グランプリ 決勝観戦記/第8期麻雀グランプリMAX決勝 最終日観戦記  前田 直哉

初日は前原劇場で終わった印象だが、この最終日は誰の日になるのか?そして全てが終わった時に頂点に立っているのは誰なのだろうか?まだ半分ある。ここから何が起こってもおかしくはない。
初日4回戦までの成績
前原雄大+61.4P 勝又健志+6.8P 森山茂和▲11.2P 藤崎智▲57.0P
 
100
 
5回戦(起家から勝又、藤崎、森山、前原)
まずは東2局森山の手牌がこうなる。
六万六万四索六索七索七索七索三筒三筒三筒五筒六筒七筒  ツモ二索  ドラ一筒
既に五索待ちでのタンヤオテンパイを入れていたがここに二索を持ってくる。捨て牌には三索が2枚切れているがここは六索切りを選択する。これは三索でのアガリを期待してではなく、二索四索の重なりを見ての一打である。手役アーティストと言われるほど常に手役を考えての進行であるがこれが見事に成就する。2巡後に六万を暗刻にして二索単騎待ちに受ける。もちろん二索を切れば3面待ちになるがこの手はあくまで三暗刻にしたいという思いが伝わってくる。だがそこへドラドラでのテンパイを入れた前原がリーチとくる。
二万二万二万三万四万五万五索六索一筒一筒六筒七筒八筒  リーチ
更に勝又も白を鳴いてここに参戦してくる。
三索四索四索五索五索六索一筒二筒七筒七筒  ポン白白白 
だがこの仕掛けで引かされたのは二索。前原には比較的安全そうに見えたがこれを森山が捉え6,400を手にする。
 
100
 
六万六万六万二索七索七索七索三筒三筒三筒五筒六筒七筒  ロン二索 
ここまでかなり苦しい展開になっている藤崎も黙ってはいない。次局の東3局、5巡目に早くもテンパイ。
一万二万三万四万四万五索五索六索六索六索中中中  ドラ発
ここはリーチかと思いきや、更なる上を目指してのヤミテンとした。そして10巡目に二万を持ってきて一万切りとする。待ちである三万は既に山に残っていないため、逆に四暗刻への期待が高まる。だが終盤に形式テンパイを入れようと前原が仕掛けて三万が出て行ってしまう。打点こそ3,200だが、トップをひた走る前原からの直撃は3者にとっては良いアガリとなった。そして今度は勝又がアガリをものにする。
二万三万四万二索三索四索七索八索九索四筒五筒六筒六筒  ツモ六筒  ドラ四索
タンヤオに振り替わればリーチもあるだろうが、ここはキッチリと前原の親番を流していく。これで東場が終わり、前原はアガリの無いままラス目。3者にとってはイメージ通りの展開だろう。
だがこの男は黙っていない。南1局1枚目の中を鳴いて、その後四万もポンをしてテンパイを入れた。
六万七万四筒五筒六筒北北  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン中中中  ドラ二索
打点こそ無いがここは一旦アガリを取りに行く姿勢を見せようというところか。だがそうはさせまいと藤崎が3枚目の六索をチーしてテンパイ。
一万二万一索二索三索七索八索九索七筒七筒  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ドラ二索
面前で進めたいところだが、前原に持って行かれまいとスピードを合わせる。しかし11巡目に前原のアタリ牌である五万を引かされ、しばらく考えた後スッと七索を抜いた。ここはさすがである。だが結果前原の1人テンパイとなりまずはラス目から抜け出す。そして南2局は勝又が仕掛けて牽制するも、前原が丁寧に手を進めテンパイを果たす。これに3者は対応しながらも手を進めるがまたしても前原の1人テンパイ。ここまでアガリは1度も無いが2局連続の1人テンパイだけで原点復帰を果たしてしまう。
そして南3局まずテンパイを入れたのは森山。
一万三万四万五万六万七万八万九万三索四索五索一筒一筒  ドラ三万
打点も十分ここはヤミテンとした。そして同巡勝又もテンパイを入れる。
六万七万八万四索四索六索六索七索七索七索八索白白  ツモ五索 
七索を切れば白四索のシャンポン待ちだが八索を切ればイーペーコーとなる。ここは八索を切って後者を選択する。ここに次巡前原もテンパイを入れる。
七万八万四索五索六索二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒白  ツモ四筒 
打ち出される牌は白、シャンポン待ちなら勝又が捉えていた牌だ。それを見て勝又はツモ切りリーチとする!ここはなんとしてでも前原を沈めたいのと、白を切られたことで危険を感じたのだろう。これに前原はドラを持ってくるが一歩も引かないと、当たり前のように切り飛ばす!そして終局間際に勝又が二万を持ってきて森山への放銃となった。
一万三万四万五万六万七万八万九万三索四索五索一筒一筒  ロン二万
勝又にとってはアガリ逃しもあり、前原を追う一番手として手痛い放銃となってしまった。更に森山は畳み掛ける。次はなんとダブりー!ここもドラドラの1シャンテンとなった勝又がこれに捕まってしまう。
三万三万五万六万七万一筒二筒三筒四筒五筒六筒六筒七筒  ダブルリーチ  ロン五筒  ドラ八万
次局は森山が5,800のテンパイを入れるがここは前原がアガリをものにして連荘を終わらせた。オーラスには勝又がツモれば倍満のリーチをして意地を見せるが流局し、5回戦は終了した。
5回戦成績 
森山茂和+25.9P 前原雄大+11.4P 藤崎智▲4.2P 勝又健志▲33.1P
5回戦終了時 
前原雄大+72.8P 森山茂和+13.7P 勝又健志▲26.3P 藤崎智▲61.2P
6回戦(起家から勝又、藤崎、前原、森山)
まずは開局を前原が制す。
 
100
 
三万四万五万三索四索五索六索六索六索七索七索三筒四筒  ツモ二筒  ドラ東
三色こそならなかったがこれをアッサリとツモり精神的にもかなり嬉しいアガリである。東場は前原が攻撃の姿勢を崩さず、リードしたまま南入する。なんとか3者に意地を見せて欲しい!そう思っていると南2局3巡目に森山の手がこうなる。
二万三万六万七万南南西白白白発発中  ドラ六万
最低でも満貫は狙える大物手だ!出来れば前原からアガリたいところであろう。そしてすぐに南が打たれる。当然ポンするのかと思いきやこれをスルー。重い!凄まじく重い!こうすることによってテンパイ後に前原から南が打たれる可能性もあるし、ここまでのツモが効いているのでまだ鳴きを入れたくなかったのだろう。そして7巡目に持って来た暗刻の白をそのままツモ切る。本手なだけにここは繊細な一打だ。だが先にテンパイを入れたのは前原。
四万六万二索二索八索八索八索四筒五筒六筒六筒七筒八筒 
その後八万を持ってきて七万待ちにするが森山も仕掛けを入れて追いつく。
六万七万南南白白白  チー四万 左向き二万 上向き三万 上向き  ポン発発発 
すると今度は勝又も負けまいとドラを引いてリーチとした。
三万四万四万五万五万六万二索三索五索五索七筒八筒九筒  リーチ
その同巡藤崎も絶好の六索を引き追いかけリーチ!
五万六万一索二索三索五索六索七索一筒一筒五筒六筒七筒  リーチ
これで4者テンパイ!結果はすぐに出た。勝又が四索をツモリあげこの大勝負を制した。
その勝又が南3局でもドラを重ねて先制リーチと来た。
一万二万三万四万四万二索三索四索一筒二筒三筒八筒八筒  リーチ  ドラ四万
ここはツモって前原に親被りをさせたいところではある。しかしここ森山でが西を鳴いて追いつく。
二万三万四万四万五万六万七万八万九万九万  ポン西西西 
そこに勝又が六万を掴んで7,700の放銃となった。そして迎えたオーラス、20,900点持ちの勝又が高目ツモなら跳満となるリーチをする。
四万五万六万一索二索三索四索五索六索二筒二筒四筒五筒  ドラ六万
それを受けて親の森山の手牌がこうなる。
四万四万六万七万六索七索五筒六筒六筒七筒八筒西西西 
この状況でリーチと来るからには打点があることはわかる。オリる選択ももちろんあるがここは優勝するためにはなんとしてでも連荘したいところ。そして悩んだ末に選んだ牌は六筒であった。高目放銃…の牌だが勝又はこれを見逃す。ここで森山からアガれば前原のトップで終わりほぼ優勝は決まってしまう為、当然のスルーである。追いかける立場となってしまってはこうする他ないのである。これで森山にチャンスが来たと思いきや、勝又が持って来た牌は六筒であった!諦めない気持ちがこの跳満を呼び込んだに違いない。これでラスから一気にトップまで行き6回戦が終了した。
 
100
 
6回戦成績 
勝又健志+10.9P 前原雄大+5.5P 森山茂和+3.3P 藤崎智▲80.9P
6回戦終了時 
前原雄大+78.3P 森山茂和+17.0P 勝又健志▲15.4P 藤崎智▲80.9P
皆戦っている、前原を捕まえようと必死に戦っている…だが前原の点棒が全く減らない。
7回戦(起家から前原、藤崎、森山、勝又)
小場で迎えた東4局親の勝又が先制リーチを入れる。
四万四万二索三索四索四索五索六索二筒二筒三筒三筒四筒  リーチ  ドラ中
この親でなんとかポイントを大きく伸ばしたいところだが前原もそうはさせまいと仕掛けてテンパイを入れる。
五万六万七万六索六索七索七索八索中中  ポン白白白 
次巡にはドラの中を持ってくるが、五索八索待ちに自信があるのかここは中をツモ切る。更に森山もこれに追いつく。
三万四万四万五万六万七万七万八万八万九万  暗カン牌の背一万 上向き一万 上向き牌の背 
待ちこそ悪いが跳満のテンパイである。だがここも前原がキッチリ五索をツモリ2人のチャンス手を潰してしまった。
南2局、森山が一気にホンイツへと手を進め、7巡目にテンパイを入れる。
一万二万二万三万四万七万八万九万南南南発発  ドラ一万
南家なので出アガリでも跳満だ。ここは前原からの直撃が欲しいところだが、前原も欲しい牌である。その後六万を引き一通も付いて倍満に変化!すると前原もドラを暗刻にしてリーチ!
一万一万一万二万三万四万七万八万二索三索四索六索六索 
大勝負となった!!と、同時に森山が自身の捨て牌を整理し、前にある山を少し下げる。これは…!出るぞ!アトミックリーチ炸裂するぞ!期待に胸が膨らむ。そして森山が切る動作を期待していたら…持って来た牌は五万であった。
一万二万三万四万六万七万八万九万南南南発発  ツモ五万  ドラ一万
見たかった…アトミックリーチが見たかった。しかし倍満で一気にこの半荘トップ目に立った。この現状でのトータルポイントは40ポイント強まで縮まる。そして持って来た親番で更なる加点と思っていると、前原がキッチリ1,000点で終わらせた。そしてオーラスも七対子をアガリ浮きのまま7回戦を終了した。
7回戦成績 
森山茂和+24.4P 前原雄大+7.6P 藤崎智▲8.1P 勝又健志▲23.9P
7回戦終了時 
前原雄大+85.9P 森山茂和+41.4P 勝又健志▲39.3P 藤崎智▲89.0P
ついに残り一戦となった。それにしても前原が安定している。だが森山とのポイント差は44.5Pとかなり面白くなってきた。勝又、藤崎はかなり厳しい条件での最終戦となる。
最終戦(起家から森山、勝又、藤崎、前原)
東1局まず前原が森山の親番をさらっと流し、迎えた東2局に藤崎からリーチが入る。
 
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七万八万九万八索九索五筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒九筒  ドラ一筒
この状況、親番でもない藤崎のリーチなので安いはずもない。だが前原もテンパイを入れると無筋の二万、更にはドラまでをも切り飛ばしていく。この姿勢が前原雄大という男なのである。ここは藤崎がツモるがこれで一局消化なら前原としても悪くない。東3局も前原は森山から2,000をアガリ原点復帰。そして迎えた東4局終盤に森山にテンパイが入る。
四万四万五万五万八万八万九万九万東西西白発  ツモ東  ドラ五万
残りツモ番はハイテイの1回のみ。白発も2枚切れだがここはノータイムで発を切って白待ちを選択する。ツモれば倍満となり、前原が親被りとなるためポイントがかなり詰まるところだ!森山がハイテイ牌に手を伸ばす!!そして山から持って来た牌はなんと皮肉にも発であった。苦悶の表情を浮かべながらツモ切る…開けられた手牌を見て前原はどう思っただろう。次局は藤崎が異様な捨て牌からリーチ。3者は慎重にオリるが藤崎がツモ。
一万二万三万八万九万一索二索三索一筒二筒三筒中中  リーチ  ツモ七万  ドラ一索
この手がもっと早くアガれていれば…藤崎ももどかしく思っているに違いない。これで前原が跳満を親被りとなり東場は終了。いよいよ南入し、森山の最後の親番を迎える。まずは連荘に成功して1本場、ついに森山渾身のリーチが入る。
七万七万八万八万九万九万二索二索七索七索二筒白白  ドラ二索
これをツモれば前原の背中がグッと近くなる。二筒は1枚切れているが残り2枚は山にいる!前原も役無しではあるがテンパイを入れて無筋を切っていく。「会長、私も一歩も引きませんよ」そう声が聞こえてくるようであった。結局森山の手に二筒は訪れることなく流局した。2本場には勝又が国士無双をテンパイするがこれも流局し、森山もテンパイを取ることが出来ずにかなり厳しい状況となり、結果このまま危なげなく局が進み前原が第8期麻雀グランプリMAXの勝者へと輝いた。
最終戦成績 
藤崎智+20.6P 前原雄大+13.9P 勝又健志▲14.9P 森山茂和▲19.6P
最終戦終了時 
前原雄大+99.8P 森山茂和+21.8P 勝又健志▲54.2P 藤崎智▲68.4P
終わってみれば前原の圧勝となったがそれぞれに見せ場のある戦いだった。試合後に前原に勝因を聞いてみた。
「もちろん稽古はしてきたけど、なによりもアタリ牌を持って来ないんだよ」
呆れてこれ以上は聞く気になれなかった(笑)だが、実際今回の決勝ではアタリ牌を掴むことは少なく、他3者が前原のアタリ牌を掴まされ回ることを余儀なくされていた印象がある。
だがあれだけ前に出て戦っているからこそ、そのような展開になるようにも思える。無謀な戦いに思えても前原にとっては必然の戦いなのかもしれない。
鳳凰位を連覇し更にグランプリまで獲り、どこまで強くなるのだろうか。日本プロ麻雀連盟にはずっと一線を走り続けるレジェンドが数多くいる。これは本当に有り難いことだと思うし、尊敬に値する。だがいつかこの大きな壁を乗り越えなければならないし、今度は自分が大きな壁とならなければならない。この決勝を見て感じたことは人それぞれだろうが、若手プロには面白かったでは無く、この決勝の舞台に上がれないことを悔しく思ってもらいたいと思う。決勝での経験は決勝でしか味わえないのである。そしてその経験がまた己を強くする。いよいよ2018年度の戦いが続いていくが、その全てがこの舞台に繋がっているのである。
 
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第8期麻雀グランプリMAX決勝 初日観戦記  前田 直哉

街路樹の桜はもうちらほらと咲き始めている。2017年度を締めくくる第8期グランプリMAX決勝はうららかな日におこなわれた。2017年度に各試合にポイントが決められ、そのトータルポイント上位がこのタイトル戦に参戦出来る仕組みである。いわば今年度活躍した者達が最後のタイトル戦に挑むこととなる。ベスト16、ベスト8、どの試合も見どころが多くその中を勝ち上がってきた4名がここ夏目坂スタジオに出揃った。今年度の決勝メンバーは日本プロ麻雀連盟会長の森山茂和、現鳳凰位の前原雄大、現十段位の藤崎智、第32期鳳凰位の勝又健志の4名で行われる。誰が勝ってもおかしくない豪華な顔ぶれとなった今期、面白い試合になるのは間違いないであろう。

対局当日、試合前の様子は穏やかな雰囲気だったように感じた。だが逆に胸の内に秘めた想いは各自あるようにも思えた。

 

100

 

 

1回戦(起親から、前原・勝又・藤崎・森山)

序盤は静かな展開で進み迎えた東4局、遂に意地と意地をかけた戦いが始まった。まずは勝又が絶好の五索を引いて先制リーチとする。

 

100

 

二万三万四万四索五索六索七索八索五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ドラ七筒

そこへドラを重ねてテンパイを入れた親の森山も参戦し、ここは一旦ヤミテンにかまえる。

二万二万三万三万四万四万六万六万五索六索六索七筒七筒

さらに役牌を仕掛けていた前原にもテンパイが入り、打点は無いが当たり前のように無筋を切り飛ばす。

七万七万七万七索七索一筒一筒一筒四筒五筒  ポン中中中  ドラ七筒

その前原の様子を見てか、次巡、森山が五索単騎のままツモ切りリーチといったのだ。出アガリでも18,000である!同巡前原も2人の無筋をまるで安全牌かのようにツモ切る。ここでアガッた者がこの半荘の主導権を握ることになるであろう、そして誰しもがそれを呼び込むために引くことをしない。結果ここを制したのは安めではあったが勝又が森山から3,900をアガる。これで勝又の半荘になるかと思いきや、そうはさせまいと親の前原から七対子ドラドラのリーチが入る。ここは流局となったが、次局の南1局1本場7巡目に前原の手がこうなる。

二索三索四索六索八索四筒五筒五筒白白白発発中  ドラ一索

ホンイツへと行きたいところだがここは親番でもあり、まだ1枚切れの中を切りだしていく。ここで一気に大物手を仕上げに行く人も多いであろう。しかし捨て牌にマンズが1メンツ並んでしまっている。
ここは無理してホンイツに行くのは厳しいだろうと感じての判断だったように思う。特に前原はこういうところに非常に繊細な打ち手である。そしてすぐ出た五筒をポンして白のみではあるが七索待ちのテンパイをいれる。この時誰があんな手に化けると思っていたであろうか…。その後8巡目にドラの一索を引いて五索待ちに変化。10巡目に森山もピンフのテンパイで追いつく。

六万七万七万八万九万九索九索六筒七筒七筒八筒八筒九筒

ここは森山のアガリとなるかと思っていると、前原は三索を引き二索五索のテンパイへと変化していく。そこへ今度はここまでジッと耐え忍んでいた藤崎もドラ単騎のテンパイを入れる。すると更に前原はドラを引き込み、あの手が12,000のテンパイへと変化するのだった。そこへ上手くまわりながらも手を進めていた勝又にもテンパイが入った。

五万五万五万六万六万一索二索二索二索三索北北北

これで4者テンパイ!またもやぶつかりあいとなった。いったい誰がアガるのか…すると森山が前原のアタリ牌である発を持ってきてしっかりと抑えてまわるが、次の前原が山から手繰り寄せた牌も発であった。

 

100

 

一索一索二索三索四索白白白発発  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ツモ発  ドラ一索

東4局ではアガリに繋がらなかったがあそこでしっかりと戦っているからこそ、この親番でのアガリに繋がっているように思えた。これを機に得点を5万点オーバーまでにするがここから3者も意地を見せ前原の得点を減らし1回戦は終了した。

1回戦成績
前原雄大+21.9P 勝又健志+5.6P 森山茂和▲10.0P 藤崎智▲17.5P

 

2回戦(起親から、勝又・森山・藤崎・前原)

東1局は1回戦トップの前原が8,000をアガリ更にポイントを伸ばしていく。

二索三索四索南南白白発発発  チー三万 左向き四万 上向き五万 上向き  ロン南  ドラ発

だが簡単には逃すまいと森山がここから怒涛の攻撃を仕掛ける。親番となった東2局、足止めと連荘の意味も含めこの形でリーチとする。

一万二万三万八万八万二索三索四索七索九索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ三万

親番ということもあり流局でも良いというところだが、これに対して受けつつ進めていた前原もチンイツまで手が伸びドラの三万をも打ち出していく。そして一索をポンしてチンイツテンパイ。

二索三索四索五索六索六索七索七索八索八索  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ツモ七索  打八索

さすがに流局かと思ったがツモ番の無くなった前原がここに七索を引き、手牌で最も安全そうに見えた八索がこれに当たってしまう。打点こそ3,900だがこれは前原にとって暗雲立ち込める放銃に思えた。東3局、親の藤崎が早々とドラの八索を切り十分形になる。対する森山もドラを重ねて一気に戦闘態勢へと入っていく。先にテンパイを入れたのは藤崎。

二万三万四万二索三索四索四筒五筒五筒六筒七筒白白  ドラ八索

打点こそないがここは連荘して波を一気に引き寄せたいところである。同巡、森山も藤崎のアタリ牌である三筒を重ねて七対子のテンパイを入れた。

 

100

 

一万一万三万三万九万一索一索八索八索三筒東西西  ツモ三筒  ドラ八索

東は初牌ではあるが藤崎の捨て牌と森山の捨て牌に六万が切られており、九万は絶好の待ちに見える。森山は東切りとしヤミテンを選択する。森山も来ているのはわかるがここはさすがの勝又でも九万を止めることは出来ずに見事に6,400の5本場で大きな加点となった。
6,400は7,900、南1局には7,700は8,000をアガリ55,600点までポイントを伸ばしていった。最後は藤崎が浮きを維持して1回戦プラスだった2人を沈めたまま終了した。

2回戦成績
森山茂和+29.9P 藤崎智+4.4P 前原雄大▲11.7P 勝又健志▲22.6P

2回戦終了時
森山茂和+19.9P 前原雄大+10.2P 藤崎智▲13.1P 勝又健志▲17.0P

 

3回戦(起家から、森山・藤崎・前原・勝又)

2回戦劣勢だった勝又が細かいアガリを織り交ぜながら徐々にポイントを伸ばしていく。南1局やっと打点もあり先手も取れた藤崎から先制のリーチが入る。

 

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六万七万八万六索七索八索三筒三筒六筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ九万

ここまで終始後手にまわされながらもジッと我慢してきた藤崎である。ベスト8でも序盤は2ラススタートだったがようやく掴んだアガリから見事に決勝まで駒を進めてきた。ここはなんとしてでもアガリをものにしたいところではあるが、このチャンスも勝又に躱されてしまう。だが南3局その藤崎にまたチャンスが訪れる。先にテンパイを入れたのは森山だが手変わり待ちでヤミテンにかまえる。そして13巡目に待望の九索を引き六索と入れ替えこの形になる。

一万二万三万九万九万一索二索三索七索八索九索七筒九筒  ドラ九筒

すると同巡、藤崎にもテンパイが入りリーチ!

三万四万五万五万六万七万七万八万六筒七筒八筒九筒九筒  リーチ

どちらも勝負手であるが前巡に切った八筒が助かっているだけ藤崎が有利か?どちらも是が非でもアガリに結び付けたいところである。しかし2人の望みは叶わず流局となってしまう。そして迎えたオーラス、親の勝又は加点のチャンスであり森山、前原としては浮きに回って終了したいところだ。最初にテンパイを入れたのは森山、役こそ無いがここで浮ければトータル2番手の前原を沈めたままポイントを離すことが出来る。だがこの半荘ずっとチャンスを伺っていた前原もついにテンパイを入れすぐさまリーチとした。

九万九万三索四索五索七索八索九索二筒三筒四筒白白  リーチ  ドラ九万

打点は十分であるが、リーチ棒を出したことで1人テンパイでも浮きにはならない。こうなると森山は流局してもテンパイなら浮きになる為なんとか凌ぎ切りたいところだが、すぐに持って来たのがアタリ牌でもあるドラの九万。ここは頭を落として迂回し七筒を引き入れ再びテンパイ。このへんは流石である。これでわからなくなったと思ったが、藤崎にもメンホンのテンパイが入ってしまう…打ち出される牌は白。この手をアガれば浮きにもなる為仕方ないが藤崎の不調が気にかかる。これにより前原が浮きにまわって3回戦は終了した。

3回戦成績
勝又健志+19.0P 前原雄大+10.8P 森山茂和▲4.5P 藤崎智▲25.3P

3回戦終了時
前原雄大+21.0P 森山茂和+15.4P 勝又健志+2.0P 藤崎智▲38.4P

トータルトップを奪い返した前原だが森山とのポイント差はほとんどない。勝又も十分射程圏内だが厳しくなったのは藤崎だ。勝負手が入る回数も少ないが、明らかに不調を感じずにはいられない。1日目の最終戦となるこの半荘は誰にとっても重要となるであろう。

 

4回戦(起家から、藤崎・森山・勝又・前原)

東1局親の藤崎が前原から2,900をアガると、今度は前原のリーチを躱して森山が3,900をヤミテンにしてアガリ、東2局には勝又がヤミテンで前原から8,000をアガった。この時点で前原は1人沈みで遂にはトータルマイナスまでいってしまう。普通の人なら精神的にもグラッときてこの半荘は厳しいものになりそうであるが、この人にはそのイメージが思い浮かばないのは私だけではないだろう。そしてそのイメージは現実のものとなる。

東3局南家の前原が南をポンしてこの形。

四万五万三索四索四索七索七筒八筒西白  ポン南南南  ドラ西

南が表示牌にあるとはいえ、この状況でこの牌姿で仕掛けて前に出るのはかなり勇気のいるものだと思える。この鳴きで更に悪くすることもあるだろうが、この状況だからこそジッとしていてはダメだと感じているのかもしれない。そしてドラの西を重ねて1シャンテンとすると白を打ち出しこれを親の勝又がポン。ホンイツのテンパイを入れ場が一気に緊迫する。

五索六索六索七索七索八索発  ポン白白白  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き  ドラ西

それに対し前原も1シャンテンながらも生牌の北をも切り飛ばし、勝又から出た九筒をチーして危険牌である四索を切って追いついた。終盤になり発は山に無く、前原の欲しい二索五索も山に1枚となりさすがに流局かと思ったが、前原が伸ばしたハイテイ牌には待望の五索が眠っていたのだった。

四万五万六万三索四索西西  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ポン南南南  ツモ五索

これで一気に26,000まで戻すがこれだけでは終わらなかった。次は藤崎から5,800、森山から1,500、更にテンパイ連荘をはさみヤミテンからの2,600オール。

三万四万五万二索二索五索六索一筒二筒三筒六筒七筒八筒  ツモ七索  ドラ二索

正直私にとってこの2,600オールのアガリがこの初日でかなり印象に残ったアガリであった。いつもの前原なら当然のリーチなのだが、前局なんとかテンパイはしたものの、アガリ逃しもあった為にヤミテンにしたのか、それともここで確実に5,800をアガることが3者にたいしてかなりのダメージになると考えたのか…。結果はツモったのだがこのアガリを見て対局者はどう感じただろうか?そしてここからもう一発2,600オール。

五万六万六万七万八万九万九万北北北  ポン発発発  ツモ七万  ドラ九索

ついさっきまで18,000しかなかったはずなのに気付けば5万点を超えていた。誰しもがこうならない為に注意し、最善策を考えていたはずである。だがこの連荘に立ち向かえども軍配は前原にあがっていった。そして南場に入っても攻撃の手を緩めることなく、終わってみれば62,400点の大トップで初日の最終戦を締めくくった。

4回戦成績
前原雄大+40.4P 勝又健志+4.8P 藤崎智▲18.6P 森山茂和▲26.6P

4回戦終了時
前原雄大+61.4P 勝又健志+6.8P 森山茂和▲11.2P 藤崎智▲57.0P

かなり縦長にポイントが広がってしまったが、まだ半分あると思うと明日の最終日は更に一波乱も二波乱も起こるに違いない。この4名ならきっと何かやってくれる、そう思わせるメンバーであり、このまま黙っているわけもない。それぞれが何を思い、何をして明日という日を迎えるのだろうか?目が離せない1日になりそうだ。

グランプリ 決勝観戦記/第8期麻雀グランプリMAX決勝 初日観戦記  前田 直哉

街路樹の桜はもうちらほらと咲き始めている。2017年度を締めくくる第8期グランプリMAX決勝はうららかな日におこなわれた。2017年度に各試合にポイントが決められ、そのトータルポイント上位がこのタイトル戦に参戦出来る仕組みである。いわば今年度活躍した者達が最後のタイトル戦に挑むこととなる。ベスト16、ベスト8、どの試合も見どころが多くその中を勝ち上がってきた4名がここ夏目坂スタジオに出揃った。今年度の決勝メンバーは日本プロ麻雀連盟会長の森山茂和、現鳳凰位の前原雄大、現十段位の藤崎智、第32期鳳凰位の勝又健志の4名で行われる。誰が勝ってもおかしくない豪華な顔ぶれとなった今期、面白い試合になるのは間違いないであろう。
対局当日、試合前の様子は穏やかな雰囲気だったように感じた。だが逆に胸の内に秘めた想いは各自あるようにも思えた。
 
