第7期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 最終日 藤崎 智

100

 

 

5回戦

ここが内川にとっては厳しい半荘となってしまった。結果的にはここで内川の初タイトルは次へと持ち越しとなった。

南2局(内川217、佐々木364、柴田283、白鳥336)

ここまで内川以外の3人は手ごたえのあるアガリをものにしていて、内川1人置いてけぼり状態である。

 

100

 

柴田の4巡目リーチを受けての親番内川の6巡目。柴田のリーチは自風の西のトイツ落としからのリーチでタンヤオの十分形が予想される。1シャンテンとなった内川の選択肢は2つ。九索の暗刻落としで引くかテンパイ目指して真っ直ぐ七万を打つかである。ドラが六万なので七万で当たれば最低5,200。普通は7,700。このくらいの予測は内川なら簡単である。さて九索を抜いた場合、今佐々木がトップ目なのでトータルトップの佐々木との差が75.8ポイント。柴田がツモアガリならおそらく2,000・3,900か2,000・4,000で佐々木を捲って柴田が瞬間トップ目に立つが自分は1人沈みとなり親被りもあるのでポイントはさらに開く。あと3回で80ポイント弱の差か。こんな計算が内川の頭の中を駆け巡っていたことだろう。内川の選択は真っ直ぐの打七万であったが、これが予想通りの7,700に捕まる。

南3局1本場(佐々木364、柴田360、白鳥336、内川140)

 

100

 

北家の内川。これもまた究極の選択。ここも選択肢はほぼ三万六万七索かの2つ。北発が1枚ずつ切られているので次はポンの一手。ならば1,000点アガリを拒否する七索か?今の自分の牌勢では結構な無理筋に思えるし、あと3回で約85ポイント。かなり厳しいポイントだがまだ諦める状況ではない。もし打七索として失敗したら応援してくれている皆さんに負け戦の形作りと思われないか?今度はそんな考えが頭の中を駆け巡る。先程と同じくここも質問されれば先輩として正しい答えは出してあげられない。内川は打六万を選択して次巡発をポンして1,000点をアガった。結果的には佐々木と白鳥に勝負手の1シャンテンがはいっておりホンイツは無理筋だっただろう。

南2局1本場(柴田399、白鳥310、内川140、佐々木356)

 

100

 

立て続けに究極の選択を迫られる内川。5巡目にこのテンパイをして手替わり待ち中。このままツモならフリテンリーチだったはずである。これは難しくない。どうして究極の選択かというと、9巡目に親の柴田からドラの四万が切られる。まだ切られたのが七万なら怖さは感じないのかもしれないが親に切られたドラである。アガるか見逃すかの選択なのだ。だがここは先輩として答えが出せる気がする。前の局に苦しみ抜いて自ら選んだ答えがこの半荘我慢して残り3回戦の勝負を選択したはずである。麻雀を点ではなく線で捉える打ち手としてはここはアガっておく局面であったと私は思う。これはあくまで私個人の意見であるが、この局面の見逃しは前の局と繋がっていないような気がする。ましてや跳満ツモで沈むのはトータルトップの佐々木ではなくトータル3位の白鳥であるのだから。この局の結果はリーチときた白鳥への7,700の放銃となった。

 

100

 

5回戦成績
柴田+17.9P 白鳥+12.0P 佐々木+6.1P 内川▲36.0P

柴田が初トップでトータル2番手へ。

5回戦まで
佐々木+43.8P 柴田+9.0P 白鳥▲9.8P 内川▲43.0P

 

 

6回戦

東4局1本場 供託1.0(内川374、佐々木311、柴田205、白鳥300)

 

100

 

白鳥の7巡目の手応え十分のリーチで山に5枚残り。

 

100

 

柴田も3フーロで追いつく。3,900で良しの四索七索受けならアガっていたのだが、ここは8,000にこだわった。結果は流局。

南1局2本場 供託2.0(佐々木296、柴田220、白鳥305、内川359)

この局がこの半荘のハイライトであり「白鳥劇場」の本編スタートといった感じか?
この局の大まかな流れは以下の通り。
佐々木東ポンからホンイツ一直線→白鳥が捌きにいく一通ドラ1の仕掛け→内川テンパイ一番乗り→内川リャンメンに待ち変えしてリーチ→佐々木高目ツモ8,000オールのホンイツトイトイのテンパイ→白鳥も2フーロでテンパイ
息の詰まるような展開で白鳥が制した。2,000は2,900でリーチ棒3本の収入となる。

このあともリーチ棒3本取るなど丁寧に攻め続け、南3局の連荘中に一旦トータルトップの佐々木とほぼ並びまで浮上する。その後佐々木の反撃にあい、また少し離れるも「白鳥ワールド」全開まであと一歩と迫ることになる。

6回戦成績
白鳥+24.1P 内川+5.2P 佐々木▲11.1P 柴田▲18.2P

6回戦終了時のスコアをおさらいしておく。

佐々木+32.7P 白鳥+14.3P 柴田▲9.2P 内川▲37.8P

佐々木が頭一つ抜けている。点差的には白鳥、柴田にはまだまだ普通にチャンスあり。内川も7回戦で佐々木を沈めて6万点のトップくらいがくればまだまだ可能性があるくらいの点差ではある。ここから佐々木自身G1タイトル獲得の難しさを味わうこととなる。

 

 

7回戦

東1局1本場(内川330、佐々木290、柴田290、白鳥290)

内川1人テンパイで迎えた1本場佐々木追撃の2人がそれぞれらしさを見せて手がぶつかる。
西家柴田の配牌

 

100

 

北家白鳥の配牌

 

100

 

どちらもあまりパッとしない配牌である。ここから柴田はメンゼンで丁寧に手を進め、白鳥は軽快な捌きにでる。
白鳥6巡目。

 

100

 

ここまで手が伸び、ここから九万六筒とポンして9巡目にトイトイのテンパイを入れる。
柴田10巡目リーチ。

 

100

 

ピンフドラドラの勝負手。

 

100

 

同巡白鳥が北をツモって1,600・3,200。

ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+33.0P 佐々木+27.0P 柴田▲20.9P 内川▲36.5P

白鳥の瞬間ではあるがとうとうトータルトップにたつ。

 

100

 

東3局(柴田258、白鳥362、内川317、佐々木263)

 

100

 

親番の柴田ドラ暗刻の12巡目リーチ。
白鳥も追いつく。16巡目にヤミテンも、

 

100

 

17巡目ラス牌をツモる。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+20.5P 佐々木+17.0P 柴田+6.6P 内川▲44.1P
柴田も上位2人に肉迫する。

東3局1本場(柴田378、白鳥322、内川277、佐々木223)

親番の柴田の7巡目のチャンス手。もちろん6,000オールなら突き抜ける。

 

100

 

しかしテンパイ出来ないまま、

 

100

 

11巡目に佐々木のメンホンが炸裂する。放銃は白鳥。まだソーズが1枚も余っておらず、早めの処理のはずが間に合わなっかた。山にはすでにない七索だった。

ここまでのトータル(順位点含)
佐々木+37.3P 柴田+6.6P 白鳥+0.2P 内川▲44.1P

佐々木が再びトータルトップ。しかし放銃した白鳥の表情が印象的だった。全く表情を変えず真っ直ぐに佐々木の手牌を見据えて点棒を静かに支払っていた。まるで「佐々木さんやりますね。でも最後には僕が勝ちますよ」とでも心の中で言っているようだった。

 

100

 

東4局(白鳥239、内川277、佐々木306、柴田378)

白鳥が先制リーチから2,600オール。

これでトータルが佐々木+26.7P、白鳥+20.0P、柴田+4.0P、内川▲50.7P

東4局1本場(白鳥317、内川251、佐々木280、柴田352)

親番の白鳥が2巡目1シャンテンで再びチャンス。4巡目に好形となるのだが、これがなかなかテンパイしない。8巡目には全員1シャンテンとなっていた。ここから誰もテンパイしない。そして14巡目にようやく1人がテンパイする。それはこの人。

 

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2巡目1シャンテンだった親番の白鳥。これをリーチといく。

 

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一発目にツモって2,000オールは2,100オール。白鳥を応援する者達にとっては鳥肌もののアガりであった。

ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+30.3P 佐々木+24.6P 柴田▲2.1P 内川▲42.8P

白鳥再々再逆転。柴田は再びマイナス域へ。優勝争いは完全に2人の争いか?という雰囲気に包まれていた。

東4局2本場(白鳥380、内川230、佐々木259、柴田331)

11巡目。完全に流れを白鳥に持って行かれていた佐々木の先制リーチ。

 

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いかにも苦しいドラ表示牌のカンチャン待ち。これを

 

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お返しの一発目のツモ。強引に流れを引き戻す。

ここまでのトータル(順位点含) 佐々木+34.2P 白鳥+28.1P 柴田▲4.3P 内川▲58.0P

佐々木この半荘4度目の逆転。

南1局、内川、柴田の2人テンパイの後、1本場で白鳥が1,600は1,900をアガリ、5度目の逆転で白鳥がトータルトップにたち、南2局には1,300・2,600をツモりリードを広げる。白鳥この半荘早くも5回目のアガリで乗ってきた感がある。白鳥という選手、あまり闘志を表に出さず、摸打のモーションもゆったりしているので、白鳥の勝ちゲームは全体が独特の雰囲気に包まれる。これも含めて「白鳥ワールド」と記させてもらう。

ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+33.7P 佐々木+25.1P 柴田▲5.0P 内川▲53.8P

南3局(柴田302、白鳥414、内川220、佐々木264)

親番柴田のビッグチャンス。8巡目に白鳥が2フーロでテンパイ入れるも早々に純カラ。柴田の9巡目

 

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フリテンの九筒を引き戻した、いや引き戻してしまった。もちろん柴田の理想はタンピン三色の6,000オール。しかし白鳥はドラの北を切った後に2フーロ目を入れているのでテンパイ濃厚。柴田としては打点だけでなく、受け入れの広さも考えなければいけない局面。もし鳴いて2,900もやむなしの局面であれば柴田は九筒をツモ切ったであろう。しかし40ポイント弱を追いかける立場として、これを鳴いて2,900ではあまりにもったいない。考えた末の柴田の選択は打七筒であった。メンゼンが前提で広く受ける方を選択したということである。しかしこれが大誤算となる。
2巡後。

 

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もし2巡前に打九筒としておけば
二万三万四万二索三索四索六索七索二筒三筒四筒七筒七筒でリーチがかかっていた。

 

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2巡後の13巡目にこの形でリーチ。一筒は山に3枚の絶好の待ちではあったが、五索ツモ切りの時の柴田の表情が険しくなる。結局山に3枚の一筒を手繰り寄せることは出来ず、6,000オールをアガリ逃した一局となってしまった。この局面であれば私もおそらく打七筒を選択したと思う。どちらが正しいとか正しくないとかの話ではなく、全ての対局が終わった後に、ただ「負け」の運命だった人のツモ順だったのかな?と思えてならない。

勝負の世界に「もし」が禁物なのは承知のうえで、あえて、もし柴田が6,000オールをツモっていれば
白鳥+23.7P 佐々木+19.1P 柴田+17.0P
となっていた。

南3局1本場 供託1.0P (柴田307、白鳥429、内川205、佐々木249)

前局手痛い裏目を喰らった親番の柴田に再びチャンス。それを見事な手順でかわす白鳥。まずは白鳥の9巡目

 

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さて皆さんなら何を切りますか?ちなみに私なら二索八索。タンピン三色を見つつ七対子の1シャンテンにも戻れるようにしておく。白鳥の選択は四索
12巡目親の柴田先制リーチ。

 

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残念ながら6,000オールとなるドラは山にはない。しかし六万が山に2枚残っている。2,600オールから次に繋げれば面白くなる。
14巡目にその六万を力強く手元に引き寄せる。

 

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手元に引き寄せたのは白鳥。前巡六索を重ねてのツモアガリであった。この瞬間の私の感想を記す。「これぞ優勝者のツモ」。これが私の感想である。まさに完璧な選択からの針の穴を通すアガリであった。

ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+47.9P 佐々木+22.9P 柴田▲13.8P 内川▲57.0P
ここまでずっとトータルトップを走っていた佐々木はどんな心境だったのだろう。いかに冷静沈着な佐々木でも心中穏やかではないと思うのだが、今決勝、今までの佐々木とは少し違った闘いを続けてきた「ニュー寿人」はここでも素晴らしかった。

南4局(白鳥+516、内川188、佐々木232、柴田264)

12巡目二索ポンで佐々木テンパイ。

 

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発でアガれば浮きである。
同巡柴田テンパイでリーチ。柴田らしい丁寧な手順である。

 

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このリーチを受けて佐々木の13巡目。

 

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さてこの安目では柴田浮きにはならない。アガるかな?見逃すかな?と思っていのだが、

 

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目を疑う光景である。

 

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これで高目安目なしのアガれば浮き。
そして15巡目

 

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最終戦に向けてさらにリードを広げたい親番の白鳥追いかけリーチ。
そして佐々木の17巡目

 

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つかむ。

 

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やめる。

見事なものである。

 

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南4局1本場 供託2.0P (白鳥521、内川173、佐々木217、柴田269)

柴田11巡目リーチ。

 

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8巡目からテンパイしていた佐々木。

 

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12巡目に手変わりして今度は五索を勝負。
三万が1枚、六万が3枚のこの勝負。先に山にいたのは三万の方。出元に手繰り寄せたのは

 

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佐々木の方であった。この南4局の2局を見てこの時の私の感想は、「優勝者の麻雀」であった。

「優勝者の麻雀」を見せた佐々木と「優勝者のツモ」を見せた白鳥と「負けの運命の人の牌のきかた」を見せてしまった柴田の3人。勝負はいよいよ最終戦を残すのみである。

白鳥+26.1P 佐々木+6.9P 柴田▲10.5P 内川▲22.8P

7回戦トータル 白鳥+40.4P 佐々木+39.6P 柴田▲19.4P 内川▲60.6P
優勝の行方は最終戦の白鳥と佐々木の着順勝負となった。いや、なったと思っていた。

 

 

最終戦

 

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予想通り白鳥と佐々木のアガリ合戦となる。
東1局 内川、白鳥から1,000
東2局 佐々木、内川から5,200
東3局 白鳥、内川から3,900
東4局 佐々木ツモ500・1,000
南1局 佐々木、柴田2人テンパイ
南1局1本場 白鳥、柴田から2,600は2,900
ここまでの展開は予想通りである。

南2局(柴田281、内川199、白鳥333、佐々木387)
佐々木が白鳥を5,400点リードしている。

最後の親番の柴田。

 

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4人の捨て牌をご覧頂きたい。

 

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二筒が4枚切れで三筒が1枚切れの12,000のリーチ。残り2枚の三筒は佐々木と白鳥の手に1枚ずつで山には0。ここで手詰まりから三筒が河に放たれる。

 

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放銃は白鳥。この手牌、間違いなく三筒が一番通り易そうである。一瞬時が止まったような瞬間であった。そしてまた時はゆっくり動き始める。「寿人G1初タイトルおめでとう」そんな言葉が頭をよぎる。しかし「逆転の柴田」と呼ばれる柴田がここから更に加速する。そして最後まで勝負を諦めない白鳥が泥臭く蘇ってくることになる。

南2局3本場 供託2.0(柴田431、内川169、白鳥223、佐々木357)

 

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柴田渾身の6,000オールは6,300オールで供託2,000点。

柴田がトータル8.4ポイント差の2番手に浮上してきた。

南3局7本場 供託2.0P(内川111、白鳥135、佐々木289、柴田645)

柴田4巡目リーチ。

 

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リーチのみではあるが7本場と供託2本でアガれば佐々木に肉迫する。リーチの1巡前の四万切りからの、このリーチはかなり賛否別れると思う。この時十数年前に個人的に故安藤満プロに教えて頂いた言葉を思い出した。

「タイトル戦の最後の最後でせっている場合はもう理屈じゃない。強いものが勝つわけでもなければ、執念で勝るものが勝つわけでもない。勝利の女神に選ばれたものが勝つのだと自分は思っている。だから最後は最初のテンパイ型でリーチする。ここまでの自分自身の戦いが勝者にふさわしいかどうか女神に聞くために」

無論柴田が安藤満プロの言葉を知っているはずもないのだが、最後の最後は安藤満プロと同じ思考になっている。普段の柴田であれば決してないであろう手順とリーチである。このリーチの結果に関わらずすごい選手が出てきたな。というのが私の素直な感想である。

 

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この局の結果は佐々木が9巡目に1フーロで追いつく。そして10巡目に白鳥が2フーロで追いつく。大事なめくりっこは白鳥に軍配で500・1,000のツモアガリ。柴田は山には3枚も残っていたにも関わらず、アガることが出来なかったということは、安藤プロの言葉を借りれば今決勝の麻雀では、勝者としては少しだけ足りないと女神が判断したということなのだろう。この後南4局は3局あるのだが、柴田に逆転の条件をクリアする手は入らなかった。

南4局(白鳥206、佐々木277、柴田623、内川94)

佐々木7,100点リード。

 

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佐々木が先にテンパイしたが直後に山には無くなる。

 

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三筒を引けば放銃でゲームセットだったと思うがツモり三暗刻テンパイなら、一転して白鳥チャンス。六筒が山に1枚残っていたがアガれず、白鳥、佐々木の2人テンパイで流局。

南4局1本場も白鳥、佐々木の2人テンパイで流局して、続く2本場では流局で無念の白鳥テンパイ出来ずでの終戦となった。

闘いを終えて、まず口数少なくうつむく内川が印象的だった。普段は負けても悔しさはあまり表に出さない選手なのだが、こんな内川は初めて見た。それほど勝ちたいメンバーだったし、獲りたいタイトルだったし、A1戦士として欲しい肩書だったのだろう。先輩として優しい言葉を掛けるつもりはない。悔しがるだけ悔しがればいいと思う。そうすれば近々訪れるであろう初タイトルの喜びは増すはずである。

 

