第9期麻雀グランプリMAX ベスト16 A卓レポート 日吉 辰哉

麻雀グランプリMAXは今年度のポイントランキング上位者のみに参加資格が与えられる。
今年度活躍した選手が大集結する、年度末の大祭典。
一次二次予選を勝ち上がった10名に、前年度優勝者前原雄大、今年度のタイトルホルダーである吉田直(鳳凰位)、内川幸太郎(十段位)、魚谷侑未(王位)、沢崎誠(麻雀マスターズ)、藤崎智(ポイントランキング1位)、以上の6名を加えてベスト16の戦いが幕を開ける。
麻雀グランプリMAXベスト16のシステムは5回戦行い上位2名がベスト8に進出する。

【A卓】前原雄大(前年度優勝)・山田浩之・西川淳・客野直

 

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A1リーガー前原にA2の3人がぶつかる構図のA卓。
鳳凰戦A2リーグ最終節にて大逆転でのA1昇級を決めた西川。

 

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来期A1への挑戦に向けて、このグランプリMAXで弾みを付けたい。
しかし、この日の西川は初戦から3連続4着の▲57.2Pと大苦戦。
迎えた崖っぷちの4回戦。持ち前の攻撃力が発揮される。

4回戦、東3局、ドラ北
まずは前原がマンズの一色狙いで仕掛ける。そこに上位を伺う客野がタンヤオで仕掛け6巡目にテンパイを入れる。

西家 客野

二索二索四筒五筒六筒六筒七筒  チー七万 左向き五万 上向き六万 上向き  チー七万 左向き五万 上向き六万 上向き

前原、客野の仕掛けによりソーズの山を引き当てた西川も仕掛けて1シャンテン。

南家 西川

二索三索三索四索四索四索五索六索六索八索  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き

更にはドラトイツの山田も仕掛ける。

東家 山田

七万八万九万八索九索七筒七筒九筒北北  チー三筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き

山田から打ちだされた四索を仕掛けて西川にテンパイが入る。

四索四索四索五索六索六索八索  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き

客野はドラを掴み撤退。直後山田にテンパイが入る。待ちは七索、西川とのめくり合いである。
更に西川はツモ六索、打八索としフリテンの五面待ちとしツモアガリ。
これで息を吹き返した西川は、次局の親番で2,600オール、更に南場の親でも3,900オールで5万点超えの大トップ。
勝ち上がりに希望を繋ぐも、最終戦は無念の4着で敗退となった。

西川が鳳凰戦A1入りを決めた最終節、涙を飲んだのは山田だった。
このグランプリMAXにかける想いも強いであろう。

 

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1回戦、南1局、ドラ三索
原点を僅かに超えている山田は親番で以下の先制リーチ。一気に加点を目論む。

東家 山田
一万二万三万四万六万七万八万九万三筒三筒三筒西西  リーチ

直後にドラトイツの客野がリーチ。

南家 客野
六万七万三索三索四索五索六索七索八索九索四筒五筒六筒  リーチ

山田は一発で八万を掴まされ痛恨の放銃。
次局、山田は中盤でホンイツの1シャンテンとなるが、テンパイにたどり着けない。終盤となりアガリは厳しく思えたが、同じく1シャンテンの前原から白が打ち出され以下のテンパイ。

北家 山田
二索三索四索六索七索八索九索九索中中  ポン白白白

直後に中のツモアガリで値千金の2,000・4,000。厳しい戦いが予想されたが直ぐに挽回。
更に次局、西川の先制リーチに以下のリーチで反撃。

東家 西川
四万五万六万三索四索五索七索七索二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ白

西家 山田
一万二万三万八万八万三索四索五索五索六索白白白  リーチ

これを西川から打ち取り、1回戦トップとなる。
2回戦以降も安定感のある戦いを見せた山田。4回戦で西川が大トップの半荘を大きな2着でまとめ勝ち上がりを決定づけた。

最後の一席をめぐる争いは前年度優勝者の前原と一次予選から勝ち上がってきた客野。
客野は粘り強い麻雀で前原に食らいつく。

 

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最終戦を迎えて、前原▲0.8P、客野▲11.7Pの大接戦。

東1局1本場、客野は積極的に仕掛ける。

東家 客野
二索二索五索五索白発発  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ドラ九万

この仕掛けに対し、前原は以下の1シャンテンから五万を仕掛けてドラ切りのテンパイ。

西家 前原
一万二万三万九万四索五索四筒四筒西西西  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  打九万

トイトイ濃厚の親番客野に対し、ドラをぶつけて親を流しに行く。これが前原の押し。

 

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これをしっかりアガリ切ると、続けざまに1,000・2,000のツモアガリで更に加点。
一気に前原ペースに引き込むも、東4局に客野が意地の一撃。

南家 客野
一筒二筒三筒六筒七筒八筒八筒九筒北北北白白  ドラ八索

これを前原からの直撃でトータルポイントも逆転に成功。
ここからは手に汗握る一進一退の大接戦。
南1局では客野が先制リーチも西川に5,200の放銃。
南2局は客野1人テンパイ。
南3局は前原の1,300オールのツモアガリ。
1局ごとに勝ち上がりが入れ替わる。その接戦に終止符が打たれる時が来る。

南3局、前原33.200点、客野33.100点。
11巡目に親の前原が以下のリーチ。

東家 前原
五万六万七万一索二索三索五索六索七索七筒七筒七筒八筒  ドラ三索

西家 客野
四万四万四万七万八万四索五索一筒二筒三筒九筒南南  ツモ六索

同巡に上記の牌姿で追いついた客野。前原にアガられては非常に厳しい状況となる。
ペン七筒ターツを外した打八筒直後のテンパイ。この形から九筒を止める術はなく、「リーチ!」の発声と共に九筒を河に打ちだした。
前原に真正面からぶつかっていった客野。残念ながらこのビハインドをはね返す力は残っていなかった。

A卓勝ち上がり 山田浩之 前原雄大

”雀サクッ杯”第42期関西リーグ(プロアマリーグ) 冬 第5節成績表

順位 名前 プロ/一般 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 合計
1 川上 直也 プロ 66.7 42.3 78.8 ▲ 1.7 89.2 275.3
2 山地 義昌 一般 77.1 66.2 37.6 49.3 18.3 248.5
3 貫上 洋志 プロ 43.2 132.0 21.6 0.0 35.5 232.3
4 馬場 一平 一般 52.7 83.4 9.6 52.8 ▲ 9.1 189.4
5 北村 祐二 プロ 66.1 130.4 ▲ 26.9 36.0 ▲ 16.9 188.7
6 丸山 直 プロ 18.7 87.1 ▲ 36.6 35.6 64.0 168.8
7 段谷 昭夫 一般 22.4 5.7 0.0 109.8 0.0 137.9
8 中川 豊久 一般 26.8 14.9 106.5 ▲ 57.4 45.8 136.6
9 工藤 行雄 一般 ▲ 81.5 109.7 22.7 ▲ 3.9 87.5 134.5
10 坂本 誠裕 プロ ▲ 3.2 ▲ 43.3 40.5 95.4 39.5 128.9
11 原田 安博 一般 78.3 119.6 6.3 0.3 ▲ 80.5 124.0
12 米川 基紀 プロ ▲ 0.5 22.5 ▲ 47.1 60.8 88.2 123.9
13 井上 泰秀 一般 ▲ 91.2 ▲ 37.6 94.4 128.5 2.3 96.4
14 猪鼻 拓哉 一般 0.0 25.6 44.2 72.5 ▲ 46.8 95.5
15 高谷 圭一 プロ 20.5 22.9 57.4 0.0 ▲ 6.5 94.3
16 柴田 秀昭 一般 80.4 6.4 53.7 ▲ 14.3 ▲ 33.2 93.0
17 山本 裕之 プロ ▲ 0.8 30.9 55.3 15.9 ▲ 26.2 75.1
18 小田 雅之 一般 41.3 ▲ 58.5 25.6 ▲ 14.1 73.9 68.2
19 五月女 義彦 一般 23.8 ▲ 79.9 26.9 ▲ 43.1 139.2 66.9
20 楠田 重頼 一般 0.0 ▲ 14.2 21.5 ▲ 30.1 83.3 60.5
21 見野 マリ子 一般 ▲ 0.1 ▲ 56.6 37.4 77.3 0.0 58.0
22 鷲見 律兵 一般 65.8 ▲ 33.9 19.9 0.0 0.0 51.8
23 佐藤 怜太 一般 51.2 ▲ 45.1 ▲ 32.3 44.1 15.0 32.9
24 岩本 貴 一般 25.5 ▲ 26.9 ▲ 19.2 51.1 0.8 31.3
25 内田 雄司 一般 21.3 2.2 ▲ 5.8 29.0 ▲ 16.1 30.6
26 上村 宜久 プロ 96.2 ▲ 17.2 ▲ 38.4 32.3 ▲ 50.3 22.6
27 沖 愛子 一般 ▲ 40.5 ▲ 51.7 74.9 35.4 ▲ 0.9 17.2
28 河端 幸雄 一般 31.1 ▲ 96.0 54.8 59.5 ▲ 32.9 16.5
29 延原 明美 一般 60.7 10.1 9.7 ▲ 22.1 ▲ 43.1 15.3
30 秋山 淑子 プロ 0.0 ▲ 52.8 70.5 ▲ 12.9 5.6 10.4
31 林 俊輔 一般 ▲ 53.1 ▲ 2.1 22.5 20.5 15.7 3.5
32 堀 昭義 一般 4.2 30.2 35.0 ▲ 50.4 ▲ 35.3 ▲ 16.3
33 岸辺 恵里 一般 61.1 0.9 ▲ 55.0 ▲ 30.2 ▲ 5.0 ▲ 28.2
34 胡井 裕行 一般 55.2 ▲ 7.7 ▲ 61.2 ▲ 23.7 0.0 ▲ 37.4
35 藤根 梨沙 一般 ▲ 79.7 63.3 0.8 ▲ 1.7 ▲ 20.3 ▲ 37.6
36 中野 翔 一般 32.3 ▲ 16.0 33.9 ▲ 66.0 ▲ 28.9 ▲ 44.7
37 熊田 高大 一般 18.4 3.4 ▲ 105.6 35.5 0.0 ▲ 48.3
38 原田 保正 プロ ▲ 27.1 0.0 ▲ 50.2 22.0 ▲ 1.7 ▲ 57.0
39 稲垣 諒彦 プロ ▲ 50.7 54.2 7.6 0.0 ▲ 72.7 ▲ 61.6
40 桑田 憲汰 一般 ▲ 56.4 ▲ 37.9 ▲ 43.8 ▲ 2.3 65.3 ▲ 75.1
41 藤井 幸雄 一般 0.0 0.0 ▲ 3.2 ▲ 49.2 ▲ 37.1 ▲ 89.5
42 大川 道子 一般 ▲ 28.5 50.9 ▲ 80.7 33.4 ▲ 65.1 ▲ 90.0
43 松尾 潤 プロ ▲ 80.4 ▲ 36.5 0.0 ▲ 37.8 64.6 ▲ 90.1
44 濱中 真志 一般 50.7 ▲ 19.4 5.4 ▲ 37.6 ▲ 93.2 ▲ 94.1
45 木下 恭子 プロ ▲ 75.0 ▲ 69.7 57.8 ▲ 8.1 0.0 ▲ 95.0
46 川添 瞭太 一般 46.9 ▲ 31.3 ▲ 41.3 ▲ 83.7 9.3 ▲ 100.1
47 田中 保至 一般 0.0 0.0 ▲ 5.5 ▲ 82.4 ▲ 38.4 ▲ 126.3
48 丸井 一輝 一般 ▲ 96.8 72.3 ▲ 5.7 ▲ 34.0 ▲ 67.2 ▲ 131.4
49 宮嶌 知奈 一般 ▲ 78.5 ▲ 16.0 0.3 19.8 ▲ 58.9 ▲ 133.3
50 宮西 康行 一般 9.8 ▲ 39.0 ▲ 16.5 ▲ 74.5 ▲ 37.2 ▲ 157.4
51 澤村 久江 一般 18.8 ▲ 109.5 ▲ 87.0 0.0 0.0 ▲ 177.7
52 松井 俊之 一般 ▲ 54.4 22.2 20.9 ▲ 47.6 ▲ 119.7 ▲ 178.6
53 山口 昇子 一般 ▲ 67.1 ▲ 101.2 18.2 ▲ 52.3 ▲ 41.7 ▲ 244.1
54 倉本 恭子 一般 ▲ 41.8 ▲ 100.7 ▲ 57.9 ▲ 93.3 ▲ 1.8 ▲ 295.5
55 高田 海流 一般 ▲ 43.1 ▲ 98.5 ▲ 104.2 ▲ 77.8 ▲ 26.5 ▲ 350.1
56 稲岡 ミカ プロ 0.0 115.1 0.0 91.0 ▲ 16.8 189.3
57 吉田 圭吾 プロ 0.0 0.0 0.0 13.5 101.4 114.9
58 榎木田 慶子 一般 0.0 0.0 98.3 0.0 0.0 98.3
59 田嶋 翔太 一般 69.0 ▲ 18.0 0.0 0.0 0.0 51.0
60 福井 航 一般 44.8 0.0 0.0 0.0 0.0 44.8
61 川野辺 貴泰 一般 39.4 4.2 0.0 0.0 0.0 43.6
62 櫻井 栄一 一般 ▲ 11.7 0.0 0.0 45.8 0.0 34.1
63 中野 孝治 プロ 7.8 17.0 0.0 0.0 0.0 24.8
64 藤川 忠靖 一般 12.3 0.0 0.0 0.0 0.0 12.3
65 植田 ミチ子 一般 0.0 0.0 3.7 0.0 0.0 3.7
66 河野 友美 一般 0.0 0.0 0.0 ▲ 64.4 67.0 2.6
67 城 裕介 プロ 0.0 ▲ 0.3 0.0 0.0 0.0 ▲ 0.3
68 三谷 ヒデ子 一般 0.0 0.0 ▲ 5.9 0.0 0.0 ▲ 5.9
69 大西 幸子 一般 0.0 0.0 0.0 ▲ 11.7 0.0 ▲ 11.7
70 藤基 公子 一般 0.0 0.0 ▲ 21.1 0.0 0.0 ▲ 21.1
71 堀中 康行 一般 ▲ 30.2 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 30.2
72 曽我 友 一般 ▲ 30.9 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 30.9
73 瀬戸熊 直樹 プロ 0.0 ▲ 31.8 0.0 0.0 0.0 ▲ 31.8
74 井上 礼子 一般 ▲ 24.8 0.0 ▲ 11.5 0.0 0.0 ▲ 36.3
75 東家 俊一 一般 ▲ 36.5 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 36.5
76 楠 佐久馬 一般 0.0 0.0 ▲ 71.7 16.9 10.6 ▲ 44.2
77 西田 佳正 一般 ▲ 51.5 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 51.5
78 筒井 レイナ 一般 0.0 0.0 42.8 ▲ 96.2 0.0 ▲ 53.4
79 大川 定子 一般 0.0 0.0 ▲ 61.6 0.0 0.0 ▲ 61.6
80 今村 孝子 一般 0.0 0.0 ▲ 77.1 0.0 0.0 ▲ 77.1
81 原田 勝美 一般 0.0 0.0 ▲ 8.3 ▲ 70.5 0.0 ▲ 78.8
82 濵田 剛資 一般 ▲ 33.8 ▲ 47.2 0.0 0.0 0.0 ▲ 81.0
83 吉田 拓也 プロ ▲ 96.6 ▲ 43.1 ▲ 63.6 0.0 0.0 ▲ 203.3
84 可畑 大祐 一般 ▲ 99.9 0.0 ▲ 114.1 0.0 0.0 ▲ 214.0

56位以下は規定対局数未消化のため入賞の権利なし。

第146回:中級講座『態勢論』 浦田 豊人

連盟公式ルールに的を絞った中級講座の連載も、今回で最終回となりました。

第1回目
「トップ狙うべからず。」
第2回目
「役無しリーチかけるべからず。」
第3回目
「二鳴きするべからず。」
第4回目
「2フーロに放銃するべからず。」
第5回目
「心構え」
第6回
「昇級狙うべからず。」
第7回
「公式ルール的押し引きあれこれ」

最終回のテーマは「態勢論」。

麻雀には「態勢」というものが存在する。態勢はその日ごとにプレーヤーそれぞれに違いがあり、それは対戦中にも刻一刻と変化していく。
態勢が良ければ良いほどアガリ回数も多く打点も高くなり、逆に態勢が悪ければアガれなくなってしまう。
なので、同じ手牌でもその時の態勢によって打ち方を変えていかねばならず、良ければ維持出来るように、悪ければ良くなるように工夫していかなければならない。
態勢こそが勝利と密接に関係しているものなのである…。

「何言ってるか分からないんですけど…?」という声が聞こえてきそうです。いかにも昭和の人が語りそうな理論で、巷でもよく麻雀に「流れ」はある?ない?で論議されているかと思います。
そんなオカルト的な話なので、講座にはとても不向きかもしれませんが、私の麻雀における色々な判断は、この「態勢」なくしては語れないのです。
なので最後に思い切って書かせて頂きました。
しばしお付き合い下さい~。

●態勢論「段階を見分ける」

態勢には段階があります。
詳しくは二十段階くらいに分けたいのですが、あまりにもマニアック過ぎるので、今回は五段階に分けたいと思います。

【 態勢⑤:絶好調 】
【 態勢④:好調 】
【 態勢③:普通 】
【 態勢②:不調 】
【 態勢①:絶不調 】

それでは今、自分がどの態勢かを判断する目安は何でしょう?
態勢ごとにその例と打ち方をあげてみたいと思います。

【態勢⑤:絶好調】

◯配牌が毎回良い。
→配牌で2メンツ完成している。
→配牌でドラが2枚あり、かつ役牌などの役が見えている。
◯ツモが良い。
→リャンメンより先にカンチャンやペンチャンが入る。
◯自然とホンイツになっていく。
◯危険牌が全然アタらない。
◯どっちに受けても結局アガれる。
◯誰かがリーチをかけた瞬間、手変わり待ちの仮テンをひょっこりツモってしまう。
◯フリテンでもツモってしまう。
◯リンシャンカイホウでアガッてしまう。
◯親の連荘が止まらない。
◯他者の鳴きで有効牌を引き、自分の鳴きで他者の有効牌を喰い流す。

こんな感じでしょうか?
こうなればもう無敵状態ですね。態勢としては最終的にはここを目指す事になります。
この態勢⑤で大切なテーマは
「いかに相手に対応しないか。」
「いかに最高形の手作りをするか。」
に尽きます。
麻雀は対応の競技と言われますが、この態勢になればもう自分のことだけを考えて打ち進めればよくなります。
逆に変に上手く対応すると、そこから態勢が下降していってしまいます。
手役もワガママに最高形だけを目指します。鳴きが入っての最高形以外は一切鳴かず、メンゼンで推し進めます。

例えば下記の手。
3回戦 東1局 南家 6巡目

二万二万六万七万八万三索四索六索七索八索四筒六筒八筒  ツモ三筒  ドラ二索

場に七筒が2枚切れていたので、三色を諦めて六筒八筒を落としていく…?
これが態勢④までなら当然かと思います。
しかし、もしこの人が1・2回戦絶好調の連続トップを取った態勢⑤の人だとしたらどうでしょう?
そう、四筒から切っていかなければなりません。途中五筒をツモって来ても気にする必要はありません。
大丈夫です。2枚切れだろうが3枚切れだろうが、必ず七筒はあなたの元にやって来ます。
そう打たなければ態勢⑤は維持出来ないものなのです。

【態勢④:好調】

◯リーチ合戦で比較的勝てる。
◯振り込んでも安目の方で済んだ。
◯放銃してもまた取り戻せる。
◯切ろうとしていたアタリ牌が先に切られて助かった。
◯ヤミテンにしていたため危険牌を止めれた。
◯アガるよりテンパイ料の方が大きい。
◯役牌が重なってから場に切られて、鳴けた。
◯オーラスで1,000点でも振り込めば沈むところ、他者同士の放銃で助かる。

などなど、自分の中で「ラッキー」を感じられる時が、好調の「態勢④」と言えましょう。
この態勢④で一番大切な事は
「下を見ずに上だけを見て打つ。」こと。
態勢④は態勢⑤の無敵モードへの道に繋がっているので、そこへ向かって突き進まなければなりません。
オリは禁止です
自然に最高形を目指す手作りする。
多少無理目でも目指しましょう。基本的には面前、そしてリーチを打つべし、です。
ここで態勢⑤に駆け上がれるか、態勢③に戻されるかが、この日の勝ち負けに直結してきます。

【態勢③:普通】

◯勝負手もアガれるが、次の大きな手は続けてアガれない。
◯アガった後からもじわじわと点棒が削られる。
◯ドラが無い手はスンナリとアガれる。
◯先制リーチが入っても受け駒が2枚以上ある。
◯自分以外のラス目候補が、東場時点で明確になっている。
◯2着と3着の繰り返し。

この態勢③はところどころでアガリを取れるため、器用に打ち回せる人は、トップを無理に目指さず2着に甘んじてしまう傾向が見受けられます。
そうすると次回半荘以降じり貧状態やお地蔵様状態に陥り、本日②③③④でトータルマイナスで終了してしまう日になります。
この態勢③ではパンチを一発喰らっても怯まずに、態勢④を目指して勝負を挑み続ける「強い気持ち」が必須となります。

【態勢②:不調】

◯東場南場とも親で1回も連荘出来ない。
◯手がぶつかり合う局が多く、オリる事も出来なくなり、結果仕方のないような放銃をしてしまう。
◯同テンを引き負ける。もしくは頭ハネされる。
◯シュンツ手を進めているのにトイツが増えて来て、七対子との両天秤で悩んでしまう。
◯高目と安目のある手では、安目の方でのアガリとなる。
◯捨て牌から自分の待ちが浮き彫りになってくる。
◯終盤に生牌のドラなど、超危険牌を掴まされる。
◯待ち牌は王牌に眠っている。

実はこの態勢②が麻雀を打つにおいて、一番骨が折れる大変な位置になります。
攻め過ぎても駄目だし、受け過ぎても駄目。
当然ながら相手に先制される態勢なのですが、そこで簡単にオリては益々ペースを持っていかれてしまう。
なので危険牌の濃淡を判別して、歯を食いしばって勝負をしていかねばならず、しかし危険度の高い牌までは行かずにしっかりと止めて受けに回り、行き過ぎてもいけない。
本手は入りにくく、必然的に「交わし手」の番が回ってくる役目となる。
まさに最も神経を使う位置となります。
しかしながら、ここでしっかりと正解に押し引きを進める事により、地力で本物の態勢を掴み取る事が出来れば、その日の勝利の可能性も十分に出て来ます。