100
 
 
1回戦(起親から、前原・勝又・藤崎・森山)
序盤は静かな展開で進み迎えた東4局、遂に意地と意地をかけた戦いが始まった。まずは勝又が絶好の五索を引いて先制リーチとする。
 
100
 
二万三万四万四索五索六索七索八索五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ドラ七筒
そこへドラを重ねてテンパイを入れた親の森山も参戦し、ここは一旦ヤミテンにかまえる。
二万二万三万三万四万四万六万六万五索六索六索七筒七筒
さらに役牌を仕掛けていた前原にもテンパイが入り、打点は無いが当たり前のように無筋を切り飛ばす。
七万七万七万七索七索一筒一筒一筒四筒五筒  ポン中中中  ドラ七筒
その前原の様子を見てか、次巡、森山が五索単騎のままツモ切りリーチといったのだ。出アガリでも18,000である!同巡前原も2人の無筋をまるで安全牌かのようにツモ切る。ここでアガッた者がこの半荘の主導権を握ることになるであろう、そして誰しもがそれを呼び込むために引くことをしない。結果ここを制したのは安めではあったが勝又が森山から3,900をアガる。これで勝又の半荘になるかと思いきや、そうはさせまいと親の前原から七対子ドラドラのリーチが入る。ここは流局となったが、次局の南1局1本場7巡目に前原の手がこうなる。
二索三索四索六索八索四筒五筒五筒白白白発発中  ドラ一索
ホンイツへと行きたいところだがここは親番でもあり、まだ1枚切れの中を切りだしていく。ここで一気に大物手を仕上げに行く人も多いであろう。しかし捨て牌にマンズが1メンツ並んでしまっている。
ここは無理してホンイツに行くのは厳しいだろうと感じての判断だったように思う。特に前原はこういうところに非常に繊細な打ち手である。そしてすぐ出た五筒をポンして白のみではあるが七索待ちのテンパイをいれる。この時誰があんな手に化けると思っていたであろうか…。その後8巡目にドラの一索を引いて五索待ちに変化。10巡目に森山もピンフのテンパイで追いつく。
六万七万七万八万九万九索九索六筒七筒七筒八筒八筒九筒
ここは森山のアガリとなるかと思っていると、前原は三索を引き二索五索のテンパイへと変化していく。そこへ今度はここまでジッと耐え忍んでいた藤崎もドラ単騎のテンパイを入れる。すると更に前原はドラを引き込み、あの手が12,000のテンパイへと変化するのだった。そこへ上手くまわりながらも手を進めていた勝又にもテンパイが入った。
五万五万五万六万六万一索二索二索二索三索北北北
これで4者テンパイ!またもやぶつかりあいとなった。いったい誰がアガるのか…すると森山が前原のアタリ牌である発を持ってきてしっかりと抑えてまわるが、次の前原が山から手繰り寄せた牌も発であった。
 
100
 
一索一索二索三索四索白白白発発  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ツモ発  ドラ一索
東4局ではアガリに繋がらなかったがあそこでしっかりと戦っているからこそ、この親番でのアガリに繋がっているように思えた。これを機に得点を5万点オーバーまでにするがここから3者も意地を見せ前原の得点を減らし1回戦は終了した。
1回戦成績
前原雄大+21.9P 勝又健志+5.6P 森山茂和▲10.0P 藤崎智▲17.5P
 
2回戦(起親から、勝又・森山・藤崎・前原)
東1局は1回戦トップの前原が8,000をアガリ更にポイントを伸ばしていく。
二索三索四索南南白白発発発  チー三万 左向き四万 上向き五万 上向き  ロン南  ドラ発
だが簡単には逃すまいと森山がここから怒涛の攻撃を仕掛ける。親番となった東2局、足止めと連荘の意味も含めこの形でリーチとする。
一万二万三万八万八万二索三索四索七索九索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ三万
親番ということもあり流局でも良いというところだが、これに対して受けつつ進めていた前原もチンイツまで手が伸びドラの三万をも打ち出していく。そして一索をポンしてチンイツテンパイ。
二索三索四索五索六索六索七索七索八索八索  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ツモ七索  打八索
さすがに流局かと思ったがツモ番の無くなった前原がここに七索を引き、手牌で最も安全そうに見えた八索がこれに当たってしまう。打点こそ3,900だがこれは前原にとって暗雲立ち込める放銃に思えた。東3局、親の藤崎が早々とドラの八索を切り十分形になる。対する森山もドラを重ねて一気に戦闘態勢へと入っていく。先にテンパイを入れたのは藤崎。
二万三万四万二索三索四索四筒五筒五筒六筒七筒白白  ドラ八索
打点こそないがここは連荘して波を一気に引き寄せたいところである。同巡、森山も藤崎のアタリ牌である三筒を重ねて七対子のテンパイを入れた。
 
100
 
一万一万三万三万九万一索一索八索八索三筒東西西  ツモ三筒  ドラ八索
東は初牌ではあるが藤崎の捨て牌と森山の捨て牌に六万が切られており、九万は絶好の待ちに見える。森山は東切りとしヤミテンを選択する。森山も来ているのはわかるがここはさすがの勝又でも九万を止めることは出来ずに見事に6,400の5本場で大きな加点となった。
6,400は7,900、南1局には7,700は8,000をアガリ55,600点までポイントを伸ばしていった。最後は藤崎が浮きを維持して1回戦プラスだった2人を沈めたまま終了した。
2回戦成績
森山茂和+29.9P 藤崎智+4.4P 前原雄大▲11.7P 勝又健志▲22.6P
2回戦終了時
森山茂和+19.9P 前原雄大+10.2P 藤崎智▲13.1P 勝又健志▲17.0P
 
3回戦(起家から、森山・藤崎・前原・勝又)
2回戦劣勢だった勝又が細かいアガリを織り交ぜながら徐々にポイントを伸ばしていく。南1局やっと打点もあり先手も取れた藤崎から先制のリーチが入る。
 
100
 
六万七万八万六索七索八索三筒三筒六筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ九万
ここまで終始後手にまわされながらもジッと我慢してきた藤崎である。ベスト8でも序盤は2ラススタートだったがようやく掴んだアガリから見事に決勝まで駒を進めてきた。ここはなんとしてでもアガリをものにしたいところではあるが、このチャンスも勝又に躱されてしまう。だが南3局その藤崎にまたチャンスが訪れる。先にテンパイを入れたのは森山だが手変わり待ちでヤミテンにかまえる。そして13巡目に待望の九索を引き六索と入れ替えこの形になる。
一万二万三万九万九万一索二索三索七索八索九索七筒九筒  ドラ九筒
すると同巡、藤崎にもテンパイが入りリーチ!
三万四万五万五万六万七万七万八万六筒七筒八筒九筒九筒  リーチ
どちらも勝負手であるが前巡に切った八筒が助かっているだけ藤崎が有利か?どちらも是が非でもアガリに結び付けたいところである。しかし2人の望みは叶わず流局となってしまう。そして迎えたオーラス、親の勝又は加点のチャンスであり森山、前原としては浮きに回って終了したいところだ。最初にテンパイを入れたのは森山、役こそ無いがここで浮ければトータル2番手の前原を沈めたままポイントを離すことが出来る。だがこの半荘ずっとチャンスを伺っていた前原もついにテンパイを入れすぐさまリーチとした。
九万九万三索四索五索七索八索九索二筒三筒四筒白白  リーチ  ドラ九万
打点は十分であるが、リーチ棒を出したことで1人テンパイでも浮きにはならない。こうなると森山は流局してもテンパイなら浮きになる為なんとか凌ぎ切りたいところだが、すぐに持って来たのがアタリ牌でもあるドラの九万。ここは頭を落として迂回し七筒を引き入れ再びテンパイ。このへんは流石である。これでわからなくなったと思ったが、藤崎にもメンホンのテンパイが入ってしまう…打ち出される牌は白。この手をアガれば浮きにもなる為仕方ないが藤崎の不調が気にかかる。これにより前原が浮きにまわって3回戦は終了した。
3回戦成績
勝又健志+19.0P 前原雄大+10.8P 森山茂和▲4.5P 藤崎智▲25.3P
3回戦終了時
前原雄大+21.0P 森山茂和+15.4P 勝又健志+2.0P 藤崎智▲38.4P
トータルトップを奪い返した前原だが森山とのポイント差はほとんどない。勝又も十分射程圏内だが厳しくなったのは藤崎だ。勝負手が入る回数も少ないが、明らかに不調を感じずにはいられない。1日目の最終戦となるこの半荘は誰にとっても重要となるであろう。
 
4回戦(起家から、藤崎・森山・勝又・前原)
東1局親の藤崎が前原から2,900をアガると、今度は前原のリーチを躱して森山が3,900をヤミテンにしてアガリ、東2局には勝又がヤミテンで前原から8,000をアガった。この時点で前原は1人沈みで遂にはトータルマイナスまでいってしまう。普通の人なら精神的にもグラッときてこの半荘は厳しいものになりそうであるが、この人にはそのイメージが思い浮かばないのは私だけではないだろう。そしてそのイメージは現実のものとなる。
東3局南家の前原が南をポンしてこの形。
四万五万三索四索四索七索七筒八筒西白  ポン南南南  ドラ西
南が表示牌にあるとはいえ、この状況でこの牌姿で仕掛けて前に出るのはかなり勇気のいるものだと思える。この鳴きで更に悪くすることもあるだろうが、この状況だからこそジッとしていてはダメだと感じているのかもしれない。そしてドラの西を重ねて1シャンテンとすると白を打ち出しこれを親の勝又がポン。ホンイツのテンパイを入れ場が一気に緊迫する。
五索六索六索七索七索八索発  ポン白白白  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き  ドラ西
それに対し前原も1シャンテンながらも生牌の北をも切り飛ばし、勝又から出た九筒をチーして危険牌である四索を切って追いついた。終盤になり発は山に無く、前原の欲しい二索五索も山に1枚となりさすがに流局かと思ったが、前原が伸ばしたハイテイ牌には待望の五索が眠っていたのだった。
四万五万六万三索四索西西  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ポン南南南  ツモ五索
これで一気に26,000まで戻すがこれだけでは終わらなかった。次は藤崎から5,800、森山から1,500、更にテンパイ連荘をはさみヤミテンからの2,600オール。
三万四万五万二索二索五索六索一筒二筒三筒六筒七筒八筒  ツモ七索  ドラ二索
正直私にとってこの2,600オールのアガリがこの初日でかなり印象に残ったアガリであった。いつもの前原なら当然のリーチなのだが、前局なんとかテンパイはしたものの、アガリ逃しもあった為にヤミテンにしたのか、それともここで確実に5,800をアガることが3者にたいしてかなりのダメージになると考えたのか…。結果はツモったのだがこのアガリを見て対局者はどう感じただろうか?そしてここからもう一発2,600オール。
五万六万六万七万八万九万九万北北北  ポン発発発  ツモ七万  ドラ九索
ついさっきまで18,000しかなかったはずなのに気付けば5万点を超えていた。誰しもがこうならない為に注意し、最善策を考えていたはずである。だがこの連荘に立ち向かえども軍配は前原にあがっていった。そして南場に入っても攻撃の手を緩めることなく、終わってみれば62,400点の大トップで初日の最終戦を締めくくった。
4回戦成績
前原雄大+40.4P 勝又健志+4.8P 藤崎智▲18.6P 森山茂和▲26.6P
4回戦終了時
前原雄大+61.4P 勝又健志+6.8P 森山茂和▲11.2P 藤崎智▲57.0P
かなり縦長にポイントが広がってしまったが、まだ半分あると思うと明日の最終日は更に一波乱も二波乱も起こるに違いない。この4名ならきっと何かやってくれる、そう思わせるメンバーであり、このまま黙っているわけもない。それぞれが何を思い、何をして明日という日を迎えるのだろうか?目が離せない1日になりそうだ。

女流プロ麻雀日本シリーズ2018 決勝成績表

システム

■予選全24回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
優勝 魚谷 侑未(連盟会長推薦) 11.8 ▲ 13.5 6.2 44.1 48.6
2 黒沢咲(連盟会長推薦) 26.4 36.3 30.5 ▲ 55.8 37.4
3 西嶋千春(第17期女流最高位) ▲ 0.6 ▲ 29.5 ▲ 9.0 15.8 ▲ 23.3
4 池沢麻奈美(連盟会長推薦) ▲ 38.6 6.7 ▲ 27.7 ▲ 4.1 ▲ 63.7

プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 池沢麻奈美(連盟会長推薦) 87.8 ▲ 7.9 39.0 118.9
2 魚谷 侑未(連盟会長推薦) 40.9 35.9 14.9 91.7
3 黒沢咲(連盟会長推薦) 115.9 ▲ 28.4 ▲ 6.6 80.9
4 西嶋千春(第17期女流最高位) 122.8 ▲ 28.8 ▲ 13.9 80.1
5 仲田加南(第12期女流桜花) 18.7 7.6 10.8 37.1
6 二階堂 亜樹(女流プロ麻雀日本シリーズ2017優勝) 71.8 ▲ 8.8 ▲ 30.9 32.1
7 佐月麻理子(第26期麻雀マスターズ) ▲ 12.4 1.7 29.9 19.2
8 朝倉ゆかり(第16期女流雀王) ▲ 4.7 28.7 ▲ 43.2 ▲ 19.2

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 西嶋千春(第17期女流最高位) 15.8 ▲ 26.6 32.7 ▲ 7.4 94.5 ▲ 6.4 5.1 15.1 122.8
2 黒沢咲(連盟会長推薦) 19.7 ▲ 25.3 27.9 22.1 ▲ 5.7 26.4 41.5 9.3 115.9
3 池沢麻奈美(連盟会長推薦) 25.1 10.4 26.6 ▲ 22.4 ▲ 8.6 29.4 17.0 10.3 87.8
4 二階堂 亜樹(女流プロ麻雀日本シリーズ2017優勝) ▲ 4.8 ▲ 9.0 ▲ 8.0 26.4 34.6 33.6 ▲ 28.3 27.3 71.8
5 魚谷 侑未(連盟会長推薦) ▲ 22.1 ▲ 34.7 ▲ 41.4 34.8 0.5 12.7 71.1 20.0 40.9
6 仲田加南(第12期女流桜花) 5.7 10.7 8.2 ▲ 22.6 27.3 4.5 ▲ 6.7 ▲ 8.4 18.7
7 朝倉ゆかり(第16期女流雀王) 3.4 12.4 12.4 6.5 ▲ 23.6 21.9 ▲ 14.1 ▲ 23.6 ▲ 4.7
8 佐月麻理子(第26期麻雀マスターズ) ▲ 21.6 7.5 10.4 ▲ 29.3 ▲ 24.8 8.1 11.4 25.9 ▲ 12.4
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 6.7 ▲ 10.0 ▲ 9.0 ▲ 1.7 ▲ 10.6 ▲ 31.1 38.2 ▲ 11.6 ▲ 29.1
10 西嶋ゆかり(第15期プロクイーン) ▲ 10.5 29.6 25.2 ▲ 14.1 ▲ 57.9 ▲ 20.0 ▲ 26.1 ▲ 5.7 ▲ 79.5
11 山脇千文美(連盟会長推薦) ▲ 11.5 ▲ 16.4 ▲ 32.7 ▲ 10.2 ▲ 30.9 22.2 ▲ 44.4 ▲ 32.6 ▲ 156.5
12 高宮 まり(連盟会長推薦) ▲ 36.6 ▲ 28.7 ▲ 9.4 ▲ 36.1 ▲ 6.6 ▲ 7.5 ▲ 24.8 ▲ 26.0 ▲ 175.7

麻雀日本シリーズ 成績表/女流プロ麻雀日本シリーズ2018 決勝成績表

システム
■予選全24回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 合計
優勝 魚谷 侑未(連盟会長推薦) 11.8 ▲ 13.5 6.2 44.1 48.6
2 黒沢咲(連盟会長推薦) 26.4 36.3 30.5 ▲ 55.8 37.4
3 西嶋千春(第17期女流最高位) ▲ 0.6 ▲ 29.5 ▲ 9.0 15.8 ▲ 23.3
4 池沢麻奈美(連盟会長推薦) ▲ 38.6 6.7 ▲ 27.7 ▲ 4.1 ▲ 63.7

プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 池沢麻奈美(連盟会長推薦) 87.8 ▲ 7.9 39.0 118.9
2 魚谷 侑未(連盟会長推薦) 40.9 35.9 14.9 91.7
3 黒沢咲(連盟会長推薦) 115.9 ▲ 28.4 ▲ 6.6 80.9
4 西嶋千春(第17期女流最高位) 122.8 ▲ 28.8 ▲ 13.9 80.1
5 仲田加南(第12期女流桜花) 18.7 7.6 10.8 37.1
6 二階堂 亜樹(女流プロ麻雀日本シリーズ2017優勝) 71.8 ▲ 8.8 ▲ 30.9 32.1
7 佐月麻理子(第26期麻雀マスターズ) ▲ 12.4 1.7 29.9 19.2
8 朝倉ゆかり(第16期女流雀王) ▲ 4.7 28.7 ▲ 43.2 ▲ 19.2

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 西嶋千春(第17期女流最高位) 15.8 ▲ 26.6 32.7 ▲ 7.4 94.5 ▲ 6.4 5.1 15.1 122.8
2 黒沢咲(連盟会長推薦) 19.7 ▲ 25.3 27.9 22.1 ▲ 5.7 26.4 41.5 9.3 115.9
3 池沢麻奈美(連盟会長推薦) 25.1 10.4 26.6 ▲ 22.4 ▲ 8.6 29.4 17.0 10.3 87.8
4 二階堂 亜樹(女流プロ麻雀日本シリーズ2017優勝) ▲ 4.8 ▲ 9.0 ▲ 8.0 26.4 34.6 33.6 ▲ 28.3 27.3 71.8
5 魚谷 侑未(連盟会長推薦) ▲ 22.1 ▲ 34.7 ▲ 41.4 34.8 0.5 12.7 71.1 20.0 40.9
6 仲田加南(第12期女流桜花) 5.7 10.7 8.2 ▲ 22.6 27.3 4.5 ▲ 6.7 ▲ 8.4 18.7
7 朝倉ゆかり(第16期女流雀王) 3.4 12.4 12.4 6.5 ▲ 23.6 21.9 ▲ 14.1 ▲ 23.6 ▲ 4.7
8 佐月麻理子(第26期麻雀マスターズ) ▲ 21.6 7.5 10.4 ▲ 29.3 ▲ 24.8 8.1 11.4 25.9 ▲ 12.4
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 6.7 ▲ 10.0 ▲ 9.0 ▲ 1.7 ▲ 10.6 ▲ 31.1 38.2 ▲ 11.6 ▲ 29.1
10 西嶋ゆかり(第15期プロクイーン) ▲ 10.5 29.6 25.2 ▲ 14.1 ▲ 57.9 ▲ 20.0 ▲ 26.1 ▲ 5.7 ▲ 79.5
11 山脇千文美(連盟会長推薦) ▲ 11.5 ▲ 16.4 ▲ 32.7 ▲ 10.2 ▲ 30.9 22.2 ▲ 44.4 ▲ 32.6 ▲ 156.5
12 高宮 まり(連盟会長推薦) ▲ 36.6 ▲ 28.7 ▲ 9.4 ▲ 36.1 ▲ 6.6 ▲ 7.5 ▲ 24.8 ▲ 26.0 ▲ 175.7

第8期麻雀グランプリMAX ベスト8レポート 日吉 辰哉

日本プロ麻雀連盟ではいくつかのタイトル戦が開催されている。
春のマスターズ。夏の十段位戦。秋の王位戦。冬の鳳凰位決定戦。
更には女流桜花、プロクイーン、WRCリーグ、新人王戦、地方プロリーグ。そして今年度は第2回WRC世界大会がラスベガスにて開催された。

これらの年間を通したタイトル戦で優秀な成績を収めたものだけに出場権利が与えられる年度末の祭典、麻雀グランプリMAX。
今期で第8期を迎え、これまでの優勝者には歴代の猛者の名が並ぶ。
そんな第8期麻雀グランプリMAXベスト8の模様を私、日吉辰哉がお届けしてまいります。

 

100

 

第8期麻雀グランプリMAXベスト8A卓
1回戦【起家から ともたけ、HIRO柴田、勝又、前原】

日本プロ麻雀連盟の最高峰、鳳凰位。
その鳳凰位決定戦を連覇で飾った前原雄大が1回戦から大爆発。
北家スタートの前原は開局から2局連続のリーチ。しかし東1局は勝又の1,300・2,600、東2局は柴田の4,000オール。大物手で逆襲に合い、いずれも不発。
しかし前原の攻撃の手は一切緩まない。
東2局1本場では僅か4巡目に以下のリーチ。

三万四万五万三索四索五索三筒五筒六筒七筒八筒発発  リーチ

これをともたけから打ち取り。5,200は5,500。
東3局ではともたけの先制リーチに七対子ドラタンキで追っかけリーチも流局。

そして迎えた親番、東4局1本場では仕掛けて1,000は1,100オール。
次局も仕掛けて500は700オール。細かくつないで大物手を狙う。
開局から6局連続テンパイ。親では安手ながら2局連続のアガリ。3者を取り巻く空気が重くなる。これ以上の連荘は阻止したい。

東4局3本場 7巡目

七万八万二索三索四索五索七索八索八索東西白発  ツモ白  ドラ発

前原は7巡目でこの形。スピード感に欠けるこの手牌、親番維持も考慮し字牌を打つかと思われた。しかし大物手狙いに照準を絞り打七万

11巡目
二万二索三索四索五索七索八索八索東西白白発

ここから八索ポン、打二万
更に13巡目に発を重ね、次巡タンヤオテンパイの柴田から白がツモ切られる。
前原当然の白ポンでテンパイまでたどり着く。

二索三索四索五索七索発発  ポン白白白  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き

しかし六索は山には残っていない。
柴田の二万五万は3枚残り。前原の連荘は止まると誰もが思った17巡目。

二索三索四索五索七索発発  ポン白白白  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ツモ発  打七索

この変化。次巡、驚きの声を上げる実況解説を横目に当然のように8枚目のアガリ牌五索を引き寄せた。

解説の佐々木がつぶやいた。

「強いわ・・・」

1回戦終了時
前原+37.1P 勝又▲4.9P HIRO柴田▲9.4P ともたけ▲22.8P

 

2回戦【起家から HIRO柴田、勝又、ともたけ、前原】

前原と同じく鳳凰位獲得経験のある勝又。
その勝又が初のG1タイトルを獲得したのが第2期麻雀グランプリMAX。
今タイトル戦は思い入れの深いものであろう。

勝又はこの2回戦3着となるが南2局の親番でのプレーを紹介したい。

南2局、持ち点はHIRO柴田19,000点、勝又21,300点、ともたけ32,700点、前原46,100点。
簡単に親番を落としたくない場面。9巡目に前原が先制リーチ、11巡目に柴田が仕掛けて追いつく。
前原のリーチ、柴田テンパイ濃厚な状況で勝又は慎重に打ち進めるも14巡目。

二万三万五万五万八万八万五筒五筒五筒六筒七筒八筒中  ツモ八筒

八筒は無筋、中は1枚切れで押し切れず打七筒とする。次巡ツモ二索、打六筒と安全に打ちまわす。勝又受けを選択。
しかし、この2巡で柴田が現物の六筒七筒手出し2枚としオリ気配が漂う。
これを素早く察知した勝又。

16巡目
二万三万五万五万八万八万二索五筒五筒五筒八筒八筒中  ツモ四万

柴田がノーテンと察知し、前原に対し中を勝負して1シャンテン。親の連荘を狙う。
そして17巡目

二万三万四万五万五万八万八万二索五筒五筒五筒八筒八筒  ツモ六筒

勝又のツモは2巡前に打ちだしている六筒。ここで少考に入る。勝又の思考がめぐる。
部分的な説明をお許しいただきたいが、勝又の目からは八筒が4枚、六筒七筒が前原、柴田、自身の捨て牌にそれぞれ1枚ずつ、いずれも都合3枚ずつ見えている。
現物の六筒かあるいは目一杯二索か・・・

勝又の選択はワンチャンスの打八筒
二索はノーテンから打ちだす牌ではなく、テンパイ復活にかけたギリギリの打牌。
この執念が実る。次巡柴田からツモ切られた七筒をフリテンチーでのテンパイ連荘。
勝又の緻密さと執念を感じた一局となった。

この2回戦も前原が制し、決勝のシートは1席確定といっても過言ではない。
3回戦以降は3者で1席をめぐる争いとなる。

2回戦成績
前原+32.9P ともたけ+4.9P 勝又▲15.3P HIRO柴田▲22.5P

2回戦終了時
前原+70.0P ともたけ▲17.8P 勝又▲20.2P HIRO柴田▲31.9P

3、4回戦は勝又が連勝を決め抜け出すも柴田もしっかりと原点をキープし食らいつく。逆に現世界チャンピオンともたけは2連続4着で大きく引き離される。

3回戦成績
勝又+13.0P HIRO柴田+5.7P 前原▲5.3P ともたけ▲13.4P 

4回戦成績
勝又+11.6P 前原+5.2P HIRO柴田+2.3P ともたけ▲19.1P 

4回戦終了時
前原+69.9P 勝又+4.4P HIRO柴田▲23.9P ともたけ▲50.4P

 

5回戦【起家から 勝又、ともたけ、HIRO柴田、前原】

勝又、柴田のポイント差は28.3ポイント。逆転可能なギリギリのポイント差。
決して楽ではないこの差を柴田はいかに詰め寄るか。

最終戦開始5分。柴田が淀みない手順で先制リーチ。

二万二万六万七万八万一索二索三索四索五索七索八索九索  リーチ  ドラ九索

13巡目に勝又、ともたけの両者が同時にテンパイ。
勝又は柴田の追随を振り切りたい。ともたけは逆転に向け最後のチャンス。そして柴田は六索のツモアガリであれば瞬間的に勝又を逆転する。

決着は直後の14巡目。
手牌の横にアガリ牌を力強く引き寄せたのは柴田。3,000・6,000のツモアガリで勝又を逆転。順位点込みで28.3ポイント差をたった1局でひっくり返す。

立場逆転。1局で逆転されたショック。焦る、慌てる、、、常人であれば。
しかしその男の表情にその気配は微塵も感じない。
麻雀IQ220勝又建志。自身のやるべきことを冷静に精査し遂行する。
柴田のアガリにより自身の持ち点は24,000点。これを原点の30,000点に戻せば再逆転。

勝又は東3局でテンパイの前原から5,200のアガリ。

一索二索四索五索六索六索六索七索八索九索四筒五筒六筒  ロン三索  ドラ六筒

更に南2局ではともたけから7,700のアガリを決め通過濃厚ポジション。
最後の山場、柴田の親でもしっかりと攻め切り親落としに成功。
南4局は親の前原がノーテンを宣言しベスト8A卓の戦いは幕を閉じた。

5回戦成績
HIRO柴田+25.3P 勝又+8.3P 前原▲9.3P ともたけ▲24.3P 

5回戦終了時
前原+60.6P 勝又+12.4P HIRO柴田+1.4P ともたけ▲74.7P

決勝進出 前原雄大 勝又建志

 

 

 

100

 

第8期麻雀グランプリMAXベスト8B卓
1回戦【起家から 森山、仁平、藤崎、灘】

A卓でその存在感を十分に見せつけた現鳳凰位、前原雄大。
日本プロ麻雀連盟の最高峰鳳凰位。その双璧であるG1タイトル十段位。
その十段戦を連覇で制した藤崎智。その麻雀を形容して忍者と例えられる。
静寂に包まれた闇夜から決定打を繰り出す。

まずは東2局9巡目、南家の藤崎は以下のテンパイ。

二万二万三万四万五万六万七万八万西西西北北  ドラ五筒

更に次巡ツモ九万で打二万。藤崎闇夜に大きな罠を仕掛ける。
同巡森山が以下のリーチ。

二万二万五索六索七索三筒四筒五筒八筒九筒白白白  リーチ

このリーチを受けた藤崎のツモは北。シャンポンであればアガリがあったが受けられるはずもなく西切り追っかけリーチとするも、6巡目からテンパイの灘から森山の筋であり、藤崎の現物七筒がツモ切られる。藤崎の勝負手は煙と消える。
更に次局、藤崎は森山にヤミテンのメンホン8,000放銃。

