第86回:吾妻さおり

【ご挨拶】

日本プロ麻雀連盟HPをご覧の皆さん。
いつもありがとうございます。
吾妻さおりです。

私はこれまで、麻雀の内容に対する発言は公共の場でもプロ同士でも殆どして来ませんでした。
一番の理由は人の意見を聞きたいからです。
麻雀を勉強出来る環境に身を置きながら、固定観念にとらわれて自分の考えを披露し、「価値観が違うから話しても意味がない」と思われてしまうのは勿体ない事です。

特に私の指針の1つに「状態論」がありますが、これは目に見えずデータ理論を提示出来ない話です。
私などが中途半端に口を開く事により聞き手の方が不愉快になることをおそれたのもあります。
加えて、常に信念を持っているとはいえ、私の持論などまだまだ途中経過であり、公表するのは烏滸がましいと思っていました。

今も勿論完成などしておりませんが、途中経過を公開することも皆であれこれ麻雀を考えるきっかけになっていいのかも知れないと最近思うようになりました。

今日は第8期女流桜花決定戦を巡る、私の思考の一部を皆さんと共有したいです。
色んな価値観があるかと思いますが吾妻はこんな事考えてたんだ、と楽しんでいただけたら幸いです。
よろしくお願いします。

下記をまだご覧になってない方はこちらもご一読くだされば幸いです。

ロン2ブログ3/5
初めて吾妻を知ってくださった方向けに自己紹介をしております。
第8期女流桜花決定戦初日観戦記
執筆:黒木真生プロ
第8期女流桜花決定戦二日目観戦記
執筆:黒木真生プロ
第8期女流桜花決定戦最終日観戦記
執筆:黒木真生プロ
プロ雀士インタビュー第103回吾妻さおり
執筆:美波智子プロ
吾妻さおりの麻雀清一色生活
写真満載の個人ブログ
決勝期間にも更新しておりました。

 

リレーエッセィへの想い】

リレーエッセィの連載が始まったのは2007年2月。
麻雀普及活動に微力ながも携わりたいと思い、当時唯一連盟の情報発信源だった「編集会議」に毎回私は参加していた。

優れた物書きでもなければ、編集も未経験の私をこの場に導いてくれたのは前原雄大プロ。
麻雀プロとしての心構えについても幾度も話をしてくださり、拙い私の頭では当時理解しきれなかったお話もあった。今でも頻繁にあの頃のお言葉が脳裏をよぎる。
伝えたい意味はこうではないか。今すべき事は何か。自分なりに解釈しながら過ごしている。

編集会議もその一つ。
「麻雀が大好きでもっと多くの方に楽しさを伝えたい」
多くのプロはこの想いを胸に秘めている。だが、思うだけでは何も始まらない。形にするには誰よりも早く行動しなさいというメッセージを込めてここに連れて来られたのだと思った。

意を決してタイトル戦観戦記者に立候補。
その後、連盟HPで麻雀用語辞典の作成と30回に及ぶ初級講座初級講座の連載を担当。
「吾妻プロの初級講座で勉強しました。」
このようなコメントを頂いた時は一つ成し遂げた気持ちになり、嬉し涙が出そうになった。

リレーエッセィの企画が通った時も会議に参加していた。
タイトル戦出場者や今活躍している旬な人物にバトンが渡る。個性溢れるプロ達の随筆が次々に紡がれていく。毎回違う趣の作品なので飽きることなく面白いので、私も更新を楽しみにしている。
麻雀好きにはたまらない魅力的な企画だ。

いつかはエッセィを書きたいと思っていたのに何年経っても読者側。私は何も残せていない。
いくら努力しても実績がなければ世間は認めてくれない。
プロになって得たものは、自分の思い出となって鍵のかかった宝箱行き。
目標と現実のギャップに、はがゆい気持ちが確かにあった。

長い時を経てこの依頼を頂けた事は、企画が生まれる瞬間に立ち会った私にとって、とりわけ感慨深い喜びなのだ。同期で研修時代からの仲間である井出康平プロからバトンが託された事も本当に嬉しく思う。

 

【第8期女流桜花決定戦進出】

バトンが届いた理由は、今年1月の第8期女流桜花決定戦。
11月末にプレイオフが終了。決勝進出者が決まってから初日までが約1月半。
期間が長かったので否応なしにイメージが膨らみ続ける。
食事中も、寝る為に目を閉じても頭に浮かぶのは麻雀の事ばかり。
早く対局したい気持ちが爆発しそうだった。

 

【対局者の考察】

ディフェンディングは魚谷侑未プロ。6期、7期の女流桜花であり、今期3連覇がかかっていた。
最速マーメイドの名に相応しく、積極的に鳴いて局面をリードする。
鳴いた後でも手牌に見合わない無謀な勝負はしないクレバーな打ち筋。
本手の鳴き、本手になりえる鳴き、かわし手の鳴きなどのメリハリもしっかりしていて、守備力を保ちつつも勝負と思えばしっかり前に出て戦う。信念の通った仕掛けを打って来る。

2冠達成の7期では打点力もアップし、競技ルールで比重の大きいホンイツとタンヤオを軸に逆境にも挫けずに頂点に向かって泳ぐ姿には私も魅せられた。
淡々と無表情で打ち続けるその佇まいには、寧ろ内に秘めた熱い想いが溢れているように見えた。最終半荘で猛追に遭い、オーラスまで勝負の行方がわからない。手に汗握る戦いの末、見事連覇を成し遂げた。
動画を観た後、残ったのは感動だった。
彼女の強さを尊敬し、あの素晴らしい舞台で麻雀を打ちたいと思った。
「来年は決勝に進出して彼女と戦うんだ」と心に誓ったのだ。

マラソンで言えば魚谷は先頭集団にピタリと張り付くタイプ、対する和久津晶プロはスタートから先頭を狙ってくると予想した。特に今期から3日間になり、もし初日に沈んでも8半荘あるので、システム的にも前に出やすくなった。超攻撃アマゾネスが様子見から入るとは思えない。

彼女の麻雀はプロ入り前の守備型の頃から評判が良く、その噂は私の耳にも届いていた。
現在はリーチと鳴きを多用しイニシアチブを取るスタイルに転身し、第9期プロクイーンを獲得。
今回も全局アガる位の気迫を持って前に進むに違いない。

実際これは効果的で、決勝の麻雀で常に後手に回らされるのは辛い。
自分のペースを掴もうと手牌に集中しても、よほど勝負手でない限り「リーチ」と言われた瞬間「どこまで押そうか」に切り替わってしまう。
先に述べた昨年の魚谷との最終半荘で50ポイント差を詰めた名勝負も記憶に新しい。
誰もが爆発力に一目置いている。
彼女のハートの強さとマッチして、超攻撃がもたらす効果は計り知れないだろう。

となると守備を重視しても良さそうだが、そうしなかった理由は安田麻里菜プロにある。
麻雀くのいちという異名は守備型代表として第30期鳳凰位決定戦を見事に勝ち抜いた藤崎智プロの麻雀忍者と対になっているらしい。彼女のディフェンス力の高さが評価されている証だ。

守備型の自意識はないという本人の発言も見受けられるが、それでも基本スタンスに丁寧な打ち回しがあり、ここぞという時だけエンジンをかける印象がある。初決勝進出時は会場で観戦したし、最近の公開対局も観ている。
同卓だった11月のプレイオフでは序盤にきっちりリードを奪い、ポイントを叩く麻雀も打てる所を見せつけられた。とはいえ、後半安全圏に身を置いてからの徹底した守備麻雀が本来の姿だと思う。

常に好成績を残して第10期プロクイーンで最後の半荘勝負を制して優勝。今回急にスタンスを変えることはないと思った。いや、本音を言えば変えて来てくれたほうが嬉しかった。
何故なら、初日に安田が守備に徹し、魚谷が様子見から入った場合、和久津の独壇場になるのは想像に難くないからだ。

 

【戦いの方針】

この図式を考えると私の方針は自ずと「超攻撃を超える攻撃」となる。誰よりも先にギリギリの勝負して、点棒を叩く。嵐が来たら身を潜めてやり過ごし、チャンスが転がってくれば攻めるなんて呑気な心構えでは「吾妻の時間帯」なんて来ない気がした。ならば本来のスタンス。いや、いつもよりさらに押し切る気合で挑む。

相手の打点も予測した上での放銃覚悟のノータイム無筋切りは元々得意分野。
危険牌を涼しい顔で切るキャリアは私の方がずっと先輩だ。
そう思ったら初決勝への漠然とした不安はなくなっていた。

 

【4つのテーマ】

今までの観戦やイメージトレーニングなどにより方針が決まった。
頭の中のイメージをより的確なものにするべく、早速重要なテーマを4つにまとめた。

 

【テーマ1 スピード】

ここでのスピードとは、テンパイ速度ではなく打牌速度のことである。
壮行会に駆けつけてくれた同期の西岡慎泰プロは「決勝だから、公開対局だから早く切らなきゃと焦らずにゆっくり納得いくまで考えて」とアドバイスをくれた。

なんて思いやりのある暖かい言葉だろう。
初決勝でガチガチに緊張しているであろう私の背中を優しく支えてくれようとする彼の人柄が良く表れた言葉だ。なのに私は「ありがとう。本当に迷った時はそうする。でも今回の決勝、自分の長所であるスピード感も大切にしたい。」と答えた。
テンポよく打てるかどうかは自分の状態を知るバロメーターだと思っているからだ。
実際、映像の自分を観ていると常に同じテンポを心がけているにもかかわらず、かなりスピードにムラがあることがわかる。

好調時は打牌スピードは早くなる。選択に迷いも少なく、指が正解を選ぶ。
打ちながら考えている事と場況がピタりとハマる状態である。
例えばこの局。

3回戦 東3局 ドラ3

100

明らかに国士無双狙いの安田が、5巡目に切ったドラを再び手出し。空気はピンと張り詰めていた。
頭で考えてしまえばリャンメンが残る二筒三筒を払いたくなる牌姿だが、私はノータイムで七筒
後に単騎になる可能性もある不安定な受けだが、それなら戦える待ちを選べばいいと思い、ピンズで2メンツ出来た事を素直に喜び受け入れた。

その後、安田が比較的安全度の高い二索を打つ。テンパイ打牌か?さらに緊迫する。
1つ前の手順も全てノータイムでお気に入りの局。

このような「指が正解を選ぶ」状態に持っていく為には一定のテンポを保って打牌する集中力が必要不可欠というのが私の持論なのだ。

一方不調時は打牌が遅くなる。難しい選択を迫られ、考えがまとまる前に一番迷う牌を引く。
手が止まったからには時間をかけてでも正解を選ばなければならないのは、先に西岡が言った通りである。
しかし、不調時に長考してより良い答えを導き出すことは困難を極める。
もし間違った思考ならみるみる正解から離れ、最初のインスピレーションに逆らい消極的な理由に支配されたりして、中途半端な一打をしてしまう事がある。

2回戦 南1局 ドラ5

100

これは是非ともジュンチャンを決めたいが、リードがあるので無理する必要はない状況。
考え過ぎた結果、どっちつかずの牌を切ってしまった悪い例である。

牌理的には七索九索九索八筒九筒九筒のどちらかの9が正着であろう。
しかし、どちらがいいか決め切れない内に選択を迫られた。
捨て牌を見た私は、トータル2位につけている和久津への将来の危険度を考慮し打七索

ピンズとソウズが選べないという最初の感性にも、まっすぐ戦うという自分のテーマにも反する打牌であり、すぐに悔いた。

結果はペン七筒を引いてテンパイ、四万が嬉しくない一万四万九索のリーチを打つ。
すぐ八索をツモる。このアガリ逃しは酷い。この時点で放銃よりも罪が重い。
挙句、追っかけリーチの和久津にカン六索の2,600放銃。

この後訪れるであろう地獄を覚悟したが、幸い大怪我をせずに初日が終了した。
後の2日間はこの罪を受け入れ、禊になる位の良い打牌をしなければ優勝出来ないと猛反省をした。

 

【テーマ2 納得行く手作り】

最高打点を目指し、妥協しない。安くなるテンパイやシャンテンは取らない。
もし確率に抗う場合は明確な理由を持つ事。

先ほどの局の大失敗を自分なりに考えた結果、自分が本当に打ちたかったのは一万だったのかなと思う。
たった1枚のロスだが9と9の暗刻を逃さない一打はないかな?と思うとメールが次々に届く。
文面には牌姿と場況がズラリ。ダメ出しもかなり多い。
数少ない私の麻雀観を熟知する仲間からのオリジナル観戦記だ。

一万切りはどう?」
「さすがに2シャンテン戻しの一万は良くないと思う。何故ダメなのか納得いくまで考えてください。」

知り合った頃はお世辞にも上手いとは言えなかったが、地味な努力と牌譜検証を繰り返し、瞬く間に牌効率に強くなった。話をすれば意見が対立し険悪になる事もあった。今ではお互いの雀風を理解し尊重出来る。
その貴重な意見を踏まえてもう一晩考えた。

槓刻になる事のない一を1枚外すのは安い四受けを嫌いマンズのイーペーコーを見据える手順。
いや、出来なければただの失敗。
二万三万の残り枚数が少なすぎてマンズで2メンツは厳しいので、ここは素直にアドバイスを受け入れることにした。

だが、もし同じ牌姿で二万三万がもっと残っていたらやはり私は一万を選びたい。
面前で高打点を決めるには、時にはシャンテン数を落としてでも最後まで押し切れる納得行くテンパイを組む必要がある。

何より大切なのは助言を聞いた上で考えて納得し、なおかつ一万という選択も残った事。
固執して批判に耳を傾けないのとは全く違う。全ての意見を財産にしてひたすら考え、自分の麻雀を確立して行く。ツモ番がくる前にあらゆる選択に考えを及ばせ、正解を手が選ぶよう精進する事。

いつしかあの時私には見えなかった理由でピンズかソウズを選べる打ち手になり、一万を切ると言った事を謝る日が来るかも知れない。でもそれは成長であるからいいとも思う。自分が後悔しない打牌を選び続け、今日正解だと思った選択が永遠の正解などと結論付けず、考え続けることが大切なのだ。

各々が違う主義と歴史と感性とを携え、公平なルールのもとで戦う。
目指す理想像によって打牌に個性が生まれるのが麻雀の醍醐味だと思う。

 

【テーマ3 オリない】

まっすぐ戦えないような安い手作りをしない事。
2つ目と関係があるが、これは他家の動向に惑わされず最善手を貫き通すという決意だ。

3回戦 東1局1本場 ドラ2
和久津のソウズの鳴きに対し、ドラが出て行く安手のシャンテンを取らずにやっとこの形。

二万三万四万二索二索五索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ツモ九索

タンヤオが崩れるから引っ掛けリーチ?いや、スジだからと安牌で八索が出てくる場況ではない上、八索六索より良い根拠もない。九索ツモ切り。次巡、裏目の八索引き。これも勝負。

和久津はおそらく少し遠い鳴きだったがツモが効いたのか西をトイツ落とし。
東をポンした時に微妙な間があり、字牌待ちはなさそう、単騎も可能性が低い。
まだ1シャンテンかもと思った。次に手出し一索。これでテンパイは確実。

私の読みではカン二索とペン七索が大本命。先ほどの西トイツ落としは東西と愚形ターツの選択か。
なら残した愚形はドラ受けの可能性が高い。そして八索九索にポンがかからなかったことにより八索九索は持っていても1枚。もちろんリャンメン残りの四索七索もあり得るが、七索は倍の危険牌。

打点は7,700か、二索を1枚引き入れた8,000か。一通ドラ1とドラ2の時は12,000。ならほぼ互角の勝負だ。
次に三索ならまた選択だからさすがにやめようかな。四索を持って来たら形は最高だけど…。
七索が大本命とはいえ、この手から四索ツモ切りは中途半端。手牌読みに酔っているだけだ。
今日のテーマは読みではない。読みに頼りはじめたら今後打牌が捻くれる。
なら最高形で押し切るか。と考えていた時にツモ四索
ここまで手が仕上がってくれた事に感謝し、意を決して七索を放つ。

「ロン。7,700。」「はい。」

視聴された方はさすがに行き過ぎだと思ったはずだ。何も7,700とわかって打つ事はない。
放銃を避けて別の局で勝負すればいい。かくいう私も普段なら好調時でも七索で、不調時ならその前の九索または八索でストップだ。

私の中では1回戦の安田へ345の放銃の時と同じ。前に出る代償は承知の上で、戦う気持ちだ。
早いリーチにまっすぐと分かり切ったソウズのホンイツへの放銃は、全く別物だがテーマを尊重した。
この局は加点こそ出来なかったが、常に戦える状態を作るために必要な放銃もあるだろうと覚悟していたし、想定で最安の7,700で済んだ。不思議と心は揺れなかった。

 

【テーマ4 安い鳴きをしない】

元々面前主体の麻雀を好み、手役を大事にしながらツモれる待ちを作るよう心がけるのを理想としている。
メンゼンツモが最も好きな役であり、そこを大切にしようと思った。
かわし手というのは高度な読みを必要とする高度技術であり、武器の1つとして身に付けたいと日頃から勉強しているが、今回のテーマと反するので極力封印した。

 

【ゲームメイクの練習不足】

以上の4つに加え、点棒と総合ポイントを踏まえた場況判断。
この部分はいくら想定してトレーニングしてもやはり決勝の舞台。全く思い描いたものと逆の事ばかりしてしまった。日頃から一生懸命打っているつもりではあったが、この一局は何をすべきかを考える意識がまだ甘かった事を痛感した。今後はどんな局も明確な目標を持ち、より緊張感を持って打たなければならないと思う。

 

【初心と可能性】

理想とする麻雀をいくら思い描いても、実現に向けて努力しても、大事な局面で最高のパフォーマンスをするのは本当に難しい。未熟さや心の弱さに直面した場面もあり、反省点は挙げたらキリがない。

決勝を終えた今、少しでも成長するために、牌効率や字牌の切り順から勉強し直している。
第8期女流桜花を優勝出来た事は、応援してくれた人達の喜ぶ顔が見られて最高に嬉しいが、自分は強いから優勝したなどと自惚れる気持ちは微塵も持てなかった。

ただ、今回晒してしまったみっともない姿も、あの日持てる全てを込めて精一杯戦う吾妻さおりだった。
タイムシフトを見て、自分らしさが存分に発揮された場面も、別人のようにもがいている格好悪い自分も引っくるめてほんの少しだけ誇りに思い、麻雀をまた一つ好きになる。

もっとああすれば、こうすればと課題は山積みになっているが、そこを1つずつ改善したらもっと強くなれる。次はもっといい麻雀が打てるはず。今回の経験で理想像はより明確になった。その為に何をすべきか考え、今までの何倍も努力すれば、自分の思い描く麻雀を貫いて優勝出来る日が来るかも知れない。
以前より微かに可能性の光が大きく見えた。

 

【白い線】

最初は打ち手というより、麻雀を広めたい一心でプロになった。
研修を終え晴れてプロを名乗り、一斉にスタートラインから走り出した。
まだこの道に何があるのか見えないままがむしゃらに進んだ、プレイヤーとしての険しい道。

前は沢山の先人が止まらずに走り続けている。
後ろからは力をつけた若者達が虎視眈々と私を追い抜こうとしている。

ふと前を見ると道の横いっぱいに描かれた白い線が見えて来た。
その手前まで行き立ち止まって鮮やかな白に視線を落とす。
これが私の第2のスタートライン。

ここまで出逢った人達に感謝したくなり「ありがとうございます」とつぶやいた。
頭に浮かぶのはどれも笑顔で「これからも頑張れ!」と励ましてくれる。
また走る力をもらった。

果てしなく続くこの道は麻雀プロだけのものだと思うと急に愛おしくなり、
両の足でしっかり踏みしめてから、全力疾走でスタートを切る。
長い道のその遥か向こうには眩い光が溢れている。

 

【バトンの行方】

次のバトンは第25期チャンピオンズリーグ優勝の森岡貞臣プロにお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。

リレーエッセィ/第86回:吾妻さおり

【ご挨拶】
日本プロ麻雀連盟HPをご覧の皆さん。
いつもありがとうございます。
吾妻さおりです。
私はこれまで、麻雀の内容に対する発言は公共の場でもプロ同士でも殆どして来ませんでした。
一番の理由は人の意見を聞きたいからです。
麻雀を勉強出来る環境に身を置きながら、固定観念にとらわれて自分の考えを披露し、「価値観が違うから話しても意味がない」と思われてしまうのは勿体ない事です。
特に私の指針の1つに「状態論」がありますが、これは目に見えずデータ理論を提示出来ない話です。
私などが中途半端に口を開く事により聞き手の方が不愉快になることをおそれたのもあります。
加えて、常に信念を持っているとはいえ、私の持論などまだまだ途中経過であり、公表するのは烏滸がましいと思っていました。
今も勿論完成などしておりませんが、途中経過を公開することも皆であれこれ麻雀を考えるきっかけになっていいのかも知れないと最近思うようになりました。
今日は第8期女流桜花決定戦を巡る、私の思考の一部を皆さんと共有したいです。
色んな価値観があるかと思いますが吾妻はこんな事考えてたんだ、と楽しんでいただけたら幸いです。
よろしくお願いします。
下記をまだご覧になってない方はこちらもご一読くだされば幸いです。
ロン2ブログ3/5
初めて吾妻を知ってくださった方向けに自己紹介をしております。
第8期女流桜花決定戦初日観戦記
執筆:黒木真生プロ
第8期女流桜花決定戦二日目観戦記
執筆:黒木真生プロ
第8期女流桜花決定戦最終日観戦記
執筆:黒木真生プロ
プロ雀士インタビュー第103回吾妻さおり
執筆:美波智子プロ
吾妻さおりの麻雀清一色生活
写真満載の個人ブログ
決勝期間にも更新しておりました。
 
リレーエッセィへの想い】
リレーエッセィの連載が始まったのは2007年2月。
麻雀普及活動に微力ながも携わりたいと思い、当時唯一連盟の情報発信源だった「編集会議」に毎回私は参加していた。
優れた物書きでもなければ、編集も未経験の私をこの場に導いてくれたのは前原雄大プロ。
麻雀プロとしての心構えについても幾度も話をしてくださり、拙い私の頭では当時理解しきれなかったお話もあった。今でも頻繁にあの頃のお言葉が脳裏をよぎる。
伝えたい意味はこうではないか。今すべき事は何か。自分なりに解釈しながら過ごしている。
編集会議もその一つ。
「麻雀が大好きでもっと多くの方に楽しさを伝えたい」
多くのプロはこの想いを胸に秘めている。だが、思うだけでは何も始まらない。形にするには誰よりも早く行動しなさいというメッセージを込めてここに連れて来られたのだと思った。
意を決してタイトル戦観戦記者に立候補。
その後、連盟HPで麻雀用語辞典の作成と30回に及ぶ初級講座初級講座の連載を担当。
「吾妻プロの初級講座で勉強しました。」
このようなコメントを頂いた時は一つ成し遂げた気持ちになり、嬉し涙が出そうになった。
リレーエッセィの企画が通った時も会議に参加していた。
タイトル戦出場者や今活躍している旬な人物にバトンが渡る。個性溢れるプロ達の随筆が次々に紡がれていく。毎回違う趣の作品なので飽きることなく面白いので、私も更新を楽しみにしている。
麻雀好きにはたまらない魅力的な企画だ。
いつかはエッセィを書きたいと思っていたのに何年経っても読者側。私は何も残せていない。
いくら努力しても実績がなければ世間は認めてくれない。
プロになって得たものは、自分の思い出となって鍵のかかった宝箱行き。
目標と現実のギャップに、はがゆい気持ちが確かにあった。
長い時を経てこの依頼を頂けた事は、企画が生まれる瞬間に立ち会った私にとって、とりわけ感慨深い喜びなのだ。同期で研修時代からの仲間である井出康平プロからバトンが託された事も本当に嬉しく思う。
 
【第8期女流桜花決定戦進出】
バトンが届いた理由は、今年1月の第8期女流桜花決定戦。
11月末にプレイオフが終了。決勝進出者が決まってから初日までが約1月半。
期間が長かったので否応なしにイメージが膨らみ続ける。
食事中も、寝る為に目を閉じても頭に浮かぶのは麻雀の事ばかり。
早く対局したい気持ちが爆発しそうだった。
 
【対局者の考察】
ディフェンディングは魚谷侑未プロ。6期、7期の女流桜花であり、今期3連覇がかかっていた。
最速マーメイドの名に相応しく、積極的に鳴いて局面をリードする。
鳴いた後でも手牌に見合わない無謀な勝負はしないクレバーな打ち筋。
本手の鳴き、本手になりえる鳴き、かわし手の鳴きなどのメリハリもしっかりしていて、守備力を保ちつつも勝負と思えばしっかり前に出て戦う。信念の通った仕掛けを打って来る。
2冠達成の7期では打点力もアップし、競技ルールで比重の大きいホンイツとタンヤオを軸に逆境にも挫けずに頂点に向かって泳ぐ姿には私も魅せられた。
淡々と無表情で打ち続けるその佇まいには、寧ろ内に秘めた熱い想いが溢れているように見えた。最終半荘で猛追に遭い、オーラスまで勝負の行方がわからない。手に汗握る戦いの末、見事連覇を成し遂げた。
動画を観た後、残ったのは感動だった。
彼女の強さを尊敬し、あの素晴らしい舞台で麻雀を打ちたいと思った。
「来年は決勝に進出して彼女と戦うんだ」と心に誓ったのだ。
マラソンで言えば魚谷は先頭集団にピタリと張り付くタイプ、対する和久津晶プロはスタートから先頭を狙ってくると予想した。特に今期から3日間になり、もし初日に沈んでも8半荘あるので、システム的にも前に出やすくなった。超攻撃アマゾネスが様子見から入るとは思えない。
彼女の麻雀はプロ入り前の守備型の頃から評判が良く、その噂は私の耳にも届いていた。
現在はリーチと鳴きを多用しイニシアチブを取るスタイルに転身し、第9期プロクイーンを獲得。
今回も全局アガる位の気迫を持って前に進むに違いない。
実際これは効果的で、決勝の麻雀で常に後手に回らされるのは辛い。
自分のペースを掴もうと手牌に集中しても、よほど勝負手でない限り「リーチ」と言われた瞬間「どこまで押そうか」に切り替わってしまう。
先に述べた昨年の魚谷との最終半荘で50ポイント差を詰めた名勝負も記憶に新しい。
誰もが爆発力に一目置いている。
彼女のハートの強さとマッチして、超攻撃がもたらす効果は計り知れないだろう。
となると守備を重視しても良さそうだが、そうしなかった理由は安田麻里菜プロにある。
麻雀くのいちという異名は守備型代表として第30期鳳凰位決定戦を見事に勝ち抜いた藤崎智プロの麻雀忍者と対になっているらしい。彼女のディフェンス力の高さが評価されている証だ。
守備型の自意識はないという本人の発言も見受けられるが、それでも基本スタンスに丁寧な打ち回しがあり、ここぞという時だけエンジンをかける印象がある。初決勝進出時は会場で観戦したし、最近の公開対局も観ている。
同卓だった11月のプレイオフでは序盤にきっちりリードを奪い、ポイントを叩く麻雀も打てる所を見せつけられた。とはいえ、後半安全圏に身を置いてからの徹底した守備麻雀が本来の姿だと思う。
常に好成績を残して第10期プロクイーンで最後の半荘勝負を制して優勝。今回急にスタンスを変えることはないと思った。いや、本音を言えば変えて来てくれたほうが嬉しかった。
何故なら、初日に安田が守備に徹し、魚谷が様子見から入った場合、和久津の独壇場になるのは想像に難くないからだ。
 
【戦いの方針】
この図式を考えると私の方針は自ずと「超攻撃を超える攻撃」となる。誰よりも先にギリギリの勝負して、点棒を叩く。嵐が来たら身を潜めてやり過ごし、チャンスが転がってくれば攻めるなんて呑気な心構えでは「吾妻の時間帯」なんて来ない気がした。ならば本来のスタンス。いや、いつもよりさらに押し切る気合で挑む。
相手の打点も予測した上での放銃覚悟のノータイム無筋切りは元々得意分野。
危険牌を涼しい顔で切るキャリアは私の方がずっと先輩だ。
そう思ったら初決勝への漠然とした不安はなくなっていた。
 
