第17期女流桜花Aリーグ第6節D卓レポート

第6節D卓に出場した選手は

 

 

山脇千文美・二階堂亜樹・桜川姫子・廣岡璃奈の4名。

 

 

決定戦進出ボーダーにいる山脇・亜樹と、残留ボーダーの桜川・廣岡という戦場が2つに分かれた構図での勝負となりました。

トータル3位からのスタートとなった山脇は1回戦こそ沈みの3着になるも、そこから一気に手数を増やし

 

 

2回戦では7回のアガリで大きなトップを奪取。

 

 

3、4回戦でもアガリこそが最大の防御と効果的にアガリ続け

 

 

タイミングよく来たドラ3の手もアガリに結びつけて卓内トップ。
亜樹との上位対決を制してトータル1位に浮上しました。

すぐ後ろに入れ替え戦と降級ゾーンが見えていた12位スタートの廣岡は

 

 

2軒リーチと手がぶつかった局で勝ち続けて1回戦でトップを取ると

 

 

2回戦以降も要所でアガリをものにして、山脇の猛攻を耐えて4戦オールプラスでトータル10位に浮上。
まだ安心は出来ませんが、Aリーグ残留が見えた大きな1節となりました。

6度目の決定戦進出のためにポイントを伸ばしたかった亜樹は、勝負所で競り負ける局面が多く、トータルは6位まで後退。

 

 

最後に一矢報いるも、終始厳しい1節になった桜川は直近2節のプラスを溶かしてしまい、14位と再び危険なゾーンに足を踏み入れました。

 

 

<第6節D卓最終結果>
山脇+58.2P 廣岡+35.9P 亜樹▲37.5P 桜川▲56.6P

(文:越野智紀)

第247回:第16回モンド名人戦優勝インタビュー 瀬戸熊 直樹  インタビュアー:中 寿文

第16回モンド名人戦決勝戦南4局。
1回戦トップの瀬戸熊は追い詰められていた。

南4局2本場
河野・瀬戸熊はアガれば優勝。
新津は瀬戸熊から8,000直撃・倍満ツモ条件(リーチ棒が出ると跳満ツモOK)

瀬戸熊は役牌の南をポン、だがこの時はまだターツも足りない4シャンテン。

 

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そんな中、絶好の配牌をもらった新津。
なんと4巡目に高め345のタンピン三色の三索六索待ちという、条件を満たしたテンパイが入る。
三索を切ったらジ・エンドだ。

 

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そして手が思う様に進まぬ中、今度は河野が仕掛け返す。
瀬戸熊2フーロ、河野2フーロ。
2人ともに、まだノーテン。

瀬戸熊「この時、内心負けたと思ってるよね」

‐‐「え?そうなんですか?」

瀬戸熊「勝つ時って、これで決めるみたいな時は大体決まらないんだよね。そういう後に肩の力が綺麗に抜けると勝てるというか」

瀬戸熊「その状態になるのが、難しいんだけど。コントロールしきれるものでも無いしね」

その後、親の藤崎からリーチが入る。
ならば、新津はリーチか?と思った瞬間に新津は高めをツモってしまう。
なんという運命のいたずら。

この局はそのまま、藤崎が2,600オールをツモアガリ、次局へ持ち越し。

続いて3本場。
藤崎以外の各者の条件は以下の通り。
瀬戸熊 新津からはアガれない。(新津37,500・河野36,600で新津の着順を下げるとダメ。)
河野 アガればOK。
新津 6,400出アガリ。(藤崎の着順は下げられないので、藤崎からはアガれない)
3,200瀬戸熊直撃
1,000・2,000以上

この局も新津がファーストテンパイ。
カン五索の役無しドラ1。

三索を引いてリーチを打つ。(リーチピンフドラ1)

 

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1シャンテンまで来ていた瀬戸熊。
リーチ棒が出た事により、一時的に新津の着順が河野を下回ってしまう。
これにより、瀬戸熊はほとんどのツモアガリができなくなってしまったため、オリを選択。

その後、藤崎が追っかけリーチを打つ。
このリーチ棒により、今度はなんと新津は2,000・4,000だと、藤崎の着順が瀬戸熊の下になってしまうため、2,000・4,000だと瀬戸熊が優勝になってしまう。
(3,000・6,000は素点で瀬戸熊をかわすためOK)

リーチを打った新津。

ツモ裏無し→新津優勝
ツモ裏1→瀬戸熊優勝
ツモ裏裏→新津優勝

なんとも難しい状況になってしまった。

この時も、瀬戸熊は負けを覚悟していたという。
ただ祈りながら丁寧にオリるしかないのだ。

そして流局・・・。

4本場。
混沌としたオーラスがまるで嘘だったかの様に、軽やかに700・1,300をツモり、初のモンドタイトルを獲得した。

 

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--「モンド名人戦優勝おめでとうございます!」

瀬戸熊「ありがとう」

--「モンドは初タイトルでしたね」

瀬戸熊「(モンドは決勝3回目だったんだけど)1回目にやられた時はタッキー(滝沢)に、初戦トップ獲ったのに、まくられて、2回目の時は藤崎さんとやったんだけど、初戦ラスで苦しくなって何もできなかった」

「結局2戦の短期勝負だから、初戦が大事と思っていたね」

この後、自らの経験に基づいた勝負論を語ってくれた。

瀬戸熊「初手から勝負手が入る事はよくある。勝負を先送りしないこと。先送りするとやられちゃうよね」

実際、瀬戸熊は1回戦南3局0本場で新津のリーチに、1シャンテンから押し返し、5,800を新津から打ち取る。

続く1本場では三色を見据えた手順で、しっかりとタンピン三色のテンパイに仕上げ、(約38,000点持ちであることを踏まえると)ヤミテンでも十分な加点に見えたが、迷いなくリーチ。

6,000オールをツモりあげ、優勝に向けて大きく前進した。
タイトルを取りまくっていた頃によく見た光景だった。

 

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瀬戸熊に憧れている連盟員は非常に多い。
かくいう私もその1人だ。

私が競技麻雀に触れ、その楽しさに魅了されだした頃、瀬戸熊は鳳凰位連覇、十段位3連覇と、まさに絶対王者として君臨していた。
憧れないというほうが無理かもしれない。

プロになろうと決めた時、初心を忘れないように、瀬戸熊さんと静岡支部前支部長望月さんからサインを頂いた。
それは今でも大切に部屋に飾ってある。

強い瀬戸熊を見るというのは、他に言いようのない嬉しさがある。
そういう意味では僕も、応援しているファンの人となんら変わらないだろう。

-‐「勝った時の気持ちを聞かせてもらって良いですか?」

瀬戸熊「とにかく結果が欲しい時だったから、その結果が出たことは嬉しかった」

--「結果が欲しい時期だったとの事ですが、その理由とかありますか?」

瀬戸熊「最強戦で勝ち方を思い出したような感じだった。そういう時に、続けて勝たないとね。また忘れちゃうから」

「それと、タイトルを取ってる人って、相手が勝手に圧を感じてくれるというか、連続で取ることによって、瀬戸熊復調してきたな、とか考えてくれるものなんだよね」

そう思わせることが重要なんだよ、と教えてくれた。

これは自分のように何も結果を残していない選手にとっては、目からウロコの様な話であった。
麻雀の技術的な話だけではなく、トッププロの心理的な駆け引きのようなものを垣間見た気がした。

ここで、僕は一つの疑問をぶつけてみた。

--「失礼になるかもしれませんが、瀬戸熊さんは自身で、ここ数年不調だと思っていたのでしょうか?」

なぜこの質問をぶつけたか・・・。

考えてもみてほしい。

確かにこの数年、瀬戸熊はタイトルを取っていなかった。
だが、その期間にも第34期・38期と十段戦の決勝進出、第28期發王戦も決勝に残っている。
鳳凰位決定戦だって失冠してからも何度となく残っている。

A1リーグから落ちたのも17年戦って来て初めてのことなのだ。

麻雀というゲームの性質上、継続的に勝ち続けるというのは不可能に近い。

麻雀関係の友人などと話していると、瀬戸熊調子悪いね、と話になることがあるのだが、その都度、僕は十分成績は残しているじゃないか、と思っていた。

瀬戸熊「そんなこと言われたの初めてかも(笑)」
「この何年も勝ち切れてなかったことは事実だし、何よりA1リーグから降級してしまったじゃない?、一度そのステージに登ってしまった以上は周りの期待も上るしね」

この時、やはりトップをひた走る選手は考え方が違うものだなと思った。
話はさらに続く。

瀬戸熊「鳳凰位を失冠するまでは決勝戦って5割は勝てると思ってた。それくらいの自信はあったね。というか、優勝争いをしていないことなんて無いと思ってたよ。決勝の戦い方みたいなのがあるからね。これで勝てるみたいなのがあった。だけど、放送対局になって周りの研究も進んで勝てなくなってきたかな」

--「振り返って、勝てなくなった原因とかあったりしますか?」

瀬戸熊「結局この数年、何がダメだったかと言うと・・・。A1リーグにしがみつく戦いだったというか、A1リーグは、鳳凰位になるって目標はあるんだけど、それよりも先に落ちない様にっていうのが共通認識になっていると思う。でもそれは、勝負の本質からは離れてしまっていたんだよね」

--「なるほど。そして遂に初めての降級を味わってしまったわけですね。」

瀬戸熊「そう。ただ、降級しそうな時に落ちたら楽になるからって身近な人に言われてさ、そうしたらもう一度戦う気持ちを取り戻せるからって。実際落ちたら、肩の力が抜けたというかA2での戦いも本当に楽しめているね」

実際ここまでA2リーグは5節消化して、全節プラス、首位を快走中だ。(掲載時は6節消化)

この話や冒頭に書いた部分然り、今回のインタビューで瀬戸熊が考えている事を色々聞くことができた。

その中でも一つの発見は、トップ選手の持っている自信。
そんなに自信って持てるものなんだ、と思ってしまった。

もちろん、結果や努力に基づいたものなんだろうけど、自信の持てない自分にとっては、改めて考えると凄いことだなと思った。

--「今後の大きな目標みたいなものってありますか?」

瀬戸熊「全然目標ではないけど、10年前の自分にそこで努力をしていたら、ここまで苦労することないのになって言ってやりたいよ(笑)」

「あの時はこれで勝てるって思っていたところがあったんだよね」

それを聞いて、今の瀬戸熊は、気持ちの上で最高の状態にあるんじゃないかと思った。

勝てない時期を経て、ダメだった原因の把握は終わり、勝負する気持ちと勝ち方を取り戻した。
そして、飽くなき向上心をもって、過去の自分を戒めてもいる。
元々持っていた自信は、わずかに残っていた驕りもなくし、強固なものとなったに違いない。

瀬戸熊直樹の全盛期はここから始まるんじゃないかとすら思った。

最後に。

私は今期、静岡支部の支部長代行を務めるにあたり、瀬戸熊と話す機会が増え、遠い憧れだった人と仕事をすることも多くなった。
問題が起きる度、こんなことは大したことじゃないと、右往左往する私の背中を押してくれた。
ここまで、何とかその責務を果たしてこられたのは、そのおかげと言っても大袈裟ではないだろう。

不思議なもので、そういう時には何かの縁が生まれるのだろうか。
第39期の十段戦で、私はキャリアハイのベスト16まで進出し、瀬戸熊と同卓。
プロ8年目にして初めて、憧れ続けた相手との真剣勝負の場に立つことができたわけだ。
その時の気持ちの高揚は言葉では現しきれない。