二索三索四索四索四索四索六索七索八索東東発発  ロン発  ドラ白

藤崎は東2局に放った特大の手裏剣をはじき返され、東3局では自身のお株を奪われる大物手のヤミテンを決められる。
ペースがつかめない現十段位は1回戦1人沈みとなる。

続く2回戦では不調の中、粘り、凌ぎ、戦い続け南3局を迎え30,200点持ちの2着目。
しかし南3局で仁平にタンヤオ三色の5,200は5,500、更に南4局では灘に七対子ドラ2の6,400。
ここでも打点十分のヤミテンを決められる。
なんと現十段位藤崎はたった2局でラス落ちとなり、あっという間に後がなくなる。

1回戦終了時
森山+12.4P 仁平+4.9P 灘+1.7P 藤崎▲19.0P

2回戦成績
灘+17.8P 仁平+7.9P 森山▲6.0P 藤崎▲19.7P

2回戦終了時
灘+19.5P 仁平+12.8P 森山+6.4` 藤崎▲38.7P

 

3回戦【起家から 仁平、森山、藤崎、灘】

藤崎の苦悩は続く。
東1局では仁平の先制リーチに対し追いつくもテンパイ打牌は仁平のアガリ牌。ここはじっと我慢で放銃回避。
続く1本場8巡目。藤崎に超勝負手が舞い降りる。

四万五万五万六万七万七万八万九万西西西北北  ドラ西

このヤミテンのツモ倍を1巡回してツモ切りリーチ。
しかし、この日の藤崎に簡単に頭を下げる3者ではない。
11巡目仁平が以下のテンパイで追いつきリーチ。

三万四万二索三索四索五索六索七索四筒五筒六筒八筒八筒  リーチ

17巡目に手牌を開けたのは仁平。2,600オールのツモアガリ。
仁平の点数申告に大きく頷いた藤崎。

東3局の親番ではタンヤオドラ3のヤミテンも無念の流局。
次局1本場ではメンタンピンの3面張リーチも流局。
いくつもの勝負手が実らず、遂に藤崎の表情にも焦りと苦悶の表情がにじみ出る。
万策尽きたか、、、誰もがそう思っていたはずだ。

東3局1本場9巡目。藤崎最後のチャンス。意地のテンパイから即リーチ。

二万二万四万五万六万七万六索六索七索七索八索八索四筒五筒  打四万 左向き  ドラ七万

ヤミテンでも11,600。この日何度も目にした藤崎の勝負手。
残り3枚の三筒六筒。リーチ直後、灘に1枚流れる。森山はまっすぐ押し返すも六筒を掴み撤退。
山に三筒六筒は残り1枚となった。ヤミテンであればアガリ濃厚な1局。
またしても実らずか、、、
そんな思いがめぐる中、16巡目藤崎はいつもの落ち着いた所作で8枚目のアガリ牌六筒を手元に置いた。

その後、南2局に仁平がチャンタ三色を森山からアガリ藤崎を逆転するも、オーラス再逆転に成功。忍者藤崎、戦線に踏みとどまる。

3回戦成績
藤崎+25.8P 仁平+21.7P 灘▲10.3P 森山▲37.2P 

3回戦終了時
仁平+34.5P 灘+9.2P 藤崎▲12.9P 森山▲30.8P

 

4回戦【起家から 森山、藤崎、仁平、灘】

仕掛けを使いこなし切れ味鋭い灘、劣勢の藤崎が気迫のトップ、3戦連続の連帯と安定感抜群の仁平。その波に飲み込まれた格好となったのが森山。
初戦のプラスポイントを吐き出し現状トータルポイント最下位となる。
息詰まる4回戦、東2局に激しい攻め合いの中から大物手が炸裂する。

まずは得意の仕掛けで灘が発進する。

三万三万八万八万九万九万二索三索九索五筒北発発  ドラ五索

ここから九万ポン。ホンイツ、トイトイを見据えた仕掛け。
続いたのが仁平。

六万六万一索二索六索七索東南白白中中中

三索を仕掛けて打東。高打点を見据えつつ速攻も可能。
そしてこの東に反応したのが親番の藤崎。

五万三索四索三筒三筒四筒八筒九筒東東白発発

東ポン打五万とし、ホンイツまで見た仕掛け。追う立場の藤崎。簡単に親番は落とせない。
僅か4巡目にして3者が3フーロ。激しい空中戦。

藤崎さらに仕掛けて1シャンテン。
南を重ねて勝負手に変化した仁平は下家の灘に対してマンズの連打。灘は次々仕掛けてテンパイ。

八万八万発発  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  チー一万 左向き二万 上向き三万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き

更に仁平が灘から南を仕掛けてテンパイ。これをものに出来れば決勝進出濃厚。

六索七索白白中中中  ポン南南南  チー三索 左向き一索 上向き二索 上向き

森山は仕掛けに囲まれ対応に追われるなか、以下の手牌。

三万四万五万五万七万五索六索六索六筒六筒八筒八筒中  ツモ五索  ドラ五索

下家の藤崎はピンズ、対面の仁平はソーズ、下家の灘はマンズ。
森山の選択は三万切り。灘の仕掛けは下目は処理されているとの判断か。

その同巡、灘の手牌に舞い降りたのは仁平のアタリ牌ドラの五索。切れず打八万とする。
灘は対局後この八万切りをミスだったと反省した。ドラの五索が仁平に放銃となっても切るべきだったと。それが勝負だと。

灘に続きソーズをつかまされた藤崎もギブアップ。
灘、藤崎が去った今、仕掛けの森に残されたのは仁平と森山。
その森山の手が急激に伸びる。四索七筒七筒と引き込み以下の手牌。

五万五万四索五索五索六索六索六筒六筒七筒八筒八筒中  ツモ七筒

この手になれば勝負と、ここまで絞り続けた中を切り飛ばし高め倍満リーチ。
完全に手詰まりの藤崎が発トイツ落とし。これに声をかけたのは灘。

八万五索発発  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  チー一万 左向き二万 上向き三万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き

発を仕掛けて裸タンキのドラタンキで応戦。再び仕掛けの森に踏み入る。
卓上には全8フーロ。
仁平が森山の無筋で撤退した直後、灘の捨て牌には七索が投げられた。
仕掛けの嵐の中で決めた値千金の12,000。

こうなった森山は誰にも止められない。

七万六索六索七索七索五筒五筒六筒六筒八筒八筒九筒九筒  リーチ  ツモ七万  ドラ七万

次局は上記のドラタンキの七対子ツモアガリで勝負を決めた。

熱い2着争いは南1局にタンピン三色をリーチでツモアガった藤崎が制した。

4回戦成績
森山+36.9P 藤崎+12.2P 仁平▲16.9P 灘▲32.2P

4回戦終了時
仁平+17.6P 森山+6.1P 藤崎▲0.7P 灘▲23.0P

 

5回戦【起家から 森山、仁平、灘、藤崎】

前原、勝又の待つ決勝戦に進むのは誰になるのか。その可能性は全員に残された。

4回戦の勢いそのままにまずは森山がゲームを引っ張る。
南1局で森山41,400点、仁平31,100点、灘30,600点、藤崎16,900点。
森山、仁平が通過ポジション。灘、藤崎が追う展開。

森山、仁平の勝ち上がり濃厚かと思われた南1局2本場、森山のヤミテンが仁平を襲う。

三万三万四万五万六万二索三索三索四索四索五索五筒六筒  ロン四筒  ドラ六筒

この5,800に飛び込んだ仁平は灘、藤崎の後続に飲み込まれる。
森山が決勝進出を確保した中、3者の戦いはいよいよクライマックス。

南2局4本場、藤崎の持ち点は17,400点。この段階では原点復帰が条件の藤崎は15巡目に下記のテンパイ即リーチ。

五万五万五万六万七万二索三索四索六索七索八索三筒四筒  リーチ  ドラ北

このリーチをなんとハイテイでツモリ上げ2,000・4,000。仁平に肉薄。
更に南3局で藤崎の決定打が決まる。

二万三万四万九万九万一索二索白白白  ポン南南南  ロン三索  ドラ二索

これを一歩も引けない仁平から直撃の価値ある8,000。
苦しい厳しい戦いだった全5回戦、このアガリで最後のシートは現十段位藤崎が手にした。

5回戦成績
森山+28.0P 藤崎+8.6P 灘▲8.4P 仁平▲28.2P

5回戦終了時
森山+34.1P 藤崎+7.9P 仁平▲10.6P 灘▲31.4P

決勝進出 森山茂和 藤崎智

グランプリ レポート/第8期麻雀グランプリMAX ベスト8レポート 日吉 辰哉

日本プロ麻雀連盟ではいくつかのタイトル戦が開催されている。
春のマスターズ。夏の十段位戦。秋の王位戦。冬の鳳凰位決定戦。
更には女流桜花、プロクイーン、WRCリーグ、新人王戦、地方プロリーグ。そして今年度は第2回WRC世界大会がラスベガスにて開催された。
これらの年間を通したタイトル戦で優秀な成績を収めたものだけに出場権利が与えられる年度末の祭典、麻雀グランプリMAX。
今期で第8期を迎え、これまでの優勝者には歴代の猛者の名が並ぶ。
そんな第8期麻雀グランプリMAXベスト8の模様を私、日吉辰哉がお届けしてまいります。
 
100
 
第8期麻雀グランプリMAXベスト8A卓
1回戦【起家から ともたけ、HIRO柴田、勝又、前原】
日本プロ麻雀連盟の最高峰、鳳凰位。
その鳳凰位決定戦を連覇で飾った前原雄大が1回戦から大爆発。
北家スタートの前原は開局から2局連続のリーチ。しかし東1局は勝又の1,300・2,600、東2局は柴田の4,000オール。大物手で逆襲に合い、いずれも不発。
しかし前原の攻撃の手は一切緩まない。
東2局1本場では僅か4巡目に以下のリーチ。
三万四万五万三索四索五索三筒五筒六筒七筒八筒発発  リーチ
これをともたけから打ち取り。5,200は5,500。
東3局ではともたけの先制リーチに七対子ドラタンキで追っかけリーチも流局。
そして迎えた親番、東4局1本場では仕掛けて1,000は1,100オール。
次局も仕掛けて500は700オール。細かくつないで大物手を狙う。
開局から6局連続テンパイ。親では安手ながら2局連続のアガリ。3者を取り巻く空気が重くなる。これ以上の連荘は阻止したい。
東4局3本場 7巡目
七万八万二索三索四索五索七索八索八索東西白発  ツモ白  ドラ発
前原は7巡目でこの形。スピード感に欠けるこの手牌、親番維持も考慮し字牌を打つかと思われた。しかし大物手狙いに照準を絞り打七万
11巡目
二万二索三索四索五索七索八索八索東西白白発
ここから八索ポン、打二万
更に13巡目に発を重ね、次巡タンヤオテンパイの柴田から白がツモ切られる。
前原当然の白ポンでテンパイまでたどり着く。
二索三索四索五索七索発発  ポン白白白  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き
しかし六索は山には残っていない。
柴田の二万五万は3枚残り。前原の連荘は止まると誰もが思った17巡目。
二索三索四索五索七索発発  ポン白白白  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ツモ発  打七索
この変化。次巡、驚きの声を上げる実況解説を横目に当然のように8枚目のアガリ牌五索を引き寄せた。
解説の佐々木がつぶやいた。
「強いわ・・・」
1回戦終了時
前原+37.1P 勝又▲4.9P HIRO柴田▲9.4P ともたけ▲22.8P
 
2回戦【起家から HIRO柴田、勝又、ともたけ、前原】
前原と同じく鳳凰位獲得経験のある勝又。
その勝又が初のG1タイトルを獲得したのが第2期麻雀グランプリMAX。
今タイトル戦は思い入れの深いものであろう。
勝又はこの2回戦3着となるが南2局の親番でのプレーを紹介したい。
南2局、持ち点はHIRO柴田19,000点、勝又21,300点、ともたけ32,700点、前原46,100点。
簡単に親番を落としたくない場面。9巡目に前原が先制リーチ、11巡目に柴田が仕掛けて追いつく。
前原のリーチ、柴田テンパイ濃厚な状況で勝又は慎重に打ち進めるも14巡目。
二万三万五万五万八万八万五筒五筒五筒六筒七筒八筒中  ツモ八筒
八筒は無筋、中は1枚切れで押し切れず打七筒とする。次巡ツモ二索、打六筒と安全に打ちまわす。勝又受けを選択。
しかし、この2巡で柴田が現物の六筒七筒手出し2枚としオリ気配が漂う。
これを素早く察知した勝又。
16巡目
二万三万五万五万八万八万二索五筒五筒五筒八筒八筒中  ツモ四万
柴田がノーテンと察知し、前原に対し中を勝負して1シャンテン。親の連荘を狙う。
そして17巡目
二万三万四万五万五万八万八万二索五筒五筒五筒八筒八筒  ツモ六筒
勝又のツモは2巡前に打ちだしている六筒。ここで少考に入る。勝又の思考がめぐる。
部分的な説明をお許しいただきたいが、勝又の目からは八筒が4枚、六筒七筒が前原、柴田、自身の捨て牌にそれぞれ1枚ずつ、いずれも都合3枚ずつ見えている。
現物の六筒かあるいは目一杯二索か・・・
勝又の選択はワンチャンスの打八筒
二索はノーテンから打ちだす牌ではなく、テンパイ復活にかけたギリギリの打牌。
この執念が実る。次巡柴田からツモ切られた七筒をフリテンチーでのテンパイ連荘。
勝又の緻密さと執念を感じた一局となった。
この2回戦も前原が制し、決勝のシートは1席確定といっても過言ではない。
3回戦以降は3者で1席をめぐる争いとなる。
2回戦成績
前原+32.9P ともたけ+4.9P 勝又▲15.3P HIRO柴田▲22.5P
2回戦終了時
前原+70.0P ともたけ▲17.8P 勝又▲20.2P HIRO柴田▲31.9P
3、4回戦は勝又が連勝を決め抜け出すも柴田もしっかりと原点をキープし食らいつく。逆に現世界チャンピオンともたけは2連続4着で大きく引き離される。
3回戦成績
勝又+13.0P HIRO柴田+5.7P 前原▲5.3P ともたけ▲13.4P 
4回戦成績
勝又+11.6P 前原+5.2P HIRO柴田+2.3P ともたけ▲19.1P 
4回戦終了時
前原+69.9P 勝又+4.4P HIRO柴田▲23.9P ともたけ▲50.4P
 
5回戦【起家から 勝又、ともたけ、HIRO柴田、前原】
勝又、柴田のポイント差は28.3ポイント。逆転可能なギリギリのポイント差。
決して楽ではないこの差を柴田はいかに詰め寄るか。
最終戦開始5分。柴田が淀みない手順で先制リーチ。
二万二万六万七万八万一索二索三索四索五索七索八索九索  リーチ  ドラ九索
13巡目に勝又、ともたけの両者が同時にテンパイ。
勝又は柴田の追随を振り切りたい。ともたけは逆転に向け最後のチャンス。そして柴田は六索のツモアガリであれば瞬間的に勝又を逆転する。
決着は直後の14巡目。
手牌の横にアガリ牌を力強く引き寄せたのは柴田。3,000・6,000のツモアガリで勝又を逆転。順位点込みで28.3ポイント差をたった1局でひっくり返す。
立場逆転。1局で逆転されたショック。焦る、慌てる、、、常人であれば。
しかしその男の表情にその気配は微塵も感じない。
麻雀IQ220勝又建志。自身のやるべきことを冷静に精査し遂行する。
柴田のアガリにより自身の持ち点は24,000点。これを原点の30,000点に戻せば再逆転。
勝又は東3局でテンパイの前原から5,200のアガリ。
一索二索四索五索六索六索六索七索八索九索四筒五筒六筒  ロン三索  ドラ六筒
更に南2局ではともたけから7,700のアガリを決め通過濃厚ポジション。
最後の山場、柴田の親でもしっかりと攻め切り親落としに成功。
南4局は親の前原がノーテンを宣言しベスト8A卓の戦いは幕を閉じた。
5回戦成績
HIRO柴田+25.3P 勝又+8.3P 前原▲9.3P ともたけ▲24.3P 
5回戦終了時
前原+60.6P 勝又+12.4P HIRO柴田+1.4P ともたけ▲74.7P
決勝進出 前原雄大 勝又建志
 
 
 
100
 
第8期麻雀グランプリMAXベスト8B卓
1回戦【起家から 森山、仁平、藤崎、灘】
A卓でその存在感を十分に見せつけた現鳳凰位、前原雄大。
日本プロ麻雀連盟の最高峰鳳凰位。その双璧であるG1タイトル十段位。
その十段戦を連覇で制した藤崎智。その麻雀を形容して忍者と例えられる。
静寂に包まれた闇夜から決定打を繰り出す。
まずは東2局9巡目、南家の藤崎は以下のテンパイ。
二万二万三万四万五万六万七万八万西西西北北  ドラ五筒
更に次巡ツモ九万で打二万。藤崎闇夜に大きな罠を仕掛ける。
同巡森山が以下のリーチ。
二万二万五索六索七索三筒四筒五筒八筒九筒白白白  リーチ
このリーチを受けた藤崎のツモは北。シャンポンであればアガリがあったが受けられるはずもなく西切り追っかけリーチとするも、6巡目からテンパイの灘から森山の筋であり、藤崎の現物七筒がツモ切られる。藤崎の勝負手は煙と消える。
更に次局、藤崎は森山にヤミテンのメンホン8,000放銃。
二索三索四索四索四索四索六索七索八索東東発発  ロン発  ドラ白
藤崎は東2局に放った特大の手裏剣をはじき返され、東3局では自身のお株を奪われる大物手のヤミテンを決められる。
ペースがつかめない現十段位は1回戦1人沈みとなる。
続く2回戦では不調の中、粘り、凌ぎ、戦い続け南3局を迎え30,200点持ちの2着目。
しかし南3局で仁平にタンヤオ三色の5,200は5,500、更に南4局では灘に七対子ドラ2の6,400。
ここでも打点十分のヤミテンを決められる。
なんと現十段位藤崎はたった2局でラス落ちとなり、あっという間に後がなくなる。
1回戦終了時
森山+12.4P 仁平+4.9P 灘+1.7P 藤崎▲19.0P
2回戦成績
灘+17.8P 仁平+7.9P 森山▲6.0P 藤崎▲19.7P
2回戦終了時
灘+19.5P 仁平+12.8P 森山+6.4` 藤崎▲38.7P
 
3回戦【起家から 仁平、森山、藤崎、灘】
藤崎の苦悩は続く。
東1局では仁平の先制リーチに対し追いつくもテンパイ打牌は仁平のアガリ牌。ここはじっと我慢で放銃回避。
続く1本場8巡目。藤崎に超勝負手が舞い降りる。
四万五万五万六万七万七万八万九万西西西北北  ドラ西
このヤミテンのツモ倍を1巡回してツモ切りリーチ。
しかし、この日の藤崎に簡単に頭を下げる3者ではない。
11巡目仁平が以下のテンパイで追いつきリーチ。
三万四万二索三索四索五索六索七索四筒五筒六筒八筒八筒  リーチ
17巡目に手牌を開けたのは仁平。2,600オールのツモアガリ。
仁平の点数申告に大きく頷いた藤崎。
東3局の親番ではタンヤオドラ3のヤミテンも無念の流局。
次局1本場ではメンタンピンの3面張リーチも流局。
いくつもの勝負手が実らず、遂に藤崎の表情にも焦りと苦悶の表情がにじみ出る。
万策尽きたか、、、誰もがそう思っていたはずだ。
東3局1本場9巡目。藤崎最後のチャンス。意地のテンパイから即リーチ。
二万二万四万五万六万七万六索六索七索七索八索八索四筒五筒  打四万 左向き  ドラ七万
ヤミテンでも11,600。この日何度も目にした藤崎の勝負手。
残り3枚の三筒六筒。リーチ直後、灘に1枚流れる。森山はまっすぐ押し返すも六筒を掴み撤退。
山に三筒六筒は残り1枚となった。ヤミテンであればアガリ濃厚な1局。
またしても実らずか、、、
そんな思いがめぐる中、16巡目藤崎はいつもの落ち着いた所作で8枚目のアガリ牌六筒を手元に置いた。
その後、南2局に仁平がチャンタ三色を森山からアガリ藤崎を逆転するも、オーラス再逆転に成功。忍者藤崎、戦線に踏みとどまる。
3回戦成績
藤崎+25.8P 仁平+21.7P 灘▲10.3P 森山▲37.2P 
3回戦終了時
仁平+34.5P 灘+9.2P 藤崎▲12.9P 森山▲30.8P
 
4回戦【起家から 森山、藤崎、仁平、灘】
仕掛けを使いこなし切れ味鋭い灘、劣勢の藤崎が気迫のトップ、3戦連続の連帯と安定感抜群の仁平。その波に飲み込まれた格好となったのが森山。
初戦のプラスポイントを吐き出し現状トータルポイント最下位となる。
息詰まる4回戦、東2局に激しい攻め合いの中から大物手が炸裂する。
まずは得意の仕掛けで灘が発進する。
三万三万八万八万九万九万二索三索九索五筒北発発  ドラ五索
ここから九万ポン。ホンイツ、トイトイを見据えた仕掛け。
続いたのが仁平。
六万六万一索二索六索七索東南白白中中中
三索を仕掛けて打東。高打点を見据えつつ速攻も可能。
そしてこの東に反応したのが親番の藤崎。
五万三索四索三筒三筒四筒八筒九筒東東白発発
東ポン打五万とし、ホンイツまで見た仕掛け。追う立場の藤崎。簡単に親番は落とせない。
僅か4巡目にして3者が3フーロ。激しい空中戦。
藤崎さらに仕掛けて1シャンテン。
南を重ねて勝負手に変化した仁平は下家の灘に対してマンズの連打。灘は次々仕掛けてテンパイ。
八万八万発発  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  チー一万 左向き二万 上向き三万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き
更に仁平が灘から南を仕掛けてテンパイ。これをものに出来れば決勝進出濃厚。
六索七索白白中中中  ポン南南南  チー三索 左向き一索 上向き二索 上向き
森山は仕掛けに囲まれ対応に追われるなか、以下の手牌。
三万四万五万五万七万五索六索六索六筒六筒八筒八筒中  ツモ五索  ドラ五索
下家の藤崎はピンズ、対面の仁平はソーズ、下家の灘はマンズ。
森山の選択は三万切り。灘の仕掛けは下目は処理されているとの判断か。
その同巡、灘の手牌に舞い降りたのは仁平のアタリ牌ドラの五索。切れず打八万とする。
灘は対局後この八万切りをミスだったと反省した。ドラの五索が仁平に放銃となっても切るべきだったと。それが勝負だと。
灘に続きソーズをつかまされた藤崎もギブアップ。
灘、藤崎が去った今、仕掛けの森に残されたのは仁平と森山。
その森山の手が急激に伸びる。四索七筒七筒と引き込み以下の手牌。
五万五万四索五索五索六索六索六筒六筒七筒八筒八筒中  ツモ七筒
この手になれば勝負と、ここまで絞り続けた中を切り飛ばし高め倍満リーチ。
完全に手詰まりの藤崎が発トイツ落とし。これに声をかけたのは灘。
八万五索発発  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  チー一万 左向き二万 上向き三万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き
発を仕掛けて裸タンキのドラタンキで応戦。再び仕掛けの森に踏み入る。
卓上には全8フーロ。
仁平が森山の無筋で撤退した直後、灘の捨て牌には七索が投げられた。
仕掛けの嵐の中で決めた値千金の12,000。
こうなった森山は誰にも止められない。
七万六索六索七索七索五筒五筒六筒六筒八筒八筒九筒九筒  リーチ  ツモ七万  ドラ七万
次局は上記のドラタンキの七対子ツモアガリで勝負を決めた。
熱い2着争いは南1局にタンピン三色をリーチでツモアガった藤崎が制した。
4回戦成績
森山+36.9P 藤崎+12.2P 仁平▲16.9P 灘▲32.2P
4回戦終了時
仁平+17.6P 森山+6.1P 藤崎▲0.7P 灘▲23.0P
 
5回戦【起家から 森山、仁平、灘、藤崎】
前原、勝又の待つ決勝戦に進むのは誰になるのか。その可能性は全員に残された。
4回戦の勢いそのままにまずは森山がゲームを引っ張る。
南1局で森山41,400点、仁平31,100点、灘30,600点、藤崎16,900点。
森山、仁平が通過ポジション。灘、藤崎が追う展開。
森山、仁平の勝ち上がり濃厚かと思われた南1局2本場、森山のヤミテンが仁平を襲う。
三万三万四万五万六万二索三索三索四索四索五索五筒六筒  ロン四筒  ドラ六筒
この5,800に飛び込んだ仁平は灘、藤崎の後続に飲み込まれる。
森山が決勝進出を確保した中、3者の戦いはいよいよクライマックス。
南2局4本場、藤崎の持ち点は17,400点。この段階では原点復帰が条件の藤崎は15巡目に下記のテンパイ即リーチ。
五万五万五万六万七万二索三索四索六索七索八索三筒四筒  リーチ  ドラ北
このリーチをなんとハイテイでツモリ上げ2,000・4,000。仁平に肉薄。
更に南3局で藤崎の決定打が決まる。
二万三万四万九万九万一索二索白白白  ポン南南南  ロン三索  ドラ二索
これを一歩も引けない仁平から直撃の価値ある8,000。
苦しい厳しい戦いだった全5回戦、このアガリで最後のシートは現十段位藤崎が手にした。
5回戦成績
森山+28.0P 藤崎+8.6P 灘▲8.4P 仁平▲28.2P
5回戦終了時
森山+34.1P 藤崎+7.9P 仁平▲10.6P 灘▲31.4P
決勝進出 森山茂和 藤崎智

女流プロ麻雀日本シリーズ2018 プレーオフレポート 石田 亜沙己

プレーオフは予選ポイントを持ち越し、各自2回戦行い、上位4名が決勝戦に進出。
決勝戦はポイントをリセットしての4回戦。

現状ボーダーは亜樹の+71.8ポイント。
7位の朝倉、8位の佐月はマイナスポイントなので、極端にボーダーが下がらない限りは2連勝が必要になるだろう。

 

プレーオフ1回戦
(亜樹+71.8P、佐月▲12.4P、西嶋千春+122.8P、魚谷+40.9P)

東3局、魚谷が8巡目にリーチ。

二万三万四万六索七索三筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ五索

9巡目に亜樹もリーチ。

一万二万三万五万六万七万八万九万九索九索二筒二筒二筒  リーチ

亜樹が八索を魚谷に放銃。裏ドラが六索で8,000。魚谷にとっては大きいアガリとなった。
次局の親番でも500オール、4,100オールと加点してトップを盤石に。

南4局、亜樹も8,000をアガるが佐月に500点届かず3着に。

1回戦成績
魚谷+35.9P 佐月+1.7P 亜樹▲8.8P 西嶋千春▲28.8P

 

プレーオフ2回戦
(池沢+87.8P、黒沢+115.9P、仲田+18.7P、朝倉▲4.7P)

南2局、各持ち点は、池沢32,300 黒沢24,300 仲田28,800 朝倉34,600。
どうしてもトップが欲しい仲田が積極的な仕掛けをみせる。

9巡目に八筒をポン。

一筒一筒三筒三筒四筒六筒七筒八筒八筒南西北発  ドラ九索

この仕掛けが功を奏し2,000・4,000のアガリに。トップ目にたつ。

三筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ツモ四筒

しかし南4局、親の朝倉が黒沢から12,000のアガリで逆転し逃げ切る。

二筒二筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒八筒九筒南南南  ロン七筒  ドラ北

2回戦成績
朝倉+28.7P 仲田8.6P 池沢▲7.9P 黒沢▲29.6P

 

プレーオフ3回戦
(西嶋千春+94.0P.佐月▲10.7P、亜樹+63.0P、魚谷+76.8P)

現状4位の魚谷と5位の亜樹の差は13.8ポイント。1着順で3,800点差つければいいのでほぼ着順勝負か。
東場から佐月が好調に点数を重ねていく。
そのまま、オーラス勝負へ。

点棒状況は以下の通り。
西嶋千春25,600、佐月52,600、亜樹21200、魚谷20,600。

西嶋はアガれば決勝進出。佐月は三倍満ツモ条件。亜樹はアガって4回戦の結果待ちになる。魚谷はアガらないと敗退。だが西嶋のトータルポイントを捲れば決勝は確定になる。
10巡目、魚谷にテンパイが入る。

