第31期中部プロリーグ 第4節レポート

Aリーグ:小野雅峻

ふと感じることが多くなってきたのは前回の第30期くらいからであろうか、一般の方の観戦が多くなってきた。中部本部は現在プロリーグしか行われていないため、プロアマの参加出来るタイトル戦以外では対局することができない選手が多数いる。一般の方との交流を増やそうという目的で現在中部本部が行っているワンデー大会も、9月に行われる予定のものでようやく2回目である。麻雀プロと直接対局することができないにもかかわらず、関心・興味を持って見に来てくれる方々がたくさんいるのだ。

麻雀プロにとって自分の麻雀が見られるということはプロ冥利に尽きることである。
見に来てくれている人達にまた来たいと思ってもらうため、真剣に麻雀に取り組み素晴らしい対局を魅せていかなければいけないと思う。

それでは今節の結果を見ていこう。
1卓 古川・森下・土岐・掛水

今節の注目カード。3節が終了したが調子に乗れていない古川・森下がどのような麻雀を打ち、どのような結果を出せるか。1回戦目大きなトップを取った掛水。その後も安定した展開でプラスを重ね+54.1Pとし、暫定2位まで順位を上げた。大きく沈む結果となってしまったのは古川。降級枠が4枠もあるため、そろそろ波に乗らないと厳しいか。

2卓 寺戸・清水・朝岡・伊藤
50,000点越えの1人浮きを2回取り、+90.7Pというスコアを叩きだした伊藤。前節までのマイナスを一気に取り返し決勝卓が見える位置まで浮上した。

3卓 三戸・日下・小野・加藤 ※別日対局

4卓 杉村・山本(拓)・林・都築

ここまで最下位につけていた山本(拓)だったが、丁寧にアガリを積み重ね+44.7Pの卓内トップを取ることに成功した。
これで第31期中部プロAリーグは約半分が終わった形となる。B、C、Dリーグの選手たちは次節が昇降級をかけた一番大切な4半荘となり、気合いの入り方も普段とは比べものにならないだろう。より一層良い対局が見られるはずである。皆さまには結果を楽しみにしていて欲しいのと同時に、ぜひ会場に来て観戦をすることで直に対局の様子を楽しんで頂きたいと思う。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 小野 雅峻 73.1 32.5 3.8 12.4 121.8
2 掛水 洋徳 ▲ 8.9 ▲ 3.5 39.7 54.1 81.4
3 伊藤 鉄也 15.6 ▲ 33.6 ▲ 19.6 90.7 53.1
4 三戸 亮祐 5.4 3.3 5.3 33.1 47.1
5 土岐 雄太 17.8 21.3 15.7 ▲ 11.0 43.8
6 林 俊宏 13.3 11.7 ▲ 12.3 ▲ 5.2 7.5
7 加藤 泰史 16.2 ▲ 25.5 45.0 ▲ 38.1 ▲ 2.4
8 森下 剛任 ▲ 7.4 18.6 ▲ 30.2 16.0 ▲ 3.0
9 都築 友和 ▲ 14.2 5.8 2.8 ▲ 0.3 ▲ 5.9
10 寺戸 孝志 35.7 ▲ 18.6 23.6 ▲ 48.7 ▲ 8.0
11 清水 哲也 ▲ 9.0 ▲ 25.5 20.1 ▲ 4.2 ▲ 18.6
12 日下 健司 ▲ 40.1 ▲ 5.0 30.3 ▲ 7.4 ▲ 22.2
13 山本 拓哉 ▲ 86.7 19.8 ▲ 19.7 44.7 ▲ 41.9
14 朝岡 祐 22.1 ▲ 27.1 ▲ 25.3 ▲ 37.8 ▲ 68.1
15 杉村 泰治 ▲ 30.9 ▲ 3.5 ▲ 27.4 ▲ 39.2 ▲ 101.0
16 古川 孝次 ▲ 2.0 26.3 ▲ 52.8 ▲ 79.1 ▲ 107.6

 

Bリーグ:安藤大貴

様々な漫画等にも描かれている運量。元々その人が持っている運、自力で引き寄せる運。
今期サブテーマにもしている、調子の悪い時の脱出法。
その1つの考え方が、自力で運を引き寄せるというスタイル。
その手法は多種多彩である。

調子の悪い人の仕掛けにより、好調選手の待ち牌を吸収し流局等に持ち込み、相手の運量を削り、自分の運量を増やし、バランスを取る。運量のバランスを取ってからようやく相手に立ち向かう事ができる。今回インタビューに答えてくれた越川がその手法である。
各選手様々な戦略を巡らせた第4節であった。

その結果を見ていこう。

5卓 佐藤、2回戦まで苦しい戦いを強いられていたが、3回戦で盛り返し、▲11.9Pと軽傷ですませた。首位は譲らない。最終節では追われるプレッシャーとどう戦うか楽しみである。

6卓 後顧の憂いのない金平、順位を上げる事を目標にしたであろう、結果は+37.3Pと順位を3つ上げ暫定3位。最終節への意気込みが伝わってくる。
富村、2回戦終了時点で▲42.1Pと苦戦していた。その日好調の田村を意識し、迎えた3回戦で田村を抑えトップを奪取、4回戦も+20.4Pとし、トータル▲9.3Pとまとめ上げた。

7卓 青山、4回戦こそマイナスしたものの、トータル+18.6Pとし現状2位、首位の背中を完全に捉えている。斎藤、安藤は痛手を負ってしまった。

8卓 背水の陣の牛尾、終始アガりをものにし、この日トータルで+88.3Pと怒涛の猛攻撃。
これで後級圏から脱出か。逆に越川は追いつめられてしまった。

神のいたずらか、なんと最終節で暫定1位佐藤、2位青山、3位金平、7位長谷川という卓組。
最終節では毎節順位が大きく入れ替わる事が多いなか、佐藤、青山は昇級ものにできるか、それとも金平、長谷川が待ったをかけるか、来節のこの卓は目が離せない。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 佐藤あいり 24.1 23.8 61.3 ▲ 11.9 97.3
2 青山 大 0.9 56.5 12.6 18.6 88.6
3 金平 裕樹 25.0 ▲ 12.0 ▲ 0.6 37.3 49.7
4 富村 つぐみ 33.1 ▲ 7.0 18.8 ▲ 9.3 35.6
5 村瀬 寛光 ▲ 68.8 ▲ 13.7 68.9 48.7 35.1
6 高橋 侑希 ▲ 17.1 58.0 ▲ 6.5 ▲ 8.9 25.5
7 長谷川 弘 29.9 ▲ 3.7 ▲ 27.8 25.8 24.2
8 中谷 彰吾 7.6 ▲ 3.9 17.9 ▲ 0.4 21.2
9 牛尾 信之 ▲ 18.9 ▲ 32.3 ▲ 27.6 88.3 9.5
10 大橋 幸正 ▲ 66.1 ▲ 21.5 55.0 17.4 ▲ 15.2
11 木村 東平 20.9 18.3 ▲ 52.5 ▲ 7.1 ▲ 20.4
12 斎藤 寛生 ▲ 47.9 20.5 18.8 ▲ 32.4 ▲ 41.0
13 大西 義則 15.3 ▲ 6.1 ▲ 61.9 3.4 ▲ 49.3
14 田村 良介 ▲ 16.7 4.7 ▲ 24.0 ▲ 20.9 ▲ 56.9
15 安藤 大貴 ▲ 33.7 ▲ 32.9 ▲ 17.9 ▲ 34.9 ▲ 119.4
16 越川 清一 61.4 ▲ 68.7 ▲ 37.5 ▲ 113.7 ▲ 158.5

 

Cリーグ:原田知彦

第4節が行われた。野球で例えるならば7回あたりになるだろうか。
勝ちチームがセットアッパーを登場させ、試合の仕上げに入る時間帯である。リーグ戦であれば、結果如何で昇級を目指すのか、降級から逃れるのかの目標がハッキリし、やはり仕上げ前の準備をする節となる。

今節の結果を全体的に見ると、上位陣がスコアを伸ばし、下位陣がマイナスを大きくしたため、より縦長の並びとなった。

昇級圏内の岡田、大滝、大町、太田(充)は全員プラス。
この4人の来節の大崩れは予想しづらいが、大滝と太田(充)が同卓、岡田、大町、今節7位になった私が同卓ということで、激しい争いが予想でき楽しみである。

今期の昇級は4人であるので、昇級に現実味があるのは9位の河合までだろうか。4位の太田(充)から河合までの差は45.7Pであるので、1節で簡単に替わってしまう差である。
昇級のボーダーがどの程度のスコアになるのか分からないが、今期の私の昇級を例えるなら9回2アウトからの逆転ホームランといったところだろう。
可能性はゼロではないので、1%でも可能性が高まるよう次節までを過ごす。

Cリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 岡田 智和 ▲ 13.8 50.3 57.6 7.0 101.1
2 大滝 聡 ▲ 2.0 31.5 42.3 11.7 83.5
3 大町 篤志 ▲ 18.2 ▲ 9.8 81.2 5.1 58.3
4 太田 充 ▲ 18.5 57.8 ▲ 2.9 20.1 56.5
5 蓮池 浩太 61.8 ▲ 36.6 4.2 ▲ 3.3 26.1
6 若松 正和 32.3 ▲ 23.4 ▲ 3.9 13.2 18.2
7 原田 知彦 ▲ 55.7 ▲ 13.1 63.8 21.7 16.7
8 堤 文吾 ▲ 11.3 2.9 ▲ 28.1 52.0 15.5
9 河合 慎悟 1.7 ▲ 30.0 26.8 12.3 10.8
10 岡本 丈司 0.2 6.3 ▲ 22.1 10.3 ▲ 5.3
11 花井 香央理 ▲ 50.7 ▲ 41.5 53.1 18.6 ▲ 20.5
12 杉浦 貴紀 22.4 13.3 ▲ 13.2 ▲ 46.6 ▲ 24.1
13 大高坂 松城 4.4 18.7 ▲ 57.8 ▲ 27.6 ▲ 62.3
14 鈴木 基芳 55.1 ▲ 8.5 ▲ 72.2 ▲ 37.4 ▲ 63.0
15 太田 峻也 ▲ 6.3 ▲ 29.6 ▲ 42.1 4.4 ▲ 73.6
16 鈴木 淳 ▲ 2.4 9.7 ▲ 87.7 ▲ 61.5 ▲ 141.9

 

Dリーグ:浅野 文雅

梅雨の始まりを予感させる雨の中、
中部プロリーグ第4節が始まった。

第3節終了時点で、やや縦長の展開
短時間の体力を使ったレースと違い昇級枠は14人中4人とはいえど運の要素も加わる麻雀には大まくりは難しい。
せめてプラススコアで終えたい。

結果から言うと実績のある鈴木(雄)が+129.0Pの荒稼ぎで一気にトップに踊り立つ。

他の上位人にも大崩れはなく
今節では差は縮まるばかりか広がるばかり。
今季はあと1節4回戦
マイナス組の逆転はやや難しいか?

ただ、何が起こるかわからないのが最終節
現在、降級のないこのリーグでは下位の選手は一か八かを狙って
攻めていかない選手はいないだろう。

第31期中部プロリーグもいよいよ最終節を残すのみとなった。
それぞれ目標やモチベーションに違いはあると思うが、私自身、来期上の舞台で戦う為に全力を尽くすだけである。

Dリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 鈴木 雄介 45.3 ▲ 54.4 47.5 129.0 167.4
2 鈴木 涼太 ▲ 20.2 46.5 71.5 35.1 132.9
3 奥 潤次 58.2 70.6 ▲ 22.3 ▲ 17.8 88.7
4 山本 美文 ▲ 12.1 46.7 18.8 23.9 77.3
5 浅野 文雅 ▲ 10.9 42.9 48.1 ▲ 3.6 76.5
6 池沢 麻奈美 0.8 45.9 10.7 9.5 66.9
7 吉川 裕太 11.4 63.8 16.5 ▲ 35.6 56.1
8 日高 志穂 ▲ 56.4 ▲ 16.3 64.5 58.9 50.7
9 羽川 えりか 17.6 6.9 22.0 ▲ 41.5 5.0
10 後藤 咲 11.6 ▲ 8.2 ▲ 110.4 45.1 ▲ 61.9
11 近藤 美香 14.2 ▲ 33.8 ▲ 57.1 ▲ 19.0 ▲ 95.7
12 加来 千香子 ▲ 3.3 ▲ 31.9 ▲ 31.8 ▲ 56.6 ▲ 123.6
13 家田 みゆき ▲ 31.9 ▲ 52.5 ▲ 25.1 ▲ 48.9 ▲ 158.4
14 鷲津 槙一 ▲ 24.3 ▲ 127.2 ▲ 53.9 ▲ 80.5 ▲ 285.9

第17期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第3節レポート

Aリーグ第3節:辻本翔哉

上位陣に動きがあったのか、3節目のレポートをいたします。

1卓:横山・仁科・勝間・佐々木
この卓は現在1位の勝間と3位の横山がどのようなポイントになったのか。良い位置につけている仁科と佐々木が今期一番の注目カードです。
結果は、勝間+31.9P、横山+26.5P、佐々木▲5.4P、仁科▲53.0Pとなり、上位2人が着実にプラスを伸ばす事となりました。
太閤位経験者の2名がこのまま突き進むのか、次節以降ますます注目していきたいです。

2卓: 宮田・高谷・米川・稲岡
先にトータルの結果から高谷+23.6P、米川+3.0P、稲岡▲4.8P、宮田▲21.8Pで終了。

5回戦目の南4局1本場供託1,000点。
見た時には1人沈みの高谷が、23,500点から4巡目でリーチをしており

五万五万六万六万六万七万八万五筒六筒七筒東東東  ドラ九万

九万をツモ時には5,200+300+供託1,000で30,000点となるリーチとなった。
点数計算をしっかりしていないと、4巡目でもあり三暗刻やホンイツの手替わりを待つ場面だが、高谷はリーチを打っていきます。
結果は親の宮田が中筋となった五万を放銃。稲岡が30,000点からの追っかけリーチもしていて、米川が34,300点の1人浮きの結果となりました。

通年のリーグ戦を戦っていくなかで、結果的に4位となってしまったが1人沈みの▲12Pと2人沈み、1人浮きの▲8Pでは点数では4,000点も違う。アガリ時の素点、本場、供託とリーチのみでも+3,600。高谷は40半荘のトータルで戦う事をしっかりと考えている手強い相手と感じました。

3卓: 坂本・藤川・吉本・辻本
こちらも先にトータルの結果から、辻本+100.3P、吉本▲24.3P、藤川▲37.8P、坂本▲40.2Pとなりました。私辻本の調子がよくこのような結果でした。

こちらも5回戦のオーラスのレポートをします。
南4局1本場ドラ東
西家辻本29,800の2位。1局前に藤川に7,700を放銃しており、トップとも12,100点離れている状況。何とか30,000点を超えたいと考えていた。
配牌は下の三色が狙えそうな手で、仕掛けていく事も考えていました。しかしツモは縦に伸び8巡過ぎ

四万四万二索三索三索四索五索五索六索六索三筒三筒三筒  ツモ五索  ドラ東

三索を切ればツモり三暗刻テンパイ。しかし四万三索六索も場に1枚も出ていない。二索四索を切れば四暗刻1シャンテン。私は今日の調子と役満を狙える手であることからチャンスとみて四索を切りました。しかし何か出たらすぐに鳴いていく事も考えていましたが、すぐに藤川から三索が出てポン。二索を切ってタンヤオトイトイツモり三暗刻のテンパイ。四索を切り三索をポンして二索を切った時点でトイトイバレバレです。次巡四万をツモりアガリきることができました。
自分の調子がいい時と悪い時、ポイント的に余裕のある時ない時、状況を考えて打ち筋を変えていく事が必要と感じました。
次節で前半戦終了です。まだまだ気温もリーグ戦も熱くなっていくと思いますので気合を入れてレポートしていきたいと思います。

 

Bリーグ第3節:山室太二

3節目の対戦相手は大橋、辻井、福原でした。
今日の対戦は符ハネで得するケースが多く見受けられたので記載していこうかと思います。

2回戦オーラス、山室の手牌は

五万六万七万九万九万四索五索六索七索八索  暗カン牌の背九筒 上向き九筒 上向き牌の背  ドラ二索

3着目で32,500点持ち。2着目の辻井は親で35,500持って、トップには満貫ツモが必要な条件です。
九筒をカン出来たことによってツモのみでも同点2着ではありますが、着順が浮上する状況です。
牌姿だけでいえば3面なのでリーチ打てばいいのですが、二打目に九索を切っていてフリテン、その場に4枚切れているので、とてもリーチの打ちづらい手になっています。
どうせフリテンなので、ドラの二索をひいて満ツモになるカン三索の形になったらリーチしようと思っていたら、あっさりと六索をツモって500・1,000で終了。
同着2位は順位点的にはあまり美味しくないのですが、リスクなく着順浮上ならやはりお得な展開だったと言えるでしょう。

3戦目東3局、

大橋手牌
三万三万六筒七筒  暗カン牌の背東東牌の背  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  チー三万 左向き四万 上向き五万 上向き  ツモ八筒  ドラ八筒

この3,900オールからの3戦目オーラス、

大橋手牌
三万三万五万六万七万六筒七筒七筒八筒九筒  カン北北北北  ドラ一万

この半荘は大橋の1人浮き状態となり、かろうじて2着の山室が30,300点で浮きの状況でしたが、大橋からツモの声、倒牌された手牌からドラを探し、ノミ手だと思っていたら、400・700申告。2~3巡前に加カンしていたためにツモでも1人浮き可能形になっていました。
結果、符ハネで得した大橋が50ポイント叩いたトップで、私もやや浮きでしたが公式ルールでは打点がたたきにくいので、符も重要なダメージソースだなと思いました。

 

C1リーグ前期第3節:稲垣諒彦

連盟では十段戦の真っただ中ですが、そのような中、関西プロリーグの第3節が行われました。

第3節の組み合わせは、
1卓:行野・川上・根越・吉田圭吾
2卓:吉田哲史・後藤・辰巳・音羽
3卓:長野・原田・土田・中野
4卓:木下・宮澤・稲垣・冨田

1卓の結果は、川上の一人浮き。根越・吉田圭吾・行野はマイナスの結果となりました。この日は中々つらい展開でしたが、吉田圭吾は非常に強いと思います。
その特徴は【しっかり攻める】ことにあると思います。攻撃型という言葉でくくるのは簡単ですが、なかなかバランスよく攻めることは難しいです。
吉田はその【バランスを加味した攻め】がうまく、私もよく参考にさせてもらっています。攻めるべき手できちんと攻める、これができている結果が、今回の十段戦での躍進につながっていると思います。直近2節で結果が出てはいないものの、残り2節では上位戦線に食い込んでくるとみています。

2卓は、結果だけを見れば、女流の音羽の大きなマイナスとなりました。特に3回戦までは特大のマイナス。しかし、音羽の良さは簡単にはあきらめないところ。
迎えた4回戦、音羽は特大の1人浮きのトップを取ります。この状況の中、特大トップを取ることは難しいのではないでしょうか。負けは誰にでもありますが、終わってしまったことに目を向けるのではなく、今できる最善の努力を常に怠らない。この姿勢こそ各プロが見習うべきものであり、大事なことだと改めて教えてもらいました。

3卓は、さすがの強さで原田が1人浮きとなりました。
1回戦4着でしたが、その後は3連勝。特に2・3回戦は連続1人浮きトップ。同卓者も終盤には「かなわない」という表情で打っていたのが印象的でした。
この3卓はロングゲームとなり、中々、原田の親が終わらないという状況が続きました。私は、連盟公式ルールは経験がモノを言う部分があると思っていますが、原田の麻雀は長年の経験に裏打ちされた、攻めどころを間違えず、きちんと結果を出してくる精度の高さにあると思います。この日も終盤には多くのプロが観戦をしていました。結果だけを見ればさすがの一言ですが、常に結果を出し続けるのは難しいと思います。原田が今期のC1リーグで首位通過も不思議ではない、という重圧の中、しっかり結果を出している姿を他のプロも見習わなければなりません。

4卓の前半戦は木下のペース。木下の速攻のアガリに誰もついていけず、非常に強い、という印象を対戦者に与えました。
しかし、この卓で一番光ったのは宮澤。3回戦まで非常に苦しい展開の中、粘り、回復の時機をじっと待ちます。そして4回戦目。この日の大きなマイナスをすべて回復するのは無理でも、せめて半分までには回復したいという中、木下から大きな11,600を出アガリ。結果的には大きなトップとなり、マイナスを4割程度に減らしました。宮澤は関西プロアマの優勝者でもあり、期待の大きな打ち手。この後もしっかりいい試合を見せてくれると思います。

次回は第4節。初夏の中熱い戦いが行われます。4節が終わるころには昇級候補も出そろいます。首位原田の後を誰が追いかけるのか、非常に注目です。

 

