第28期マスターズ 本戦レポート ~新橋会場編~

例年より長い桜の季節の終わりに近づいた4月27日、日本プロ麻雀連盟開催・第28期麻雀マスターズの本戦が行われた。
プロアマ混合であるこの大会、この日は全国で行われた地方予選・一般予選・プロ予選・インターネット予選から勝ち上がった選手、そしてここから戦いに参加するシード選手が激突する。

開始前には藤原隆弘競技委員長からのルール・システム説明。
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(ここに優勝する真光プロの姿が…!)

ルールは日本プロ麻雀連盟のG1タイトル唯一の一発・裏ドラありのWRCルール。
3万点持ちの3万点返しで順位点は5-15。途中流局なし、食い替えなし。

4回戦を行いトータルマイナス者が敗退。ポイント持ち越しのまま5回戦を行い翌日のベスト56へ勝ち上がり

主な参加選手は以下の通り。

 

日本プロ麻雀連盟

森山茂和 前原雄大 荒正義 瀬戸熊直樹
HIRO柴田 勝又健志 西川淳 佐々木寿人
猿川真寿 ダンプ大橋 滝沢和典 ともたけ雅晴

二階堂亜樹 魚谷侑未 黒沢咲 宮内こずえ 清水香織 日高志穂

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最高位戦日本プロ麻雀協会

近藤誠一プロ 村上淳プロ 石井一馬プロ 水巻渉プロ 竹内元太プロ 坂本正志プロ 西嶋千春プロ

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麻将連合

武則輝海プロ 小林剛プロ 三原孝博プロ 原浩明プロ 梅村日奈子プロ 稲毛千佳子プロ

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RMU

谷井茂文プロ 藤中慎一郎プロ 江澤陽一プロ
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ロン2予選勝ち上がり

加納実さん

麻雀格闘倶楽部勝ち上がり

ゆーべさん

 

歴代マスターズ(一般)

来賀友志さん 他

新橋会場は、新雀荘21卓・白鷺15卓・岡9卓の合計45卓180名でのスタート。

 

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時間制限+1局で毎回メンバー入れ替えで4回戦を行い、ポイントプラス者+αがここからさらに1戦を行い、新橋会場から39名、巣鴨連盟道場会場からは13名が翌日のベスト56へと勝ち上がりとなる。

両会場あわせてのポイント1位は麻将連合の石原真人選手。

 

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ベスト16への嬉しいジャンプアップとなった■

翌日のベスト56からは鳳凰位・吉田直と十段位・内川幸太郎に、前年度決勝進出者3名が参戦、ベスト16からは現マスターズ・沢崎誠の登場となる。

本戦が終わり会場を出ると、建物の外は4月とは思えない冷たい風が吹いていた。
予選からの参加者からすれば、ここまでも長い戦いであったが、さらにまたその戦いはし烈なものとなり続いてゆく。
選手ひとりひとりが、自身の歩いている道のゴールが麻雀マスターズの栄光へ続くと信じ、明日への一歩を踏み出してゆく。

第144回『勝負の感性⑭~風を読む~』 荒 正義

●受けの風
体調を管理し、集中力を高めて万全の態勢で卓に着く。打ち手は皆そうだ。しかし、その日の自分の運はわからない。蓋を開けて見なければ、わからない。
1回戦の東1局。出親の私が配牌を取る。それがこれ。

一万二万八万九万二索五索八索九索一筒三筒五筒白発中  ドラ二筒

これではどうにもならない。しかし、ツモが利く可能性もあるから丁寧に打つ。
取りあえず、チャンタと123の三色を見て五索を切る。浮いた三元牌は、誰かが切ったら合わせて打てばいいのだ。7巡目に親の私の手がこうなった。

一万二万八万九万一索二索三索八索九索一筒三筒白白

一応、形はできたが受けが狭くて遅い。案の定だ、西家から同巡にリーチがかかった。

一万 上向き北三筒 上向き白八索 上向き二索 上向き
四万 左向き

3巡目の三筒切りに注目。私はドラそばの三筒が早いので、西家を警戒していた。ここで三筒が切られる形は、二筒三筒三筒二筒二筒三筒である。どちらにしても、手が早く打点があることは確かだ。親の手は、二筒三万を引いたら勝負の手だ。しかし、引いたのは六万

一万二万八万九万一索二索三索八索九索一筒三筒白白  ツモ六万

取りあえず、八索を切る。ところが、次のツモが無筋の七筒で、手仕舞いだ。3巡後、西家のアガった手がこれだった。

四万五万六万七万八万四索五索六索二筒二筒六筒七筒八筒  ツモ三万

危うく放銃は逃れたが、3,000・6,000。私は痛い親のかぶりだ。点棒が大きく動いた後は、すぐに各々の運量の見極めが大事だ。運量を、10とした場合の平均値は5である。東家の私は、6,000点削られ4と査定する。南家と北家も4か5だ。アガった西家は7である。もちろん、勝負は始まったばかりだから、これで決まるわけではない。

東3局。ドラ二万
跳満をアガった、西家の親番。7巡目にリーチがかかった。

北一筒 上向き九万 上向き一索 上向き八索 上向き中
五筒 左向き

このとき、私の手がこうだった。

一万二万三万一索二索三索四索五索六索八索九索一筒三筒  ツモ八索

相手は、跳満を引いた怖い親だったが、私は九索を切った。無事通過。ワンチャンスだし通る予感もあった。こちらのロン牌の二筒は、親の筋で他家から切られてもおかしくないと踏んだのだ。アガリができたら5,200の手。しかし、二筒は出なかった。少し粘ったが3巡後に無筋の五万を引いて、私はオリに回った。理由は簡単、跳満をアガった者と、親で引かれた者の差である。今の運量は、相手が7でこちらが4。しかも、相手は親。戦いは分が悪く、勝ち目は薄いと感じたからである。そして2巡後、南家が六筒を切って追いかけリーチをかけた。

すると親からロンの声。

三万四万五万六万七万八万二索二索四索五索六索七筒八筒  ドラ二万

表ドラは無かったが、裏ドラに五筒がめくれて12,000点である。南家の手はこうだった。

二万三万四万五万六万七万三索三索四索五索六索五筒六筒

この時点でも、運の査定は重要である。親満に飛び込んだ南家の運量は、2に下がった。私と北家は4で、ほぼ同じ。一方、跳満と親満をアガった親の運量は、8か9と見るのが妥当。おそらく、この半荘は90%トップを取るだろう。これが『風読み』である。となれば、この半荘は、北家と私の2着争いとなる。
この後、好調のこの親が攻めて来たとき、私は向わない。例えば、こんな河のリーチだ。

(親の河)ドラ四筒
一筒 上向き一万 上向き二万 上向き中八索 上向き二索 上向き
八筒 上向き八万 左向き

こちらにテンパイが入っても向かわない。例えばこうだ。

二万三万四万五万六万七万二索二索四索六索六索六筒七筒  ツモ五索

*1牌でも、無筋は切らない。この六索が親のロン牌で満貫なら、ラスになる。ここは二索を切って、様子見の場面である。この手もそうだ。

二万三万四万五万六万七万二索二索四索六索八索二筒三筒  ツモ五索

一筒は親の現物。ここは八索切りのヤミテンとし、危険牌を掴んだら速やかに引くのが賢明である。風を読んだら、大事なのはその対応である。それが的確にできたなら、勝率は格段に上がるのだ。
しかし、好調者の攻めに、いつも受けてばかりはいられない。戦うときは、一歩前に出ることが肝心。それが勝負だ。ただし、そのときは手牌に打点があって、待ちが好形のときに限られる。

三万四万五万六万七万三索三索六索八索八索二筒三筒四筒  ツモ七索

三万四万五万三索三索四索六索七索八索三筒三筒三筒四筒  ツモ二索

この手牌なら、勝負の価値がある。追いかけのリーチも有る。だが、勢いに差があるから、期待は大きく持てない。

●親番のとき
では、好調者が散家で、こちらが親番のときはどうか。

(好調な西家のリーチ)
南中一万 上向き四筒 上向き九筒 上向き一索 上向き
八万 左向き

親ならば、自分の手と相談である。ある程度、手が整ったら勝負がある。

一万三万二索二索三索一筒二筒三筒八筒八筒八筒中中  ツモ一索

手に三色の2ハン役があるから、リーチで勝負だ。親満を打ち取ったら、一気に射程距離なる。

三万四万五万六万六万六索七索七索二筒三筒四筒六筒七筒  ツモ八索

手牌は、メンタンピンの好形。ここも勝負で追いかけリーチだ。

*相手が好調なのに、親と子でなぜ対応が変わるのか。それはツモの場合、親は子の倍の点棒払うからである。オリても、ツモで満貫なら2,000・4,000点だ。子の傷は軽いが、親は4,000点の出費になる。満貫を打っても8,000点なら、その差は4,000点で、親は大差がないからである。
しかも、ここで好調者のアガリを止めたら、流れが変わる可能性がある。だから親と子では、対応が変わるのだ。4,000点で、未来の可能性を買ったと思えばいいのだ。

●攻めの風
不調者がリーチと来たときは反撃のチャンスだ。
相手は3の運量。

(北家のリーチ)ドラ二筒
西八索 上向き九索 上向き九万 上向き一筒 上向き三万 上向き
発二筒 左向き

こちらは親番で、運量が5。そして、手牌がこうだ。

三万五万七万五索六索九索九索二筒三筒四筒五筒六筒六筒  ツモ七筒

ここが、攻め時なのだ。ブンと六筒切りが正しい応手だ。次に、マンズが埋まれば即リーチ。一発が怖いからと九索切りは緩手。相手は弱っているのだ。手は安く、受けだってまともかどうか分らない。問題は七索を引いたときである。

三万五万七万五索六索九索九索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ツモ七索

三万切りはこの一手だが、リーチかヤミテンかである。佐々木寿人、前原雄大はリーチだ。待ちの六万は絞りカンチャンで、出やすいと踏んだならヤミテンがある。しかし、一発で六筒を切っているから、脇の2人は親をテンパイと読んでいるかもしれない。北家とのめくり勝負なら、親が有利だ。ヤミテンもあるが、強気のリーチも有る。私なら後者を取る。

●運を仕上げる
第1戦の南1局。
15,000持ちの西家から、リーチがかかった。

(ドラ中
南一筒 上向き二筒 上向き一万 上向き西八万 上向き
九万 上向き五筒 左向き

親番のこっちは、44,000点持ちのトップ目。運量は相手が3でこっちが7だ。
そして、親の手がこうだ。

四万五万六万八万八万三索四索六索四筒五筒六筒七筒中  ツモ五索

ドラの中は初物。ここを無難に済ませばと、トップは固い八万切り。これでは勝てない。ここは、ノータイムで中切りの一手だ。相手と自分の風を、信じることが大事。親の手は、稀に見る勝負手なのだ。このチャンスを逃してはいけない。中で当たれば満貫か跳満になる…などと考えてはいけない。どうするかは、当たってから考えればいいのだ。親の手は、無限の可能性を秘めている。

四万五万六万八万八万四索五索六索四筒五筒六筒七筒八筒

四万五万六万八万八万四索五索六索四筒五筒六筒六筒七筒

四万五万六万八万八万二索三索四索五索六索四筒五筒六筒

四万五万六万八万八万三索四索四索五索六索四筒五筒六筒

四万五万六万八万八万三索四索五索六索七索四筒五筒六筒

一発でドラ切りだから、テンパイは読まれている。ならば、好形テンパイならリーチで押すのだ。ここで、満貫・跳満を決めたら運量は9か10になる。次の半荘もその次も、楽勝となるだろう。運を仕上げるとは、これを云うのだ。
中を止め、アガリを流せば悲劇である。仮にこの半荘、小さいトップをとっても次がないのだ。相手の運が膨らめばその分、こちらの運が減るからである。

つい先日、沢崎誠から酒の誘いがあった。バトルオブジェネレーション(60代)の対戦前である。
『終わったら、飲みに行きましょうよ』と云うのだ。
彼とは、40年の付き合いがある。酒に誘われたのは、これで2度目だ。40年間で、たった2度だ。
1度目は、私の都合が悪く断った。今度はそうはいかない。その酒の席上で、麻雀の「流れ」の話になった。「流れ」があるかどうかなど、どうでもいい。打ち手は、自分の信じた道を進めばいいのだ。問題は、強いか弱いかである。

沢崎は云った。
『流れを見なければ、戦いの方向(軸)が分らない』
彼は、流れ派なのだ。
実は風を読むのも、流れなのだ―。

日本プロ麻雀連盟 感謝祭2019レポート 小笠原 奈央

毎年の恒例行事となってまいりました

“日本プロ麻雀連盟感謝祭”

今年で5回目を迎えることとなりました。

日本プロ麻雀連盟感謝祭とは……
日頃我々日本プロ麻雀連盟がお世話になっている方や、麻雀業界の発展に携わってくれている企業の方、著名人の方々にお集まりいただき、日頃の感謝の意も込めまして一緒に麻雀をしながら楽しい時間を過ごしましょう!という大会となっています。

今回レポートを担当させていただきます
小笠原奈央です。
自身で撮ってきた写真も交えながら楽しかった時間を皆様にお伝えできれば嬉しいです。宜しくお願い致します。

大会当日……

私は緊張していました。今まで3年程スタッフとして立ち会っていた感謝祭。今回は、なんと本人も驚きの選手としての参加。嬉しい反面、無礼があってはならぬ!と緊張が入り混じります。
心を落ち着かせる為にも早く会場入りしよう…落ち着け、私。

そこには私より前に会場入りをしている準備万端のA1リーグHIRO柴田プロが!
もしや柴田さんも私と同じく緊張しているのか?!そんな訳ないか(笑)
ただ、30分以上も前に卓にしっかりと座って待機をしている柴田プロは素敵です。

 

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ここにも一名緊張しているプロが…

そう!日吉プロ!

 

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日吉プロは毎年、選手ではなく名実況を活かしてのMCとして場を盛り上げてくれています。
面白い話や、やり取りを交えながら言葉巧みに話す日吉プロ。
その裏には、努力と念入りなる予習があるんです。そして一言一句が全力投球、力を抜かない喋りっぷりが麻雀プロとは思えません(笑)頭が下がります。

そんなんこんなしている間に今年も活躍を魅せた連盟オールスター達がどんどん到着し、皆で最終打ち合わせを済ませゲスト様を迎え入れることに。

 

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中山プロ、菅原プロは今回運営スタッフとして。スタッフの面々も豪華メンバー揃いです。

今回の大会も半荘4回戦のトータル成績を競い合う個人戦はもちろん、プロ2名参加ゲスト2名の4人チームの成績を争うチーム戦。
プロ&ゲストのペアの成績を競うペア戦と3部門で競い合います!

ルールは一般的な一発ウラあり赤あり。
順位点は1回戦ごとに上がっていくシステムです。

それでは我が団体の参加選手とゲストの皆様をチームごとに紹介しましょう!

どこを見渡しても麻雀を愛し、麻雀の面白さを色々な角度から世に広めようと動いてくれている人々ばかりです。

 

◉アマゾネスチーム
齊藤陽介様(スクウェア·エニックス取締役)
松本拓様(テレビ東京「天」「銀と金」プロデューサー)
和久津晶(第9.12期プロクイーン)
山井弘(リーチ麻雀初代世界チャンピオン)

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齊藤陽介様

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松本拓様

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和久津晶

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山井弘

 

◉セガ·コナミチーム
髙畑大輔様(Mリーグセガサミーフェニックス監督)
石田進矢様(MリーグKONAMI麻雀格闘倶楽部担当)
魚谷侑未(Mリーグセガサミーフェニックス所属)
高宮まり(MリーグKONAMI麻雀格闘倶楽部所属)

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髙畑大輔様

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石田進矢様

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魚谷侑未

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高宮まり

 

◉日テレチーム
英正規様(株式会社CS日本メディア営業部副部長)
中谷敏夫様(日本テレビ「アカギ」プロデューサー)
山田浩之(第2回リーチ麻雀世界選手権第3位)
内川幸太郎(十段位)

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英正規様

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中谷敏夫様

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山田浩之

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内川幸太郎

 

◉亜樹·瑠美チーム
野村和生様(名古屋テレビ放送株式会社常務取締役)
藤沢晴信様(MリーグEX風林火山マネージャー)
二階堂瑠美(第11期プロクイーン)
二階堂亜樹(女流プロ麻雀日本シリーズ2017優勝)

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野村和生様

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藤沢晴信様

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二階堂瑠美

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二階堂亜樹

 

◉Abema TV
藤田晋様(株式会社サイバーエージェント代表取締役)
塚本泰隆様(AbemaTV編成部プロデューサー)
白鳥翔(第24.25期麻雀マスターズ優勝)
岡田紗佳(てんパイクイーン連覇)

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藤田晋様

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塚本泰隆様

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白鳥翔

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岡田紗佳

 

◉重量級チーム
大塚達也様(アース製薬株式会社取締役会長)
櫻田厚様(株式会社モスフードサービス代表取締役会長)
紺野真太郎(第34期A2リーグ優勝)
仲田加南(女流桜花)

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大塚達也様

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櫻田厚様

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紺野真太郎

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仲田加南

 

◉貴闘力チーム
貴闘力様(元関脇)
日野洋一様(株式会社シルバーバックス·プリンシパル代表取締役)
前原雄大(第12.25.33.34期鳳凰位)
HIRO柴田(鳳凰戦2期連続準優勝)

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貴闘力様

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日野洋一様

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前原雄大

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HIRO柴田

 

◉USENチーム
宇野康秀様(株式会社USEN-NEXT HOLDINGS代表取締役社長CEO)
中井川俊一様(iXIT代表取締役社長)
佐々木寿人(第7期麻雀‪グランプリ‬MAX優勝)‬‬‬
宮内こずえ(第10期女流桜花)

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宇野康秀様

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中井川俊一様

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佐々木寿人

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宮内こずえ

 

◉タッキーチーム
滝沢和典(第32.33期王位)
和泉由希子(第11.14回天空麻雀女性大会優勝)
※ゲストのかたは今回お名前を伏せさせていただきます

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滝沢和典

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和泉由希子

 

◉チームロイヤル
森田勉様(ロイヤルシステム株式会社代表取締役社長)
富家大我様(弁護士)
荒正義(日本プロ麻雀連盟副会長)
勝又健志(第32期鳳凰位)

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森田勉様

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富家大我様

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荒正義

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勝又健志

 

◉われポンチーム
加賀まりこ様(女優)
清弘誠様(演出家)
萩原聖人(俳優)
前田直哉(第31期鳳凰位)

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加賀まりこ様

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清弘誠様

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萩原聖人

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前田直哉

 

◉チーム森山
‪森山直太朗様(歌手)‬‬‬‬
御徒町凧様(作詞家)
森山茂和(日本プロ麻雀連盟会長)
小笠原奈央(第1回プロNo.1決定戦優勝)

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御徒町凧様

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森山茂和

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小笠原奈央

 

◉テレ朝チーム
柿野陽様(株式会社テレビ朝日)
藤崎智(第16.33.34期十段位)
古谷知美(第1回Lady’s麻雀‪グランプリ‬優勝)‬‬‬
※ゲストのかたは今回お名前を伏せさせていただきます

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柿野陽様

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藤崎智

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古谷知美

 

◉競輪チーム
中野浩一様(世界自転車選手権男子スプリント10連覇)
伏見俊昭様(アテネオリンピック銀メダリスト)
灘麻太郎(日本プロ麻雀連盟名誉会長)
吉田直(鳳凰位)

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中野浩一様

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伏見俊昭様

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灘麻太郎

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吉田直

 

◉電通チーム
高柳寛哉様(株式会社電通)
平野貴宣様(株式会社電通)
瀬戸熊直樹(第29期鳳凰位)
黒沢咲(第6.7期プロクイーン)

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高柳寛哉様

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平野貴宣様

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瀬戸熊直樹

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黒沢咲

 

◉モンド近代麻雀チーム
上島大右様(MONDOTV麻雀プロリーグプロデューサー)
金本晃様(麻雀最強戦実行委員長)
伊藤優孝(第3期最強位)
沢崎誠(第24期最強位)

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上島大右様

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金本晃様

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伊藤優孝

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沢崎誠

 

今回も錚々たる顔ぶれ。
16チームの計64名で行われます。

ちなみに私はチーム森山。
何故チーム森山かと言うと…
森山×奈央 で 森山 直太朗さんっていうね(笑)
森山さんも御徒町さんも私はもちろん初めまして!とっても緊張していましたが、お二人がとても気さくで柔らかい。
『○○プロの切り方の真似!はははー!!』『○○プロの真似も出来るよー!』と場を盛り上げて下さり、麻雀愛も凄く伝わってきて、直ぐにお2人のお人柄に魅了されることに。
『僕らのチームはリーチリーチ!で行く作戦で頑張りましょう』との会長の言葉に皆で手を重ねて『おー!』と気合を入れ、早くもチーム森山はチームワーク完璧。
他のチームも作戦会議をしたり、どういったペア分けにするかなど楽しく盛り上がっていました。

 

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チーム雷電はゲスト様も含めチームユニフォームを皆で着用。んー素敵!優孝さんはモンド近代チームですがネクタイカラーが少し雷電風なのでパシャリ!とってもお洒落。

大会中も皆で盛り上がれる跳満賞や倍満賞、飛び賞、そしてビンゴ賞など多くの賞が用意されました。
他にも商品ご提供いただきました皆様、有難うございます。

1戦目から白熱バトル!
あっちこっちから『跳満出ましたー!!』『倍満出ましたー!!』『ビンゴなりそうです!!』

私も負けてられんとタンヤオドラ3赤1のカンチャンをツモり跳満!(笑)
会長に僕らはリーチリーチで行こうって言われたのに全然実行していなかったっけ(笑)
ただその後親番テンパイで滝沢プロのリーチに一発で打ち込み跳満…2着ーぐは

ペア戦の御徒町さんの様子を見に行くと……堂々のトップ!会長も堂々トップ!強っ!
森山さんは惜しくもマイナスだったが初感謝祭を楽しんで下さっている様子。凄く嬉しかったです。

それぞれチームが後ろで見合って応援したり、『次の作戦はー…』なんて話をしたり、既に一体感が生まれていました。
初めましての方々も多いはずなのに、麻雀を通して会場は笑顔と笑いで溢れ、これが麻雀の力なんですね。

2戦目……

10分もしないうちに
『倍満賞は売り切れましたー!!』
『ビンゴ出ましたー』『こっちもビンゴー』
早くないですか?!

