンし、役牌ドラドラのテンパイ。
森山が三色確定のリーチを打つも、伊藤が荒から5,800のアガリ。

南4局 ドラ西
親番は荒、各者の持ち点は
伊藤40,600、森山28,500、荒、25,800、灘25,100

2局続けて、荒、灘の2人テンパイで差を詰める。
2本場、森山が4巡目にリーチ。

四万五万六万七万八万九万一索一索七索八索九索八筒九筒

ツモれば逆転トップ。
しかし、10巡目に荒が追っかけリーチで森山から打ち取り、伊藤に迫る。

3本場は、灘のリーチを受けるが伊藤が押し切りトップを死守。

予選C卓結果
1着伊藤、2着荒、3着灘、4着森山

そして視聴者投票の結果、準決勝にコマを進めたのは山脇。

 

 

準決勝、起家から山脇、MR.C.B.さん、荒、沢崎

 

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東1局
親の山脇がリーチで先手をとるが、MR.C.B.さんも仕掛けで応戦。
さらに沢崎が追っかけリーチでテンパイが入った荒から2,600点だが大きいアガリとなった。

開局から激しい幕開けとなった。
その後も叩き合いが続きトップが入れ替わる展開に。
接戦を抜け出したのは荒。

南3局 ドラ九筒
リーチと踏み込む。

三万四万五万六万六万六万七索八索九索六筒六筒八筒九筒  リーチ

一発でツモリ4,000オールで決勝進出を決めた。

 

 

そしていよいよ決勝戦。

対局者は石田、伊藤、黄龍王しげさん、荒の4名。

 

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接戦で迎えた東4局。
ここから伊藤がエンジン全開。

二万二万七万八万五索赤五索六索六索七索七索三筒四筒五筒  ロン六万  ドラ五索

この12,000をアガると次局も

六万七万八万二索三索六索七索八索四筒四筒六筒七筒八筒  ツモ四索  ドラ三索

連続跳満のアガリでリードを広げる。

ここで待ったをかけたのは黄龍王しげさん。
南3局にタンヤオ、ハイテイ、トイトイ、三暗刻の3,000・6,000をツモリ
伊藤との差は8,000点弱に。

しかし、オーラスは伊藤のツモアガリ。

ロン2カップ2019sumeer優勝は伊藤優孝。
最後のインタビューでは「バカづきでした」とお茶目なコメントも。

 

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私もとても貴重な体験をさせていただいてとても勉強になりました。
また機会があれば今度は優勝するぞ!!

伊藤プロ、おめでとうございました!!

 

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次回もプロ雀士とロン2ユーザーが、この夏目坂スタジオで熱きバトルを繰り広げると思うと、今からとても楽しみです。

第6期JPML WRCリーグ ベスト16A卓レポート 優月 みか

第2期から実況を務めさせていただいているこのWRCリーグももう第6期目を迎えた。
若手の良いところ、ベテランの強さ、数々のドラマを間近で魅せてくれたこの大会、今期はいったいどんな物語が綴られるのか。

第6期JPML WRCリーグ開幕。
ベスト16から放送卓となる。
ABCD卓シードを含めどの卓にもタイトルホルダーがいて見応えのある対局となりそうだが、放送できるのは1卓のみ。
今回はSNSでのアンケートにより、A卓の放送が決まった。
対局メンバーは
現チャンピオンである沢崎誠、二次予選から通過の船木伸一、絶大な人気を誇るマスターズ連覇の白鳥翔、一次予選から勝ち上がり、この中では最若手となる木原翼。

半荘4回戦を行い上位2名がベスト8へ進出のトーナメント、ルールは一発裏ドラのあるWRCルールで行われる。

 

★1回戦目
(起家から木原→白鳥→船木→沢崎)

親番木原の1,500点のアガリ、そして流局が続き重たい立ち上がりの1回戦目。

東3局に白鳥がこの手牌を見事ホンイツに育て上げ、2,000・4,000のツモアガリ。

 

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白鳥に一歩リードされるも、東4局では船木が白鳥の先制リーチ、親番沢崎のヤミテンを受けながらもしっかりと攻め切りリーチ。
この船木のリーチは白鳥から一発で五万を捕える。

三万三万六万六万七万七万八万三索四索五索六筒七筒八筒  リーチ  ロン五万  ドラ五索

船木、トップ目の白鳥から8,000点の直撃をアガる。

南2局2本場までには、白鳥が1人テンパイや親リーチをうまくかわすアガリを決め持ち点はひとり4万点を超える。

ここで動いたのは沢崎だ。

 