【4つのテーマ】
今までの観戦やイメージトレーニングなどにより方針が決まった。
頭の中のイメージをより的確なものにするべく、早速重要なテーマを4つにまとめた。
 
【テーマ1 スピード】
ここでのスピードとは、テンパイ速度ではなく打牌速度のことである。
壮行会に駆けつけてくれた同期の西岡慎泰プロは「決勝だから、公開対局だから早く切らなきゃと焦らずにゆっくり納得いくまで考えて」とアドバイスをくれた。
なんて思いやりのある暖かい言葉だろう。
初決勝でガチガチに緊張しているであろう私の背中を優しく支えてくれようとする彼の人柄が良く表れた言葉だ。なのに私は「ありがとう。本当に迷った時はそうする。でも今回の決勝、自分の長所であるスピード感も大切にしたい。」と答えた。
テンポよく打てるかどうかは自分の状態を知るバロメーターだと思っているからだ。
実際、映像の自分を観ていると常に同じテンポを心がけているにもかかわらず、かなりスピードにムラがあることがわかる。
好調時は打牌スピードは早くなる。選択に迷いも少なく、指が正解を選ぶ。
打ちながら考えている事と場況がピタりとハマる状態である。
例えばこの局。
3回戦 東3局 ドラ3
100
明らかに国士無双狙いの安田が、5巡目に切ったドラを再び手出し。空気はピンと張り詰めていた。
頭で考えてしまえばリャンメンが残る二筒三筒を払いたくなる牌姿だが、私はノータイムで七筒
後に単騎になる可能性もある不安定な受けだが、それなら戦える待ちを選べばいいと思い、ピンズで2メンツ出来た事を素直に喜び受け入れた。
その後、安田が比較的安全度の高い二索を打つ。テンパイ打牌か?さらに緊迫する。
1つ前の手順も全てノータイムでお気に入りの局。
このような「指が正解を選ぶ」状態に持っていく為には一定のテンポを保って打牌する集中力が必要不可欠というのが私の持論なのだ。
一方不調時は打牌が遅くなる。難しい選択を迫られ、考えがまとまる前に一番迷う牌を引く。
手が止まったからには時間をかけてでも正解を選ばなければならないのは、先に西岡が言った通りである。
しかし、不調時に長考してより良い答えを導き出すことは困難を極める。
もし間違った思考ならみるみる正解から離れ、最初のインスピレーションに逆らい消極的な理由に支配されたりして、中途半端な一打をしてしまう事がある。
2回戦 南1局 ドラ5
100
これは是非ともジュンチャンを決めたいが、リードがあるので無理する必要はない状況。
考え過ぎた結果、どっちつかずの牌を切ってしまった悪い例である。
牌理的には七索九索九索八筒九筒九筒のどちらかの9が正着であろう。
しかし、どちらがいいか決め切れない内に選択を迫られた。
捨て牌を見た私は、トータル2位につけている和久津への将来の危険度を考慮し打七索
ピンズとソウズが選べないという最初の感性にも、まっすぐ戦うという自分のテーマにも反する打牌であり、すぐに悔いた。
結果はペン七筒を引いてテンパイ、四万が嬉しくない一万四万九索のリーチを打つ。
すぐ八索をツモる。このアガリ逃しは酷い。この時点で放銃よりも罪が重い。
挙句、追っかけリーチの和久津にカン六索の2,600放銃。
この後訪れるであろう地獄を覚悟したが、幸い大怪我をせずに初日が終了した。
後の2日間はこの罪を受け入れ、禊になる位の良い打牌をしなければ優勝出来ないと猛反省をした。
 
【テーマ2 納得行く手作り】
最高打点を目指し、妥協しない。安くなるテンパイやシャンテンは取らない。
もし確率に抗う場合は明確な理由を持つ事。
先ほどの局の大失敗を自分なりに考えた結果、自分が本当に打ちたかったのは一万だったのかなと思う。
たった1枚のロスだが9と9の暗刻を逃さない一打はないかな?と思うとメールが次々に届く。
文面には牌姿と場況がズラリ。ダメ出しもかなり多い。
数少ない私の麻雀観を熟知する仲間からのオリジナル観戦記だ。
一万切りはどう?」
「さすがに2シャンテン戻しの一万は良くないと思う。何故ダメなのか納得いくまで考えてください。」
知り合った頃はお世辞にも上手いとは言えなかったが、地味な努力と牌譜検証を繰り返し、瞬く間に牌効率に強くなった。話をすれば意見が対立し険悪になる事もあった。今ではお互いの雀風を理解し尊重出来る。
その貴重な意見を踏まえてもう一晩考えた。
槓刻になる事のない一を1枚外すのは安い四受けを嫌いマンズのイーペーコーを見据える手順。
いや、出来なければただの失敗。
二万三万の残り枚数が少なすぎてマンズで2メンツは厳しいので、ここは素直にアドバイスを受け入れることにした。
だが、もし同じ牌姿で二万三万がもっと残っていたらやはり私は一万を選びたい。
面前で高打点を決めるには、時にはシャンテン数を落としてでも最後まで押し切れる納得行くテンパイを組む必要がある。
何より大切なのは助言を聞いた上で考えて納得し、なおかつ一万という選択も残った事。
固執して批判に耳を傾けないのとは全く違う。全ての意見を財産にしてひたすら考え、自分の麻雀を確立して行く。ツモ番がくる前にあらゆる選択に考えを及ばせ、正解を手が選ぶよう精進する事。
いつしかあの時私には見えなかった理由でピンズかソウズを選べる打ち手になり、一万を切ると言った事を謝る日が来るかも知れない。でもそれは成長であるからいいとも思う。自分が後悔しない打牌を選び続け、今日正解だと思った選択が永遠の正解などと結論付けず、考え続けることが大切なのだ。
各々が違う主義と歴史と感性とを携え、公平なルールのもとで戦う。
目指す理想像によって打牌に個性が生まれるのが麻雀の醍醐味だと思う。
 
【テーマ3 オリない】
まっすぐ戦えないような安い手作りをしない事。
2つ目と関係があるが、これは他家の動向に惑わされず最善手を貫き通すという決意だ。
3回戦 東1局1本場 ドラ2
和久津のソウズの鳴きに対し、ドラが出て行く安手のシャンテンを取らずにやっとこの形。
二万三万四万二索二索五索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ツモ九索
タンヤオが崩れるから引っ掛けリーチ?いや、スジだからと安牌で八索が出てくる場況ではない上、八索六索より良い根拠もない。九索ツモ切り。次巡、裏目の八索引き。これも勝負。
和久津はおそらく少し遠い鳴きだったがツモが効いたのか西をトイツ落とし。
東をポンした時に微妙な間があり、字牌待ちはなさそう、単騎も可能性が低い。
まだ1シャンテンかもと思った。次に手出し一索。これでテンパイは確実。
私の読みではカン二索とペン七索が大本命。先ほどの西トイツ落としは東西と愚形ターツの選択か。
なら残した愚形はドラ受けの可能性が高い。そして八索九索にポンがかからなかったことにより八索九索は持っていても1枚。もちろんリャンメン残りの四索七索もあり得るが、七索は倍の危険牌。
打点は7,700か、二索を1枚引き入れた8,000か。一通ドラ1とドラ2の時は12,000。ならほぼ互角の勝負だ。
次に三索ならまた選択だからさすがにやめようかな。四索を持って来たら形は最高だけど…。
七索が大本命とはいえ、この手から四索ツモ切りは中途半端。手牌読みに酔っているだけだ。
今日のテーマは読みではない。読みに頼りはじめたら今後打牌が捻くれる。
なら最高形で押し切るか。と考えていた時にツモ四索
ここまで手が仕上がってくれた事に感謝し、意を決して七索を放つ。
「ロン。7,700。」「はい。」
視聴された方はさすがに行き過ぎだと思ったはずだ。何も7,700とわかって打つ事はない。
放銃を避けて別の局で勝負すればいい。かくいう私も普段なら好調時でも七索で、不調時ならその前の九索または八索でストップだ。
私の中では1回戦の安田へ345の放銃の時と同じ。前に出る代償は承知の上で、戦う気持ちだ。
早いリーチにまっすぐと分かり切ったソウズのホンイツへの放銃は、全く別物だがテーマを尊重した。
この局は加点こそ出来なかったが、常に戦える状態を作るために必要な放銃もあるだろうと覚悟していたし、想定で最安の7,700で済んだ。不思議と心は揺れなかった。
 
【テーマ4 安い鳴きをしない】
元々面前主体の麻雀を好み、手役を大事にしながらツモれる待ちを作るよう心がけるのを理想としている。
メンゼンツモが最も好きな役であり、そこを大切にしようと思った。
かわし手というのは高度な読みを必要とする高度技術であり、武器の1つとして身に付けたいと日頃から勉強しているが、今回のテーマと反するので極力封印した。
 
【ゲームメイクの練習不足】
以上の4つに加え、点棒と総合ポイントを踏まえた場況判断。
この部分はいくら想定してトレーニングしてもやはり決勝の舞台。全く思い描いたものと逆の事ばかりしてしまった。日頃から一生懸命打っているつもりではあったが、この一局は何をすべきかを考える意識がまだ甘かった事を痛感した。今後はどんな局も明確な目標を持ち、より緊張感を持って打たなければならないと思う。
 
【初心と可能性】
理想とする麻雀をいくら思い描いても、実現に向けて努力しても、大事な局面で最高のパフォーマンスをするのは本当に難しい。未熟さや心の弱さに直面した場面もあり、反省点は挙げたらキリがない。
決勝を終えた今、少しでも成長するために、牌効率や字牌の切り順から勉強し直している。
第8期女流桜花を優勝出来た事は、応援してくれた人達の喜ぶ顔が見られて最高に嬉しいが、自分は強いから優勝したなどと自惚れる気持ちは微塵も持てなかった。
ただ、今回晒してしまったみっともない姿も、あの日持てる全てを込めて精一杯戦う吾妻さおりだった。
タイムシフトを見て、自分らしさが存分に発揮された場面も、別人のようにもがいている格好悪い自分も引っくるめてほんの少しだけ誇りに思い、麻雀をまた一つ好きになる。
もっとああすれば、こうすればと課題は山積みになっているが、そこを1つずつ改善したらもっと強くなれる。次はもっといい麻雀が打てるはず。今回の経験で理想像はより明確になった。その為に何をすべきか考え、今までの何倍も努力すれば、自分の思い描く麻雀を貫いて優勝出来る日が来るかも知れない。
以前より微かに可能性の光が大きく見えた。
 
【白い線】
最初は打ち手というより、麻雀を広めたい一心でプロになった。
研修を終え晴れてプロを名乗り、一斉にスタートラインから走り出した。
まだこの道に何があるのか見えないままがむしゃらに進んだ、プレイヤーとしての険しい道。
前は沢山の先人が止まらずに走り続けている。
後ろからは力をつけた若者達が虎視眈々と私を追い抜こうとしている。
ふと前を見ると道の横いっぱいに描かれた白い線が見えて来た。
その手前まで行き立ち止まって鮮やかな白に視線を落とす。
これが私の第2のスタートライン。
ここまで出逢った人達に感謝したくなり「ありがとうございます」とつぶやいた。
頭に浮かぶのはどれも笑顔で「これからも頑張れ!」と励ましてくれる。
また走る力をもらった。
果てしなく続くこの道は麻雀プロだけのものだと思うと急に愛おしくなり、
両の足でしっかり踏みしめてから、全力疾走でスタートを切る。
長い道のその遥か向こうには眩い光が溢れている。
 
【バトンの行方】
次のバトンは第25期チャンピオンズリーグ優勝の森岡貞臣プロにお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。

第87回『見えないもの』

今回は、「メンタル」や「運」「流れ」といった、見えないものについて書いていこうかと思います。

まず麻雀は、リアルであろうとネットであろうと、CPUが相手ではない限り、人対人の戦いであるということを理解しないといけません。
特にネット麻雀では、相手が画面であるので、この意識を持ちづらいとは思いますが、常に相手が3人とも目の前にいるものだと自覚しましょう。

そして相手が人であるならば、感情というものが存在します。
この感情という部分は、決して見えるものではありませんが、相手の感情を理解する事も麻雀において、非常に大事な事だと思います。

最近、運や流れといったものに対して、皮肉の様な言葉をかけるデジタル派という方々をネット上なんかでよく目にしますが、そのほとんどがそういった見えないものを頭ごなしに否定し、食わず嫌いな状態であると見受けられます。

別に肯定しろと言っているわけじゃないのですが、自分はどんなものであろうとも実際に目で見て耳で聞いて、
初めてそれが有用であるかどうかを考えるタイプの人間なので、こういった食わず嫌いな事に対してあまり理解できません。

そもそも、デジタルとかオカルトとかいう論争というか言葉なんて、ネット上でしかあまり耳にしませんし、
実際に雀荘にいってそんな会話している人もあまり聞きません。

それに、麻雀は最初にも書いた通り感情を持った相手が常に3人いるわけですから、自分がデジタルだどうこうの前に、相手がどういうタイプであるかを考えなければなりません。

なので、まずは相手を理解する為にも自分がどうこうではなく、相手のタイプを知るためにも食わず嫌いは止めたほうがいいと思います。

デジタル、オカルト(そもそもデジタルの逆はアナログかと思いますが)といわれるものを両方知った上で、どちらかに傾倒したとしても、もう片方の知識は人を相手に麻雀を打つ上で間違いなく価値のあるものになる事でしょう。それだけ知識の幅が広がるのですから。

とはいっても、運とか流れなんて意味がわからない。
ごもっともな意見だと思います。

見えないものは見えないから、計算すれば見える確率論の方がわかり易い。
これももっともな意見です。

運や流れは人それぞれ解釈が違うし、必ずしもそれが毎回良い結果になるかもわからないので、いきなりそういった話をされても中々理解するのは難しい。

それなら、まずはわかりやすい部分から説明をしていくとしましょう。

麻雀を打っていて、今日はツイている、ツイていない。こういった感情を持つ事は多々あると思います。
どんな待ちでもリーチしてツモれたり、逆に3面張や5面張といった待ちが、カンチャンやペンチャンに何度も負けたり。

もちろんツイている日もあればツイていない日もあると思います。
自分はここに流れや勢いといった要素の根本があると考えます。

例えば、ツイている日は普段よりも攻めてみたらどうでしょう?
逆に、ツイていない日は普段よりも守ってみたらどうでしょう?

断トツのトップ目に立ったとき、リーチに対してあまり手が整っていないのでオリたら、結果的に、自分のアガりの方が早かった時はありませんか?
逆に、断トツのラス目で早い好形のテンパイが入ったら追いかけられて放銃してしまった事は?

誰にだってこういった経験はあると思います。
もちろん、これを確率的にたまたまと結論付け、長い目で見れば収束すると完結してしまうのも1つの考えです。
しかし、本当に麻雀の確率という要素は収束するのでしょうか。

麻雀は非常に複雑なゲームです、136枚の麻雀牌を4人のプレイヤーでやり取りするわけですから、例え1局であろうとも、その組み合わせは無限と言っても差し支えのないぐらいのものです。

そんなゲームを1人のプレイヤーの打ち筋が確率どおりに収束するには、果たしてどれだけの試行回数が必要なのか。ちょっと自分には想像がつきません。

少し話が逸れますが、パチスロみたいに1日8000回転も回せるような物であっても、1日単位で機械割通りに収束する事は稀です。数十万、数百万いう回数を重ね、初めて確率通りに落ち着くものです。

それに比べ、麻雀は1局でも数分、1半荘なら数十分から1時間程度かかります。
そもそもゲーム性が全く違うので、同列に扱うのは間違っているとは思いますが、それでも半荘を数十万、数百万と打てる人はこの世にはいません。
どんなに頑張っても、月に数百、年間では数千といったところでしょう。

話は戻りますが、そんなゲームである以上、麻雀を確率で全て語るのは難しいのではないかと思うのです。

特に我々麻雀プロは、リーグ戦や各種タイトル戦において、限られた回数内で結果を出さなければなりません。
どんなに何切る問題で正解を出せる人がいたとしても、タイトル戦やリーグ戦で優勝出来なければ意味はありません。
その短いスパンで結果を出すには、確率以外の何かが必要ではないでしょうか。

その何かというのがツキ、流れといったものだと思います。
もちろんそういった要素は目には見えません。
しかし、各々が長い年月をかけて麻雀を打ち続けた結果、自分の中で構築されたシステムが出来上がります。
数学的な根拠はなかったとしても、経験則と言う名のバックボーンに裏づけされたものです。
自分の中で、それに従った結果、確率以上の何かを見出せたのであれば、それは立派な戦術であり、戦略といえます。

大先輩である荒正義プロは、10年程前にマスターズと王位を同じ年度内で優勝しました。
マスターズの参加者は200名前後、王位戦はベスト72シードだとしても、単純に優勝する確率は14400分の1
さらに、どちらの決勝にも藤崎智プロが残っているとなれば、最早確率じゃないですよね。

当然、実力といった要素が含まれれば確率は変動するでしょうが、4人で戦う以上、毎回トップが取れるなんて漫画の世界の様な人間は存在しません。
それでも事実、こういった事が度々起こるのは、いかに自分のツキや調子、バイオリズムなど見えないステータスが上向きな時に、それを信じて戦う事ができたのではと思います。

自分も今でこそ、あまりうだつの上がらない存在になりつつありますが、連盟に入って12年の中でA2リーグに昇級、王位戦優勝、十段戦決勝、A1リーグに昇級といったそれなりに、輝かしい経歴は集中した時期に起きています。
もちろんプロになった頃に比べて、実力的な部分も大きく変化したとは思いますが、ツキのある時期に自分のパフォーマンスを生かす事が出来た結果、実力以上の結果を出せたと考えられます。

さて、そんなツキですが、これはどんな人でも一定ではありません。
宝くじで1等が当たる人もいれば、何十年と買い続けても毎回300円しか当たらない人だっているのと一緒で、
麻雀においても、ツイている人もいればにツイていない人だっている事でしょう。

しかし、ツキというものは非常に繊細なもので、ひょんな事から自分に寄ってくることもあれば離れていってしまう事もあります。
小さいミスであったり、相手のファインプレイであったり、原因は様々ですが、自分の中で考える一番の要因は感情にあると思います。

どんなにツイいたとしても、そのツキを持った人間の感情がネガティブなものであれば、自分を信じる事が出来ずにせっかくのチャンスを生かす事無く終わってしまいます。
逆に、ポジティブであればツキを生かして、大きなチャンスを生み出す事ができるでしょう。

病は気からという言葉がある様に、自分はダメだとか、勝てないとかそんな感情に満たされてしまえば、それは打牌にも現れ、攻めるべき状況でも常に安全牌を抱え、簡単なアガリを逃しをしてしまいます。
そして、いつしか自分が攻めるべきではない状況で攻めざるを得なくなり、それが大きな失点に繋がっていきます。

どこかで聞いた事のある話ですが、去年の11月、12月の自分のリーグ戦での戦い方です。これ。
ネガティブであるという事は、本当に自分がツイてなく守るべき状況であれば失点を小さく済ます事ができるかもしれませんが、基本マイナスでしかありませんからね。

とはいっても、ノー天気に考えろというわけではなく、あくまで自分の状態や場の状況に合わせてポジティブになれということです。
まずは真っ直ぐいって自分の状態を見極めてから、それにあった打牌を行うという事を聞いた事があるかもしれませんが、全く持ってその通りだと思います。

見えない物を恐れて逃げ回るのではなく、まずは戦う事によって相手の力量を知ることが大切です。
恐れて逃げ回っていた相手は、もしかしたら小さな蟻なのかもしれないわけですからね。

中級/第87回『見えないもの』

今回は、「メンタル」や「運」「流れ」といった、見えないものについて書いていこうかと思います。
まず麻雀は、リアルであろうとネットであろうと、CPUが相手ではない限り、人対人の戦いであるということを理解しないといけません。
特にネット麻雀では、相手が画面であるので、この意識を持ちづらいとは思いますが、常に相手が3人とも目の前にいるものだと自覚しましょう。
そして相手が人であるならば、感情というものが存在します。
この感情という部分は、決して見えるものではありませんが、相手の感情を理解する事も麻雀において、非常に大事な事だと思います。
最近、運や流れといったものに対して、皮肉の様な言葉をかけるデジタル派という方々をネット上なんかでよく目にしますが、そのほとんどがそういった見えないものを頭ごなしに否定し、食わず嫌いな状態であると見受けられます。
別に肯定しろと言っているわけじゃないのですが、自分はどんなものであろうとも実際に目で見て耳で聞いて、
初めてそれが有用であるかどうかを考えるタイプの人間なので、こういった食わず嫌いな事に対してあまり理解できません。
そもそも、デジタルとかオカルトとかいう論争というか言葉なんて、ネット上でしかあまり耳にしませんし、
実際に雀荘にいってそんな会話している人もあまり聞きません。
それに、麻雀は最初にも書いた通り感情を持った相手が常に3人いるわけですから、自分がデジタルだどうこうの前に、相手がどういうタイプであるかを考えなければなりません。
なので、まずは相手を理解する為にも自分がどうこうではなく、相手のタイプを知るためにも食わず嫌いは止めたほうがいいと思います。
デジタル、オカルト(そもそもデジタルの逆はアナログかと思いますが)といわれるものを両方知った上で、どちらかに傾倒したとしても、もう片方の知識は人を相手に麻雀を打つ上で間違いなく価値のあるものになる事でしょう。それだけ知識の幅が広がるのですから。
とはいっても、運とか流れなんて意味がわからない。
ごもっともな意見だと思います。
見えないものは見えないから、計算すれば見える確率論の方がわかり易い。
これももっともな意見です。
運や流れは人それぞれ解釈が違うし、必ずしもそれが毎回良い結果になるかもわからないので、いきなりそういった話をされても中々理解するのは難しい。
それなら、まずはわかりやすい部分から説明をしていくとしましょう。
麻雀を打っていて、今日はツイている、ツイていない。こういった感情を持つ事は多々あると思います。
どんな待ちでもリーチしてツモれたり、逆に3面張や5面張といった待ちが、カンチャンやペンチャンに何度も負けたり。
もちろんツイている日もあればツイていない日もあると思います。
自分はここに流れや勢いといった要素の根本があると考えます。
例えば、ツイている日は普段よりも攻めてみたらどうでしょう?
逆に、ツイていない日は普段よりも守ってみたらどうでしょう?
断トツのトップ目に立ったとき、リーチに対してあまり手が整っていないのでオリたら、結果的に、自分のアガりの方が早かった時はありませんか?
逆に、断トツのラス目で早い好形のテンパイが入ったら追いかけられて放銃してしまった事は?
誰にだってこういった経験はあると思います。
もちろん、これを確率的にたまたまと結論付け、長い目で見れば収束すると完結してしまうのも1つの考えです。
しかし、本当に麻雀の確率という要素は収束するのでしょうか。
麻雀は非常に複雑なゲームです、136枚の麻雀牌を4人のプレイヤーでやり取りするわけですから、例え1局であろうとも、その組み合わせは無限と言っても差し支えのないぐらいのものです。
そんなゲームを1人のプレイヤーの打ち筋が確率どおりに収束するには、果たしてどれだけの試行回数が必要なのか。ちょっと自分には想像がつきません。
少し話が逸れますが、パチスロみたいに1日8000回転も回せるような物であっても、1日単位で機械割通りに収束する事は稀です。数十万、数百万いう回数を重ね、初めて確率通りに落ち着くものです。
それに比べ、麻雀は1局でも数分、1半荘なら数十分から1時間程度かかります。
そもそもゲーム性が全く違うので、同列に扱うのは間違っているとは思いますが、それでも半荘を数十万、数百万と打てる人はこの世にはいません。
どんなに頑張っても、月に数百、年間では数千といったところでしょう。
話は戻りますが、そんなゲームである以上、麻雀を確率で全て語るのは難しいのではないかと思うのです。
特に我々麻雀プロは、リーグ戦や各種タイトル戦において、限られた回数内で結果を出さなければなりません。
どんなに何切る問題で正解を出せる人がいたとしても、タイトル戦やリーグ戦で優勝出来なければ意味はありません。
その短いスパンで結果を出すには、確率以外の何かが必要ではないでしょうか。
その何かというのがツキ、流れといったものだと思います。
もちろんそういった要素は目には見えません。
しかし、各々が長い年月をかけて麻雀を打ち続けた結果、自分の中で構築されたシステムが出来上がります。
数学的な根拠はなかったとしても、経験則と言う名のバックボーンに裏づけされたものです。
自分の中で、それに従った結果、確率以上の何かを見出せたのであれば、それは立派な戦術であり、戦略といえます。
大先輩である荒正義プロは、10年程前にマスターズと王位を同じ年度内で優勝しました。
マスターズの参加者は200名前後、王位戦はベスト72シードだとしても、単純に優勝する確率は14400分の1
さらに、どちらの決勝にも藤崎智プロが残っているとなれば、最早確率じゃないですよね。
当然、実力といった要素が含まれれば確率は変動するでしょうが、4人で戦う以上、毎回トップが取れるなんて漫画の世界の様な人間は存在しません。
それでも事実、こういった事が度々起こるのは、いかに自分のツキや調子、バイオリズムなど見えないステータスが上向きな時に、それを信じて戦う事ができたのではと思います。
自分も今でこそ、あまりうだつの上がらない存在になりつつありますが、連盟に入って12年の中でA2リーグに昇級、王位戦優勝、十段戦決勝、A1リーグに昇級といったそれなりに、輝かしい経歴は集中した時期に起きています。
もちろんプロになった頃に比べて、実力的な部分も大きく変化したとは思いますが、ツキのある時期に自分のパフォーマンスを生かす事が出来た結果、実力以上の結果を出せたと考えられます。
さて、そんなツキですが、これはどんな人でも一定ではありません。
宝くじで1等が当たる人もいれば、何十年と買い続けても毎回300円しか当たらない人だっているのと一緒で、
麻雀においても、ツイている人もいればにツイていない人だっている事でしょう。
しかし、ツキというものは非常に繊細なもので、ひょんな事から自分に寄ってくることもあれば離れていってしまう事もあります。
小さいミスであったり、相手のファインプレイであったり、原因は様々ですが、自分の中で考える一番の要因は感情にあると思います。
どんなにツイいたとしても、そのツキを持った人間の感情がネガティブなものであれば、自分を信じる事が出来ずにせっかくのチャンスを生かす事無く終わってしまいます。
逆に、ポジティブであればツキを生かして、大きなチャンスを生み出す事ができるでしょう。
病は気からという言葉がある様に、自分はダメだとか、勝てないとかそんな感情に満たされてしまえば、それは打牌にも現れ、攻めるべき状況でも常に安全牌を抱え、簡単なアガリを逃しをしてしまいます。
そして、いつしか自分が攻めるべきではない状況で攻めざるを得なくなり、それが大きな失点に繋がっていきます。
どこかで聞いた事のある話ですが、去年の11月、12月の自分のリーグ戦での戦い方です。これ。
ネガティブであるという事は、本当に自分がツイてなく守るべき状況であれば失点を小さく済ます事ができるかもしれませんが、基本マイナスでしかありませんからね。
とはいっても、ノー天気に考えろというわけではなく、あくまで自分の状態や場の状況に合わせてポジティブになれということです。
まずは真っ直ぐいって自分の状態を見極めてから、それにあった打牌を行うという事を聞いた事があるかもしれませんが、全く持ってその通りだと思います。
見えない物を恐れて逃げ回るのではなく、まずは戦う事によって相手の力量を知ることが大切です。
恐れて逃げ回っていた相手は、もしかしたら小さな蟻なのかもしれないわけですからね。

第4期麻雀グランプリ MAX二次予選レポート

昨日に引き続き、第4期グランプリMAX2次予選が新橋にて行われた。

昨日の1次予選の勝ち上がり者10名と、シード選手10名の計20名が5卓に別れ、同一メンバーで半荘5回戦を行い、ポイント上位2名が夏目坂スタジオにて行われる、ベスト16へと駒を進める。

 

A卓(森山茂和VS灘麻太郎VS望月雅継VS浜上文吾)


100

100
灘麻太郎
100
森山茂和
100
望月雅継
100
浜上文吾

 

“カミソリ灘”こと灘名誉会長と森山茂和現会長との新旧会長対決。
そこに、2次予選から登場の望月(A1)と勝ち上がりの浜上(B2)。
誰が勝ち上がるのか予想が難しい。

立ち合い人の対局開始の号令からわずか、起家の灘24,000炸裂。何という元気さか。
放銃は、リーチをしていた浜上。開局いきなり5,000点持ちとなってしまう。
しかし続く東2局では、