瀬戸熊は言った。

「支部長なんだから戦っている姿を見せて引っ張っていかないと」と。

振り返ると、その快進撃も、もらった言葉に背中を押されたかのようだった。

だが、僕はまだ何も成し遂げてはいない。

いつか一人前と認めてもらえるその日まで、憧れの大きな背中を追いかけていきたいと思う。

 

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第20期プロクイーンベスト8B卓レポート

【りんのが4年連続、蒼木が初の決勝進出】

1回戦東2局、好スタートを切ったのは大島だった。

 

 

2枚のせてみせる、とはさすがに思っていなかっただろうが、なんと二筒が捲れて8,000のアガリになる。
放銃は山脇。放銃した以上文句は言えないのだが、痛いことには変わりない。

南2局、親の蒼木の先制リーチ。

 

 

山脇はこれ以上加点させないためにリーチのみの追いかけリーチを打ったが、一発ツモに裏ドラが3枚の3,000・6,000!
今度は裏ドラに大感謝祭。
ラスのままではあったが、素点を大きく回復して1回戦を終えた。

1回戦はりんの、蒼木、大島、山脇の順。
りんの+22.0P、蒼木+6.1P、大島▲5.6P、山脇▲22.5P

 

2回戦、東2局2本場
親の大島は、1人テンパイ、山脇から7,700と連荘して、また先手でリーチを打てた。

 

 

対して、ここで離されるのは許容できないと蒼木が勝負する。
三色同順のみの1,000点だが、仕掛けてドラの発を切る。

 

 

さらに七筒も勝負し、二索のツモアガリ。

 

 

大島の連荘を止める、点数以上に価値のあるとてもよいアガリだった。

2回戦南1局、もし大島がやり直したい局があったとしたら、この局かもしれない。
リーチ、待ち取りの4パターンの選択がある中で、大島はシャンポンのリーチを選択。
三色同順よりダブ南の方を選んだ。

 

 

今度は山脇が押し返す。

 

 

リーチ、一発、チャンタ、三色同順、裏の12,000。
リーチをしていなくても中単騎を止めるのは難しかったと思われるが、ヤミテンに構えていればその前にアガリが拾えていたかもしれない。
リーチでよいと思うのだが、結果が最悪だったことで、他の選択が良かったのでは?と思ってしまうのも麻雀の難しさである。
(ちなみに、目の前に最悪の結果があるので、「リーチでよい」と書いていいのか、相当悩みました。)

2回戦、結果的にはこの放銃が響いて、大島はラスになってしまった。トップはりんの。
2回戦終了時、りんの+42.5P、蒼木+11.1P、大島▲24.9P、山脇▲29.7P

 

3回戦、東1局から大島と山脇がぶつかる。
大島の先制リーチに親の山脇が追いかけた。
どちらもこの半荘でのマイナスは許されず、命運を分ける1局だった。

 

 

 

山脇が大島から12,000のアガリ。(リーチ、ピンフ、ドラ、裏)
これで大島は厳しくなってしまった。

さて、ここまで何局か取り上げて見たのだが、共通点がある。
お気づきになっただろうか。
そう、2連勝にも関わらず、りんのが登場していないのだ。
無くはなかったが、りんのと誰かがめくり合いになっていることは少なかった。
なぜだろう?

この日のりんのも安定感抜群で、危なげなく勝ち上がったのだが、おそらく対局者間でもりんのの評価は高い。
1回戦にりんのがトップを取ったことも加味され、山脇、大島、蒼木の3者の争いとお互いに思ったのではないか。
その考えになると、りんのと争うのは得策ではないし、この3者の誰かが抜け出しそうになると止めにいくことになる。
3者で親番を潰しあい、横移動も多かったことで、りんの自身は加点しやすい局に攻めればいい。
りんのにとって非常にやりやすい状況になっていた。

 

 

なおこの3回戦では、東2局に親の5巡目リーチから、裏ドラ1枚の2,600オール。
これで9割方りんのの通過は決まった。

3回戦終了時、りんの+71.6P、蒼木▲2.5P、山脇▲11.8P、大島▲58.3P

 

最終戦、蒼木と山脇は着順勝負。

 

 

メンツ手との両天秤をかけずに七対子一本に絞っていれば、この発でテンパイし、蒼木から9,600のアガリになっていたかもしれない。
タラレバ、要は結果論なのだが、山脇にはこのチャンスを活かすしかなかった。

 

 

対して蒼木は、次の東2局に価値ある裏ドラを1枚乗せ、3,000・6,000。
さらに親番でも12,000をアガリ、勝負を決めた。
蒼木も二番手からなかなか抜け出すアガリが生まれず苦しい1日だったが、最終戦に競り勝って初の決勝進出となった。

 

 

蒼木「歯を食いしばって行く局はどこかで必要だと思うので、見返したらやり過ぎかもしれないけど、歯を食いしばって発七筒を切りました。初の決勝、楽しみです。3日間の開催、最後まできちんと戦えるように、今から準備したいと思います。」

 

 

実況の阿久津「これで4年連続(二階堂)瑠美プロとの決定戦になるんですけど、意識するところとかありますか?」
りんの「うーん、そうですね。奪還!奪還しないと。」

ベスト16、ベスト8ともに危なげない勝ち上がりで、決定戦からが本当の勝負、と思わされる強さだった。
瑠美も昨年以上に強くなって帰ってきたと思ったに違いない。

 

 

阿久津「見ている方には面白い決定戦になりそうですね」
瑠美「ジェットコースターになりそうだよ…」
決定戦は以下の日程で開催されます。皆様お見逃しなく。

◇第20期プロクイーン決定戦◇
二階堂瑠美(前年度優勝シード)vs古谷知美vs東城りおvsりんのなお(協会)vs蒼木翔子
1日4回戦の全12回戦

[初日]10/9(日)14時~
解説:二階堂亜樹・齋藤豪
[2日目]10/16(日)14時~
解説:魚谷侑未・齋藤豪
[最終日]10/23(日)14時~
解説:和久津晶・齋藤豪

実況:阿久津翔太(全日程)

(文:福光聖雄)

第39期 A2リーグ 第6節C卓レポート

猿川が大幅プラスで昇級圏に迫る!A2リーグ第6節C卓レポート

9月20日、第39期鳳凰戦~A2リーグ第6節C卓が放送された。
対局者は瀬戸熊直樹、客野直、明石定家、猿川真寿。

 

 

 

昇級争いの瀬戸熊・猿川と、現状降級圏内の客野・明石という上下くっきりと分かれた4名。

 

★1回戦
東1局、幸先の良いアガリを決めたのは猿川。カン四万のタンヤオ三色をヤミテンでツモアガリ4,000オール。

 

 

続いて東3局2本場、ドラ暗刻の手をメンゼンで仕上げ、山に1枚のカン八筒をツモり4,000オール。

 

 

既にお腹一杯の加点だが、東3局3本場には中・ドラの東がトイツの配牌!中一索を仕掛け、東を暗刻にしての6,000オール!

 

 

7万点近くの1人浮きトップを獲得し、早くも昇級圏まであと一息というところまで浮上した。

猿川  +49.5P
明石   ▲9.9P
瀬戸熊 ▲12.2P
客野  ▲27.4P

 

★2回戦
東1局、明石が高目をツモりリーチツモ一通の2,000・3,900。

 

 

半荘を通して高打点のアガリはこの1回のみ。東2局以降は1,000点→2,000点→流局→1,000点→流局→流局と静かな展開でオーラスへ。
猿川は28,000点持ち。浮きになるアガリを決めれば、一旦昇級圏に食い込むところであったが…

 

 

ここは4着目の瀬戸熊が意地を見せ、タンヤオドラドラを猿川から直撃。3着に浮上となった。

明石  +15.2P
客野   +6.1P
瀬戸熊  ▲6.8P
猿川  ▲14.5P

 

★3回戦
2回戦とはうって変わって高打点が飛び交う展開に。
東1局、ピンフのヤミテンで連荘した猿川に大物手。ヤミテンでタンヤオ・ピンフ・ツモ・リャンペーコーの6,000オール!

 

 

続いて瀬戸熊も負けじと、東3局1本場にはジュンチャン三色ドラ1のヤミテン!

 

 

終盤にツモアガって原点近くまで回復すると、南1局には発・ペン三万北とフーロして役役チャンタドラドラのカン八筒待ち。親番でピンフテンパイを入れた猿川から八筒が打たれ、満貫の直撃に。

 

 

トップを逆転し、猿川の逆転を阻止することに成功した。

瀬戸熊 +13.4P
猿川   +6.2P
客野   +1.4P
明石  ▲21.0P

 

★4回戦
4回戦も猿川が局面をリード。東1局にリーチツモの1,000オール、ホンイツのみの1,000オール、リーチツモタンヤオの2,000オールと3連続のアガリで悠々4万点を超えていく。

 

 

決め手となったのは東3局、瀬戸熊が仕掛けて役役ホンイツ。そこへ猿川がドラを暗刻にしたリーチをかけ、両者一歩も引かないめくり合いに。

 

 

 

ここでもやはり猿川に軍配が上がり、この日大きなプラスを持ち帰ることに。
一方、ここまで1日苦しんでいた客野。南3局の親番で待望のタンヤオドラドラテンパイが入ると冷静にヤミテン。

 

 

猿川からとらえ、7,700のアガリで28,500点まで回復。さらにオーラスにはピンフ高目イーペーコーのテンパイ。

 

 

リーチしてアガれば浮きが確定するが、ここはヤミテンに構え、安目でのアガリで沈みながら2着を確保。何度も残留争いを制してきた客野らしい、落ち着いた選択を見せた。

猿川  +18.2P
客野   ▲1.5P
瀬戸熊  ▲4.4P
明石  ▲12.3P

対局終了時点のトータルポイントは画像の通り。

 

 

 

瀬戸熊マイナスを10に抑え、首位をキープ。猿川は+59.4Pと大きなプラスで昇級圏に迫った。
次回A2リーグの放送は9/27(火)。

対局者は紺野真太郎、内川幸太郎、ダンプ大橋、三浦智博。
解説は山田浩之が務めます。

次回も是非お楽しみに!
(文:浜野太陽)

第3回リーチ麻雀世界選手権レポート 和泉由希子

「ウィーンでのレポートをお願いできませんか?」

編集部からのLINEを二度ほど既読スルーしたんですけど。
よっぽど人がいないのか三度目の打診。

「和泉さんはウィーン初めてじゃないでしょ?ちょうど良いかと思って」

何がちょうど良いのか知らんけど3回目はもう断わりづらい。
仕方ないので渋々引き受けることにしました。

二度目と言っても前回は17年ほど前。
ピンクワゴン1つの貧乏旅行だったので、ちゃんとした観光も出来ず。
当時の旅の仲間は歯科医師だったりパティシエだったり多種多様な面々でしたが、今回は麻雀プロだらけの旅となったのです。

 

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まずは12時間かけて経由先のドーハへ。
ドーハ空港での待ち時間が4時間あったので買い物でもしようかとも思ったのですが、到着した時間が現地時間で朝の4時過ぎということもあり、空いているお店がまあ少ない。
行きから荷物を増やすのも億劫な気がしてきたので買い物は帰りにすることにして、空港に飛んでいるフリーWi-Fiを接続して龍龍(ロンロン)を数プレイ。
この段階では「世界のYUKIKO」に向けて準備を開始していたのですが、わたしは予選2日間で+7.5Pの73位。
3日目のトーナメントに進むことが出来ず、悔しい結果に終わってしまいました。