C2リーグ前期第3節:山本裕之

第2節では、順位が大きく変動したことで、今回の結果がとても重要になってきます。
3卓1回戦。この対局は中安の独壇場でした。

東1局 北家の中安は

四筒五筒六筒六筒九筒九筒九筒  ポン西西西  ポン北北北  ドラ四索

上記の手で三筒をツモ、1,300、2,600を加点。

さらに、東2局

一万二万三万五索六索七索東東西西  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ドラ東

上記の手で秋山から東をロンアガリ、7,700点を加点。
快調に得点を重ねていきます。

南場に入り、南1局。他家からリーチがかかるも、

三万四万四万五万五万六万八万八万八万五筒五筒七筒七筒  ツモ五筒  ドラ三万

1,000、2,000を加点、さらに場を支配し続けます。

南2局 ドラ中の場面では、

五万六万四索四索五索六索七索中中中  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き

伊原から四万をロンアガリ、高めにはならずとも7,700点をさらに加点。

南3局、
二索三索四索一筒一筒五筒六筒  ポン中中中  ポン東東東  ドラ九索

この局でも秋山から四筒をロンアガリし1,000加点、他家の親番のチャンスを許しません。

オーラスで秋山が500、1,000をアガリも中安には到底及ばず。
結果、中安が圧倒的な勝利を収めました。

第35期十段戦 ベスト16A卓レポート 小車 祥

 

上田直樹(前年度決定戦出場により、ベスト16シード)

 

 

 

内川幸太郎(五段戦からの出場)

 

 

 

櫻井秀樹(歴代十段位として八段戦からのシード出場)

 

 

 

佐々木亮(五段戦からの出場)

 

過去2年、最も十段に近かった男上田。
A1リーガーでメディアでも活躍している連盟の看板選手の1人内川。
十段戦の高いステージには必ず名を連ねる櫻井。
関西本部の猛者佐々木。

 

1回戦(起家から、内川・佐々木・櫻井・上田)

序盤は大きな点棒の動きはなく、さばき手の成就か流局が続いた。
上田が親番で粘りを見せ連荘に成功し35,700点持ちのトップ目に立つ。

東4局2本場 親 上田
8巡目、上田が切った九筒を内川が仕掛けて以下のテンパイ。

二万二万六万七万八万一筒二筒四筒五筒六筒  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ドラ西

メンゼンで仕上げたい手だが、切られた九筒は場に4枚目。
内川も致し方なく仕掛けた部分はあったかもしれない。
この仕掛けによって流れたツモが、佐々木のなんでもなかった手牌を化け物に変える。
以下、仕掛けが入った時の佐々木の手牌。

一万二万三万三万一索五索五索五索三筒西北北中

ここからの佐々木のツモが三筒三万中。ここで切られたポンテンの中を佐々木はスルー。さらに自力で三筒をツモってツモり四暗刻テンパイ。
リーチも打たずヤミテンに構え、山に1枚しか残っていなかった中をあっさりツモった。

三万三万三万五索五索五索三筒三筒三筒北北中中  ツモ中

8,000・16,000は8,200・16,200の大きなアガリ。

1回戦はこのまま佐々木が逃げ切り終了。
チャンス手は各々入っているが、アガリには繋がらない展開だった。

1回戦成績
佐々木+44.3P 櫻井▲9.1P 上田▲13.7P 内川▲21.5P

 

2回戦(起家から、内川・櫻井・上田・佐々木)

東1局 親 内川
9巡目、内川が以下のテンパイ。

二万三万四万五万六万六万六万七万八索八索三筒四筒五筒  ドラ二索

手順上仕方がなかったものの、自身の河には一万九万が切られていて有効な手変わりは少なく見えた。
そして次巡、内川はツモ切りリーチを敢行。
ドラが見えていないことに懸念はあったかもしれないが、押さえつけてのあわやのツモアガリと流局に賭けた。
リーチの直前に声がかからなかった白を内川が切ると佐々木からロンの声。

八万八万八万二索二索七筒七筒八筒八筒九筒九筒白白  ロン白

佐々木、8,000のアガリ。内川にとっては手痛い放銃となってしまう。

南2局 親 櫻井
佐々木、2巡目に以下の手牌

一索二索三索三索四索四索五索八索八索九索九索一筒発  ドラ中

ここで櫻井から九索が切られるが佐々木は動かない。
ポンすればチンイツの1シャンテンで残る形も良さそうだが、佐々木はじっくり構える。
その後、六索二索と自力でツモってメンゼンのチンイツテンパイ。
八索を櫻井から捕らえ12,000のアガリ。
2回戦のトップ争いをしていた櫻井からの出アガリは値千金だった。

2回戦も佐々木のペースでゲームが展開し、2連勝でこの上ないリードを手に入れた。

2回戦成績
佐々木+32.7P 上田▲2.9P 櫻井▲5.3P 内川▲24.5P

2回戦終了時
佐々木+77.0P 櫻井▲14.4P 上田▲16.6P 内川▲46.0P

 

3回戦(起家から、佐々木・内川・櫻井・上田)

ここまで展開が向かない内川。
ここで反撃の狼煙を上げる。

東2局2本場 親 内川
7巡目、上田がリーチ。

二万三万四万三筒四筒六筒七筒八筒北北中中中  リーチ  ドラ七筒

11巡目に内川が追いつく。

三万四万五万四索五索三筒五筒七筒八筒九筒南南南  ツモ四筒

理想のテンパイで、リーチをかけて高目ツモなら6,000オール。
トータルポイントのビハインドを思うとリーチをかけたくなるところ。
しかし内川は落ち着いていた。

六索がリーチをしている上田の現物。じっくりとヤミテンに構える内川。
以下、櫻井の手牌。

六万七万八万三索三索三索五索五索六索六索七索六筒七筒  ツモ五万

櫻井はここから一旦上田の現物切りで粘る打六索を選択。内川がリーチをかけていれば選ばれない牌だったろう。
内川、2,900は3,500の打点以上に価値あるアガリ。ひとまずきっかけを作ったように見えた。

東4局 親 上田
局終盤にテンパイを入れた内川が上田からアガリ牌を捕らえる。

二万三万四万六万七万八万二索三索四索二筒三筒五筒五筒  ロン四筒  ドラ二筒

ヤミテンに構えていた内川、8,000のアガリ。

その後も要所で加点に成功した内川。
そのまま逃げ切りトップを取る。

3回戦成績
内川+27.6P 櫻井+5.2P 佐々木▲12.6P 上田▲20.2P

3回戦終了時
佐々木+64.4P 櫻井▲9.2P 内川▲18.4P 上田▲36.8P

 

4回戦(起家から、櫻井・上田・佐々木・内川)

残り2回戦でこのトータルポイントであれば、佐々木はほぼ当確で残り1つの席を巡る戦いになるというのは対局者全員の共通認識と言っても過言ではないだろう。
もちろんイレギュラーはあれど、心構えとして事実をきちんと認識することも必要なスキルのはずだ。

東2局 親 上田
櫻井にチャンス手が入る。以下、配牌。

九万二筒二筒三筒六筒七筒八筒東東北白白発  ドラ九筒

ここから早い巡目に次々と鳴きたい牌が鳴けた櫻井。

六筒七筒八筒北  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ポン東東東  ポン白白白

テンパイ前に1枚切れていた北を内川がツモ切る。
8,000の直撃は2つ目の席を争っている両者にとってかなり大きな点棒の動きとなった。

東3局1本場 親 佐々木
ここで櫻井との点差を広げられると最終戦がきつくなる内川。
ここは打点に折り合いをつけて、積極的に動いていく。

一筒二筒三筒三筒六筒六筒七筒八筒八筒九筒東南南  ドラ六万

6巡目に切られた南をポンして打東とする。
この東を親の佐々木がポン。

三万三万五万七万九万九万九万五索六索七索  ポン東東東

すぐに六万をツモった内川、ピンズのホンイツではドラでも切る他なかった。
内川に追い打ちをかける7,700の放銃。

南1局1本場 親 櫻井
7巡目に櫻井がテンパイを入れる。

一索一索六索六索一筒一筒二筒二筒五筒五筒東南南  ドラ六索

出アガリ9,600のテンパイ。待ちごろな牌に変わるのを待つ構えを取る櫻井だが、今一つアガれそうな牌を持ってこない。
12巡目、東待ちから七筒待ちに待ち変えをする櫻井。
場にピンズはほどよく切られていてヤミテンならば拾えそうな牌だ。

16巡目、七筒は出ないまま櫻井は持ってきた北七筒を入れ替える。
北は場に1枚も出ておらず、巡目との兼ね合いで受け気味の選択だったのだろう。
内川、最後のツモ番。

五万六万七万八万八万四索五索六筒七筒八筒東東東  ツモ北

内川はここで時間を使う。
リーチ者はいない。だがこの北は切っていい牌なのか?自問自答する。
後に聞いた話では、櫻井の七対子ドラドラは読めていたのだそう。

「あの手出しの東は待ち変えか?ならば東から七筒に変えた?では七筒から北に変えた可能性は?待ちとしては北より七筒を選ぶのではないか?ならば北単騎を選んでいる可能性は低いはずだ」

内川は北をツモ切った。
櫻井、9,600は9,900のアガリ。

内川と櫻井のトータル2着争いの行方を決定づけかねない大きな大きなアガリ。
内川自身も後に話していた。
「あの判断は間違えていた。深い巡目だったから受ける意味での北待ちへの変化は十分にあり得ることを見落としてしまっていた」と。

4回戦成績
櫻井+36.1P 佐々木+26.0P 上田▲19.5P 内川▲42.6P

4回戦終了時
佐々木+90.4P 櫻井+26.9P 上田▲56.3P 内川▲61.0P

 

最終戦(起家から、内川・佐々木・上田・櫻井)

櫻井と上田のトータルポイントの差が83.2P。
櫻井と内川のトータルポイントの差が87.9P。
奇跡を何度か起こさない限り逆転できるような差ではない。

東2局 親 佐々木
4巡目、櫻井が仕掛けを入れる。

四万五万四索四索四索二筒三筒三筒四筒四筒  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き  ドラ八索

さらに三万をチーして打四索二筒五筒待ちテンパイ。
その瞬間、内川が以下のテンパイを入れる。

一万一万一万六万六万八万八万九索二筒二筒二筒白白  ツモ八万

なんと、内川があっさりツモり四暗刻テンパイ。リーチを打つ。
数巡後、最初の奇跡。白ツモ。

8,000・16,000

消化試合になりそうだった最終戦をたった1局で面白くした内川の四暗刻。
しかしまだこれでは足りない。それほどの差をつけられているのだ。
その後は、櫻井が決め手に欠けつつも隙は見せずに点差を詰めさせない展開。

南4局4本場 親 櫻井
オーラスの点数状況は以下の通り。

内川 60,600
佐々木 18,300
上田 30,300
櫻井 10,800

内川の勝ち上がり条件は跳満ツモ、もしくは櫻井からの跳満直撃。
一発裏ドラのない公式ルールにおいてこの条件がどれだけ厳しいかは容易にご理解頂けるだろう。

3巡目の内川の配牌。

三万一索二索三索四索五索六索七索八索八索七筒九筒北  ツモ二万  ドラ一万

ソウズの一色手かピンフ一通ドラ1をリーチしてツモるかというところ。
7巡目には以下のテンパイ。

二万三万一索二索三索四索五索六索七索八索八索九索三筒  ツモ一万

ドラから引いてしまうとピンフがつかない。
内川、ここは打八索として123の三色でのアガリも視野に入れた。
次の内川のツモは九索。三面張だが九索ツモしか許されないテンパイ。
それでも内川はリーチを打つ。打たざるを得ない状況。

一万二万三万一索二索三索四索五索六索七索八索九索九索  リーチ

リーチを打った時点では山に2枚残っている九索だったが、リーチ後すぐに佐々木が九索をツモり残り1枚。

そして2巡後、二度目の奇跡。内川九索ツモ。
3,000・6,000は3,400・6,400。

なんと87.9Pを捲る内川の大逆転劇。凄まじい対局を見せつけられたのだった。

最終戦成績
内川+55.8P 上田▲4.1P 佐々木▲18.1P 櫻井▲33.6P

最終戦終了時
佐々木+72.3P 内川▲5.2P 櫻井▲6.7P 上田▲60.4P

ベスト8勝ち上がり
佐々木亮 内川幸太郎

見事ベスト8へ勝ち上がりを決めたのは佐々木と内川。櫻井と上田が敗退となった。

「なんで俺の手だけツモれないんだよー」と明るくふるまう櫻井に好感。
あの逆転劇の直後にそんな振る舞いはなかなかできるものではない。
「また三段戦から頑張ります」と上田。
2年前に初段戦から決定戦に残り準優勝したエースも、ついにシードを失ってしまった。

まずはベスト16A卓が終了し、勝者が2名決まった。
B卓の戦いにも注目したい。

何を切る?fromロン2 2018年7月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答を、グラフを使って比較していきたいと思います。
多くのプロより、丁寧な解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。

問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介

ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)
東4局1本場北家

 

プロ

九索切り・・・19人
四索切り・・・13人
六万切り・・・1人
二索切り・・・1人

 

ロン2ユーザー

九索切り・・・44.4%
二索切り・・・28.3%
四索切り・・・12.1%
六万切り・・・11.1%
八万切り・・・3%
七索切り・・・1%

 

 

プロ解答(50音順)

 

九索切り

 

明石定家
「雀頭はどこでもできそう。理想はタンピン三色ドラドラ。」

伊藤優孝
「柔軟に構える。」

魚谷侑未
「このままの1シャンテンだと567にもなりにくそうに見える。最低メンタンピンかドラを使いたいので。」

黒沢咲
「雀頭は後から作るとして、タンヤオを確定させて満貫手を狙う。」

ケネス徳田
「ドラ受けを残しつつタンピンへ。」

近藤久春
「大きく構える。」

猿川真寿
「タンヤオ変化になる牌も多いので高打点を目指す。」

沢崎誠
「まだ2メンツ!メンタンピンツモ三色ドラドラなどの高打点を気長に見たい。」

柴田吉和
「ゆったりと。」

中村毅
「567と678を狙いつつタンピン形にもっていく。ドラ重なり等の打点アップも見て。」

浜上文吾
「雀頭なしの状態になるが、仕掛けも考えてタンヤオと567・678の三色狙い。チーテンになった場合のみ三索はチーします。基本はメンゼンで高打点を狙いたい。」

林俊宏
二索四索を切る時もあると思いますが、まずはタンヤオを目指して1翻・2翻と打点を上げていきたい。」

HIRO柴田
「タンヤオに決めてツモを見る。」

藤岡良一
「ここは雀頭を九索にもとめない。雀頭保留でゆったり構える感じで。トップに走られているが、まだ東場だし勝負の行方はわからない。」

藤原隆弘
「567三色の1シャンテンではあるが、七万五筒限定でドラが余る形。ここはいったん2シャンテンに戻してみたい。二索が重なるのがベストだが、三索引きや四索七索が重なってのタンピンなど変化に幅がある。」

古橋崇志
「ピンフのみになってしまう可能性のある1シャンテンには受けない。最低でもメンタンピン、最高形はメンタンピン三色ドラドラ狙いで九索のトイツ落としとする。」

増田隆一
「タンヤオに向かう。」

美波智子
「タンヤオ、三色を目指します。」

和久津晶
「せめてタンヤオ。」

 

 

四索切り

 

荒正義
「速度優先でトップより2着確保。満貫か跳満のツモで上を見る。」

石川遼
「最高のドラツモは逃さないバランスの良い一打。」

和泉由希子
「カンチャン嫌いなので。」

内田美乃里
二索が重なるのが理想だが、567も678も見えるので、テンパイしたら打二索とします。」

上村慎太郎
「567、678を見つつ。」

紺野真太郎
「567になればリーチで良し。ならずはヤミテン。二索が重なればさらに良し。」

佐々木寿人
「手なりで。」

菅原千瑛
「ドラ二索の重なりを残しつつ、567の三色を見て打四索。」

西川淳
九索を切ってブクブクに!と思ったけど、すでに四筒六筒を切っているここは打点よりスピードということで、四索切りからヤミテンに構えます。」

仁平宣明
「三色の1シャンテンに構えて三色目を引いたらリーチ。先に二索が重なるようなら、高目満貫の仕掛けも考える。」

藤島健二郎
「ピンフ形を尊重。567の目が残る。」

森下剛任
「三色も狙うが、好形を残したい。」

安村浩司
「好形を残す。打点アップはドラの重なりと八索引きを残す。」

 

 

六万切り

 

二階堂亜樹
「ラス目と点差が近いので、ドラを使い切る。567三色か五万八万重なりのタンヤオなど役有りを目指して。ドラが重なればマンズ分カバーできそうなのと、親の現物がないので、八索をツモ切りしている親の安全牌候補に九索を取っておきたい。」

 

 

二索切り

 

中山奈々美
「ドラではあるが、567を狙いつつ四索七索引きでタンヤオ移行も見えるので二索を切る。」

第35期十段戦 九段戦Sレポート 東谷達矢

いよいよ九段戦Sがはじまる。ここから登場するのは長年連盟の顔として活躍してきたレジェンド達だ。
この壁が若手にとっては厚くそして高い。連勝を重ねてきた早川、太田、佐々木、三浦は果たしてこの壁を乗り越えることができるだろうか。

 

1卓:灘麻太郎・ダンプ大橋・櫻井秀樹・黒沢咲

カミソリ灘の異名を持つ灘、齢八十歳を超えて尚アガリへの嗅覚は衰えていない。
黒沢がリーチを放ってもその力を吸収するようにアガリを重ねる。櫻井も負けじとアガリを重ね2人揃って連続の連帯。ダンプは2連続3着だがまだわずかなマイナスで留まっている。そして黒沢、3回戦も沈めば万事休すとなるほどの劣勢だったが、その黒沢が高らかにツモの声を上げた。

8,000・16,000。国士無双をツモリあげると一撃で勝負をふりだしに戻した。
そして黒沢の浮上により危機に陥ったダンプだったが

四万五万六万七索七索三筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六筒  ドラ五万

この3,900オールで戦線に踏みとどまる。
その後灘が原点付近まで浮上し櫻井の持ち点が10,000点を切る怒涛の展開。
だが、今度はその櫻井が3回戦オーラスに3,900オールをアガリ失点を最小限に抑えると、4回戦

一筒二筒三筒七筒七筒八筒八筒九筒東東東発発  ロン九筒

12,000を灘から直撃しベスト16への切符を手元付近まで手繰り寄せた。
いかな百戦錬磨の灘といえどこの放銃から勢いが戻ることはなかった。
最終5回戦、2着争いをダンプと黒沢の2人で繰り広げる。
まずダンプが先制。黒沢を引き離しトータルポイントでも逆転に成功する。黒沢が原点から沈んでいる限りは有利なダンプが

一万二万三万五万六万二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ五万

親番で早い巡目のリーチ。ツモるか黒沢から直撃すればリードを更に拡げることになるが、ダンプの気合いは届かず流局。そして次局黒沢の反撃

二万三万四万五万六万八万八万四索五索六索四筒五筒六筒  リーチ  ツモ四万

この3,000・6,000を決めると一気に原点を超え勝負あり。打撃戦を制した。

1卓勝ち上がり:櫻井秀樹・黒沢咲

 

2卓:古川孝次・前田直哉・横山毅・早川林香

二段戦からここまで勝ち上がってきた早川。東北から上京し、東京本部へ移籍をした直後の快進撃。ここを勝ち上がることができれば一気に飛躍の年となるかもしれない。だが、立ち塞がるのはサーフィン打法でお馴染み、曲者の古川に元鳳凰位の前田、更に関西本部長の横山と強敵がずらり。
まず、早川がここまでの勢いそのままに開局早々走る。

四索七索八索九索東東東  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ポン白白白  ツモ四索

2,000・4,000。大きな先制打となったが、ここからジリジリとした捻りあいが続く。仕掛けとリーチを織り交ぜてプレッシャーを掛けてくる古川、そして手数で圧倒する横山に、前田が思うようにアガらせてもらえない。早川もなかなか加点できないが、3回戦までのトータルでなんとか古川に喰らいつく。
迎えた4回戦東2局、古川の異様な捨て牌に早川が受け気味の手順で手を進める。
横山が中を切り、古川が手出し、そして早川が中を合わせると古川がロンの声と同時に手牌を倒した。

一万九万一索九索一筒九筒東南西北白発中  ロン中

なんと1枚の余りもない国士無双13面待ちだった。
早川にとっては脳にぐらりとくる一撃だった。競っている相手にたった1回で順位点込み80ポイントを与える放銃に動揺がないわけがない。
そして古川のこのアガリは早川だけでなく前田にとっても痛かった。2位浮上するにはかなりの得点を稼ぐことが必要になってしまったからだ。
ただ、この半荘の主役は役満をアガった古川ではなかった。
横山が親番で5本場までアガリ持ち点を64,000点にすると

二索三索三索四索五索七索八索九索一筒一筒四筒五筒六筒  リーチ  ツモ四索  ドラ一筒

この4,000オール。更に次局、前田の先制リーチにすぐ追いつくと、アガリを確信したかのように迷いなくリーチ宣言をすると

一索一索三索三索七索七索九索九索西北北白白  リーチ  ツモ西  ドラ九索

仕上がった状態ゆえか当然のようにツモりあげ8,000オール。持ち点は100,000点を超え、関西勢の強さを周りに見せつけるかのような連荘となった。その後、前田も早川も懸命に戦うがいかんせん差が開き過ぎた。まざまざと壁の高さを見せつけられ、二段戦から続いた早川の挑戦はここで幕を閉じた。

2卓勝ち上がり:横山毅・古川孝次

 

3卓:伊藤優孝・藤原隆弘・柴田吉和・鈴木基芳

広い心と連盟愛でこれまで地方の活性化や後輩の育成に尽力してきた伊藤も、麻雀においては死神の優という恐ろしい異名を持ち、粘り強い雀風で未だA1リーグに君臨している。
4回戦終了時、トータルトップの柴田のプラスがわずかに10ポイント。他3者がほぼ横並びで最終戦に入る。
伊藤が40,000点を持ち1人浮き状態で迎えた南2局、

