第16期プロクイーンベスト16C卓レポート 

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1回戦(起家から武石、大平、水口、宮内)

大平のリーチ・ツモ・ドラ・裏の2,000・4,000からスタート。

 

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東2局、水口ドラの八索タンキリーチに追いかけリーチは親番の大平。

 

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大平がラス牌のドラを掴んでしまう。裏ドラが乗り8,000。

 

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東4局宮内親番、武石も

 

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この2,000・4,000で2着目に浮上。

 

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オーラス3着目の大平の1人テンパイで武石を逆転して2着へ。

1回戦終了時
水口+24.6P 大平+4.7P 武石▲6.9P 宮内▲22.4P

 

2回戦(起家から宮内、大平、水口、武石)

1回戦トップ目の水口。2回戦目も跳満のアガリでポイントを一気にリード。

 

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大平も跳満手で追いかけていただけに、水口とのリーチ合戦では今日は分が悪いか。
そしてもうひとりの不調者が一昨年のプロクイーン宮内こずえ。
1回戦4着で後がない中このリーチ。

 

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すると親の武石が追いかけリーチ!

 

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リーチ・タンヤオ・ピンフ・裏1の12,000。四万はラス牌でドラの九索はまだ山にあった。
そしてここからは武石のラッシュ。6本場まで積み、持ち点は63,800点。
南入し、後のない宮内こずえの親番。
7巡目に水口からリーチが入る。ドラが暗刻で宮内にテンパイが入るも待ちは4枚切れで、手牌に2枚。

 

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さすが宮内こずえといったところか、この薄い待ちを一発でツモアガり6,000オール。

 

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このあと3,900をアガリ、南3局に僅差の武石から直撃してまさかのトップになった。

2回戦結果
宮内+27.1P 武石+16.0P 水口▲4.7P 大平▲38.4P

2回戦終了時
水口+19.9P 武石+9.1P 宮内+4.7P 大平▲33.7P

 

3回戦(起家から大平、宮内、武石、水口)

3者競りで始まった3回戦。
大平もここでトップを取れば一気に横並びになる展開。逆に言えば、ここで3着以下だとかなり敗退が濃厚となる。
そんな3回戦もかなり重い展開で局が進んでいく。
南2局までほぼ平たい得点状況の中水口が大物手を決めた。

 

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リーチ・一発・ツモ・中・ドラ・裏3の4,000・8,000。親は宮内こずえ。水口の倍満で一つ椅子は埋まったか。

そして運命の局へと進む。
3回戦南3局、大平20,900、宮内23,900、武石25,200、水口50,700
トータルポイント含めると、

大平▲67.8P 宮内▲7.1P 武石+9.3P 水口+55.6P

 

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大平の見事な一万残しで高め一通になりリーチ。これを跳満などにすれば充分に最終戦に可能性を残す状況。すると、宮内もテンパイ。
さらに親の武石もリーチ者の現物待ちでテンパイ。

 

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宮内はこの捨牌でテンパイが入っている。(武石の上家)
そして次巡その手が開かれた。

 

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ライバルの親での8,000・16,000の国士無双。
手が震えながらの成就となった。

3回戦結果
水口+38.7P 宮内+26.2P 大平▲25.1P 武石▲40.8P

3回戦終了時
水口+58.6P 宮内+30.9P 武石▲31.7P 大平▲58.8P

最終戦、大平は意地でトップを取るも万事休す。

最終戦結果
大平+22.4P 宮内+11.4P 水口▲9.2P 武石▲25.6P

最終戦終了時
水口+49.4P 宮内+42.3P 大平▲36.4P 武石▲57.3P

勝ち上がり
1位通過 水口美香(日本プロ麻雀協会)
2位通過 宮内こずえ(日本プロ麻雀連盟)

第35期十段戦決勝 初日観戦記 前田直哉

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藤崎智(現十段位)13期生
第16、33、34期十段位
第30期鳳凰位、他多数

 
 

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沢崎誠(九段)3期生
第13期十段位
第16、27期マスターズ、他多数

 
 

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内川幸太郎(五段)22期生
鳳凰位戦A1リーグ

 
 

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黒沢咲(五段)21期生
第6、7期プロクイーン

 
 

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佐々木亮(五段)15期生
関西本部所属

 

十段戦初日は生憎の雨だった。決戦が行われる夏目坂スタジオの隣にある神社では、雨の中、朝からお祭りの準備と祭囃子が響いていた。まるでこれから始まる熱い戦いの舞台の音響効果のようにも聞こえた。
選手たちの顔ぶれが見える。皆どこか落ち着いて見えるが、きっと内に秘めたる思いがそれぞれあるに違いない。
何よりも今日ここに現十段位の藤崎の顔があるのが本当に嬉しく思えた。体調を崩し日程も3日間から2日間に変更されたが、藤崎を超えてこその十段位でありたいという気持ちに違いないのだ。
そして12時丁度に幕は切って落とされた。

 

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1回戦(親から佐々木・藤崎・黒沢・黒沢)抜け番 沢崎

まずは大事な開局だが、親の佐々木がベスト8までの手組みとはちょっと違うように感じる。その佐々木が12巡目に仕掛けを入れる。かなり強引にも思えたが、河がホンイツっぽいだけに相手に対応させる為の仕掛けなのだろう。明らかにこれまでの戦い方とは変えてきている。だが、この仕掛けでテンパイを入れた内川がリーチ。

一万三万二索二索五索五索五索一筒二筒三筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ一万

まずは今日の調子の見極めをしつつ、主導権を握りたいといったところだろう。そしてこれを次巡あっさりとツモ。内川にとっては最高の立ち上がりとなった。
そして東2局早速ぶつかる。まずは佐々木が先制リーチ。

一万一万一万五万六万七万二筒二筒六筒七筒八筒北北  リーチ  ドラ一索

二筒もかなり出やすく北家なのでここは当然のリーチだろう。だがここで内川に超大物手が入り追いかけリーチ!

二索三索四索五索六索七索八索九索西西中中中  リーチ

高目なら出アガリでも倍満である。これをものに出来れば一気にスタートダッシュが決められるところだ。佐々木の待ちは山に3枚、内川は5枚。だが先に山に眠っていたのは北だった。これを佐々木がツモリ、1,300・2,600のアガリとなった。
東3局、今度は現十段位の藤崎の番だ。9巡目に七索を引き入れてリーチとした。

二万三万一索二索三索七索八索九索七筒八筒九筒中中  リーチ  ドラ西

これに佐々木も対応しつつテンパイをいれる。

一万二万三万四万四万七索八索九索七筒八筒九筒中中 

中は無いのでアガリは難しそうだが、数巡後に三万を持ってくる。自分で二万を切っているのと藤崎の筋でツモ切りするかと思ったが、ここでフリテンに構えて一万を切り出しこれが藤崎に捕まってしまう。やめる選択もあっただけに痛い放銃となってしまった。この藤崎の5,200以降は小場で進み、迎えた南2局親の藤崎からリーチが入る。

六万八万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒中中  リーチ  ドラ一万

この藤崎の捨て牌が北西五万 上向き九万 上向き四万 上向きである。五万の後九万が手出しとはいえ、この待ちは強いだろうと思っていたがその七万が次々と吸収されていく。そして最後の七万を引き入れリーチと来たのが佐々木だった。

一万一万四万五万六万七万八万九万三索四索五索三筒四筒  リーチ

こちらも勝負手だ!これを佐々木があっさりとツモリ2,000・4,000のアガリとなった。そして佐々木の次局の配牌がこうだ!

一万二万三万二索三索四索七索八索九索三筒四筒四筒五筒八筒  ドラ一万

少し迷いつつも四筒を切って八筒単騎のダブリーとした。先程のアガリでトップ目になった為、ここはリーチせずにゆったりと良い待ちを探したほうが得策なのでは?と思ったがここは勢いを感じてかリーチを選択した。結局この手は成就することなく終わった。
そして迎えたオーラス、トップ目の内川が北を鳴いて終わらせにくる。

三万八万二索四索四索五索九索二筒四筒九筒九筒  ポン北北北  ドラ八索

かなり遠い仕掛けだ。危険な感じもするが藤崎、黒沢を沈めたまま終わらせたいという意思を感じた。だがこの鳴きで藤崎の手がみるみるうちに育っていき、最初にテンパイを入れる。

三万四万五万二索二索三索三索六索六索七索七索八索八索 

この待ちはかなり厳しいと思っていたが、ここから三万を持ってくるとマンズの場況がかなり良く見え、四万を切って七対子の五万待ちとした。そして佐々木もようやくテンパイを入れる。

一索二索三索七索八索三筒四筒五筒五筒六筒七筒七筒七筒 

更に遠い仕掛けから内川も3つ鳴いてようやくテンパイする。

四索五索九筒九筒  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  チー四万 左向き二万 上向き三万 上向き  ポン北北北 

これで3人テンパイ!そして決着はついた。手牌を開けたのは藤崎であった。五万を掴んだのはトップ目の内川で痛恨の放銃となってしまった。これで藤崎がトップで初戦を制したのだった。

1回戦成績 
藤崎+14.7P 佐々木+8.8P 内川▲9.3P 黒沢▲14.2P

 

 

2回戦(親から内川、黒沢・藤崎・沢崎)抜け番 佐々木

1回戦いきなりトップでスタートを切った藤崎が2回戦も好調だ。まず東1局にこの形になってリーチ。

二万三万七万八万九万二索三索四索五索五索六索七索八索  リーチ  ドラ四索

そして2巡後に一万をツモって1,300・2,600とご機嫌モードだ。更に東2局にもテンパイを入れ今度はヤミテンとする。

二万二万二万三万三万三索三索三索四索五索四筒五筒六筒  ドラ四筒

もう少し早ければリーチとしたかもしれないが、終盤にこれもツモって最高の展開で局面を進めていく。そして迎えた東3局の親番でも先制リーチを入れ畳み掛けていく。

三万四万六万六万五索六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ一索

これにすぐ追いついた沢崎も追いかけリーチといく!

五万七万九万九万九万四索四索五索六索七索五筒六筒七筒  リーチ

沢崎にとってはこれが初戦となる為、自分の調子も計りたいところだろう。だが2人よりも先にテンパイしていたのは黒沢だ。

一万二万三万五万五万六万六万七万七万五索五索四筒六筒 

リャンメンになればリーチと行きたいところだが、2件リーチに対してどこまで押せるか。この段階で既に藤崎の待ちも沢崎の待ちも山には無く唯一黒沢の五筒が1枚あるだけだった。
黒沢も頑張って押すがドラの一索を持ってきてさすがに迂回し、二索を持ってきて再びテンパイ。だが次巡持って来たのが再び二索。さすがにギブアップ…だが2人の共通安全牌が1枚も無いのだ。悩んだ末に選んだのは沢崎の現物である二万だった。これが藤崎への5,800の放銃となり、これはしばらく苦しむことになるだろうと感じた。そして次局の藤崎の手もかなりまとまっていたが沢崎にも得意の仕掛けの手が入る。白中と仕掛けて早くもテンパイ。

五索六索七索二筒三筒北北  ポン中中中  ポン白白白  ドラ二筒

そして親の藤崎も追いつきテンパイ。

四索五索一筒二筒二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ三索  

一筒を切ればピンフドラドラのテンパイだが一筒は沢崎のロン牌だ。さすがに放銃かと思っていたが、なんとノータイムで現物の五筒を切ったのだ!さすがとしか言いようがない。だが内川が三色の1シャンテンから一筒を打ち出し沢崎のアガリとなった。ずいぶんあっさりと切った内川が少し心配になった。この場面を後に聞いてみると、あれはラフに打ちすぎたと言っていた。まだテンパイの可能性が50%くらいにしか思っていなかったとのことだった。だがその内川も次局にリーチとし、沢崎から5,200を討ち取る。

二万二万二万六万七万七索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ロン八万  ドラ六万

唯一ここまでアガリの無い黒沢。なんとか1回アガリを拾いたいところだろう。そして南1局の親番で仕掛けていく。

九万一筒二筒五筒六筒七筒南発中中  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ドラ南

黒沢の構想には安くてもいいからという発想は無いようだ。だがそれが黒沢の長所でもある。この仕掛けは厳しいようにも思えたが終盤にテンパイを果たす。

四筒五筒五筒六筒六筒七筒南南中中  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き 

他3者は既に受けさせられていて、この南中も山には1枚ずついる!いきなりの大物手で初アガリがあるか?残りツモ3回であったが黒沢の元へアガリ牌が訪れることは無かった。しかし連荘はしたが次局は沢崎があっさりと流して黒沢にチャンスを与えない。ここまでは藤崎の1人浮きで盤石な展開のまま親番を迎える。そして仕掛けを入れてあっという間のテンパイ。

一万二万三万八万九万九万九万九万白白  ポン南南南  ドラ東

仕掛けた後のツモの伸びからしてもあっさりアガってしまいそうに思っていたが、ここで待ったをかけたのが黒沢だ。絶好の三索を引き入れリーチとした!

五万六万七万一索二索二索三索三索四索七索八索東東  リーチ

九索は既に3枚切れなのでさすがの黒沢もヤミテンにするかと思ったが、強気のヴィーナスにそんな選択は存在しなかった。そしてすぐに藤崎が持って来たのが六索であった。黒沢にとっても藤崎の逃げだけは許したくない他3者にとっても大きな7,700となった。
オーラスは沢崎が1,000オールをアガリ内川の1人沈みの状態となる。そして次局の1本場、まずは黒沢がテンパイを入れる。

三万四万六万七万八万三索四索五索三筒三筒七筒八筒九筒  ドラ三筒

3,900をアガればトップなのでここはさすがの黒沢もヤミテンに構える。そして藤崎が普段では絶対にしないであろう仕掛けを入れる。

四索五索六索七索八索九索三筒四筒四筒四筒西  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き 

七筒をチーして出来メンツの九索を切ってタンヤオへと渡ったのである。この仕掛けを入れる藤崎を見た記憶が無い。それだけこの状況に危機を感じていたのだろう。だが予想通り悪い結果を招くこととなった。沢崎にテンパイを入れさせてリーチが飛んでくる。

一万二万三万七万八万一索二索三索七索八索九索二筒二筒 

ドラも無いピンフリーチだが、かなり迷って仕掛けた藤崎を見てのリーチであろう。だが沢崎の捨て牌の五万を持ってくるとその牌に黒沢からロンの声がかかる。仕掛けてなくてもたぶん黒沢のツモアガリでトップは入れ替わっていたであろう。だがこの仕掛けからの放銃は今後の藤崎に暗雲立ち込めたように思えた。

2回戦成績 
黒沢+14.3P 藤崎+3.2P 沢崎+1.0P 内川▲18.5P

2回戦終了時
藤崎+17.9P 佐々木+8.8P 沢崎+1.0P 黒沢+0.1P 内川▲27.8P

 

 

3回戦(親から、内川・沢崎・黒沢・佐々木)抜け番 藤崎

ここまで1人沈みの内川だがこのままズルズルとはいきたくない。まずは親で高目三色をヤミテンとする。

三万四万五万五万五万二索三索四索二筒三筒四筒六筒六筒  ドラ一筒

そこへ黒沢もドラドラでリーチ。

六万七万八万二索二索四索五索五索六索六索七索一筒一筒  リーチ

これを受けて内川も追いかけリーチとした。だが、誰よりも早くテンパイを入れていたのは沢崎だった。

二万二万七万七万五筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒中中 

ここからドラの一筒を持ってきて真っ直ぐ六筒を打ち抜いた。これが安目ではあったが内川の3,900のアガリとなった。放銃となった沢崎だが東2局の親番でマンズが集まっていく。だが先にテンパイしたのは黒沢だ。

四万四万一索三索三索五索五索一筒一筒二筒二筒四筒四筒  ドラ五索

一索はいかにも良さそうな待ちに見える。だが次巡持って来た北に待ち替えをする。前巡に内川からの手出しが二索一索が無い可能性も考えてのことか?そして沢崎が持って来たのが一索だった。麻雀というのは良く出来たゲームだと思う。アガリ逃しをした後はピンチが待ち受けているのである。そしてついに沢崎にもテンパイが入りヤミテンとする。

一万二万三万六万六万六万七万八万九万北北中中 

そして次巡ツモ切りリーチとしたのだった!これを受けて黒沢が持って来たのが現物の五万。他家から現物の五万が打ち出される可能性を考えて北が押し出されて行ってしまったのだ。6,400アガリ逃しからの12,000放銃はあまりにも大きかった。
そして東3局も沢崎が得意の仕掛けから大物手を成就させる。

一万一万中中  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ポン六万 上向き六万 上向き六万 上向き  ポン北北北  ドラ七筒

佐々木と内川も丁寧に受けながらテンパイを入れていたがここも沢崎に軍配があがる。この3,000・6,000で持ち点を一気に5万点まで伸ばしていく。
東4局は親の佐々木がリーチから、すぐにツモリ2,600オール。

二万三万四万五万六万七万二索三索四索五筒六筒八筒八筒  ツモ七筒  ドラ東

これで佐々木も浮きにまわり、南1局にはこの形になりリーチとした。

七万八万九万九万九万一索二索三索七索八索九索中中  ドラ五万

中九万が1枚ずつ切れているだけにヤミテンにするかと思いきや、ここは強くリーチを宣言する。だがすぐに沢崎にもテンパイが入り、抱えていた中がジャストタイミングで8,000の放銃となってしまった。
黒沢の1人沈みとなって迎えたオーラス、その黒沢からリーチが入る。

一万一万六万六万二索二索七索七索一筒一筒三筒三筒九筒  リーチ  ドラ二索

捨て牌は八筒 上向き南二筒 上向きと絶好の九筒待ちに見える。既に何度目の七対子ドラドラのリーチだろう。今のところ全てアガリに結びついていないし、どこかで決まっていれば展開もずいぶん変わっていたに違いない。九筒は山に全ている!誰が放銃するのかに焦点が集まっていたが沢崎の手がどんどん伸びていく。そして9巡目に遂にテンパイが入る。

三筒四筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒七筒八筒九筒中中 

沢崎の三筒六筒もかなり薄かったが、これがここまでの流れというものだろうか…黒沢が三筒を掴み8,000の放銃で3回戦は沢崎のトップで終了した。

3回戦成績   
沢崎+28.1P 佐々木+14.8P 内川+4.8P 黒沢▲47.7P

3回戦終了時 
沢崎+29.1P 佐々木+23.6P 藤崎+17.9P 内川▲23.0P 黒沢▲47.6P

 

 

4回戦(親から沢崎、藤崎・黒沢・佐々木)抜け番 内川

東1局まずテンパイを入れたのは黒沢。

三索三索五索五索六索六索七索七索五筒六筒七筒八筒九筒  ドラ八筒

リーチをすれば7,700だがピンズが場に高くここはヤミテンにした。トータルでは出遅れているだけにリーチとしたいところだが、グッと堪えてヤミに構えたところがまだ冷静だなと感じた。だが3巡後にツモ切りリーチを選択する。これがどうでるか?だが親の沢崎も追いつきリーチとくる。

二万三万四万六万七万八万五索五索三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

今までの流れだと沢崎に分があるか?だが終盤黒沢の切った五万を佐々木が仕掛けてテンパイを取りに行く。何か起きそうだ、そう感じた。そう思った瞬間沢崎の手元にドラの八筒が舞い降りた。大きな4,000オール。
そして東2局にはまたしても沢崎がリーチ。

八万八万九万九万一索一索一索五筒六筒七筒中中中  リーチ  ドラ九筒

これをあっさりツモリ2,000・4,000。間違いなく好調を感じているはずだ。ここはどこまでもポイントを伸ばしていきたいところだろう。
東3局には佐々木がこの手をヤミテンにする。

一万二万三万四万四万五索五索五索七索七索八筒八筒八筒  ドラ七筒

この手は三万を引いてのタンヤオやイーペーコーを見てのヤミテンだろう。だが手替わりする前にこのまま四万をツモリ1,300.2,600のアガリとなった。
この半荘苦しい藤崎だったが南2局の親番を迎えてヤミテンから2,900、再びヤミテンから2,900をアガリ原点近くまで復帰していく。持ち点が少ないだけにリーチとしたいところだが、ここで我慢出来るのが藤崎の持ち味であろう。だが3本場またもや黒沢の七対子のリーチ!