【態勢①:絶不調】

◯配牌から狙う手役がイメージ出来ないほど悪い。
◯ツモが噛み合わず、捨て牌一段目が終わっても未だ1メンツも出来ない。
◯切った牌をまた直ぐに持って来る。
◯自然とフリテンになっている。
◯親番の時に限って跳満をよくツモられる。
◯自分の必然の鳴きをして、相手がアガる。
◯ワンチャンスに吸い込まれるように振り込む。
◯リーチの後スジを追って振り込む。
◯地獄待ちに振り込む。

もうこうなってしまったらどうにもなりません。唯一出来る事といえば、「少しでも小さなラス、少しでも小さなマイナスで終える。」でしょうか?
ラス確定のアガリもやむを得ません。欲張って小さなアガリ拒否をするような手組をすれば、更なる悲劇が待ち受ける事でしょう。
どうしてここまで堕ちてしまったのだろうか?とにかく早く帰って猛反省です。

●態勢論的「押し引き判断」

これまでの中級講座でも連盟公式ルール的押し引きの話を中心にして来ましたが、今回は態勢論的押し引きもお話させて頂きたいと思います。

東1局、南家から下記の捨て牌でリーチがかかりました。

北九索 上向き西八索 上向き三万 上向き一万 上向き
九筒 上向き六索 上向き四筒 左向き

その時の私の手

三万四万五万六万七万六索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ六筒  ドラ一索

【態勢⑤の判断】

上記にも述べましたが、態勢⑤の時のテーマは「いかに対応しないか。」という事。
なので、リーチはかかってないものとし、六筒をノータイムでツモ切ります。ドラもツモ切ります。
大丈夫です。態勢⑤ならばアタりません。
ここでとりあえず通っている六索切りとかも駄目です。
二筒六索引きのテンパイ逃しをすれば、あなたの態勢は下降の一途を辿り始めてしまいます。
そしてテンパイしたら当然の追いかけリーチを打ちましょう。
マンズを引いてソウズの現物待ちになったからといってヤミテンになんかしたら、これまた一気に態勢は逃げて行き、また一から出直しとなってしまいます。
「態勢⑤は真っ直ぐに、とにかくリーチをかけるべし。」です。

【態勢④の判断】

ここでも押しですが、とりあえず丁寧に六索からいきましょう。
そしてテンパイしたら、ここでも追いかけリーチをして、態勢⑤になる事を目指していきます。
もしアガれなくて
「ヤミテンだったら脇からアガれたのに…。」
なんて言葉に耳を貸してはいけません。
上を目指すのみ、です。

【態勢③の判断】

ここでも勝負なのですが、態勢④⑤の時よりも慎重になる必要があります。
六索から切り、すぐにテンパイしたら、マンズ三メンチャン待ちなら勿論リーチですが、もしソウズ現物待ちの場合はどちらが良いかは非常に難しい判断となります。
周りをよく見て、その場その場で答えを変えていく読みが必要です。
そしてすぐにテンパイしない場合。
先ず六索を切ってから、1枚くらいは無スジを勝負する。問題は次の危険牌を持って来た時。
これを勝負するという事は、テンパイした時に切るであろう六筒と合わせてリーチ後に「3枚の無スジ」を切る、という事になります。
前回の講座でも述べましたが、
「3枚目の無スジはやめのサイン」
であり、こうなれば一旦我慢の受けに回りたいと思います。

【態勢②の判断】

上記でも述べましたが、一番難しいのがこの態勢②の時の対応。
行き過ぎでも受け過ぎてもいけない。
先ず六索切りは同じです。
交わしも考えなければならないので、二万五万八万五索八索は鳴く構えです。
その時に大事なのは「勝負する六筒」が通るかどうかの考察。
捨て牌からいってストレートなので、ソバテンも十分に考えられ、そうすれば宣言牌の四筒三筒四筒四筒四筒四筒五筒からの切りの可能性もあり、勝負する六筒はアタリになるかもしれない。
しかし、何処かで切り開いていかないと、態勢②は抜け出せない。
ここでもし三筒四筒四筒からと読んだのなら、思い切って勝負します。
そして一番肝心な事は、もし六筒が通って次に二筒五筒を引いた時…。
先程ソバテンと読んで四筒三筒四筒四筒から切ったと読んだのであれば、ここでスッと受けに回らなければなりません。勢い余ってツモ切りしてしまうのは本末転倒というものです。
そう読んだのならば、潔く受けましょう。

【態勢①の判断】

ここでは1枚でも勝負してはいけません。
たった1枚勝負してもアタリになる可能性は高いと思います。
大人しく六索を続けて打ちましょう。
もしかしたら、まさかのワンチャンス四索七索待ちだったりして、誰かが振り込んでくれるかもしれません。逆に自分からは絶対に七索を切ってはいけません。
リーチ後に五筒なんかが通っても、安易にアタマの二筒に手をかけたりしないようにしましょう。
とにかく態勢①の時は「通りやすい牌がアタリになる。」、そんな罠がいっぱいなのです。
そもそもですが、リーチがかかる前に「12枚麻雀」を実行し、安全牌を事前に確保しておきましょう。

●態勢論的「鳴き判断」

続きまして、鳴き判断についても例をあげて、態勢論的判断でお話をさせて頂きます。

東1局・南家

四万六万三索四索四索五索六索四筒五筒六筒八筒八筒西  ドラ五筒

【態勢⑤の判断】

もう説明も要らないかもしれませんが、そうです!態勢⑤の時は仕掛けは入れません。
例え3枚目の五万が上家から切られても、涼しい顔でツモ山に手を伸ばして下さい。
態勢⑤が間違いないならば、必ず4枚目の五万はあなたのツモにいます!
そして3枚切れのカン五万待ちになっても、図太くリーチと行きましょう。

【態勢④の判断】

基本的には鳴きを入れませんが、3枚目の五万なら流石に仕掛けます。
二索五索も6枚目あたりならしぶしぶ仕掛けましょう。

【態勢③の判断】

場況次第で「鳴き優先」で行くケースが出て来ます。
誰かが早そう、または大物手の気配が漂った時なんかは五万はサッと仕掛けて局を流す選択肢も有りかと思います。

【態勢②の判断】

五万は喜んで鳴きます。
態勢③以上ならばテンパイしてから五万が間に合うのですが、テンパイする前にこの五万が出るというところが、やはり「まだ本調子でない」事を物語っております。
せっかくの高打点のチャンスですが、まずは態勢固めの方が先であります。
二索五索は鳴きません。待ちがカン五万では交わし手とは言えませんので、逆にカウンターをもらった時に困ってしまいます。

【態勢①の判断】

ハイ、こちらももうお分かりかと思いますが、態勢①の場合は仕掛けは入れません。
もし入れると「誰かのリーチ」そして「誰かのアガリ」を誘発してしまいます。
ここでは4枚目の五万でも仕掛けは入れず、例えメンゼンでテンパイしても、誰かのヤミテンに刺さらないように、いつでも受けれるように細心のアンテナを張り巡らせていましょう。

もう1つ例題をあげます。
東1局・東家

三万四万九万九万四索五索六索七筒八筒東東中中  ドラ五索

【態勢⑤の判断】

先ず1枚目の東は仕掛けません。
その間に中が出ても仕掛けません。
更に2枚目の中が出ても仕掛けません。
2枚目の東が出た時のみ、しぶしぶ仕掛けます。
この手は態勢⑤ならば「リーチ・ツモ・ダブ東中ドラ1」の6,000オールを先ずは目指すべきです。
次に4,000オール、最悪の最悪でも5,800にはします。
なので「中・ドラ1」の2,900のアガリだけは、ならないように打ち進めます。
もし間違って2,900でアガってしまうと、その時から態勢④に格下げとなってしまうのです。
態勢⑤の時は例えアガれなくても、とにかく高打点だけを目指しましょう。

【態勢④の判断】

態勢⑤の時ほど極端ではありませんが、仕掛ける順番は同じにします。
そしてやっぱり出来る限り2,900だけにはならないように仕掛けていきます。

【態勢③の判断】

1枚目の中だけスルーしてみます。
2枚目の中は鳴きます。
ダブ東なら1枚目から鳴きます。
この配牌ならば連荘だけは果たさなければなりません。

【態勢②の判断】

1枚目の中から鳴きます。
ダブ東も喜んで1枚目から鳴きますが、態勢②ならば中より先にダブ東が出る事はないでしょう。
中東も出ずに中盤以降になった場合は、リャンメンから仕掛けて「後付け(バック)」に走る、最低限連荘必須の選択肢も出てきます。
ただ、その鳴きでリーチがかかった場合は要注意です。
その時はおとなしく受けも考えましょう。

【態勢①の判断】

ここまで態勢論理的にお付き合いしてくれた皆様にはもうお分かりですね?
そうです、「一切鳴かない」です。
とりあえず仕掛けは諦めて、まさかの七対子でも狙って、来るべきリーチに備えて受け駒をいっぱい増やしておきましょう。

以上、態勢論の話でしたが、如何でしたでしょうか?
興味を持たれた方は騙されたと思って、1回態勢を考えながら打ってみて下さい。
もしかしたら、あなたの中で何かが変わるかもしれません。

半年間に渡って、独特で拙い講座に最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
連載中、色々な方々に暖かいお声をかけて頂きました。
あるAリーガーに昇級された方より
「この中級講座を読んでAリーグに昇級しました!」
なんてリップサービスとはいえ、非常に嬉しいお言葉を頂きました。
また、ある大先輩の方々からも
「浦田君、あの中級講座なんどけど…。」
ヤバい!叱られる!?
「俺と考え方が似ている。共感するね~。」
ありがとうございます。ホッとしました。

私自身、これからももっともっと精進して、魅力あふれる麻雀を打てるように頑張って行きたいと思います。
長期間拝読頂き、本当にありがとうございました。

ー 完 ー

第19期 北陸プロアマリーグ 決勝成績表

順位 名前 プロ/一般 持越し点数 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
優勝 獅坂 祐一 プロ 40.0 29.8 ▲ 7.9 ▲ 14.9 6.9 53.9
2 山元 一成 一般 20.0 ▲ 14.5 17.4 31.0 ▲ 6.5 47.4
3 窪田 一彦 一般 0.0 5.4 8.5 6.6 25.1 45.6
4 後藤 正博 プロ 10.0 ▲ 20.7 ▲ 18.0 ▲ 22.7 ▲ 25.5 ▲ 76.9

第3回麻雀プロアマオープン競技会 ベスト16~決勝戦レポート 紺野 真太郎

このプロアマオープン競技会も早くも3回目、本部道場に通う一般の選手にとっても、ベスト16以降の会場となる夏目坂スタジオは聖地となりつつある。

トーナメントシステムは一発、裏ドラありのWRCルール、半荘1回勝負。1回勝負だからこその緊張感のある戦いが繰り広げられた。

 

ベスト16
A卓 しーらさん、篠田拓郎さん、小泉忠さん、吉田直
念願の鳳凰位となった吉田、鳳凰戦の前日調整には道場に顔を出しており、顔なじみの選手も多く、インタビューからも感謝の念が伺えた。勝ち上がることが恩返しであったが、ここは小泉さん、篠田さんの前に敗れた。

勝ち上がり 小泉忠さん、篠田拓郎さん

同時進行で行われたB、C、D卓では、丹野賢一さん、くまおさん、宮村信、立岩知朗さん、Andy-sanさん、冨田久志が勝ち上がりを決めた。

 

ベスト8
A卓 小泉忠さん、丹野賢一さん、宮村信、くまおさん
前半はくまおさんが抜け出すが、東3局に丹野さんがハイテイツモを決め、くまおさんに並びかける。
南1局、ここまで失点を最小限にとどめていた小泉さんが、親番で反撃のリーチ。

五万六万七万三索三索三索四索五索四筒五筒六筒八筒八筒  ドラ五索

これを見事に一発でツモあがり、4,000オール。決勝の椅子を手繰り寄せる。

南3局、もう1つの決勝の椅子を巡り、くまおさんと丹野さんの競り。リーチを打ったのは丹野さん。

二万三万四万五万六万七万四索五索七索八索九索七筒七筒  ドラ中

三索でツモアガリ。問題は裏ドラ。ここで1枚乗るか乗らないかで大きく違う。祈る様に捲られた表示牌は一万。裏ドラ二万で1,300・2,600。このアガリが決め手となり、丹野さん、小泉さんの勝ち上がりとなった。

勝ち上がり 丹野賢一さん、小泉忠さん

 

B卓 立岩知朗さん、冨田久志、篠田拓郎さん、Andy-sanさん

東2局1本場、親の冨田がリーチ。

一索一索七索八索九索一筒二筒三筒三筒四筒五筒白白  ドラ五筒

立岩さんから追いかけリーチを受けるも一発ツモで4,000オール。ただ1人のプロの生き残りとして意地を見せる。

東2局3本場、今度は追う篠田さんがリーチ。

五万六万六万六万一索二索三索五索六索七索東東東  ドラ一索

七万でツモ。これでも満貫あるので十分だが、裏ドラがなんと東。望外の跳満ツモアガリとなった。

Andyさんも黙っていない。親番でこの4,000オール。

三万四万四索五索六索九索九索五筒五筒五筒六筒六筒六筒  リーチ  ツモ五万  ドラ九索

3人競りの形となり、立岩さんは苦しくなる。

80分プラス1局の時間制限が使い切られる程の熱戦となったが、最後は冨田が700・1,300を決め、篠田さんを交わして2着。最後の椅子を手に入れた。

勝ち上がり Andy-sanさん、冨田久志

 

決勝戦 Andy-sanさん、冨田久志、小泉忠さん、丹野賢一さん

数多くの選手が半年の時間をかけて予選を行い、戦ってきたプロアマオープン競技会もいよいよ決勝。小泉さんの勝負服が異彩を放つ中、開始された。

序盤は小場で進行。全員が30,000点前後で推移していく。東4局、その空気を突き破る様に、冨田がリーチ。

四万五万七万八万九万三索四索五索三筒四筒五筒八筒八筒  ドラ三筒

入り目は四索。手応え十分のリーチ。Andyさんもテンパイを入れるが、冨田を捕まえるまでには至らず、冨田渾身の三万ツモ。3,000・6,000。東場を終えて大きく抜け出した。

南1局。抜け出した冨田であったが、皆、そう簡単には逃してくれないし、諦めもしない。親番のAndyさんが反撃の狼煙。

一万一万七万八万九万二索三索四索五索五索白白白  リーチ  ドラ八索  ツモ一万

冨田に並びかける。続く1本場、丹野さんが三色確定リーチ。

四万五万六万一索二索三索四索五索六索九索四筒五筒六筒  ドラ二筒

九索は捨て牌から非常に良く見え、実際に山に2枚。これに対し冨田が追いつきリーチ。

三万四万五万七万八万六索七索八索二筒三筒四筒北北  ドラ二筒

丹野さんの河に九万があり、現物待ちだが、勝負に出た。親のAndyさんも黙っていない。七対子で追いつくと、こちらも勝負リーチ。

九万九万一筒一筒三筒三筒南南北発発中中  ドラ二筒

枚数では冨田が有利も掴んだのは冨田。Andyさんに4,800は5,100の放銃。勝負に出た結果とはいえ、痛すぎる放銃となってしまった。

リードしたAndyさんは南3局にも1,000・2,000を決め、トップのままオーラスを迎えた。

オーラスを迎えての点数状況は、

Andyさん49,000 冨田19,100 小泉さん22,100 丹野さん29,800

冨田、小泉さんは三倍満ツモ、倍満直撃の条件、丹野さんは親なので、連荘。その親の丹野さんが先制リーチ。

二万三万四万三索四索五索七索八索九索東東発発  ドラ二索

Andyさんとは4,000オールでもまだ変わらず、冨田、小泉さんの条件が厳しいため、先制リーチは非常に有効な場面。だが、その条件が厳しいはずの冨田から、無スジの三索が放たれる。場に緊張が走った。その時冨田はこの1シャンテン。

二万三万四万四万五万五万六万六万七万七万九万九万六索  ドラ二索

リーチツモ、チンイツ、リャンペーコーならばきっちり三倍満だ。プロとしての最後の意地を見せたが、これは実らず。丹野さんが発をツモり2,600オール。

続く1本場、追撃の手を緩めない丹野さん。またもやのリーチ。

二万三万四万七万七万一索二索三索六索七索三筒四筒五筒  ドラ中

五索ツモ。Andyさんからしたら「乗るな!」の心境か。しかし、願いも虚しく、裏ドラは二万。2,600は2,700オールで持ち点は45,700点に。ついにAndyさんを捉えた。

Andyさんは43,700点。その差は2,000点。丹野さんも逆転したとはいえ、まだノーテンで親を流すことが出来るとは限らない。

3本場、手を伏せられる点差を目指し、丹野さんはリーチ。

三万五万七万八万九万七索八索九索二筒二筒五筒六筒七筒  ドラ三索

追い詰められたAndyさんも仕掛けで応戦。

四万五万五万六万六万三索三索四筒五筒六筒  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き

四万の引き合い。その時小泉さんは・・

一万一万一索九索一筒九筒東南西北北白発  ドラ三索

国士無双1シャンテン。どこからの出アガリでも届く・・

しかし、最後の中は小泉さんの手には来なかった。

4本場、ここで最終局となる。決着の時が近づく。丹野さん47,700点、Andyさん46,700点、完全なアガリ競争。先に動いたのは丹野さん。

三索三索四索五索六索二筒二筒三筒四筒五筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  ドラ二筒

Andyさんにも決断の手が。

二万二万四索六索八索八索二筒三筒五筒五筒六筒七筒八筒  ツモ六筒

アガらなければならないAndyさん。上家の丹野さんは絞ることは出来ないので、タンヤオ本線。七対子も逃せないので、トイツにも手をかけられない。Andyさんが、二筒を選択するまで、そう時間はかからなかった。

優勝は丹野賢一さん。攻める姿勢を貫いたことが優勝に繋がったと思います。ご優勝おめでとうございます。

 

100

 

第4回プロアマオープン競技会の予選はもう始まっています。これを読んで興味を持ち、参加してみたいと思われた方がいらっしゃいましたら幸いです。

優勝 丹野賢一さん
2位 Andy-sanさん
3位 小泉忠さん
4位 冨田久志

第193回:プロ雀士インタビュー 沢崎 誠  インタビュアー:齋藤 麻衣子

時は第35期鳳凰位決定戦の真っ只中、巷では前原雄大、魚谷侑未の三冠王という話で盛り上がりをみせていた。現在麻雀マスターズ、マスターズリーグという2つのタイトルを保持し、自他共に認める頑固者であり、自他共に認める超の付く負けず嫌いのこの男が第5期WRCリーグ決勝という舞台に上ってしまったわけである。しかも対戦相手は「あの」前原雄大。過去にも数々の激闘、死闘を繰り広げてきた強敵である。この方が燃えないはずがないという舞台が出来上がってしまった。
私がデビューした時すでにトッププロとしての地位を築かれていたのですが、ちょっとしたご縁でデビュー当時から可愛いがってもらっていたので、あの方の家からは結構遠いのですが、私の家の近くの居酒屋に来てもらう事にしましょう。お酒好きなあの方の事です。美味しいお酒が飲めるのであればきっとどこにでも来てくださるはずです。というわけでインタビュアーは私齋藤麻衣子が務めます。では「あの方」に登場していただきましょう。この方です。

 

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マムシこと沢崎誠プロです。

齋藤「とりあえずWRCリーグ優勝おめでとうございます。わざわざ遠くまで来て頂いたのに、私1人では酔っ払っても絡みづらいと思ったので、キヨちゃん(清原プロ)も呼んでおきました。沢崎さんが酔っ払った頃に到着するようにしておきましたので、それまでにWRCリーグ決勝の話を聞かせて下さい。じゃあまず、対局始まる前から聞かせてください。やっぱり前原さんは意識しましたか?」

沢崎「うん、意識はしたよ、ゴジラはやっぱりつぇえからな笑。但し、前原プロとHIRO柴田君は鳳凰位戦の真っ最中だからかなり消耗してるはず。だから普通にいけば仲田さんと自分の優勝争いになるような気はしてたよ。でも前原プロから意識を外すことはできないよね。」

齋藤「1回戦目トップ、2回戦目2着ときて調子よさそうでしたが、3回戦目も序盤に大きく点棒を増やして好調に見えていたのですが、そこで事件が起こりましたね。(仲田プロへの国士無双放銃)その時の気持ちをお聞かせ下さい。」

 

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沢崎「うん、これで面白くなったと思ったよ。なんてね笑。でもまだトータル2番手にいたし、前原プロとの差も決して届かない点差ではなかったので、勝負はまだこれからだと思ったね。ただ、国士無双をアガった後の仲田さんの攻撃力にはちょっと驚いたよ。まぁ知ってはいたけど、よく勉強してるよね。やっぱり。」

齋藤「それでは最終戦について伺います。特に東1局!圧巻の7本場がありましたが、特に4本場の時のチンイツの4,000オールのアガリが強烈でしたね!」

 

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沢崎「あの一色手はかなり遠かったけど、対局者3人ともかなり攻めの強い人達で、前に出て来る局面だから十分勝負になると思ったよ。だから賛否両論あるみたいだけど自分の中では必然の鳴きだと思ってるよ。」

 

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齋藤「なるほどぉ…(経験値が違いすぎる…)7万点まで持ち点を伸ばして、圧勝ムードも漂ったように見えたのですが、そこからの仲田プロが強かった。で最終的に南2局の裏3の放銃で7ポイントちょっとの差まで来ましたよね?!あれはさすがの沢崎さんでもちょっとクラっときたんじゃないですか?」

沢崎「そうね…ちょっと危なくなったね。ドラの六索暗刻にしての九索勝負なので、ロンは充分想定できたけどまさか裏3で12,000点とはね。」

齋藤「そこから沢崎さんの点棒が削られた事によって、前原プロもかなり近くなり、その後、前原プロのアガリで結局3人の優勝争いでオーラスを迎えてしまいましたよね。」

沢崎「もうこうなったら自分を信じるしか出来なかったので、自分を信じて打ったんだけど、とにかくオーラスに前原プロに鳴かせた発は失敗だったよ。発を鳴かせさえしなければ結果的にはその局で終わってたのに、無かったはずの1局を作っちゃったので正直一度逆転されるのは覚悟してたよ。だから次の局にカン四索の役なしテンパイを入れるんだけど、絶対にアガれないと思ってた。ただ、一度逆転されても必ず連荘で次の局があるので、そこでもう一度逆転する覚悟で戦ってたよ。そしたらまさかのカン四索ツモ。自分が一番ビックリしたよ笑。いつもの前原プロなら間違いなく逆転されてたと思う。だけど、流石のゴジラも鳳凰戦の真っ只中では厳しかったのかもしれないね。」