私は親番でホンイツリーチ!で親跳アガるもその後失速、結局3着で終わってしまうという残念な結果。
御徒町さんと会長はまたもやトップ!!
いやーすみませんーーー(汗)
この時、チーム森山はチーム成績首位に!歓喜。どんどん順位点が上がっていくから、私もチームに貢献しなくては!と自身に喝を入れます。

軽食で用意されている、まい泉のカツサンドをゲットし満遍の笑みの宮内プロ。非常にお腹が空いていたらしい。(笑)

3戦目には、我らチームは全員3着(涙)

 

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でも、『1回首位で名前呼ばれただけ凄いよ!』『最後は順位点が大きいから皆1位なら全然あるよ!』とお互いを高め合い、共に最終戦頑張ろうと誓い合います。いいですね、このチーム愛。

われポンチームは、最初『前田プロなんでわれポンチームなの?われポン関係あったー?』とチームに弄られていたが(笑)試合が進むと、互いに走り寄っていき『何位?!』『そっちは何位?!』『いけるぞーー!!』とハイタッチをしてかなり団結力がとれていました。

チーム、ペア、そして個人。それぞれの成績が気になってくる最終戦。

そこに考え込むプロが……

‪一時的ではありましたがイメチェンがとても似合っていた和泉プロ。‬‬‬‬

『んーどういうのが良いかなー瀬戸熊さん、前回は何を選んだんですか?こずえは?ペン字かーどうしようかなー』

 

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そう。今回も最下位のプロには、困ったときに手に職をということで、好きな講座を選べる特典があります。
3回戦を終えた時点でマイナス100以上をしてしまった和泉プロ。早くも何にしようか迷っています(笑)きっと今日の占いもよくなかったのでしょう(笑)

最終戦が始まり、さらに選手同士の気合が入ります。最後の順位点は20-40なので全員がトップをとれば大どんでん返しも起こりうるのです。

私は最終戦…貴闘力さん、野村さん、魚谷プロとの対戦。魚谷プロは勿論、ゲスト様も負けず劣らず強い!オーラスどうにか私はトップ目に。そこであまり点数が無かった貴闘力さんが

『んーどうしよう。でもなー、皆に悪いしなー。』
次巡
『かーーー!やっぱり一発ツモだったよなーうんうん。』

周りの点数状況がせっていることから自粛しようと一旦、テンパイを崩されたものの、今までの勝負勘でこれは一発でツモりそうという気持ちがあった為、悩まれたそうです。
貴闘力さんの麻雀を楽しむだけでなく、周りにまで配慮する優しさや心配りが垣間見られました。

そして、ふー!なんとか私がトップで最終戦は終了しました。

総合ポイントが発表されるまで、チーム同士で予想をつけて盛り上がります。
我々チームも奮闘はしましたが苦しい最終戦となり、それでも、『いやーめっちゃ楽しかった!』『1回チームが首位に立てただけ凄い』『またこのチームでリベンジしよう!』
そう言って頂き、改めて素敵な方々とチーム森山として戦えた時間が私にとってはこの上なく幸せでした。
実は【生きてることが辛いなら】を聞いていつも元気もらってます。

いよいよ表彰式。楽しい時間はあっという間です。

まずは大トップ賞……

なんと風林火山である滝沢プロ、二階堂亜樹プロにEX風林火山Tシャツが贈呈されます。
『どんだけチーム愛つよいんだよ!!』と周りから突っ込みが入り、会場は笑いで包まれました。
(お2人共ゲスト様にお譲りしておりました)

役満賞の福袋は役満が出なかった為、後にジャンケン大会となりチームの代表同士で壮絶なバトルが繰り広げられました。あーめっちゃ欲しかった!!

そして、成績発表!
順にチームと名前が呼ばれていきます。

まずはペア戦

見事優勝したのは

アマゾネスチームから齋藤さん山井プロペア

山井プロ『僕チーム戦得意なんですよね!皆さん僕チーム戦良いですよ!』

なにかアピールをしているよう。会場は笑いの渦に…山井さん最高です。

続きましてチーム戦。

見事優勝したのは……ジャジャジャン!!

われポンチーム!

最高のコンビネーションが取れた素敵なチームでした。
加賀さんは会場入りするなり、『あ!奈央ちゃん!元気?』と手を振って下さり、私の事を覚えていて下さっていたなんて。しかも名前まで…感極まりました。清弘さんも、いつも優しい素敵な笑顔と口調でマイナスイオンが全開の方。萩原プロも同卓時に、『小笠原には負けんぞ!』『きたー!イーペーコーアガってビンゴ完成!!』と同卓者皆を盛り上げながら終始楽しい時間を提供してくれました。
負けず劣らず前田プロもいつも通り、スロットル全開の最高トーク。

加賀さん・清弘さん『優勝出来て本当に本当に嬉しい!生きていて良かった!最高の気持ちです』満遍の笑みで本当に優勝した事が嬉しいという気持ちが伝わってきて、会場もわれポンチームの優勝を共に喜びました。

最後は個人戦

見事、栄えある優勝に輝いたのは……

山井弘プロ!

おめでとうございます!!

山井プロ『いやー、優勝出来たことは勿論ですけど、商品も沢山貰えて妻にお土産いっぱい出来たんで嬉しいです!』
と、この愛妻家ぶり!奥様の作られるお菓子はどれも美味しくて、売りものみたいに見た目も綺麗なんですよね。なにかあると皆に作ってきて下さるんです。
優し過ぎます。

ここで会長が一言……

『山井はやっぱりチーム戦じゃなくて個人戦だな!!』

ガハハハハ!!!また会場に笑いが起きます。

最後は『森山会長の締めの挨拶を』とMC日吉プロが告げると

会長『あ!森山君、喋ってください!』

会長ナイスです!面白すぎます。

最後は、しっかり会長の挨拶で締めとなった5回目の日本プロ麻雀連盟感謝祭。

私は今回初めて選手として参加させて頂きましたが、色々な企業の方、普段お会いすることも出来ないような方々と共に、麻雀を通して最高に楽しい時間を過ごさせていただきました。
右を見れば真剣に打ちながら、あの局はどうだったかなー?とプロとゲスト様が話し合っている。左を見れば皆で軽食をとりながら笑いあって楽しそうに麻雀話に華を咲かせている。
後ろで自分のことのようにチームを応援する人、手をとりあって喜ぶ人達、励まし合う人達、そんな光景が嬉しくて……
個々が麻雀を愛し、それが一つとなってこの時間を生んでいることに改めて麻雀の素晴らしさを再確認すると共に、麻雀を色々な形で愛し、支えて下さっている皆々様に心から感謝の思いです。

これからも多くの方々に応援やお力添えいただけるよう、我々麻雀プロも一層気を引き締めて取り組んで参りますので、今後とも何卒宜しくお願い致します。

最後になりましたが、今後も皆々様の益々のご活躍、ご発展を心よりお祈り申し上げます。
また皆様に笑顔でお会いできますように。また共に卓を囲みましょう。

第32回静岡リーグ(プロアマ混合)決勝戦観戦記

それは5回戦・南2局の出来事だった。

親の川崎から発せられたロンの声。
手牌が開かれる前に、放銃した藤島は大きくうなだれた。

その放銃が何を意味するのか。
彼は全てを悟ったのだろう。

全6回戦で行われる静岡リーグ決勝。
その中で最も印象的だったシーンである──

 

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16年目に突入した静岡リーグ。
総勢50名以上で行われた今期の戦いも、いよいよフィナーレを迎えることとなった。

静岡リーグの決勝には、特殊な点が1つある。
それが「アドバンテージ」である。

これまでのポイントはリセットされるのだが、通過順位によってポイントが付与されてスタートする。

1位通過 +40P
2位通過 +30P
3位通過 +20P
4位通過 +10P
5位通過 ±0P

一発・裏ドラのない日本プロ麻雀連盟公式ルールにおいて、このアドバンテージは勝敗を大きく左右する。

どの位置で決勝を迎えられるか。
より上の順位で通過する為にも、第1節から勝負は始まっていると言えるだろう。

5回戦終了時、最下位の者はそこで敗退。
最終6回戦は残りの4名で戦い、トータルトップの者が優勝となる。

栄えある決勝の舞台に立つことを許されたのは、以下の5名。
直前に行ったインタビューと共に、出場選手を紹介させて頂く。
1位通過
山本 拓哉 中部本部 Bリーグ

 

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第28回 静岡リーグ優勝。
その年には静岡プロリーグ、そして地方チャンピオンシップ2017も制した実績を持つ。

●首位通過のアドバンテージをどう見る?
「無理にトップは狙わず、オール2着でも十分にチャンスがある。押し引きを大事にしたい」
●マークしている選手は?
「藤島プロと川崎プロ。打牌に雰囲気が出ない分、川崎をより警戒している」
●優勝したら誰に最初に報告したい?
「中部本部の青山大プロと伊藤鉄也プロ。伊藤さんは今朝、頑張れと連絡をくれたので良い報告をしたい」

会場入りの際、元気良く大きな声で「おはようございます」と挨拶していた。
この決勝に懸ける気合いの現れだろう。
2位通過
川崎 義之 静岡支部

 

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第30回 静岡リーグ優勝。
私生活では人生の伴侶に恵まれ、心身共に充実した状態で臨めることとなった。

●優勝経験もあるが、受けて立つという気持ちか?
「あくまでも挑戦者。他に本命もいるので気負わずに戦う」
●マークしている選手は?
「藤島だが、あまり気にしていない」
●優勝したら誰に最初に報告したい?
「奥さん」

山本のインタビューにもあるように、川崎はテンパイ気配や打牌のトーンの乱れをなかなか表に出さない。
彼の持つ大きな武器の1つ。
相手にとって脅威となるに違いない。
3位通過
藤島健二郎 東京本部 鳳凰戦A2リーグ

 

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第31回 静岡リーグ準優勝。
今期は様々なステージで活躍を見せてきた。
もはや説明不要だろう。

●多くの人が優勝候補筆頭に挙げているとみられるが、プレッシャーは?
「全くない。勝つか負けるか、ただそれだけ。静岡の全体の評価の為、格好悪い麻雀は見せられないという想いが強い」
●マークしている選手は?
「山本。いろいろな部分で指針になる」
●優勝したら誰に最初に報告したい?
「望月支部長。お世話になっているので」

藤島健二郎はどれだけの覚悟と想いを背負って、またこの舞台に戻ってきたのだろう。
我々はその答えを垣間見ることができるのか。
4位通過
松清一樹 一般参加

 

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静岡リーグには2回目の出場。
そして、今回は決勝へ。
最終節の最終戦で大きなトップを取り、自らの手で決勝の椅子を勝ち取った。

●強力なメンツを相手にどう戦うか?
「とにかく決勝の雰囲気に飲まれないように。普段通りのバランスで打ちたい」
●マークしている選手は?
「藤島と山本。先行されると厄介」
●優勝したら誰に最初に報告したい?
「練習に一緒に付き合ってくれた仲間たちへ」
5位通過
藤井太郎 一般参加

 

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藤井さんも初めての決勝進出。
第4節まで首位につけていたが、最終節は不調でアドバンテージなしの5位で決勝を迎えることとなった。

●この位置で迎えることになったが?
「仕方ない。逆に新たな気持ちで入れると思う」
●マークしている選手は?
「藤島。過去2回戦っているが、いずれも負け。最初は本当に緊張した。相当意識しているのが自分でも分かる」
●優勝したら誰に最初に報告したい?
「練習に付き合ってくれた皆。全員、この静岡リーグでの麻雀を通じて出会った仲間たちなので」

 

4位の松清さんと5位の藤井さん。
どちらも優勝した時は「練習に付き合ってくれた仲間たち」に最初に報告したいという同じ答えだった。

後日、こんな話を耳にした。

決勝を控えた数日前、最後の調整の為に打ち込む松清さんと藤井さん。
その周りには、それぞれを応援する人たちの姿があった。
中には今期の静岡リーグで決勝に進めなかった者もいた。
それも1〜2人ではなく、各グループに7〜8人も集まっていたとのことである。

なんという素敵な話なのだろう。

勝者がいれば敗者がいる。
本当は自分たちがこの決勝のステージに立ちたかったはずである。
その想いを共に戦ってきた仲間に託しているのだ。

麻雀は決して1人では出来ない。
自分の為だけに戦っているばかりでもない。
応援してくれる人、一緒に戦ってきた仲間、周りの環境。
勝ち負けの向こう側にある大切なこと。
そんなことを改めて感じさせられる出来事であり、この輪が静岡リーグ最大の魅力なのである。

それぞれの想いを胸に決勝卓につく5人の選手たち。
多くの観戦者が見守る中、ついに第32回 静岡リーグ決勝が開始された。
(以下敬称略)
【1回戦】
抜け番・藤島

共に初めての決勝の舞台である松清と藤井。
藤井は落ち着いているように見受けられるが、気掛かりなのは松清。
気合いとは裏腹に、表情にも摸打にも緊張していることが外から見ているこちらにもハッキリと伝わってきていた。
どれだけ早い段階で麻雀に入ることが出来るだろうか。

そんな中、悠々と打っていたのはポーカーフェイス・川崎。
2つの大きなアガリを決めた。

東3局0本場

五索五索五索二筒二筒二筒三筒三筒六筒七筒発発発  ロン八筒  ドラ二筒

南4局2本場

一万二万三万四万五万六万五索六索四筒五筒六筒中中  リーチ  ロン四索  ドラ中

放銃したのは松清。

一万一万一万四万五万六万四筒五筒六筒七筒八筒中中  リーチ

待ちも打点も充分な形で、親の先制リーチに勝負を挑んだが、軍配は川崎に。

オーラス0本場には、ドラの一筒を暗刻にしてテンパイしていた藤井のチャンス手を潰す1,300オール。

1回戦は約60,000点の1人浮き大トップで幸先の良いスタートを決めた。

山本は耐えに耐えて2着をキープ。
アドバンテージはまだ十分に残しており、川崎を追いかける。
藤井は川崎への12,000点の放銃や、チャンス手を蹴られたりもあったが、眼は全く死んでいない。

川崎の好調を後ろからじっと見つめていたのは抜け番の藤島。
何を思い、何を感じていたのであろうか。

1回戦成績
川崎+41.3P 山本▲4.8P 藤井▲11.2P 松清▲25.3P

1回戦終了時トータル成績
川崎+71.3P 山本+35.2P 藤島+20.0P 藤井▲11.2P 松清▲15.3P

 

【2回戦】
抜け番・山本

満を持して藤島健二郎が登場。
起家を引き、東1局から以下の形でリーチに踏み切る。

四万五万六万六万七万八万三索四索六索七索八索四筒四筒  ドラ八筒

結果は流局。

そして、初戦から魅せ場を作る。

東4局0本場

二索二索二索一筒一筒二筒三筒三筒九筒九筒東東東  ドラ一万

このテンパイをしていた所に九筒を引き入れ、ツモり四暗刻の形に変化。

二索二索二索一筒一筒三筒三筒九筒九筒九筒東東東

しかし、藤島が欲しい一筒三筒はこの時点ですでに山にはなく、捌きに向かった藤井が300・500のアガリ。

まだ始まったばかりとはいえ、ここで役満が成就となれば局回しの上手い藤島の独壇場になっていた可能性も高い。
そんな手が入っていたことなど他の選手たちはもちろん知る由もなく、局は進んでいく。

南2局0本場

親の藤井がマンズの一色手。

一万二万三万五万五万白白  ポン北北北  ポン南南南  ドラ八索

そこにピンフ高め三色のテンパイを入れた川崎が八万を叩き切って勝負に出る。

二万三万一索二索三索九索九索一筒二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ

どちらにも軍配はあがらずに引き分け。
藤井は1回戦のリベンジを果たしたかったところ。

オーラスを迎え、4者の点棒状況は以下の通り。
藤島 37,900
藤井 29,900
川崎 24,000
松清 28,200

初戦を白星で飾った川崎がラス目。
藤島としては川崎をラスにしたまま、1人浮きで終えたい。
その思惑通り、松清から2,000点をアガってしっかりと差を詰めた。

2回戦成績
藤島+21.9P 藤井▲1.1P 松清▲6.8P 川崎▲14.0P

2回戦終了時トータル成績
川崎+57.3P 藤島+41.9P 山本+35.2P 藤井▲12.3P 松清▲22.1P

 

【3回戦】
抜け番・川崎

1・2回戦と苦戦を強いられてきた一般参加の2人が、東場からリードしていく展開。
緊張もほぐれ、完全に本来の姿で打てていることが伺える。
逆に苦しんだのは山本と藤島。