二万二万七索七索一筒一筒九筒九筒東発発中中  リーチ  ドラ東

だが今回もアガリには結び付かずに流局。
そしてオーラス親の佐々木がリーチしてすぐにツモ。

二万三万四万七万八万一索二索三索七筒七筒八筒八筒八筒  リーチ  ツモ九万  ドラ八万

この2,000オールで2万点を超え、次は形式テンパイからの1人テンパイで黒沢をかわす。そして更に次局もリーチ。

一万二万三万七索八索九索四筒五筒五筒六筒六筒八筒八筒  リーチ  ドラ八万

藤崎、黒沢も粘ってテンパイを入れるがここも佐々木に軍配があがる。2着目まで浮上し、3本場では4巡目に早くもテンパイ。

七万八万九万四索四索二筒二筒四筒五筒六筒白白白  ドラ四索

そしてトップ目の沢崎から二筒が出て7,700のアガリとなったのだ。更に1,500をアガッて気付けばオーラスだけでラス目から一気にトップまで駆け上がっていた。だが6本場は沢崎が7,700を藤崎からアガリ、トップを取りかえして終了した。

4回戦成績  
沢崎+26.6P 佐々木+15.2P 黒沢▲16.9P 藤崎▲24.9P

4回戦終了時 
沢崎+55.7P 佐々木+38.8P 藤崎▲7.0P 内川▲23.0P 黒沢▲64.5P

 

 

5回戦(親から藤崎、沢崎・内川・佐々木)抜け番 黒沢

東3局親の内川がホンイツへと向かい仕掛けてテンパイ。

四索五索六索七索八索九索北中中中  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ドラ九万

この形から九索を持ってくるが九索が既に無い為、ここは北単騎を続行する。佐々木もピンフでテンパイをしていて六索をツモ切り。このアガリ逃しで内川ピンチかと思っていたがこの北が藤崎から出て7,700。このまま上と離されてはならないという気迫が画面越しでも伝わってくる。逆に心配なのが藤崎だ。この北は普段の藤崎なら止められる牌だと私は感じた。やはり病み上がりで感覚が完全には戻っていないのだろう。
ここまで好調の沢崎が南2局の親番で力強くリーチを宣言する。

五万六万七万七索八索九索四筒五筒南南南西西  リーチ  ドラ三筒

山にはドラの三筒のみ2枚いたが最後の三筒を手繰り寄せ、持ち点を5万点近くまで伸ばしていく。これ以上走らせてはマズイと誰もが思ったであろう。
1本場となりもう1人の好調者の佐々木も黙ってはいない。

一万二万三万六万七万八万一索二索三索四索四索一筒二筒  ドラ三万

5,200あるのでヤミテンにするのかと思いきや、親の沢崎が仕掛けていることもありここはリーチとした。そして3巡後にこれをツモリ、沢崎の親被りをさせて一歩も引かない構えだ。だが俺のことも忘れるなと言わんばかりに内川も割って入る。南3局の親番でなんとか連荘させ1本場ではホンイツの掛けを入れテンパイ。

二索四索四索五索六索七索九索  ツモ二索  チー九索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン南南南  ドラ八万

選択はあるがここは四索を切って八索待ちとする。この内川の仕掛けに対応しながら他3者もテンパイを入れる。だがここを制したのは内川だった。選択を間違えず八索をツモって大きな2,000オールをものにする。
そして藤崎の1人沈みで迎えたオーラス。最初にテンパイを入れたのは内川。

二万二万三万四万五万八万八万八万五筒五筒六筒七筒八筒  ドラ二万

これをツモればトップまである。だがそうはさせまいと親の佐々木も仕掛けてテンパイ。

二万三万四万三索三索四筒四筒四筒八筒八筒  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き 

しかし内川がまた選択を迫られる。ツモ四万でしばらく考える。

二万二万三万四万五万八万八万八万五筒五筒六筒七筒八筒  ツモ四万 

二万を切ってのリーチか、五万を切ってイーペーコーか、ツモ切りか…上家の沢崎がマンズ模様で四万を余らせている。親の佐々木もおおよそテンパイだろう。その観点からか四万ツモ切りを選択した。だが次巡持って来たのが三万だった!これはあまりに痛い。そして沢崎にもメンホンのテンパイが入る。

一万一万二万五万五万七万七万南南西西北北 

全く行方がわからなくなった。そして終盤に決着はついた。手牌を開けたのは内川だった。五筒をツモリ、この2,000.3,900で沢崎を躱してトップで5回戦を終了した。

5回戦成績  
内川+21.7P 沢崎+15.5P 佐々木+1.2P 藤崎▲38.4P

5回戦終了時  
沢崎+71.2P 佐々木+40.0P 内川▲1.3P 藤崎▲45.4P 黒沢▲64.5P

 

 

6回戦(親から藤崎、沢崎・黒沢・内川)抜け番 佐々木

東2局ここまで好調の沢崎の親番、なんとか連荘に成功しての1本場。4巡目に早くもリーチ!

四万五万六万一索一索二筒四筒六筒六筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ一索

ドラドラの大物手でこの時点で山に4枚いる。他3者もアガらせまいと攻め込むがテンパイすることもないうちにこの三筒をツモって4,000オール。今日はこのまま突っ走ってしまうのだろうか?だがここで待ったをかけたのが黒沢だった。次局、白中と仕掛けて6巡目にホンイツのテンパイを入れ、これをツモって沢崎に親被りをさせる。

三万五万八万八万八万九万九万  ポン白白白  ポン中中中  ツモ四万  ドラ九筒

東3局はまずは藤崎がテンパイ。

一索二索三索一筒二筒二筒二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  ドラ東

一筒ではアガレないがヤミテンと構える。だがまたしても沢崎がドラ暗刻のテンパイを入れる。

二万三万四万六索七索八索九索九索三筒四筒東東東 

これをアガるようだと本当に1日で100ポイントまで伸ばしてしまいそうだ。だがここは藤崎が三筒をツモってことなきを得る。
だが東4局また本手がぶつかることとなる。最初にテンパイしたのは黒沢。

六万七万八万一索二索三索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  ドラ五万

九万が来ればジュンチャンの勝負手になる。
そこへマンズのホンイツの沢崎も追いつく。

四万四万五万五万七万八万九万  ポン発発発  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き 

この仕掛けに対応して黒沢は中単騎に受け変え、その後チャンタになる九万を持ってくるがさすがに六万が切れずに九万を切って粘る。そこへ何度もテンパイを外していた内川にもようやく納得のいくテンパイが入り気合のリーチ!

一万一万五万六万二索三索四索五索六索七索五筒六筒七筒  リーチ

高目ツモなら6,000オールまである。沢崎のツモにも力が入る。残り2巡、この勝負の行方を制したのは黒沢だった。中をツモリ300・500だが2人の勝負手を躱してのアガリとなった。
南1局には親の藤崎だ!

二万三万四万五万五万六万六万七万七万西西白白  ドラ三筒

このテンパイに飛び込んだのは内川だった。この12,000で藤崎が浮きにまわる。ここから反撃を期待したが次局は藤崎の1人ノーテンで流局してしまう。ここまで盤石な戦いをしてきた沢崎だったが、南2局の親番で4巡目にこの仕掛けを入れる。

二万二万五索五索五索六索六索三筒四筒五筒  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き  ドラ三索

11,600まで見えるこの手を迷うことなく仕掛けていく。しばらくアガリから遠ざかっているのでここは1回アガリを取りに行ったのだろうか?だがこの仕掛けが内川にテンパイを入れさせ、そして沢崎の放銃となってしまうのだった。

一万二万三万五万六万七万二索三索四索七索八索二筒二筒  ロン九索 

南3局には親の黒沢が3,900オールで一気に突き抜ける。

二索三索四索五索六索七索四筒五筒六筒西西中中  ツモ中  ドラ四筒

更なる連荘を狙うが今度は内川が黒沢から8,000。

七万九万七索八索九索三筒三筒中中中  ポン南南南  ドラ八索

南場はかなりの乱打戦になったが、最後は藤崎が浮きになるアガリで初日の戦いは終えたのだった。

6回戦成績  
黒沢+17.2P 藤崎+4.4P 沢崎▲6.2P 内川▲15.4P

6回戦終了時 
沢崎+65.0P 佐々木+40.0P 内川▲16.7P 藤崎▲41.0P 黒沢▲47.3P

対局後に沢崎に聞いてみたが、やはり最終戦だけは少し気持ちが浮ついたように思うと語っていた。
佐々木はとにかく上位2人に残るのをイメージして戦いに臨んだとのことだった。ただ黒沢の長距離砲だけは注意していた。
内川は藤崎、沢崎を徹底マークして戦ったと言っていた。だが初戦のオーラスに痛恨の判断ミスをしてしまい、そこから初日をトータル0ポイントくらいで終われるようにシフトチェンジせざるを得なくなったとのことだった。
黒沢はとにかく自分のスタイルを崩さず戦おうとだけ考えていたとのことだった。終盤にやっと黒沢らしさも見えただけに最終日の巻き返しが期待できそうだ。
そして現十段位の藤崎は特に作戦などは無く、とにかく決勝の舞台に間に合ったことが何よりとのことだった。正直言って体調は万全でないことは見ていてもわかるし、麻雀の感覚はそう簡単に戻るものではない。だがこのまま終わる人では無いと誰もが知っているし皆が期待しているところだろう。

1週間後には十段位が決定する。最終日にどんなドラマが待っているのか期待せずにはいられない。

ロン2カップ2018summerレポート 菅原 千瑛

麻雀ファンの皆様こんにちは、菅原千瑛です。
先日行われたロン2カップ2018summerに出場させて頂き、そのレポートも担当させて頂くことになりました。短い文章ではありませんが、ぜひ最後までご一読いただけたら幸いです。

 

【ロン2カップとは?】


日本プロ麻雀連盟公認のインターネット麻雀サイト「ロン2」がプロデュースする麻雀対局番組。今大会はプロ雀士だけではなく、ロン2の一般ユーザーさんもロン2内で行われる予選大会を勝ち抜くことで大会に参加することが出来ます。
ユーザー代表3名とプロ雀士9名の計12名が、A卓、B卓、C卓の3卓に分かれ、戦います。
それぞれの卓のトップの方は無条件で決勝戦に進出となります。
2着の方は決勝進出をかけた敗者復活戦に進出。そして敗者復活戦でトップを取ると決勝卓に進むことが出来ます。
この敗者復活戦のもう1枠は、各卓の3着の方の中から、FRESH LIVE、ニコニコ生放送での視聴者投票を行い、最も得票数の多かった方が敗者復活戦に進むことになります。
トップでなくとも、2着3着であれば決勝進出の可能性が残ります。ただし予選で4着になってしまった場合は敗退となってしまいます。ということで、4着だけは避けたいところ。
そして今回のロン2カップ2018summerは、ロン2東南リーチバトルルール(赤3枚入り、一発裏ドラあり)にトビ終了なしを加えたルールで行われました。

MCは蒼井ゆりかプロ。メイン解説に前田直哉プロ。さらにプレイヤーズ解説として選手の1人が解説に加わります。

ロン2カップではお馴染み(?)のロボットによる(?)今回は英語のルール説明(?)という書いているこちらも謎の映像が流れ、各選手へのインタビューがあり、いざ、対局開始…

…と、ここで、まさかの。

明らかに別の種類の赤牌を入れてしまうという珍しいトラブル勃発。

放送では急遽謎のCMが延々と流れる事態に。

対局者は牌を交換し、全員で牌山を確認。

気を取り直して、対局開始です!

 

 

【予選A卓〜ユパ様と3人の女流〜】

 

100

魚谷侑未

100

仲田加南

100

菅原千瑛

100

風の谷のユパさん

 

魚谷侑未プロ、仲田加南プロは説明不要であろうかとは思いますが、女流桜花等、獲得タイトル多数のお2人。

ユーザー代表の風の谷のユパさんは対局前のインタビューで「少し緊張しています」とのこと。

さぁ、どんな対局となるのでしょうか。ドキドキ。

起家から、魚谷侑未プロ、仲田加南プロ、そして私菅原千瑛、風の谷のユパさん。

東1局、南家の仲田が積極的に仕掛けて先制テンパイ。

五万六万五索赤五索五索六索六索六索七索八索  ポン南南南  ドラ二万

私もピンフで追いつき、ドラ切りリーチの選択。

二万四万五万六索七索八索一筒一筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒

その宣言牌のドラを魚谷がポン。

実は一発でツモアガリしていた三万を喰い取られ、テンパイした魚谷から打ち出された三万でリーチピンフ2,000の出アガリに。

東2局、放銃した魚谷からダブルリーチが入る。そして4巡目親の仲田から追っかけリーチ。

(流石だわこの人達、怖すぎ)

と菅原が思ったとか思わなかったとか…。

決着は6巡目。魚谷がダブリーツモタンヤオドラ1の2,000・4,000のアガリ。

東3局、菅原の親番。ドラ四筒
第一打に選んだ中を仲田がポン。続けて二万ポン。捨て牌はホンイツ模様。

一方ドラの四筒がトイツで赤五筒もある勝負手の私。押し返したいところ。

仲田にドラも打たれ、さらに九万のポン。ポンして、加カンも出来た筈の牌である中が手の内から出てくる。

これは200%テンパイだ!(心の中の声)

それを受けてこの形。

四万四万四万六万四索六索三筒四筒四筒赤五筒北北北  ツモ六万

勝負に踏み切り、ドラを切ってリーチといく。
仲田の待ちはカン七万。私の待ちはカン五索
めくり合いの結果は仲田が4枚目の五索を掴み、9,600の出アガリに。

東3局1本場。ドラ七索
ユパさんが手役狙いの華麗な打ち筋を見せ、テンパイ。

七万八万九万三索四索赤五索八索九索七筒八筒九筒西西

巡目は深い。
しかし待望の三色のテンパイ。
リーチかとも思われたが、ここはヤミテンを選択。

これが功を奏し、魚谷から8,000の出アガリ。

冷静な判断で大きなアガリをものにしたユパさん。解説の前田プロ、佐々木プロ(自称歩く手役派?の方々)を唸らせる手役狙いが決まります。

南3局、ドラ三索
各者の持ち点は、魚谷21,700 仲田13,900 菅原49,600 ユパさん34,800

まずは魚谷がカン三万をチーしてテンパイ。

赤五万七万二索三索四索八索八索八索四筒四筒  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き

続いて菅原がカン六筒をチーしてテンパイ。

三万五万六万七万八万二索三索四索四筒四筒  チー六筒 左向き五筒 上向き七筒 上向き

さらに仲田が一索をひいてリーチといく。

五万六万七万一索二索五索五索五索六索七索五筒六筒七筒  リーチ

そしてユパさんも追いつく。

三索一筒一筒二筒二筒三筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒八筒

点数もあるので無理はしないで危険な牌はやめようと思っていたところ、ひょっこりの四万でツモアガリ。

他3者の勝負手をかわしての1,000オール。

点数こそ大したことはないものの、このアガリをものに出来たことが大きく響き、そのままトップで終了。決勝進出となりました!

トップ菅原千瑛、2着風の谷のユパさん、3着魚谷侑未プロ

 

 

【予選B卓〜マムシとスズメと葵と私〜】

 

100

沢崎誠

100

石川遼

100

静岡葵倶楽部さん

100

mayummyさん

 

連日連投連勝(放送された前日もWRCのベスト8で勝ち上がりを決めている)の現マスターズであり、A1リーガーの沢崎誠プロと、今年の4月から日本プロ麻雀連盟の一員となった4代目天鳳位、すずめクレイジーこと石川遼プロ。

静岡葵倶楽部さんは以前にもロン2カップに出場経験のある実力派!
「前回3位だったのでそれ以上の成績を目指して頑張ります」

mayummyさんは紅一点!女性のユーザー代表!
「プロと打つので緊張しています。(普段の麻雀は)手役が好きです」

そんなユーザー代表の2人vs麻雀プロ2人の対局。きっと見所だらけのことでしょう!
いざ、対局です!

起家からmayummyさん、沢崎誠プロ、石川遼プロ、静岡葵倶楽部さん。

東1局、続く1本場はユーザー代表のmayummyさん、静岡葵倶楽部さんが積極的にアガリに向かい、それぞれ加点に成功。

東2局、静岡葵倶楽部さんに大物手のテンパイが入ります。

二筒二筒三筒三筒赤五筒六筒六筒九筒九筒北北発発

それに対し親番の沢崎も勝負手のテンパイ。リーチといく。

三万四万赤五万四索五索七索八索九索三筒四筒五筒五筒五筒

静岡葵倶楽部さんもリーチの一発目にドラの七筒を勝負していくも…

軍配は沢崎。静岡葵倶楽部さんの掴んだ六索で5,800のアガリ。

仮に、七筒に待ち変えをしていたら沢崎からのロンアガリとなっており、さらに開かれた手牌に見える五筒の暗刻。

気持ち的にも点数的にもここから立て直したいところ。

しかし相手はマムシ沢崎。当然手を緩めません。

東2局1本場、沢崎の連荘。

仕掛け出しの沢崎の手牌はこちら。

一万二万七万九万九万七索八索東発発  ポン白白白

ここから九万もポンして1度はこのテンパイ。

一万二万三万七索八索発発  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ポン白白白

しかし九索はフリテン。九索が切られていくやいなや六万をひいて打七索のテンパイ外し。四万七万も切っているがホンイツに戻る選択。そしてツモ二万で打八索。打ち出された二万をポンしてカン二万で再びテンパイ!

そうしてすぐにドラ九筒暗刻で1シャンテンだった静岡葵倶楽部さんが二万を掴んでしまい、討ち取りとなる。

一万三万発発  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ポン白白白  ロン二万

流石、沢崎誠。す、凄すぎる。

まだまだ!負けていられないユーザー代表!

東3局3本場、静岡葵倶楽部さんが石川から8,000は8,900のロンアガリを決める。

七万八万二索二索七索八索九索二筒二筒三筒三筒四筒四筒  リーチ  ロン九万  ドラ四万  裏七索

ユーザー代表と麻雀プロの意地のぶつかり合いは続きます。

南3局、親の石川もリーチで攻め、

一万一万一万一索三索八索八索四筒赤五筒六筒七筒八筒九筒  ロン二索

これを一発でmayummyさんから討ち取り。

1本場、「やられたらやり返す、倍返しだ!」と言わんばかりに今度はmayummyさんが…

三万赤五万七万八万九万二索三索三索四索四索赤五索二筒二筒  リーチ  ツモ四万  ドラ東  裏二筒

リーチツモ赤赤裏裏のアガリ!

最後はmayummyさんが2着になるアガリを決め、終始安定していた沢崎がトップを守りきる形となりました。

トップ沢崎誠プロ、2着mayummyさん、3着静岡葵倶楽部さん

 

 

【予選C卓〜日本プロ麻雀連盟、男の戦い〜】

 

100

森山茂和

100

瀬戸熊直樹

100

佐々木寿人

100

杉浦勘介

 

こちらは以下をご覧の通り日本プロ麻雀連盟の男子プロ4名での戦い。

麻雀攻めダルマvs本当は怖い!?三河のメガネ男子雀士vs手役アーティストvs卓上の暴君

この”ほん怖メガネ男子”のキャッチフレーズは恐らく黒○真生プロが直前に閃いてつけたに違いないと確信しています。

何故なら私の”清純派黒魔術師”というキャッチもこの方の気まぐれと閃きによるものだったから…。笑

そんなことはさておき。
さぁ、熱い戦いが火蓋を切って落とされます!

起家から、佐々木寿人プロ、杉浦勘介プロ、森山茂和プロ、瀬戸熊直樹プロ。

序盤はじりじりとしたせめぎ合いが続きます。

大きな点棒の移動がないまま迎えた、東4局2本場。ドラ三筒

七索を暗カンした親番の瀬戸熊がこのテンパイ。当然リーチ。新ドラ発

八万八万二筒三筒四筒赤五筒六筒七筒七筒七筒  リーチ  暗カン牌の背七索 上向き七索 上向き牌の背

ここに北を重ねて追いついた佐々木の追っかけリーチ。

一万一万三万三万五万五万三筒八筒八筒九筒九筒北北  リーチ

勝負を制したのは佐々木。
裏は乗らずとも見事ドラの三筒をツモアガリ、3,000・6,000は3,200・6,200を決めて一歩抜け出した形に。

そして南2局、ドラ八万
瀬戸熊からリーチが入り、

四万四万八万八万一筒一筒六筒六筒九筒九筒東東中  リーチ

親番の杉浦の手に浮いていた場に1枚切れの中。これが一発で12,000の放銃となる。

きっと杉浦も『中で12,000とか卓上の暴君の方がよっぽど怖いわー!ほん怖ー!』と思ったことでしょう。(※あくまで想像です。事実とは異なる可能性大ですが悪しからず)

南3局、ここまで静観していた森山だが最後の親番を迎え、当然黙っていない。

7巡目のリーチをツモアガリ。2,000オール。

五万六万七万一索一索七索八索九索七筒八筒東東東  リーチ  ツモ六筒

1本場、ドラ六筒。仕掛けてもツモアガリ。4,000は4,100オール。

赤五万六万七万五索六索八索八索六筒六筒六筒  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ツモ四索

このアガリで森山はトップ目になるも、2本場は2着目で競っている佐々木からの15巡目リーチ。

三万四万赤五万六万六万二索二索三索四索五索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ二索

これをハイテイでツモアガリ、2,000・4,000は2,200・4,200で佐々木が再逆転を果たします。

そして最後まで攻めの姿勢を崩すことなく勝負に行った佐々木が自分の手でオーラスもアガリきり、トップを飾りました。

トップ佐々木寿人プロ、2着森山茂和プロ、3着瀬戸熊直樹プロ

視聴者投票では予選A、B、C卓の3着の中から、瀬戸熊直樹プロが敗者復活戦に駒を進める結果となりました。

 

 

【敗者復活戦〜シャークを投票で打ち破ったクマ、復活なるか!?〜】

 

起家から、風の谷のユパさん、mayummyさん、瀬戸熊直樹プロ、森山茂和プロ。

東1局は瀬戸熊の赤赤が決まる。

三万三万赤五索六索七索三筒三筒四筒四筒赤五筒  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ロン五筒

タンヤオ赤赤の3,900をユパさんからアガる。

東2局はそのユパさんが赤赤のリーチ。

一万二万五万赤五万五万六万七万八万五索六索七索赤五筒五筒  リーチ

負けじと瀬戸熊もリーチで追いかけるも、両者の後スジとなった三万を森山から捉え、ユパさんのアガリ。

東3局、「予選よりもトップを取るために積極的に攻めたい」と話していたユパさんがリーチをツモり、連続でアガリを決める。

二万三万四万赤五万六万七万六索六索三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ五筒

東4局、予選同様、親番を迎えた森山が黙っている筈もない。

二万三万四万五万六万七万二索二索三索四索五索五索六索  ツモ四索

リーチツモタンヤオピンフの2,600オールのツモアガリ。

勝負はまだまだこれからだと言わんばかりのアガリをみせます。

そして1本場、流局となるもこのリーチで1人テンパイ。

三万四万三索四索五索七索八索九索三筒四筒五筒発発

続く2本場、まずは瀬戸熊の先制リーチ。

五万六万七万八万八万九万九万九万一索二索三索四筒赤五筒

続いてmayummyさんが追っかけリーチ。

赤五万六万七万四索赤五索六索六索七索八索三筒三筒四筒五筒  リーチ

さらには森山が2人の欲しい六筒を暗刻にしてテンパイを入れて粘り、3人テンパイで流局。

3本場、ドラ四万
森山のリーチはドラドラの

四万四万六万七万八万二索三索六索七索八索九索九索九索

追いついた瀬戸熊、

六万六万七万二索二索三索三索四索四索一筒一筒七筒七筒

ここに七筒をひいて、六万切りリーチの選択に踏み切ります。

瀬戸熊のリーチの一発目、無情にも、森山の河に放たれたのは七万
そしてすぐ四索を森山が力強くツモアガリ。4,000は4,300オール。

“麻雀とは良く出来たゲームである”とは、まさしくこういうことを指すのでしょう。
誰かがアガリを逃せば他の誰かにチャンスが行く。そう、これが麻雀。

しかしあながち瀬戸熊の選択は間違いとも言い切れず、それより何より前局の粘りで連荘を繋げ、流れを掴み、自身のアガリに結びつけた森山が1枚上手だった、ということなのでしょう。

うわぁ全然この後戦いたくない…!でも、やっぱり、戦いたい…!!

そんな思いがこみ上げてきた1局でした。

その後、mayummyさんが瀬戸熊から8,000、瀬戸熊がユパさんから8,000、と3人の激しい乱打戦になるものの、トップ目の森山の点棒が減ることはなく局が進み、森山にとって優位な展開のままに終焉を迎えました。
クマ、復活ならじ。

勝ち上がり森山茂和プロ

 

【決勝戦〜百戦錬磨の猛者達の中に紛れ込んだ仔鹿〜】

さぁさぁ決勝戦の面子が揃いました!
沢崎誠プロ!佐々木寿人プロ!森山茂和プロ!私!