四万四万四万五万六万六万六万八万八万八万北北北  ツモ四万

高めメンホン四暗刻。安めだがこれを浜上がアガリ返す。
荒れ場を予感させたが、南場に入りやや静観。
1回戦目は、灘名誉会長が60,000点越えのトップ。

続く2回戦、またしても灘がリード。
東家・灘

四索四索九筒九筒九筒東東西西西  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ドラ四索

連風牌の東をツモれば8,000オールのこのテンパイ。

南家・望月

五万六万六万六万七万五索七索二筒三筒四筒五筒六筒東

このチャンス手ではあるもののテンパイが入らない。
テンパイが入らない事が逆に調子の良さかもしれない。
この局は、森山現会長が東を勝負して収束。

灘が2連勝。
望月は2着ではあるものの、47,300点まで素点を伸ばし、2回戦終了時の成績がこちら。

灘+75.2P 望月+13.7P 浜上▲35.4P 森山▲53.5P

灘は3着まで110P以上を付き離しすでに当確か。

3回戦は後のない浜上・森山の番。
浜上、東場の親で連荘し3本場。

四万四万七万八万九万一筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ三筒

3,900は4,200オール。持ち点は50,000を超える。
しかし灘、親番で

三万三万四万五万  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ツモ六万

4,000オールで簡単には沈まない。
ツモアガリが多く、失点を免れられない森山の我慢がついに昇華。
南家・森山

三索三索四索四索四索八索八索北北北  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ツモ三索  ドラ四索

この4,000・8,000。
北家・森山

三万四万五万六万七万東東北北北  ポン中中中  ロン二万

そしてこの8,000点は望月から。
森山の波は4回戦も続き、70ポイント差を半荘2回でひっくり返し最終戦へ。

灘+74.4P 森山▲12.7P 望月▲14.3P 浜上▲41.1P

最終戦、森山・望月は着順勝負。浜上は2人を交わさなければいけないために、50,000点以上が最低条件。
2人の着順勝負であるため、灘や浜上(ある程度までは)にトップを取られてもいい打ち方をする人が多いが森山は違う。損得ではない麻雀本来の勝負がそこにはあった。

南3局、持ち点は望月38,600点、森山36,100点、大接戦。
南3局2本場、望月が3,900は4,500を灘からロンアガリ。

オーラス、望月46,100点、森山35,100点。
親は森山、しかしあまりにも無情な時間切れでこれが最終局となってしまう。
メンホン七対子ドラドラのテンパイを入れるも流局。

観戦者達の心の声が聞こえてきそうだった。
「次の一局はきっと・・・」その先は人それぞれ胸の裡に。

1位通過 灘麻太郎
2位通過 望月雅継   ベスト16進出

 

B卓(柴田弘幸VS河井保国VS吾妻さおりVS安村浩司)


100

100
柴田弘幸
100
河井保国
100
吾妻さおり
100
安村浩司

 

2次予選から登場の女流桜花・吾妻、鳳凰位決定戦進出を目前で逃した柴田(A1)ら相手に、桜花の麻雀はどこまで通用するのか見物。
そして河井(B1)安村(B2)の両名。この2人は新たなライバル関係かもしれない。
河井は24期、安村は25期と1期違い。共に低段から十段戦ベスト16へ進み、王位戦では河井はあと一歩でベスト16を逃し、安村はベスト16へ。逆に、リーグ戦では先に河井がAリーグへ、安村はC1リーグ優勝に続き、B2リーグ優勝の位置から最終節惜しくも昇級を逃した。
今年最後の公式戦で、ベスト16の壁を乗りこえる挑戦権は共に得たいはず。

1回戦、女流桜花になったばかりの勢いそのままに、東家・吾妻。

一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒南南西西  リーチ  ドラ八筒

この18,000点を柴田からロンアガリ。
しかし連荘をさせない安村。

一万一万一万五索五索六索七索八索七筒七筒八筒八筒九筒  リーチ  ツモ九筒  ドラ八筒

吾妻は大きなハンデを得たが、終わってみれば沈みの2着で、安村が1人浮きのトップ。

2回戦は河井のターン。リーチツモ七対子ドラ2などをアガリ45,000点のトップ。
吾妻は1回戦に引き続き、40,000点オーバーから尻すぼみの展開。
A1の柴田が連続ラスと、1人沈みで大きく出遅れる。

しかし3回戦、東場で河井が50,000点を超え連勝を決めるも、柴田はなんとか食らいつき、ようやく浮くことに成功。

3回戦終了時。
河井+40.1P 安村+3.0P 吾妻▲8.9P 柴田▲34.2P

4回戦、親の柴田

四万五万五万五万六万六万三索四索五索四筒五筒六筒中中  ドラ四筒

この形から五万切りリーチ。
すると西家・吾妻が追いかけリーチ。

六万七万八万四索五索六索四筒四筒四筒白白北北  リーチ

高めをツモれば、親の満貫クラスなので両面は普通だが、シャンポン受けならば二度のアガリを逃していた柴田。
肝を冷やしていたはずだが、七万をツモり事なきを得た。

親の安村、初動は八索ポンから。その時の形がこれ。

七万七万六索九索九索九索白白中中  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ドラ五索

役役トイトイ、あわよくばホンイツトイトイまでという仕掛けだが、ここでドラの五索を引いて、七万のトイツ落としでホンイツへ。そこで吾妻は、役無しドラ無しの、愚形残りの1シャンテンで白をリリース。
このたった一打が敗因に繋がった可能性がある。(現在の標的は安村)

ここから一気に場が動く。
柴田からメンタンピンドラ1のリーチ。
しかし、七対子ドラ2の河井が安村へ痛い12,000。

五索六索九索九索九索中中  ポン白白白  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ロン七索  ドラ五索

安村56,000点まで吹き上がる。
この後、河井は吾妻に8,000を放銃して大きい4着を取ってしまう。

4回戦終了時
安村+37.6P 河井+6.3P 吾妻▲20.5P 柴田▲23.4P

安村はほぼ当確。河井は原点キープが必要。
親・柴田

四万四万七索七索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ドラ四筒

このヤミテンが入るも、河井が300・500で交わし柴田のグランプリはここで終了。
親番で吾妻が女流桜花の意地を見せてオーラス。
親が安村なので1局勝負。

吾妻46,300(+3.8P)河井33,000(+13.3P)満貫ツモで逆転。
北家・吾妻リーチ。

四万五万五万六万六万七万四索五索六索二筒二筒北北  リーチ  ドラ五索

北を河井から出アガるかツモアガると逆転だったが流局。
桜花が2次予選で散った。

1位通過 安村浩司
2位通過 河井保国   ベスト16進出

 

C卓(勝又健志VS二階堂瑠美VS佐々木寿人VS前田直哉)


100

100
勝又健志
100
二階堂瑠美
100
佐々木寿人
100
前田直哉

 

麻雀IQ200。一昨年の覇者で、昨年も決勝に進みグランプリと相性の良さそうな勝又(A2)の登場。
A2リーグを優勝し、来期からは、同卓者前田(A2)とともにA1リーグ挑戦が決まっている。
その前田も1次予選は圧巻の出来。本日はどうか。

そして、今年同じくA2リーグで切磋琢磨した佐々木(A2)。
今年は初のAリーグ、十段戦で初めて一段だが階段を登り、このグランプリも初出場して1次予選を突破。
その強者3名に相対するのはプロクイーンの二階堂瑠美。とても興味深い卓組となった。

1、2回戦、リーグ戦の好調そのままに勝又が連勝、佐々木は連続4着になってしまう。
東場、勝又

一万二万三万九万九万一索二索東東東  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

この2,600点が一筒を加カンしてリンシャンから三索をツモり1,600・3,200。

オーラス21,600点持ちの二階堂瑠美。

三万四万四万四万四万七万七万八万八万八万  ポン中中中  ロン二万  ドラ二万

放銃はトップ目の前田。放銃した形は以下。

二筒四筒四筒五筒六筒七筒七筒東東東  暗カン牌の背西西牌の背

ホンイツ七対子の1シャンテンからのテンパイ。
1回戦とういうことでやむなしか。
しかし、これにより佐々木は1人沈み。

3回戦、後のない佐々木が、跳満を引きアガリ親番で60,000点オーバー。
南場、東家・瑠美。

三索三索七索七索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  暗カン牌の背七万 上向き七万 上向き牌の背  リーチ  ドラ七万

ここに、リーチしていた勝又が放銃となり18,000。
箱下20,000点の4着で、並びががらりと変わってしまった。

4回戦終了時
二階堂瑠美+35.1P 前田+17.3P 佐々木▲20.2P 勝又▲32.2P

一万二万三万四万五万六万三索三索四索五索六索四筒五筒  リーチ  ロン六筒

この11,600などをアガリ、最終戦も二階堂瑠美が55,000点を超えるトップ。
最後まで序列は変わらず。

1位通過 二階堂瑠美
2位通過 前田直哉    ベスト16進出

 

D卓(伊藤優孝VS和久津晶VS魚谷侑未VS四柳弘樹)
100

100
伊藤優孝
100
和久津晶
100
魚谷侑未
100
四柳弘樹

 

鳳凰位決定戦の激闘冷めやらぬ伊藤(A1)
マスターズ準優勝の四柳(A2)
この2人は2次予選からのシード。
そして、昨日の1次予選に引き続き、女流決定戦にのぞむ和久津(B2)は、ライバルと公言している魚谷(C2)との再戦。

1回戦から和久津VS魚谷がぶつかりあう。
魚谷がリーチ。

七万八万九万一索二索四索五索六索七索八索九索白白  リーチ  ドラ三万

しかし親の和久津に放銃。

二索三索四索五索六索二筒二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ロン四索

さらに、ヤミテンの四柳にも満貫放銃。

六万六万六万四索四索六索八索七筒七筒七筒白白白  ドラ四索  ロン七索

緒戦は箱割れ近い大きい4着。和久津が47,000点のトップ。
2回戦も和久津のペース。点棒を積み重ねていく。
しかし伊藤も黙っていない。

二万三万四万中  ポン南南南  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ロン中

大きい7,700。飛び込んだのは和久津。
ここから4着まで落ちてしまう。並びは1回戦と真逆になり接戦へ。

3回戦は魚谷の跳満からスタート。

五万五万五万六万七万五索六索七索三筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四筒  ドラ三筒

しかし、同じ三色でもこちらはヤミテンで実らず。

二万二万三万三万四万四万二索三索四索六索六索二筒三筒  ドラ二索

すると和久津が、南場の親番で大連荘し50,000点を超える。
魚谷も放銃し、原点を割るが今度は私の番と、

三索四索六索六索八筒八筒八筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ドラ八筒

この11,600点に飛び込んだのは伊藤。ついに箱下へ。
4回戦目も流れは変わらない。
伊藤は東2局で、

一万一万二万二万三万三万六筒六筒七筒八筒八筒九筒九筒

綺麗な手をリーチしてツモアガリしたが、終わってみれば1人沈みの4着。
4回戦を終えて、和久津と魚谷が交互にトップを取り独占状態。

和久津+38.0P 魚谷+18.5P 四柳+3.7P 伊藤▲60.2P

最終5回戦、ついに四柳の番。
魚谷の親番で、西家・四柳がフリテンリーチ。

七万八万九万三索四索五索六索七索九索九索六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五索  ドラ九索

まず魚谷を交わす。
すると、和久津の親番で丁寧に手作りして決めに行くリーチ。

二万三万四万二索三索七索八索九索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ  ロン一索  ドラ七索

ここは和久津が安めを放銃。
和久津は放銃後もやや余裕の表情。

しかし、ここまで余裕をもっていた和久津であったが、この後じりじりと点数がなくなり、南場の親では伊藤に、満貫をツモられてしまい伊藤が3着、和久津が4着へ。

すると南3局、四柳の親では、今度は四柳が伊藤に8,000の放銃。
伊藤が30,000点を超えてこの半荘2着目になる。
最終戦オーラス持ち点とポイント(合計P)

東家 伊藤35,700+9.7P(▲50.5P)
南家 魚谷29,900▲4.1P(+14.4P)
西家 和久津15,200▲22.8P(+15.2P)
北家 四柳39,200+17.2P(+20.9P)

伊藤は連荘を続けるのみ。跳満2回以上が必要。
女流対決はわずか0.8ポイント差のためアガリ条件。
四柳は、魚谷と和久津には、この半荘2着に落ちてしまうため3,900は放銃出来ない。
伊藤がツモアガリした場合も2着になり一気に3者の競りとなるが、有利なのには変わりなし。

魚谷は手牌が整う前から役無しで仕掛けていき、役牌を重ねる。
和久津はRが暗刻で上家が魚谷の為、仕掛けやすかったが、動かない。
伊藤がドラをポンし、一気に場に緊張感が走るが、魚谷がツモ牌を手元に引き寄せた。

1位通過 魚谷侑未
2位通過 四柳弘樹  ベスト16進出

 

E卓(滝沢和典VS杉浦勘介VS石渡正志VS中村毅)


100

100
滝沢和典
100
杉浦勘介
100
石渡正志
100
中村毅

 

この卓にはタイトル戦で活躍した2名がここからのシード。
B2リーグを優勝し、王位戦でも準優勝の杉浦(B2)
十段戦で第3位の中村(B1)
そして1次予選圧勝の石渡(A2)
2位だったものの絶好調の滝沢(A2)
攻撃力では中村、繊細さの杉浦、滝沢、この卓ではベテランの石渡。

玄人好みのこの卓、初戦は南場途中まで小場で進み、ワンチャンスをものにした石渡が、素点は小さいものの大きい1人浮きのトップを取る。

2回戦目も石渡が好調。
東家・石渡、安めと高めに差のあるこの手も3,900オール。

二万三万五万六万七万六索六索六索五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ツモ四万  ドラ四万

南3局、東家・中村がリーチ。

一万二万三万三万四万五万一索一索二索三索一筒二筒三筒  リーチ

すると1回戦4着、2回戦も現在4着目の西家の杉浦が優しくツモ。
発声は8,000・16,000!

二筒八筒八筒八筒九筒九筒九筒発発発  暗カン牌の背七筒 上向き七筒 上向き牌の背  ツモ二筒

ファーストテンパイは、

二筒四筒八筒八筒九筒九筒九筒発発発  暗カン牌の背七筒 上向き七筒 上向き牌の背

ここに八筒を持ってきて四暗刻単騎に。ちなみに七筒暗カンのリンシャン牌は発

3回戦は中村が主役。
満貫をツモアガると、次は絶妙なヤミテン。

六万七万八万三索三索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ロン六索  ドラ六筒

放銃は杉浦。

南4局、親・滝沢。
中村49,500 滝沢29,500 石渡21,100 杉浦19,800

並びがいいだけに、滝沢はなんとか浮きに回りたい所だが、杉浦からリーチが入ってしまう。
しかし滝沢が、

四万四万六索六索七索七索八索八索三筒三筒南南西

この七対子をアガリ浮いて3回戦目を終える。

4回戦もかなり小場であったが、石渡が親でリーチ

四索四索五索五索六索六索二筒四筒北北北白白  リーチ

杉浦も

七万八万九万七索八索九索六筒七筒八筒九筒東東東  リーチ

ここは石渡が高め8,000を放銃。

杉浦39,200 石渡29,200 滝沢25,800 中村25,800

オーラス、中村が力の入った発声でリーチ。

三万三万四万五万六万五索六索六索七索八索四筒五筒六筒  リーチ  ツモ四索

高めをツモアガリ3,000・6,000で2連勝。

4回戦終了時
中村+15.3P 石渡+5.6P 杉浦+5.6P 滝沢▲26.5P

誰が勝ち上がるか全くわからない展開。
滝沢も50,000点のトップを取れれば大体通過だろう。
その滝沢、東2局の親番。

三万三万三万二索二索二索二筒二筒四筒四筒  ポン東東東  ロン二筒

石渡から大きい12,000。
続く1本場も、

一万一万四万五万六万六索七索八索六筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  ドラ八索

このリーチは空振り。
次局、対局者をぐったりさせる、石渡のリーチツモ七対子ドラドラで失点を挽回。

東4局親、石渡が畳み掛けるリーチ。

二万二万二万六万六万六索六索七索八索九索一筒一筒一筒  リーチ

すると、南家・中村が気配を消しながら、石渡の現物である九万で国士無双テンパイ。
滝沢の手に九万が2枚ともあったが、さすが滝沢、安易には切らず勝負は先送りに。

南場に入り、
石渡3,7000 滝沢31,800 中村31,700 杉浦19,500

攻めたい所だが、滝沢には大きい2局連続の1人ノーテン。
親も落ちてしまい、ここで滝沢のグランプリは終わってしまった。

最終決戦は、杉浦の親番に訪れた。
東家・杉浦

四万四万一索一索二索五索五索六索六索六筒六筒北北  リーチ  ドラ六筒

ノータイムで先制リーチを放つ。
南家・石渡

一万二万三万三索三索三索五索六索七索六筒六筒七筒八筒  リーチ

全て勝負し追いかけリーチ。
最終決戦の結末は、杉浦の6,000オールで閉幕。
オーラスの石渡の親は、中村が満貫をアガリ3連勝で終局した。

1位通過 中村毅
2位通過 杉浦勘介  ベスト16進出

 

2次予選勝ち上がりの10名に、以下のシード選手6名を加え

現グランプリ 前原雄大
鳳凰位 藤崎智
十段位 瀬戸熊直樹
王位  森下剛任
マスターズ 小車祥
最強位  沢崎誠

場所を夏目坂スタジオに移し、いよいよベスト16が行われる。

グランプリ レポート/第4期麻雀グランプリ MAX二次予選レポート

昨日に引き続き、第4期グランプリMAX2次予選が新橋にて行われた。
昨日の1次予選の勝ち上がり者10名と、シード選手10名の計20名が5卓に別れ、同一メンバーで半荘5回戦を行い、ポイント上位2名が夏目坂スタジオにて行われる、ベスト16へと駒を進める。
 
A卓(森山茂和VS灘麻太郎VS望月雅継VS浜上文吾)

100

100
灘麻太郎
100
森山茂和
100
望月雅継
100
浜上文吾

 
“カミソリ灘”こと灘名誉会長と森山茂和現会長との新旧会長対決。
そこに、2次予選から登場の望月(A1)と勝ち上がりの浜上(B2)。
誰が勝ち上がるのか予想が難しい。
立ち合い人の対局開始の号令からわずか、起家の灘24,000炸裂。何という元気さか。
放銃は、リーチをしていた浜上。開局いきなり5,000点持ちとなってしまう。
しかし続く東2局では、
四万四万四万五万六万六万六万八万八万八万北北北  ツモ四万
高めメンホン四暗刻。安めだがこれを浜上がアガリ返す。
荒れ場を予感させたが、南場に入りやや静観。
1回戦目は、灘名誉会長が60,000点越えのトップ。
続く2回戦、またしても灘がリード。
東家・灘
四索四索九筒九筒九筒東東西西西  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ドラ四索
連風牌の東をツモれば8,000オールのこのテンパイ。
南家・望月
五万六万六万六万七万五索七索二筒三筒四筒五筒六筒東
このチャンス手ではあるもののテンパイが入らない。
テンパイが入らない事が逆に調子の良さかもしれない。
この局は、森山現会長が東を勝負して収束。
灘が2連勝。
望月は2着ではあるものの、47,300点まで素点を伸ばし、2回戦終了時の成績がこちら。
灘+75.2P 望月+13.7P 浜上▲35.4P 森山▲53.5P
灘は3着まで110P以上を付き離しすでに当確か。
3回戦は後のない浜上・森山の番。
浜上、東場の親で連荘し3本場。
四万四万七万八万九万一筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ三筒
3,900は4,200オール。持ち点は50,000を超える。
しかし灘、親番で
三万三万四万五万  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ツモ六万
4,000オールで簡単には沈まない。
ツモアガリが多く、失点を免れられない森山の我慢がついに昇華。
南家・森山
三索三索四索四索四索八索八索北北北  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ツモ三索  ドラ四索
この4,000・8,000。
北家・森山
三万四万五万六万七万東東北北北  ポン中中中  ロン二万
そしてこの8,000点は望月から。
森山の波は4回戦も続き、70ポイント差を半荘2回でひっくり返し最終戦へ。
灘+74.4P 森山▲12.7P 望月▲14.3P 浜上▲41.1P
最終戦、森山・望月は着順勝負。浜上は2人を交わさなければいけないために、50,000点以上が最低条件。
2人の着順勝負であるため、灘や浜上(ある程度までは)にトップを取られてもいい打ち方をする人が多いが森山は違う。損得ではない麻雀本来の勝負がそこにはあった。
南3局、持ち点は望月38,600点、森山36,100点、大接戦。
南3局2本場、望月が3,900は4,500を灘からロンアガリ。
オーラス、望月46,100点、森山35,100点。
親は森山、しかしあまりにも無情な時間切れでこれが最終局となってしまう。
メンホン七対子ドラドラのテンパイを入れるも流局。
観戦者達の心の声が聞こえてきそうだった。
「次の一局はきっと・・・」その先は人それぞれ胸の裡に。
1位通過 灘麻太郎
2位通過 望月雅継   ベスト16進出
 
B卓(柴田弘幸VS河井保国VS吾妻さおりVS安村浩司)

100

100
柴田弘幸
100
河井保国
100
吾妻さおり
100
安村浩司

 
2次予選から登場の女流桜花・吾妻、鳳凰位決定戦進出を目前で逃した柴田(A1)ら相手に、桜花の麻雀はどこまで通用するのか見物。
そして河井(B1)安村(B2)の両名。この2人は新たなライバル関係かもしれない。
河井は24期、安村は25期と1期違い。共に低段から十段戦ベスト16へ進み、王位戦では河井はあと一歩でベスト16を逃し、安村はベスト16へ。逆に、リーグ戦では先に河井がAリーグへ、安村はC1リーグ優勝に続き、B2リーグ優勝の位置から最終節惜しくも昇級を逃した。
今年最後の公式戦で、ベスト16の壁を乗りこえる挑戦権は共に得たいはず。
1回戦、女流桜花になったばかりの勢いそのままに、東家・吾妻。
一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒南南西西  リーチ  ドラ八筒
この18,000点を柴田からロンアガリ。
しかし連荘をさせない安村。
一万一万一万五索五索六索七索八索七筒七筒八筒八筒九筒  リーチ  ツモ九筒  ドラ八筒
吾妻は大きなハンデを得たが、終わってみれば沈みの2着で、安村が1人浮きのトップ。
2回戦は河井のターン。リーチツモ七対子ドラ2などをアガリ45,000点のトップ。
吾妻は1回戦に引き続き、40,000点オーバーから尻すぼみの展開。
A1の柴田が連続ラスと、1人沈みで大きく出遅れる。
しかし3回戦、東場で河井が50,000点を超え連勝を決めるも、柴田はなんとか食らいつき、ようやく浮くことに成功。
3回戦終了時。
河井+40.1P 安村+3.0P 吾妻▲8.9P 柴田▲34.2P
4回戦、親の柴田
四万五万五万五万六万六万三索四索五索四筒五筒六筒中中  ドラ四筒
この形から五万切りリーチ。
すると西家・吾妻が追いかけリーチ。
六万七万八万四索五索六索四筒四筒四筒白白北北  リーチ
高めをツモれば、親の満貫クラスなので両面は普通だが、シャンポン受けならば二度のアガリを逃していた柴田。
肝を冷やしていたはずだが、七万をツモり事なきを得た。
親の安村、初動は八索ポンから。その時の形がこれ。
七万七万六索九索九索九索白白中中  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ドラ五索
役役トイトイ、あわよくばホンイツトイトイまでという仕掛けだが、ここでドラの五索を引いて、七万のトイツ落としでホンイツへ。そこで吾妻は、役無しドラ無しの、愚形残りの1シャンテンで白をリリース。
このたった一打が敗因に繋がった可能性がある。(現在の標的は安村)
ここから一気に場が動く。
柴田からメンタンピンドラ1のリーチ。
しかし、七対子ドラ2の河井が安村へ痛い12,000。
五索六索九索九索九索中中  ポン白白白  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ロン七索  ドラ五索
安村56,000点まで吹き上がる。
この後、河井は吾妻に8,000を放銃して大きい4着を取ってしまう。
4回戦終了時
安村+37.6P 河井+6.3P 吾妻▲20.5P 柴田▲23.4P
安村はほぼ当確。河井は原点キープが必要。
親・柴田
四万四万七索七索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ドラ四筒
このヤミテンが入るも、河井が300・500で交わし柴田のグランプリはここで終了。
親番で吾妻が女流桜花の意地を見せてオーラス。
親が安村なので1局勝負。
吾妻46,300(+3.8P)河井33,000(+13.3P)満貫ツモで逆転。
北家・吾妻リーチ。
四万五万五万六万六万七万四索五索六索二筒二筒北北  リーチ  ドラ五索
北を河井から出アガるかツモアガると逆転だったが流局。
桜花が2次予選で散った。
1位通過 安村浩司
2位通過 河井保国   ベスト16進出
 
C卓(勝又健志VS二階堂瑠美VS佐々木寿人VS前田直哉)

100

100
勝又健志
100
二階堂瑠美
100
佐々木寿人
100
前田直哉

 
麻雀IQ200。一昨年の覇者で、昨年も決勝に進みグランプリと相性の良さそうな勝又(A2)の登場。
A2リーグを優勝し、来期からは、同卓者前田(A2)とともにA1リーグ挑戦が決まっている。
その前田も1次予選は圧巻の出来。本日はどうか。
そして、今年同じくA2リーグで切磋琢磨した佐々木(A2)。
今年は初のAリーグ、十段戦で初めて一段だが階段を登り、このグランプリも初出場して1次予選を突破。
その強者3名に相対するのはプロクイーンの二階堂瑠美。とても興味深い卓組となった。
1、2回戦、リーグ戦の好調そのままに勝又が連勝、佐々木は連続4着になってしまう。
東場、勝又
一万二万三万九万九万一索二索東東東  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き
この2,600点が一筒を加カンしてリンシャンから三索をツモり1,600・3,200。
オーラス21,600点持ちの二階堂瑠美。
三万四万四万四万四万七万七万八万八万八万  ポン中中中  ロン二万  ドラ二万
放銃はトップ目の前田。放銃した形は以下。
二筒四筒四筒五筒六筒七筒七筒東東東  暗カン牌の背西西牌の背
ホンイツ七対子の1シャンテンからのテンパイ。
1回戦とういうことでやむなしか。
しかし、これにより佐々木は1人沈み。
3回戦、後のない佐々木が、跳満を引きアガリ親番で60,000点オーバー。
南場、東家・瑠美。
三索三索七索七索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  暗カン牌の背七万 上向き七万 上向き牌の背  リーチ  ドラ七万
ここに、リーチしていた勝又が放銃となり18,000。
箱下20,000点の4着で、並びががらりと変わってしまった。
4回戦終了時
二階堂瑠美+35.1P 前田+17.3P 佐々木▲20.2P 勝又▲32.2P
一万二万三万四万五万六万三索三索四索五索六索四筒五筒  リーチ  ロン六筒
この11,600などをアガリ、最終戦も二階堂瑠美が55,000点を超えるトップ。
最後まで序列は変わらず。
1位通過 二階堂瑠美
2位通過 前田直哉    ベスト16進出
 