齋藤「そうですね…じゃあ最後になりますが、沢崎さんの今後の目標って何かありますか?」

沢崎「ないっ!!!笑」

齋藤「それじゃあ締まらないので、若手プロへのアドバイスなどはありませんか?笑」

沢崎「うーん、そうだね…最近の若い子達は型に捉われすぎているように僕には見える。もっと自由に打って欲しい。そして何より楽しく打って欲しいと思うよ。」

〈ここで清原プロ登場〉
ここから更に2時間程麻雀談義に華が咲いたのだが、私にはついて行けず、ただひたすら頷くのであった。

 

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第10期両毛カップ太田リーグ(プロアマ混合) 第6節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 合計
1 森田 雅広 一般 138.6 28.5 5.6   3.4         176.1
2 福田 栄司 一般 76.9 42.2 ▲ 8.9   ▲ 18.2         92.0
3 飯田 雄哉 一般   ▲ 18.2 24.5   43.0 ▲ 20.4       28.9
4 木暮 智貴 プロ ▲ 28.5   62.8   6.8 14.3       55.4
5 吉田 幸雄 プロ   ▲ 10.0 24.6 7.4   24.4       46.4
6 提橋 剛 一般   ▲ 23.1 34.3 26.6 ▲ 23.1         14.7
7 高月 章男 一般   3.5 6.3   ▲ 1.3 7.4       15.9
8 岩間 寿樹 一般 ▲ 16.9 ▲ 10.6 ▲ 40.0   58.1 ▲ 17.1       ▲ 26.5
9 安達 智 一般   ▲ 13.9 30.7   ▲ 37.9 ▲ 23.6       ▲ 44.7
10 中津 真吾 プロ ▲ 52.9 5.3 ▲ 17.0 3.5 23.3         ▲ 37.8
11 小林 晃 一般 4.5 ▲ 22.9   ▲ 37.5 ▲ 12.2 ▲ 18.7       ▲ 86.8
12 水掫 文浩 一般 ▲ 68.8 2.9 ▲ 48.3   2.4         ▲ 111.8
13 高松 伸好 一般 ▲ 52.9 16.3 ▲ 74.6   ▲ 46.3 33.7       ▲ 123.8

何を切る? 2019年3月

第35期鳳凰位決定戦 13回戦 東1局 南家 吉田直プロ

 

 

 

 

■ Twitterで実施したアンケートの結果

 

 

 

■プロ解答

三筒切り

 

 

■プロの視点
吉田直プロ
「高目の九索が3枚飛んでいて六索もそんなによく見えない、さらにドラが一筒ということを考えると、これがフラットな状態であれば七索を切ると思います。
しかし、最終日を迎えて2番手の勝又プロに約80ポイントのリードがあるので、勝又プロの親番では極力リーチをしないように決めていました。
前述の七索切りだと、ドラの一筒四索が入った時、自分のスタイルでこれは勝負手だからと漢のリーチをしかねない(リーチが間違いという訳ではなく、最終日を迎えるにあたっての自分のテーマに沿っていない)。
そこで、ホンイツを見てヤミテンや仕掛けも可能な打三筒を選びました。
ドラの一筒を引いた時は、場の雰囲気で切るか七対子に向かうか判断するつもりでした。」

■終局図

 

 

 

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第19期北陸プロアマリーグ 決勝レポート

2019年2月17日(日)富山市にて第19期北陸プロアマ混合リーグ決勝戦は行われた。
決勝戦は予選通過順位1位40PP、2位20P、3位10P、4位0Pの持ち点スタートでの半荘4回戦。

決勝戦出場選手紹介と決勝へ向けてのコメント

1位通過 獅坂 祐一プロ +40P(32期生、初段)
「いつも通り打ちます」

2位通過 山元 一成さん +20P(一般)
「初めての決勝進出だが、自分らしく打ちたい」

3位通過 後藤 正博プロ +10P(22期生、三段、第1期北陸リーグ4位)
「決勝進出は第1期北陸プロアマリーグ以来なのでぜひとも優勝したい」

4位通過 窪田 一彦さん 0P(一般、第7期北陸リーグ優勝、第3、10、11期2位)
「虚心坦懐で臨みます。」(虚心坦懐…心にわだかまりがなく平静な心境)

決勝戦初出場の獅坂と山元さん、第17期最強位、第1期北陸プロリーグ優勝、をはじめ多くの戦歴を持つ後藤と北陸リーグ優勝と上位経験を持つ窪田さん。

 

1回戦 起家から獅坂、窪田、山元、後藤
東1局 窪田さんがリーチ、タンヤオ・ドラ1の5,200点を後藤からアガる。
東2局 獅坂が仕掛けてタンヤオ・ドラ3の2,000、3,900のツモ。
東3局 後藤のリーチ。流局。
東4局 窪田さんのリーチ、1,000・2,000ツモ。
東場は上位とのポイントの差を詰めようと窪田さん、後藤が果敢に前に出る。攻撃型の獅坂もそれに応戦する形となった。

南1局 親の獅坂がホンイツ・中・イーペーコーの12,000点を窪田さんからアガリ、獅坂の点数は5万点を超える。

一索一索三索三索四索四索五索七索八索九索中中中  ロン五索

南3局 ドラ六索

一万一万二万二万五万五万八万八万六索六索二筒二筒九筒

窪田さんの6巡目のリーチ。九筒は山にありと読んで勝負に踏み切ったようだ。
しかし、親の山元さんも六筒九筒待ちは勝機ありと、8巡目にリーチ。

二万三万四万五万六万七万三筒三筒六筒七筒七筒八筒八筒

軍配は窪田さんに。リーチ七対子ドラ2の3,100・6,100のツモ。窪田さんはこのアガリで持ち点を30,000点に戻す。

1回戦結果
獅坂+29.8P 窪田+5.4P 山元▲14.5P 後藤▲20.7P

トータルスコア
獅坂+69.8P 山元+5.5P 窪田+5.4P 後藤▲10.7P

 

2回戦 起家から窪田、山元、獅坂、後藤
大きくリードを広げた獅坂。しかしこの独走を3人は止めなくてはいけない。
東3局 山元さんが仕掛けてタンヤオ・ドラ3の7,700点を後藤からアガる。
東4局 獅坂が仕掛けて親の後藤のリーチ宣言牌を捕えて3,900点のアガリ。
1回戦から果敢に攻め続ける攻撃型の後藤。しかし打ち込みに回り苦しい展開が続く。獅坂はリードを広げるべく攻撃の手を緩めない。
南1局 山元さんが獅坂から3,900点をアガる。
獅坂はこの3,900点の放銃で持ち点29,500点となり原点を割る。ここから窪田さんが動き出す。

南2局1本場供託2 ドラ二筒 5巡目

二万二万六万七万八万五索六索六筒七筒七筒八筒八筒九筒  ツモ七索

窪田さんの500・800と供託2,000点のアガリ。

南3局 ドラ六索

三万三万四万五万六万六万七万八万六筒七筒  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ツモ八筒

窪田さん、2巡目に二索ポン、5巡目に300・500のツモアガリ。電光石火で獅坂の親を落とす。守備意識の強いバランス型の窪田さん。獅坂が原点を割ったまま2回戦を終わらせる、この仕掛けに窪田さんの意図が感じられる。優勝経験を持つ窪田さんは現時点で最終戦までに獅坂との差をどこまで詰めるのか構想ができているのかもしれない。

南4局 親の後藤の1,000オール。
南4局1本場 山元さんの400・600のツモアガリ。

2回戦結果
山元+17.4P 窪田+8.5P 獅坂▲7.9P 後藤▲18.0P

トータルスコア
獅坂+61.9P 山元+22.9P 窪田+13.9P 後藤▲28.7P

 

3回戦 起家から山元、窪田、獅坂、後藤
獅坂への包囲網は厳しさを増してゆく。

東1局 ドラ七万

一筒二筒九筒九筒東東東  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ポン白白白

親の山元さん、4巡目八筒ポン、8巡目白ポンでテンパイ。

四万五万六万七万七万一筒二筒三筒四筒九筒九筒中中

後藤の手牌。ここへ三筒を持ってきて中を落として回る。アタリ牌の三筒を吸収して3枚目のドラ七万を持ってきてリーチ。

四万五万六万七万七万七万一筒二筒三筒三筒四筒九筒九筒

軍配は17巡目山元さんの三筒ツモ、4,000オール。
山元さんは次局も4,200点をアガリ、持ち点47,200点。

東1局2本場 窪田さんの七対子ドラ2のリーチ。しかし獅坂の2,600+供託1,000点のアガリ。
東2局 獅坂の300・500ツモ。これで獅坂は持ち点を原点に戻す。

東3局 ドラ六筒
7巡目獅坂の手牌

三万三万五万六万七万七万八万七索八索九索二筒三筒六筒  ツモ八筒

獅坂の選択は打七万。その後は→九万西五万東西、この生牌の西を山元さんがポン。六筒東、→東二万八筒八筒を山元さんがポン、四万→打三万リーチ。

二万三万四万六万七万八万七索八索九索二筒三筒六筒六筒

しかし、この宣言牌の三万に山元さんと窪田さんからロンの声。

三万三万二筒二筒四筒四筒四筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ポン西西西

頭ハネで山元さんの5,200点のアガリ。攻撃寄りのバランス型の山元さん、親番で前に出てくる獅坂を仕掛けて捕える。獅坂、頭がドラに振り替わり痛恨の放銃。このアガリで現時点でのトータルトップは山元さんに。

南3局 ドラ六万

二万三万四万六万六万四索五索六索七筒八筒九筒白白

7巡目 窪田さんのリーチ。
一方、リーチを受けた8巡目の親獅坂の手牌。

一索二索三索四索五索七索八索七筒八筒八筒八筒九筒白  ツモ六索

白を打ちリーチと行き、窪田さんへ8,000点の放銃。獅坂は包囲網に捕えられてしまった。
南4局 窪田さんは700・1,300のツモ。このアガリで窪田さんの持ち点は30,000点を越え3回戦も加点に成功する。

3回戦結果
山元+31.0P 窪田+6.6P 獅坂▲14.9P 後藤▲22.7P

トータルスコア
山元+53.9P 獅坂+47.0P 窪田+20.5P 後藤▲51.4P

 

最終戦 起家から、獅坂、窪田、後藤、山元
(最終戦はトータルスコア2位、3位、4位、1位の順)
トータルトップの山元さんとの差は、獅坂▲6.9P、窪田さんは▲33.4P、後藤▲105.3P。1回戦終了時最大で64.3Pのリードを持っていた獅坂。幾度も勝負手を決め2回のトップでそれを凌駕した山元さん。2回戦、3回戦と獅坂のスコアにマイナスをつけることで差を詰めてきた窪田さん。ここまで牌が寄らず苦戦を強いられている後藤。各々が優勝への道を切り拓きながら辿り着いた最終決戦が始まった。

東1局 ドラ三索
親の獅坂、3巡目にしてこの形。

四万五万五万六万四索五索六索七索九索九索一筒四筒五筒

その後六筒九索と引きこむ。

四万五万五万六万四索五索六索七索九索九索九索四筒五筒六筒

獅坂は八索が場に2枚切れも五万切りリーチ。後藤からあふれた七索でリーチ・三色7,700点のアガリ。先制打を決めイニシアティブを取る。

東1局1本場 ドラ東
5巡目 後藤のリーチ

三万四万五万八万八万三筒四筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒

対して獅坂はドラ東2枚の手牌から真っ直ぐに無筋を切り飛ばしてゆく。9巡目に獅坂から打ち出された九筒で後藤はリーチ・ピンフの2,300点のアガリ。

東2局 山元さんが発を仕掛けて後藤から2,000点のアガリ。
東3局 窪田さんが親番で前に出る後藤から5,200点のアガリ。

東4局 ドラ八筒
親の山元さんの手は重く全く進まない。
9巡目 獅坂の手牌

一万二万二万三万四万六万六万七万二索二索三索四索八筒  ツモ七筒

獅坂は二索切りを選択。その後すぐに八万四万を引き込みリーチ。

一万二万三万四万四万六万七万八万二索三索四索七筒八筒   ツモ九筒

14巡目九筒ツモで獅坂、リーチ・ツモ・ピンフ・ドラ1の1,300・2,600点のアガリ。
獅坂は持ち点を40,600点とし、トータルトップで南場を迎える。

ここまでの持ち点は獅坂40,600、窪田32,900、後藤16,100、山元30,400。
現在の順位点を含めたトータルスコアは、獅坂+65.6P、山元+55.3P、窪田+26.4P、後藤▲73.3P。

南1局 ドラ五万 親獅坂
4巡目、窪田さんのリーチ。

二万二万一索一索一索一筒二筒三筒南南中中中

獅坂の手牌
二万四万四万七万八万四索五索六索二筒二筒三筒四筒五筒

ここへ南を持ってきてツモ切り。窪田さんへリーチ・ダブ南中の8,000点の打ち込み。
獅坂の最後の親番が終わる。

南2局 ドラ六索 親窪田さん
3巡目、またしても窪田さんのリーチ。

二索三索四索五索六索七索八索九索四筒四筒五筒六筒七筒

親のピンフ・ドラ1、高め一気通貫のリーチ。一索ツモなら6,000オールまである。

二万三万四万四索六索一筒一筒一筒七筒八筒九筒発発

リーチの現物がなく役なしテンパイの獅坂、この手牌に一索を持ってくる。テンパイ維持しそのままツモ切り。窪田さんのリーチ・ピンフ・一気通貫・ドラ1の12,000点の大きなアガリ。窪田さん、2局で獅坂から20,000点をアガる。持ち点を52,900点とし、獅坂をかわし、トータルトップの山元さんまで一気に詰め寄る。

南2局1本場 窪田さんの1,100オール。現時点で山元さんをかわして窪田さんがトータルトップに。

南2局2本場 ドラ八筒
5巡目の親の窪田さんの手牌、三暗刻のテンパイ。

三万四万七万七万七万八索八索八索五筒五筒北北北

ここへ四万を持ってきて、三万切りでトイトイ・三暗刻のテンパイに変化。この三万を獅坂がポン。すぐに窪田さんはツモ切りリーチ。リーチの段階では四万は獅坂に1枚、五筒は山元さんに1枚。途中、四万は後藤の元へ。残り1枚の五筒は山に奥深く眠ったまま流局。3者は窪田さんの開かれた手を見て肝を冷やしただろう…。

南2局3本場供託1 ドラ四筒
序盤に山元さんが二万をポン。つづいて獅坂が山元さんから発白を仕掛ける。獅坂の発の仕掛け後も白中が見えていない。その状況で山元さんが白を打ち出した。攻撃寄りのバランス型の山元さんが前に出たということは中とドラ四筒も持っている可能性が高い。一方、役牌2フーロの獅坂はマンズしか打ち出しておらず一色手ならソウズ、ピンズかは判断しにくい。ドラが四筒のためピンズに寄せているのでは?そう推測したのかもしれない。窪田さんから六索が打ち出された。獅坂の手牌にピンズはなくソウズのホンイツ・白発の8,600点のアガリ。このアガリで獅坂は息を吹き返した。

一索二索三索四索五索東東  ポン白白白  ポン発発発

現状のトータルスコアは、獅坂+51.6P、山元+47.7P、窪田+46.6P、後藤▲75.9P。
1局進むごとに3者の順位が目まぐるしく入れ替わる。

南3局 山元さんのリーチ。一人テンパイで流局。

南4局1本場供託1 親は山元さん。
現在の点数状況は獅坂29,600、窪田47,100、後藤12,500、山元29,800。窪田さんの1人浮きの状況であるが、獅坂、山元さんは何をあがっても浮きに。
現状の順位点込みのトータルスコアは山元+52.7P、獅坂+43.6P、窪田+49.6P、後藤▲76.9P。
親の山元さんは全員ノーテン流局であれば優勝であるが、アガリに向かい1人ノーテンでも伏せられる状況を目指したい。
獅坂は1本場と供託1,000点があるので1,000点をアガリ浮きの2着とすれば優勝。
窪田さんは山元さんと3.1P差で1本場と供託1,000点を加味すると1.8P差。2,000点のアガリ、もしくは山元さんから1,000点のアガリで優勝。
大接戦のオーラス。

ドラ七索
7巡目、最初に仕掛けたのは親の山元さん。窪田さんから打ち出された五万をポン。

五万六万七万二索三索五索五索六索白白  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  打三万

この三万を獅坂がチー。片アガリの中待ちのテンパイ。

九万九万一索二索三索七索八索九索中中  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き  打六万

9巡目、窪田さんが獅坂の打った発を仕掛ける。

一万一万二万四索五索一筒一筒五筒六筒七筒  ポン発発発  打二筒

11巡目、山元さん、一索チーで片アガリの白待ちテンパイ。

五万六万七万五索五索白白  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  打六索

12巡目、窪田さんが獅坂の打った一万をポン。三索六索待ちテンパイ。

四索五索一筒一筒五筒六筒七筒  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン発発発  打二万

この時点で白中は2枚ずつ山。

そして13巡目。山元さんの手から河に中が放たれた。

第19期北陸プロアマ混合リーグ決勝戦。その終止符を打ったのは獅坂。
最終戦を終えた獅坂は大きく息を吐いた。苦しく長い戦いの末、やっと安堵の息をこぼすことができたようだ。優勝おめでとうございます。

優勝 獅坂 祐一プロ +53.9P
準優勝 山元 一成さん +47.4P
第3位 窪田 一彦さん +45.6P
第4位 後藤 正博プロ ▲76.9P

出場選手の皆様本当にお疲れ様でした。

 

gpmax2018

 

リーグ戦を第1節から攻め抜き首位を走り続け決勝まで辿り着き、決勝戦も攻め抜く姿勢は変わらず多くの失点を乗り越え不屈の意志で優勝を勝ち取った獅坂プロ。
多くの勝負手を決め勝ち取った2度のトップ。しかし、その裏にはアガリの回数より多い忍耐があったと思います。局面を見極め、幾度の勝負手を決めた山元さん。
局面に合わせて打点を見た手作り、スピードを意識した手作り、山読み、変幻自在に使い分け獅坂プロを追い詰めた窪田さん。
終日牌が寄らず後手に回るも機を窺い勝負手を作り攻め続けた後藤プロ。
個性がぶつかり合う本当に素晴らしい決勝戦でした。レポート担当という形でこの決勝戦に立ち会う事ができた幸運に感謝しています。
このレポートで4名が優勝への道を切り拓く様子を上手く伝えられているか不安ではあります。

リーグ戦は苦難に満ちています。それを乗り越えた先の決勝戦は苦難を乗り越えた者が激しくぶつかりまた苦難を味わいます。しかし、我々はなぜその苦難にあえて挑むのでしょう?その答えは卓上にある、と私は思っています。私も16期の決勝戦を経験し、答えの一端に触れました。決勝戦という頂の卓上に待つ答え。多くの方に感じてほしいと願っています。
2019年3月より第20期北陸プロアマ混合リーグが始まります。
是非、ご期待ください。

拙い文章に最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。
北陸支部33期生 成田 理良

第9期麻雀グランプリMAX二次トーナメント

2/17に開催された麻雀グランプリMAXの二次予選の様子をレポートしたい。
なお、各卓組の前半2名が二次予選からのシード、後半2名が前日の一次予選勝ち上がりの選手となっている。(※ 敬称略・全5回戦で各卓2名勝ち上がり)

1卓:森山茂和・武田裕希・荒正義・客野直

この卓は、大ベテランVS中堅の組み合わせとなった。
もしくは、高打点の森山&武田VS捌きの荒&客野という見方もできるか。
武田は麻雀マスターズでの準優勝があったが、マムシの毒が抜けないのか(優勝は沢崎)リーグ戦はB1、B2を連続降級。この戦いが復活のきっかけとなるか。

 

gpmax2018

 

初戦トップ、2戦目も45,000点のトップ目で迎えた客野。
南4局の親番でこのアガリ。

六万七万八万三索三索四索五索六索六索七索八索六筒七筒  ツモ八筒  ドラ六筒

おしとやかな客野にしては珍しく6,000オールの声が響く。

その後も攻撃の手を緩めず5本場まで積み、70,000点オーバーのトップ。
2回戦で通過を決めてしまった。

2回戦終了時
客野+72.2P、武田▲13.3P、荒▲28.7P、森山▲30.2P

もうひと席の争いも早々に決着が訪れる。

3回戦東2局 武田

六万六万六万八索八索一筒一筒一筒三筒三筒発発発  リーチ  ツモ三筒

この展開では、百戦錬磨の森山・荒でも為す術がない。ここで、敗退となってしまった。

1卓勝ち上がり:武田、客野

 

 

2卓:仲田加南・山田浩之・藤原隆弘・伊藤鉄也

現女流桜花の仲田、1年前はやや不調なのかと筆者は感じていた(それでも女流桜花を防衛するのだが)。
今期は女流桜花圧勝、その他にも先日のWRCで準優勝と充実が伺える。
山田はマスターズ4位、A2リーグは最終節で捲くられ昇級を逃す、とやや悔いが残るシーズンであったか。(十分輝かしい戦績ではあるのだが・・・)
藤原は、A2リーグ6節までマイナスと不調だったが、後半スコアを回復し+33.9Pの8位で終了。
どうやら手牌に恵まれなかっただけで、マイナスを最小限にするようきっちり仕事はしていたようだ。
伊藤は、中部プロリーグを優勝。前期にC1リーグに昇級している。

 

gpmax2018

 

開局は藤原の11,600点、次局は仲田の12,000点。
山田の表情が曇るが、実は両方とも放銃は勝負手だった伊藤。
対照的に伊藤はまだまだ始まったばかりと、元気よく点棒を払うそのポジティブさは勉強になる。

3回戦終了時
仲田+46.4P、山田+12.9P、藤原▲7.7P、伊藤鉄▲51.6P

4回戦、山田が役役ホンイツの11,600点を藤原からアガって勝負あり。

藤原「昨日、今日とトップが遠かった。昨日はノートップでもなんとか通過したけど、そう連日うまくはいかないね」
伊藤「全然アガリに結びつかない日だったね。3回戦で辛うじて浮いて可能性を残すので精一杯だった」