対局前のインタビューで”美女と野獣対決”と森山会長は比喩して下さいましたが、まるで”猛獣達とその檻に放り込まれた産まれたての仔鹿の対決”とも言えるでしょう。(言い過ぎかもしれませんが本当にそんな気分ではありました)

しかし麻雀は水物!ここはひとつ腹を括って、大先輩方に思いきりぶつかって行こう!!と自らを奮い立たせて臨んだ決勝戦。対局開始です!

 

100

 

起家から、私菅原千瑛、佐々木寿人プロ、森山茂和プロ、沢崎誠プロ。

東1局、8巡目リーチは沢崎。

三万四万赤五万八万九万七索八索九索三筒三筒赤五筒六筒東  ツモ七万  リーチ

絶好のペン七万を引き入れてのピンフ赤赤リーチ。

これを一発で掴んだ佐々木が8,000の放銃。

東2局、ドラ八筒
私は2枚目の南をポンしてこの形。

三索三索六索六索八索八索八索東東東  ポン南南南

四暗刻ならずだったが、それでも満貫のテンパイ。

親の佐々木は私が切った八筒をチーしてこの形。

一万一万一索二索三索四索赤五索六索八索九索  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き

流局間際に森山もテンパイ。

四万四万五万五万六万六万六索七索二筒三筒四筒赤五筒五筒

ハイテイで私が持ってきたのは七索
ツモ番もなく、かといってソーズも全て危険。ツモ番がないだけに東を切る選択肢もあったが、ツモ切りとしてしまい、これが佐々木への12,000。手痛い放銃となってしまいます。

続く1本場、沢崎から飛んできた4巡目リーチ。

二万三万五万赤五万五万七万八万九万赤五索五索七筒八筒九筒  リーチ

9巡目四万のツモアガリ。さらに東3局も8巡目リーチをサクッと3巡後ツモアガる。
つ、強い…。

反撃の狼煙を上げたい!そんな想いが実ったか、東4局、このテンパイ、リーチ!

二万三万四万三索四索五索七索八索九索三筒四筒六筒六筒  リーチ  ドラ四筒

数巡後、二筒をツモり、裏ドラは三筒。2,000・4,000のツモアガリ!!!

そして南入。
落とせない最後の親番がやってきました。

南1局、3段目にテンパイはこの形。ドラ七筒

七万八万九万七索八索一筒一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒  ツモ六索

九索が場に4枚切られており、巡目の深さと六万九万をひくと三色の変化があることに加えて既にソーズの二索三索四索が捨て牌に並んでしまっていることから、ここは打五筒で役ありのヤミテンを選択。
沢崎から一筒で2,900の出アガリとなります。

なんとか繋いだ親番。連荘です!

南1局1本場、ドラ六索
沢崎が白ポン、九索ポン。
対して私はこの形の1シャンテンです。

四万四万赤五万六万七万八万六索七索二筒三筒四筒九筒九筒

勝負だ!と思ったのも束の間、森山からリーチ。

赤五索五索六索七索八索三筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒

なんとこれを一発ツモ!

私は跳満の親被りとなり、最後の親番が落ちてしまいます。…悲しい。

南2局、ドラ五索。11巡目リーチは沢崎。

八万八万三索四索四索五索五索六索四筒赤五筒六筒中中  リーチ

追いついた私もリーチ!

一万二万三万五万赤五万五索六索七索八索九索二筒三筒四筒  リーチ

さらに親の佐々木も追いつく!

二万三万八万九万九万一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ツモ六筒

八万!(涙)
沢崎が一発で佐々木から討ち取り、8,000。
佐々木もここで親番が落ちてしまいます。

続く森山の親番も沢崎がきっちりとヤミテンにしていたピンフドラドラをツモアガリ、いよいよオーラス。

トップ目の沢崎と2着目の森山の点差は17,900点。オーラスの親番が沢崎であることから、跳満をツモると森山の優勝。
沢崎はトップ目なのでアガっても、当然流局で伏せても、優勝となります。

オーラス、ドラ二索

そしてそれは11巡目。
森山のアトミックリーチが炸裂!!!

四万五万二索二索二索三索三索四索四索五索八筒八筒八筒  リーチ

三万六万はリーチ時点で山に3枚。

ツモれば大逆転優勝!ツモればサヨナラ満塁ホームラン、奇跡の逆転劇です!!

森山のツモにも力が入ります。残り3回、2回、1回…。

最後まで、三万六万が森山の前に姿を現わすことはなく、流局となりました。

優勝は沢崎誠プロ!

 

100

 

普段のお茶目な笑顔とは裏腹に、麻雀に対する真摯な姿勢と鋭さにはいつも圧倒されっぱなしです。今回も遺憾無くその強さを見せつけられました。
この決勝戦という場で、優勝した沢崎プロは勿論のこと、森山会長、佐々木プロと同じ卓を囲むことが出来て、とてつもなく光栄で、とても幸せでした。
春夏秋冬、ロン2カップは続きます。
次回も熱く激しい戦いになること間違いなし!
ロン2カップ2018autumn、ぜひぜひお見逃しなく!!

第136回『勝負の感性⑥~パターンを知る~』 荒 正義

1.人読み


対局が始まる前に、場所決めがある。そして、席順が決まる。この時から、勝負はすでに始まっている。問題は、誰が上家で下家だ。
滝沢和典・藤崎智は、流れに乗って面前主体で来る。下家が染め手で仕掛けたとき、生牌の字牌はおろかその色の牌はおいそれと出してはこない。出たときは好形の1シャンテンかテンパイだ。それも打点のある手。だから、打ち筋は「静」である。

一方、佐々木寿人と古川孝次は鳴きを多用して前に出る。ヒサトはアガリに向かって直線的。古川の鳴きは、仕掛けで相手を翻弄するのが主体。相手を受けに回し、手を曲げさせ翻弄するのだ。これがサーフィン打法。
しかし古川の手は、本手も混じっているから始末に負えない。なめてかかると「12,000点」と言われて、ひどい目に合うのだ。
しかし、鳴きに違いはあっても手を狭めて前に出るという点では同じである。だから、打ち筋は「動」である。

最悪な席順は、上家が「静」で下家が「動」のときである。鳴けば上家には牌を絞られ、下家にはポン、ポンでツモが飛ばされる。そして、下家の仕掛けに牌を絞るのも厄介である。
この並びでは2、3着で上等、と思うことが大事。プロリーグなら浮けばOKである。期待を大きく持たない分、マイナスしても心の揺れが少なくて済むからだ。動揺は、勝負に禁物である。もちろん「運」の高低があるから、席で着順が決まるわけではない。ただ、そうなるパターンが多いという話である。
上家が「静」なら、遠い仕掛けはしてはならないのだ。

一万三万五万八万八万三索四索六索七索八索三筒五筒七筒  ドラ八万

上図の手は、一発裏なしのプロリーグ戦。東2局6巡目の西家の手である。ここに、上家から五索が切られた場面だ。
ドラが八万なら、鳴いて三色で決めたら7,700点。大きい打点があるから手拍子で鳴きたくなるが、じっと我慢だ。これを鳴いたら、次が鳴けないのだ。藤崎、滝沢はこう考える。
(まだ、点棒の動きの少ない場面で両面のチー…ドラがトイツか暗刻だな…)
と、すぐに看破される。
三色まで見ているかどうかわからぬが、その近辺の牌は出てこない。鳴けば1シャンテンで一手進むが、次が鳴けないなら2シャンテンと大差がない。ここは、スルーが確かな足取り。実戦はこの後のツモが二万六筒でリーチが入る。

一万二万三万八万八万三索四索六索七索八索五筒六筒七筒  リーチ

西家の河
北一索 上向き中九索 上向き九万 上向き八索 上向き
五万 上向き東三筒 左向き

この河なら、打点もマチも判らない。鳴いた満貫のテンパイより、断然こちらの方がいい。これなら相手は、待ちも打点も読みづらいからである。
仕掛けて、そのあと仮に運よく四万が鳴けたとしてもこうだ。

牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背牌の背  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  チー五索 左向き三索 上向き四索 上向き

伏せられた7牌の手の内はこうだ。

八万八万六索七索八索三筒五筒

最終打牌の七筒がキズとなり、受けはピンズで特に筋の四筒は三色の本命となる。もちろんピンズの二筒三筒五筒六筒八筒も、一応は危険牌の範疇にある。

一万三万五万八万八万三索四索六索七索八索三筒五筒七筒  ドラ八万

上家が「静」なら、この牌姿で鳴くのは四万だけである。一歩譲っても四筒までだ。二索五索の両面は、自力で引く覚悟が大事。

一番いい並びは上家が「動」で、その上家が「静」の並びだ。ヒサト・古川の仕掛けは「静」に封じられ、できるのはポンだけ。すると相手のツモ番を飛ばし、こちらのツモが多くなる。これなら、アガリの期待値が大である。

*相手の打ち筋と席順で、微妙に打ち方を変える。これが人読みである。

東1局0本場。ドラ六万
7巡目、親の「動」のヒサトから先制リーチがかかる。ゲームは始まったばかりで、運も流れも手探りの状況である。

南一筒 上向き発八万 上向き九万 上向き三索 上向き
六筒 左向き

このとき、西家の私の手はこうだ。

六万六万七万三索四索五索六索七索三筒三筒四筒発発  ツモ五筒

戦えそうだ。まず筋の三筒を通して発が鳴けたら、打七万が勝負牌。こちらもドラ2だから、勝負の価値はある。これが、私の戦いの構想である。
ところがこのとき、南家の「静」の(藤崎・滝沢)から手出しの二筒切りがあったのだ。
ここで、ピンと来ない打ち手は感性が「鈍」である。二筒はロンの声がかかってもおかしくはない牌だ。しかも、相手は親だ。ロンはないという否定材料があるのか。いや、あるはずがない。私の手に三筒三筒四筒とある以上、ないのだ。となれば、南家は相手が親でも向かう手ということになる。打点が高く好形。いや、今テンパイした可能性もある。ヤミテンで来る以上、現物待ちも考えられる。

六万六万七万三索四索五索六索七索三筒三筒四筒発発  ツモ五筒

私はここで発を切って、受けに回った。そのあと、南家のツモ切りリーチが入った。
1巡前、南家の手の内はこうだった。

三万四万五万六万七万八万三索四索五索八索八索二筒四筒  ツモ五筒

ここで五筒を引いての二筒切りだった。結果は、親が六筒で放銃。私は危うく難を逃れた。相手の打ち筋を頭に叩き込めば、見えないものが見えてくる。
状況で判断。これも「人読み」である。

 

 

2.配牌に戻る


これは、開始早々の西家の配牌。

二万一索二索四索六索八索一筒三筒五筒北北発中  ドラ九万

カンチャンだらけで、悪形の配牌である。見えるのはソーズの染め手か。この時点で、西家がアガリできる確率は10%である。
しかし、第一ツモが三万で123の三色が見えて来た。丁寧に字牌を合わせ打つ。麻雀は配牌も大事だが、ツモも大事。うまくツモが利いて西家の手が7巡目にこうなった。

二万三万一索二索三索六索七索八索一筒三筒五筒北北

もう一息だ。10%のアガリ率が30%まで上がっている。しかし、実践は複雑怪奇だ。ここで、8巡目に親のリーチが飛んで来た。

(親の河)
西九筒 上向き北一筒 上向き四筒 上向き五万 上向き
二万 上向き一万 左向き

そして、西家の次のツモが二筒だったのである。

二万三万一索二索三索六索七索八索一筒三筒五筒北北  ツモ二筒

さて、問題はここである。前に出るか、引くかの決断のときだ。どうする?
私の感性は、あの配牌を思い出し「引き」である。

二万一索二索四索六索八索北北発中一筒三筒五筒  ドラ九万

アガリ率10%だった手がここまで育っただけで、よしとする。配牌は悪かった。
ツモは利いたが、残念ながら一歩及ばないのだ。この手が本当にアガリできるなら、親のリーチの指示牌一万でアガリできたはずだ、と考える。一発で振り込んだら、親満はあるだろう。ここでの放銃は、点棒を失うと同時に態勢も崩すのだ。ここで危険を冒す必要はない。配牌を思い出せば、簡単にオリられるはずだ。二筒ツモは、罠に感じる。これが、私の勝負の感性である。

逆に配牌がよくても、ツモが噛み合わないパターンもある。

三万五万七万六索六索七索七索八索八索四筒六筒発中  ドラ三万

上図の手は、東1局南家の配牌。
配牌でソーズのイーペーコーがあり、手牌はタンピン形。「もう、いただき」と思ったら意外に長引いた。

三万五万七万六索六索七索七索八索八索二筒二筒四筒六筒

これが5巡目の手。引いたのは2枚の二筒だけ。ここからもツモは伸びなかった。これが10巡目の手。

三万五万七万六索六索七索七索八索八索二筒二筒六筒七筒

引いたのは七筒だけである。配牌からあったマンズのカンチャンが、どうしても埋まらないのだ。ここに親からリーチの声。

親の河
西北一筒 上向き二筒 上向き中八万 上向き
八索 上向き一索 上向き西九索 上向き五万 左向き

そして、同巡に来たのが八筒である。

三万五万七万六索六索七索七索八索八索二筒二筒六筒七筒  ツモ八筒

三万がドラなら打牌は七万となるが、なぜか不安を感じる。
勝負するならマンズが埋まったこの形である。

三万五万七万六索六索七索七索八索八索二筒二筒六筒七筒  ツモ四万

でなければこうだ。

三万五万七万六索六索七索七索八索八索二筒二筒六筒七筒  ツモ六万

この形なら、ドラの三万でも勝負の価値がある。
なのに、こうだ。

三万五万七万六索六索七索七索八索八索二筒二筒六筒七筒  ツモ八筒

南家の不安は3つある。
① 配牌がよかった割にツモが伸びず、親に先手を取られた。
② 受けがカンチャンで、マチはイマイチ。
③ 親のリーチに、一発で危険牌を打たなければならない。
以上の理由で、私は二筒を切って様子見となる。

麻雀は、戦うだけが勇気ではない。パターン(流れ)が悪いと感じたら、引くのも勇気なのである。

第4期JPML WRCリーグ 決勝観戦記 古橋 崇志

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【第1章 現役最強】

 

700人近く在籍する日本プロ麻雀連盟の頂点に立つ男、前原雄大。

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現鳳凰位・グランプリMAXとG1タイトルの2冠であり、過去の実績も最強の名に相応しい。
第12.25.33.34期鳳凰位、第14.15.24.25.26期十段位、第3.8期麻雀グランプリMAX、グランプリ2008、インターネット麻雀日本選手権2012、天鳳位vs.連盟プロ2nd.3rd season
・・・キリがないのでこのあたりにしておこう。
特筆すべきは上記の内、5つのタイトルを2017年からの約1年の間に獲得していることである。
現在61歳。衰えを知らない”現役最強”の男が3冠に挑む。

1回戦親番となった前原。
7巡目に以下の形になると
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五万の3枚切れを見て打七万と構える。
次巡あっさりと四万を重ねると二万タンキのリーチ。
確かにマンズの場況は良く、前原ならば当然リーチの一手だ。
この時点で二万は山に1枚。しかも五万が3枚切れている為、後筋も期待できない・・・
と思っていた矢先、一発目のツモが何と五万

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七対子で粘った沢崎から二万が打ち出され、しかも裏2。18,000の強烈すぎる先制パンチとなった。
その後も前原はアガリやテンパイ料で加点し、55,800点持ちで迎えた東4局。
4巡目に藤島から打ち出された1枚目の発をポン。

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このポンの理由として思いつくのは以下の3点だ。
①配牌から全く有効牌を引かない
②沢崎の親番を警戒している
③ただのデジタル
③の理由だけは絶対に違うと言い切れそうだが①と②はどうであろうか。
瀬戸熊直樹は「沢崎とは点差こそ離れているが、やはり最後には追い付いてくるのでこの親は絶対に落としたいのだろう」と解説。
前原と長年死闘を繰り広げている瀬戸熊が言うのなら間違いない。
4万点以上の差があるのにも拘らず前原は沢崎を警戒し、狙い通り親番を1局で終わらせる。
結局1回戦は前原が最後まで押し切り、51,800点のトップ。
絶好のスタートを切り、2回戦を迎える。

この2回戦でも前原は順調に加点。
南2局の親番では2,000オール、9,600は9,900をアガリ、持ち点を46,200点とした2本場。
藤島のリーチ、東谷の仕掛けを受けた12巡目に以下の形となる。

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手堅く打つならば今通った四索を切っての一向聴維持の一手であろう。
いや、打四索など誰でも打てる。前原の選択は打八万。まさに前原らしい放銃である。
5,200点を失っても、2回戦のトップを藤島に譲っても、まだ前原が有利だろうと思っていた。
しかしここから前原の歯車が狂い始める。

3回戦
藤島がリードし迎えた南3局。
後のない東谷が親番で先制リーチ。同巡藤島が合わせた三万を以下の形からチー。

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そして六索白一筒八筒二筒と全てツモ切っていく。
東谷のアガリ牌は食い流れたものの前原は形変わらずノーテン。

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続く2本場。

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ここから六索をチー。
前局のノーテンがそうさせたのか、この局の雰囲気がそうさせたのか。
東谷のリーチを受け、真っ直ぐに撃ち抜いた三索が放銃。

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対局を終え帰路に着く中、前原が呟いた。
「あの三索が敗因だったな」
前人未到の年内3冠の夢はここで絶たれた。

 

 

【第2章 終生のライバル】

 

麻雀界でのライバルと言えば真っ先に思い浮かぶのが佐々木寿人と滝沢和・・ではなく、小島武夫と灘麻太郎だ。
その次の世代での最大のライバル関係と言えば前原雄大と沢崎誠であろう。

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沢崎誠 第13期十段位、第16.27期麻雀マスターズ、グランプリ2017、第7期雀魔王、、第2期新人王、第15期チャンピオンズリーグ、2013最強位、麻雀日本シリーズ2017

2017年からの成績だけを見ても
前原雄大 第33期鳳凰位、天鳳位vs.連盟プロ2ndseason、天鳳位vs.連盟プロ3rd season、第34期鳳凰位、第8期麻雀グランプリMAX

沢崎誠 第1回マスターズリーグ、麻雀日本シリーズ2017、第27期麻雀マスターズ、第2回マスターズリーグ、ロン2カップ2018summer

5度の優勝と全くの互角である。

過去幾多の名勝負を繰り広げたライバルが決勝の舞台で再び相まみえる。

1回戦いきなりの18,000放銃で劣勢に立たされた沢崎であったが、非常に落ち着いた戦いを見せる。

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東谷のリーチを受け、一筒が上家の藤島から打たれるがスルー。
チーテンの3,900、八索はドラ表示ではあるが山に残っていてもおかしくない状況。
八万が放銃になる危険性はもちろんあるが親番に向けて立て直しを図っている一局か。
白鳥は解説の立場も忘れて一言「すげえ・・」
読みの精度、押し引きの精度、まさに本物のトッププロである。

南2局にはタンピン一盃口が見える一向聴から前原のアタリ牌の三万を掴んで八万切り。

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親の東谷の無筋であるが、もし放銃になった時に前原のワンサイドゲームになる可能性が高まってしまうと考えたのだろう。
戦前に「最大の敵はやはり前原」と語った沢崎。
テンパイ気配の察知、待ちの予測、経験からの大局観。
非常に高い次元の押し引きを見せてもらった。
南3局、ここまで苦しい展開ながらも粘り強く戦う沢崎。
ようやく手にした勝負手、待ち選択も正解を選び2,000・4,000で3着に浮上。

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そしてオーラス。ヤミテンを入れていた藤島のアタリ牌が出ない形でのテンパイ。

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そしてリーチ。
「これをアガれば沢崎の展開になる」今まで沢崎の対局を見ていた者ならばそう思うだろう。もちろん対局している前原も。
しかし、藤島の追っかけリーチに放銃となり1回戦は4着。

きっかけを掴めないまま2回戦もオーラスに。

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高目ツモ倍満の勝負手も実らず。

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本当に引き出しの数が半端ない選手だ。
何とか自身の展開に持っていこうとリャンメンに受けずシャンポンでリーチ。
だが、これもアガリまでは行かず1回戦に続いての4着。
3・4回戦、この短期決戦ではさすがの沢崎も劣勢を打開する事は出来なかった。

「60歳を越えて攻撃でも守備でもない、自然体の麻雀を打つようになった。30年間鍛錬を積んだ経験でプロとしての技量を見せたい」と語っていた沢崎。
マスターズに続いての戴冠とはならなかったが、負けた試合でも随所にその匠の技を見せてもらった。
本人は意識していないようだが、連盟5大タイトル獲得の”グランドスラム”を達成する日は近いかもしれない。

 

 

【第3章 下剋上】

 

JPML WRCリーグは今期で4期目となる。
東谷は鳳凰戦ではBリーグの経験もあり、例えば前回のメンバーであったら本命視されておかしくない存在だ。

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しかし過去3度の決勝メンバーと比べて今回の決勝メンバーは異様と言える。
「自身が圧倒的に格下。挑戦者の気持ちで全力でぶつかります」
強敵3名を相手に虎視眈々と下剋上を目論む。

1回戦東1局2本場
ペン七索で混一のヤミテンが入っていたが、4枚目の白を持ってくると暗槓。
槓ドラも乗り東谷はリーチに踏み切る。

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宣言通り持ち前の打点力でぶつかっていく。
しかし六索を切れば一通である。仕掛けている前原には二索の方が通り易く見えるが、東谷ならば六索を切ってリーチしてもらいたかった。
結果はどちらにしても藤島の追っかけリーチに放銃となるが、不安が残る立ち上がりとなった。

南2局の親番では中をポンしてドラ2のチャンス手。

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上家前原から打たれた五索をスルー。
最低5,800に仕上げたいという東谷の意志を感じるスルーだ。
狙い通り自力で八索を引き入れると、再度前原から打たれた五索をチー。

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藤島から九索を打ち取り5,800のアガリとなった。

そして次局、前原があっという間の3フーロ。
それに対して東谷も4巡目に以下の形。

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ターツ選択となるが、ここは前原の現物のマンズを払っていく。
そして次巡テンパイ。

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ここはリーチを宣言して欲しかった。
もちろん前原の仕掛けは驚異である。発でダブル役満と言われてもおかしくはない。
しかし、東谷は挑戦者なのだ。
大きなリスクを負ってでも、攻め拔かなければ今回のメンバーには勝つことは難しい。