D卓(伊藤優孝VS和久津晶VS魚谷侑未VS四柳弘樹)
100

100
伊藤優孝
100
和久津晶
100
魚谷侑未
100
四柳弘樹

 
鳳凰位決定戦の激闘冷めやらぬ伊藤(A1)
マスターズ準優勝の四柳(A2)
この2人は2次予選からのシード。
そして、昨日の1次予選に引き続き、女流決定戦にのぞむ和久津(B2)は、ライバルと公言している魚谷(C2)との再戦。
1回戦から和久津VS魚谷がぶつかりあう。
魚谷がリーチ。
七万八万九万一索二索四索五索六索七索八索九索白白  リーチ  ドラ三万
しかし親の和久津に放銃。
二索三索四索五索六索二筒二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ロン四索
さらに、ヤミテンの四柳にも満貫放銃。
六万六万六万四索四索六索八索七筒七筒七筒白白白  ドラ四索  ロン七索
緒戦は箱割れ近い大きい4着。和久津が47,000点のトップ。
2回戦も和久津のペース。点棒を積み重ねていく。
しかし伊藤も黙っていない。
二万三万四万中  ポン南南南  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ロン中
大きい7,700。飛び込んだのは和久津。
ここから4着まで落ちてしまう。並びは1回戦と真逆になり接戦へ。
3回戦は魚谷の跳満からスタート。
五万五万五万六万七万五索六索七索三筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四筒  ドラ三筒
しかし、同じ三色でもこちらはヤミテンで実らず。
二万二万三万三万四万四万二索三索四索六索六索二筒三筒  ドラ二索
すると和久津が、南場の親番で大連荘し50,000点を超える。
魚谷も放銃し、原点を割るが今度は私の番と、
三索四索六索六索八筒八筒八筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ドラ八筒
この11,600点に飛び込んだのは伊藤。ついに箱下へ。
4回戦目も流れは変わらない。
伊藤は東2局で、
一万一万二万二万三万三万六筒六筒七筒八筒八筒九筒九筒
綺麗な手をリーチしてツモアガリしたが、終わってみれば1人沈みの4着。
4回戦を終えて、和久津と魚谷が交互にトップを取り独占状態。
和久津+38.0P 魚谷+18.5P 四柳+3.7P 伊藤▲60.2P
最終5回戦、ついに四柳の番。
魚谷の親番で、西家・四柳がフリテンリーチ。
七万八万九万三索四索五索六索七索九索九索六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五索  ドラ九索
まず魚谷を交わす。
すると、和久津の親番で丁寧に手作りして決めに行くリーチ。
二万三万四万二索三索七索八索九索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ  ロン一索  ドラ七索
ここは和久津が安めを放銃。
和久津は放銃後もやや余裕の表情。
しかし、ここまで余裕をもっていた和久津であったが、この後じりじりと点数がなくなり、南場の親では伊藤に、満貫をツモられてしまい伊藤が3着、和久津が4着へ。
すると南3局、四柳の親では、今度は四柳が伊藤に8,000の放銃。
伊藤が30,000点を超えてこの半荘2着目になる。
最終戦オーラス持ち点とポイント(合計P)
東家 伊藤35,700+9.7P(▲50.5P)
南家 魚谷29,900▲4.1P(+14.4P)
西家 和久津15,200▲22.8P(+15.2P)
北家 四柳39,200+17.2P(+20.9P)
伊藤は連荘を続けるのみ。跳満2回以上が必要。
女流対決はわずか0.8ポイント差のためアガリ条件。
四柳は、魚谷と和久津には、この半荘2着に落ちてしまうため3,900は放銃出来ない。
伊藤がツモアガリした場合も2着になり一気に3者の競りとなるが、有利なのには変わりなし。
魚谷は手牌が整う前から役無しで仕掛けていき、役牌を重ねる。
和久津はRが暗刻で上家が魚谷の為、仕掛けやすかったが、動かない。
伊藤がドラをポンし、一気に場に緊張感が走るが、魚谷がツモ牌を手元に引き寄せた。
1位通過 魚谷侑未
2位通過 四柳弘樹  ベスト16進出
 
E卓(滝沢和典VS杉浦勘介VS石渡正志VS中村毅)

100

100
滝沢和典
100
杉浦勘介
100
石渡正志
100
中村毅

 
この卓にはタイトル戦で活躍した2名がここからのシード。
B2リーグを優勝し、王位戦でも準優勝の杉浦(B2)
十段戦で第3位の中村(B1)
そして1次予選圧勝の石渡(A2)
2位だったものの絶好調の滝沢(A2)
攻撃力では中村、繊細さの杉浦、滝沢、この卓ではベテランの石渡。
玄人好みのこの卓、初戦は南場途中まで小場で進み、ワンチャンスをものにした石渡が、素点は小さいものの大きい1人浮きのトップを取る。
2回戦目も石渡が好調。
東家・石渡、安めと高めに差のあるこの手も3,900オール。
二万三万五万六万七万六索六索六索五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ  ツモ四万  ドラ四万
南3局、東家・中村がリーチ。
一万二万三万三万四万五万一索一索二索三索一筒二筒三筒  リーチ
すると1回戦4着、2回戦も現在4着目の西家の杉浦が優しくツモ。
発声は8,000・16,000!
二筒八筒八筒八筒九筒九筒九筒発発発  暗カン牌の背七筒 上向き七筒 上向き牌の背  ツモ二筒
ファーストテンパイは、
二筒四筒八筒八筒九筒九筒九筒発発発  暗カン牌の背七筒 上向き七筒 上向き牌の背
ここに八筒を持ってきて四暗刻単騎に。ちなみに七筒暗カンのリンシャン牌は発
3回戦は中村が主役。
満貫をツモアガると、次は絶妙なヤミテン。
六万七万八万三索三索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ロン六索  ドラ六筒
放銃は杉浦。
南4局、親・滝沢。
中村49,500 滝沢29,500 石渡21,100 杉浦19,800
並びがいいだけに、滝沢はなんとか浮きに回りたい所だが、杉浦からリーチが入ってしまう。
しかし滝沢が、
四万四万六索六索七索七索八索八索三筒三筒南南西
この七対子をアガリ浮いて3回戦目を終える。
4回戦もかなり小場であったが、石渡が親でリーチ
四索四索五索五索六索六索二筒四筒北北北白白  リーチ
杉浦も
七万八万九万七索八索九索六筒七筒八筒九筒東東東  リーチ
ここは石渡が高め8,000を放銃。
杉浦39,200 石渡29,200 滝沢25,800 中村25,800
オーラス、中村が力の入った発声でリーチ。
三万三万四万五万六万五索六索六索七索八索四筒五筒六筒  リーチ  ツモ四索
高めをツモアガリ3,000・6,000で2連勝。
4回戦終了時
中村+15.3P 石渡+5.6P 杉浦+5.6P 滝沢▲26.5P
誰が勝ち上がるか全くわからない展開。
滝沢も50,000点のトップを取れれば大体通過だろう。
その滝沢、東2局の親番。
三万三万三万二索二索二索二筒二筒四筒四筒  ポン東東東  ロン二筒
石渡から大きい12,000。
続く1本場も、
一万一万四万五万六万六索七索八索六筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  ドラ八索
このリーチは空振り。
次局、対局者をぐったりさせる、石渡のリーチツモ七対子ドラドラで失点を挽回。
東4局親、石渡が畳み掛けるリーチ。
二万二万二万六万六万六索六索七索八索九索一筒一筒一筒  リーチ
すると、南家・中村が気配を消しながら、石渡の現物である九万で国士無双テンパイ。
滝沢の手に九万が2枚ともあったが、さすが滝沢、安易には切らず勝負は先送りに。
南場に入り、
石渡3,7000 滝沢31,800 中村31,700 杉浦19,500
攻めたい所だが、滝沢には大きい2局連続の1人ノーテン。
親も落ちてしまい、ここで滝沢のグランプリは終わってしまった。
最終決戦は、杉浦の親番に訪れた。
東家・杉浦
四万四万一索一索二索五索五索六索六索六筒六筒北北  リーチ  ドラ六筒
ノータイムで先制リーチを放つ。
南家・石渡
一万二万三万三索三索三索五索六索七索六筒六筒七筒八筒  リーチ
全て勝負し追いかけリーチ。
最終決戦の結末は、杉浦の6,000オールで閉幕。
オーラスの石渡の親は、中村が満貫をアガリ3連勝で終局した。
1位通過 中村毅
2位通過 杉浦勘介  ベスト16進出
 
2次予選勝ち上がりの10名に、以下のシード選手6名を加え
現グランプリ 前原雄大
鳳凰位 藤崎智
十段位 瀬戸熊直樹
王位  森下剛任
マスターズ 小車祥
最強位  沢崎誠
場所を夏目坂スタジオに移し、いよいよベスト16が行われる。

第30期鳳凰位決定戦 初日観戦記後編

私の対戦前の予想は、本命に瀬戸熊、対抗に沢崎だった。

ただし、どちらが勝つかは微妙で技と芸の幅は沢崎。攻めの強さと勢いは瀬戸熊と見ていた。
誰もがそう予想すると思っていたが、違った。
前原雄大と会長の森山茂和の予想は◎瀬戸熊○藤崎だったのである。

2人の評価が高かったのは藤崎で、理由は決勝戦の残り方の「流れ」に注目したからである。
藤崎は7節目までマイナスで、陥落候補の枠に居たのだ。しかし、彼は8節目で面前の大三元をツモアガリ大きく浮上し、決定戦進出を果たした。
この「流れ」を見ていたのだ。

この時、親だったのが私である。今度は私が陥落枠に入ったのだ。
(なんてことするンだ!)である。

役満なら予選で沢崎も、見事な国士の振りテンだが13面チャン待ちを決めている。こちらは決めなくとも決勝進出確定だったから、流れ的にはそれほど価値はない。しかし、視聴者に感動を与えるという点ではどちらも素晴らしい役満だったと云える。プロはその高い芸を見せ、視聴者に感動を与えることが商売…いや「仕事」なのである。

第3戦はその沢崎が先手を取った。

gpmax2012

 

7巡目に、上家の瀬戸熊からチャンタ目の一筒が出たがスル―すると、次のツモが東だったのである。

 

gpmax2012

 

先を急ぐ打ち手なら一筒を鳴く者もいよう。だが、それではつまらない。麻雀は絵合わせゲームではないのだ。ここはサバキの場ではなく、高いアガリを狙う場面なのである。鳴けばこの東が下がり、親の伊藤と持ちもちになっていた。ならば、この手のアガリはなかったはずだ。
打点を考えるなら沢崎はここでもまだ発を重ね、手の伸びをここまで見ていたはずである。
その理想形はこうだ。

一索二索三索九索九索九索東東東西西西発発

これならツモで三暗刻が付き、文句なしの倍満になる。
もしくはこうだ。

二索三索九索九索九索東東東西西西発発

これが彼の構想力。
しかし、4巡待っても手が変わらず2枚目の発も打たれた。12巡目に出た3枚目の一筒でチーテン。一索で2,600のアガリを拾った。これが手牌の「見切り」だ。打ったのは瀬戸熊である。

二索三索九索九索九索東東東西西  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き

ここで動いたのは巡目の深さから自然である。だが、このアガリが次に繋がらないのだ。これが厄介である。
通常、麻雀はアガリも放銃も連動するのが普通である。

続く東2局は、瀬戸熊がリ―チで流局。1人テンパイを果たす。
さらに1本場は瀬戸熊のアガリが飛び出す。

gpmax2012

gpmax2012

 

瀬戸熊が2,000オール。この時、沢崎の追いかけリーチが入っていたから安めでも贅沢は言えない。
今度は沢崎が先手を取ってリーチで攻めるが、この手も実らなかった。

 

gpmax2012

 

同じテンパイで相手に引かれる。向こうはカンチャンの愚形で、自分は好形の両面。
この時、沢崎もさすがに不調を意識したに違いない。
(出来が悪いから、今日はガードを堅くしていくか…)
今日負けても残り3日ある。失点は最小限に抑えようと、私ならそう考える。おそらく沢崎もそうだろう。

そして3本場。早くも瀬戸熊タイムの発動かと思われたが、ここで待ったをかけたのが藤崎だ。

gpmax2012

gpmax2012

 

安めだがリーチをかけ、この手をツモリ上げたのである。
そして自分も浮きに回った。またしても沢崎のチャンス手は不発。
このまま瀬戸熊と藤崎の先行で場が進むかに見えたが、ここでさらに待ったをかけたのが、伊藤である。

 

gpmax2012

 

高めを引いて3,900オール、見事なアガリだ。そしてこの後、小競り合いが続いた結果はこうだ。

 

gpmax2012

 

沢崎はラス親で3本積んで浮きに回り、伊藤が待望のトップを決めたのである。

gpmax2012

伊籐優孝は1949生まれの64歳。古川孝次と同じ歳である。
伊藤の生まれは秋田だが、育ちは東京である。最終学歴は明治学院大学卒。学生時代はボクシング部に所属。卒業後の3年間はサラリーマンをしていたというから、私と知り合ったのは丁度その頃だ。体重は50キロに満たなく色白だった。その性格、きわめて温厚である。きっと女にはもてたに違いない。

プロとして第一線(プロリーグ)の引き際には2つある。前者はA1陥落と同時に去る者。
小島・灘・森山がそうである。
A2で打つことは、プロとしての「誇り」が許さないのである。もちろん、麻雀が生業だから他の試合には参加する。メディアもこの3人の名前が大きいから、出演依頼を出すのだ。これが前者だ。

後者は、力尽きるまで打つ者だ。
麻雀は人生の友でありライフワークだから、落ちても辞めない。虎視眈々と返り咲きを狙う。一線から身を引くときは、肉体的に限界が来て牌が持てなくなった時だ。伊藤・古川がそうである。去り際はせつないが、前者も後者も私には勝負師の「美学」に映る。
私が半年前に「生涯現役」と決めたのは、伊藤と古川、この2人の姿に感銘したからである。

 

そして第4戦が始まった。
注目すべきは11巡目の藤崎の手だ。配牌はこうだ。

八万八万九万三索五索一筒一筒二筒二筒八筒東白中

この配牌がここまで伸びたのである。

gpmax2012

 

そしてメンツオーバーで、決断の時だ。
七筒は河に1枚とドラの指示牌に1枚。だから藤崎は六筒に手をかけた。勝負手だから一番広く構え、真の狙いは四暗刻でドラの重なりでも七対子はあるのだ。

上家から二筒が出たが見向きもしない。ところが次のツモがあろうことか七筒だったのである。
麻雀ではよくある出来事だ。この時、藤崎の決断は早かった。打三筒である。
手牌を折り、もとの形に戻したのである。
これが藤崎の勝負の感性か―。結果はまだ出てはいないが…
東中を引いたらどうするンだ!)である。

ここで親の瀬戸熊からリーチが入る。そして2巡後に来たのが中だった。
そしてこの結末はこうだ。

gpmax2012

 

これが藤崎の二枚腰の「サバキ」で、流石である。
通常、サバキとは相手のチャンス手を安手で蹴ることを指すが、彼は違う。相手の太刀を受けきり、返す刀で一気に相手の胴を切り裂くのだ。このサバキは南場でも現れる。

 

gpmax2012

 

藤崎のテンパイは7巡目だ。この手が15巡目にはここまで育て、アガリ切るから驚きだ。

 

gpmax2012

 

これもツモの勢いと手役の構想を見た、藤崎の進化した「サバキ」である。
親でしかもヤミテンで、2度も跳満を引かれた瀬戸熊はたまらない。
一撃必殺―プロの「サバキ」はこうでなければならない。

さらに藤崎はラス親で3,900は4,000オールを決め、この半荘の結末はこうだ。

 

gpmax2012

 

初日終了時
藤崎+76.3P  瀬戸熊+0.2P  沢崎▲28.8P  伊藤▲47.7P

この一日目の最終結果を見て、打ち手四人は何を思ったのであろうか。
私の考えは次に述べる。
以下次号。

プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第30期鳳凰位決定戦 初日観戦記後編

私の対戦前の予想は、本命に瀬戸熊、対抗に沢崎だった。
ただし、どちらが勝つかは微妙で技と芸の幅は沢崎。攻めの強さと勢いは瀬戸熊と見ていた。
誰もがそう予想すると思っていたが、違った。
前原雄大と会長の森山茂和の予想は◎瀬戸熊○藤崎だったのである。
2人の評価が高かったのは藤崎で、理由は決勝戦の残り方の「流れ」に注目したからである。
藤崎は7節目までマイナスで、陥落候補の枠に居たのだ。しかし、彼は8節目で面前の大三元をツモアガリ大きく浮上し、決定戦進出を果たした。
この「流れ」を見ていたのだ。
この時、親だったのが私である。今度は私が陥落枠に入ったのだ。
(なんてことするンだ!)である。
役満なら予選で沢崎も、見事な国士の振りテンだが13面チャン待ちを決めている。こちらは決めなくとも決勝進出確定だったから、流れ的にはそれほど価値はない。しかし、視聴者に感動を与えるという点ではどちらも素晴らしい役満だったと云える。プロはその高い芸を見せ、視聴者に感動を与えることが商売…いや「仕事」なのである。
第3戦はその沢崎が先手を取った。
gpmax2012
 
7巡目に、上家の瀬戸熊からチャンタ目の一筒が出たがスル―すると、次のツモが東だったのである。
 
gpmax2012
 
先を急ぐ打ち手なら一筒を鳴く者もいよう。だが、それではつまらない。麻雀は絵合わせゲームではないのだ。ここはサバキの場ではなく、高いアガリを狙う場面なのである。鳴けばこの東が下がり、親の伊藤と持ちもちになっていた。ならば、この手のアガリはなかったはずだ。
打点を考えるなら沢崎はここでもまだ発を重ね、手の伸びをここまで見ていたはずである。
その理想形はこうだ。
一索二索三索九索九索九索東東東西西西発発
これならツモで三暗刻が付き、文句なしの倍満になる。
もしくはこうだ。
二索三索九索九索九索東東東西西西発発
これが彼の構想力。
しかし、4巡待っても手が変わらず2枚目の発も打たれた。12巡目に出た3枚目の一筒でチーテン。一索で2,600のアガリを拾った。これが手牌の「見切り」だ。打ったのは瀬戸熊である。
二索三索九索九索九索東東東西西  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き
ここで動いたのは巡目の深さから自然である。だが、このアガリが次に繋がらないのだ。これが厄介である。
通常、麻雀はアガリも放銃も連動するのが普通である。
続く東2局は、瀬戸熊がリ―チで流局。1人テンパイを果たす。
さらに1本場は瀬戸熊のアガリが飛び出す。
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gpmax2012
 
瀬戸熊が2,000オール。この時、沢崎の追いかけリーチが入っていたから安めでも贅沢は言えない。
今度は沢崎が先手を取ってリーチで攻めるが、この手も実らなかった。
 
gpmax2012
 
同じテンパイで相手に引かれる。向こうはカンチャンの愚形で、自分は好形の両面。
この時、沢崎もさすがに不調を意識したに違いない。
(出来が悪いから、今日はガードを堅くしていくか…)
今日負けても残り3日ある。失点は最小限に抑えようと、私ならそう考える。おそらく沢崎もそうだろう。
そして3本場。早くも瀬戸熊タイムの発動かと思われたが、ここで待ったをかけたのが藤崎だ。
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gpmax2012
 
安めだがリーチをかけ、この手をツモリ上げたのである。
そして自分も浮きに回った。またしても沢崎のチャンス手は不発。
このまま瀬戸熊と藤崎の先行で場が進むかに見えたが、ここでさらに待ったをかけたのが、伊藤である。
 
gpmax2012
 
高めを引いて3,900オール、見事なアガリだ。そしてこの後、小競り合いが続いた結果はこうだ。
 
gpmax2012
 
沢崎はラス親で3本積んで浮きに回り、伊藤が待望のトップを決めたのである。
gpmax2012
伊籐優孝は1949生まれの64歳。古川孝次と同じ歳である。
伊藤の生まれは秋田だが、育ちは東京である。最終学歴は明治学院大学卒。学生時代はボクシング部に所属。卒業後の3年間はサラリーマンをしていたというから、私と知り合ったのは丁度その頃だ。体重は50キロに満たなく色白だった。その性格、きわめて温厚である。きっと女にはもてたに違いない。
プロとして第一線(プロリーグ)の引き際には2つある。前者はA1陥落と同時に去る者。
小島・灘・森山がそうである。
A2で打つことは、プロとしての「誇り」が許さないのである。もちろん、麻雀が生業だから他の試合には参加する。メディアもこの3人の名前が大きいから、出演依頼を出すのだ。これが前者だ。
後者は、力尽きるまで打つ者だ。
麻雀は人生の友でありライフワークだから、落ちても辞めない。虎視眈々と返り咲きを狙う。一線から身を引くときは、肉体的に限界が来て牌が持てなくなった時だ。伊藤・古川がそうである。去り際はせつないが、前者も後者も私には勝負師の「美学」に映る。
私が半年前に「生涯現役」と決めたのは、伊藤と古川、この2人の姿に感銘したからである。
 
そして第4戦が始まった。
注目すべきは11巡目の藤崎の手だ。配牌はこうだ。
八万八万九万三索五索一筒一筒二筒二筒八筒東白中
この配牌がここまで伸びたのである。
gpmax2012
 
そしてメンツオーバーで、決断の時だ。
七筒は河に1枚とドラの指示牌に1枚。だから藤崎は六筒に手をかけた。勝負手だから一番広く構え、真の狙いは四暗刻でドラの重なりでも七対子はあるのだ。
上家から二筒が出たが見向きもしない。ところが次のツモがあろうことか七筒だったのである。
麻雀ではよくある出来事だ。この時、藤崎の決断は早かった。打三筒である。
手牌を折り、もとの形に戻したのである。
これが藤崎の勝負の感性か―。結果はまだ出てはいないが…
東中を引いたらどうするンだ!)である。
ここで親の瀬戸熊からリーチが入る。そして2巡後に来たのが中だった。
そしてこの結末はこうだ。
gpmax2012
 
これが藤崎の二枚腰の「サバキ」で、流石である。
通常、サバキとは相手のチャンス手を安手で蹴ることを指すが、彼は違う。相手の太刀を受けきり、返す刀で一気に相手の胴を切り裂くのだ。このサバキは南場でも現れる。
 
gpmax2012
 
藤崎のテンパイは7巡目だ。この手が15巡目にはここまで育て、アガリ切るから驚きだ。
 
gpmax2012
 
これもツモの勢いと手役の構想を見た、藤崎の進化した「サバキ」である。
親でしかもヤミテンで、2度も跳満を引かれた瀬戸熊はたまらない。
一撃必殺―プロの「サバキ」はこうでなければならない。
さらに藤崎はラス親で3,900は4,000オールを決め、この半荘の結末はこうだ。
 
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初日終了時
藤崎+76.3P  瀬戸熊+0.2P  沢崎▲28.8P  伊藤▲47.7P
この一日目の最終結果を見て、打ち手四人は何を思ったのであろうか。
私の考えは次に述べる。
以下次号。

第4期麻雀グランプリ MAX一次予選レポート

2月22日(土)新橋じゃん亭にて、第4期グランプリMAX一次予選が行われました。
各卓半荘5回戦を行い、トータルポイント上位2名が明日の二次予選へと駒を進めます。

A卓(森山茂和VS滝沢和典VSともたけ雅晴VS山田浩之)


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一次予選屈指の好カード。4名ともこのグランプリ常連組。
九段シード、プロ連盟会長森山
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A2リーグで十段戦ベスト16の滝沢(A2)
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A1リーグ最終節、惜しくも鳳凰位決定戦への切符を逃したともたけ(A1)
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次点からチャンスを経て、繰り上がり出場となった山田(A2)
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それぞれお互いの雀風が頭に入っているため激戦になると思われたが、

3回戦終了時
滝沢+59.2P 森山+39.8P ともたけ▲39.7P 山田▲60.3P

好不調がはっきりと別れる展開に。
さて突然ですが

二万三万一索二索三索四索七索八索九索二筒三筒四筒北北

ドラ無しで何を切るでしょうか?
ルール関係なく(グランプリは一発裏ドラのないAルール)一索切りリーチが大半を占めるのではないでしょうか。
しかし、目先の三色を崩す四索切り。
この手が2巡後には、

二万三万一索二索三索七索八索九索一筒二筒三筒北北

こうなっていました。
アガリには結びつきませんでしたが、魅せる森山会長のワンシーン。
一方、首位を走る滝沢は親番で、

一万二万二万三万三万四万五万五万五万六万八万九万九万  ツモ七万  ドラ八万

追いかける2名を振り切る8,000オール炸裂。
A1リーグ5位のともたけと、ぎりぎりでこのグランプリの切符を勝ち取った山田はあえなく敗退。

1位通過 森山茂和
2位通過 滝沢和典

B卓(荒正義VS和久津晶VS安村浩司VS安田麻里菜)


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プロクイーン、女流桜花の決勝が記憶に新しい和久津(B2)と安田(C2)の最終決戦

100

和久津晶

100

安田麻里菜

ちなみに(プロクイーン・女流桜花)での対戦成績は、
和久津(準優勝・準優勝)安田(第4位・第3位)と優勝はしていないものの和久津の2勝0敗
ただ、安田は今年度のインターネット日本選手権準優勝も忘れてはいけないでしょう。

 

この女流筆頭両名に加え、今年若手の中では大ブレイクの安村浩司(B2)

gpmax2012

十段戦は二段戦からベスト16まで勝ち上がり、王位戦も配信卓は逃したもののベスト16。
そして、本場所のプロリーグでもC1リーグを優勝し、好成績がフロックでないことを立証済み。

 

その3名を待ち構えるのは、九段シード荒正義(A1)
gpmax2012

 

昨年、鳳凰位の座を瀬戸熊に奪い返され、今期、目立った成績は残していないが
4年連続4回目のグランプリ出場の荒、初戦敗退は考えにくい。

まず荒は40,000点を超えてトップ目に立つものの、ここから珍しい事態に。
南1局、東家・和久津

一万二万二万三万三万四万七万八万九万西  ポン中中中  ドラ西

これをハイテイでツモり6,000オール。安田も親で連荘し、荒は4着まで落ちてしまう。
そして2回戦目も荒は4着。

2回戦目以降、安村は安定した戦いぶりで頭一つ抜け出す。
そうなると和久津VS安田の最終決戦か。
安田親番での和久津。

二索二索二索三索三索五索六索七索七索七索  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き

ここに飛び込んでしまったのも荒。
3回戦、4回戦と和久津は連勝。
最終戦、3着安田と2着和久津の差が約70ポイント。
安田は並びを作るものの届かず、和久津が逃げ切り。

1位通過 安村浩司
2位通過 和久津晶

C卓(藤原隆弘VS前田直哉VS西岡慎泰VS河井保国)


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前期チャンピオンズリーグ優勝の藤原(B1)。後期のチャンピオンズリーグも決勝進出していると、明日の二次予選からであったが、ベスト8で敗れこの一次予選からの登場
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昨年末には、連盟最高峰A1リーグへの昇級を決めている前田直哉(A2)
gpmax2012

 

約1年前、マスターズに王手をかけたが小車に破れてしまった西岡(B2)
gpmax2012

結果は第3位だったが、今年活躍した選手には間違いなし。

 

そして、北関東支部所属の河井保国(B1)
gpmax2012

 

安村と同じく今年活躍した若手の1人。
十段戦ベスト16。B2リーグ・B1リーグを連続昇級し、念願のAリーガーへ。
最強戦全日本プロ決勝進出も記憶に新しい。

C卓は1回戦目に前田が80,000点近い1人浮きのトップを取る。
藤原、西岡はじっと我慢していたが河井は苦しそう。

河井
三万三万三万六万六万六万七万八万東東中中中

九万が場に3枚切れているため、もしかしたらさらに高くなるかと思っていると、

前田
二万三万四万七万八万二索三索四索二筒三筒四筒発発  ツモ九万

このアガリ。

2回戦目オーラス。
河井は27,000点ほどの1人沈み4着目で大接戦。

二万七索八索九索一筒二筒三筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒  ドラ二筒

ここにツモ二筒で打五筒切りリーチ。藤原からのロンアガリでトップに。
逆に藤原は痛い1人沈み。

4回戦目、東家・藤原

四万五万六万七万七万七万六索六索六索六筒発発発  ドラ発  ツモ六筒

この6,000オールで一矢報いる。

4回戦を終えての成績は、
前田+51.2P 河井+6.4P 藤原▲13.1P 西岡▲44.5P

実質、河井と藤原の2着争い。しかしここで西岡が粘る。
藤原から7,700をアガリ、藤原後退。

こんな珍しいシーンも

東家・河井
五索六索七索二筒三筒四筒東東中中  チー七筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ドラ二万

北家・藤原
五索六索七索三筒四筒五筒東東中中  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き

ピンズ1枚違いの全く同じテンパイ形。

オーラス西岡の親番。
4,000オールをアガると、逆転するところまで追いつめたがここは河井が自力決着。

1位通過 前田直哉
2位通過 河井保国

D卓(猿川真寿VS石渡正志VS浜上文吾VS岡本和也)


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最強戦・A1リーグ・王位戦ベスト16など、今年もブレイク中の麻雀プロ猿川(A1)
gpmax2012

 

5.3P差でA1返り咲きを逃したA2リーグ3位の石渡(A2)
gpmax2012

 

十段戦ベスト16の浜上(B2)
gpmax2012

 

そして新人王シード岡本
gpmax2012

 