二索三索四索五索五索六索七索八索八索八索九索南発発

この手で藤原は生牌の南を絞り九索を切る。次巡発をツモり南をリリース。そして二索ツモの2,000・4,000。先に南を処理していればテンパイ時に打五索となり放銃になっていたであろう。藤原ならではの受けの手順で伊藤に並ぶ。そしてこのアガリによってトータル3位に落ちた柴田は南3局

二万三万五万六万七万六索七索八索六筒七筒八筒東東  リーチ  ドラ二万

リーチ。現状優位な伊藤と藤原は悠々とオリを選択。残り2局しかない鈴木は放銃してもきついがオリるわけにもいかず前へ出る。柴田としても鈴木からの出アガリはオーラスの親番でノーテンで伏せることができない為なんとかツモりたい所だろう。
指に力が入る柴田。そして終盤、四万を手にすると普段冷静な柴田にしては珍しく牌を卓に叩きつけた。

これでオーラス時のトータルポイントは 、柴田+8.3P、伊藤+5.5P、藤原+3.7P。ただし、伊藤と藤原の持ち点が33,600点で並んでいる為、藤原と伊藤はアガった方が勝ち上がり。鈴木が跳満をツモると、鈴木と伊藤の勝ち上がりである。
藤原は仕掛けを入れ、ファーストテンパイ。

二万三万四万六索六索五筒五筒五筒六筒七筒  チー六万 左向き五万 上向き七万 上向き  ドラ九筒

放銃した瞬間終わりだが、伊藤も前に出るしかない。

五索五索六索七索七索九索四筒五筒六筒八筒  ポン発発発

鳴きを入れるがまだ1シャンテン。しかもソウズが入りテンパイすれば出る牌は藤原の待ち牌の八筒であろう。絶体絶命の伊藤だが、先に藤原の手が変わる。七索をツモり打六索

そして鈴木。

一万二万三万一索二索三索二筒三筒四筒九筒東東東

ドラ待ちでテンパイしているが、リーチしても届かず、一筒を引くことが絶対条件となっている。このまま鈴木が藤原の待ち牌を河に放っても終わる。が、その瞬間伊藤は八索を持ってきてようやく藤原に追いついた。先ほどまでの藤原のアタり牌を捨て、奇しくも同じ五索八索待ち。これでもうどちらが勝つかはわからないが、その後決着はすぐ着いた。
鈴木の河の八索に2人がロンの声。競技ルールにダブロンはない。手牌を倒し勝ったのは、藤原の上家に座っていた伊藤だった。

3卓勝ち上がり:柴田吉和・伊藤優孝

 

4卓:荒正義・木村東平・太田優介・佐々木亮

荒正義。今更語るまでもなく、何十年も打ち手として第一線で活躍した生けるレジェンドだ。その荒と中部の木村に、太田と佐々木が挑む。
太田といえば、昨年度王位戦決勝で野方に敗れたことが記憶に新しい。敗戦から何度も何度も自分を見つめ返したことだろう。大舞台で借りを返したいという思いは誰よりも強いはずだ。
そして佐々木もここを勝ち上がりたい気持ちは太田に負けていないだろう。地方の連盟員はタイトル戦で活躍しなければ注目されづらい。ここを勝ち上がればベスト16。映像対局が待っている。
その若手2人がベテラン2人に牙を剥く。1回戦トップの太田が2回戦の東1局に連荘で50,000点に迫ると、次は佐々木

三万三万三万六万六万九万九万九万五索五索  暗カン牌の背二索 上向き二索 上向き牌の背  ツモ六万

四暗刻の8,000・16,000。高打点型でこれまで何度も大逆転を繰り返してきた佐々木が、今回は序盤に大きくリードを奪う。
こうなると荒のターゲットは太田。荒は3回戦の猛連荘で太田を射程圏内に入れる。
最終5回戦、荒は佐々木に7,700、6,400と連続放銃するも次局、

一万二万三万四万六万四索五索六索三筒四筒五筒発発  ダブルリーチ  ツモ五万  ドラ三筒

2,000・3,900で太田を楽にさせない。しかし南2局、今度は太田が

一万二万三万四万五万六万九万  ポン中中中  チー七万 左向き八万 上向き九万 上向き  ロン九万

テンパイ崩しから7,700を木村からアガリ、荒を引き離す。
オーラス、荒は跳満ツモ条件。テンパイまでこぎつけるとリーチ宣言牌を横に曲げる。

四万四万三索三索四索四索五索五索四筒四筒八筒八筒発  リーチ  ドラ発

ツモれば太田を逆転するが、荒の反撃もここまで。若手2人が揃ってベテラン2人を倒した。

4卓勝ち上がり:佐々木亮・太田優介

 

5卓:沢崎誠・金子貴行・内川幸太郎・井出一寛

沢崎は前日、AbemaTVの麻雀駅伝予選会で最後まで戦っていた。優勝の芽がほぼなくなっても、集中力を切らさず負けてなお美しい麻雀を披露していた。それは卓越した経験値があってこそだろう。
その沢崎、全員が1回ずつトップを取った後の最終戦にリードを奪うと、東3局に金子

一索二索三索南南南西西発発  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ロン西

内川から8,000点を打ち取り、沢崎を抜きトータルトップに躍り出る。そして南1局、内川の最期の親番、大きなトップが必要な井出がリーチを掛ける

五万六万七万一索二索三索一筒一筒四筒五筒六筒中中  リーチ  ドラ七万

そしてこの時金子にもテンパイが入っていた。

一万一万二万二万三万三万四万南南西西北北

この手をアガリきることができれば金子の勝ち上がりはほぼ決まる。一方、このまま親番が流れればかなり苦しくなる内川だったが、なんとかテンパイを入れる。全員が全員、是が非でもアガリたい状況であったがアガリ牌を引き寄せたのは内川、

三万三万四万五万六万二索三索四索五索六索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ一索

1,300オールだが、内川にとってはあまりに大きい親番の維持。そしてこれを引き金にそのまま勢いは一気に内川に傾いた。

一索一索二索二索三索三索二筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒  ロン七筒  ドラ四筒

ヤミテンで忍び、金子から7,700。そして流局や細かいアガリで7本場まで積むと持ち点が40,000点近くまで到達。トータルでもトップに躍り出た。
それでもオーラス、親の金子が連荘し簡単には終わらせない。トータルポイントは沢崎+16.8P、内川+14.6P、金子+11.3P。

内川と沢崎はアガればいい。ただし、沢崎は内川に放銃すると順位点が入れ替わり敗退となる。
そしてテンパイを入れたのは内川、

八索八索五筒六筒白白白  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き

沢崎から出れば金子が浮上する。金子も仕掛けを入れ、沢崎も前に出る。白熱した終盤戦も決着の時を迎えた。内川が自らツモリ、またもや逆転劇で勝ち上がりを決めた。

5卓勝ち上がり:内川幸太郎・沢崎誠

 

6卓:前原雄大・ともたけ雅晴・望月雅継・三浦大輔

未だ現役最強との呼び声高い鳳凰位前原に、WRC世界チャンピオンのともたけ、更には元鳳凰位で静岡支部長の望月、そして強大な敵に挑む三浦の構図。
前原の強さとはどこにあるのか。冗談なのか本気なのかわからないが、前原自身がそのことを人に尋ねるほど前原の強さというものは謎に包まれている。昨年の天鳳位達との戦いを目にした時、味方としてこれ以上頼もしい存在はないと思った者も多いだろう。だが一方で、敵となるとこれほど恐ろしい存在もない。なにせ前原を乗せてしまうと手がつけられなくなる、それだけは間違いない。
その前原が1回戦から60,000点オーバーの大トップ。
こうなると3者はきつい。残り1つの椅子を誰が掴むかという勝負になった。
3回戦まで、ともたけが失点を最小限に抑え、望月と三浦を抑えこむ。だが4回戦にいよいよ望月が爆発した。

五筒六筒七筒白白白発発発中  チー六万 左向き五万 上向き七万 上向き  ツモ中  ドラ中

3,000・6,000を皮切りに高打点を連発。持ち点が60,000点を超え、トータルポイントでともたけを一気に逆転する。
更には最終戦、

六万七万八万二索二索六索七索八索二筒三筒三筒四筒五筒  ロン四筒  ドラ二索

この7,700をアガリ勝負あり。三浦は最後にトップをもぎ取り一矢報いるが、猛者達を相手に力及ばず敗退となった。

6卓勝ち上がり:前原雄大・望月雅継

これでベスト16が出揃った。ここまで役満が多発し、更には逆転が起こる十段戦というのも珍しいだろう。それだけ攻撃力を持った打ち手が残っていると言えるのかもしれない。
ベスト16からは放送対局だが、きっと残ったプレイヤーは観戦者を興奮させる麻雀を魅せてくれるだろう。果たして誰が現十段位の待つ決勝まで勝ち進むのか。ここからの戦いも目が離せない。

第184回:第27期麻雀マスターズ優勝特別インタビュー 沢崎 誠  インタビュアー:西嶋 ゆかり

沢崎誠プロに初めてお会いしたのは、わたしがプロテストを受ける1年ほど前だったと記憶している。当時のわたしは、連盟のプロテストのことを知り、受験しようか迷っていた。
北関東プロリーグの見学へ行った際、対局後の食事の席に誘って頂いて、そこで初めて沢崎プロとお話したのだった。

縁は異なもの粋なもの。
あれから8年ほどの間にいろんなお話をさせて頂く中で、沢崎プロはわたしの母の高校時代の一年後輩で同じ美術部に所属されていたことが判明した。人との縁は本当に不思議なものである。

そして今回、沢崎プロと同郷、群馬県安中市出身の私西嶋ゆかりがインタビュアーを務めさせて頂くこととなった。

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沢崎プロが群馬在住の頃は、一緒に麻雀を打たせて貰ったり、みんなで食事に行ったり、わたしの演奏を聴きにきて頂いたりとお話する機会が多かったが、最近は年に数回しかお会いできない。わたしもなんだかわくわくしてしまって、待ち合わせよりも早く沢崎プロの道場ゲストを覗きに行った。

道場に着くと、最終半荘の真っ最中で沢崎プロは8万点超えのトップ目。その日の健康麻雀の部で優勝していた。沢崎誠はどこに在っても強い。そして麻雀がとっても楽しそうである。

 

100

 

西嶋「マスターズ、沢崎さん自身のコンディションはいかがでしたか」

沢崎「悪かった。年末に照準を合わせて身体づくりのトレーニングをしているから。試合も大事だけど、運動は一度辞めちゃうとまた始めるの大変だからな。準決勝の時はトレーニングしてクラクラしたので、決勝の前は休んだ。試合行くまでずっと寝てた」

群馬に住んでいた頃の沢崎プロは、毎日5kmや10km歩いていた。歩きすぎて足を痛めたこともあるほどだ。

西嶋「出だしは意識してましたか?初戦12局中リーチもフーロもしなかったのは3局だけでした」

沢崎「そうだね。最初状態は悪かったよね」

西嶋「開局して3局連続流局して、供託も溜まっていくんですけど、その間ずっとリーチかフーロしてましたね。結果、初アガリは沢崎さんの2,900は3,800」

沢崎「そう。いきなり4万点近くなったよな。あれはアガったことに対して貰った点数じゃない、瓦礫の上の点棒みたいな、危ない状況よな」

供託貰えたら普通に喜んでしまう。でも確かに言われてみれば、自分の手牌に対する対価として得た点棒ではない。観戦していて、序盤に沢崎プロが主導権を握ったと感じた人も多かったと思うが、当の沢崎プロは危機感を感じていたのだった。

西嶋「とにかくフーロが多かったですね」

沢崎「うん。誰であっても一人旅なんて絶対許さないもん。それに阿部くんがいたでしょ」

西嶋「やっぱりマークしてたんですか」

沢崎「もちろん。徹底的に親を流しにいく。他に放銃になってもいいと思ってた。阿部くんは吹かせたくないからな。彼とは昔Aリーグでずっと打ってたからな。彼は技術高いしミスが少くない」

沢崎プロは阿部プロマークだろうと解説の瀬戸熊プロも話していた。あえて言葉にするなら、ある種の信頼感みたいなものだろうか。

西嶋「沢崎さんのリーチ判断が印象的でした」
強烈だった初戦南3局のこのリーチ。

 

100

 

武田プロの5面張待ちも掻い潜り、ラス牌の七万を引きアガる。

 

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沢崎「いろいろあるね。例えば誰かが動いた時なんかは行けってサインていうか、運気を感じるわけよ。だからリーチといく。アガれれば急浮上するし、放銃になればその後は放銃しないように何局かはじっと気をつける。最終戦ラス前、四筒七筒待ちのテンパイ入ったでしょ。あれはリーチしちゃダメ」

 

100

 

西嶋「役なしだし、リーチ打つ人もいそうですよね」

沢崎「阿部くんあの手牌で七筒止めたろ。リーチしなくても止まるんだよあの牌が。」

 

100

 

沢崎「リーチを打つっていうのはどういうことかというと、先制してアガリきるということ。あの時は山田君にテンパイが入ってるのを感じていた。じゃあなんでヤミテンなんだろう?と考える。12,000くらいはあるだろうと予想する。ヤミテンのまま押して12,000放銃するのは別にいいと思っているんだよ。でも、自分がリーチをしたことにより追いかけリーチされて、18,000や24,000を打つと状況はガラッと変わってしまう」

その時山田プロに入っていたテンパイはこちら。

 

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沢崎プロは言った。

沢崎「誰かのために麻雀してるわけじゃない。自分で納得のいく麻雀を打つことが一番大事。そしてそれを見たファンの方達が納得してくれることが大事だと思っている」

その局、アガリ牌七筒が続けて河に置かれても沢崎プロは静かに押し続け、結果400・700をツモりアガる。しかし、結果だけでなくその過程を自分で納得できていること、その積み重ねがプロのあるべき姿であると改めて感じさせられた。
もちろん結果も欲しい。正直、出来ることならなるべくたくさん(できれば全部)勝ちたい。しかし麻雀は勝ったり負けたり。勝てたところで、その過程を自信を持って人に語れることこそが誇りである。
とは言え、わたしたち若手にとって、1つでも多く勝ちたいという本音は隠しきれない。

沢崎「勝つことを目指してる訳じゃない。今の子達は勝つことを望んでいる。タイトルを欲しがっている」

(ばれてる。わたしの勝ちたい欲がばれちゃってる…)

沢崎「タイトルは目的ではなく、戦って、あとから付いてくるもの。付録なんだよ。わかるか?じゃあ何が目的かっていうと…」

西嶋「何ですか」

沢崎「決勝で戦うことだよ。」

はっとした。今まで沢崎プロがかけてくれてきた言葉の意味が、そこに詰まっているような気がしたからだ。
当時のわたしには未熟すぎて理解できなかったが、

決勝戦は楽しいぞ
決勝戦に行けるよう精進しなさい

きっとそんな意味が込められていたのだ。

沢崎「みんなが勝ちたいと思ってる中で戦うことに意味があるわけ。予選は予選で凄い難しいんだけど、決勝戦というのはまた特別なの。あそこで楽しむ。麻雀は楽しむものなんだよ」

決勝の解説で瀬戸熊プロも言っていた。「沢崎さんは、自分の選択の結果が悪い方に出ても、そういうのも楽しんでる人だ」と。

昨年9月のこと。
私がプロクイーン準決勝オーラスアガリ勝負で競り勝った後の沢崎プロからのメッセージ。

沢崎『危ない状況は楽しいだろ~。(^-^)/』

目を疑った。

西嶋『まだ手が震えています笑』

沢崎『そういうのも楽しむんだよ。(^.^)♪』

そんなことできる人いるんだろうか。

西嶋「あの苦しさを楽しむのは私はまだ難しいです」

沢崎「今回のマスターズの準決勝も、みんな迫ってくる中で、みんな苦しい苦しいって言うけど、戦ってるんだからみんな苦しいのは当たり前じゃん。僕はいろんなものを見てきた。ある時Aリーグの最終戦オーラスで、南家の荒さんが満貫ツモらないと降級なわけ。南1枚切れでリーヅモダブ南のリーチ打って、それ南引けないと降級なの。でもそれ引くんだよ。確かに苦しいだろうけど、ずっと降級しなかった人間はそういう牌ちゃんと引いていった。だから僕は思ってるんだよ。勝つべき者が勝つって。僕が勝つに決まってる。自分を信じている。だから苦しくないんだよ。」

西嶋「自分で自分を信じる…」

沢崎「自分で自分を信じるにはどうしたらいいか、それは練習量だよ。僕もこの先あと20年は打てると思うけど、若手が育って来ないからな。やっぱ下手だもん。勉強会とかやって細かい技術は覚えるんだろうけど、本当に身についているのかな。麻雀はいろんな要素あるからさ。技術も確かに必要。でも教わって身につくものじゃない練習しないとな。その人の麻雀というのが必ずあるから」

みんな自分の麻雀を探している。そのために若手は皆練習しているはずだ。

しかし、沢崎プロ程のトッププロであっても練習を怠ることはない。この先20年は打てると話されていたが、フィジカル面でもトレーニングに励んでいる沢崎プロのことである。もっと長く第一線で活躍されることだろう。きっと今日もどこかで麻雀している。何もしなければ差は広がる一方である。私たちがその差を縮めていくことはとても難しいが、それでも追いかけていくしかないのだ。

自分の麻雀
自分で納得のいく麻雀
自身が信じるに値する自分
そして楽しい麻雀を目指して。

 

100

 

第35期十段戦 七・八段戦レポート 東谷達矢

ここから登場するのは、長年Aリーグに滞在しているものや大御所達。若手にとっては険しい道のりとなる。

 

【七段戦】

1卓:HIRO柴田・刀川昌浩・宮内こずえ・鮎川卓

1回戦ラスの宮内が2回戦トップを取り混戦模様に。そして3回戦、刀川が有利に進める中、南3局に勝負所を迎える。ます北家の鮎川がテンパイ

一筒二筒三筒七筒八筒九筒東  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き  ポン北北北  ドラ白

そして柴田が虎視眈々と闇討ちを狙う。

三索四索五索七索七索一筒二筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒

そして刀川がチーテン。

三万四万五万八万八万二索三索六筒七筒八筒  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き

一歩出遅れた親の宮内もテンパイ。

六索七索八索四筒五筒六筒東東白白  チー三索 左向き二索 上向き四索 上向き

リャンカン形からの入り目が五筒三筒が入っていれば柴田に放銃だったがこれで勝負となる。まずオリたのは五筒を持ってきた柴田。リーチを掛けなかったのはドラの所在がわからなかったからだろう。丁寧に対処する。
宮内はここで親番を落とすと苦しくなるので危険牌も切り飛ばす。そして鮎川は白を持ってくると手が止まった。ドラは切るわけにはいかない為、切るならば東だが宮内に放銃となってもおかしくない。行くか引くか悩んだ末、鮎川は勝負した。宮内にとっては大きな、そして鮎川にとっては痛い5,800。
だが4回戦、最後の最後まで4者接戦の中勝ち上がったのは刀川と鮎川だった。

1卓勝ち上がり:刀川昌浩・鮎川卓

 

2卓:近藤久春・西岡慎泰・三浦大輔・嶋村泰之

A1リーガーの近藤が完全に抑え込まれる。
嶋村が抜け、西岡と三浦は着順勝負。しかし最終半荘、嶋村と三浦が西岡の浮上を許さなかった。

2卓勝ち上がり:嶋村泰之・三浦大輔

 

3卓:勝又健志・太田優介・早川林香・日吉辰哉

早川が開局からいきなり大きな先制パンチとなる6,000オールをアガる。しかし流局を挟んだ2本場、今度は勝又が魅せた。

六万六万七万七万六索六索六索東東東北北北  リーチ  ツモ七万

8,000・16,000。早川にとっては6,000オールが無に帰す、そして日吉、太田にとっては開局そうそう14,000点を失う強烈な一撃だった。
だが王位戦決勝まで進み、ここまで安定感のある戦いぶりを見せてきた太田が復活する。
少しずつ加点を繰り返し気づけば30,000点オーバーだ。気持ちよく次半荘に進むとトップをもぎ取った。
そして転機は3回戦オーラス。まず、後がない日吉がテンパイを入れる。

一万一万二万三万三万五万五万七万八万九万  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ドラ一索

そして勝又

七万七索八索九索東東白白中中  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き

さらに早川

四万五万一索一索二索三索三索一筒二筒三筒七筒八筒九筒

早川は二索を引き入れると打四万。更に九筒を引き打五万。マンズ染め手の日吉にマンズのリャンメンを払った。おそらく単純リャンメン形は可能性が低いと読んだのだろう。勝又は六筒を打ち早川に7,700。
4回戦は怒涛の展開となった。勝又が親番で50,000点を超え早川を逆転すると、早川がアガリを重ね勝又を逆転する。そして勝又が南2局3,900オールをアガリ今度は太田がトータルで3位に落ちる。迎えた最終局、アガれば勝ち上がりの早川と勝又が仕掛けを入れるが太田

一万二万四索五索六索一筒二筒三筒七筒八筒九筒西西  リーチ  ツモ三万

終盤にテンパイを入れ、流局も許されない状況の中、力強くツモ牌を引き入れ勝又を破った。

3卓勝ち上がり:太田優介・早川林香

 