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白鳥、柴田共に持ち味は存分に発揮していた。柴田は丁寧さと我慢強さはAリーグの先輩3人を凌ぐほどであったと思う。逆に白鳥は運では勝てないと思えば、我慢ではなく仕掛け多用で攻めてくる。2日目は白鳥が配牌において一番であった。それでも少しツモが効かないとみると、惜しげもなく動き出す。なかなか本手は決まらない中、柔軟さと軽快な捌きでよくここまでの闘いが出来るものだとつくづく思う。
そして優勝した佐々木。見事な麻雀だったと思う。今までと全く違うスタイルで勝ちきった。4月から始まるリーグ戦はどちらで闘うのか今から楽しみである。「攻めダルマ」なのか「ニューダルマ」なのか。

この4人の闘いを最初から最後まで見せてもらった。純粋に面白かった。とにかく熱かった。麻雀の内容なら自分も現役の選手として、まだまだ負けない自信はある。しかし、これだけ純粋に熱く面白い対局はもう自分には作り出せないだろう。「この4人今度は鳳凰戦で」。そんな未来もあるのかもしれない。

 

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グランプリ 決勝観戦記/第7期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 最終日 藤崎 智

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5回戦
ここが内川にとっては厳しい半荘となってしまった。結果的にはここで内川の初タイトルは次へと持ち越しとなった。
南2局(内川217、佐々木364、柴田283、白鳥336)
ここまで内川以外の3人は手ごたえのあるアガリをものにしていて、内川1人置いてけぼり状態である。
 
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柴田の4巡目リーチを受けての親番内川の6巡目。柴田のリーチは自風の西のトイツ落としからのリーチでタンヤオの十分形が予想される。1シャンテンとなった内川の選択肢は2つ。九索の暗刻落としで引くかテンパイ目指して真っ直ぐ七万を打つかである。ドラが六万なので七万で当たれば最低5,200。普通は7,700。このくらいの予測は内川なら簡単である。さて九索を抜いた場合、今佐々木がトップ目なのでトータルトップの佐々木との差が75.8ポイント。柴田がツモアガリならおそらく2,000・3,900か2,000・4,000で佐々木を捲って柴田が瞬間トップ目に立つが自分は1人沈みとなり親被りもあるのでポイントはさらに開く。あと3回で80ポイント弱の差か。こんな計算が内川の頭の中を駆け巡っていたことだろう。内川の選択は真っ直ぐの打七万であったが、これが予想通りの7,700に捕まる。
南3局1本場(佐々木364、柴田360、白鳥336、内川140)
 
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北家の内川。これもまた究極の選択。ここも選択肢はほぼ三万六万七索かの2つ。北発が1枚ずつ切られているので次はポンの一手。ならば1,000点アガリを拒否する七索か?今の自分の牌勢では結構な無理筋に思えるし、あと3回で約85ポイント。かなり厳しいポイントだがまだ諦める状況ではない。もし打七索として失敗したら応援してくれている皆さんに負け戦の形作りと思われないか?今度はそんな考えが頭の中を駆け巡る。先程と同じくここも質問されれば先輩として正しい答えは出してあげられない。内川は打六万を選択して次巡発をポンして1,000点をアガった。結果的には佐々木と白鳥に勝負手の1シャンテンがはいっておりホンイツは無理筋だっただろう。
南2局1本場(柴田399、白鳥310、内川140、佐々木356)
 
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立て続けに究極の選択を迫られる内川。5巡目にこのテンパイをして手替わり待ち中。このままツモならフリテンリーチだったはずである。これは難しくない。どうして究極の選択かというと、9巡目に親の柴田からドラの四万が切られる。まだ切られたのが七万なら怖さは感じないのかもしれないが親に切られたドラである。アガるか見逃すかの選択なのだ。だがここは先輩として答えが出せる気がする。前の局に苦しみ抜いて自ら選んだ答えがこの半荘我慢して残り3回戦の勝負を選択したはずである。麻雀を点ではなく線で捉える打ち手としてはここはアガっておく局面であったと私は思う。これはあくまで私個人の意見であるが、この局面の見逃しは前の局と繋がっていないような気がする。ましてや跳満ツモで沈むのはトータルトップの佐々木ではなくトータル3位の白鳥であるのだから。この局の結果はリーチときた白鳥への7,700の放銃となった。
 
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5回戦成績
柴田+17.9P 白鳥+12.0P 佐々木+6.1P 内川▲36.0P
柴田が初トップでトータル2番手へ。
5回戦まで
佐々木+43.8P 柴田+9.0P 白鳥▲9.8P 内川▲43.0P
 
 
6回戦
東4局1本場 供託1.0(内川374、佐々木311、柴田205、白鳥300)
 
100
 
白鳥の7巡目の手応え十分のリーチで山に5枚残り。
 
100
 
柴田も3フーロで追いつく。3,900で良しの四索七索受けならアガっていたのだが、ここは8,000にこだわった。結果は流局。
南1局2本場 供託2.0(佐々木296、柴田220、白鳥305、内川359)
この局がこの半荘のハイライトであり「白鳥劇場」の本編スタートといった感じか?
この局の大まかな流れは以下の通り。
佐々木東ポンからホンイツ一直線→白鳥が捌きにいく一通ドラ1の仕掛け→内川テンパイ一番乗り→内川リャンメンに待ち変えしてリーチ→佐々木高目ツモ8,000オールのホンイツトイトイのテンパイ→白鳥も2フーロでテンパイ
息の詰まるような展開で白鳥が制した。2,000は2,900でリーチ棒3本の収入となる。
このあともリーチ棒3本取るなど丁寧に攻め続け、南3局の連荘中に一旦トータルトップの佐々木とほぼ並びまで浮上する。その後佐々木の反撃にあい、また少し離れるも「白鳥ワールド」全開まであと一歩と迫ることになる。
6回戦成績
白鳥+24.1P 内川+5.2P 佐々木▲11.1P 柴田▲18.2P
6回戦終了時のスコアをおさらいしておく。
佐々木+32.7P 白鳥+14.3P 柴田▲9.2P 内川▲37.8P
佐々木が頭一つ抜けている。点差的には白鳥、柴田にはまだまだ普通にチャンスあり。内川も7回戦で佐々木を沈めて6万点のトップくらいがくればまだまだ可能性があるくらいの点差ではある。ここから佐々木自身G1タイトル獲得の難しさを味わうこととなる。
 
 
7回戦
東1局1本場(内川330、佐々木290、柴田290、白鳥290)
内川1人テンパイで迎えた1本場佐々木追撃の2人がそれぞれらしさを見せて手がぶつかる。
西家柴田の配牌
 
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北家白鳥の配牌
 
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どちらもあまりパッとしない配牌である。ここから柴田はメンゼンで丁寧に手を進め、白鳥は軽快な捌きにでる。
白鳥6巡目。
 
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ここまで手が伸び、ここから九万六筒とポンして9巡目にトイトイのテンパイを入れる。
柴田10巡目リーチ。
 
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ピンフドラドラの勝負手。
 
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同巡白鳥が北をツモって1,600・3,200。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+33.0P 佐々木+27.0P 柴田▲20.9P 内川▲36.5P
白鳥の瞬間ではあるがとうとうトータルトップにたつ。
 
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東3局(柴田258、白鳥362、内川317、佐々木263)
 
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親番の柴田ドラ暗刻の12巡目リーチ。
白鳥も追いつく。16巡目にヤミテンも、
 
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17巡目ラス牌をツモる。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+20.5P 佐々木+17.0P 柴田+6.6P 内川▲44.1P
柴田も上位2人に肉迫する。
東3局1本場(柴田378、白鳥322、内川277、佐々木223)
親番の柴田の7巡目のチャンス手。もちろん6,000オールなら突き抜ける。
 
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しかしテンパイ出来ないまま、
 
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11巡目に佐々木のメンホンが炸裂する。放銃は白鳥。まだソーズが1枚も余っておらず、早めの処理のはずが間に合わなっかた。山にはすでにない七索だった。
ここまでのトータル(順位点含)
佐々木+37.3P 柴田+6.6P 白鳥+0.2P 内川▲44.1P
佐々木が再びトータルトップ。しかし放銃した白鳥の表情が印象的だった。全く表情を変えず真っ直ぐに佐々木の手牌を見据えて点棒を静かに支払っていた。まるで「佐々木さんやりますね。でも最後には僕が勝ちますよ」とでも心の中で言っているようだった。
 
100
 
東4局(白鳥239、内川277、佐々木306、柴田378)
白鳥が先制リーチから2,600オール。
これでトータルが佐々木+26.7P、白鳥+20.0P、柴田+4.0P、内川▲50.7P
東4局1本場(白鳥317、内川251、佐々木280、柴田352)
親番の白鳥が2巡目1シャンテンで再びチャンス。4巡目に好形となるのだが、これがなかなかテンパイしない。8巡目には全員1シャンテンとなっていた。ここから誰もテンパイしない。そして14巡目にようやく1人がテンパイする。それはこの人。
 
100
 
2巡目1シャンテンだった親番の白鳥。これをリーチといく。
 
100
 
一発目にツモって2,000オールは2,100オール。白鳥を応援する者達にとっては鳥肌もののアガりであった。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+30.3P 佐々木+24.6P 柴田▲2.1P 内川▲42.8P
白鳥再々再逆転。柴田は再びマイナス域へ。優勝争いは完全に2人の争いか?という雰囲気に包まれていた。
東4局2本場(白鳥380、内川230、佐々木259、柴田331)
11巡目。完全に流れを白鳥に持って行かれていた佐々木の先制リーチ。
 
100
 
いかにも苦しいドラ表示牌のカンチャン待ち。これを
 
100
 
お返しの一発目のツモ。強引に流れを引き戻す。
ここまでのトータル(順位点含) 佐々木+34.2P 白鳥+28.1P 柴田▲4.3P 内川▲58.0P
佐々木この半荘4度目の逆転。
南1局、内川、柴田の2人テンパイの後、1本場で白鳥が1,600は1,900をアガリ、5度目の逆転で白鳥がトータルトップにたち、南2局には1,300・2,600をツモりリードを広げる。白鳥この半荘早くも5回目のアガリで乗ってきた感がある。白鳥という選手、あまり闘志を表に出さず、摸打のモーションもゆったりしているので、白鳥の勝ちゲームは全体が独特の雰囲気に包まれる。これも含めて「白鳥ワールド」と記させてもらう。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+33.7P 佐々木+25.1P 柴田▲5.0P 内川▲53.8P
南3局(柴田302、白鳥414、内川220、佐々木264)
親番柴田のビッグチャンス。8巡目に白鳥が2フーロでテンパイ入れるも早々に純カラ。柴田の9巡目
 
100
 
フリテンの九筒を引き戻した、いや引き戻してしまった。もちろん柴田の理想はタンピン三色の6,000オール。しかし白鳥はドラの北を切った後に2フーロ目を入れているのでテンパイ濃厚。柴田としては打点だけでなく、受け入れの広さも考えなければいけない局面。もし鳴いて2,900もやむなしの局面であれば柴田は九筒をツモ切ったであろう。しかし40ポイント弱を追いかける立場として、これを鳴いて2,900ではあまりにもったいない。考えた末の柴田の選択は打七筒であった。メンゼンが前提で広く受ける方を選択したということである。しかしこれが大誤算となる。
2巡後。
 
100
 
もし2巡前に打九筒としておけば
二万三万四万二索三索四索六索七索二筒三筒四筒七筒七筒でリーチがかかっていた。
 
100
 
2巡後の13巡目にこの形でリーチ。一筒は山に3枚の絶好の待ちではあったが、五索ツモ切りの時の柴田の表情が険しくなる。結局山に3枚の一筒を手繰り寄せることは出来ず、6,000オールをアガリ逃した一局となってしまった。この局面であれば私もおそらく打七筒を選択したと思う。どちらが正しいとか正しくないとかの話ではなく、全ての対局が終わった後に、ただ「負け」の運命だった人のツモ順だったのかな?と思えてならない。
勝負の世界に「もし」が禁物なのは承知のうえで、あえて、もし柴田が6,000オールをツモっていれば
白鳥+23.7P 佐々木+19.1P 柴田+17.0P
となっていた。
南3局1本場 供託1.0P (柴田307、白鳥429、内川205、佐々木249)
前局手痛い裏目を喰らった親番の柴田に再びチャンス。それを見事な手順でかわす白鳥。まずは白鳥の9巡目
 
100
 
さて皆さんなら何を切りますか?ちなみに私なら二索八索。タンピン三色を見つつ七対子の1シャンテンにも戻れるようにしておく。白鳥の選択は四索
12巡目親の柴田先制リーチ。
 
100
 
残念ながら6,000オールとなるドラは山にはない。しかし六万が山に2枚残っている。2,600オールから次に繋げれば面白くなる。
14巡目にその六万を力強く手元に引き寄せる。
 
100
 
手元に引き寄せたのは白鳥。前巡六索を重ねてのツモアガリであった。この瞬間の私の感想を記す。「これぞ優勝者のツモ」。これが私の感想である。まさに完璧な選択からの針の穴を通すアガリであった。
ここまでのトータル(順位点含) 白鳥+47.9P 佐々木+22.9P 柴田▲13.8P 内川▲57.0P
ここまでずっとトータルトップを走っていた佐々木はどんな心境だったのだろう。いかに冷静沈着な佐々木でも心中穏やかではないと思うのだが、今決勝、今までの佐々木とは少し違った闘いを続けてきた「ニュー寿人」はここでも素晴らしかった。
南4局(白鳥+516、内川188、佐々木232、柴田264)
12巡目二索ポンで佐々木テンパイ。
 
100
 
発でアガれば浮きである。
同巡柴田テンパイでリーチ。柴田らしい丁寧な手順である。
 
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このリーチを受けて佐々木の13巡目。
 
100
 
さてこの安目では柴田浮きにはならない。アガるかな?見逃すかな?と思っていのだが、
 
100
 
目を疑う光景である。
 
100
 
これで高目安目なしのアガれば浮き。
そして15巡目
 
100
 
最終戦に向けてさらにリードを広げたい親番の白鳥追いかけリーチ。
そして佐々木の17巡目
 
100
 
つかむ。
 
100
 
やめる。
見事なものである。
 
100
 
南4局1本場 供託2.0P (白鳥521、内川173、佐々木217、柴田269)
柴田11巡目リーチ。
 
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8巡目からテンパイしていた佐々木。
 
100
 
12巡目に手変わりして今度は五索を勝負。
三万が1枚、六万が3枚のこの勝負。先に山にいたのは三万の方。出元に手繰り寄せたのは
 
100
 
佐々木の方であった。この南4局の2局を見てこの時の私の感想は、「優勝者の麻雀」であった。
「優勝者の麻雀」を見せた佐々木と「優勝者のツモ」を見せた白鳥と「負けの運命の人の牌のきかた」を見せてしまった柴田の3人。勝負はいよいよ最終戦を残すのみである。
白鳥+26.1P 佐々木+6.9P 柴田▲10.5P 内川▲22.8P
7回戦トータル 白鳥+40.4P 佐々木+39.6P 柴田▲19.4P 内川▲60.6P
優勝の行方は最終戦の白鳥と佐々木の着順勝負となった。いや、なったと思っていた。
 
 
最終戦
 
100
 
予想通り白鳥と佐々木のアガリ合戦となる。
東1局 内川、白鳥から1,000
東2局 佐々木、内川から5,200
東3局 白鳥、内川から3,900
東4局 佐々木ツモ500・1,000
南1局 佐々木、柴田2人テンパイ
南1局1本場 白鳥、柴田から2,600は2,900
ここまでの展開は予想通りである。
南2局(柴田281、内川199、白鳥333、佐々木387)
佐々木が白鳥を5,400点リードしている。
最後の親番の柴田。
 
100
 
4人の捨て牌をご覧頂きたい。
 
100
 
二筒が4枚切れで三筒が1枚切れの12,000のリーチ。残り2枚の三筒は佐々木と白鳥の手に1枚ずつで山には0。ここで手詰まりから三筒が河に放たれる。
 
100
 
放銃は白鳥。この手牌、間違いなく三筒が一番通り易そうである。一瞬時が止まったような瞬間であった。そしてまた時はゆっくり動き始める。「寿人G1初タイトルおめでとう」そんな言葉が頭をよぎる。しかし「逆転の柴田」と呼ばれる柴田がここから更に加速する。そして最後まで勝負を諦めない白鳥が泥臭く蘇ってくることになる。
南2局3本場 供託2.0(柴田431、内川169、白鳥223、佐々木357)
 
100
 
柴田渾身の6,000オールは6,300オールで供託2,000点。
柴田がトータル8.4ポイント差の2番手に浮上してきた。
南3局7本場 供託2.0P(内川111、白鳥135、佐々木289、柴田645)
柴田4巡目リーチ。
 
100
 
リーチのみではあるが7本場と供託2本でアガれば佐々木に肉迫する。リーチの1巡前の四万切りからの、このリーチはかなり賛否別れると思う。この時十数年前に個人的に故安藤満プロに教えて頂いた言葉を思い出した。
「タイトル戦の最後の最後でせっている場合はもう理屈じゃない。強いものが勝つわけでもなければ、執念で勝るものが勝つわけでもない。勝利の女神に選ばれたものが勝つのだと自分は思っている。だから最後は最初のテンパイ型でリーチする。ここまでの自分自身の戦いが勝者にふさわしいかどうか女神に聞くために」
無論柴田が安藤満プロの言葉を知っているはずもないのだが、最後の最後は安藤満プロと同じ思考になっている。普段の柴田であれば決してないであろう手順とリーチである。このリーチの結果に関わらずすごい選手が出てきたな。というのが私の素直な感想である。
 
100
 
この局の結果は佐々木が9巡目に1フーロで追いつく。そして10巡目に白鳥が2フーロで追いつく。大事なめくりっこは白鳥に軍配で500・1,000のツモアガリ。柴田は山には3枚も残っていたにも関わらず、アガることが出来なかったということは、安藤プロの言葉を借りれば今決勝の麻雀では、勝者としては少しだけ足りないと女神が判断したということなのだろう。この後南4局は3局あるのだが、柴田に逆転の条件をクリアする手は入らなかった。
南4局(白鳥206、佐々木277、柴田623、内川94)
佐々木7,100点リード。
 