南3局0本場
松清のピンズの染め手に、山本がドラの一筒もノータイムで放っていく。
山本は手牌に素直である。
中には少考する人もいるだろうが、自身も大物手。

二索二索二索五索六索六索南南中中  ポン白白白  ドラ一筒

だが、次に持ってきたドラの一筒をツモ切ると松清からロンの声。

一筒二筒三筒四筒四筒五筒六筒東東東  ポン西西西

山本は潔く「はい」と返事をした。
しっかり覚悟を持って攻めた結果である。

放銃は最小限に抑えつつも、ここまでジリジリと点棒を削られていった藤島。
しかし、これで終わらないのが今期の静岡を牽引してきた者の力。

17,000点持ちで迎えたオーラスの親。
4本場まで積み上げて、持ち点を37,800まで回復させてきた。
最後は藤井が1,000・2,000をツモアガリ、3人浮きで終局。
山本は手痛い1人沈みのラスとなってしまった。

3回戦成績
松清+23.7P 藤井+11.2(▲20) 藤島+6.4P 山本▲41.3P

3回戦終了時トータル成績
川崎+57.3P 藤島+48.3P 松清+1.6P 藤井▲21.1P 山本▲6.1

 

【4回戦】
抜け番・松清

川崎と藤島の一騎打ちになりそうな雰囲気を漂わせていた。
だが、残り3回戦。
まだまだ勝負の行方は誰にも分からない。

東場は藤島が局を回していく。
終始、小場で進んでいたが、川崎が南場の親で大きな2,600オールのアガリ。
僅差だがトップ目に立つ。

南2局1本場
今度は山本にツモり四暗刻のテンパイが入る。

三万三万三万一索一索一索二索二索一筒一筒一筒六筒六筒  ドラ六筒

1位通過で得たアドバンテージを全て失い、ここまで苦しい戦いが続く山本。
ツモに力が入るが、残念ながら祈りは届かなかった。

六筒は藤島の手に2枚。
二索は2枚とも山に残っていたが、どちらも王牌という結果に。
山本がテンパイを果たしたのは超終盤の16巡目だった。

藤井が23,700点持ちで離され、他3者のトップ争いで迎えたオーラス。
9巡目に八索を切った山本に藤井がロンの声。

一万一万七万七万八万八万九万九万七索九索一筒二筒三筒  ドラ七筒

藤井、僥倖の浮きへ。
対して山本は3回戦に続いての連続ラス。
トップは川崎。
藤島は29,800点で僅かに沈みとなり、川崎とのポイント差が開く結果となった。

4回戦成績
川崎+11.9P 藤井+5.7P 藤島▲4.2P 山本▲13.4P

4回戦終了時トータル成績
川崎+69.2P 山本▲19.5P 藤島+44.1P 藤井▲15.4P 松清+1.6P

 

【5回戦】
抜け番・藤井

この5回戦を終えた時点で、トータル最下位の者が途中敗退となる。
現在、下位に位置する3者は川崎・藤島とはかなり離されてしまっているものの、何としてでも最終6回戦へと進んで望みを繋げたい。
特に山本は正念場となる。

東4局1本場 13巡目
山本が七対子ドラ2のテンパイ。

八万八万四索四索七筒七筒八筒九筒九筒南白中中  ツモ南  ドラ南

山本は生牌の白ではなく、八筒待ちを選択。

配牌から白を抱えていた川崎だったが、その巡目に八筒を引く。
自身はピンフの1シャンテン。
今、通った白を安全牌とし、八筒をツモ切るかと思いきや、手牌に全く必要のない八筒を止めて山本の白に合わせる。
山本から気配が出ていたのであろうか。
その次巡、山本は八筒をツモって2,000・4,000のアガリ。
川崎の守備力が光る。

5回戦・南場。
放銃を回避した川崎に牌が味方する。

南1局1本場

わずか4巡目にして以下のテンパイが入る。

一万一万二万三万三万七索八索九索南南南西西

川崎は南家。
出アガリ満貫、ツモると跳満である。

ここに飛び込んでしまったのは松清。
しかも川崎がテンパイした次巡での放銃。
その時、顔色は一切変えなかったが、あとから聞くと「心が折れかけました」と正直な気持ちを吐露していた。

麻雀はポイントを持っている者が優位に働くケースが多いが、川崎は放銃してもすぐに点棒が返ってくる。

そして、ついに。
あの瞬間が訪れてしまう。

南2局。
親はトータル首位を走る川崎。
冒頭のシーンである。

途中敗退を免れたい北家・山本。
9巡目にリーチ。
その山本に対して、スッと無筋の牌を河に置く川崎。
追いかける南家・藤島の手牌は

一万二万四万四万五万五万八万八万九万東東西北北  ドラ七万

山本の河には一万がある。2枚切れ。
少考の末、藤島は打一万
無情にも川崎の手牌が開かれる。

二万三万七万八万九万一索二索三索九索九索一筒二筒三筒

川崎「ロン。18,000」

会場にいる誰しもが感じたであろう。
その場の空気そのものが一気に川崎優勝ムードへと変わった。

尚も続いた親番で、更にこの12,000を山本から討ち取る。

二万三万四万四万五万六万八万八万八万九万九万東東  ドラ西

痛恨の放銃となった藤島。
決勝を終えてから数日後、この時の心境をありのままに語ってくれた。

藤島「トータルトップ者が途中敗退逃れの山本のリーチに無筋を切ってきたのだから、テンパイが入ったと読むのが普通。都合の良い現物待ちが一万四万(前巡の五万ツモ切りから親には相当危なくなりそうとすでに思っていた)。一方で形上、こちらもメンホン七対子の1シャンテンで一万が2枚切れ…自己都合を優先した、最もヌルイ一打だったと思っています。実質あそこで勝負ありでした」

藤島健二郎は愚直な男である。

この放銃は仕方がないと感じる人もいるかもしれない。
ただ、藤島自身は目の前に出た結果と真摯に向き合うことを選んだ。
そして、頭を下げた。
結果至上主義の藤島らしいコメントであった。

一方、最終戦に望みを繋ぎ、そして優勝の可能性を最後まで追いかけて戦い続けた山本だったが、オーラスにも藤島へ8,000の放銃をしてしまい、あえなくここで途中敗退となった。

5回戦成績
川崎+35.7P 山本▲28.5P 藤島▲19.8P 松清P+12.6

5回戦終了時トータル成績
川崎+104.9P 藤島+24.3P 松清+14.2P 藤井▲15.4P 山本▲48.0P

 

【6回戦】

いよいよ、最終戦。
残った4名での最後の戦いが始まった。

川崎は充分すぎるほどのリードを築いている。
2番手・藤島との差は80.6P。
藤島は前期静岡リーグ決勝で暫定首位との59.8P差をあわや捲るかという場面も魅せたが、今回はその時より更に20Pも差が開いている。

優勝への死角はないように思える。
だが、麻雀は最後の最後まで何があるか分からない。

起家は藤島。
反撃の狼煙とばかりに、東1局からリーチ攻撃を仕掛ける。

一万二万三万五索五索六索六索七索一筒一筒五筒六筒七筒  ドラ南

ここにドラ2で仕掛けを2つ入れていた川崎だったが、大きなリードを味方に無筋を切り飛ばす。
そして、当たり牌である高めの七索を掴まされる。
だが、打たない。

今回の決勝で幾度となく当たり牌をビタ止めしてきた川崎。
何かが見えているのだろうか。

同1本場
藤島、ドラがアタマの両面リーチ。
しかし、松清が

二万二万四万五万六万三索四索五索三筒三筒四筒五筒五筒  ドラ東

これで追いかけ、すぐに2,000・3,900のアガリ。
残された2回の親番のうち1回を早々に失う。

その後も満貫以上の手が入り続ける藤島。
だが、いずれもアガリまで結びつかない。

東3局1本場

一万二万三万四万六万七万八万九万一索二索三索六索六索  ドラ五筒

同2本場

三万三万三万四索四索四索六索六索七索八索五筒六筒七筒  ドラ四索

東4局4本場 供託2

七万七万一索一索北北北  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き  暗カン牌の背二筒 上向き二筒 上向き牌の背  ドラ二筒

南入。
最後の親番を迎える藤島。
大きく息を吐く。

東場から流局が続き、6本場まで積まれるもラストチャンスを掴むことができず、自身の親も流れる。

川崎にとっては一番大きな壁を超えた。
あとは目の前に用意された優勝への道筋を、一歩ずつ確実に進むだけである。

そして、終局。

川崎義之が完勝ともいうべき内容で、優勝を飾った。

最終戦成績
川崎▲12.9P 藤島▲1.8P 藤井+21.3P 松清▲6.6P

全トータル成績
川崎+92.0P 山本▲48.0P 藤島+22.5P 藤井+5.9P 松清+7.6P

 

100

 

たった1人にだけ与えられる「優勝」という栄光。
今回それを手にしたのは川崎。
静岡リーグ2度目の戴冠は確かな実力があってこそ。
新たなるステージでも、この実績を胸に挑戦して欲しい。

山本は本命視する声もありながらも、途中敗退という悔しい結果で幕を閉じた。
だが、彼は必ずまたこの舞台に戻ってくる。いや、戻って来なくてはならない。
それは本人が一番よく分かっていることだと信じている。

松清さんと藤井さんは最後まで仲間たちの応援を背負って戦い抜いた。
道中、後ろでずっと見守ってくれていた戦友の存在に改めて感謝していることだろう。

そして、藤島。
優勝した川崎へ向けた拍手が巻き起こる中、おめでとうという言葉と共に手を差し伸べて握手を求めた。
悔しいはずである。
負けて尚、その大きな背中を示してくれた。

今回の決勝観戦記。
従来の観戦記に比べると、麻雀以外の部分にスポットを当てて書かせて頂いた。

放送対局が主流である現代の麻雀界。
放送がない故にあの日あの場所にいなかった方々の為にも、もっと麻雀の内容に触れるべきなのでは…と悩みに悩んだ。

だが、戦いの模様を時系列で並べるより、この静岡リーグの魅力を読んで下さっている皆さんにほんの少しでもお伝えしたいという想いが強かった。

良いか悪いかはわからない。

ただ、この決勝観戦記を最後まで読んで下さった方々の中に
「静岡リーグ面白そうだな」
「次の機会に出てみようかな」
と感じて下さった方が、たった1人でもいてくれたら心から嬉しく思う。

静岡リーグはプロと一般参加の垣根を超えた舞台。
そこには敷居など一切ない。
真摯に麻雀と向き合い、思いっきり麻雀を楽しむことが出来る。
そんな場である。

これからも麻雀ファンの皆さんと共に作り上げていく静岡リーグであることに変わりはないだろう。

第20期北陸プロアマリーグ 第2節レポート

日本プロ麻雀連盟33期生の里木祐介と申します。
第20期北陸プロアマリーグ、第2節よりレポートを担当させて頂くことになりました。
宜しくお願い致します。

4月14日、少し肌寒さの残る曇天の下、第2節がおこなわれた。

全5節20半荘での戦いとなる短期決戦の北陸リーグ。31人の争いの中決勝卓に座るには全節が重要になる。
私は、参加した過去2回のプロアマリーグで、一度の大敗が致命傷となり最終節には目標を失っていた。受けて立つプロとして不甲斐ない成績に終わり、短期決戦の難しさを知った。
三度目となる今期にかける思いは強い。しかし他の30人の猛者たちも同じく全身全霊をかけて頂点を目指してくるだろう。

そんな激しい戦いの中、2節を終え上位につけた選手たちを中心にみていこう。

6卓・浦田 瀧根さん 久保さん 森田さん

今回のプロアマリーグ、一般参加者の中によく知る顔が多くいる。
彼らとはこのリーグ戦以外での対戦経験も多い。

瀧根さんはその中の1人だ。

押しが強く、アガリへの道筋が見えたときは一歩も引かない。私は彼にそのようなイメージを抱いている。 

3回戦 南2 1本場
 
ドラ発

東家 瀧根さん18,000
南家 浦田  28,000
西家 久保さん42,000
北家 森田さん32,000

ラス目で迎えた親番、瀧根さんの手が以下の牌姿となる。

三万三万五万六万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  

マジョリティでは八筒九筒外しだろう。裏ドラに頼らずとも6,00オールが見える。
しかし、一筒に手ごたえを感じた瀧根さんはなんと6に手をかけていく。

三万三万四万五万六万二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ一筒

3面張リーチで狙い通りの一筒を手繰り寄せ4,000オール。
このアガリで好位置につけると、オーラスもアガリきり本日初のトップをもぎ取る。

結局この日は+31.2Pの卓内勝ち頭。トータル82.4Pとし一般参加者の最上位につける。次節以降の活躍にも期待したい。

逆に卓内最下位に沈んだのは支部長の浦田。前節に引き続きマイナスをたたき苦しい位置となった。
しかし、最終回にトップをとり大崩れは避けた。実力者だけに残り3節で充分決勝へのチャンスはあるだろう。

5卓
藤本 窪田さん 小泉さん 岡田さん

初参加の岡田さんも瀧根さんと同じく「よく知る顔」だ。
先日おこなわれたマスターズ北陸予選では私と決勝卓で戦っている。しかし本日は振るわず卓内最下位に沈んでしまった。
爆発力の高いタイプだけにこのままでは終わらないだろう。次節以降持ち前の攻撃力と手数で上位を目指してほしい。

この卓では藤本がプロの貫禄を見せつける。
ラススタートながらそこから3連勝を決め+64.2Pの圧勝。

2回戦で先手ピンフリーチを一発裏1で出アガリしたのをきっかけに調子を上げ最終戦では

ドラ四万

四万五万六万四索四索五索六索七索四筒四筒五筒五筒六筒  リーチ  ツモ六筒  

親番でとどめの6,000オール。
1巡待てば三色変化があったが、その場合はヤミテンに構えるだろうから同じ6,000オールだ。
藤本は2節を終え、総合2位につける。
 
トータル首位にたったのは南、プロになって日の浅い彼だがマスターズ北陸予選、十段戦北陸予選と立て続けに優勝しており、今もっとも勢いのある男と言っていいだろう。

連覇を狙う獅坂は+28.1Pとスコアをまとめ7位につける。今期も好調を維持しているようだ。

3卓では木戸が3-1-1-1とこちらも3連勝。4回戦ではオーラストップまで8,000条件でタンヤオリーチを敢行。
これがカンも入り裏2で逆転。WRCルールへの対応もお手の物といったところか。+92.6Pでトータル4位までジャンプアップ。

そして、最後に私だがこの第2節+93.4Pと勝ち頭となった。

1回戦 起家

ドラ七索

二万三万四万五索六索七索七索七索三筒三筒四筒四筒五筒

ハイテイで五筒をつもり8,000オール。最高のスタートだ。今日はこのように東場でアドバンテージを持つことが多かった。
南場は仕掛けを多用して局消化を優先した。もちろん順位点の大きいWRCルールということも意識してだ。

結果は最高だった。だがそれはたまたまであり大きく上にブレた1日だったにすぎない。いい麻雀を打てば勝てるのなら苦労はない。

私は麻雀には全ての選択において最善があると思っている。彼は攻撃的だから押すのが最善だ、彼は守備型だから引くべきであろう。
そういう風潮には共感できない。自分の麻雀を打ち切るというのもある意味思考放棄だ。

しかし、全ての最善手などわかる者はいない。だから強者同士でも選択は別れ「スタイル」で片付けるしかないのだろう。

誰もが納得する最善を導き出すのは人間では不可能なのかもしれない。ネット麻雀ではすでにAIが稼動している。
麻雀のシンギュラリティもそう遠い未来の話でもないだろう。

プロとして活動する以上、思考停止に陥らず、さまざまな選択のなかのたった1つの最善を求めていきたい。
それが結果につながるはずだからだ。

第3節開催は5月26日(日)

徐々に暑くなってくる気候のように我々の戦いもますます熱を帯びてくるだろう。

第15期静岡プロリーグ 第1節レポート

平成がまもなく終わり、令和を迎えようとしている4月に第15期静岡プロリーグは開幕した。
各選手達の想いがぶつかり、卓上にそれを表現していく。
1年間の熱い戦いがまたやってきたのだ。

今期レポートを担当することになりました33期生の青嶋宏樹です。
拙い文章ですが、目を通して頂ければ幸いです。
この1年間どうぞよろしくお願いいたします。

鳳凰位戦は引退したが、まだまだ後進には負けるわけにはいかないと、見事その実力を証明した望月が前期プロリーグ優勝。

静岡に初参戦し、決勝進出が至上命題と公言した藤島は圧倒的な成績を収め、その言葉通り決勝進出を果たした。

憧れの存在である2人に刺激を与えられ、その背中を超えていけるようにと思った者が少なくないはずだ。
私もその1人である。
打倒、望月・藤島。
この2人を倒さなければ決勝進出は難しい。
今期プロリーグの勝負の鍵になるだろう。

今期の開会式でこんなことを言った選手がいた。
麻雀は運の要素ももちろんあるが、1年間を通すと必ず強い者が勝つと思っているのが自分の哲学。そして結果を残しに静岡に来たと。

今期から初参戦のビックマウス岩井。
第13期麻雀マスターズと実力は申し分ない。
1年目にして結果を残し、実力を証明できるか?