4卓:紺野真太郎・本田朋広・大和・荒牧冬樹

荒牧が序盤に奪ったリードを守りきり、最終戦オーラス、紺野が大和の背中を追う。
1,000・2,000条件の紺野がドラを軸に手を進めテンパイ。

七万八万三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒南南  リーチ  ドラ七筒

親番で伏せれば勝ち上がりの大和は現物を抜いてオリる。その牌に荒牧が一瞬止まった。鳴けば片アガリテンパイだが、全く無理する必要のない荒牧はスルーした。
そして荒牧がツモってきた牌は九万。ただの結果論だが、荒牧が鳴いていれば勝ち上がっていたのは紺野だったのだ。項垂れる紺野の表情が印象的だった。

4卓勝ち上がり:荒牧冬樹・大和

 

5卓:前田直哉・杉浦勘介・安東裕允・佐々木亮

不調の安東と佐々木。こうなると百戦錬磨の前田と杉浦が局を消化し終わるかと思ったが、佐々木が突如アクセルを踏みこみ2人を猛追する。

二万二万七万七万八万八万九万九万西西西北北  ツモ北  ドラ西

この4,000・8,000をアガると、更に杉浦から大物手を打ち取り一気に60,000点オーバー。有利な位置にいた杉浦だったが、トータル+15.5ポイントを持ちながら、まさかの3位敗退となった。

5卓勝ち上がり:前田直哉・佐々木亮

 

6卓:山田浩之・奈良圭純・花岡章生・岡田茂

劣勢の山田が3回戦オーラスの親番で2,600オールをアガリ土俵際で踏みとどまると、4回戦でも粘る。花岡は放銃さえしなければ安泰。安定した戦いを見せてきた岡田もここにきて不発。
最後、自身で止めるしかない奈良が仕掛けを入れ迫る山田をふり切りアガリきった。

6卓勝ち上がり:花岡章生・奈良圭純

 

7卓:ダンプ大橋・鈴木基芳・松岡昭彦・上村宜久

ダンプが安定した戦いぶりでリードを保ち、残り1席を巡る勝負は4回戦東1局に松岡。

二万三万四万五万六万八万八万六索七索八索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ四万

そして鈴木

四万五万三索三索五索六索七索五筒六筒六筒七筒七筒八筒  リーチ

松岡にとっては自信のあるリーチだっただろうが無常にも掴んだのは六。鈴木は競っている相手から直に点棒を奪い勝負あり。

7卓勝ち上がり:ダンプ大橋・鈴木基芳

 

8卓:望月雅継・黒沢咲・一井慎也・小林正和

接戦で迎えた4回戦、まず抜け出したのは望月

一万二万三万七万七万八万九万  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ツモ七万

道中待ちを変える機会はあったが、山にいると狙いを定めた牌でのハイテイツモ。
そしてオーラス、黒沢を追う一井がリーチ

二万三万七万八万九万一索二索三索七索八索九索南南  リーチ  ドラ九万

ツモるか一万の出アガリで条件を満たす。しかしこの時、伏せて勝ち上がりの黒沢が手を組んでおり役なしのテンパイからツモアガリ。逆転の芽を摘んだ黒沢が勝ち上がった。

8卓勝ち上がり:望月雅継・黒沢咲

 

9卓:金子貴行・西川淳・仲田加南・井出康平

金子と西川で勝ち上がりかと思われた最終局、仲田が最後の親番で西川を捉えた。

七万七万八万八万九万九万三索四索五索五筒六筒八筒八筒  ロン四筒  ドラ四索

西川にとっては痛恨の11,600。仲田が女流桜花の意地を見せた。

9卓勝ち上がり:金子貴行・仲田加南

 

10卓:山井弘・横山毅・内川幸太郎・二階堂亜樹

1回戦に内川が6,000オールをアガリ、更に2回戦

三索四索六索七索八索北北  ポン白白白  ポン中中中  ツモ二索  ドラ北

3,000・6,000で大きなリードを得る。そして4回戦オーラス、横山と亜樹の勝負に山井が割って入る。

三万三万三万六万六万七万七万七万一索一索発発発

ツモれば大逆転だが流局。次局、横山と亜樹は両者ノーテンなら横山の勝ち上がりだが、亜樹のみテンパイなら亜樹の勝ちという大接戦。
チャンタ仕掛けの横山は有効牌が少なく、テンパイも危うい。亜樹は単騎待ちの待ち牌を替え、テンパイを維持しながらポンテンさえ入れさせない。亜樹の勝ち上がりは目前であったが、終盤になんとかテンパイを入れた横山が次局2,600オールをアガリ勝負あった。

10卓勝ち上がり:内川幸太郎・横山毅

 

11卓:滝沢和典・斉藤等・藤本哲也・中村毅

藤本が大三元をテンパイ

二万二万発発  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ポン中中中  ポン白白白

この手は成就しなかったものの、3回戦まで大きくリードする。4回戦、滝沢が親で連荘し50,000点を超え、あとは中村の親番を落とせばという所だったが中村の親番がまったく落ちない。
連荘に連荘を重ね気づけば7本場で70,000点オーバー。滝沢はここで敗退となった。

11卓勝ち上がり:中村毅・藤本哲也

 

12卓:野方祐介・明石定家・黒木真生・東幸一郎

東が好調。残り1枠を4回戦オーラス、黒木と野方が争う。野方がオーラス役牌バックながらアガれば勝ち上がりのテンパイを入れる。
しかしアガリ切れず、前々年度決勝進出者で現王位の野方がここで敗退となった。

12卓勝ち上がり:東幸一郎・黒木真生

 

13卓:老月貴紀・井出一寛・吉田直・西島一彦

高打点の応酬となったこの卓だが、西島は1回戦で突き抜け残り3者での2位争いとなった。吉田は井出に18,000、老月に7,700を献上するものの高打点をアガリ返し簡単には土俵を割らない。その勝負は最後までもつれた。
親番の吉田はまだ点数が足りないのでアガリ続けないといけない。老月と井出はアガリ勝負。
吉田がまずは連荘するが、次局井出が愚形の勝負リーチを前に出た老月からアガリ決着。

13卓勝ち上がり:西島一彦・井出一寛

 

 

【八段戦】

1卓:木村東平・内川幸太郎・鮎川卓・中村毅

木村は仕掛けを多用し他家にプレッシャーを掛けながら飄々とした攻めでポイントを集めていく。4回戦東1局、内川は標的の鮎川に痛恨の放銃。

四筒四筒五筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒九筒九筒中中  ロン三筒

この直撃で鮎川が大きく勝ち上がりに近づいたが南3局に内川、

一万九万一索一索九索一筒九筒東南西白発中  ツモ北

大逆転となる国士無双を決めた。

1卓勝ち上がり:木村東平・内川幸太郎

 

2卓:藤原隆弘・金子貴之・三浦大輔・東幸一郎

藤原が3回戦、おもしろいように高い手役を決めてアガリ続ける。気づけばその持ち点は90,000点に到達していた。
2着争いは最終戦オーラス、金子がリーチを掛ける

三万四万五万二索三索五索五索六索七索八索六筒六筒六筒  リーチ  ドラ五筒

条件を満たすのは4のツモアガリだけだ。そして金子のリーチ宣言牌の六索を三浦がチー

三万四万五万六万六万七索八索三筒五筒五筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き

二度受けを捌いたがかなり厳しい形。しかしこの鳴きで三浦は金子の逆転牌4を食い取り流局。三浦にとっては薄氷の勝利となった。

2卓勝ち上がり:藤原隆弘・三浦大輔

 

3卓:吉田幸雄・望月雅継・西島一彦・早川林香

早川が開局早々アガリを重ね、猛者達を相手に大きくリードを奪う。
4回戦、2位通過を狙い支部長同士の熱い対決が始まった。東4局親番の吉田

六万七万八万三索四索五索六索七索九索九索白白白  ドラ九索

待ちも打点も十分。決定打となり得るテンパイ形だったが、望月が止める。

二万二万三索四索五索三筒四筒中中中  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ツモ二筒

カン五筒から手替わり直後のツモだった。更に次局、ドラポンの吉田の手をまたもかわす望月だったが、その後西島に7,700を放銃し吉田が上に立つ。
絶体絶命の望月だったが、

五万五万五万六万六万六万七万八万四索四索五索六筒八筒  ドラ四索

ここから八万五筒八万と引き入れテンパイ。そしてテンパイした吉田から七筒を打ち取り8,000。再逆転。
最終局、親の吉田からリーチが入るが、最後まで戦う姿勢を崩さなかった望月が勝ちをもぎ取った。

3卓勝ち上がり:早川林香・望月雅継

 

4卓:石渡正志・ダンプ大橋・井出一寛・大和

ここまで安定感のある戦いを見せてきた大和だったが最後に崩れた。ダンプは安泰。井出と石渡の勝負は奇しくも同じ待ちとなった。まず石渡

二万三万四万四万五万四索四索四索五索六索  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ドラ六索

そして井出

四万五万三索三索二筒三筒四筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き

三万を手元に手繰り寄せたのは井出。またも接戦を制した。

4卓勝ち上がり:ダンプ大橋・井出一寛

 

5卓:櫻井秀樹・黒木真生・花岡章生・佐々木亮

櫻井の手にドラが集まり高打点を連続でアガる。そして2番手に名乗りを挙げるべく黒木がリーチ

四万五万八万八万八万三索四索五索八索八索三筒四筒五筒  リーチ  ツモ六万  ドラ四筒

佐々木の先制テンパイに追いついての大きな3,900オール。しかし花岡と佐々木の関西勢もこのまま黙ってはいない。
3回戦、黒木を捉えると4回戦で逆転。最後は花岡と佐々木の勝負になった。
関西勢対決を制し上に進んだのはここまで何度も逆転劇を演じてきた佐々木だった。

5卓勝ち上がり:櫻井秀樹・佐々木亮

 

6卓:柴田吉和・前田直哉・奈良圭純・藤本哲也

2回戦オーラス

七万七万八万八万九万一索二索三索七筒八筒九筒北北  リーチ  ツモ九万  ドラ八索

3,000・6,000でラスのままだが失点を最小限に抑えた前田が3回戦に爆発。
道中藤本はトータルトップでリードしていたものの崩れた。勝ち上がったのはトーナメント巧者の元十段位、柴田だった。

6択勝ち上がり:前田直哉・柴田吉和

 

7卓:横山毅・刀川昌浩・荒牧冬樹・鈴木基芳

ここまで勝ち上がり続けた荒牧だったが、八段戦ではなす術がなかった。3回戦まで横山と鈴木が2人で連帯を取り続けると、そのまま危なげなくフィニッシュ。

7卓勝ち上がり:鈴木基芳・横山毅

 

8卓:仲田加南・黒沢咲・太田優介・嶋村泰之

序盤に嶋村が仲田から大物手をアガる。

一万二万三万四万五万六万七万八万三筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ロン九万

11,600で大きなリードとなったが、太田と黒沢の安定感が嶋村を上回る。
3回戦には8,000点から連荘を重ね太田と黒沢に迫るが、2人はまったく崩れることなく反撃を抑え込んだ。

8卓勝ち上がり:太田優介・黒沢咲

第35期十段戦 五・六段戦レポート 東谷達矢

100

 

【五段戦】(会場:巣鴨道場)

五段戦、ここからはいよいよA1リーガーも加わることになる。4回戦勝負となることもあり、初段、二段戦から勝ち上がってきた者たちは雰囲気の違いを実感するだろう。
連日天気は芳しくなかったが、この日はいわゆる五月晴れという快晴となった。これまで麻雀界に大きな功績を残してきた故、小島武夫を告別式で送り出してきた後、戦士達が精悍な顔つきで巣鴨会場へやってきた。

1卓:奈良圭純・末続ヒロトシ・二階堂瑠美・太田優介

末続が起家でスタートした開局、6本場まで積み70,000点に迫る勢いで加点すると次局

四万五万二索二索七索八索九索三筒四筒五筒白白白  ドラ四万

この形でリーチ。ここで3,900オールをアガれば早々に勝ち上がりを決められそうだが、末続の独走を瑠美がアガリ阻止した。
だが、瑠美はその後テンパイまでこぎつけてもなかなかアガリに結びつかない。ポイントは苦しくなるが、3回戦オーラス、

六万七万八万一索二索三索四索五索六索三筒四筒六筒六筒  リーチ  ツモ五筒  ドラ五筒

この2,600オールで戦線に踏みとどまる。しかし、奈良と太田は常に安定していた。崩れることなく局を回し2人で勝ち抜けた。

1卓勝ち上がり:奈良圭純・太田優介

 

2卓:佐々木寿人・大和・大庭三四郎・藤井崇勝

佐々木に合わせる形で絞っていた発を大和が河に置くとロンの声を発したのは藤井。

一索二索三索六索七索八索九索九索九索西西西発

北の手出しが入ったとはいえまだ8巡目。大和にとってはあまりに痛い放銃だが、タイトル獲得経験のある大和はここで慌てなかった。メンゼン重視で手を組みアガリを重ね、4回戦では佐々木から満貫を討ち取り、勝ち残りを盤石のものとする。
劣勢の大庭も3,000・6,000をアガリ意地を見せるがまだ点数が足りず、トータル2位争いは佐々木と藤井に。藤井は南1局の親番、役なしテンパイから仕掛けを入れている大庭をケアしつつ手を組み替え、上手い手順でピンフをアガリ連荘に成功する。
ただ、一見ファインプレーのこの連荘もトーナメントの現在の条件下ではどうだっただろうか。3回戦までのトータル8.0ポイント差を追う佐々木が20,600点持ちで藤井がアガリ成立前は27,400点。佐々木が藤井を逆転するのに必要な条件を考えると、この1,500自体は大きな影響を与えていない。
1局多くのチャンスを得た佐々木は次局

一万一万九万九万五索五索五筒五筒東発発中中  リーチ  ツモ東  ドラ九万

この3,000・6,000を決め勝負あり。連荘の是非を問うのは難しいがこれもトーナメントの難しさの1つかもしれない。

 

3卓:客野直・内田美乃里・石立岳大・内山えみ

4者接戦で迎えた4回戦の東2局、

一万二万四万四万六万七万八万  ポン発発発  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ドラ七万

石立がこの手をものにすれば決定的だが、そこに内山が被せる。

三万四万五万四索四索九索九索四筒五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ

トーナメント仕様のリーチだろうか。確かにソウズの場況自体は悪くないが、打点は低い上、場況を加味しても待ち自体は良いとは言えない。このまま石立にアガらせてならないという判断からだろう。そして、その勝負勘が功を奏す。
親番の内田からアガリきると、次局客野からも大物手を打ち取り勝ちをもぎ取った。
そして、内田と石立の勝負はオーラスまでもつれ込み、石立がアガリ勝ち上がりを決めた。

3卓勝ち上がり:内山えみ・石立岳大

 

4卓:武田裕希・江隈亨・鮎川卓・安藤友一

4回戦トータルで100ポイントを超える圧勝劇となった安藤。
一方トータル2着はB1リーグでしのぎを削る武田と鮎川の争いとなった。

後がない鮎川が南2局

二万二万四万六万六万七万八万四索五索六索四筒五筒六筒  ツモ五万  ドラ五索

2枚切れの五万をツモリ2,000・4,000。逆転に成功すると、武田は最終局

二万三万五索五索一筒二筒三筒三筒四筒五筒南南南  リーチ  ドラ三万

この手をアガれば再逆転。だが、ポイントに余裕のある安藤がアガリマスターズ準優勝の武田はここで敗退となった。

4卓勝ち上がり:安藤友一・鮎川卓

 

5卓:刀川昌浩・高柳節子・樋口洋輔・藤井すみれ

刀川が隙を見せず局面をリードし続けると、2着争いは3回戦南2局

二万三万四万五万五万六万六万七万七万五筒六筒南南  リーチ  ツモ四筒  ドラ二万

この3,900オールをアガった藤井がリードする。
しかし4回戦、その藤井が失速し最終局6巡目に高柳からリーチが入る。

三万三万四万四万二索二索七索七索三筒五筒五筒七筒七筒  リーチ  ドラ六索

タンヤオがついていることで条件を満たしている。ツモるか藤井の放銃で逆転だ。形になっていない3者がオり、高柳がツモるかどうかとなった。高柳は手に力が入り、藤井にとってはツモられないことを祈り安全牌を選ぶだけの長い1局となった。
ほっと胸を撫で下ろしたのは藤井。刀川と共に勝ち上がった。

5卓勝ち上がり:刀川昌浩・藤井すみれ

 

6卓:吉田直・斎藤桂史・中村慎吾・蛯原朗

好調の斎藤がポイントを積み重ねる一方、安定感に定評のある中村がまったく何もさせてもらえない。
2着争いは吉田と蛯原に。4回戦オーラス、わずかに上にいたのは蛯原だったが

四索五索六索四筒五筒六筒六筒六筒六筒七筒発発発  リーチ  ロン四筒  ドラ三万

吉田が2,600をアガリ見事接戦を制した。

6卓勝ち上がり:斎藤桂史・吉田直

 

7卓:石川正明・柚木正仁・三浦大輔・荒牧冬樹

3回戦終了時点ではかなり優位な位置にいた荒牧だったが、4回戦で大きく沈み三浦にかわされ標的となる。

二索二索六索六索八索八索九索九索一筒一筒一筒二筒四筒六筒  ドラ九索

4回戦のオーラス9巡目、親の石川はこの手をアガれば相当に有利となるが七対子とメンツ手の選択。ここで、両方を追うべくピンズのリャンカンを外すがこれが失敗だった。
すぐに四筒そして二筒が河に並んでしまい、結局テンパイまで至らなかった。七対子決め打ちの打一筒を選んでいればアガリまであっただけに石川にとっては悔やまれる1局となった。

7卓勝ち上がり:三浦大輔・荒牧冬樹

 

8卓:宮内こずえ・室伏理麻・角屋保人・古谷知美

宮内が安定感のある戦いぶりでつけ入る隙を見せない。続いたのは古谷

四万五万六万八万八万五索六索七索八索九索四筒五筒六筒  リーチ  ツモ七索  ドラ四筒

安めながら2,600オール。このアガリで抜け出すと、宮内と共に局を消化し勝ち上がりを決めた。

8卓勝ち上がり:宮内こずえ・古谷知美

 

9卓:和久津晶・斉藤理絵・須浦正裕・上村慎太郎

1回戦からいきなり国士無双をアガった上村が突き抜ける。そして2回戦オーラスの和久津

五万六万七万一索一索五索六索二筒三筒四筒  ポン白白白  ドラ白

この手をアガリきれれば大きかったが流局。2着には須浦が滑り込み、A1リーガー和久津はここで敗退となった。

9卓勝ち上がり:上村慎太郎・須浦正裕

 

10卓:福山満幸・一井慎也・嶋村泰之・松岡明彦

かつて新人王を獲得した時のような粘りのある麻雀で嶋村がリードを保つ。最終局

二万四万二索三索四索二筒三筒四筒六筒六筒南南南  リーチ  ツモ三万  ドラ北

松岡がダブ南暗刻の3,000・6,000で見事一井を抜き去り勝ち上がりを決めた。

10卓勝ち上がり:嶋村泰之・松岡明彦

 

11卓:北條恵美・和泉由希子・岡田茂・小林正和

1回戦目ラススタートの岡田だったが、重厚な手組みと鋭い踏み込みで高打点を連発。あっという間に形勢をひっくり返す。
そして、WRCリーグを制した小林が2着で終えると思われたが、最終局に倍満以上が必要な和泉がリーチ。

一索一索七索七索七索九索九索九索七筒七筒七筒白白  リーチ

絶対絶命の状況から役満の逆転手を入れるのがテレビ対局で見せてきた和泉のスター性か。山に白が1枚いる為今にもツモってしまいそうな予感がしたが、和泉のツモ筋にはいなかった。

11卓勝ち上がり:岡田茂・小林正和

 

12卓:小川尚哉・中川基輝・小松武蔵・吉田圭吾

序盤から走ったのは関西から参戦の吉田。そして11卓の小林と同じくWRCリーグ優勝シードの中川は遅れを取る。4回戦東1局

四万四万二索二索発発発  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン東東東  ロン二索

親の小松が中川から12,000をアガリ、吉田に続く勝ち上がり者になると思われた。だが、小川が30,000点近くあった差を徐々に縮めていくと

四万五万六万六索六索二筒三筒四筒七筒八筒  ポン中中中  ロン九筒

小松とアガリ勝負の最終局も制し逆転勝ち残りを決めた。

12卓勝ち上がり:吉田圭吾・小川尚哉

(じゃん亭会場勝ち上がり)

安村浩司・内川幸太郎・井出康平・西岡慎泰・魚谷侑未・早川林香・佐藤あいり・塚本将之
勝間伸生・安東裕允・藤本哲也・佐々木亮・杉浦勘介・上村宜久・清水香織・本田朋広
日吉辰哉・松本裕也・東幸一郎・阿久津翔太・中川保・三盃志

 

【六段戦】

1卓:黒沢咲・魚谷侑未・井出康平・小川尚哉

映像対局でお馴染みの3名に小川という好カード。1回戦目で1人沈みのラスだった魚谷だが2回戦南1局

二万二万五万六万七万二索三索四索三筒四筒五筒七筒八筒  リーチ  ツモ六筒  ドラ五万

2,000・4,000。更に南2局

二万三万四万五索六索七索七索八索四筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ九索  ドラ三万

今度は安めだが1,300・2,600で勝負をふりだしに戻す。
そして3回戦の東3局、井出は10巡目に

一万一万七万八万九万四筒五筒七筒七筒八筒八筒九筒九筒  ドラ九万

この手をリーチ掛けずヤミテンにする。前巡に三筒が切られているとはいえ、魚谷がソウズの染め手、ピンズ自体の場況は悪くない。ここが勝負所ではないと踏んだのだろう。そして次巡、中を掴んだ所でオリた。
この時の魚谷の手牌は