100
 
佐々木が先にテンパイしたが直後に山には無くなる。
 
100
 
三筒を引けば放銃でゲームセットだったと思うがツモり三暗刻テンパイなら、一転して白鳥チャンス。六筒が山に1枚残っていたがアガれず、白鳥、佐々木の2人テンパイで流局。
南4局1本場も白鳥、佐々木の2人テンパイで流局して、続く2本場では流局で無念の白鳥テンパイ出来ずでの終戦となった。
闘いを終えて、まず口数少なくうつむく内川が印象的だった。普段は負けても悔しさはあまり表に出さない選手なのだが、こんな内川は初めて見た。それほど勝ちたいメンバーだったし、獲りたいタイトルだったし、A1戦士として欲しい肩書だったのだろう。先輩として優しい言葉を掛けるつもりはない。悔しがるだけ悔しがればいいと思う。そうすれば近々訪れるであろう初タイトルの喜びは増すはずである。
 
100
 
白鳥、柴田共に持ち味は存分に発揮していた。柴田は丁寧さと我慢強さはAリーグの先輩3人を凌ぐほどであったと思う。逆に白鳥は運では勝てないと思えば、我慢ではなく仕掛け多用で攻めてくる。2日目は白鳥が配牌において一番であった。それでも少しツモが効かないとみると、惜しげもなく動き出す。なかなか本手は決まらない中、柔軟さと軽快な捌きでよくここまでの闘いが出来るものだとつくづく思う。
そして優勝した佐々木。見事な麻雀だったと思う。今までと全く違うスタイルで勝ちきった。4月から始まるリーグ戦はどちらで闘うのか今から楽しみである。「攻めダルマ」なのか「ニューダルマ」なのか。
この4人の闘いを最初から最後まで見せてもらった。純粋に面白かった。とにかく熱かった。麻雀の内容なら自分も現役の選手として、まだまだ負けない自信はある。しかし、これだけ純粋に熱く面白い対局はもう自分には作り出せないだろう。「この4人今度は鳳凰戦で」。そんな未来もあるのかもしれない。
 
100
 

何を切る?fromロン2 2017年4月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答をグラフを使って比較していきたいと思います。
多くのプロより、丁寧な解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。

問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介

ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)
南2局南家 (色の濃くなっている牌はツモ切りです)

 

プロ

四万切り・・・10人
八万切り・・・10人
九万切り・・・9人
三万切り・・・6人

 

ロン2ユーザー

九万切り・・・39%
八万切り・・・28.2%
三万切り・・・17.4%
四万切り・・・13.8%
二索切り・・・0.5%
三索切り・・・0.5%
四索切り・・・0.5%

 

 

プロ解答(50音順)

 

四万切り

鮎川卓
「親番も残っているので、スピードと打点のバランスが良い打四万を選択します。」

太田優介
「ツモり三暗刻も見える手牌ではあるが、ドラも1枚あるので、タンヤオやピンフイーペーコーも残る打四万。打八万も考えたが、九万が自分から2枚見えであり、1シャンテンの間にもう1枚切られてしまうとこの手の魅力がなくなってしまうので打四万とします。」

勝又健志
「ドラがあるので、手役よりもアガリやすさを優先。」

紺野真太郎
「四暗刻といきたいところだが、まだ親番もあるし、手牌の変化、受け入れが広い手なので手広く。テンパイすれば全部リーチのつもりで。」

白鳥翔
九万がもう1枚切られた時に六万九万が弱くなってしまうので、八万は打たない。ドラもあるので、手広い形で勝負する。三暗刻形を見るのは破壊力があるが、ロスが多すぎるので狙わない。」

藤島健二郎
「牌効率で。タテ型は見ず、現実路線でいいのでは。」

古川孝次
「リーチタンヤオドラ1を視野に入れ、出アガリ5,200、ツモって満貫クラスを狙う。よって九万がリーチ宣言牌になるか?先に六万九万が入ってもリーチをかける。」

前田直哉
一索四索六万九万も逃がしたくないから。」

三戸亮祐
「トイツ手も見込めるが、アガリやすく満貫級にも成り得るピンフ形を重視して、打四万とする。」

山田浩之
「点棒はないが、まだ親番もあるので無理せず素直に。」

 

 

八万切り

岡部光輝
「親がまだあるので、リーチピンフイーペーコーを目指します。もう少し点数に余裕があれば、九万ツモ切りとします。」

清原継光
「まだ親があるし、リーチイーペーコードラ1あたりを視野に入れ、手なり気味にリャンメンリーチを目指す。」

近藤久春
「手なりでピンフイーペーコー狙い。次局親番なので。」

坂本誠裕
「手広く構えます(親番にかけます)。」

佐々木寿人
「ピンフイーペーコー狙い。」

二階堂亜樹
「タテは見ずにリャンメン固定します。まだ親番があるので、ラス目でも無理に高くしようとしない。」

古橋崇志
「ラス目だが親が残っているので、まずはアガリを見て現状一番強そうな六万九万ターツを決める。高打点になるなら、自然な変化でリャンペーコードラ2。」

前原雄大
「ラス目なのでどう打っても裏目はありそうだが、手広く受ける。」

山井弘
八万は1枚切れ、そのためロスは七万の2枚のみ。五万三万四万四万の形でカバーできるのでOK。最終形も六万九万待ちになれば強い。」

四柳弘樹
六万九万が良さそうなので、横に伸ばしてリーチピンフイーペーコードラ1が理想。」

 

 

九万切り

厚谷昇汰
「ピンフが確定していないので、九万を残すと打点が低くなる可能性がある。負けているのでヤオチュウ牌から切り、タンヤオ、MAX四暗刻まで狙う。」

上村慎太郎
九万を残すと、もう1枚九万を引かない限り安くなるイメージしかない。この手牌のポテンシャルにふさわしくない打九万。」

上村宜久
「リーチタンヤオドラ1から三暗刻まで見えるので。できたら四暗刻まで見たいです。」

河井保国
「点数がないので、三暗刻狙い。」

貫上洋志
「四暗刻まで見ます。」

黒沢咲
「形が良いので、タンヤオ固定してリーチと行きます。」

花岡章生
「点棒があれば他の選択肢もあるが、MAX四暗刻まで見て。先にリャンメンが埋まるようならそのままリーチで。」

林俊宏
「ツモ二索やタンヤオ、四暗刻に魅力を感じます!」

横山毅
「点棒的に四暗刻を狙いたいですね。一索はツモ切りします。」

 

 

三万切り

内川幸太郎
「四暗刻を見て、三万にします。」

浜上文吾
「四暗刻かマンズのイーペーコー狙い。」

一井慎也
「ピンフの選択以外は残るので。七対子、イーペーコー、リャンペーコー、四暗刻を見る。」

福光聖雄
八万を切った方が受け入れは広いけど、四暗刻は見たい。この後、一索四索九万が入ればリーチ。四万ツモは迷うなぁ・・・。」

藤岡良一
「マンズの三万四万八万九万どれも切る手はあるが、現状ラス目の今、自分の経験上、四万七万は親にアタる。ならば、その筋が出ないように三万を打っておきたい。」

安村浩司
「四暗刻、リャンペーコーを残す。」

何を切る?/何を切る?fromロン2 2017年4月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答をグラフを使って比較していきたいと思います。
多くのプロより、丁寧な解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。
問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介
ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)
南2局南家 (色の濃くなっている牌はツモ切りです)

 
プロ

四万切り・・・10人
八万切り・・・10人
九万切り・・・9人
三万切り・・・6人
 
ロン2ユーザー

九万切り・・・39%
八万切り・・・28.2%
三万切り・・・17.4%
四万切り・・・13.8%
二索切り・・・0.5%
三索切り・・・0.5%
四索切り・・・0.5%
 
 
プロ解答(50音順)
 
四万切り
鮎川卓
「親番も残っているので、スピードと打点のバランスが良い打四万を選択します。」
太田優介
「ツモり三暗刻も見える手牌ではあるが、ドラも1枚あるので、タンヤオやピンフイーペーコーも残る打四万。打八万も考えたが、九万が自分から2枚見えであり、1シャンテンの間にもう1枚切られてしまうとこの手の魅力がなくなってしまうので打四万とします。」
勝又健志
「ドラがあるので、手役よりもアガリやすさを優先。」
紺野真太郎
「四暗刻といきたいところだが、まだ親番もあるし、手牌の変化、受け入れが広い手なので手広く。テンパイすれば全部リーチのつもりで。」
白鳥翔
九万がもう1枚切られた時に六万九万が弱くなってしまうので、八万は打たない。ドラもあるので、手広い形で勝負する。三暗刻形を見るのは破壊力があるが、ロスが多すぎるので狙わない。」
藤島健二郎
「牌効率で。タテ型は見ず、現実路線でいいのでは。」
古川孝次
「リーチタンヤオドラ1を視野に入れ、出アガリ5,200、ツモって満貫クラスを狙う。よって九万がリーチ宣言牌になるか?先に六万九万が入ってもリーチをかける。」
前田直哉
一索四索六万九万も逃がしたくないから。」
三戸亮祐
「トイツ手も見込めるが、アガリやすく満貫級にも成り得るピンフ形を重視して、打四万とする。」
山田浩之
「点棒はないが、まだ親番もあるので無理せず素直に。」
 
 
八万切り
岡部光輝
「親がまだあるので、リーチピンフイーペーコーを目指します。もう少し点数に余裕があれば、九万ツモ切りとします。」
清原継光
「まだ親があるし、リーチイーペーコードラ1あたりを視野に入れ、手なり気味にリャンメンリーチを目指す。」
近藤久春
「手なりでピンフイーペーコー狙い。次局親番なので。」
坂本誠裕
「手広く構えます(親番にかけます)。」
佐々木寿人
「ピンフイーペーコー狙い。」
二階堂亜樹
「タテは見ずにリャンメン固定します。まだ親番があるので、ラス目でも無理に高くしようとしない。」
古橋崇志
「ラス目だが親が残っているので、まずはアガリを見て現状一番強そうな六万九万ターツを決める。高打点になるなら、自然な変化でリャンペーコードラ2。」
前原雄大
「ラス目なのでどう打っても裏目はありそうだが、手広く受ける。」
山井弘
八万は1枚切れ、そのためロスは七万の2枚のみ。五万三万四万四万の形でカバーできるのでOK。最終形も六万九万待ちになれば強い。」
四柳弘樹
六万九万が良さそうなので、横に伸ばしてリーチピンフイーペーコードラ1が理想。」
 
 
九万切り
厚谷昇汰
「ピンフが確定していないので、九万を残すと打点が低くなる可能性がある。負けているのでヤオチュウ牌から切り、タンヤオ、MAX四暗刻まで狙う。」
上村慎太郎
九万を残すと、もう1枚九万を引かない限り安くなるイメージしかない。この手牌のポテンシャルにふさわしくない打九万。」
上村宜久
「リーチタンヤオドラ1から三暗刻まで見えるので。できたら四暗刻まで見たいです。」
河井保国
「点数がないので、三暗刻狙い。」
貫上洋志
「四暗刻まで見ます。」
黒沢咲
「形が良いので、タンヤオ固定してリーチと行きます。」
花岡章生
「点棒があれば他の選択肢もあるが、MAX四暗刻まで見て。先にリャンメンが埋まるようならそのままリーチで。」
林俊宏
「ツモ二索やタンヤオ、四暗刻に魅力を感じます!」
横山毅
「点棒的に四暗刻を狙いたいですね。一索はツモ切りします。」
 
 
三万切り
内川幸太郎
「四暗刻を見て、三万にします。」
浜上文吾
「四暗刻かマンズのイーペーコー狙い。」
一井慎也
「ピンフの選択以外は残るので。七対子、イーペーコー、リャンペーコー、四暗刻を見る。」
福光聖雄
八万を切った方が受け入れは広いけど、四暗刻は見たい。この後、一索四索九万が入ればリーチ。四万ツモは迷うなぁ・・・。」
藤岡良一
「マンズの三万四万八万九万どれも切る手はあるが、現状ラス目の今、自分の経験上、四万七万は親にアタる。ならば、その筋が出ないように三万を打っておきたい。」
安村浩司
「四暗刻、リャンペーコーを残す。」

Mr.Xの連盟Weekly!

100

 

 

【プロリーグ開幕】
 
第34期プロリーグが開幕。
 

B1・B2 C1・C2・C3 D1・D2・D3 E

A1リーグ 第1節(1/3卓)
A2リーグ 第1節(4/4 17:00~)

 
昨日から、A1の対局もスタート。
瀬戸熊直樹好発進!と思いきや、最終的に卓内トップに立ったのは、今期A1初挑戦の内川幸太郎だ。

 

100

 

リーチ宣言牌は二万
ピンフや三色がすぐそこにある手牌だが、内川は即リーチを決断。
こんな手から機械的に打六万とするのは、ままごとの麻雀か?

鳳凰位、前原雄大に挑戦する3名は誰だ!?今年も熱い戦いが始まった!
 
 
 
【ロン2カップspring2017】
 
今週末、ロン2カップspring2017が配信予定。
 

放送予定 4/08 13:00~

ロン2カップ2017Spring【無料放送】

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100

 

以下のキャンペーンも!?発表前に少し情報を解禁してしまおう。

特別対戦権利獲得キャンペーン
ロン2会員限定で、4月8日(土)から4月15日(土)までに下記プロの中から1人選んで応募してもらいます。
番組をみて新規会員になって応募されたかたは8名様まで優先します。
あとは既存の会員の中から抽選で選出。

対戦日程:5月8日(月)~5月12日(金)
出場予定プロ:森山茂和・前原雄大・二階堂亜樹・和久津晶
 
 
 
【aki 映画化決定】
 
女流闘牌伝 aki-アキ-
プロクイーン獲得、最強戦ファイナル進出など絶好調の二階堂亜樹が原案の漫画「aki」の映画化が決定した!

 

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主演の岡本夏美さん。

 

 

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首位に立ってもなお寒い、二階堂亜樹。

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【三麻王決定戦】
 
三麻王決定戦の収録が終わったらしい。
勝ち抜きバトルV7で見事7勝を達成した中村慎吾が登場!

豪華な顔ぶれの中、慎吾は自身の持ち味を発揮することができるのか!?
オンエアーを待て!

 

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【Battle of generation】

 

100

 

30代代表、勝又健志の勝ち!
安定感のある強さだよね~
 
 
 
【大型新人現る】
 
木曜日のお昼に、不定期で配信されている「女流勉強会」。
こちらをご覧になっている方はすでにご存じかと思うが、岡田紗佳という新人女流プロがデビューした。

 

100

 
「三四郎」「奈央」
デビュー戦のプロリーグでは小動物のような2人を捌いて+32.3と好調なスタートを切った模様だ。

 

100

 

すでに最強戦のアシスタントや、AbemaTVなどで活躍している彼女。今後も要チェックだ。
 
 
 
【サイン】

 

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瀬戸熊直樹クラスになると、いつどこでサインを求められるかわからない。
その辺で食事でもなんて時も油断できないのだ。

 

100

 

稽古終了後に入ったお店で、スタッフさんが着ているTシャツにサインする瀬戸熊直樹。

「克己心」
己の弱い精神に打ち勝つ。そんなイメージの言葉は麻雀打ちにピッタリだ。
ファンの皆さまに熱い闘牌をお届けするため、日々鍛錬は続くのである。
 
 
 
【大きな体、小さなカレー】
 
瀬戸熊直樹をオチに使うわけにはいかず。今回はこの写真で締めとさせていただく。

 

100

 

庶民から奪い取ったカレーであろうか。カレーがかなり小さく見える。

「ほーそうか、俺はオチに使っていいのか」
きっとそう言うだろうな…
こえーな…
誰のせいにしようかな…

(;´∀`)

プロ雀士コラム/Mr.Xの連盟Weekly!

100

 
 
【プロリーグ開幕】
 
第34期プロリーグが開幕。
 

B1・B2 C1・C2・C3 D1・D2・D3 E

A1リーグ 第1節(1/3卓)
A2リーグ 第1節(4/4 17:00~)

 
昨日から、A1の対局もスタート。
瀬戸熊直樹好発進!と思いきや、最終的に卓内トップに立ったのは、今期A1初挑戦の内川幸太郎だ。
 

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リーチ宣言牌は二万
ピンフや三色がすぐそこにある手牌だが、内川は即リーチを決断。
こんな手から機械的に打六万とするのは、ままごとの麻雀か?
鳳凰位、前原雄大に挑戦する3名は誰だ!?今年も熱い戦いが始まった!
 
 
 
【ロン2カップspring2017】
 
今週末、ロン2カップspring2017が配信予定。
 

放送予定 4/08 13:00~
ロン2カップ2017Spring【無料放送】

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以下のキャンペーンも!?発表前に少し情報を解禁してしまおう。
特別対戦権利獲得キャンペーン
ロン2会員限定で、4月8日(土)から4月15日(土)までに下記プロの中から1人選んで応募してもらいます。
番組をみて新規会員になって応募されたかたは8名様まで優先します。
あとは既存の会員の中から抽選で選出。
対戦日程:5月8日(月)~5月12日(金)
出場予定プロ:森山茂和・前原雄大・二階堂亜樹・和久津晶
 
 
 
【aki 映画化決定】
 
女流闘牌伝 aki-アキ-
プロクイーン獲得、最強戦ファイナル進出など絶好調の二階堂亜樹が原案の漫画「aki」の映画化が決定した!
 

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主演の岡本夏美さん。

 
 

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首位に立ってもなお寒い、二階堂亜樹。

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【三麻王決定戦】
 
三麻王決定戦の収録が終わったらしい。
勝ち抜きバトルV7で見事7勝を達成した中村慎吾が登場!
豪華な顔ぶれの中、慎吾は自身の持ち味を発揮することができるのか!?
オンエアーを待て!
 