四万五万六万七万七万五索六索七索三筒四筒五筒七筒七筒  ドラ五万

同巡、亜樹もテンパイでリーチ。九万は4枚切れだが六万は3枚山にある。

五万五万五万七万八万二筒三筒四筒八筒八筒九筒九筒九筒  リーチ

11巡目の魚谷のツモは七筒大きい2,000オールとなった。
次局、4,100オールをアガリトータルポイント暫定首位になる。

2本場は西嶋がアガリ前回覇者の亜樹はここで姿を消した。

3回戦成績
佐月+29.9P 魚谷+14.9P 西嶋千▲13.9P 亜樹▲30.9P

 

プレーオフ4回戦
(池沢+79.9P、朝倉+24.0P、黒沢+87.5P、仲田+26.3P)

朝倉、仲田は池沢か黒沢を捲れば決勝進出となる。

東1局、池沢が朝倉から12,000をアガリ抜け出す。その後も安定した戦いで局が進んでいく。
仲田も多少点棒を伸ばすが、差は大きく池沢、黒沢の決勝進出となった。

4回戦結果
池沢+35.0P 仲田+12.8P 黒沢▲5.6P 朝倉▲32.2P

4月20日に行われる決勝進出者は、池沢麻奈美、魚谷侑未、黒沢咲、西嶋千春の4名となった。

 

 

プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 池沢麻奈美(連盟会長推薦) 87.8 ▲ 7.9 39.0 118.9
2 魚谷 侑未(連盟会長推薦) 40.9 35.9 14.9 91.7
3 黒沢咲(連盟会長推薦) 115.9 ▲ 28.4 ▲ 6.6 80.9
4 西嶋千春(第17期女流最高位) 122.8 ▲ 28.8 ▲ 13.9 80.1
5 仲田加南(第12期女流桜花) 18.7 7.6 10.8 37.1
6 二階堂 亜樹(女流プロ麻雀日本シリーズ2017優勝) 71.8 ▲ 8.8 ▲ 30.9 32.1
7 佐月麻理子(第26期麻雀マスターズ) ▲ 12.4 1.7 29.9 19.2
8 朝倉ゆかり(第16期女流雀王) ▲ 4.7 28.7 ▲ 43.2 ▲ 19.2

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 西嶋千春(第17期女流最高位) 15.8 ▲ 26.6 32.7 ▲ 7.4 94.5 ▲ 6.4 5.1 15.1 122.8
2 黒沢咲(連盟会長推薦) 19.7 ▲ 25.3 27.9 22.1 ▲ 5.7 26.4 41.5 9.3 115.9
3 池沢麻奈美(連盟会長推薦) 25.1 10.4 26.6 ▲ 22.4 ▲ 8.6 29.4 17.0 10.3 87.8
4 二階堂 亜樹(女流プロ麻雀日本シリーズ2017優勝) ▲ 4.8 ▲ 9.0 ▲ 8.0 26.4 34.6 33.6 ▲ 28.3 27.3 71.8
5 魚谷 侑未(連盟会長推薦) ▲ 22.1 ▲ 34.7 ▲ 41.4 34.8 0.5 12.7 71.1 20.0 40.9
6 仲田加南(第12期女流桜花) 5.7 10.7 8.2 ▲ 22.6 27.3 4.5 ▲ 6.7 ▲ 8.4 18.7
7 朝倉ゆかり(第16期女流雀王) 3.4 12.4 12.4 6.5 ▲ 23.6 21.9 ▲ 14.1 ▲ 23.6 ▲ 4.7
8 佐月麻理子(第26期麻雀マスターズ) ▲ 21.6 7.5 10.4 ▲ 29.3 ▲ 24.8 8.1 11.4 25.9 ▲ 12.4
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 6.7 ▲ 10.0 ▲ 9.0 ▲ 1.7 ▲ 10.6 ▲ 31.1 38.2 ▲ 11.6 ▲ 29.1
10 西嶋ゆかり(第15期プロクイーン) ▲ 10.5 29.6 25.2 ▲ 14.1 ▲ 57.9 ▲ 20.0 ▲ 26.1 ▲ 5.7 ▲ 79.5
11 山脇千文美(連盟会長推薦) ▲ 11.5 ▲ 16.4 ▲ 32.7 ▲ 10.2 ▲ 30.9 22.2 ▲ 44.4 ▲ 32.6 ▲ 156.5
12 高宮 まり(連盟会長推薦) ▲ 36.6 ▲ 28.7 ▲ 9.4 ▲ 36.1 ▲ 6.6 ▲ 7.5 ▲ 24.8 ▲ 26.0 ▲ 175.7

麻雀日本シリーズ/女流プロ麻雀日本シリーズ2018 プレーオフレポート 石田 亜沙己

プレーオフは予選ポイントを持ち越し、各自2回戦行い、上位4名が決勝戦に進出。
決勝戦はポイントをリセットしての4回戦。
現状ボーダーは亜樹の+71.8ポイント。
7位の朝倉、8位の佐月はマイナスポイントなので、極端にボーダーが下がらない限りは2連勝が必要になるだろう。
 
プレーオフ1回戦
(亜樹+71.8P、佐月▲12.4P、西嶋千春+122.8P、魚谷+40.9P)
東3局、魚谷が8巡目にリーチ。
二万三万四万六索七索三筒三筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ五索
9巡目に亜樹もリーチ。
一万二万三万五万六万七万八万九万九索九索二筒二筒二筒  リーチ
亜樹が八索を魚谷に放銃。裏ドラが六索で8,000。魚谷にとっては大きいアガリとなった。
次局の親番でも500オール、4,100オールと加点してトップを盤石に。
南4局、亜樹も8,000をアガるが佐月に500点届かず3着に。
1回戦成績
魚谷+35.9P 佐月+1.7P 亜樹▲8.8P 西嶋千春▲28.8P
 
プレーオフ2回戦
(池沢+87.8P、黒沢+115.9P、仲田+18.7P、朝倉▲4.7P)
南2局、各持ち点は、池沢32,300 黒沢24,300 仲田28,800 朝倉34,600。
どうしてもトップが欲しい仲田が積極的な仕掛けをみせる。
9巡目に八筒をポン。
一筒一筒三筒三筒四筒六筒七筒八筒八筒南西北発  ドラ九索
この仕掛けが功を奏し2,000・4,000のアガリに。トップ目にたつ。
三筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ツモ四筒
しかし南4局、親の朝倉が黒沢から12,000のアガリで逆転し逃げ切る。
二筒二筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒八筒九筒南南南  ロン七筒  ドラ北
2回戦成績
朝倉+28.7P 仲田8.6P 池沢▲7.9P 黒沢▲29.6P
 
プレーオフ3回戦
(西嶋千春+94.0P.佐月▲10.7P、亜樹+63.0P、魚谷+76.8P)
現状4位の魚谷と5位の亜樹の差は13.8ポイント。1着順で3,800点差つければいいのでほぼ着順勝負か。
東場から佐月が好調に点数を重ねていく。
そのまま、オーラス勝負へ。
点棒状況は以下の通り。
西嶋千春25,600、佐月52,600、亜樹21200、魚谷20,600。
西嶋はアガれば決勝進出。佐月は三倍満ツモ条件。亜樹はアガって4回戦の結果待ちになる。魚谷はアガらないと敗退。だが西嶋のトータルポイントを捲れば決勝は確定になる。
10巡目、魚谷にテンパイが入る。
四万五万六万七万七万五索六索七索三筒四筒五筒七筒七筒  ドラ五万
同巡、亜樹もテンパイでリーチ。九万は4枚切れだが六万は3枚山にある。
五万五万五万七万八万二筒三筒四筒八筒八筒九筒九筒九筒  リーチ
11巡目の魚谷のツモは七筒大きい2,000オールとなった。
次局、4,100オールをアガリトータルポイント暫定首位になる。
2本場は西嶋がアガリ前回覇者の亜樹はここで姿を消した。
3回戦成績
佐月+29.9P 魚谷+14.9P 西嶋千▲13.9P 亜樹▲30.9P
 
プレーオフ4回戦
(池沢+79.9P、朝倉+24.0P、黒沢+87.5P、仲田+26.3P)
朝倉、仲田は池沢か黒沢を捲れば決勝進出となる。
東1局、池沢が朝倉から12,000をアガリ抜け出す。その後も安定した戦いで局が進んでいく。
仲田も多少点棒を伸ばすが、差は大きく池沢、黒沢の決勝進出となった。
4回戦結果
池沢+35.0P 仲田+12.8P 黒沢▲5.6P 朝倉▲32.2P
4月20日に行われる決勝進出者は、池沢麻奈美、魚谷侑未、黒沢咲、西嶋千春の4名となった。
 
 
プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 池沢麻奈美(連盟会長推薦) 87.8 ▲ 7.9 39.0 118.9
2 魚谷 侑未(連盟会長推薦) 40.9 35.9 14.9 91.7
3 黒沢咲(連盟会長推薦) 115.9 ▲ 28.4 ▲ 6.6 80.9
4 西嶋千春(第17期女流最高位) 122.8 ▲ 28.8 ▲ 13.9 80.1
5 仲田加南(第12期女流桜花) 18.7 7.6 10.8 37.1
6 二階堂 亜樹(女流プロ麻雀日本シリーズ2017優勝) 71.8 ▲ 8.8 ▲ 30.9 32.1
7 佐月麻理子(第26期麻雀マスターズ) ▲ 12.4 1.7 29.9 19.2
8 朝倉ゆかり(第16期女流雀王) ▲ 4.7 28.7 ▲ 43.2 ▲ 19.2

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 西嶋千春(第17期女流最高位) 15.8 ▲ 26.6 32.7 ▲ 7.4 94.5 ▲ 6.4 5.1 15.1 122.8
2 黒沢咲(連盟会長推薦) 19.7 ▲ 25.3 27.9 22.1 ▲ 5.7 26.4 41.5 9.3 115.9
3 池沢麻奈美(連盟会長推薦) 25.1 10.4 26.6 ▲ 22.4 ▲ 8.6 29.4 17.0 10.3 87.8
4 二階堂 亜樹(女流プロ麻雀日本シリーズ2017優勝) ▲ 4.8 ▲ 9.0 ▲ 8.0 26.4 34.6 33.6 ▲ 28.3 27.3 71.8
5 魚谷 侑未(連盟会長推薦) ▲ 22.1 ▲ 34.7 ▲ 41.4 34.8 0.5 12.7 71.1 20.0 40.9
6 仲田加南(第12期女流桜花) 5.7 10.7 8.2 ▲ 22.6 27.3 4.5 ▲ 6.7 ▲ 8.4 18.7
7 朝倉ゆかり(第16期女流雀王) 3.4 12.4 12.4 6.5 ▲ 23.6 21.9 ▲ 14.1 ▲ 23.6 ▲ 4.7
8 佐月麻理子(第26期麻雀マスターズ) ▲ 21.6 7.5 10.4 ▲ 29.3 ▲ 24.8 8.1 11.4 25.9 ▲ 12.4
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 6.7 ▲ 10.0 ▲ 9.0 ▲ 1.7 ▲ 10.6 ▲ 31.1 38.2 ▲ 11.6 ▲ 29.1
10 西嶋ゆかり(第15期プロクイーン) ▲ 10.5 29.6 25.2 ▲ 14.1 ▲ 57.9 ▲ 20.0 ▲ 26.1 ▲ 5.7 ▲ 79.5
11 山脇千文美(連盟会長推薦) ▲ 11.5 ▲ 16.4 ▲ 32.7 ▲ 10.2 ▲ 30.9 22.2 ▲ 44.4 ▲ 32.6 ▲ 156.5
12 高宮 まり(連盟会長推薦) ▲ 36.6 ▲ 28.7 ▲ 9.4 ▲ 36.1 ▲ 6.6 ▲ 7.5 ▲ 24.8 ▲ 26.0 ▲ 175.7

第24期東北プロリーグ 天翔位決定戦レポート

今期の天翔位決定戦選手は、
安定感のある麻雀でプラスを積み重ね最終節で菊田をまくり1位になった東。
今期Aリーグに昇級し最終節まで首位を走ってきた菊田。
最終節は調子が悪かったのか一時勝ち上がりが危なかったが、最終戦で四暗刻単騎をツモリ、決勝進出を決める勝負強さももつ第29期新人王で昨年もAリーグに上がりすぐに優勝してみせるという2連覇のかかる波奈。
今期マスターズ2位、十段戦ベスト16と素晴らしい成績を残している武藤。

誰が優勝するのか予想が難しい面白いメンバーが揃った。

 

1回戦
起家から東・波奈・菊田・武藤の並びでスタート

東1局
下家の波奈が東の1枚目をポン、ドラメンツの六万五万の切り出し。
それを受けてか親の東

四万五万六万六万五索五索七索七索四筒四筒七筒八筒九筒  ツモ八筒  ドラ五万

ここから四万を切り出し七対子へ、次巡五筒をツモ2枚切れになったドラを切り出しうまく七対子のテンパイを入れるが、惜しくも七筒がヤミテンの武藤のピンフ1,000に放銃。
東1局からみごたえのある麻雀だった。

東2局
親の波奈が500オール。
武藤から2,000は2,300をアガリ連荘していくかと思われたが、次局、菊田のリーチに全員受けて菊田の1人テンパイで流局。

東3局
中盤に親の菊田からの五筒切りのリーチ、
南家の武藤がすぐに

五万五万五万二筒二筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒東東  ドラ発

このテンパイを入れるがヤミを選択。
数巡危険牌を何枚か押してテンパイを維持するが、ドラの発を掴みオリ。
流局になり親の菊田の1人テンパイ、ドラの発三索の待ち。
リーチをせずきっちり当たり牌でオリるあたり武藤らしい粘りのある麻雀だった。

次局の1本場(リーチ棒2本)
早い巡目でピンフテンパイの入った武藤が、あっさり700・1,300は800・1,400をツモ。

東4局
南家の東が

二万三万四万二索四索二筒三筒四筒四筒六筒六筒南南  ドラ五索

この1シャンテン
上家の武藤から2枚目の三索をスルーして直後六筒を引き入れリーチ。
すぐにテンパイを入れ追いついた親の武藤。

三万四万五万四索六索七索八索四筒五筒六筒七筒八筒九筒

ここから菊田から出た三筒をチーしてタンヤオの役を付けにいったがこれが裏目になってしまい、ドラの五索が喰い流れてしまう。
その五索を菊田がポンをして、次巡すぐに西をツモ。
トイトイ三暗刻ドラ3の3,000・6,000を決める。

南1局 ドラ九万
前局裏目に動いてしまった武藤が5巡目に早いテンパイの入っていた菊田の789三色ドラ1の5,200に手痛い放銃。

南2局
武藤に4巡目に

六万七万八万九索九索九索一筒一筒一筒五筒五筒発発  ドラ中

この早いテンパイが入りリーチ。
が、すぐに東がドラの中を引き入れて

七万八万九万二索三索五筒六筒七筒北北中中中

リーチ、武藤が一索を掴み8,000の放銃に、ここで大幅に点棒を減らしてしまう。

南3局 ドラ七索
ドラ2のある武藤が早い巡目で白をポンし仕掛けていく、これに親の菊田が八万をチーして対抗するが、この鳴きでドラの七索を喰い流してしまい武藤にドラ3の三索六索のテンパイを入れさせてしまう、これに東が掴まり8,000の放銃に。

南4局 ドラ中
東の1人テンパイで終局。

1回戦は東4局の跳満が決めてとなり菊田の1人浮きで終わる。

菊田 +31.0P
波奈 ▲4.3P
東  ▲7.3P
武藤 ▲19.4P

 

2回戦
起家から東・菊田・波奈・武藤の並び

東2局(ドラ六万)に武藤が三暗刻中ツモドラ1の2,000・4,000をツモアガリ序盤は武藤優位に進む。

しかし東4局、波奈に

一万二万三万四万五万六万七万八万九万七索八索九索九索  ドラ七筒

このリーチが入る、これに中盤、七索八索が場に3枚切られ(九索も場に1枚切れ)、親の武藤が九索を掴んで7,700の放銃。
このリードを守りきり2回戦目は波奈が1人浮きのトップ、武藤はここで手痛い2ラスを引いてしまう。

波奈 +19.7P/+15.4P
東  ▲1.4P/▲8.7P
菊田 ▲5.9P/+25.1P
武藤 ▲12.4P/▲31.8P

 

3回戦
起家から波奈・東・武藤・菊田

3回戦目は打ち合いが多い半荘に。
東2局に波奈が東から2,600は2,900のアガリ。

東3局1本場は波奈が東から1,300は1,600のアガリ。

南1局武藤がトータルトップ目の菊田から七対子ドラ2の6,400をアガる。

南2局親の東が菊田から2,000のアガリ、菊田の2連続放銃に。

1本場
ここで親の東にやっと好形の手牌が入る。
3巡目に一万を引いて、

一万二万三万四万五万六万七万八万七索七索九索七筒八筒

この1シャンテンに。
しかしこれが13巡目まで動かずやっと入ってきた牌も安めの六万引き、その間に波奈が、

二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒東東東南南

このメンホンテンパイで追いつきヤミテン同士の勝負に。
ここは武藤が九筒を掴んで、東がなんとか1,500は1,800をものにする。

2本場
ここも東が武藤からピンフドラ1の2,900は3,500アガる。

3本場
武藤が東からタンヤオ三色ドラ2の7,700は8,600のアガリ点棒を取り戻す、東にとっては痛い放銃となる。

南3局は波奈が東から2,600のアガリ。

オーラス1本場にダブ南をポンしてツモり800・1,400のアガリを決めて他が放銃する中、ノー放銃に終わった波奈がこの半荘トップになり2連勝、総合もトップに。

波奈 +19.0P/+34.4P
武藤 +12.4P/▲19.4P
菊田 ▲12.7P/+12.4P
東  ▲18.7P/▲27.4P

 

4回戦
起家から武藤・東・波奈・菊田
東1局
3回戦で波奈に捲られてしまった菊田が嶺上からアガリ牌を引き、リンシャン役牌ドラ1の1,600・3,200の好スタートをきる。
その後、南1局まで小場が続き、2ハンまでのアガリのみで親もすぐに流れる早い展開に。点棒を取り戻したい東・武藤には苦しいところ。

南2局 ここで大きなアガリをモノにしたのは菊田。

六筒七筒八筒東東白白  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ポン南南南

これに波奈が白を放銃し7,700、トップにたっていた波奈の点棒を大きく削った。

南3局
武藤が先制リーチをかけるがツモれず、親の波奈が粘ってテンパイを入れ2人テンパイの流局。

1本場 ドラ五筒
ここでアガリをモノにしたのが武藤
ドラ表の四筒をツモり三暗刻ツモドラ1の2,100・4,100。
これで武藤はこの半荘30,000点を超え、このまま浮いて何とか望みを繋げたい所。

オーラス ドラ六索
少しでもトップとの点棒を縮めたい武藤は早いタンヤオのみの1シャンテンを拒否してピンズのホンイツ・チンイツに向かうがなかなかピンズが引けず、その間に東がドラの六索を暗刻にして15巡目に一索四索待ちのリーチ(13巡目に東からの二索を菊田がポン)、武藤も何とかチーをしてピンズのホンイツのテンパイを入れるも無情にもハイテイで持ってきた牌が一索、一瞬切るのを躊躇したが2人テンパイで沈んでしまうためここは勝負を選択、痛い8,000点の放銃となった。

菊田 +21.8P/+34.2P
東  +5.4P/▲22.0P
武藤 ▲11.0P/▲30.4P
波奈 ▲16.2P/+18.2P

 

5回戦
起家から東・菊田・波奈・武藤

東・武藤にとってはここで何とかプラスにもっていき6回戦に望みを繋ぎたい、波奈にとっても少しでも菊田との点棒を縮めておきたい半荘。

しかし東2局に親の菊田が
ダブ東ドラ1の2,600は2,800オール
ダブ東ドラ1の2,000は2,300オール
と連荘し、3人には厳しい展開となっていく。

東4局に東に7,700テンパイが入るも武藤が放銃、菊田の点棒を減らすことはできず。

オーラス武藤が何とか4,000オール、1,500は1,800のアガリを拾うも菊田は最小限の失点でこの半荘もトップで終える。

菊田 +15.0P/+49.2P
武藤 +4.2P/▲26.2P
東  ▲5.2P/▲27.2P
波奈 ▲14.0P/+4.2P

波奈もここで2連続ラスを引いてしまい苦しくなってしまう。

 

6回戦
起家から波奈・武藤・東・菊田
東1局
菊田が序盤から積極的に動き流しにいこうとするが、親の波奈に

五万六万一索二索三索四筒五筒五筒六筒六筒七筒八筒八筒  ドラ八筒

このテンパイが入りリーチ、しかしこれが1枚も引けずに菊田の300・500に流されてしまう。
波奈には苦しい立ち上がりになってしまう。

東2局
ここで3人の希望を打ち砕くように菊田が6巡目に

一万二万三万四万五万六万七万八万九万七索七索二筒四筒  ドラ二筒

このテンパイ。
このカン三筒をあっさりツモ、2,000・4,000をアガリ優勝がかなり近づく。

南1局(ドラ七索)親の波奈がみせる
13巡目に

一万一万二万二万三万三万一索三索五索八索八索九索九索

この1シャンテンから、14巡目15巡目に連続でドラを引き

一万一万二万二万三万三万一索七索七索八索八索九索九索

ヤミで親倍の手を入れる、これを菊田から直撃するかツモれば逆転が見えてくる。
しかしまたしてもテンパイ直後に菊田がカン六索をツモ。

これが最後の反撃のチャンスとなり終局、第25期天翔位は初めての挑戦とは思えない終始落ち着いた麻雀をした菊田に。

東北プロリーグ レポート/第24期東北プロリーグ 天翔位決定戦レポート

今期の天翔位決定戦選手は、
安定感のある麻雀でプラスを積み重ね最終節で菊田をまくり1位になった東。
今期Aリーグに昇級し最終節まで首位を走ってきた菊田。
最終節は調子が悪かったのか一時勝ち上がりが危なかったが、最終戦で四暗刻単騎をツモリ、決勝進出を決める勝負強さももつ第29期新人王で昨年もAリーグに上がりすぐに優勝してみせるという2連覇のかかる波奈。
今期マスターズ2位、十段戦ベスト16と素晴らしい成績を残している武藤。
誰が優勝するのか予想が難しい面白いメンバーが揃った。
 
1回戦
起家から東・波奈・菊田・武藤の並びでスタート
東1局
下家の波奈が東の1枚目をポン、ドラメンツの六万五万の切り出し。
それを受けてか親の東
四万五万六万六万五索五索七索七索四筒四筒七筒八筒九筒  ツモ八筒  ドラ五万
ここから四万を切り出し七対子へ、次巡五筒をツモ2枚切れになったドラを切り出しうまく七対子のテンパイを入れるが、惜しくも七筒がヤミテンの武藤のピンフ1,000に放銃。
東1局からみごたえのある麻雀だった。
東2局
親の波奈が500オール。
武藤から2,000は2,300をアガリ連荘していくかと思われたが、次局、菊田のリーチに全員受けて菊田の1人テンパイで流局。
東3局
中盤に親の菊田からの五筒切りのリーチ、
南家の武藤がすぐに
五万五万五万二筒二筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒東東  ドラ発
このテンパイを入れるがヤミを選択。
数巡危険牌を何枚か押してテンパイを維持するが、ドラの発を掴みオリ。
流局になり親の菊田の1人テンパイ、ドラの発三索の待ち。
リーチをせずきっちり当たり牌でオリるあたり武藤らしい粘りのある麻雀だった。
次局の1本場(リーチ棒2本)
早い巡目でピンフテンパイの入った武藤が、あっさり700・1,300は800・1,400をツモ。
東4局
南家の東が
二万三万四万二索四索二筒三筒四筒四筒六筒六筒南南  ドラ五索
この1シャンテン
上家の武藤から2枚目の三索をスルーして直後六筒を引き入れリーチ。
すぐにテンパイを入れ追いついた親の武藤。
三万四万五万四索六索七索八索四筒五筒六筒七筒八筒九筒
ここから菊田から出た三筒をチーしてタンヤオの役を付けにいったがこれが裏目になってしまい、ドラの五索が喰い流れてしまう。
その五索を菊田がポンをして、次巡すぐに西をツモ。
トイトイ三暗刻ドラ3の3,000・6,000を決める。
南1局 ドラ九万
前局裏目に動いてしまった武藤が5巡目に早いテンパイの入っていた菊田の789三色ドラ1の5,200に手痛い放銃。
南2局
武藤に4巡目に
六万七万八万九索九索九索一筒一筒一筒五筒五筒発発  ドラ中
この早いテンパイが入りリーチ。
が、すぐに東がドラの中を引き入れて
七万八万九万二索三索五筒六筒七筒北北中中中
リーチ、武藤が一索を掴み8,000の放銃に、ここで大幅に点棒を減らしてしまう。
南3局 ドラ七索
ドラ2のある武藤が早い巡目で白をポンし仕掛けていく、これに親の菊田が八万をチーして対抗するが、この鳴きでドラの七索を喰い流してしまい武藤にドラ3の三索六索のテンパイを入れさせてしまう、これに東が掴まり8,000の放銃に。
南4局 ドラ中
東の1人テンパイで終局。
1回戦は東4局の跳満が決めてとなり菊田の1人浮きで終わる。
菊田 +31.0P
波奈 ▲4.3P
東  ▲7.3P
武藤 ▲19.4P
 
2回戦
起家から東・菊田・波奈・武藤の並び
東2局(ドラ六万)に武藤が三暗刻中ツモドラ1の2,000・4,000をツモアガリ序盤は武藤優位に進む。
しかし東4局、波奈に
一万二万三万四万五万六万七万八万九万七索八索九索九索  ドラ七筒
このリーチが入る、これに中盤、七索八索が場に3枚切られ(九索も場に1枚切れ)、親の武藤が九索を掴んで7,700の放銃。
このリードを守りきり2回戦目は波奈が1人浮きのトップ、武藤はここで手痛い2ラスを引いてしまう。
波奈 +19.7P/+15.4P
東  ▲1.4P/▲8.7P
菊田 ▲5.9P/+25.1P
武藤 ▲12.4P/▲31.8P
 
3回戦
起家から波奈・東・武藤・菊田
3回戦目は打ち合いが多い半荘に。
東2局に波奈が東から2,600は2,900のアガリ。
東3局1本場は波奈が東から1,300は1,600のアガリ。
南1局武藤がトータルトップ目の菊田から七対子ドラ2の6,400をアガる。
南2局親の東が菊田から2,000のアガリ、菊田の2連続放銃に。
1本場
ここで親の東にやっと好形の手牌が入る。
3巡目に一万を引いて、
一万二万三万四万五万六万七万八万七索七索九索七筒八筒
この1シャンテンに。
しかしこれが13巡目まで動かずやっと入ってきた牌も安めの六万引き、その間に波奈が、
二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒東東東南南
このメンホンテンパイで追いつきヤミテン同士の勝負に。
ここは武藤が九筒を掴んで、東がなんとか1,500は1,800をものにする。
2本場
ここも東が武藤からピンフドラ1の2,900は3,500アガる。
3本場
武藤が東からタンヤオ三色ドラ2の7,700は8,600のアガリ点棒を取り戻す、東にとっては痛い放銃となる。
南3局は波奈が東から2,600のアガリ。
オーラス1本場にダブ南をポンしてツモり800・1,400のアガリを決めて他が放銃する中、ノー放銃に終わった波奈がこの半荘トップになり2連勝、総合もトップに。
波奈 +19.0P/+34.4P
武藤 +12.4P/▲19.4P
菊田 ▲12.7P/+12.4P
東  ▲18.7P/▲27.4P
 
4回戦
起家から武藤・東・波奈・菊田
東1局
3回戦で波奈に捲られてしまった菊田が嶺上からアガリ牌を引き、リンシャン役牌ドラ1の1,600・3,200の好スタートをきる。
その後、南1局まで小場が続き、2ハンまでのアガリのみで親もすぐに流れる早い展開に。点棒を取り戻したい東・武藤には苦しいところ。
南2局 ここで大きなアガリをモノにしたのは菊田。
六筒七筒八筒東東白白  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ポン南南南
これに波奈が白を放銃し7,700、トップにたっていた波奈の点棒を大きく削った。
南3局
武藤が先制リーチをかけるがツモれず、親の波奈が粘ってテンパイを入れ2人テンパイの流局。
1本場 ドラ五筒
ここでアガリをモノにしたのが武藤
ドラ表の四筒をツモり三暗刻ツモドラ1の2,100・4,100。
これで武藤はこの半荘30,000点を超え、このまま浮いて何とか望みを繋げたい所。
オーラス ドラ六索
少しでもトップとの点棒を縮めたい武藤は早いタンヤオのみの1シャンテンを拒否してピンズのホンイツ・チンイツに向かうがなかなかピンズが引けず、その間に東がドラの六索を暗刻にして15巡目に一索四索待ちのリーチ(13巡目に東からの二索を菊田がポン)、武藤も何とかチーをしてピンズのホンイツのテンパイを入れるも無情にもハイテイで持ってきた牌が一索、一瞬切るのを躊躇したが2人テンパイで沈んでしまうためここは勝負を選択、痛い8,000点の放銃となった。
菊田 +21.8P/+34.2P
東  +5.4P/▲22.0P
武藤 ▲11.0P/▲30.4P
波奈 ▲16.2P/+18.2P
 