一索二索三索八索九索南南白白中  チー五索 左向き四索 上向き六索 上向き

テンパイではなかったが、ここはリスクを追ってアガリを取りにいくよりも魚谷をアガらせない方がいいという考えだろう。井出が繊細な打ち筋を見せる。
そして小川、沈んでいたが南2局の親番でアガリなんとか踏み止まる。
一進一退の攻防で目が離せない展開となったが、まず抜け出したのは黒沢だった。3回戦のオーラス

一万二万三万三索四索五索三筒三筒三筒四筒五筒発発  リーチ  ツモ三筒  ドラ発

2,000・3,900。これで大きなアドバンテージを得た。
そして4回戦は一方的な展開になった。ここまで攻める気持ちを抑えてきた井出がアガリを重ね、黒沢と共に勝ち上がりを決めた。

1卓勝ち上がり:井出康平・黒沢咲

 

2卓:二階堂亜樹・小林正和・佐藤あいり・安村浩司

1回戦小林が大きなトップを取り、2回戦の東4局

一万二万三万一索一索三索四索五索八索九索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ一索

親の亜樹がリーチを掛けると、1回戦で大きく沈み差を広げられるわけにはいかない安村が

七索七索一筒一筒八筒八筒東西西北北発発

この手でかわしにかかる。だが、佐藤が放った七索に亜樹が手牌を倒し7,700。更に1本場

六万六万七万九万七索八索九索八筒八筒八筒中中中  ドラ六万  ロン八万

この9,600に再び佐藤が捕まり勝負あり。

2卓勝ち上がり:小林正和・二階堂亜樹

 

3卓:西川淳・勝間伸生・吉田圭吾・松岡明彦

1回戦に松岡が大きな1人浮きのトップ、2回戦に西川が大きな1人浮きのトップを取り縦長の展開になると、残り2戦を小場で回し、2人揃って危なげなく勝ち上がった。

3卓勝ち上がり:松岡明彦・西川淳

 

4卓:白鳥翔・岡田茂・藤本哲也・須浦正裕

1回戦南2局の岡田の親番

三万四万四万四万五万三索三索四索五索五索三筒四筒五筒  ロン四索

この12,000に飛び込んだのは白鳥だった。
岡田は追撃の手を緩めない。須浦の先制リーチに追いかけリーチ。

二万二万三万四万五万七万八万九万三筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ツモ二万  ドラ二万

4,000オールで更にリードを広げる。
2着争いで抜け出そうと藤本は2回戦オーラス

六万七万八万六索七索一筒二筒三筒六筒七筒八筒中中  リーチ  ツモ八索  ドラ八万

2,000・4,000をアガリトップ。その後も岡田と藤本が卓を回し勝ちあがった。

4卓勝ち上がり:岡田茂・藤本哲也

 

5卓:黒木真生・杉浦勘介・嶋村泰之・古谷知美

杉浦が大きくリードし、黒木と嶋村の2着争い。嶋村の最後の親がなかなか落ちない。3本積んだ所で嶋村は黒木の背後にぴたりとつけていた。更に嶋村

三万四万五万七万九万四索四索四筒五筒六筒九筒九筒九筒  リーチ  ドラ九筒

アガれば一気に逆転だ。黒木も引いてばかりはいられないと役なしテンパイから途中までは押していたが、中盤過ぎから降りる。流局し黒木は安堵するが、まだまだ苦しい勝負が続く。次局、ようやく決着が着いた。最後は杉浦が七対子を嶋村からアガリ、黒木はからくも逃げ切った。

5卓勝ち上がり:杉浦勘介・黒木真生

 

6卓:西島一彦・清水香織・上村慎太郎・荒牧冬樹

4回戦南3局、西島をわずかに追う清水が先制リーチ

三万五万五万六万七万三索三索四索四索五索五索八筒八筒  リーチ  ドラ五索

愚形でもツモれば西島が一気に苦しくなる。その西島もテンパイを入れている。

二万二万四万五万六万四索五索四筒五筒六筒  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き

更には劣勢の上村も最後の親番でオリるわけにはいかない。終盤テンパイを入れ追いかける。

一万二万三万六万六万八万九万一索二索三索五索六索七索  リーチ

しかしここは流局で痛みわけ。3人のぶつかり合いは次局も続いた。まずは清水がリーチ
をし、西島もテンパイ。上村も追いつきリーチを打つ。手に汗握る展開が続くが、テンパイしていた荒牧がアガリ、西島が助かった。

6卓勝ち上がり:荒牧冬樹・西島一彦

 

7卓:松崎良文・吉田直・宮内こずえ・日吉辰哉

こちらも映像対局常連組の屈指の好カード。3回戦が終わった時点で松崎が遅れを取り、他の3者が接戦となる。しかし4回戦、日吉が親番で50,000点を超え、吉田も浮きをキープ。
このまま2人の勝ち上がりかと思われたが宮内が黙ってはいなかった。

一索二索四索五索六索九索九索東東東  チー七索 左向き八索 上向き九索 上向き  ツモ三索

4,000オールを決めると更に

二万二万四万六万七万七万七万三索四索五索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ五万  ドラ三索

この3,900オール。一気に吉田、日吉に肉薄する。もうひとアガリで2人に並ぶ所まで到達するが、吉田がかわし宮内の追撃もここまでとなった。

7卓勝ち上がり:日吉辰哉・吉田直

 

8卓:森脇翼・藤井すみれ・三浦大輔・東幸一郎

三浦が好調で局面をリードし、藤井がその後につけるが、3回戦から藤井が突如崩れる。
4回戦は東と森脇の着順勝負。

一万二万三万四万六万七万八万南南南  チー五筒 左向き四筒 上向き六筒 上向き  ツモ一万  ドラ九筒

東がわずかに残し勝ち上がりを決めた。

8卓勝ち上がり:三浦大輔・東幸一郎

 

9卓:中村毅・斎藤桂史・中川保・鮎川卓

3回戦終了時、ほぼ接戦となっていたが4回戦東1局

三索三索四索五索  ポン東東東  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ロン六索

この11,600に、テンパイをしている斎藤が勝負した結果飛び込んでしまい勝負あり。

9卓勝ち上がり:鮎川卓・中村毅

 

10卓:三田不二夫・内川幸太郎・刀川昌浩・石立岳大

4回戦南1局、まず大きくポイントを追う三田がリーチを打つ

三万四万五万二索二索七索八索九索六筒七筒九筒九筒九筒  リーチ  ドラ九筒

そしてこのリーチに内川がかぶせる。無筋を押し、そしてアタり牌の五筒を重ねテンパイ。

三万三万五万五万七万四索四索五索五索八索八索五筒五筒

わずかにポイントを追う内川もここはアガリがほしい。だが、石立も前に出てくる。

四万四万六万六万六万七万八万  加カン南南南南  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き

石立もアガれば勝ち上がり濃厚だ。3者のツモる手に力が入るがまず最初にアタり牌を掴んだのは内川。
四万七万七万を切ることができればテンパイは維持できるが選べるわけもない、とオリを選択。
そして石立、五筒を掴むと長考。内川がオリたのを感じているだろうが三田にはかなりの危険牌。勝負する道を選び、そして散った。あまりに痛い8,000。
オーラス、三田が逆転手の国士無双を静かにテンパイしたがアガリにはならず。我慢した内川が刀川と共に勝ち上がり。

10卓通過:刀川昌浩・内川幸太郎

 

11卓:仲田加南・佐々木寿人・西川慎泰・安藤友一

1回戦、大きなラスを引いた佐々木だったが3回戦

一筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒六筒七筒七筒七筒八筒九筒  ツモ四筒

安めだが十分すぎる4,000・8,000。西岡は既に大きくリードしているが、これで残り3者の勝負は最後までわからなくなった。
4回戦東3局の佐々木

五万六万七万一索二索三索白白中中  チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き  ツモ中  ドラ中

この2,000・4,000で勝ち上がりを決めたかに見えたが、次局仲田

一索二索三索四索五索六索七索九索九索九索  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ロン七索

この8,000を佐々木から打ち取り勝負は再び混戦に。佐々木が原点から沈んだことで元気が出た安藤がリーチ

三万四万五万六万八万三索四索五索三筒四筒五筒東東  リーチ  ドラ七筒

アガれば2着目におどり出るが、仲田が無筋を切り立ち向かう。

四万五万六万四索五索六索三筒四筒六筒六筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ロン二筒

これで勝負あり。劇的な逆転で仲田が勝ちをもぎ取った。

11卓勝ち上がり:西岡慎泰・仲田加南

 

12卓:太田優介・一井慎也・早川林香・内山えみ

1回戦から大物手が飛び出る。

一万九万九索一筒一筒九筒東南西北白発中  ロン一索

親の48,000に飛び込んだのは内山。あまりに大きい放銃となったが、内山は2回戦にトップを取り粘る。しかし2着目にいる太田がまったく崩れる様子がない。3回戦は早川がトップを取り追い上げるがまだ届かない。
4回戦南3局、早川にチャンスが来る。

一万二万三万四万五万六万七万七万七万八万九万一索一索  ドラ一索

最後の親番で早い巡目にこのテンパイ。手替わりも見込める上、このままの形でも一井や太田から直撃すれば一気に逆転、またツモっても2人とほぼ並びだ。
しかし、手替わるどころか太田も一井も突如オリはじめる。太田は道中

三万三万二索二索六索七索八索五筒六筒七筒  チー七万 左向き六万 上向き八万 上向き

このテンパイを入れていたが、発でオリ。丁寧な対応を見せる。次局、親を落とされ逆転とはならなかった。

12卓勝ち上がり:太田優介・一井慎也

 

13卓:鈴木基芳・大和・三盃志・塚本将之

1回戦東3局

一索二索三索四索五索七索八索九索二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ六索  ドラ七索

鈴木がこの2,000・4,000でリードし、大和がアガリを重ね鈴木に続く。
塚本は3回戦

二万二万五万六万八万八万八万東東東  ポン発発発  ツモ七万  ドラ一索

この2,000・4,000で反撃の狼煙を上げるが、二の矢が届かない。安定した打ち筋で大和が鈴木と共に勝ち上がった。

13卓勝ち上がり:大和・鈴木基芳

 

14卓:水戸亮祐・奈良圭純・安東裕允・阿久津翔太

序盤からリードを広げていく水戸を追う3者。局面が大きく動いたのは2回戦の南2局

四筒五筒六筒七筒八筒九筒九筒  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ドラ二筒

阿久津はこの手でテンパイし、リーチを掛けていた親の安東に対し押し返していたが、河に放った牌に安東がロンの声

二万二万二万三万三万五索五索二筒二筒二筒  暗カン牌の背五万 上向き五万 上向き牌の背  リーチ  ロン五索

24,000。安東の静かな声に阿久津の動きが止まった。無理もない、自身が跳満の良形でテンパイしている状況から親の倍満に放銃なのだ。そして、安泰とは言えなくなった水戸がここから崩れはじめる。
阿久津も最終半荘大トップにかけるが、勝ち上がったのは失点を最小限に抑え要所でアガリをものにした奈良だった。

14卓勝ち上がり:安東裕允・奈良圭純

 

15卓:花岡章生・佐々木亮・松本裕也・石川正明

関西の雄、花岡が周りを圧倒する。細やかなアガリに加え、要所で大物手をものにする。

一筒一筒三筒三筒三筒四筒四筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ツモ一筒

この4,000・8,000で勝ち上がりを決定的なものとする。そして2着争いは4回戦東3局

五万六万七万一索二索三索白白中中  チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き  ツモ中  ドラ中

この2,000・4,000で佐々木が一歩リードすると決着はオーラス。まずは松本がテンパイ

二万二万三万四万四万二索三索四索七索七索四筒五筒六筒  ドラ二万

アガれば佐々木をかわし勝ち上がり。しかし石川も追いつく。

一筒一筒七筒七筒七筒九筒九筒西西西  暗カン牌の背五万 上向き五万 上向き牌の背

ツモることができれば四暗刻で大逆転勝利だ。親の佐々木とポイントに余裕のある花岡はオリる。どうなるのか、手に汗握る展開となったが、松本も石川もアガることができなかった。

15卓勝ち上がり:花岡章生・佐々木亮

 

16卓:原田保正・武藤武・本田朋広・上村宜久

2回戦南3局の本田

二万三万五万五万六万七万七万五索六索七索五筒六筒七筒  ドラ七筒

この1シャンテンからドラの七筒を引くと打二万。更に四筒をチーし打三万。ツモ七万で打五万。機敏な動きで原田のテンパイ打牌の七筒を捉えリードを奪う。そしてオーラス

三索四索五索六索七索南南  ポン西西西  暗カン牌の背発発牌の背

このテンパイを入れた上村に対し、原田

三万四万二索三索四索二筒二筒二筒五筒六筒七筒東東  リーチ

この手で追いかける。アガった方が原点から浮くという勝負局となり、この局は上村の勝ち。3回戦、武藤と原田も追い上げるが、本田と上村の2人が逃げ切った。

16卓勝ち上がり:上村宜久・本田朋広

第133回『勝負の感性③~沢崎誠~』 荒 正義

麻雀で、てっぺんを目指すには麻雀一本では駄目だ。何かもう1つの道を、とことん極める必要がある。すると、その芸に磨きがかかる。その芸を麻雀の芸と融合させるのだ。すると、麻雀の視野が広がり思考が進化する。これが「勝負の感性」である。この感性には個人差が出る。でも、いい。その感性が真実に一歩でも近づくなら、それでいい。

もう1つの道、私の場合は囲碁だった。
私は碁で、正しい「形」と「手筋を」学んだ。美しい形は、どこまで行っても強いことを知った。碁の手筋は、300年たっても色あせない。麻雀にもこれがある。形が自分の手牌なら、手筋は打牌の手順に相当する。一牌の手順前後が、直接勝負に影響を与えることは少ない。
平均すれば一打の失投は、リーチ棒の1,000点程度だろう。しかし、麻雀はその積み重ねなのである。半荘に3度の手順前後があったなら、その3倍である。プロリーグのような長期戦では、年間打つ半荘数は40回。となれば、数字はこうだ。

▲1,000×3×40=▲120,000点
この数字を見れば、一打の大切さが解るだろう。

失投が、1,000点では済まないときがある。リーグ戦では、こんなことがあった。1回戦の開始早々である。
親の第一打が南
南家が東
西家が北
この時、西家の手はこうだ。

三万四万四索六索八索八索三筒四筒六筒七筒東発中

西家はすぐに気付いて、2打目に東を切る。
この東に親からポンの声。そして、8巡目にアガった親の手がこうだ。

九万九万九万六索七索八索二筒三筒九筒九筒  ポン東東東  ツモ一筒  ドラ九筒

この手を見れば親の東の重なりが、2巡目だったのは一目瞭然。
親が鳴きで引いた牌は七索九万である。この後、親はアガリを重ね大きなトップを拾った。そしてこの日は4連勝で、+100Pオーバーだ。他の3者は沈んだ。西家の一打の手順ミスで、一日がダメになった。被害を受けたのは南家と北家である。東が左端にあって、死角になったでは話にならない。もちろん、西家の第一打は東の合わせ打ちが正しい手順で、プロなら当然の一打である。西家はタンピン形だから、字牌はいらない。だから、すぐに東をつぶすのだ。それなら親のアガリがなく、勝負の行方がどうなったかは分らない。

そして、碁には形勢判断がある。これは麻雀で大事な大局観と同じ。
戦いの道中、相手と自分の運を量る。これで「戦う相手」と「受ける相手」を見分けるのだ。運が自分と同等か、それ以下の相手の攻めが飛んで来る。こちらの手が十分なら、相手の待ちを絞り正面から戦う。
相手が好調で、しかも親。こんなリーチが来たときは、しっかり受ける。他が打てば、点棒の横移動で済む。ツモでも、失点は三分の一である。これが、正しい大局観である。

沢崎誠の場合は絵画である。
沢崎は群馬県安中市の出身である。彼は少年のときから絵が達者で、齢とともにその才能が開花する。だが、彼はその道に進まず麻雀の道を選んだ。
沢崎も私と同じく、阿佐田哲也の小説『麻雀放浪記』に感動したはずだ。私が高校1年のときである。そして、そのあと放映された人気番組『11PM』の「麻雀実戦教室」も見たはずだ。
出演していたのは小島武夫である。小島は、当時30歳を超えたばかりでダンディだった。そして、表の「麻雀プロ」第1号である。この番組は毎週金曜日に放映。司会は当時、人気絶頂の大橋巨泉だ。
麻雀放浪記と小島の登場で、日本に一大麻雀ブーム沸き起こる。1968年の日本は、まだ娯楽の少ない時代だったのだ。

私が沢崎を知ったのは、1981年3月。『日本プロ麻雀連盟』が設立した時である。私が29歳で、沢崎が26歳のときだった。では、その沢崎の勝負の感性に触れてみよう。
これは2017年9月に行われたA1リーグ第9節である(年間で12節の戦い)。
このリーグは12名で戦い、上位3名が『鳳凰』戦の挑戦権を得る(下位2名は陥落)。日本麻雀プロの連盟員の一番の晴れ舞台はここにある。
3位通過のボーダーは、例年なら+70Pである。ボーダーが高い年もあるから、選手は一応+100Pを目指す。この時点で、沢崎の持ち点は約+24P。リーグも終盤で、勝負はこれからである。なお、1節は半荘
4回戦で、同じ相手と戦う仕組みだ。

1回戦は伊藤優孝の1人浮きで、沢崎は2位の▲2.0P。これなら無傷と同じ。
しかし、伊藤はベテランで仕上げ方を知っているから不気味だ。「仕上げ」とは、麻雀の大きな勝ちをいう。
同じく古川孝次もベテランで、伊藤と同じ年の68歳だ。彼は巧みな鳴きで相手を翻弄する。付いたニックネームが『サーフィン打法』だ。なかなか、的を射ている。麻雀は、勝負の感性と経験値がものをいう。怖いのは勢いのある若手より、ベテランの方である。

内川幸太郎は36歳。若いが昨年、念願の昇級を果たした。これまで2度のA1昇級のチャンスがあったが、最終節に無念の涙を飲んだ。その涙が、彼にどれだけの試練と成長を与えたことか。
昇級後、8節までの内川の得点は約+90Pで挑戦圏内の3位だ。初舞台のA1に上がると、1年目は先輩たちのきつい洗礼を浴びるのが通例。だが、それも乗り越えた。これが内川の成長である。

2回戦東1局。出親が伊藤で順に古川・沢崎・内川。ドラ(中
最初にテンパイを入れたのは沢崎だ。

二万三万四万六万七万六索七索二筒二筒二筒七筒七筒八筒  ツモ八万

八筒をそっと切り、ヤミテンに構えた。この時の4人の河はこうである。

(東家・伊藤)
九筒 上向き一索 上向き九索 上向き発八索 上向き九万 上向き
一万 上向き二万 上向き東北

(南家・古川)
一万 上向き北四万 上向き五万 上向き七筒 上向き五筒 上向き
一万 上向き三筒 上向き九筒 上向き東西

(西家・沢崎)
九万 上向き白発二万 上向き四索 上向き九索 上向き
白一万 上向き三筒 上向き三万 上向き八筒 上向き

(北家・内川)
二索 上向き四索 上向き三索 上向き七索 上向き八万 上向き一索 上向き
七万 上向き九索 上向き二索 上向き九万 上向き

場の動きは、古川が伊藤の8巡目の七索六索七索八索で鳴いているだけだ。この時、沢崎の読みはこうだ。
(捨て牌から判断するなら、親の伊藤の手は遅い。古川はソーズ染め手。内川はピンズの染め手…でも、まだだ。手の進行は遅い。問題はドラの中の行方だが、分散されている可能性が高いぞ。ならばこの待ちなら勝てる―)

次巡沢崎は、静かにツモ切りし六索を横に曲げた。
たった1巡で、沢崎はこれだけの読みを入れたに違いない。確かに、沢崎の目から七索が3枚見えている。内川がピンズ染め手なら五索八索はない。
伊藤にも古川にも八索はない。だからツモ山にあると踏んで、リーチかけたのだ。
プロリーグは一発・裏なしの公式ルールだ。通常、タンヤオの1,300点のリーチはない。リーチの1ハンを足しても、出て2,600点にしかならないからだ。なのに、親の反撃やドラのポンテンがあったらたまらない。リスクが高く、実入りが少ないからである。しかし、この確かな読みがあったなら、リーチも有効である。
沢崎の読み通り、ドラの中は、3者に1枚ずつあって前に出られない。沢崎は3巡後八索を軽々と引き寄せた。1,300のアガリを4,000まで伸ばし、好調のスタートを切った。

東2局は、古川がリーチの内川に6,400点の放銃。

そして、東3局の沢崎の親番でチャンス手が舞い込んだ。
2巡目にして手牌がこうだ。

六万七万三索四索四索五索六索七索八索八索三筒六筒六筒  ツモ六万  ドラ四索

あなたなら、何を切る?
三筒八索のはずだ。私もそのどちらかである。しかし、沢崎の打牌は六万のツモ切りである。このとき解説の森山茂和とMCの古橋プロも、驚きの声を上げた。
「え!」である。するとその瞬間、森山が言った。
「危ないやつだな…」
これは沢崎への褒め言葉である。言い換えれば「怖い打ち手だな…」の意味だ。
この後、沢崎の手がマンズ待ちになったとき、この六万が格好の迷彩となりロン牌の釣り出しに大いに役立つからである。この時点で沢崎が見ているのは567と678の三色である。
例えばこうだ。