 

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「29QAR(1QARは約38.5円)…これ1,116円って高すぎやせんですか?」

道中で物価の違いに驚く本田さん(写真左)からレッドブルを買って貰い、給油された飛行機と共に充電を完了させてウィーンへ再出発した日本チーム一行は

 

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日本を出てから丸1日近くかけて目的地インターコンチネンタルウィーン(大会会場のホテル)に無事到着しました。

 

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到着した日の夜はドーハ経由組で決起会という名のお食事会。
食事の前に山井さんから

「みなさん無事に来られて良かったです。試合頑張って、出来ればこの中から優勝者が出ると良いなと思っています。」

そう優勝を期待する挨拶がありましたが、だいたいこういうのってダメなほうのフラグになる気がしています。

古橋・ガース→ベスト16敗退
本田・越野→ベスト32敗退
亜樹(35位)日吉(68位)和泉(73位)齋藤(127位)→予選敗退
瑠美さんと山井さんは初日が終わって体調不良のため棄権。

一番成績が良かった古橋さん(予選1位通過)も

「ベスト32で黒木さんと同卓して調子がおかしくなった」

そう敗戦の弁を残してトーナメントベスト16で散りました。

このお店ではオーストリアの伝統料理シュニッツェルを堪能。
仔牛の薄切り肉にパン粉を付けて揚げたもので、日本でいうカツレツといった感じ。

 

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レモンをかけるのがオーソドックスな食べ方みたいです。

 

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出発前は食の印象が全然無かったウィーンですが美味しいものだらけ。食べ過ぎ飲み過ぎで、だいぶ太って帰ってきました。

たまに口に合わない料理が出た時、それを食べた人たちがみんな揃って「うーん、なるほどー」って言うのが面白かったです。
マズイと言えない日本人よ。

会の途中で山井さんが「なんと!今日は会長に出していただけることになりました!」と言い出したので、遠慮なくシャンパンを追加注文。うまうま。
おかげさまで長時間の移動の疲れがだいぶ回復しました。
ウィーン初日終了。

 

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ウィーン2日目。
「Registration=登録」のことですね。

 

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選手登録を終えてインタビュー。
この時はまだ世界を獲る気満々で喋っていました。

早々に負けた私に替わって、第3回リーチ麻雀世界選手権を優勝したのは現マスターズの奈良圭純。

 

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連盟チャンネルの裏方でも大活躍の奈良ちゃんです。

「Drei(ドライ※ドイツ語で3の意味)からVier(フィアー※ドイツ語で4の意味)」

インタビューでは4つめのビッグタイトル奪取することをドイツ語で宣言して見事達成。
大勝負に強い奈良ちゃんのパワーがウィーンでも出ました。

 

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開会式はWRC会長ジェマ(写真左)とウィーン大会運営の代表レナ(写真右)の挨拶からスタート。
ジェン(写真中央)は英語を日本語に、日本語を英語に通訳しながらの進行役でした。
ジェンはこの大会中ずっと大活躍で、試合では3日目のトーナメントで惜しくも負けてしまったけども、大会3日目の午後に開催されていた勉強会では各卓へ通訳に走り回り、ずっと献身的に働いてくれました。

 

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4日目の勉強会では浴衣姿で登場しました。
めちゃ綺麗です。

 

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ジェマとレナの次は森山会長の挨拶。

「日本の選手が今回も優勝したいかな?(外国の選手からブーイング)だけども、前回から5年たち世界のレベルもすごく上がっていると思うので、是非今回は日本以外の選手が優勝して今後の大会も盛り上げて欲しいと思います(外国の選手から歓声)。わたしはパリ大会の時に抽選で一番を引きました。そして今回も一番を引きました。絶対に勝てないと思います(笑い)ですから優勝は狙えないかもしれませんがベストは尽くしますので、みなさん楽しみながら最善のプレーを心がけましょう。みなさん頑張ってください。」

 

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WRCの元会長マーティンさん。
詩のような挨拶で世界大会の素晴らしさを語っていました。オシャレです。

 

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古橋さんの英語力を心配そうに見つめていたのはUSPML(※アメリカの麻雀団体。第2回ラスベガス大会の責任者)会長のデービッドさん(写真右)。
開会式場にお酒を提供してくれました。サンキューデービッド。

 

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デービッドから提供されたお酒を楽しむ2人。

 

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音楽の都ウィーンらしく生演奏も盛り上がっていました。

 

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ビシッと決めている人たち。

 

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姉妹と一緒に。

 

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左から女子・女子・牛・女子。

 

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女流グループで。
和泉由希子(73位)蒼井ゆりか(65位)菅原千瑛(50位)山脇千文美(59位)
みんな惜しかったけど予選落ち。

 

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会場にはプリクラが設置されていて

 

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初代・二代目世界王者と一緒に撮ってゲンを担ごうとする人たちが集まりました。
お祭り気分でウィーン2日目は終了。

 

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ウィーン3日目。
やっと試合が始まりました。
ここから2日で10半荘を行い上位32名が勝ち上がるシステム。
過去の2大会に出場している選手たちの予想では、+80Pから+90Pぐらい浮ければ大丈夫なんて言われてましたが実際は

 

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こちらの結果。
特筆すべき点では、ウクライナから女性の選手が3人勝ち残っていることが挙げられます。

日本チームからベスト32に残ったのは

1位古橋崇志+220.6P
3位柴田吉和+189.5P
4位藤崎智+170.8P
8位早川林香+126.3P
12位ダニエル・モレノ+118.5P
14位HIRO柴田+114.8P
17位寺西真美+113.0P
18位ガース+108.7P
19位本田朋広+102.4P
21位ともたけ雅晴+90.6P
22位伊藤優孝+88.6P
26位山田学武+78.0P
27位ジェン+77.9P
30位奈良圭純+74.6P
31位越野智紀+69.0P
32位黒木真生+64.8P

この16名。
最終戦でトップを取った黒木さんが、思いのほか低くなったボーダーに助けられて32位に滑り込んでいました。

ウィーン5日目。
ベスト32からのトーナメントの裏で、敗れた日本チームの選手たちは外国人選手との勉強会を実施していました。

 

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各卓を周って質問に答えていきます。

オレンジ色のTシャツを来ているのがWRCの運営の方々。大会の予選中ずっと後ろで麻雀を見ていたためか、溜まっていた麻雀打ちたい欲があふれ出て質問が止まりませんでした。

 

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卓にも入って麻雀を通じて交流を広げる選手たち。

 

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第1回大会から精力的に勉強会を続ける森山会長。ずっと立ちっぱなしで驚きです。

 

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わたしも参加。英語は少ししか話せなくても麻雀のことならなんとか伝わるものですね。

 

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今大会でビッグボイスソーリーの名言を残した日吉さんは、色んな卓に動き回っては英単語一発で爆笑を取る無双状態に突入していて

「普段日本で講師してる時と同じスタイルでやってたんだけど、麻雀っていうゲームを通せば言葉の壁なんて全然感じなかったね。また外国の方を相手にこういった勉強会をやる機会がほしい」

と、新しい才能を開花させて世界に進出を狙っていました。

トーナメントの方で、日本チームから決勝まで勝ち上がったのが四冠を狙う奈良ちゃんと

 

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7回戦目の放送卓で四暗刻単騎をアガって4位で予選を通過した世界の忍者こと藤崎さんの2人。

他の決勝進出者は3人残っていたウクライナ代表の中からAnna Zubenkoさん、それとフランスからValentin Courtoisさんが決勝に進出しました。

この4名に加えて、ベスト8で惜しくも敗れた

 

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Kirill Khromovさん

 

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HIRO柴田さん

 

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Leung Sze Chun Stephenさん

 

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ダニエル・モレノさん。

以上の8名の選手は第4回のリーチ麻雀世界選手権の参加資格を獲得しました。

 

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決勝戦は解説が第2回リーチ麻雀世界選手権優勝のともたけさんと森山会長で、実況が日吉さん。

2回戦勝負で1回戦目に大きなラスを引いた藤崎さんが

 

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2回戦開局から親でホンイツ小三元の6,000オールをアガると、そこから一気に7万点オーバーと盛り上がる展開。

奈良ちゃん1.1ポイントリードで迎えたオーラス

 

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親のValentinさんがノーテンで流局。

 

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奈良ちゃんテンパイで逃げ切り優勝となりました!

 

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世界4位はAnna Zubenkoさん。
オーラスの逆転条件が奈良からの役満直撃かダブル役満ツモとスタッフに説明され、「It,s easy!」と返したそうです。めちゃおもろい。
楽しそうに打っている姿が印象的でした。

 

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世界3位はValentin Courtoisさん。
フランスの生んだヤングライオンって日吉さんが勝手に呼んでいましたが、独特なトイトイの仕掛けを何度も決めてカッコ良かった!

 

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大接戦の末に世界2位になったのが藤崎智さん。
予選放送卓での四暗刻単騎や、決勝での凄い追い込みで大会を一番盛り上げてくれました。
世界の忍者まであと一歩でしたね。

 

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そして優勝は奈良圭純さん。
前チャンピオンのともたけ雅晴さんからトロフィーの授与をされるシーンですが、激闘の疲れが見えますね。

 

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閉会式では特大の麻雀牌ケーキが登場。

 

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そしてケーキ入刀。
世界チャンプとしての初仕事をこなしていました。

 

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世界一直後の奈良ちゃんの四冠ポーズ。
本当におめでとう!
個人的に、奈良ちゃん大好きなのでとても嬉しい。

 

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大会終了後にちょっとだけ観光しました。
城とか劇場とか公園とか、なんかいちいちオシャレで、立っているだけで絵になる。

とりあえず「OK!」とか「イエースイエース!」とか「おーせんきゅー!」とか、適当な英語が口をつくようになったよ。

3年後に東京で行われる第4回リーチ麻雀世界選手権では、今度こそ世界のYUKIKOになろうと思います。

(文:和泉由希子)

第17期女流桜花Aリーグ第6節A卓レポート

【Aリーグ第6節A卓、吾妻が大勝でプレーオフ圏内に。逆に仲田は降級ポジション】

 

 

8位鈴木彩夏、9位吾妻さおり、10位仲田加南、12位伊達朱里紗の4者の対戦。
過去に女流桜花を4回獲った仲田、2回獲った吾妻がこの位置ではあるが、この日をいれて2節とプレーオフがある。
爆発力のある2人だからこそ、可能性は高くはないものの、まだ決定戦進出を狙っているだろう。

今期初めて女流桜花Aリーグに上がった鈴木は、第1節に▲101.5Pいうほろ苦いを遥かに通り越したデビュー戦だった。
2節目以降取り返して現在8位。プレーオフ圏内ではあるが、今日の出来次第では、残留を意識するかもしれない。

伊達は残留ボーダーギリギリの12位。
最低限は現状維持。プラスを持って帰りたいと誰しもが思うところ。

1回戦、好スタートを切ったのは鈴木。
東2局、終盤にテンパイしたドラ単騎が、望外のツモアガリ。2,000・4000。
その後、南2局では四暗刻。+49.7Pの大トップで1回戦を終える。
これで降級の心配はなく、決定戦を見て戦えるようになった。