5回戦
起家から東・菊田・波奈・武藤
東・武藤にとってはここで何とかプラスにもっていき6回戦に望みを繋ぎたい、波奈にとっても少しでも菊田との点棒を縮めておきたい半荘。
しかし東2局に親の菊田が
ダブ東ドラ1の2,600は2,800オール
ダブ東ドラ1の2,000は2,300オール
と連荘し、3人には厳しい展開となっていく。
東4局に東に7,700テンパイが入るも武藤が放銃、菊田の点棒を減らすことはできず。
オーラス武藤が何とか4,000オール、1,500は1,800のアガリを拾うも菊田は最小限の失点でこの半荘もトップで終える。
菊田 +15.0P/+49.2P
武藤 +4.2P/▲26.2P
東  ▲5.2P/▲27.2P
波奈 ▲14.0P/+4.2P
波奈もここで2連続ラスを引いてしまい苦しくなってしまう。
 
6回戦
起家から波奈・武藤・東・菊田
東1局
菊田が序盤から積極的に動き流しにいこうとするが、親の波奈に
五万六万一索二索三索四筒五筒五筒六筒六筒七筒八筒八筒  ドラ八筒
このテンパイが入りリーチ、しかしこれが1枚も引けずに菊田の300・500に流されてしまう。
波奈には苦しい立ち上がりになってしまう。
東2局
ここで3人の希望を打ち砕くように菊田が6巡目に
一万二万三万四万五万六万七万八万九万七索七索二筒四筒  ドラ二筒
このテンパイ。
このカン三筒をあっさりツモ、2,000・4,000をアガリ優勝がかなり近づく。
南1局(ドラ七索)親の波奈がみせる
13巡目に
一万一万二万二万三万三万一索三索五索八索八索九索九索
この1シャンテンから、14巡目15巡目に連続でドラを引き
一万一万二万二万三万三万一索七索七索八索八索九索九索
ヤミで親倍の手を入れる、これを菊田から直撃するかツモれば逆転が見えてくる。
しかしまたしてもテンパイ直後に菊田がカン六索をツモ。
これが最後の反撃のチャンスとなり終局、第25期天翔位は初めての挑戦とは思えない終始落ち着いた麻雀をした菊田に。

第30回静岡リーグ(プロアマ混合)決勝レポート

30回目の節目を迎えた静岡リーグ決勝戦。
歴史に残る勝負となった。

4回戦南4局
南家杉村31,500点持ち。11巡目にテンパイを入れ14巡目

四万五万六万七万七万三索四索五索二筒四筒七筒八筒九筒  ツモ五筒  ドラ三索

3回戦終了時、杉村は▲14.7P。5回戦は抜け番である。
このままいけば6回戦に進めない可能性が高く、三色手変わりもみて二筒を切って放銃しても責められる場面ではない。
杉村は二筒には手をかけず、丁寧に打ち回しテンパイを取った。
杉村は仕掛けが入った親の手牌をドラ頭の二筒五筒かドラ周りのカンチャン濃厚と読んでいた。
比較的読みやすい親の仕掛けではあったものの、この点棒状況でよく丁寧に打てるな、と感心した。
ベテランらしい味のある打ち回しに、プロとしての矜持を感じた1局だった。
ただ1つ言えば、敗色濃厚な杉村のこの1局を取り上げることもないだろうと思っていた。

静岡リーグの決勝戦は6回戦で行われる。5回戦終了時、最下位の者はそこで敗退。最終6回戦で優勝者を決める。
さらに通過順位で以下のアドバンテージが与えられる。

1位通過+40P
2位通過+30P
3位通過+20P
4位通過+10P

決勝進出者の紹介から。

1位通過  平野敬悟
静岡支部所属 30期生 鳳凰戦C2リーグ所属
参加11回 決勝進出4回

静岡の若きエース。的確な場況判断には定評がある。
これまで何度優勝候補に挙げられたことか。1位通過の今回こそは負けが許されない。

 

2位通過  都築友和
中部本部所属 30期生  中部プロリーグAリーグ所属
参加4回 決勝進出2回

4回参加で2度の決勝進出を果たす。50人近く参加するリーグ戦ではかなりの勝率。
持ち味は無骨な攻めにある。型にはまれば一気の優勝もあるか。

 

3位通過  坂本彰光
一般参加
参加11回 決勝進出4回(1回は決勝辞退)

一般参加でこの決勝進出回数は立派の一言。
競技麻雀への造詣も深い。今まで決勝戦では苦い思いをしているだけに今回への思いは一際強い。

 

4位通過  白井健夫
一般参加
参加29回 決勝進出3回

支部長望月を静岡支部の顔とすれば、静岡リーグの顔は白井さんか。
実に9年半ぶりの決勝進出。

 

5位通過  杉村泰治
中部本部所属 12期生 中部プロリーグAリーグ所属
参加24回 決勝進出7回

静岡リーグきっての実力者ながら今まで準優勝3回と不思議と優勝に縁がない。
厳しい位置からのスタートになるが、悲願の優勝なるか。

(以下、文中敬称略)

 

1回戦(起家から杉村・白井・坂本・平野 抜け番都築)

東1局0本場

坂本・平野にドラが割れる。杉村3巡目に積極的に1枚目の白をポン。

三万四万四索六索二筒七筒九筒九筒南南  ポン白白白  打一筒  ドラ北

これが功を奏し最高の形でアガリを決める。

18巡目
九筒九筒南南  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き  ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 上向き  ポン白白白  ツモ南

幸先の良い2,600オール。

東1局1本場、平野が確定三色のリーチ。

一万二万三万一索二索三索六索六索七索八索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ六万

打点のあるリーチだが、リーチ後すぐにドラ六万を引いてしまい、それを白井がポン。苦しい形ながらも白井がアガリきる。

白井14巡目
二索三索四索一筒二筒三筒東  ポン六万 上向き六万 上向き六万 上向き  ポン南南南  ツモ東

高打点の応酬で幕開けとなった。

東4局0本場、坂本6巡目に四暗刻1シャンテン。

三万三万四万四万四万八万八万八万一筒一筒五筒五筒中  打五万  ドラ八筒

五万として退路を断つ。
坂本11巡目に出た2枚目の一筒もなんと鳴かず。坂本の並々ならぬ決意を垣間見た。
しかしアドバンテージ+40Pの親番平野が沈んでいる状況だけに、ここはテンパイを取る方が良いように見えた。

この後、高打点のアガリはないものの平野の親が落ちない。
嫌な空気が流れ始める・・・。

同4本場
平野14巡目
二万二万四万四万四索四索七索七索八索五筒五筒六筒六筒  ツモ八索  ドラ八索

まだまだ1回戦とはいえ、あまりにも大きいアガリとなった。

同6本場
これ以上やられてはたまらないと、平野以外の全員が動く。
3方向から仕掛けに挟まれた平野9巡目。

一万一万二万三万四万五万五万七万四索五索七索八索九索  ツモ白  ドラ九万

ここで生牌の白を引いて少考して打一万とする。
全員がテンパイでもおかしくない状況でクレバーな平野らしい選択。

しかし次巡、痛恨のツモ一万でテンパイを逃す。
結果論で言えば白は鳴かれなかっただけに痛すぎるテンパイ逃し。
平野がリーチと言えば、この後に生まれる坂本のアガリがあったかどうかはかなり微妙なところだ。

坂本11巡目
七万九万四索四索五索六索七索五筒六筒七筒  ポン東東東  ロン八万

この親落ちは点数には関係のないところだが、たたみかける大チャンスを逃したかにも見えた。

その後大きなアガリが出ずに迎えた南4局

白井19巡目
一万二万三万四万五万六万七万八万九万二索三索八索八索  ツモ四索  ドラ二万

18巡目テンパイ、ハイテイツモで3,000・6,000。

なんとこのアガリで平野をかわしトップとなる。
全員に嬉しいアガリとなった。

1回戦
白井+23.6P 平野+17.2P 杉村▲14.9P 坂本▲25.9P

1回戦終了時
平野+57.2P 白井+33.6P 都築+30.0P 坂本▲5.9P 杉村▲14.9P 

 

2回戦(起家から坂本・都築・杉村・白井 抜け番平野)

東1局0本場
平野を追撃したい都築に勝負手が入る
都築9巡目テンパイ

一筒一筒二筒二筒三筒四筒五筒白白白  ポン中中中  ドラ二万

次巡三筒ツモ切り、12巡目でアガリ逃した四筒が坂本につかまる。

坂本
一万二万二万二万三万三万四万五万七索八索九索五筒六筒  ロン四筒

ピンフドラ3の11,600。

ますます平野にとって展開がむいてきたなと思った矢先に、都築がまたしても勝負手のテンパイ。
これをきっちり白井からアガリ、あっさり原点復帰。

東2局0本場

都築
二万三万四万四索四索二筒三筒三筒四筒四筒六筒六筒六筒  ロン二筒  ドラ六筒

さらに2,000オールと加点した都築にまたしても坂本が襲いかかる。

同2本場
坂本
一万二万三万一索三索七索八索九索一筒二筒三筒九筒九筒  ロン二索

手役を意識した素晴らしい手順を見せる。

東3局に入り杉村が立て続けにアガる。

東3局0本場  4,800
同1本場 2,000は2,100オール
同2本場 2,000は2,200オール

これで持ち点は46,600。1回戦幸先の良いスタートを切ったものの沈んでしまった杉村だが、ここで立て直してきた。

杉村は結局この半荘、放銃なしでまとめ大きなトップをとる。
逆に白井は東2局で12,000放銃後、一度も点棒を増やすことができず貯金を使い果たしてしまった。

平野にとっては最高の抜け番となった。

2回戦
杉村+27.7P 坂本+19.5P 都築▲8.2P 白井▲40.0P (供託1.0)

2回戦終了時
平野+57.2P 都築+21.8P 坂本+13.6P 杉村+12.8P 白井▲6.4P(供託1.0)

 

3回戦(起家から白井・平野・都築・杉村 抜け番坂本)

東1局0本場
白井が11巡目先制リーチ

二万二万三万三万五索五索六索七索七索一筒一筒七筒七筒  リーチ  ドラ七筒

捨牌で中筋になっているとはいえ、思い切ってリーチ。
これにリーチの現物のピンフテンパイを入れていた都築が掴まる。
都築は2回戦に続き高打点の放銃となった。

東3局0本場
都築の2フーロに平野が生牌の白で3,900放銃。
平野の表情が曇る。

都築
六万七万八万三索三索白白  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ポン発発発  ロン白  ドラ五万

平野にとっては絶好の展開となったことが逆にプレッシャーになってしまったか?
またしても平野に試練が襲いかかる

同1本場
都築7巡目六万ポンして大物手テンパイ。
これに再び平野が飛び込む。

六筒七筒八筒北北白白白発発  ポン六万 上向き六万 上向き六万 上向き  ロン北  ドラ北

平野は形の良い1シャンテンだったが、都築の捨牌も変則だっただけに不用意だったか。

南1局
都築
二索三索四索五索五索六索六索七索七索七索八索八索八索  ドラ七索

一索四索五索六索七索九索待ちのテンパイ。
ツモなら一索以外3倍満、六索九索なら出アガリでも3倍満のまさに超大物手。

都築の手牌を完全に読み違えた杉村が一索で痛恨の放銃。
2回戦でトップを取った杉村にとって悔やんでも悔やみきれない放銃となってしまった。

終わってみれば、12,000放銃でスタートした都築の大トップとなり、勝負は混沌としてきた。

3回戦成績
都築+43.0 白井+5.4 平野▲20.9 杉村▲27.5

3回戦終了時
都築+64.8 平野+36.3 坂本+13.6 白井▲1.0 杉村▲14.7(供託1.0)

 

4回戦(起家から杉村・都築・坂本・平野 抜け番白井)

引き続き都築にチャンスが訪れる。
東1局6巡目

五万六万七万六索七索八索三筒三筒六筒七筒七筒八筒九筒  ドラ三筒

ここはドラドラであったが手変わり3種をみてヤミテンに構えた。
しかし親の杉村に3,900放銃でこの局は終わる。
都築がリーチといっても結果は変わらないだろうか、今日の都築はアガリも多いが、手がぶつかっての放銃も多い。

杉村
一万二万三万四万七万八万九万四筒五筒六筒白白白  リーチ  ロン一万

同1本場坂本10巡目

一万三万六万七万八万五筒六筒七筒八筒八筒中中中  ツモ二万  ドラ一万

ここは慎重にヤミテンに構えたが追いかける立場なだけにリーチもあったか?
少し坂本が消極的に見えた。

平野が親番で連荘。
東4局2本場

平野、7巡目メンホンの好形1シャンテン

一万二万二万三万四万五万六万七万七万八万南南南  ドラ東

10巡目に切られた3枚の九万をチー。三万六万九万は全部で7枚目、判断には迷う場面。答えはすぐに出てしまう。
南家の杉村に八万九万とツモ切られてしまった。

しかし同2本場2,000は2,300オールと加点に成功した。

南1局0本場
都築は親の現物であったために残していた八筒が坂本のテンパイに間に合ってしまう。

坂本
七万八万九万二索二索七索七索八索八索九索九索七筒九筒  ロン八筒  ドラ二筒

都築は3回戦終了時に首位に立ったものの4回戦で点棒の流出が止まらない苦しい展開。

さらにここから平野は加点する。
南2局1本場8巡目

四万四万六万六万七万七万九万九万四索四索五筒五筒南  ツモ南  ドラ五筒

ここへきて平静を取り戻した平野。
このまま逃げ切って優勝の可能性が、かなり高いと思わせた。

南4局は坂本がアガリ、3人浮きとなった。
杉村はかろうじて浮き、抜け番の5回戦を見守ることとなった。

4回戦成績
平野+25.2P 坂本+8.5P 杉村+1.2P 都築▲34.9P

4回戦終了時
平野+61.5P 都築+29.9P 坂本+22.1P 白井▲1.0P 杉村▲13.5P(供託1.0)

 

5回戦(起家から白井・都築・坂本・平野 抜け番杉村)

東1局0本場
追い上げなければいけない白井からドラ単騎七対子のリーチが入る

白井6巡目
二万二万四万四万六万六万五索五索八索東東西西  リーチ  ドラ八索

都築が親リーチにリーチのみでぶつける

都築10巡目
三万三万三万二索三索四索四筒五筒六筒六筒七筒白白  リーチ

実は平野は6巡目に以下の形で追いついていた。

五万五万六索八索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒

ここにドラ八索を引いてさらに形を変える。
そして14巡目、通ってない七筒を引いて、現状のポイントと通ってない残り筋が少ないことから一筒切りヤミテンを選択。
クレバーな平野らしい選択だが、自分にとってもチャンスだったことに加え、白井さんの河はドラ待ち濃厚に見えてきていただけに、どうだったか?

実際難しい選択、必ずしも加点しないといけない場面ではない。

ここは都築が八索を掴んで白井に放銃。
平野は役なしだったためアガれず。平野からすれば当面のライバルである都築の放銃だっただけに悪くない結果だろうか。

東2局1本場
都築が14巡目高め6,000オールのリーチ。

四万五万六万五索六索二筒三筒三筒三筒四筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ中

白井が力強く追いかける。
勝負はすぐについた。

白井17巡目
一万一万一万九万九万九万八索八索九索九索中中中  リーチ  ツモ八索

四暗刻アガリ。
これで、いきなり平野と並びになった。
親被りの都築は東1局の放銃もあり、完全に優勝争いから後退となってしまった。

東4局0本場
白井配牌10種で流さず、もう一度役満を狙う。
しかしこの選択が平野を蘇らせる。

平野12巡目
二万三万四万四万五万六万三索四索二筒二筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ二索  ドラ二万

リーチ時点で山に7枚残りの二索五索をあっさりツモアガり4,000オール。
平野はこれで原点復活、再びトータルトップに。
さらに平野は1,000は1,100オール、1,000は1,200オールと加点していく。

迎えた3本場、平野15巡目ドラドラのテンパイ。

七万八万九万五索六索七索二筒二筒五筒五筒七筒七筒七筒  ツモ発  ドラ二筒

苦悶の表情を浮かべながら打九万

・・・答えはすぐに出た。

白井15巡目
一万九万一索九索一筒九筒東南西北白白中  ツモ発

国士無双アガリ。この半荘、2度目の役満ツモアガリ!!
平野の原点を割り、大きなリードを得た。
この決勝で何度も大きく構えた白井がまたしても大きな実りを得た。

平野はドラドラの手牌でよく堪えたと言える。
まだ白井から余ったのは西1牌のみ、押しても不思議ではない。
胆力のある受けを見せ、最終戦に希望を残した。

白井はN2局の親番で4,000オール、N3局で6,400をアガリさらに加点に成功する。

N4局0本場
平野が意地のツモアガリ。

三万四万五万八索八索三筒四筒五筒六筒八筒白白白  リーチ  ツモ七筒  ドラ四索

持ち点を19,000点まで回復させて原点を睨む。
そして白井が11万点を持ったことで6回戦進出争いが熾烈となっていた。

この時点で都築▲7,200点・坂本▲5,000点。
トータルが都築▲15.3P・坂本▲16.9P(順位点込み)。
卓外の杉村が▲13.5P。
前局の平野の2,600オールが実は杉村をかなり優位な位置に押し上げていた。

下位2人が熾烈な争いのため親番で点を稼ぎたい平野にとっては時間的猶予がない展開になってしまった。

そんな状況の中、あっさりと決着がつく
N4局1本場

坂本3巡目
三万三万三万五索五索六筒七筒八筒九筒九筒九筒東東  リーチ  ツモ五索  ドラ五索

なんとか坂本が都築との争いを制した。
都築は3回戦終了時首位から無念の敗退になってしまった。

平野は最後も跳満の親被り。
まさしく受難の半荘となってしまった。

5回戦成績
白井+92.1P 平野▲18.1P 坂本▲25.7P 都築▲48.3P

5回戦終了時
白井+91.1P 平野+43.4P 坂本▲3.6P 杉村▲13.5P 都築▲18.4P(供託1.0)

 

6回戦(競技規定により起家から平野・坂本・杉村・白井)

トータルトップの白井と平野の差は47.7ポイント。
トップラスでも30,000点差以上必要になってくる。
3位の坂本に至っては94.7P、4位杉村とは104.6ポイント差である。

T1局0本場
まずは平野が6巡目先制リーチ。

三万四万五万一索二索三索二筒三筒四筒六筒六筒東東  リーチ  ツモ六筒  ドラ五索

安めではあったが最終手番でツモアガリ反撃の狼煙を上げる。
その後も3,900は4,200、その次の局は杉村のリーチをかわして1,500は2,100と加点していく。

T1局3本場
白井が自力で平野の親を落とすことに成功する。

13巡目
四万四万四万八万八万八万五索五索六筒八筒  チー七万 左向き六万 上向き八万 上向き  ロン七筒  ドラ五索

若干手詰まり気味の坂本から非常に嬉しい3,900は4,500のアガリ。
白井、第1関門は突破。

T2局も白井が親の坂本に3,900放銃するも、1本場で2,000は2,300をアガリ返し、局を進める。

T3局0本場杉村1人テンパイ、同1本場も2,000は2,100オール。

同2本場
杉村18巡目

六万七万八万二索二索三索三索三索四索五索六索七索八索  リーチ  ツモ六索  ドラ七万

最終手番でついに大物手を成就する。3,900は4,100オール。

杉村はさらに加点していく
同3本場ドラ2

五万六万七万一索二索二索三索三索四索一筒二筒三筒九筒  リーチ  ロン九筒

同4本場
五万五万五万六万六万二索三索五索六索七索六筒七筒八筒  リーチ  ツモ一索  ドラ三索

ここまでで杉村の持ち点は62,200点まで来た。
だが、まだ2位の平野にも届いていない。

さらに点数以上の大きなアガリが出る。
同5本場杉村14巡目

五万六万四索四索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  ロン四万  ドラ四索

白井から杉村へ5,800は7,300。魔が差したとでもいうような放銃であった。優勝を目前にして焦りが出てしまったか。

ここで点数は以下の通り
平野30,700点  坂本4,500点  杉村69,500点  白井15,300点
トータルポイントは
白井+72.4P  平野+48.1P  杉村+34.0P  坂本▲37.1P

ようやく杉村にも白井の背中が見えてきた。
平野にとっても、このアガリは白井が原点から遠くなる価値あるものとなった。

だが、それでも白井が有利なことには変わらない。
白井は自身が沈んでいる以上、平野とはまだ24,000点、杉村とはまだ38,000点差あると思えばいい。

同6本場で平野が坂本から1,000は2,800を坂本からアガリ、長い親番を落とす。

東4局0本場ドラ三筒
坂本意地のリーチも流局して、白井・坂本の2人テンパイ

同1本場
まだまだ点数が必要な杉村に手が入る。

杉村9巡目
五万七万一索二索三索五索六索七索二筒三筒四筒六筒六筒  リーチ  ドラ六筒

これにタンピンドラ1の1シャンテンの白井が、いよいよ腹をくくって無筋を押す。
14巡目ついに追いついた。

白井
二万三万四万五万六万三索三索四索五索六索六筒七筒八筒  リーチ

白井の一万四万七万は5枚(高め2枚)、杉村の六万は2枚残っている。
白井・杉村両者に緊張が走る。

結果はすぐに出た。杉村の手に六万が踊る。
白井の緊張が落胆に変わり、周りを包み込んだ。

これでついに杉村は平野をかわし、白井まで23.2ポイントまで迫った。

南1局0本場
平野は自身の点数が29,900点だけに浮きに回れば白井までは20,000点強の差しかない。

杉村配牌
五万九万一索二索六索六索一筒二筒七筒九筒北発中  ドラ七索

どちらかと言えばかなり悪い手牌であろうか。
しかしこの時、ツモが中五万五索白白

6巡目、8巡目に中白と鳴けて9巡目に三索を引いてこの形。

一索二索三索五索六索九筒九筒発  ポン白白白  ポン中中中

ここで杉村は点差を一瞥する。
杉村の選択は打九筒で、ホンイツ小三元の跳満以上を狙う。残り点差を考えての選択であろう。

最後の杉村の勝負手の形を見て、私は平野の手牌を確認しに移動した。
平野の手牌はタンヤオ1シャンテン。発は持っていないので、ここは全力でテンパイに向かう。

杉村手出し九筒九筒の後、手出し六索

「え?・・・手出し六索って・・・まさか・・・」

平野は杉村の五筒に声をかけポンテンを入れる。その刹那、杉村の手に発が舞い降りた。ギャラリーからこの日一番の歓声が上がる。

杉村17巡目
一索二索三索五索五索発発  ポン白白白  ポン中中中  ツモ発

大三元アガリ。
この日3度目の役満は白井、平野を一気にかわすアガリとなった。
平野はまたしても発で役満の親被りである。

平野は唇を噛み締め、白井は天を仰いだ。

平野は最後の親で突き放され、もはや坂本・白井に抵抗する力は残っていなかった。

6回戦成績
杉村+90.2P 平野▲10.9P 白井▲32.4P 坂本▲47.9P(供託1,0)

最終成績
杉村+76.7P 白井+58.7P 平野+32.5P 坂本▲51.5P 都築▲18.4P(供託2,0)

白井は2度の役満アガリで会場を大いに沸かし、参加15年目の初優勝に後一歩まで迫った。この日一日通して大きく構えた麻雀を打ち、堂々とした内容だったと思う。
今回、最終的に勝負の明暗を分けたのは「受けの強さ」であったと思う。
平野・杉村共に受けに強い選手。白井の目前に優勝が迫った時に、2人の受けの強さが白井の焦りを生んでいた。

平野は胆力のある我慢を幾度となく見せてくれた。平野の席に座っていたのが別の人間だったら白井は難なく逃げ切れたかもしれない。

坂本は3度目の決勝戦だったが、持ち味を出しきれずに終わってしまった。
随所にらしさが出ていたが本人も不本意だったであろう。何度も決勝進出している選手。結果を出すのは遠い未来ではないと思う。

都築は打点力を存分に見せつけたが高打点の放銃が尾を引いてしまった。
持ち味を失わずにバランスよく構えられるようになるかが今後の課題であろう。

最後に杉村。
競技生活が長く、その真摯な姿勢に学ぶべきことが多い。
敗色濃厚な4回戦も丁寧に打ち切り、可能性をつなげ、実際に6回戦にコマを進めた。
そして最終戦、トップとは100ポイント以上離れていたが、最終戦があることを本当に嬉しそうにしていた。

麻雀プロである以上、誰もが最後まで可能性を追うのは当然のことである。
しかし、心の底からそれに向かって丁寧さを失わずにやれるかどうかというのは別のことであろう。

奇跡の逆転劇の裏には、必ず最後まで諦めずに丁寧に打牌した後が残る。
そして、それが実らなかった数え切れない敗戦がある。

97局にも及ぶ熱戦は偉大な先輩の静岡リーグ初優勝で幕を閉じた。

静岡プロリーグ 決勝観戦記/第30回静岡リーグ(プロアマ混合)決勝レポート

30回目の節目を迎えた静岡リーグ決勝戦。
歴史に残る勝負となった。
4回戦南4局
南家杉村31,500点持ち。11巡目にテンパイを入れ14巡目
四万五万六万七万七万三索四索五索二筒四筒七筒八筒九筒  ツモ五筒  ドラ三索
3回戦終了時、杉村は▲14.7P。5回戦は抜け番である。
このままいけば6回戦に進めない可能性が高く、三色手変わりもみて二筒を切って放銃しても責められる場面ではない。
杉村は二筒には手をかけず、丁寧に打ち回しテンパイを取った。
杉村は仕掛けが入った親の手牌をドラ頭の二筒五筒かドラ周りのカンチャン濃厚と読んでいた。
比較的読みやすい親の仕掛けではあったものの、この点棒状況でよく丁寧に打てるな、と感心した。
ベテランらしい味のある打ち回しに、プロとしての矜持を感じた1局だった。
ただ1つ言えば、敗色濃厚な杉村のこの1局を取り上げることもないだろうと思っていた。
静岡リーグの決勝戦は6回戦で行われる。5回戦終了時、最下位の者はそこで敗退。最終6回戦で優勝者を決める。
さらに通過順位で以下のアドバンテージが与えられる。
1位通過+40P
2位通過+30P
3位通過+20P
4位通過+10P
決勝進出者の紹介から。
1位通過  平野敬悟
静岡支部所属 30期生 鳳凰戦C2リーグ所属
参加11回 決勝進出4回
静岡の若きエース。的確な場況判断には定評がある。
これまで何度優勝候補に挙げられたことか。1位通過の今回こそは負けが許されない。
 
2位通過  都築友和
中部本部所属 30期生  中部プロリーグAリーグ所属
参加4回 決勝進出2回
4回参加で2度の決勝進出を果たす。50人近く参加するリーグ戦ではかなりの勝率。
持ち味は無骨な攻めにある。型にはまれば一気の優勝もあるか。
 
3位通過  坂本彰光
一般参加
参加11回 決勝進出4回(1回は決勝辞退)
一般参加でこの決勝進出回数は立派の一言。
競技麻雀への造詣も深い。今まで決勝戦では苦い思いをしているだけに今回への思いは一際強い。
 
4位通過  白井健夫
一般参加
参加29回 決勝進出3回
支部長望月を静岡支部の顔とすれば、静岡リーグの顔は白井さんか。
実に9年半ぶりの決勝進出。
 
5位通過  杉村泰治
中部本部所属 12期生 中部プロリーグAリーグ所属
参加24回 決勝進出7回
静岡リーグきっての実力者ながら今まで準優勝3回と不思議と優勝に縁がない。
厳しい位置からのスタートになるが、悲願の優勝なるか。
(以下、文中敬称略)
 