六万七万三索四索五索六索七索八索八索八索六筒七筒八筒

六万七万二索三索四索五索六索七索八索八索五筒六筒七筒

これが沢崎の構想力と感性なのだ。
そして、理想のリーチの河がこれ。二万のツモ切りがあれば最高である。

九筒 上向き六万 上向き西二万 上向き三筒 上向き四索 左向き

これなら五万八万待ちは、読みの死角となる。オリても、現物がなくなれば飛び出す牌である。だから森山は「危ないやつ」と云ったのだ。
この感性が絵の道とどうつながるか、私にはわからない。だが違う。私には無い感性だ。そして、素晴らしい六万切りである。
沢崎の河は、罠が仕掛けてあるから油断ができない。人は通ると思った牌で打ったとき、ダメージが深く心に残るのだ。
実戦の沢崎のツモは二索八筒六筒八万
そしてリーチの河がこれ(親)。

九筒 上向き六万 上向き三筒 上向き八索 上向き八筒 上向き六筒 左向き

数牌だらけで、見るからに打点の高い河。そして手牌もこれだ。

六万七万八万二索三索四索四索五索六索七索八索六筒六筒  ドラ四索

八万が入り目となり六万切りが生かせなかったが、どうせ沢崎の1人旅。河が怖くて、誰も前に出られない。この親の河に、字牌を切るのは危険である。筋も危険。無筋はもっと危険である。このあと、沢崎は軽々と三索を引いて6,000点オールだ。
「この配牌とツモなら、誰でもアガリできる」
と思うだろうが、そうではない。
瀬戸熊が言うように「配牌は入れるもの」である。ツモは引くものである。麻雀には「流れ」があり、アガリも放銃も「連動」するのだ。

1回戦は伊藤の嵐が吹いた。沢崎は鉄壁の守りで、被害を最小限に抑えた。そして、2回戦の東1局は、一滴の水も漏らさぬ4,000点のアガリ。
麻雀は生き物だ。私は、この6,000オールはその恩恵に見えたがどうだろう。

沢崎の怖さはこの後だ。風を掴んだら、たたみかける攻めで得点を伸ばしにかかる。警戒警報発令である。
1本場は沢崎が9巡目のリーチだ。

ドラ中

発南東六筒 上向き三筒 上向き六索 上向き
三索 上向き中四万 左向き

そして手牌がこうだ。ドラの中は伊藤に鳴かれたが、アガリ番は自分にあると見てお構いなしだ。

二万二万六万八万六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒

七万をすぐにツモリ、2,100点オールだ。
2本場は流局。(テンパイは古川と沢崎)
3本場は2,400点(積み場込み)を内川から打ち取る。この時点で4人の持ち点はこうだ。

伊藤 古川 沢崎 内川
12,0 22,4 62,2 23,4

この時、先輩の伊藤は心の中で叫んだはずだ。
「誠、いい加減にせーよ!」

4本場は古川が沢崎からリーチのみを打ち取り、やっと沢崎の親が流れた。

南1局。親の伊藤が15巡目に抑え込みのリーチを打つ。

(伊藤)
五万五万二索二索四索四索三筒三筒六筒七筒七筒八筒八筒  ドラ四万

流局で結構、アガリなら望外の利と考える。伊藤の狙いは親権確保だ。
同巡、沢崎にもテンパイが入る。

二万三万四万五万六万五索六索六索七索七索八索五筒六筒  ツモ六筒

無筋の五筒を切り飛ばし、追いかけリーチだ。
そして、最後のツモでドラの四万を引き当て3,000・6,000。
沢崎の倒された右端に六筒がある。入り目を察し、伊藤の肩がガクンと落ちた。
この2回戦で沢崎は1人浮きのトップを決め(+51,2P)、内川をまくり総合順位を3位に上げたのだ。

3回戦。
今度は「死に神の優」こと伊藤が怒った。東4局までの4者の持ち点はこうだ。
伊藤  古川  内川  沢崎
47,1  35,8  27,0  10,1

沢崎の持ち点に注目。
前の半荘はあんなに素晴らしい出来だったのに、「今回はこれかよ…」と、誰もが思ったはずである。これからの展開予想は、伊藤がどこまで得点を伸ばすかである。
しかし、違った。
親の沢崎が13巡目に3枚目の七筒を鳴き、初物のドラの白を叩き切り、テンパイを入れる。

五万五万二索三索四索一筒二筒三筒四筒五筒  チー七筒 左向き八筒 上向き九筒 上向き  ドラ白

すると、すぐに伊藤から六筒が出て1,500点のアガリ。
伊藤もこっそり、タンピンのテンパイだから仕方がない。沢崎は、親権確保のいいアガリだ。大事なのは、点棒より親である。

1本場も沢崎のアガリ。

五万六万六万七万八万三筒三筒六筒七筒八筒  チー六筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ドラ三筒

四万を引いて2,000は2,100オール。

2本場は、沢崎が勝負手のリーチだ。出れば11,600点。

三万四万二索三索四索五索五索六索七索八索三筒四筒五筒  ドラ四索

しかし、流局。(古川テンパイ)
そう簡単には決まらない。いや伊藤からすれば、決められて…たまるかである。

3本場は沢崎が3フーロして、古川から2,000は2,900点のアガリ。
このとき解説の森山が云った。
「長い親だな―」
これが沢崎のしぶとさである。親は離さない、噛みついたら離れない。そしてその牙には破壊毒がある。だから「マムシ」なのである。沢崎のあだ名は怖いが、実際は後輩の面倒をよくみる優しい男である。

4本場。
6巡目に沢崎のリーチが飛んで来た。

ドラ九万

二索 上向き六万 上向き六万 上向き五索 上向き三万 上向き六筒 左向き

河は中張牌だらけだ。字牌は危険そうだし、筋もある。少し長引いたが、放銃したのは北家の内川。

一万一万一万九万四索五索六索七索八索九索二筒二筒二筒

内川もこの手だからしょうがない。

七万八万九万東東東南南北北  チー六万 左向き四万 上向き五万 上向き

これが「流れ」である。
アガリは9,600で、積み場も含め内川が10,800点の失点。この親番1回で、2万点沈んでいた沢崎が33,100となり、浮きに回った。

5本場。
またも沢崎から8巡目のリーチだ。

九索 上向き九筒 上向き南西北発
二索 上向き東

今度は端牌と字牌だらけだ。さっきと今度。河が、極端すぎてなにが何だかわからない。これに放銃したのが西家の古川。

三万三万三万五万六万七万五索五索二筒二筒二筒六筒七筒

親で3,900だが、積み場と合わせて5,400点の失点である。
6本場、ドラ五筒
沢崎が軽快に仕掛け、テンパイを入れた。

二万二万六万七万八万四索五索六索五筒六筒  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き

ここに高めの四筒で飛び込んだのが南家の伊藤。5,800は7,600点である。
これでトップ逆転だ。
伊藤 古川 内川 沢崎
34,4 26,9 12,6 46,1

7本場はさすがに落ちた。しかし、このままの着順で終わり、沢崎の連勝である。
沢崎の麻雀は、技が多彩で変幻自在。そして、決まり手(アガリ)に華のような美しさがある。これが、レジェンド沢崎の勝負の感性である。

麻雀日本シリーズ2018 第1節レポート 黒木 真生

100

 

 

2015年度に始まった麻雀日本シリーズも4年目を迎えた。
2015、2016は多井隆晴プロが連覇。
2017は沢崎誠プロが優勝している。

開幕節を終えて首位に立ったのは最高位の村上淳プロ。
2016シーズンが終了した時に「ああ、俺来年出られないのかー」と残念そうに言っていたのが印象に残っている。
もちろん、最高位戦の選手にとって最高位が文字通り最高の栄誉であることは間違いないが、やはり、日本シリーズのように他の団体のトップと戦えるタイトル戦は、特別なものなのかもしれない。

2位はRMUの王者として初参加の松ヶ瀬隆弥プロ。対局は1戦のみだったが、好スタートを切ったと言える。

第3位はRTDリーグで優勝し、連盟会長推薦で出場の平賀聡彦プロ。こちらも1戦のみでトップという成績だった。

第4位は前回決勝進出者で連盟会長推薦の萩原聖人さん。トップ・3着という数字だけではわからない「萩原らしさ」が早くも炸裂していた。ぜひ対局を映像でご覧いただきたい。

第5位は最近色々な意味で活躍中の白鳥翔プロ。3戦を消化しており、予選通過は間違いないと本人はほくそ笑んでいることであろう。

第6位は1戦消化の勝又健志プロ。昨年度の準優勝者で、連盟会長推薦での出場である。

第7位は、昨年ラスベガスで行われた第2回リーチ麻雀世界選手権大会で優勝したともたけ雅晴プロ。

第8位は、昨年優勝はなかったものの、十段戦、鳳凰戦と連盟の二大タイトル戦で決勝進出を果たした瀬戸熊直樹プロ。連盟会長推薦での出場である。

第9位は連覇経験のあるRMU代表の多井隆晴プロ。

第10位は天空麻雀19優勝で連盟会長推薦の佐々木寿人プロ。

第11位は現モンド王座で連盟会長推薦の近藤誠一プロ(最高位戦所属)。

第12位は前年度優勝の沢崎誠プロ。

ここまでがプレーオフ進出のボーダーラインである。

以下、13位が雀王で最強位の、金太賢プロ。

14位は十段位の藤崎智プロ。

15位は鳳凰位の前原雄大プロ。

16位は将王の井出洋介プロ。

名だたるチャンピオンたちが下位に甘んじてはいるが、よくよく考えたら全員が何かしらの王者だったり、実力者だったりするので仕方がないと言える。

4年目を迎えて当たり前の光景のようになってはきたが、冷静に考えると、やっぱりすごいメンバーによる戦いなのである。

 

 

システム

【システム】
■16人で一次予選全24回戦(各自6回戦)を行い下位4名が敗退
■12人でポイントを持ち越し二次予選全6回戦(各自2回戦)を行い下位4名が敗退
■8人でポイントを持ち越しプレーオフ全4回戦(各自2回戦)を行い上位4名が決勝進出
■ポイントをリセットし決勝4回戦

【ルール】
30,000点持ち30,000点返し
順位点5,000-15,000
一発・裏ドラあり
その他WRCルールに準ずる

一次予選第1節成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 村上淳(最高位) 36.2           36.2
2 松ヶ瀬隆弥(RMUリーグチャンピオン) 33.6           33.6
3 平賀聡彦(連盟会長推薦) 28.9           28.9
4 萩原聖人(連盟会長推薦) 29.5 ▲ 6.5         23.0
5 白鳥翔(連盟会長推薦) 28.3 ▲ 12.9 6.0       21.4
6 勝又健志(連盟会長推薦) 15.0           15.0
7 ともたけ雅晴(第2回WRCチャンピオン) 8.8           8.8
8 瀬戸熊直樹(連盟会長推薦) 6.6           6.6
9 多井隆晴(連盟会長推薦)             0.0
10 佐々木寿人(連盟会長推薦)             0.0
11 近藤誠一(連盟会長推薦) 23.8 ▲ 5.9 ▲ 30.5       ▲ 12.6
12 沢崎誠(麻雀日本シリーズ2017優勝) ▲ 28.4           ▲ 28.4
13 金太賢(雀王・最強位) ▲ 30.2           ▲ 30.2
14 藤崎 智(十段位) ▲ 30.2           ▲ 30.2
15 前原雄大(鳳凰位) ▲ 18.6 ▲ 13.1         ▲ 31.7
16 井出洋介(将王) ▲ 41.4           ▲ 41.4

第137回:中級講座『仕掛けと判断』 浜上 文吾

麻雀ファンの皆様、こんにちは!
九州本部の浜上です。

前回は攻めの一貫性を貫くために、普段のトレーニングでは仕掛けるときには押し通す、押せないのであれば仕掛けない。
と簡単な練習をしているとお伝えしましたが、ここ最近は仕掛けを中心にトレーニングしてきました。
~タイガー中島杯~第19期九州リーグ第3節での対局は今までの私とは少し違ったのではないかと感じます。
第3節の対戦相手は
第30期新人王で鳳凰位戦B2リーグ所属の藤井崇勝プロ
普段の練習会メンバーの服部学プロ
ストレートでAリーグに昇級してきた33期生の村本ヒロキプロの3名。
結果から先にお伝えすると、2着3着2着1着で+35.4Pと満足の結果となりました。
今回題材にするのは地味な1局ではありますが、最近の仕掛けのトレーニングの成果がでたと思う局がありましたので紹介します。

 

 

1回戦2着、2回戦は3着とポイントをまとめ
2回戦終了時のポイント状況は
村本 +25.6P
浜上 + 7.8P 
藤井 + 6.6P
服部 ▲40.0P
となっており、この3回戦は原点をキープして最終戦を優位な状況でむかえたいものです。
3回戦(起家から、村本・服部・浜上・藤井)

東1局 西家 浜上 30,000点 配牌

四万五万三索四索六索八索八索二筒四筒六筒八筒八筒東  ドラ二筒

とまだメンツは完成していないもののリャンメンターツ2組とタンヤオが見えていて比較的良い配牌です。

四万五万六万四索五索六索二筒三筒四筒五筒六筒八筒八筒

このようなタンピン三色ドラ1になるのが理想ですね(ここまでなるにはかなりツモに恵まれないといけませんが・・・)
私はこのような手牌は基本的にはメンゼン重視で進行させますが、最近では相手の動向によって仕掛けのことも考えるようになりました。
そう考えていると、さっそく親の村本が2巡目に七索をカンチャンで仕掛けてきます。

今まではどちらかというと他家の動向はあまり気にせずに自分のスタイルを貫くことばかりに重点をおいていました。
その結果、調子の良いときには大きく浮きますが、調子の悪いときには立て直すきっかけすらなく防戦一方になることが多かったと思います。
そこでこの局のポイントは2回戦終了時+25.6Pと浮いている村本が親で2巡目に仕掛けということもあって、この局の最優先課題は連荘させないことだと考えます。
そう考えていると、南家の服部から三筒が捨てられ最初の選択です。
1巡目は不要牌をツモ切りとして配牌と変わらず以下の牌姿のままです。
東1局 西家 浜上 30,000点 2巡目

四万五万三索四索六索八索八索二筒四筒六筒八筒八筒東  ドラ二筒   

さてこの三筒を仕掛けますか?

第131回「仕掛けのタイミング」では

・ポンテン、チーテンは点数状況が自分に有利であれば積極的に取る。
・打点が狙えそうな手牌の時ではポンして1シャンテンを構える。
と述べてきましたが今回の牌姿はどちらにも該当しません。
今まで打点の伴わない遠い仕掛けは意味がないと考えていましたが、この局のポイントは連荘させないことが最優先課題だと考えます。
連荘させないが、遠い仕掛けになると体が動かないことは数多く経験してきました(だいたい後悔します)。
そこで、この手牌の一番のネックである二筒四筒のドラ含みのターツだけは先に仕掛けるほうが、アガリへの近道と考えて仕掛ける判断としました。
東1局で全員30,000点点なので少しでも加点して優位に進行させたいものです。

四万五万三索四索六索八索八索六筒八筒八筒  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ドラ二筒

残りは3メンツと1雀頭です。それでは残った形を

①ネックになる
②ネックにならない
③孤立牌

で分けてみます。

六索八索八索 六筒八筒八筒 →1メンツ+1雀頭

四万五万 三索四索 →2メンツ

③なし

①は仕掛ける

②は仕掛けない

と分けてみるとそれ以降の判断はしやすいです。
実戦では判断どおりに五索はスルー、同巡に八索がポンでき1シャンテン。

四万五万三索四索六筒八筒八筒  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ドラ二筒

すぐに五索をツモでテンパイして、三万をツモと500・1,000のアガリとなり、点数以上に得られたものは大きかったように感じます。

それでは次に先日の第35期鳳凰戦A2リーグ第3節A卓からの牌姿から問題です。
対戦相手は荒正義プロ、前田直哉プロ、西川淳プロ、魚谷侑未プロです。
3回戦終了時のポイント状況は
西川 +60.7P
魚谷 ▲ 7.5P
前田 ▲19.3P
荒  ▲33.9P
となっており、最終4回戦、魚谷プロの手牌です。
南1局 5本場 南家 魚谷 30,600点

一万四万五万三索五索五索七索八索三筒四筒七筒北中  ドラ四筒

3巡目までは五万三索六索とツモで以下の牌姿です。

南1局 5本場 南家 魚谷 30,600点

四万五万五万三索三索五索五索六索七索八索三筒四筒七筒  ドラ四筒

さてこの局面仕掛けますか?
六索七索八索で1メンツ完成しているので残り3メンツ+1雀頭です。
仕掛けた場合は2,000点です。
状況は原点より600点浮いていて、供託、積み場が5本場とあるのでぜひアガリたいと考えます。

それでは先程のように

①ネックになる
②ネックにならない
③孤立牌

で分けてみます。

三索三索 五索五索 →1メンツ+1雀頭

四万五万五万 三筒四筒 →2メンツ

七筒  

仕掛けるのはネックになる①だけです。
4巡目にはツモ四索となり以下の牌姿(残り2メンツ+1雀頭)

四万五万五万三索三索四索五索五索六索七索八索三筒四筒  ドラ四筒

三索五索 →1メンツor1雀頭

四万五万五万 三筒四筒 →2メンツor1メンツ+1雀頭

③なし 

こうなると345の三色やイーペーコーも見えてきて仕掛けにくくなってきますが、現状、原点から浮いていて供託、積み場も考えると仕掛けたほうが良さそうです。
なので判断は

①仕掛ける
②仕掛けない

となります。
ただし次に一索以外のソウズをツモの場合だとネックになる部分は解消され、メンゼンで手を進行しやすくなり、打点も3,900~12,000と期待ができるのでどれも仕掛けない判断をしたほうが良さそうです。

まとめてみますと仕掛けと判断は、
・手牌の中でネックとなるものを把握してなるものは仕掛ける、ならないものは仕掛けない
・ネックが解消された場合は仕掛けずに打点を作ることを考える
この2つを配牌を取ったときから考えるだけで攻めのバリエーションは増えると考えます。
それでは皆様、日々の練習がんばりましょう!