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【Battle of generation】
 

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30代代表、勝又健志の勝ち!
安定感のある強さだよね~
 
 
 
【大型新人現る】
 
木曜日のお昼に、不定期で配信されている「女流勉強会」。
こちらをご覧になっている方はすでにご存じかと思うが、岡田紗佳という新人女流プロがデビューした。
 

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「三四郎」「奈央」
デビュー戦のプロリーグでは小動物のような2人を捌いて+32.3と好調なスタートを切った模様だ。
 

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すでに最強戦のアシスタントや、AbemaTVなどで活躍している彼女。今後も要チェックだ。
 
 
 
【サイン】
 

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瀬戸熊直樹クラスになると、いつどこでサインを求められるかわからない。
その辺で食事でもなんて時も油断できないのだ。
 

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稽古終了後に入ったお店で、スタッフさんが着ているTシャツにサインする瀬戸熊直樹。
「克己心」
己の弱い精神に打ち勝つ。そんなイメージの言葉は麻雀打ちにピッタリだ。
ファンの皆さまに熱い闘牌をお届けするため、日々鍛錬は続くのである。
 
 
 
【大きな体、小さなカレー】
 
瀬戸熊直樹をオチに使うわけにはいかず。今回はこの写真で締めとさせていただく。
 

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庶民から奪い取ったカレーであろうか。カレーがかなり小さく見える。
「ほーそうか、俺はオチに使っていいのか」
きっとそう言うだろうな…
こえーな…
誰のせいにしようかな…
(;´∀`)

第16期北陸リーグ 第1節レポート

第16期北陸リーグのレポートを担当させて頂きます。23期生の木戸僚之です。
拙い文章ですが半年間のお付き合い、どうぞよろしくお願いいたします。

今期は富山開催となり、一般15名、プロ9名の総勢24名で第16期北陸リーグは幕を開けた。
今期は、前期と同じく全5節制で決勝4名進出(各順位決勝ポイントアリ)というシステムを採用しての戦いとなる。

今期の注目は、新たに入会した成田理良プロ、前田倫也プロが参戦となる。更には前期決勝に進出した浦田支部長、藤本鉄也プロも参戦しており、プロ9名が参加となる。
浦田支部長もレポートに書いてあった言葉を引用すると、「最近のリーグ戦では、一般の方の活躍が目覚ましく、逆に言えば、総じてプロの成績が芳しくない傾向を感じております」
今期過去最多となる9名が参加するので、今期こそは私を含むプロ勢の盛り返しを期待したい。

今節の私の対戦相手は、北陸リーグ覇者でもある、光岡さん、平澤さん、今期初参戦となる尾間さんとの対戦となった。

1回戦目から、平澤さんのヤミテンで6,400。光岡さんの12,000と高打点を横目に、ギリギリ帳尻を合わせた1,000・2,000をツモリ+1.8Pの3着スタートとなる。
2回戦も、親の2,000点をアガリ、そのままテンパイ罰符だけで+2.5Pのトップ。ポイントとては+13.3Pと吹けば飛ぶようなポイントだが、自分の手数、状態を見れば上出来と感じていた。
3回戦に1人浮きのトップを取り、続く4回戦に事件は起こった。

東場に2,000・3,900ツモ。親でも12,000をアガリ、今節はプラスを叩けると思った時に、緩手を打ってしまう。親で七対子ドラドラの九索単騎でテンパイしている中で、ツモ中で打九索で光岡さんのホンイツトイトイの8,000に放銃。どちらも当たり牌だったのだが、自分に酔いしれての甘い放銃に他ならない。

南場でも私は2,000・4,000をツモリ点数的には余裕が出来るのだが、続く光岡さんの親番で4,000オールを2回アガられてしまう。

南3局親

二万二万七万九万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ八万

このテンパイ。六万は2枚出ている状態だが、ヤミテンを続行。
西家である尾間さんが仕掛け打八万。その八万を捕らえられず、2巡後ツモ五筒

二万二万七万九万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ五筒

こうなれば打九万と行くのだが、更に尾間さんからツモ切りの八万を打たれ、この形のまま尾間さんに400・700をツモられ親番が終了してしまった。
光岡さんは国士模様だったので六万が2枚見えた時点で、親を維持するリーチを打っても良かったかもしれないと反省。

南4局に平澤さんの連荘が始まる。
私としては上家にいる光岡さんと協力して浮きで終わりたかった為、手をなるべく平澤さんの現物待ちにするようにシフトしながら打つのだが、光岡さんとしては私に沈んでもらいたい為か辛く打っている様子。
平澤さんの現物ヤミテンを2局するも、そのまま平澤さんのヤミテン11,600に捕まる。結局自力で1,000は1,900をするもそのまま3着で終了。
今節で+70P程浮けると思っていたのだが結果は+32.8Pとなり、自分の実践不足を実感しました。

1節目が終わり、全体のポイントを見てみると、1位は浦田支部長で+108.3Pと大きくリードした形となりました。2位に宮川さん+59.5P、3位成田プロ+34.1Pと浦田プロ以外はそこまでポイントが動いてない様子。
前回優勝の押川さんは3名のマークにあったか▲60.8Pで手痛いスタートとなりました。

決勝ポイントがある以上、自分のポイントを伸ばすだけでなく、強者をマークして出来る限り抑える事が他の卓でも見え、締まった麻雀内容だったのではないかと思います。

次回は誰が抜け出すのか、私もこのポイントをさらに伸ばせるように気合を入れて頑張ります。

第2節対戦者(敬称略)
1卓荒川プロ 小泉 吉田 平澤
2卓成田プロ 押川 光岡 森田
3卓後藤プロ 志多木プロ 北川 上杉
4卓浦田プロ 宮川 尾間 窪田
5卓藤本プロ 安城プロ 前田プロ 表
6卓木戸プロ 久保 宮内 山元       

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 浦田 豊人 プロ 108.3         108.3
2 宮川 悟 一般 59.5         59.5
3 成田 理良 プロ 34.1         34.1
4 木戸 僚之 プロ 32.8         32.8
5 宮内 俊貴 一般 29.7         29.7
6 上杉 俊男 一般 28.7         28.7
7 光岡 大幸 一般 25.8         25.8
8 安城 るい プロ 25.3         25.3
9 表 勝正 一般 24.2         24.2
10 後藤 正博 プロ 5.6         5.6
11 森田 有一 一般 2.4         2.4
12 山元 一成 一般 ▲ 0.7         ▲ 0.7
13 窪田 一彦 一般 ▲ 11.1         ▲ 11.1
14 小泉 陽平 一般 ▲ 12.8         ▲ 12.8
15 藤本 鉄也 プロ ▲ 15.2         ▲ 15.2
16 吉田 健彦 一般 ▲ 19.8         ▲ 19.8
17 北川 光 一般 ▲ 21.6         ▲ 21.6
18 尾間 明 一般 ▲ 27.2         ▲ 27.2
19 志多木 健 プロ ▲ 28.4         ▲ 28.4
20 平澤 憲一 一般 ▲ 31.4         ▲ 31.4
21 久保 智央 一般 ▲ 41.5         ▲ 41.5
22 荒谷 誠 プロ ▲ 56.7         ▲ 56.7
23 押川 憲一 一般 ▲ 60.8         ▲ 60.8
24 前田 倫也 プロ ▲ 69.2         ▲ 69.2

北陸リーグ レポート/第16期北陸リーグ 第1節レポート

第16期北陸リーグのレポートを担当させて頂きます。23期生の木戸僚之です。
拙い文章ですが半年間のお付き合い、どうぞよろしくお願いいたします。
今期は富山開催となり、一般15名、プロ9名の総勢24名で第16期北陸リーグは幕を開けた。
今期は、前期と同じく全5節制で決勝4名進出(各順位決勝ポイントアリ)というシステムを採用しての戦いとなる。
今期の注目は、新たに入会した成田理良プロ、前田倫也プロが参戦となる。更には前期決勝に進出した浦田支部長、藤本鉄也プロも参戦しており、プロ9名が参加となる。
浦田支部長もレポートに書いてあった言葉を引用すると、「最近のリーグ戦では、一般の方の活躍が目覚ましく、逆に言えば、総じてプロの成績が芳しくない傾向を感じております」
今期過去最多となる9名が参加するので、今期こそは私を含むプロ勢の盛り返しを期待したい。
今節の私の対戦相手は、北陸リーグ覇者でもある、光岡さん、平澤さん、今期初参戦となる尾間さんとの対戦となった。
1回戦目から、平澤さんのヤミテンで6,400。光岡さんの12,000と高打点を横目に、ギリギリ帳尻を合わせた1,000・2,000をツモリ+1.8Pの3着スタートとなる。
2回戦も、親の2,000点をアガリ、そのままテンパイ罰符だけで+2.5Pのトップ。ポイントとては+13.3Pと吹けば飛ぶようなポイントだが、自分の手数、状態を見れば上出来と感じていた。
3回戦に1人浮きのトップを取り、続く4回戦に事件は起こった。
東場に2,000・3,900ツモ。親でも12,000をアガリ、今節はプラスを叩けると思った時に、緩手を打ってしまう。親で七対子ドラドラの九索単騎でテンパイしている中で、ツモ中で打九索で光岡さんのホンイツトイトイの8,000に放銃。どちらも当たり牌だったのだが、自分に酔いしれての甘い放銃に他ならない。
南場でも私は2,000・4,000をツモリ点数的には余裕が出来るのだが、続く光岡さんの親番で4,000オールを2回アガられてしまう。
南3局親
二万二万七万九万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ八万
このテンパイ。六万は2枚出ている状態だが、ヤミテンを続行。
西家である尾間さんが仕掛け打八万。その八万を捕らえられず、2巡後ツモ五筒
二万二万七万九万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ツモ五筒
こうなれば打九万と行くのだが、更に尾間さんからツモ切りの八万を打たれ、この形のまま尾間さんに400・700をツモられ親番が終了してしまった。
光岡さんは国士模様だったので六万が2枚見えた時点で、親を維持するリーチを打っても良かったかもしれないと反省。
南4局に平澤さんの連荘が始まる。
私としては上家にいる光岡さんと協力して浮きで終わりたかった為、手をなるべく平澤さんの現物待ちにするようにシフトしながら打つのだが、光岡さんとしては私に沈んでもらいたい為か辛く打っている様子。
平澤さんの現物ヤミテンを2局するも、そのまま平澤さんのヤミテン11,600に捕まる。結局自力で1,000は1,900をするもそのまま3着で終了。
今節で+70P程浮けると思っていたのだが結果は+32.8Pとなり、自分の実践不足を実感しました。
1節目が終わり、全体のポイントを見てみると、1位は浦田支部長で+108.3Pと大きくリードした形となりました。2位に宮川さん+59.5P、3位成田プロ+34.1Pと浦田プロ以外はそこまでポイントが動いてない様子。
前回優勝の押川さんは3名のマークにあったか▲60.8Pで手痛いスタートとなりました。
決勝ポイントがある以上、自分のポイントを伸ばすだけでなく、強者をマークして出来る限り抑える事が他の卓でも見え、締まった麻雀内容だったのではないかと思います。
次回は誰が抜け出すのか、私もこのポイントをさらに伸ばせるように気合を入れて頑張ります。
第2節対戦者(敬称略)
1卓荒川プロ 小泉 吉田 平澤
2卓成田プロ 押川 光岡 森田
3卓後藤プロ 志多木プロ 北川 上杉
4卓浦田プロ 宮川 尾間 窪田
5卓藤本プロ 安城プロ 前田プロ 表
6卓木戸プロ 久保 宮内 山元       

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 浦田 豊人 プロ 108.3         108.3
2 宮川 悟 一般 59.5         59.5
3 成田 理良 プロ 34.1         34.1
4 木戸 僚之 プロ 32.8         32.8
5 宮内 俊貴 一般 29.7         29.7
6 上杉 俊男 一般 28.7         28.7
7 光岡 大幸 一般 25.8         25.8
8 安城 るい プロ 25.3         25.3
9 表 勝正 一般 24.2         24.2
10 後藤 正博 プロ 5.6         5.6
11 森田 有一 一般 2.4         2.4
12 山元 一成 一般 ▲ 0.7         ▲ 0.7
13 窪田 一彦 一般 ▲ 11.1         ▲ 11.1
14 小泉 陽平 一般 ▲ 12.8         ▲ 12.8
15 藤本 鉄也 プロ ▲ 15.2         ▲ 15.2
16 吉田 健彦 一般 ▲ 19.8         ▲ 19.8
17 北川 光 一般 ▲ 21.6         ▲ 21.6
18 尾間 明 一般 ▲ 27.2         ▲ 27.2
19 志多木 健 プロ ▲ 28.4         ▲ 28.4
20 平澤 憲一 一般 ▲ 31.4         ▲ 31.4
21 久保 智央 一般 ▲ 41.5         ▲ 41.5
22 荒谷 誠 プロ ▲ 56.7         ▲ 56.7
23 押川 憲一 一般 ▲ 60.8         ▲ 60.8
24 前田 倫也 プロ ▲ 69.2         ▲ 69.2

第119回『麻雀はその人となり』 前原雄大

ここ4、5年間の事を振り返ってみる。
4年程前に私はA1からA2に降級している。原因はハッキリしている。
リーグ戦も半ばを過ぎた辺りでトータル首位に立ち、ポイントも100を超えていた。
残り節数も4、5節あるというのに、私は決定戦の調整に入ってしまったのである。驕りである。

皆が皆、目の前の一局、一半荘に誠実にそして全力を傾けているといのに、、、。

きっかけは局の序盤に近藤久春さんに飛び込んだ中だった。
近藤さんは六索をポンして打五索の1つ仕掛けが入った局面だった。私はその仕掛けでドラである、カン八筒が埋まった。

一万二万三万七万八万二索二索四索四索五索七筒九筒中  ツモ八筒  打中

私の中でゴーサインが出たのである。誰かの仕掛けで急所の牌を引きこんだときは基本的には前に進む。前巡、完全安全牌の北が近藤さんの手牌から打ち出されてきた。

テンパイだな__。
そして北家の私に九万が入り私は打中。その中に近藤さんから声が発せられた。

「ロン11,600」

開けられた手牌は

六万七万八万七索七索八筒八筒八筒中中  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き

手出しツモ切りは見ている。近藤さんの入り目は八万である。点棒を支払いながら、なるほどナと考えさせられた。
近藤さんの仕掛けの形は理解できたが、発想法が独特なのである。
1シャンテンの形は以下のものに間違いない。

六万七万五索六索六索七索七索八筒八筒八筒北中中

千人いれば千種類の麻雀観があると私は考える。どれが絶対的正着打は無いとも考える。
私ならばこの手牌はこの形からは仕掛けない。正確に記すならば仕掛けられない。この反射神経は素晴らしい。
近藤さんは、おそらく毎日のように鍛錬を積み重ねこの反射神経を養い続けA1まで駆け上がって来たのだろう。

ロンの発声も何処か申し訳なさそうだったことは今でも鮮明に覚えている。
シャイな男なんだナと好感を覚えた。

近藤さんの仕掛けをタンヤオと思い込んだのも拙かったが、ツモ八筒に感触があったとしても、良くなかったのは私の残り手牌にある、四索のことである。
この四索は生牌であり、仮に六万九万が埋まったとしても四索を打ち切れるか、もしくは二索四索のシャンポンでアガリが見えるかという問題である。
そこにアガリ形が見えない以上、中を打つべきではないと今は思えるが実戦では解らないというのが本音である。

近藤さんは当時パンチパーマだったと記憶しているが、今ではダンディと呼ばれるように服装風貌も変わられたように麻雀の質も変貌を遂げられた。
ただ、変わらないのは打点の高さである。
いずれにしても、この放銃がトラウマになり、ほとんど対近藤戦は圧敗を重ね決定戦はおろか、A2に降級となってしまった。

降級そのものは己の過信や驕りが招いたことで仕方がないことだが、降級を意識し出した頃、望月君から言われた言葉に従わなかったことは悔いている。

「下を見るのではなく決定戦を見て麻雀を打ってください」

その言葉に従えなかったのは、その時の己の器の小ささに他ならない。
連盟を誇りに思っていることの一つに、上下の関係を飛び越して言うべきことは本人にハッキリ言うことにあると思っている。
視聴者がいる以上、それぞれがベストパフォーマンスをしてほしいという願いの言葉だったのだろう。

A2から昇級できたのは、これは幸運以外の何物でもない。
牌姿は省くが、内川幸太郎君が発単騎のリーチを打っていれば、佐々木寿人君がメンチンに手を伸ばせば私の昇級は無かったように思う。
A2にいた時も常に考えていたのは、A1に昇級したときにいかなる麻雀を打つかだけだった。
答えは中々でなかった。

A1に昇級して最終節を残した時に、トータル2位に着けながらも決定戦を逃した。
最終戦などは何もさせてもらえなかった。
決定戦を逃したことよりも、勝又くんに何もさせてもらえなかったことが問題としては大きかった。

最終節の少し前、紺野真太郎君と話す折りがあった。
「今回は勝ちに拘ろうと思う」
「それはどうかと思います。前原さんには飛んで欲しい。それは、プロレスラーの武藤さんが膝を痛めてもムーンサルトプレスをやり続けるように、、、」
そんな話だった。

紺野君の言葉を聞かずに私は惨敗を喫した。このことも、やはり、私の器の問題である。
勝ちに拘らず飛んでさえいれば、己ずと勝ちを掌中にできるだろう__
そういう紺野君のメッセージに思えてならない。

そして、33期リーグ戦を迎えるに当たり、戦い方は決まっていた。

瀬戸熊直樹さんの言葉である。
第32期プロリーグを全節プラスにまとめあげることを言っていた。そして、それに近い形で決定戦に残った。
このカタチの麻雀はかなり難しく思えたが、遣り甲斐はあることは間違いなかった。

それまでの私のリーグ戦の臨み方は100ポイントオーバーの節を2度作れば良いという考え方だった。それが、私に似合うと思い込んでいた。全節プラスにするには、難点も多いことも予測していた。
親番に固執しないこと、受けのちからを鍛錬すること、切り込み方が甘くなることも想定された。簡単に言うならば、膂力に頼らず麻雀に誠実に向き合うということである。

集中力を高めることは絶対条件である。身体を作らねばならないことも解っていた。
それとできるだけ早寝早起きをして、睡眠の質にもこだわった。6月から始めたホットヨガは身体もそうだが、心の在り方、呼吸法を学べて良かったように感じる。

図を見てください。

 

100

 