 

 

 

 

2回戦も東4局の親番で、三色同順の変化を待ってからリーチ。見事高目をツモって6,000オール。
この半荘のトップは吾妻に譲るも、素点の大きい2着で、すでに今日のプラスは+71.8P。
トータルでもこの時点で5位まで浮上した。

 

 

解説の藤島が鈴木の手順の良さを褒めていたが、特に絶賛していたのはこの局。

 

 

ここからの六索切りに、「桜花Aが1年目とは思えないね。かなり公式ルールが好きだと思う。」と感心していた。
手拍子で三万切りとしそうなものだが、仮に絶好の四索が入ったとして、リャンメンと3メンチャンの1シャンテンになるが、形はいいもののリーチのみの1,300の手。
ピンズの一気通貫になる場合はソーズのターツは1つでよく、1つでよければ三万は残して234や345の三色同順も視野にいれる、という意図だ。

しかし、内容はよかったものの、3、4回戦はどちらもラスを引いてしまい、最終的には+33.3Pと途中を思うと物足りなかったかもしれない。

 

 

(終局後のインタビューにて、実況の松田から「鈴木さんは公式ルールがきっと好きなんだね。凄いね。」と藤島が褒めていたと伝えられたときの表情)

 

「自分の頭が取り返さなきゃ、って思ってたんだなと気づいたのが一万四万七万に受けず東単騎に受けた局で…」
と伊達は反省の弁を述べた。

 

 

 

 

5,800(2,600オールのパターンもある)と12,000での打点の差は大きく、東単騎に受ける気持ちは非常にわかる。
ただ、こういう劣勢で深追いすると傷を広げることが多いと、KONAMI麻雀格闘倶楽部のチームメイトの佐々木や滝沢から教わっているようにも思う。
「最終節がC卓で、他の人の結果をある程度見てから打てるので、ポイント状況は厳しいですが、目標をもってしっかり出来ることをやりきりたいと思います。」
鈴木と吾妻が好調で苦しい1日だった。

 

 

1回戦がラスだった仲田、2回戦東3局の親番で工夫をみせる。
0本場は、後手だったが追いついてダブ東のアガリ。
1本場は、終盤にリーチをして1人テンパイ。
ビッグイニング(これは野球の用語だが)にすべく、この局は中ラリアット(格闘ゲームの技ではないが)を決めたかったのだと思う。
リーチをすれば、出アガリは期待できない。

 

 

そして、ヤミテンに構えたことでのこの変化だ。
ヤミテンは続行。五筒八筒待ちはかなりよく見えて、誰からでも出アガリできそうだ。
仲田のアガリになれば大ファインプレーで、大連荘につながったような気もするのだが、好プレーは実らず、アガったのは吾妻。
以降、仲田は色々と打開を目指すも、吾妻に抑え込まれ▲67.7Pの敗戦。
この局の結果が、今日1日の大きな分岐点になったと思われる。

 

 

(リーチしていれば、吾妻は四筒七筒も切れずアガリはなかったので、こういう捌かれ方はグッとくるものがある。)
「いいプレーはたくさんあったんだけど、残念ながら今日はそれがスコアに結びつかなかった。」と解説の藤島の総括。

 

 

仲田「初めての残留争い、(自分も)見ている皆さんも楽しめるように、頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。」

 

「色々覚悟を決めて…最悪のパターンも想定してきた」とは吾妻。

 

 

鈴木の四暗刻を親被りしたのは吾妻。
1回戦のマイナスで残留争いに重きを置くことになりそうだったが、
2回戦、鈴木の6,000オールの次の局に、親の鈴木のリーチに押し切って、ホウテイ、三暗刻、ドラ3の12,000をアガったあたりから徐々に吾妻のペースになり、この2回戦をトップで終えると、

 

 

3回戦、4回戦と3連勝し、+70.8Pの大勝。
残り2節での決定戦進出が無くはないポジションまで上がってきた。

 

 

(嬉しい高目のツモアガリ。白、ホンイツ、ドラの4,000オール。)

なお、藤島がこの日の一番嬉しいアガリを聞いたのだが、前述、仲田のファインプレーを阻んだ400・700だそうだ。
「渋い局選ぶねー」と藤島に言われたときの笑顔をインタビューから掲載した。

 

 

(画像は再掲。吾妻もここが分岐点になりそうだったと感じていたらしい。)

本日の最終成績、およびトータルの順位は以下になった。
上位、下位は大混戦。最終節もお見逃しなく。

 

 

(文:福光聖雄)

巣鴨本部道場 2022年9月度プロアマオープン大会成績表 9月度最終結果(※プラス者のみ)

WRCルール部門(連続16戦)

順位 名前 打数 成績
1 じゅんじゅん 50 288.4
2 グリーンマン 58 258.3
3 クンロク 37 228.9
4 市川幹人 60 220.4
5 松村祐輔 26 214.2
6 凄悦 41 212.8
7 スロット麻雀厨 71 211.4
8 篠田拓郎 18 207.6
9 中村 79 200.4
10 岡本浩一 60 199.2
11 金山二郎 22 193
12 こしの 56 190.4
13 森 雅彦 21 167
14 らんたろう 18 158.3
15 Andy-San 40 157.2
16 かずや☆雀アカ 54 150.1
17 稲熊勝明 33 146.9
18 なしお 40 134.1
19 じゅんきち 24 133.9
20 加藤はるみ 73 130
21 ラッキースリー 74 127
22 藤原隆弘 47 125.9
23 もぐ 18 116.9
24 山田樹 25 116.7
25 佐藤正道 30 116.1
26 後藤竜司 38 109.9
27 ホズミ 17 108.5
28 宗広岳陽 26 105.2
29 とがし 16 101.7
30 山本和幸 32 95.4
31 西角健二 39 82.2
32 井出博幸 48 81.1
33 岩渕信明 35 75.9
34 宇田美有紀 20 71.8
35 一色陽子 24 71.6
36 くまっち 16 37.3
37 シマカタ 16 37.2
38 チンテンイ 23 29.7
39 藤次祐紀 72 16
40 前原由紀子 23 14.2
41 岡ちゃん 53 9.3
42 有田将之 18 1.1

 

 

公式ルール(連続8戦)

順位 名前 打数 成績
1 丹野賢一 13 172.4
2 かずや☆雀アカ 17 164.8
3 井出博幸 26 154.5
4 小林泰士 10 124.8
5 門垣寛 12 103.9
6 くまっち 12 90.5
7 大町 19 81.9
8 熊谷 22 78.1
9 凄悦 19 74.3
10 極楽7 9 71.1
11 ドロンボーZ 26 70.6
12 じゅんじゅん 20 63.1
13 関光穂 29 61.6
14 藤原隆弘 16 56.8
15 市川幹人 19 53.9
16 グリーンマン 21 53.3
17 高橋大輔 8 51
18 ヒロベエ 14 50.1
19 御子柴佑梨 18 47.9
20 ラッキースリー 22 47.2
21 小平ほたる 8 42.6
22 中村 30 41.3
23 ルギア 21 40.8
24 BBQ 22 33.7
25 藤次祐紀 27 33.6
26 なーちゃん 25 31.6
27 宗形周平 13 27.8
28 早田弘之 24 20.8
29 きのぴー 10 18.9
30 ひろりん 11 17.2
31 もぐ 8 5.4
32 なーこ 10 2.2

 

 

 

道場ポイントランキング

順位 名前 7WRC 7公式 8WRC 8公式 9WRC 9公式 10~12 合計
1 じゅんじゅん 300 20.5 117 40 400 29.75 0 907.25
2 Andy-San 400 0 200 0 116 17.5 0 733.5
3 こしの 200 0 400 0 119 0 0 719
4 凄悦 250 75 115 28.5 180 37.5 0 686
5 加藤はるみ 101 21.5 300 28.75 111 18 0 580.25
6 グリーンマン 92 23 73 25.25 300 28.75 0 542
7 かずや☆雀アカ 170 19.75 120 19.5 115 75 0 519.25
8 松村祐輔 73 0 250 0 190 0 0 513
9 中村 150 47.5 101 23.25 150 25 0 496.75
10 なしお 190 0 170 0 113 0 0 473
11 市川幹人 86 28.75 93 23.75 200 29 0 460.5
12 スロット麻雀厨 93 42.5 81 47.5 170 21 0 455
13 ラッキースリー 115 29.75 119 35 101 27.75 0 427.5
14 岡本浩一 99 29.5 111 24 140 19.5 0 423
15 井出博幸 80 28.25 83 75 86 62.5 0 414.75
16 くまっち 118 40 84 28.25 82 45 0 397.25
17 稲熊勝明 79 0 190 0 114 0 0 383
18 山田樹 120 0 150 0 98 0 0 368
19 金山二郎 98 24.75 116 0 120 0 0 358.75
20 藤原隆弘 94 20.75 112 0 100 29.25 0 356
21 藤次祐紀 97 28.5 79 29.75 79 24.25 0 337.5
22 タケタケ 140 19.5 113 0 57 0 0 329.5
23 岡ちゃん 113 0 97 20.5 73 19.75 0 323.25
24 宇田美有紀 81 18.25 140 0 84 0 0 323.25
25 高橋大輔 82 21 118 0 70 28.5 0 319.5
26 クンロク 0 0 66 0 250 0 0 316
27 チン トー 100 0 114 18.25 66 17.25 0 315.5
28 なーちゃん 112 23.5 60 24.25 65 24 0 308.75
29 西角健二 114 0 100 0 87 0 0 301
30 後藤竜司 111 0 86 0 96 0 0 293
31 山本和幸 116 0 61 0 92 0 0 269
32 mei 119 27.75 72 27.75 0 20.75 0 267.25
33 チャヤまん 0 24.25 180 62.5 0 0 0 266.75
34 森 雅彦 59 0 87 0 118 0 0 264
35 チンテンイ 117 0 65 0 80 0 0 262
36 佐藤正道 0 0 160 0 97 0 0 257
37 立岩知朗 85 29 44 29 67 0 0 254
38 岩渕信明 65 0 96 0 85 0 0 246
39 篠田拓郎 0 0 82 0 160 0 0 242
40 御子柴佑梨 0 23.25 94 28 55 28 0 228.25
41 丹野賢一 0 45 53 30 0 100 0 228
42 一色陽子 95 0 48 0 83 0 0 226
43 キモト 61 0 98 0 61 0 0 220
44 ハチロー 71 28 45 0 53 21.25 0 218.25
45 BBQ 69 35 68 21.75 0 24.5 0 218.25
46 さえり 83 0 58 0 71 0 0 212
47 原佑典 96 0 56 0 56 0 0 208
48 福永雄介 66 0 78 0 64 0 0 208
49 hase 0 100 64 42.5 0 0 0 206.5
50 じゅんきち 0 0 70 0 112 20 0 202

第4期若獅子戦ベスト16A卓レポート

第4期若獅子ベスト16A卓、勝ち上がりを決めたの笠原・渡辺!!