岩井の言葉はその通りだし、結果はもちろん大事だが、静岡プロリーグは多くのアマチュアの方が観戦してくれている。
プロとしてアマチュアのお手本となるようなマナーや所作で、「良い麻雀だった。」と言ってもらえるような麻雀を打ちたいものだ。
そういったプロ意識の向上を一人一人が持てば、静岡の麻雀の未来は明るいはずだ。

それでは第1節の対局を振り返りたいと思う。

1卓
藤島 × 鷲見 × 川崎 × 鈴木涼

今節の注目卓、A2リーグに昇級した藤島、静岡リーグ・静岡プロアマチャンピオンシップを優勝し、充実ぶりが伺える川崎。
勢いに乗る今が旬の選手達の対局。

鷲見+28.9P 鈴木涼+28.7P 川崎▲7.5P 藤島▲51.1P

結果は場況に明るく判断力が光る鷲見と、猪突猛進・鋭い攻めが持ち味の鈴木涼がプラスで終える。
川崎は卓上に存在感を出せず。
そして誰が藤島のこれほどの負けを予想しただろうか。
藤島でなければさらにマイナスを積み重ねたかもしれない。
次節からの巻き返しを図る。

2卓
中野 × 大橋 × 岡本 × 渡辺 × 土屋

大橋・岡本・土屋が場をリードし、女流桜花ファイナリストの中野、守備型の渡辺がどう対応するかで展開が変わっていくか。

大橋+34.8P 岡本+29.9P 渡辺▲2.0P 土屋▲3.8P 中野▲58.9P

結果はメンゼンと仕掛けのバランスが絶妙な大橋、のんき打法(ゆったり高打点を狙う)の岡本がプラス。
渡辺はプラスした2人の猛攻を辛くも耐えたといったところ。
土屋は持ち前の果敢な攻めが不発に。
女流桜花ファイナリストの中野は大きくマイナスし、苦しいスタートとなった。

3卓
平野 × 中 × 足立 × 杉村 × 高木

何でもできるアベレージヒッターが揃った印象の卓。
その中でも先手をとり、手数が多い平野・足立・杉村に対し、中・高木がどういった麻雀を打つかが明暗を分ける。

中 +43.7P 足立+36.7P 高木▲3.2P 杉村▲36.1P 平野▲41.1P

結果は懐の深い麻雀の中、仕掛けからリズムを作る足立が嬉しい好スタートをきった。
昨年は思うような結果が出なかった高木はマイナス。
早く初日をだして上を目指したいところ。
精密機械といわれるほどの牌理に明るい平野、守備モンスター杉村はマイナスして振るわず。

4卓
望月 × 山本 × 岩井 × 京平×斎藤
前期優勝者望月を始め、実力者が揃った卓に新人の斉藤が挑む。

望月+41.9P 山本+3.9P 岩井+2.3P 京平▲20.2P 斉藤▲27.9P

結果は大方の予想通り、格の違いを見せつけ望月が大きくプラス。
山本・岩井は望月の攻撃を辛くも凌いだといった形か。
京平・新人の斉藤は苦しいスタートとなり課題が残ったか。
新人の斉藤はポイント以上にその実力差が重くのしかかった対局だったのではないか。

第1節は中・望月が好スタートをきったが上位陣は横並びの状態。
下位陣とのポイント差もそこまで開いていないだけにこれからの展開が楽しみである。

そして大きなマイナスを喫してしまった藤島はどのようにして巻き返しを図るのだろうか?
今後の戦いに注目だ。

第33回静岡リーグ(プロアマ混合)第1節レポート

皆さんはじめまして。
この度、第33回静岡リーグのレポートを担当させていただくことになった32期後期生の川崎義之と申します。
一生懸命務めさせていただきますので、半年間お付き合いの程よろしくお願い致します。

4月21日、第33回静岡リーグが開幕した。
今回の参加人数は何と77名!
人数もさることながら、参加プロのメンツも凄い。
昨年に引き続き参戦の鳳凰戦A2リーガーの藤島健二郎プロをはじめ、鳳凰戦Bリーグ経験者の相沢かおるプロ・岩井健太プロ・藤本哲也プロ、昨年女流桜花決勝に残った中野妙子プロ、2018・2019最強戦ガールの大月れみプロ・後藤咲プロ等々、計31名のプロが参加を表明した。
これだけのメンバーが揃うプロアマのリーグ戦は他にはないだろう。
望月支部長を始めとした静岡支部の活動に賛同してくれた結果であると感じている。

アマの方達に目を向けてみると、初参戦の方が多く、これは昨年度より行われているプロアマチャンピオンシップ、更にその先にある小島武夫杯帝王戦によるものだろうか。
いずれにせよ熱い戦いが繰り広げられるのは間違いない。

気になる第1節の結果だが、望月プロの国士無双、アマの中野さんの九蓮宝燈と2つの役満が飛び出す波乱の展開となったが、トータルポイントで大きく抜け出す者は現れず、まだまだ混戦模様。

首位は大橋幸正プロの+56.8。大橋プロは中部本部所属ながら、昨年度より静岡プロリーグに加え静岡リーグもフル参戦しており、その麻雀に対する姿勢は見習うべきものがある。
大きくポイントを叩くことに長けており、今後も目を離せない存在になるだろう。

今節は上位陣に目を向けてみると、アマチュアの方たちの活躍が目立った。
中でも2位につけた牧野さんは健康麻雀出身との事だが、しっかりとした手組みから確実にアガリを物にする印象を受けた。
しかし麻雀の内容以上に印象的なのは、いつもニコニコしていて、とても楽しそうに麻雀を打っていることだ。
純粋に麻雀を楽しんでいる姿を見ると、麻雀教室の講師をしている自分の立場からしても微笑ましく思う。
是非次節以降もポイントを伸ばし、上位進出していただきたい。

一方自分の成績はというと・・・特に大きな見せ場もなくマイナススタートとなった。まだ始まったばかりとはいえ、前回チャンピオンとしてこのままズルズル行くわけにはいかない。
参加人数の増加により決勝進出ボーダーも上がるものと考えられるため、早めに挽回していきたいと思う。

また余談ではあるが、静岡リーグでは第1節にアンケートを実施している。その中に対戦したいプロという項目がある。現状は一部のプロに人気が集中しているが、早くそこに名前を書いてもらえるような魅力ある打ち手になれるよう、日々努力していきたい。

何を切る? 2019年5月

第36期鳳凰戦A1リーグ第1節A卓 1回戦 東2局1本場 南家 伊藤優孝プロ

 

 

 

 

■ Twitterで実施したアンケートの結果

 

 

 

■プロ解答

七万切り

 

 

 

五筒暗カン

 

 

 

五索切り

 

 

 

五筒切り

 

 

 

八筒切り

 

 

 

■プロの視点
伊藤優孝プロ
「ここはカンの一手。というのも、この開幕戦はよーいドンで打ち込みから始まってなんとなくイマイチな感じだった。もちろん、三色を狙って五筒を留めて七万を外していく打ち方もある。ドラを使い切るといって五索を切る手もあるけどこれはやりすぎ。ここはアガリの点数よりも、自然な手牌進行に重きを置いてアガリ切って親を引きたい。この後ダイレクトに六万を引く以外は、ひとまずヤミテンにして様子を見る。」

 

 

■終局図

 

 

 

■実況・解説陣

 

 

吉田「僕七万ですかねー。」
古橋「五筒暗カンです。」
白鳥「僕五索。」

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第32期中部プロリーグ 第3節レポート

Aリーグ:斎藤寛生

私が連盟員になったのは2010年であるが、当時の中部プロリーグ戦の会場に見学者の方が来ることはほぼ無かったが、ここ数年の中部本部における様々な広報活動が奏功したのか、最近は必ずと言っても良いくらい見学者の方にお越しいただいている。
中部プロリーグを見学する上で是非とも参考にしていただきたく、今回はリーグ戦開催日のおおまかな流れをご紹介させていただきたい。
中部プロリーグ戦開催日は13時から事務局による進行が始まるので、その2~30分前には会場に集まり、各自受付を済ませた上で同卓者4人が揃った卓から牌確認をする、それが終わると13時になるまでは各自自由に行動をとる。談笑する者もいれば席で集中する者もいたり、トイレや喫煙所に行ったりするなどリーグ戦に備えて各々準備をする。定刻になると事務局による進行が始まり、中部本部に所属する連盟員のタイトル戦の結果や、タイトル戦プロ予選・地方予選の案内、ルール改正があった場合の説明やプロテスト・地方イベント等の事務局からの案内があり、それら事務局からの案内の次に木村本部長からの挨拶が行われ、それが終わると準備のできた卓から対局が開始される。

第3節の組み合わせと各卓の結果は、以下のとおり。
1卓 伊藤・都築・清水・堤
暫定首位の伊藤と暫定2位の清水がぶつかったこの卓では、清水に軍配が上がる。1回戦に6万点超えの1人浮き、3回戦に5万7千点持ちのトップで+65.0P、一気に暫定首位に立つ。清水の爆発の影響を受けた3名であったが、4回戦でトップを取った堤が+10.8Pとプラスに転じ、伊藤・都築は最後まで苦戦を余儀なくされた。

2卓 掛水・森下・寺戸・斎藤
今期のAリーグで2度目となる役満をアガったのはまたもや寺戸。1回戦第1局、終盤に親の寺戸が倒牌するとそこには暗刻が並び、同卓者3名は開局直後から大きなビハインドを背負うこととなった。これにより目標修正を迫られることになったが、夫々どのように目標値を修正したのであろうか。私は2回戦終了後のポイントが▲49.1Pとマイナスが膨らんでしまったが、3、4回戦の親番で本手を手中に収め、命からがら▲7.7Pまで回復できた。掛水は役満の煽りを受けながらも1回戦は浮きの2着で、最終的には+1.1Pとプラスで終えた。森下は終始苦しい戦いであったか、▲33.8Pと沈んでしまった。次節以降、第39期王位の意地を見せることができるか。

3卓 小野・加藤・林・村瀬
村瀬が3、4回戦に大きなトップで連勝し、+68.8Pと暫定12位まで順位を上げ、前節の大敗を大勝で取り返した。次節に向けて弾みをつける。村瀬が大勝する陰で浮きの2着を確保していた小野は+39.5Pで、トータルポイントが100を超え暫定2位についた。林は▲82.8Pと、これまでの貯金を吐き出してしまったが、これをバネにして躍進に繋げられるか。

4卓 土岐・三戸・朝岡・長谷川
この卓の勝ち頭は③②②②でトップ0回の三戸。+21.4Pで暫定3位についた。1、2回戦で連勝した長谷川がその後のマイナスを最小限に留め+12.6P。土岐と朝岡はそれぞれ4着が2回であったが、4回戦で大きなトップを取った朝岡が▲4.2Pまで取り戻した一方、4回戦で大きく沈んでしまった土岐は▲29.8Pと苦杯を喫する。

対局終了後は、リーグ戦の結果を成績表に記入し、それを事務局に提出する。ここまでがリーグ戦当日のおおまかな流れである。ご興味のある方は是非とも会場までお越しいただきたいと思います。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 清水 哲也 28.2 61.8 65.0 155.0
2 小野 雅峻 74.8 ▲ 4.8 39.5 109.5
3 三戸 亮祐 25.7 34.1 21.4 81.2
4 寺戸 孝志 0.8 29.6 40.4 70.8
5 伊藤 鉄也 64.4 35.6 ▲ 40.4 59.6
6 土岐 雄太 30.0 52.8 ▲ 29.8 53.0
7 掛水 洋徳 ▲ 28.9 34.0 1.1 6.2
8 朝岡 祐 ▲ 26.6 22.9 ▲ 4.2 ▲ 7.9
9 長谷川 弘 1.7 ▲ 47.3 12.6 ▲ 33.0
10 林 俊宏 40.8 ▲ 4.3 ▲ 82.8 ▲ 46.3
11 都築 友和 ▲ 37.2 23.9 ▲ 35.4 ▲ 48.7
12 村瀬 寛光 ▲ 25.0 ▲ 106.3 68.8 ▲ 62.5
13 加藤 泰史 ▲ 66.9 18.3 ▲ 27.5 ▲ 76.1
14 堤 文吾 ▲ 16.3 ▲ 75.2 10.8 ▲ 80.7
15 斎藤 寛生 ▲ 11.0 ▲ 65.4 ▲ 7.7 ▲ 84.1
16 森下 剛任 ▲ 54.5 ▲ 9.7 ▲ 33.8 ▲ 98.0

 

 

Bリーグ:大橋幸正

第32期中部プロリーグは、Bリーグ以下はちょうど折り返し地点の第3節が行われた。第2節を終えた時点で、私は+60.2Pの3位と好位置につけており、今節は昇級に向けて、非常に大切な対局となった。
対戦者は、山本(拓)・佐藤・木村。
3者とも一癖二癖もある打ち手で、非常にゲームプランが立てづらい組み合わせであり、私にとって、最大の山場となる節であると、対戦前感じていた。
中でも意識する相手は山本(拓)で、中部プロリーグでこそ初対戦となったが、他の公式対局などで何度も対戦経験がある数少ない苦手意識のある相手である。

1回戦、私は気持ちこそ落ち着いていたものの、アガリと放銃を繰り返す、かなり不安定な麻雀となっている中、山本(拓)が随分とおとなしい。最近、調子を崩している様子なので、その影響か?と思っていたが、南3局に佐藤から入った親リーチにぶつけ、3,000・6,000のツモアガリを皮切りに、2回戦目の大爆発へと繋げていく。

2回戦、開局親番で大きく点数を叩いた山本(拓)は、東場が終わった時点で70,000点を超えていた。対する私は10,000点代前半のラス目と非常に苦しい状況。
この時点でトータルポイントも山本(拓)に捲られており、このままいくと、+100Pオーバーを叩かれる節となりそうな感じであった。
この苦しい状況の中、私の考えていたことは、もちろん、マイナスを取り返して昇級争いに留まりたいという思いもあったが、『今後、山本(拓)とは長くプロ活動を共に歩んでいくであろう。今期、静岡プロリーグでも同卓するし、タイトル戦など大きな舞台で対戦するかもしれない。目先のことだけを考えず、とにかく、結果は別として、「大橋は怖い相手だ。」という印象を与える必要がある。』と考えていた。
一つ例を挙げると、3回戦オーラス、親の山本(拓)は31,900点の2着目、対する私は42,600点のトップ目。私の手牌は以下の牌姿のイーシャンテンとなる。

四万五万四索五索四筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒西  ドラ六索

上家から切られた三万のチーテンは取らなかった。自分の目先だけを見た場合、喉から手が出るほど欲しいトップであったが、仮にチーテンを取って、1,000点のアガリを拾った時、浮きをキープできる山本(拓)も嬉しいアガリとなってしまう。また、目先のトップ欲しさの焦った仕掛けをしているようでは、昇級できないのでは?と感じた。
結果から言うと、この局は1,000・2,000をツモアガリ、1人浮きのトップ。4回戦も大きなトップを取ることができ、終わってみれば、2回戦目が終わった段階では考えられなかった卓内トップの+50.4P。
第3節を終え、私はついにただ1人+100Pを超える首位となった。まだまだ、残り2節あり、決して楽な状況では無いが、間違いなく、風は私に吹いている。ポイントを持った戦い方は、もちろん意識はするが、更にポイントを伸ばそうとする心意気で、次節以降も臨みたいと思う。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 大橋 幸正 52.9 7.3 50.4 110.6
2 金平 裕樹 40.0 31.0 5.1 76.1
3 太田 充 58.8 ▲ 41.8 43.8 60.8
4 大高坂 松城 60.5 13.3 ▲ 15.8 58.0
5 越川 清一 21.5 7.2 26.5 55.2
6 山本 拓哉 ▲ 17.2 ▲ 3.8 45.4 24.4
7 富村 つぐみ ▲ 41.1 40.0 23.8 22.7
8 高橋 侑希 ▲ 20.4 27.3 ▲ 3.1 3.8
9 杉村 泰治 11.0 ▲ 6.4 ▲ 4.9 ▲ 0.3
10 木村 東平 34.6 ▲ 2.0 ▲ 40.9 ▲ 8.3
11 杉浦 勘介 ▲ 0.1 ▲ 22.8 10.1 ▲ 12.8
12 佐藤 あいり 4.7 29.9 ▲ 54.9 ▲ 20.3
13 青山 大 ▲ 9.0 ▲ 30.6 ▲ 3.4 ▲ 43.0
14 大町 篤志 ▲ 2.8 ▲ 74.2 15.7 ▲ 61.3
15 古川 孝次 ▲ 102.1 ▲ 16.1 44.0 ▲ 74.2
16 日下 健司 ▲ 37.2 0.9 ▲ 46.5 ▲ 82.8
17 安藤 大貴 ▲ 54.1 40.8 ▲ 96.3 ▲ 109.6

 

 

Cリーグ:岡田智和

中部プロリーグもいよいよ折り返しの第3節。2節を終えた時点での上位を確認していこう。
首位を走るのは2年目の鈴木涼太(+75.0P)。その背中にピタリとつけているのは河合慎悟(+72.9P)。続いて田村良介(+43.8P)、太田峻也(+41.0P)―ここまでが昇級となる。
私は+34.0Pの5位で第3節を迎え、同卓者は家田みゆき・池沢麻奈美・太田峻也であった。
昇級ボーダーにいる太田峻也との同卓は当然意識するのだが、ベテラン家田みゆき、各地で活躍を見せる池沢麻奈美も手強い相手だ。

私は1回戦・2回戦と連続トップで、太田峻は1人沈みの連続4着。だがこのままでは終わらないのが太田峻の強さだ。3回戦に入り怒涛のアガリで63,400点の1人浮きの大トップ。
前半2回戦のマイナスを一撃で取り戻した。4回戦は池沢と太田峻の一騎打ちとなり、両者同点トップ。私は前半のプラスを全部吐き出してしまった。卓内トップは終始冷静かつ丁寧に手を仕上げた池沢(+24.8P)。続いて太田峻(+1.5P)、岡田(▲3.8P)、家田(▲22.5P)。
独走できる状況にありながら自らそのチャンスを手放してしまった感があり、反省しかない第3節となった。

今節は別卓の一部選手からコメントをもらったので紹介していきたいと思う。

鈴木涼太…「今日はポイントを伸ばして首位を維持するつもりで対局に臨んだ。自分の打ち方で素直にリーチをし、勝負手を8割以上アガることができた。このまま最終節まで独走したい。」
鈴木涼は+90.4P(トータル+165.4P)で独走状態―見事有言実行してみせた。末恐ろしい新人だ。

日髙志穂…「実力不足もありますが、終始苦しい対局でした。後半戦頑張ります。」
日髙は「実力不足」と言っているが、その実力は十分にあることを全国に示した逸材だ。
その日髙も中部プロリーグでは苦戦しており、▲48.4P(トータル▲89.5P)14位で第3節を終えた。

大滝聡…「2回戦0点寸前で大きくマイナスした。本来オリることができたはずの牌で放銃した11,600は反省。」
大滝はAリーグ経験もある実力派。今節も順調にスコアを伸ばして卓内トップ。+16.7(トータル+43.8P)4位につけた。

菅野直…「2半荘目調子が良く、もっとアガれた気がする。」
菅野の強さは中部本部の皆が認めている。そう言っても過言ではない実力派菅野がまさかのマイナス。これだから麻雀は恐ろしい…。▲18.3P(トータル▲14.0P)10位で第3節を終えた。

山本美文…「リーグ最下位なので、ギリギリ浮けて良かった。次節以降も耐えられるようにしたい。」
今期の山本美は日髙以上に苦しそうに思えた。日髙は話すこと自体辛そうで、皆それぞれ背負
うものがあり、志を持って対局に臨んでいるのだとコメントを通じて痛感した。

このまま鈴木涼が独走するのか、大逆転劇は起こるのか…。終盤戦に差し掛かる第4節、ますます昇級を意識した激戦になることは間違いない。

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 鈴木 涼太 73.8 1.2 90.4 165.4
2 田村 良介 ▲ 6.0 49.8 57.4 101.2
3 河合 慎悟 61.2 11.7 ▲ 13.4 59.5
4 大滝 聡 ▲ 30.5 57.6 16.7 43.8
5 太田 峻也 38.4 2.6 1.5 42.5
6 岡田 智和 22.8 11.2 ▲ 3.8 30.2
7 池沢 麻奈美 ▲ 28.7 14.2 24.8 10.3
8 岡本 丈司 ▲ 50.9 47.4 7.0 3.5
9 若松 正和 ▲ 10.3 3.0 0.8 ▲ 6.5
10 菅野 直 16.1 ▲ 11.8 ▲ 18.3 ▲ 14.0
11 中谷 彰吾 14.1 ▲ 43.3 11.7 ▲ 17.5
12 家田 みゆき ▲ 24.2 9.8 ▲ 22.5 ▲ 36.9
13 鈴木 淳 ▲ 28.8 ▲ 14.0 ▲ 16.0 ▲ 58.8
14 日髙 志穂 ▲ 23.2 ▲ 17.9 ▲ 48.4 ▲ 89.5
15 山田 まさとし 16.5 ▲ 50.8 ▲ 88.7 ▲ 123.0
16 山本 美文 ▲ 61.3 ▲ 72.7 0.8 ▲ 133.2

 

 

Dリーグ:近藤美香

新元号も決まり、改元まで後わずかとなった暖かな春雨が煙る日、平成最後の中部プロリーグ戦第3節が行われました。
Dリーグは奇しくも3卓ともが1人大きく沈むという同様の結果となりました。

13卓 終始強気な攻めをみせる後藤に確実に勝負手を決める杉浦(貴)のペースで対局は進みました。この日杉浦(貴)は+47.2 合計ポイントでも+117.5と1人大きく抜け出しました。
私は本手がすべて安目ツモか流局。かわし手と判断し鳴いた後は杉浦(貴)の本手に放銃。
終了してみるとオールラスの▲64.0Pという結果でした。

14卓 私と同じく▲66.0Pという大きなマイナスの加来に対局後感想を聞きました。ドラもなく、手も作れず、4回戦とも何もできずに終わってしまった。本当に悔やまれる。しかし来節は今日のマイナス以上にプラスできるよう頑張っていきたい。と前向きなコメントを残してくれました。