結果は四筒の放銃で終わっている。手牌にはドラである南が残っている。
仮にこの四筒が通ったとしたらドラの南はどうするか。答えは簡単である。
三色ならずのテンパイであったとしても、南は打ち出す覚悟はしていた。
南を残したのは重なる可能性を見たことと、テンパイしていなかっただけである。

この構え方が良いかどうかは別である。私は何十年もそう打って来たし、これからもそう打って行く。入り方とはそういうものだと私は思っている。
放銃を想定して、次局以降の戦い方さえ考えておけば何ら問題は無い様に思う。
それよりも、恐れるべきことは腰が引けたような戦い方をすることに他ならない様に思えてならない。

私が私であるが為にそう戦って行きたい。
麻雀はその人となり__。
この言葉に尽きると私は考える。

上級/第119回『麻雀はその人となり』 前原雄大

ここ4、5年間の事を振り返ってみる。
4年程前に私はA1からA2に降級している。原因はハッキリしている。
リーグ戦も半ばを過ぎた辺りでトータル首位に立ち、ポイントも100を超えていた。
残り節数も4、5節あるというのに、私は決定戦の調整に入ってしまったのである。驕りである。
皆が皆、目の前の一局、一半荘に誠実にそして全力を傾けているといのに、、、。
きっかけは局の序盤に近藤久春さんに飛び込んだ中だった。
近藤さんは六索をポンして打五索の1つ仕掛けが入った局面だった。私はその仕掛けでドラである、カン八筒が埋まった。
一万二万三万七万八万二索二索四索四索五索七筒九筒中  ツモ八筒  打中
私の中でゴーサインが出たのである。誰かの仕掛けで急所の牌を引きこんだときは基本的には前に進む。前巡、完全安全牌の北が近藤さんの手牌から打ち出されてきた。
テンパイだな__。
そして北家の私に九万が入り私は打中。その中に近藤さんから声が発せられた。
「ロン11,600」
開けられた手牌は
六万七万八万七索七索八筒八筒八筒中中  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き
手出しツモ切りは見ている。近藤さんの入り目は八万である。点棒を支払いながら、なるほどナと考えさせられた。
近藤さんの仕掛けの形は理解できたが、発想法が独特なのである。
1シャンテンの形は以下のものに間違いない。
六万七万五索六索六索七索七索八筒八筒八筒北中中
千人いれば千種類の麻雀観があると私は考える。どれが絶対的正着打は無いとも考える。
私ならばこの手牌はこの形からは仕掛けない。正確に記すならば仕掛けられない。この反射神経は素晴らしい。
近藤さんは、おそらく毎日のように鍛錬を積み重ねこの反射神経を養い続けA1まで駆け上がって来たのだろう。
ロンの発声も何処か申し訳なさそうだったことは今でも鮮明に覚えている。
シャイな男なんだナと好感を覚えた。
近藤さんの仕掛けをタンヤオと思い込んだのも拙かったが、ツモ八筒に感触があったとしても、良くなかったのは私の残り手牌にある、四索のことである。
この四索は生牌であり、仮に六万九万が埋まったとしても四索を打ち切れるか、もしくは二索四索のシャンポンでアガリが見えるかという問題である。
そこにアガリ形が見えない以上、中を打つべきではないと今は思えるが実戦では解らないというのが本音である。
近藤さんは当時パンチパーマだったと記憶しているが、今ではダンディと呼ばれるように服装風貌も変わられたように麻雀の質も変貌を遂げられた。
ただ、変わらないのは打点の高さである。
いずれにしても、この放銃がトラウマになり、ほとんど対近藤戦は圧敗を重ね決定戦はおろか、A2に降級となってしまった。
降級そのものは己の過信や驕りが招いたことで仕方がないことだが、降級を意識し出した頃、望月君から言われた言葉に従わなかったことは悔いている。
「下を見るのではなく決定戦を見て麻雀を打ってください」
その言葉に従えなかったのは、その時の己の器の小ささに他ならない。
連盟を誇りに思っていることの一つに、上下の関係を飛び越して言うべきことは本人にハッキリ言うことにあると思っている。
視聴者がいる以上、それぞれがベストパフォーマンスをしてほしいという願いの言葉だったのだろう。
A2から昇級できたのは、これは幸運以外の何物でもない。
牌姿は省くが、内川幸太郎君が発単騎のリーチを打っていれば、佐々木寿人君がメンチンに手を伸ばせば私の昇級は無かったように思う。
A2にいた時も常に考えていたのは、A1に昇級したときにいかなる麻雀を打つかだけだった。
答えは中々でなかった。
A1に昇級して最終節を残した時に、トータル2位に着けながらも決定戦を逃した。
最終戦などは何もさせてもらえなかった。
決定戦を逃したことよりも、勝又くんに何もさせてもらえなかったことが問題としては大きかった。
最終節の少し前、紺野真太郎君と話す折りがあった。
「今回は勝ちに拘ろうと思う」
「それはどうかと思います。前原さんには飛んで欲しい。それは、プロレスラーの武藤さんが膝を痛めてもムーンサルトプレスをやり続けるように、、、」
そんな話だった。
紺野君の言葉を聞かずに私は惨敗を喫した。このことも、やはり、私の器の問題である。
勝ちに拘らず飛んでさえいれば、己ずと勝ちを掌中にできるだろう__
そういう紺野君のメッセージに思えてならない。
そして、33期リーグ戦を迎えるに当たり、戦い方は決まっていた。
瀬戸熊直樹さんの言葉である。
第32期プロリーグを全節プラスにまとめあげることを言っていた。そして、それに近い形で決定戦に残った。
このカタチの麻雀はかなり難しく思えたが、遣り甲斐はあることは間違いなかった。
それまでの私のリーグ戦の臨み方は100ポイントオーバーの節を2度作れば良いという考え方だった。それが、私に似合うと思い込んでいた。全節プラスにするには、難点も多いことも予測していた。
親番に固執しないこと、受けのちからを鍛錬すること、切り込み方が甘くなることも想定された。簡単に言うならば、膂力に頼らず麻雀に誠実に向き合うということである。
集中力を高めることは絶対条件である。身体を作らねばならないことも解っていた。
それとできるだけ早寝早起きをして、睡眠の質にもこだわった。6月から始めたホットヨガは身体もそうだが、心の在り方、呼吸法を学べて良かったように感じる。
図を見てください。
 
100
 
結果は四筒の放銃で終わっている。手牌にはドラである南が残っている。
仮にこの四筒が通ったとしたらドラの南はどうするか。答えは簡単である。
三色ならずのテンパイであったとしても、南は打ち出す覚悟はしていた。
南を残したのは重なる可能性を見たことと、テンパイしていなかっただけである。
この構え方が良いかどうかは別である。私は何十年もそう打って来たし、これからもそう打って行く。入り方とはそういうものだと私は思っている。
放銃を想定して、次局以降の戦い方さえ考えておけば何ら問題は無い様に思う。
それよりも、恐れるべきことは腰が引けたような戦い方をすることに他ならない様に思えてならない。
私が私であるが為にそう戦って行きたい。
麻雀はその人となり__。
この言葉に尽きると私は考える。

第7期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 初日 藤崎 智

今期最後の公式戦は佐々木寿人のG1タイトル初優勝で幕を閉じた。
40歳の佐々木が一番年上という、これからのプロ連盟を背負うであろう若手4名での決勝戦であった。若手といっても4人共実績は十分でこのグランプリMAXのタイトルを獲る獲らないで今後活躍の舞台が増えるといった選手達では決してないのだが、世代の近い4人という事で「目の前の勝負」に勝ちたいというおもいが見ている私にも伝わってくる熱い闘いであった。4人中3人が団体対抗戦でプロ連盟を優勝に導いてくれたポイントゲッター達ということで、その時図々しくもキャプテンを務めていた藤崎が頑張って伝えていきたいと思います。

 

1回戦起家から
 
100

 

28期。わずか4年で来期のB2リーグ昇級を決め、グランプリも2年連続での決勝進出である。昨年度の十段戦での逆転の国士無双が記憶に新しい。
 
 
南家
 
100
 
22期。そうそうたる実績ではあるが意外にもG1タイトルは初決勝。来期A2リーグ返り咲きを果たした人気ナンバーワンの男子プロ。団体対抗戦の開幕戦での地和はチームを勢い付ける値千金のアガリであり、その後も寿人らしくポイントを伸ばしたチームの中心選手であった。
 
 
西家
 
100
 
22期。来期A1リーグの昇級を決め今回のメンバー唯一のA1リーガーであり、団体対抗戦ではチームトップのポイントを叩き出した選手である。しかしG1タイトルの決勝は数年前の王位戦以来2度目でありご覧の通り今回のメンバーで唯一獲得タイトルはない。「現A1リーガー」という肩書きは「現タイトルホルダー」という肩書きと同等の価値があると私個人は思っている。獲得タイトルはたとえ過去のものであっても色あせることはないが、A1リーガーに関しては「現」に価値があるものだと思っている。内川にとっては来期のA1リーグ初参戦の前に自信をつける意味でも是非欲しいタイトルである。そしてもう1つ、このグランプリMAXで初タイトルを獲得した選手が過去に2人いる。勝又と前田。そう、前鳳凰位とその前の鳳凰位である。そういった意味でも今回の決勝戦を一番勝ちたいと思っているのは内川だと思っている。
 
 
北家
 
100
 
23期。現マスターズチャンプでG1二冠を狙う最年少Aリーガー。団体対抗戦ではあまり調子のあがらない中、きっちりプラスポイントキープしたチームのムードメーカー。
 
 
 
東1局(柴田300、佐々木300、内川300、白鳥300、)

 

100

 

西家内川の配牌で第一ツモが白。今期A2リーグの立会人や解説で内川の麻雀はかなり観てきたのだが、リーグ戦では白をツモ切りしていたように思う。しかし内川の第一打は東。開始数秒での出来事だったが内川の今決勝にかける意気込みを感じた気がした。

 

100

 

東2局2本場(佐々木348、内川290、白鳥272、柴田290)

 

100

 

北家柴田の1巡目の手牌でドラが九筒。柴田の選択はドラ切りのダブリー。柴田という選手は門前重視で打点とスピードのバランスと、リーチとヤミテンの選択が的確な打ち手である。普段であればいったんヤミテンに構えてマンズの手替わりを待ちそうであるが、この時は少し手が震えていた。本人も言っていたのだが、この時は緊張があったようだ。ならば早く緊張をといて勝負に集中出来るようにリーチといっておいた方がいいという判断もあったらしい。デビュー依頼3年間無心で駆け抜けて素晴らしい実績を残してきた。今回世代の近い者通しの闘いで格上のAリーガー3人相手に自身の力を証明したいということだろう。今回は無欲ではなく力で獲りに来たといった感じに思えた。

 

100

 

1回戦、東4局で親の白鳥が2フーロでマンズのチンイツのテンパイ。そこに中五万のシャンポンのツモり三暗刻のリーチにいった佐々木が勝負して2,000・4,000をツモりトップ。引き負けた白鳥が3着。アガリのない内川がラスとなった。

1回戦成績
佐々木+27.6P 柴田+7.5P 白鳥▲13.6P 内川▲21.5P

 

 

2回戦

東1局(柴田300、白鳥300、佐々木300、内川300)
親の柴田が白鳥から12,000、テンパイ連チャン、佐々木から3,900と三本場まで積み上げる。3局共に柴田らしい素晴らしい手順だったのだが、特に2局目のテンパイ連チャンが見事だった。下家の白鳥から4巡目の早い仕掛けを受けながら丁寧に三色ドラ1のテンパイを入れた。丁寧に仕上げた分時間が掛かったのでヤミテンが普通と思われたのだが、これをリーチといって白鳥のアガリを阻止しての連チャンに成功した。実はテンパイした時点で柴田の待ちは純カラであった。言うまでもないとは思うが私が打っていればこの親権キープはなかったし最初の12,000も2,900だったように思う。

この後の3本場で内川にようやく初アガリの3,900がくるのだが、とにかく内川の調子が良くない。牌のきかたがあまりにも悪く、捨て牌を全部合わせればアガリはあるのだが、普通に打てばほぼアガれない。そんな局ばかりであった。

南3局(佐々木280、内川242、柴田442、白鳥236)

 

100

 

3巡目の内川の手牌。これも難しいし、いやらしい。三索切りの人が多そうだが内川の選択はドラの白。結果これが大正解で次巡二筒ツモ。前巡白を切った以上二筒引きや七索引きを考えて三索切りで一旦五筒タンキに受けることになる。これをあっさりツモって1,600・3,200。もしここで三索切りとしていればドラタンキの七対子となっておりアガれていたかどうか微妙である。

南4局1本場(内川306、柴田425、白鳥220、佐々木248)

九種九牌で流局での1本場

 

100

 

柴田から今決勝2度目となるダブリーを受けての親番の内川の2巡目。北が安全牌なのでとりあえず北切りとしそうだが、内川は打七筒で真っ直ぐを選択。最終的に北三索のシャンポン待ちの追いかけリーチで柴田から9,600をアガる。実は柴田の入り目がラス牌のペン七筒でやはり勝負というものは紙一重である。

ここから4本場まで内川が連荘するのだが、5,200をアガれば浮くという条件で佐々木は、ドラの二万と1枚切れの二索の役無しシャンポンをリーチにいかず、という新たな一面も見せてくれた。

2回戦成績
内川+24.0P 柴田+5.4P 佐々木▲9.7P 白鳥▲19.7P

2回戦まで
佐々木+17.9P 柴田+12.9P 内川+2.5P 白鳥▲33.3P

 

 

3回戦

南1局2本場(白鳥350、佐々木211、柴田320、内川319)

東1局ではタンピン三色イーペーコーの1シャンテンを柴田の先制リーチを受けて即撤退。南1局1本場では1巡ヤミテンに構えて次巡ツモ切りで先制リーチなど、あの「攻めダルマ」と呼ばれた寿人さんですか?免許証拝見させて下さい。と本人確認したくなるような今日の佐々木がここでもらしくない攻めをみせる。

 

100

 

5巡目。鳴いているのはダブ南。佐々木なら間違いなく六万切りと思っていたのだが、佐々木の選択は打二筒。終盤に3,900のアガリとなるのだがホンイツならもっと早くツモアガっていた。結果的にこの局だけは失敗だったがこの一連の「寿人らしくない」は実は進化した「ニュー寿人」だったようだ。それはこの先わかることになる。

 

100

 

この半荘はここまで苦しんでいた白鳥が南1局1本場の3,900オールの後、持ち前のちっちゃい、いや失礼、機敏で緻密な「白鳥ワールド」で1人浮きのトップを勝ち取った。「白鳥ワールド」に関しては後半戦で全開となるので前半戦ではあまり触れないが、年々精度が上がってきているように思える。

 

100

 

3回戦成績
白鳥+19.5P 柴田▲2.5P 内川▲5.2P 佐々木▲11.8P

3回戦まで
柴田+10.4P 佐々木+6.1P 内川▲2.7P 白鳥▲13.8P

 

 

4回戦

この4回戦は佐々木が2,000・4,000と4,000オールをアガリ1人浮きのトップをものにするのだが、すごいのは白鳥。東場では不運としかいいようのない8,000を内川に放銃するなど厳しい展開だったが、捌きとテンパイ料だけで小さい3着に抑える。

4回戦成績
佐々木+31.6P 内川▲4.3P 白鳥▲8.0P 柴田▲21.8P

4回戦まで
佐々木+37.7P 内川▲7.0P 柴田▲8.9P 白鳥▲21.8P

初日を終えて佐々木が頭一つ抜けている。とにかく放銃が少ない。放銃は少ないのだがアガリを逃すシーンが全くない。らしくはないように私の目には映るのだが、そんな戦術でも勝つ自信ありということなのだろう。
2番手に着ける内川は1回戦目アガリなしから2回戦目にはリーグ戦ではあまり見せないバランスを度外視した強引な麻雀で立て直してきた。この位置で初日をまとめたことに内川の強さと今決勝への意気込みをみた。
3番手の柴田は配牌だけならこの日断トツのナンバーワンである。しかしメンゼン型の柴田にとって配牌である程度かたちが決まっていれば、あとはツモ山との勝負となってしまうのはしょうがないだろう。ツモが思ったように伸びず、局の終盤受けにまわされる事が多かった。しかし1人ノートップでこのスコアなら十分2日目勝負となる。さすがに2日間ノートップでは優勝出来ないので早目の初トップがほしいところ。
そして初日最下位の白鳥。実は白鳥、1回戦から4回戦まで南入した時点で全て1万点代のラス目だった。そして全て南場で盛り返してのこの成績である。「白鳥ワールド」は逃げてこその戦術である。そう考えれば初日の内容は上出来と言っても過言ではない気がする。

グランプリ 決勝観戦記/第7期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 初日 藤崎 智

今期最後の公式戦は佐々木寿人のG1タイトル初優勝で幕を閉じた。
40歳の佐々木が一番年上という、これからのプロ連盟を背負うであろう若手4名での決勝戦であった。若手といっても4人共実績は十分でこのグランプリMAXのタイトルを獲る獲らないで今後活躍の舞台が増えるといった選手達では決してないのだが、世代の近い4人という事で「目の前の勝負」に勝ちたいというおもいが見ている私にも伝わってくる熱い闘いであった。4人中3人が団体対抗戦でプロ連盟を優勝に導いてくれたポイントゲッター達ということで、その時図々しくもキャプテンを務めていた藤崎が頑張って伝えていきたいと思います。
 
1回戦起家から
 
100
 
28期。わずか4年で来期のB2リーグ昇級を決め、グランプリも2年連続での決勝進出である。昨年度の十段戦での逆転の国士無双が記憶に新しい。
 
 
南家
 
100
 
22期。そうそうたる実績ではあるが意外にもG1タイトルは初決勝。来期A2リーグ返り咲きを果たした人気ナンバーワンの男子プロ。団体対抗戦の開幕戦での地和はチームを勢い付ける値千金のアガリであり、その後も寿人らしくポイントを伸ばしたチームの中心選手であった。
 