2卓勝ち上がり:山田、仲田

 

 

3卓:黒沢咲・伊藤優孝・近藤久春・ダンプ大橋

十段位決定戦3位、Mリーグでセレブが知れ渡ってしまい吉●家に入ることができない黒沢と
今期もA1リーグで華麗な技しぶとい生命力で視聴者を魅了した伊藤がシードで登場。

 

gpmax2018

 

初戦はダンプがトップ、2戦目、3戦目は黒沢がトップと2人を中心に進む展開。
しかし近藤も勝負所の4戦目を制し、3人勝負の最終戦に持ち込む。

4回戦終了時
黒沢+33.6P、ダンプ+27.5P、近藤+24.0P、伊藤優▲86.1P

最終戦南3局、10,000点を追いかける立場の黒沢、最後の親番4巡目

一万三万二索二索三索一筒二筒三筒発発  暗カン牌の背中中牌の背

今日一番のセレブ手牌となったが、近藤が的確に仕掛けて親落としに成功。
ダンプと共に勝ち上がりを決めた。

3卓勝ち上がり:ダンプ、近藤

 

 

4卓:HIRO柴田・勝又健志・菊田政俊・奈良圭純

鳳凰位決定戦2位、3位のHIRO柴田、勝又が登場。
王位戦準優勝&天翔位(東北プロリーグ)優勝と今季大活躍の菊田と第2回のグランプリ決勝に残ったことがある奈良との組み合わせ。

 

gpmax2018

 

1回戦、HIRO柴田は、オーラス親の菊田に5,800点、オーラス2本場には奈良に8,000+600点の放銃で20,000点の3着。
こういう転落は後々響くなー、本調子じゃないのかなーという筆者の心配は浅はかで、2戦目以降も着実に加点し好位置に。
逆に勝又は、点数状況から不利な勝負を余儀なくされ、早々に脱落するという不遇な展開。

3回戦終了時
菊田+32.2P、奈良+24.2P、HIRO柴田+20.8P、勝又▲77.2P

4回戦、親の奈良の6巡目

三万三万四万五万六万三索四索五索六索七索七索八索八索  リーチ  ドラ三筒

ヤミテンにして二索八索を入れ替えてリーチ。
一通の変化ではなかったが、これでも高めで決まれば抜け出せる会心のアガリとなるはずが、

南家菊田
四索六索七筒八筒九筒南南南西西  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き  ロン五索

これには奈良もガックリ。

以降、奈良は受けに回ることが増えてしまい、最終戦オーラスもこのテンパイ止まりで敗退となった。

四万四万四万九万九万四索四索四索六筒六筒六筒白白

4卓勝ち上がり:HIRO柴田、菊田

 

 

5卓:佐々木寿人・藤島健二郎・紺野真太郎・西川淳

同世代が揃った5卓。ライバル意識があったりするのだろうか?
最後まで目の離せない展開だった。

 

gpmax2018

 

3回戦終了時
紺野+33.5P、西川+33.2P、藤島▲28.4P、佐々木▲38.3P

上下が分かれて迎えた4回戦、最終戦を現実的な差(約30ポイント差)としたい藤島、佐々木だったが、オーラスはこの点数状況。
(親から)紺野45,100、藤島32,000、西川21,400、佐々木22,500
西川がラス目とはいえ、このままではあまり差が詰まらない。(藤島でも約40ポイント)

しかし、佐々木の一撃が炸裂。

四万五万五索五索六索六索七索七索三筒三筒六筒六筒六筒  ロン三万  ドラ六筒

紺野の親リーチの現物で西川を1人沈みにする値千金の8,000点。
勝負は最終戦に。

4回戦終了時
紺野+55.6P、西川+4.3P、藤島▲26.4P、佐々木▲33.5P

最終戦、東1局は藤島が2,000・4,000を西川に親被りさせると
南1局には6,400をアガリ、西川を逆転。

迎えた南2局、親の藤島の先制リーチ。
牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背  リーチ  ドラ九筒

追う立場の西川はアガれば跳満の勝負手。

九万九万三筒三筒三筒九筒九筒  ポン南南南  ポン白白白  ドラ九筒

残り2巡、西川ツモ六筒。大長考。
いやいや、この手牌でオリることなんかない。
この手を逃したら逆転できないかもしれ・・・・打九万!。

藤島の最終ツモは九万!流局。
そして開かれる藤島の手牌。

一万二万三万三索三索四索五索六索五筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  ドラ九筒

唖然。

そして次局、中ホンイツドラの2,000・3,900をツモアガリ再逆転。
勝利の女神は西川に微笑んだ。

5卓勝ち上がり:紺野、西川

以上で2次予選勝ち上がりの10名が出揃った。
ベスト16からのシード選手はこちら。
前年度優勝 前原雄大
鳳凰位 吉田直
十段位 内川幸太郎
マスターズ、WRC沢崎誠
王位、日本オープン 魚谷侑未
ポイントランキング1位 藤崎智

組み合わせ
A卓(2/26) 前原、客野、山田、西川
B卓(2/27) 吉田、武田、仲田、紺野
C卓(3/5) 内川、藤崎、ダンプ、菊田
D卓(3/6) 魚谷、沢崎、近藤、HIRO柴田

第192回:天空麻雀20男性大会優勝特別インタビュー 荒 正義  インタビュアー:増田 隆一

第20回と言う記念すべき「天空麻雀」が行われた。表舞台で闘う選手はもちろん、テレビ局関係者や、撮影現場のスタッフ、そして楽しみにしてくださる視聴者の方、全ての人たちの支えで、20回と言う放送回数を迎えられたのであろう。素晴らしいことである。そして、この舞台で優勝したのは荒正義。
早速、荒にアポイントを取り、インタビューを行わせてもらうことになった。

 

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“入り方”

 

増田「まずは優勝おめでとうございます!」

荒 「ありがと!」

増田「早速なんですが決勝のメンツを見て、何を感じましたか?」

荒 「(仕掛けの多い)灘さんが入ってて、真っ直ぐなチームガラクタ(※前原、ヒサト)2人でしょ?やりづらいなと」

増田「少しでも気を抜いたらすぐに置いていかれそうなメンツですもんね」

荒 「前原、ヒサトのリーチには、自分が1シャンテン以上なら打ち抜いちゃおうと思ってたね」

増田「なるほど。そして1回戦、淡々と進み、3着ながら、それ程トップの灘さんと差もなく終わりましたね」

荒 「1回戦目は何もなかったでしょ?原点で3着かよと。まあ見せ場は2回戦だから(笑)」

増田(あっ、1回戦目の話は終わったのね。実に荒さんらしい)

 

 

“風を掴む”

 

増田「なるほど(笑)。そして2回戦」

荒 「どうせトップは絶対だから。その上で灘さんを3着にすれば優勝と。点差も大してないし、どこかで1回噴き切ればいい。リーグ戦不調だからその分、他は全部勝つ気でいるから(笑)」

増田(2回戦目に入る時の心構えを聞こうとしていたのだが、質問する前に答えてくれた。よく場面が見えてて流石です!)

荒 「カン五筒ツモで、ちょっと風(キッカケ)を掴んだかなと」

 

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増田「待ちがドラの表示牌とキツく、三色の手替りもあるなど、ヤミテンにしたくなる要素もありますよね?」

荒 「様子見も兼ねて、親で連荘してる灘さんの押さえ込みに行ったんだよね。どこかで風を掴んで一気に決めないとやられちゃうから」

増田「それが功を奏し、さらに加速する12,000と」

 

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荒 「コッチはもちろん知る由もないんだけど、終わった時にヒサトがなんだよチクショウって言ってたよ(笑)」

増田「向こうからは開いた手を見て、五索が出ない形になったの分かりますからね」

 

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荒 「そして6,000オールと。95〜97%くらいは決まったと思ったな」

 

 

“感性と葛藤の話”

増田「その次局、アガリ逃しがありましたよね?確かに一筒四筒が4枚切れですが、荒さんは勢いのまま行き切るかなと思ったんですが?」

 

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荒 「ああ、あれね。感覚的には負けないと思ってるんだよ?感性がそう言ってるから。でも、(ほぼそのままで勝ちの状況で)4枚切れで追い掛けて、もし負けたら何を言われるか分からないじゃない?普段の麻雀ならトドメだから行き切るよ。この辺はテレビ対局の葛藤だよね」

増田「それ言っちゃっていいんですか?」

荒 「プロが感性だけでなく、そう言う葛藤とも戦ってるって見てる人が知ったら面白いじゃない?面白ければいいんだよ。あ、今日喋ったことは何書いてもいいからね(笑)」

増田(さすがのサービス精神です…)

 

 

“灘さんへの想い”

 

荒 「その後の灘さんのヤミテンは見事だったな。コッチは点差的に絶対リーチに来ると思ってるから。まさかヤミテンにするとは思わないじゃない」

増田(あ、別の局に移ったのね)

 

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増田「確かに、追う立場があそこでヤミテンはないと思いますよね」

荒 「あの辺りのセンスって言うか、感性っていうか凄いんだよね。小島先生も死んじゃったし、灘さんにはたとえ弱くなっても元気で麻雀を打ってて欲しいな…」

少し話は逸れたが、その後のオーラス勝負、荒は見事にアガリ切り、第20回「天空麻雀」優勝の栄冠を手に入れた。

 

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“プライベートの話”

 

増田「読者の方が、テレビや雑誌などで、荒さんを見かける機会は多いと思うんですが、プライベートでは最近何かありましたか?」

荒 「猫が3匹死んじゃって、まあみんな20歳以上で老衰なんだけど、ときどき落ち込むんだよな…でも、犬のエマが死んだ時が一番落ち込んだな…」

増田「それは辛いですね…」

荒 「キーホルダーにして持ち歩いてるんだよね」

 

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私も数年前、実家の犬を看取ったことがある。老衰とは言え、ペットとの別れは辛いものだ。荒は私との間に流れたしんみりとした雰囲気を感じ取ったのか、イタズラっぽく笑いながら…

荒 「エマは勝又くんに似てるんだよね。ブログで書いたら本人喜んでたよ(笑)」

増田「それ見ました(笑)」

荒 「でもさ、エマが死んだの勝又くんに伝えてないんだよね。気落ちするかもしれないし、勝負前にそんなこと言えないじゃない」

増田(最後は笑い話にして雰囲気を変える気配り。これだけ空気が読めるから、当たり牌も止まる訳だ。それにしても、勝又もまさかこんな所で話題にされるとは思うまい…)

 

 

“高齢者の星”

 

荒 「じゃあそろそろメシ食べようか」

増田「ご一緒させていただきます」

食事中のたわいも無い話のどこから繋がったのかは記憶にないが、荒がふと話したこんな会話が頭に焼き付いている。

荒 「仲間でも、奥さんでも誰でもいい。1人でもいい。応援してくれる人がいるだけで力になり、ファイトが湧く。その人だけは絶対に見てるから、いい麻雀を見せたい。66歳からタイトルを1、2個は取って、まだがんばれるぞという応援歌として、高齢者の人たちにがんばりを与えたい」

どんな世界でも、同年代が一線級でがんばる姿は励みにもなり、がんばりの素となると思う。

 

 

“気配りの人”

 

インタビューの最中、荒は何度も「ボリューム足りた?」(※この内容で必要文字数に達する記事を書くことが可能かという意味)と繰り返していた。後輩が記事を書くにあたり、困らないかを気遣う、実に荒らしい言葉である。

 

 

“荒に向けて”

 

最後になったが、荒が灘に思う気持ちと同じで、私も荒にいつまでも元気で麻雀を打っていて欲しいと切に願う。まだまだ強くいてくださいと、一言だけ我儘を添えて…

『麻雀格闘倶楽部 GRAND MASTER』設置

コナミアミューズメント 愛知県の「木曽川老人いこいの家」に協力

詳細はこちら

第1期雪華王戦 決勝観戦記 楠原 遊

[プロローグ]
去る12月16日、北海道札幌市。
その日、日本プロ麻雀連盟北海道本部のリーグ戦である雪華王戦の最終節が行われていた。

 

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今期からA・B・Cの3リーグに分かれたプロリーグ。
どのリーグでも昇降級を懸けた熱い戦いが繰り広げられていたが、注目はやはりAリーグ。

すでに1位で勝ち上がりを決めた加藤晋平を除く、8名のAリーガーのうち上位の選手のポイントは以下の通り。

2位 浦山祐輔 164.4P
3位 喜多清貴 36.5P
4位 山屋洋平 34.8P
5位 西野拓也 ▲19.4P
6位 石田雅人 ▲28.3P

ここから決定戦に進出できるのは3名。
大きくプラスをしている浦山を除いた喜多から石田までのポイント争いとなる。
はじめは現在上位4人の直接対決、次の1試合ごとにはトータルポイント順で3・4回戦は同じメンバーでの対局となる。

1回戦、逃げる立場の喜多が1着1着、山屋が2着2着を取ると、追う立場の西野は別卓の石田と交代。
昨年度決定戦進出であった石田は3回戦、自身がトップを取り喜多を4着に沈めるも、4回戦はポイントが足らず上位には食い込めなかった。
結果、スタート時のポイントどおり、浦山・山屋・喜多そして1位通過の加藤の4名の決定戦進出が確定した。

おのおのポイントに応じた戦い方をしていた最終節だが、どの選手も決定戦への強い思いを持って試合に臨んでいることがよくわかる対局であった。

そして年が明けた1月30日、いよいよ訪れた決戦の日。選手4名が日本プロ麻雀連盟・夏目坂スタジオに集まった。

第一期雪華王決定戦は22時からの全編無料生放送。
チャンネル初、いや麻雀の生放送番組初かもしれない時間帯からの新しい試みである。
北海道はもちろん、全国の視聴者が見守る中、第一期雪華王を決める戦いの火蓋は切って落とされた。

 

100

 

1回戦(起家から加藤晋平→喜多清貴→山屋洋平→浦山祐輔)※文中全て敬称略

東1局1本場
開局は、親の加藤のリーチに、仕掛けを入れていた浦山が5,800の放銃でのスタート。むかえた1本場

 

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山屋洋平 33期生 AB型 前回である第52期北海道プロリーグ優勝
3位通過で決定戦進出。プロ歴はもっとも浅いものの、雀暦35年と経験値は豊富。
駆け引きを使い、臨機応変に戦う彼の麻雀は「サイコロジー」麻雀と呼ばれる。
対戦相手のみならず、見るものまで翻弄する彼の麻雀は、今回の戦いでも台風の目になるだろう。

注目は4巡目、西家・山屋の手牌。

 

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三万四万四万六万八万二索三索四索六索八索四筒白白  ツモ三筒  ドラ七索

ここから山屋の選択は四万。ここは手役を見て6ブロックに構える。
そして次巡放たれた白をスルー。昨年度、そして最終節で見た山屋であったらまず仕掛けていたのではないかという牌である。

そこに9巡目、テンパイを入れたのは南家・喜多。

五万七万八万三索三索五索六索七索五筒五筒六筒六筒七筒  ツモ四筒

この雪華王決定戦は、全ての地方プロリーグと同じ、一発裏ドラなしの連盟公式ルールで行われている。
五万を切ればピンフドラ1、リーチもあるか。八万を切ればタンヤオ三色ドラの満貫手、こちらはヤミテンとなりそう。
場には九万が1枚切れのみ、ここで喜多の選択は八万切りヤミテン。じっと六万を待つ。

10巡目、追いついたのは山屋。

三万四万六万六万二索三索四索六索八索二筒三筒四筒南  ツモ七索

トイツの白も落とし、高め三色のタンピンをこちらはリーチ。奇しくも三色対決となったが、ここで場を制したのは山屋。
しっかりと二万をツモアガり、3,000・6,000は3,100・6,100。
ここはメンゼンでしっかりと手を作り大きなアガリとする。

東2局1本場
6巡目、北家・加藤が北をポンしてこの形。

五索五索七索八索一筒一筒三筒三筒六筒六筒  ポン北北北  ツモ五筒  ドラ八索

ここから一筒五索のトイツ落としではなく打六筒。この選択がうまくいきすぐに三筒もポン。
対照的なのは南家の山屋。

三万四万六万八万四索八索四筒四筒七筒八筒九筒南南

5巡目、1枚目の南はスルー。やはり戦い方が変化しているか。そこにテンパイを入れたのは親の喜多。

五万五万二索三索四索六索七索二筒二筒二筒八筒八筒八筒

高めがドラの手。ヤミ・リーチどちらの選択もあるが、五索が2つ仕掛けている加藤の現物であることもありここもヤミテン。
すぐに五索を浦山からアガリ2,000点。冷静に場を見た上での選択、連荘に成功。

東2局3本場
続く親の喜多が発をポンして手を進める。
しかし真っ先にテンパイを入れたのは西家・浦山。

六万六万四筒五筒五筒六筒七筒白白白  チー八索 左向き七索 上向き九索 上向き  ドラ五万

悪い形をさばいてここは親をかわしてゆきたいか。

しかし北家・加藤にもアガリたい手が入っている。

 

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6巡目、ターツの選択となった。
八筒が自身から4枚見えているゆえに九筒の景色も良さそうではあるが、ここで加藤が選んだのは八筒
二筒五筒の二度受けを残したのはこの手の最高打点を見てであろう。

そしてすぐに二筒を引き入れリーチ。テンパイを入れた喜多から二筒を討ち取り8,000は8,900のアガリ。
しっかりと打点を見た選択が型にはまった加藤らしい1局となった。

南1局
2巡目、西家・山屋が仕掛けを入れる。

四万四万五万九万九万五索六筒七筒東東  ポン中中中  ドラ八筒

この日はじめての1鳴き、4万点持ちの加藤の親番であり、メンゼンでの打点向上もあまり無い手であることも大きいか。
そして北家・浦山も2巡目、三筒のポンテン。

七万八万八万九万九万七索七索北北北  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き

ここからすぐに七索もポン、北を暗カン。トイトイ・北の理想的な変化。
その2人の仕掛けを受け親の加藤は一旦迂回。
その間にテンパイを入れていた山屋がツモ400・700。加藤の親番と浦山の勝負手、ともに流した値千金のアガリ。

南4局2本場
各者の持ち点は
加藤39,200 喜多23,600 山屋44,500 浦山11,800

ここまで苦しい展開が続いた親の浦山、ここで復活なるか。
しかし5巡目、山屋が仕掛けを入れる。

三万四万二索四索九索九索六筒七筒八筒発  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ドラ六索

昨年度の戦いではもうずいぶんと視聴者を沸かせた山屋らしい仕掛け。ここからの展開に注目が集まる。
そこに12巡目、親の浦山、

四万五万六索六索一筒二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒

この手をここまでミスなく育てリーチ。ツモ六万で4,000オール。大きく点数を回復した。

しかしその連荘も、3本場、山屋がアガって1回戦を終わらせる。

1回戦結果 山屋+26.9P 加藤+8.9P 浦山▲8.6P 喜多▲27.2P

 

 

2回戦(喜多→浦山→山屋→加藤)

前年度覇者・山屋が1回戦トップを取った。
ゲーム進行が巧みな打ち手であるだけに、追う3者からするとこれ以上のアドバンテージを持たせるわけにはいかない。
各者どのように打ちまわしてゆくのか、注目してゆきたい。

東3局
その山屋の親番、加藤が場風の東から仕掛けてゆく。
そして西家・喜多にはドラ3の手が入る。

 

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7巡目のテンパイ。役なしの、場には切られていない八筒待ち。
この手を一旦ヤミテンとする。ドラ3のアガリたい手だからこそのさらなる変化を見たか。
そして次巡、2枚目の五筒が見えたことを機にリーチに踏み込む。
その宣言牌の中をポンしたのは北家・浦山。

四万五万六万七万八万発発  チー七万 左向き五万 上向き六万 上向き  ポン中中中  ドラ七索

1巡後さらに七万をチーしてホンイツのテンパイ。3人がかりで山屋の親に向かってゆく。
このめくりあいを制したのは喜多。ツモって2,000・4,000のアガリ。
1回戦4着スタートであった喜多、ここで反撃の狼煙となるか。

東4局

 

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喜多清貴 28期生 B型 4年連続、5回目の決定戦進出
いわずと知れた北海道本部長。
今期北海道プロリーグでは、決定戦進出が危うくなった8節に4連勝、4位通過を決める。
アンケートの好きな麻雀プロの欄には「セレブ打法MAXの強気のヴィーナス(黒沢咲プロ)」とあるように、公式ルールならではの高打点ベースの手作りと、合間に入れるかわし手のバランスが非常に巧妙な選手。
意外にも北海道プロリーグ優勝経験はなし。悲願の初優勝なるか。

4巡目、喜多の手。

 

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4巡目、ターツはあるもののまだまとまっていない手。
手材料はあるため、ツモが大きく伸びれば純チャンや三色、ドラを使った手も見える。
いったん九万を1枚外して、手牌の成長を見る。

そして前局おとなしかった北家・山屋が5巡目にリャンメンチー。

二万二万三万七万八万七索八索九筒白中中  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ドラ八筒

現状まだメンツの無い手だが、ここも躊躇なく仕掛けてゆく。
山屋の鳴きは、時にアガリではなく他家へのプレッシャーや、自身の手のカモフラージュなど様々な目的がある。
対戦相手はそれは理解しつつも、そのときの仕掛けがどの目的によるものか、対応するものなのか無視するものか、常に選択を迫られる。

7巡目、一番にテンパイを入れたのは西家・浦山。

六万八万八万一索二索三索三索四索五索六索七索八索八筒  ツモ六筒

一通やタンヤオ、ピンフなど様々な変化がある手はセオリーどおりの役なしヤミテン。
10巡目、追いついたのは喜多。

七万八万九万一索一索七索八索九索一筒二筒三筒七筒八筒

高め純チャン3色のピンフドラ1をしっかりとヤミテン。
山屋にもほどなくしてテンパイが入る。

二万二万六索七索八索中中  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き

そして14巡目、最後にテンパイを入れたのは親の加藤。

六万七万九万九万三索四索五索四筒四筒四筒六筒七筒中  ツモ八筒

待望のドラツモであるが、余り牌の中は仕掛けている山屋のアタリ牌。
喜多の大物手も万事休すと思われたが、ここは取らずの九万切り。
事前のアンケートでもこの決定戦を「絶対に負けられない戦い」と語っていた加藤。
親番のテンパイではあるが、他家からのテンパイ気配も濃厚、ここはまだまだ勝負どころではないと踏んだか。