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結果論であるが、リーチを宣言していれば前原が一発で放銃。最低12,000のアガリが2,900となってしまった。

自身で押し引きのラインを引き気味にしてしまった東谷は1回戦こそ2着キープできたものの、2・3回戦は3着。藤島と64.4ポイントの差で最終戦を迎える。

まずは東1局、ドラタンキの七対子をツモり3,000・6,000。

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反撃の狼煙を上げるが、東2局の親番は流されてしまい、加点できぬまま南2局を迎える。
南2局5巡目

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東谷は七万を切ってのリーチ。
これは賛否あるだろうが、愚直に打点を狙う挑戦者らしいリーチだ。
しかし東谷の強い意志とは裏腹に一発目のツモは八万
結局五万をツモる事がなく、1人テンパイで流局。

1本場となり藤島の先制リーチを受けるも12巡目に追いつきリーチ。

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ここが最後のチャンスであったが、1度もツモる事なく藤島が二索のツモアガリ。

この麻雀を最初から貫けば、東谷が勝つチャンスはあったかも知れない。
しかし、対戦相手のプレッシャーに打ち勝つ事ができなかったように思える。
今回の決勝戦は東谷の麻雀人生でかけがえのない財産だ。
この敗戦を糧に、いつかまたこの舞台まで這い上がってくるだろう。

 

 

【最終章 過去を乗り越えた先に】

 

“花の17期”この言葉を聞いたことがある人も多いのではないか。
プロ連盟17期には
勝又健志、HIRO柴田、近藤久春、前田直哉、山田浩之、猿川真寿
などAリーガーやタイトルホルダーが多数存在している。
藤島もA2リーグは経験しているもののA1やタイトルにはあと一歩届かなかった。

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そんな藤島がタイトルに一番近づいたのが一年前、中川基輝が優勝した第2期JPML WRCリーグだ。

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最終戦南1局でトータルポイントが
藤島+49.7p 近藤+5.6p 中川▲11.5p 井出▲45.8pという状況。
発を切ればテンパイであるが親リーチの中川との差はまだまだ遠い。
ここで発を切って放銃になれば非難されるであろうし、発が通ってアガリきったとしても疑問の一打として扱われるかも知れない。
藤島は発を切らなかった。発を切っていれば藤島のアガリであった。そして藤島の優勝であった可能性が高い。
「この場面が最後に残されたチャンスだった」と後に語った藤島。
一年前の忘れ物を取り戻すため、再び決勝の舞台へ。

1回戦2,600のアガリがあっただけで苦しい展開の藤島。
オーラスを迎え僅差のラス目。ドラ暗刻の配牌を手にし、7巡目にテンパイ。

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跳満ツモでも2着には届かないためヤミテンを選択。
しかし、同巡3着目の沢崎からリーチが。
リーチ棒が出た事で跳満ツモで2着、藤島は迷わず追っかけリーチ。

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結局沢崎が九索放銃となり3着スタートとなったが、クレバーな藤島らしい冷静な判断であった。
このオーラスのアガリでペースを掴むと、2回戦は前原とのデッドヒートを制してトップ。

そして迎えた3回戦東1局。7巡目に前原、東谷の2件リーチを受けた藤島の手牌。

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北の対子落としで迂回し、絶好の六万を引き入れたのが11巡目。

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前に進む打牌候補は3つ。五筒三筒二筒
一筒が場に2枚切れ、四筒は自身で1枚、二筒三万は生牌。
藤島の選択は打二筒のヤミテン。
前原のロン牌を打ち出さずにテンパイとし、次巡六筒を引き入れる。
3門張なら勝負になると追っかけリーチで東谷から七筒を打ち取り5,800。

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冷静にそして大胆に。中盤戦の勝負どころを藤島が制した。

このまま突き抜けるかと思われたが、プロ連盟のレジェンドがそれを許さない。
東4局親番は沢崎。
マンズ、ピンズの中張牌のバラ切りから中ポン、一索ポンで打二索三万を引き込んで打四索

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マムシの一噛み12,000。藤島にとっては痛恨の放銃。
解説の白鳥「前巡の一万から打たない方が良い」と語る。
確かに一万から止めてしまう方が無難であるし、この局面には合っているように見える。
しかし二索四索の切り順から四索が関連牌に見えなくもない。藤島のミスと言うよりは、混一を意識させ、三筒で討ち取った沢崎の好プレーだ。

続く1本場8巡目に藤島がテンパイ。

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前局の12,000を取り戻すため、リーチとする選択も勿論ある。
しかし、藤島の選択はヤミテン。
前局の放銃、四万引きでの打点アップ、テンパイ濃厚な沢崎の現物。
リーチよりヤミテンを選択する理由はいくらでもあるのだ。

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結果沢崎からすぐ二万がツモ切られるが藤島に焦りは微塵も感じられない。

そんな藤島に牌も応え、次局の親番ではカン二索の先制リーチを一発ツモ。
裏も乗せて4,000オールとし3回戦のトップを決定付けた。

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そして運命の最終戦。
ポイント状況は以下
藤島+50.4、前原+22.1、東谷▲14.0、沢崎▲59.5
東1局、番手につける前原の親番で東谷が3,000・6,000。
東2局は沢崎が前原から8,000の直撃と藤島にとっては悪くない展開。
南1局の前原の親が流れ、南2局。この東谷の親、そして次に控える沢崎の親を流せば藤島の優勝である。
しかしどうして神様は藤島に試練を与えるのか。5巡目に東谷から先制リーチ。

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一年前を思い出す。東谷との差は40ポイント以上。ベタオリがセオリーな局面だろう。
この手牌で言えば七万の中抜き以外考えられない。
が、藤島の選択は打一索
その後も二筒一筒六筒一万と無筋を連打。
15巡目にオリを選択したが、明らかに昨年の藤島の戦い方とは異なっている。

そして次局7巡目にテンパイ。

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役なしの二索五索、東谷がオリる事は考えられないのでセオリーはヤミテンだろう。
だが藤島はリーチ。
まるで一年前の自分を振り払うかのように攻め抜く藤島。

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過去を乗り越えた先には栄光が待っていた。

藤島はJPML WRCリーグというタイトルを携え、来期A2リーグに挑む。
前原・沢崎に挑戦し、2人を破ってのタイトルは藤島にとって何よりも価値のあるものである。
麻雀人生の中で最も濃い4半荘であったに違いない。
ただ、これがゴールではないし、挑戦はまだ終わらない。
“鳳凰位”という頂点に立つその時まで。
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第32期新人王戦 決勝戦観戦記 藤井 崇勝

2018年8月26日
前日の予選を勝ち抜いた4名の中から第32期新人王が決まる決勝戦。
若手にとっては今後の活躍にもチャンスになる特典がたくさんある新人王。
連盟チャンネルでも放送されたこの決勝戦をレポートしていきたいと思います。

前日の予選を見事勝ち上がり、決勝へと進出した選手は以下の4名。(以下敬称略)

 

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予選1位通過:鹿嶌文太
東京本部所属31期生
「優勝しか見てないので、勝ち切るために精一杯がんばります。」

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予選2位通過:日高志穂
中部本部所属34期生
「初の全国規模のタイトル戦、映像対局で緊張しますが、中部本部の先輩方や同期、ファンの皆様の期待に応えられるよう、臨みたいと思います。紅一点、赤旗を上げられるよう頑張ります!」

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予選3位通過:上田稜
東京本部所属32期生
「麻雀プロに反対だったお母さんや高校時代の友達、元九州本部所属だったので九州本部の方たちなど僕の優勝を待っている人がいるので、優勝します!」

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予選4位通過:菊原真人
東京本部所属32期生
「タイトル戦の決勝は2回目になりますがしっかり勝負して、優勝掴みとりたいと思います!!」

第32期新人王戦は東京本部所属の3名と地方所属で紅一点の日高志穂含めた4名での決戦になった。

 

[1回戦](起家から日高・上田・鹿嶌・菊原)
東1局
南家の上田が5巡目にテンパイ。

一万二万二万三万三万三万四万五万一索二索三索九筒九筒  ドラ九万

5巡目ですでに高めの一万が2枚切れていたためリーチはせず。
テンパイをしているとはいざ知らず親の日高は手を進めて9巡目にテンパイ。

五万六万七万六索六索七索七索九索四筒五筒東東東  ツモ八索  リーチ

テンパイ即リーチと緊張を物ともせずに声を出していく。
親のリーチを受けた上田だが六万をツモり3面張で追っかけリーチ。

一万二万二万三万三万四万五万六万二索三索四索九筒九筒  リーチ

12巡目に上田が高めの一万をツモり1,300・2,600をアガリ、いい立ち上がりを見せる。

東2局は菊原が1人テンパイ。次局軽い仕掛けでアガリ親を持ってきた菊原。

東4局
親の菊原に難しい配牌が入る。

一万二万三万四万一索二索三索四索八索九索一筒一筒四筒七筒  ドラ三索

純チャンや三色、一通など色々な可能性を感じる配牌で選んだ第一打は七筒
この選択で取りこぼしなく手が進む。
11巡目に日高がテンパイ。

三索四索五索六索七索七索九索九索九索六筒七筒八筒九筒  ツモ五筒  リーチ

先制リーチを打つも親の菊原が12巡目にテンパイ。

二万三万四万二索三索四索六索八索一筒一筒二筒三筒四筒

ヤミテンに構えて次巡ラス牌の七索を悠々とツモり3,900オールのアガリで1人飛び抜ける。
点数にあまり変動なく迎えた南3局、上田に好配牌が入る。7巡目にテンパイ。

二万三万四万六万七万八万一索一索三索四索五索四筒五筒  リーチ  ドラ一索

日高が追いかけてリーチを打つも上田が三筒をツモり、2,000・4,000をアガる。このアガリで上田は原点復帰してプラスでオーラスを迎える。

南4局
親の菊原に早い手が入り6巡目にリーチ。

三万三万六万七万八万七索七索八索八索九索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ四索

4回戦勝負なので今後を戦いやすくするためリードを広げるリーチ。原点復帰した上田はここで親に放銃したくはない状況で手も悪くオリを選択。
鹿嶌はリーチ棒が出たので8,000点をアガれば原点に復帰するため押し気味に。日高も一度もアガることができなく短期決戦なので押しを選択する。
菊原がアガリやすい状況ができ、日高が九索を掴んで菊原に5,800の放銃となった。

1本場は上田が軽くアガリ1回戦が終わった。

1回戦成績
菊原:+28.8P 上田:+14.3P 鹿嶌:▲13.5P 日高:▲29.6

 

【2回戦】(起家から日高・鹿嶌・上田・菊原)
1回戦に全くアガることのできなかった日高に親で好配牌が入る。

東1局 親:日高

一万二万三万九万九万九万五索六索七索八索九索白白  リーチ  ドラ白

菊原が先制でメンホン七対子をテンパイしていたが、待ち選択もできたためヤミテンに構えていたところで日高からリーチが入る。

一万一万三万三万五万五万七万七万八万八万南南中

日高の捨て牌に1枚捨ててある中でアガリを探るも先に、日高が四索をツモり4,000オールをものにした。
1本場でまたしても日高に好配牌。5巡目でまとまっていた!

二万三万三万四万五万七万四索五索五索六索七索三筒四筒  ツモ八索  ドラ北

無難に雀頭固定の打四索を選択する。
南家の鹿嶌がピンズに染めている捨て牌で場にピンズが高くなるのを感じ、この手で8巡目に二筒をチーして1,500のテンパイ。

二万三万四万五万七万五索五索六索七索八索  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き

連荘したい気持ちの日高は、親でこの手を1,500で終わらせるにはもったいない感じもした。
そしてドラが北なので打点が見えやすい状況になった上田に高打点のテンパイが入り押し返される。

六万七万三索四索五索六筒七筒八筒北北中中中  リーチ

これを上田はツモれず、日高もどうにかテンパイを維持して2人テンパイで流局。
2本場では前局に高打点が入った上田にまたしても手が入る。

一索二索三索五索六索七索七索八索東東北白白  ドラ東

ここから七索をツモり日高から七索をポン。白とドラ東のシャンポン待ちとなり、この待ちに先制リーチをしていた鹿嶌が白を掴み上田へ8,600の放銃となった。

南1局
北家の菊原がドラ色のホンイツで仕掛けていく。

二万四万五万六万七万八万九万  ポン東東東  ポン北北北  ドラ二万

この仕掛けになすすべなくオリに回った鹿嶌と上田。親の日高もテンパイは取れないかと思われたが、終局間際に七対子でテンパイが入り、日高と菊原の2人テンパイで流局した。

南1局1本場
ここでも親の日高は手が軽い。

六万六万七万七万八万八万一索二索三索五索五索四筒五筒  リーチ  ドラ八筒

6巡目でリーチを打ち六筒をツモ。2,600は2,700オールをアガる。
2本場では5,800は6400。3本場でさらに手が入る。

三万三万七万七万三索三索八索八索東東南中中  リーチ  ドラ二筒

ダブルリーチのテンパイで、トータルトップ目の菊原から9,600は10,500をアガリ一気に73,000点まで加点をした。

南3局:8巡目
今まで我慢の麻雀だった鹿嶌にようやく手が入る。

四万五万六万六万七万八万三索四索六筒六筒六筒九筒九筒  リーチ  ドラ六筒

三索の先切りと、二索が場に3枚見えていたためヤミテンでテンパイしていた日高から二索が打ち出され、鹿嶌が8,000は8,300のアガリとなりマイナスを減らした。
そのまま日高が大きなトップを取り2回戦が終わった。

2回戦成績
日高+41.8P 上田+4.8P 鹿嶌▲18.4P 菊原▲28.2P

2回戦終了時
上田+19.1P 日高+12.2P 菊原+0.6P 鹿嶌▲51.9P

 

【3回戦】(起家から上田・日高・鹿嶌・菊原)
東2局1本場
親の日高が勢いよく攻めていく。

五万五万六万七万八万四索五索六索七索八索九索六筒八筒  リーチ  ドラ八筒

数巡手がわりを待ったがもう待てないと判断してのリーチ。しかし鹿嶌にも手が入っていた。

四万五万六万七万八万九万中  ポン白白白  ポン発発発

小三元ホンイツの跳満テンパイ。中は親の日高が1枚切っていたが、もう2枚は上田が抱えていた。
上田は日高の切った中をポンしていれば、すぐさまアガリが拾え日高の親を流せたが、あくまでリーチをかけて親の日高の点棒を減らしていこうとしたのが裏目に出た。
鹿嶌の仕掛けにアガリが見えなくなってしまった上田は、終盤に形式テンパイでチーをする。その鳴きで日高が七筒をツモり、2,000は2,100オールのアガリとなった。

次局は上田がヤミテンで3,900は4,500を菊原からアガリ、日高の親を流した。

東4局
親で果敢に攻めてリーチを打っていく菊原。

一万二万三万二索四索四索五索六索四筒四筒四筒六筒六筒  リーチ  ドラ五索

鹿嶌もここで沈んでしまうと実質的にどんどん厳しい状況になっていくため押し返していき、リーチを打つ。

一万二万三万九万九万一筒二筒三筒七筒八筒九筒白白  リーチ

2人のリーチ勝負になるかと思いきや、安全に手を進めていた日高がラス牌のカン八万をツモ。
500・1,000をアガったがそれ以上に大きなアガリとなった。

南3局
日高と鹿嶌が仕掛けを入れている中、鳴きで菊原が早くもテンパイ。

五万五万五万八索八索一筒一筒一筒三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ八索

二筒を次巡にツモり2,000・4,000をアガる。
迎えた菊原の親番、南4局。この時点で日高は1人浮き状態で、このまま終わらせたいあせりが出て菊原の仕掛けに1,500を放銃。
1本場で上田と鹿嶌の2人テンパイで上田が浮き、3回戦が終わった。

3回戦成績
日高+21.6P 上田+5.1P 菊原▲7.3P 鹿嶌▲20.4P

3回戦終了時
日高+33.8P 上田+24.2P 菊原▲6.7P 鹿嶌▲72.3P

 

【最終4回戦】(起家から上田・菊原・鹿嶌・日高)
日本プロ麻雀連盟公式タイトル戦、最終戦規定により席順が決まる。日高と上田の着順のよるポイント勝負、少し離されて菊原が追う形となった。
鹿嶌はひたすらアガって相当大きなトップを取らないといけない厳しい最終戦。

東2局1本場
上田はマンズ、日高はソウズのホンイツとチンイツで12巡目に親の菊原からリーチを受ける。

一万一万四万五万六万六万七万八万二筒二筒二筒七筒八筒  リーチ  ドラ一万

日高が六筒を掴みオリを選択したと思いきや、場にピンズが安すぎて通りそうと思ったのか菊原に7,700は8,000を放銃してしまう。

2本場でさらに勢いつく菊原。

四万五万七万七万四索四索四索五索六索七索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ白

トータルトップを前局の放銃で上田に渡してしまった日高だったが、このリーチにも向かっていく。10巡目にこのテンパイ。

四筒四筒四筒五筒六筒七筒七筒九筒南南南北北

次巡六筒をツモ。打九筒で勝負していく。またその次巡に北をツモ。選択が迫られた。

四筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒南南南北北  ツモ北

ここでツモり四暗刻のテンパイに取った日高だが、イーペーコーで充分と選択していればすぐに菊原からアガっていた。
そんな中、上田にも手が入っていて2人のリーチと押しに地道に押し返していた。
ハイテイ間際にテンパイを入れた上田。

一万二万三万一索三索一筒二筒三筒三筒四筒五筒白白

次巡に二索をツモり、さらに日高を突き放す2,000・4,000をアガる。

南2局
親の菊原が優勝に向けてさらに加点するためにリーチ。

一万一万三万三万四万四万六万六万二索三索三索発発  リーチ  ドラ七万

ここにも追いかけた日高。

七万八万九万一索二索三索四索五索六索九筒九筒北北  リーチ

ここで菊原から2,600をアガリどんどん失点を取り戻していく。

南3局1本場
親の鹿嶌が2巡目で仕掛けていく。

七索八索九索五筒五筒南南西北北  ポン中中中  ドラ五筒

手が進み大物手を狙った鹿嶌のソウズ全落としから勢いを増した日高がリーチ。

二万三万四万八万八万五索六索三筒四筒五筒七筒八筒九筒  リーチ

鹿嶌は後がないのとソウズは全くいらないため、日高に3,900は4,200を放銃となってしまった。

南4局
現状上田がこの半荘トップ目でトータルが38.4P。日高が浮きの3着で37.3P。
日高、上田の差は1.1P。上田優位な状況で始まった南4局。菊原が3倍満ツモ条件。
条件計算が終わって始まった南4局。ここでも勢いがある日高に好配牌。

一万二万三万四万六万七万七索八索二筒三筒四筒六筒南  ドラ七索

ここでアガれば一気に優位に立てる日高だが、ここから場況に合わせて仕掛けていく。
上田がマンズのホンイツに向かうような手で一気に場のマンズが高くなる。
この判断がなかなか難しいところを日高は上田から1,500を直撃する。

二万三万四万八索八索二筒二筒三筒四筒五筒  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き  ロン二筒

このアガリで一気に形勢逆転。アガるところを制限された上田。
3,900は4,200を鹿嶌から。日高からアガるには2,600以上。菊原からアガる場合は菊原がマイナスに落ちるため、順位点で日高が現状から+1Pになるため5,200以上。ツモだと700・1,300以上。

100

プロ試験に出そうな難しい条件で始まった南4局1本場。
上田がアガリを目指してドラの中を切る。その中を日高がポン。

一万二万三万九万九万二索三索四索北北  ポン中中中  ドラ中

日高はこのテンパイ。上田も6巡目にテンパイをいれる。

二万三万四万七万七万二索三索六索七索八索五筒六筒六筒  ツモ六筒

四索をツモなら1,000・2,000で条件をクリア。もしくはピンフに持っていくための、テンパイ取らずの選択で上田はヤミテンに構えた。
お互いにツモ切りが続いたが日高がラス牌の九万をツモ。4,000は4,100オールで上田を突き放した。

100

このアガリが新人王を決める決定打となり日高が第32期新人王に輝いた!

第4位:鹿嶌文太
「初めてのタイトル戦決勝で何も出来なくて悔しいです。来年戻ってきます!!」

第3位:菊原真人
「1回戦にトップが取れたのにこの結果はその後の内容がよくなかったです。手組みが悪くそれが敗因だったと思います。全然足りませんでした。」

第2位:上田稜
「押しきれなかった部分があり何度もアガリ逃しもありもっと強気でいけばよかったなと思うところを後悔しています。ですが今後も頑張って行きたいと思います!」

優勝:日高志穂
「ミスもたくさんあったと思うのですが、自分の力を出しきれたと思います。ありがとうございました!!」

100

地方所属の4人目となる女流プロ、日高志穂が優勝で新人王に輝いた。
強気で戦う気持ちが1番強かった。今後の活躍を期待したいと思います!
平成最後の新人王戦。第32期新人王、日高志穂プロ、おめでとうございます!!

第35期 十段戦 内川幸太郎GⅠ制す!