 
西家
 
100
 
22期。来期A1リーグの昇級を決め今回のメンバー唯一のA1リーガーであり、団体対抗戦ではチームトップのポイントを叩き出した選手である。しかしG1タイトルの決勝は数年前の王位戦以来2度目でありご覧の通り今回のメンバーで唯一獲得タイトルはない。「現A1リーガー」という肩書きは「現タイトルホルダー」という肩書きと同等の価値があると私個人は思っている。獲得タイトルはたとえ過去のものであっても色あせることはないが、A1リーガーに関しては「現」に価値があるものだと思っている。内川にとっては来期のA1リーグ初参戦の前に自信をつける意味でも是非欲しいタイトルである。そしてもう1つ、このグランプリMAXで初タイトルを獲得した選手が過去に2人いる。勝又と前田。そう、前鳳凰位とその前の鳳凰位である。そういった意味でも今回の決勝戦を一番勝ちたいと思っているのは内川だと思っている。
 
 
北家
 
100
 
23期。現マスターズチャンプでG1二冠を狙う最年少Aリーガー。団体対抗戦ではあまり調子のあがらない中、きっちりプラスポイントキープしたチームのムードメーカー。
 
 
 
東1局(柴田300、佐々木300、内川300、白鳥300、)
 
100
 
西家内川の配牌で第一ツモが白。今期A2リーグの立会人や解説で内川の麻雀はかなり観てきたのだが、リーグ戦では白をツモ切りしていたように思う。しかし内川の第一打は東。開始数秒での出来事だったが内川の今決勝にかける意気込みを感じた気がした。
 
100
 
東2局2本場(佐々木348、内川290、白鳥272、柴田290)
 
100
 
北家柴田の1巡目の手牌でドラが九筒。柴田の選択はドラ切りのダブリー。柴田という選手は門前重視で打点とスピードのバランスと、リーチとヤミテンの選択が的確な打ち手である。普段であればいったんヤミテンに構えてマンズの手替わりを待ちそうであるが、この時は少し手が震えていた。本人も言っていたのだが、この時は緊張があったようだ。ならば早く緊張をといて勝負に集中出来るようにリーチといっておいた方がいいという判断もあったらしい。デビュー依頼3年間無心で駆け抜けて素晴らしい実績を残してきた。今回世代の近い者通しの闘いで格上のAリーガー3人相手に自身の力を証明したいということだろう。今回は無欲ではなく力で獲りに来たといった感じに思えた。
 
100
 
1回戦、東4局で親の白鳥が2フーロでマンズのチンイツのテンパイ。そこに中五万のシャンポンのツモり三暗刻のリーチにいった佐々木が勝負して2,000・4,000をツモりトップ。引き負けた白鳥が3着。アガリのない内川がラスとなった。
1回戦成績
佐々木+27.6P 柴田+7.5P 白鳥▲13.6P 内川▲21.5P
 
 
2回戦
東1局(柴田300、白鳥300、佐々木300、内川300)
親の柴田が白鳥から12,000、テンパイ連チャン、佐々木から3,900と三本場まで積み上げる。3局共に柴田らしい素晴らしい手順だったのだが、特に2局目のテンパイ連チャンが見事だった。下家の白鳥から4巡目の早い仕掛けを受けながら丁寧に三色ドラ1のテンパイを入れた。丁寧に仕上げた分時間が掛かったのでヤミテンが普通と思われたのだが、これをリーチといって白鳥のアガリを阻止しての連チャンに成功した。実はテンパイした時点で柴田の待ちは純カラであった。言うまでもないとは思うが私が打っていればこの親権キープはなかったし最初の12,000も2,900だったように思う。
この後の3本場で内川にようやく初アガリの3,900がくるのだが、とにかく内川の調子が良くない。牌のきかたがあまりにも悪く、捨て牌を全部合わせればアガリはあるのだが、普通に打てばほぼアガれない。そんな局ばかりであった。
南3局(佐々木280、内川242、柴田442、白鳥236)
 
100
 
3巡目の内川の手牌。これも難しいし、いやらしい。三索切りの人が多そうだが内川の選択はドラの白。結果これが大正解で次巡二筒ツモ。前巡白を切った以上二筒引きや七索引きを考えて三索切りで一旦五筒タンキに受けることになる。これをあっさりツモって1,600・3,200。もしここで三索切りとしていればドラタンキの七対子となっておりアガれていたかどうか微妙である。
南4局1本場(内川306、柴田425、白鳥220、佐々木248)
九種九牌で流局での1本場
 
100
 
柴田から今決勝2度目となるダブリーを受けての親番の内川の2巡目。北が安全牌なのでとりあえず北切りとしそうだが、内川は打七筒で真っ直ぐを選択。最終的に北三索のシャンポン待ちの追いかけリーチで柴田から9,600をアガる。実は柴田の入り目がラス牌のペン七筒でやはり勝負というものは紙一重である。
ここから4本場まで内川が連荘するのだが、5,200をアガれば浮くという条件で佐々木は、ドラの二万と1枚切れの二索の役無しシャンポンをリーチにいかず、という新たな一面も見せてくれた。
2回戦成績
内川+24.0P 柴田+5.4P 佐々木▲9.7P 白鳥▲19.7P
2回戦まで
佐々木+17.9P 柴田+12.9P 内川+2.5P 白鳥▲33.3P
 
 
3回戦
南1局2本場(白鳥350、佐々木211、柴田320、内川319)
東1局ではタンピン三色イーペーコーの1シャンテンを柴田の先制リーチを受けて即撤退。南1局1本場では1巡ヤミテンに構えて次巡ツモ切りで先制リーチなど、あの「攻めダルマ」と呼ばれた寿人さんですか?免許証拝見させて下さい。と本人確認したくなるような今日の佐々木がここでもらしくない攻めをみせる。
 
100
 
5巡目。鳴いているのはダブ南。佐々木なら間違いなく六万切りと思っていたのだが、佐々木の選択は打二筒。終盤に3,900のアガリとなるのだがホンイツならもっと早くツモアガっていた。結果的にこの局だけは失敗だったがこの一連の「寿人らしくない」は実は進化した「ニュー寿人」だったようだ。それはこの先わかることになる。
 
100
 
この半荘はここまで苦しんでいた白鳥が南1局1本場の3,900オールの後、持ち前のちっちゃい、いや失礼、機敏で緻密な「白鳥ワールド」で1人浮きのトップを勝ち取った。「白鳥ワールド」に関しては後半戦で全開となるので前半戦ではあまり触れないが、年々精度が上がってきているように思える。
 
100
 
3回戦成績
白鳥+19.5P 柴田▲2.5P 内川▲5.2P 佐々木▲11.8P
3回戦まで
柴田+10.4P 佐々木+6.1P 内川▲2.7P 白鳥▲13.8P
 
 
4回戦
この4回戦は佐々木が2,000・4,000と4,000オールをアガリ1人浮きのトップをものにするのだが、すごいのは白鳥。東場では不運としかいいようのない8,000を内川に放銃するなど厳しい展開だったが、捌きとテンパイ料だけで小さい3着に抑える。
4回戦成績
佐々木+31.6P 内川▲4.3P 白鳥▲8.0P 柴田▲21.8P
4回戦まで
佐々木+37.7P 内川▲7.0P 柴田▲8.9P 白鳥▲21.8P
初日を終えて佐々木が頭一つ抜けている。とにかく放銃が少ない。放銃は少ないのだがアガリを逃すシーンが全くない。らしくはないように私の目には映るのだが、そんな戦術でも勝つ自信ありということなのだろう。
2番手に着ける内川は1回戦目アガリなしから2回戦目にはリーグ戦ではあまり見せないバランスを度外視した強引な麻雀で立て直してきた。この位置で初日をまとめたことに内川の強さと今決勝への意気込みをみた。
3番手の柴田は配牌だけならこの日断トツのナンバーワンである。しかしメンゼン型の柴田にとって配牌である程度かたちが決まっていれば、あとはツモ山との勝負となってしまうのはしょうがないだろう。ツモが思ったように伸びず、局の終盤受けにまわされる事が多かった。しかし1人ノートップでこのスコアなら十分2日目勝負となる。さすがに2日間ノートップでは優勝出来ないので早目の初トップがほしいところ。
そして初日最下位の白鳥。実は白鳥、1回戦から4回戦まで南入した時点で全て1万点代のラス目だった。そして全て南場で盛り返してのこの成績である。「白鳥ワールド」は逃げてこその戦術である。そう考えれば初日の内容は上出来と言っても過言ではない気がする。

第162回:プロ雀士インタビュー 前原 雄大  インタビュアー:三戸 亮祐

≪プロローグ≫

前原からはいつも唐突に電話は来る。またその内容も
「プレステが起動しないんだけど。」とか「名古屋にゲストに行くから来てね!」
はたまた「ももクロ詳しいの?」
等と脈絡がないのだ。

そしてまた電話が鳴った。

三戸「なんでしょう(ドキドキ・・・)」

前原「実は私、鳳凰位になったんですよ。」

三戸「もちろん、知ってますよ(笑)」

前原「でね、三戸君にインタビューをやって欲しいんだ。」

連盟員にとって鳳凰位はとてつもなく重いタイトルだ。
おいそれと受ける事はできないと一瞬戸惑う。
ただ、鳳凰位がただ一人ならインタビュアーもただ一人。
これほど光栄な事はない。
私を指名した前原にとっても何か思うことがあったのだろう。
その理由も聞きたいと思った。
戸惑いと嬉しさが混じり合いながら、こう答えた。

三戸「もぉ、何十回もインタビューやっているから引き受け手がいなくなるんですよ(笑)」と。

_______________________________________________
 
 

≪カンパーイ!≫
 

三戸「改めまして、おめでとうございます。」

前原「ありがとう。遠いところご苦労様。とりあえず、乾杯しようか。」

三戸「ではでは、よろしくお願いします。」

 

100

 

三戸「まずは今までプロフィールに書かれたことのないようなお話・・・趣味とかありますか?普通のプロフィールは何回も書かれていて目新しいものを・・・」

前原「最近、ホットヨガやっているんだよ。」

三戸「ヨガは女のコが好きみたいですね。」

前原「ヒサトの嫁さんから聞いたんだ。2ℓくらい水飲みながらやるんだけどそれでも1kgくらい痩せるんだ。でね、新陳代謝が良くなって鳳凰位決定戦を闘っている時も熱が出ちゃって、インフルエンザじゃないかと心配したよ。」

三戸「それは勝負熱ですね!自分も温泉とか岩盤浴行くのでホットヨガもやってみようかな、婚活になるかもしれないし。」

前原「本当にあなたは婚活が趣味だよね・・・」

三戸「趣味じゃなくてガチなんです・・・」
 
 
 
≪邂逅≫
 
前原と親交を深めたのは5年ほど前に遡る。
それまでは連盟の先輩として知っていたのみで、時折挨拶を交わす程度であった。
今でこそ連盟チャンネル等で『チームがらくた総帥』としてファンの方も、若い連盟員も親しみが湧いているだろうが、20年程前に連盟に入った人間、ましてや地方本部・支部にいる者にとっては、とても近寄りがたかったのだ。

自分にとって初めてのGⅠタイトル決勝となった2011年十段戦の決勝観戦記を書くことになっていた前原は、終了後私に対して何度も電話をくれた。
連盟タイトル決勝において初の生放送を行うという試みに、観戦記者としての前原も戸惑っていたのだと思う。
「何て書いてもらっても大丈夫ですよ。」という私に対し、「こんな感じで書いてもいいのかな、合ってる??」とか「あぁ言ったけど悪い意味じゃないからごめんね!」など何かを話した後で、相手の気持ちを慮る人であった。
そうしている内にいつしか、麻雀以外の事も話をし、距離は近くなっていった。

さらに2年ほど時間をさかのぼるがこういうこともあった。
名古屋のロン2リアル大会で、私が総合優勝となった。
もちろんユーザさんが主役の大会であったため、素直に喜んではいけない優勝かもしれないが、帰りがけ、ゲストであった前原が一人歩み寄って来てくれて
「今日はおめでとう。それと運営も本当に大変だったと思う。ありがとう。」
と、労ってくれた事をはっきり覚えている。
そして、その時の事は前原も覚えていた。

前原「あれだけスムーズに運営していたって事は、事前にどれほどの準備が必要だったか想像できるよ。お世話になったことを感謝して伝えなくちゃいけないと思ったんだ。」

三戸「あのように、裏方を気遣ってもらえて、後で伝えた中部の若手も励みになりました。あの時に声掛けてもらえたのがあったから、観戦記の時にもちょっと話しやすかったのかと。」

前原「やっぱり、そういうのも人の縁だよね。」
 
 
 
≪鳳凰位決定戦≫
 
三戸「さて、本題ですが鳳凰位決定戦のお話を伺っていこうと思います。」

前原「うん、今回の鳳凰位はお借りしているんだと思ってるんだよ。」

三戸「えっお借りしているといいますと。」

前原「若い人達に団体対抗戦で負担をかけちゃったからさ。だって今回挑戦しているのはみんな対抗戦に出てない人でしょう。それほど、あの団体対抗戦はエネルギーを使ったんだよ。」

三戸「瀬戸熊さん、藤崎さん、前田さんみんな崩れたりしたことがありましたね。勝又さんにしてもどこかに影響が出たのかもしれませんね。」

前原「そういう意味で1年間お借りしていると。それでね、じゃん亭に飾る色紙もね、最初、薄墨で書いたんだ。そしたら紺野くんにダメって言われちゃって。」

三戸「そうですね、薄墨は香典とか書くときに使うので、ちょっと縁起が悪いというか。」

前原「だけど、お借りしている、預かっている、そういう気持ちだったんだよね。」

三戸「あの優勝は同じ連盟員としてとても誇らしかったので自分たちも団体対抗戦の代表の方達には、感謝の気持ちで一杯です。」

 

100

「麻雀はその人となり」

 

前原「最初に話が出た時から団体対抗戦に関しては、出ないと決めていたからね。私や荒さんが出て勝っても意味が無くて若い人が出て勝つことに意味があったから。それは会長も同じ意見で『悪いけど前ちゃん出さないよ』って。『いえいえ、僕もそう思っていました』と。」

三戸「まさに阿吽の呼吸ですね。」

前原「当然勝つと信じていたし、勝てばとても自信になると思ったんだ。やっぱりどの世界も新陳代謝が必要だと思うしね。これは先輩たちを否定するわけじゃなく、淀んではいけないんだよ。」

三戸「森山会長にしても、優孝さんや荒さんの両副会長にしても連盟の上の方々は、そういう風に下の世代に継承して行こうという気持ちが強いと思います。だから若い世代は責任感が強くなってくるんでしょうね。」

前原「プロリーグのレベルも、さらにあがるだろうし。5年後が楽しみだよ!」

三戸「鳳凰位決定戦の内容に関しては、瀬戸熊さんの観戦記に詳しく書いてあるので、なにか裏話みたいなのはありますか?1か月に渡る対局は前原さんにとっても初めてだったのでどのように過ごされましたか?」

前原「とにかく、1か月ずっとそのことが頭の中にあるわけですよ。他の3人も同じだっただろうけど、やっぱり大変だったね。」

三戸「そうですよね、他の対局等の仕事もあるわけですし、そういう中で体調維持も大切ですし、どれだけキツイかは体験した人でないとわかりませんね。何か気をつけていたことはありますか?」

前原「とりあえず、朝は早起きして動くと。昼まで寝ちゃうから。」

三戸「昼まで寝れるなんて若いですね!」

前原「あとはさっきも言ったホットヨガだね。週に1回は必ず行ってた。勝った週も負けた週もやっている事は変わらないね。」

三戸「やっぱりルーチン的な生活が大事ですね。対局に関しては何か今だから言えることはありますか?」

前原「実はね、かっちゃんに打った局は後悔してる(笑)」

三戸「後悔することあるんですね(笑)えーと15回戦目ですね。」

その局とはこれだ。

 

100

15回戦目南4局

 

前原「かっちゃんに手が入っている気配は感じたんだよ。おまけにツモったら古川さんを捲っても近藤君が沈んじゃうし、あんまりいいリーチじゃなかったかもしれない。」

三戸「形だけ見れば両面でツモれそうだったんですけどね、状況的にはガラクタなリーチでしたね。」

前原「ワタクシもリーチ打たないほうが得な事があるくらいわかっているんですよ(笑)」

三戸「それでこそ前原雄大ですね。コメントでも『掴むんじゃね?』って放送的にはすごく盛り上がりました!コメントでは『総帥』『地獄の門番』『ゴジラ』とかニックネームが飛び交っていましたが、最近は『ゴジラ』が気にいっているんですか?自分は『地獄の門番』が一番好きなんですけど」

前原「門番でしょ・・・門番は実は嫌なんだよ。門番ってほらマンガとかでも簡単にやられちゃうじゃない?だから地獄なら閻魔大王の方がいいよ。ゴジラはやっぱり強いからね!」
 
 
 
≪リーチ麻雀世界選手権 in フランス≫
 
三戸「ゴジラはハリウッドでも映画化されましたもんね。そういえば、今年のリーチ麻雀世界選手権はアメリカですね!」

前原「グランドキャニオンには何回か行った事あるのだけれど、その時に一緒に行けたらいいよね。この前のフランス大会の時に勘介と3人で美術館とか行ったみたいにね。」

三戸「オランジュリー美術館にモネの睡蓮を観に行きましたね。」

 

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オランジュリー美術館にて

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作品名 閻魔大王

 
前原「連盟の人間はワイン飲んでばっかりで美術館とか行きたがらないんだよ(笑)行ってくれるのは、あなたたちくらい。」

三戸「モネが好きなんですよね?」

前原「本とか、日本の美術館で観た睡蓮がなんだか苦手だったんだよ。だからその理由を確かめに行きたくて。」

三戸「えっ好きだから行ったんだと思っていました。」

前原「実際に見た睡蓮は光に包まれた睡蓮もあれば、さまざまな表情があって、見方が変わったよ。切ない、暗い表情をもった睡蓮しか観ていなかったんだね。」

三戸「実際に観てみるのは大切ですね。」

前原「本当に今の時代は簡単だから、観た気になっちゃうんだよね。それはやっぱりダメだなって。実際に足を運んでみないと。」

三戸「そうですね。自分はフランスも初めてだったし、本当にリーチ麻雀世界選手権はいろいろと経験になりました。」

前原「結局モネは好きになったから行って良かったよ。他にもロダン美術館とか、いろいろ行ったよね。」

三戸「男子3人と色気は全くなかったですけど・・・セーヌ川を遊覧船で下ったり、エッフェル塔にも行きました。あっそういえば前原さんだけは、ロダン美術館で考える人の前でちゃっかり美女2人と写真を撮っていましたね・・・」

 

100

セーヌ川にて何を想うのか?