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この手牌を仕掛けてホンイツのテンパイを入れる。
5巡目に打ち出された八索にチーの声をかけ白をポン、さらにツモ九索七索二索六索と引き入れ一索四索待ちのテンパイを入れた。

木原も仕掛けてドラドラのテンパイを入れるも、ハイテイで沢崎がツモ2,000・4,000と大きなアガリを物にする。

沢崎
二索三索五索五索五索六索七索  ポン白白白  チー八索 左向き七索 上向き九索 上向き  ツモ四索  ドラ六索

南4局1本場
攻防を繰り返しながら点棒状況は

木原21,700
白鳥35,800
船木25,900
沢崎36,600

沢崎がこの配牌。ドラ六索

 

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この手を1巡目の九筒から仕掛けて、九万を引き入れ9の三色同刻方アガリという珍しい形。

九万九万九万四索五索六索九索九索一筒一筒  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ドラ六索

九筒の加カンも入りヒリつく中、8巡目にアガリトップの白鳥がこのヤミテン。

白鳥
一万二万三万三万四万一索一索三索四索五索五筒六筒七筒

同巡、船木がこの形でリーチ。

船木
八万八万三索四索五索七索七索八索九索九索五筒六筒七筒  リーチ

3着目船木からのリーチを受けた白鳥、宣言牌三筒のリーチである。ここに打ちづらい四筒を一発目に持ってくる。現物の一索がトイツであるもののここは白鳥が七筒を勝負。船木の現物待ち、二万五万待ちのテンパイを維持。直後、1シャンテンでもある木原から、船木の現物の五万が打ち出され白鳥のアガリとなる。

トッププロの押し引きを見せつけ白鳥のトップで1回戦目を終える。

★1回戦成績
白鳥翔 +23.1P
沢崎誠 +11.6P
船木伸一 ▲10.1P
木原翼 ▲24.6P

 

 

★2回戦目
(起家から白鳥→沢崎→木原→船木)

東1局、1回戦目は我慢の麻雀が多く見えた木原がここでエネルギッシュなアガリを決める。

配牌から六万のドラトイツの勝負手。

6巡目にこの形

 

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一見受けの広い打四万を選びそうな手牌だが、木原はここでドラ六万を2枚使い切ることや、345の三色までと最高打点の見える打六筒とした。
次巡、狙い通りドラを使い切る事の出来るツモ五万により四筒三筒と払っていく構え。

さらに9巡目、再び五万を引き入れ絶好の二索五索八索待ち3面チャンでリーチを打った。
木原は一発で二索をツモアガリ、開局から3,000・6,000の大きなアガリを決める。

繊細な攻防の末、南4局では2着、3着の白鳥船木が同点。4着の沢崎が700点差という非常に僅差なオーラスを迎える。

白鳥 28,600
沢崎 27,900
木原 34,900
船木 28,600

ベテランの沢崎、白鳥がしっかりとテンパイを取り、そのテンパイ料で着順を変える。

★2回戦成績
木原翼 +18.4P
白鳥翔 +5.1P
沢崎誠 ▲5.6P
船木伸一 ▲17.9P

★2回戦終了時トータルポイント
白鳥翔 +28.2P
沢崎誠 +6.0P
木原翼 ▲6.2P
船木伸一 ▲28.0P

 

 

★3回戦目
(起家から船木→白鳥→沢崎→木原)

東4局、親 木原 ドラ八万
木原が難しい選択の答えを見事に導き出した場面。

船木がこの配牌。

 

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ここから打八索。次巡ツモ中で打五索。3巡目ツモ一万で打六筒と船木はジュンチャンを目指して手を進めていく。
5巡目には一索を重ねてこの形

一万八万九万一索一索七索八索九索一筒二筒三筒七筒九筒

仕掛けても満貫の1シャンテンになる。
だがこの1シャンテンがなかなか進まず、親の木原、沢崎も形がまとまっていく。
船木の欲しい七万は山に3枚生きていたが全て木原の手に吸収されていった。

11巡目、沢崎がこの形から三索をチーしてテンパイを入れる。

六万六万二索三索四索三筒四筒六筒七筒八筒  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き  ドラ八万

四万四万五万五万七万七万七万六索七索六筒七筒八筒発発

同巡、親番の木原は七万を暗刻にし、この形から発のトイツを落としていく。
仕掛けている沢崎からはドラの八万も打ち出され勝負に出ていることは明白だ。

木原はさらに三万をツモリ、この形。

三万四万四万五万五万七万七万七万六索七索六筒七筒八筒

次巡、木原は沢崎のアタリ牌であるツモ五筒

三万四万四万五万五万七万七万七万六索七索五筒六筒七筒八筒

この形からしっかりとアタリ牌をスライドさせ打八筒とした。

 