15卓 トップラスで出入りの激しい羽川でしたが、1人浮きトップ2回の大きなプラスで+41.3P。順位も大きく伸ばしました。そこに実力者の鈴木(雄)が安定の+15.7Pでまとめ、大西が1人沈みの▲66.1Pという結果になりました。
折り返し地点の第3節が終了し残り2節。3分の1の昇級枠をかけて私も加来と同じよう、巻き返しを図りたいと思います。

Dリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 杉浦 貴紀 45.1 25.2 47.2 117.5
2 平野 祥太 40.8 3.2 24.4 68.4
3 浅野 文雅 90.2 ▲ 90.4 40.8 40.6
4 羽川 えりか 25.2 ▲ 34.0 41.3 32.5
5 鈴木 雄介 ▲ 24.6 36.9 15.7 28.0
6 後藤 咲 2.4 ▲ 18.3 27.9 12.0
7 原田 知彦 ▲ 1.8 3.9 ▲ 0.2 1.9
8 田中 寛治 ▲ 10.6 1.7 9.1 0.2
9 近藤 美香 6.0 30.1 ▲ 64.0 ▲ 27.9
10 加来 千香子 15.6 21.4 ▲ 66.0 ▲ 29.0
11 中垣 元 ▲ 48.9 13.9 ▲ 11.1 ▲ 46.1
12 大西 義則 ▲ 81.6 37.5 ▲ 66.1 ▲ 110.2
13 鈴木 基芳 ▲ 15.5 ▲ 33.1 ▲ 100.0 ▲ 148.6

第18期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第1節レポート

Aリーグ第1節:高谷圭一

皆さんこんにちは!
今期関西Aリーグのレポート書かせて頂きます高谷圭一です。
1間宜しくお願い致します。

第17花岡章生プロが見事3覇を達成し、新たに3月より花岡太閤位への挑戦権をかけた戦いがはじまりました。
開幕戦卓組は以下のとおりとなります。

1卓 佐々木・藤川・米川・辻本
2卓 横山・勝間・坂本・城
3卓 吉本・宮田・稲岡・高谷

私が戦う3卓は偶然にも昨年と一昨年の昇級者同士の組合せとなり、まさに新人Aリーガーによる戦い?さらに1卓は今や関西Aリーガーの象徴というべき人同士での戦いという開幕戦からおもしろい卓組となっています。
なお2卓は別日対局となっています
今回は3卓での対局レポートを書かせて頂きます。

3卓1回戦(起家から、稲岡・吉本・宮田・高谷)
開局早々、起家の稲岡が先制リーチをし、2,600オールのツモアガリで主導権をにぎる。
東4局に吉本が西ドラ3の7,700点を高谷より出アガリ。
さらに南2局親番では、先に先制リーチをかけていた稲岡の現物である⑨で高谷よりピンフ、イーペーコー、ドラ2の11,600点を出アガリ一気にトップに浮上した。
対して、高谷は箱下までいきかなり苦しい状況となった。

次局も吉本が連荘をして更リード広げる中、劣勢の高谷にチャンス手が入る。
12巡目にホンイツテンパイ。

南2局 2本場

一万三万四万五万六万六万七万七万八万八万九万九万中中  ドラ中

河に二万六万中は見えていない。九万は河に1枚切られている状況化で、一万を切れば一通はなくなるが六万九万中の変則3面待ち、六万を切れば倍満確定のカン二万待ち。
高谷は打一万のヤミテンを選択。
次巡ツモってきたのは無情にも二万、その後五万をつもり打三万四万七万待ちに変化させたもののそのまま流局となってしまった。
この半荘は吉本が逃げ切り、稲岡もぎりぎり原点をキープしてプラスとした。

3卓2回戦。
1回戦同様吉本が好調である、東4局吉本親番で、

高谷の手牌
二万三万三万五万六万七万八万  ポン北北北  ポン白白白

さらに三万をポン

五万六万七万八万  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き  ポン北北北  ポン白白白

五万八万のノベタンでの満貫をテンパイするが、ツモってきたのは二万
その直後、吉本がカン六万を567三色含みの3,900オールを力強くツモリあげた。
吉本のトップで向えた南3局、高谷に再びチャンスがめぐってきた。

南3局 親、高谷配牌。

四万八万九万一索二索三索四索四索七索八索九索南南発  ドラ南

ドラ2を含む配牌1シャンテンからの打四万。3巡目に五索をつもり、打八万を切りホンイツに向います。
数巡後、下家の吉本からドラ南が切り出され、それを高谷が仕掛け南ホンイツドラ3の跳満1シャンテンとなるが、吉本がすぐさま一通含みの三筒六筒九筒待ちの六筒をツモアガリ。
親の跳満のチャンスを阻止する形となり、吉本が2回戦もそのままトップを守りきりました。

3回戦は一転して1・2回戦好調の吉本が苦戦をしいれられる展開に。
序盤高谷がリードするが、南2局に宮田が三暗刻含みの6,400を高谷から出アガリ、宮田がトップに浮上。
吉本1人沈みでの浮き3人が接戦で迎えたオーラス(親番稲岡)、全員がトップを目指しアガリに向かうが宮田がこの局アガリきりトップで終える。

4回戦、東場宮田先行リードからの南1局ラス目で迎えた親番を高谷はタンヤオドラ2をトップ目宮田から7,700出アガリ、一気にトップに浮上する。
しかしオーラス、それまで沈黙を保っていた吉本が親番でアガリトップ浮上し、最後は宮田がアガリ対局終了となりました

宮田はかろうじて今節プラスで終え、吉本が4半荘中3半荘トップを取り、太閤位決定戦に向けて好発進です。
稲岡、高谷はマイナス発進となり来節以降での巻き返しを図る形となりました。

 

 

Bリーグ第1節:丸山直

今期Bリーグのレポートを務める丸山です。よろしくお願いします。
今節、都合により5人打の3卓で開始となったBリーグ。

1卓 (川上・山中・筒井・中川 ・仁科)
開始前より+100とると宣言していた中川が、それに届かずとも4回(トップ2回、2着2回)全て浮きで卓内トップになれば山中が大きく沈む。
5回戦に筒井が6,100オールを決め、4回戦までの負債を無くすかと思われたが、終わってみれば4,600点プラスの小さなトップに。

2卓 (長尾・音羽・福原・山室・辻井)
この卓も全て浮いた長尾が卓内トップ。山室は3連続ラス(内2回が1人沈み)となるも、抜け番を挟んで5回戦目にトップをとり、なんとか一矢報いた感じです。

3卓 (稲垣 ・大橋 ・上村・ 貫上・ 丸山)
1回戦で123の三色2,000・4,000

2回戦では

一万二万四万五万六万東東  ポン南南南  ポン発発発  ツモ三万

この4,000オールなどのアガリを見せた貫上が、最後は微差でラスを引くものの卓内トップ。

5回戦
ここまで3戦マイナスで苦しい上村が、東3局のリーチからのツモ、東4局大橋からドラ2の7,700をアガると、そこからオーラスまで小場が続き、

南4局
(親 上村39,000 大橋28,100 貫上26,100 稲垣26,800)

11巡目

四万五万六万六万七万八万九万七索八索六筒七筒発発  ドラ六索

ここにドラでない九索を持ってきた大橋はリーチとし、2巡後に八筒をツモ。
上村がトップとなり、大橋は100点浮きになって、厳しい勝敗にピリオド。
1節からキツイ戦いになった、気の緩みが痛手になりそうな戦いがまだまだ続きそうです。

 

 

C1リーグ前期第1節:根越英斗

今期C1リーグのレポートを書かせていただきます、根越英斗と申します。よろしくお願いいたします。
さて、時代は平成から令和へと変わります。しかし皆様、正直まだピンとこないのではないでしょうか?
新たな時代が始まろうとするとき、古き時代が記憶からなかなか消えないのは世の慣わし。このC1リーグも新世代と旧世代が入り混じり、新たな戦いを見せてくれることを期待しています。

1卓は根越、行野の33期新世代に、昨期最後まで昇級争いを繰り広げた34期期待の星、松尾。そして経験も多彩な上村の対戦となりました。
上村・根越が苦しい戦いを強いられ、行野・松尾が良い展開で半荘を進めていくものの、終わってみれば上村の1人勝ちでフィニッシュとなり、さすがという貫録を見せつけるところとなりました。
苦しいのは松尾。滑り出し好調も終わってみれば大きくはないものの、マイナス発進となりました。しかし地力のある松尾。
このままでは終わらないと信じています。

2卓は、元覇王でありC2より勝ち上がってきた秋山と、原田・木下・山神の対戦。
木下が+42.2Pと大きくポイントを叩いてのフィニッシュとなった。木下は今期覇王でもベスト8に駒を進め、好調を維持しています。今後に期待をしたいところです。

3卓はC2リーグより勝ち上がってきた中島が、吉田哲・高橋・辰巳の3名に立ち向かう構図となりました。
軍配は辰巳に上がりました。辰巳も今期こそBリーグと虎視眈々と上を睨む1人ですので、辰巳の爆発には期待したいところです。

4卓は中野・後藤・吉田圭・掛樋の対戦ですが、春の嵐が爆発した対局となりました。
嵐の中心は『牌に愛されし雀士』の異名を持つ掛樋。
掛樋は4回戦中3トップであり、5万点オーバーのトップに1人浮きのトップと大暴れで、終わってみれば+75.1Pと大きくポイントを伸ばしてフィニッシュとなりました。

春は桜の季節。桜が咲いた人もいれば、桜が散った人もいるかもしれませんが、リーグはまだ始まったばかりです。
長い道のりの第一歩をみんなが踏み始めたばかりですので、まだまだどんな美しい花に出くわすかはわからないところです。
次節以降も新世代・旧世代ともに素晴らしい対局を見せ、素晴らしいハーモニーを奏でてくれることを期待したいと思います。

 

 

C2リーグ新人紹介コーナー

今回よりC2リーグは新人の紹介をさしていただきます。
①氏名
②年齢
③何期生
④好きな役
⑤好きなプロ
⑥プロになろうと思ったきっかけ
⑦麻雀に思うこと、どうなれば良いかなど 自由に。

以上を書いてもらいました。
100

① 藤根 梨沙(とうね りさ)
②  20歳
③  35期
④  三色同順、七対子
⑤  白鳥翔プロ
⑥  様々なプロの対局などを見ている中で、自分も同じ場所に立ってみたい、戦いたい、強くなりたいと思ったからです。
⑦  麻雀プロとしてタイトル獲得など結果を残せるように、そして先輩方に少しでも追いつき、追い越せるように、麻雀と真剣に向き合い、努力していきます。応援して頂けると嬉しいです。よろしくお願い致します。

 
100

① 濱中 真志
② 37歳
③ 35期
④ 三色同順
⑤ 特にいません
⑥ 年齢制限になる前にやってみようというのと、一度は挑戦してみようという想いからです。
⑦ 麻雀が世間で思われている様なマイナスの感じではなく、素晴らしいコミュニケーションをとったり出来るものであるという事や、麻雀を通して色々な事を伝えられるようになりたいと思っています。

第3期北陸プロリーグ 第1節レポート

4月14日(日)、第3期北陸プロリーグ第1節が行われました。
今期の開催地は富山市、そして決勝戦は今年もあの「夏目坂スタジオ」にて全国配信予定であります。
今期は誰の元に栄冠が輝くのでしょうか?

●A卓(阿戸、荒谷、安城、里木、南)

荒谷・安城の中堅と若手3人の対決。
安城は第1期・第2期と連続で決勝進出しており、今期こそ初優勝を果たしたいという強い気持ちで挑む。
しかし、開幕ダッシュを決めたのは荒谷。
①②①②と連対率10割でトータルトップスタートとなった。
本人曰く、キーポイントになった1局。

2回戦、東4局1本場、ドラ発

八万八万四索五索三筒四筒五筒六筒七筒八筒発発発  ツモ三索

「削られて1人沈みの形になりかけたところでの上記のアガリは、点数的にもメンタル的にも楽になれました。」

との事。オールプラスの荒谷だが、実は満貫以上をアガれたのは上記の1回のみ。リーチを打ったのも2回だけで、決して調子は良くなかったが、上手くまとめた模様。
荒谷は22期生、同期の後藤プロが第1期優勝、1つ下の23期生の木戸が第2期優勝と、同じ中堅どころとしては負けられず、本人にも強い対抗心があるのは間違いない。
先ずは初の決勝進出を目指したい。

プロリーグデビュー戦となった新人の阿戸。
緊張もあったかもしれないが、トータルポイントをプラスで終え、次回以降上位を目指す。

●B卓(梅本、浦田、木戸、獅坂、藤本)

前回決勝戦メンバー木戸、浦田、藤本の3人が対決となる、いきなり激しい組み合わせ。
木戸は連覇を目指し、浦田・藤本はリベンジに燃えていて、早くも互いに火花をちらす。
これに獅坂、そして新人の梅本が向かっていくカタチとなった。

結果は藤本が勝利。
②①①と順調にポイントを伸ばし、向かえた最終戦オーラス親番、10巡目の手牌。

二筒二筒二筒三筒三筒三筒四筒四筒四筒九筒北北北  ドラ八筒

なんとメンホン四暗刻タンキのテンパイ。
この日の態勢の良さを物語るような手だが、ここは梅本が捌き、惜しくも成就ならず。
しかしトータル2位と3期連続決勝進出に向けて好発進を果たし、今期も優勝大本命である事は間違いない。

好調の藤本とは対照的に乗り切れないのが、ディフェンディングチャンピオンの木戸。
③③④とマイナスを重ねていってしまう。

2人の態勢を象徴するような局が、4回戦オーラスの1局。

東家 木戸 +6.3P
南家 藤本 ▲1.3P

4回戦目にしてやっとトップ目に立った木戸、最後の親で更なる加点をしたい。
8巡目にして下記の手牌。

六索一筒二筒五筒六筒七筒北北白白  ポン南南南  ドラ北

役牌南を鳴いていて、ドラ北がトイツの大物手の1シャンテン。
既に捨て牌に九筒が切られていて、ホンイツの匂いも少し消されている。
この時点で、少し沈み3着目の藤本の手牌。

二索二索三索三索四索四索二筒四筒七筒八筒九筒北発

こちらも1シャンテン、イーペーコーが出来ているが、生牌のドラ北発が浮いており、いかにも木戸に打ちづらく苦しいカタチ。
ここに木戸の上家から白が出て当然のポンテン。

一筒二筒五筒六筒七筒北北  ポン白白白  ポン南南南 

すると下家の藤本に流れた牌がなんとドラの北
そして次のツモが木戸と同テンの三筒

二索二索三索三索四索四索二筒四筒七筒八筒九筒北北  ツモ三筒

木戸が白をスルーすれば親の跳満をアガっていたことになり、勿論白ポンは当然の仕掛けではあるが、木戸にとってはトップを藤本に明け渡し、なんとも悔しい結果となった。

落ち着いてポイントを重ねたのが新人の梅本。
ベテランのリーチや仕掛けに対し臆する事なく勝負を繰り返し、2回のトップを奪取、堂々トータル4位につける。
今後も上位を目指して、阿戸同様、初出場初決勝を目指してほしい。

●C卓(後藤、志多木、成田、本田、前田)

第1期初代チャンピオンの後藤、今年こそ初の決勝進出を目指す4人の対決。
卓内トップで勝ち名乗りをあげたのは成田。①②②①と連対率100%で、トータル3位となった。

最終戦オーラス2本場
東家 志多木  +13.0P
南家 成田 +4.5P
西家 本田 ▲2.3P
北家 前田 ▲15.2P

好調の成田は5巡目にして早くも下記のテンパイ。

一万二万三万五万五万二索二索三索四索四索三筒四筒五筒  ドラ二索

トップまで8,500点なのでリーチを打てば誰からでも逆転可能だが、リーチを打って万が一本田へ4,500(3,900の手)の放銃をすると原点を割るので、ここはしっかりとヤミテンに構える。
そし9巡目にしっかりとツモアガリ、逆転トップ。磐石に仕上げる事に成功した。

思い通りに開幕戦を終えた者、逆に悔しい思いをして消化不良の者、結果は悲喜こもごもではありますが、闘いはまだ始まったばかり。
栄冠に向けて厳しい道のりを突き進み、その頂きを目指して行きます。

第9期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 第3章:山田浩之【あとひとつ】 古橋 崇志

100

 

18年前、当時24歳の若者に敵はいなかった。
花の17期と呼ばれる中でも誰もが認めるトップクラスの雀力を持ち、僅か3年でA2リーグへ、そして第23期A2リーグを優勝し若干30歳でA1リーガーとなる。
しかしタイトル戦ではチャンピオンズリーグを獲得するものの、G1タイトルにはなぜか縁が無かった。
ここ1年ではリーチ麻雀世界選手権、麻雀マスターズと決勝に進むも惜敗。A2リーグでもあと一歩届かずにA1への切符を逃してしまう。
同い年の吉田直が鳳凰位を獲得し、ベスト8ではその吉田を破っての決勝進出。
この麻雀グランプリMAXへ懸ける思いは誰よりも高いはずだ。

山田の麻雀は門前高打点に寄ってはいるが、状況・場況などに合わせて柔軟に手牌を動かしていく。

 

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開局の6巡目、高打点を狙うのであれば五万切りの一手であるが、山田の選択は打二万
ドラが無ければ打五万となりそうだが、ドラ1あるので素直に良型を求める一打である。

 

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打点に折り合いをつけて2枚目の発をポン。
藤崎・柴田の2件リーチを受けるが五索をツモ和了り上々のスタートだ。

南2局1本場、山田に難題が。
親のダンプにダブ東をポンされている6巡目。

 

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テンパイまでの効率なら打五万であるが、山田の選択は打九万
ドラドラの勝負手であるからこそ、和了りやすい形を求めていく。
10巡目、狙い通りマンズが伸びテンパイ、待ち取りは同じ5枚見えながら一筒四筒を選択。

 

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そして3巡後ツモ二万と来たところで山田の手が止まる。

 

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5面張のテンパイであるが、三万四万は目に見えて0枚。そしてフリテンである。
小考後、意を決した山田は四筒を切ってフリテンリーチを敢行する。
親のダンプは中の後に一索の手出しが入っているのでピンズの混一では無さそうだが、
ピンズが高く、そして何よりも自身の待ちも五万八万は山に残っている可能性がある。
山田の読み通り五万八万は2枚ずつ、そしてドラの二万も1枚残っていたが、無情にもツモ筋にいたのは一筒のみであった。

 

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勝又健志は「いくらマンズの場況が良くても八万切りのところでピンズを払っていくのは至難の技」と解説したが、山田本人はそれが出来たのではないか?と思っていたに違いない。

この局の加点のチャンスを逃してしまった事が尾を引いたのか1・2回戦まさかの連続ラスと山田にとって厳しいスタートとなってしまった。

3回戦東3局
1回戦の東1局以来和了りが出ない山田に久しぶりのチャンス手が。

 

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タンピン三色が見える手牌であるが、ドラが七筒なので悩みどころだ。
三筒が一番手広い事は百も承知だが、山田の選択は打九筒
ここまで和了りが遠のくとまずは和了りを、その為にはテンパイを、となってしまいそうだが、そうならない所が山田の強さである。
ここまで言ったからにはタンピン三色が決まったと思われそうであるが、次巡のツモは八筒・・・
裏目の中の裏目である。

 

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裏目を引いたものの、その後は柴田の仕掛けに丁寧に対応しつつの1人テンパイ。
1・2回戦は1度の選択ミスで他家に和了りが生まれていたが、潮目が変わったように見えた。

次局親番を迎えると7巡目にダブ東ポンテンの一筒四筒七筒待ちテンパイ。

 