 

2017年10月、ゴジラがGODZILLAとなってラスベガスでも大暴れするところが見えるかもしれない。

三戸「ところで、なんで今回インタビューを任せて下さったのですか?とてもありがたかったのですけど、自分でいいのかなって」

前原「鳳凰位決定戦のプロモーションビデオで、僕は鳳凰位を獲るためにやっているんじゃないって言ったんだよ。それはね、観てくれたファンの皆さんが『麻雀って面白いな』『連盟チャンネルに入って良かったな』『プロってすごいな』って思ってくれなければしょうがないってことなんだ。結果的に鳳凰位を獲れたんだけど、獲った後が大事なんだよ。それで何をすべきかって考えたんだ。連盟に恩返しをしようと。でね、その一環として今年は地方の本部・支部を廻っていろいろ伝えていこうと。三戸君も中部本部の副本部長になったじゃない、こういう話をするのに適任かなぁと。」

三戸「ぜひぜひ。鳳凰位が来たら、刺激になります。自分もプロリーグに出ていますが、鳳凰位は意識できる立場にはなくて実感がわかないのですが、ましてや地方リーグだけに所属している者たちにとっては鳳凰位は限りなく遠い存在なので、直接お話ししてもらえたら、必ずプラスになると思います。」

前原「そういうのもあるし、十段戦観戦記の時も丁寧に答えてくれて、いろいろ資料とか協力してくれたじゃない。人柄や能力も見たんだよ。」

三戸「ありがとうございます。褒め殺しですね(笑)プレッシャー掛かりますがなんとかいいインタビュー記事にしたいと思います。そうそう十段戦といえば前原さんとベスト16で対局した時に、印象深い事があって。『三戸君は、ロン2でレーティングが高い人だよね。』と言われて。うんうん、そうだよなって感じで頷かれて。」

前原「聞いたのは覚えてるよ。十段で一番注意したのは勢いのある若いコで、ロン2でレーティング上げる打ち方というのもわかるから対応していかないと。やっぱり好調な人に合わせてスウィングするのが必要かな。」

三戸「てっきり初見の相手には、自分の型だけで捻じ伏せるのかなって思っていたので、そういう風にアジャストしていくんだなって。驚きました。」

前原「特に十段は普段対戦しない人と当たるからね。こう見えてワタクシも考えているんですよ。」

三戸「先ほど連盟に恩返しと言われましたが。」

前原「これはね、私の名付け親の伊集院静さんから教わったのだけど、先輩だったりお世話になった人から受けた恩は、その人に返すのではなく後輩なり他の誰かに返しなさいと。だから今まで、みんなからお世話になって来て、鳳凰位となって何ができるか考えた時に、連盟全体に恩返しをして行こうと。」

三戸「『恩返しはその人にするんじゃない』ですか・・・そういう風に言えるように自分もなりたいです。鳳凰位が連盟イズムを伝えて回れば全国の地方本部・支部全体の底上げになると思います。」

前原「やっぱりね、こんな私でも鳳凰位だから言える事もあるからね。」

三戸「鳳凰位じゃなかったらただのガラクタな人ですからね・・・」

前原「そうそう、ワタクシみたいなのは結果を出さなきゃダメなタイプだもの(笑)」
 
 
 
≪プロテスト実行委員会≫
 
過日プロテストを見学させてもらった。
その時に前原がプロテスト実行委員長として受験生に語った言葉がある。
「みなさんの人生を左右しかねないので、我々も真剣に審査します。」
「麻雀を楽しむのではなく、麻雀を楽しんでもらうプロになって欲しい。」
「そして受けに来てくれてありがとう。」と。

三戸「初めて東京のプロテスト見させてもらいましたが参考になりました。プロテスト実行委員会のみなさんは全員白いワイシャツを着ていましたね。」

前原「いいところに気が付いたね。ところで三戸君は裁判官が黒い服を着ている意味を知っているかな?」

三戸「えっ知らないです。どうしてですか?」

前原「それはね、何色にも染まらない・公平に裁くという意思の表れなんだ。それと同じように我々も真っ白な気持ちで平等に受験生に臨むという意思を表しているんだよ。」

三戸「なるほど、みなさんの姿を見て受験生も気持ちがより引き締まったでしょうね。今年度は中部本部でオリジナルのプロテスト告知用ポスターを作ったりする時にも相談に乗ってもらいました。」

前原「三戸君や地方の人達に見に来てもらって、何か掴んで帰ってもらいたいんだ。もちろん東京でしかできないこともあるし、地方は地方でしかできないこともあると思うから。だからああやってその地方で活躍するプロを大きく使ったポスターは良いと思うよ。」

三戸「そうですね、しっかり考えて地方のプロテスト・プロの在り方を模索して行こうと思います。ただ見ていて思うのは麻雀プロでも一般社会でも、今の若いコはすぐ結果を求めすぎるというか。それはどう導いて行けばいいでしょう?」

前原「それはね、確かに感じるけど、いかにモチベーションをあげるかが必要なんだよ。」

今回のプロテストでは、実技試験の人数調整として、前原が卓に着く場面があった。

三戸「人数の関係もありましたが、今日、鳳凰位と打てるなんて思ってなかったでしょうね。それだけでモチベーションあがったと思いますよ。」

前原「今の麻雀界は頑張って結果を出せばある程度は報われる世界になって来てるから、自分の為に頑張って欲しいね。人の為と書いて『偽り』だからね。最初は自分の事だけ考えて自分を大事にして欲しいんだよ。でもね、人はある地点まで行くとそうじゃなくなるんだよ。」

三戸「その業界であったり、世の中の為って考えるようになるってことですね。」

前原;「そう、だからまずは自分の為に何倍も頑張って欲しいな。それは受験生だけじゃなくて、今のプロ全体に言えることかな。結果的にはそれが全体の発展に繋がるんだよ。」

三戸「端的に聞きすぎですけど麻雀にセンスとかはありますか?強くなる人間はプロテストを受けに来た時から打てるなって感じがします。」

前原「うん、センスはあると思う。でもそれより大事なのは気持ちなんだ。雀力が同じなら自分が強いと思っている人間が勝つよ。後は素直さかな。自分の麻雀がこうだと思ってしまったら動脈硬化を起こしてしまうよ。」

三戸「連盟チャンネルができて、レベルの高い対局を見られるようになりましたが、委縮してしまって志願者が減ってしまうのではって心配になってしまうんですよね。」

前原「逆にこの程度かって思って受けてくるのがいたら期待できるね。」

三戸「挨拶で受験生に『受けに来てくれてありがとう』と言われましたが。」

前原「やっぱり、たくさんの団体がある中で選んで受けに来てくれてありがとうという気持ちだよ。もちろん、合否は厳しくやるけれど、受けに来てくれた人達には3次試験を終えた時に、結果はともかく連盟を理解してもらったり好きになってもらえたら本当に良いなと思うよ。」

今回の受験生たちがどのような育ち方をするのか自分も見守っていきたいと思う。
 
 
 
≪連覇に向けて≫
 
三戸「さて、気が早いですが、連覇に向けての手ごたえはどうでしょう?」

前原「正直、勝ち負けは厳しいかもしれないなぁ。」

三戸「またまた、そんなこと言って。連覇期待していますよ。でも前の2回も連覇されていないですね。十段は3連覇しているのに不思議ですね?」

前原「確率から言ったら5人打ちな分、十段の方が難しいんはずなんだよ。それに同じメンバーで続けて打つ方が簡単なはずなんだけどなんでだろう・・・最後にいい質問ぶつけてくるね。」

三戸「簡単に連覇できるものではない。それが鳳凰位の重みなんですね。」

前原「そうだね。やっぱり意識しちゃうんだろうね。さっきも鳳凰位になる為にやっているんじゃないって言ったけど・・・今振り返ってみると本当はとても大事に思っているから、そんなこと言っちゃうのかな。本当に大切なものってなかなか手に入らないものなんだよね。」

そう言ってはにかんだ。
どこまでも繊細でシャイな男、第33期鳳凰位前原雄大。
戴冠から一か月、今日もまた連盟チャンネルで精力的に解説をこなしている前原の姿がそこにあった。

_______________________________________________
 
 
~インタビューを終えて~


前原が語っていたことを幾度となく思い返している。
インタビュアーに指名してくれたのは、もちろん前述したように地方への発信の意味もあっただろう。
一方で最近思うように結果が残せず、気持ちが弱くなっていた私に対して何かを気付かせるつもりで指名してくれたのかもしれないとも感じた。
『自分で限界を決めてはいけないよ。』と前原は語っていた。
その言葉を胸に気持ちを強く持とう、いつの日か鳳凰位になる為に。
そして私も次の世代に想いを継承していけるように。

プロ雀士インタビュー/第162回:プロ雀士インタビュー 前原 雄大  インタビュアー:三戸 亮祐

≪プロローグ≫
前原からはいつも唐突に電話は来る。またその内容も
「プレステが起動しないんだけど。」とか「名古屋にゲストに行くから来てね!」
はたまた「ももクロ詳しいの?」
等と脈絡がないのだ。
そしてまた電話が鳴った。
三戸「なんでしょう(ドキドキ・・・)」
前原「実は私、鳳凰位になったんですよ。」
三戸「もちろん、知ってますよ(笑)」
前原「でね、三戸君にインタビューをやって欲しいんだ。」
連盟員にとって鳳凰位はとてつもなく重いタイトルだ。
おいそれと受ける事はできないと一瞬戸惑う。
ただ、鳳凰位がただ一人ならインタビュアーもただ一人。
これほど光栄な事はない。
私を指名した前原にとっても何か思うことがあったのだろう。
その理由も聞きたいと思った。
戸惑いと嬉しさが混じり合いながら、こう答えた。
三戸「もぉ、何十回もインタビューやっているから引き受け手がいなくなるんですよ(笑)」と。
_______________________________________________
 
 
≪カンパーイ!≫
 
三戸「改めまして、おめでとうございます。」
前原「ありがとう。遠いところご苦労様。とりあえず、乾杯しようか。」
三戸「ではでは、よろしくお願いします。」
 

100

 
三戸「まずは今までプロフィールに書かれたことのないようなお話・・・趣味とかありますか?普通のプロフィールは何回も書かれていて目新しいものを・・・」
前原「最近、ホットヨガやっているんだよ。」
三戸「ヨガは女のコが好きみたいですね。」
前原「ヒサトの嫁さんから聞いたんだ。2ℓくらい水飲みながらやるんだけどそれでも1kgくらい痩せるんだ。でね、新陳代謝が良くなって鳳凰位決定戦を闘っている時も熱が出ちゃって、インフルエンザじゃないかと心配したよ。」
三戸「それは勝負熱ですね!自分も温泉とか岩盤浴行くのでホットヨガもやってみようかな、婚活になるかもしれないし。」
前原「本当にあなたは婚活が趣味だよね・・・」
三戸「趣味じゃなくてガチなんです・・・」
 
 
 
≪邂逅≫
 
前原と親交を深めたのは5年ほど前に遡る。
それまでは連盟の先輩として知っていたのみで、時折挨拶を交わす程度であった。
今でこそ連盟チャンネル等で『チームがらくた総帥』としてファンの方も、若い連盟員も親しみが湧いているだろうが、20年程前に連盟に入った人間、ましてや地方本部・支部にいる者にとっては、とても近寄りがたかったのだ。
自分にとって初めてのGⅠタイトル決勝となった2011年十段戦の決勝観戦記を書くことになっていた前原は、終了後私に対して何度も電話をくれた。
連盟タイトル決勝において初の生放送を行うという試みに、観戦記者としての前原も戸惑っていたのだと思う。
「何て書いてもらっても大丈夫ですよ。」という私に対し、「こんな感じで書いてもいいのかな、合ってる??」とか「あぁ言ったけど悪い意味じゃないからごめんね!」など何かを話した後で、相手の気持ちを慮る人であった。
そうしている内にいつしか、麻雀以外の事も話をし、距離は近くなっていった。
さらに2年ほど時間をさかのぼるがこういうこともあった。
名古屋のロン2リアル大会で、私が総合優勝となった。
もちろんユーザさんが主役の大会であったため、素直に喜んではいけない優勝かもしれないが、帰りがけ、ゲストであった前原が一人歩み寄って来てくれて
「今日はおめでとう。それと運営も本当に大変だったと思う。ありがとう。」
と、労ってくれた事をはっきり覚えている。
そして、その時の事は前原も覚えていた。
前原「あれだけスムーズに運営していたって事は、事前にどれほどの準備が必要だったか想像できるよ。お世話になったことを感謝して伝えなくちゃいけないと思ったんだ。」
三戸「あのように、裏方を気遣ってもらえて、後で伝えた中部の若手も励みになりました。あの時に声掛けてもらえたのがあったから、観戦記の時にもちょっと話しやすかったのかと。」
前原「やっぱり、そういうのも人の縁だよね。」
 
 
 
≪鳳凰位決定戦≫
 
三戸「さて、本題ですが鳳凰位決定戦のお話を伺っていこうと思います。」
前原「うん、今回の鳳凰位はお借りしているんだと思ってるんだよ。」
三戸「えっお借りしているといいますと。」
前原「若い人達に団体対抗戦で負担をかけちゃったからさ。だって今回挑戦しているのはみんな対抗戦に出てない人でしょう。それほど、あの団体対抗戦はエネルギーを使ったんだよ。」
三戸「瀬戸熊さん、藤崎さん、前田さんみんな崩れたりしたことがありましたね。勝又さんにしてもどこかに影響が出たのかもしれませんね。」
前原「そういう意味で1年間お借りしていると。それでね、じゃん亭に飾る色紙もね、最初、薄墨で書いたんだ。そしたら紺野くんにダメって言われちゃって。」
三戸「そうですね、薄墨は香典とか書くときに使うので、ちょっと縁起が悪いというか。」
前原「だけど、お借りしている、預かっている、そういう気持ちだったんだよね。」
三戸「あの優勝は同じ連盟員としてとても誇らしかったので自分たちも団体対抗戦の代表の方達には、感謝の気持ちで一杯です。」
 

100

「麻雀はその人となり」

 
前原「最初に話が出た時から団体対抗戦に関しては、出ないと決めていたからね。私や荒さんが出て勝っても意味が無くて若い人が出て勝つことに意味があったから。それは会長も同じ意見で『悪いけど前ちゃん出さないよ』って。『いえいえ、僕もそう思っていました』と。」
三戸「まさに阿吽の呼吸ですね。」
前原「当然勝つと信じていたし、勝てばとても自信になると思ったんだ。やっぱりどの世界も新陳代謝が必要だと思うしね。これは先輩たちを否定するわけじゃなく、淀んではいけないんだよ。」
三戸「森山会長にしても、優孝さんや荒さんの両副会長にしても連盟の上の方々は、そういう風に下の世代に継承して行こうという気持ちが強いと思います。だから若い世代は責任感が強くなってくるんでしょうね。」
前原「プロリーグのレベルも、さらにあがるだろうし。5年後が楽しみだよ!」
三戸「鳳凰位決定戦の内容に関しては、瀬戸熊さんの観戦記に詳しく書いてあるので、なにか裏話みたいなのはありますか?1か月に渡る対局は前原さんにとっても初めてだったのでどのように過ごされましたか?」
前原「とにかく、1か月ずっとそのことが頭の中にあるわけですよ。他の3人も同じだっただろうけど、やっぱり大変だったね。」
三戸「そうですよね、他の対局等の仕事もあるわけですし、そういう中で体調維持も大切ですし、どれだけキツイかは体験した人でないとわかりませんね。何か気をつけていたことはありますか?」
前原「とりあえず、朝は早起きして動くと。昼まで寝ちゃうから。」
三戸「昼まで寝れるなんて若いですね!」
前原「あとはさっきも言ったホットヨガだね。週に1回は必ず行ってた。勝った週も負けた週もやっている事は変わらないね。」
三戸「やっぱりルーチン的な生活が大事ですね。対局に関しては何か今だから言えることはありますか?」
前原「実はね、かっちゃんに打った局は後悔してる(笑)」
三戸「後悔することあるんですね(笑)えーと15回戦目ですね。」
その局とはこれだ。
 

100

15回戦目南4局

 
前原「かっちゃんに手が入っている気配は感じたんだよ。おまけにツモったら古川さんを捲っても近藤君が沈んじゃうし、あんまりいいリーチじゃなかったかもしれない。」
三戸「形だけ見れば両面でツモれそうだったんですけどね、状況的にはガラクタなリーチでしたね。」
前原「ワタクシもリーチ打たないほうが得な事があるくらいわかっているんですよ(笑)」
三戸「それでこそ前原雄大ですね。コメントでも『掴むんじゃね?』って放送的にはすごく盛り上がりました!コメントでは『総帥』『地獄の門番』『ゴジラ』とかニックネームが飛び交っていましたが、最近は『ゴジラ』が気にいっているんですか?自分は『地獄の門番』が一番好きなんですけど」
前原「門番でしょ・・・門番は実は嫌なんだよ。門番ってほらマンガとかでも簡単にやられちゃうじゃない?だから地獄なら閻魔大王の方がいいよ。ゴジラはやっぱり強いからね!」
 
 
 
≪リーチ麻雀世界選手権 in フランス≫
 
三戸「ゴジラはハリウッドでも映画化されましたもんね。そういえば、今年のリーチ麻雀世界選手権はアメリカですね!」
前原「グランドキャニオンには何回か行った事あるのだけれど、その時に一緒に行けたらいいよね。この前のフランス大会の時に勘介と3人で美術館とか行ったみたいにね。」
三戸「オランジュリー美術館にモネの睡蓮を観に行きましたね。」
 

100

オランジュリー美術館にて

100

作品名 閻魔大王

 
前原「連盟の人間はワイン飲んでばっかりで美術館とか行きたがらないんだよ(笑)行ってくれるのは、あなたたちくらい。」
三戸「モネが好きなんですよね?」
前原「本とか、日本の美術館で観た睡蓮がなんだか苦手だったんだよ。だからその理由を確かめに行きたくて。」
三戸「えっ好きだから行ったんだと思っていました。」
前原「実際に見た睡蓮は光に包まれた睡蓮もあれば、さまざまな表情があって、見方が変わったよ。切ない、暗い表情をもった睡蓮しか観ていなかったんだね。」
三戸「実際に観てみるのは大切ですね。」
前原「本当に今の時代は簡単だから、観た気になっちゃうんだよね。それはやっぱりダメだなって。実際に足を運んでみないと。」
三戸「そうですね。自分はフランスも初めてだったし、本当にリーチ麻雀世界選手権はいろいろと経験になりました。」
前原「結局モネは好きになったから行って良かったよ。他にもロダン美術館とか、いろいろ行ったよね。」
三戸「男子3人と色気は全くなかったですけど・・・セーヌ川を遊覧船で下ったり、エッフェル塔にも行きました。あっそういえば前原さんだけは、ロダン美術館で考える人の前でちゃっかり美女2人と写真を撮っていましたね・・・」
 

100

セーヌ川にて何を想うのか?