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そして打ち出された八筒は下家船木が仕掛けてペン七万待ち、満貫テンパイを入れる。

船木
八万九万一索一索七索八索九索一筒二筒三筒  チー八筒 左向き七筒 上向き九筒 上向き

沢崎、船木の仕掛けを受けて親番の木原はツモ三万

木原
三万三万四万四万五万五万七万七万七万六索七索五筒六筒七筒

この形になる。七万を切ればタンピンイーペーコーのチャンス手。
だが、下家の船木はカン八筒を仕掛けている。上目の三色であるなら木原の目から4枚見えている七万は必ずアタリ牌だ。
木原は小考ののち打六索とし、七索単騎のテンパイをとる。
次巡、木原はツモ二万で待ちを二万五万のノベタンに変え、直後船木から二万がツモ切られる。

木原、3,900点と打点は少ないながらも放銃を回避し、アタリ牌を止め、見事な手順でアガリへの道を掴み切った1局であった。

二万三万三万四万四万五万五万七万七万七万五筒六筒七筒  ロン二万

 

100

 

その後の展開としては、船木が渾身のツモリ四暗刻をテンパイするも、白鳥のアガリとなるなど船木にとっては苦しい展開が続いていた。

南1局では8巡目に白鳥がホンイツ、一気通貫、ドラ1のヤミテンを入れ、沢崎から出アガリ。
白鳥はトータルトップからさらに12,000点の加点をし、盤石の状態へ持ち込む。

南3局1本場、白鳥、木原のアガリが続き船木のトータルポイントは厳しいものとなっていた。

船木の手牌。

 

100

 

2巡目に南を重ねて、役牌のトイツができるが1枚目の南は仕掛けず、メンゼンでの高打点を目指して手を進めていく。
メンゼンで仕上げるのはかなり厳しそうな手には見えたが、この配牌を6巡目にはここまで育て上げた。

 

100

 

12巡目
三索三索三索四索五索六索八索九索南南北北北

この形でテンパイ、リーチにいった船木は白八索ポンと2フーロしている木原から一発で七索を討ち取った。8,000点のアガリとなる。

 

100

 

南4局では木原の親リーチが決まり4,000オールのアガリとなる。

★3回戦成績
木原翼 +32.7P
白鳥翔 +16.4P
船木伸一 ▲11.8P
沢崎誠 ▲31.3P

★3回戦終了時トータルポイント
白鳥翔 +44.6P
木原翼 +26.5P
沢崎誠 ▲31.3P
船木伸一 ▲39.8P

 

 

★4回戦目
(起家から木原→船木→白鳥→沢崎)

トータルポイント2着目の木原と沢崎の差は57.8、船木と木原の差は66.3と大きく離れていた。

トップラスで約3万点の差をつける事が条件となる。
船木、沢崎も攻め入るもののトータルトップの白鳥、木原がアガリを決め局を進めていき白鳥、木原の勝ち上がりとなった。

★4回戦成績
白鳥翔 +40.6p
木原翼 +5.7P
船木伸一 ▲13.8P
沢崎誠 ▲32.5P

★4回戦終了時トータルポイント
白鳥翔 +85.2P
木原翼 +32.2P
船木伸一 ▲53.6P
沢崎誠 ▲63.8P

★勝ち上がり
1位通過 白鳥翔
2位通過 木原翼

第36期十段戦 ベスト8B卓レポート 望月 雅継

十段戦決勝の椅子はあと2つ。
昨年の雪辱を晴らしたい黒沢か、久しぶりの決勝の舞台に燃える伊藤か、そして初の決勝進出を狙う杉浦、小松か。
タイプの異なる4名の激突に注目は尽きない。

 

 

100

小松武蔵(東京本部、B2リーグ)

 

 

100

黒沢咲(東京本部、A2リーグ、TEAM雷電)

 

 

100

杉浦勘介(東京本部、第9期野口恭一郎賞、B1リーグ)

 

 

100

伊藤優孝(東京本部、第9期鳳凰位他、A1リーグ)

 

 

1回戦(起家から、杉浦・小松・伊藤・黒沢)

初のG1タイトルの決勝進出を目指す小松、開局から高打点の手が入り続ける。

東1局は、

一万一万一万二万二万二万二万三万三万四万五万発発  ドラ六万

東2局は、

六万五索六索七索二筒二筒二筒七筒八筒九筒南南南  リーチ  ドラ六万

東2局1本場は、

一万一万一万六万七万三索三索三索四索四索白白白  ドラ三索

東3局は、

七万八万九万一索二索三索七索八索九索一筒三筒東東  リーチ  ドラ二万

そして東3局1本場は、

三万四万六万七万八万五索五索一筒二筒三筒  ポン中中中  ドラ中

なんと5局連続の満貫級のテンパイ。
そのうち一本でも引ければ、ベスト8の戦い方もガラリと変わったはず。
しかしこの勝負手の数々も、3人の捌きとディフェンス力に完全に封じ込められる。