この卓は2回戦が終わり
石渡+50.5P 浜上+19.4P 猿川▲34.9P 岡本▲36.0P

東家・岡本

二索二索二索四索五索七索八索九索六筒七筒八筒九筒九筒  リーチ  ツモ三索  ドラ九筒

この3,900オールなどで一矢報いるものの終わってみれば4着。
後がない猿川。親番でようやくエンジンがかかる。

三万四万五万三索四索四索五索五索六索八索八索三筒四筒  リーチ  ツモ五筒

この6,000オールでようやく初トップ。

4回戦終了時
石渡+85.2P 浜上+15.3P 猿川▲9.7P 岡本▲91.8P

石渡確定で、浜上と猿川の競りに。
最終戦浜上は、自力でトップをもぎとり通過。

1位通過 石渡正志
2位通過 浜上文吾

E卓(近藤久春VS佐々木寿人VS魚谷侑未VS森岡貞臣)


gpmax2012

 

近藤(A1)は降級争いに競り勝ち、王位戦でもベスト16と充実著しい。
gpmax2012

 

グランプリ初出場の佐々木寿人(A2)
gpmax2012

今年は十段戦も初めて勝ち上がり、トーナメントが苦手なのを払拭出来るか。

 

今年は無冠に終わった魚谷(C2)
gpmax2012
ここ数年、女流での実績№1だが男女混合でも結果が欲しいところ。

 

そしてグランプリ最後の切符を手にした森岡(D2)は、チャンピオンリーグ後期の優勝者。
この3名相手に自分の麻雀がどこまで通用するか。
gpmax2012

 

この卓は他の卓に比べ、非常にスピードが速かった。
最終戦を終えた時点でまだ4回戦が行われている卓もあったぐらいに。
最速マーメイド魚谷と佐々木がこの卓を回していく。

3回戦目を終えて
魚谷+33.6P 近藤+4.5P 佐々木▲3.4P 森岡▲34.7P

4回戦目親番の近藤

五万五万七万八万九万七索八索九索一筒二筒三筒八筒九筒  リーチ  ドラ一筒

これが決定打になるかと思われたが、ここは佐々木の守備力が光る。
ワンチャンスや筋のトイツだらけで全て危険牌。
五筒4枚六筒3枚八筒3枚九筒2枚見えていて七筒は暗刻。
一筒四筒は通っていなかったが④で放銃を逃れる。

「3・7牌での放銃は手役絡みも多く高打点(実際に三色)に繋がるのでセオリー通り。」と佐々木。
ただ、この4回戦の主役は森岡。

七万八万西西西北北  ポン東東東  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  ドラ六万  ツモ六万

この4,000オールもあり1人浮きのトップ。

最終戦を残し
魚谷+26.7P 森岡▲1.5P 佐々木▲8.0P 近藤▲17.2P

最終戦、森岡に手が入り続けるもののなかなか実らない。
東場、東家・森岡

二万二万五万六万六万七万七万八万二筒三筒四筒六筒八筒  ドラ二万

このヤミテン7,700も、南家・佐々木

三万三万三万三索四索六索七索八索五筒五筒五筒六筒七筒七筒

ここから六筒切りリーチで1,000・2,000のツモアガリ。

魚谷
二索三索四索五索六索七索八索八索八索発発中中  リーチ  ドラ三万

これを受け森岡

三万三万四万四万五万五万四索五索六筒六筒  チー五筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き

戦うかと思ったが、ソーズを引いて勝負所は先と撤退。
ここで戦えば、つかんだ中は止まらなかったであろう。

そしてオーラス森岡の親番。佐々木が発を仕掛け終局に向かう。
すると魚谷、佐々木から倍満直撃なら出アガリ可能な近藤からリーチ。

四索四索九索九索九索三筒三筒北北北  暗カン牌の背九万 上向き九万 上向き牌の背  リーチ  ドラ三筒

しかしここは佐々木がアガリきり事なきを得た。

1位通過 魚谷侑未
2位通過 佐々木寿人

明日はさらにランキング上位者がシード選手として登場する。

グランプリ レポート/第4期麻雀グランプリ MAX一次予選レポート

2月22日(土)新橋じゃん亭にて、第4期グランプリMAX一次予選が行われました。
各卓半荘5回戦を行い、トータルポイント上位2名が明日の二次予選へと駒を進めます。
A卓(森山茂和VS滝沢和典VSともたけ雅晴VS山田浩之)

gpmax2012
 
一次予選屈指の好カード。4名ともこのグランプリ常連組。
九段シード、プロ連盟会長森山
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A2リーグで十段戦ベスト16の滝沢(A2)
gpmax2012
 
A1リーグ最終節、惜しくも鳳凰位決定戦への切符を逃したともたけ(A1)
gpmax2012
 
次点からチャンスを経て、繰り上がり出場となった山田(A2)
gpmax2012
 
それぞれお互いの雀風が頭に入っているため激戦になると思われたが、
3回戦終了時
滝沢+59.2P 森山+39.8P ともたけ▲39.7P 山田▲60.3P
好不調がはっきりと別れる展開に。
さて突然ですが
二万三万一索二索三索四索七索八索九索二筒三筒四筒北北
ドラ無しで何を切るでしょうか?
ルール関係なく(グランプリは一発裏ドラのないAルール)一索切りリーチが大半を占めるのではないでしょうか。
しかし、目先の三色を崩す四索切り。
この手が2巡後には、
二万三万一索二索三索七索八索九索一筒二筒三筒北北
こうなっていました。
アガリには結びつきませんでしたが、魅せる森山会長のワンシーン。
一方、首位を走る滝沢は親番で、
一万二万二万三万三万四万五万五万五万六万八万九万九万  ツモ七万  ドラ八万
追いかける2名を振り切る8,000オール炸裂。
A1リーグ5位のともたけと、ぎりぎりでこのグランプリの切符を勝ち取った山田はあえなく敗退。
1位通過 森山茂和
2位通過 滝沢和典
B卓(荒正義VS和久津晶VS安村浩司VS安田麻里菜)

gpmax2012
プロクイーン、女流桜花の決勝が記憶に新しい和久津(B2)と安田(C2)の最終決戦

100

和久津晶

100

安田麻里菜

ちなみに(プロクイーン・女流桜花)での対戦成績は、
和久津(準優勝・準優勝)安田(第4位・第3位)と優勝はしていないものの和久津の2勝0敗
ただ、安田は今年度のインターネット日本選手権準優勝も忘れてはいけないでしょう。
 
この女流筆頭両名に加え、今年若手の中では大ブレイクの安村浩司(B2)
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十段戦は二段戦からベスト16まで勝ち上がり、王位戦も配信卓は逃したもののベスト16。
そして、本場所のプロリーグでもC1リーグを優勝し、好成績がフロックでないことを立証済み。
 
その3名を待ち構えるのは、九段シード荒正義(A1)
gpmax2012
 
昨年、鳳凰位の座を瀬戸熊に奪い返され、今期、目立った成績は残していないが
4年連続4回目のグランプリ出場の荒、初戦敗退は考えにくい。
まず荒は40,000点を超えてトップ目に立つものの、ここから珍しい事態に。
南1局、東家・和久津
一万二万二万三万三万四万七万八万九万西  ポン中中中  ドラ西
これをハイテイでツモり6,000オール。安田も親で連荘し、荒は4着まで落ちてしまう。
そして2回戦目も荒は4着。
2回戦目以降、安村は安定した戦いぶりで頭一つ抜け出す。
そうなると和久津VS安田の最終決戦か。
安田親番での和久津。
二索二索二索三索三索五索六索七索七索七索  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き
ここに飛び込んでしまったのも荒。
3回戦、4回戦と和久津は連勝。
最終戦、3着安田と2着和久津の差が約70ポイント。
安田は並びを作るものの届かず、和久津が逃げ切り。
1位通過 安村浩司
2位通過 和久津晶
C卓(藤原隆弘VS前田直哉VS西岡慎泰VS河井保国)

gpmax2012
前期チャンピオンズリーグ優勝の藤原(B1)。後期のチャンピオンズリーグも決勝進出していると、明日の二次予選からであったが、ベスト8で敗れこの一次予選からの登場
gpmax2012
 
昨年末には、連盟最高峰A1リーグへの昇級を決めている前田直哉(A2)
gpmax2012
 
約1年前、マスターズに王手をかけたが小車に破れてしまった西岡(B2)
gpmax2012
結果は第3位だったが、今年活躍した選手には間違いなし。
 
そして、北関東支部所属の河井保国(B1)
gpmax2012
 
安村と同じく今年活躍した若手の1人。
十段戦ベスト16。B2リーグ・B1リーグを連続昇級し、念願のAリーガーへ。
最強戦全日本プロ決勝進出も記憶に新しい。
C卓は1回戦目に前田が80,000点近い1人浮きのトップを取る。
藤原、西岡はじっと我慢していたが河井は苦しそう。
河井
三万三万三万六万六万六万七万八万東東中中中
九万が場に3枚切れているため、もしかしたらさらに高くなるかと思っていると、
前田
二万三万四万七万八万二索三索四索二筒三筒四筒発発  ツモ九万
このアガリ。
2回戦目オーラス。
河井は27,000点ほどの1人沈み4着目で大接戦。
二万七索八索九索一筒二筒三筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒  ドラ二筒
ここにツモ二筒で打五筒切りリーチ。藤原からのロンアガリでトップに。
逆に藤原は痛い1人沈み。
4回戦目、東家・藤原
四万五万六万七万七万七万六索六索六索六筒発発発  ドラ発  ツモ六筒
この6,000オールで一矢報いる。
4回戦を終えての成績は、
前田+51.2P 河井+6.4P 藤原▲13.1P 西岡▲44.5P
実質、河井と藤原の2着争い。しかしここで西岡が粘る。
藤原から7,700をアガリ、藤原後退。
こんな珍しいシーンも
東家・河井
五索六索七索二筒三筒四筒東東中中  チー七筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ドラ二万
北家・藤原
五索六索七索三筒四筒五筒東東中中  チー三万 左向き二万 上向き四万 上向き
ピンズ1枚違いの全く同じテンパイ形。
オーラス西岡の親番。
4,000オールをアガると、逆転するところまで追いつめたがここは河井が自力決着。
1位通過 前田直哉
2位通過 河井保国
D卓(猿川真寿VS石渡正志VS浜上文吾VS岡本和也)

gpmax2012
 
最強戦・A1リーグ・王位戦ベスト16など、今年もブレイク中の麻雀プロ猿川(A1)
gpmax2012
 
5.3P差でA1返り咲きを逃したA2リーグ3位の石渡(A2)
gpmax2012
 
十段戦ベスト16の浜上(B2)
gpmax2012
 
そして新人王シード岡本
gpmax2012
 
この卓は2回戦が終わり
石渡+50.5P 浜上+19.4P 猿川▲34.9P 岡本▲36.0P
東家・岡本
二索二索二索四索五索七索八索九索六筒七筒八筒九筒九筒  リーチ  ツモ三索  ドラ九筒
この3,900オールなどで一矢報いるものの終わってみれば4着。
後がない猿川。親番でようやくエンジンがかかる。
三万四万五万三索四索四索五索五索六索八索八索三筒四筒  リーチ  ツモ五筒
この6,000オールでようやく初トップ。
4回戦終了時
石渡+85.2P 浜上+15.3P 猿川▲9.7P 岡本▲91.8P
石渡確定で、浜上と猿川の競りに。
最終戦浜上は、自力でトップをもぎとり通過。
1位通過 石渡正志
2位通過 浜上文吾
E卓(近藤久春VS佐々木寿人VS魚谷侑未VS森岡貞臣)

gpmax2012
 
近藤(A1)は降級争いに競り勝ち、王位戦でもベスト16と充実著しい。
gpmax2012
 
グランプリ初出場の佐々木寿人(A2)
gpmax2012
今年は十段戦も初めて勝ち上がり、トーナメントが苦手なのを払拭出来るか。
 
今年は無冠に終わった魚谷(C2)
gpmax2012
ここ数年、女流での実績№1だが男女混合でも結果が欲しいところ。
 
そしてグランプリ最後の切符を手にした森岡(D2)は、チャンピオンリーグ後期の優勝者。
この3名相手に自分の麻雀がどこまで通用するか。
gpmax2012
 
この卓は他の卓に比べ、非常にスピードが速かった。
最終戦を終えた時点でまだ4回戦が行われている卓もあったぐらいに。
最速マーメイド魚谷と佐々木がこの卓を回していく。
3回戦目を終えて
魚谷+33.6P 近藤+4.5P 佐々木▲3.4P 森岡▲34.7P
4回戦目親番の近藤
五万五万七万八万九万七索八索九索一筒二筒三筒八筒九筒  リーチ  ドラ一筒
これが決定打になるかと思われたが、ここは佐々木の守備力が光る。
ワンチャンスや筋のトイツだらけで全て危険牌。
五筒4枚六筒3枚八筒3枚九筒2枚見えていて七筒は暗刻。
一筒四筒は通っていなかったが④で放銃を逃れる。
「3・7牌での放銃は手役絡みも多く高打点(実際に三色)に繋がるのでセオリー通り。」と佐々木。
ただ、この4回戦の主役は森岡。
七万八万西西西北北  ポン東東東  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  ドラ六万  ツモ六万
この4,000オールもあり1人浮きのトップ。
最終戦を残し
魚谷+26.7P 森岡▲1.5P 佐々木▲8.0P 近藤▲17.2P
最終戦、森岡に手が入り続けるもののなかなか実らない。
東場、東家・森岡
二万二万五万六万六万七万七万八万二筒三筒四筒六筒八筒  ドラ二万
このヤミテン7,700も、南家・佐々木
三万三万三万三索四索六索七索八索五筒五筒五筒六筒七筒七筒
ここから六筒切りリーチで1,000・2,000のツモアガリ。
魚谷
二索三索四索五索六索七索八索八索八索発発中中  リーチ  ドラ三万
これを受け森岡
三万三万四万四万五万五万四索五索六筒六筒  チー五筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き
戦うかと思ったが、ソーズを引いて勝負所は先と撤退。
ここで戦えば、つかんだ中は止まらなかったであろう。
そしてオーラス森岡の親番。佐々木が発を仕掛け終局に向かう。
すると魚谷、佐々木から倍満直撃なら出アガリ可能な近藤からリーチ。
四索四索九索九索九索三筒三筒北北北  暗カン牌の背九万 上向き九万 上向き牌の背  リーチ  ドラ三筒
しかしここは佐々木がアガリきり事なきを得た。
1位通過 魚谷侑未
2位通過 佐々木寿人
明日はさらにランキング上位者がシード選手として登場する。

第4期宇都宮リーグ(プロアマ混合) 第5節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 後藤隆 プロ 16.1 96.6 ▲ 36.0 106.5 183.2
2 古城裕紀 一般 52.2 39.8 9.5 19.4 120.9
3 黒木聡太 一般 25.7 37.7 11.4 13.0 87.8
4 小林正和 一般 35.0 23.2 17.5 10.5 86.2
5 久保公男 プロ 73.5 27.9 ▲ 19.7 ▲ 18.0 ▲ 0.1 63.6
6 清水香織 プロ ▲ 60.9 16.6 21.3 24.1 53.6 54.7
7 吉田幸雄 プロ 64.0 ▲ 35.2 46.2 ▲ 24.7 2.6 52.9
8 髙橋信夫 プロ 8.7 ▲ 4.8 21.4 6.1 2.2 33.6
9 桧山拓 一般 ▲ 22.1 ▲ 19.5 ▲ 10.8 37.0 46.9 31.5
10 町野高司 一般 15.3 ▲ 41.0 43.0 34.6 ▲ 27.2 24.2
11 堰合正治 一般 24.4 ▲ 55.1 ▲ 6.3 53.7 7.3 24.0
12 哀河斗南 プロ 25.0 ▲ 24.8 6.9 ▲ 62.8 69.9 14.2
13 桑原俊之 一般 ▲ 12.5 ▲ 11.5 22.0 18.2 ▲ 3.4 12.8
14 常呂隆 一般 26.2 70.5 ▲ 34.6 ▲ 52.6 9.5
15 西尾猛 一般 5.3 ▲ 6.8 25.3 ▲ 25.2 ▲ 5.0 ▲ 6.4
16 大里幸弘 一般 ▲ 14.2 23.6 ▲16.5 ▲ 7.1
17 西嶋ゆかり プロ 28.9 ▲ 44.6 51.6 5.6 ▲ 63.1 ▲ 21.6
18 塚越祐次郎 プロ 14.7 ▲ 37.5 ▲ 1.7 ▲ 24.5
19 桝井律男 一般 ▲ 35.5 25.5 ▲ 30.9 25.6 ▲ 10.2 ▲ 25.5
20 小林一行 一般 25.3 ▲ 42.3 ▲ 62.2 ▲ 79.2
21 小谷美和子 プロ ▲ 7.1 ▲ 61.9 ▲ 28.8 ▲ 97.8
22 中津真吾 一般 11.5 ▲ 22.6 30.4 ▲ 40.1 ▲ 77.8 ▲ 98.6
23 村田昌代 一般 ▲ 54.3 ▲ 113.9 ▲ 168.2
24 小坂智徳 一般 ▲ 39.0 ▲ 92.8 ▲ 13.7 ▲ 26.2 ▲ 171.7

北関東プロリーグ 成績表/第4期宇都宮リーグ(プロアマ混合) 第5節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 後藤隆 プロ 16.1 96.6 ▲ 36.0 106.5 183.2
2 古城裕紀 一般 52.2 39.8 9.5 19.4 120.9
3 黒木聡太 一般 25.7 37.7 11.4 13.0 87.8
4 小林正和 一般 35.0 23.2 17.5 10.5 86.2
5 久保公男 プロ 73.5 27.9 ▲ 19.7 ▲ 18.0 ▲ 0.1 63.6
6 清水香織 プロ ▲ 60.9 16.6 21.3 24.1 53.6 54.7
7 吉田幸雄 プロ 64.0 ▲ 35.2 46.2 ▲ 24.7 2.6 52.9
8 髙橋信夫 プロ 8.7 ▲ 4.8 21.4 6.1 2.2 33.6
9 桧山拓 一般 ▲ 22.1 ▲ 19.5 ▲ 10.8 37.0 46.9 31.5
10 町野高司 一般 15.3 ▲ 41.0 43.0 34.6 ▲ 27.2 24.2
11 堰合正治 一般 24.4 ▲ 55.1 ▲ 6.3 53.7 7.3 24.0
12 哀河斗南 プロ 25.0 ▲ 24.8 6.9 ▲ 62.8 69.9 14.2
13 桑原俊之 一般 ▲ 12.5 ▲ 11.5 22.0 18.2 ▲ 3.4 12.8
14 常呂隆 一般 26.2 70.5 ▲ 34.6 ▲ 52.6 9.5
15 西尾猛 一般 5.3 ▲ 6.8 25.3 ▲ 25.2 ▲ 5.0 ▲ 6.4
16 大里幸弘 一般 ▲ 14.2 23.6 ▲16.5 ▲ 7.1
17 西嶋ゆかり プロ 28.9 ▲ 44.6 51.6 5.6 ▲ 63.1 ▲ 21.6
18 塚越祐次郎 プロ 14.7 ▲ 37.5 ▲ 1.7 ▲ 24.5
19 桝井律男 一般 ▲ 35.5 25.5 ▲ 30.9 25.6 ▲ 10.2 ▲ 25.5
20 小林一行 一般 25.3 ▲ 42.3 ▲ 62.2 ▲ 79.2
21 小谷美和子 プロ ▲ 7.1 ▲ 61.9 ▲ 28.8 ▲ 97.8
22 中津真吾 一般 11.5 ▲ 22.6 30.4 ▲ 40.1 ▲ 77.8 ▲ 98.6
23 村田昌代 一般 ▲ 54.3 ▲ 113.9 ▲ 168.2
24 小坂智徳 一般 ▲ 39.0 ▲ 92.8 ▲ 13.7 ▲ 26.2 ▲ 171.7

第9期 北陸リーグ 決勝レポート

いよいよ最終節の第5節になりました。
第4節終了時点で、光岡さん+220.4P、小泉さん+119.6Pとなっていて、既に決勝のイスに手をかけた状態です。
決勝戦に進出できるのは4名。残りあと4回戦。
いったい誰が決勝のイスに座るのでしょうか・・・。

第5節、対局組み合わせ
1卓:荒谷プロ、森田有さん、高村さん、谷口さん
2卓:本田プロ、後藤プロ、森田繁さん、梶田さん
3卓:松原プロ、安城、恵比須さん、押川さん
4卓:四柳プロ、飯田さん、光岡さん、北川さん
5卓:濱平プロ、平澤さん、小泉さん、窪田さん

4卓では、四柳プロと光岡さんが同卓、5卓では、濱平プロと小泉さんが同卓となっていて、上位者同士の直接対決となりました。

第5節が終了し、成績はこの通りとなりました。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 光岡大幸 一般 34.2 105.1 ▲ 18.0 99.1 ▲ 35.7 184.7
2 小泉陽平 一般 19.2 108.1 78.0 ▲ 85.7 ▲ 20.1 99.5
3 濱平光朗 プロ ▲ 22.3 39.0 1.1 ▲ 26.4 105.4 96.8
4 押川憲一 一般 ▲ 6.0 ▲ 15.7 50.2 ▲ 1.3 46.1 73.3
5 谷口真悟 一般 65.4 ▲ 106.1 9.4 18.0 74.7 61.4
6 森田繁基 一般 3.3 49.8 ▲ 78.1 34.0 48.5 57.5
7 本田朋広 プロ ▲ 36.6 6.3 54.0 30.0 ▲ 0.2 53.5
8 山井弘 プロ 20.5 80.2 ▲ 3.8 ▲ 63.4 16.1 49.6
9 高村和人 一般 ▲ 10.2 20.9 36.3 ▲ 37.2 4.1 13.9
10 飯田輝雄 一般 25.7 ▲ 11.5 ▲ 63.2 23.7 30.6 5.3
11 梶田譲 一般 7.9 26.8 ▲ 44.5 46.1 ▲ 35.9 0.4
12 恵比須均 一般 23.0 ▲ 32.7 15.5 ▲ 25.4 19.9 0.3
13 松原健志 プロ 40.5 45.2 ▲ 24.2 ▲ 43.6 ▲ 36.6 ▲ 18.7
14 北川光 一般 92.5 ▲ 87.5 ▲ 47.3 17.6 ▲ 11.0 ▲ 35.7
15 荒谷誠 プロ 29.6 ▲ 82.6 23.9 26.4 ▲ 42.3 ▲ 45.0
16 平澤憲一 一般 ▲ 51.8 ▲ 7.5 12.0 21.8 ▲ 23.2 ▲ 48.7
17 後藤智美 プロ ▲ 34.7 ▲ 39.0 7.9 ▲ 23.1 ▲ 12.4 ▲ 101.3
18 窪田一彦 一般 ▲ 58.6 ▲ 1.0 4.8 ▲ 24.5 ▲ 62.1 ▲ 141.4
19 森田有一 一般 ▲ 82.6 ▲ 46.5 26.8 ▲ 5.8 ▲ 37.5 ▲ 145.6
20 安城るい プロ ▲ 60.0 ▲ 52.3 ▲ 40.8 17.7 ▲ 30.4 ▲ 165.8

光岡さんと小泉さんは、失点を最小限に抑え、順位とポイントを守りきり、決勝進出を決めました。

3人目は、濱平プロ。
今節で、+105.4Pを加点し、+96.8Pとなり、一気に小泉さんの真後ろの位置までつけました。
濱平プロは前回の第8期北陸リーグでも決勝進出しています。
そして4人目は、今回出場2回目の押川さん。
順調に、ポイントを加算し、+73.3P。最後のイスに座りました。

決勝戦は、ポイントは半分持ち越しになり、
光岡さん+92.3P
小泉さん+49.2P
濱平プロ+48.4P
押川さん+36.6P
と、なりました。
このポイントで、4回戦を戦い優勝者が決定となります。
まだ、誰が優勝するのか予測できないです。

決勝1回戦。
小泉さんが、冷静かつ大胆に局を進め、1人浮きの大トップ。
なんとこの1回戦で、+74.3Pを加点。光岡さんとのポイント差を一気に埋め、さらに+50P以上の差をつけました。

小泉さん+123.5P
光岡さん+73.1P
濱平プロ+18.1P
押川さん+11.8P

決勝2回戦。
ここで、濱平プロにチャンス到来!!1人浮きトップで、+30.7P加点。
決勝1回戦で失ったポイントを、見事に取り返しました。さらに、2位の光岡さんまで、差5.9Pと距離を縮めました。
小泉さんは、失点を最小限に抑え、首位をキープ。
小泉さん+121.4P
光岡さん+54.7P
濱平プロ+48.8P
押川さん+1.6P

決勝3回戦。
残り2回戦となりました。2回戦終了時でトップの小泉さんを追い抜くには、小泉さんに加点をさせない、そして自分自身は出来るだけ加点していかなくてはいけません。攻守のバランスをとるのが非常に難しい展開となっています。
しかしここでまたも、濱平プロが活躍を見せ、+30.0P加点。
光岡さんもあとを追い、+22.2P加点。
小泉さんは、あと少しのところで3万点を越えることが出来ず▲10.6Pとなり、押川さん▲40.0P。
小泉さん+110.8P
濱平プロ+78.8P
光岡さん+76.9P
押川さん▲40.0
ここにきて、濱平プロと光岡さんが並び、小泉さんにもうすぐ手が届きそうな位置まできました。

決勝4回戦。
ついに最後の戦いとなりました。会場は一気にぴんと張り詰めた空気に。
ポイント差は、1位の小泉さんまで・・・
2位の濱平プロは32.0P差。
3位の光岡さんは33.9P差。
4位の押川さんは150.8P差。
濱平プロと光岡さんのポイント差は、僅か1.9P。
押川さんにはかなり厳しい展開となってしまいました。

最終戦では、光岡さんが大健闘!!攻守のバランスをうまく保ち、+22.7Pを加点。
濱平プロは、光岡さんを追いかけ、+4.9P。
押川さん▲6.8P。小泉さんは、行く手を阻まれ、▲20.8P。

そして、気になる順位は・・・
優勝、光岡さん+99.6P
2位、小泉さん+90.0P
3位、濱平プロ+83.7P
4位、押川さん▲46.8P
と、なりました!!
なんと、1位と2位の差が、僅か、9.6P。1位と3位との差も、僅か、15.9P。
最後の最後まで、気の抜くことはなく、ハラハラドキドキの対局でした!

光岡さんは、第4期北陸リーグの覇者であり、今回2度目の優勝となります。
入賞した選手の方々、おめでとうございます!

今回、去年9月から第9期北陸リーグのレポートを担当させていただきました。
少し寂しいですが、これで第9期リーグ戦の最後のレポートとなりました。
長く感じていましたが、あっという間の半年間でした。とても自分自身の勉強になりました。
こんな私に、チャンスを与えてくださりありがとうございました!