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これが柴田から打ち出され2,900、実に25局振りの和了りとなった。

その後は拮抗した展開で迎えた南3局。
親のダンプの先制リーチを受けたもののチンイツテンパイ。

 

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現物待ちとなっていたところに一向聴の柴田が飛び込み12,000の大きな和了り。
この和了りが決定打となり3回戦は待望の初トップとなる。

このまま勢いに乗りたい山田であったが4回戦は沈み、そして5回戦東4局、ダンプ無双の親番が始まる。
ダンプは29,000点持ちで親番を迎えたが、9本場開始時には78,800点持ちと実に5万点近くの加点に成功した。
そんな嵐の中を山田は僅か5,900点の失点で抑え、更には

 

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この和了りで何と原点復帰。
そして、迎えた親番で2万点を加点し大きな2着となった。

連荘中の親に対して無理に向かわず、戦える時にしっかりと手を組むという山田の経験値の高さを伺い知る半荘であった。

5回戦の浮きでトータルポイントが初めてプラスになり、6回戦も更に得点を伸ばす。
しかし7回戦では痛恨の4着、迎えた最終8回戦、ダンプとの差は丁度60ポイント。
トップラスで4万点差と公式ルールではかなり厳しいポイントである。ダンプ優勝の雰囲気が漂う中、山田が優勝への執念を見せる。

東1局1本場、13巡目山田の手牌。

 

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四暗刻への渡りを見るならば打二索、6,000オール狙いならば打三索のリーチ。
しかし山田はダンプの4巡目に捨てられたドラの二索、そしてその後の手出し六万四万を見て安全度も考慮した打五索のリーチとする。
自身の手に溺れずに冷静な判断を下した山田の元には四索が舞い降りた。

 

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反撃の狼煙には十分の4,000オール。

1,500の和了りで繋いだ3本場、タンヤオドラ2のテンパイ。
柴田のリーチを受けるものの、押し切って3,900オール。

 

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4本場はきっちり高目をツモって2,000オール。

 

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何と東1局でトータルポイントでダンプを交わして山田が首位に立った。
親番が流れた後、山田は点数を減らすもののトータルトップ目でオーラスを迎える。
山田が和了るか、ダンプがノーテンならば山田の優勝である。

 

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形は悪いが二向聴である。形が悪いと言ってもライバルのダンプの配牌に比べたら十分だろう。
しかし、「麻雀は配牌よりもツモ次第」と小島先生が言っていた通り、先制テンパイはダンプ。

 

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山田も次巡の無筋でオリを選択。流局で勝負は次局に持ち越しとなる。

オーラス1本場

 

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白が鳴けるか暗刻になればのまずまずな配牌。だが、ダンプの配牌が速度・打点共に上回っていた。

 

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しかし「配牌よりもツモ次第」という麻雀あるあるがここでも当てはまり、4巡目でダンプは全てツモ切り、山田は両面2つの一向聴となった。
山田は役無しテンパイならばリーチと行くだろうし、ダンプは降りられない。
山田の優勝も秒読みかと思われたがダンプのツモが突然効き始める。

 

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7巡目にダンプが先制リーチ。
山田も無筋を切り飛ばし全面対決だ。
ダンプはカン五索なだけに長引くかと思われたが、意外にもあっさり勝負が付いた。

 

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大きすぎる3,900オール。
3本場、倍満ツモ・ハネ満直撃条件となった山田に逆転する力は残されていなかった。

あとひとつだけ、一牌だけ、どこかで引く事が出来れば山田の優勝であった。
今から十数年前、シルバーコレクターと言われ数多のタイトル戦決勝に進出するも優勝が出来ないともたけ雅晴が初めてのタイトル、鳳凰位を獲得した。
優勝が決定した瞬間に呟いた「やっと勝てた」と言う一言が未だに私の脳裏に焼き付いている。
その場にいた観戦者は皆、目頭が熱くなったであろう。

誰もが「山田はそのうちタイトルを取るだろう」と口を揃えて言う。
山田にもその時が来るだろうか?期待に応えてくれるだろうか?
きっと近い将来その時が訪れると私は信じている。

第9期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 第2章:藤崎智【復活の狼煙】 古橋 崇志

 

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言わずと知れたプロ連盟の看板選手。
これまで獲得したタイトルは大小合わせれば10は超えるであろう。
ただ半年前、病気による休場で35期A1リーグではまさかの残留争い。
十段位決定戦では内川幸太郎に3連覇を阻まれた。
最終的にはA1残留を決めたものの苦しい1年であった事に違いないが、
その中での決勝進出は流石の一言だ。
グランプリに関しては2005年、第1回の優勝者であり、今回で6度目の決勝進出。
相性の良さ、実績を加味したら藤崎が本命と言って間違いないだろう。
このグランプリを獲得し、完全復活の狼煙を上げる事ができるか。

1回戦、非常に均衡した展開でオーラスを迎えた藤崎。
親の山田の先制リーチを受け、宣言牌の五筒をチー。

 

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無スジの二索を勝負し、その後も二万一筒八万と打ち出す。
山田の待ちをある程度読み切っていたのか、若しくは藤崎の経験から押し切った方が良いと判断したのか。
守備の達人がここまで押し切れば和了りは約束されたようなものである。

 

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藤崎が初戦トップと幸先の良いスタートを切る。

2回戦、このままポイントを伸ばしたい藤崎であったが東場は柴田に風が吹き、耐える展開に。
そして東4局、柴田・山田の仕掛けに挟まれた藤崎が以下の手牌。

 

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二万切りの一択であるがこれがダンプのヤミテンに捕まる。

 

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苦しすぎる・・・麻雀にはよくある展開だが、藤崎ファンはたまったものではない。

南1局2本場、僅か5巡で親のダンプからリーチが。

 

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藤崎の手牌は二索ツモでテンパイ。テンパイと言っても単騎待ちの苦しい形だ。
安全牌は四筒しか無く、ここは無筋の九筒を勝負。
そして次巡のツモはドラの六索

 

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一索を切ってしまっているだけに、リーチが無ければ五索七索を払ってピンズにくっつきを求めていきたい手牌ではあるがここは現物の四筒、そしてワンチャンスの二筒と外していく構えである。
もちろん一索四索七索を引いてのテンパイが理想ではあるが、今の藤崎には楽な展開は訪れない。

 

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本来ならば一番嬉しいドラ表示牌の五索。だがこの局面ではフリテンとなる五索である。
「藤崎であれば七筒を切ってのヤミテンに構えるだろう。」
私はそう思った。解説の勝又も、藤崎のファンもそうに違いない。

 

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しかし全世界の期待を裏切ったリーチ!
あの藤崎智が親リーチに向かってフリテンリーチを敢行するなど見たことがあるだろうか?
ダンプも三面張、そして一索四索七索は続々と他家に流れる圧倒的不利な状況ながら12枚目の和了り牌を引き寄せる。

 

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この勝負どころでの押しが藤崎にいくつものタイトルをもたらしている理由であろう。

勢いに乗る藤崎は南3局ではドラ暗刻のリーチをダンプから打ち取り何とこの半荘浮きに回った。

 

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3回戦も浮きで終わり首位に立った藤崎であったが、4回戦以降は非常に苦しい展開が続く。
4・5・6回戦と連続で沈み後がない中、最後の意地を見せる。

 

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確定ハネ満で3件目の追っかけリーチ。

 

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親であるにも拘わらずテンパイ外しの打八筒。四暗刻に向かう。

しかしいずれも和了りには至らなかった。
私はある対局後、藤崎から「ファンの人はどんな状況になっても応援してくれるのだから、最後まで諦めずに打ち切りなさい」と言われた事がある。
負け試合でも最後まで諦めない麻雀はファンの心、そして私達後輩の心にも強く印象に残ったに違いない。

本命と思われていた男はまさかの4着と完全復活とはならなかった。
今回のグランプリでは頂点に立つことは叶わなかったが、さらに円熟味を増したこの男の麻雀は、50代ながらプロ連盟のレジェンドと呼ばれている猛者と比べて何の遜色もない。
次の目標は十段位奪還であろうか。その先はもちろん鳳凰位と藤崎の戦いは続く。

女流プロ麻雀日本シリーズ2019 プ決勝レポート 中野 妙子

予選。プレーオフを経ていよいよ今期の女王が決まる日がやってきた。
流石に決勝慣れしている4名、対局前は和やかな雰囲気である。
茅森早香、朝倉ゆかり、西嶋千春、西嶋ゆかり
決勝に来るまでもすごいプレイが何度も出ていたこの女流日本シリーズ、決勝もいきなり1回戦から目が離せない面白い戦いとなった。

★1回戦(起家から、西嶋千春、西嶋ゆかり、茅森、朝倉)
決勝の東1局は西嶋ゆかりが茅森から5,200を出アガリスタート。
アガッた西嶋ゆかりは、次局の親でドラ東バックの仕掛けを入れてテンパイするが、生牌の南を持ってきて考える。下家の茅森の六万ポンを見て、西嶋ゆかりの選択は、オリ!
いきなり出た西嶋ゆかりのビタ止め。開局の親番でチャンス手だったが、西嶋ゆかりはしっかりとオリを選択した。

まず一歩抜け出したのは茅森。親番で満貫をアガリ4万点越え。
だがその後、序盤は手が入らずオリになっていた西嶋千春が、粘ってアガリをものにしてから、3連続のアガリで3度目は6,000オールで一気に茅森を捲りに5万点越えのトップ目に立つ。

西嶋千春は、南1局の自身の親が終わったら、他家の親を流す&テンパイをとるために積極的に仕掛けも入れてきて、さぼらない、粘りがすごい。

オーラスの親は4着目、13,000点持ちの朝倉。
西嶋ゆかりから先制リーチが入るが、朝倉は1シャンテンから最後まで押して、12,000を西嶋ゆかりから出アガる。
最後は西嶋千春が唇をキュッと一度引き締め、トップ目からリーチを打ち、朝倉の親を終わらせる。

決勝1回戦
1着 西嶋千春
2着 茅森
3着 朝倉
4着 西嶋ゆかり

★決勝2回戦(起家から、西嶋ゆかり、朝倉、西嶋千春、茅森)

西嶋ゆかり▲33.9P 朝倉▲17.3P 西嶋千春+38.3P 茅森+12.9P

東1局、親の西嶋ゆかりのビタ止めからまた始まる。
1回戦に4着だった西嶋ゆかり、大事な親番に茅森からのリーチが入りギリギリまで押していきテンパイ入るが、アタリ牌を持ってきたらまたビタ止め。なぜこんなにビタ止めができるのだろうか?!西嶋ゆかりオリジナルを魅せてゆく。

連荘もなく東4局まできたと思ったら、親の茅森が4,000オール。
持ち点が46,100点と、1人抜けたトップに立つ。
他3者は2万点台で南場に入る。

西嶋千春が8,000をアガリ、茅森に少し近づいたかと思ったら、今度は茅森が2,000・4,000のツモアガリとまた突き放す。茅森の選択には、解説の2人も思わず天才!という声が上がる。

 

100

 

茅森は前に出てきたら必ず仕留めてモノにするというイメージ!

茅森はオーラスの親でもしっかりツモアガリ加点する。
最後は3着目の西嶋ゆかりが先制リーチでアガリ、2着に浮上する。
茅森は大きなトップとなり、朝倉は苦しい半荘となった。

決勝2回戦
1着 茅森
2着 西嶋ゆかり
3着 西嶋千春
4着 朝倉

★決勝3回戦(起家から西嶋ゆかり、茅森、西嶋千春、朝倉)

茅森+55.6P、西嶋千春+32.3P、西嶋ゆかり▲29.8P、朝倉▲58.1P

西嶋ゆかりと朝倉はここでなんとかトップが欲しい。
東1局、親の西嶋ゆかりから先制リーチがはいるが、西嶋千春が追いかけリーチ。しかも待ちはさっき通ったばかりの六索
さっき通った牌だが、勝負手は勝負手できっちりぶつけていく西嶋千春。予選から好成績を残している西嶋千春は、勝負に行く時のメリハリの良さと腹のくくり方がすごい!
高めの六索を親からしっかり出アガる!

 

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東3局に手がぶつかる。
まずは西嶋ゆかりが二筒五筒待ちで先制リーチ。

 

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ここに親の西嶋千春がドラ3の手で追いかけリーチ!待ちはカン二筒

 

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茅森がヤミテンで二筒待ちの七対子をテンパイ。

 

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3人テンパイで流局。
1人ノーテンの朝倉はまた苦しいかと思われたが、次局、西嶋千春からしっかり満貫を打ち取る。

これでトップ目は朝倉。東4局の親番で連荘する。
が、西嶋ゆかりも黙ってはいない。
七対子のドラ待ちのリーチを打ち、しっかりドラをツモリ3,000・6,000。
チャンスをつなげる。

オーラスは茅森がアガるものの、着順はトータルポイントと真逆となった。
流石に決勝に残っているこのメンバー、最後まで誰が優勝するかわからない、何かが起こるかもしれないという期待感をますます持たせてくれる3回戦となった。

決勝3回戦
1着 朝倉
2着 西嶋ゆかり
3着 西嶋千春
4着 茅森

★決勝 4回戦 (起家から、西嶋千春、西嶋ゆかり、朝倉、茅森)

連盟の規定により、最終戦は着順上位から北家、起家、南家、西家スタートという席順。
暫定着順は、①茅森+33.4P、②西嶋千春+26.2P、西嶋ゆかり▲25.2P、朝倉▲34.4P

気合の入った立会人、ともたけプロの合図でいよいよ最終戦がスタートした。
茅森と西嶋千春は着順勝負。西嶋ゆかりも朝倉も大きなトップをとれば優勝がある。

まずは朝倉が先制リーチでツモアガッた次局、3人の手がぶつかる。

親の西嶋ゆかりがタンピン系。
朝倉がピンズのホンイツ。
茅森がソウズのホンイツ。

まずはテンパイしたのは茅森。一索二索三索待ちにする。

 

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親の西嶋ゆかりが仕掛けてドラの九索を勝負し、三筒六筒待ちのテンパイ。

茅森は六索を持ってきて、六索九索に待ちを変えられるが、九索はさっき親に切られたばかり。
一索二索三索待ちを続行。
茅森はハイテイで九索を持ってきてしまった。

 

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これを決めれば決定打になるアガリとも言えたかもしれないと考えると、茅森にとって嫌な感じがするか?茅森自身はどう考えただろうか?

東3局、親の朝倉が西嶋ゆかりから打ち取り加点する。今まで大逆転も見せてきた朝倉、一気に来るか?とも思わせたが、連荘を止めたのは茅森。そして茅森の親番。

南家の西嶋千春は積極的に鳴いていき、茅森の親は落とす!という構えを見せる。
だが、茅森はすぐドラ八筒単騎で七対子のヤミテンを入れる。そして、1枚切れの東を持ってきたらこれに待ちを変え、リーチ。トップ目の朝倉から東が打たれ、裏が乗り12,000のアガリとなる。

もう茅森に決まりか?という雰囲気が少し流れたその矢先、西嶋ゆかりがリーチして一発ツモで2,000・4,000のアガリ。そしていよいよ南入する。

西嶋千春は絶対落とせない親。この親を今度は茅森が仕掛けて落としにきてテンパイ。
これは西嶋千春絶対絶命か!と思われたが、リーチまでたどり着き茅森をおろすことに成功、2,000オールをツモる。

次局は先制リーチを打つことができた西嶋千春だが、朝倉も黙ってはいない、ここは押して来て追いかけリーチを打つ。
西嶋千春の8,000の放銃となった。

これで苦しくなった西嶋千春だが、次局は積極的に仕掛けていく。絶対なんとかするぞ!という気持ちがこちらにも伝わってくる。

西嶋ゆかりの親番は、ドラを切って勝負した茅森がかわした。

そして朝倉の親番。ここは西嶋千春が満貫のツモ!

これでオーラスを迎える。親は茅森。
西嶋の条件は1,300・2,600ツモ、3,900直撃、満貫出アガリ。
朝倉、西嶋ゆかりはダブル役満条件。

 

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茅森の手牌がいい。
これなら1回アガリに行くかと思われる手牌。

西嶋千春はここで長考。条件を満たすために何を切るかじっくり考え、選択はドラの九筒
見事九索を引き入れ、西嶋千春の選択はリーチ!

 

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五索は山にはないので、南であがれば優勝。まだ南は1枚残っている。

 

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茅森もテンパイしたが、もう西は打たずに選択は、オリ。
そして西嶋千春の1人テンパイで流局。

優勝は茅森早香!

優勝は1人だけだが、選手それぞれの個性と、それを活かした見せ場があり盛り上がった。
予選から全員を応援したくなるような、本当に誰が優勝してもおかしくない、まさにこれが女流日本一を決める戦いという、目の離せない大会だった。

今期も盛り上がりを見せた日本シリーズ、次回はどんな戦いが見られるのだろうか…

 

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2019年女流プロ麻雀日本シリーズ
優勝 茅森早香
2位 西嶋千春
3位 朝倉ゆかり
4位 西嶋ゆかり

「~A1リーグまでの道程~」 吉田 直

夢にまで見た鳳凰の部屋に遂に入る事が出来た。オートロックを解除し入ってみると、自分には全く相応しくないほどの景色と爽快感。旅行に来て高級ホテルに泊まった気分だ。
しかし数時間経つと、なんでこの部屋の鍵を持っているのだろう?本当にここに居ていいのかと疑問だらけになって来る。これが鳳凰位を獲った後の重圧なのだろうか?
ただ、この部屋にはまだまだ鍵がかかった部屋があり、今はまだその部屋からの景色は見られないみたいだ。
是非他の部屋も見たいものだ。

未だに自分でも信じられないA1昇級1年目での鳳凰位という快挙。しかし、ここに来るまでにはいくつもの壮絶な戦いがあった。

A1に上がる為には、当然A2リーグ(16人中2名昇級)を勝ち上がらなければならないのだが、連盟チャンネルをご覧の皆さんだったらわかるだろう。いかにA2リーグのレベルが高いか。
よくA1リーグだけは別格、レベルが違うなど耳にする。

確かにA1は独特の空気感や圧力があり、ビタ止めからのアガリや視聴者の方々を魅了するようなスーパープレーが数多くある。
しかし、近年A2も実力者が多数増え、このリーグを突破するのが相当困難。

B1から2年でA2に戻ったが、嬉しい反面厳しい戦いが続くことは安易に予想出来た。

1年目は最終節、上から2番目(5位〜8位)の卓で、最終戦までにポイントを伸ばし次もトップを取れば最終卓(1位〜4位)の上位陣にプレッシャーをかけられる所まで行くが、結果浮く事も出来ず4位。
2年目は、最終卓での直接対決で4位スタートだが、2位の和久津まで55Pなので現実的な差である。 しかしこの年は内川、和久津の上位2人に全く隙がなく完敗。結果5位。
それでもA2に戻って来て、自分が想像していたよりもこのリーグで戦っていけるという自信になった2年だった。

ところが3年目は最高峰のA1リーグに手が届きそうで届かなかった焦りからなのかわからないが、4節が終わった時点で▲100Pで最下位。
普通は焦るのだろうが、麻雀に関してはポジティブなのでこの数字でもまだまだ昇級目指しますと強がっていた。笑

そのどこから来てるかわからない自信が、5節目の親の四暗刻単騎をアガってからいい方向に進み始め、最終節を迎えた時には3位まで浮上した。
これには流石の自分もビックリしたが、またこの最終卓で戦える喜びと試練を胸に噛み締めた。

そして一昨年の12月29日A2リーグ最終節を迎える。

1位紺野 +192.0P
2位荒 +151.1P
3位吉田 +147.6P
4位黒沢 +116.0P

2年連続最終卓での戦いとなったが、前年と違いこの年は1位紺野が若干抜け出していたものの、2位の荒との差は僅か3.5P、4位黒沢との差も30Pぐらいとほとんど差がなく、紺野が沈んでくれば混戦になりそうで、そうでなければ1/3の戦いとなり、前年よりは可能性があると思っていた。

2回戦終了時
1位紺野+ 215.9P
2位吉田+ 173.3P
3位荒+111.7P
4位黒沢+ 105.8P

2回戦終了時には2位になり1位の紺野には40Pほど差をつけられたが3位荒、4位黒沢に60P以上差をつけた。
連盟の公式ルールでこの差はとても大きく、1位の紺野が自然な手組みはしても無理はしてこない事を考えると、後は焦らず局を消化していけばA1という夢のステージに行けると思っていた。
しかし麻雀の神様というのはいい所で出て来ては人に試練を与えて行く。こちらが求めてない時にも出てくるのはどうかと思うのだが•••

3回戦東3局

親黒沢 ドラ五筒

黒沢
一索二索三索三索四索四索五索五索東東北北中  ツモ二索

11巡目に一索を切って1枚切れの中単騎でリーチに来る。それを受けて南家の自分は

五万五万五万二索四索六筒六筒七筒八筒八筒東西西  ツモ三索

東を切ればイーペーコーのテンパイだが、黒沢の捨て牌に字牌が1枚も切られていなくて、七対子もホンイツもある捨て牌。
普通の人なら東待ちならヤミテンを選択して来るのではないか(このポイントの状況下においては普通の人でもリーチの選択はあるかも)と思うが、黒沢なら平気でリーチを打ってくるという脅威が脳裏をよぎる。
そしてベタオリを余儀なくされ、終盤黒沢は当然のように中をツモり上げ6,000オール。次局は早々に4,100オールと2局であっという間に差が縮まった。この半荘ラスを引き、最終戦を迎えて以下のポイント状況。

1位紺野+ 204.7P
2位吉田+ 152.5P
3位黒沢+129.1P
4位荒+ 120.4P

23.4P差は自分が浮いてれば大体大丈夫なので、最終戦は是が非でも浮きをキープしなければならない。
ところが東1局の3巡目に北を切ると紺野から「ロン」の声!