東1局は伊藤が、東2局は流局、東2局1本場は黒沢が、東3局は再び伊藤が、そして東3局1本場は流局と、先手を取りたい小松の思惑をあざ笑うかのように空を切り続ける小松。

対する3人の攻勢はすさまじい。
東4局2本場は杉浦が、

三万四万四万四万五万六万七万八万三索四索五索三筒四筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ発

安目ながらリーチを引きアガると、次に襲い掛かるのは伊藤。
南1局、伊藤13巡目、前巡のテンパイ取らずからのリーチに。

五万六万七万八万八万五索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ四索  ドラ四索

高めの四索をツモアガリ、2,000・4,000。
混戦から一歩抜け出すことに成功。

続く南2局は黒沢の出番だ。6巡目テンパイを果たすとヤミテンに。

一万二万三万四万五万六万六万七万八万七索八索発発  ドラ南

ここに七万をツモって、テンパイ外し。ツモ二万でテンパイ復活、そして即ツモ。

一万二万二万三万四万五万六万六万七万七万八万発発  ツモ三万  ドラ南

今度は黒沢の2,000・3,900が炸裂。
三者三様の攻めを見せる。

勝負の行方は南4局、オーラスにドラマが。
まずは小松8巡目、南を暗カンしてリーチに。

七万八万九万二索三索四筒五筒六筒九筒九筒  暗カン牌の背南南牌の背  リーチ  ドラ五索

黒沢10巡目、七対子ドラ2をテンパイ。ヤミテンに。

六万六万三索三索五索五索六索五筒五筒六筒六筒中中

黒沢は打二筒六索単騎のテンパイを選択も、2巡後ツモは二筒…痛恨のアガリ逃し。
同巡杉浦メンホンのテンパイ。

四索五索五索六索六索七索九索九索北北北発発  ロン発  ドラ五索

ピンチの後にチャンスあり、とはこの事で、黒沢の次巡ツモは発。この発をツモ切って黒沢は杉浦に12,000の放銃。二筒をツモっていればトップに浮上していたところが、発のツモ切りで一気にラスに転落。
1回戦のオーラスに大きな落とし穴が待ち受けていた黒沢。
黒沢にとって受難の戦いが始まった。

1回戦終了
杉浦+27.9P 伊藤+5.2P 小松▲13.0P 黒沢▲20.1P

 

 

2回戦(起家から、黒沢・小松・伊藤・杉浦)

東1局から伊藤のエンジンが火を噴く。
西家伊藤、いきなりのダブルリーチ。

二万三万五索六索七索三筒四筒五筒七筒八筒九筒発発  リーチ  ツモ一万  ドラ七索

親番黒沢、5巡目中をポンして押し返す。
この仕掛けで伊藤ツモ。2,000・3,900と幸先の良いスタートを切る。

続く東2局も伊藤。今度は4巡目テンパイ。
7巡目、ドラの中を引いて待ち変え。

七万八万九万一索二索三索七索八索九索西西西中  ドラ中

8巡目、親番小松のリーチ

三万三万三索四索五索七索八索九索五筒五筒五筒六筒七筒

待ちの枚数は圧倒的に小松有利。
しかし勝ったのは伊藤。小松がラス牌の中を掴み8,000の放銃。伊藤、大きくリードを広げる。

伊藤の攻勢は止まらない。
東4局、伊藤4巡目。ドラの発が暗刻のヤミテン。

四万五万六万三索三索六索七索八索六筒七筒発発発  ドラ発

ここも伊藤がすんなりとツモアガリ。さらに加点して盤石の状態で南入を迎える。

南入しても伊藤の安定感は光る。
南3局、親番で黒沢から2,900を討ち取ると、続く南3局1本場にも、

二万二万三索四索五索六索七索二筒三筒四筒五筒五筒五筒  リーチ  ツモ二索  ドラ南

時間はかかったが、2,000は2,100オールと目論見通り引きアガリ連荘に成功。
ここまでは伊藤の時間が長く続いたが、黒沢だって負けてはいない。

南3局2本場、杉浦10巡目に三索チー。
このチーで、黒沢に入るはずの白が食い下がり、白、三暗刻のテンパイを逃した黒沢。
しかし黒沢はツモ切られた白を悠然とスルー。次巡、ツモ四万で三暗刻のテンパイ。