至らないところばかりでしたが、半年間お付き合いありがとうございました!
これからも一生懸命頑張りますので、よろしくお願いいたします。

北陸リーグ 成績表/第9期 北陸リーグ 決勝レポート

いよいよ最終節の第5節になりました。
第4節終了時点で、光岡さん+220.4P、小泉さん+119.6Pとなっていて、既に決勝のイスに手をかけた状態です。
決勝戦に進出できるのは4名。残りあと4回戦。
いったい誰が決勝のイスに座るのでしょうか・・・。
第5節、対局組み合わせ
1卓:荒谷プロ、森田有さん、高村さん、谷口さん
2卓:本田プロ、後藤プロ、森田繁さん、梶田さん
3卓:松原プロ、安城、恵比須さん、押川さん
4卓:四柳プロ、飯田さん、光岡さん、北川さん
5卓:濱平プロ、平澤さん、小泉さん、窪田さん
4卓では、四柳プロと光岡さんが同卓、5卓では、濱平プロと小泉さんが同卓となっていて、上位者同士の直接対決となりました。
第5節が終了し、成績はこの通りとなりました。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 光岡大幸 一般 34.2 105.1 ▲ 18.0 99.1 ▲ 35.7 184.7
2 小泉陽平 一般 19.2 108.1 78.0 ▲ 85.7 ▲ 20.1 99.5
3 濱平光朗 プロ ▲ 22.3 39.0 1.1 ▲ 26.4 105.4 96.8
4 押川憲一 一般 ▲ 6.0 ▲ 15.7 50.2 ▲ 1.3 46.1 73.3
5 谷口真悟 一般 65.4 ▲ 106.1 9.4 18.0 74.7 61.4
6 森田繁基 一般 3.3 49.8 ▲ 78.1 34.0 48.5 57.5
7 本田朋広 プロ ▲ 36.6 6.3 54.0 30.0 ▲ 0.2 53.5
8 山井弘 プロ 20.5 80.2 ▲ 3.8 ▲ 63.4 16.1 49.6
9 高村和人 一般 ▲ 10.2 20.9 36.3 ▲ 37.2 4.1 13.9
10 飯田輝雄 一般 25.7 ▲ 11.5 ▲ 63.2 23.7 30.6 5.3
11 梶田譲 一般 7.9 26.8 ▲ 44.5 46.1 ▲ 35.9 0.4
12 恵比須均 一般 23.0 ▲ 32.7 15.5 ▲ 25.4 19.9 0.3
13 松原健志 プロ 40.5 45.2 ▲ 24.2 ▲ 43.6 ▲ 36.6 ▲ 18.7
14 北川光 一般 92.5 ▲ 87.5 ▲ 47.3 17.6 ▲ 11.0 ▲ 35.7
15 荒谷誠 プロ 29.6 ▲ 82.6 23.9 26.4 ▲ 42.3 ▲ 45.0
16 平澤憲一 一般 ▲ 51.8 ▲ 7.5 12.0 21.8 ▲ 23.2 ▲ 48.7
17 後藤智美 プロ ▲ 34.7 ▲ 39.0 7.9 ▲ 23.1 ▲ 12.4 ▲ 101.3
18 窪田一彦 一般 ▲ 58.6 ▲ 1.0 4.8 ▲ 24.5 ▲ 62.1 ▲ 141.4
19 森田有一 一般 ▲ 82.6 ▲ 46.5 26.8 ▲ 5.8 ▲ 37.5 ▲ 145.6
20 安城るい プロ ▲ 60.0 ▲ 52.3 ▲ 40.8 17.7 ▲ 30.4 ▲ 165.8

光岡さんと小泉さんは、失点を最小限に抑え、順位とポイントを守りきり、決勝進出を決めました。
3人目は、濱平プロ。
今節で、+105.4Pを加点し、+96.8Pとなり、一気に小泉さんの真後ろの位置までつけました。
濱平プロは前回の第8期北陸リーグでも決勝進出しています。
そして4人目は、今回出場2回目の押川さん。
順調に、ポイントを加算し、+73.3P。最後のイスに座りました。
決勝戦は、ポイントは半分持ち越しになり、
光岡さん+92.3P
小泉さん+49.2P
濱平プロ+48.4P
押川さん+36.6P
と、なりました。
このポイントで、4回戦を戦い優勝者が決定となります。
まだ、誰が優勝するのか予測できないです。
決勝1回戦。
小泉さんが、冷静かつ大胆に局を進め、1人浮きの大トップ。
なんとこの1回戦で、+74.3Pを加点。光岡さんとのポイント差を一気に埋め、さらに+50P以上の差をつけました。
小泉さん+123.5P
光岡さん+73.1P
濱平プロ+18.1P
押川さん+11.8P
決勝2回戦。
ここで、濱平プロにチャンス到来!!1人浮きトップで、+30.7P加点。
決勝1回戦で失ったポイントを、見事に取り返しました。さらに、2位の光岡さんまで、差5.9Pと距離を縮めました。
小泉さんは、失点を最小限に抑え、首位をキープ。
小泉さん+121.4P
光岡さん+54.7P
濱平プロ+48.8P
押川さん+1.6P
決勝3回戦。
残り2回戦となりました。2回戦終了時でトップの小泉さんを追い抜くには、小泉さんに加点をさせない、そして自分自身は出来るだけ加点していかなくてはいけません。攻守のバランスをとるのが非常に難しい展開となっています。
しかしここでまたも、濱平プロが活躍を見せ、+30.0P加点。
光岡さんもあとを追い、+22.2P加点。
小泉さんは、あと少しのところで3万点を越えることが出来ず▲10.6Pとなり、押川さん▲40.0P。
小泉さん+110.8P
濱平プロ+78.8P
光岡さん+76.9P
押川さん▲40.0
ここにきて、濱平プロと光岡さんが並び、小泉さんにもうすぐ手が届きそうな位置まできました。
決勝4回戦。
ついに最後の戦いとなりました。会場は一気にぴんと張り詰めた空気に。
ポイント差は、1位の小泉さんまで・・・
2位の濱平プロは32.0P差。
3位の光岡さんは33.9P差。
4位の押川さんは150.8P差。
濱平プロと光岡さんのポイント差は、僅か1.9P。
押川さんにはかなり厳しい展開となってしまいました。
最終戦では、光岡さんが大健闘!!攻守のバランスをうまく保ち、+22.7Pを加点。
濱平プロは、光岡さんを追いかけ、+4.9P。
押川さん▲6.8P。小泉さんは、行く手を阻まれ、▲20.8P。
そして、気になる順位は・・・
優勝、光岡さん+99.6P
2位、小泉さん+90.0P
3位、濱平プロ+83.7P
4位、押川さん▲46.8P
と、なりました!!
なんと、1位と2位の差が、僅か、9.6P。1位と3位との差も、僅か、15.9P。
最後の最後まで、気の抜くことはなく、ハラハラドキドキの対局でした!
光岡さんは、第4期北陸リーグの覇者であり、今回2度目の優勝となります。
入賞した選手の方々、おめでとうございます!
今回、去年9月から第9期北陸リーグのレポートを担当させていただきました。
少し寂しいですが、これで第9期リーグ戦の最後のレポートとなりました。
長く感じていましたが、あっという間の半年間でした。とても自分自身の勉強になりました。
こんな私に、チャンスを与えてくださりありがとうございました!
至らないところばかりでしたが、半年間お付き合いありがとうございました!
これからも一生懸命頑張りますので、よろしくお願いいたします。

何を切る?fromロン2 2014年03月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答をグラフを使って比較していきたいと思います。

多くのプロより、丁寧な解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。

問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介
gpmax2012
ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)
東1局西家 (色の濃くなっている牌はツモ切りです)

プロ
一筒切り・・・50人
発切り・・・11人
三索切り・・・7人
四筒切り・・・7人
六索切り・・・1人

ロン2ユーザー
三索切り・・・37.7%
一筒切り・・・30.5%
発切り・・・16%
四筒切り・・・10.3%
二索切り・・・2.6%
六索切り・・・1.8%
三万切り・・・0.7%
四万切り・・・0.2%
二筒切り・・・0.2%

プロ解答(50音順)

 

一筒切り

荒正義
「メンタンピンもしくは234の三色狙い。」

和泉由希子
「234の三色か発を使うかどちらでも対応できるように。」

井出一寛
発を雀頭候補として234の三色を見る。字牌のドラが見えていないので発を鳴かれて手を進められたくない。ピンズの下が安くなりそうなので四筒は残し、ここが伸びれば苦しいソーズの2度受けを払っていく。」

岩井健太
「234の三色を見つつ、ピンズが伸びればタンピン系へ移行する。」

内川幸太郎
「ソーズを厚く持ち、234の三色になれば最高です。三筒五筒を引いたら発を落としてタンピンに移行します。」

内田美乃里
「最高形はタンピン三色。234の三色の場合の発の雀頭は有りだが、発のみでは2枚目も動かずに、トイツ落としからのタンピン移行とする。」

大川哲哉
「開局の3巡目でもあることから最低でもタンピン。234の三色まで見る。」

小川尚哉
「234の三色か発を落としてのタンピン(イーペーコー)狙い。」

小車祥
発のトイツ落としだと手が重たくなる割に打点が見込めない。ツモ次第ではタンピン三色も遠くに見るが、基本的には捌き手として進める。」

ガース
一筒を残すとピンフのみになりそう。リーチをかければ裏ドラにも期待はできるが、この段階ではもう少し頑張って手役を狙ってみたい。とりあえず234の三色を目指し、三筒五筒が入ればメンタンピンに変化させたい。」

加藤博己
「3トイツ形2シャンテンはトイツをほぐすのが基本。三色やタンピン系を見たい。」

北野由実
「トイツが3つあるので1つほぐす。234の三色や四筒にくっついた場合のタンピンを見て。」

木戸僚之
発の暗刻や234の三色、タンピンイーペーコーなどを見た場合、手牌の中で一番の余剰牌なので一筒を切ります。」

黒沢咲
「迷いましたが、打一筒としてツモ次第では発を落としてタンピン系を狙います。」

ケネス徳田
「234の三色か四筒にくっつけてのタンピンを見る。発を落としていく手組みも視野に入れる。開局のフラットな局面なので、親の現物を残すという発想はしない。」

越野智紀
「234の三色と四筒周りを引いてのタンピンやイーペーコーを見ながら、状況次第では発をポンしてかわし手にする。五万を引いたら打二索として、発のポンテンと四筒にくっついてのタンヤオを狙う。」

紺野真太郎
「234の三色が本線。ツモが伸びた場合は発を落としてのタンピン移行も考える。」

斎藤桂史
「234の三色が本線ですね。極力メンゼンで進めるつもりで。」

櫻井秀樹
「打点力とかわし手の両方を見て。マンズかソーズでメンツができた後、発のトイツ落としでタンピンに移行しやすい。」

佐々木寿人
「234はもちろんだが、メンタンピンイーペーコーなども見て。発の2枚目は仕掛ける。」

猿川真寿
「234の三色を本線として、ツモ三筒の時はメンタンピンイーペーコーを目指す。」

沢崎誠
「東南戦の開局なので、基本的に満貫を目指す。不要な牌は一筒発発。この1巡内の発の引きも考えて一筒から外し、メンタンピンを目指す。当然発ポンは無し!」

嶋村泰之
「234の三色かメンタンピンを見据えて。発のトイツ落としにはまだ早い。」

白河雪菜
「234の三色を見つつ、三筒五筒を引いたらタンピンに移行。」

滝沢和典
「234三色、ツモ三筒五筒などでタンピンへの変化を見る。」

ダンプ大橋
「234の三色、タンピン、発の仕掛け、全てを無駄なく見ることができる一打は一筒しかないので。」

童瞳
発を動ける状態をキープしつつ、234の可能性を残し一筒切り。」

仲田加南
「234三色を見つつ、四筒にくっついたらタンピンに移行。」

中村毅
「開局なので手広く構える。234の三色を見ながら、ツモによって発のトイツ落としでタンピンに持っていく。」

中山奈々美
一筒を切って三筒五筒を引いたらタンピンを狙います。本線は234の三色か発のアガリ。」

奈良圭純
「理想は234の三色かメンタンピン。状況によっては発のポンテンも考えておきます。」

西川淳
「3トイツなので1つ崩していく。234、345の三色も見るが、手の伸びによって決めることに。三万四万二索三索四索五索六索七索二筒三筒四筒発発三万四万三索三索五索六索七索二筒三筒四筒発発発三万四万三索三索五索六索七索二筒二筒三筒三筒四筒四筒の3つを本線として進めます。」

羽山真生
「234の三色を見て。三筒五筒引きでタンピンも狙えるし、他家の進行次第では発ポンの選択も残る柔軟な一打を選択します。」

日吉辰哉
「234の三色を狙いつつ、三筒五筒をツモった時はタンピン系にシフトする。」

藤原隆弘
「234三色と四筒にくっつけてのメンタンピン狙い。基本的に発ポンはしない。暗刻になった時だけ利用するかな。」

古橋崇志
「東1局なので最高形は見切らない。234の三色かタンピンイーペーコーを狙う。」

増田隆一
四筒にくっつけば発をトイツ落とししてタンピンに移行する。発が暗刻になるケースもあるので、三索のトイツには手をかけない。」

松崎良文
発には頼らず234三色を本線に。三筒五筒ツモならタンピンへ移行。」

三田晋也
「メンタンピンになったら発落とし。234になったら発は雀頭に。」

三戸亮祐
「234の三色を見ながら進める。四筒の周りを引くようなら発のトイツ落としでタンピンに移行する。」

宮内こずえ
「234の三色を見つつ、ツモ次第でタンピンへの移行も考えて。」

安田麻里菜
「234の三色とタンピン、発の暗刻やポンテンなども見て。」

安村浩司
「現状234の三色狙い。三筒五筒引きで発を落としメンタンピンに切り替える。発は鳴かない。」

吉田直
「三色とタンピンを見て打一筒。次に三筒を引いたら打発。」

和久津晶
「234の三色、発の暗刻、三筒引きのタンピンを見て。」

 

発切り

鮎川卓
「スピードをロスすることなくピンフやタンヤオを狙えます。」

長内真実
「234の三色、ピンフに仕上げたいので発を切って様子を見ます。」

ジェン
「ピンフ系でリーチしたい!」

瀬戸熊直樹
「開局なので仕掛けて1,000点は避けたい。同じ1,000点でもピンフにしてメンゼンでアガる方が良しと考える。もちろん234、123の三色になれば最高だが。」

西岡慎泰
「現時点では雀頭、手役を決め切れない。まだ序盤なのでタンピンを目指し高打点を狙う。」

浜上文吾
「理想は234の三色。一筒切りでもいいと思いましたが、メンゼンで手を進めるために打発とします。」

平岡理恵
「ピンフ三色にしたいので。発が出てもポンするつもりはないし、早い段階でトイツ落としをしていきたい。」

前原雄大
「どの様に変化するか解らないので、全ての可能性を見て。」

望月雅継
「手牌から見える可能性を追求して打発とする。なるべくならば発は並べて切りたいが、フラットな開局なのでスピードよりも形作りに主眼を置きたい。」

山井弘
「狙いはメンタンピンイーペーコー。発は仕掛けると安い上に危険度も高いため、ここでトイツ落としとして5ブロックで打つ。」

 

三索切り

蒼井ゆりか
「234の三色(もしくはスライドしての123)を本線に見つつ、発が暗刻になった時はソーズを払っていく形を残します。巡目が早く開局なので手を広げたいです。」

大庭三四郎
「リャンメンターツを多く残し、三色になりそうならば一筒四筒を切っていく。」

小島武夫
三索切りで234の三色狙い。発は暗刻になれば使うし、場合によってはトイツ落とし。」

二階堂亜樹
「ピンフか三色か発の暗刻に備えて。」

森下剛任
「234の三色、発の暗刻、ピンフの全てを見て。今後のツモによって打牌が変わると思います。」

森山茂和
「手広く受けてピンフ、234と123三色を狙う。先に発が入ってくれてもOK。」

 

四筒切り

井出康平
「234の三色を見ながら、1巡でも2軒の安全牌の一筒を温存する。」

魚谷侑未
「まだ巡目も早いので素直に進めます。234を見つつ四筒一筒と切ります。この段階の発は仕掛けません。」

太田昌樹
「234本線ですが、発のポンテンは取ります。」

佐山竜介
「メンツオーバーなのでどこのターツを外していくか。役牌と三色が見えるので四筒切り。より安全な牌を残す意味で一筒より四筒を先に切る。」

藤井すみれ
「234を見つつ、親の現物一筒を残して手を進めます。いざとなれば一筒二筒三筒のメンツが親に通りそうなので安心!?」

麓征生
「123、234の三色を考えつつ、発のポンもできるように。」

山口大和
「ターツオーバーなのでピンズをほぐす。三色を見つつ手なりで進めるので、下家に合わせて打四筒。」

 

六索切り

福光聖雄
発を鳴いた捌き手と発雀頭の234三色狙い。ピンズの下が場に安いので、そこでの2メンツも考える。」

何を切る?/何を切る?fromロン2 2014年03月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答をグラフを使って比較していきたいと思います。
多くのプロより、丁寧な解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。
問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介
gpmax2012
ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)
東1局西家 (色の濃くなっている牌はツモ切りです)
プロ
一筒切り・・・50人
発切り・・・11人
三索切り・・・7人
四筒切り・・・7人
六索切り・・・1人
ロン2ユーザー
三索切り・・・37.7%
一筒切り・・・30.5%
発切り・・・16%
四筒切り・・・10.3%
二索切り・・・2.6%
六索切り・・・1.8%
三万切り・・・0.7%
四万切り・・・0.2%
二筒切り・・・0.2%
プロ解答(50音順)
 
一筒切り
荒正義
「メンタンピンもしくは234の三色狙い。」
和泉由希子
「234の三色か発を使うかどちらでも対応できるように。」
井出一寛
発を雀頭候補として234の三色を見る。字牌のドラが見えていないので発を鳴かれて手を進められたくない。ピンズの下が安くなりそうなので四筒は残し、ここが伸びれば苦しいソーズの2度受けを払っていく。」
岩井健太
「234の三色を見つつ、ピンズが伸びればタンピン系へ移行する。」
内川幸太郎
「ソーズを厚く持ち、234の三色になれば最高です。三筒五筒を引いたら発を落としてタンピンに移行します。」
内田美乃里
「最高形はタンピン三色。234の三色の場合の発の雀頭は有りだが、発のみでは2枚目も動かずに、トイツ落としからのタンピン移行とする。」
大川哲哉
「開局の3巡目でもあることから最低でもタンピン。234の三色まで見る。」
小川尚哉
「234の三色か発を落としてのタンピン(イーペーコー)狙い。」
小車祥
発のトイツ落としだと手が重たくなる割に打点が見込めない。ツモ次第ではタンピン三色も遠くに見るが、基本的には捌き手として進める。」
ガース
一筒を残すとピンフのみになりそう。リーチをかければ裏ドラにも期待はできるが、この段階ではもう少し頑張って手役を狙ってみたい。とりあえず234の三色を目指し、三筒五筒が入ればメンタンピンに変化させたい。」
加藤博己
「3トイツ形2シャンテンはトイツをほぐすのが基本。三色やタンピン系を見たい。」
北野由実
「トイツが3つあるので1つほぐす。234の三色や四筒にくっついた場合のタンピンを見て。」
木戸僚之
発の暗刻や234の三色、タンピンイーペーコーなどを見た場合、手牌の中で一番の余剰牌なので一筒を切ります。」
黒沢咲
「迷いましたが、打一筒としてツモ次第では発を落としてタンピン系を狙います。」
ケネス徳田
「234の三色か四筒にくっつけてのタンピンを見る。発を落としていく手組みも視野に入れる。開局のフラットな局面なので、親の現物を残すという発想はしない。」
越野智紀
「234の三色と四筒周りを引いてのタンピンやイーペーコーを見ながら、状況次第では発をポンしてかわし手にする。五万を引いたら打二索として、発のポンテンと四筒にくっついてのタンヤオを狙う。」
紺野真太郎
「234の三色が本線。ツモが伸びた場合は発を落としてのタンピン移行も考える。」
斎藤桂史
「234の三色が本線ですね。極力メンゼンで進めるつもりで。」
櫻井秀樹
「打点力とかわし手の両方を見て。マンズかソーズでメンツができた後、発のトイツ落としでタンピンに移行しやすい。」
佐々木寿人
「234はもちろんだが、メンタンピンイーペーコーなども見て。発の2枚目は仕掛ける。」
猿川真寿
「234の三色を本線として、ツモ三筒の時はメンタンピンイーペーコーを目指す。」
沢崎誠
「東南戦の開局なので、基本的に満貫を目指す。不要な牌は一筒発発。この1巡内の発の引きも考えて一筒から外し、メンタンピンを目指す。当然発ポンは無し!」
嶋村泰之
「234の三色かメンタンピンを見据えて。発のトイツ落としにはまだ早い。」
白河雪菜
「234の三色を見つつ、三筒五筒を引いたらタンピンに移行。」
滝沢和典
「234三色、ツモ三筒五筒などでタンピンへの変化を見る。」
ダンプ大橋
「234の三色、タンピン、発の仕掛け、全てを無駄なく見ることができる一打は一筒しかないので。」
童瞳
発を動ける状態をキープしつつ、234の可能性を残し一筒切り。」
仲田加南
「234三色を見つつ、四筒にくっついたらタンピンに移行。」
中村毅
「開局なので手広く構える。234の三色を見ながら、ツモによって発のトイツ落としでタンピンに持っていく。」
中山奈々美
一筒を切って三筒五筒を引いたらタンピンを狙います。本線は234の三色か発のアガリ。」
奈良圭純
「理想は234の三色かメンタンピン。状況によっては発のポンテンも考えておきます。」
西川淳
「3トイツなので1つ崩していく。234、345の三色も見るが、手の伸びによって決めることに。三万四万二索三索四索五索六索七索二筒三筒四筒発発三万四万三索三索五索六索七索二筒三筒四筒発発発三万四万三索三索五索六索七索二筒二筒三筒三筒四筒四筒の3つを本線として進めます。」
羽山真生
「234の三色を見て。三筒五筒引きでタンピンも狙えるし、他家の進行次第では発ポンの選択も残る柔軟な一打を選択します。」
日吉辰哉
「234の三色を狙いつつ、三筒五筒をツモった時はタンピン系にシフトする。」
藤原隆弘
「234三色と四筒にくっつけてのメンタンピン狙い。基本的に発ポンはしない。暗刻になった時だけ利用するかな。」
古橋崇志
「東1局なので最高形は見切らない。234の三色かタンピンイーペーコーを狙う。」
増田隆一
四筒にくっつけば発をトイツ落とししてタンピンに移行する。発が暗刻になるケースもあるので、三索のトイツには手をかけない。」
松崎良文
発には頼らず234三色を本線に。三筒五筒ツモならタンピンへ移行。」
三田晋也
「メンタンピンになったら発落とし。234になったら発は雀頭に。」
三戸亮祐
「234の三色を見ながら進める。四筒の周りを引くようなら発のトイツ落としでタンピンに移行する。」
宮内こずえ
「234の三色を見つつ、ツモ次第でタンピンへの移行も考えて。」
安田麻里菜
「234の三色とタンピン、発の暗刻やポンテンなども見て。」
安村浩司
「現状234の三色狙い。三筒五筒引きで発を落としメンタンピンに切り替える。発は鳴かない。」
吉田直
「三色とタンピンを見て打一筒。次に三筒を引いたら打発。」
和久津晶
「234の三色、発の暗刻、三筒引きのタンピンを見て。」
 
発切り
鮎川卓
「スピードをロスすることなくピンフやタンヤオを狙えます。」
長内真実
「234の三色、ピンフに仕上げたいので発を切って様子を見ます。」
ジェン
「ピンフ系でリーチしたい!」
瀬戸熊直樹
「開局なので仕掛けて1,000点は避けたい。同じ1,000点でもピンフにしてメンゼンでアガる方が良しと考える。もちろん234、123の三色になれば最高だが。」
西岡慎泰
「現時点では雀頭、手役を決め切れない。まだ序盤なのでタンピンを目指し高打点を狙う。」
浜上文吾
「理想は234の三色。一筒切りでもいいと思いましたが、メンゼンで手を進めるために打発とします。」
平岡理恵
「ピンフ三色にしたいので。発が出てもポンするつもりはないし、早い段階でトイツ落としをしていきたい。」
前原雄大
「どの様に変化するか解らないので、全ての可能性を見て。」
望月雅継
「手牌から見える可能性を追求して打発とする。なるべくならば発は並べて切りたいが、フラットな開局なのでスピードよりも形作りに主眼を置きたい。」
山井弘
「狙いはメンタンピンイーペーコー。発は仕掛けると安い上に危険度も高いため、ここでトイツ落としとして5ブロックで打つ。」
 
三索切り
蒼井ゆりか
「234の三色(もしくはスライドしての123)を本線に見つつ、発が暗刻になった時はソーズを払っていく形を残します。巡目が早く開局なので手を広げたいです。」
大庭三四郎
「リャンメンターツを多く残し、三色になりそうならば一筒四筒を切っていく。」
小島武夫
三索切りで234の三色狙い。発は暗刻になれば使うし、場合によってはトイツ落とし。」
二階堂亜樹
「ピンフか三色か発の暗刻に備えて。」
森下剛任
「234の三色、発の暗刻、ピンフの全てを見て。今後のツモによって打牌が変わると思います。」
森山茂和
「手広く受けてピンフ、234と123三色を狙う。先に発が入ってくれてもOK。」
 
四筒切り
井出康平
「234の三色を見ながら、1巡でも2軒の安全牌の一筒を温存する。」
魚谷侑未
「まだ巡目も早いので素直に進めます。234を見つつ四筒一筒と切ります。この段階の発は仕掛けません。」
太田昌樹
「234本線ですが、発のポンテンは取ります。」
佐山竜介
「メンツオーバーなのでどこのターツを外していくか。役牌と三色が見えるので四筒切り。より安全な牌を残す意味で一筒より四筒を先に切る。」
藤井すみれ
「234を見つつ、親の現物一筒を残して手を進めます。いざとなれば一筒二筒三筒のメンツが親に通りそうなので安心!?」
麓征生
「123、234の三色を考えつつ、発のポンもできるように。」
山口大和
「ターツオーバーなのでピンズをほぐす。三色を見つつ手なりで進めるので、下家に合わせて打四筒。」
 
六索切り
福光聖雄
発を鳴いた捌き手と発雀頭の234三色狙い。ピンズの下が場に安いので、そこでの2メンツも考える。」

第25期チャンピオンズリーグ 決勝観戦記

今期で25回目となるチャンピオンズリーグ。
私は前回、通算3度目の優勝を果たし、今期はべスト16からのシードだった。
編集責任者から「藤原さん、もし途中で負けたら決勝観戦記お願いします。」と言われ、連覇で4回目の優勝をする気満々の私が負ける筈がないだろうと思い、気楽に二つ返事でOKしてしまったのですが・・・
決果は、予定外の準決勝敗退で、決勝の観戦記を書かせていただくことになりました(涙)

今回決勝に残ったのはこの4名!

gpmax2012

福光聖雄 (34歳)
25期生、三段、B型、第23期新人王、(注)東大卒
チャンピオンズリーグの決勝は、第23期以来2度目、来季からC2リーグ

 

 

gpmax2012

小町拓也 (27歳)
25期生、二段、A型、来季からD1リーグ

 

 

gpmax2012

山中翼 (25歳)関西本部所属
25期生、三段、A型、関西プロリーグのC1(A,B,C1,C2の4部リーグ)

 

 

gpmax2012

森岡貞臣 (49歳)
28期生、初段、A型、D2リーグ

 

麻雀格闘倶楽部に出演していて、テレビ対局も何度か経験した元新人王の福光以外は、3人共決勝戦は初めての経験だし、これと言った実績が無く、選手紹介にも殆ど書く事が無い、連盟員でさえ知らない人の方が多いだろう。

このチャンピオンズリーグに関しては、小町と山中が初参加。(初参加で決勝まで勝ち上がったのは立派だが・・・・)森岡は3回目の参加だが、過去2回は途中敗退(全5節中4節までに100P以上マイナスすると失格)というふがいない戦績。

下剋上が起こりやすいチャンピオンズリーグ、過去に下部リーグ所属の優勝者は何度かあったが、決勝戦に1人も上位リーグ者がいないのは初めての事だ(C1が1人というのが1回)。
何故にこのような事態になったのか?私なりに理由を少し考察してみた。

まず、予選リーグの参加者が60名と少なく、さらにAリーガーが、A2所属の3人しか参加していなく(しかも全員予選敗退)予選全体のレベルが下がった上に、29位の通過ボーダーも一桁まで下がり(プラス9.7P)下部リーグの者が沢山残った。トーナメントには、シードの私を含めてもBリーグが4名しかいなく、下剋上が起こりやすいシチュエーションになったからでしょう。(トーナメントの内容は、既報の西川プロのレポートでご覧ください)

※予選リーグに関しては、来季から参加者が60人未満の場合は、以前の15名通過に戻す事を競技部で検討中です。

あとは、もうこの4人の中の誰かが勝つのだが、優勝候補をあげるならば、福光しか浮かばないだろう。
福光は新人王の他にも、他団体も多数参加する3年前の最強戦プロ予選で優勝し本大会に出場。今年正月の第7回連盟道場新春杯でも、Aリーガー多数参加の中で優勝。この決勝の翌日に生放送される次回の天空麻雀への出場権を賭けた『天空への道』の決勝にも勝ち残っている。

プロリーグは期待されたわりに、5年目でようやく土曜日の人(C3までは日曜日対局)の仲間入りと普通だが、一発勝負のワンデーマッチに強く、今日の決勝も1日だけの5回戦勝負なので、福光が単勝1.2倍くらいの大本命と予想していた。

他の3人の麻雀は殆ど認識していないのだが、福光の麻雀は、プロ入り前から連盟道場に通う常連様だったのでよく知っている。1.0倍でなく1.2倍としたのは、時折出る福光の独りよがりな粗さ。自分に自信があるからだろうが、私から見れば麻雀を舐めてるんじゃないか?くらいに、無理を通そうとすることがあるからだ。