役牌、ホンイツの北単騎8,000に放銃。
何もこんな大事な所で交通事故にあわなくてもいいじゃん、と心の中で思ったのだが、この2ヶ月後に、もっと大変な本当の事故(右足を脱臼骨折)にあうとは知る由もなかった(汗)

この放銃でほぼ並びになったが、これまで色々な場面を経験したおかげか焦りはなく、どこか吹っ切れとにかく少しずつ返して30,000点を目指そうと思っていた。
そして30,700点で迎えたオーラス。親黒沢5本場 持ち点は34,700点。 2,000オールでも瞬間捲られる点差だ。

自分はアガればいいので、北家だが1枚目から積極的に役牌を仕掛けてアガリを目指しに行くも、先に面前でテンパイを入れていた紺野に3,900は5,400を放銃。
終わって見れば6.0P差という接戦で辛くも昇級を決めた。
終わった瞬間は、なんか紺野さんに助けられたなぁと思っていて昇級の実感は無かったのだが、紺野さんと握手をした瞬間、グッと握られたその手は普段よりも暖かく「俺たちはやったんだよ」っと言われてる気がしていつものように泣いてしまった。(笑)

どうやら誰かに「良くやったな」とか「おめでとう」など言われたり、今までの苦しい戦いの事などを思い返したりすると涙腺が崩壊するみたいです。
もちろんみんなが泣くような映画は当然泣きますが「えっこれで」というような映画でも色々な心情を考えたりすると泣いたりします。(汗)

内緒ですが紺野さんは自分が泣くと必ず貰い泣きしてくれる心優しい人です。(嬉)
A2ではこんな熱い戦いを経て念願のA1の扉を開けました。

今回の鳳凰の部屋はこの辺りでお別れです。
最後に拙い文章ですが1年間お付き合い下さい。

第194回:プロ雀士インタビュー 吉田 直  インタビュアー:和久津 晶

鳳凰位になるなんて夢のまた夢。

果てしなく長い道程、ひとつひとつ階段をのぼり転んではまた立ち上がり、遠くて見えすらしないゴールに向かってまた階段をのぼり続ける。そんな日々の繰り返し、ルーティンを私達は苦しくも楽しくも思いながら過ごしている。最後に待っているのは一体何なのか。

これから書く人物は、迷いながら行ったり来たり、離れたり諦めたりまたやっぱり思い直して

「俺はおまえが好きだー!」

と夕陽に叫び、泣き、朝陽の美しさにまた涙する。そんな男の物語である。

申し遅れましたわたくしもその壮大な夢を追う夢見がちな少女A、和久津晶と申します。
この度インタビュアーを務めさせていただきました。
少々、いやかなり拙い文章になりますが頑張ったので最後までお付き合い頂けたら幸せです。

吉田直。タダシと読みます。23期生。六段。1977年2月18日生まれ。水瓶座。O型。新潟県出身。

16期に1度プロ試験を受け合格、半年で退会、23期にもう一度プロになりD2リーグからのスタート。
ほぼストレートで昇級を続け、4年後にはA2リーグに。すぐに降級し今度は2年かけてA2に出戻り。
3年かかってやっとの思いで念願のA1へ。
そして鳳凰位。

和久津「あれ、最後だけめっちゃ短縮してない?」

吉田 「そうなの。紆余曲折あったんだけどね。」

和久津「泣いてたねー」

吉田 「まあ決定戦残った時にすでに泣いてたからねー笑」

 

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直さん(ちょくさんと呼んでます)の優勝が決まった瞬間に、他団体の麻雀プロの友達からラインが飛んできた(まさに飛んで)。

「みんなでサプライズ祝勝会しませんか?」

日程は3週間くらい先で、忙しいみんなでも集まれる様にと配慮されていた。愛されてんな。
かれこれ何十人という麻雀プロが集まったのではなかろうか、団体も年齢も性別も、お目にかかった事の無い人もいっぱい来ていて

(どんだけ顔広いんだよ、、、)

とちょっと笑った。

誕生日祝いも兼ねていたので

 

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そしてみんなで買ったネクタイを渡すと

 

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大事に大事に包装紙を開け何度も写真を撮り、また元に戻そうと必死に包装していた。
この日私が確認出来ただけで7回は泣いたと思う。
泣きキャラ。素直で、明るくて、ハマってしまうと何も見えないかのごとく突き進む。愚直。
スネークツモに至っては、師と崇める瀬戸熊プロのアドバイスにも関わらず夢中になるとつい出てしまう。
かわいいか。

和久津「インタビューだから趣味とか聞くよ!麻雀の話は観戦記にいっぱいあるし」

吉田 「そうだね。えっと趣味は、、、みんなといる事!」

和久津「なんそれ、、、」

吉田 「カラオケでもご飯でも、とにかく仲間?友達?先輩後輩と一緒にいる事が趣味かな!」

和久津「ええっと、特技は?」

吉田 「計算!」

和久津「あれ、理数系だっけか」

吉田 「理科とか全然無理!数学も別に。公文やってたから計算は得意なんだよねー!」

和久津「部活は?子供の頃の夢とか」

吉田 「サッカーとバスケと卓球と、、。あ!卓球で全国大会行ったことあるよ!クラブチームにも入ってたし。」

浮気性かよ、、、。

吉田 「ハマるとそればっかやるから。高校の時は生徒会役員とかやってた!」

髪型、普通だったんだ、、、。

吉田 「子供の頃の夢はねー、先生!あと警察官とか!体育教師になりたかったんだー。」

暑苦しいのは昔からか、、、。

和久津「あれ?麻雀はいつから?」

吉田 「18才かな。当然ハマって、雀荘で働いたりもした。会社員やったり、またメンバーやったり、繰り返してた」

和久津「1回めっちゃ痩せたよね?」

吉田 「A2に戻った時に、麻雀の仕事は辞めて配送業やったら痩せた!麻雀も調子良かったし!」

和久津「で骨折してリバウンドしたのね」

吉田 「うん。笑。でも1年間こころおきなくA1に専念する事が出来て、それで!」

まさに生けるポジティブ。

吉田 「リーグ戦の前は巣鴨道場で公式ルールを打つ、前原さんオススメのカレーを食べる、瀬戸熊さんオススメの肉を食べ、、」

和久津「もういいわ」

吉田 「決定戦の前にカレーパン食べたら勝ったのね。それから必ずカレーパン持ってく」

クサいわ!

吉田 「荒さんに試合前は食べない方が良いんだよ、と言われて、慌ててカレーパンのジンクスを説明したんだよね!」

、、、。

麻雀について聞いてみた。

吉田 「麻雀はいつも通り!」

おい。

吉田 「でもちゃんと休憩の時に歯みがきしたり顔洗ったりしたよ!瀬戸熊さんが、、、」

まだまだ続くので端折っても良いでしょうか。

 

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人柄はこんな感じです。語尾にびっくりマークが必ずついてしまうのは、彼がしょうがくせ、、いや少年の様に目をキラキラとさせながら、お母さんに話しているかの様にドヤドヤしているからで、、、。

では麻雀プロとしての吉田直を。

和久津「これからの直さんはどうなっていくの?」

吉田 「目指すのは瀬戸熊さん!」

和久津「あーね。って答えになってないわ」

吉田 「現役最強、かな。一発屋で終わりたくない。とりあえず連盟タイトル特にG1は全制覇したい!」

和久津「それなー!かっこいいじゃない」

吉田 「60代になってもタイトル取れるとかスゴいよね!俺も生涯現役でずっと麻雀してたい!」

和久津「麻雀道は棘の道やぞ(by藤島)」

サラッと言ったなー。なかなかに言える事では無いと思う。
負けたらどうなる?骨折じゃなく病気になったら?
麻雀は面前手役攻撃型(自称)。誰もがスピード型になって追いつかなくなったら?
若手イケメンが大量に入って来て肩身が狭くなったら?

吉田 「講師とかは向いて無いと思う。人に教えるのって苦手かも」

実際こう見えて彼は緊張しいだし、気が優し過ぎて、、無理かも、、、
そうなると将来の不安、って私が考える事じゃ無いか。でも私が考えてる事でもあるし。
でもそこは生けるポジティブ神として、なんとか乗り切っちゃうんだろうな。

これからの直さん、は、これからの麻雀の勝ち負けでどんなモノにもなっていく。
怖いけど、わくわくする。
そんな毎日を 「みんな」 と一緒に過ごす事が夢、私は解釈してみる。

吉田 「でも子供は欲しいかな!大好きなんだ!いつかパパになりたいなー!」

和久津「そこは普通かよ」

超念の為。タイプの女性は「笑顔が可愛くて優しい人」。独身です。

上の写真の撮影者は笑顔の可愛いこの女性

 

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麻雀プロには、麻雀が好きで強い人と打ちたい、麻雀タレントとしてスポットライトを浴びたい、などライフスタイルや性格、事情、色々な人がいると思う。みんな麻雀が好きな事に変わりは無い。

生涯現役を宣言する選手の覚悟とはいかなるものか。自らを信じ、愛し、戦い続ける人生を選び、最後には何が待っているのか。

吉田直を見ていたい。近くで。同じ険しく荒れた道を転がりながら、傷だらけになって一緒に笑い合いたい。このインタビューをいつか直さんにしてもらえる日が来るのか。来ないのか。

「己の名誉、その栄光伊達じゃねぇよ 投げ出すならば最後Only god can judge me!」

きっついけど行こう。最後に素直に一言言うわ。

直さん、おまえすげぇーーーーーんだ!!!

全然、物語ではなかったかな。
終わりまで読んでいただき、ありがとうございました!

第143回『勝負の感性⑬~クールに打つ~』 荒 正義

第5期麻雀グランプリの決勝戦は、初日は瀬戸熊が好調で、プラスが50Pを超えた。
私は沈みである。この時点で、瀬戸熊が優勝する確率は70%だ。吾妻と藤崎と私は、優勝は10%あるかどうかだ。しかし、勝負にあきらめは禁物。激しく動いた運も、一夜明ければ風向きが変わりこちらに戻ってくることがある。
打ち手は、好調でも不調でも冷静に状況を分析し、クールに対処することが大事だ。
案の定だ。2日目の第5戦は、私がトップで瀬戸熊がラス。第6戦は私がトップで、瀬戸熊が3着。このとき、私は大三元を決めて1人浮きのトップを取ったから、瀬戸熊との立場が逆転。優勝の確率は、私が70%を握った。他の3人が10%となったのである。

そして、第7戦。東1局に、親の瀬戸熊のリーチが飛んで来た。

中二索 上向き二索 上向き三万 上向き一筒 上向き一索 上向き
三筒 上向き六万 左向き

このとき、私の手はこうだった。

一万二万三万四万五万五万七万二索南南北白中  ツモ二万

もちろん、私はオリである。この手がいくら進もうと、親には向かう気なしである。残り2戦だ。現状は圧倒的有利な立場だから、自ら危険を冒す必要はない。
ところが流局と思った矢先、瀬戸熊が最終ツモでパチンと引いて、これだった!

七万八万九万四索五索七索八索九索四筒四筒七筒八筒九筒  ツモ三索

三色で、4,000点オールだ。
(やるもンだな…)と私は思った。ここまでは、余裕で笑っていられたのである。

1本場。ドラ三筒
今度は9巡目に、吾妻のリーチがかかる。

一万 上向き二万 上向き西八万 上向き五万 上向き二筒 上向き
白六筒 上向き二筒 左向き

ここでも、私は向かわない。打点があって好形のテンパイでない限り、オリである。ツモでもロンでも、吾妻のアガリは私に味方するのだ。その分、瀬戸熊の追い込みが厳しくなるからである。これも、場合の正しい状況判断。しかし14巡目、瀬戸熊の追いかけリーチが飛んで来た。

南北九索 上向き八索 上向き三万 上向き九筒 上向き
四筒 上向き発一筒 上向き八万 上向き七索 上向き三万 上向き
一筒 上向き七筒 左向き

このリーチに八筒で、打ち上げたのが吾妻だった。瀬戸熊の手は、ドラの三筒が雀頭でこうだ。

五万六万七万一索二索三索三索四索五索三筒三筒六筒七筒

リーチ棒付きで、12,900点のアガリ。決めるときに決めて結果を出す。これが、瀬戸熊の強さだ。一方、吾妻の手はこうだった。

四万五万六万四索五索六索六索七索八索三筒五筒五筒五筒

これで、こっちの尻に火が点いた。しかし、焦ってはならない。
焦ると一打の失投が、取り返しのつかない致命傷になるのだ。

それは、我が家の食卓の光景に同じ。
そのときのおかずは、マグロの刺身。すると真っ先に飛んでくるのが、茶トラ猫の「リュウ」である。行儀よく前足をそろえ、姿勢を正す。私と目が合うと小首を傾げ、つぶらな瞳でじっと見るのだ。いつもこれに、やられるのだ。
しかし、塩分は猫の大敵である。あげたいのは山々だが、あげるとカミさんに叱られる。
マグロが3切れになる。するとリュウの手が風を切り、私の顔前でブンと鳴る。
「俺を忘れるな!」
と、云っているのだ。
とうとう、マグロが最後の1切れになる。もう、我慢が利かない。素早く前足の爪で最後のマグロをひっかけ、リュウが向こうに飛んで行った。これがリュウの状況判断の甘さである。これはカミさんが居る前では、絶対にしてはいけない行為だ。
以来、この日から魚の干物とマグロは、我が家の食卓から消えたのだ。冷蔵庫にマグロがあれば、私が夜中にこっそりあげることも出来た。リュウはたった一度の焦りで、「魚」というタイトルを永遠に失ったのだ。

この半荘は瀬戸熊に譲り、自分の失点を少しでも防ぐこと。これが、このときの私の状況判断だ。しかし、この半荘は大いに荒れた。この後、紅一点の吾妻が盛り返し、断トツの瀬戸熊を抜いてトップに躍り出たのだ。そして、この半荘の結末はこうだ。

吾妻 +18,1P
瀬戸熊+11,3P
藤崎 ▲4,8P
荒  ▲24,6P
そして、総合成績がこれである。
荒   瀬戸熊  吾妻  藤崎
+21,5P +11,0P +6,6P ▲39,1P

次が最終戦。泣いても笑っても、あと半荘1回ですべてが決まるのだ。ここでも、クールな状況判断が必要である。
追い込まれてはいるが、焦りは禁物。瀬戸熊と私の差は10,5Pだ。おそらく着順勝負だ。瀬戸熊がトップで私が浮きの2着なら、点差は6,5Pまでの余裕がある。しかし、私が沈みの3着で瀬戸熊が浮きの2着なら、ほぼ逆転。順位点が▲4Pと+4Pで、8Pの差がつく。したがって瀬戸熊は私より2,600点、上ならいいのだ。
しかし吾妻は、上位2人を抜くためにはトップが条件だ。人気者の藤崎は、残念ながら圏外である。この条件をしっかり頭に叩き込み、私は次に臨んだ。

東1局。ドラ二筒
出親は瀬戸熊で、順に吾妻、藤崎、私の並び。早くも勝負の場面だ。最初に仕掛けたのは吾妻。二役鳴いて、河がこれ。

牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背  ポン東東東  ポン発発発発

一索 上向き九索 上向き九万 上向き八索 上向き二万 上向き四索 上向き
一万 上向き九索 上向き四万 上向き九筒 上向き

吾妻は前回、瀬戸熊に12,900点を打ちながらそれを逆転したから勢いがある。満貫以上の仕掛けに見える。本命はピンズの染め手。次がトイトイ。いや、その両方の役が重った跳満かも知れない。ドラが二筒なのも不気味だ。あの手をアガリされてはいけない。しかし、吾妻のツモの指先に力が入っていないから、まだテンパイではない、と私は踏んだ。

同巡、私の手がこうなった。

七万七万七万二索二索三索六索六索七筒七筒白白中  ツモ二索

私は、三索を切った。中を先に切りたいのは山々だったが、吾妻に鳴かれるのが嫌だった。次に、上家の藤崎から六索が出た。この場面で、四暗刻の役満など無意味だ。今、大事なのは吾妻のアガリを止めることである。なので、ポンで中切り。吾妻の伏せられた、7枚の手の内はこうだった。

四筒六筒北北白中中  ポン東東東  ポン発発発

吾妻も、中ポンで白切り。これが、私のロン牌になった。

七万七万七万二索二索二索七筒七筒白白  ポン六索 左向き六索 上向き六索 上向き

先に五筒を入れられたら、逆に中は吾妻のロン牌だった。これが、牌のあとさきである。微妙な勝負のアヤだった。私は、まず第一関門突破である。後は、この浮きを守りきればいいのだ。この後は、流局が続き小場で流れた。

南1局2本場。ドラ三万
卓上には、リーチ棒が2本ある。親の瀬戸熊は、28,000点持ちだからなんとしてもアガリを取りたい場面だ。ここに10巡目、藤崎からリーチがかかる。

一索 上向き九筒 上向き九筒 上向き南一万 上向き発
西北白三筒 左向き

このとき、私の手はこうだ。

五万七万八万八万四索五索六索三筒五筒五筒  チー四索 左向き三索 上向き五索 上向き  ツモ一筒

私の持ち点は34,200点。1,000点減ったが、向かう場面ではない。三筒四索はリーチの現物で、完全撤退だ。ここでもクールな読みが必要。
圏外の藤崎は、意味のないリーチなどするはずがない。なぜなら彼は、負けても勝負に美学を求めるからである。ガラリーなど絶対にありえない。ならばこの場面、高くて待ちが良いはずだ。17巡目、吾妻が二万を打つと藤崎の手牌が開いた。