後がない小松、黒沢がツモ切ったドラの二索をチーテンに取るも、ここは黒沢のツモアガリ。
1,300・2,600は1,500・2,800と、原点復帰に執念を見せるが…。

四万四万四万五索五索五索二筒二筒二筒五筒六筒白白  ツモ四筒  ドラ二索

オーラスも、

三万四万五万七万七万三索四索五索六索六索四筒五筒六筒  ロン六索  ドラ一筒

黒沢としては手変わりを待ちたいものの、手牌は変化せず。国士無双をテンパイした小松から六索が打ち出され、原点復帰ならず。伊藤の大トップで2回戦が終了した。

2回戦終了
伊藤+41.3P 黒沢▲3.5P 杉浦▲12.4P 小松▲25.4P

2回戦終了時
伊藤+46.5P 杉浦+15.5P 黒沢▲23.6P 小松▲38.4P

 

 

3回戦(起家から、杉浦・黒沢・伊藤・小松)

現在2着目の杉浦、勝ち上がりを決める為にはなるべく後続を引き離しておきたいところ。東1局3巡目、あっさりとピンフのテンパイ。
当然のようにリーチを選択する。

五万五万二索三索五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ一索

ドラの一索が暗刻の黒沢、ギリギリまで粘って12巡目に追いつくと、待ち取りの選択で二万五万に受けて追いかける。

二万二万三万四万一索一索一索三索四索五索六筒七筒八筒  リーチ  ロン五万

この選択が大正解。杉浦が一発で掴んだ牌は…五万
決勝の椅子を争うライバルから、価値ある8,000の直撃で、3回戦は黒沢のリードで幕を開けた。

杉浦を追いかけるのは小松も同じ。
東4局1本場、しかし先手を取ったのは前を走る杉浦。
6巡目、メンホンドラ3の跳満テンパイ。

一索一索一索二索二索二索四索五索六索七索八索九索西  ドラ一索

一手変わりは倍満から三倍満まである大チャンス手。
小松8巡目テンパイ。こちらはヤミテン。

三万四万三索四索五索五索六索七索二筒三筒四筒南南

このヤミテンが好判断。
1,500ではあるものの、トップ目の黒沢から直撃した事と、杉浦の大チャンスを潰した事に大きな価値があるアガリとなった。

3者の争いを悠然と構える伊藤は全く焦らない。
東4局2本場、6巡目テンパイもヤミテンに。周りの動向を窺うと、8巡目ツモ切りリーチを敢行。

三万三万六万七万八万一索二索三索四索五索六索七索九索  リーチ  ツモ八索  ドラ北

伊藤、2,000・3,900のツモアガリ。
1回のアガリで、この半荘もトップに躍り出る。

このアガリで勢いを増した伊藤、南1局10巡目、メンチンテンパイ。すぐに手変わって、

一索二索三索三索四索六索六索八索八索八索九索九索九索  ドラ一索

盤石のテンパイに。
ここにたちむかったのは杉浦。

四万五万六万二索二索三索五索四筒五筒六筒八筒八筒八筒  ツモ四索

ここは杉浦が粘ってツモアガリ。
伊藤の勝負手を流す。

南1局1本場、ここまで我慢の続く小松、6巡目メンホンテンパイ。

一筒一筒二筒二筒三筒三筒六筒七筒八筒八筒九筒南南  ドラ発

ここに飛び込んだのは黒沢。
小松、価値ある8,000で二番手に浮上した。

小松は南3局、1人テンパイで首位奪還。このまま逃げ切って初トップを決めたいところだったが、立ちはだかったのはやはり伊藤。
南4局1本場、ラス牌のドラ九索を引き、トップ再逆転の条件を満たすと、

一万二万三万五万六万七万三索三索七索八索九索六筒七筒  ロン八筒  ドラ九索

親番の小松からの出アガリで逆転でのトップを奪取。2連勝で4回戦に向かう事となった。

3回戦終了
伊藤+16.8P 小松+9.7P 杉浦▲8.6P 黒沢▲17.9P

3回戦終了時
伊藤+63.3P 杉浦+6.9P 小松▲28.7P 黒沢▲41.5P

 

 

4回戦(起家から、小松・黒沢・杉浦・伊藤)