そして局が続いたことにより、アガったのは喜多。

七万八万九万一索一索七索八索九索一筒二筒三筒七筒八筒  ロン九筒

12,000に振り込んだのは役ありテンパイに変化していた浦山。1回戦に引き続き苦しい展開が続く。

 

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浦山祐輔 21期生 A型
2位通過で決定戦進出。第44期北海道プロリーグ優勝、第42期王位戦第3位・第43期王位戦第5位。
3年ぶりの決勝進出を決めた浦山。近年は王位戦での活躍もめざましく、北海道本部を代表する打ち手といえる。
21期入会とプロ歴も長く、公式ルールのお手本ともいえる打点をつけた中終盤でのアガリは同卓者にとって大きな脅威となりうるだろう。

南2局
6巡目、こんどは親の浦山にチャンス手。

二万三万四万五万六万七万五索六索七索四筒四筒五筒七筒  ドラ五万

現在14,000点持ちのラス目。この手をアガればまだまだこの半荘分からない。
しかしここは他家にも動きが入る。

南家・山屋

六索八索西西西中中  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き

このテンパイからさらに中をポンして六索単騎。

北家・喜多

一万二万三索四索五索七筒七筒  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ポン北北北

10巡目、手を開けたのは喜多。山屋からの1,000点のアガリで、浦山の親と大物手は流されてゆく。

南3局1本場
親の山屋が連荘し、原点復帰した1本場。
北家・浦山の手。

 

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(3巡目、南家加藤が一万をリャンメンチー、6巡目にドラも切っている)

加藤の仕掛けには気になる牌であるが、ここは自身の手の成長を見てトイツの白に手をかける。
そして11巡目に待望のテンパイ。

二万四万七万七万五索五索六索七索三筒四筒八筒八筒八筒  ツモ五筒  ドラ五索

三万は場に2枚見えだがここはドラ切りリーチ。
ここまでも苦しい展開の中、常に打点を意識し、自身の納得できる形で攻撃を繰り出す浦山らしい勝負がたちとなった。
このカンチャン待ちをツモって嬉しい2,000・3,900は2,100・4,000。

南4局
喜多の1人浮きで迎えたオーラス、
10巡目、北家・山屋にテンパイ。

三万四万六万六万五索六索七索四筒五筒六筒八筒八筒八筒  ドラ七索

持ち点26,000点、アガれば原点復帰のリーチをかける。
一方、西家・浦山は前巡からテンパイが入っている。

五万五万六万七万八万六索七索八索三筒三筒四筒五筒六筒

自身は21,200点持ち。手変わりも多い形だけにヤミテンに構えていた。
そこに引いてきたのはドラの七索。山屋のリーチ棒が出ていること、そしてこの牌を押すならと追いかけリーチとゆく。
前半戦の最終局となりうる局だけに、両者の指先にも力がこもる。しかし結果は流局。

2回戦は大きな手をアガった喜多の大トップ。

2回戦結果
喜多+28.4P 山屋▲4.5P 加藤▲9.6P 浦山▲16.3P (供託2.0P)

トータル
山屋+22.4P 喜多+1.2P 加藤▲0.7P 浦山▲24.9P (供託2.0P)

 

 

3回戦(加藤→山屋→喜多→浦山)

いよいよ折り返し、トップ→2着の山屋がトータル首位をキープ。
このアドバンテージ、自身が得意とする勝ちパターンにいかに当てはめてゆけるか。

東2局
親の山屋の配牌はかかなりバラバラ。

三万五万八万二索五索九索九索一筒三筒六筒八筒白発中  ドラ中

この手を五索から切り出しゆったり構える。
そして8巡目、ドラを重ねてすぐに九索をポン、その次巡にはこの形。

 

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そこにテンパイを入れた北家・加藤から中が打たれる。

六万七万三索三索六索七索八索七筒七筒北北北中  ツモ五万  打中

ただただ鳴くばかりの打ち手ならここはポンの一手だが、山屋は鳴かず。
自身の手の内にあるターツ、カン二筒一索待ちに自信があったことが大きな理由(逆に言えば中をポンしてからの待ち選択はかなり難しい)であろうか。
ドラが重なったことにより、この手は山屋にとって「(テンパイではなく)アガリに向かって作り上げる」価値のある手に育ったことは間違いない。

しかしテンパイ打牌のドラに声がかからなかったことにより加藤から次巡、ツモ切りリーチが入る。
手変わりを待つ余裕のない局面と見たか。
そして西家・浦山もテンパイ。

二万三万四万六万七万四索五索六索五筒六筒七筒南南

こちらはヤミテン。加藤のリーチに2者が無筋を押している。
そしてついに山屋にテンパイが入る。

一万二万三万一筒三筒中中  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き

14巡目と時間はかかったが、山には二筒が2枚。加藤と浦山の残り枚数は1枚。
見ているこちらからするといつ山屋がアガってもおかしくないように思えたが、ここは3人テンパイで流局となった。
加藤はリーチをかけてすぐ八筒ツモのリャンメン変化のツモがあり、これをとらえているとアガリもあった局面。
開かれた手を見て何を思ったか。

 

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加藤晋平 27期生 B型 第45期北海道プロリーグ優勝
プロリーグ1位でジャンプアップによる決定戦に進出。昨年度準優勝。
30歳と4名の中では最年少の選手であるが、優勝1回、準優勝2回と実績は確か。
はじめての放送対局となる前年度では全力を出しきれなかった後悔もあるだろう。
自身が標榜する「気持ちの良い攻め」をいかに実践できるかが優勝争いの鍵となる。

東4局1本場

ここまで誰の大きなアガリもなく迎えた浦山の親番。
浦山にはドラドラの手から七筒のポンが入っている。それを受け6巡目の南家・加藤。

一万二万二万三万三万五万六万七万二筒三筒四筒四筒南  ツモ六筒

ここから1枚切れの南を残し六筒をツモ切り。
場に安いマンズにターツを絞り、攻守兼用の南残し。それを次巡重ね、リーチとゆく。
この南重ねは加藤の優れたバランスによる結果だろう。これをツモって2,000・3,900の1本場。
ここでようやくらしいアガリがでたといえるか。まだまだ勝負は分からない。

南1局
トータル首位、山屋の親番。六索をツモってこちらの手牌。

 

100

 

ドラの北はオタ風。ホンイツへの変化を見てカン八万のターツ外しの選択をする打ち手も多いだろう。
ここで山屋が選んだのは八索。加藤の河に並ぶ3枚の九万を見た選択。
そして3巡後、

三万四万七万九万三索四索五索五索六索九索九索北北  ツモ二万  ドラ北

ここでもトイツの九索を外して七万九万は温存。すぐに一索を引きより広い形になりツモ二索
自身の構想どおりのカン八万待ちでリーチ。山に2枚残っていた八万をツモ、3,900オールのアガリ。
山読みと、その自身の読みをしっかりと反映した打牌選択で、他家を引き離す。

南2局1本場
西家・浦山に3巡目テンパイ。

二万三万五万六万七万五索六索七索二筒三筒四筒北北  ドラ八索

山屋の親番を流すヤミテンに構えるも一万四万はどんどん山屋の手に吸収されていく。

一万一万一万四万四万四万八索九索七筒七筒中中中

この手でアガられるも、より高い手への変化も、追う3者には苦しい展開。
しかしここで手を開いたのは喜多。

四索四索七索八索九索一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒九筒  ロン七筒

こちらも連荘を阻止したい加藤からの2,000は2,300で山屋の親番を終わらせる。
しかしアドバンテージを持った山屋はなおさら身軽だ。ここは自身のアガリでトップのまま3回戦を終わらせる。

3回戦結果
山屋+26.7P 浦山▲2.4P 加藤▲9.2P 喜多▲15.1P

トータル
山屋+49.1P 加藤▲9.9P 喜多▲13.9P 浦山▲27.3P(供託2.0P)

 

 

最終戦(加藤→喜多→浦山→山屋)

ついに始まった4回戦。時間は夜中2時半過ぎ。しかしそんな時間でも、生放送の視聴者は少なくない。
山屋が積み上げたポイントはプラス50近く。一体誰が、その牙城に迫るのか。

東1局
雪華王決定戦もまた、プロ連盟のレギュレーションに従い最終戦の座順が決まっている。
起家から、トータル2位→3位→4位→1位。

親の加藤は5巡目以下の手。

 

100

 

ここからのシャンテン数を下げない七万切りを選択。このままテンパイの場合はドラ切りも辞さない構えか。
そしてその3巡後この形。

四万五万五万五索五索八索九索四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ツモ五万  ドラ五索

四万を切ってヤミテンとする。そして次巡ツモ五筒。しかし2巡前に四筒をツモ切ってる加藤、少考してツモ切り。
さらに追いうちをかけるようにツモ五索。ペン七索を外さない選択をしたからこそのこのルートであるが、

五万五万五万五索五索四筒四筒四筒五筒五筒五筒六筒六筒  ツモ五索

5巡目での選択次第では、こんな未来もあったかかもしれない。
実際にはツモ五索八索単騎→白単騎のイーぺーコードラ3のテンパイをヤミテンに構え、その後四索を引きリーチ。

五万五万五万四索五索五索五索四筒四筒五筒五筒六筒六筒  リーチ

そのリーチを受け、場に2枚切れとなった白は、山屋と浦山の手に1枚づつ。
1度逃したアガリの糸口を再びつかむのはこんなにも難しいことであるのか。
そして15巡目、西家浦山もテンパイ。

八万九万一索二索三索八索九索一筒一筒二筒七筒八筒九筒  ツモ七万

対面の加藤が切ったばかりの七索待ち、この七索は山屋と喜多の手にある。

浦山のテンパイ打牌の二筒はリーチの現物でもあり、河は目立っていない。
ここは浦山の出アガリもあるかと思われたが、2人はしっかりとオリに周り、この七索が場に放たれることは無く2人テンパイで流局。

加藤にとっては選んだ道ゆえ後悔は無いとしても、たらればの先があまりにも大きな結果となってしまう局となった。

南3局
ここまで6,400、7,700と連続してアガリを決めトップ目で迎えた浦山の親番。
加藤と喜多の親は流れた。それにより2人が優勝を目指すにはある程度打点のあるアガリが求められることとなった。
親の浦山にとっては比較的連荘しやすい状況となる。
逆に、ポイントで大きくリードしている山屋にとってはこの親を流してしまえば、優勝がほぼ自身の掌中となる大事な1局。

11巡目、浦山のリーチ。

五万五万六万八万三索四索五索五索六索七索五筒六筒七筒  ドラ六筒

これをツモって3,900オール。山屋とのポイント差はあと27.4ポイント。

南3局2本場さらに浦山が1,300オールをツモってつないだ親番、南家・山屋が2フーロ。
しかしここに12巡目、浦山のリーチ。

四万四万四万五索五索七索七索二筒二筒二筒三筒四筒五筒  ドラ北

すぐに山屋がツモってきたのはアタリ牌の五索

三索三索六索八索六筒七筒八筒  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ツモ五索

ここは冷静にオリ。浦山の親を流せるのはほぼ自身しかいないとは思いつつ、ここはまだ勝負どころではないとの判断か。
事前のアンケートでも山屋は、浦山にペースを奪われないように打ちたいと述べていた。
麻雀とは他者との戦いであると同時に、自身の内面での戦いでもある。
焦る気持ちは一切出さず打つ山屋は、しっかりと勝負に向き合っているように見えた。ここは浦山の1人テンパイで流局。

南3局3本場
6巡目、浦山にテンパイ。

三万四万七万九万九万八索八索八索五筒五筒五筒白白  ツモ白  ドラ二索

ここまでの親番、ずっとリーチをかけてきた浦山であったがここはヤミテン。
役満への手変わりはもちろん、山屋からの直撃もある巡目と待ちであることも大きい。
そして目論見どおり

四万五万五万六万八万八万四索四索六索八索八筒八筒八筒

この手から四索をポンした山屋から9,600は10,500の大きな大きな直撃。
ここまで一切隙を見せて来なかった山屋の、よりによって一番痛い局面での大きな失点となった。

ここでトータルポイント逆転、浦山が山屋の3.2ポイント上に立つ。
今度はその差がわずかながら、山屋が追う立場に。

南3局5本場
前局は浦山のリーチに山屋が粘りこみ2人テンパイで流局。両者のじりじりとした戦いが続く。
5巡目、山屋のリャンメンチー。

三万四万六万四筒五筒八筒八筒八筒西発発  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き  ドラ四索

そして7巡目、再び浦山のリーチ。

八万八万二索三索四索七索八索九索五筒六筒七筒七筒九筒

この局何度も行われたリーチ対仕掛けの対決。しかし立場が逆転した以上、山屋もある程度勝負をかけるか。
そんなことを考える間もなく、山屋の手は開かれる。

 

100

 

発でまわりこんだ上で手にした殊勲の300・500は800・1,000。供託は2,000点。山屋の再逆転の瞬間である。

南4局、4,400点差をまくる条件を作る浦山に逆転のテンパイははいらず流局。
長かった4回戦が終わった。記念すべき第一期雪華王に輝いたのは山屋洋平。

最終戦結果
浦山+50.1P 加藤+8.0P 山屋▲21.9P 喜多▲36.2P

最終結果 優勝 山屋洋平
2位浦山祐輔 3位加藤晋平 4位喜多清貴

[エピローグ]

山屋の優勝が決まった瞬間のこと、彼を囲む3人の選手がいっせいに握手を求め優勝を祝福。

 

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決勝戦での対戦相手が、北海道本部で日ごろ研鑽を積み重ねている仲間に戻った瞬間である。
1年間戦ってきたリーグ戦の集大成、各選手が全身全霊で戦ったからこその非常に美しいフィナーレとなった。

 

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記念すべき第一期雪華王となった山屋には、地方リーグチャンピオンシップへの挑戦権も与えられた。
そこを勝ち抜けばグランプリMAXへの出場も待っている。

ぜひみなさんも、これからの彼の活躍を、楽しみに待っていてほしい。

そして来期の雪華王戦もまもなく開幕となる。
そちらについての最新情報は、こちらをご確認いただけたらと思う。

第9期麻雀グランプリMAX一次トーナメント

2019年2月16日(土)、第9期麻雀グランプリMAX一次トーナメントが開催されました。
その年に活躍した選手達が出場する事を許される、まさに今年度を締めくくるに相応しいタイトル戦です。
巣鴨連盟本部道場勤務でお馴染み?のわたくし松本裕也が今回のレポートを努めさせていただきました。

今年度のグランプリMAX一次トーナメントは巣鴨連盟本部道場にて5卓20名で行われました。

 

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A卓(瀬戸熊vs前田vs紺野vs奈良)

鳳凰位3回、十段位3回等タイトル多数、九段シード枠での出場、卓上の暴君こと瀬戸熊直樹。

第31期鳳凰位、第4期グランプリMAX、そして今期A1リーグに見事復帰、ポイントランキング21位での出場、大陸間弾道ミサイルこと前田直哉。

第15期新人王、A1リーグ所属、ポイントランキング22位での出場、連盟チャンネルではみかじめの愛称でお馴染みの麻雀入道こと紺野真太郎。

第20期麻雀マスターズ、第20回BIG1カップ優勝、ポイントランキング34位での出場、奈良圭純。

A卓はAリーガー3人相手に奈良がどこまで戦えるのか。
その奈良が1、2回戦と2連勝を決めスタートダッシュに成功。さらに3、4回戦目も浮きの2着3着と好調の様子。逆に前田は1回戦こそ浮きの2着だったものの続く2、3、4回戦は1人沈みの連続ラスとかなり苦しい展開。紺野、瀬戸熊は数字をまとめトータルポイントプラスで最終戦を迎える。

4回戦までのトータル
(奈良+38.7P、紺野+24.9P、瀬戸熊+4.9P、前田▲68.5P)

そして最終戦。東4局に動きがあった。親番は瀬戸熊。瀬戸熊にとって通過するためには20P差の紺野、33.8P差の奈良どちらかを交わさなくてはならない大事な親番。しかしそこで紺野が通過に大きく近づくアガリを引き寄せる。

二万二万二万五万六万七万四索五索六筒七筒八筒西西  ツモ六索  ドラ西

北家の紺野がドラの西が雀頭のリーチを打つ。これをしっかりツモアガリ、2,000・3,900の大きなアガリ。瀬戸熊に取っては痛すぎる親っかぶり。

しかし南2局に瀬戸熊が魅せる。

二万三万四万四万五万六万六索七索八索三筒四筒五筒五筒

この二筒五筒テンパイだが二筒が3枚切られているためヤミテンを選択。そしてツモ五筒。ツモアガリかと思われたが追い掛けている状況の瀬戸熊は三筒を切ってフリテンリーチを敢行する。

二万三万四万四万五万六万六索七索八索四筒五筒五筒五筒  ツモ六筒

これを成功させ1,300・2,600のツモアガリ。まだ諦めていない瀬戸熊。

だが続く南3局、南4局と奈良がアガリゲームセット。瀬戸熊は無念の敗退となった。

最終成績
(紺野+43.9P、奈良+26.7P、瀬戸熊+0.2P、前田▲70.8P)

勝ち上がり
1位通過 紺野真太郎
2位通過 奈良圭純

 

100

 

B卓(古川孝次vsダンプ大橋vs菊田政俊vs柴田吉和)

過去には鳳凰位3連覇、第3期のグランプリMAXでは準優勝、九段シード枠での出場、サーフィン打法でお馴染みの古川孝次。

第34期王位、第18期新人王、A2リーグ所属、今期ポイントランキング18位での出場、ダンプ大橋。

第13.14.27期東北天翔位、第44期王位戦準優勝。今期の東北天翔位、王位戦準優勝と目覚しい活躍を見せた菊田政俊。

第32期十段位、第28期新人王、第19回モンド杯優勝、今期ポイントランキング33位での出場、逆転の柴田こと柴田吉和。

こちらのB卓はベテランAリーガー2人に今まさに勢いのある若手2人が挑む。

1回戦目はダンプが50,000点オーバーの大きいトップを取り、このまま勢いに乗るかと思われたが、そこから2、3、4回戦と菊田が3連勝でポイントを大きく伸ばし当確ラインへ。柴田はラスは引かないものの、トータルポイントを若干のマイナスで最終戦に望みを託す。そして古川は1、2、3回戦と3連続でラスを引いてしまい大失速。4回戦目で浮きの2着を取るもののかなり厳しいポイント差に。

4回戦までのトータル
(菊田+64.0P、ダンプ+14.2P、柴田▲11.6P、古川▲67.6P)

そして迎えた最終戦の東4局。親番は古川。古川は通過のためには落とせない親番。だがそこに柴田が立ちはだかる。

四万六万三索三索四索五索六索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ロン五万  ドラ七筒

ダンプを追い掛ける柴田は三色ドラ1でリーチ。そこへ親番の古川が飛び込み8,000の放銃。このアガリで柴田はトップ目に立ちダンプの背中が見えてきた。

オーラス、この半荘トップ目の柴田はダンプから5,200直撃か跳満ツモ条件を満たせば通過だったが無情にも条件をクリアする事は出来ず、親番の古川もノーテンで終了。

最終成績
(菊田+53.2P、ダンプ+21.9P、柴田+10.9P、古川▲88.0P)

勝ち上がり
1位通過 菊田政俊
2位通過 ダンプ大橋

 

100

 

C卓(ともたけ雅晴vs近藤久春vs古橋崇志vs藤原隆弘)

第24期鳳凰位、第2回リーチ麻雀世界選手権優勝、九段シード枠での出場、ともたけ雅晴。

第33期鳳凰位決定戦準優勝、今期ポイントランキング18位での出場、ダンディこと近藤久春。

第8期静岡リーグ優勝、A2リーグ所属、連盟チャンネルではA1リーグでの実況でもお馴染み、今期ポイントランキング24位での出場、三色評論家こと古橋崇志。

第8.16期チャンピオンズリーグ、A2リーグ所属、巣鴨連盟本部道場の道場長、今期ポイントランキング31位での出場、緻密な仕事師こと藤原隆弘。

こちらのC卓は世界チャンピオンともたけに注目が集まるが近藤、藤原もA1リーグで戦っていた事のある実力者。そこへ若手の古橋が挑む。この卓は非常に重たい展開が予想される。

1回戦、2回戦と近藤が連勝。その後4回戦でもトップと近藤が頭一つ抜け出す。藤原も安定感のある戦いを見せトップこそ無いものの着実にプラスを積み上げていく。ともたけは1回戦はラスだったがその後立て直してきた。古橋だけが4回戦まで戦って1度も浮く事が出来ず、置いていかれる苦しい状況。

4回戦までのトータル
(近藤+52.4P、藤原+22.4P、ともたけ▲3.4P、古橋▲71.4P)

近藤はほぼ当確で藤原とともたけ、2者の争いになってきた。南3局迎えた時点での点数状況は
ともたけ33,000点持ちのトップ目、対する藤原は26,300点持ちのラス目と、ともたけが藤原を追い詰める。現状で2.6P差。だが点数の差は少なくまだまだ全く分からない。

そのラス前の南3局、ともたけが先制リーチを打つが親の古橋から追い掛けリーチが入る。そこへ藤原も仕掛けを入れて3者テンパイになるがここは流局。

そして1本場となって次局に、ともたけはヤミテンが入っていた近藤に痛恨の3,900は4,200の放銃をしてしまいトップ目から陥落。

オーラス、追い掛けるともたけは親番。必死にテンパイを入れようとするが中々ツモが効かない。ようやく手が進み1シャンテンになった所で藤原からツモの声が。

四万五万六万六索七索八索五筒五筒七筒八筒九筒九筒九筒  ツモ六筒

テンパイを入れていた藤原が勝ち上がりを決める300・500のツモアガリ。その表情には安堵の色が浮かぶ。接戦を物にした。

最終成績
(近藤+69.7P、藤原+11.5P、ともたけ▲4.7P、古橋▲76.5P)

勝ち上がり
1位通過 近藤久春
2位通過 藤原隆弘

 

100

 

D卓(荒正義vs和久津晶vs伊藤鉄也vs森下剛任)

獲得タイトル多数(鳳凰位、王位、マスターズ、グランプリ等)、九段シード枠での出場、レジェンド荒正義。

第9.12期プロクイーン、A1リーグ所属、ポイントランキング16位での出場、超攻撃的アマゾネスこと和久津晶。

第22.25.31期中部プロリーグ優勝、中部本部所属、今期ポイントランキング24位での出場、伊藤鉄也。

第39期王位、最強戦ファイナル2014準優勝、今期ポイントランキング29位での出場、森下剛任。

D卓はレジェンド荒に攻撃的な3人が挑む。荒はこの3者の攻撃をどう迎え撃つのか。

1回戦目、起家スタートの伊藤が大爆発。東1局に6,000オールを含む連荘に成功。このリードを守り1回戦目は60,000点近いトップを取りその後も着々とプラスを伸ばしていき当確か。ほか3者は4回戦終わり接戦だが和久津が一歩リードしているか?