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優勝:内川幸太郎 第2位:佐々木亮 第3位:黒沢咲 第4位:沢崎誠
第5位:藤崎智

最終成績

内川幸太郎 +70.8P
佐々木亮 +65.8P
黒沢咲 ▲31.1P
沢崎誠 ▲42.9P
藤崎智 ▲62.6P

 

 

開催概要

「~持つべきものは善き後輩~」 前原 雄大

「前原さんて、ツモる時、牌山に指を差し伸ばすのが、ワンテンポ速いと思います。」
ある日の勉強会で言ってくれた白鳥翔君の言葉である。

「そうか、ありがとう」
礼を述べたのは、若い白鳥君が年長者である私に申し訳なさそうに言葉を選んでくれたこともあるが、その言葉の中に色々な意味合いが込められていたからである。

私は時折、牌山に指が触れかかったと同時に「ポン」の声がかかる時がある。
遅ポンくらいに考えていたのだが、それは違うことを白鳥君は教えてくれたのである。
指を差し伸ばすのが早く、上家の打牌が他家、殊に私の下家からは見づらかったのだろう。
当たり前の事なのだが、それが出来なくなっている。

休憩時間にそのことを勝又健志君に伝えたところ、彼は言った。
「そういうことならば、僕も言わせていただきますが、前原さんの場合、リーチの発声と打牌が8割方間違っているように思えます」
勝又君にはきちんと礼を述べた。
その後、勝又君とは何度かセットを組んでもらい、基本的なマナーだったり、ルールを教えてもらった。

原因はハッキリしている。
大きな対局の前、集中的に佐々木寿人さん相手に三人麻雀を打ち過ぎるのだろう。
寿人の打牌は本当に速い。攣られて寿人に合わせるとどうしても指がワンテンポ速くなるのだろう。
彼は普通にツモって普通に打牌しているのだが。

三人麻雀の良い処は一人少ない分だけ流れが読みやすいし、押し引きに的確さが求められる。

二索四索六索一筒二筒四筒四筒四筒六筒八筒八筒白発中

仮に2巡目の手牌だったとする。ただし、寿人が既に九索をポンしている。良い時ならば、字牌に手をかけるなり、打二索も悪くない。
悪い時はどうするか。私は打四筒とする。それが、正しいかどうかは解らない。私は打四筒以外の選択肢は持っていないということだけである。
若い時からそう打ってきたし、これからも変わらないだろうと思う。

要は形勢判断の問題である。
このことは麻雀だけとは限らない。物事は徹底させなければならないということである。

私の若い頃はよくラジオを聞いた。FMなどは放っておくとすぐ周波数がずれてしまう。そのため、まめにチューニングをしなければならなかった。それと少し似ている気がする。

カーナビもそうである。便利である。ただ、自分で地図と睨めっこして覚え込んだ道はカーナビより正確である。
殊に、近場を走る時は必要以上に注意する。

先日、巣鴨道場に車で向かう折り、私の目の前を年配の方が自転車で走っていた。それが、いきなり、コテンと倒れたのである。
ゆっくり、注意深く走っていたから良いものの、危うくお互いの人生を棒に振る所だった。あのことは本当に勉強になった。
免許証の返納まで考えた。道路標識も、おそらく全ては把握していないだろう。どんどん、新しい標識が増えているようにも思える。

麻雀も同じで何処かで基本的なルールや、新しいマナーを勝又君や白鳥君に学ばねばならない時期に来ている。
「大体においてムダな動作が多すぎるんですよ」
佐々木様に最近言われた言葉である。

~プロ連盟ⅤS天鳳~
公式ルールは特別な準備はしなかったように思う。いつも通りセットを組んで稽古したくらいである。
WRCルールはセットを組んだり、勉強会でも一打一打を考えながら、流れに乗り損なわないよう努めた。

ロン2もかなりやりこんだ。

 

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11月はとにかく数をこなした。
元来、不器用な性質{何をやらせても}の私は数をこなすうちにそれなりの、私なりの方向性、方法論を身に着けるタイプである。
それでもというか、やはり、結果は芳しいものではなかった。
ベスト10にも入らなかった。この現実を突き付けられた時、少なからずショックを受けた。

原因を考えてみた。
ロン2の方がリアル麻雀よりやりやすい部分がある。手出し、ツモ切りを憶えなくて済むからである。このことはかなり、ありがたい。

原因はハッキリしていた。
ロン2に向かう姿勢が悪かったのである。
帰宅して、それとなく初めて、それとなく数をこなしていた。これでは向上しようがない。

12月に入る前に最低打荘数は16戦と決めた。散漫としてやるのではなく、集中してやるためである。
帰宅して風呂に入り、しばらく横たわり机の上に飲み物を用意した。煙草は集中の妨げになるので、灰皿ごと別の部屋に置いた。
ここまでする必要はないのかもしれない。ただ、不器用な私にとっては最低限、ここまでは必要とする。

決勝メンバーが決まった。連盟側で残ったのは私一人だけだった。言い様のないプレッシャーが私に重く圧し掛かった。
私の気持ちを直ぐに察したのが森山会長だった。

「3人対1人になった時点で連盟の負けだよ」
※決勝が天鳳位3名と前原さん

駅伝のことがフラッシュバックした。
「だから、前ちゃんはいつも通りの麻雀を打って欲しい」
「わかりました」

個人戦であれば次に頑張ればいいや。また、プレッシャーは何処か気分が高揚して楽しくもある。楽しいというと語弊があるかも知れない、心地良いのである。
ただ、個人ではなく、ⅤS天鳳位なのである。大げさではなく、ある意味鳳凰戦より重圧は大きかった。
ロン2の12月度の結果が出た時、少しの不安が取り除かれ、多少の自信が付いた。
やるだけのことはやったのだから___。
そう自分に言い聞かせながらも、一方でどうしても結果を欲しがる自分が間違いなく存在した。

結果は前シーズンに続き、優勝というカタチと結果で終えられた。
カタチと記したのは天鳳のプレイヤーの方々の麻雀に対する純粋さを感じ、余計なモノが何も卓上に存在しなかったからである。
最終局にリーチが入った局面で、最後のリーチ者のツモ番の表情を見て、後日、東海地方に住んでいる後輩に窘められた。
「祈るような表情は前原さんらしくないと思います」
そういうつもりは無かったのだが、彼にはそう映ったのだろう。
普段、物事を冷静に見つめ続ける彼がいうのだから、その方が正しいのかも知れない。

この戦いが終わったのは良いが困ったこともあった。
間近に控えている鳳凰戦に気持ちが向かわないのである。
勿論、稽古は勤しんでいるのだが、気持ちが上がっていかないのである。

高校の友人に尋ねたところ
「お前、それは燃え尽き症候群だよ!らしくないナ」
言葉そのものは知っていたが、こういうモノだとは知らなかった。
「どうすればイイんだ?」
「放っておくしかないだろ」
「じゃあ、そうするわ」
人ごとだと思って、、、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。

第16期プロクイーンベスト16B卓レポート 

 

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1回戦(起家から山脇、北野、根本、浅見)

起家の山脇の役なしドラなしリーチに追いかけた浅見の放銃からスタート。

 

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山脇千文美らしいシンプルな立ち上がり。昨年3位によりベスト16からのシード。
次局早速の大物手。
北野の三役ホンイツトイトイの12,000。
14期プロクイーン以来のベスト16に残った北野由実。

 

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放銃は永世女流最高位の根本佳織。

 

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北野親番で加点し大きなトップ目に。その後もまっすぐ戦い抜き得点を重ねたのだが。

 

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オーラスを迎えた親番は浅見真紀。

 

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0本場チンイツ12,000。

 

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1本場リーチ・一発・ツモ・タンヤオ・ドラ2で6,100オール。

 

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流局の後、3本場七対子・ツモ・ドラ2で4,300オール。

 

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そして、さらにアガリを重ねて8万点。ベスト8への椅子は一つ埋まってしまった。

 

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1回戦終了時
浅見+64.1P 北野▲1.4P 根本▲21.4P 山脇▲42.3P

 

2回戦(起家から山脇、北野、根本、浅見)
後のない山脇、東1局8,000スタート。
その後、決まり手が出ないまま局がじりじりと進んでいく。
ポイントを持っている浅見が局をうまく消化していき、大きな失点もないまま2回戦は山脇の逃げ切り勝ち。これで浅見以外の3者のポイント差はなくなった。

2回戦結果
山脇+28.6P 根本・浅見▲2.6P(同着) 北野▲23.4P

2回戦終了時
浅見+61.5P 山脇▲13.7P 根本▲24.0P 北野▲24.8P

 

3回戦(起家から北野、浅見、山脇、根本)
先制は根本がリーチ・ピンフ・ドラ1を山脇から。

 

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しかしすぐさま山脇が7,700を根本からアガり返す。
すると次は北野が大物手。

 

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放銃はまたしても根本。根本はリーチ後に2連続放銃。
そして、山脇と北野の着順勝負。決着はタンヤオのポンテンを取らずにこのアガリ。

 

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3回戦結果
北野+28.0P 山脇+9.2P 浅見▲4.7P 根本▲32.5P

3回戦終了時
浅見+56.8P 北野+3.2P 山脇▲4.5P 根本▲56.5P

 

最終戦(起家から山脇、根本、北野、浅見)
浅見は確定。北野、山脇の差が7.7ポイントのため完全着順勝負となった。
根本は北野まで約60ポイントあるため、並び関係なく6万点にはしておきたい。

東1局1本場、北野のこれまで積み重ねてきた麻雀が決まる。

 

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ライバルの山脇の親番、三色が確定する三筒だけは鳴かれる方も多いのではないか。
解説の現プロクイーンの西嶋ゆかりもこれだけは鳴きます。と言っていた瞬間、六筒を暗刻にしてリーチを掛けている北野がいた。
すると、

 

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六筒を暗槓した嶺上に最後の三筒が眠っていた。
リーチ・ツモ・三色・嶺上開花・ドラ1・裏ドラ2 4,000・8,000のアガリ。
ライバルの山脇に親かぶりをさせる見事な決まり手となった。
そして山脇に最後のチャンス。

 

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オーラスは浅見が親番のため、残り2局で北野を捲くらなければならない。
差は27,900点。跳満をツモアガれば、オーラスは満貫ツモ条件。倍満をツモれば3,500点差。
わずか4巡目にこのリーチ。打点があるのは間違いないだけに北野は驚いただろう。
しかし結果は根本からの出アガリで山脇はアガることを選択した。
オーラス倍満条件が入ることはなかった。

最終戦結果
北野+36.7P 山脇+11.1P 浅見▲15.5P 根本▲32.3P

最終戦終了時
浅見+41.3P 北野+39.9P 山脇+6.6P 根本▲88.8P

勝ち上がり
1位通過 浅見真紀(最高位戦日本プロ麻雀協会)
2位通過 北野由美(日本プロ麻雀連盟)

第16期プロクイーンベスト16A卓レポート 

 

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1回戦起家から(日向、魚谷、天音、崎見)

起家の日向の12,000で第16期プロクイーンベスト16の幕が開いた。
第14期プロクイーンベスト8で破れた日向藍子(最高位戦日本プロ麻雀協会)

 

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放銃は昨年の準優勝、ベスト16シードの魚谷侑未。

 

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東4局、前局1,300・2,600をアガった崎見の親リーチ。

五万六万五索五索五索三筒三筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  ロン四万  ドラ八筒  裏一万

放銃はドラ暗刻でリーチを打っていた魚谷。
魚谷の持ち点は10,000点を割ってしまう。
トップ目に立ったのは崎見百合(日本プロ麻雀協会)

 

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南1局親の日向、メンゼンでチンイツテンパイが入るも魚谷の当たり牌を止める。

 

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魚谷にとって厳しい展開が続くと思われたが、自力で日向の親を落として迎えた親番、4巡目リーチで4,000オール。
続く1本場で2,600オールとあっという間に原点に戻してしまった。
そしてあっという間に3本場。
3者のトップ争いを制したのは日向藍子。
自らの手で魚谷の親番を落とし初戦をものにした。

日向+24.4P 崎見+9.6P 魚谷▲5.0P 天音▲29.0P

 

2回戦起家から(魚谷、崎見、天音、日向)

1回戦緊張からか戦いから出遅れてしまったように見えた天音が決める。
リーチ後に東を暗カンして嶺上開花ツモアガリ。

 

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大きな3,000・6,000。
このアガリを皮切りに、2回戦目は高い手が続いていく。

 

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日向の12,000。飛び込んだのは崎見。

 

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リーチツモタンヤオ三暗刻の4,000オールで5万点を超え連勝かと思われたところで、天音のこの2回戦2度目の跳満で見事トップを取った。

 

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2回戦成績
天音+38.0P 日向+21.7P 魚谷▲17.0P 崎見▲42.7P

2回戦終了時
日向+46.1P 天音+9.0P 魚谷▲22.0P 崎見▲33.1P

 

3回戦起家から(魚谷、日向、崎見、天音)

後のない魚谷と崎見。
その崎見、東1局に日向に8,000の放銃。
半荘4回戦で上位2人抜けを考えれば、日向はこれで、かなり抜け出した格好。
3者の戦いに絞られた様に見えた。

南1局崎見に勝負手が入る。

 

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ドラを暗刻でリーチをすると、もう1枚ドラを引いて暗槓。しかし、これが空振り。
それでも諦めずに少しづつではあるがテンパイ料などで加点をしていき、南4局を迎えた得点状況は、

 

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魚谷はこのまま逃げ切りたく、崎見はトップは無理でも日向を逆転して2着になり魚谷に離されたくないところだが、、、。

 

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一気にトップ目になってしまう。

3回戦成績
天音+13.1P 魚谷+13.1P 日向▲5.9P 崎見▲20.3P

3回戦終了時
日向+40.2P 天音+22.1P 魚谷▲8.9P 崎見▲53.4P

 

最終戦起家から(魚谷、天音、日向、崎見)

日向はほぼ当確、魚谷と天音の差が31.0ポイント。
プロクイーンのルールはWRCルールで順位点は1着順1万点。
魚谷はトップが最低条件であとは並びが大事になってくる。

点数状況が大きく動いたのは東4局。
魚谷がこのリーチ

 

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そのわずか数秒後

 

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2,000・4,000の大きなツモアガリ。

南1局の魚谷の親番が落ちたとき、魚谷ファンや魚谷自身も少し厳しさを感じたはず。

南2局1,300・2,600を魚谷がアガリ、残すところは日向の親と崎見の親。
崎見はトータル4着目なので何局かはあるかもしれないが依然として厳しいまま。

 

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オーラスを迎えた点数状況。天音と日向がアガリに来ることを考えれば、このままワンツーでフィニッシュしそうである。
しかし、魚谷、崎見の2人テンパイで日向が4着に落ちたため劇的に点数状況が変わる。

 

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このときの魚谷の条件は跳満ツモ、2,600直撃条件。
2本場事件が起きてしまう。魚谷と崎見の仕掛けに窮した日向の選んだ牌が崎見の11,600に直撃。

 

100
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3本場魚谷の条件は500・1,000まで緩和された。
しかし、魚谷にアガリきる力は残ってなく、日向が自力で勝ち上がりを決めた。

最終戦成績
崎見+23.6P 天音+8.4P 魚谷▲8.3P 日向▲23.7P

最終戦終了時
天音+30.5P 日向+16.5P 魚谷▲17.2P 崎見▲29.8P

勝ち上がり 1位通過 天音まこと 2位通過 日向藍子

第13期女流桜花 Bリーグ 最終節成績表

A C

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 西山 あみ(神奈川) 18.2 41.1 62.9 34.4 66.8 223.4
2 古谷 知美(東京) 15.4 11.9 16.4 69.9 46.3 159.9
3 山脇 千文美(北海道) 30.7 ▲ 70.5 ▲ 5.3 92.0 50.8 97.7
4 赤司 美奈子(福岡) 57.5 ▲ 14.2 55.6 ▲ 55.3 44.7 88.3
5 黒沢 咲(東京) 76.1 ▲ 8.7 28.0 39.0 ▲ 47.1 87.3
6 小島 優(愛知) 48.3 ▲ 13.4 ▲ 14.6 33.2 10.8 64.3
7 高宮 まり(茨城) ▲ 29.5 52.6 47.3 ▲ 21.2 14.0 63.2
8 西嶋 ゆかり(群馬) 3.7 1.9 44.5 ▲ 19.1 ▲ 26.2 4.8
9 中川 由佳梨(大阪) ▲ 15.6 14.3 6.5 6.6 ▲ 12.6 ▲ 0.8
10 高田 麻衣子(石川) ▲ 9.4 ▲ 39.8 43.1 ▲ 17.5 19.9 ▲ 3.7
11 北野 由実(東京) 30.4 22.0 24.7 ▲ 53.9 ▲ 30.9 ▲ 7.7
12 早川 林香(宮城) 17.3 59.4 ▲ 85.5 4.5 ▲ 10.1 ▲ 14.4
13 白銀 紗希(青森) ▲ 49.7 ▲ 12.2 7.3 47.7 ▲ 16.7 ▲ 23.6
14 波奈 美里(宮城) ▲ 28.4 ▲ 36.2 9.4 18.2 11.3 ▲ 25.7
15 優木 美智(福岡) ▲ 33.8 4.0 76.8 1.2 ▲ 74.4 ▲ 26.2
16 平岡 理恵(静岡) ▲ 16.9 34.2 ▲ 68.7 25.0 ▲ 18.5 ▲ 44.9
17 川原 舞子(愛知) 76.4 ▲ 16.0 ▲ 43.5 ▲ 19.3 ▲ 43.2 ▲ 45.6
18 井上 絵美子(東京) 16.7 0.1 ▲ 69.1 0.5 ▲ 7.9 ▲ 59.7
19 王 政芳(中国・ハルピン) ▲ 25.2 12.1 ▲ 13.2 ▲ 67.9 32.5 ▲ 61.7
20 山本 美文(静岡) ▲ 46.3 36.1 ▲ 9.2 ▲ 18.0 ▲ 24.6 ▲ 62.0
21 北條 恵美(アメリカ・ニューヨーク) ▲ 66.2 ▲ 63.9 20.5 ▲ 14.3 42.6 ▲ 81.3
22 山口 やよい(千葉) ▲ 3.8 ▲ 10.0 ▲ 37.2 ▲ 63.8 16.1 ▲ 98.7
23 宮内 こずえ(愛媛) ▲ 56.8 40.0 5.1 ▲ 79.2 ▲ 10.7 ▲ 101.6
24 美晤(韓国・ソウル) 17.1 ▲ 45.8 ▲ 103.8 34.3 ▲ 33.9 ▲ 132.1

第13期女流桜花 Cリーグ 最終節成績表

A B

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 大久保 朋美(福井) 0.0 89.4 26.5 48.0 67.0 230.9
2 和久津 晶(東京) ▲ 13.2 77.1 89.1 38.1 0.8 191.9
3 西川 舞(長崎) ▲ 1.6 12.4 ▲ 0.7 83.1 41.2 134.4
4 京平 遥(静岡) ▲ 6.0 52.9 ▲ 2.1 20.5 61.3 126.6
5 松本 千鶴(北海道) 132.8 ▲ 8.6 17.1 ▲ 19.0 ▲ 18.8 103.5
6 長内 真実(北海道) ▲ 21.3 76.5 45.5 ▲ 21.8 8.6 87.5
7 安城 るい(石川) 43.1 39.3 31.3 22.7 ▲ 51.1 85.3
8 池沢 麻奈美(愛知) ▲ 19.3 57.2 46.7 13.1 ▲ 17.1 80.6
9 河野 みのり(福岡) 79.0 14.4 ▲ 5.0 27.6 ▲ 37.7 78.3
10 楠原 遊(東京) 92.9 6.0 5.7 ▲ 14.6 ▲ 18.1 71.9
11 吉田 彩乃(福岡) ▲ 67.7 44.9 32.4 ▲ 1.2 56.0 64.4
12 齋藤 麻衣子(福井) ▲ 16.7 34.0 ▲ 39.8 36.5 45.5 59.5
13 内田 みこ(東京) 0.1 ▲ 38.1 23.0 68.3 ▲ 13.2 40.1
14 桜川 姫子(静岡) ▲ 0.6 ▲ 12.5 ▲ 24.3 29.3 43.6 35.5
15 優月 みか(埼玉) ▲ 10.3 ▲ 37.2 ▲ 8.8 43.1 44.6 31.4
16 手塚 紗掬(北海道) 77.6 ▲ 13.5 8.9 ▲ 22.9 ▲ 25.9 24.2
17 一瀬 由梨(鳥取) 28.5 ▲ 13.8 ▲ 7.5 9.6 7.2 24.0
18 小笠原 奈央(千葉) ▲ 10.5 ▲ 18.8 45.8 ▲ 43.9 49.9 22.5
19 ジェン(アメリカ・シアトル) 0.0 ▲ 35.4 40.0 ▲ 27.0 37.5 15.1
20 襟川 麻衣子(埼玉) ▲ 2.3 ▲ 61.8 19.3 11.8 35.8 2.8
21 月江 いくこ(東京) 29.3 12.8 ▲ 28.7 30.1 ▲ 40.8 2.7
22 渋谷 菜瑠美(栃木) 9.5 ▲ 18.3 ▲ 35.1 41.4 1.0 ▲ 1.5
23 松田 彩花(東京) ▲ 22.6 35.1 ▲ 65.0 69.9 ▲ 28.1 ▲ 10.7
24 西城 凛(東京) 27.6 10.0 27.4 ▲ 47.8 ▲ 28.6 ▲ 11.4
25 くさの いおり(茨城) ▲ 42.7 3.3 50.7 ▲ 11.1 ▲ 31.3 ▲ 31.1
26 吉田 祥子(北海道) ▲ 50.0 ▲ 9.6 38.6 13.0 ▲ 27.3 ▲ 35.3
27 古川 彩乃(東京) ▲ 16.9 ▲ 13.8 ▲ 59.0 50.2 ▲ 13.7 ▲ 53.2
28 岡田 紗佳(東京) ▲ 19.8 34.7 ▲ 51.6 33.2 ▲ 50.0 ▲ 53.5
29 水越 京子(埼玉) ▲ 50.0 ▲ 12.0 3.9 ▲ 35.1 36.0 ▲ 57.2
30 室伏 理麻(東京) ▲ 15.1 ▲ 42.6 7.3 ▲ 6.8 ▲ 5.5 ▲ 62.7
31 蒼木 翔子(東京) 53.0 ▲ 38.8 ▲ 32.7 ▲ 44.2 ▲ 17.1 ▲ 79.8
32 片倉 まち(神奈川) 17.3 ▲ 7.3 ▲ 31.0 ▲ 49.7 ▲ 10.4 ▲ 81.1
33 大月 れみ(富山) ▲ 18.0 3.9 ▲ 35.3 ▲ 55.1 8.5 ▲ 96.0
34 如月 明日香(福岡) ▲ 49.1 17.6 2.5 ▲ 68.5 ▲ 7.7 ▲ 105.2
35 青山 めぐみ(千葉) ▲ 33.2 ▲ 93.4 ▲ 10.0 56.9 ▲ 33.9 ▲ 113.6
36 天音 まこと(三重) ▲ 44.3 ▲ 29.4 ▲ 12.0 1.9 ▲ 37.2 ▲ 121.0
37 高橋 侑希(岐阜) ▲ 82.5 14.1 ▲ 73.5 ▲ 3.5 7.2 ▲ 138.2
38 小宮山 一美(神奈川) ▲ 15.5 ▲ 37.8 34.2 ▲ 98.0 ▲ 41.4 ▲ 158.5
39 内山 えみ(東京) ▲ 1.8 ▲ 8.7 ▲ 26.5 ▲ 76.5 ▲ 55.2 ▲ 168.7
40 犬飼 あやの(岩手) ▲ 42.8 ▲ 49.8 ▲ 32.9 ▲ 35.4 ▲ 16.3 ▲ 177.2
41 柊木 かえで(埼玉) ▲ 87.9 ▲ 37.4 ▲ 16.4 ▲ 68.2 18.7 ▲ 191.2

麻雀日本シリーズ2018 第4節レポート 黒木 真生

100

 

 