 

 

公式ルールが採用されている秋の若獅子戦。
9月29日、ベスト16のA卓が放送となった。

 

 

1回戦は笠原がダブ東・ドラや、中発・ホンイツなどの大物手を決めリードする展開。

 

 

木原も自身の親番でトップ目の笠原から発中・トイトイのアガリを決める。

 

 

その後、渡辺は要所でアガリきり、1回戦目は田川の1人沈みで終了となった。

2回戦は東2局、全員テンパイの勝負所。
ドラ単騎の七対子2人、ホンイツテンパイの笠原、そして役なしながらもアガることができれば相手の勝負手を潰せる木原。

 

 
全員テンパイの大事な場面。
アガリきったのは親番の笠原。1,300オール。
点数以上の価値あるアガリとなった。

 

 

2回戦も笠原のペースで局が進んでいく。
東3局でも笠原はドラ3の手牌をアガリきり、ポイントをかなりリードして南入。

南入後に調子を上げてきたのは渡辺。
南1局で1,300・2,600、南2局で2,000・3,900と連続でアガリを決めると、上下が少しポイント離れて2回戦が終了した。

 

 

3回戦始まった時点でのポイントはコチラ。

 

 

笠原、渡辺はターゲットにならないように出来るだけ3回戦でポイントを稼ぎたい。
そして木原、田川の2人は少なくとも浮き。トップなどを狙いたいポイント状況なった。

そんな状況下で、木原が東1局、東1局1本場と大きな放銃が2回つづいてしまい、苦しいポイント状況で迎えた3回戦東2局。
木原にチャンス手が入る。

白を仕掛けての二万五万八万待ちテンパイ。

 

 

二万が田川から出るも、木原の選択はなんとスルー。

 

 

結果は流局となってしまったが、このスルーに解説の阿久津も「めちゃくちゃ良い判断」と木原の判断を称賛した。
この日誕生日を迎え、最後の若獅子戦挑戦となっていた木原。
この試合に対する強い意志を感じる選択だったように思う。

その後、木原は東場の自身の親番で2,600オールをツモアガると浮きへと転じることに成功した。

しかし黙っていないのが、若獅子戦予選1位通過の笠原。
2局連続でアガリを決めるとあっという間に浮きの2着目浮上。

そして木原から高めの一万でジュンチャン・ピンフ・ドラの満貫を出アガるとトータル首位へと返り咲く。

 

 

木原、田川は依然苦しい状況が続くが、ここで田川が魅せる。
田川の待ちはカン八筒。1枚切れで自身でも1枚使っているのため、最大でも山には2枚しか残っていない牌。

しかしここはポイント状況も考えてリーチの選択。
山には1枚しか残っていない八筒だったが、見事最後の1枚の八筒をツモり2,000・3,900の大きなアガリを決めた。

 

 

田川は北海道本部所属の選手。
北海道に良い報告を持ち帰るためにも、かなり価値のあるアガリを決めた。
オーラスも田川がアガリ切りこの半荘トップで終了。
最終戦に望みをつないだ。

最終戦は南1局に田川が2,000・3,900をアガると一気に通過ポジションの渡辺まで詰め寄ります。

 

 

一時は11.9ポイント差まで詰めていたものの、その後笠原への放銃が続いてしまいオーラスに。

木原、田川ともに条件は残っていましたが1回勝負のオーラスは全員ノーテンで流局となった。

以上の結果を持って若獅子戦ベスト16A卓からの勝ち上がりを決めたのは、

 

笠原拓樹・渡辺史哉の2名となりました。

 

 

次回若獅子戦はB卓を放送いたします。
そちらもお楽しみに。

10月6日(木)16:00~
梅本翔vs釜山甲太郎vs岡崎涼太vs林雅人

解説:齋藤豪
実況:襟川麻衣子

(文:松田彩花)

第39期 A1リーグ 第9節B卓レポート

【第39期鳳凰戦 A1リーグ第9節B卓 前田が+66.9Pで2位浮上】

本日の対局者

前田直哉
黒沢咲
近藤久春
藤島健二郎

 

 

1・2回戦を連勝した前田は3回戦も絶好調。東1局にヤミテンで八索ロン。タンヤオピンフ三色ドラドラ、12,000をアガると

 

 

オーラスの親番ではタンヤオドラ3のヤミテンを入れていたが、ドラの二万が4枚になり暗カンすると出アガリ跳満のリーチに踏み切る。

 

 

「ハイテイが自分なのもわかっていた」
リーチ、タンヤオ、ツモ、ハイテイ、ドラ4の8,000オールで3連勝を決める。

4回戦は3着を引いたものの、+66.9Pを叩いてトータル2位まで浮上した。

 

 

黒沢は2回戦南場の親番で三筒を暗カン。リンシャン牌でリャンカンが埋まって二索五索八索待ちリーチ。4,000オールのツモアガリで浮きの2着を取る。

 

 

4回戦はオーラスに456三色のカン五万ツモで1人浮きトップ。

 

 

4回戦の大トップでプラスに回り、7位に浮上。降級圏から距離を取る事に成功。

 

 

2回戦東1局2本場。前田が六筒九筒のピンフのヤミテン。
藤島も三筒六筒待ちで追いつく。

 

 

近藤はメンツ手と七対子の両天秤の手牌。直前まで1,500放銃だった六筒が最悪のタイミングで余る事に。
ダブロンの六筒は藤島のアガリ優先。8,000は8,600で2ラスを引いてしまう。
後半2回は2着取ったものの▲27.5P。なかなか降級圏から抜け出せず苦戦している。

 

 

藤島は仕掛けの多い打ち手。鳴きには手数を増やす目的もあるが、相手の手を止める狙いもある。
3回戦東4局1本場、藤島は3フーロしてホンイツのみのテンパイ。

牌の背牌の背牌の背牌の背  ポン九索 下向き九索 右向き九索 下向き  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 右向き

この仕掛けを受けた前田は、タンヤオ七対子ドラドラのテンパイを入れていたが、アガリが期待出来ないソウズ待ちにしか取れない事に加え、藤島がチンイツだった場合は見合わないと考えてオリを選択。

 

 

好調前田の手を曲げさせ、親番を蹴り、藤島はアガるより高いテンパイ料を手に入れた。
しかしこの局以外は仕掛けが悉く裏目に出てしまい、▲63.3P。10位まで順位を落とした。

 

 

 

次回A1リーグ第9節C卓は
2022/09/28(水) 16:00

古川孝次
杉浦勘介
一井慎也
HIRO柴田

解説 藤崎智
実況 古橋崇志

(文・吾妻さおり)

第4期桜蕾戦ベスト16A卓レポート

【桜人の応援を胸に蕾を手繰り寄せたのは宮成さく・上田まみ!】

4期目を迎えた桜蕾戦、秋開催である今期は一発裏ドラのない日本プロ麻雀連盟公式ルールで行われる。厳しい茨の予選を通り抜けた若芽もいよいよ16名となった。本レポートはベスト16の初陣であるA卓の模様をお届けします。

■宮成さく(みやなり さく/38期前期・1年目)

 

100

 

『地方のプロでも上に行けるんだぞという事を証明したいと思います。頑張ります。』

■上田まみ(うえだ まみ/38期後期・1年目)

 

100

 

『たくさん練習してきたルールなので勝ちたいと思います。宜しくお願いします。』

■御子柴佑梨(みこしば ゆり/38期後期・1年目)

 

100

 

『(プロになったキッカケは麻雀に恋をしちゃったからなので)今日もいっぱい麻雀でドキドキしたいと思います。宜しくお願いします。』

■藤居冴加(ふじい さえか/37期前期・2年目)

 

100

 

『スタイルが変わっていつもと違う麻雀かもしれませんが、気持ちはいつも通り頑張って勝つだけなので。応援宜しくお願いします。』

 

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解説:宮内こずえ
実況:大和

全員の打牌がスピーディーでリズムの良い入りとなった1回戦。冒頭のインタビューでは意図的に引き出しを増やしてきたと語った藤居、早速その片鱗が垣間見えた。

 

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まだ序盤ではあるが場に2枚目の七万に声をかける。現状は役が確定しない純チャンの1シャンテンであり、ドラが六筒である事も踏まえると打点上昇も限られている。つまり、この局は相手のチャンスの芽を摘みながらアガリきれると判断したのだろう。そのピントは合っており実際に親の宮成と南家の御子柴の手牌は以下のような勝負形となっていた。

 

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その後、直ぐに一筒も鳴けてテンパイ。

 

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結局アガリには至らなかったが、思惑通り 一万は山に3枚眠っており、その最速ルートを辿る姿や淀みない摸打は彼女も憧れている魚谷侑未と重なる。

 

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2年目ながら前回の桜蕾戦第3位などで評価を大きく上げ、今回も優勝候補の一人である藤居。そのまま突き抜けるかと思われたが、そこに待ったをかけたのが富山からやって来たという宮成であった。

 

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1回戦南場の親番でペン三万待ちテンパイが入る。ドラ表示牌という待ちの弱さや雀頭の発を活かす為にダマテンに構えて、シャンポン変化などをみる人も多いのではないだろうか。しかし宮成は積極的にリーチに踏み切ると、それを可憐にツモりあげる。

 

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普段は会社員勤めという彼女は目標のプロに佐々木寿人を挙げたが、その言葉通り攻めの姿勢が見事なアガリへと繋がった。

 

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一方ここまで受ける局が続いていた上田ではあったが、らしさ溢れる局があったので紹介したいと思う。

 

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この手格好から悠々と自風の西を2枚とも見送ると、ドラの三索を引き込み以下のテンパイまで育てる。

 

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西は残ってはいないが八索をツモれば三暗刻もついて倍満である。一旦は五索を切ってリャンメンになったら…と考えるのが普通だろう。
しかし、上田の選択は西切りのテンパイ取らずであった。

 

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彼女とは一度だけ麻雀について語らう機会があったのだが、その時はまだプロテストを受ける前だったと記憶している。

『実は来月プロテストの受験を控えているんです。不安もありますが絶対合格して最初で最後の桜蕾戦へ。そして、いつか憧れの黒沢咲さんのようなプロになりたいです。』

それから半年後、まさか観戦記者という立場で目を向けるとは思いもよらなかったが、その上田が思い描くスケールの大きい、あたかも黒沢咲がそこに座っているかのような麻雀に魅入られたのは私自身だけではないだろう。

 

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また上田と同じく、なかなかアガリ番のない御子柴だったが徐々に持ち味を出していく。
過去には高校生クイズで優秀な成績を収めた経緯があり、医学系の大学に通う正に才色兼備という言葉がぴったりな彼女は宮成と同じく佐々木寿人が憧れだという。

 

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藤居から先制リーチを受ける場面であったが中盤にメンホンのテンパイ。それもアガリ牌である四万は今まさに切られた所。ダマテンの選択もあったが御子柴は迷わずリーチとし牌を横に曲げる。アガリには結び付かなかったが解説席からは佐々木寿人が降臨したかのようだと本人にとっても嬉しいコメントが飛び交った。

その後もホンイツとリーチを軸に攻め立てる御子柴。

 

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例え残りツモ1回でも満貫を跳満に、跳満を倍満にする強気の姿勢は今後も彼女の武器となるだろう。

 

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それぞれの良さが際立った桜蕾戦ベスト16A卓も少しずつ展開が動く。まずはメンゼン高打点の手組みをベースとした上田によってその均衡は破られた。

 

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1回戦目に3着を受け入れた上田、その我慢がここに来て桜花爛漫となる。2回戦目の東場で3,000・6.000、3,200オールと2局連続のツモアガリで一気に50,000点オーバーと開花。しかし、満開となったのは何も持ち点だけではなかった。

 