4回戦までのトータル
(伊藤+67.4P、和久津▲4.7P、荒▲28.3P、森下▲34.4P)

オーラスまでさほど点数の移動はないものの荒が35,200持ちのトップ目に立ち和久津との差を4.4Pまで詰める。

そしてオーラス。親番は森下。供託が2本ある3本場。和久津はアガれば通過、荒は条件はあるものの非常に軽い条件。森下は最後の親番でこの2人より上にいくため連荘が必須。

後が無い親の森下からリーチが入る。

七万八万一索一索一索三索四索五索五索六索七索七筒七筒  リーチ  ロン九万  ドラ一索

ドラ3のリーチ。アガれば通過の和久津もすでに仕掛けてテンパイが入って真っ向勝負の構え。和久津は果敢に勝負していくが、森下のアガリ牌の九万を掴んでしまい森下に痛恨の放銃。12,000は12,900。このアガリで今度は森下が通過ラインへ。和久津は脱落か。

続く4本場。荒と森下の戦いに。


三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒東東  ポン発発発

森下
四万五万六万二索二索五索六索七索五筒六筒  ポン白白白

両者テンパイが入る。だがここで伊藤にもテンパイが入る。

伊藤
七万八万九万三索三索四索四索五索三筒三筒四筒西西西

西家の伊藤はドラの西が暗刻のテンパイが入り打四筒とする。

2人からロンの声が。これを頭ハネで荒のアガリに。3,900は5,100のアガリで森下を0.2P上回り終局。

最終成績
(伊藤+54.8P、荒▲14.0P、森下▲14.2P、和久津▲26.6P)

勝ち上がり
1位通過 伊藤鉄也
2位通過 荒正義

 

100

 

E卓(日高志穂vs高宮まりvs西川淳vs客野直)

第32期新人王、中部本部所属、今期の王位戦でも活躍した期待の新人女流、新人王枠での出場、日高志穂。

第1回女流日本シリーズ優勝、第17期北関東プロリーグ優勝、地方リーグチャンピオンシップ2019優勝枠での出場、高宮まり。

第22期チャンピオンズリーグ、第20期麻雀マスターズ3位、今期ポイントランキング27位での出場、A1リーグ初昇級を決めた西川淳。

第27期チャンピオンズリーグ、A2リーグ所属、今期ポイントランキング27位での出場、客野直。

こちらのE卓は西川、客野のAリーガー、地方リーグチャンピオンシップを強豪相手に力強く制した高宮という3者に新人王フレッシュな日高が挑む。

3回戦までのトータル
(西川+12.7P、客野+9.9P、高宮+0.6P、日高▲23.2P)

3回戦終了時までほぼ横一線。大きく動いたのは4回戦東3局。

親番の客野に大物手が入る。

一万二万三万五万五万東東  ポン白白白  ポン中中中  ドラ五万

これを見事に東をツモアガリ。ダブ東白中。ホンイツ、ドラドラで8,000オールの大きなアガリを決める。このリードをさらに広げ66,000点の1人浮きトップ。

4回戦までのトータル
(客野+58.5P、西川+1.8P、高宮▲22.5P、日高▲37.8P)

客野はほぼ当確。逃げる西川、追い掛ける高宮と日高。

追い掛ける高宮が東3局の親番で3,900オールをアガリトップ目に立つ。そして迎えた南2局。

トップ目高宮は南家でこの手牌

二筒二筒二筒四筒四筒四筒六筒南南南  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ドラ南

この超大物手。高めの六筒ならば三倍満。安めの五筒でも跳満とアガれば通過に大きく近づく。高宮の手にも力が入る。

だがアガったのは客野。ヤミテンのピンフテンパイを入れていた客野が高宮から1,000点のアガリ。西川は命拾いしたか。

最後、オーラスは客野が親なので1局勝負。だがこの局は全員ノーテンでゲームセット。Aリーガー2人が意地を見せた。

最終成績
(客野+61.5P、西川+10.7P、高宮▲4.3P、日高▲67.9P)

以上の結果で翌日の二次トーナメントの組み合わせが決定しました。

A卓 森山茂和、武田裕希、客野直、荒正義

B卓 仲田加南、山田浩之、伊藤鉄也、藤原隆弘

C卓 黒沢咲、伊藤優孝、近藤久春、ダンプ大橋

D卓 HIRO柴田、勝又健志、菊田政俊、奈良圭純

E卓 佐々木寿人、藤島健二郎、紺野真太郎、西川純

二次トーナメントからは森山茂和会長、現女流桜花の仲田加南等が登場する。二次予選の戦いも目が離せない好カードばかり。果たして誰がベスト16へ駒を進めるのか。熱い戦いは明日も続く。

第35期鳳凰位決定戦 最終日観戦記 荒 正義

この日、日本は大寒波で、札幌は氷点下24度を記録したという。東京も雨がみぞれになった。夏目坂の外気も、震えるほど冷たかった。民家の屋根には、雪が積もっていた。吉田と会ったので、私が尋ねた。
「瀬戸熊は、何か言っていた?」
「楽しんで来い、と言われました」
「なんだよ、たったそれだけ?」
「はい」
と云って、吉田は照れ臭そうに笑った。
吉田は瀬戸熊を、兄のように慕っていた。今日は、弟の吉田にとっては麻雀人生の大一番だ。だから私は瀬戸熊の、吉田への忠告に期待したのだ。なんと期待は、裏切られるためにあったのだ。三日目までの成績はこうだ。
吉田  勝又  柴田  前原
+87,3  +8,7 ▲44,7 ▲53,3

この数字なら、吉田の優勝の確率は70%だ。2位の勝又が20%。柴田と前原は5%ずつである。これが私の見立てだ。吉田は1回のトップで、優勝確定の赤ランプが点く。吉田はトップがなくても、勝又より順位が2度上ならOKである。
前原と柴田は、数字的に可能性はあっても優勝は無理だ。自分のマイナスを無くし、吉田の浮きを大きく削らなければならないからだ。5パーセントは、私からの気持である。

 

100

 

13回戦。
東1局。ドラ四万
10巡目、柴田のリーチが入った。

北西四索 上向き八万 上向き七索 上向き八索 上向き
六索 上向き九索 上向き二万 上向き六筒 左向き

一万一万一万六万六万七万八万九万三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

打点は無いが、待ちは立派だ。このとき、吉田の手はこうだ。

二索二索三索三索四索七索七索八索八索九索東東六筒

九索は3枚切れで、空テン。六索は、親の勝又の手に2丁で残り1枚だ。
同巡、勝又から一索が出る。吉田が鳴いた。すると、すぐにラス牌の六索を柴田が掴む。リーチ棒込みで3,000点の収入だが、これは大きい。吉田もこのアガリで、緊張が解けたはずだ。後は小場で流れた。

東4局。ドラ西
吉田の持ち点は、32,700点。追う側にとって、吉田が浮いているのは辛い展開である。親の柴田の、河が妙だ。

四筒 上向き六筒 上向き六万 上向き四索 上向き三万 上向き六筒 上向き
一筒 上向き九万 上向き五万 上向き

このとき、吉田の手はこうだ。

三索三筒四筒七筒九筒九筒北北北発中中中  ツモ南

北中も暗刻。柴田のテンパイは無いと思うが、当たれば48,000点の国士無双だ。ここで吉田は、完全撤退で四筒切り。これが、場合の正しい応手だ。15巡目に三筒を切る。が、この三筒に鳴いていた勝又からロンの声。

二万三万四万二索三索四索二筒四筒西西  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き

ドラの西が雀頭で、3,900点。勝又、見事なかわし。柴田の手は国士狙いだが、2シャンテンだった。吉田は無念。

南1局。ドラ四万
前原が、6巡目の早いリーチ。7巡目、親の勝又からもリーチが飛んで来た。
北家の柴田は、北を鳴いてソーズの染め手。当然、吉田は受けに回る。
前原ではないが『勝手にしやがれ!』だ。
しかし、3人の決着がなかなか付かない。13巡目、吉田手が詰まった。

一万七索二筒三筒四筒四筒五筒五筒七筒八筒九筒東南  ツモ八筒

東南は、柴田に切れない。ピンズは、どちらかのリーチに当たりそう。
一万は親の現物。二万は3枚切れで、ワンチャンス。おまけに前原の河がこうだ。

九索 上向き九筒 上向き二万 上向き西白中
西八万 上向き九索 上向き六万 上向き四索 左向き

(こんな一万、通るに決まっている。ゴジラは棒テンだから、二万の先切りはしないンだ。いや、絶対に通る!)
吉田が、こう思ったかどうかは定かではない。
私も一万切りである。当たっても、ドラ筋の安目である。そしたら前原の手が倒れて、これだって!
100

 

一万一万四万四万四万七万八万九万六索六索六筒七筒八筒

ドラの四万が暗刻の、満貫である。親の、勝又の手はこうだ。

三万四万五万五万五万一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒九筒

北家の柴田のテンパイは、こうだった。

二索三索四索五索六索七索東東南南  ポン北北北

吉田を追う3人は、顔こそ出さないが、しめしめと思ったに違いない。

南3局。ドラ北
今度は、柴田が頑張った。W風の南をポンして、マンズの染め手。

一万一万二万二万六万七万八万  ポン九万 上向き九万 上向き九万 左向き  ポン南南南

二万を引いて2,000・4,000点。これで柴田が浮いた。

南4局。ドラ四万
オーラスは前原のアガリ。

一万二万三万四万五万六万七万七万一索二索三索二筒三筒

この手をヤミテン。高め一筒で、柴田からアガリ。7,700点、せっかく浮いた柴田が、また沈んだ。これでトップは前原。浮きの2着が勝又、3着は柴田。吉田は7,300点沈みのラスだ。総合得点はこうだ。

吉田  勝又  前原  柴田
+72,0 +14,6  ▲34,6 ▲54,0(供託2,0)

 

 

14回戦。
出親は勝又で、順に柴田、前原、吉田の並び。
東1局。ドラ七索
13巡目、柴田のヤミテンが入るが流局。

一万一万二万三万四万四索五索七索七索八索八索九索九索

柴田の1人テンパイ。

東2局。ドラ五索
親の柴田が、強引な仕掛け見せた。

一万一万三万四万五万七万九万四索七筒南北北中

2巡目、ここから一万のポンである。普通ならこんな仕掛けは無い。しかし柴田は、親を落とすわけにはいかないのだ。6巡目にテンパイを入れた柴田。

三万四万五万七万九万北北  ポン中中中  ポン一万 左向き一万 上向き一万 上向き

勝又も7巡目に追いついた。こちらはドラの五索が3丁だ。

二万四万五万六万七万五索五索五索六索七索  ポン八筒 左向き八筒 上向き八筒 上向き

しかし、勝ったのは柴田で八万を引いて、2,600は2,700点オールだ。
2本場は吉田が落とす。ヤミテンのカンチャン待ちで、500・1,000点のツモ。2本場で600点増しだ。危険なリーチは打たないで、確実にゴールを目指す。今、大事なのはトップではなく、勝又との間合いなのである。

 

100

 

東3局。ドラ八万
ここも吉田のアガリ。

一万二万六万七万八万白白  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ポン西西西

三万を打ったのは、1シャンテンの親の前原。前原も連荘が命、それぞれに事情があるのだ。強い牌でも、出るときは出る。ただ、勝又はがっかり。こうなると、勝又は自力勝負しかない。2度流れて、親の勝又がやっと来た。

南2局、2本場。

一万二万三万五万六万六万七万七万一索二索三索七索七索  ドラ六万

この手をヤミテンで、八万で前原から打ち取る。5,800点と積み場で6,400点。後は、吉田を沈めたらいいのだ。
勝又は、東京生まれの東京育ちだ。1981年生まれの37歳である。学歴は、早稲田実業から早稲田大学に進み卒業。獲得タイトルは、第2期グランプリと32期鳳凰だ。まだ若いし、これからもどんどんタイトルを獲るだろう。

3本場は、吉田が安手で落とす。

南2局は、柴田の親番。
柴田が頑張った。まずリーチで、2,000点を勝又から打ち取る。
1本場は、3,900点を吉田から打ち取る。そして、2本場がこれだ。

三万四万五万五索六索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒八筒  ドラ九万

リーチで四索を引いて、2,600は2,800点オールだ。これで、持ち点を5万点越えとした。

南3局。ドラ二万
ここは、勝又のヤミテンが決まる。

 

100
二万三万四万二索三索四索四索五索二筒三筒四筒東東

8巡目にテンパイして、ヤミテンを選択。六索で、吉田から打ち取る。7,700点で、これは大きい直撃。勝又は、これで浮きの2着。吉田は、10,500点沈みの3着だ。
南4局は、吉田と前原のリーチ合戦。
前原が吉田からアガって、ラスが入れ替わる。トップは柴田で、浮きの2着が勝又。3着は前原で、ラスが吉田だった。そして、総合成績がこれだ。
吉田  勝又  柴田  前原
+49,9 +20,7 ▲23,2 ▲49,4 (供託2,0)

 

 

15回戦。
出親は吉田で、順に前原、勝又、柴田の並び。

勝又と吉田の差は29,2Pである。通常なら、半荘1回で変わる点差だ。しかし、吉田も守備に入るから、守りは固い。半荘1回では逆転が無理でも、2回戦なら分らない。現に吉田の運は下降気味。これなら勝又の勝つチャンスは、40%はあるだろう。

点棒が大きく動いたのは、東3局だ。
前原がこの手をヤミテン。

五万五万六万六万七万三索三索四索五索六索五筒六筒七筒  ドラ三索

七万を打ったのは、勝又である。これで、一気に吉田が有利な態勢。

南3局。ドラ九索
勝又の親番。ラス目の勝又は、連荘して粘りたい。しかし、7巡目に柴田がリーチだ。そして、このアガリ。

三索三索六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒南南  リーチ  ツモ南

2発目に、W風の南を引いて2,000・3900点。これで柴田が前原をかわしてトップに立つ。
南4局は流局で、柴田が連荘。

 

100

 

南1局1本場。ドラ四万
そして、1本がこれだ。

五万六万七万七万七万二筒二筒四筒五筒六筒六筒七筒八筒  ツモ四万

リーチで高目のドラを引いて、3,900は4,000点オールだ。これで持ち点を57,500点にしたのだ。
2本場は、前原が満貫手のリーチだ。しかし、流局。
トップは柴田で、1人浮き。2着は前原、3着が吉田でラスが勝又だった。

15回戦までの総合成績。
吉田  柴田  勝又  前原
+39,9 +14,8 ▲4,6 ▲53,1(供託3,0)

 

 

16回戦。
100

 

出親は柴田で、順に勝又、前原、吉田の並び。
タイトルの最終戦は、現状トップが北家になるのが決まりである。後は順位で右回り。したがって、出親は2着の柴田、次が3着の勝又。そして、4着の前原となる。この方が、公正な麻雀といえる。優勝ならラス親はノーテンで決着するから、勝負にダレが無いのだ。
吉田は、今度は柴田が相手。その点差は25,1Pである。この差なら、柴田がトップで、吉田がラスで逆転できる差だ。柴田が大きく浮けば、吉田を沈めるだけでいい。柴田には、2連勝した勢いがある。勝負はどう転ぶか、まだか分らない。柴田の5パーセントが、30パーセントになった。私の見立ても、当てにはならない。

東1局。ドラ八万
この局は前原のアガリ。

四万五万六万八万八万六索八索四筒四筒四筒七筒七筒七筒

ヤミテンで、5,200点を打ったのは勝又である。これは吉田にとって、好い展開だ。柴田の親も落ちたし、このまま前原がトップなら、柴田の逆転が難しくなるからだ。

東2局。ドラ四索
今度は、柴田がリーチだ。これに親の勝又が、八索で飛び込んだ。

四万五万六万二索二索二索四索四索六索七索一筒二筒三筒  リーチ

勝又もテンパイだった。リーチの河がこれ。

九万 上向き九索 上向き九筒 上向き南白三万 上向き
一万 上向き西西東八万 上向き九筒 上向き
南八筒 上向き白白

これでは読めない。これは、吉田には悪い展開。同じ5,200点だが、さっきと今度で帳消しにして欲しいもンだ。

東3局は、親の前原のリーチで流局。前原の1人テンパイ。
東3局1本場。ドラ七万
やっと、吉田のアガリが出た。

八万八万七索七索八索八索二筒四筒四筒六筒六筒東東  ツモ二筒

3,200のツモだが、積み場とリーチ棒があって、4,500点の収入。これで、柴田と並んだ。

東4局。ドラ三万
今度は、柴田のリーチだ。
それに、追いかける勝又のリーチ。柴田の手がこれ。

四万四万六万六万七万八索八索六筒六筒七筒七筒八筒八筒

勝又の手はこれだ。引けば倍満。

一万二万三万一索二索三索七索八索九索一筒二筒三筒九筒

柴田は、引きたかったに違いない。ツモならトップに立てるし、吉田を沈めることができるからだ。しかし、流局。七万は、吉田が暗刻だった。四万がトイツだったし、吉田は心の中で叫んだ。(七万なんか、絶対打たないもンね!)

南1局。ドラ二索
吉田が中の早仕掛けで、柴田の親を蹴りに行く。手を詰める危険は、覚悟の上だ。

六万六万三索四索六筒六筒六筒  チー六万 左向き五万 上向き七万 上向き  ポン中中中

案の定、柴田の足止めリーチが飛んで来た。

二万三万四万九万九万六索七索八索一筒二筒三筒七筒九筒

三筒五筒を無筋ながら、突っ張る吉田。そして、五索を引き当てた。リーチ棒が3本で、4,400点の収入。これで持ち点を36,400点とし、勝負ありだった。後は、小場で回って吉田が、トップで終了。柴田は、4度目の挑戦だった。しかし鳳凰の栄冠は、初挑戦の吉田に輝いた。これが、勝負の明暗である。
吉田が、再び涙を見せた。それは爽やかで、美しい涙だった。おめでとう、吉田さん!

 

100
100

 

第6期関西覇皇トーナメント 選抜予選~ベスト8成績表

ベスト8

1卓

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 合計
1 横山 毅 23.2 11.5 11.4 46.1
2 貫上 洋志 4.5 19.0 ▲ 9.4 14.1
3 稲垣 諒彦 ▲ 22.1 ▲ 20.9 24.8 ▲ 18.2
4 吉田 拓也 ▲ 5.6 ▲ 9.6 ▲ 26.8 ▲ 42.0

2卓

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 合計
1 北村 祐二 8.1 9.8 15.5 33.4
2 坂本 誠裕 ▲ 17.1 21.0 8.3 12.2
3 根越 英斗 26.1 ▲ 25.4 ▲ 8.3 ▲ 7.6
4 藤川 議次 ▲ 17.1 ▲ 5.4 ▲ 15.5 ▲ 38.0

決勝トーナメント
ベスト16
A級トーナメント1卓

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 合計
1 藤川 議次 32.8 1.2 ▲ 5.4 28.6
2 吉田 拓也 ▲ 16.1 8.2 19.3 11.4
3 吉田 圭吾 ▲ 23.0 33.6 ▲ 24.4 ▲ 13.8
4 大橋 慶一郎 6.3 ▲ 43.0 10.5 ▲ 26.2

A級トーナメント2卓

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 合計
1 稲垣 諒彦 6.4 10.8 -3.4 13.8
2 根越 英斗 3.5 18.3 -11.1 10.7
3 辻本 翔哉 18.3 3.0 ▲ 22.5 ▲ 1.2
4 花岡 章生 ▲ 28.2 ▲ 32.1 36.0 ▲ 24.3

A級トーナメント3卓

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 合計
1 北村 祐二 ▲ 19.1 22.7 12.0 15.6
2 横山 毅 26.0 15.1 ▲ 25.8 15.3
3 稲岡 ミカ ▲ 4.7 ▲ 12.8 32.4 14.9
4 木下 恭子 ▲ 2.2 ▲ 25.0 ▲ 18.6 ▲ 45.8

B級トーナメント

順位 名前 1回戦 2回戦 合計
1 坂本 誠裕 20.2 10.9 31.1
2 筒井 晶宏 9.6 18.7 28.3
3 佐々木 亮 3.2 30.7 ▲ 27.5
4 上村 宜久 ▲ 33.0 1.1 ▲ 31.9

選抜予選成績表
(上位12名決勝トーナメント進出)