1回戦(起家から杉村・白井・坂本・平野 抜け番都築)
東1局0本場
坂本・平野にドラが割れる。杉村3巡目に積極的に1枚目の白をポン。
三万四万四索六索二筒七筒九筒九筒南南  ポン白白白  打一筒  ドラ北
これが功を奏し最高の形でアガリを決める。
18巡目
九筒九筒南南  ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き  ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 上向き  ポン白白白  ツモ南
幸先の良い2,600オール。
東1局1本場、平野が確定三色のリーチ。
一万二万三万一索二索三索六索六索七索八索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ六万
打点のあるリーチだが、リーチ後すぐにドラ六万を引いてしまい、それを白井がポン。苦しい形ながらも白井がアガリきる。
白井14巡目
二索三索四索一筒二筒三筒東  ポン六万 上向き六万 上向き六万 上向き  ポン南南南  ツモ東
高打点の応酬で幕開けとなった。
東4局0本場、坂本6巡目に四暗刻1シャンテン。
三万三万四万四万四万八万八万八万一筒一筒五筒五筒中  打五万  ドラ八筒
五万として退路を断つ。
坂本11巡目に出た2枚目の一筒もなんと鳴かず。坂本の並々ならぬ決意を垣間見た。
しかしアドバンテージ+40Pの親番平野が沈んでいる状況だけに、ここはテンパイを取る方が良いように見えた。
この後、高打点のアガリはないものの平野の親が落ちない。
嫌な空気が流れ始める・・・。
同4本場
平野14巡目
二万二万四万四万四索四索七索七索八索五筒五筒六筒六筒  ツモ八索  ドラ八索
まだまだ1回戦とはいえ、あまりにも大きいアガリとなった。
同6本場
これ以上やられてはたまらないと、平野以外の全員が動く。
3方向から仕掛けに挟まれた平野9巡目。
一万一万二万三万四万五万五万七万四索五索七索八索九索  ツモ白  ドラ九万
ここで生牌の白を引いて少考して打一万とする。
全員がテンパイでもおかしくない状況でクレバーな平野らしい選択。
しかし次巡、痛恨のツモ一万でテンパイを逃す。
結果論で言えば白は鳴かれなかっただけに痛すぎるテンパイ逃し。
平野がリーチと言えば、この後に生まれる坂本のアガリがあったかどうかはかなり微妙なところだ。
坂本11巡目
七万九万四索四索五索六索七索五筒六筒七筒  ポン東東東  ロン八万
この親落ちは点数には関係のないところだが、たたみかける大チャンスを逃したかにも見えた。
その後大きなアガリが出ずに迎えた南4局
白井19巡目
一万二万三万四万五万六万七万八万九万二索三索八索八索  ツモ四索  ドラ二万
18巡目テンパイ、ハイテイツモで3,000・6,000。
なんとこのアガリで平野をかわしトップとなる。
全員に嬉しいアガリとなった。
1回戦
白井+23.6P 平野+17.2P 杉村▲14.9P 坂本▲25.9P
1回戦終了時
平野+57.2P 白井+33.6P 都築+30.0P 坂本▲5.9P 杉村▲14.9P 
 
2回戦(起家から坂本・都築・杉村・白井 抜け番平野)
東1局0本場
平野を追撃したい都築に勝負手が入る
都築9巡目テンパイ
一筒一筒二筒二筒三筒四筒五筒白白白  ポン中中中  ドラ二万
次巡三筒ツモ切り、12巡目でアガリ逃した四筒が坂本につかまる。
坂本
一万二万二万二万三万三万四万五万七索八索九索五筒六筒  ロン四筒
ピンフドラ3の11,600。
ますます平野にとって展開がむいてきたなと思った矢先に、都築がまたしても勝負手のテンパイ。
これをきっちり白井からアガリ、あっさり原点復帰。
東2局0本場
都築
二万三万四万四索四索二筒三筒三筒四筒四筒六筒六筒六筒  ロン二筒  ドラ六筒
さらに2,000オールと加点した都築にまたしても坂本が襲いかかる。
同2本場
坂本
一万二万三万一索三索七索八索九索一筒二筒三筒九筒九筒  ロン二索
手役を意識した素晴らしい手順を見せる。
東3局に入り杉村が立て続けにアガる。
東3局0本場  4,800
同1本場 2,000は2,100オール
同2本場 2,000は2,200オール
これで持ち点は46,600。1回戦幸先の良いスタートを切ったものの沈んでしまった杉村だが、ここで立て直してきた。
杉村は結局この半荘、放銃なしでまとめ大きなトップをとる。
逆に白井は東2局で12,000放銃後、一度も点棒を増やすことができず貯金を使い果たしてしまった。
平野にとっては最高の抜け番となった。
2回戦
杉村+27.7P 坂本+19.5P 都築▲8.2P 白井▲40.0P (供託1.0)
2回戦終了時
平野+57.2P 都築+21.8P 坂本+13.6P 杉村+12.8P 白井▲6.4P(供託1.0)
 
3回戦(起家から白井・平野・都築・杉村 抜け番坂本)
東1局0本場
白井が11巡目先制リーチ
二万二万三万三万五索五索六索七索七索一筒一筒七筒七筒  リーチ  ドラ七筒
捨牌で中筋になっているとはいえ、思い切ってリーチ。
これにリーチの現物のピンフテンパイを入れていた都築が掴まる。
都築は2回戦に続き高打点の放銃となった。
東3局0本場
都築の2フーロに平野が生牌の白で3,900放銃。
平野の表情が曇る。
都築
六万七万八万三索三索白白  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ポン発発発  ロン白  ドラ五万
平野にとっては絶好の展開となったことが逆にプレッシャーになってしまったか?
またしても平野に試練が襲いかかる
同1本場
都築7巡目六万ポンして大物手テンパイ。
これに再び平野が飛び込む。
六筒七筒八筒北北白白白発発  ポン六万 上向き六万 上向き六万 上向き  ロン北  ドラ北
平野は形の良い1シャンテンだったが、都築の捨牌も変則だっただけに不用意だったか。
南1局
都築
二索三索四索五索五索六索六索七索七索七索八索八索八索  ドラ七索
一索四索五索六索七索九索待ちのテンパイ。
ツモなら一索以外3倍満、六索九索なら出アガリでも3倍満のまさに超大物手。
都築の手牌を完全に読み違えた杉村が一索で痛恨の放銃。
2回戦でトップを取った杉村にとって悔やんでも悔やみきれない放銃となってしまった。
終わってみれば、12,000放銃でスタートした都築の大トップとなり、勝負は混沌としてきた。
3回戦成績
都築+43.0 白井+5.4 平野▲20.9 杉村▲27.5
3回戦終了時
都築+64.8 平野+36.3 坂本+13.6 白井▲1.0 杉村▲14.7(供託1.0)
 
4回戦(起家から杉村・都築・坂本・平野 抜け番白井)
引き続き都築にチャンスが訪れる。
東1局6巡目
五万六万七万六索七索八索三筒三筒六筒七筒七筒八筒九筒  ドラ三筒
ここはドラドラであったが手変わり3種をみてヤミテンに構えた。
しかし親の杉村に3,900放銃でこの局は終わる。
都築がリーチといっても結果は変わらないだろうか、今日の都築はアガリも多いが、手がぶつかっての放銃も多い。
杉村
一万二万三万四万七万八万九万四筒五筒六筒白白白  リーチ  ロン一万
同1本場坂本10巡目
一万三万六万七万八万五筒六筒七筒八筒八筒中中中  ツモ二万  ドラ一万
ここは慎重にヤミテンに構えたが追いかける立場なだけにリーチもあったか?
少し坂本が消極的に見えた。
平野が親番で連荘。
東4局2本場
平野、7巡目メンホンの好形1シャンテン
一万二万二万三万四万五万六万七万七万八万南南南  ドラ東
10巡目に切られた3枚の九万をチー。三万六万九万は全部で7枚目、判断には迷う場面。答えはすぐに出てしまう。
南家の杉村に八万九万とツモ切られてしまった。
しかし同2本場2,000は2,300オールと加点に成功した。
南1局0本場
都築は親の現物であったために残していた八筒が坂本のテンパイに間に合ってしまう。
坂本
七万八万九万二索二索七索七索八索八索九索九索七筒九筒  ロン八筒  ドラ二筒
都築は3回戦終了時に首位に立ったものの4回戦で点棒の流出が止まらない苦しい展開。
さらにここから平野は加点する。
南2局1本場8巡目
四万四万六万六万七万七万九万九万四索四索五筒五筒南  ツモ南  ドラ五筒
ここへきて平静を取り戻した平野。
このまま逃げ切って優勝の可能性が、かなり高いと思わせた。
南4局は坂本がアガリ、3人浮きとなった。
杉村はかろうじて浮き、抜け番の5回戦を見守ることとなった。
4回戦成績
平野+25.2P 坂本+8.5P 杉村+1.2P 都築▲34.9P
4回戦終了時
平野+61.5P 都築+29.9P 坂本+22.1P 白井▲1.0P 杉村▲13.5P(供託1.0)
 
5回戦(起家から白井・都築・坂本・平野 抜け番杉村)
東1局0本場
追い上げなければいけない白井からドラ単騎七対子のリーチが入る
白井6巡目
二万二万四万四万六万六万五索五索八索東東西西  リーチ  ドラ八索
都築が親リーチにリーチのみでぶつける
都築10巡目
三万三万三万二索三索四索四筒五筒六筒六筒七筒白白  リーチ
実は平野は6巡目に以下の形で追いついていた。
五万五万六索八索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒
ここにドラ八索を引いてさらに形を変える。
そして14巡目、通ってない七筒を引いて、現状のポイントと通ってない残り筋が少ないことから一筒切りヤミテンを選択。
クレバーな平野らしい選択だが、自分にとってもチャンスだったことに加え、白井さんの河はドラ待ち濃厚に見えてきていただけに、どうだったか?
実際難しい選択、必ずしも加点しないといけない場面ではない。
ここは都築が八索を掴んで白井に放銃。
平野は役なしだったためアガれず。平野からすれば当面のライバルである都築の放銃だっただけに悪くない結果だろうか。
東2局1本場
都築が14巡目高め6,000オールのリーチ。
四万五万六万五索六索二筒三筒三筒三筒四筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ中
白井が力強く追いかける。
勝負はすぐについた。
白井17巡目
一万一万一万九万九万九万八索八索九索九索中中中  リーチ  ツモ八索
四暗刻アガリ。
これで、いきなり平野と並びになった。
親被りの都築は東1局の放銃もあり、完全に優勝争いから後退となってしまった。
東4局0本場
白井配牌10種で流さず、もう一度役満を狙う。
しかしこの選択が平野を蘇らせる。
平野12巡目
二万三万四万四万五万六万三索四索二筒二筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ二索  ドラ二万
リーチ時点で山に7枚残りの二索五索をあっさりツモアガり4,000オール。
平野はこれで原点復活、再びトータルトップに。
さらに平野は1,000は1,100オール、1,000は1,200オールと加点していく。
迎えた3本場、平野15巡目ドラドラのテンパイ。
七万八万九万五索六索七索二筒二筒五筒五筒七筒七筒七筒  ツモ発  ドラ二筒
苦悶の表情を浮かべながら打九万
・・・答えはすぐに出た。
白井15巡目
一万九万一索九索一筒九筒東南西北白白中  ツモ発
国士無双アガリ。この半荘、2度目の役満ツモアガリ!!
平野の原点を割り、大きなリードを得た。
この決勝で何度も大きく構えた白井がまたしても大きな実りを得た。
平野はドラドラの手牌でよく堪えたと言える。
まだ白井から余ったのは西1牌のみ、押しても不思議ではない。
胆力のある受けを見せ、最終戦に希望を残した。
白井はN2局の親番で4,000オール、N3局で6,400をアガリさらに加点に成功する。
N4局0本場
平野が意地のツモアガリ。
三万四万五万八索八索三筒四筒五筒六筒八筒白白白  リーチ  ツモ七筒  ドラ四索
持ち点を19,000点まで回復させて原点を睨む。
そして白井が11万点を持ったことで6回戦進出争いが熾烈となっていた。
この時点で都築▲7,200点・坂本▲5,000点。
トータルが都築▲15.3P・坂本▲16.9P(順位点込み)。
卓外の杉村が▲13.5P。
前局の平野の2,600オールが実は杉村をかなり優位な位置に押し上げていた。
下位2人が熾烈な争いのため親番で点を稼ぎたい平野にとっては時間的猶予がない展開になってしまった。
そんな状況の中、あっさりと決着がつく
N4局1本場
坂本3巡目
三万三万三万五索五索六筒七筒八筒九筒九筒九筒東東  リーチ  ツモ五索  ドラ五索
なんとか坂本が都築との争いを制した。
都築は3回戦終了時首位から無念の敗退になってしまった。
平野は最後も跳満の親被り。
まさしく受難の半荘となってしまった。
5回戦成績
白井+92.1P 平野▲18.1P 坂本▲25.7P 都築▲48.3P
5回戦終了時
白井+91.1P 平野+43.4P 坂本▲3.6P 杉村▲13.5P 都築▲18.4P(供託1.0)
 
6回戦(競技規定により起家から平野・坂本・杉村・白井)
トータルトップの白井と平野の差は47.7ポイント。
トップラスでも30,000点差以上必要になってくる。
3位の坂本に至っては94.7P、4位杉村とは104.6ポイント差である。
T1局0本場
まずは平野が6巡目先制リーチ。
三万四万五万一索二索三索二筒三筒四筒六筒六筒東東  リーチ  ツモ六筒  ドラ五索
安めではあったが最終手番でツモアガリ反撃の狼煙を上げる。
その後も3,900は4,200、その次の局は杉村のリーチをかわして1,500は2,100と加点していく。
T1局3本場
白井が自力で平野の親を落とすことに成功する。
13巡目
四万四万四万八万八万八万五索五索六筒八筒  チー七万 左向き六万 上向き八万 上向き  ロン七筒  ドラ五索
若干手詰まり気味の坂本から非常に嬉しい3,900は4,500のアガリ。
白井、第1関門は突破。
T2局も白井が親の坂本に3,900放銃するも、1本場で2,000は2,300をアガリ返し、局を進める。
T3局0本場杉村1人テンパイ、同1本場も2,000は2,100オール。
同2本場
杉村18巡目
六万七万八万二索二索三索三索三索四索五索六索七索八索  リーチ  ツモ六索  ドラ七万
最終手番でついに大物手を成就する。3,900は4,100オール。
杉村はさらに加点していく
同3本場ドラ2
五万六万七万一索二索二索三索三索四索一筒二筒三筒九筒  リーチ  ロン九筒
同4本場
五万五万五万六万六万二索三索五索六索七索六筒七筒八筒  リーチ  ツモ一索  ドラ三索
ここまでで杉村の持ち点は62,200点まで来た。
だが、まだ2位の平野にも届いていない。
さらに点数以上の大きなアガリが出る。
同5本場杉村14巡目
五万六万四索四索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  ロン四万  ドラ四索
白井から杉村へ5,800は7,300。魔が差したとでもいうような放銃であった。優勝を目前にして焦りが出てしまったか。
ここで点数は以下の通り
平野30,700点  坂本4,500点  杉村69,500点  白井15,300点
トータルポイントは
白井+72.4P  平野+48.1P  杉村+34.0P  坂本▲37.1P
ようやく杉村にも白井の背中が見えてきた。
平野にとっても、このアガリは白井が原点から遠くなる価値あるものとなった。
だが、それでも白井が有利なことには変わらない。
白井は自身が沈んでいる以上、平野とはまだ24,000点、杉村とはまだ38,000点差あると思えばいい。
同6本場で平野が坂本から1,000は2,800を坂本からアガリ、長い親番を落とす。
東4局0本場ドラ三筒
坂本意地のリーチも流局して、白井・坂本の2人テンパイ
同1本場
まだまだ点数が必要な杉村に手が入る。
杉村9巡目
五万七万一索二索三索五索六索七索二筒三筒四筒六筒六筒  リーチ  ドラ六筒
これにタンピンドラ1の1シャンテンの白井が、いよいよ腹をくくって無筋を押す。
14巡目ついに追いついた。
白井
二万三万四万五万六万三索三索四索五索六索六筒七筒八筒  リーチ
白井の一万四万七万は5枚(高め2枚)、杉村の六万は2枚残っている。
白井・杉村両者に緊張が走る。
結果はすぐに出た。杉村の手に六万が踊る。
白井の緊張が落胆に変わり、周りを包み込んだ。
これでついに杉村は平野をかわし、白井まで23.2ポイントまで迫った。
南1局0本場
平野は自身の点数が29,900点だけに浮きに回れば白井までは20,000点強の差しかない。
杉村配牌
五万九万一索二索六索六索一筒二筒七筒九筒北発中  ドラ七索
どちらかと言えばかなり悪い手牌であろうか。
しかしこの時、ツモが中五万五索白白
6巡目、8巡目に中白と鳴けて9巡目に三索を引いてこの形。
一索二索三索五索六索九筒九筒発  ポン白白白  ポン中中中
ここで杉村は点差を一瞥する。
杉村の選択は打九筒で、ホンイツ小三元の跳満以上を狙う。残り点差を考えての選択であろう。
最後の杉村の勝負手の形を見て、私は平野の手牌を確認しに移動した。
平野の手牌はタンヤオ1シャンテン。発は持っていないので、ここは全力でテンパイに向かう。
杉村手出し九筒九筒の後、手出し六索
「え?・・・手出し六索って・・・まさか・・・」
平野は杉村の五筒に声をかけポンテンを入れる。その刹那、杉村の手に発が舞い降りた。ギャラリーからこの日一番の歓声が上がる。
杉村17巡目
一索二索三索五索五索発発  ポン白白白  ポン中中中  ツモ発
大三元アガリ。
この日3度目の役満は白井、平野を一気にかわすアガリとなった。
平野はまたしても発で役満の親被りである。
平野は唇を噛み締め、白井は天を仰いだ。
平野は最後の親で突き放され、もはや坂本・白井に抵抗する力は残っていなかった。
6回戦成績
杉村+90.2P 平野▲10.9P 白井▲32.4P 坂本▲47.9P(供託1,0)
最終成績
杉村+76.7P 白井+58.7P 平野+32.5P 坂本▲51.5P 都築▲18.4P(供託2,0)
白井は2度の役満アガリで会場を大いに沸かし、参加15年目の初優勝に後一歩まで迫った。この日一日通して大きく構えた麻雀を打ち、堂々とした内容だったと思う。
今回、最終的に勝負の明暗を分けたのは「受けの強さ」であったと思う。
平野・杉村共に受けに強い選手。白井の目前に優勝が迫った時に、2人の受けの強さが白井の焦りを生んでいた。
平野は胆力のある我慢を幾度となく見せてくれた。平野の席に座っていたのが別の人間だったら白井は難なく逃げ切れたかもしれない。
坂本は3度目の決勝戦だったが、持ち味を出しきれずに終わってしまった。
随所にらしさが出ていたが本人も不本意だったであろう。何度も決勝進出している選手。結果を出すのは遠い未来ではないと思う。
都築は打点力を存分に見せつけたが高打点の放銃が尾を引いてしまった。
持ち味を失わずにバランスよく構えられるようになるかが今後の課題であろう。
最後に杉村。
競技生活が長く、その真摯な姿勢に学ぶべきことが多い。
敗色濃厚な4回戦も丁寧に打ち切り、可能性をつなげ、実際に6回戦にコマを進めた。
そして最終戦、トップとは100ポイント以上離れていたが、最終戦があることを本当に嬉しそうにしていた。
麻雀プロである以上、誰もが最後まで可能性を追うのは当然のことである。
しかし、心の底からそれに向かって丁寧さを失わずにやれるかどうかというのは別のことであろう。
奇跡の逆転劇の裏には、必ず最後まで諦めずに丁寧に打牌した後が残る。
そして、それが実らなかった数え切れない敗戦がある。
97局にも及ぶ熱戦は偉大な先輩の静岡リーグ初優勝で幕を閉じた。

第180回:プロ雀士インタビュー 小林 正和  インタビュアー:原 佑典

「勉強会などにも参加して熱意があるのは分かっていたし、その成果が結ばれた。この勝利を糧に、もっともっと頑張れば連盟を代表する選手になれる」

決勝の解説とプレゼンターを務めた瀬戸熊直樹から、これ以上ない最大級の賛辞を送られると、1人の青年の頬から何かが溢れた。
それは、純粋無垢な涙だった──

青年の名は、小林正和。
31期・後期生。
そして、第3期JPMLWRCリーグを見事、優勝という最高の結果で飾った男である。

この度、その優勝インタビューを務めさせて頂きました。初のインタビューで執筆にもかなりの時間を費やしてしまいましたが、最後まで読んで下さると嬉しく思います。よろしくお願い致します。

原 「WRCリーグ、優勝おめでとう!」

小林「ありがとう!」

原 「まずは乾杯だな」

 

100

 

原 「早速なんだけど、小林正和という男が一体どんな人物なのか?っていうのをメインに聞きたいと思ってる。いろいろ聞くけど、よろしくね!」

小林「何でも聞いてよ!」

小林は私の2年後輩である。
彼と初めて会ったのはリーグ戦の会場で、初対戦した時のことは今でも鮮明に覚えている。対局終了後、何がキッカケというワケでもなく、その日の麻雀についてしばらく語り合った。それは彼も覚えていてくれて素直に嬉しかった。
そんな昔話から、いよいよインタビューが始まった。

原 「普段は何の仕事をしてるの?」

小林「土日休みの会社員で、住宅の設計をやってるよ」

原 「へえー!麻雀はどのくらい打ってる?」

小林「セットは週に1、2回。仕事が定時の18時に終わる日は大体セットやってて、終わらない日は巣鴨の連盟道場に行って打つ感じかな」

原 「道場の存在は有り難いよね。時間の調整もしやすいし」

小林「打てない日もあったりするんだけど、そんな時は必ず対局動画を観てる。仕事以外はずっと麻雀のこと考えてるな〜」

─麻雀との出会い─

原 「麻雀を始めたキッカケは?」

小林「小さい頃、父が麻雀店を経営してて…。物心ついた時には、もうそこに麻雀があったんだよね」

原 「え、そうなの?!めっちゃ羨ましい!」

小林「でもね、父は麻雀教えてくれなかったんだよね。だから1人で牌で積み木やったり、打ってる所を後ろ見したり…」

原 「あれ?それってさ…笑」

小林「そう。生い立ちが二階堂姉妹と似てる!笑」

原 「じゃあ、ずっと麻雀に触れてきたんだね?」

小林「いや、小学校低学年の時に父が店をたたんで、その後は麻雀に関わることはなかったよ」

─麻雀プロの存在を知る─

原 「麻雀プロの存在を知ったのは?」

小林「大学の時、友達に二階堂姉妹の麻雀入門の本を見せてもらって、初めてその存在を知った。自分が抱いてた麻雀プロのイメージと全然違うな〜って感じたのを覚えてる」

原 「華やかに見えたんだね」

小林「少し興味が湧いて麻雀プロの世界を調べた。その過程で日本プロ麻雀連盟という団体があることも知って、当時は四ッ谷に道場があったから大学の授業の合間に毎日通ってたよ」

原 「いよいよ、プロへ…って感じだな」

小林「いや、モンド観たりしてて麻雀自体に興味はあったけど、その時はまだプロになろうとは思わなかったよ」

─プロになるキッカケ─

原 「麻雀に対して、どんな印象を持ってた?」

小林「ずっと世間一般のイメージが悪いな、と感じてた。父が店をやっていたし、お客さんもみんな優しくて自分の中では麻雀に対して怖いイメージがなかったんだよね。将棋や囲碁のように世間に認められるようになって欲しいって昔から思ってる」

原 「確かに。だから自分たち1人1人で頑張らないといけないよね。プロになって、そのイメージを変えたいと思ったの?何か、キッカケになるような出来事があったんじゃないかな?」

小林「仕事の転勤が多くて、千葉や茨城にいた時もあったんだけど。最強戦や北関東のプロアマリーグとか一般のかたも出られる大会に出たりした。一度、マスターズの一般予選に勝って本戦に行けたんだよね。その本戦会場で、四ッ谷道場でお世話になった藤原さん(藤原隆弘プロ)とかに再会したんだよ。藤原さんが自分のこと覚えてて声かけてくれて本当に嬉しかったし、ここの団体でやりたい!って強く思ったよ」

原 「運命の再会!的な!笑」

小林「ようやく仕事が落ち着いてきて東京にも戻ってきたし、プロになろうって決心したね」

 

100

 

─WRCリーグ優勝─

原 「自分から見て、小林くんは麻雀と真摯に向き合ってるなって印象があって、そうゆう姿勢が今回の勝ちに繋がった部分もあるんじゃないかなと思ってるけど…道中は苦しかったよね〜笑」

それは二次トーナメントでのことだった。
私もここまで勝ち上がっていたのだが、開始早々に隣の卓から重くドスのきいた発声が聞こえてきた。

「ロン。32,000」

声の主は、ともたけ雅晴だった。
その次の瞬間、私の視界に仰け反る小林の姿が入ってきた。放銃したのが小林だと理解するのに時間はかからなかった。
しかし、彼は決して諦めずに戦い、見事ベスト16へ進出。更には優勝というゴールまで辿り着いたのだ。

原 「決勝で、同期の中川くん(中川基輝プロ・上写真一番左)と対戦したよね。仲が良いのは知ってるし、特別に意識してた部分もあるんじゃないかと思うけど、実際はどうだった?」

小林「意識してたね。彼が前回、WRC優勝した時は素直に嬉しかった。リーグ戦の後とかにいつも反省会するんだけど、自分のダメな所をちゃんと認めるし、良い仲間だと思ってる。彼がいなかったら、また別の決勝になっていたんじゃないかな」

原 「今回のWRCに対して、思い入れが強かった?」

小林「これが最後のチャンス…そうゆう覚悟で挑んだ。次にいつチャンスがくるかわからないから。対局者の動画を全部観たり、しっかり準備して臨んだよ」

─今、そして未来へ─

原 「最後に、プロになった当時とWRCを優勝した今…気持ちや心境に変化があったか教えてくれる?」

小林「正直どうゆうプロになりたいか、まだ答えは出てない。ただ、プロになって日は浅いけど、やっぱり同世代の活躍を見てると良い刺激になるし、周りに認められるプロになりたいと思う。観てて面白いと思ってもらえる麻雀を打てなきゃダメだし、ファンは付いてこない。ガムシャラに勝って、早く追いつきたいよね」

原 「プロとして結果を出す、ってことね」

小林「今、頑張らないと10年後に活躍できるかどうかわからないし、何を言われてもいいから格好悪くてもいいから今、出来ることをやろうと思ってるよ」

小林正和はとても真面目な男であり、謙虚な面もある。だが、その内に秘めている麻雀への想いは誰よりも熱く燃えている。
新しく誕生したスター候補に、これからも注目して頂きたい。

映像対局が主流となった今の時代、一体どれだけの麻雀プロが最前線で生き残れるのだろうか。
それが許されるのは、ほんの一握り。

今、やるべきことをやる──

未来の麻雀界を担うのは、他でもなく自分たち若手なのである。

 

100

 

プロ雀士インタビュー/第180回:プロ雀士インタビュー 小林 正和  インタビュアー:原 佑典

「勉強会などにも参加して熱意があるのは分かっていたし、その成果が結ばれた。この勝利を糧に、もっともっと頑張れば連盟を代表する選手になれる」
決勝の解説とプレゼンターを務めた瀬戸熊直樹から、これ以上ない最大級の賛辞を送られると、1人の青年の頬から何かが溢れた。
それは、純粋無垢な涙だった──
青年の名は、小林正和。
31期・後期生。
そして、第3期JPMLWRCリーグを見事、優勝という最高の結果で飾った男である。
この度、その優勝インタビューを務めさせて頂きました。初のインタビューで執筆にもかなりの時間を費やしてしまいましたが、最後まで読んで下さると嬉しく思います。よろしくお願い致します。
原 「WRCリーグ、優勝おめでとう!」
小林「ありがとう!」
原 「まずは乾杯だな」
 