第31回静岡リーグ(プロアマ混合)第2節レポート

麻雀は4人で行うゲームである。
その一局、その一打…
卓上で起こる、ありとあらゆる出来事は全てその卓に座る者達のみで創られる。

このレポートを書いている今も、世界中の至るところで牌が握られているのだろう。
それは喜ばしいことであり、麻雀というゲームがどれだけ魅力的であるかを再認識させられる。

今日も麻雀を愛し、麻雀に魅せられた選手達がこの静岡の地に集まった。
プロアマリーグとは、その名の通りプロと一般参加者が麻雀を介して共に戦い、共に学ぶ場である。

静岡プロリーグ参戦を決めた際に、出るべきかどうか悩んでいた時期があった。そんな自分を見透かすように、こんなことを言われた。

「プロアマリーグに出ることこそ意味がある」

正直、その言葉の真意は当時の自分には全く分からなかった。

だが、今ならよくわかる。
一般参加の皆さんがプロから学ぶように、プロも一般の皆さんから学ぶことが多いのである。

麻雀と真摯に向き合う姿勢。
麻雀に対する想い。
謙虚な気持ちを持つ心の在り方。

日々、麻雀と触れ合いながら過ごしていく中で、ふと忘れがちになってしまう大切なこと。
そして、そんな大切なことを何一つ知らない自分に気付かされた。

「学べば学ぶほど、何も知らないということが分かるようになる。何も知らないと分かるようになるほど、もっと学びたくなる」

アインシュタインの言葉である。

これからも静岡リーグの歩みは続く。
次は何を学び、何を得られるのだろうか。
楽しみで仕方がない。

静岡リーグ第2節。
ベテラン・太田昌樹プロが+81.7Pを叩き出し、2位との差を30ポイント以上つけて堂々の首位に躍り出た。
その2位には、一昨年に静岡ダブルクラウンの実績がある中部本部所属の山本拓哉プロ。
今期の静岡リーグは、この2人が中心となって展開していくのだろうか。

…否、一般参加勢も黙ってはいない。
3位には村瀬光佳さん、4位には前節首位スタートだった堀孔明さんがつけ、決勝の椅子を狙う。

この第2節を終え、プラス者とマイナス者がちょうど半分に割れる結果となった。
残り3節、中位につけている者も十分にチャンスがある。どのようなフィナーレを迎えるのか、全く予想がつかない。

まだ戦いは始まったばかりである。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 太田 昌樹 プロ 53.1 81.7       134.8
2 山本 拓哉 プロ 53.7 48.7       102.4
3 村瀬 光佳 一般 54.3 45.8       100.1
4 堀 孔明 一般 77.5 14.1       91.6
5 中野 妙子 プロ 68.5 2.3       70.8
6 島﨑 涼 プロ 20.7 37.9       58.6
7 伊藤 真 一般 0.0 56.6       56.6
8 深見 翔 一般 29.5 18.7       48.2
9 松永 誠 一般 13.0 32.6       45.6
10 大口 伸也 一般 0.0 41.5       41.5
11 藤島 健二郎 プロ ▲ 2.2 41.1       38.9
12 髙橋 孝基 一般 35.0 0.0       35.0
13 白井 健夫 一般 0.0 34.0       34.0
14 都築 友和 プロ ▲ 7.2 40.6       33.4
15 青嶋 宏樹 プロ 32.5 0.0       32.5
16 宮地 孝尚 一般 34.2 ▲ 5.3       28.9
17 望月 雅継 プロ 27.6 1.2       28.8
18 大橋 幸正 プロ 38.8 ▲ 11.9       26.9
19 鈴木 涼太 プロ 9.8 15.9       25.7
20 平野 敬悟 プロ 22.9 0.0       22.9
21 杉村 泰治 プロ ▲ 27.8 47.0       19.2
22 藤井 太郎 一般 0.0 17.2       17.2
23 本田 真之 一般 15.5 0.0       15.5
24 鈴木 康功 一般 20.7 ▲ 5.5       15.2
25 鈴木 郁孝 プロ ▲ 26.4 38.0       11.6
26 影山 恒太 一般 0.0 10.1       10.1
27 鈴木 秀幸 プロ ▲ 22.8 26.2       3.4
28 岡本 茂 一般 11.0 ▲ 12.0       ▲ 1.0
29 平田 拓也 一般 ▲ 0.3 ▲ 0.9       ▲ 1.2
30 原 佑典 プロ ▲ 1.4 0.0       ▲ 1.4
31 鷲見 隼人 プロ 7.9 ▲ 9.3       ▲ 1.4
32 源馬 健太 一般 ▲ 2.8 0.0       ▲ 2.8
33 足立 純哉 プロ 31.0 ▲ 36.8       ▲ 5.8
34 松清 一樹 一般 ▲ 7.4 ▲ 2.7       ▲ 10.1
35 川崎 義之 プロ ▲ 15.3 0.0       ▲ 15.3
36 江島 直穀 一般 ▲ 21.7 0.0       ▲ 21.7
37 中野 一男 一般 ▲ 4.5 ▲ 23.0       ▲ 27.5
38 福井 弘人 一般 0.0 ▲ 29.7       ▲ 29.7
39 大橋 義一 一般 10.2 ▲ 42.5       ▲ 32.3
40 牧野 光治 一般 ▲ 12.7 ▲ 23.0       ▲ 35.7
41 斉藤 隆 一般 ▲ 35.8 0.0       ▲ 35.8
42 北島 武弘 一般 0.0 ▲ 40.6       ▲ 40.6
43 平岡 理恵 プロ 21.6 ▲ 62.7       ▲ 41.1
44 京平 遥 プロ ▲ 36.2 ▲ 6.0       ▲ 42.2
45 伊藤 裕美子 一般 26.2 ▲ 71.6       ▲ 45.4
46 袴田 一郎 一般 ▲ 13.9 ▲ 31.6       ▲ 45.5
47 土屋 幸弘 プロ 0.0 ▲ 46.1       ▲ 46.1
48 大谷 数則 一般 ▲ 26.3 ▲ 25.5       ▲ 51.8
49 山内 紀博 一般 ▲ 11.1 ▲ 41.5       ▲ 52.6
50 坂本 彰光 一般 ▲ 39.7 ▲ 23.8       ▲ 63.5
51 鈴木 雅人 一般 ▲ 59.9 ▲ 5.5       ▲ 65.4
52 高木 翔太 プロ ▲ 85.8 18.3       ▲ 67.5
53 八木 寛大 一般 ▲ 65.1 ▲ 46.1       ▲ 111.2
54 中 寿文 プロ ▲ 75.0 ▲ 55.4       ▲ 130.4
55 渡辺 洋巳 プロ ▲ 106.8 ▲ 29.5       ▲ 136.3

第14期静岡プロリーグ 第2節レポート

ゴールデンウィーク最終日、静岡プロリーグ第2節が行われた。

まだ2節とはいえ、大きくマイナスしてしまうと、後の戦い方が限定されてくる。
それぞれの思惑が交錯し、各卓熱い闘いが繰り広げられた。
では、結果を見てみよう。

1卓
藤島健二郎 × 鷲見隼人 × 中野妙子 × 青嶋宏樹

鳳凰戦B1の藤島、女流桜花Aリーグの中野、昨年覇者の鷲見、この3人に開幕戦をプラスで終えた新人の青嶋が挑んだ。
結果は
藤島+62.5P 青嶋+17.2P 鷲見▲34.8P 中野▲44.9P
藤島は押し引きが抜群に良く、完璧とも言える内容で貫禄勝ち。
青嶋は、大きなリスクは負わず、ジリ貧になりそうな展開だったがプラスで終われた事は自信になるだろう。
藤島が3位に、青嶋は4位につけた。
逆に中野は、なかなか先手が取れず我慢の展開で開幕戦に続き痛いマイナス。
3節以降の奮起に期待!

2卓
鈴木秀幸 × 足立純哉 × 島崎涼 × 越川清一

ベテランの鈴木秀と越川に、足立と島崎がどう闘うが焦点となったこの対戦
結果は
足立+90.8P 越川+16.0P 鈴木秀▲40.9P 島崎▲65.9P
足立が6万点のトップを3回取り、+90Pオーバーの大爆発。
一気に2位まで浮上した。
もともと瞬発力のある選手なので、あとは課題の守備力を磨けば念願の決勝進出も見えてくる。
一方苦しかったのは島崎。
このままズルズル行くとは思わないが、マイナスが大きくなりすぎると持ち前のパランスの良さが失われる。
5節(半分)を目処に、ポイントをプラスに戻したいところだ。

3卓
太田昌樹 × 山本拓哉 × 杉村泰治 × 鈴木涼太

攻撃力の太田、速さの山本、守備力の杉村、強敵3人を相手に新人の鈴木涼の実力が問われる!
結果は
杉村+43.6P 山本+5.6P 太田▲4.8P 鈴木涼▲64.4P
杉村は、開幕戦で背負った大きなマイナスを半分返済し、気分良く次節以降闘えるだろう。
対して、鈴木涼は開幕戦に続きマイナスしてしまい、終わった時の悔しそうな表情が印象的だった。
麻雀という競技の性質上、負ける節は必ずある。
そこから何かを学び、次に活かせるかどうかが選手の能力だと思う。
次節以降の鈴木涼に期待するとこにしよう。

4卓
中寿文 × 都築友和 × 京平遥 × 渡辺洋巳

非常に興味深い4人の対戦となった。
というのも率先して先手を取りに来る選手がいない。
重い展開が予想されるこの対戦
結果は
中+15.3P 渡辺+6.6P 京平▲5.8P 都築▲16.1P
中が小さいながらも2節続けてプラスでまとめて8位につけた。
もともと能力が高い選手なだけに、そろそろ勝ってもいいはずだ!
と言うか勝ちなさい!!(笑)
都築は苦しいながらもマイナスを最小限に抑え、次節以降に望みをつないだ。

5卓
鈴木郁孝 × 大橋幸正 × 蓮沼友樹 × 平岡理恵

この卓の注目は、開幕戦4連勝の鈴木郁。
今日も大きくプラスすることがあれば、2節で決勝進出ボーダーを超えることもありえる。
それは何とか阻止したい3人の思惑が、鈴木郁を止めることが出来たのか!
結果は
蓮沼+15.4P 鈴木郁+9.5P 平岡▲11.0P 大橋▲13.9P
今期からで東京から参戦の蓮沼が、開幕戦に続きプラスでまとめ、7位につけた。
そして、鈴木郁は1回戦を7万点近いトップで終え、開幕戦の勢いそのままに勝ちきるのかと思いきや、そこからまさかの連続ラス。
4回戦は何とか踏みとどまり2着で終えたが、終わってみれば+9.5Pで少し物足りない結果となった。

2節が終わり上位4名は以下の通り
1位 鈴木郁 +117.6P
2位 足立 +116.3P
3位 藤島 +98.5P
4位 青嶋 +75.7P

次節以降の闘いも熱くなりそうだ!

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 鈴木郁孝 108.1 9.5 117.6
2 足立純哉 25.5 90.8 116.3
3 藤島健二郎 36.0 62.5 98.5
4 青嶋宏樹 58.5 17.2 75.7
5 山本拓哉 18.1 5.6 26.4 50.1
6 越川清一 32.1 16.0 48.1
7 蓮沼友樹 29.8 15.4 45.2
8 中寿文 28.1 15.3 43.4
9 平岡理恵 60.0 ▲ 11.0 ▲ 14.0 35.0
10 京平遥 22.8 ▲ 5.8 14.8 31.8
11 鈴木秀幸 65.6 ▲ 40.9 24.7
12 望月雅継 51.9 ▲ 28.2 23.7
13 川崎義之 20.2 20.2
14 大橋幸正 24.9 ▲ 13.9 11.0
15 太田昌樹 5.6 ▲ 4.8 0.8
16 渡辺洋巳 ▲ 8.3 6.6 ▲ 1.7
17 佐藤あいり ▲ 17.0 ▲ 17.0
18 加来千香子 ▲ 17.5 ▲ 17.5
19 平野敬悟 ▲ 23.8 ▲ 23.8
20 土屋幸弘 ▲ 26.0 ▲ 26.0
21 杉村泰治 ▲ 94.0 43.6 ▲ 50.4
22 都築友和 ▲ 52.7 ▲ 16.1 ▲ 68.8
23 高木翔太 ▲ 70.3 ▲ 70.3
24 原佑典 ▲ 70.9 ▲ 70.9
25 鷲見隼人 ▲ 42.1 ▲ 34.8 ▲ 76.9
26 鈴木涼太 ▲ 39.6 ▲ 64.4 ▲ 104.0
27 中野妙子 ▲ 71.1 ▲ 44.9 ▲ 116.0
28 島﨑涼 ▲ 55.9 ▲ 65.9 ▲ 121.8

第27期マスターズ決勝観戦記 白鳥 翔

第27期麻雀マスターズ決勝戦が5月4日に行われた。前日に行われたベスト8から勝ち上がったのはこの4名。
 
 

100

山田浩之(連盟)
17期生でA2リーグ所属。タイトルはチャンピオンズリーグ(現在のJPML WRCリーグの前身)のみだがその実力は誰もが知るところ。
麻雀においての理論にも明るいが山田は自身の状態を重んじるタイプだ。初のG1タイトル獲得を狙う。
 
 
100

沢崎誠(連盟)
3期生。A1リーグ所属。麻雀マスターズは16期に獲得。
十段位獲得経験もあり獲得タイトル多数の大ベテラン。粘り強い攻め主体の雀風から「マムシ」の異名を持つ。
直近では麻雀日本シリーズ2017優勝と波に乗っている。
 
 
100

武田裕希(連盟)
21期生でB1リーグ所属。初のタイトル戦決勝進出。
周りがボスキャラ揃いの中どう戦うか。
 
 
100

阿部孝則(RMU)
かつては連盟で鳳凰位3連覇経験もある。この麻雀マスターズも15期に1度獲得。
第2期の日本オープン優勝など輝かしい実績を誇る。ついた異名は寡黙な王者。

 
100
 
1回戦(起家から山田、沢崎、阿部、武田)
開局、苦しそうな配牌を丁寧にまとめつつホンイツに向かった親番の山田。2枚目のオタ風の西ポンだったが他家を牽制することに成功し、最終ツモでテンパイを入れ1人テンパイでの連荘。
アガリ自体は厳しそうだった為感触は悪くはないだろう。
同1本場、
 
100
 
1メンツも無いが、ダブ東の暗刻やタンピン系を見据えてまっすぐにドラ打ち。やる気満々だ。
 
100
 
しかし、そのドラ打ちを受けて北家の武田がカン八筒のリーチのみでリーチ。このリーチにはこの決勝における武田の戦い方、覚悟の様なものが見られた。
親が向かってくるであろうことは武田も百も承知。場況的には悪くないカン八筒だがいかんせん打点力が無い為ヤミテンに構えるか取らずとする打ち手がほとんどだろう。
武田はとにかくぶつかっていくことを選んだ。
そこに対して、沢崎も攻めて追いかけリーチ。それを受けた山田は、巡目と自分の手形からここで撤退。結果は流局。
全部押していればテンパイ即で沢崎から八索でピンフで討ち取っている未来もあった。流れや状態を重んじるタイプの山田はこれをどう捉えていただろうか。
そして武田。百戦錬磨の3人相手にこのテンパイ形を見せつけた。他3者は焦っているな、と思ったか。それとも腹を括っているな、やりづらいなと思ったか。

東2局2本場は親の沢崎の仕掛けに対し臆することなく武田が攻め返しリーチを打つも流局。
そして同4本場、
 
100
 
山田、マンズの伸びを見て1巡ヤミテンを選択するも次巡にリーチ。しかしこの1巡で阿部にドラの五索を打たれてしまい、リーチの一発目に二筒を打たれる。
これを沢崎がポンして攻め返し、見事にアガリに結びつけた。点数自体は2,900だが、リーチ棒4本と3本場で満貫分の収入だ。即リーチを打てていたら阿部の打牌がどう変わっていたか、興味深い。
結果は沢崎にとっては良い方に、山田にとっては悪い方に転がってしまった。

次局も沢崎が積極的に仕掛けを入れていき局面をリード。この決勝戦では、このように沢崎が先行して動いていく場面が総じて多かった。
5本場でようやく沢崎の親落としに成功した山田だが、次局が痛恨だった。
 
100
 
ここから打五筒。程なくして七筒をツモった次のツモが一筒。役なしのカン五万のテンパイでヤミテンにするも、上家の武田から五万を打たれてリーチされ瞬く間に3人リーチに。
決勝戦が終わった後、山田が一番悔いていたのはこの局だった。四筒七筒が良く無さそうだとは思ったが、五万が良い訳でも無い。なら素直に打つべきだったと。「自分で悪くしてしまった。」
事実ここから山田は、手牌が苦しいのはもちろん、分が良いめくり合いなどもことごとく負けてしまう苦しい展開を強いられることとなる。
この局は阿部から武田のアガリに。

次局は山田、高目三色のピンフドラ1リーチを打ってこれが山に5枚。対して、親の阿部はカンチャン、ペンチャン残りの一通の1シャンテンだったが引き入れ追いかけリーチ。
そして最後の1枚を山田が掴み、7,700の放銃。態勢論者からすればそうだよな、となりそうな結末。山田もそれを感じ取っていたことだろう。
この半荘決め手は沢崎のこの一撃。
 
100
 
南4局は阿部が何とかアガリきって2着に浮上。

1回戦終了時
沢崎+31.2P 阿部+4.6P 武田▲9.0P 山田▲26.8P

 

 

2回戦(起家から阿部、武田、山田、沢崎)
東1局、沢崎が仕掛けてそこに山田がリャンメンドラ1リーチも武田がハイテイで1,300・2,600のツモアガリ。
次局、山田ドラドラで仕掛けてテンパイをいれるも、阿部にホンイツで押し返され5,200の放銃に。決勝後の山田の発言は、こうならない様に「入り」をしっかり打つべきだった、ということなのだろう。
次局も山田リーチと出るが沢崎がきっちり躱す。
 
100
 
そしてこの東4局が山田のこの決勝戦において最初で最後のチャンスだった。ここから沢崎がチー。アガリきれるかは分からないが、これも沢崎の勝負勘によるものなのか。
このチーで山田のアガリ牌の三万を自身の手元に喰い下げる。まるで分かっていたかの様に。一人テンパイで流局。
ここからは細かいアガリが続くが、南4局を制した武田が微差ながらトップ。山田は痛恨の2ラスとなってしまう。

2回戦終了時
沢崎+27.2P 阿部+12.9P 武田+11.2P 山田▲51.3P

 

3回戦(起家から武田、沢崎、山田、阿部)
東1局、ここで武田が奮起。
 
100
 
親番で、先行リーチの山田の現物待ちではあるが、決していいわけではないカン三筒のリーチ。これに対して詰まってしまった阿部が三筒を一発で放銃。トータルポイント3人で競っているところから、値千金の12.000のアガリとなった。
次局は、沢崎が仕掛けて阿部が3,900は4,200の放銃。この決勝戦の解説を担当していた私だが、現場では阿部の手牌としてはらしくない放銃だなと思ったが、対局者心理を考えるとこれまでの2回で沢崎の安い仕掛けも遠い仕掛けも何度も見せられている。それによりシャンテン数を見誤ったか。ここにきてマムシの毒が回ってきつつある。

ここから阿部が仕掛けとリーチをうまく使い分け、細かいながらも4連続のアガリ。やっと親番で連荘というところでまたも沢崎が仕掛けてリスクを負ってでもそれを止める。
そして南4局武田の親番。
 
100
 
このリーチを受けるも、
 
100
 
こうアガリきる。打点は低いが見事な攻め返しである。
しかし、次局またも沢崎が仕掛けてここも躱しきるのかと思ったが、今回はそれが裏目。阿部にテンパイ牌を送り込み、阿部が一発ツモの3,000・6,000は3,200・6,200のツモアガリ。これで一気に2着に浮上した。

南2局、武田の選択が秀逸だ。
 
100
 
ドラ表示牌待ちのペン七筒の2,600では割に合わないとの判断。2,600愚形先制は今風なデジタルな雀風ならば喜んでリーチといきそうだが、ここまでの沢崎の押しっぷり、沢崎が親で現在3着目であることなどを加味すると、その選択だけはなかったか。ここはアガリ率をマックスに見る選択を取った。沢崎から追いかけリーチが入るも、見事ツモアガリとなった。

そして南3局、阿部の役牌ドラドラと、武田のピンフドラ1リーチがぶつかる。ここは武田に軍配がアガリ、裏が1枚乗って8,000のアガリに。
南4局は、沢崎がまたしても3フーロしてアガリきり2着を守りきった。

3回戦終了時
武田+47.0P 沢崎+29.6P 阿部+1.8P 山田▲78.4P

 

4回戦(起家から山田、阿部、武田、沢崎)
ポイント的には一歩抜け出した武田だが、心理的にはどうだろうか。優勝のゴールテープが見えれば見えてくるほど、精神的に追い詰められていく時間帯になっていくと私は思う。
所謂、水中から顔を上げたくなってしまうのだ。特に、タイトルを獲得したことのないものにとっては。

阿部が先制のアガリを決め、そして沢崎もアガリを取り、微差だがラス目で迎えた武田の親番。
 
100
 
まずは沢崎が仕掛けてドラドラの南のシングルバックで発進。プレッシャーをかける。
武田、上家の阿部の打二索を見てツモりかけて伸ばした手が止まる。そして、ポン、打四筒。阿部への5,200放銃となった。
テンパイをとりたい気持ちもプレッシャーも痛いほど分かる。それでもぐっとこらえて牌山に手を伸ばして欲しかった。ここで欲しいのは1,500なのか。
違う。そんなことは武田自身も分かっている。人生がかかった決勝だからこそ出てしまったポンの声。この一声が武田を地獄に突き落とした。

「悔い残る場面はありましたか?」
「4回戦で安いポンテンとったのは失敗だったなって思ってます。」

武田の対局後の素直な弁だ。
東4局1本場、沢崎の選択が冴え渡る。
 
100
 
阿部が躱し手からぶつける手に変えて追いかけるも沢崎のツモアガリ。大きな2,100オールだ。
沢崎と阿部が交互にアガっていく展開。そして武田にとどめの一撃を喰らわしたのは阿部だった。
 
100
 
これぞ阿部の真骨頂。手役作りからの冷静なヤミテンで12,000。見ていただければ分かる通り五筒四筒が手出し。見事なターツ選択だ。
こうして阿部がトップ目に立ち、いよいよ沢崎と阿部の一騎打ちかと思われた。

麻雀は、無慈悲だ。
 
100
 
ノーチャンスの九筒。何度見ても九筒を打ってしまうと思う。ここまでの手順が悪かったとも私は思わない。
経験豊富な阿部にとっては、こういうことは何度も経験済みなんだろう。これが麻雀だ。スッと点棒を払う阿部の姿が美しく、印象的だった。

南4局、簡単に山田を捲ってこの半荘トップに立った沢崎を最終戦で捕まえられる者はいなかった。

4回戦終了時
沢崎+70.9P 武田+13.7P 阿部▲20.4P 山田▲64.2P

最終5回戦終了トータル
沢崎+72.5P 武田▲0.6P 山田▲25.9P 阿部▲46.0P

第27期麻雀マスターズ優勝は沢崎誠。
とにかく前に出ている局面が多く、的確に相手のアガリを潰し、また要所では決定打も決めてきていた。
もちろん阿部、山田、武田の3名もそれぞれ素晴らしかったが、とにかく沢崎の強さが際立った決勝戦となった。
まだまだ現役でプロ連盟のレジェンドの1人として、これからも若手や中堅の前に立ちはだかっていくのだろう。
沢崎さん、優勝おめでとうございます!
 