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■上田宗太朗(うえだ そうたろう/38期前期・1年目)
同じ日本プロ麻雀連盟に所属する上田まみの旦那であり、その愛情は世界へと舞い上がる。

 

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上田夫妻は二人三脚でお互いをサポートし合い、千葉にある尊敬するA1リーガー西川淳のお店で主に研鑽している。今回も千葉からの沢山の応援がSNS上のタイムラインを埋め尽くした。

 

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そして上田が一歩前に出た後、次に抜け出したのは宮成であった。

 

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キレイな三色を華麗に成就させリードを築いていく。

 

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そして、北陸支部所属の彼女も地元からたくさんの応援が届いていた。

 

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最終戦は上田・宮成が、それまでの打点ベースの戦い方からトーナメントらしく局を回す事をテーマにシフトチェンジして見事にベスト8へ。
藤居・御子柴もそれぞれ自身の良さが出た対局ではあったがアガリが遠い一日であった。また来期の活躍を期待したい。

 

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■勝ち上がり
・宮成さく
・上田まみ

 

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次回は第4期桜蕾戦ベスト16B卓

内田みこvs頼さくらvs廣岡璃奈vs渡部美樹

解説:和久津晶
実況:大和

現桜蕾位、廣岡璃奈が満を持して登場。
是非こちらの模様もお楽しみ下さい。

(文:小林正和)

第39期十段戦 優勝者予想

正解者の中から抽選で1名の方に、第39期十段位獲得後の直筆サインをプレゼント致します。
また、応募された方の中から抽選で2名の方に、決勝進出プロ寄せ書きサインをプレゼント致します。

応募方法:優勝すると思われるプロを記載し、こちら からご応募ください。

※1メールアドレスに対し、1応募とさせて頂きます。
※1メールアドレスより複数の応募があった場合、最後に応募されたもののみ受け付けられます。

なお当選者の発表は賞品の発送を以って代えさせて頂きます。

締め切り:2022年10月7日(金)17:00まで

番号 名前
段位
藤原 瀬戸熊 前田 藤島 佐々木 奈良 柴田 石川 渡辺 吉野
1

荒正義
九段
2

近藤久春
七段
3

魚谷侑未
六段
4

浜上文吾
六段
5

三浦智博
四段

 

 

出場者
荒正義(現十段位)
近藤久春(七段)
魚谷侑未(六段)
浜上文吾(六段)
三浦智博(四段)

予想者コメント

藤原隆弘

昨年ついに十段初裁冠。前人未到のグランドスラムを達成した荒だが、今年の決勝メンバーには私のような受け主体の守備型がいないので、荒好みのレース展開にはなりにくく、パワフルな打撃戦になると荒の連覇は苦しいと見る。
何期もA1に在籍しながらまだタイトルが無い近藤を、今度こその期待も込みで本命に推したい。
対抗は女流№1のタイトルハンター魚谷、まだ女流の十段位は誕生してないが、魚谷なら可能性は充分と見る。
十段戦とプロリーグの逆相性から見ても、今期のプロリーグで降級ラインに位置する近藤が優勝候補の筆頭。十段位になったら降級すると思うけど(笑)

◎ 近藤久春
○ 魚谷侑未

瀬戸熊直樹

難しい予想ですが、十段戦は連覇の多いタイトル戦なので荒さんを本命とします。もう1つの理由としては、リーグ戦を休場されているので、ここ一本に絞って心身ともに照準を合わせた感じがします。
対抗は近藤さん。そろそろG1タイトル取ってもおかしくない実力とキャリアだと思いますし、何より本人もこの辺りでの気持ちがいい方向に作用すると思います。
展開予想としては、荒さん、近藤さんのどちらかと、若手3人の誰かの争いで終盤までもつれると予想します。
楽しみです。

◎ 荒正義
○ 近藤久春

前田直哉

本命とす近藤はやはり自力もあるし念願の決勝、そして初タイトルへと人一倍想いは強いだろう。
三浦はとにかくバランスが良い。だがタイトル戦はバランスだけで獲るのが容易くないであろう。
去年の悔しさからどのような戦術を取ってくるのがが見もの。

◎ 近藤久春
○ 三浦智博

藤島健二郎

さすがに十段戦の決勝ともなれば誰が勝ってもおかしくないメンバーがそろっています。
昨年の雪辱を晴らしたい三浦はどうしても荒を意識せざるを得ないでしょう。
近年充実のトップ女流魚谷も近藤に苦手意識があったりします。
そこで最も自分の麻雀を貫き通す事ができそうなのが浜上。格では見劣る浜上も九州を背負う20年戦士。がむしゃらな勝利を期待します。
ノンプレッシャーの荒を対抗とします。

◎ 浜上文吾
○ 荒正義

佐々木寿人

荒さんのグランドスラム達成から早1年。その偉業に刺激を受けたのは私だけではないだろう。特に逆転で初タイトルを逃した三浦は、忘れられないほどの精神的ダメージを負ったに違いない。だがその経験は必ず生きるときがくる。同世代の壁になって欲しいという期待も込め、三浦を本命に推す。
対抗は魚谷。実力もさることながら、勝利に対する貪欲さが映像からも伝わってくる数少ない選手。タイトル戦での戦い方も熟知していて、あまり崩れるイメージがない。
私情を挟めば、そりゃあ荒さんに勝って欲しいけど、若い選手が頑張らないとね。

◎ 三浦智博
○ 魚谷侑未

奈良圭純

色んな対局を見せてもらっていますが、安定感随一。粘り強さもあり、最終日まで優勝者争いから脱落することはなさそう。
対抗は浜上文吾(六段)。毎月、リーグ戦の度に九州から通っているのには頭が下がります。久しぶりの十段戦決勝、モチベーションが高く、今決定戦へ賭ける想いの強さは誰よりも上かと思います。

◎ 魚谷侑未
○ 浜上文吾

柴田吉和

以前に頼まれた十段位決定戦の予想は、第35期の内川、第36期の伊藤と私だけ◎印予想で決着しており私の◎印は高的中です。
展開予想が難しいメンバーとなり、正直だれが勝ってもおかしくないと思うので、単純にG1初戴冠を観たい。
その中でもA1リーガー近藤の底力が勝りそう。

◎ 近藤久春
○ 三浦智博・浜上文吾

石川遼

逆転に次ぐ逆転で決勝までたどり着いた魚谷さんを本命に推します。優勝か途中敗退か、極端な結果になる予感がします。
対抗は近藤さん。初めて近藤さんの麻雀を見た時にビビッときたので。

◎ 魚谷侑未
○ 近藤久春

渡辺史哉

若さと昨年のリベンジを果たすという点で三浦プロを本命としました。前年度の十段位決定戦を見ていても安定感があり、決勝戦というプレッシャーを感じさせない姿勢や所作と常に期待値を追い続ける打牌は三浦プロの持ち味だと思います。どんな展開になっても決着する最後の瞬間まで優勝争いに絡んでいることが想像できます。
対抗は魚谷侑未プロです。連盟チャンネルやMリーグ、どのタイトル戦、どのルールでも強いという印象があります。アガリへの嗅覚が抜群に優れている点と手牌を短くしても牌の危険度精査を怠らずに放銃をしないギリギリまで攻める姿勢が強みだと思います。

◎ 三浦智博
○ 魚谷侑未

吉野敦志

今回も素晴らしいメンバーが揃った十段位決定戦。
連覇に期待が高まるレジェンド荒。女流最多タイトルホルダーの魚谷。A1リーガーの近藤に予想が集中しそうだが、今年のタイトル戦はどちらかというとニュー・ウェーブの年ではないかと見て、本命は共に勉強会など参加しながらA2リーガーまで上り詰めた2年連続決定戦進出の三浦。
そして対抗は、十段戦の決勝は10年ぶりの九州本部の浜上とさせていただきました。
今回も「記録より記憶に残る」対局になること間違いなし。

◎ 三浦智博
○ 浜上文吾

第17期女流桜花Aリーグ第6節C卓レポート

第6節C卓に出場した選手は

 

 

白銀紗希・内田美乃里・二階堂瑠美・菅原千瑛の4名。

序盤は瑠美と内田のマッチレースといった様相を見せ、

 

 

開局から4連続で瑠美がアガってリードを広げていくも

 

 

内田が東4局から流局を1局挟んで脅威の7連続アガリで逆転。
2回戦以降も2人の猛攻が続き、1回戦と2回戦でトップ2着を分け合った内田と瑠美でしたが

 

 

3回戦ヤミテンのホンイツと

 

 

ピンフ一気通貫で助走をつけた内田が

 

 

東3局の親番で超弩級のリーチ

 

 

これをツモアガってリーチ・ツモ・ダブ東・イーペーコー・ドラ2と、この日の卓内トップを決定づけるような6,000オールで瑠美との競り合いを制しました。
苦しかったのは白銀と菅原で、目立った放銃こそないものの、内田と瑠美のツモアガリに毎局持ち点を削られる展開。

そんな中、トータル首位でスタートした白銀は高打点ツモアガリブームに4回戦で滑り込み

 

 

跳満ツモと4,000オールで被害を抑えて首位を維持。

 

 

降級ゾーンに足を踏み入れた菅原は、このままでは終われないと南4局の親番で連荘を狙いましたが

 

 

リーチ宣言牌が内田の仕掛けに捕まり、それもタンヤオ・ドラ3と被害が拡大してしまいAリーグ残留に黄信号。
アガった内田はプラス100オーバーでトータル2位と一気に浮上しました。

 

 

<第6節C卓最終結果>
内田+103.0P 瑠美+4.5P 白銀▲20.9P 菅原▲86.6P

(文:越野智紀)

第35期新人王戦 決勝レポート

【問題】
次の全体牌図は第35期新人王戦決勝、3回戦・南3局の流局シーンを示したものである。
南家Bが6巡目に2フーロ目をしてドラの二筒切りでテンパイ。そのドラを東を仕掛けている東家Aがポンして打六万で追いつきそれ以降は全てツモ切り。Bも西から全てツモ切りとなっている。これを見て以下の設問に答えよ。

 

 

1)テンパイしてからBはAに対して筋・無筋それぞれ何種類切ったでしょうか。

2)Bに該当するのは次の対局者のうち誰でしょうか。

 

■辻本一樹(36期前期3年目・D1リーグ)

『この決勝は自分にとって2回目のタイトル戦決勝です。前回は優勝した小林さんに完敗でした。めちゃくちゃ悔しくて何度も放送を見直しています。プロ3年目で2度目の決勝は十分すぎる戦績だとは思います。それでも、決勝進出という肩書きが欲しいではなく、タイトルを取るためにプロになったので。大学在学中にタイトルを取るという目標があるのですが、今年が大学生最後の1年です。この試合にかける思いは人一倍強いと思います。必ず優勝します。』

 

■浜野太陽(34期後期5年目・C2リーグ)

『公式戦の決勝は入会したて、2018年の王位戦決勝以来です。当時は決勝まで進んだこと自体が自分で信じられなくて、ハングリー精神のようなものは今に比べると少なかったように思います。今回は入会から4年経ち、いろんな方に麻雀を教わったり、仕事面でもお世話になったりして、そのおかげでここまで来られました。良い報告でお返ししたい気持ちでいっぱいです。最後まで気持ちを切らさず、精一杯戦います!』

 

■岡田舜(37期後期2年目・E2リーグ)

『今期、前期と若獅子戦ではあと一歩のところで放送対局のチャンスを逃していたので、今回初めての放送対局に出られることになってとても嬉しいです。決勝では初めての放送対局に緊張するとは思いますが、自分らしく、悔いのない麻雀が打てたら良いと思っています。頑張ります!!』

 

■木本大介(33期後期6年目・E1リーグ)

『自分が優勝すると思うので第35期新人王に相応しい麻雀を打ちたいと思います。』

 

 

 

■現役東大生は変幻自在!?