100

 
原 「早速なんだけど、小林正和という男が一体どんな人物なのか?っていうのをメインに聞きたいと思ってる。いろいろ聞くけど、よろしくね!」
小林「何でも聞いてよ!」
小林は私の2年後輩である。
彼と初めて会ったのはリーグ戦の会場で、初対戦した時のことは今でも鮮明に覚えている。対局終了後、何がキッカケというワケでもなく、その日の麻雀についてしばらく語り合った。それは彼も覚えていてくれて素直に嬉しかった。
そんな昔話から、いよいよインタビューが始まった。
原 「普段は何の仕事をしてるの?」
小林「土日休みの会社員で、住宅の設計をやってるよ」
原 「へえー!麻雀はどのくらい打ってる?」
小林「セットは週に1、2回。仕事が定時の18時に終わる日は大体セットやってて、終わらない日は巣鴨の連盟道場に行って打つ感じかな」
原 「道場の存在は有り難いよね。時間の調整もしやすいし」
小林「打てない日もあったりするんだけど、そんな時は必ず対局動画を観てる。仕事以外はずっと麻雀のこと考えてるな〜」
─麻雀との出会い─
原 「麻雀を始めたキッカケは?」
小林「小さい頃、父が麻雀店を経営してて…。物心ついた時には、もうそこに麻雀があったんだよね」
原 「え、そうなの?!めっちゃ羨ましい!」
小林「でもね、父は麻雀教えてくれなかったんだよね。だから1人で牌で積み木やったり、打ってる所を後ろ見したり…」
原 「あれ?それってさ…笑」
小林「そう。生い立ちが二階堂姉妹と似てる!笑」
原 「じゃあ、ずっと麻雀に触れてきたんだね?」
小林「いや、小学校低学年の時に父が店をたたんで、その後は麻雀に関わることはなかったよ」
─麻雀プロの存在を知る─
原 「麻雀プロの存在を知ったのは?」
小林「大学の時、友達に二階堂姉妹の麻雀入門の本を見せてもらって、初めてその存在を知った。自分が抱いてた麻雀プロのイメージと全然違うな〜って感じたのを覚えてる」
原 「華やかに見えたんだね」
小林「少し興味が湧いて麻雀プロの世界を調べた。その過程で日本プロ麻雀連盟という団体があることも知って、当時は四ッ谷に道場があったから大学の授業の合間に毎日通ってたよ」
原 「いよいよ、プロへ…って感じだな」
小林「いや、モンド観たりしてて麻雀自体に興味はあったけど、その時はまだプロになろうとは思わなかったよ」
─プロになるキッカケ─
原 「麻雀に対して、どんな印象を持ってた?」
小林「ずっと世間一般のイメージが悪いな、と感じてた。父が店をやっていたし、お客さんもみんな優しくて自分の中では麻雀に対して怖いイメージがなかったんだよね。将棋や囲碁のように世間に認められるようになって欲しいって昔から思ってる」
原 「確かに。だから自分たち1人1人で頑張らないといけないよね。プロになって、そのイメージを変えたいと思ったの?何か、キッカケになるような出来事があったんじゃないかな?」
小林「仕事の転勤が多くて、千葉や茨城にいた時もあったんだけど。最強戦や北関東のプロアマリーグとか一般のかたも出られる大会に出たりした。一度、マスターズの一般予選に勝って本戦に行けたんだよね。その本戦会場で、四ッ谷道場でお世話になった藤原さん(藤原隆弘プロ)とかに再会したんだよ。藤原さんが自分のこと覚えてて声かけてくれて本当に嬉しかったし、ここの団体でやりたい!って強く思ったよ」
原 「運命の再会!的な!笑」
小林「ようやく仕事が落ち着いてきて東京にも戻ってきたし、プロになろうって決心したね」
 

100

 
─WRCリーグ優勝─
原 「自分から見て、小林くんは麻雀と真摯に向き合ってるなって印象があって、そうゆう姿勢が今回の勝ちに繋がった部分もあるんじゃないかなと思ってるけど…道中は苦しかったよね〜笑」
それは二次トーナメントでのことだった。
私もここまで勝ち上がっていたのだが、開始早々に隣の卓から重くドスのきいた発声が聞こえてきた。
「ロン。32,000」
声の主は、ともたけ雅晴だった。
その次の瞬間、私の視界に仰け反る小林の姿が入ってきた。放銃したのが小林だと理解するのに時間はかからなかった。
しかし、彼は決して諦めずに戦い、見事ベスト16へ進出。更には優勝というゴールまで辿り着いたのだ。
原 「決勝で、同期の中川くん(中川基輝プロ・上写真一番左)と対戦したよね。仲が良いのは知ってるし、特別に意識してた部分もあるんじゃないかと思うけど、実際はどうだった?」
小林「意識してたね。彼が前回、WRC優勝した時は素直に嬉しかった。リーグ戦の後とかにいつも反省会するんだけど、自分のダメな所をちゃんと認めるし、良い仲間だと思ってる。彼がいなかったら、また別の決勝になっていたんじゃないかな」
原 「今回のWRCに対して、思い入れが強かった?」
小林「これが最後のチャンス…そうゆう覚悟で挑んだ。次にいつチャンスがくるかわからないから。対局者の動画を全部観たり、しっかり準備して臨んだよ」
─今、そして未来へ─
原 「最後に、プロになった当時とWRCを優勝した今…気持ちや心境に変化があったか教えてくれる?」
小林「正直どうゆうプロになりたいか、まだ答えは出てない。ただ、プロになって日は浅いけど、やっぱり同世代の活躍を見てると良い刺激になるし、周りに認められるプロになりたいと思う。観てて面白いと思ってもらえる麻雀を打てなきゃダメだし、ファンは付いてこない。ガムシャラに勝って、早く追いつきたいよね」
原 「プロとして結果を出す、ってことね」
小林「今、頑張らないと10年後に活躍できるかどうかわからないし、何を言われてもいいから格好悪くてもいいから今、出来ることをやろうと思ってるよ」
小林正和はとても真面目な男であり、謙虚な面もある。だが、その内に秘めている麻雀への想いは誰よりも熱く燃えている。
新しく誕生したスター候補に、これからも注目して頂きたい。
映像対局が主流となった今の時代、一体どれだけの麻雀プロが最前線で生き残れるのだろうか。
それが許されるのは、ほんの一握り。
今、やるべきことをやる──
未来の麻雀界を担うのは、他でもなく自分たち若手なのである。
 

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第17期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第1節レポート

Aリーグ第1節:辻本翔哉

第17期プロリーグが始まりました。今期は辻本がレポートを担当します。よろしくお願いします。
今期はAリーグ9節で半荘40回をこなすので前半の4節は5半荘戦います。

1卓:藤川 宮田 横山 米川

前年度の決勝進出者の藤川、横山とベテラン米川。そしてAリーグ2期目の宮田で始まりました。
宮田がどこまで食い下がれるかと思っていましたが、蓋を開ければ宮田が卓内トップ。
子供が生まれて守るものができたのがいい方向に向いているのか。若手の有望株に期待したい。

2卓:佐々木 吉本 稲岡 坂本

この卓はベテランの佐々木、2年連続太閤位決勝戦に残っている坂本、前期は惜しくも決勝に進出できなかった稲岡。 そこに今年Bリーグからトップ通過の吉本が台風の目になるのか。
結果は稲岡が1人でマイナスを背負い込むことになった。前期も後半から盛り返してきた稲岡。次節からの巻き返しに期待したい。

3卓:仁科 辻本 高谷 勝間

3卓は私辻本が参加した卓。内容を中心にレポートします。

1回戦目南2局。親番で辻本。24,900点。一度もアガれずに親番を迎えました。
ここは踏ん張りどころ。配牌から東がトイツ、北が暗刻、ドラの三筒も1枚あり鳴いても3,900が狙える。しかし苦しいときに限り東がなかなか出ない。その後11巡目テンパイ。

二万二万三万五索六索七索二筒三筒東東北北北  ツモ一筒  ドラ三筒

二万三万どちらを捨てるか迷いました。一万は河に1枚四万は2枚。二万東は1枚もでていない。3,900点で構わないと考えていた手が東を鳴けず面前でテンパイできた。
まだ今節は始まったばかり。ここは両面でうけてアガっても他の3人に怖さを植え付けることができない。東ツモの時の後悔が大きいので三万を切り二万東のシャンポンでリーチをした。
結果は次巡に東をツモ。4000オールをゲット。今節、トップは一度も取れなかったがプラスで終われた。

考え直すと1回戦目のこのアガリがなかったらズルズル後悔をしつつ終了していたような気がした。
毎節分岐点のような場面が出てくる。自分で感じる流れが変わる瞬間をこれからも意識していきたい。

結局卓内トップは勝間。2回戦目に勝間が親番でリーチ、

二万二万四万五万六万四索四索四索五索五索六索六索六索  リーチ  ドラ四索

五索をツモ、8,000オールをアガって、5回戦中3回トップを取りました。
仁科はテンパイ気配やリーチは頻繁にあったが、なかなかアガリきることが出来ず苦しいそうでした。
そしてもう1人の昇級高谷。こちらも勝負にいった手が後手にまわり苦しい節になったようです。
リーグ戦はまだ始まったばかり。連覇の花岡に挑戦する者は誰でしょうか。私も決勝戦に残れるよう精進していきたいと思います。

 

Bリーグ第1節:山室太二

此度Bリーグ対戦レポートを担当させていただくこととなった山室太二です、拙い文章かもしれませんが、今年1年間宜しくお願い致します。
第1節目は私の対戦相手上村(政)、城、山神の3名から。

上村(政)はバランスのとれた強力なプレイヤー、城はかわし手を入れてくる印象、山神は情報不足ですがフーロに圧力のあるプレイヤーと記憶しています。
対戦の方ですが、今日1日通して大きな得点変動のない、中段の得点圏からなかなか抜け出せない我慢比べのような展開が多く、供託が溜まれば速攻が飛び交うといった、全員がオーラス条件へ集約していくかのような試合運びでした。

全4局中3局終了した時点で、先行アドバンテージを多く得た上村政が頭一つ抜け出たものの、極めて平たいポイント差となりました。

4回戦、南2局1本場。ドラ南、再び得点状況の平たい局面、トップ目親の山室からリーチが入ります。
それに対し、九筒をポンした微差でラス目の城が、現物の三筒をチーし、無筋の六索二索と攻めドラの南を活かしたお手本のようなまくり手でアガリ切りました。
南3局時点でほぼ全員原点付近でしたが、独走の機会を逸した私はここからラスへ。堪えの足りなさを痛感する半荘となりました。

結果は、城▲12.4P・山室▲27.5P・山神+13.7P・上村政+26.2Pと比較的平たいポイントとなりましたが、課題の多い1節目となりましたが今後とも重ねて宜しく申し上げます。

 

C1リーグ前期第1節:稲垣諒彦

春の陽気がかすかに感じられるこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今期も関西プロリーグが始まりました。
今期のC1リーグは16名で全5節戦います。
昇級枠はわずかに2名。そのわずか2名の枠を目指して16名が持てる力を全て発揮して戦います。

第1節の組み合わせは、
1卓:吉田圭吾・音羽・土田・稲垣
2卓:川上・宮澤・長野・吉田哲史
3卓:辰巳・中野・行野・木下
4卓:後藤・根越・冨田・原田

1卓の見所は、先期本来の実力が出せず惜しくも降級してしまった吉田圭に対し、最近目覚ましい活躍ぶりの土田・音羽の両女流プロがどのようにぶつかるか、注目でしたが終わってみれば、途中乱高下はあったものの非常に平たい結果となりました。

2卓の見所は、毎年C1上位を走る川上に対して、女流の長野・休場明けの吉田哲・先期昇級した宮澤の3名がどう戦うか注目です。結果は川上が大きく浮き、吉田哲も浮きました。やや大きく沈んでしまった長野と宮澤の次節に期待です。

3卓の見所は、実力があり毎年C1の上位につけている中野・木下に対し、辰巳・行野の2名がどうぶつかるか、が注目されました。結果は中野が大きく浮く展開に。木下が少しの浮き、辰巳が少しの沈み、行野が大きく沈み、という結果でした。次節の3名に期待です。

4卓の見所は、実績・実力ともに十分の原田に対し、毎年C1の昇級争いに食い込む後藤・冨田の両名と先期見事に激戦のC2リーグを勝ち上がってきた勢いに乗る根越の3名がぶつかります。結果は、根越が卓内トップ、後藤・原田が浮き、冨田が大きな一人沈みとなりました。

次節はそれぞれに鍛錬を積み、全員が昇級に向かって良い勝負を見せてくれると思います。

 

C2リーグ前期第1節:山本裕之

今期のC2リーグのレポートを任されました、山本裕之と申します。何とぞよろしくお願い致します。
第17期関西プロリーグ。関西本部には新たに管東、北村、平柴、政岡、松尾の5名がやってきました。
プロリーグが初めての対局とあって、さぞ緊張したことでしょう。
今回は新人政岡の対局について注目してみました。

1回戦、東2局
東家の政岡は8巡目でリーチ。

二万三万六万七万八万六索六索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ六索

高めツモで6,000オールのチャンス。
結果、12巡目に北家の伊原から高めの四万を出アガリ、12,000を加点しました。

さらに東4局

六筒七筒八筒東東白白  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ポン中中中  ドラ八筒

この局も白をツモリ、2,000・4,000を加点。政岡の勢いが止まりません。
しかし周りも負けてはいられません。

南2局、東家の南田。配牌の時点でソーズのホンイツが狙える模様です。
早くも4巡目でテンパイ。

一索一索七索八索九索発発  ポン南南南  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き  ドラ発

発なら跳満も見える大チャンスですが。西家の伊原から一索を出アガリ、12,000を加点しました。
しかし政岡の勢いは続きます。
南1局2本場で2,000、4,000を加点すれば。
南3局、東家政岡は下記でテンパイするも残念ながら流局。

五万七万四索五索六索三筒三筒三筒七筒七筒  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ドラ三筒

仮にアガレたら、もはや独壇場となっていたことでしょう。
結果、1回戦は政岡の勝利。初めてのプロリーグで大きな結果を残しました。

関西プロリーグ レポート/第17期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第1節レポート

Aリーグ第1節:辻本翔哉
第17期プロリーグが始まりました。今期は辻本がレポートを担当します。よろしくお願いします。
今期はAリーグ9節で半荘40回をこなすので前半の4節は5半荘戦います。
1卓:藤川 宮田 横山 米川
前年度の決勝進出者の藤川、横山とベテラン米川。そしてAリーグ2期目の宮田で始まりました。
宮田がどこまで食い下がれるかと思っていましたが、蓋を開ければ宮田が卓内トップ。
子供が生まれて守るものができたのがいい方向に向いているのか。若手の有望株に期待したい。
2卓:佐々木 吉本 稲岡 坂本
この卓はベテランの佐々木、2年連続太閤位決勝戦に残っている坂本、前期は惜しくも決勝に進出できなかった稲岡。 そこに今年Bリーグからトップ通過の吉本が台風の目になるのか。
結果は稲岡が1人でマイナスを背負い込むことになった。前期も後半から盛り返してきた稲岡。次節からの巻き返しに期待したい。
3卓:仁科 辻本 高谷 勝間
3卓は私辻本が参加した卓。内容を中心にレポートします。
1回戦目南2局。親番で辻本。24,900点。一度もアガれずに親番を迎えました。
ここは踏ん張りどころ。配牌から東がトイツ、北が暗刻、ドラの三筒も1枚あり鳴いても3,900が狙える。しかし苦しいときに限り東がなかなか出ない。その後11巡目テンパイ。
二万二万三万五索六索七索二筒三筒東東北北北  ツモ一筒  ドラ三筒
二万三万どちらを捨てるか迷いました。一万は河に1枚四万は2枚。二万東は1枚もでていない。3,900点で構わないと考えていた手が東を鳴けず面前でテンパイできた。
まだ今節は始まったばかり。ここは両面でうけてアガっても他の3人に怖さを植え付けることができない。東ツモの時の後悔が大きいので三万を切り二万東のシャンポンでリーチをした。
結果は次巡に東をツモ。4000オールをゲット。今節、トップは一度も取れなかったがプラスで終われた。
考え直すと1回戦目のこのアガリがなかったらズルズル後悔をしつつ終了していたような気がした。
毎節分岐点のような場面が出てくる。自分で感じる流れが変わる瞬間をこれからも意識していきたい。
結局卓内トップは勝間。2回戦目に勝間が親番でリーチ、
二万二万四万五万六万四索四索四索五索五索六索六索六索  リーチ  ドラ四索
五索をツモ、8,000オールをアガって、5回戦中3回トップを取りました。
仁科はテンパイ気配やリーチは頻繁にあったが、なかなかアガリきることが出来ず苦しいそうでした。
そしてもう1人の昇級高谷。こちらも勝負にいった手が後手にまわり苦しい節になったようです。
リーグ戦はまだ始まったばかり。連覇の花岡に挑戦する者は誰でしょうか。私も決勝戦に残れるよう精進していきたいと思います。
 
Bリーグ第1節:山室太二
此度Bリーグ対戦レポートを担当させていただくこととなった山室太二です、拙い文章かもしれませんが、今年1年間宜しくお願い致します。
第1節目は私の対戦相手上村(政)、城、山神の3名から。
上村(政)はバランスのとれた強力なプレイヤー、城はかわし手を入れてくる印象、山神は情報不足ですがフーロに圧力のあるプレイヤーと記憶しています。
対戦の方ですが、今日1日通して大きな得点変動のない、中段の得点圏からなかなか抜け出せない我慢比べのような展開が多く、供託が溜まれば速攻が飛び交うといった、全員がオーラス条件へ集約していくかのような試合運びでした。
全4局中3局終了した時点で、先行アドバンテージを多く得た上村政が頭一つ抜け出たものの、極めて平たいポイント差となりました。
4回戦、南2局1本場。ドラ南、再び得点状況の平たい局面、トップ目親の山室からリーチが入ります。
それに対し、九筒をポンした微差でラス目の城が、現物の三筒をチーし、無筋の六索二索と攻めドラの南を活かしたお手本のようなまくり手でアガリ切りました。
南3局時点でほぼ全員原点付近でしたが、独走の機会を逸した私はここからラスへ。堪えの足りなさを痛感する半荘となりました。
結果は、城▲12.4P・山室▲27.5P・山神+13.7P・上村政+26.2Pと比較的平たいポイントとなりましたが、課題の多い1節目となりましたが今後とも重ねて宜しく申し上げます。
 
C1リーグ前期第1節:稲垣諒彦
春の陽気がかすかに感じられるこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今期も関西プロリーグが始まりました。
今期のC1リーグは16名で全5節戦います。
昇級枠はわずかに2名。そのわずか2名の枠を目指して16名が持てる力を全て発揮して戦います。
第1節の組み合わせは、
1卓:吉田圭吾・音羽・土田・稲垣
2卓:川上・宮澤・長野・吉田哲史
3卓:辰巳・中野・行野・木下
4卓:後藤・根越・冨田・原田
1卓の見所は、先期本来の実力が出せず惜しくも降級してしまった吉田圭に対し、最近目覚ましい活躍ぶりの土田・音羽の両女流プロがどのようにぶつかるか、注目でしたが終わってみれば、途中乱高下はあったものの非常に平たい結果となりました。
2卓の見所は、毎年C1上位を走る川上に対して、女流の長野・休場明けの吉田哲・先期昇級した宮澤の3名がどう戦うか注目です。結果は川上が大きく浮き、吉田哲も浮きました。やや大きく沈んでしまった長野と宮澤の次節に期待です。
3卓の見所は、実力があり毎年C1の上位につけている中野・木下に対し、辰巳・行野の2名がどうぶつかるか、が注目されました。結果は中野が大きく浮く展開に。木下が少しの浮き、辰巳が少しの沈み、行野が大きく沈み、という結果でした。次節の3名に期待です。
4卓の見所は、実績・実力ともに十分の原田に対し、毎年C1の昇級争いに食い込む後藤・冨田の両名と先期見事に激戦のC2リーグを勝ち上がってきた勢いに乗る根越の3名がぶつかります。結果は、根越が卓内トップ、後藤・原田が浮き、冨田が大きな一人沈みとなりました。
次節はそれぞれに鍛錬を積み、全員が昇級に向かって良い勝負を見せてくれると思います。
 
C2リーグ前期第1節:山本裕之
今期のC2リーグのレポートを任されました、山本裕之と申します。何とぞよろしくお願い致します。
第17期関西プロリーグ。関西本部には新たに管東、北村、平柴、政岡、松尾の5名がやってきました。
プロリーグが初めての対局とあって、さぞ緊張したことでしょう。
今回は新人政岡の対局について注目してみました。
1回戦、東2局
東家の政岡は8巡目でリーチ。
二万三万六万七万八万六索六索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ六索
高めツモで6,000オールのチャンス。
結果、12巡目に北家の伊原から高めの四万を出アガリ、12,000を加点しました。
さらに東4局
六筒七筒八筒東東白白  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ポン中中中  ドラ八筒
この局も白をツモリ、2,000・4,000を加点。政岡の勢いが止まりません。
しかし周りも負けてはいられません。
南2局、東家の南田。配牌の時点でソーズのホンイツが狙える模様です。
早くも4巡目でテンパイ。
一索一索七索八索九索発発  ポン南南南  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き  ドラ発
発なら跳満も見える大チャンスですが。西家の伊原から一索を出アガリ、12,000を加点しました。
しかし政岡の勢いは続きます。
南1局2本場で2,000、4,000を加点すれば。
南3局、東家政岡は下記でテンパイするも残念ながら流局。
五万七万四索五索六索三筒三筒三筒七筒七筒  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ドラ三筒
仮にアガレたら、もはや独壇場となっていたことでしょう。
結果、1回戦は政岡の勝利。初めてのプロリーグで大きな結果を残しました。

第8期麻雀グランプリMAX ベスト16 D卓レポート

2代目WRCチャンピオン。美意識が高く、手役に非常に強いこだわりを持つ。
「世界の!」ともたけ雅晴。

「教授」の異名を持つ理論派雀士。悲願のG1奪取なるか!A2リーガー山田浩之。

誠実な人柄だけでなく、粘り強く諦めない麻雀を打つ。こちらも悲願のG1優勝を狙う「パン屋さん」で人気の仁平宣明。

人には中々真似できない、独創的な仕掛けで、第43期王位を奪取。グランプリでもその仕掛けで、存分に暴れてくれると思いきや「野方は、面前型です」の衝撃発言!
本当なのか!?野方祐介。

ともたけと野方。雀風が対極にある両者の戦いが見所だと思いますが、A1経験者もある山田・仁平の打ち回しにも要注目です。
実力者揃いのD卓ですが、気になるのは、ロン2での野方・面前型発言。果たしてどの様な結果になるのでしょうか??

 

100

 

1回戦 山田 野方 仁平 ともたけ

東1局

野方
三万五万一索一索二索三索四索三筒四筒五筒中中中  ドラ九索

開局は山田から野方の1,300でスタート。C卓と並び、静かな立ちアガリです。

東4局

親 ともたけ 配牌

二万四万三索四索七索八索五筒五筒六筒六筒七筒発発中  ドラ五筒

この配牌から、ともたけは打二万!普通は中から切りそうですが・・。
5,200では満足できないか。ともたけの手役への強いこだわりを見た一打。

三索四索七索八索九索四筒五筒五筒六筒六筒七筒発発  リーチ

そして、リーチ。構想通りとは、多分行かなかったのでしょうが、ドラドラがありこれは勝負手。

そこに、野方が

四万五万六万九万九万五索七索二筒三筒四筒  ポン中中中

これで対抗してここは野方のアガリ。

ともたけは南1局も

二万二万三万五万一索二索三索四索四索四索一筒三筒五筒六筒  ドラ四索

ドラが暗刻のチャンス手がくるも、ここから打五万でピンフに捕まってしまいます。

南2局1本場

仁平
四万五万六万七万八万九万四索四索三筒四筒五筒中中  ドラ三筒

仁平がドラの三筒を切ってテンパイ。ヤミテンに構えます。

親 野方

三万三万三万四万五万六万二索二索三索四索五索三筒五筒

そこに、ヤミテンにしていた親・野方。
三万を持ってきて 六万切りなら345の三色になるが、危険度も考えて暗カン。リンシャンから持って来たのは、当たり牌の中
小考ののち、打三筒として迂回。山田の仕掛けもあったとは言え、中々オリられる手では無いだけに、野方の見事な守備力が光る1局となりました。

南3局

山田
五万七万二索三索四索六索七索八索三筒四筒五筒九筒九筒  ドラ三筒

カン六万でリーチ。山には無くピンチに思えたが、押し返したともたけが打六万で2,600は2,900の放銃となりオーラスに。

南4局

野方
五索五索一筒二筒三筒発発  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ドラ五万

野方らしい?仕掛けで仁平がら 発で1,000点のアガリ。
1回戦は野方が、トップ、ペースを上手く握っている印象です。

1回戦終了
野方+17.6P 仁平+7.6P 山田▲8.9P ともたけ▲16.3P

 

2回戦 ともたけ 仁平 山田 野方

東1局

野方
一万一万三万四万五万一索一索三筒四筒五筒  ポン東東東  ドラ一索

東をポンした野方、一万ツモで1,300・2,600と好調なアガリ。この勢いで野方がこの半荘も走るのか?

東2局

二万三万七万八万七索八索七筒八筒発発中中中  ツモ六筒  ドラ二万

親の仁平にチャンス手!3巡目マンズの七万八万を払い一万を引いて六索九索待ちでリーチ。

山田
三万三万五索六索六索七索七索八索四筒五筒七筒八筒九筒

しかし、この選択が残念な事に裏目。アガリ逃しの仁平が九万を持ってきた後、山田が追いついて三筒ツモの400・700。
仁平にとって厳しい1局。

そして東3局

野方 配牌

一万三万四万五万七万九万八索九索七筒八筒西北北  ドラ七索

ここから八万七索と入り、

三万四万五万七万八万九万七索八索九索七筒八筒北北  リーチ

2巡目でこのリーチ!

そして、1発で(一発役はありませんが)高めの九筒をツモ!
八万七索九筒と全く無駄ヅモ無しでの3,000・6,000。驚きましたね!

勢いも完全に味方につけた野方。勝ちアガリにかなり近づいたでしょうか?

東4局

苦しいポジションのともたけですがこのリーチ。

一万一万二万二万三万三万六索七索五筒六筒七筒東東  ドラ一万

ヤミテン5,200ですが、積極的にリーチ。五索をツモり2,000・4,000。
やっとアガれた本手。ともたけは、このアガリをきっかけにしたい所です。

南2局2本場

2本積んだ親の仁平が

五万六万七万二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒北北  ドラ七筒

この形になりリーチ。苦しいポイントから2本積んだ仁平。
これをアガることができれば、この半荘も浮きに回れる。しかしこの局の主役は野方。

三索三索一筒一筒五筒五筒六筒八筒九筒九筒西西北

ツモ八筒残り1巡でテンパイが入った野方。北は生牌。六筒は無筋。
野方の選択は六筒単騎で打北とすると、なんとハイテイに居たのは六筒

ハイテイ付きで1,600・3,200は1,800・3,400。
野方にとっても仁平にとっても大きなアガリ。やはり、野方。勢いに乗っています。

このアガリが決め手となり野方が2連勝!

2回戦トータル
野方+39.0P 仁平+0.9P ともたけ▲12.1P 山田▲27.8P

 

3回戦 ともたけ 山田 野方 仁平

東1局

苦しい立場の山田が2つ仕掛けてホンイツテンパイ。

四筒五筒六筒八筒八筒北北  ポン中中中  ポン発発発  ドラ南

河が強く、ピンズのホンイツとは断定できないため、アガれる期待も膨らみます。
しかし、仁平が1枚切れとは言え、ドラも押し返してアガリをもぎ取ります。胆力ある見事なアガリ。

その後は小場で周り、トップからラス目まで3,600差。大接戦のオーラスに。
1人沈みの仁平はなんとか浮きに回りたい所。

南4局1本場

ここに来て、ともたけの捨て牌が”普通”?解説の紺野が言っていますが、普通の捨て牌のともたけは恐ろしいとの事。
普段手役を強く狙うともたけだけに、手役を狙う

“必要が無い”

と、言うのは、他者3名にとってはそれこそが、異常事態なのでしょう。
そのともたけ、5巡目にしてこの形に。

六万三索四索五索五索五索六索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ四筒

ツモ八万ときて、渋々カン七万のテンパイ。
しかし、この局アガリとなったのは仁平。

山田から2,900は3,200。山田は、処理したはずのドラを再び摑まされての放銃だけに、厳しい放銃となりました。

2本場ともたけ

一万二万三万四索四索七索八索  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ポン発発発  ドラ八索

なりふり構わずアガリに向かいます。

山田も
四万四万四万七万七万三索四索五索五索六索五筒六筒七筒

これでリーチすると、仁平も追いつき3つ巴に。

五索五索六索六索七索八索九索中中中  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き

ここは、3人テンパイで流局。痛い1人ノーテンで、野方がラス目に。

2本場山田

四万五万六万七万九万二索二索三索三索七索八索九索中中

ここから、打九万とすると、裏目の八万をツモ。そこから、打二索としてツモ一索三万六万九万のフリテンリーチ。

野方五筒ポン。苦しい形からの仕掛けでしたが、

三万三万三万七万六索六索六索四筒四筒四筒南  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き

七万で2人テンパイに。このままで流れると、ラスになる山田でしたが、仁平のハイテイずらしの仕掛けが入り。
それによりツモったのは九万!大きな価値があるトップとなりました。
ラスになった野方は、ちょっと雲行きが怪しくなってきたでしょうか?