最下位の沢崎誠(前年度優勝者)を除く全員が予選1戦だけを残すこととなった。
15位の沢崎は残り2試合で12位まで浮上しなければならない。
現在の12位は勝又健志(連盟会長推薦)で▲46ポイント。沢崎との差は約60ポイントで、逆転不可能ではないが、厳しい戦いであることは間違いない。
沢崎は予選残り4試合の内最初の2試合に出場することとなっており、残り2試合の結果待ちだ。仮に大トップで連勝しても、再び勝又に逆転される可能性もある。また、勝又と、その1つ上の11位のともたけ雅晴(リーチ麻雀世界チャンピオン)との直接対決がないのも辛い。
マイナス要素しか出てこないが、プラス要素があるとしたら「沢崎のマムシっぷり」ぐらいだろう。この人は本当にしつこい。不可能を可能にしてしまう粘り強さがあるので、その一点に期待したい。

厳しいのは他のマイナス者も同じで、第14位の金太賢プロ(雀王・最強位)も最終戦が打てないので、仮に一度マクったとしても、最後は再逆転されないことを祈るしかできない。同卓のともたけとの差は50ポイント近くあるが、これを逆転しておけば、プレーオフ進出の可能性はぐっと高まる。

13位の村上淳プロ(最高位)は最終戦で勝又と同卓もするので、プレーオフ進出か否かは完全に自力勝負。もちろん最終的な目標は決勝進出であり優勝だと思うが、まずは一つ目の剣が峰で、ハァハァ言いながら戦う村上プロの姿が見られるだろう。

勝又はボーダーを越えて内側にいることはいるが、やることは村上プロとほぼ変わらない。シビれる最終戦が待っている。

11位のともたけは、金プロあるいは勝又の下には行かないようにしなければならないのだが、この器の大きな男にそんな意識はないだろう。大物手が狙える時は狙うし、ともたけらしい戦い方を見せてくれるに違いない。

第10位多井隆晴プロ(連盟会長推薦)、第9位の近藤誠一プロ(連盟会長推薦)、第8位の井出洋介プロ(将王)の3者は、まずはひどいマイナスをしないことが前提だが、チャンスさえあれば上を狙いたいところ。プレーオフにだけしがみつくのではなく、決勝進出を見据えてポイントを伸ばしたいはずだ。

7位白鳥翔(連盟会長推薦)、6位前原雄大(鳳凰位)、5位佐々木寿人(連盟会長推薦)、4位萩原聖人(連盟会長推薦)、3位瀬戸熊直樹(連盟会長推薦)と、今話題のMリーガーが5人連なり、かつ前原以外が会長推薦で連盟員であるというこの集団。この5名は(プレーオフ進出に限って)言わば安全エリア。
いったん転げ落ちても、またベスト8進出をかけた戦いになった時に頑張ればいいので、ここでチャンスがあったら突き抜けて決勝進出を確定させたい。

2位の松ヶ瀬隆弥(RMUリーグチャンピオン)と首位の平賀聡彦(RTDリーグ2017優勝)はかなり楽な戦いができそうだ。ちょっとでも上積みができればいいわけで、あまり無理をする必要もないし、必要以上に臆病になることもない。
が、この2人も、そうやってあまり途中段階で星勘定を始めるタイプでもなさそうだ。素直に麻雀の本質、勝負と向き合って、攻めるところは攻めるタイプだけに、さらにポイントを伸ばし、ガッチガチの強固な城を築き上げる姿が目に浮かぶ。

【システム】
■16人で一次予選全24回戦(各自6回戦)を行い下位4名が敗退
■12人でポイントを持ち越し二次予選全6回戦(各自2回戦)を行い下位4名が敗退
■8人でポイントを持ち越しプレーオフ全4回戦(各自2回戦)を行い上位4名が決勝進出
■ポイントをリセットし決勝4回戦

【ルール】
30,000点持ち30,000点返し
順位点5,000-15,000
一発・裏ドラあり
その他WRCルールに準ずる

一次予選第1節成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 合計
1 平賀聡彦(RTDリーグ2017優勝) 28.9 44.5 ▲ 13.9 33.5 ▲ 11.0 82.0
2 松ヶ瀬隆弥(RMUリーグチャンピオン) 33.6 2.3 ▲ 27.7 21.7 34.7 64.6
3 瀬戸熊直樹(連盟会長推薦) 6.6 ▲ 29.9 30.7 32.5 6.7 46.6
4 萩原聖人(連盟会長推薦) 29.5 ▲ 6.5 2.2 4.3 6.0 35.5
5 佐々木寿人(連盟会長推薦) 31.9 21.2 ▲ 5.1 16.5 ▲ 30.5 34.0
6 前原雄大(鳳凰位) ▲ 18.6 ▲ 13.1 ▲ 24.2 41.5 45.9 31.5
7 白鳥翔(連盟会長推薦) 28.3 ▲ 12.9 6.0 36.1 ▲ 33.5 24.0
8 井出洋介(将王) ▲ 41.4 8.3 ▲ 6.3 9.7 27.0 ▲ 2.7
9 近藤誠一(連盟会長推薦) 23.8 ▲ 5.9 ▲ 30.5 ▲ 28.5 31.9 ▲ 9.2
10 多井隆晴(連盟会長推薦) ▲ 9.9 2.3 ▲ 8.4 2.0 4.5 ▲ 9.5
11 ともたけ雅晴(第2回WRCチャンピオン) 8.8 37.4 ▲ 36.0 ▲ 12.7 ▲ 9.7 ▲ 12.2
12 勝又健志(連盟会長推薦) 15.0 ▲ 12.2 ▲ 21.4 ▲ 27.3 ▲ 0.1 ▲ 46.0
13 村上淳(最高位) 36.2 ▲ 11.3 ▲ 13.7 ▲ 24.3 ▲ 34.8 ▲ 47.9
14 金太賢(2017最強位) ▲ 30.2 ▲ 18.3 26.4 ▲ 30.4 ▲ 8.5 ▲ 61.0
15 沢崎誠(麻雀日本シリーズ2017優勝) ▲ 28.4 ▲ 40.9 ▲ 12.4 ▲ 25.2 ▲ 106.9
16 藤崎 智(十段位) ▲ 30.2 6.4 辞退

※藤崎智は肺炎療養中のため辞退になりました。

第140回:中級講座『役無しリーチかけるべからず。』 浦田 豊人

2000年2月、私は東京のとある会場にて公式戦の対局中であった。
それは第16期鳳凰位決定戦…、
の隣の卓で実施されていた「A1リーグ入れ替え戦」。

そうなんです。今は無くなりましたが、当時はA1下位者とA2上位者により、2日間半荘12回戦で上位2名勝ち上がりの入れ替え戦があったのです。
その入れ替え戦にA2、3位で進出した私。しかもそれは鳳凰位決定戦と会場を同じく、隣り合わせにして同時開催されていたのでありました。
ちなみにその年の鳳凰戦メンバーは、古川プロ・荒プロ・前原プロ・石﨑プロで、古川プロが見事優勝を果たされました。
レジェンド達は昔から強かったです。

そんな決定戦を尻目に行っていた入れ替え戦。初日を+50Pの1人浮きで終わり、周りから1人目当確マークと言われ、勘違いして迎えた2日目の初戦。
私は下記のリーチをかける。

東3局 北家 ドラ四万 8巡目

一万一万一万四万五万二索二索七索八索九索六筒七筒八筒

「しまったーっ!!」
私は思わず心の中で叫んでしまった。
何がしまったのか?私には公式戦における自分で決めた「掟」が幾つかあった。
その1つが

「役無しリーチかけるべからず。」

初日トップで浮き足だって、自分の決め事を破ってしまう。
次巡のツモがドラの四万、これを親の「死神の優」こと伊藤優孝プロがポン!そして猛烈に私のリーチに無筋を切り飛ばしてくる。
終盤掴んだ七万で伊藤プロにタンヤオドラ3、痛恨の11,600放銃。そして、そのままこの半荘はラスになる。
これで一気に混戦に縺れて、最終戦まで4者の大接戦となりました。
結果、私は幸運にも勝ち上がる事が出来ましたが、もし敗れていたならこの1局が敗因だと思わされる局でした。

役無しリーチが良いか悪いか以前に、なんといっても先ず自分で決めた事を自分で守れないところが、プロとしていただけない。

私が鳳凰戦(プロリーグ)に参加し、闘い方を模索していた時、
「連盟公式ルールはやはりリーチに頼らず、手役をしっかりと作るべき。」
と強く認識させられました。

一発裏ドラがあるルールでは、どうしてもいち早くリーチに持っていった方が有利なケースが多い。打点の低さを一発裏ドラで十分カバー出来るからです。
しかしながら公式ルールにおきましては、リーチは単なる1ハン確定役でしかなく、それ以上にはなり得ません。むしろホンイツの方が面前で3ハン、仕掛けても2ハンなので、リーチよりも得策とも言えるでしょう。

そして公式ルールでは、比較的みんな守備意識が高いので、本手でない人は深入りせず、そのまま受けに回るケースが多く、逆に本手の人からキッチリ逆襲にあいやすくなります。その結果、こちらの役無しリーチはアガッても安く、逆に相手に振り込めば本手の高い手、という事になるケースが多く見受けられます。

安易にリーチに頼らず、しっかりと手役を作る。無意識に手役作りを放棄した結果、テンパイしたからとリーチするなど持っての他。
相手と間合い(打点、速度、点差など)をはかり、状況次第では受けに回れるようにヤミテンに構える。この事が公式ルールにおける生き残り方と考えました。

勿論、リーチは相手からしてみればどうしても「脅威」にうつり、必要以上に回ってしまう可能性もあり、足止めリーチなど効果的な面もあります。
リーチをかけてなかったばかりにアタリ牌を咎められず、結果相手にアガリを奪われる、というケースもあるかと思います。
しかし、闘いのレベルが上がれば上がるほど、そんなケースは少なくなり、足止めリーチにも強者の打牌は特段変わらず、逆にヤミテンでもアタリ牌をピタリと止められて、上級者ほどリーチ云々に打牌が左右されない事も痛いほど知らされました。

中途半端な事をしては勝ち上がれない、生き残れないと感じた私は「役無しリーチを封印」する事に決めたのです。
勿論、手の中にドラが2枚以上ある役無しリーチは問題ありませんが、ドラ0~1枚の時はリーチ禁止と決めました。

それでは例題をあげてみましょう。

 

【 例題① 】

東3局 西家 ドラ九索 8巡目
持ち点 28,000 3着目

二万二万三万四万五万七索八索九索一筒一筒一筒七筒九筒

リーチを打つとアガれば浮きに回れるので、リーチでしょうか?
私の答えは「ヤミテン」です。
本手から反撃を受けた時に、待ちがカンチャンではやはり心細いものです。
場況が良かったり、山読みなどで待ちに自信があったとしても、過信は禁物です。
役無しリーチをかける時は、最低限待ちはリャンメン以上にしたいものです。

 

【 例題② 】

東3局 西家 ドラ九索 8巡目
持ち点 28,000 3着目

二万二万三万四万五万七索八索九索一筒一筒一筒六筒七筒

自分の捨て牌

一索 上向き南八万 上向き七索 上向き九万 上向き三索 上向き
七万 上向き二筒 上向き一万 上向き

例題①とほぼ同じ手牌ですが、待ちがリャンメンです。なら積極的にリーチで良いでしょうか?
否、私の答えはここでも「ヤミテン」です。
注目すべきは自分の捨て牌です。
捨て牌に八万 上向き九万 上向き七万 上向きと1メンツがあり、孤立牌の八万を序盤に切って、その後九万七万と持って来ただけですが、もし上手く打っていたら下記のテンパイ

一万二万三万四万五万七万八万九万七索八索九索一筒一筒

になっていたかもしれません。
もしくは

二万二万三万四万五万七万八万九万七索八索九索一筒一筒一筒

上記の手で既にアガリになっていたかもしれません。
結果論かもしれませんが、麻雀はその結果論を踏まえて闘い方を修正する競技でもあります。
ならば、「手役が出来ていてリーチをかける必要がなかった。」、「アガリ逃しがあった。」という結果を踏まえ、ここは慎重にヤミテンに構えたいと私は判断するのです。

 

【 例題③ 】

東3局 西家 ドラ東 8巡目
持ち点 19,000 4着目

二万二万七索八索九索一筒一筒一筒四筒五筒六筒七筒八筒

これならどうでしょう?
今回は捨て牌に1メンツも被っておらず、結果アガリ逃しもなく、他の手役も見当たらない。待ちも3メンチャンなので、反撃が来ても十分に対抗出来る。
でも私の答えはここでもヤミテンです。
確かにリーチでも特に問題ないかと思います。アガリ牌がこぼれて、見過ごすのも罪かと思います。しかしドラが東というのが気に入りません。ドラを持って来て鳴かれた時はどうしましょう?
ドラを鳴いた人の捨て牌に待ち牌の三筒六筒九筒が切られていたら、もしかしたら脇の方から捨ててくれるかもしれません。
しかし、そうならない場合は伸るか反るかの確率で、ハイリスクローリターンで大物手と一対一で対峙しなければなりません。
なので私は「持って来たら止める牌」がある場合や「相手に大物手の気配」がある場合は消極的かもしれませんが、ヤミテンを選択します。

大物手の気配と書きましたが、そういえば私の掟の中で
「大三元の2種類目を鳴かせない。」
という決め事があります。

役満の中で一番出来やすいのは大三元と言われます。他の役満と違って9枚で完成してしまいますので、そう言われるのでしょうか。
1つ鳴かれた三元牌の2種類目を鳴かれた場合は、アガリ確率がぐんとアップします。
そこで私は序盤で誰かが三元牌を1つ仕掛けている場合は、自分から絶対に2種類目を切らない事に決めました。
「そんな馬鹿な!?1つ翻牌を鳴かれただけで、次の翻牌を切らないなんて、そんな事してたら一生勝てないのでは!?」
確かに大変窮屈な話だと自分でも思いました。でも自分で決めたので、誰かにバレるまでやってみよう、誰かに大三元をアガられるまでやってみよう、と軽い気持ちで実行してみました。
当時は映像対局も無かったせいか、誰にもバレる事なく、たまたまかもしれませんが、結局一度も大三元をアガられる事はありませんでした。
この掟は大変窮屈なので、流石に皆さんにオススメする事は致しませんが、
「翻牌を鳴かれたら、先ず大三元を警戒せよ。」
とは頭に入れておいて下さい。

大三元以外にも国士などの役満志向・大物手志向の方がいる場面では、上記のドラ東同様、「持って来たら止める牌」と同じ意味合いで、リーチは控えます。

あと、上記例題③でもう1つリーチをかけない理由として、持ち点が19,000の4着目という位置が非常に気になります。
こういう時は「体勢」が相手に比べて悪い時が多く、そんな時に無理をすると傷口が広がるパターンだからであります。
この「体勢」については大変抽象的かつオカルト的で、非常に話が長くなり、今回のテーマから脱線していきますので、あらためてお話させて頂きたいと思います。

以上をまとめますと、
私が決めた「役無しリーチのみ(またはドラ1)をかけない」ルールは、
①待ちが悪い。
(リャンメンでない。)
②手役を逃してヤミテンの機会を逸している。
③結果的に一度アガリを逃している。
④持って来たら止めるべき牌が存在する。
⑤他者に大物手の気配がある。
⑥体勢が悪い。
この①~⑥にどれかに当てはまる場合は、「役無しリーチかけるべからず。」としております。

そして上記の①~⑥は役無しリーチの判断基準の時だけでなく、役有りの時に
「リーチをかけるか?ヤミテンにするか?」の判断をする時にも同じように使えたりします。

下記の例題④で、ドラを変えてそれぞれ考えてみましょう。

 

【例題④】

東3局 西家 8巡目

六万七万七万八万八万九万四筒五筒七筒八筒九筒九筒九筒

◯ドラが九索の場合

「ピンフのみのテンパイはヤミテン。」
連盟公式ルールを覚えた時にそう教えられた方も多いと思います。
一番の理由は1,000点の手に1,000点を払って2,000点にするのは得策ではない、典型的なハイリスクローリターンであるという事。
これをリーチしてしまう人は、もう「リーチ病」と言わざるしかないです。

◯ドラが八筒の場合

ピンフドラ1のテンパイ。
このあたりが一番悩むのではないでしょうか?
リーチをかけて出アガリ3,900、ツモって5,200、打点的にもリーチでも問題ないと思います。
ただ本手というほどの打点でもありませんので、ヤミテンのままでも勿論良いと思います。
つまりどちらでも良い状況と言え、こんな時は「自分の捨て牌」を眺めてみましょう。

もし捨て牌に1メンツが出来ていたら要注意です。それが手順通りの単なる結果論であっても、もしかしたらアガリ逃しをしていた可能性があるという事です。
「アガリ逃しをした後は他者のアガリ番が来る。」
という昔ながらの格言?があります。
こんな時はより慎重に対応する事も必要で、ヤミテンでサッとかわしにいきます。
またアガリ逃しは見られないものの、自分の切った牌をタイミング良く鳴かれた場合なんかも要注意です。
そんな時は自分が主役でない、脇役なのかもしれませんので…。
自分の役どころを見極めましょう。

◯ドラが八万の場合

ドラが2枚あるので、リーチをかければ出アガリ7,700と本手であるので、リーチで問題ないかと思います。
しかし、それでも周りに不穏な気配がないかの警戒が必要であります。

例えば親が前巡に下記のように仕掛けている時…。
7巡目 七索 左向き五索 上向き六索 上向き

捨て牌
白中一筒 上向き七万 上向き三万 上向き八索 上向き
五索 上向き中九筒 上向き

白中と翻牌から切り出しており、早くストレートな手作りが伺える。
※ドラ隣の七万が4巡目に切られていて、ドラトイツかもしれない。
※誰も仕掛けておらず、四索七索がそんなに薄いわけでもないのに、7巡目に五索五索六索からのリャンメンチー。
※ダブ東がまだ場に顔を出していない。
※タンヤオ牌がよく切られているが、七対子にも見えない。

こんな時は親に「ロン!」と言われたら、11,600を覚悟しなければなりません。

八万八万三筒四筒六筒七筒八筒東東東  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き

こんなダブ東暗刻のドラ八万対子の親満チーテンを警戒しなければならず、リーチをかけて放銃に回れば痛恨の1局となってしまいます。
これは「交通事故」ではありません。しっかりと注意していれば防げていた放銃です。自分だけがドラがトイツでないという事を肝に命じましょう。

もう1つの事例、白を仕掛けている親。

ポン白白白

捨て牌
西三筒 上向き四索 上向き七筒 上向き九筒 上向き五万 上向き
二索 上向き東八万 上向き

捨て牌がマンズ・ピンズ・ソウズ・字牌がそれぞれ切られている…、
そう!これこそ典型的な「大三元の捨て牌」です。しかもドラ八万も切られて、完全攻撃体制であります。
こんな捨て牌には発中を切ってはいけません。

七索七索八索五筒六筒七筒発発中中  ポン白白白

最近はホンイツに見せかけて、出来る限り大三元の捨て牌をぼかそうとする人も多いですが、それでも注意深く観察していれば、その偏りは分かるものです。

役無しリーチのところでも説明しましたが、「持って来たら止めるべき牌」が存在する場合は、本手であっても大人しくヤミテンに構える警戒心を持ち合わせましょう。

◯ドラが九筒の場合

ピンフドラ3のテンパイ。
ヤミテンで7,700、リーチをかけても8,000と300点しかアップしないので、そのままヤミテンにされる方が多いのではないでしょうか?私もヤミテンにします。
しかし、本手なら堂々とリーチ、出アガリを期待せずに跳満を引きに行く選択も全然有り得ると思います。
バシッとツモられて、こんな手を開けられたら、内心「この人、本物の強者だ!参ったな。」と思わずリスペクトしてしまいます。
但し、リーチをかけて一番いけない事は、流局して「やっぱりヤミテンだったかなぁ?」と思ってしまう事です。
少しでもそんな思いが頭をよぎる人は、大人しくヤミテンにしましょう。

「役無しリーチかけるべからず。」

あなたの公式ルールの上達に繋がると思いますので、是非実行してみて下さい。

邪道戦法は次回も続きます。
お楽しみに~。

第24期特別昇級リーグ 決勝レポート 福島 佑一

特別昇級リーグ
出場条件・参加資格
4大タイトル出場、40歳未満、プロリーグ、タイトル戦成績優秀者
昇級条件
リーグ戦で欠場、休場がなく、プラスの成績を収めること
優勝・B2昇級
準優勝・C1昇級
3位・C2昇級

決勝出場者
中川基輝+237.2P(+34.4P)C3
宮崎皓之介+179.4P(+0.1P)C3
大和+160.9(+91.1P)C1
斉藤豪+55.1(+31.6P)C1
特別昇級リーグの成績、(リーグ戦の成績)

全員リーグ戦をプラスで終えたため、全員に昇級権利はあるが、斉藤は優勝しか意味がなく190Pの差を捲くらなければいけないためなかなか厳しい。大和は自力でB2リーグに昇級したため権利がないため、優勝を狙ってくるだろう。中川、宮崎は3位以上であれば権利が発生する。もちろん優勝を意識しながら1つでも上の順位を狙ってくるだろう。それぞれ思惑がある中決勝戦が開始された。

 

1回戦(起家から斉藤・中川・宮崎・大和)

東1局
まず中川の勝負の入り方に注目したい。リードを生かして攻めていくのか、それとも守りにいくのか、その中川にまずテンパイが入る。

二万三万三万三万三万四万五索六索七索八索九索八筒八筒  ドラ六索

6巡目で特別場に動きもなかったためリーチするかと思われたが、ヤミテンを選択しすぐにツモリ500・1,000。

東2局
またしても中川に手が入る。

五万五万六万六万七万七万八索八索二筒三筒四筒四筒五筒  ドラ八筒

6枚見えていることもありヤミテンに構え大和から5.800。
この2回のアガリを見て今日の中川は戦い方が守備的であることがわかった。宮崎、大和は追いつくにはツモって中川の点棒を削っていくしかなさそうである。

東3局2本場
大和が魅せる。8巡目にこのアガリ。

一万一万九万一索九索一筒東南西北白発中  ロン九筒

放銃してしまったのが斉藤、巡目も早く余りもなかったため仕方がないが、これでただでさえ苦しいのにより一層苦しくなってしまった。この後斉藤も諦めずに手を作るがアガリ制限がつき何もさせてもらえなくなってしまった。