伊藤の2連勝で、勝ち上がりの椅子は残り1つになりそうだ。
3者の熾烈な争いの行方のカギは、この半荘で大きな動きを見せる。

まず飛び出したのは小松。
東3局3本場、小松5巡目テンパイもドラ切りリーチに打って出る。

一索二索三索五索六索七索三筒三筒六筒七筒八筒北北  リーチ  ツモ北  ドラ八筒

高めの北を力強くツモ。2,000・3,900は2,300・4,200。
小松、杉浦への追撃体制に入る。

対する杉浦も東3局の親番で、6巡目先手を取ってリーチに。

一万二万三万二索二索一筒三筒三筒四筒五筒南南南  リーチ  ツモ二筒  ドラ二筒

杉浦、ラス牌の二筒を引きアガリ2,600オール。原点復帰を果たす。

さらに杉浦は東4局3本場9巡目、一気通貫のテンパイ。ここは当然のヤミテン。

一万二万三万四万五万六万七万九万六索六索七索八索九索  ロン八万  ドラ八索

残り1つの決勝の椅子を争う小松から、価値ある5,200は6,100の直撃。一気にトップに躍り出る。
小松と杉浦の争いに指を咥えて黙っているわけにはいかない黒沢。ここからは1局1局が勝ち上がりに向けての正念場となる。

南1局1本場、まずは小松が仕掛ける。
小松6巡目九索ポンから手が動き、チンイツトイトイのテンパイ。

四索四索六索六索八索八索八索  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ドラ西

この仕掛けに黒沢がかぶせる。
9巡目、ピンフの3メンチャンに取らずにドラ単騎リーチを敢行。

六万六万六万一索二索三索一筒二筒二筒三筒三筒四筒西  リーチ  ツモ西  ドラ西

起死回生の2,000・3,900。
このアガリで黒沢は勝ち上がりに首の皮一枚繋げたといったところか。

このアガリに刺激されたのは現在2番手の杉浦。
南2局、杉浦7巡目、親番黒沢が切ったドラの西をポン。

一索二索三索六索八索白白白発発  ポン西西西  ロン七索  ドラ西

後がない黒沢、七索を止める気力は残っていなかった。
黒沢にとっては痛恨の12,000の放銃。杉浦にとっては勝ち上がりをグッと引き寄せる大切なアガリ。このアガリが杉浦勝ち上がりの最後の決め手となったアガリであったように感じた。

それでも最後まで諦めないのは小松。
南3局2本場、2巡目、白暗カン。そして12巡目リーチ。

三万四万四索五索六索五筒六筒七筒八筒八筒  暗カン牌の背白白牌の背  リーチ  ツモ二万  ドラ一万

2,000・3900は2,200・4,100。
このアガリで2着に浮上。最後まで原点復帰を目指す。

しかしこの半荘は杉浦の半荘に。
南4局も、

四万四万四万六万七万八万三索四索五索三筒三筒五筒七筒  ツモ六筒  ドラ北

最後まで杉浦が押し切って、1人浮きの大トップに。勝ち上がりの切符をグッと手元に引き寄せた。

4回戦終了
杉浦+31.4P 小松▲1.7P 伊藤▲8.2P 黒沢▲21.5P

4回戦終了時
伊藤+55.1P 杉浦+38.3P 小松▲30.4P 黒沢▲63.0P

 

 

5回戦(起家から、伊藤・小松・黒沢・杉浦)

トータル2位の杉浦と小松との差は68.7P。
杉浦と黒沢との差は91.3P。この差であれば十中八九は伊藤と杉浦との勝ち上がりだろう。
しかし勝負は最後までわからない。決勝進出へ一縷の望みをかけて、小松と黒沢の最後の戦いが始まった。

とはいっても、安定した局回しには定評のある杉浦と、安定感はピカイチの伊藤の牙城を崩すのはかなり困難であった。局終盤に甘い牌が場にオリる事はほとんど皆無で、粛々と局が進行していく。

東2局の小松の親番は、伊藤が、

四万五万六万一索二索三索四索五索六索八索九索七筒七筒  ロン七索  ドラ二筒

黒沢からの出アガリで2,600。東3局の黒沢の親番も

三万三万六万七万八万五索六索二筒三筒四筒四筒五筒六筒  ツモ七索  ドラ南

伊藤のツモアガリで700・1,300と、つけ入るスキを与えない。
小松最後の親番の南2局は、小松が3本場まで粘るものの、

七万八万九万五索六索七索二筒三筒三筒四筒四筒八筒八筒  ドラ六索

杉浦が小松から3,900は4,800を討ち取り勝負あり。
小松の挑戦はベスト8で幕を閉じた。

残るは黒沢の親番。南3局、

二万二万二万二索三索四索四索五索六索六索北北北  リーチ  ツモ三索  ドラ六索

後がない黒沢が意地を見せ4,000オール。
続く南3局1本場も、

七索七索八索八索九索二筒三筒四筒六筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ六索  ドラ九索

2,600は2,700オールと粘り込むが、ここまでの差があまりにも大きすぎた。
最後は杉浦、伊藤が上手くゲームメイク。大きな波乱が起こることもなく、安定した戦いを見せた伊藤と、4回戦に抜け出した杉浦の2人が、十段戦決勝の舞台に進出する事になった。