三万四万四万五万六万六索七索八索四筒四筒四筒五筒六筒

7,700点だ。打った吾妻の手も、この手だからしょうがない。

二索二索二索八索八索九索九索中中中  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き

吾妻も、藤崎の手は予想できたはずだ。しかし、吾妻はトップが条件。
向かうからには、各々に立場と事情があるのだ。この半荘は親の役満以外、藤崎の和了はすべて私に味方する。私は藤崎に、放銃さえしなければいいのだ。

南4局。ドラ四筒
私の持ち点は31,600で、瀬戸熊は29,300点。その差は2,300点。しかし、始まりの時点で10,500点の差があるから、合計で12,800点の差となる。
瀬戸熊の条件は1,000・2,000点のツモか、3,900点の私からの直撃だ。
私は、1人ノーテンでもOKだ。しかし瀬戸熊がこの条件なら、私はアガリに向かう必要がある。配牌はこれだった。

一万三万四万七万九万九万九万四索七索一筒三筒六筒東白

この時点で、ホンイツとドラの四筒引きを見て、私は四索を切った。
ところがこの後、ツモが意外に伸びて9巡目でこうだ。

一万二万三万四万五万七万八万八万八万九万九万九万白

瀬戸熊の河はこうだ。

北白七筒 上向き二万 上向き中九索 上向き
一万 上向き一筒 上向き九筒 上向き

まだ動きも、テンパイの気配もなしである。すると10巡目の私のツモが、三万だった。

一万二万三万三万四万五万七万八万八万八万九万九万九万

待ちは六万七万八万九万
11巡目、西を鳴いた瀬戸熊から六万が出た。瀬戸熊の手は、こうだった。

四万一索二索四索四索五索六索七索発発  ポン西西西

これで終了。次の1本場は、ノーテンで流せばいいのだ。
勝負に焦りは禁物。状況を把握し、沈着冷静に対応しクールに打つことが肝心である。

小島武夫記念碑建立プロジェクト

麻雀新選組や日本プロ麻雀連盟での活動、多くのメディアでの活躍をはじめ『魅せる麻雀』と豪快な人柄で日本中にファンを作り愛好家を多く生み出してきた 麻雀プロ第一号小島武夫氏が平成30年5月28日にお亡くなりになりました。

小島武夫プロは多くの業界団体やファンから愛されている偉大な麻雀士です。
日本中に小島プロを慕うファンがいます。
誰からも愛された小島武夫氏を皆で想い象徴となる場所を作ることが必要だと日本プロ麻雀連盟を始めとする実行委員会は考え、お塚を作ることを決めました。

麻雀新選組時代より兄弟のような関係であった阿佐田哲也さんの碑が伏見稲荷山に建立されています。
そのそばに小島武夫先生の碑を建立したいと思います。

 

クラウドファンディング

小島武夫氏の碑を建立するにあたり、出来るだけ多くの一般の方々へ周知し、応援をいただくことが最善と考え、 麻雀大会やイベントでの告知のほか、クラウドファンディングの利用も行います。

クラウドファンディングでの本プロジェクトはAll-in方式で実施します。
目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

詳細はこちらをご覧下さい。

第9期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 第1章:HIRO柴田【遠すぎる冠】 古橋 崇志

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「機は熟した」
11年前の第24期A2リーグで優勝し、A1所属となるとそこから3度の決定戦進出。この35期で4度目だ。

 

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第35期の鳳凰位決定戦での優勝者予想を見る限り、誰しも柴田が鳳凰位を取ると思っていた。
だが、結果は2位。またしても手が届かなかった鳳凰位。
決定戦の最中にはJPML WRCリーグの決勝戦にも進出しこちらは4位。
そしてこの麻雀グランプリMAXで2019年早くも3度目の決勝戦を迎える。
誰もが認める実力がありながら、優勝が遠い柴田。
初のタイトル獲得に向けて今期3度目の正直なるか。柴田の挑戦が始まる。

1回戦東2局、3巡目にドラの中を重ねて以下の形

 

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柴田はここから打七万
瞬間の効率よりも後の好形を目指した、まさに公式ルールのセオリーとも言える一打。
このように柴田の門前での手組みは至ってオーソドックスである。

 

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狙い通りソウズを伸ばし、六万九万でのリーチを山田から捕え5,200の和了り。
1回戦はこの和了りで得た浮きを守りきり2着と上々の滑り出しとなった。

2回戦は柴田の圧倒的な半荘となる。
まずは東1局1本場

 

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淀みないツモで6巡目リーチ、次巡あっさりとツモ2,000・4,000

次局も先制リーチを打つと追いかけリーチの藤崎から二索を打ち取り3,200

 

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決め手はオーラス
高目11,600を丁寧にヤミテンに構えるとこれもあっさりとツモ

 

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この和了りで5万点を超え、トータルでも頭一つ抜け出す。

3回戦、絶好調で迎えたこの半荘が柴田にとって苦しい半荘となってしまう。

まずは東1局、親番で残りツモ1回ながらも積極的にリーチ。

 

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この宣言牌の六万を藤崎がテンパイからチー。食い延ばしだ。
これは私の主観であるが、ヤミテンであったならば藤崎は鳴かなかったであろう。
鳴けば確かに待ちが広くなる。ただ、自身のツモ番を放棄して親に海底を回す行為を藤崎が好まないのは知っている。
しかし、この局面は藤崎智というトッププロが何かを感じ取ったのだ。

 

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海底牌は何と五万。柴田の積極策が藤崎によって打ち砕かれた。
ここから柴田の歯車が狂い始める。

東4局に山田に2,900を放銃し迎えた1本場、白を仕掛けてソウズの混一に向かう。
かなり遠い混一ではあるが、上家の山田にプレッシャーを掛ける意味も強そうだ。

 

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しかし、山田はプレッシャーが掛かるどころか生牌の発、そして六索と押し返す。
山田に驚異を感じた柴田はこの六索をスルー。手牌を短くする事を拒否する。
私はA1リーグで柴田の戦いを長く見てきたが、このスルーには違和感を覚えた。
麻雀には「押して押し返されたら引け」という格言があるが、
柴田の麻雀は「押して押し返されたらさらに押せ」である。
もう1枚仕掛け、さらに駆け引きするのが柴田の強さであると思うが、山田という打ち手を高く評価している事が見える一局であった。

苦しい展開が続く柴田であるが親番で以下の配牌。

 

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スピードもあり、ドラか三色になれば打点も伴う好配牌である。

 

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2巡目には一万を引き込み早くもドラをリリース。

 

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次巡四筒を引き早くも一向聴となる。

このままリーチといきたい状況であるが、5巡目に山田が放った二万にチーの声。

 

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恐らく柴田はこのまま門前で進めても自身に和了りは無いと感じたのだろうが、この鳴き
によって藤崎に急所が埋まり、あっという間に親が落ちてしまった。

 

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たらればを言っても仕方ないが、ここを門前で進めた時には柴田の優勝という未来があったかも知れない。

そして南3局、山田の清一に捕まり12,000の放銃でこの半荘一人沈みのラスとなり、
ここまでの貯金を全て吐き出してしまう。

しかし、ここでまだ踏ん張るのがA1リーガーの力。
4回戦では拮抗した展開の中、東4局。

 

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5巡目にテンパイも良型を求めてテンパイ取らず。

 

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次巡狙い通り八索を引き入れ三面張のリーチ。

 

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これをツモ和了り2,000・3,900。

そして南2局1本場ではこの配牌を

 

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ここまで仕上げ3,000・6,000。

藤崎を交わしトータルトップで折り返す。

2日目初戦の5回戦、柴田は東1局から幸先の良いツモ和了り。

 

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このまま一気に抜けるか、という雰囲気が漂ったが東4局、土俵際に追い込まれたダンプが驚異の9本場まで連荘。
ようやく親が落ちたと思ったら、次は山田が4本場まで積み上げ、柴田は何と箱下のラス。

6回戦もラスとなった柴田は7回戦で意地のトップを取り、最終戦に僅かな望みを繋ぐが、
東1局の山田が親番で6本場まで連荘し、後はダンプと山田の優勝争いを見守るしかなかった。

またしても麻雀の神様は柴田には微笑まなかった。
あまりにも遠くに見える栄冠はこの男の頭上にいつ輝くのだろうか。
それは遠くない未来に訪れると信じるファンの気持ちを背負い、また新たな挑戦が始まる。

女流プロ麻雀日本シリーズ2019 プレーオフレポート 中野 妙子

いよいよプレーオフが始まった。各選手2戦戦って上位4名が決勝に進出となる。
いつもよりさらに緊張感が増したと思われるスタジオの中、立会人ともたけプロの元気のよい合図によってプレーオフ1回戦がスタートした。

★1回戦(起家から、茅森、西嶋ゆかり、仲田、朝倉)
プレーオフはポイント持越しとなる。
茅森+111.4P 西嶋+31.6P 仲田+1.7P 朝倉+42.6P
茅森は2回ラスでなければ決勝濃厚なポイント。そんなに無理をすることはないだろうし、仲田はとにかく攻めて行くだろう。
東1局はまずは仲田がリーチしツモり、仲田がくるか?と思われたが、、、
きたのは西嶋ゆかり!東2局、西嶋の親が止まらない。
リーチして流局した後は、四暗刻テンパイ。これも流局したが、

 

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次局は2,600オール。
3本場では仲田の先制リーチにおして12,000を打ち取る。
4本場ではリーチして仲田から12,000は12,900。

そして好牌配。
ここで西嶋の選択は、七筒切らず、七筒を重ねてリーチ。

 

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茅森もこの手だが、ポイントを考えたか、無理せず中切りでオリる。

 

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西嶋は五万をツモアガって2,000は2,500オール。
77,500点までになり、西嶋は一気に決勝の椅子を手繰り寄せる。

こうなったらかなり厳しくなったのは仲田。持ち点3,000点になってしまい、これは難しいか、、、と思われたがまた2着目まで戻す。

その仲田が南1局チャンス手。ドラの南を2枚持ったホンイツ手。
ここに、今までリスクを冒さず安全にきていた親番の茅森が、南切りでおす。
仲田がポン。

 

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ここでアガリを決めたのは、茅森、4,000オール。
勝負をしたらしっかりとものにしてくる。そして続いて次局は4,100オール。
さすが茅森、攻めてきた時はしっかりとアガリをものにし、2着目に浮上!
今度は朝倉が3,000点持ちになり、苦しくなる。
と思われたら七対子ドラドラをリーチでツモあがりまた3着目に浮上した。

高打点の手が飛び交う!上下の移動が激しく、誰が残るか最後までわからない。
親番で攻めて加点した茅森は、それ以外のガードがすごく、さすが冷静で落ち着いている。

南3局仲田の親番。ここで加点しないと決勝はかなり厳しくなる。
と思ったら6巡目に4,000オールを決めてくる!
そして仲田が四暗刻テンパイでリーチ!東九索のシャンポン待ち。

 

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同巡に朝倉がホンイツで追いつきリーチ!

 

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決勝をかけた2人の大きな勝負。これを決めたほうが決勝への椅子を勝ち取るチャンスがあるだろう。
この大勝負を決めたのは、、、、朝倉。4,000・8,000で2着目まで浮上!
オーラスの親は朝倉。ここでまた連荘してなんと5万点越え。
なんと朝倉が一時7万点以上あった西嶋を捲る!

プレーオフ1回戦
1着 朝倉
2着 西嶋ゆかり
3着 茅森
4着 仲田

★プレーオフ2回戦(起家から、西嶋千春、大島、和久津、魚谷)
西嶋+56.5P 大島+7.6P 和久津+55.5P 魚谷+5.7P
魚谷と大島は2連勝したいところ。
まずは西嶋の12,000のアガリから始まる。放銃となった大島だが、決勝に行くにはトップが必要、東2局の親で5本場まで粘って連荘する。

点数を持った西嶋だが、自身の手がチャンスの時はしっかり勝負していき、まだまだ守りには入っていない、タンヤオ七対子もリーチを打ち、しっかりツモり、ポイントの近かった和久津との差を広げていく。
南1局には和久津と魚谷の一万九万の1シャンテン対決。

 

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ついに役満がくるか!と思われたが、テンパイ一番乗りは親の西嶋。

 

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しっかりツモリ4,000オールで、5万点越え。これで2年連続の決勝が決まったかとも思われたが、西嶋はまだまだ!の如く、次局も仕掛けて攻めて3本場まで積み、持ち点65,000点のトップ目へ。
オーラスは魚谷の親。
魚谷はとにかく連荘、和久津はあと1戦残っているのでポイント的には3着にはなっておきたいか、と思われたがテンパイして即リーチの勝負を選択。ヤミテンでもアガれば3着にはなれるが、もっと上を目指してリーチ。これを力強く一発でツモる!

 

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プレーオフ2回戦
1着 西嶋千春
2着 和久津
3着 大島
4着 魚谷

★プレーオフ3回戦(起家から和久津、茅森、仲田、西嶋ゆかり)
和久津+57.3P、茅森+99.8P、仲田▲41.4P、西嶋+52.6P
暫定6位の大島がマイナスポイントのため、暫定4位の和久津と5位の西嶋の着順が上の方が決勝進出濃厚な戦いとなった。

そんな中、東3局仲田が親で連荘してくる。
6,000オール、2,600オールで6万点超え、和久津と20ポイントほどの差につめてくる。
これは仲田の大捲りもあるかと思われたが、連荘を止めたのは西嶋のヤミテン。しかも和久津から直撃で、和久津との差を約1万点にしてくる。

南3局トップ目の親の仲田はまだまだポイントが必要。茅森のリーチ前言牌のドラの白をポンしてテンパイいれるが、

 

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流石に茅森がドラを切るということは、4面張待ちで、茅森に放銃となり加点することができなかった。

 

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この親落ちで仲田の決勝がかなり遠のいた。
オーラス、親は2着目の西嶋。仲田は役満条件。
和久津はなんとか西嶋を捲りたい、その差は10,600点。
西嶋はテンパイをいれていたが、最後テンパイを崩して2着をキープして終了する。

これで茅森、西嶋ゆかりの決勝はほぼ決まったか。

プレーオフ3回戦
1着 仲田
2着 西嶋ゆかり
3着 茅森
4着 和久津

★プレーオフ4回戦(起家から、朝倉、魚谷、西嶋千春、大島)
③朝倉+76.1P、⑦魚谷▲23.7P、①西嶋千春+98.8P、⑥大島▲7.1P
暫定②位の茅森は+84.8P、④西嶋ゆかり+52.4P、⑤和久津+26.5P、⑧▲23.7P

魚谷と大島はかなり大きなトップが必要となるので親でのオリはなく、攻めてくるだろうことが予想される1戦。
西嶋はよほどのことがない限りほぼ決勝だろう、朝倉は大きなラスだけはひきたくない、局を早く進めたいところ。

1回目の魚谷の親は、魚谷粘って連荘するが大きな加点はできず。
東3局親は西嶋千春。今期安定した戦いをみせ、2年連続の決勝を目指す西嶋は親でもしっかり加点し、盤石の構えでトップ目に立つ。
東4局の大島の1回目の親番は、こちらも安定して隙のない戦いをみせる朝倉がさらっと流す。

昨年80ポイント以上の差を捲って優勝した魚谷、このままで終わらないだろうと期待される中、南1局にはリーチしてハイテイで3,000・6,000をツモる。

 

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朝倉と7万点差のトップラスが必要だが、魚谷なら何か起こるかもと思わせる。
アガって親を迎えた魚谷だが、上家の朝倉の鉄壁のガードで全然鳴くことができず、
テンパイすることができず親が1局で終わってしまう。

オーラスの親は大島。とにかく連荘が必要。魚谷は朝倉から役満直撃条件。
粘って連荘した大島だったが、最後は朝倉がアガって終局となる。

プレーオフ4回戦
1着 魚谷
2着 西嶋ゆかり
3着 大島
4着 朝倉

この結果で決勝進出者4名が決定した。
何度も大物手が飛び交い、高打点対決もあり目が離せない白熱した試合となった。

システム

■予選全24回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

予選成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 西嶋千春(第18期女流最高位) 56.5 42.3 4.1 102.9
2 茅森早香(第11期女流最高位) 111.4 ▲ 11.6 ▲ 15.0 84.8
3 朝倉ゆかり(第12期RMUクラウン優勝) 42.6 33.7 ▲ 20.2 56.1
4 西嶋ゆかり(連盟会長推薦) 31.6 21.0 ▲ 0.2 52.4
5 和久津 晶(連盟会長推薦) 55.5 1.8 ▲ 30.8 26.5
6 仲田加南(第13期女流桜花) 1.7 ▲ 43.1 46.0 4.6
7 魚谷 侑未(女流プロ麻雀日本シリーズ2018優勝) 5.7 ▲ 29.4 25.3 1.6
8 大島麻美(第16回女流モンド杯優勝) 7.6 ▲ 14.7 ▲ 9.2 ▲ 16.3

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 茅森早香(第11期女流最高位) ▲ 6.4 27.9 25.0 ▲ 9.7 37.8 ▲ 7.4 28.8 15.4 111.4
2 西嶋千春(第18期女流最高位) 30.5 ▲ 13.7 9.6 26.9 11.6 12.9 ▲ 14.5 ▲ 6.8 56.5
3 和久津 晶(連盟会長推薦) 18.2 15.0 20.8 39.9 ▲ 7.3 ▲ 20.2 ▲ 29.7 18.8 55.5
4 朝倉ゆかり(第12期RMUクラウン優勝) 27.8 6.3 50.9 ▲ 22.1 ▲ 8.3 ▲ 21.1 ▲ 20.2 29.3 42.6
5 西嶋ゆかり(連盟会長推薦) 32.4 16.2 11.3 9.1 ▲ 36.3 14.1 0.8 ▲ 16.0 31.6
6 大島麻美(第16回女流モンド杯優勝) 26.5 ▲ 7.8 28.6 ▲ 14.3 ▲ 10.1 ▲ 20.0 23.3 ▲ 18.6 7.6
7 魚谷 侑未(女流プロ麻雀日本シリーズ2018優勝) ▲ 51.9 17.0 33.6 ▲ 6.9 ▲ 27.5 6.1 33.4 1.9 5.7
8 仲田加南(第13期女流桜花) 14.3 ▲ 35.1 25.8 ▲ 26.1 21.5 46.7 ▲ 18.1 ▲ 27.3 1.7
9 宮内こずえ(連盟会長推薦) ▲ 23.7 14.4 24.1 4.4 9.7 ▲ 33.7 ▲ 22.0 27.9 1.1
10 二階堂 亜樹(連盟会長推薦) 2.6 ▲ 33.9 ▲ 10.3 4.3 ▲ 41.1 ▲ 20.6 ▲ 30.0 81.7 ▲ 47.3
11 黒沢咲(連盟会長推薦) ▲ 13.1 ▲ 8.8 23.8 ▲ 39.3 ▲ 20.4 ▲ 29.2 43.4 ▲ 50.0 ▲ 93.6
12 逢川恵夢(第17期女流雀王) ▲ 44.7 ▲ 37.5 ▲ 5.6 ▲ 12.0 ▲ 33.8 8.9 7.2 ▲ 56.3 ▲ 173.8

予選、プレーオフの厳しい戦いを経てついに2019年度の女王が決まる!
これまで以上に熱い戦いになるだろう決勝戦★お見逃しなく!

★4/13(土)★
決勝4回戦
西嶋千春VS茅森早香VS朝倉ゆかりVS西嶋ゆかり
実況:日吉辰哉
解説:勝又健志・白鳥翔