3回戦トータル
野方+23.3 P仁平+2.4P ともたけ▲7.8P 山田▲17.9P

 

4回戦  野方 山田 ともたけ 仁平

親野方が、ホンイツの仕掛け。

二筒三筒七筒八筒九筒東白白発発  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ドラ東

注目は、山田

三万三万四万四万九万九万四索四索八索八索九索九索東

このドラ待ち七対子テンパイから一筒を引いて、打九万のテンパイ外し。
一筒は、なんと、ともたけの当たり牌。その上、野方にも一筒四筒の受けがあり、(山田が一筒を抑えたのはこちらに対してがメインだと思いますが、これには解説の紺野も絶賛)
山田の守備力が光ります。

ともたけは

六万六万八万八万四索四索六索六索七索七索一筒西西

この一筒単騎テンパイ。

仁平も
一索一索三索三索八索九索東東南南西中中

メンゼンの3人は全員七対子。仁平の四筒を野方がチーしてテンパイに

七筒八筒九筒白白発発  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き

東

九万を引き戻した山田が一筒を打ち、ともたけに放銃。今度は守備的な七対子から、山越の東を狙いに行った攻撃的な七対子に変更。

(一筒四筒の受けをチーして一筒が当たる確率が下がったのと、他家から、東が打ち出される可能性を考慮して。だと、思われます)

放銃とはなりましたが、濃密な1局でした。

東3局 親ともたけ

一万一万八万一索三索六索七索四筒五筒六筒七筒八筒西西  ドラ六索

七対子を2回アガって親を迎えたともたけ。普段なら三色を見そうだが、打八万とストレートに構えます。道中七万を持ってきてしまうも以下のテンパイに。

一万二万三万六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒西西

リーチを打ちたい手だが、手堅くヤミテンに。野方から2,900。明らかに打ち方を変えて来ています。

東4局

六万七万七万七索八索六筒六筒八筒白白  カン五索 上向き五索 上向き五索 上向き五索 上向き  ドラ八索

七万七万八索八索六筒六筒六筒  ポン白白白  カン五索 上向き五索 上向き五索 上向き五索 上向き

これに飛び込んでしまったのが、テンパイの入ったともたけ。四万七万の選択だったが、七万を選び8,000。
前回のラスから点棒を減らしていた野方・反撃の真っ最中だったともたけ。2人にとって大きなアガリに。

南2局
親の山田に大物手が。

四万四万四万七万九万九万四筒四筒五筒五筒五筒六筒六筒六筒  ドラ八筒

七万でリーチ!しかし、九万四筒はすでに無く七筒をツモっての2,000オール。
九万四筒は山田の目からも3枚見えていただけに、山田も納得のアガリでしょうか。

南2局 ともたけ

五万六万七万八万五索六索七索三筒四筒五筒東東北北  ドラ八万

東北共に1枚切れ。とはいえテンパイですが・・なんと、ともたけはテンパイ外し!そして、九万を引いてヤミテン

仁平が
四索四索六索七索八索三筒四筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒

これでリーチを打つも 四万を掴んでしまい2,000点の放銃となりました。
ともたけの見事な判断が生きた1局です。

そのまま、オーラスもともたけがアガリきり終局。大混戦の最終戦を迎える事になりました。
最後に勝ち上がるのは!?

4回戦トータル
野方+15.3P ともたけ▲2.2P 山田▲2.5P 仁平▲10.7P

 

最終戦
山田 野方 仁平 ともたけ

26P以内に、4者がいる大混戦となった最終戦。

東2局、ここで大チャンスが入ったのが、ともたけ。

二万二万四万七万七万七万七万一索一索二索七索七筒西  ドラ七万

なんと2巡目にドラがカンツに!アガリ切れば、通過に向けて大きく前進となるこの手。
しかし山田が2フーロで捌きます。なかなか、独走を許してくれません。

南1局2本場
東場は、山田がリードして勝ちアガリの位置に。
そして南入りしての山田の親。

チャンスが来たのは、仁平。

三万四万四万二索二索七索七索二筒二筒九筒九筒中中  ドラ七索

七対子ドラドラ。1巡回すも、1枚切れの三万で決断のリーチと行きます!

山田・野方が追いつくも、最後のツモで三万を力強く引きアガリます!
大きな3,000・6,000。

仁平の読みと決断が見事な1局でした。
また、山田は八筒の大明カン出来なかった事に触れていました。仁平のツモを消す事が出来ただけに、山田の後悔は大きかったか・・。
このアガリで、勢いに乗った仁平は、なんと60,000近くまで加点。勝ちアガリをほぼ確定させます。

そしてオーラスへ

山田27,000
野方23,700
仁平57,900
ともたけ10,400

南4局2本場 供託1.0P

今のところの勝ちアガリは、仁平・野方。山田の条件は1,000・2,000。
ともたけは連荘だが、少し厳しいポジションか。

ともたけ 配牌

一万二万三万四万五万六万八万四索五索五索一筒一筒四筒  ドラ二筒

山田1巡目

一万二万四万七万三索五索六索七索三筒四筒八筒北中中

ともたけが

一万二万三万四万五万六万七万四索五索六索一筒二筒三筒  リーチ

これでリーチ。河には、八万九万があり一気通貫でアガる可能性もあっただけに、ともたけとしては不満でしょうが、勝ち上がるためにはアガリ続けなければなりません。
一万四万七万待ちで、リーチと行きます。

山田
二万四万三索五索六索七索八索八索三筒四筒五筒六筒七筒

この1シャンテンから

二万四万三索三索五索六索七索三筒四筒五筒五筒六筒七筒

このテンパイ。三万は2枚切れで、非常に不満だが、ツモってもヤミだと足りないため山田も勝負リーチに。三万は1枚残り
しかさ、やはり枚数の多いともたけが一万をツモり2,000オール。

南4局3本場

ともたけ配牌
六万七万一索九索二筒八筒九筒東南西白白中中  ドラ六索

三万六万七万九筒  ポン中中中  ポン白白白  ポン南南南

あっと言う間の3フーロ。そして八万を引き打九筒三万単騎のホンイツに。更に八万を引き五万八万に。

野方も

三万四万五索五索三筒四筒五筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン発発発

これで追いつくも、
ともたけが、白を加カン・そして、五万ツモで4,000は4,300オール。大逆転のアメリカンドリーム!

野方は次局、

四索四索四索六索六索六索七索八索中中  加カン白白白白

執念でテンパイを入れるが、アガることは叶いませんでした。野方の1人テンパイで終局。

1位通過 仁平宣明
2位通過 ともたけ雅晴

安定感のあった仁平ですが、個人的には最終戦・三万単騎での七対子ドラドラリーチが印象に残ります。勝ちアガリまで決められそうな手牌ですが、単騎待ちという事もあり、様々な選択がありそうに思えます。その中で、勇気を持ってリーチをかけ、最高の結果を引き寄せました。
勝負所で逃げない強さを、私も見習いたいと思います。

ともたけは、第2代目世界チャンピオンに相応しい、魅せる手筋と、最終戦の大逆転が印象に残ります。また、最後の3フーロの様に勝ちに拘る姿勢も素晴らしかったと思います。
ベスト8では、どんな、ともたけ麻雀を魅せてくれるのでしょうか?

また、敗れた山田・野方も最後まで大接戦を演じ、最後の最後まで、この卓を盛り上げてくれました。
勝敗を分けたのは、ほんの少しの差だと思いましたが、山田は本人が言う様に、もし、八筒の大明カンをしていれば・。
野方は、紺野が言っていた様に、ほんの少しだけ守りに入るのが早かったのかも知れません・。
しかし、ベスト16最後を飾るに相応しい、素晴らしい対局だったと個人的に思います!

これで、私の担当する、グランプリレポートベスト16を終了させて頂きます。
グランプリベスト16の戦いは熱く激しく、どの卓も勝ちたい思いと、高い技術が詰まった、素晴らしい戦いばかりでした。

正直、自分のポジションだと、このレポートは恐れ多くて受けにくい部分もあったのですが、自分自身の成長のためにも、担当させて頂きました。
道中、先輩に対し、不適切な表現をした部分もあった事と思います。読んで頂いた方々には、不快な思いをさせてしまったかも知れません。
至らなかったとは思いますが、自分なりにやってみた結果ですので、御容赦頂ければ幸いです。

最後になりますが、機会がありましたら、また何処かでお会い出来ればと思います。
勿論!一番の形は、やっぱり自分が選手で出場する事ですね。
日々精進を重ねて行きたいと思います。

それではまた!!

グランプリ レポート/第8期麻雀グランプリMAX ベスト16 D卓レポート

2代目WRCチャンピオン。美意識が高く、手役に非常に強いこだわりを持つ。
「世界の!」ともたけ雅晴。
「教授」の異名を持つ理論派雀士。悲願のG1奪取なるか!A2リーガー山田浩之。
誠実な人柄だけでなく、粘り強く諦めない麻雀を打つ。こちらも悲願のG1優勝を狙う「パン屋さん」で人気の仁平宣明。
人には中々真似できない、独創的な仕掛けで、第43期王位を奪取。グランプリでもその仕掛けで、存分に暴れてくれると思いきや「野方は、面前型です」の衝撃発言!
本当なのか!?野方祐介。
ともたけと野方。雀風が対極にある両者の戦いが見所だと思いますが、A1経験者もある山田・仁平の打ち回しにも要注目です。
実力者揃いのD卓ですが、気になるのは、ロン2での野方・面前型発言。果たしてどの様な結果になるのでしょうか??
 
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1回戦 山田 野方 仁平 ともたけ
東1局
野方
三万五万一索一索二索三索四索三筒四筒五筒中中中  ドラ九索
開局は山田から野方の1,300でスタート。C卓と並び、静かな立ちアガリです。
東4局
親 ともたけ 配牌
二万四万三索四索七索八索五筒五筒六筒六筒七筒発発中  ドラ五筒
この配牌から、ともたけは打二万!普通は中から切りそうですが・・。
5,200では満足できないか。ともたけの手役への強いこだわりを見た一打。
三索四索七索八索九索四筒五筒五筒六筒六筒七筒発発  リーチ
そして、リーチ。構想通りとは、多分行かなかったのでしょうが、ドラドラがありこれは勝負手。
そこに、野方が
四万五万六万九万九万五索七索二筒三筒四筒  ポン中中中
これで対抗してここは野方のアガリ。
ともたけは南1局も
二万二万三万五万一索二索三索四索四索四索一筒三筒五筒六筒  ドラ四索
ドラが暗刻のチャンス手がくるも、ここから打五万でピンフに捕まってしまいます。
南2局1本場
仁平
四万五万六万七万八万九万四索四索三筒四筒五筒中中  ドラ三筒
仁平がドラの三筒を切ってテンパイ。ヤミテンに構えます。
親 野方
三万三万三万四万五万六万二索二索三索四索五索三筒五筒
そこに、ヤミテンにしていた親・野方。
三万を持ってきて 六万切りなら345の三色になるが、危険度も考えて暗カン。リンシャンから持って来たのは、当たり牌の中
小考ののち、打三筒として迂回。山田の仕掛けもあったとは言え、中々オリられる手では無いだけに、野方の見事な守備力が光る1局となりました。
南3局
山田
五万七万二索三索四索六索七索八索三筒四筒五筒九筒九筒  ドラ三筒
カン六万でリーチ。山には無くピンチに思えたが、押し返したともたけが打六万で2,600は2,900の放銃となりオーラスに。
南4局
野方
五索五索一筒二筒三筒発発  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ドラ五万
野方らしい?仕掛けで仁平がら 発で1,000点のアガリ。
1回戦は野方が、トップ、ペースを上手く握っている印象です。
1回戦終了
野方+17.6P 仁平+7.6P 山田▲8.9P ともたけ▲16.3P
 
2回戦 ともたけ 仁平 山田 野方
東1局
野方
一万一万三万四万五万一索一索三筒四筒五筒  ポン東東東  ドラ一索
東をポンした野方、一万ツモで1,300・2,600と好調なアガリ。この勢いで野方がこの半荘も走るのか?
東2局
二万三万七万八万七索八索七筒八筒発発中中中  ツモ六筒  ドラ二万
親の仁平にチャンス手!3巡目マンズの七万八万を払い一万を引いて六索九索待ちでリーチ。
山田
三万三万五索六索六索七索七索八索四筒五筒七筒八筒九筒
しかし、この選択が残念な事に裏目。アガリ逃しの仁平が九万を持ってきた後、山田が追いついて三筒ツモの400・700。
仁平にとって厳しい1局。
そして東3局
野方 配牌
一万三万四万五万七万九万八索九索七筒八筒西北北  ドラ七索
ここから八万七索と入り、
三万四万五万七万八万九万七索八索九索七筒八筒北北  リーチ
2巡目でこのリーチ!
そして、1発で(一発役はありませんが)高めの九筒をツモ!
八万七索九筒と全く無駄ヅモ無しでの3,000・6,000。驚きましたね!
勢いも完全に味方につけた野方。勝ちアガリにかなり近づいたでしょうか?
東4局
苦しいポジションのともたけですがこのリーチ。
一万一万二万二万三万三万六索七索五筒六筒七筒東東  ドラ一万
ヤミテン5,200ですが、積極的にリーチ。五索をツモり2,000・4,000。
やっとアガれた本手。ともたけは、このアガリをきっかけにしたい所です。
南2局2本場
2本積んだ親の仁平が
五万六万七万二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒北北  ドラ七筒
この形になりリーチ。苦しいポイントから2本積んだ仁平。
これをアガることができれば、この半荘も浮きに回れる。しかしこの局の主役は野方。
三索三索一筒一筒五筒五筒六筒八筒九筒九筒西西北
ツモ八筒残り1巡でテンパイが入った野方。北は生牌。六筒は無筋。
野方の選択は六筒単騎で打北とすると、なんとハイテイに居たのは六筒
ハイテイ付きで1,600・3,200は1,800・3,400。
野方にとっても仁平にとっても大きなアガリ。やはり、野方。勢いに乗っています。
このアガリが決め手となり野方が2連勝!
2回戦トータル
野方+39.0P 仁平+0.9P ともたけ▲12.1P 山田▲27.8P
 
3回戦 ともたけ 山田 野方 仁平
東1局
苦しい立場の山田が2つ仕掛けてホンイツテンパイ。
四筒五筒六筒八筒八筒北北  ポン中中中  ポン発発発  ドラ南
河が強く、ピンズのホンイツとは断定できないため、アガれる期待も膨らみます。
しかし、仁平が1枚切れとは言え、ドラも押し返してアガリをもぎ取ります。胆力ある見事なアガリ。
その後は小場で周り、トップからラス目まで3,600差。大接戦のオーラスに。
1人沈みの仁平はなんとか浮きに回りたい所。
南4局1本場
ここに来て、ともたけの捨て牌が”普通”?解説の紺野が言っていますが、普通の捨て牌のともたけは恐ろしいとの事。
普段手役を強く狙うともたけだけに、手役を狙う
“必要が無い”
と、言うのは、他者3名にとってはそれこそが、異常事態なのでしょう。
そのともたけ、5巡目にしてこの形に。
六万三索四索五索五索五索六索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ四筒
ツモ八万ときて、渋々カン七万のテンパイ。
しかし、この局アガリとなったのは仁平。
山田から2,900は3,200。山田は、処理したはずのドラを再び摑まされての放銃だけに、厳しい放銃となりました。
2本場ともたけ
一万二万三万四索四索七索八索  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ポン発発発  ドラ八索
なりふり構わずアガリに向かいます。
山田も
四万四万四万七万七万三索四索五索五索六索五筒六筒七筒
これでリーチすると、仁平も追いつき3つ巴に。
五索五索六索六索七索八索九索中中中  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き
ここは、3人テンパイで流局。痛い1人ノーテンで、野方がラス目に。
2本場山田
四万五万六万七万九万二索二索三索三索七索八索九索中中
ここから、打九万とすると、裏目の八万をツモ。そこから、打二索としてツモ一索三万六万九万のフリテンリーチ。
野方五筒ポン。苦しい形からの仕掛けでしたが、
三万三万三万七万六索六索六索四筒四筒四筒南  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き
七万で2人テンパイに。このままで流れると、ラスになる山田でしたが、仁平のハイテイずらしの仕掛けが入り。
それによりツモったのは九万!大きな価値があるトップとなりました。
ラスになった野方は、ちょっと雲行きが怪しくなってきたでしょうか?
3回戦トータル
野方+23.3 P仁平+2.4P ともたけ▲7.8P 山田▲17.9P
 
4回戦  野方 山田 ともたけ 仁平
親野方が、ホンイツの仕掛け。
二筒三筒七筒八筒九筒東白白発発  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ドラ東
注目は、山田
三万三万四万四万九万九万四索四索八索八索九索九索東
このドラ待ち七対子テンパイから一筒を引いて、打九万のテンパイ外し。
一筒は、なんと、ともたけの当たり牌。その上、野方にも一筒四筒の受けがあり、(山田が一筒を抑えたのはこちらに対してがメインだと思いますが、これには解説の紺野も絶賛)
山田の守備力が光ります。
ともたけは
六万六万八万八万四索四索六索六索七索七索一筒西西
この一筒単騎テンパイ。
仁平も
一索一索三索三索八索九索東東南南西中中
メンゼンの3人は全員七対子。仁平の四筒を野方がチーしてテンパイに
七筒八筒九筒白白発発  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き
東
九万を引き戻した山田が一筒を打ち、ともたけに放銃。今度は守備的な七対子から、山越の東を狙いに行った攻撃的な七対子に変更。
(一筒四筒の受けをチーして一筒が当たる確率が下がったのと、他家から、東が打ち出される可能性を考慮して。だと、思われます)
放銃とはなりましたが、濃密な1局でした。
東3局 親ともたけ
一万一万八万一索三索六索七索四筒五筒六筒七筒八筒西西  ドラ六索
七対子を2回アガって親を迎えたともたけ。普段なら三色を見そうだが、打八万とストレートに構えます。道中七万を持ってきてしまうも以下のテンパイに。
一万二万三万六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒西西
リーチを打ちたい手だが、手堅くヤミテンに。野方から2,900。明らかに打ち方を変えて来ています。
東4局
六万七万七万七索八索六筒六筒八筒白白  カン五索 上向き五索 上向き五索 上向き五索 上向き  ドラ八索
七万七万八索八索六筒六筒六筒  ポン白白白  カン五索 上向き五索 上向き五索 上向き五索 上向き
これに飛び込んでしまったのが、テンパイの入ったともたけ。四万七万の選択だったが、七万を選び8,000。
前回のラスから点棒を減らしていた野方・反撃の真っ最中だったともたけ。2人にとって大きなアガリに。
南2局
親の山田に大物手が。
四万四万四万七万九万九万四筒四筒五筒五筒五筒六筒六筒六筒  ドラ八筒
七万でリーチ!しかし、九万四筒はすでに無く七筒をツモっての2,000オール。
九万四筒は山田の目からも3枚見えていただけに、山田も納得のアガリでしょうか。
南2局 ともたけ
五万六万七万八万五索六索七索三筒四筒五筒東東北北  ドラ八万
東北共に1枚切れ。とはいえテンパイですが・・なんと、ともたけはテンパイ外し!そして、九万を引いてヤミテン
仁平が
四索四索六索七索八索三筒四筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒
これでリーチを打つも 四万を掴んでしまい2,000点の放銃となりました。
ともたけの見事な判断が生きた1局です。
そのまま、オーラスもともたけがアガリきり終局。大混戦の最終戦を迎える事になりました。
最後に勝ち上がるのは!?
4回戦トータル
野方+15.3P ともたけ▲2.2P 山田▲2.5P 仁平▲10.7P
 
最終戦
山田 野方 仁平 ともたけ
26P以内に、4者がいる大混戦となった最終戦。
東2局、ここで大チャンスが入ったのが、ともたけ。
二万二万四万七万七万七万七万一索一索二索七索七筒西  ドラ七万
なんと2巡目にドラがカンツに!アガリ切れば、通過に向けて大きく前進となるこの手。
しかし山田が2フーロで捌きます。なかなか、独走を許してくれません。
南1局2本場
東場は、山田がリードして勝ちアガリの位置に。
そして南入りしての山田の親。
チャンスが来たのは、仁平。
三万四万四万二索二索七索七索二筒二筒九筒九筒中中  ドラ七索
七対子ドラドラ。1巡回すも、1枚切れの三万で決断のリーチと行きます!
山田・野方が追いつくも、最後のツモで三万を力強く引きアガリます!
大きな3,000・6,000。
仁平の読みと決断が見事な1局でした。
また、山田は八筒の大明カン出来なかった事に触れていました。仁平のツモを消す事が出来ただけに、山田の後悔は大きかったか・・。
このアガリで、勢いに乗った仁平は、なんと60,000近くまで加点。勝ちアガリをほぼ確定させます。
そしてオーラスへ
山田27,000
野方23,700
仁平57,900
ともたけ10,400
南4局2本場 供託1.0P
今のところの勝ちアガリは、仁平・野方。山田の条件は1,000・2,000。
ともたけは連荘だが、少し厳しいポジションか。
ともたけ 配牌
一万二万三万四万五万六万八万四索五索五索一筒一筒四筒  ドラ二筒
山田1巡目
一万二万四万七万三索五索六索七索三筒四筒八筒北中中
ともたけが
一万二万三万四万五万六万七万四索五索六索一筒二筒三筒  リーチ
これでリーチ。河には、八万九万があり一気通貫でアガる可能性もあっただけに、ともたけとしては不満でしょうが、勝ち上がるためにはアガリ続けなければなりません。
一万四万七万待ちで、リーチと行きます。
山田
二万四万三索五索六索七索八索八索三筒四筒五筒六筒七筒
この1シャンテンから
二万四万三索三索五索六索七索三筒四筒五筒五筒六筒七筒
このテンパイ。三万は2枚切れで、非常に不満だが、ツモってもヤミだと足りないため山田も勝負リーチに。三万は1枚残り
しかさ、やはり枚数の多いともたけが一万をツモり2,000オール。
南4局3本場
ともたけ配牌
六万七万一索九索二筒八筒九筒東南西白白中中  ドラ六索
三万六万七万九筒  ポン中中中  ポン白白白  ポン南南南
あっと言う間の3フーロ。そして八万を引き打九筒三万単騎のホンイツに。更に八万を引き五万八万に。
野方も
三万四万五索五索三筒四筒五筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン発発発
これで追いつくも、
ともたけが、白を加カン・そして、五万ツモで4,000は4,300オール。大逆転のアメリカンドリーム!
野方は次局、
四索四索四索六索六索六索七索八索中中  加カン白白白白
執念でテンパイを入れるが、アガることは叶いませんでした。野方の1人テンパイで終局。
1位通過 仁平宣明
2位通過 ともたけ雅晴
安定感のあった仁平ですが、個人的には最終戦・三万単騎での七対子ドラドラリーチが印象に残ります。勝ちアガリまで決められそうな手牌ですが、単騎待ちという事もあり、様々な選択がありそうに思えます。その中で、勇気を持ってリーチをかけ、最高の結果を引き寄せました。
勝負所で逃げない強さを、私も見習いたいと思います。
ともたけは、第2代目世界チャンピオンに相応しい、魅せる手筋と、最終戦の大逆転が印象に残ります。また、最後の3フーロの様に勝ちに拘る姿勢も素晴らしかったと思います。
ベスト8では、どんな、ともたけ麻雀を魅せてくれるのでしょうか?
また、敗れた山田・野方も最後まで大接戦を演じ、最後の最後まで、この卓を盛り上げてくれました。
勝敗を分けたのは、ほんの少しの差だと思いましたが、山田は本人が言う様に、もし、八筒の大明カンをしていれば・。
野方は、紺野が言っていた様に、ほんの少しだけ守りに入るのが早かったのかも知れません・。
しかし、ベスト16最後を飾るに相応しい、素晴らしい対局だったと個人的に思います!
これで、私の担当する、グランプリレポートベスト16を終了させて頂きます。
グランプリベスト16の戦いは熱く激しく、どの卓も勝ちたい思いと、高い技術が詰まった、素晴らしい戦いばかりでした。
正直、自分のポジションだと、このレポートは恐れ多くて受けにくい部分もあったのですが、自分自身の成長のためにも、担当させて頂きました。
道中、先輩に対し、不適切な表現をした部分もあった事と思います。読んで頂いた方々には、不快な思いをさせてしまったかも知れません。
至らなかったとは思いますが、自分なりにやってみた結果ですので、御容赦頂ければ幸いです。
最後になりますが、機会がありましたら、また何処かでお会い出来ればと思います。
勿論!一番の形は、やっぱり自分が選手で出場する事ですね。
日々精進を重ねて行きたいと思います。
それではまた!!

Mr.Xの連盟Weekly!

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久しぶりに私、「真の」Mr.Xが帰ってきた。
読者の方は薄々感づいていたかもしれないが、Mr.Xは複数人存在しているのだ。

「最近連盟Weeklyが、いまいちピリッとしないから、久しぶりにお願いします」
どうしてもというなら重い腰を上げようではないか..

 
 

【第35期プロリーグ開幕】

 
 

34期鳳凰位決定戦、麻雀GPMAXは、
前原雄大の連続優勝で幕を閉じた。
そして息をつく暇もなく、第35期がスタート!

第35期プロリーグ

A1 A2 B1・B2 C1・C2・C3 D1・D2・D3 E

今期からすずめクレイジーこと「石川遼」が参戦!

 

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そして、D3には沖ヒカルさん、内藤正樹さんという、各方面で有名な選手も参戦し、さらに熱いリーグ戦となった。

 

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【そんな中】

 
 

前期B1に降級となった白鳥翔が好スタートを切った。

 

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「ザ・前髪」こと佐々木寿人をリスペクトして、わざと前髪を失敗してきたことが功を奏したようだ。

 
 

【新グッズ】

 
 

ガラT、スマホケースなど、物販に走る麻雀プロは跡を絶たないが、今期の勢いに乗じて、白鳥グッズも販売してはいかがだろうか?

 

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これは、白鳥が大好きな供託リーチ棒をキーホルダーにしたものだ。
ほら、私のスマホにもぴったり!

定価1000円で、供託が千点増える毎に+500円となる。上の画像は2500円(税抜き)

 

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仮にこちらでキーホルダーを作成した場合は18000円(税抜き)となります。

 
 

【第3期 Lady’s麻雀グランプリ ~CLIMAX~ 】

 
 

日本プロ麻雀連盟×エンタメ~テレPresents第三弾!女流プロ雀士のみで行われる真剣勝負の麻雀リーグ戦!!遂にCLIMAX開幕!栄えあるグランプリレディは誰の手に!
16名の女流プロ雀士のみで行われる1年間にわたる長期リーグ戦、第3期!
前期リーグ、後期リーグそれぞれ8名に分かれ予選を戦い、各リーグ上位の6名が決勝の舞台“CLIMAX”へ進むことができる。
また各リーグの下位1名には、次期「Lady’s麻雀グランプリ」の出場権を失うなどの過酷なルールが待ちうける。それだけに真剣度合いも最高潮のガチ勝負!他の麻雀番組ではあまり見せない表情!?も見どころのひとつ!麻雀ファン必見の番組!

 

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勝ちの喜びがあれば、負ける痛みもあるのが勝負というもの。
真剣勝負を制するのは誰だ!?

 
 

【GUKEI】

 
 

あまり上品な表現ではないが、昨年度は連盟の若手がどんどんと、タイトルをかっさらってきた。

齋藤GがRMUクラウンを。

 

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魚谷U未が日本オープンを。

 

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奈良K純がBIG1カップを。

 

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若手の実力者が少ないと不安視される中、頼もしい限りである。
後は、こいつとこいつがなんか獲得してくれば、完成だ。

 

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Eび原

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I出

 
 

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愚形上等!

 
 

【やり過ぎは禁物】

 
 

かみ過ぎ

 

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休む暇もなく練習しているが、どうしても噛んでしまう。もはや、わざと噛んでる時もありそうだ。

 
 

髭伸びすぎ

 

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この人が出てくるとワクワク感が促されるよね「誰だ!?」

 
 

エアロバイク漕ぎすぎ

 

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麻雀プロは体力も大事だけど、すげえタイトルの配信だなぁ..

 
 

背高過ぎ

 

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180~何センチ?
背ぇ高!

 
 

感極まり過ぎ

 

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やはり質の良い勝負は感動を呼ぶ。本人が一番感動している。

 
 

良く寝すぎ

 

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毎日お仕事お疲れさん。