5回戦終了
黒沢+29.0P 杉浦▲5.2P 伊藤▲7.6P 小松▲16.2P

5回戦終了時
伊藤+47.5P 杉浦+33.1P 黒沢▲34.0P 小松▲46.6P

勝ち上がり:伊藤優孝 杉浦勘介

第八回東北震災復興支援麻雀大会レポート 大会実行委員長 吉田 勝弥

日本プロ麻雀連盟東北本部の吉田勝弥です。7月7日(日)に行われた第八回震災復興麻雀大会の結果を報告いたします。

あの忘れられない東日本大震災から8年を迎えました。被災の爪痕もなくなり、復興は着々と進んでいます。
被災地では被災者の方も、仮設住宅から復興住宅に入居して普通の生活に戻りました。しかし、まだ震災のことをふと思い出す時もあります。
まだまだ被災地は、いろんな問題を抱えているのが現実です。
だから私はもう少し、この大会を続けて行く事を決意いたしました。
それも毎年、皆様からの温かいご支援をして頂いて、感謝しています。本当にありがとうございます。

今回で8回目となる震災復興麻雀大会は、今年も登米市の健康麻雀エンジェル・コートで開催することになりました。
日本プロ麻雀連盟の協力で、東京本部からは滝沢和典プロ、黒沢咲プロと豪華な超一流プロを招いての大会となりました。
東北本部からも本部長武藤武プロはじめ5名の実力プロも参戦していただきました。
アマチュア参加も前回優勝者、アマ有段者他、秋田県、山形県、福島県と他県からの参加もありました。

 

100

滝沢和典

100

黒沢咲

100

武藤武

100

安ヶ平浩希

100

佐藤晃大

100

櫻井勇馬

100

粕谷祐太

 

プロ7名、アマチュア33名、計40名のプロアマ混合戦です。
今回もWRCルール・4回戦で、上位4名を決めて、決勝戦を行うシステムになります。

1回戦では、及川さんの+44.6Pに続いて田中アマ三段+39.9P、プロでは東北期待の若手、粕谷(祐)プロが+21.6P、佐藤プロ+17.5Pと順調なスタートを切りました。
中盤戦になると、及川さん、佐々木アマ五段、内海アマ二段の3連勝が続く展開になり、東京プロの滝沢プロ、黒沢プロは最終戦で追い込みの状態で勝負に挑める所まできました。

滝沢プロは最終戦トップでトータル+43.6Pの第9位で決勝に残れず、黒沢プロも大トップでトータル+98.2Pでギリギリ4位まで滑り込めたかと思いきや、津藤さんと1.8ポイント差で惜しくも決勝戦に行けず、5位と残念でした。
最終戦の結果は4連勝で佐々木アマ五段+162.7Pの1位通過、内海アマ二段が+128.5Pの2位通過、及川さんが+128.2Pの3位通過、そして見事に黒沢プロとの微差で勝利をもぎ取った津藤さんが+100.0で4位通過に滑り込めた。
そして上位4名による決勝戦、今回はアマ4名の戦いになりますが、ハイレベルの緊張感あふれる戦いになるはずでしょう。決勝戦は点数全てリセット、50分+1局の1回戦勝負です。

予想通り、静かな小場の展開が続き、津藤さんがトップでオーラスを迎えての佐々木アマ五段のオーラスの親番、親のリーチに津藤さんも役なしの好形のテンパイリーチ、津藤さんがアガれば優勝!
そこに悲劇が。津藤さんが12,000点を放銃してしまう。そこでトップが入れ替わり、佐々木アマ五段がトップになり逆転、最終局親のノーテンで終局!
最後の最後まで緊張した戦いでした。佐々木アマ五段の5連勝の完全制覇!おめでとうございます。
佐々木アマ五段は来年の小島武夫・帝王戦のシードを獲得しました。被災地代表として頑張ってタイトルホルダーになるよう期待しています。

 

順位 名前 決勝戦
優勝 佐々木仁一アマ五段 32.1
準優勝 及川 久雄 5.0
第3位 津藤 孝幸 -8.7
第4位 内海 壮アマ二段 -29.4

 