100

トッププロが教える 最強の麻雀押し引き理論 白鳥 翔 (著)

100

本書では、麻雀で勝ち組になるためには絶対に必要な押し引きの技術を論理的に解説。初心者から上級者までどのレベルの読者にとっても上達の種となる戦術や思考が惜しみなく記されている。
戦術の他にも白鳥翔がこれまでの自身の熱戦を振り返るコラム「押し引き自戦記」も満載。麻雀ファンは必読の1冊。

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第2期北陸リーグ 第1節レポート

今回第2期北陸プロリーグ第1節のレポートを担当させて頂く事になりました志多木と申します。
初めましての方が多いと思いますので、まずは自己紹介をさせて頂きます。
32期生、鳳凰戦D2リーグ、志多木 健(しだぎ たけし)O型、目標のプロ雀士、前原雄大プロ(恐ろしいぐらいの強さが好き)瀬戸熊直樹プロ(雀風が好き)山田浩之プロ(プロになりたての頃、優しく話し掛けて頂いたのが印象的で今では毎対局応援してます)最後にプロになったきっかけは、今から4年前まだプロという者に全く興味のなかった私ですが、当時一緒に働いていた木戸プロの誘いで初めて北陸プロアマリーグに出た際に、北陸支部長の浦田プロにいい麻雀打ちますね、プロになる気はないのと声を掛けて頂いたのがきっかけです。当時まだまだ人間的に未熟な私は浦田支部長の紳士的な対応がなければ今こうして日本プロ麻雀連盟の一員になる事はなかったであろうと思っています。
自己紹介も長くなってしまいましたのでそろそろ本題のレポートを書かせて頂きます。初めてで読みにくい文章だと思いますが最後まで読んで頂けたら幸いです。

春の訪れと共に北陸にも転校生(移籍組)の獅坂プロ、里木プロと新入生(新人)の木原プロ、南プロ、美咲プロがやってきた。昨年の10人から15人に増え栄えある第2期北陸プロリーグが開幕した。
緊張感の走る中、初代チャンピオンの後藤プロから今後を占う抽選が始まった。抽選の結果決まった初戦の卓組がこちら(以後プロは省略します)
1卓、安城、志多木、成田、浦田、荒谷
2卓、後藤、美咲、木原、本田、獅坂
3卓、木戸、藤本、南、前田、里木

3卓、 去年の決勝進出者の藤本、木戸を相手にプロ2年目の前田、里木と新人の南の戦いを制して+81.5Pと大きくポイント叩いた里木のコメントがこちら「本手、躱し手共に決まった、調子が良かった」と謙遜気味に語ってくれた。
藤本、木戸は里木が1人火を吹く中、手堅くプラスでまとめた。その藤本のコメントがこちら「自分が押す方なのにもっと押された」とちょっと困惑気味で語ってくれましたが、北陸随一の対応力を持つ藤本、木戸がこのままで終わるわけもなく、まだまだ先の長い戦いですが決勝進出に向けてこれから2人がどうポイントを伸ばしていくか楽しみです。
対象的に大きくマイナスをした前田と新人の南は次節以降どう麻雀を修正してくるか、自分の麻雀がしっかり打てるかが今後の鍵になってくるだろう。

2卓、 初代北陸チャンピオンの後藤に、鳳凰戦B2リーグの本田と移籍組の獅坂と新人の木原、美咲が挑む戦い。初戦とあってか初代北陸チャンピオンで爆発力のある後藤にマークが集中したせいか?▲40.1Pの少々手痛いマイナスを負ってしまう。まぁ後藤からすればツボにハマれば一瞬で取り戻せるポイントである。次回からの後藤の巻き返しに期待して頂きたい。
以外にも昨年の北陸プロリーグでまさかの惨敗を喫してしまった本田だが、今回は+26.9Pと無難に初戦を終えた印象。鳳凰戦B2リーグの実力を発揮して今回こそは決勝戦に残って欲しい私注目のプロの1人である。
そして卓内トップはまさかの新人美咲、+54.5Pとポイントを叩いて満面の笑み。その美咲のコメントがこちら「放銃しない様に心掛けた結果、しっかりと、自分の思う様な麻雀が打てた」とニコニコ顔で話してくれた。
もう1人の新人木原は何とか初日をプラスで終えた。次戦からは更に加点を狙って頑張って欲しい。その一方で獅坂が初戦で手痛いマイナススタート、次回からの巻き返しに期待したい。

1卓、 安城、志多木、成田、浦田、荒谷の全員が第1期北陸プロリーグ経験者の卓となった。安城は昨年の決勝進出者、だが当然の如く皆は浦田支部長マーク、なんといっても実績が違う。今回も最終戦で50,000点オーバーのトップを取りしっかりとプラスでまとめた処は流石の一言。
だがこちらも卓内トップは、初戦で清老頭をアガった女流雀士、北陸最強プリンセスの安城、+27.8Pとして好発進。北陸にも今年から2人目の美人女流雀士!美咲が入った事によって、今後の女流同士の戦いにも注目が集まる事必須。
一方で昨年の北陸プロリーグを不完全燃焼で終えた成田、荒谷の両名。今年はまずまずの出だしにホッとした様子の成田に対し、初戦で大きく沈んでしまった荒谷の顔付きは暗かった。
因みに私はトップ2回、ラス2回のトップラス麻雀で少しプラスでしたがこの日は体調不良のせいもありあまりいい麻雀が打てませんでした。ですが私の今年の目標は最低決勝進出!!2節目以降、体調管理は勿論の事、1節1節しっかりとポイントを加算していきたいと思っております。

最後に一言、栄えある第2期北陸プロリーグはまだ始まったばかり、この先どんな波乱があるのか、どんなドラマが待ち受けているのか………この先も15人の熱い戦いを是非共ご覧下さいませ。
そして最後まで読んで頂いた皆様、本当に有難う御座いました。

何を切る?fromロン2 2018年6月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答を、グラフを使って比較していきたいと思います。
多くのプロより、丁寧な解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。

問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介

ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)
東4局東家

 

プロ

六筒切り・・・14人
四索切り・・・7人
五索切り・・・6人
一筒切り・・・3人
四万切り・・・2人
五万切り・・・2人
五筒切り・・・2人

 

ロン2ユーザー

一筒切り・・・25%
五万切り・・・24.3%
四索切り・・・20.8%
四万切り・・・10.4%
五索切り・・・9.7%
六筒切り・・・8.3%
五筒切り・・・0.7%
白切り・・・0.7%

 

 

プロ解答(50音順)

 

六筒切り

魚谷侑未
「手が自然とメンツ手になったので。下家はホンイツではなさそうなので無視します。」

内川幸太郎
「メンツ手に決めます。ピンズの二度受けをほぐしつつ、下家に手を進めさせないよう六筒から。」

紺野真太郎
「ツモ切りや、打五万の七対子も捨てがたいが、自由に打てるように打六筒とする。下家は789の三色か?」

佐々木寿人
「七対子を見るより、アガリの幅が広がるから。」

二階堂亜樹
「全てリャンメンになるターツなので、七対子は見ずにドラ雀頭のリーチを目指す。」

二階堂瑠美
「四暗刻の種はキビしそうなので。下家もケアしつつ、456の三色を見ながら。」

浜上文吾
「七対子の1シャンテンではあるが、横に伸ばしてポン材もキープします。とりあえず南家の現物六筒を捨てて様子見します。」

藤井すみれ
「リャンメンリーチへ一直線。西家に残したくない六筒を切っておきたい。五筒は全体的に安全度が高そう。」

藤崎智
「七対子は見切って、あとは手なりで。」

藤原隆弘
「親だしドラ2なのでアガリに向かう。下家の仕掛けはドラの白が2枚と考え、他の役牌は無いので、マンズの一通か789の三色と見る。七対子の1シャンテンではあるが、456三色を本線として、メンツ手のリーチを打ちたい。片アガリの仕掛けはギリギリまで我慢。トイトイや四暗刻は無理だ。」

前田直哉
「七対子よりもメンツ手の方がアガリに結びつきそう。」

松岡千晶
「厚い形の5ブロック。五筒六筒の差は、のちのちメンゼンの西家・北家に五筒の方が安全なため。456で鳴ける牌は鳴く。」

和久津晶
「メンツ手にします。」

 

 

四索切り

吾妻さおり
「タテの手は好きなので、トイツ・暗刻系の受けを残す。四索五索はどちらも1枚切れだが、少し捨て牌が強く見える西家の現物を残す。」

伊藤優孝
「七対子を見ながら、四索五索外しで良し。」

白鳥翔
「もう少し巡目が早ければ、五筒六筒を払ってリャンメン3つの形にしたいが、もう間に合わなそう。そのため、七対子の1シャンテンに取るが、四筒七筒を引いた時に、メンツ手の1シャンテンにも構えられるようにしておく。念のため、西家の現物五索を残して四索から。」

ともたけ雅晴
「三色もあるが、一筒が先に暗刻になったので、七対子やトイトイのタテを意識したい。四万五筒六筒が1枚ずつ切れてはいるが・・・」

古川孝次
「ここは四索五索切り。五万を切らない前提で、七対子を視野に手を進めていく。白が出た場合、ポンして四万切り。」

古橋崇志
「下家が仕掛けている以上、シャンテン数を下げたくない。ソーズを外して七対子の1シャンテンをキープしつつ、四筒七筒引きでメンツ手に戻る。」

 

 

五索切り

小笠原奈央
「七対子、トイトイ、四暗刻。」

近藤久春
「メンツ手も一応見つつ、七対子本線。」

清水香織
「トイツ手とメンツ手を天秤にかけて。トイトイも視野に入れます。」

中山奈々美
「四暗刻をアガリたい!七対子にも対応しつつ、白が鳴ければ何でも鳴いていきます。」

西川淳
「場況が良くわからないが、五万が良く見える。メンツ手も捨てがたいため、様子見の打五索。」

HIRO柴田
「下家はぼんやりとマークしつつ、西家・北家の動向に注意する。四筒七筒がまだ悪くないのでメンツ手も見る。なので、西家が捨てている五索に合わせて様子見。」

 

 

一筒切り

稲岡ミカ
「七対子の1シャンテンをキープ。マンズを切り出すことが嫌なわけではない。白が暗刻になったら、メンツ手を再考したい。」

沢崎誠
「七対子一本!」

藤島健二郎
「場況から、トイトイや四暗刻は厳しいと感じる。かといって三色も遅いので、七対子の1シャンテン取り。」

 

 

四万切り

斉藤理絵
「メンゼンで仕上げたい。」

刀川昌浩
「456の三色を狙って。先に四筒七筒を引けそうなので、場合によっては三色をあきらめて、マンズとソーズを選択できるように。」

 

 

五万切り

客野直
「トイツ手とメンツ手の両天秤。下家の仕掛けは六筒手出しがよくわからないので、見なかったことにする(残っている役牌は白だけなので、あまり気にしなくても良さそう)。」

吉田直
「七対子も見るので、一番重なりにくそうな打五万。」

 

 

五筒切り

石渡正志
「親の七対子は厳しいので、2シャンテンとなるが、安全牌である打五筒。」

武石絵里
「七対子よりも、ドラ引きにも対応できるようにメンツ手にしてリーチを打ちたいです。」

ロン2ファン感謝祭in東京~第26回リアル麻雀大会~第1部レポート 襟川 麻衣子

皆さんこんにちは!
夏の気配が少しずつ濃くなってきた今日この頃。
楽しい麻雀ライフをお過ごしでしょうか。

2018年5月27日(日)今年もロン2ファン感謝祭 第26回リアル麻雀大会〜5月の部〜が巣鴨道場で開催されました。
今回のレポートは第32期生 襟川麻衣子が担当させていただきます。よろしくお願いします!

この日は参加プロ16名、抽選で選ばれたロン2ユーザー様48名、合計64名の参加者で会場は満卓。いつもたくさんのご応募、誠にありがとうございます。
今回の参加プロは…

 

100

森山茂和

100

伊藤優孝

100

沢崎誠

100

瀬戸熊直樹

100

ともたけ雅晴

100

紺野真太郎

100

滝沢和典

100

白鳥翔

100

二階堂瑠美

100

宮内こずえ

100

高宮まり

100

黒沢咲

100

和久津晶

100

手塚紗掬

100

蒼井ゆりか

100

山脇千文美

 

受付で名札を渡しつつ、「(あ、この方が◯◯さん!)」と何度も心の中で呟いていました。画面上でしかお会いした事のないユーザー様と、直接顔を合わせてお話するのはとっても新鮮!
それはユーザー様同士も同じ気持ちのようで、「あ、◯◯さんですか!?」「◯◯さん、お久しぶりですー」と会場のいたるところから声が聞こえてきます。
いつもは画面越しの対局であっても、ユーザー様同士も麻雀を通して繋がっていて、顔を合わせれば笑顔になれる。
なんて素敵な時間なのだろう…と、あたたかい気持ちになりました。

時計の針が12時を示し、時間通りに大会がスタート。
日吉辰哉プロのキレのある司会進行が光ります。
対局開始前に瀬戸熊直樹プロ、森山茂和会長からご挨拶をいただき、さらにロン2の新システムについて大庭三四郎プロからの説明がありました。ユーザー様のロン2に対する熱い意見も飛び出し、出だしから空気は最高潮!

大会は東南戦、東風戦を混じえた5回戦。
5回戦終了時のトータルのポイントで順位を競います。
1卓ずつそれぞれにプロが固定でいるので、5回戦行うと、必ず5名のプロと対局ができるという贅沢な卓組!

「よろしくお願いします」
皆さんの力の入った挨拶と共に1回戦がスタート。
今回も入賞者とは別に、《役満賞》&大量の《跳満賞》をご用意しました。
すると開始3分…「跳満でましたー!」と山脇プロの元気いっぱいな声が響きます。早いっ!!!
その卓を皮切りに、1回戦目から跳満賞を出す方が続出。
『たくさん跳満賞用意したけど、こんなにたくさんでないですかねー?』
なんて話しててすみませんでした…皆さん流石です!!!
2、3回戦目は東風戦。
早い卓は15分ほどで終了していましたが、残った時間を写真撮影やサインタイムにつかえるのもリアル大会の楽しみの1つ♪
時には、早く終わった卓のプロが、別卓の観戦へ。。。なんて姿もみうけられました。

 
100
 

楽しい時間はあっという間に過ぎていき、気づけば最終戦。
画面に映し出されたトータルポイントとにらめっこをしながら、みんな最後の戦いが行われる卓へ移動していきます。
着実にプラスを続ける滝沢プロの背後に忍び寄るのは、4回戦を10万点越えトップで終え、一気に上位に浮上した沢崎プロ。
果たしてどうなるのか!!?
そんななか、とうとう最終戦で「役満でましたー!」の声が。
駆けつけてみると、黒沢プロの卓で国士無双が炸裂。
某A氏☆彡さん、おめでとうございます!
プレゼントは写真集「国士無双」
まさにピッタリなプレゼントですね。

そんなこんなで、全ての戦いが終了し、とうとう表彰式。
気になる結果は…

優勝:hisoka0813 さん
2位:滝沢和典プロ
3位:沢崎誠プロ
4位:瀬戸熊直樹プロ
5位:はなりく さん
6位:山脇千文美プロ
7位:手塚紗掬プロ
8位:れーまんさん
9位:たくみ抹茶さん
10位:せばせばさん
(以下略)

優勝はhisoka0813さんでした!!
他ご入賞された皆さんもおめでとうございます。
プロ陣トップは滝沢和典プロ!

 
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初めてのロン2ファン感謝祭は、運営という立場で参加をさせていただきました。
たくさんの笑顔と真剣な眼差し、ロン2ユーザー様の生の表情に触れることができる、貴重な経験をさせていただきました。
眠れない深夜…
何も予定の無い休日…
ふとパソコンを開くと、そこにはすぐにでも麻雀卓を囲んでくれる仲間やプロがいる。
それだけでとってもワクワクするのは私だけでしょうか??
また次にお会いした時には「あ!◯◯さん、この前同卓した時は…」とお話ができるのを楽しみにしております!
そのために早速ロン2をやらねばー(^^)
ありがとうございました!

第22回さかえ杯争奪女流プロチャレンジマッチ 夏の無料放送SP 6/30(土)15:00~

12名が3卓に分かれて、予選を各1回行いトップは決勝進出。
また、各卓の2位3名と各卓の3位の中の上位1名が敗者復活戦へと進む 。
敗者復活戦のトップ1名が決勝へ。
決勝は1回戦で優勝者を決定!

日本プロ麻雀連盟からは、
二階堂瑠美、魚谷侑未、東城りお、菅原千瑛、川原舞子
優月みか、古川彩乃、土田小緒里の8名が参戦!

解説:佐々木寿人プロ 小車祥プロ
敗者復活戦・決勝解説:前原雄大プロ

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第17期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第2節レポート

Aリーグ第1節:辻本翔哉

早くも2節目です。今節も半荘5回戦で長丁場です。ポイントはどう動いたかレポートしていきます。

1卓(横山・ 吉本・ 勝間・ 高谷)

1卓は対局終了後に少し観戦できたので報告したいと思います。
43,000点程でオーラスの親横山。1人浮きの状態だが点数を稼ごうとしていた。
七対子テンパイ。五を数巡前に切った状態で二待ち。すぐにリーチをするかと思ったが一巡待ってのリーチ。
16巡目にツモ。3200オール。これで1人浮きは固いものになった。その後も7,700をアガって最後の半荘は62,400点の大きいトップとなった。

やはりオーラスで1人浮きが固い状態でも、横山は今がチャンスと手を緩めなかった。
成績表が見えなかったので状況がわからず横山が卓内トップだろうと思っていたが、トータルのプラスは勝間が+54.2Pでトップ。次いで横山の+44.9P。吉本と高谷の今期昇級の2人がマイナスだった。今後の巻き返しに期待したい。

2卓( 宮田・ 仁科・ 坂本・ 藤川)

2卓は前回大きいプラスを叩いた宮田が伸ばせたか。それとも3人が阻むか。今節一番の注目卓です。
結果は仁科が大きいトップの+54.0。宮田は▲36.9Pと前回のプラスを吐き出してしまった。
前回太閤戦まで残っている坂本と藤川の実力者の次節からの動向に要注意だ。

3卓( 佐々木・ 辻本・ 米川・稲岡)
3卓は結果的には辻本が+42.9、米川+15.0、稲岡▲20.1P、佐々木▲37.8Pとなり調子が良かった辻本が卓内トップとなった。
佐々木は前回終了時点で3位につけていたが残念な結果となった。
内容のご紹介は結果としてはアガレなかったが、とても考え迷った場面をご紹介します。

2回戦 南2局1本場 南家 31,400点

一万一万一万二万三万三万四万五万六万四索四筒五筒六筒  ドラ三索

そして10巡目にツモ四万。三色を狙っていたがツモは四万五索が一番欲しい入り目で次に三索六索二万七万の場合でも四索を切ってリーチと決めていたが、四万となると待ちは二万五万三万六万。4面待ちだが自分でも5枚所持し場にも数枚出ていたので手ごたえがなかった。しかし次の親番の為にも、ここはアガって次に繋げたいと考え、四索を切りリーチ。しかし1巡目で対面の稲岡が四万を切ってきた。もちろん安牌と感じる河ではないし勝負にきていた。そして辻本のリーチ宣言牌四索を切った佐々木から稲岡がアガる。
その半荘は結局稲岡がトップを取った。
ギリギリの勝負が出来るものがトップを取れる。自分を信じて突き進むものが強い。そういう強い気持ちが必要だと感じた。もしあの時考えずにすぐにリーチをしていれば、稲岡は四万を切らずにまわしたかもしれない。テンパイを取らずにシーズを待てばアガれたかもしれない。色々考えさせられる局面でした。

まだ始まったばかり。これからますます熱くなる対局をレポートしていきたいと思います。

 

Bリーグ第1節:山室太二

今回第2節となりました関西プロリーグ、1節目の浮き沈みを経てプレイヤー各々指標が見え、テーマを持って臨む者も多いでしょう。
今日の私の対戦相手はベテランの上村、局参加率が高い丸山、慎重派の筒井です。前述の通りポイントの浮き沈みを加味し、プレイヤーの攻め気を計って行きたいところでしたが、なんとこの卓全員マイナススタートで完全な手探り状態となってしまいました。
対戦内容は、上村が安定感のあるアガリを見せ、丸山がかわし手を良く決め、この2者が浮きでした。

三万四万四万五万六万六万七万五索六索三筒三筒六筒白白  ドラ一筒

上記の手はやや浮きの南場親2巡目の山室の牌姿ですが、ここから白のトイツ落としを行い、次巡、やや不要気味な八索を引き入れ(先に七索を引いたケース以外六筒を切らない為)他プレイヤーへの威嚇目的で白を河に並べます。
今になって思えば早いタンピン系統で威嚇すると、同時にドラ一筒を1枚も持っていないことを宣言しているようなものですね。
と言う訳で、

一万二万三万一筒二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒

先制リーチには成功しましたが、上記の丸山の手に追いかけリーチされ、すぐさま一筒を掴んで放銃。1節目にも同じような手順を踏んでドラ待ちに放銃しているので今後の反省点にしていきたいと思います。

 

C2リーグ前期第1節:山本裕之

第17期関西プロリーグは第2節を迎えました。
第1節では、大きく前進した方とあまり成績がふるわなかった方とで大きく分かれる形となりました。
しかし、第2節では成績下位の方々がその遅れを取り戻す場面が目立ちました。

2卓
第1節終了時で13位の吉田は、3回戦の東4局で四暗刻をツモ、16,000オールの強烈なアガリを決めました。

3卓
第1節終了時では大きく遅れをとった伊原は3回戦 東4局の場面で、

三索三索三索四索六索七索八索  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン東東東  ドラ三索

上記の手で二索をツモ、2,000、3,900を加点すると、さらに南2局では

三万四万五万五万七万北北中中中  明カン南南南南  ドラ七筒

上記の手で六万をツモって、4,000オールを加点しました。
結果、この対局で大きな勝利を収めました。

第2節では順位が大きく変動したことにより、
次の第3節での結果が今後の運命を左右することになるでしょう。