開局の辻本の手牌は四万五万七索七索八索四筒五筒七筒七筒八筒八筒北北となっていたがここから八筒をポンして北のトイツ落としへ。最終的にはドラの三索も勝負して以下のテンパイ形で親に11,600の放銃とはなるが『鳴いたらオリるな』と言わんばかりの全局参加宣言から幕を開けた。

 

 

 

 

続いて浜野から先制リーチ受けた辻本の手牌は二万四万四万二索三索四索二筒四筒四筒六筒七筒八筒九筒の牌姿。リーチ者からドラの四万がツモ切られるが微動だにしない。まるで黒沢咲を見ているような光景である。それどころかメンゼンでテンパイを入れると以下のように浜野からロンアガリとなった。

 

 

更に驚いたのは南1局のシーン。
1巡目
二万二万七万一索三索七索一筒七筒八筒九筒東東南ツモ八筒

辻本は打二万としチャンタを狙って1枚浮かせる選択へ。ともたけ雅晴や吉田直の手筋のような一打である。ところが親の木本の仕掛けと上家の浜野のドラ切りを見るや否や今度はそのドラにチーの声を掛けた。

 

 

まるで古川孝次の『サーフィン打法』を見ているかのようである。そして以下の手牌まで育てるとトップ目の木本から値千金の12,000直撃に成功する。

 

 

そしてこの半荘、辻本が見せたもう1つの顔が南2局の浜野からリーチを受けた時である。現物である一索を切れば1シャンテンキープとなるが河に放ったのは一万であった。他2者の安全牌を残してこの後の二の矢に備えた手組みはまるで前田直哉や藤崎智を彷彿とさせる。

 

 

攻守メリハリの効いた辻本が去年の初決勝の惨敗を払拭するかのように好スタートを切った。

 

 

■本当にプロ歴1年!?

1回戦は3着スタートとなった岡田の2回戦東2局の手牌が二万四万六万九万九万六索六索一筒三筒四筒八筒八筒八筒であり、ここにドラの北を持ってくる。悩ましい牌姿ではあったが岡田が選んだのはトイツの九万切り。日本プロ麻雀連盟公式ルールの場合、特別変わった選択というわけではないが焦点はその打牌スピード。あらかじめ準備していたようなノータイム判断であり現鳳凰の佐々木寿人が重なる。

 

 

また2回戦東4局、何とか上位陣に食らいついて加点したい親番の岡田であったが今度は辻本の仕掛けが入っている局面。
中盤に上家の辻本から愚形解消となるチーテンの七万が打たれるがこれをスルー。

 

 

 

人ならばリーチの威力が強いのは分かっていても場に放たれている3枚の四筒が目に入ってしまい声が出てしまう事も少なくない。
しかし岡田は迷う事なくしっかりと目の前のツモ山に手を伸ばした。こういった場面は良くベテラン選手では見られるが岡田はまだ入会1年程度の新人選手である。予選でも似たような構えはあったが周りに影響されない強い意志を持った選手なのは間違いないだろう。

 

 

■幻想を照らす太陽

この日解説を務めた藤崎智の以下のコメントが印象的であった。

『ひと昔と比べて現代では仕掛けが増えてスピードが上がってきた。その反面で打点が下がった分いかに高く見せるかが重要になってきている。』

その言葉が体現された局を紹介しよう。

2回戦南3局の浜野の配牌は二万五万七万八索八筒九筒九筒東東西北中中である。

現状では原点をキープした2着目であり残り2回戦を考慮すると1,000の加点も価値ある場面だ。しかし浜野は親の第一打の中をポンして打五万とする。その後ツモ八索で最初の分岐点を迎えた。

 

 

選んだのはドラ受け拒否の打八筒。一見すると牌効率の下がる一打ではあるが捨て牌に注目して頂きたい。五万七万とマンズのターツ払いを見せた後にドラそばの八筒手出しである。他3者にはどう見えるか皆さんもその立場になって考えてみてほしい。

1.スピードが速そう
2.ソウズのホンイツ狙い
3.チャンタ系の狙い
4.ドラが重なった
5.トイトイ狙い
…等

僅か数牌の情報だけで相手に色々な幻想を抱かせる事ができるのである。裏目のドラ七筒引きでもトイトイの種としても使えるこの秀逸な打牌を是非新人の皆さんには参考にして頂きたい。

結果的にはアガリに結びつかなかったが、場に制約をかけ時間を作り中東をポンして以下のテンパイ形となった。

 

 

 

■天才と凡才は紙一重

後半戦に入り少し縦長の展開となった3回戦南3局、冒頭に挙げた問題のシチュエーションを迎える。

少し細かく見ていくと、まず仕掛けたのは親の辻本。3巡目に西家の浜野から自風の東をポンして先手を取る。

 

 

そこに負けじと木本も4巡目に同じく西家の浜野からダブ南を晒して前に出る。

 

 

更に上家の辻本からアガリへ前進となる七筒をチーしてドラ二筒切りのテンパイ。

 

 

そして木本より打たれたその二筒を辻本が仕掛けてこちらもテンパイである。

 

 

ここまでは言葉が少し陳腐だが普通と言えば普通。
しかし次の画像を見て頂きたい。

 

 

これだけでは少し分かりにくいので補足すると、7巡目以降に木本が打牌した牌を示しており八筒三索五索七万二万三万六索となっている。
更に付け加えると親の辻本がドラポンを含む2フーロが目に見えており且つそれらの牌は親に通っていない無筋×5種類、筋×2種類であった。
あくまで数字上ではあるが、仮に辻本に11,600放銃するとその瞬間に逆転である。仮に辻本に3,900オールされてもまだ+20.0 P以上のリードが残る。仮にアガリ逃ししても辻本がアガるとは限らない。仮に…理で考えれば考えるほど選択肢は限りなく1つであろう。
その時ふとよぎった言葉。

『屈強なメンタル』

『決勝でも僕が天才と呼ばれる所以をお見せします。』

このコメントは決勝が始まる前に木本にヒアリングした意気込み等であるが、初決勝とは思えないほどの強気の姿勢が見られた。もちろん本人曰く精神力のタフさもあるだろうが何もそれだけに限ったものではない。
木本は普段、夏目坂スタジオで様々なタイトル戦の決勝戦を採譜という近い立場で目にしている。その中には通常なら考えられないような逆転劇などもあっただろう。

天才物理学者アルベルト・アインシュタインが残した言葉。

『天才とは努力する凡才である。』

特に決勝戦は馬鹿にならないといけないと知っていたのである。

 

過去最多参加者と史上稀にみる激戦となった新人王戦もついにクライマックスを迎えていた。

 

 

トータル4着目の親の岡田が3フーロしており以下の形でテンパイしている。

 

 

そして遂に優勝に向けて誰しもが通る決断の時間が木本にもやってきた。

 

 

ドラの五索を引いてテンパイである。フラットな状況であれば当然押す一手であろう。しかし今回は優勝という二文字が現実味を帯び、大きなプレッシャーとなって木本に重くのしかかっているのだ。
勝負するならば一索切りか二索切りの2択。ちなみに岡田の最終手出しは七索であり手牌に関連した牌であるのは間違いないだろう。

ここで初めて木本の手が止まる。

 

 

きちんと局面を精査すると、岡田からは仕掛けた後に八索九索には声がかかっていない。そうなるともしドラの五索が手牌に絡んでいると仮定するとある程度の牌構成に絞られる。例えば二索三索四索五索三索四索五索五索二索二索五索五索などが挙げられるが、もし放銃となれば1人沈みとなり差はほとんど無いに等しい状況に追い込まれる。

さてどうする。

静寂の間が流れ、木本は数回頷いた後に意を決した。

 

 

二索を打ち抜き
そして、

 

 

 

岡田から放たれた五索を見事にとらえたのである。
これが決め手となり第35期新人王戦の頂点に輝いたのは東京本部所属の木本大介となった。最後までしっかりと戦い抜き、有言実行通りの新人王に相応しい麻雀を見せてくれた事は疑いの余地はないだろう。

 

 

 

■第35期新人王戦優勝
木本大介

・準優勝:辻本一樹
・第3位:浜野太陽
・第4位:岡田舜

 

 

『最後までご声援ありがとうございました。新人王のタイトルだけでは駄目だと思いますので早くもう1つタイトルが獲れるようにこれからも勉強して頑張りたいと思います。ありがとうございました。』

優勝に一喜一憂する事なく次の目標に向けて前を向く木本。今後の更なる活躍に是非ご期待ください。

(文:小林正和)

麻雀日本シリーズ2022第6節レポート

21回戦
起家から渋川、前田、瑠美、仲林

東1局
渋川がドラをポンしていた前田から12,000の出アガリ。
ホンイツ、役牌。

 

 

東2局
瑠美が3人テンパイを制する。
リーチ、ピンフ、ツモドラ3の3,000・6,000。

 

 

南3局
前田が瑠美からリーチ、一発、ピンフ、ドラの8,000の出アガリ。

 

 

東1局に親の満貫をアガった渋川がそのままトップ。
これで首位に立った。

トップから渋川、瑠美、仲林、前田。

 

 

22回戦
起家から小林、鈴木、白鳥、多井。

東2局
2件リーチにヤミテンで押し返した白鳥が、小林から8,000の出アガリ。

 

 

東3局1本場
小林がリーチ、ツモ、三色の2,000・4,000。

 

 

南3局
多井がトップ目白鳥から一発で当たり牌を捉える。
リーチ、一発、ピンフ、ドラ2の8,000。

 

 

南4局
鈴木が役役、ホンイツ、チャンタ、ドラ2の3,000・6,000をアガり2着で終了。

 

 

 

24回戦
トップから白鳥、鈴木、多井、小林。
最後のワンチャンスをものにした鈴木が上位をキープ。

 

 

この日は2回で対局終了となります。
23・24回戦は別日となりまして、10月14日金曜日12時からです。

次回もお楽しみに!