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
第1位 佐々木 仁一アマ五段 30.0 33.5 50 49.2 162.7
第2位 内海 壮アマ二段 30.2 30.1 70.6 -2.4 128.5
第3位 及川 久雄 44.6 49.7 35.3 -1.4 128.2
第4位 津藤 孝幸 22.9 42.8 7.9 26.4 100.0
第5位 黒沢 咲プロ六段 6.0 32.4 21.3 38.5 98.2
第6位 佐藤 健矢アマ三段 12.5 46.2 31.0 -9.7 80.0
第7位 丹野 慎太郎 33.6 28.0 -5.3 12.4 68.7
第8位 高橋 裕幸 -9.9 19.5 42.2 -2.6 49.2
第9位 滝沢 和典プロ七段 -6.6 12.1 10.3 27.8 43.6
第10位 田中 慶彦アマ三段 39.9 -14.8 -12.0 22.3 35.4
第11位 千葉 哲也アマ二段 -9.0 8.0 23.3 8.3 30.6
第12位 斉藤 慶治アマ初段 -13.9 -13.2 48.2 9.1 30.2
第13位 高橋 徹 7.4 -10.8 20.4 12.6 29.6
第14位 佐藤 晃大プロ三段 17.5 14.1 6.4 -20.0 18.0
第15位 櫻井 勇馬プロ初段 -22.7 -13.5 29.5 15.4 8.7
第16位 矢口 祐介 38.6 -37.8 -9.6 11.7 2.9
第17位 粕谷 祐太プロ初段 21.6 15.1 -9.0 -25.2 2.5
第18位 千葉 正宏アマ三段 -16.5 -10.8 -1.4 30.4 1.7
第19位 安ヶ平 浩希プロ三段 -25.8 7.2 24.7 -11.0 -4.9
第20位 武藤 武プロ六段 8.3 34.1 -26.9 -26.3 -10.8
第21位 齋藤 雄 -22.8 -9.7 29.2 -10.3 -13.6
第22位 千葉 善孝 13.7 -32.3 -20.5 21.5 -17.6
第23位 小野寺 豊アマ二段 22.4 -17.2 -12.0 -15.0 -21.8
第24位 上野 智浩 -9.6 8.8 -11.6 -9.8 -22.2
第25位 大森 庄洋 -21.2 26.3 3.5 -35.0 -26.4
第26位 熊谷 憲 1.8 -6.3 -1.3 -22.0 -27.8
第27位 小松 光弘 -26.6 0.0 -26.0 21.6 -31.0
第28位 田村 茂利 -39.6 1.5 11.7 -12.7 -39.1
第29位 千葉 三博アマ四段 -45.1 -42.1 37.4 9.1 -40.7
第30位 佐藤 智玄 5.5 -70.8 -18.1 42.3 -41.1
第31位 首藤 大知 -9.5 -25.5 -25.1 12.6 -47.5
第32位 阿部 志津子アマ三段 -9.5 -11.9 -18.1 -9.8 -49.3
第33位 伊藤 典芳アマ初段 15.1 -35.4 -43.1 5.2 -58.2
第34位 佐々木 勝 -32.4 -24.0 22.3 -24.5 -58.6
第35位 菅原 秀仁アマ三段 -23.4 -19.7 -34.7 12.9 -64.9
第36位 村上 正勝アマ初段 -28.8 -23.2 -45.5 28.7 -68.8
第37位 鈴木 瑞葵 -36.3 -34.3 -39.2 32.7 -77.1
第38位 高橋 健道 11.7 -26.2 -27.4 -42.6 -84.5
第39位 多田 吉男 -11.4 -2.1 -50.0 -38.0 -101.5
第40位 高橋 将也アマ二段 -45.0 -48.7 20.5 -38.1 -111.3

 

100
前列中央:優勝者佐々木仁一さん 後列:左から、内海壮さん、及川久雄さん、津藤孝幸さん
 

令和 元年7月8日 南三陸町へ支援金贈与

日本プロ麻雀連盟 代表 滝沢 和典
日本プロ麻雀連盟 代表 黒沢 咲
日本プロ麻雀連盟 代表 及川 慶次
大会実行委員会 委員長 吉田 勝弥  計4名

南三陸町被災地を訪問して、南三陸町役場でチャリティ金寄贈式
南三陸町長 佐藤 仁 支援金 10万円贈与

今大会の参加費、参加プロのゲスト料の一部を支援金として贈与できました。
ご協力ありがとうございました。

 

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左から佐藤仁南三陸町町長、滝沢プロ、黒沢プロ、吉田勝弥実行委員、及川慶次プロ
 

支援金贈呈式の後、被災地を訪問しました。南三陸町に新しい施設がいっぱいできました。その中でも今回紹介する施設は南三陸町生涯学習センター(志津川公民館・南三陸町図書館)です。何とその施設の館長さんが今回優勝した佐々木仁一アマ五段です。当日休館だったので特別に佐々木館長に施設案内をして頂きました。いろんな震災当時の体験談を聞く事ができ、貴重なお時間をいただき本当にありがとうございました。

 

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