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 小計 6回戦 小計 7回戦 合計
1 稲垣 諒彦 ▲ 8.9 18.5 17.1 28.5 55.2 75.7
2 吉田 圭吾 ▲ 13.6 27.8 25.0 14.1 53.3 57.5
3 吉田 拓也 27.1 ▲ 16.9 21.8 16.2 48.2 28.9 77.1 48.5
4 辻本 翔哉 31.8 9.6 13.8 ▲ 5.1 50.1 1.6 51.7 45.4
5 木下 恭子 19.8 14.0 4.8 7.0 45.6 ▲ 2.1 43.5 30.2 59.3
6 北村 祐二 ▲ 19.9 ▲ 20.6 33.1 18.7 11.3 31.4 42.7 2.3 57.4
7 根越 英斗 13.3 ▲ 7.7 7.1 ▲ 5.9 6.8 17.1 23.9 10.3 43.4
8 大橋 慶一郎 16.4 9.2 19.5 ▲ 13.5 31.6 ▲ 13.6 18.0 14.7 40.6
9 佐々木 亮 29.1 ▲ 6.1 15.8 ▲ 9.0 29.8 ▲ 26.4 3.4 21.2 31.1
10 筒井 宏晶 14.4 ▲ 7.2 ▲ 7.0 4.6 4.8 12.3 17.1 6.8 19.2
11 上村 宜久 5.3 19.5 ▲ 33.4 38.1 29.5 ▲ 25.4 4.1 6.6 1.2
12 坂本 誠裕 1.2 ▲ 7.4 ▲ 6.7 19.5 6.6 ▲ 4.6 2.0 6.1 0.6
13 楠木 一朗 6.6 14.3 ▲ 4.2 ▲ 17.0 ▲ 0.3 14.5 14.2 ▲ 7.5 敗退
14 三好 直幸 ▲ 6.5 ▲ 15.6 44.0 5.0 26.9 1.5 28.4 ▲ 38.1 敗退
15 川上 直也 8.4 7.2 ▲ 16.1 5.3 4.8 3.8 8.6 ▲ 23.1 敗退
16 丸山 直 ▲ 2.7 ▲ 3.5 ▲ 6.5 ▲ 5.5 ▲ 18.2 19.2 1.0 ▲ 29.5 敗退
17 音羽 なお ▲ 6.1 3.8 4.5 ▲ 9.3 ▲ 7.1 5.5 ▲ 1.6   敗退
18 山本 裕之 5.4 ▲ 24.0 ▲ 1.5 10.2 ▲ 9.9 4.7 ▲ 5.2   敗退
19 高谷 圭一 ▲ 11.3 1.6 ▲ 18.7 ▲ 2.3 ▲ 30.7 25.4 ▲ 5.3   敗退
20 後藤 俊考 ▲ 13.8 7.6 5.6 ▲ 23.8 ▲ 24.4 6.1 ▲ 18.3   敗退
21 辻井 和也 6.5 ▲ 12.9 ▲ 18.4 17.4 ▲ 7.4 ▲ 11.1 ▲ 18.5   敗退
22 原田 保正 ▲ 5.0 ▲ 18.1 18.8 ▲ 2.2 ▲ 6.5 ▲ 18.7 ▲ 25.2   敗退
23 高橋 正人 ▲ 24.2 25.9 10.5 ▲ 17.8 ▲ 5.6 ▲ 23.1 ▲ 28.7   敗退
24 長野 恵美 ▲ 8.3 18.6 ▲ 21.9 ▲ 13.3 ▲ 24.9 ▲ 9.0 ▲ 33.9   敗退
25 秋山 俶子 ▲ 25.3 10.1 4.1 ▲ 21.1 ▲ 32.2 ▲ 18.1 ▲ 50.3   敗退
26 吉本 卓矢 ▲ 10.1 12.7 ▲ 39.2 ▲ 15.2 ▲ 51.8 ▲ 20.9 ▲ 72.7   敗退
27 勝間 伸生 1.2 ▲ 20.9 ▲ 13.8 ▲ 32.6 ▲ 66.1       敗退
28 辰巳 晴基 ▲ 19.3 ▲ 25.7 ▲ 13.9 ▲ 12.0 ▲ 70.9       敗退
29 松尾 潤 ▲ 19.0 ▲ 14.7 ▲ 27.7 ▲ 11.1 ▲ 72.5       敗退

第5期JPML WRCリーグ 決勝観戦記 三浦 智博

第5期JPLM WRCリーグ決勝戦が2月3日に行われた。先日のベスト8を勝ち抜いたのはこの4名

 

100
前原雄大
1期生 A1リーグ所属 現鳳凰位 

 
 
100
沢崎誠
3期生 A1リーグ所属 現マスターズ

 
 
100
HIRO柴田
17期生 A1リーグ所属

 
 
100
仲田加南 
22期生 C2リーグ所属 現女流桜花

現鳳凰位の前原雄大を含むA1リーグ3名と現女流桜花というWRCリーグ史上屈指の好カードとなった。

 

100

 
 

1回戦
起家から沢崎―仲田―前原-柴田の順

東1局 親沢崎 
開局から前原の選択が面白い、自風の西ポンした後の9巡目

二索二索三索五索六索九索九索二筒七筒七筒  ポン西西西  ツモ三筒  打九索  ドラ七筒

自分で四筒を切っているフリテンターツを残して九索切り、これがうまく決まって

二索三索五索六索七索二筒三筒四筒七筒七筒  ポン西西西  ロン一索

沢崎から3,900のアガリ。

東3局 親前原 
柴田が丁寧に進めて5巡目にこの形。

六万六万三索四索六索八索一筒二筒三筒三筒四筒五筒発  ツモ五索  打発  ドラ発

タンヤオとピンフの手替わりを待って10巡目、

六万六万三索四索五索六索八索二筒三筒四筒四筒五筒六筒  ツモ二索  打八索 左向き

このリーチに前原がまっすぐ打ち抜き3,900の放銃、とにかく全員が前に出てくる。この時点で乱打戦の予感がした。

東4局 親柴田 
親の柴田が仲田の2フーロを受けて以下の手牌

三万四万五万六万七万一索一索六索七索八索二筒四筒六筒  ツモ二筒  ドラ九筒

一索二筒のツモ切りかと思いきや柴田は打六筒とした。
対局後「前局リーチに感触があったのでこの局もリーチでぶつけたかった。」と語ってくれた。確かに一発裏ドラのあるルールでは実戦的かもしれない。

三万四万五万六万七万一索一索六索七索八索二筒二筒四筒  ツモ八万  打四筒 左向き

しかしこの四筒が沢崎のリーチの一発に捕まってしまう

四万五万六万一索二索三索四索五索六索七索七索五筒六筒  リーチ一発  ロン四筒

実はこの前巡の沢崎の選択が凄かった

四万五万六万一索二索四索五索六索七索八索九索五筒六筒  ツモ七索  打八索

仲田の仕掛けに七索がワンチャンスとはいえこの選択はなかなか出来ない。柴田は手痛い8,000の放銃になってしまった。ここから柴田の苦戦が続く。

南1局 親沢崎 
柴田の先制リーチ

九万九万一索三索三索七筒七筒八筒八筒東東発中  ツモ一索  打中  ドラ七万

数巡後、仲田がドラドラで追いついてリーチを打つ。

一万一万一万二万三万七万七万三索四索四索五索発発  ツモ四万  打四索 左向き

柴田が一発で七万をつかんで8,000の放銃。

南2局 親仲田 
それでも前に出る柴田、5巡目に自風の西を仕掛けていった。

五索六索二筒三筒五筒六筒七筒八筒発発発  ポン西西西  打五索  ドラ九索

しかしテンパイが入らないまま13巡目に沢崎のリーチを受ける。同巡に打たれた九筒を仕掛けてなんとかテンパイを入れるも、

二筒三筒五筒六筒六筒発発発  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ポン西西西  打五筒

沢崎 
六万七万八万四索四索五索六索七索三筒三筒四筒四筒五筒  リーチ  ロン五筒  裏一万

またしても沢崎への8,000の放銃になってしまう。そして試合は前原と沢崎の叩き合いへ移っていく。

南3局2本場 親前原 
ドラドラの配牌をうまくまとめて4,000オール。

四万四万五万五万五万一索二索三索五索六索七索三筒四筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ四万  裏北

南3局4本場 
今度は沢崎がドラドラの2,000・4,000。

一万二万三万九万九万九万五索六索七索九索九索六筒七筒  リーチ  ツモ八筒  ドラ九索  裏北

これでオーラスを迎えて持ち点が

沢崎 45,300
仲田 25,600
前原 50,400
柴田 ▲1,300

こうなり、1回戦はオーラスへ。

南4局 親柴田 
トップと5,100点差の沢崎、ヤミテンから手変わりを待ってリーチを打つ。

二万三万四万七万七万二索三索四索五索六索七索四筒四筒  ツモ六万  打七万 左向き  ドラ七筒

仲田がテンパイから八万を打ち出し沢崎のアガリで裏ドラが四索で8,000、トップを奪った。

1回戦終了時
沢崎 +38.3P
前原 +25.4P
仲田 ▲17.4P
柴田 ▲46.3P

 
 

2回戦
起家から仲田―柴田―沢崎―前原
1回戦に沢崎にトップを奪われた前原、この半荘は俺の番だとアガリ倒す。

南4局 親前原 
オーラスでこの持ち点。
仲田 15,800
柴田 17,200
沢崎 32,500
前原 54,500
ここでも先制リーチを打ち、追いかけリーチの仲田から12,000。

二万三万五万六万七万八万八万五索六索七索三筒四筒五筒  リーチ  ロン四万  ドラ五万  裏五索

さらに続く1本場

南4局1本場 
3巡目にリーチを打って、

二万二万三万四万五万五万六万七万一筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ二筒  裏五筒 

このドラ待ちカンチャンをあっさりツモ、2,000オールで持ち点が70,000点を超える。前原が独走するかと思いきや待ったをかけたのは沢崎。

南4局 3本場 

沢崎 
五万五万七万七万三索五索五索七索七索四筒四筒八筒発  ツモ八筒  打発  ドラ八筒

三索という待ち選択については対局後「ドラの八筒ツモテンパイならこの手はアガれるので、高めにとった」と語ってくれた。この選択がはまる。前原がチンイツまで見えるメンホンの1シャンテンから三索を切って放銃、裏ドラも乗って16,000、トップは変わらないが大きなアガリになった。
仲田  700
柴田 12,000
沢崎 47,300
前原 60,000

2回戦終了時
前原 +70.4P
沢崎 +60.6P
仲田 ▲61.7P
柴田 ▲69.3P

前原、沢崎が抜ける形になった。仲田、柴田はほぼ2連勝必須、そのうえで着順や素点が必要になってくる。

 
 

3回戦
起家から柴田―沢崎―前原―仲田の順

東1局 親柴田 
後のない仲田が積極的に仕掛けていく2巡目に中をポン。

三万五索一筒一筒三筒五筒七筒七筒東西発  ポン中中中  打三万  ドラ西

この手から次々と有効牌を引いて6巡目には、

一筒一筒三筒五筒七筒七筒七筒西西西  ポン中中中

なんと跳満テンパイ。さらに沢崎から打ち出された一筒をポンして打三筒、高め倍満まで育つ。しかし無情にも五筒を手元に寄せたのは沢崎。

五万六万七万一索二索三索六索六索二筒三筒四筒六筒七筒  ツモ五筒

400・700のツモアガリ、続く親番では、

東2局 親沢崎 

三索三索五筒五筒  暗カン牌の背三万 上向き三万 上向き牌の背  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  リンシャンツモ五筒  ドラ五筒

この6,000オールを決め、沢崎が1歩抜け出すが直後に事件が起きる。

東3局 親前原 

沢崎 
七万七万七万三索三索八索八索三筒四筒東西  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  打西  ドラ七筒

ライバルの前原の親番で軽快に仕掛けていくが7巡目にツモ切った一筒に仲田から声が掛かる。

仲田 
一万九万一索九索九筒東東南西北白発中  ロン一筒

トータルトップの沢崎から32,000の直撃、これでこの半荘の持ち点が
柴田 22,300
沢崎 16,200
前原 25,900
仲田 55,900

こうなり2回戦までのトータルを合わせると
前原 +71.3P
沢崎 +31.8P
仲田 ▲21.1P
柴田 ▲82.0P

仲田はまだ前原との差は大きいが、この半荘のさらなる加点があれば最終戦に望みを繋げるかもしれなくなった。その思いに応えるように牌もついてくる。

南3局1本場 親前原 

九索九索南南  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ツモ南  ドラ九万

2,000・4,000のツモアガリ、さらに続く親番。

南4局 親仲田 

三万五万六万七万一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ三万  ドラ五万

この4,000オールでさらなる加点に成功する。
3回戦成績
柴田 14,500
沢崎 11,400
前原 22.700
仲田 71,400

3回戦終了時
前原 +68.1P
沢崎 +27.0P
仲田 ▲5.3P
柴田 ▲89.8P

ここまで流局が3局だけとまさに殴り合いの展開となった、残り1戦最後まで目が離せない。

 
 

4回戦
起家から沢崎―仲田―柴田―前原の順

東1局3本場 親沢崎 
追いかける沢崎の連荘から始まった。
0本場の形式テンパイから3局連続テンパイ連荘。
迎えた3本場で7巡目のリーチを入れる、それを受けた仲田のテンパイ打牌が捕まった。

仲田 
一索二索三索三索五索五索五索九索九索一筒一筒八筒八筒  ツモ二索  打五索  ドラ五万

沢崎 
六万六万七万七万八万八万六索七索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ  ロン五索  ドラ二筒  裏五万

12,000は13,200の放銃、ここから沢崎劇場が始まる。

東1局4本場 
3巡目にこの仕掛け

一万一万三万四万四万七万七万三索五索一筒一筒南中  ポン七万  打一筒  ドラ六索

最終形がこちら

二万二万三万四万四万六万六万  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン七万 上向き七万 上向き七万 上向き  ツモ三万

役牌を周りに絞らせつつ終盤に4,000オール。
「メンゼンじゃ間に合わない」対局後にこう語ったが、この七万に声が掛かる打ち手が何人いるか。

東1局5本場 沢崎手を緩めず今度は1巡目。

六万八万一筒二筒七筒東南南西白発  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  打六万  ドラ九索

なんとかかわそうと、仲田が七対子のヤミテン、柴田がドラドラで発をポンして向かっていくが軍配は沢崎。柴田から

二筒二筒七筒九筒  ポン南南南  ポン西西西  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ロン八筒

結局7本場まで積んだ沢崎が持ち点を74,700まで伸ばしトータルトップに躍り出る。
沢崎 +86.7P
前原 +61.2P
仲田 ▲40.0P
柴田 ▲107.9P

こうなると、2番手でこの半荘も2着目の前原が、トータルで約25,000点差を詰められるかの勝負になるかと思ったらこの人が黙っていなかった。

東2局1本場 親仲田 

仲田 
一索二索三索四索四索四索五索五索七索八索八索八索九索  ツモ五索  ドラ南

実はこのアガリ、待ち選択が難しかった。

一索二索三索三索四索四索四索五索五索七索八索八索九索  ツモ八索  打三索

三索六索が6枚見えているが、倍満確定の打四索にするかと思いきや「八索が山にいそう」と語った通り、山に1枚ずついたアガリ牌を力強く引いて6,000オール。
さらに

東2局2本場 
仲田の11巡目リーチに対して、一発目の前原は以下の手牌。

一万三万五万三索四索五索一筒一筒二筒三筒四筒九筒九筒  ツモ四万  打一万  ドラ九筒

前原はリーチでぶつけると思ったが、縦に打ち出したこの牌が

仲田 
二万三万一索二索三索二筒二筒五筒五筒五筒七筒八筒九筒  リーチ一発   ロン一万

前原「仲田の8巡目、二万手出しで一万がかなり危険に見えた」リーチ選択より一万を切るかで迷ったとのこと。
仲田はこの後沢崎に親を流されるも、

東3局1本場 親柴田 

一筒二筒三筒五筒五筒発発  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン白白白  ツモ発  ドラ五筒

この3,000・6,000を決めて、トータル2着目の前原に並ぶ。
東4局で柴田に8,000の放銃をするもトップ目の沢崎の親番で、

南1局 親沢崎 

二万三万三万四万四万五索五索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ  一発ツモ五万  ドラ一筒  裏五万

3,000・6,000を決めてさらに詰め寄る。極めつけは

南2局1本場 親仲田  

四万五万六万九万九万一索二索三索七索八索二筒二筒二筒  リーチ  ロン九索  ドラ六索  裏二筒

ドラ暗刻の沢崎から裏ドラ3枚の12,000の直撃を決める。この時点で持ち点が、
沢崎 49,400
仲田 64,700
柴田 10,100
前原 ▲4,200

こうなり、トータルが、
沢崎 +51.4P
仲田 +44.4P
前原 +18.9P
柴田 ▲114.7P

なんと仲田は一時120ポイント以上離れていた点差を、わずか7ポイント差まで詰め寄ってしまったのだ。こうなるともう誰が勝つかわからない。

南3局4本場 親柴田 
前原がリーチ後にカンを入れてこのアガリ。

一万二万三万八万八万九万九万九万五索六索  暗カン牌の背六筒 上向き六筒 上向き牌の背  リーチ  ツモ四索  ドラ四索五索  裏五筒南

これで3人に優勝の可能性があるオーラスが始まる。
この半荘の持ち点が、
沢崎 46,000
仲田 61,300
柴田 12,400
前原  300
これに順位点とトータルを合わせると

沢崎 +48.0P
仲田 +41.0P
前原 +23.4P
柴田 ▲112.4P
仲田は8,000出アガリか1,600・3,200ツモ、または沢崎からの3,900直撃条件。
前原は親なので連荘になるが、4,000オールでこの半荘3着になりトータルトップになる。

南4局 親前原 
条件がある仲田にチャンス手が入る。
8巡目

二万二万三万四万五万三索四索五索二筒三筒五筒七筒八筒  ツモ一筒  ドラ五索

五筒リーチだと沢崎から直撃、ツモか他からアガリの時には一発か裏ドラが必要になる。ここはヤミテンでも条件を満たせる可能性を残し一筒をツモ切る。しかし無情にもこの後有効牌を引くことはなかった。
終盤にテンパイを入れた前原と沢崎の2人テンパイ。

南4局 1本場 
今度は前原にチャンス、2巡目に四筒を仕掛けて10巡目にテンパイを入れた。

二万二万四万五万六万二索三索四索七索七索  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ドラ七索

ドラの七索が2枚、二万が1枚山に残っている。七索ツモなら一気にトータルトップだったが手牌を開けたのは沢崎だった。

九万九万九万一索二索三索三索五索三筒三筒六筒七筒八筒  ツモ四索

ラス牌をツモって勝負あり。
第5期JPML WRCリーグ優勝は沢崎誠に決まった。

仲田の追い上げは素晴らしく観るものを魅了した。なにより柴田が最後まで丁寧に打ったからこそ、試合が壊れず最後までドラマがあったと思う。
前原は対局後「日々の生活を変えないと難しい」とコメントをくれたが、本当に強かった。
そして沢崎は失点こそ多かったが、それ以上に前に出てアガリ、まさに勝利をもぎ取った。
沢崎さん優勝おめでとうございます!

余談だが、対局後に沢崎が3回戦の国士無双放銃について話してくれた「痛いけどちょうどいいかもなと思ったよ、なぜって2着目が座る席がよかったから」連盟のタイトル戦の最終戦はトータルの順位で座る場所と起家が決まっている、聞くと2着目の席が3連勝していたそうだ。このポジティブさも沢崎の強さなのだろう、、、

 

100

第5期JPML WRCリーグ ベスト8B卓レポート

第5期JPML WRCリーグ、ベスト8最終戦。
予選から参加してきた選手となると、予選・一次トーナメント・二次トーナメント・ベスト16、長い長い道のりを戦い抜いてきた。
そしてついにベスト8、この戦いに勝てばいよいよ決勝戦。
A卓からはHIRO柴田・仲田加南が既に勝ち上がりを決めている。
ここでもまた、各選手負けられない戦いが待っている。

WRCルールは一発裏ドラカンドラあり、30,000点持ち30,000点返し。
順位点はトップから+15、+5、▲5、▲15。
トータル4回戦を行いポイント上位2名が決勝進出となる。

 

100

 

 

1回戦(起家から沢崎誠→木本大介→原佑典→前原雄大)※文中全て敬称略

現役A1リーガーVS若手プロの対決となったベスト8B卓。
前評判どおりのベテラン勝ち上がりとなるか、それともルーキーによる下克上なるか。
戦いの火蓋は切って落とされた。

東1局
7巡目、親の沢崎が先行リーチ。

七万七万二索三索四索四筒五筒六筒八筒八筒東東東  ドラ五万

ここに15巡目、追いついたのは西家・原。

三万三万四万四万四万五万五万五万三索三索六索七索八索

ドラを暗刻にしたテンパイで三万六万三索の3メンチャンのテンパイ。
前巡に木本が三索を切っている。この大物手をヤミテンとするが、すぐに七万を掴み放銃。
沢崎が裏ドラをめくるとそこには原が欲しかった六万。裏ドラ3枚で18,000。
原自身も勝負手であったが、手痛いスタートとなってしまう。

東1局1本場
3巡目、今度は原が先行リーチ。

八万八万七索八索九索一筒二筒三筒四筒五筒六筒西西  ドラ四索

打点はいまひとつだが何よりも巡目が早い。
しかし、前局跳満をアガった親の沢崎もドラ暗刻で追い掛けてくる。

三万三万四万五万六万四索四索四索七索八索九索一筒三筒  リーチ

待ちの枚数に大きな差はない。
これは原ピンチか・・・という展開もツモったのは原。1,000・2,000の1本場。
前局の大きな失点を少し取り返す。

東3局
3巡目、北家木本の手。

三万五万九万九万四索五索七索六筒八筒東東北北  ドラ六索

役牌がふたつトイツだが、ここで沢崎が、そしてそれに合わせて原が切った東を2枚ともスルー。
その次巡に切られた北も仕掛けず。
ここまで仕掛けも多用して勝ち上がってきた木本だが、ここは鳴く手かたちではないという判断か。

そこに前原が西を暗カン。それを見た沢崎はカン七索をチー。

二索三索四索四筒四筒六筒六筒六筒発発  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  ドラ六索四万

そして8巡目、メンゼンでテンパイを入れた木本が満を持してのリーチ。

三万四万五万九万九万九万四索五索五筒六筒七筒北北

2巡後、ドラの六索をツモって2,000・4,000のアガリ。
仕掛けずに手を育て、嬉しい加点となった。

南4局
ここまでの各者の持ち点は
沢崎56,300 木本33,700 原700 前原23,000
親番で大きなアガリを決めた沢崎がダントツのトップ目。

7巡目、親の前原がリーチ。

三万四万五万九万九万三筒三筒三筒六筒七筒八筒西西  ドラ九万

ここに、トップ目の沢崎が西で飛び込み、裏が乗って12,000のアガリ。
2着目に立つが、1本場は木本がそれをかわし、1回戦が終了。
放銃スタートとなってしまった原は、苦しい立ち上がりとなった。

1回戦結果
沢崎+29.3P 木本+10.3P 前原▲1.6P 原▲38.0P

 

 

2回戦(起家から前原→木本→原→沢崎)

南1局1本場
南家・木本が8巡目にテンパイ。

五万六万七万二索三索五索六索七索五筒六筒七筒九筒九筒  ドラ七万

ピンフ・三色・ドラの確定満貫を、積極的にリーチとゆく。
現状34,700点持ちの2着目であり、トップ目の原が1回戦4着であったことからヤミテンの選択を取る打ち手も多いかもしれない。
そこに親の前原、西家の沢崎が仕掛けて押し返す。そして沢崎から打たれた一索で8,000は8,300のアガリ。
裏ドラは乗らなかったものの、果敢な攻めで加点に成功。

南2局
9巡目、南家原に選択の局面。

 

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456の三色が見える形だが、ここで選んだのは打四万
自身から九万が3枚、八万が4枚見えておりカン七万の待ちは景色がいい。
トップ目の親ということもあり、アガリ易さを考慮しての選択か。
しかし自身の次のツモは五万。マンズを外してゆく。