南2局1本場
追いかけたい宮崎がこのテンパイをいれる。

一万九万九索一筒九筒東南南西北白発中

2回目の役満かと思われたがここは流局。

南3局3本場
宮崎がピンフを大和からアガったのだが、またしても大和に国士のテンパイが入っていた。宮崎、大和ともに執念を見せるもなかなか中川の点棒を削れない。

南3局4本場
宮崎、斉藤がドラ単騎のリーチを掛ける。先に仕掛けていた中川が一度受けに回ったが粘ってテンパイをいれこのアガリ。

三索六索七索八索二筒三筒四筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  ポン北北北  ドラ八索

大和から2,000は3,200。

オーラス親番の大和はトップ目ではあるもののまだまだ点棒稼ぎたいところであろう。しかし2,000を1回アガっただけで中川に親を落とされてしまった。

1回戦結果
大和:+22.0P 中川:+14.9P 宮崎:▲4.4P 斉藤:▲32.5P

トータル
中川:+288.1P 大和:+182.9P 宮崎:+175.0P 斉藤:+22.6P

 

2回戦(起家から宮崎・中川・斉藤・大和)

東1局1本場
前局ピンフをアガリ連荘した宮崎が執念を見せる。

一万一万六万六万四索四索五索五索六索六索七筒八筒九筒  ロン一万  ドラ八筒

ヤミテンで中川から3,900は4,200を討ち取る。出アガリ7,700ツモって3,900オールとリーチをもっとも打ち易い手であったが、中川のペンチャン落しを見抜き見事に直撃をとった。

東2局
宮崎に直撃された中川が勝負に出る。

六索六索七索七索八索二筒二筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒  リーチ  打中  ドラ中

親番で高目11,600あるので普通といえば普通のリーチであるが、1半荘目の打ち方を見ているとヤミテンに構え、ドラ中を鳴かれ危険な牌を持ってくればオリを選択すると思っていた。そしてリーチ宣言牌のドラ中を大和がポンしてテンパイ。

一索一索三索四索五索東東南南南  ポン中中中

大和にとっても直撃する大チャンスなので押していくが八索を掴み11,600の放銃。
ここまでかなり守備的に戦ってきた中川が勝負所できっちり結果をだしてきた。まだまだ先は長いとはいえ優勝は決まってしまったのではないかと思わされるアガリであった。

南4局1本場
オーラス4,200点浮きで迎えた中川が五索八索待ちの役ありテンパイを入れる、テンパイ打牌の発を親の大和に鳴かれてしまう。残り数巡の所でこのアガリ。

五万六万七万七万八万九万一索二索北北  ポン発発発  ロン三索  ドラ発

放銃してしまったのは中川であった。この半荘浮きでさえ終われば大きな優位を持って残り2半荘を戦えるだけにオリたほうがよかったように思える。中川にとって手痛い放銃になってしまった。
2本場は中川がマイナスを受け入れ、アガってこの半荘を終わらせる。

2回戦結果
大和+18.5P 宮崎+8.0P 中川▲9.5P 斉藤▲17.0P

トータル
中川+278.6P 大和+201.4P 宮崎+183.0P 斉藤+5.6P

 

3回戦(起家から斉藤・宮崎・中川・大和)
大和、宮崎はこの半荘はなんとしても自分は浮き、中川をマイナスしておきたいところであろう。
東1局で大和が

三索三索三索四索四索四索二筒二筒八筒八筒  チー三筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ロン二筒  ドラ八筒

斉藤から3,900。

東2局では宮崎が

一万二万三万七万七万二索三索四索三筒五筒  ポン東東東  ツモ四筒  ドラ四筒

2,000オールをアガリ中川を追いかける。このまま黙って見ているわけにいかないと中川が次局仕掛ける。

ドラ九筒一索ポン、九筒ポンと鳴きこの形。

七索六筒七筒東発中中  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ドラ九筒

中川のこういった仕掛けはよく見かけるがこの局面ではどうであっただろうか。ドラの九筒を鳴かせたのが親の宮崎であり、オリてくれることはなかなかないし、逆に他の2人は字牌を打たずにオリることが予想される。となるとリードしている状況で親と1対1になりこの2シャンテンではリスクが高いように思えてしまう。結果は宮崎がリーチを打ち1人テンパイで流局。

東4局
ここで3人の手がぶつかる、最初にテンパイを入れリーチを打ったのは宮崎。

四万五万四索四索一筒一筒一筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ドラ四索

これに追いついたのが中川。

二万三万四万四万五万六万七万七万二索三索二筒三筒四筒

終盤大和も追いつく。

一万二万三万四万五万六万八万九万七索七索六筒六筒六筒

ここで大和、宮崎が勝てば勝負はもつれてくるが結果は3人テンパイで流局。

東4局1本場 供託1
もう1度大和が勝負手のリーチを入れる

一万二万三万四万五万六万六万七万八万九万三筒四筒五筒  ドラ五万

高目6,000オールであったがここは宮崎がかわす。

五万六万七万一索二索三索四索五索五索五索六索三筒四筒  ツモ二筒

南1局
大和がダブリーを打つ

一万二万三万四万五万六万一索二索三索一筒三筒六筒六筒  リーチ  ドラ西

しかし斉藤にかわされてしまう。大和、宮崎は差を縮めてはいるもののなかなか勝負手がアガれず、中川を焦らせるまでにはいたらない。
この後大きな動きはなく、宮崎、大和の2人浮きで終わり、中川をマイナスの3着で終わらせたため、最低限の目標は達成できたもののもっと縮めるチャンスがあっただけに悔しい半荘となった。

3回戦結果
宮崎+19.7P 大和+8.2P 中川▲10.9P 斉藤▲17.0P

トータル
中川+267.7P 大和+209.6P 宮崎+202.7P 斉藤▲11.4P

 

4回戦(起家から大和・宮崎・斉藤・中川)
最終戦になり大和は優勝しか狙ってないであろうが、難しいのは宮崎である。優勝するためには中川との差が65.0Pあり公式ルールでこの差を逆転するのは簡単ではない、しかも大和との差6.9Pと小さくC1が1番可能性の高いところだけに悩みどころである。

東1局
いきなり宮崎に大きな選択が訪れる

三索四索三筒四筒四筒白白中中中  ポン発発発  ドラ六筒

6巡目に大三元の1シャンテンとなり8巡目に四筒が場に切られる。もし宮崎が優勝を強く意識するのであれば鳴かないほうがいいであろうが、2位を意識するのであれば親が大和ということもあり鳴いて小三元のテンパイをとったほうが得なように思える。

難しい選択であるが、宮崎の選択は鳴かず優勝を狙いにいった。すぐに二索が鳴け高目大三元のテンパイが入る。しかしその直後にテンパイを入れた大和に放銃してしまう。

七索八索九索五筒五筒五筒六筒東東東  ポン七万 上向き七万 上向き七万 上向き  ロン六筒

宮崎の優勝を狙った選択は最悪の結果になってしまった。
次局は中川が親を落としにリーチにいく

一万一万三索四索五索四筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒

大和、宮崎も追いつくも中川が五筒をツモリ1,000・2,000は1,100・2,100。
東場の親は落とされてしまったものの大和は追撃の手を緩めず東3局にこのアガリ。

一万二万三万四万六万七万八万九万一筒一筒七筒八筒九筒  ツモ五万  ドラ五万

南1局の親でさらに加点したい大和であったが1本場で親を落としてしまう。これでさすがに決まったと思われたが、南3局、斉藤の親番で中川が局を流すために仕掛けたところに斉藤のリーチを受け、テンパイ打牌で7,700放銃してしまう。安全牌も少なく難しい選択ではあったが、結果一番やってはいけない放銃になってしまった。

2本場で大和が

四万四万五万六万七万二筒三筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  ロン一筒  ドラ二索

ハイテイで斉藤から7,700は8,300のアガリ。

オーラス、大和は7,700の直撃、跳満のツモ、倍満の出アガリの条件でなんとか手をつくるが最後のツモでテンパイを入れるのが精一杯であった。

4回戦結果
大和+40.9P 斉藤+5.9P 中川▲7.7P 宮崎▲39.1P

トータル
中川+260.0P 大和+250.5P 宮崎+163.6P 斉藤▲5.5P

第24期特別昇級リーグは中川の優勝で幕を閉じた。
WRCで2期連続の決勝進出で、今回特別昇級リーグに出場した中川がB2に昇級し、宮崎がC2に昇級することになった。

第32期新人王戦 予選レポート 藤井 崇勝

今年もこの暑い季節がやってきた!
2018年8月25日、第32期新人王戦。
伊藤優考プロから新人のプロへの激励の言葉で開幕した今期の新人王戦。
今後の活躍を夢見て集まった新人プロたちはどのような戦いを見せるのか。

 
100

 

前期の新人王戦から入会して5年目まで出場可能となった今大会。
予選7回戦を1日で行い、上位4名が翌日の決勝で新人王を決めるシステムとなっている。
決勝は日本プロ麻雀連盟チャンネルで生放送され、優勝すると様々なタイトル戦のシードやグランプリMAXに出場することが出来るため、若手にとっては今後活躍するチャンスが増える。是が非でも決勝に残り、優勝したいと思うだろう。
ルールは日本プロ麻雀連盟公式ルールで行われる。

 

100

 

1回戦目、新人の中では十段戦の上田と呼ばれるようになった上田直樹。アガリになかなか結びつかず今日は調子が良くないのかと思われたが、オーラスにようやく本手でアガリを見せる。

一万一万一索三索七索七索八索八索九索九索七筒八筒九筒  ロン二索

このアガリでマイナスを最小限に留めて次に繋げる。

 

2回戦目、天鳳位すずめクレイジーこと石川遼。打点が十分と見て後々にアガリやすくするための打牌選択に目がいく。

北家
三筒四筒六筒七筒八筒東東西西西白白白

最終形はこの形で、テンパイしたのは終盤だがそれまでの道中5巡目で先切りの三筒によってひたすらにピンズが場況的に安くなる。この局はアガることはできなかったがアガれない高打点の麻雀よりもアガれる高打点テンパイをという意思が見えた。

 

3回戦目、東京本部所属の鹿嶌がここで一気に飛び抜ける!!

東4局 南家:鹿嶌

一万二万三万四万五万六万七万八万九万九万四筒四筒五筒  ドラ九索

ここから一万八万九万と連続でツモり、8巡目で一万が高めの九蓮宝燈のテンパイ。九州本部所属の岩村美智子が一万を掴み鹿嶌へ32,000の放銃となった。ここから鹿嶌は南1局の親で4,000オール、6,100オールと一気に加点。10万点を超えるプラスポイントとなった。

4回戦終了時点での上位4名
1位:鹿嶌文太+102.8P
2位:中野妙子+70.5P
3位:中 寿文+67.2P
4位:辰巳春基+66.8P

 

4回戦終了時点で石川遼、別会場で庄田らがマイナスポイントによりここで敗退となった。別会場の参加者も道場にまとめられ5回戦目が開始される。5回戦で下位24名が敗退となる。ボーダーは+24.2P。

 

5回戦、前年度新人王戦2位の大橋幸正が東1局で8,300をアガリ迎えた親番。
東2局 親:大橋

五万六万六万七万七万八万二索三索七索七索六筒七筒八筒  ドラ五筒

ボーダー付近の大橋は少しでも打点を上げるために、手替わりを待ってヤミテンに構える。2巡後ドラの五筒を引き入れてリーチをし、四索でロンアガリ。11,600をアガると次局、この手を6巡目にテンパイ。

一筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒九筒東東  ツモ三筒

九筒としヤミテンで高めの一筒で18,300をアガリ、点数を伸ばす。

5回戦終了時での上位4名
1位:中 寿文+92.6P
2位:瀬下勝也+82.0P
3位:鹿嶌文太+81.6P
4位:中野妙子+77.9P

ここで上田直樹、前年度の新人王戦決勝に残った稲垣悠らが敗退する。この時点で決勝へ進めるボーダーは大体100P前後だろうと目標もわかりやすくなり、決勝に向けて6回戦目が開始される。

南1局 南家:犬飼彩乃

一万一万四万四万四万四索四索四索南南中中中  ドラ一万

ロンアガリでも倍満の四暗刻をテンパイしヤミテンに構える。見ているこちらも手に汗握る。山にはまだアガリ牌が残っていたが、アガることが出来ずに流局となった。
別卓では中部本部所属のプロ1年目、日高志穂が緊張しつつも着実にポイントを重ねていた。
東4局の親で7,700、次局は1人テンパイで流局、2本場は1,300は1,500オールとアガリを重ね、大きくプラスにして7回戦へと進んだ。

6回戦終了時
1位:鹿嶌文太+100.2P
2位:上田 稜+82.2P
3位:柴田航平+72.6P
4位:松田彩花+72.1P
5位:日高志穂+71.1P

決勝進出へのボーダーが6回戦より下がり、近年稀に見る混戦状態となった。1人飛び抜けた鹿嶌以外は最終戦卓内でトップを取った者が実質決勝へ進出するというようなポイント状況になり、誰が決勝へ上がるのか見ているこちらも予想もつかないポイント差で7回戦が開始された。

 

1卓
鹿嶌文太(1位+100.2P)高田翔(8位+66.3P)中野妙子(9位+65.6P)嶋田卓也(16位+56.8P)
2卓
上田稜(2位+82.2P)菊原真人(7位+68.9P)新井駿一(10位+61.9P)瀧田亮(15位+56.9P)
3卓
島田航平(3位+72.6P)中寿文(6位+69.3P)堤文吾(11位+61.8P)瀬下勝也(14位+57.1P)
4卓
松田彩花(4位+72.1P)日高志穂(5位+71.1P)楠原遊(12位+61.5P)田中翔太朗(13位+59.3P)

 

1卓:東1局 南家:鹿嶌

一万一万一万六万七万五索六索七索四筒四筒  ポン発発発  ツモ五万  ドラ発

2,000・4,000を簡単にツモアガリ、その後はアドバンテージを得てから親で一気に50,000点オーバーのトップで勝ち上がりを早々に決めた。

 

2卓
九州本部から東京本部に移籍した上田稜と菊原の競り合いのような展開になる。

東4局 親:上田稜

六索七索八索二筒三筒五筒六筒七筒九筒九筒九筒西西  リーチ  ドラ六索

新井駿一が先制リーチをしそれに追いついた上田稜。

二万四万六万六万六万四筒四筒八筒八筒八筒発発発

2人の競り合いになるかと思われたがそこに菊原が勢いよく追いかけた。

一万一万二万二万三万四万五万二索三索四索六索七索八索  リーチ

一万が1枚切れでなかなかこの手で追いかけることができないと思われるリーチで新井から2,600をアガる。これをアガった菊原が勢いそのまま41,600点のトップで終了した。

 

3卓
南3局の時点で瀬下以外の3人の競り合いとなっていた。
柴田航平が33,100点、堤文吾が36,700点、中寿文が31400点、瀬下勝也が18,800点。

南3局2本場 親:柴田航平

二索三索四索六索七索八索九索九索北北  ポン東東東  ツモ五索  ドラ八索

ここで11,600以上をアガると決勝が目の前の場面で選択は打九索
一索四索七索待ちに変えた直後に北でアガリを逃した柴田航平。ここでアガれずに流局してしまい、決定打を打てなかった。次局堤が3,900は4,800を中からアガリ、堤が決めたと思ったが、オーラスに中寿文が執念の麻雀を見せた。

六万七万七万四索四索五索五索六筒六筒南南白白  リーチ  ドラ六筒

三万六万の選択で六万待ちを選択した中文寿が一発で六万をツモり、3,000・6,000。
堤文吾を捲って中文寿がトップで終了した。

 

4卓
東2局 南家:松田彩花
北海道本部所属の田中翔太朗が親でリーチ。それに対して仕掛けて向かっていた松田彩花。

五索五索一筒一筒一筒二筒二筒二筒南南  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ドラ一筒

親のリーチにハイテイを回してしまうが、形式テンパイが取れると見た日高志穂がハイテイ間際にチーテンを取る。このチーでハイテイが回ってきた田中が南を掴み松田へ12,000の放銃となってしまった。次局、自分のチーでアガリが生まれた日高志穂だが、全く気にしてない様子。

南家:日高志穂

四万四万四万六索六索八索九索南南南発発発  ロン七索

日高が8,000をアガリ、松田と日高の一騎討ちの展開へ。ここでも持ち味の爆発力で一気に加点した日高が50,000点オーバーのトップを決めて勝ち上がりを確定させた。

全卓終了し集計に入り結果発表が始まる。
1位は鹿嶌。2位は日高。3位は2卓で2位だった上田。4位が0.6P差で菊原が決勝へ勝ち上がりを決めた。
5位は3卓でオーラスに執念の3,000・6,000を決めた中だったが0.6P足らずに惜しくも決勝進出とはならなかった。

最終戦終了時の順位
1位:鹿嶌文太+133.1P
2位:日高志穂+117.3P
3位:上田 稜+94.4P
4位:菊原真人+87.5P
5位:中 文寿+86.9P
6位:松田彩花+85.5P

この予選を勝ち上がり決勝へと進出する4名が決まった!

 

100

 

翌日の決勝は夏目坂スタジオで放送対局となり、予選ポイントをリセットされ、半荘4回戦でのトータルポイント勝負になる。

第18期北陸リーグ 決勝レポート

鳴りやまない蝉の声、甲子園も盛り上がる中、
平成30年8月18日、石川県金沢市で第18期北陸プロアマリーグ決勝が行われた。
前期は一般参加者4名での決勝、今期はプロとしてのプライドを賭けプロ一同が背水の陣の覚悟で臨んだ北陸プロアマリーグ。
決勝に残ったのはプロ2名、一般2名。

1位通過 北川さん
2位通過 平澤さん
3位通過 藤本プロ
4位通過 志多木プロ
この4名で今期最後の闘いが始まる。

 

1回戦 北川 平澤 志多木 藤本
東1局は平澤さんが藤本から1,300の出アガリで静かな幕開けとなる。
しかし東2局、早くも場が動く。

一索一索二索二索七索七索八索八索九索九索南南北  ツモ北  ドラ八筒

志多木の3,000・6,000により空気が一変する。
そして同時にもう1人のプロが目を醒ます。
東3局 北川さんがソウズの染め気配で進める中、親の藤本がドラ二筒を打って先制リーチ。
しかし対面の平澤さんがドラ二筒ポンの発声。

藤本
一万二万三万七万八万九万七索八索九索三筒三筒七筒八筒  ドラ二筒

ピンズの上は河に八筒が3枚、九筒が2枚と絶好に見える場況の中、北川さんがソウズのメンホンテンパイ。

一索二索三索三索五索八索八索白白白中中中

一歩遅れる志多木ではあるが567の三色1シャンテンで追いかける。早くも火花散る熱い局面。
このあと間もなく志多木は藤本の当たり牌九筒を掴まされる。しかしこれを止め現物の一筒を切って回る。
そして最後の九筒を平澤さんが掴み放銃。藤本がメンピン三色の11,600出アガリ。
志多木が止めた九筒、それでもアガリきった藤本

これがこの決勝の明暗を分けたと言っても過言ではない。
このあと藤本が2,000点、1,500点とアガリを続けるも場が流れ南場1局5本場へ突入。
親の北川さんが粘り500オールの5本付け。
6本場は藤本が志多木から1,300に1,800付けをアガリきる。
南2局、3局は志多木がアガリを続けトップ目でオーラスを迎える。志多木42,000点の2着目の藤本とは5100点差。しかし親の藤本がこの接戦の中あっさりと捲り返す。

二索二索三筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  ドラ二索

これを北川さんから六筒の出アガリ 12,000
1回戦は藤本のトップで終える。

1回戦成績
藤本プロ +35.9P 志多木プロ +14.4P 北川さん ▲16.0P 平澤さん ▲24.3P

 

2回戦 志多木 平澤 藤本 北川
東1局 藤本がマンズの仕掛けで主導権を握る中、親の志多木が必死に食らいつく。

四万五万五万六万七万七万八万三索三索三索四索五索五索  ツモ七索  ドラ七万

ここで打八万、自分のアガリがマンズにないと見切りをつける。その後ツモ六索を入れ打五万でテンパイ

四万五万六万七万七万三索三索三索四索五索五索六索七索

直後に平澤さんから七万の出アガリ12,000。
早くも一歩抜ける。このあと小場が続く。
迎えた南2局、志多木の配牌に大きな光。

一万二万五万三筒六筒九筒九筒九筒南南南西白  ドラ九筒

満貫以上が見える配牌を得るも決めきれず、親の平澤さんが2,600オールをツモアガる。
志多木が一歩抜けるも全員にトップが見える状況でオーラスを迎える。
志多木38,900 平澤27,700 藤本25,800 北川27,600。
しかしここは志多木がなんとか逃げ切る。

2回戦終了時小計(予選順位点込み)
志多木プロ +38.7P 藤本プロ +27.2P 北川さん +10.2P 平澤さん ▲6.1P

上位2人の着順が入れ替わるが、まだまだ先が見えないポイント差で3回戦へと向かう。

 

3回戦 藤本 北川 志多木 平澤
東場はMAX2,000点という小場で重い空気を漂わせながら南場に突入する。
南1局、場が動く。
藤本がトイトイをツモアガリ1,600オール。
しかしこの流れを止めるべく好調の志多木が対抗。
南1局1本場
志多木のピンズ寄せが決まる。

四筒五筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒南南南西西  ドラ南

これを北川さんがテンパイ打牌九筒を打ち志多木12,000の出アガリ。
その後、南3局に北川さんが藤本から7,700を出アガるも志多木が大きく抜け、2回戦に続き志多木の1人浮き。

3回戦終了時小計(予選順位点込み)
志多木プロ +67.4P 藤本プロ +25.6P 北川さん +1.7P 平澤さん ▲24.7P

 

4回戦 藤本 北川 平澤 志多木
2着目で追いかける藤本、この東1局の親番は是が非でもポイントを叩きたいところに好気配の配牌。
東トイツにドラ六筒が1枚、5,800以上が見えるところ9巡目に高打点期待の1シャンテン

六万七万八万二索三索六索七索八索六筒六筒八筒東東

しかし藤本の親番だけは絶対に断ち切ろうと次巡、志多木がリーチ。この4回戦、早くも勝負所と観戦者も唾を飲む。
そして次巡、藤本ツモ一索でテンパイ。六筒八筒は志多木の現物牌であるが、カン七筒に受けるか生牌のダブ東に受けるか。誰にも答えが見えない一打、藤本が選んだのは打八筒、これをヤミテンでテンパイ。
そして14巡に決着がつく。
それは予想だにしなかった北川さんからのロンの発声だった。志多木から七対子1,600を出アガる。