ただし、今日のメンバーならきっちりとそれを咎める事が出来ないだろうから、やはり8割くらいは福光が勝つだろう。いずれにしても、今日の決勝戦はダメ出しだらけのミスの応酬になるだろうし、その中で一番ダメが少ない人が勝つ筈だ。腹を立てずに、なるべく優勝した人の良かった所を探して褒めてあげようと思い観戦に臨んだ。

さて、前置きが随分長くなりましたが、そろそろ試合に入りましょう。
その前に1つ皆様にお断りしておきます。
私は準決勝で、この中の2人に負けた身なのですが、この観戦記を上から目線で、辛口のダメ出しモードで書く事をご容赦下さい(既に最初から上から目線ですが・・・)。

gpmax2012

1回戦、起親から、福光、小町、山中、森岡
東1局、まずはいきなり最初の牌譜から検証していただきたい。

gpmax2012

恵まれた配牌から、南を一鳴きで仕掛けた南家の小町。

三万四万六万六万七万七万七万九万六筒中中ポン南南南ドラ二筒

ここで、ホンイツの匂いを消すために、六筒を残して九万から切ったのはプロなら当然とはいえ合格点。
次巡、生牌の発を引いて、跳満への渡りと絞りも考えて六筒切りもOK。
西家の山中も手が伸びた。

二万四万五索六索六索七索七索八索二筒二筒暗カン牌の背二索 上向き二索 上向き牌の背

このテンパイからドラを引き、四万切りで二万単騎。
次巡、八万をツモ切りするが、立会人の瀬戸熊も私も、ここは八万待ちに変えた方が良いと同じ意見。
説明すると長くなるし、優劣は微差だと思うが、A級の打ち手ならば八万にする方が多数だろう。
だが、これは責められない程度のチョイミスの部類かな。

次巡、親の福光が、

一万二万三万五万七万八万九万二筒七筒八筒発発中

ここに五万を重ねて中を切り、小町がポンして満貫テンパイ。
福光が中を1巡でも早く鳴かせれば、小町の満貫ツモだったが、1枚しかないから先に中を切るなんてのはプロの対局では有りえない。

私に言わせれば、ここでの中切りもよくない。親であろうと1シャンテンだろうと、今度新鳳凰位となった藤崎なら、いやA級の打ち手ならば、場に安全そうな七筒八筒を落として手を戻す、とりあえず1枚切って鳴かれたら止めるとかヌルイことはしない。
中を重ねてのホンイツや、二筒を重ねて親満クラスをテンパイすれば、1枚だけ勝負牌としてそっと放つのだ。

小町がポンテンで切った発に、福光はポンテンをかけない。二筒を勝負してまでの1,500が嫌なのか?
二筒で当たると高いから怖いのか?私には一慣性のある腹の据わった打ち方には見えない。
山中の次のツモは八万。もし山中が、八万単騎に変えていれば満貫ツモだった。

続く北家・森岡のツモが二万。福光が中を絞るか発を鳴き返していたら山中が満貫ツモだった。
福光は、スレスレで親カブリを免れたが、たまたまの偶然にしか見えない。

そして、なんと森岡が二万をツモ切る。ダブロンは無いので、小町の頭ハネだが森岡の手は、

三万四万五万四索四索四索五索五索六筒七筒白白中
この煮詰まった局面で、この程度の1シャンテンで今安全牌になった中を切らず、二万をツモ切りしての放銃。
面前で押している両脇にケアができない雀力だとしても、対面の小町は役牌を2組ポンだ。ホンイツかトイトイかドラドラが絡めば満貫あるし、何より森岡の手牌に危険を冒す価値が無い。

私が時々使う言葉に「放銃レベルが低い」というのがある。良い放銃もあれば仕方ない放銃もあるが、このような低いレベルの放銃はプロの試合であってはならない。
私は開始5分で、観戦ノートに森岡の優勝は無いと書いた。ただし相手が皆上級者ならばだが・・・

幸先良いスタートの小町だったが、この後の追加点が奪えず目減りしていく。
酷い放銃にもめげずに前に出る森岡の南1局、まだラス目だが北家で先制即リーチ。

三万四万五万七万八万八万八万九万六索七索七筒八筒九筒ドラ二万

この牌姿で子方のピンフのみ先制リーチは芸が無さ過ぎる。
ドラを引くか、九索を引いて三色にしてからのリーチだろう。
お約束のように、ドラの二万を引いてからのツモアガリで本人も苦笑い。

それでもオーラスに、親の森岡が2,000オールを引いてラス抜けした1本場。
4者の持ち点は超接近。

小町31,900
福光31,000
森岡28,000
山中27,000

まず西家の小町が3巡目にこうなる。

一万三万五万六万七万二索四索五索六索七索七索五筒六筒七筒ドラ一筒

微差のトップ目で、リーチ棒は出したくないのでタンヤオ狙いで一万を切って1シャンテンに戻した。
まだ早いので好手だとは思うが、とりあえずテンパイを取ってから変化を待つ手もある。
直ぐに二万をツモッたが、今度はフリテンであるがテンパイを取る。

結果的には、この判断が正解だった。二索を持ち過ぎると福光への放銃が待っていたからだ。
10巡目にテンパイした福光は即リーチ。

五万六万七万二索三索三索三索四索四索四索五索二筒二筒リーチ

確かにリーチしてツモれば満貫で、小町も配原割れで1人浮きになる。
ポジティブな福光らしいが、私はこのような場合は絶対にリーチ棒を出さない。
ヤミテンなら誰からも二索が出そうだし、もし1枚二索を切っている小町から出れば1人浮きになる。
何よりリーチ棒を出すことによって、自分が配原を割る可能性が大幅に増えるし2,000点放銃しただけでラスになるからだ。

リーチしか役が無くて、アガリが期待できるテンパイならばリーチ棒を出すが、1回戦から危険を冒してまで無理やり1人浮きを狙うことが必要だったのだろうか?上のリーグに上って行くには、もっと状況に応じた丁寧で緻密な対応力を身に着けなければならないと思う。リーチの直後に小町が高目の四をツモ、福光が黒棒1本沈んで小町僥倖の1人浮きのトップになった。

1回戦成績
小町+17.9P  福光▲1.1P  森岡▲5.6P  山中▲11.2P

山中が展開ラスになってしまったが、1回戦の内容は一番良かった。
そのご褒美かのように2回戦では山中が爆発した。

南家スタートの山中は、東初に森岡から南ホンイツの5,200点、迎えた親では、福光からリーチドラ1の3,900点をアガリ、1本場では思い切った即リーチで6,000オール!

四万五万六万七万七万五索六索七索八索九索四筒五筒六筒リーチツモ四索ドラ七万

東3局でも福光から満貫を出アガリし、持ち点は6万点オーバー。
ホントに強い人なら、これだけ点棒と勢いを掴んだら、ここぞとばかりに更に攻め込んで、この半荘で勝ちを決めるような特大のトップを取りに行くのだが、山中は、この後何故か気持ちが守りに入ったようで、誰もテンパイしてないところから受け気味の消極的な麻雀になり、森岡に浮きの2着を取らせてしまったのはもったいなかった。

この半荘で終わりのトーナメントならずっとオリていても勝ち残れるが、半荘5回の決勝でまだ2回戦目なのだ、この辺が決勝初体験のプレッシャーなのだろうか。

2回戦成績
山中+37.7P  森岡+5.6P  福光▲18.5P  小町▲24.8P

2回戦までのトータル
山中+26.5P  森岡+▲0P  小町▲6.9P  福光▲19.6P

3回戦は小町が東3局の親番で連荘し、40,000点越えのトップ目に立った4本場で山中に逸機。
西家・山中は6巡目テンパイ。

二万三万六万七万八万三索三索二筒三筒三筒四筒四筒五筒ドラ三索

何故か1巡回して六筒三筒を入れ替えてリーチ。
一万は福光が2枚切っている。ヤミテンならすぐに森岡が一万を打っていたが森岡がオリ。
小町も一万を掴んでオリ、福光が山中の現物待ちで追いつき、無筋を3枚カブせて山中から2,000点のアガリ。

山中の手はリーチを打てば安目でも満貫クラスだし、高目ツモなら跳満になるから気持ちは解らなくもないが、小町がアガリを重ねて連荘しているときだからヤミテンの選択がベターだったかも知れない。
山中これで少し焦ったか、続く東4局で中盤過ぎてこのテンパイ。

五万六万七万一索一索五索六索七索三筒四筒五筒五筒七筒ドラ四索

三色のみだが、待ちのカン六筒は場に3枚切れていて超期待薄。
ここで山中は、生牌の東をツモ切りして親の森岡がポン。
山中は次巡、生牌の中もツモ切りし、ついには終盤ドラ跨ぎの二索も切って森岡に7,700点の放銃。

これで森岡も浮きに回り、山中1人沈みのラス目となる。
2戦終わって1人浮きのトータルトップだったのだから、焦ることなく小さいラスなら良しとするような落ち着いた打ち方をするべきで、トータル2位につけていた森岡まで浮かせるべきではない。

断トツになって点棒を持ったら弱気に受けに回り、点棒が無くなると無理やり突っ込んで傷口を広げる。
これは典型的な負け組のパターンで、勝ち組になるにはこの逆でなければならない。

この半荘は森岡が小町を捲るのだが、追いついたアガリが南1局、北家の森岡4巡目にテンパイ。

七万三索三索五索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒ドラ五索

ここから二筒切りのテンパイ取らずとし、次巡、三筒を引いてリーチ。
福光から高目一筒で満貫をアガったが、もう一度4巡目の牌姿を見ていただきたい。
テンパイを壊してまで七万を残しても三色は無い。
ここはドラが五索なのだから、四索引きと三筒引きの両方を見て

三索四索五索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒
三索三索五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒

理想形はこの2つだから七万切りで仮テンを取るのが正解。
結果は、三筒を先に引いたから同じになるが、手順は不合格である。

オーラスは、小町がヤミで1,300点をアガって終局したが、

七万八万九万一筒一筒五筒五筒六筒六筒七筒発発発ドラ三筒ロン四筒

トップ目の親の森岡との点差が1,600点。リーチをかけて森岡がノーテンでもトップ逆転、優勝するためにはここは降着の心配もないのでリーチをかけてトップを取りに行かないとダメで、森岡に楽にトップをプレゼントしてしまったのはヌルイ。

3回戦成績
森岡+18.2P  小町+12.6P  福光▲11.5P  山中▲19.3P

3回戦までのトータル
森岡+18.2P  山中+7.2P  小町+5.7P  福光▲31.1P

gpmax2012

3回戦を終え、なんと本命の福光がラスこそ無いもののオールマイナスの1人沈み。
まだ残り2回あり、トップまでの差が50P弱だから逆転は充分可能だが、ここまでの闘いを見て、皆がミスも多く決め手に欠け、誰が勝つか全く解らない。

しかし、やはり本命は本命だった。第4回戦で、起親の福光が4,000点オールを皮切りに、6万点オーバーの特大トップに仕上げ、一発でトータルトップに立ったのだ。

流れを掴み、優勢に立ってから更に攻め手を緩めず仕上げる力は、他の3人にはまだ無いスキルだ。
ここでマイナスながら2着目に留まったのは森岡だが、やはり手順手筋にダメ出しが多い。
主なものをあげると、東2局の西家4巡目、四万四万五万六万七万八万三索四索五索六索七索七筒七筒発  ドラ一万

ここから発を残して四万を切る。あーもったいない。
いくら3面張と3面張の1シャンテンとはいえ九万ならメンピンのみだ。
六筒引きでのタンピン三色テンビンの形、

四万四万五万六万七万八万三索四索五索六索七索六筒七筒

これが想定できないと不合格である。
南1局、北家の森岡が断トツの福光の連荘中にこのリーチ。

六万八万五索五索六索六索七索七索三筒三筒六筒七筒八筒リーチドラ八万

捨て牌に四万が切ってあるからといっても、ドラが八万ではあまり意味が無いし、何より勢いに乗る親の福光がマンズのホンイツで仕掛けてマンズが余っているところに、このリーチは一人よがりで無邪気過ぎる。ヤミでもあまり打点は変わらず、アガれたらラツキーくらいでオリる事を想定して謙虚に構えるべき。もし福光が東を引いて小四喜になり、森岡が東を持ってきたらここでゲームオーバーだった。
福光の手牌

一万二万七万八万九万南南北北北ポン西西西

このテンパイから森岡リーチの後に南ポンで、

二万七万八万九万北北北ポン南南南ポン西西西

さらにオーラス、24,800点持ちで2着目の親の森岡の手牌。

六万六万八万八万九万九万一筒三筒三筒三筒中中中ドラ二索

8巡目に六万が出たがスルー、11巡目の八万もスルーした。
九万からならポンしにくいが、六万からならポンテンで良いのではないか?
7,700点でもアガれば浮きの2着で、最終戦に福光を10P以上リードの首位で臨める。
もし四暗刻をツモれば、ここでほぼ優勝が決まるが、無理やり四暗刻を狙うべき局面だろうか?
ゲームプランが非現実的である。

森岡へのダメ出しがやけに多いように思われるだろうが、結果を先に書くと優勝したのは森岡。
私の見立てでは、4人の中で一番ダメ出しが多かったのが森岡で、どこが良かったのか勝因を探してもさして見当たらないのだ。強いてあげれば、最初の酷い放銃にも再三のミスにもめげずに最後までアグレッシブに前に出た事。福光のデキが悪く、若い2人からもミスのお返しが再三あり、全体的に一番ツイていたということくらいか?

優勝者だからこそ遠慮なく辛口でダメ出しをさせていただいた。
叱蛇激励のつもりだから許していただきたい。

4回戦成績
福光+47.5P  森岡▲6.2P  山中▲17.3P  小町▲24.0P

4回戦までのトータル
福光+16.4P  森岡+12.0P  山中▲10.1P  小町▲18.3P

ここにきて本命が頭に立ってみるとやっぱり福光か!
と思われたのだが、今日の福光はここまででした。

さて、いよいよ最終5回戦、規定により2位に着ける森岡が起家。
森岡と福光はほぼ着順が上の方が勝ち、山中と小町は上位2人を沈めてのトップが条件となる。
森岡の9巡目。

一万一万二万八万九万九万九万二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒ドラ八万

ここから生牌のドラを切り出し、南家の山中がこれをポンして喰いタンに向かう。
現在の状況で、ドラを切ってまで棒テンに向かう必要があるのか疑問だが、鳴かれたおかげで森岡が一万をツモってテンパイ。

一万一万一万二万九万九万九万二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒

一筒が3枚切れていて、枚数的には四筒切りの二万三万待ちが勝るが、二万が山中の現物ということもあり、森岡は二万を切ってリーチ。ドラをポンさせて焦ったのだろうか?オリるときは一万九万も安全牌だし、ピンズが1つ変われば三暗刻だし、即リーチの必然性が無いと思う。ドラポンに対してぶつけるのならアガったときにかなりのアドバンテージになる打点に仕上げてからでなくては見合わない。

その後、山中が七万をチーしてテンパイで三万を勝負し五筒をツモアガった。
森岡のミスでドラ3をアガらせて貰った山中は、次局の親でドラ2の先制リーチ。

二万三万四万一索三索一筒二筒三筒四筒四筒四筒六筒六筒リーチドラ六筒

このカン二索待ちが4枚ともヤマ生きで、あっさりとツモって3,900点オール。
山中が開始10分足らずで首位に立った。
ついに、25期目にしてチャンピオンズリーグの優勝が、関西本部に渡るかと思われたが、同1本場で優勝を決める大きな一発が飛び出した。

gpmax2012

2巡目の自風の北と、4巡目の中をそれぞれスルーした落ち着いたプレーが良く、後重なりの白と併せて3組ともポンできた。こうなると、後は誰も打たないだろうからツモ専だが、首尾よく高目の東三索で倍満ツモ。
一気に優勝に王手をかけた。

この後、皆で追撃を試みるが大きなアガリも出ず、小町に2度の勝負手が入るが実らず。

南1局4本場、

三万四万五万三索四索五索六索七索三筒四筒五筒七筒七筒リーチドラ三索

このリーチも流局。
南3局の親番。

三万四万五万二索三索六筒六筒六筒七筒七筒ポン発発発ドラ六筒

森岡が福光に満貫放銃で親落ち。
オーラスは、ラス目の親の福光があわや大三元か?

二索三索七索九索九索白白中中中ポン発発発

ここまで漕ぎ着けたが、森岡が喰いタンで捌いて優勝を決めた。

5回戦成績
森岡+17.5P  山中+8.2P  小町▲7.3P  福光▲18.4P

総合トータル
森岡+29.5P  山中▲1.9P  福光▲2.0P  小町▲25.6P

2年前、47歳で一念発起し、連盟のプロテストを受験した森岡。
年輩の受験生の場合は、他の若い受験生に比べてかなり水準以上のレベルになければ合格は難しい。
決して甘くないプロテスト基準に合格したのだから、森岡が2年目でタイトルを獲得しても不思議ではないのだが、決勝戦の舞台で全てを観られ、牌譜に採られてみると、雀歴30年のわりには手順手筋の未熟さ、無用な長考、手離れの悪さ等々、プロ連盟のタイトルホルダーとして皆様に対局を観ていただくにはまだまだ多くの課題が残る。

現在49歳とはいえ僕よりかなり若いんだし、プロとしてはまだ新人、これから先の麻雀人生は長いのだから、努力して頑張ってよ森岡君!

とりあえず初タイトルおめでとうございます。

gpmax2012

PS.この翌日「天空への道」決勝戦が行われたが、この日とは別人のようなスーパー福光が、格上3人を相手に3戦3トップでブッチギリの優勝。最後には、字一色小四喜を決め、次回「天空麻雀15」への出場権を獲得した。
生放送での字一色小四喜は史上初で、今後YouTubeなどで何万回と再生されるだろう。
やはりこの男はもっている(笑)

JPML WRCリーグ 決勝観戦記/第25期チャンピオンズリーグ 決勝観戦記

今期で25回目となるチャンピオンズリーグ。
私は前回、通算3度目の優勝を果たし、今期はべスト16からのシードだった。
編集責任者から「藤原さん、もし途中で負けたら決勝観戦記お願いします。」と言われ、連覇で4回目の優勝をする気満々の私が負ける筈がないだろうと思い、気楽に二つ返事でOKしてしまったのですが・・・
決果は、予定外の準決勝敗退で、決勝の観戦記を書かせていただくことになりました(涙)
今回決勝に残ったのはこの4名!
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福光聖雄 (34歳)
25期生、三段、B型、第23期新人王、(注)東大卒
チャンピオンズリーグの決勝は、第23期以来2度目、来季からC2リーグ
 
 
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小町拓也 (27歳)
25期生、二段、A型、来季からD1リーグ
 
 
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山中翼 (25歳)関西本部所属
25期生、三段、A型、関西プロリーグのC1(A,B,C1,C2の4部リーグ)
 