そこに4着目となった西家の沢崎のリーチ。

一万二万三万五索六索七索一筒二筒三筒七筒八筒西西  ドラ中

そして14巡目、そのリーチに追いついたのは北家・前原。

五万六万七万五索五索六索六索七索三筒四筒五筒六筒中  ツモ七索

三筒六筒中もリーチには通っていない牌だが、ここでアガリに向かうならとドラの中を切って追いかけリーチ。
一発で六筒をツモアガリ2,000・4,000、トップ目に肉薄する。
六筒は沢崎のアタリ牌でもあり、会心の1局となったか。

南4局1本場
オーラス、木本と100点差となった前原が積極的に仕掛けを入れ、300・500のツモアガリでトップに。
しっかりと着順をまとめて、後半戦に向かう。
一方大きなラスを引いてしまった沢崎はここでポイントリセット。
3回戦以降どのような立ち回りを見せてゆくのか。

2回戦結果
前原+24.3P 木本+12.6P 原±0.0P 沢崎▲36.9P

トータル
木本+22.9P 前原+22.7P 沢崎▲7.6P 原▲38.0P

 

 

3回戦(起家から沢崎→前原→原→木本)

東1局
西家の原が、リーチ。

三索四索五索二筒二筒五筒六筒七筒九筒九筒東東東  ドラ二筒

ドラをツモり裏が乗って3,000・6,000。
1回戦の18,000放銃以来苦しい展開が続いていた原、ここで反撃の狼煙となるか。

南3局
親の原がドラの中をポンしてチャンス手。8巡目、引いてきたのは四万

 

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さまざまな選択がある手だが、原が選んだのは六索
五万八万が2枚切られていること、2人が九索を切っていることが理由か。

ここから八万をチー、三筒を引き入れテンパイをいれ沢崎から12,000点大きなアガリ。

南4局
5万点を超えるトップ目となった原、ここでもリーチ。手は緩めない。
今度は前原からアガリ、8,000点。
大きな大きなトップで、トータル2位までポイントを伸ばす。
一方この半荘、アガリのチャンスに恵まれなかった木本はトータルトップ目から手痛いラスとなってしまう。

3回戦結果
原+44.7P 前原▲1.3P 沢崎▲15.2P 木本▲28.2P

トータル
前原+21.4P 原+6.7P 木本▲5.3P 沢崎▲22.8P

 

 

最終戦(木本→原→沢崎→前原)

ついに最終戦。まだまだどの選手にも勝ち上がりの可能性がある。

東1局

 

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こちらは、西家・沢崎の3巡目の手(北家の前原が北をポンしている)。

ここから沢崎はトイツの九万の1枚外し。
この選択がうまくいき、9巡目に以下の形でテンパイ。

八万九万七索八索九索一筒一筒二筒二筒三筒三筒南南  ドラ八筒

この手をリーチとゆく。
それを受けた木本も同巡にテンパイ。

六万六万六万二索三索四索六索八索四筒五筒六筒八筒八筒

タンヤオ・ドラ2の勝負手をこちらも強気にリーチ。
このペン七万とカン七索、山には2枚づつ残っており枚数は互角。
ここは沢崎がツモって2,000・4,000のアガリ。

2軒リーチを受け一歩後退した前原の手のうちにはソーズが五索五索五索七索とあり、リーチが一軒のみの場合、手の進行度によっては打ち出されている展開もあったか。
それによっては今後の各選手の戦い方もまた、変わっていたかもしれない。

南1局
4着目の木本の最後の親番

五万六万七万三索三索五索六索五筒六筒七筒  ポン白白白  ドラ六索

ここで高めの七索を原からアガリ、トータル2着目の沢崎にせまる。
しかし次局は沢崎に2,600は2,900の放銃で親落ち、一気に厳しい戦いとなる。

南4局
連荘もなく局が進みオーラス。トータルトップ目の前原が親のため、ここ1局で終局となる見込みが高い。

木本は1,300・2,600もしくは前原からの3,900か原からの7,700直撃条件。
そして原は3,000・6,000のツモアガリが現実的な条件。

しかしここでテンパイをしたのは現在トータル2位の沢崎。

七万八万九万五索六索七索九索九索九索四筒四筒七筒八筒  ドラ八万

相手の直撃条件を緩和してしまう可能性はあるものの、ここが最後の勝負どころと見てリーチと踏み切る。
このしっかりとした状況判断こそが、トッププロの強さであろう。
予選から勝ち上がった若手プロたちにとっては1日通して、大きな大きな壁となったことだろう。

このリーチを一発でツモり2,000・4,000。自身のアガリでしっかりと決勝戦進出を決めた。

最終戦結果
沢崎+32.1P 前原+5.7P 木本▲9.3P 原▲28.5P

勝ち上がり 前原雄大 沢崎誠

こうして、A1リーガー2名が決勝戦へと勝ち上がりとなった。

敗れたものの、この戦いは若手の2選手にとってもきっと、かけがえのない財産となったことは間違いない。
いつかこの大きな壁を越えて見る景色を夢見て、明日からまた研鑽を積んでいくことだろう。

第191回:第19回モンド杯優勝特別インタビュー 柴田 吉和  インタビュアー:ケネス徳田

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~この20年随一の!?~

私が麻雀界に足を踏み入れて今年で18年。幸いなことに、デビュー当初から麻雀関係の仕事一本だけで生活していくことができた。とはいえ、この18年の最中いろいろな出来事がおきた。近年では映像メディアの発達が目覚ましい一方で紙媒体つまり出版業界の衰退も著しい。そのため増える仕事もあるが、無くなる仕事も多いのが現状であり、さらに扶養家族も増えてしまい我が暮らしは決して楽にならず。

手前味噌ながらデビュー当初から同じように続けている仕事といえば『むこうぶち』(竹書房『近代麻雀』刊)、新聞原稿『夕刊フジ・毎週火曜日発売分』、そして『モンド麻雀プロリーグ』。この3つだけである、ありがたや。

『モンド麻雀プロリーグ』、当時は『麻雀デラックス』というTV対局番組の枠名だったが2004年に『モンド21麻雀プロリーグ』に変更。そしてチャンネル名が『モンド21』から『MONDO TV』に変更を機に『モンド麻雀プロリーグ』になった。その中に『モンド杯』『女流モンド杯』『モンド名人戦』『モンド王座決定戦』という、現行システムが確立された。

私が携わったのは2002年。たしか『女流モンド21杯』であった。対局中のスコア管理。最終戦の条件計算。またテロップ作成や編集立ち会いなど。さらには近代麻雀での観戦記(現状は無し)。少なくとも最低3回は同じ対局~しかも多角的に~を20年近く見続けてきた。番組レギュラー陣の今と昔の麻雀の変化などにも人一倍感じる時もある。

過去のレギュレーションでは決勝は4回、6回などの番組もあったが、現行システムになってからは決勝2半荘制(『王座決定戦』は対局者4名による全4半荘)。

初戦トップで7割弱、2着で2割弱の優勝確率が私のイメージである。3着・4着ともなるとやはり相当厳しく、特に初戦ラスからの優勝は私の記憶では過去1~2回。なくはないが相当厳しいものとなっている。特にそこまで沈んでないラスならともかく、初戦ハコ割れラスではほぼ絶望的な点差とも言える。

しかし『第19回モンド杯』ではその絶望的な点差をひっくり返した男がいる。またしても「逆転の柴田」が伝説を作ったのである。

 

~過去に例のない逆転劇~

25,000点持ちの30,000返し、順位点10・20のシステムの場合、3万点ちょうどのトップで+40P。トップ者がこのくらいの点数ならばラスでも2万点近くあり、その場合は▲30P。70P差の場合、トップ・3着で2万点、4万点トップ2万点3着というイメージ。これならば逆転もそこまで難しくはない(とはいえ厳しいといえば厳しいが)。

 

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しかしこの『第19回モンド杯』。決勝1回戦の成績が

白鳥翔 +52.8P
山井弘 +12.6P
石橋伸洋▲17.7P
柴田吉和▲47.7P

柴田は1回戦オーラスの親番、4,000オールをツモって素点を回復するも2,300点持ちのラスで終了。
トップの白鳥とは98.5P差。トップ・ラスで4万点弱という相当厳しい条件を突きつけられる。しかし『第32期十段位戦』で…

 

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三倍満条件をクリアする国士無双をオーラスでツモアガリ。この奇跡に比べたら、これくらいの数字は全然…

柴田「いやいや、厳しいから」

ケネス「そうね。点差つけても相手がラス、せめて3着じゃないと相当だからね」

決勝2戦目東2局1本場。石橋、山井の先制リーチに対し

 

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この行くしかない状況でドラのペン七筒待ちイーペーコーで3件目の追っかけリーチ。これが功を奏し一発で石橋から満貫の出アガリ。

続く東3局の親番では4,000オール、2,600オールと立て続けに点棒を増やし、5万点を超える。目標の白鳥は17,700点持ちの…微差だが2着目。

柴田「結局まだまだ足りてないから攻め続けなくちゃいけなくて。そしたら東4局で…」

 

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白鳥が3巡目にリーチ。3メンチャンで追っかけたものの、次巡に5,800の放銃となってしまう。

ケネス「打ち取れば優勝が見えたのにね」

柴田「でもこのおかげで吹っ切れたかもしれなくて」

東4局1本場、石橋から東・ドラ3の満貫をアガリ。そして南1局、親番・石橋の先制リーチを受けながらドラポン、そして終盤で…

 

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前巡ドラの四索をポンしてカン五筒待ちテンパイ。そこにツモ六筒…残りツモあと2回。二筒五筒が4枚切れているのと安全度との兼ね合いで…

ケネス「流石に四筒切りになりそうだとは思ってたけど…」

柴田「まだ素点も足りてないし行くしかないからね」

柴田の選択は打三筒! 放銃覚悟でアガリの可能性を目一杯追った選択である。
ちなみに石橋の待ちは六筒九筒。そしてハイテイにいたのは…二筒だった!

ケネス「このアガリで4万点差。だけど現状白鳥が2着目だからまだまだか」

柴田「けどこの後山井さんが4,000オールアガってくれて、翔ちゃんが3着に落ちたから」

南2局1本場に2,000・4,000ツモで条件クリア。オーラスも見事自力でアガリ切って第19回モンド杯優勝となった。

ケネス「見ててこの南1局のアガリが一番インパクトあったけどね」

柴田「でも自分では決勝よりも予選最終戦のほうがちょっとあって…」

『第19回モンド杯』は出場者12名。予選各自6回行い上位2名は準決勝をスルーして即決勝となる。

予選最終戦前。柴田はトータル+9.3Pの6位。大きいラスで脱落(下位2名予選敗退)の危機もあったし、そうでなくても半荘1回だけの準決勝では挽回が非常に難しくなる。

ところが別卓が先に終わり、残るは柴田の卓のみ。トータル順位こそ7位に落ちたものの+86.3Pだった2位のボーダーが+53.0Pまで低下。普通のトップでなんと2位、つまり決勝へジャンプアップできるのだ。

柴田「幸いオーラスダントツトップ目で気は楽だったんで、親に放銃しなければ多少無理してでも終わらせにいこうかと」

 

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東をポンして片アガリチャンタの六索九索待ち。そこに予選トータル1位・白鳥のリーチが。

柴田「白は出たらポンして単騎待ちにしようかと思ってた。親の村上さんはテンパイすればリーチ、つまりリーチじゃなければテンパイじゃないと読んでだから」

ケネス「じゃあこの白をポン?」

柴田「いや、なぜか声がでなくて。どの道翔ちゃんに放銃してもトップは堅いから現状オリる気なくて行くつもりはあったんだけど」

柴田のポンする、しないの瞬間の判断がまさに天国か地獄かの選択だった。2巡後、ツモ切った四索が白鳥に放銃するが…。

四索四索六索六索六索四筒四筒四筒五筒五筒北北北  ロン四索

柴田「もし白ポンしてたら四索が向こうに行って四暗刻ツモらてたんだよね。ほんと助かったと思って」

虫の知らせか、第六感か…「戦場では一瞬の躊躇が命取り」と言われているが、逆に躊躇が功を奏した形となった。

 

~現代のシンデレラボーイ!?~

ざっとここで柴田の経歴を挙げてみよう。

2012年 プロ連盟入会(28期生)
2014年 第28期新人王戦優勝
2015年 第32期十段位戦優勝
2016年 第1回モンドチャレンジマッチ勝ち上がり、第17回モンド杯出場
2019年 第19回モンド杯優勝

ケネス「すごいね。ここ最近だとここまでトントン拍子に勝ってきてる人はいないよ」

柴田「そうでもないよ。この間に他決勝戦4回出てるけど逃してるし」

柴田の言う逃した決勝戦とは「麻雀最強戦2015(十段位シード)」「第33期十段位戦(防衛戦)」「第6期グランプリMAX」「第7期グランプリMAX」の4回。勝った時のインパクトの反面、負けた時の印象が薄く失礼ながら記憶にも残っていなかった…。もっとも本人としてどうせ勝つならもっと余裕を持って勝ちたいだろうが。

柴田「十段位になってから色々出させてもらったけど、そこから全く結果出せてなくて」

ケネス「モンドチャレンジマッチだけか、勝ったのは」

柴田「そうね。でもそれ勝ってモンド杯出場はあくまでスタートだからね。出場が目的じゃなく、やっぱり優勝が大事だから」

 

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本人的には、十段位以降タイトルに恵まれず、人知れず苦悩した時期もあるとのこと。

柴田「タイトル獲った人が不甲斐ないと、そのタイトルの価値を落とすことにもなるからね。僕個人のことを悪く言われるのはそこまで気にならないけど、過去や今後十段位獲った人まで悪く言われるのは耐えられなくて」

さすがO型らしい発想。私みたいな「それがどうした」の一言で済ますB型とは視点が全く違う。

柴田「でもモンド杯優勝できて、ほんと嬉しいというより安心したって感じかなとりあえず。だけど今度は今度で「モンド杯優勝」の肩書を背負わなければならないからね」

柴田の苦悩は今後も続くようだ。とりあえずは6月放送予定の「第15回モンド王座決定戦」モンド杯優勝者として出場する。柴田の活躍に、そしてその後の延々苦悩する姿も乞うご期待!

第3回麻雀プロアマオープン競技会 本戦レポート 松田 彩花

巣鴨に日本プロ麻雀連盟本部道場が出来てから約1年半が経過し、麻雀プロアマオープン競技会も3回目の開催となった。
2月10日は、その本戦が行われるということで巣鴨道場は本戦通過を目指す出場者の熱気で満ち溢れていた。

予選は2018年8月1日から2019年の1月31日の17時からの通常営業時に行われ、成績に応じて本戦やトーナメントベスト16などの出場権が与えられている。

 

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※重複があるため、本戦出場は総勢40名となった。

この日は、40名で半荘4回戦を行った後上位14名にシード選手を加えた24名でトーナメント1回戦・2回戦を行い、勝ち残った6名がベスト16へと駒を進めることとなる。

 

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出場者40名が揃うと、藤原隆弘道場長からルール説明がされた。いつもは笑顔に包まれている道場も、今日ばかりはピリッとした緊張感が漂う。そんな中、森山茂和会長から激励の言葉がかけられると、会場内は一気に笑顔に包まれた。
和やかな雰囲気が漂っていたのも束の間、本戦4回戦が藤原道場長の合図で開始された。

 

【本戦】
※半荘4回戦のルールは日本プロ麻雀連盟WRCルール、50分プラス1局で行われた。

 

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日本プロ麻雀連盟からは森山茂和会長、藤原隆弘道場長、冨田久志、小林大地の4名がこの本戦からの出場となった。

 

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『今日は役満アガったら何かあるんですか?』と質問があった。その質問に藤原道場長が、「今日は試合ということなので特に何もありません!」(※通常営業時は役満をアガると、1日無料券などのサービス券が配られている。)と答えた矢先の出来事だった。

KANTAさんが四暗刻をツモって8,000・16,000をアガっている。シーンとした道場内に役満をアガった声が響くと、少しザワつき、その後再びピリッとした緊張感が走った。

4回戦が終わりポイント上位が発表された。
会場内には喜びの声が響くと同時に、敗退してしまった方の悔しい声もあがっていた。序盤から苦しい展開が続いていた森山会長、藤原道場長もここで敗退となった。

本戦通過者は以下14名
オガチャンさん 水野裕来さん カズさん くまおさん
西角健二さん ドロンボーZさん 茶谷正人さん もとさん
ヒロオさん 徳永英二さん 太田久雄さん 冨田久志
野瀬守康さん 木澤謙さん

ここにシード権のある
篠田拓郎さん ぽいすけさん Andy-Sanさん 杉山俊彦
住吉聡さん 丹野賢一さん 藤次さん 中村さん
小林泰士さん 金山さん
を加えた24名で2回戦のトーナメントを行う。

 

【トーナメント1回戦】
各卓、上位2名がトーナメント2回戦に進出となる。なお、ここからの試合は60分プラス1局となる。

 

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1卓 (写真左手から)木澤謙さん 水野裕来さん 篠田拓郎さん カズさん
オーラス、篠田さんが親の満貫をツモアガリ2位以下を大きくつき離し二次トーナメント進出。前回優勝のカズさんは惜しくも敗退となった。
1位通過 篠田拓郎さん 2位通過 木澤謙さん

 

 

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2卓(写真左手から)くまおさん ぽいすけさん オガチャンさん 野瀬守康さん
オガチャンさんは本戦1位通過し、『今日はすごくツイてます。』と試合の合間に笑顔を見せてくれていたが、この半荘は苦しい展開に…オーラス、逆転条件をクリアしたくまおさんが2回戦進出を決めた。
1位通過 ぽいすけさん 2位通過 くまおさん

 

 

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3卓 (写真左手から)西角健二さん 杉山俊彦 冨田久志 Andy-Sanさん
プロが2人入るこの卓。終盤まで冨田がリードを守り続け、杉山とAndy-Sanさんが僅差の2位争いを繰り広げた。最後微差での勝利を手にしたのはAndy-Sanさん。2回戦へ駒を進める。
トーナメント2回戦からの参加だった杉山プロは惜しくもここで敗退となった。『精一杯頑張りましたが、最後は競り負けてしまいました。悔やまれるミスがあり後悔はありますが、次のプロアマオープンでは、ベスト16シード権獲得目指して頑張ります。』と語ってくれた。

1位通過 冨田久志 2位通過 Andy-Sanさん

 

 

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4卓(写真左手から)丹野賢一さん ドロンボーZさん 住吉聡さん 太田久雄さん
競りで迎えたオーラス、丹野さんが自らアガリを決め2回戦への進出を決めた。
1位通過 太田久雄さん 2位通過 丹野賢一さん

 

 

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5卓(写真左手から)茶谷正人さん 中村さん 藤次さん 徳永英二さん
オーラス、徳永さんが逆転条件をクリアし2回戦のトーナメント進出を決める。
1位通過 中村さん 2位通過 徳永英二さん

 

 

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6卓(写真左手から)金山さん もとさん ヒロオさん 小林泰士さん
2位以下混戦の中、オーラス、ヒロオさんが2着を決めるアガリをものにする。
1位通過 金山さん 2位通過 ヒロオさん

 

【トーナメント2回戦】
トーナメント2回戦は12名で行われ、各卓上位2名が通過となる。また、ベスト16からは対局が日本プロ麻雀連盟チャンネルで放送される。

 

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1卓(写真左手から)金山さん 徳永英二さん 冨田久志 木澤謙さん
冨田が終始リードを持って半荘をすすめる。苦しい展開が続いていた木澤がラス前に満貫をアガると2位以下は一気に混戦に。オーラス徳永が親番を連荘させるも最後は金山が2着を守り切り、ベスト16への切符を手にした。

1位通過 冨田久志
『スタジオの対局では、まだ勝ったことがないので勝ちたいです。がんばります。』

2位通過 金山さん
『優勝します!!!』

と力強いコメントをいただいた。

 

 

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2卓 (写真左手から)ぽいすけさん Andy-Sanさん 丹野賢一さん 中村さん
ぽいすけさんが序盤リードでゲームを進めるが、丹野さん、Andy-Sanさんが大きいアガリをモノにすると、点差がフラットになる。南場に入り、我慢を重ねてきた中村さんが満貫をアガると、一気に2位に浮上する。
しかしオーラス、2位との差が6.3ポイントとなっていたAndy-Sanさんが満貫をツモアガると、ベスト16へ進出を決めた。

1位通過 Andy-Sanさん
『せっかく勝ち上がったので、決勝残れるように頑張ります。』

2位通過 丹野賢一さん
『緊張するだろうけど普段通り打てるように、最後までいけるようにがんばります。』

と意気込みを語ってくれた。

 

 

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3卓(写真左手から)篠田拓郎さん くまおさん 太田久雄さん ヒロオさん
東場はそこまで大きな点棒の移動はなかったものの、南場はくまおさんのリードで迎える。ラス前に太田さんが5,200点をアガると2位以下は一気に混戦状態に…。
そして迎えたオーラス、親番の篠田さんが500点オール、6,100点オールと大物手をモノにし、卓内トップ通過となった。

1位通過 篠田拓郎さん
『トーナメントは2回戦ともに逆転での通過。ヒヤヒヤしたので、放送(ベスト16)では突っ走りたいです!』

2位通過 くまおさん
『トーナメント1回戦目でツモって逆転した跳満が全てです。』

と笑顔で語ってくれた。

対局が終わると、一気に緊張がほぐれたのかいつも通りの和やかな雰囲気の道場へと一変した。途中で敗退となった方も結果を最後まで見届け、勝ち残った仲間に応援の声をかけている。麻雀談義に花を咲かせ、お互いを讃え合う、そんな姿を見ていると私もなんだか急に麻雀が打ちたくなった。心の中で“麻雀っていいなぁ…”と呟く。
長い1日が終わり、ホッとした皆さんの顔を見て「お疲れ様でした。」と一人一人に声をかけることにした。だが、まだまだ闘いはここからである。今日通過した6名の方には、ぜひ今日の仲間のエールを胸に、優勝を目指して欲しい。

この後は、通過した6名にシード選手10名を加え、麻雀プロアマオープン競技会2018後期ベスト16が行われる。ベスト16からは対局が、2月24日12時から連盟チャンネルにて放送されるので、ぜひその様子を見ていただけたらと思う。
第3回プロアマオープン競技会優勝は誰の手に!まだまだ目が離せない闘いが続く。