藤本のアガリを阻止しなければ絶体絶命である状況の北川さんがこの局面を躱す。
それでも東3局、藤本が平澤さんから8,000を出アガリ志多木を追走。
この後、志多木、北川さん、平澤さんの3者は失点を抑えるも藤本がトップでオーラスを迎える。
藤本41,100 北川31,800 平澤26,100 志多木21,000
この時点で平澤さんは絶望的な状況であるが、北川さんには役満ツモアガリの条件が残された。
そして藤本は、1,000・2,000ツモ、北川さんから2,000、志多木から3,200、平澤さんから12,000の出アガリといった条件である。
志多木は藤本の1人テンパイでも勝利。とはいえ志多木優位とは決して言えない状況。
そして最後の1局が始まる。
先制したのは藤本、長考からのリーチ。

二万三万四万八万九万二索三索四索一筒一筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ三索

出アガリ2,600、ツモ1,000・2,000。
しかし藤本の辺七万は北川さんが暗刻で抱えている。この時、北川さんは四暗刻1シャンテン。
そう藤本が長考したのは北川さんが四暗刻狙いで待ち牌の七万がトイツ以上であると読んでいたからである。しかし北川さんはテンパイまでに至らず最後の一巡を迎える。
何も起きなければハイテイは藤本であるが、志多木の暗カンで終了。

4回戦
藤本+21.1P 北川+4.8P 平澤▲8.9P 志多木▲18.0P

最終成績
志多木+49.4P 藤本+46.7P 北川+6.5P 平澤▲33.6P

 

第18期北陸プロアマリーグを制したのは志多木プロ。準優勝 藤本プロ 3位 北川さん 4位 平澤さん
今期のリーグは北川さん平澤さんが抜け出す中、3位以下は混戦の末に迎えた決勝でした。
そして優勝者の志多木プロは予選中盤から最も勢いがありましたが、攻守のバランスが良く、ここ一番の強さも他者を圧倒していたように見えます。
しかし年々レベルが上がっている北陸プロアマリーグ、来期は今期以上の混戦が予想されます。
第19期は9月30日からスタートしますが、今期以上の熱い闘いを見せてくれるはずでしょう。
今回の執筆者である自分も今期は9位で終わりましたが、来期は優勝を目指し今期以上に北陸プロアマリーグを盛り上げたいと思います。
最後になりますが、今回のこの報告に最後までお付き合い頂きありがとうございました。

第2期北陸リーグ 第3節レポート

8月は猛暑日が続いていたが、本日は心地良い風の中、暑さも感じず絶好の麻雀日和の中で北陸プロリーグ第3節が行われた。

北陸プロリーグでは、今期から木原、南、美咲、の3名の新人プロと、移籍組の獅坂、里木が加入してきた。
今節はこの中の数名の活躍が光った。

まずは

1卓、荒谷、木戸、志田木、前田、木原(5人打ち)

1回戦、木原は再三前に出るも木戸に放銃してしまう。
木戸は、現在こそ鳳凰戦の参加はしていないが、元B2リーグの実績をもち、第1期北陸プロリーグでも予選1位で決勝に進出した中堅プロの1人である。
本日は、首位スタートという事もあったが、かわし手をしっかりと決めながら終わってみれば3回のトップでしっかりとポイントを積みげた。
木戸「ポイントを持っていたので打ちやすかった。結果的に上手く行きました。」
木原は、木戸をマークしたと言いつつ1回戦目はラスを引いてしまう。しかし木原は「最近は攻める様にしています。放銃は増えましたが、しっかり戦えているので、手が入ってくれました。」
と言葉通り2回戦の東1局から跳満の勝負手が入る。
ここでも空振りに終わり、嫌な予感が漂うなか迎えた親番東2局にタンピンドラドラのツモアガリ。
1本場、勢いにのった木原は、タンピンドラドラをリーチして見事に出アガリ。
勢いを確信した木原に、更に手が入る。

東2局3本場

一索二索三索五索六索六索七索七索八索三筒三筒六筒八筒  ドラ三筒

ここからヤミテンを選択し、次巡に三筒を引き入れ、八筒切りとし、次巡に一索を持ってきてリーチ、そして四索を一発でツモアガリ。4,200オール

一索一索二索三索五索六索六索七索七索八索三筒三筒三筒  リーチ  ツモ四索

一気に6万点代に乗せた力は、
今期鳳凰戦D3リーグを200ポイント弱で1位昇級した攻撃力を本物であると確信させ、この半荘も更に倍満をアガって締めくくる。
3回戦、今期プロアマリーグを優勝した志多木も踏ん張るものの、木戸、木原の勢いを最後までとめることなく終戦。
荒谷はポイントを大きくマイナスして4節以降苦しい状態となってしまった。

合計
木戸+53.7P
木原+49.1P
前田▲2.0P
志多木▲22.8P
荒谷▲78.0P

2卓、後藤、藤本、本田、成田、里木

1回戦、第1期北陸プロリーグ優勝の後藤が2節を終えた段階で最下位、後半に向けて大きくプラスしたいところ。

南2局北家

後藤の手牌

一索一索三索三索六索六索東西西発発中中  ドラ南

ここに里木は三色の手が入り、ドラ切りリーチ

三万五万三索四索五索七索八索九索三筒四筒五筒北北

直後に、後藤の3,000・6,000のツモアガリ

後藤「このアガリで勢いを感じた!」
と大きくプラスを積み上げたものの、2回戦目に痛恨のチョンボ
後藤は、ポン材に対してまさかの誤ロン。
ミスは誰にでもあるもの、幸い本日は大きくプラスしているので4節以降に期待したいと思うが、苦しい事に変わりはない。
里木は、1回戦2回戦と3着で、我慢の展開だが、3回戦目にトップを取るとこちらも勢いを感じさせる内容となっていく。
迎えた南2局親番で、高め三色のメンピンツモ三色、4,000オール。
次局、6巡目の牌姿がこちら

五万六万七万八万八万三索四索五索二筒三筒四筒七筒七筒  ドラ四筒

これを迷わずリーチして一発でツモり4,100オール。
里木「自信があった」
と、場況の良さや自分の状況を理解した上で見事にものした。
このまま勢いは止まる事なく3回戦、最終戦と連続でトップを取り、しっかりとプラスを積み上げた。
里木は、鳳凰戦においてもD3、D2と連続で昇級しており今後の活躍にも期待したいところ。
第1期北陸プロリーグを惜しくも準優勝の藤本も今期は苦戦中である。
現在は下から3番目と不調のなか、本日は1回戦目から勝負手が入る。

南1局親番

七万七万二索三索二筒二筒二筒五筒六筒七筒中中中  ドラ二筒

こちらを6巡目にリーチといくも流局してしまい、今期の不調が伺える。
ヤミテンが正解か、リーチが正解か、難しい所ではあるが、ポイントを大きく沈んでいる状況も判断に入れると自身もリーチではないかと思う。
勢いを掴むまでにはいかなかったものの、経験を生かしたゲーム運びで本日をプラスで終える辺りは流石である。
成田は持っていた貯金を吐き出し、本田は大きく沈んでしまった。

合計
里木+25.3P
成田▲27.7P
藤本+20.9P
後藤+38.5P
本田▲77.0P

3卓、浦田、獅坂、安城、南、美咲

新人の活躍が目立つ中こちらの卓では南が奮闘していた。

1回戦親番、南の牌姿

四万五万五索八索八索一筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒白  ドラ六索

中盤にドラ受けを拒否した打五索で、一気通貫の決め打ち、これが素直に決まりツモアガリ3,900オール。

三万四万五万八索八索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒

南「今日は、これが素直に決まりいけると思いました。」
これで気分良くした南は、続けて2,100オールと素点を伸ばしていき、1回戦にトップを取ると、その勢いそのままに、2回戦では1人浮きのトップを取る。
獅坂、安城も食らいつくもののポイントを削られる展開となる。
しかし、この卓では流石に新人の勢いだけでは最後まで行かせない。
元A1リーガの浦田が、序盤こそは七対子ドラドラのテンパイなど、勝負手をことごとく山に負ける展開などで苦戦をしいられてきたが、4回戦はきっちりとまとめ上げ、1人浮きのトップでポイントをまとめる。
安定感のある着順には、いつも驚かされてばかりだ。
現在、中級講座担当の浦田の「トップを狙うべからず」が連盟ホームページにてアップされている。
とても勉強なる内容であり、皆さんには是非読んで頂きたいと思う。

合計
南+40.0P
浦田+5.9P
安城▲8.1P
美咲▲18.1P
獅坂▲20.7P

本日は、若手の「勢い」をテーマにして来ましたが、若さなのか、実力なのか、一度のってしまった勢いを生かすパワーには驚かされ、私も、4回戦の中で自分の時間を見つけれるよう努力を心がけようと新人プロから学ばせて頂きました。
今後の活躍も期待すると共に、北陸の選手全員で切磋琢磨して北陸を盛り上げて行きたいと思います。

第35期十段戦 優勝者予想

正解者の中から抽選で1名の方に、第35期十段位獲得後の直筆サインをプレゼント致します。
また、応募された方の中から抽選で2名の方に、決勝進出プロ寄せ書きサインをプレゼント致します。

応募方法:優勝すると思われるプロを記載し、こちら からご応募ください。

※1メールアドレスに対し、1応募とさせて頂きます。
※1メールアドレスより複数の応募があった場合、最後に応募されたもののみ受け付けられます。

なお当選者の発表は賞品の発送を以って代えさせて頂きます。

締め切り:2018年9月14日(金)17:00まで

番号 名前
段位
プロフィール ともたけ 仁平 望月 HIRO 櫻井 ダンプ 柴田 上田 青山
1

藤崎智
九段
第30期鳳凰位
第16、33、34期十段位
グランプリ2005 優勝
他多数
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2

佐々木亮
五段
3

黒沢咲
六段
第6、7期プロクイーン 優勝
第2期女流桜花 3位
第3期女流桜花 準優勝
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4

内川幸太郎
五段
第34期鳳凰位決定戦 4位
第7期グランプリMAX 4位
第37期王位戦 3位
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5

沢崎誠
九段
第13期  十段位
第16、27期  麻雀マスターズ優勝
2013 最強位
2017 麻雀日本シリーズ優勝
他多数
ロン2プロフィールはこちら

 

 

予想者コメント

ともたけ雅晴

本来なら本命の印を付けたい藤崎だが、体調面の不安があるので無印とした。
ならば誰にとなるのだが、放送対局になってからの安定感と未知の力を感じる佐々木を本命に、対抗は近年の充実度から沢崎とした。

◎ 佐々木亮
○ 沢崎誠

 

仁平宣明

ベスト16、ベスト8と劣勢な時間帯もありながらそれを感じさせない絶対的な場の支配力を持ち、勢いが止まらない沢崎を本命とする。
対抗には、療養明けで決勝に臨むということを踏まえても藤崎とする。
藤崎の麻雀には隙がない。守備型という定義は最近の藤崎には似合わない。自分の流れを常に作り出す巧みさ、そしてそれを上回る我慢強さがある。
体調さえ万全で望めば絶対的だと感じているが、今回は沢崎の勢いをとめるのは苦戦するのではないかと予想する。
しかし藤崎は対抗以下の印をつけることは出来ない存在である。

◎ 沢崎誠
○ 藤崎智

 

望月雅継

本来なら、現十段位藤崎と沢崎の本命ー対抗と予想するのがベターだと思うのだが、藤崎の体調面が不安なだけに、今回だけは藤崎は無印に。
そうなると、緩急自在な沢崎を中心に対局が進んでいくものと予想する。
信じられない大逆転劇を演じ続けて決勝に進出した内川と、初代Mリーガーとなった黒沢と悩むところだが、沢崎とのスタイル的な相性と、私自身が惜敗した事を加味して黒沢を本命にしたい。

◎ 黒沢咲
○ 沢崎誠

 

HIRO柴田

藤崎は言うまでもなく本命に。この決勝で最後まで優勝争いに加わるはず。
対抗に予想したのは黒沢。昨年の青山に続き、今年も女性がこの舞台に残った事に対する応援と、黒沢の持ち味を十分に生かし、相手にマークされる前に一気に引き離しての圧勝の図もあるかなと。

◎ 藤崎智
○ 黒沢咲

 

櫻井秀樹

圧倒的なキャリア、技術を持ち、直近の成績も凄まじい大本命沢崎ですが、藤崎十段の復活、内川の予選からの神がかり的な勝負運に期待します。
黒沢、佐々木の個性的な力強い麻雀で、レジェンドの技を破る姿も見てみたい!

◎ 藤崎智
○ 内川幸太郎

 

ダンプ大橋

本来なら藤崎本命も病み上がりの為、今回は流石に印は付けられず。ならば経験、実績から沢崎本命は当然だろう。
また、今回の十段戦で最も乗れているであろう黒沢の初戴冠にも期待が高まる。何しろ自分も完膚なきまで叩き潰されましたからね…

◎ 沢崎誠
○ 黒沢咲

 

柴田吉和

私は内川が十段位決定戦進出を決めた時、数年前のグランプリMAX決勝観戦記の一文が頭をよぎった。
観戦記者は藤崎であった。
『闘いを終えて、まず口数少なくうつむく内川が印象的だった。普段は負けても悔しさはあまり表に出さない選手なのだが、こんな内川は初めて見た。それほど勝ちたいメンバーだったし、獲りたいタイトルだったし、A1戦士として欲しい肩書だったのだろう。先輩として優しい言葉を掛けるつもりはない。悔しがるだけ悔しがればいいと思う。そうすれば近々訪れるであろう初タイトルの喜びは増すはずである。』
藤崎の言葉に運命的なものを感じる。

◎ 内川幸太郎
○ 藤崎智、沢崎誠

 

上田直樹

ありきたりな予想になってしまったが、私は去年までの十段戦のトーナメントでは負けた事が無く、藤崎現十段位だけに負け、2年連続準優勝と涙を飲まされた。
その安定感から藤崎さんと、今年の活躍が際立ち、タイトル総ナメの沢崎さんの一騎討ちと予想する。

◎ 沢崎誠
○ 藤崎智
 
 

青山めぐみ

今年のタイトルを総ナメにしている沢崎プロ‥誰がこの人を止められるんだろうと皆思っているだろう。勢いそのままに、十段位も獲得となるだろうか。
はたまた蝮の毒に立ち向かえるのは誰か?
充実をみせる紅一点・黒沢咲プロと甲乙付けがたいが、ベスト16での90ポイントを捲る粘り強さと今後の連盟を担う若きA1リーガーに一票。

◎ 沢崎誠
◯ 内川幸太郎

第14期静岡プロリーグ 第5節レポート

第14期静岡プロリーグも折り返しとなる第5節を迎えた。
ここまでくると、多少なりともポイントを意識した戦いになってくる。
ポイントのある者は、選択肢が増え有利に戦えるだろう。
逆にポイントの少ない者は、選択肢が少なくなり自ずと前のめりの戦い方となる。
兎にも角にも、決勝戦の椅子は4つ!そこを目指して戦うのみである。
それでは各卓結果を見てみよう。

1卓
藤島健二郎×鈴木秀幸 × 大橋幸正 × 土屋幸弘 × 高木翔太

圧倒的安定感で首位を走る藤島。
他の4人はこのまま藤島を気持ちよく走らせるわけにはいかない!!
なんとしても藤島に土をつけたいところ

結果は
大橋+49.6P 藤島+44.0P 鈴木秀+14.9P 土屋▲30.0P 高木▲78.5P

勝ち頭は大橋!
大橋はこれで6位に順位を上げ、決勝戦進出に向けて良い位置につけた。
そして藤島もしっかりとプラスを重ねガッチリ首位をキープ!!
トータルポイントも200を超えて、早くも当確ランプが点灯しそうである。
鈴木秀が対局後一言
「やっぱ藤島さん強いわ!」
とこぼしていたのが印象的だった。

2卓
望月雅継 × 原佑典 × 杉村泰治 × 青嶋宏樹 × 平岡理恵

この対戦の注目は、上位につける望月・青嶋のポイントを他の3人が削れるか否か。
杉村としては、初戦の大きなマイナスを返し終え、決勝戦進出に向けて足掛かりを作りたいところ。

結果は
青嶋+29.6P 杉村+12.9P 平岡+10.8P 望月+8.9P 原▲62.2P

新人の青嶋がトータルポイントで100を超え5位につけた。
望月も、苦しいながらプラスでまとめて7位。
逆に苦しくなったのが原。別日対局を残しているとは言え、残り6節で決勝戦に残るには前に出てポイントを叩くしかない。
常識的な手組み、常識的な押し引きの原だけに、今後はその常識の殻を破った戦いを見せてほしい。

3卓
太田昌樹 × 鷲見隼人 × 京平遥 × 越川清一 × 都築友和

この卓はポイント中位者5人の対戦となった。
なんとか抜け出し後半戦は決勝戦を見据えて戦いたいところ。

結果は
鷲見+57.2P 京平+19.3P 都築+6.3P 太田▲27.4P 越川▲56.4P

前回優勝の鷲見がやっとプラスで片目が開いた。
京平も着実にポイントを伸ばして8位につけ、意気揚々と後半戦を迎えられそうである。
太田はマイナスで終えたものの、この日の出来からしたら上出来と捉えているかもしれない。
百戦錬磨の太田の今後の戦い方に注目である。

4卓
中寿文 × 足立純哉 × 蓮沼友樹 × 加来千香子

ポイントを持っている足立・蓮沼を何とか捉えたい中。
そしてそろそろエンジンをかけたい加来!
フレッシュな顔ぶれだけに、激しいぶつかり合いが予想される。

結果は
蓮沼+74.4P 中+32.4P 加来▲27.4P 足立▲79.4P

前に出ての叩き合いは蓮沼が制した!
これで蓮沼は130ポイントを超え4位!
中もしっかりとまとめて後半戦は決勝戦を見据えて戦える位置につけた。

5卓
鈴木郁孝 × 佐藤あいり × 平野敬悟× 鈴木涼太

首位の座を藤島に明け渡したものの、まだまだポイントに余裕がある鈴木郁。
ポイントを意識して守りに入ると、自身の長所がなくなってしまうため、最後まで攻め抜いてほしいところ。
他の3人は、何とか浮上のきっかけがほしい…

結果は
平野+29.7P 鈴木郁+27.5P 鈴木涼▲5.1P 佐藤▲52.1P

開始早々
「ロン32,000」
平野の国士無双!!飛び込んだのは佐藤。
不運としか言いようがない放銃だが、その後大きく崩れることなく、マイナスは最小限にとどめた。
平野はやっとの思いでプラス。
残り5節だがここからの巻き返しに期待したい。

6卓
川崎義之 × 山本拓哉 × 中野妙子 × 渡辺洋巳

この組み合わせの初見の印象は、
「山本がやりやすそう」である。
言い方が悪いかもしれないが、良い子麻雀の3人対山本のように見えてしまう。

結果は
山本+83.0P 渡辺▲9.0P 川崎▲17.5P 中野▲56.5P

山本が一気に3位まで順位を上げた!安定した戦い方に長けているだけにポイントを持ったら遺憾無く長所を発揮できる。このまま決勝戦進出まで突っ走りたい!!

第5節まで終わり上位陣のポイントは以下の通り
首位 藤島 +238.3P
2位 鈴木郁 +178.6P
3位 山本 +175.2P
4位 蓮沼 +130.4P
5位 青嶋 +127.1P
6位 大橋 +125.0P
7位 望月 +118.6P

山本と蓮沼が大きくポイントを伸ばし決勝戦進出争いに名乗りを上げた!
今期のボーダーは今までにないぐらい上がりそうである。
次は誰が、この中に割って入って来るのか!

まだ半分と捉えるか
もう半分と捉えるか
今後の選手の戦い方に大いに注目である!!!

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 藤島健二郎 36.0 62.5 8.2 87.6 44.0           238.3
2 鈴木郁孝 108.1 9.5 40.9 ▲ 7.4 27.5           178.6
3 山本拓哉 18.1 5.6 26.4 42.1 83.0           175.2
4 蓮沼友樹 29.8 15.4 2.8 8.0 74.4           130.4
5 青嶋宏樹 58.5 17.2 51.6 ▲ 29.8 29.6           127.1
6 大橋幸正 24.9 ▲ 13.9 47.5 16.9 49.6           125.0
7 望月雅継 51.9 63.9 ▲ 28.2 22.1 8.9           118.6
8 京平遥 22.8 ▲ 5.8 14.8 44.2 19.3           95.3
9 鈴木秀幸 65.6 ▲ 40.9 ▲ 17.7 35.9 14.9           57.8
10 平岡理恵 60.0 ▲ 11.0 ▲ 14.0 10.0 10.8           55.8
11 足立純哉 25.5 90.8 ▲ 11.8 26.3 ▲ 79.4           51.4
12 川崎義之 20.2 37.4   0.9 ▲ 17.5           41.0
13 中寿文 28.1 15.3 ▲ 23.2 ▲ 14.7 32.4           37.9
14 杉村泰治 ▲ 94.0 43.6 59.2 8.4 12.9           30.1
15 太田昌樹 5.6 ▲ 4.8 27.1 16.1 ▲ 27.4           16.6
16 鷲見隼人 ▲ 42.1 ▲ 34.8   7.1 57.2           ▲ 12.6
17 都築友和 ▲ 52.7 ▲ 16.1 ▲ 8.8 44.0 6.3           ▲ 27.3
18 土屋幸弘 ▲ 26.0 ▲ 20.0 27.6 ▲ 0.5 ▲ 30.0           ▲ 48.9
19 渡辺洋巳 ▲ 8.3 6.6 ▲ 36.9 ▲ 33.7 ▲ 9.0           ▲ 81.3
20 越川清一 32.1 16.0 ▲ 51.3 ▲ 26.9 ▲ 56.4           ▲ 86.5
21 佐藤あいり ▲ 17.0 ▲ 59.1 ▲ 4.6 2.5 ▲ 52.1           ▲ 130.3
22 加来千香子 ▲ 17.5 ▲ 23.2   ▲ 65.0 ▲ 27.4           ▲ 133.1
23 平野敬悟 ▲ 23.8   ▲ 75.9 ▲ 69.1 29.7           ▲ 139.1
24 鈴木涼太 ▲ 39.6 ▲ 64.4 ▲ 24.0 ▲ 33.2 ▲ 5.1           ▲ 166.3
25 原佑典 ▲ 70.9   29.0 ▲ 62.9 ▲ 62.2           ▲ 167.0
26 高木翔太 ▲ 70.3   ▲ 22.1 ▲ 34.9 ▲ 78.5           ▲ 205.8
27 中野妙子 ▲ 71.1 ▲ 44.9 ▲ 18.6 ▲ 16.0 ▲ 56.5           ▲ 207.1