(文:蒼山秀佑)

第20期プロクイーンベスト8A卓レポート

【第20期プロクイーンベスト8 A卓からは古谷・東城が決勝進出】

現在のプロクイーンは二階堂瑠美。
WRCルールで半荘4回戦を行い、本日のA卓から勝ち上がった2名と、後日行われるB卓からの2名が瑠美への挑戦権を得る。

ベスト8 A卓の対局者は
古谷知美
東城りお
西嶋ゆかり
蔵美里(協会)

 

 

解説 齋藤豪
実況 阿久津翔太

 

【1回戦】

南3局。東城が七対子ドラドラ、中単騎でリーチを打ち、跳満のツモアガリ。

 

 

1回戦は東城、古谷、蔵、西嶋の並びで終了。

 

【2回戦】

1回戦で跳満を親被って逆転されてしまった古谷が、2回戦南場の親番で七対子ドラ単騎リーチをツモって6,000オール。

 

 

2回戦は古谷、東城、蔵、西嶋の並びで終了。

 

【3回戦】

前半戦を終えた時点では古谷が+35.0P、東城が+33.8Pとほぼ並び。
3回戦、古谷は不用意に飛び込まないし、高い手をツモるし、全く隙を見せない。

東4局。この半荘、誰よりもトップが欲しい西嶋が高め567の四万七万リーチ。安めツモながらも裏ドラを1枚乗せて満貫ツモで反撃開始。

 

 

南1局には古谷と同点まで辿り着くが

 

 

3本場で古谷に2,600は3,500の放銃。再び引き離されてしまう。

3回戦オーラス。
現状トータル3番手の蔵がリーチを打つ。親番の東城はくっつきの1シャンテン。この半荘はラス目なので勝負するかと思われたが、東城は1枚も選ばず即オリを選択。ラスを受け入れて最終戦に勝負を託した。

 

 

結果は流局。蔵はテンパイ料で2着に浮上した。

3回戦は古谷、蔵、西嶋、東城の並びで終了。

 

【4回戦(最終戦)】

古谷がほぼ安泰。
東城と蔵の差は22.8P。2着順の差をつけるのがおおよその目標となる。
東城と西嶋の差は66.2P。トップラスでも順位点は30Pしか縮まらないので、点棒も大きく稼ぐ必要がある。

最終戦南1局1本場。打点の要らない古谷が5巡目にドラの六筒を切る。

蔵は直後に七対子ドラ単騎テンパイ。すでに東城をかわしているのでヤミテンに受ける。

 

 

一方、東城は7巡目にこの手牌。東城は古谷と違い打点も欲しいので合わせ打たずにドラを残していたが、マンズにくっついてターツが足りた。ドラが通った後の蔵の手出しは1回だけ。少考の末ドラを切る。

 

 

「ロン。9,600は9,900」
この瞬間、蔵と東城の差は35.3Pまで開いた。

南3局。蔵はタンピン系の好配牌。自らアガるつもりで目一杯手を広げていたが、東城から5巡目リーチが入る。安牌は1枚もない。

 

 

二索をツモ切る。
一発がついて満貫の放銃。土壇場で東城に再逆転を許してしまった。

【オーラスの条件】

蔵は700・1,300ツモ
東城から2,000
古谷と西嶋から3,900

西嶋は役満ツモ
出アガリダブル役満

親番の東城は3.7Pのリード。
蔵の1人テンパイだと東城は敗退となるため手を組むがテンパイが入らず。

 

 

しかし蔵にもテンパイが入らず全員ノーテンで流局。

以上の結果により
古谷知美
東城りお
この2名が決勝進出を決めた。

 

 

第20期プロクイーン
ベスト8B卓は
2022/9/22(木)16:00

りんのなお(協会)
大島麻美(協会)
蒼木翔子
山脇千文美

解説 二階堂瑠美
実況 阿久津翔太

(文:吾妻さおり)

第39期 A1リーグ 第9節A卓レポート

【第39期鳳凰戦A1リーグ第9節A卓 西川が+69.9Pで3位浮上】

本日の対局者

西川淳
勝又健志
吉田直
藤崎智

 

 

前節▲78.2Pの大きくマイナスしてしまった西川だが、今節は2着トップと好調。
3回戦にはドラ暗刻の手牌を盲点となる五万単騎でアガって原点近くまで戻すと

 

 

南1局にもドラ3の満貫をアガって3回戦トップ。

 

 

4戦3トップで+69.9P。トータル3位まで浮上した。

 

 

1回戦オーラス。勝又は五索八索待ち。高め678に振りかえてからリーチを打ち、11,600を決めて1回戦トップ。

 

 

2回戦には親番西川のリーチを受け、北トイツ落としで迂回するが

 

 

残りツモ1回で七筒を勝負して、ハイテイツモ。

随所に勝又ならではのアガリを決めて+32.9P。トータル6位となった。

 

 

吉田は3回戦東場の親番でダブ東リンシャンツモ。2,600オールは
2,800オール(+2,000)を決めるが

 

 

オーラスのトップ争いで西川に11,600放銃となってしまい、沈みの3着に。
トータル2位はキープしたものの、ポイントを大きく減らしてしまった。

 

 

この日は藤崎も苦戦。
3回戦には七対子ドラ単騎をツモって一瞬浮きに回るものの

 

 

その後が続かず▲61.5P。浮きが遠い1日でトータル順位を8位まで落とした。

 

 

 

次回A1第9節B卓は
2022/9/21(水) 16:00

近藤久春
前田直哉
藤島健二郎
黒沢咲

解説 森山茂和
実況 古橋崇志

(文・吾妻さおり)

第17期女流桜花BCリーグ最終節レポート

1年の集大成となる、女流桜花B・C1・C2リーグ最終節。

[Bリーグ]
<4回戦までハイライト>

 

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【1卓】
3期連続昇級で一気のAリーグ入りを目指す後藤が好調。首位スタートの井上も4回戦のトップで、自動昇級へ大きなアドバンテージを得た。
【2卓】
黒沢が連勝で昇級争いに参戦するも3回戦でラスを引き後退。北條が4回戦でトップを取り、自動昇級争いに参戦。
【3卓】
3位スタートの蒼井はポイントを伸ばして最終戦勝負に。高宮は初戦ラスも3回戦で四暗刻単騎をアガリ、4回戦もトップで自動昇級争いに加わる。
【4卓】
18位スタートの北野が3回戦に77000点1人浮きの特大トップで降級圏脱出に成功。稲岡・小笠原も残留を果たした。

そして、上位陣同士による最終戦がスタートした。

 

100

 

最初に終わったのは2卓。大野が1人浮きのトップで北條がラス。両者とも相手待ちの状況になる。
続いて3卓。オーラスに高宮が7700を、1人浮きだった天音から奪いトップも逆転。昇級を決める。
そして1卓。昇級圏の後藤と、入れ替え戦出場を目指すオーラス親番の早川の激しい勝負が繰り返された。
1本場に後藤はテンパイまで入れるも、早川のリーチに放銃し無念の後退。
代わりにこのゲームトップの早川が、入れ替え戦出場を決める6位に入った。

井上はこの日ポイントを減らすも、優勝とともに初のAリーグ入り。高宮は6年ぶり、北條は11年ぶりのAリーグ復帰を決めた。

 

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蒼井は北條に0.1ポイント及ばず入れ替え戦2nd stageへ。後藤・早川は入れ替え戦1st stageから昇級を目指す。

 

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[C1リーグ]
今期異次元の強さを発揮した手塚は今節もプラスで完勝し、昇級と入れ替え戦2nd stageへの切符を手にした。

 

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焦点は2位争い。高橋の欠場でターゲットが明確になる中、大久保が最終戦大きなトップを奪い逆転成功。入れ替え戦1st stage出場を決めた。
高橋は3位で2期連続の昇級。
また、14位スタートの水越が1回戦に親で四暗刻をツモアガリ、その後もポイントを伸ばして1年でBリーグ復帰。
2回戦以降ポイントを伸ばした松田や、王との卓内勝負を制した波奈もBリーグ入りを果たした。

 

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[C2リーグ]
初戦で大きなトップを奪った蒼木が、その後も素点をまとめて優勝。2日前にプロクイーン決定戦出場を果たした勢いを保ち、入れ替え戦に臨む。
静岡県内の大雨による影響を受けた平岡は、無罰欠場を拒否して上京し奮戦したが、優勝には届かなかった。

 

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昇級争いは8位スタートの山口が大きくポイントを伸ばしてボーダーが上がり、無風かと思われた。
しかし星乃が3回戦に70700点1人浮きの特大トップ。同卓する太田との最終戦直接対決に持ち込む。
昇級をめぐる争いは南4局に平岡が親番を続ける間にも二転三転したが、最後は太田のアガリで決着し昇級圏へ。星乃は次点で涙を飲んだ。
他、さくら・内田・山口・安藤・川上がC1リーグ昇級を決めた。

 

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10/30(月)より、女流桜花Aリーグ進出を目指す入れ替え戦がスタートする。

1st stage(10/30 16:00~)
後藤咲vs早川林香vs大久保朋美vs蒼木翔子
※半荘4回戦・最上位が2nd stageへ

解説:HIRO柴田
実況:部谷幸則

2nd stage(11/7 16:00~)
Aリーグ13位vs蒼井ゆりかvs手塚紗掬vs1st stage勝者
※半荘4回戦・最上位が来期Aリーグ所属

解説:山田浩之
実況:部谷幸則

(文:梅中悠介)

<2022 AKRacing杯決勝・白鳥翔が初出場で初優勝!>

今年で2回目のAKRacing杯も決勝。
予選を勝ち抜いた白鳥・和久津・伊達・日吉による対戦は、短期決戦ならではのぶつかり合いが多くなった。

 

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1回戦、最初に大きく動いたのは東2局。日吉がチートイツ・ドラ2の白待ちをヤミテン。
役牌を2種仕掛けた伊達が三万六万待ち。
そこへ白鳥がドラ三索を切って五索八索待ちでリーチ。

 

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この勝負、ツモ切り追いかけリーチをかけた日吉が赤五索を掴み、白鳥のアガリに。

 

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8,000(+1,000)加点でまず先行する。

さらに東4局。和久津が ポン三筒 暗カン四筒 ポン七索でタンヤオ・トイトイ・赤の五万八万待ちテンパイ。
この時点でチートイツ1シャンテンで0メンツの白鳥だったが、終盤にドラ発が暗刻になると、チートイツを見切りマンズのホンイツへ。

 

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和久津から三万西が鳴け六万九万待ちになると、
テンパイを取りに行った日吉から九万を撃ち取り12,000のアガリ。

 

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白鳥の読みと技が冴えた2局。これで抜け出しにかかる。

白鳥の逃げに待ったをかけたのは伊達。南2局の親番で先制リーチをかけると、ピンフ・ドラ3の白鳥からテンパイ打牌の六万をとらえる。

 

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裏ドラが2枚で12,000の直撃に成功。伊達がトップに立つ。

ただ、ここから白鳥は勝負強かった。
南3局。和久津の先制六索切りリーチに、マタギ筋の赤五索を切って追いかけると
和久津から二万で撃ち取り3,900(+1,000)。

 

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南4局は伊達のアガリ競争に勝ってトップ再逆転。優勝へ最短距離の北家席を獲得する。

さて、今大会最大の注目点だった「選手・日吉辰哉」。
1回戦は出遅れたが、2回戦東1局に2,000・4,000のアガリで反撃の狼煙を上げる。

 

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ただ、東4局に白鳥・和久津の2軒リーチに挟まれると、テンパイ打牌の西が和久津に捕まり8,000放銃。

 

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予選で吹かせた「風」を再度起こすことはできなかった。

一方の和久津はこの8,000で戦線に復帰すると、南2局2本場には東北ドラの3,200は3,400オールで2番手に浮上し白鳥に迫る。

 

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しかし、反撃はここまで。続く3本場で白鳥が和久津の親を落とすと、残る局を危なげなく消化。
白鳥がAKRacing杯初優勝を果たした。

白鳥にはテックウインド株式会社営業本部部長の木村昇様から優勝賞金50万円とAKRacing1脚の目録が進呈された。

 

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自身もAKRacingを愛用し、第1回は選手として出場できなかった白鳥は「めっちゃうれしい」と今回の優勝を手放しで喜んだ。

 

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スタジオの対局場や実況席にも採用され、選手にも好評のAKRacingをぜひ応援して下さい。

(文:梅中悠介)