 
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森岡貞臣 (49歳)
28期生、初段、A型、D2リーグ
 
麻雀格闘倶楽部に出演していて、テレビ対局も何度か経験した元新人王の福光以外は、3人共決勝戦は初めての経験だし、これと言った実績が無く、選手紹介にも殆ど書く事が無い、連盟員でさえ知らない人の方が多いだろう。
このチャンピオンズリーグに関しては、小町と山中が初参加。(初参加で決勝まで勝ち上がったのは立派だが・・・・)森岡は3回目の参加だが、過去2回は途中敗退(全5節中4節までに100P以上マイナスすると失格)というふがいない戦績。
下剋上が起こりやすいチャンピオンズリーグ、過去に下部リーグ所属の優勝者は何度かあったが、決勝戦に1人も上位リーグ者がいないのは初めての事だ(C1が1人というのが1回)。
何故にこのような事態になったのか?私なりに理由を少し考察してみた。
まず、予選リーグの参加者が60名と少なく、さらにAリーガーが、A2所属の3人しか参加していなく(しかも全員予選敗退)予選全体のレベルが下がった上に、29位の通過ボーダーも一桁まで下がり(プラス9.7P)下部リーグの者が沢山残った。トーナメントには、シードの私を含めてもBリーグが4名しかいなく、下剋上が起こりやすいシチュエーションになったからでしょう。(トーナメントの内容は、既報の西川プロのレポートでご覧ください)
※予選リーグに関しては、来季から参加者が60人未満の場合は、以前の15名通過に戻す事を競技部で検討中です。
あとは、もうこの4人の中の誰かが勝つのだが、優勝候補をあげるならば、福光しか浮かばないだろう。
福光は新人王の他にも、他団体も多数参加する3年前の最強戦プロ予選で優勝し本大会に出場。今年正月の第7回連盟道場新春杯でも、Aリーガー多数参加の中で優勝。この決勝の翌日に生放送される次回の天空麻雀への出場権を賭けた『天空への道』の決勝にも勝ち残っている。
プロリーグは期待されたわりに、5年目でようやく土曜日の人(C3までは日曜日対局)の仲間入りと普通だが、一発勝負のワンデーマッチに強く、今日の決勝も1日だけの5回戦勝負なので、福光が単勝1.2倍くらいの大本命と予想していた。
他の3人の麻雀は殆ど認識していないのだが、福光の麻雀は、プロ入り前から連盟道場に通う常連様だったのでよく知っている。1.0倍でなく1.2倍としたのは、時折出る福光の独りよがりな粗さ。自分に自信があるからだろうが、私から見れば麻雀を舐めてるんじゃないか?くらいに、無理を通そうとすることがあるからだ。
ただし、今日のメンバーならきっちりとそれを咎める事が出来ないだろうから、やはり8割くらいは福光が勝つだろう。いずれにしても、今日の決勝戦はダメ出しだらけのミスの応酬になるだろうし、その中で一番ダメが少ない人が勝つ筈だ。腹を立てずに、なるべく優勝した人の良かった所を探して褒めてあげようと思い観戦に臨んだ。
さて、前置きが随分長くなりましたが、そろそろ試合に入りましょう。
その前に1つ皆様にお断りしておきます。
私は準決勝で、この中の2人に負けた身なのですが、この観戦記を上から目線で、辛口のダメ出しモードで書く事をご容赦下さい(既に最初から上から目線ですが・・・)。
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1回戦、起親から、福光、小町、山中、森岡
東1局、まずはいきなり最初の牌譜から検証していただきたい。
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恵まれた配牌から、南を一鳴きで仕掛けた南家の小町。
三万四万六万六万七万七万七万九万六筒中中ポン南南南ドラ二筒
ここで、ホンイツの匂いを消すために、六筒を残して九万から切ったのはプロなら当然とはいえ合格点。
次巡、生牌の発を引いて、跳満への渡りと絞りも考えて六筒切りもOK。
西家の山中も手が伸びた。
二万四万五索六索六索七索七索八索二筒二筒暗カン牌の背二索 上向き二索 上向き牌の背
このテンパイからドラを引き、四万切りで二万単騎。
次巡、八万をツモ切りするが、立会人の瀬戸熊も私も、ここは八万待ちに変えた方が良いと同じ意見。
説明すると長くなるし、優劣は微差だと思うが、A級の打ち手ならば八万にする方が多数だろう。
だが、これは責められない程度のチョイミスの部類かな。
次巡、親の福光が、
一万二万三万五万七万八万九万二筒七筒八筒発発中
ここに五万を重ねて中を切り、小町がポンして満貫テンパイ。
福光が中を1巡でも早く鳴かせれば、小町の満貫ツモだったが、1枚しかないから先に中を切るなんてのはプロの対局では有りえない。
私に言わせれば、ここでの中切りもよくない。親であろうと1シャンテンだろうと、今度新鳳凰位となった藤崎なら、いやA級の打ち手ならば、場に安全そうな七筒八筒を落として手を戻す、とりあえず1枚切って鳴かれたら止めるとかヌルイことはしない。
中を重ねてのホンイツや、二筒を重ねて親満クラスをテンパイすれば、1枚だけ勝負牌としてそっと放つのだ。
小町がポンテンで切った発に、福光はポンテンをかけない。二筒を勝負してまでの1,500が嫌なのか?
二筒で当たると高いから怖いのか?私には一慣性のある腹の据わった打ち方には見えない。
山中の次のツモは八万。もし山中が、八万単騎に変えていれば満貫ツモだった。
続く北家・森岡のツモが二万。福光が中を絞るか発を鳴き返していたら山中が満貫ツモだった。
福光は、スレスレで親カブリを免れたが、たまたまの偶然にしか見えない。
そして、なんと森岡が二万をツモ切る。ダブロンは無いので、小町の頭ハネだが森岡の手は、
三万四万五万四索四索四索五索五索六筒七筒白白中
この煮詰まった局面で、この程度の1シャンテンで今安全牌になった中を切らず、二万をツモ切りしての放銃。
面前で押している両脇にケアができない雀力だとしても、対面の小町は役牌を2組ポンだ。ホンイツかトイトイかドラドラが絡めば満貫あるし、何より森岡の手牌に危険を冒す価値が無い。
私が時々使う言葉に「放銃レベルが低い」というのがある。良い放銃もあれば仕方ない放銃もあるが、このような低いレベルの放銃はプロの試合であってはならない。
私は開始5分で、観戦ノートに森岡の優勝は無いと書いた。ただし相手が皆上級者ならばだが・・・
幸先良いスタートの小町だったが、この後の追加点が奪えず目減りしていく。
酷い放銃にもめげずに前に出る森岡の南1局、まだラス目だが北家で先制即リーチ。
三万四万五万七万八万八万八万九万六索七索七筒八筒九筒ドラ二万
この牌姿で子方のピンフのみ先制リーチは芸が無さ過ぎる。
ドラを引くか、九索を引いて三色にしてからのリーチだろう。
お約束のように、ドラの二万を引いてからのツモアガリで本人も苦笑い。
それでもオーラスに、親の森岡が2,000オールを引いてラス抜けした1本場。
4者の持ち点は超接近。
小町31,900
福光31,000
森岡28,000
山中27,000
まず西家の小町が3巡目にこうなる。
一万三万五万六万七万二索四索五索六索七索七索五筒六筒七筒ドラ一筒
微差のトップ目で、リーチ棒は出したくないのでタンヤオ狙いで一万を切って1シャンテンに戻した。
まだ早いので好手だとは思うが、とりあえずテンパイを取ってから変化を待つ手もある。
直ぐに二万をツモッたが、今度はフリテンであるがテンパイを取る。
結果的には、この判断が正解だった。二索を持ち過ぎると福光への放銃が待っていたからだ。
10巡目にテンパイした福光は即リーチ。
五万六万七万二索三索三索三索四索四索四索五索二筒二筒リーチ
確かにリーチしてツモれば満貫で、小町も配原割れで1人浮きになる。
ポジティブな福光らしいが、私はこのような場合は絶対にリーチ棒を出さない。
ヤミテンなら誰からも二索が出そうだし、もし1枚二索を切っている小町から出れば1人浮きになる。
何よりリーチ棒を出すことによって、自分が配原を割る可能性が大幅に増えるし2,000点放銃しただけでラスになるからだ。
リーチしか役が無くて、アガリが期待できるテンパイならばリーチ棒を出すが、1回戦から危険を冒してまで無理やり1人浮きを狙うことが必要だったのだろうか?上のリーグに上って行くには、もっと状況に応じた丁寧で緻密な対応力を身に着けなければならないと思う。リーチの直後に小町が高目の四をツモ、福光が黒棒1本沈んで小町僥倖の1人浮きのトップになった。
1回戦成績
小町+17.9P  福光▲1.1P  森岡▲5.6P  山中▲11.2P
山中が展開ラスになってしまったが、1回戦の内容は一番良かった。
そのご褒美かのように2回戦では山中が爆発した。
南家スタートの山中は、東初に森岡から南ホンイツの5,200点、迎えた親では、福光からリーチドラ1の3,900点をアガリ、1本場では思い切った即リーチで6,000オール!
四万五万六万七万七万五索六索七索八索九索四筒五筒六筒リーチツモ四索ドラ七万
東3局でも福光から満貫を出アガリし、持ち点は6万点オーバー。
ホントに強い人なら、これだけ点棒と勢いを掴んだら、ここぞとばかりに更に攻め込んで、この半荘で勝ちを決めるような特大のトップを取りに行くのだが、山中は、この後何故か気持ちが守りに入ったようで、誰もテンパイしてないところから受け気味の消極的な麻雀になり、森岡に浮きの2着を取らせてしまったのはもったいなかった。
この半荘で終わりのトーナメントならずっとオリていても勝ち残れるが、半荘5回の決勝でまだ2回戦目なのだ、この辺が決勝初体験のプレッシャーなのだろうか。
2回戦成績
山中+37.7P  森岡+5.6P  福光▲18.5P  小町▲24.8P
2回戦までのトータル
山中+26.5P  森岡+▲0P  小町▲6.9P  福光▲19.6P
3回戦は小町が東3局の親番で連荘し、40,000点越えのトップ目に立った4本場で山中に逸機。
西家・山中は6巡目テンパイ。
二万三万六万七万八万三索三索二筒三筒三筒四筒四筒五筒ドラ三索
何故か1巡回して六筒三筒を入れ替えてリーチ。
一万は福光が2枚切っている。ヤミテンならすぐに森岡が一万を打っていたが森岡がオリ。
小町も一万を掴んでオリ、福光が山中の現物待ちで追いつき、無筋を3枚カブせて山中から2,000点のアガリ。
山中の手はリーチを打てば安目でも満貫クラスだし、高目ツモなら跳満になるから気持ちは解らなくもないが、小町がアガリを重ねて連荘しているときだからヤミテンの選択がベターだったかも知れない。
山中これで少し焦ったか、続く東4局で中盤過ぎてこのテンパイ。
五万六万七万一索一索五索六索七索三筒四筒五筒五筒七筒ドラ四索
三色のみだが、待ちのカン六筒は場に3枚切れていて超期待薄。
ここで山中は、生牌の東をツモ切りして親の森岡がポン。
山中は次巡、生牌の中もツモ切りし、ついには終盤ドラ跨ぎの二索も切って森岡に7,700点の放銃。
これで森岡も浮きに回り、山中1人沈みのラス目となる。
2戦終わって1人浮きのトータルトップだったのだから、焦ることなく小さいラスなら良しとするような落ち着いた打ち方をするべきで、トータル2位につけていた森岡まで浮かせるべきではない。
断トツになって点棒を持ったら弱気に受けに回り、点棒が無くなると無理やり突っ込んで傷口を広げる。
これは典型的な負け組のパターンで、勝ち組になるにはこの逆でなければならない。
この半荘は森岡が小町を捲るのだが、追いついたアガリが南1局、北家の森岡4巡目にテンパイ。
七万三索三索五索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒ドラ五索
ここから二筒切りのテンパイ取らずとし、次巡、三筒を引いてリーチ。
福光から高目一筒で満貫をアガったが、もう一度4巡目の牌姿を見ていただきたい。
テンパイを壊してまで七万を残しても三色は無い。
ここはドラが五索なのだから、四索引きと三筒引きの両方を見て
三索四索五索六索七索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒
三索三索五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒
理想形はこの2つだから七万切りで仮テンを取るのが正解。
結果は、三筒を先に引いたから同じになるが、手順は不合格である。
オーラスは、小町がヤミで1,300点をアガって終局したが、
七万八万九万一筒一筒五筒五筒六筒六筒七筒発発発ドラ三筒ロン四筒
トップ目の親の森岡との点差が1,600点。リーチをかけて森岡がノーテンでもトップ逆転、優勝するためにはここは降着の心配もないのでリーチをかけてトップを取りに行かないとダメで、森岡に楽にトップをプレゼントしてしまったのはヌルイ。
3回戦成績
森岡+18.2P  小町+12.6P  福光▲11.5P  山中▲19.3P
3回戦までのトータル
森岡+18.2P  山中+7.2P  小町+5.7P  福光▲31.1P
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3回戦を終え、なんと本命の福光がラスこそ無いもののオールマイナスの1人沈み。
まだ残り2回あり、トップまでの差が50P弱だから逆転は充分可能だが、ここまでの闘いを見て、皆がミスも多く決め手に欠け、誰が勝つか全く解らない。
しかし、やはり本命は本命だった。第4回戦で、起親の福光が4,000点オールを皮切りに、6万点オーバーの特大トップに仕上げ、一発でトータルトップに立ったのだ。
流れを掴み、優勢に立ってから更に攻め手を緩めず仕上げる力は、他の3人にはまだ無いスキルだ。
ここでマイナスながら2着目に留まったのは森岡だが、やはり手順手筋にダメ出しが多い。
主なものをあげると、東2局の西家4巡目、四万四万五万六万七万八万三索四索五索六索七索七筒七筒発  ドラ一万
ここから発を残して四万を切る。あーもったいない。
いくら3面張と3面張の1シャンテンとはいえ九万ならメンピンのみだ。
六筒引きでのタンピン三色テンビンの形、
四万四万五万六万七万八万三索四索五索六索七索六筒七筒
これが想定できないと不合格である。
南1局、北家の森岡が断トツの福光の連荘中にこのリーチ。
六万八万五索五索六索六索七索七索三筒三筒六筒七筒八筒リーチドラ八万
捨て牌に四万が切ってあるからといっても、ドラが八万ではあまり意味が無いし、何より勢いに乗る親の福光がマンズのホンイツで仕掛けてマンズが余っているところに、このリーチは一人よがりで無邪気過ぎる。ヤミでもあまり打点は変わらず、アガれたらラツキーくらいでオリる事を想定して謙虚に構えるべき。もし福光が東を引いて小四喜になり、森岡が東を持ってきたらここでゲームオーバーだった。
福光の手牌
一万二万七万八万九万南南北北北ポン西西西
このテンパイから森岡リーチの後に南ポンで、
二万七万八万九万北北北ポン南南南ポン西西西
さらにオーラス、24,800点持ちで2着目の親の森岡の手牌。
六万六万八万八万九万九万一筒三筒三筒三筒中中中ドラ二索
8巡目に六万が出たがスルー、11巡目の八万もスルーした。
九万からならポンしにくいが、六万からならポンテンで良いのではないか?
7,700点でもアガれば浮きの2着で、最終戦に福光を10P以上リードの首位で臨める。
もし四暗刻をツモれば、ここでほぼ優勝が決まるが、無理やり四暗刻を狙うべき局面だろうか?
ゲームプランが非現実的である。
森岡へのダメ出しがやけに多いように思われるだろうが、結果を先に書くと優勝したのは森岡。
私の見立てでは、4人の中で一番ダメ出しが多かったのが森岡で、どこが良かったのか勝因を探してもさして見当たらないのだ。強いてあげれば、最初の酷い放銃にも再三のミスにもめげずに最後までアグレッシブに前に出た事。福光のデキが悪く、若い2人からもミスのお返しが再三あり、全体的に一番ツイていたということくらいか?
優勝者だからこそ遠慮なく辛口でダメ出しをさせていただいた。
叱蛇激励のつもりだから許していただきたい。
4回戦成績
福光+47.5P  森岡▲6.2P  山中▲17.3P  小町▲24.0P
4回戦までのトータル
福光+16.4P  森岡+12.0P  山中▲10.1P  小町▲18.3P
ここにきて本命が頭に立ってみるとやっぱり福光か!
と思われたのだが、今日の福光はここまででした。
さて、いよいよ最終5回戦、規定により2位に着ける森岡が起家。
森岡と福光はほぼ着順が上の方が勝ち、山中と小町は上位2人を沈めてのトップが条件となる。
森岡の9巡目。
一万一万二万八万九万九万九万二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒ドラ八万
ここから生牌のドラを切り出し、南家の山中がこれをポンして喰いタンに向かう。
現在の状況で、ドラを切ってまで棒テンに向かう必要があるのか疑問だが、鳴かれたおかげで森岡が一万をツモってテンパイ。
一万一万一万二万九万九万九万二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒
一筒が3枚切れていて、枚数的には四筒切りの二万三万待ちが勝るが、二万が山中の現物ということもあり、森岡は二万を切ってリーチ。ドラをポンさせて焦ったのだろうか?オリるときは一万九万も安全牌だし、ピンズが1つ変われば三暗刻だし、即リーチの必然性が無いと思う。ドラポンに対してぶつけるのならアガったときにかなりのアドバンテージになる打点に仕上げてからでなくては見合わない。
その後、山中が七万をチーしてテンパイで三万を勝負し五筒をツモアガった。
森岡のミスでドラ3をアガらせて貰った山中は、次局の親でドラ2の先制リーチ。
二万三万四万一索三索一筒二筒三筒四筒四筒四筒六筒六筒リーチドラ六筒
このカン二索待ちが4枚ともヤマ生きで、あっさりとツモって3,900点オール。
山中が開始10分足らずで首位に立った。
ついに、25期目にしてチャンピオンズリーグの優勝が、関西本部に渡るかと思われたが、同1本場で優勝を決める大きな一発が飛び出した。
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2巡目の自風の北と、4巡目の中をそれぞれスルーした落ち着いたプレーが良く、後重なりの白と併せて3組ともポンできた。こうなると、後は誰も打たないだろうからツモ専だが、首尾よく高目の東三索で倍満ツモ。
一気に優勝に王手をかけた。
この後、皆で追撃を試みるが大きなアガリも出ず、小町に2度の勝負手が入るが実らず。
南1局4本場、
三万四万五万三索四索五索六索七索三筒四筒五筒七筒七筒リーチドラ三索
このリーチも流局。
南3局の親番。
三万四万五万二索三索六筒六筒六筒七筒七筒ポン発発発ドラ六筒
森岡が福光に満貫放銃で親落ち。
オーラスは、ラス目の親の福光があわや大三元か?
二索三索七索九索九索白白中中中ポン発発発
ここまで漕ぎ着けたが、森岡が喰いタンで捌いて優勝を決めた。
5回戦成績
森岡+17.5P  山中+8.2P  小町▲7.3P  福光▲18.4P
総合トータル
森岡+29.5P  山中▲1.9P  福光▲2.0P  小町▲25.6P
2年前、47歳で一念発起し、連盟のプロテストを受験した森岡。
年輩の受験生の場合は、他の若い受験生に比べてかなり水準以上のレベルになければ合格は難しい。
決して甘くないプロテスト基準に合格したのだから、森岡が2年目でタイトルを獲得しても不思議ではないのだが、決勝戦の舞台で全てを観られ、牌譜に採られてみると、雀歴30年のわりには手順手筋の未熟さ、無用な長考、手離れの悪さ等々、プロ連盟のタイトルホルダーとして皆様に対局を観ていただくにはまだまだ多くの課題が残る。
現在49歳とはいえ僕よりかなり若いんだし、プロとしてはまだ新人、これから先の麻雀人生は長いのだから、努力して頑張ってよ森岡君!
とりあえず初タイトルおめでとうございます。
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PS.この翌日「天空への道」決勝戦が行われたが、この日とは別人のようなスーパー福光が、格上3人を相手に3戦3トップでブッチギリの優勝。最後には、字一色小四喜を決め、次回「天空麻雀15」への出場権を獲得した。
生放送での字一色小四喜は史上初で、今後YouTubeなどで何万回と再生されるだろう。
やはりこの男はもっている(笑)

第30期鳳凰位決定戦 初日観戦記前編

鳳凰戦・初日1~2回戦

2014年1月26日(日曜日)。第30期『鳳凰』決定戦の幕が切って落とされた。
この日、東京はその決戦を祝うかのように久しぶりに晴れたが、
スタジオに向かう早稲田の夏目坂は、勝負の波乱を思わせる強風が吹いていた。

試合開始は15時だが、選手はその30分前に入るのが慣例である。しかし4人の選手は、さらにその30分前にすでに到着していた。これは試合開始前のイメージトレーニングの時間に当てるように思われがちだが、そうではない。体力作りや調整・イメトレなどもうとっくに済ませてあるのだ。
早く来た理由は…勝負の場の空気を吸うことで、緊張で目が上るのを防ぐためであろう。

対局者は挨拶をかわした後、世間話に興じる。この時、誰もが内に秘めた闘志などおくびにも出さない。皆、粋な歴戦の強者達なのである。
だがこの時、世話係のプロが食事の注文を取りに来た。裏方は音声・カメラ調整・立会人・採譜・司会進行・解説を含めると10名に及ぶが、すべて連盟員が分担し取り仕切る。夏目坂スタジオは連盟の総本山なのである。

食事は3種類のロケ弁である。
試合時間は優に8時間に及ぶため、選手も裏方も第2戦が済んだとき食事休憩に入る。
しかし選手4人は言下に「結構です」と答えた。これが闘志と覚悟の表れである。

食事をとればその分、血液が脳から胃に下がる。それが思考能力の妨げとなり、凡打(ミス)を誘発ことがある。勝負どころの一打の緩手は即、致命傷となるのだ。1年間かけた総仕上げがそれでは無念だ。
だから「結構です」となるのだ。
もちろん食べなくても平気で、プロはそうした鍛錬をずっと昔から積んでいるのだ。

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第一戦は起親が沢崎で、順に瀬戸熊・藤崎・伊藤の並び。
開始早々、12巡目に沢崎の親のリーチが飛んで来た。

 

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通常、競技麻雀でこの牌姿のリーチはない。

三筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発中ドラ五筒

五筒を引けばリャンペーコだし五筒はドラなのである。
この形で決まるならヤミテンで、出ても24,000のアガリになるからである。

三筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発ロン五筒

そんなことは沢崎とて百も承知である。では、何故リーチをかけたのか―。
考えられる理由は3つある。まずその1つは河に3牌の二筒が飛んでいたことである。
五筒を引いたとしても二筒五筒マチは薄い…)と考えたに違いない。
第2の理由は、藤崎の仕掛けと河にある。自風の西のポンで、この河ならピンズの染め手は一目瞭然。
同じ色で、手がぶつかっていたのだ。

四万 上向き五万 上向き五万 上向き二万 上向き五索 上向き六索 上向き六万 上向き八索 上向き一索 上向き白北九筒 上向き

中は藤崎に危険牌である。
(当たるかも知れないし、出るかも知れない。ならばここで勝負―)
これが沢崎の培われた明るい感性で、いわば勝負の決断と手牌の見切りである。

 

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この時、藤崎の手の内はこうだ。

一筒一筒二筒四筒七筒八筒九筒発中中ポン西西西

中が出ればポンテンで、真っ向勝負となっていたのである。
しかし、結果は流局。残された1枚の中は深く王牌に眠ったままだった。
もちろん対局者は藤崎以外、中の在りかなど知る由もない。

 

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この親の沢崎のテンパイ形を見て、相手はどう思うか。いや、このとき沢崎は何を考えていたかである。
大事なのはここである。
(この場面、流局が相場である。運があればツモれるか―)
と、まず考える。
ただこの手は実らずとも、相手に見せることに意義がある。
そして次にこうだ。
(オレのリーチは怖いぞ、前に出たときには訳がある―)
このテンパイ形を見て相手は考える。
(ゲッ、そんな手で!)
相手に与える強烈なインパクト。
これを見せつけ、後の戦いを有利に運ぶ手段にすればいいのだ。
今度はブラフのリーチでも相手をオロすことができる。彼はそう考える。
これが、沢崎がリーチをかけた第3の理由である。

だが麻雀は、思い通りに事が運ぶとは限らない。そう、一寸先は闇である。
この日の沢崎がそうだった。東2局の最終図を見てみよう。

 

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今度はなんの因果か、逆にメンホン七対子を藤崎に討ち取られたのである。
沢崎もドラが2丁の勝負手、だから仕方がないと自分に言い聞かせることはできる。が、あの時あの手がヤミテンならどういう結果だったのか、という思いは頭をかすめたに違いない。

三筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発中

沢崎誠は群馬県安中市生まれの58歳。
彼は、自分を頑固者で生意気と評する。麻雀を覚えたのは学生のときで、すぐに勝ち組になったという。
連盟の3期生で、同期には藤原隆弘がいる。その雀風、読みの精度が高く攻めは重厚である。
連盟を代表する打ち手の1人だ。
こちらが親で勝負手のリーチをかけていても、無筋をブンと通されるとドキリとなるのだ。
その性格上、人とぶつかることもあるが、頑固者で生意気という性分は、ある意味で麻雀プロの素質でもあるのだ。彼は「十段」戦は瀬戸熊に敗れはしたが、その後「最強位」を手中に収め、リベンジに燃えていたのだ。

 

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さて、メンホン七対子の結果を見る限り、アガった者と打った者を見れば2人の態勢の差は歴然。

 

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だがこの第一戦、トップをものにしたのは要所・要所でアガリを的確ものにした瀬戸熊だったのである。
彼のこの半荘の安定感はまさに、いぶし銀に見えたのだった。

 

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第二戦は前回トップの瀬戸熊が起親。順に伊藤・藤崎・沢崎だ。
この半荘は稀に見る乱打戦となる。まず主導権を制したのは瀬戸熊だった。

 

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瀬戸熊の入り目はカン七索だが、リーチの打牌と構えに迷いが無い。すでに1シャンテンの段階で受けの選択と構えは決めてあるのだ。これが真のプロのフォームである。ツモってから考えるのではなく、ツモる以前に打牌と構えを考えてある。この姿勢はプロも範とすべきだろう。

この親に勝負と出たのが藤崎。彼もドラの発が雀頭だから打点は十分。しかし、打ち上げてしまったのは伊藤である。伊藤もホンイチの満貫手だから当然、勝負なのだ。プロの対戦はこうあってしかるべきだ。引くときは引くが、出るときは怖れず一歩前に出て斬り合うのだ。視聴者の感動はここから生まれるのだ。
勝ちも大事だが、感動を与えなければプロではない。

しかし、伊藤にとってこの7,700の放銃は応えた違いない。
競技麻雀の7,700は一発・裏ドラ有りのルールなら12,000点に相当するのだ。

 

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その好調の瀬戸熊を、今度は藤崎がめしとる。

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瀬戸熊の手役はタンヤオだけだが、符がはねてツモなら3,200オールの高打点。
気合いを入れてツモったら色違いの七万である。
(一発役はないから…まあいいか)
…で、これを切ったら小声でロンである。しかもドラドラの6,400。
これが闇夜で背中をバッサリの忍者・藤崎流なのである。

 

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怖い瀬戸熊の親が落ちたら今度は沢崎の出番だ。

四万五万六万四索四索五筒六筒東東東ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き??ツモ七筒

どうということのないアガリに見えるが、実はこれ東がドラなのである。
軽々とツモって2,000・4,000。親のかぶりは伊藤である。

伊藤は前回ラスだ。そしてこの時点で、持ち点は16,800である。あまりのツキのなさに苦笑いが出たことだろう。藤崎と沢崎は持ち点が36,500で並ぶ。瀬戸熊はわずか200点だけ浮いているという状況である。
そして東3局は3人のリーチ合戦。この日の勝負の明暗を決める戦いである。

 

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伊藤は高めツモなら跳満で、反撃の狼煙を上げたいところ。そして瀬戸熊は3面チャンの受け。
結末は、藤崎が一発で引いて2,600オール。これで持ち点を46,300とする。

さらに東4局は沢崎の親番。そのリーチをかいくぐり、ヤミテンでこの手をアガる。

五万六万六万七万七万八万二索三索四索六索七索四筒四筒ロン八索ドラ四筒

これで勝負が決まった。五索はリーチの指示牌で八索を打ったのは瀬戸熊。
藤崎の持ち点が54,400の大台となった。今度はラス前にその瀬戸熊が前期・鳳凰の意地を見せる。

 

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惜しいのは南家の沢崎、五筒でツモリ跳満だったがすでに高めは空テン。
そしてこの半荘の結末はこうだ。

 

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2回戦成績
藤崎+22.7P  沢崎+5.1P  瀬戸熊▲5.1P  伊藤▲22.7P

2回戦終了時
藤崎+36.5P  瀬戸熊+16.9P  沢崎▲20.2P  伊藤▲33.2P

まだ書きたいことは山ほどあったが、残念ながら紙数が尽きた。
初日の後半戦は次としよう。

28期鳳凰・荒正義。

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プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第30期鳳凰位決定戦 初日観戦記前編

鳳凰戦・初日1~2回戦
2014年1月26日(日曜日)。第30期『鳳凰』決定戦の幕が切って落とされた。
この日、東京はその決戦を祝うかのように久しぶりに晴れたが、
スタジオに向かう早稲田の夏目坂は、勝負の波乱を思わせる強風が吹いていた。
試合開始は15時だが、選手はその30分前に入るのが慣例である。しかし4人の選手は、さらにその30分前にすでに到着していた。これは試合開始前のイメージトレーニングの時間に当てるように思われがちだが、そうではない。体力作りや調整・イメトレなどもうとっくに済ませてあるのだ。
早く来た理由は…勝負の場の空気を吸うことで、緊張で目が上るのを防ぐためであろう。
対局者は挨拶をかわした後、世間話に興じる。この時、誰もが内に秘めた闘志などおくびにも出さない。皆、粋な歴戦の強者達なのである。
だがこの時、世話係のプロが食事の注文を取りに来た。裏方は音声・カメラ調整・立会人・採譜・司会進行・解説を含めると10名に及ぶが、すべて連盟員が分担し取り仕切る。夏目坂スタジオは連盟の総本山なのである。
食事は3種類のロケ弁である。
試合時間は優に8時間に及ぶため、選手も裏方も第2戦が済んだとき食事休憩に入る。
しかし選手4人は言下に「結構です」と答えた。これが闘志と覚悟の表れである。
食事をとればその分、血液が脳から胃に下がる。それが思考能力の妨げとなり、凡打(ミス)を誘発ことがある。勝負どころの一打の緩手は即、致命傷となるのだ。1年間かけた総仕上げがそれでは無念だ。
だから「結構です」となるのだ。
もちろん食べなくても平気で、プロはそうした鍛錬をずっと昔から積んでいるのだ。
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第一戦は起親が沢崎で、順に瀬戸熊・藤崎・伊藤の並び。
開始早々、12巡目に沢崎の親のリーチが飛んで来た。
 
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通常、競技麻雀でこの牌姿のリーチはない。
三筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発中ドラ五筒
五筒を引けばリャンペーコだし五筒はドラなのである。
この形で決まるならヤミテンで、出ても24,000のアガリになるからである。
三筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発ロン五筒
そんなことは沢崎とて百も承知である。では、何故リーチをかけたのか―。
考えられる理由は3つある。まずその1つは河に3牌の二筒が飛んでいたことである。
五筒を引いたとしても二筒五筒マチは薄い…)と考えたに違いない。
第2の理由は、藤崎の仕掛けと河にある。自風の西のポンで、この河ならピンズの染め手は一目瞭然。
同じ色で、手がぶつかっていたのだ。
四万 上向き五万 上向き五万 上向き二万 上向き五索 上向き六索 上向き六万 上向き八索 上向き一索 上向き白北九筒 上向き
中は藤崎に危険牌である。
(当たるかも知れないし、出るかも知れない。ならばここで勝負―)
これが沢崎の培われた明るい感性で、いわば勝負の決断と手牌の見切りである。
 
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この時、藤崎の手の内はこうだ。
一筒一筒二筒四筒七筒八筒九筒発中中ポン西西西
中が出ればポンテンで、真っ向勝負となっていたのである。
しかし、結果は流局。残された1枚の中は深く王牌に眠ったままだった。
もちろん対局者は藤崎以外、中の在りかなど知る由もない。
 
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この親の沢崎のテンパイ形を見て、相手はどう思うか。いや、このとき沢崎は何を考えていたかである。
大事なのはここである。
(この場面、流局が相場である。運があればツモれるか―)
と、まず考える。
ただこの手は実らずとも、相手に見せることに意義がある。
そして次にこうだ。
(オレのリーチは怖いぞ、前に出たときには訳がある―)
このテンパイ形を見て相手は考える。
(ゲッ、そんな手で!)
相手に与える強烈なインパクト。
これを見せつけ、後の戦いを有利に運ぶ手段にすればいいのだ。
今度はブラフのリーチでも相手をオロすことができる。彼はそう考える。
これが、沢崎がリーチをかけた第3の理由である。
だが麻雀は、思い通りに事が運ぶとは限らない。そう、一寸先は闇である。
この日の沢崎がそうだった。東2局の最終図を見てみよう。
 
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今度はなんの因果か、逆にメンホン七対子を藤崎に討ち取られたのである。
沢崎もドラが2丁の勝負手、だから仕方がないと自分に言い聞かせることはできる。が、あの時あの手がヤミテンならどういう結果だったのか、という思いは頭をかすめたに違いない。
三筒三筒四筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒発発中
沢崎誠は群馬県安中市生まれの58歳。
彼は、自分を頑固者で生意気と評する。麻雀を覚えたのは学生のときで、すぐに勝ち組になったという。
連盟の3期生で、同期には藤原隆弘がいる。その雀風、読みの精度が高く攻めは重厚である。
連盟を代表する打ち手の1人だ。
こちらが親で勝負手のリーチをかけていても、無筋をブンと通されるとドキリとなるのだ。
その性格上、人とぶつかることもあるが、頑固者で生意気という性分は、ある意味で麻雀プロの素質でもあるのだ。彼は「十段」戦は瀬戸熊に敗れはしたが、その後「最強位」を手中に収め、リベンジに燃えていたのだ。
 
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さて、メンホン七対子の結果を見る限り、アガった者と打った者を見れば2人の態勢の差は歴然。
 
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だがこの第一戦、トップをものにしたのは要所・要所でアガリを的確ものにした瀬戸熊だったのである。
彼のこの半荘の安定感はまさに、いぶし銀に見えたのだった。
 
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第二戦は前回トップの瀬戸熊が起親。順に伊藤・藤崎・沢崎だ。
この半荘は稀に見る乱打戦となる。まず主導権を制したのは瀬戸熊だった。
 
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瀬戸熊の入り目はカン七索だが、リーチの打牌と構えに迷いが無い。すでに1シャンテンの段階で受けの選択と構えは決めてあるのだ。これが真のプロのフォームである。ツモってから考えるのではなく、ツモる以前に打牌と構えを考えてある。この姿勢はプロも範とすべきだろう。
この親に勝負と出たのが藤崎。彼もドラの発が雀頭だから打点は十分。しかし、打ち上げてしまったのは伊藤である。伊藤もホンイチの満貫手だから当然、勝負なのだ。プロの対戦はこうあってしかるべきだ。引くときは引くが、出るときは怖れず一歩前に出て斬り合うのだ。視聴者の感動はここから生まれるのだ。
勝ちも大事だが、感動を与えなければプロではない。
しかし、伊藤にとってこの7,700の放銃は応えた違いない。
競技麻雀の7,700は一発・裏ドラ有りのルールなら12,000点に相当するのだ。
 
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その好調の瀬戸熊を、今度は藤崎がめしとる。
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瀬戸熊の手役はタンヤオだけだが、符がはねてツモなら3,200オールの高打点。
気合いを入れてツモったら色違いの七万である。
(一発役はないから…まあいいか)
…で、これを切ったら小声でロンである。しかもドラドラの6,400。
これが闇夜で背中をバッサリの忍者・藤崎流なのである。
 
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怖い瀬戸熊の親が落ちたら今度は沢崎の出番だ。
四万五万六万四索四索五筒六筒東東東ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き??ツモ七筒
どうということのないアガリに見えるが、実はこれ東がドラなのである。
軽々とツモって2,000・4,000。親のかぶりは伊藤である。
伊藤は前回ラスだ。そしてこの時点で、持ち点は16,800である。あまりのツキのなさに苦笑いが出たことだろう。藤崎と沢崎は持ち点が36,500で並ぶ。瀬戸熊はわずか200点だけ浮いているという状況である。
そして東3局は3人のリーチ合戦。この日の勝負の明暗を決める戦いである。
 

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伊藤は高めツモなら跳満で、反撃の狼煙を上げたいところ。そして瀬戸熊は3面チャンの受け。
結末は、藤崎が一発で引いて2,600オール。これで持ち点を46,300とする。
さらに東4局は沢崎の親番。そのリーチをかいくぐり、ヤミテンでこの手をアガる。
五万六万六万七万七万八万二索三索四索六索七索四筒四筒ロン八索ドラ四筒
これで勝負が決まった。五索はリーチの指示牌で八索を打ったのは瀬戸熊。
藤崎の持ち点が54,400の大台となった。今度はラス前にその瀬戸熊が前期・鳳凰の意地を見せる。
 
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惜しいのは南家の沢崎、五筒でツモリ跳満だったがすでに高めは空テン。
そしてこの半荘の結末はこうだ。
 
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2回戦成績
藤崎+22.7P  沢崎+5.1P  瀬戸熊▲5.1P  伊藤▲22.7P
2回戦終了時
藤崎+36.5P  瀬戸熊+16.9P  沢崎▲20.2P  伊藤▲33.2P
まだ書きたいことは山ほどあったが、残念ながら紙数が尽きた。
初日の後半戦は次としよう。
28期鳳凰・荒正義。
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