 
2017年10月、ゴジラがGODZILLAとなってラスベガスでも大暴れするところが見えるかもしれない。
三戸「ところで、なんで今回インタビューを任せて下さったのですか?とてもありがたかったのですけど、自分でいいのかなって」
前原「鳳凰位決定戦のプロモーションビデオで、僕は鳳凰位を獲るためにやっているんじゃないって言ったんだよ。それはね、観てくれたファンの皆さんが『麻雀って面白いな』『連盟チャンネルに入って良かったな』『プロってすごいな』って思ってくれなければしょうがないってことなんだ。結果的に鳳凰位を獲れたんだけど、獲った後が大事なんだよ。それで何をすべきかって考えたんだ。連盟に恩返しをしようと。でね、その一環として今年は地方の本部・支部を廻っていろいろ伝えていこうと。三戸君も中部本部の副本部長になったじゃない、こういう話をするのに適任かなぁと。」
三戸「ぜひぜひ。鳳凰位が来たら、刺激になります。自分もプロリーグに出ていますが、鳳凰位は意識できる立場にはなくて実感がわかないのですが、ましてや地方リーグだけに所属している者たちにとっては鳳凰位は限りなく遠い存在なので、直接お話ししてもらえたら、必ずプラスになると思います。」
前原「そういうのもあるし、十段戦観戦記の時も丁寧に答えてくれて、いろいろ資料とか協力してくれたじゃない。人柄や能力も見たんだよ。」
三戸「ありがとうございます。褒め殺しですね(笑)プレッシャー掛かりますがなんとかいいインタビュー記事にしたいと思います。そうそう十段戦といえば前原さんとベスト16で対局した時に、印象深い事があって。『三戸君は、ロン2でレーティングが高い人だよね。』と言われて。うんうん、そうだよなって感じで頷かれて。」
前原「聞いたのは覚えてるよ。十段で一番注意したのは勢いのある若いコで、ロン2でレーティング上げる打ち方というのもわかるから対応していかないと。やっぱり好調な人に合わせてスウィングするのが必要かな。」
三戸「てっきり初見の相手には、自分の型だけで捻じ伏せるのかなって思っていたので、そういう風にアジャストしていくんだなって。驚きました。」
前原「特に十段は普段対戦しない人と当たるからね。こう見えてワタクシも考えているんですよ。」
三戸「先ほど連盟に恩返しと言われましたが。」
前原「これはね、私の名付け親の伊集院静さんから教わったのだけど、先輩だったりお世話になった人から受けた恩は、その人に返すのではなく後輩なり他の誰かに返しなさいと。だから今まで、みんなからお世話になって来て、鳳凰位となって何ができるか考えた時に、連盟全体に恩返しをして行こうと。」
三戸「『恩返しはその人にするんじゃない』ですか・・・そういう風に言えるように自分もなりたいです。鳳凰位が連盟イズムを伝えて回れば全国の地方本部・支部全体の底上げになると思います。」
前原「やっぱりね、こんな私でも鳳凰位だから言える事もあるからね。」
三戸「鳳凰位じゃなかったらただのガラクタな人ですからね・・・」
前原「そうそう、ワタクシみたいなのは結果を出さなきゃダメなタイプだもの(笑)」
 
 
 
≪プロテスト実行委員会≫
 
過日プロテストを見学させてもらった。
その時に前原がプロテスト実行委員長として受験生に語った言葉がある。
「みなさんの人生を左右しかねないので、我々も真剣に審査します。」
「麻雀を楽しむのではなく、麻雀を楽しんでもらうプロになって欲しい。」
「そして受けに来てくれてありがとう。」と。
三戸「初めて東京のプロテスト見させてもらいましたが参考になりました。プロテスト実行委員会のみなさんは全員白いワイシャツを着ていましたね。」
前原「いいところに気が付いたね。ところで三戸君は裁判官が黒い服を着ている意味を知っているかな?」
三戸「えっ知らないです。どうしてですか?」
前原「それはね、何色にも染まらない・公平に裁くという意思の表れなんだ。それと同じように我々も真っ白な気持ちで平等に受験生に臨むという意思を表しているんだよ。」
三戸「なるほど、みなさんの姿を見て受験生も気持ちがより引き締まったでしょうね。今年度は中部本部でオリジナルのプロテスト告知用ポスターを作ったりする時にも相談に乗ってもらいました。」
前原「三戸君や地方の人達に見に来てもらって、何か掴んで帰ってもらいたいんだ。もちろん東京でしかできないこともあるし、地方は地方でしかできないこともあると思うから。だからああやってその地方で活躍するプロを大きく使ったポスターは良いと思うよ。」
三戸「そうですね、しっかり考えて地方のプロテスト・プロの在り方を模索して行こうと思います。ただ見ていて思うのは麻雀プロでも一般社会でも、今の若いコはすぐ結果を求めすぎるというか。それはどう導いて行けばいいでしょう?」
前原「それはね、確かに感じるけど、いかにモチベーションをあげるかが必要なんだよ。」
今回のプロテストでは、実技試験の人数調整として、前原が卓に着く場面があった。
三戸「人数の関係もありましたが、今日、鳳凰位と打てるなんて思ってなかったでしょうね。それだけでモチベーションあがったと思いますよ。」
前原「今の麻雀界は頑張って結果を出せばある程度は報われる世界になって来てるから、自分の為に頑張って欲しいね。人の為と書いて『偽り』だからね。最初は自分の事だけ考えて自分を大事にして欲しいんだよ。でもね、人はある地点まで行くとそうじゃなくなるんだよ。」
三戸「その業界であったり、世の中の為って考えるようになるってことですね。」
前原;「そう、だからまずは自分の為に何倍も頑張って欲しいな。それは受験生だけじゃなくて、今のプロ全体に言えることかな。結果的にはそれが全体の発展に繋がるんだよ。」
三戸「端的に聞きすぎですけど麻雀にセンスとかはありますか?強くなる人間はプロテストを受けに来た時から打てるなって感じがします。」
前原「うん、センスはあると思う。でもそれより大事なのは気持ちなんだ。雀力が同じなら自分が強いと思っている人間が勝つよ。後は素直さかな。自分の麻雀がこうだと思ってしまったら動脈硬化を起こしてしまうよ。」
三戸「連盟チャンネルができて、レベルの高い対局を見られるようになりましたが、委縮してしまって志願者が減ってしまうのではって心配になってしまうんですよね。」
前原「逆にこの程度かって思って受けてくるのがいたら期待できるね。」
三戸「挨拶で受験生に『受けに来てくれてありがとう』と言われましたが。」
前原「やっぱり、たくさんの団体がある中で選んで受けに来てくれてありがとうという気持ちだよ。もちろん、合否は厳しくやるけれど、受けに来てくれた人達には3次試験を終えた時に、結果はともかく連盟を理解してもらったり好きになってもらえたら本当に良いなと思うよ。」
今回の受験生たちがどのような育ち方をするのか自分も見守っていきたいと思う。
 
 
 
≪連覇に向けて≫
 
三戸「さて、気が早いですが、連覇に向けての手ごたえはどうでしょう?」
前原「正直、勝ち負けは厳しいかもしれないなぁ。」
三戸「またまた、そんなこと言って。連覇期待していますよ。でも前の2回も連覇されていないですね。十段は3連覇しているのに不思議ですね?」
前原「確率から言ったら5人打ちな分、十段の方が難しいんはずなんだよ。それに同じメンバーで続けて打つ方が簡単なはずなんだけどなんでだろう・・・最後にいい質問ぶつけてくるね。」
三戸「簡単に連覇できるものではない。それが鳳凰位の重みなんですね。」
前原「そうだね。やっぱり意識しちゃうんだろうね。さっきも鳳凰位になる為にやっているんじゃないって言ったけど・・・今振り返ってみると本当はとても大事に思っているから、そんなこと言っちゃうのかな。本当に大切なものってなかなか手に入らないものなんだよね。」
そう言ってはにかんだ。
どこまでも繊細でシャイな男、第33期鳳凰位前原雄大。
戴冠から一か月、今日もまた連盟チャンネルで精力的に解説をこなしている前原の姿がそこにあった。
_______________________________________________
 
 
~インタビューを終えて~

前原が語っていたことを幾度となく思い返している。
インタビュアーに指名してくれたのは、もちろん前述したように地方への発信の意味もあっただろう。
一方で最近思うように結果が残せず、気持ちが弱くなっていた私に対して何かを気付かせるつもりで指名してくれたのかもしれないとも感じた。
『自分で限界を決めてはいけないよ。』と前原は語っていた。
その言葉を胸に気持ちを強く持とう、いつの日か鳳凰位になる為に。
そして私も次の世代に想いを継承していけるように。

女流プロ麻雀日本シリーズ2017 決勝戦レポート 楠原 遊

3月12日、女流プロ麻雀日本シリーズ2017の決勝戦が行われた。
全4節の予選と、プレーオフを経て勝ち進んだプレーヤーは以下の4名。(敬称略)

 

100

 

仲田加南
日本プロ麻雀連盟所属。現女流桜花。予選・プレーオフ1位通過。

 

100

 

朝倉ゆかり
日本プロ麻雀協会所属。現女流雀王。予選・プレーオフ2位通過。

 

100

 

宮内こずえ
日本プロ麻雀連盟所属。現プロクイーン。予選・プレーオフ3位通過。

 

100

 

二階堂亜樹
日本プロ麻雀連盟所属。女流モンド杯優勝。予選・プレーオフ4位通過。

 

予選序盤で四暗刻をアガリ、その後も終始安定した成績を守った仲田、敗退圏内から強い麻雀でぐいぐいとポイントを伸ばし2位まで上りつめた宮内、そして大きなトップやラスがなく各回素点を守り続けて常に上位にいた朝倉。そして最後に守備型というイメージを大きく覆し、要所でしっかりとした攻めを見せ決勝進出を果たした亜樹。

決勝はこれまでのポイントをリセットして4回戦。
個性的な4名の打ち手が集まり、ここから女流プロ日本一を決める熱い戦いが始まった。

 

決勝1回戦 朝倉 宮内 亜樹 仲田

ポイントをフラットにして決勝1回戦。初戦のトップは一体誰が手にするか。

東2局1本場
8巡目、先手でリーチを掛けたのは南家・亜樹。

六万六万七万八万九万七索八索九索三筒三筒三筒五筒六筒  ドラ四索

このリーチを受け北家・朝倉の手がこちら。

 

100

 

七筒を切ればタンヤオのシャンポンテンパイだが、ここは中筋の四万を切り1シャンテン維持とする。

そしてその同巡、親の宮内も

一万二万二万三万三万三索四索四索五索八索四筒四筒四筒  ツモ八索  ドラ四索中

こちらの形でドラ切りのテンパイ取りも出来たが、一万四万が薄いことも有り一旦一万切りとして後退。
その後もツモが伸びず、朝倉・宮内の手が再びテンパイすることはなかった。
西家の仲田も、1シャンテンまで手を伸ばすが、有効牌を引かずノーテン。

このリーチがなければ手格好としては誰がアガっていたか分からないような局だったが、3者が慎重に打ち、亜樹の1人テンパイで流局となる。

東4局3本場

7巡目、南家の朝倉が鳴いてゆく。

二万二万四万五万六万六索八索三筒四筒五筒  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ八索

1枚目の二索をポンしてドラ表示牌の七索待ち。ここまで、予選やプレーオフで2枚目の字牌も鳴かないことが多かった朝倉の、決勝ならではの打ち方が現れた仕掛けといえる。
その後仲田のリーチを受けるも、すぐに七索をツモって500・1,000は800・1,300。
しっかりと局をさばいてゆく。

南3局
5巡目北家・宮内の手。

 

100

 

(ツモってきたのは四索)

南家の仲田がオタ風の西北とポンしてマンズが高い状況。
一旦テンパイ外しの八索切りかと思われたがここは真っ直ぐにヤミテンの打五万とする。
染め手に見える仲田の色である五万を先に切った形で、思いきった選択にも見えたがすぐに七索をツモって300・500。宮内らしい素直なアガリで局を進めていく。

南4局
親の仲田の配牌がこちら。

一万一万三万四万五万七万九万二筒二筒六筒九筒九筒白中  ドラ五万

ここから、一万と引いてきた九万をポンして8巡目、この形まで手を育てる。

三万四万五万五万五万六万七万  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き

ドラ3枚使いのチンイツ3メンチャン24,000点。巡目も早く大きな手が決まってしまうと思いきやここは流局。宮内との2人テンパイで局が終了。

その後連荘した仲田がアガ続け、トップで半荘終了。亜樹、宮内、朝倉と続いた。

1回戦結果
仲田+24.6P 亜樹+8.6P 宮内▲3.9P 朝倉▲29.3P 

 

決勝2回戦 亜樹 仲田 宮内 朝倉

南4局

ここまで中々チャンス手が回ってこなかった親の朝倉に大きな手が入る。

 

100

 

四暗刻の1シャンテン。ここからドラの五索を先切りとせず南を切って行く。打ち手によってはここで先にドラを放してしまうもの者も多いだろう。
この時西家・仲田の手がこちら。

二万四万六万八万三索三索三索五索五索二筒四筒四筒五筒  ドラ五索

ドラのポンが入る手がたちだった。
そして朝倉、次巡4枚目のツモ五万
ドラの五索を先に切って仲田がポンしていると、対面に座る仲田にとっては絶好の牌が入っていたことになる。ここで朝倉、五万の暗カンはせずに打五索、一巡遅れてこれを仲田がポンする。

そして朝倉、次巡待望のツモ三筒五万を暗カンし、満を持しての四暗刻リーチとする。

四万四万三筒三筒三筒東東東白白  暗カン牌の背五万 上向き五万 上向き牌の背

この切り順でしかテンパイ出来ない大物手。決勝の舞台での大きなアガリに期待が高まるが、ドラポンの仲田も押し返し、配牌からなかなか手が進まなかった宮内もようやくテンパイし追いかけリーチ。3者による手に汗握る戦いとなったがここは宮内がツモって2,000・4,000。しっかりとラス目から2着に着を上げて半荘を終わらせる。
一方、1回戦4着だった朝倉にとっては厳しい3着落ちとなってしまった。

2回戦結果
亜樹+24.9P 宮内+8.2P 朝倉▲10.7P 仲田▲22.4P

トータル
亜樹+33.5P 宮内+4.3P 仲田+2.2P 朝倉▲40.0P 

 

3回戦 仲田 朝倉 亜樹 宮内

2着、1着と安定してポイントを伸ばした亜樹、そしてそれに続く宮内、仲田までがポイントプラス。一方、ここまで大きくマイナスしている朝倉は、この3回戦が大きな勝負どころとなるだろう。
最終半荘は規定によりそれまでのポイントで席順が決まるため、各者、この半荘での戦い方が大切になってくる。

東1局1本場

10巡目、西家・亜樹が配牌のドラトイツを活かして七対子テンパイ、リーチといく。

六万六万六索六索八索八索九索九索六筒六筒東東西  ドラ東

生牌の南か、1枚切れの西の選択となったが、ここは隙なく西待ちを選択。どちらも山に全て残っている牌だった。受ける3者も各々、1シャンテンまで手を伸ばすが追いつけない。
リーチから6巡、亜樹が自力で西を引き3,000・6,000のツモアガリ。

東2局

6巡目、北家の仲田が仕掛けていく。

一索三索三索三索七索九索四筒白白発  ポン中中中  ドラ五索

ドラ色のホンイツで、小三元・大三元も見える手だ。
しかし一番にテンパイしたのはここでも亜樹。

五万五万五索五索六索六索一筒一筒二筒二筒西西発

仲田の仕掛けに対し、字牌の切りだしは注目が集まる局面、ここでは東発の選択だったが、三元役を想定しここは発単騎のヤミテンとする。

そして仲田も手が進んでこの形。

一索三索三索三索白白発  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン中中中

ここに4枚目の七索を引いてくるが、ここはカンせずリリース。
それを見た亜樹は引いてきた二索もツモ切ってゆく。
そして次巡、仲田が引いたのは4枚目の三索
変則的な捨て牌で染め手に押している亜樹に、発は切りづらくなっていた仲田だったが、この4枚目の牌を引いてのテンパイ、待ちは今切られた二索
ポイント的にもアガリが欲しい仲田が発を切り亜樹に6,400の放銃。
2局連続の七対子ドラドラで、亜樹が一気に5万点近くまで点数を伸ばす。

南2局
ここまで、トータル1位の亜樹がトップ目。ここでもトップを取られてしまうと、3者の最終戦はかなり厳しいものとなってしまう。最短残り3局で、亜樹をどれだけ苦しめることが出来るかが課題となる。

10巡目、初めにテンパイを入れたのは宮内。

 

100

 

一通確定の手を、迷わずにリーチ。
そして次巡、親の朝倉もテンパイ。

三万四万五万六万六万六万七索七索六筒七筒八筒南南  ドラ北

朝倉らしい、丁寧に取っておいた安牌を切っての追い掛けリーチ。
トータルラス目、この親が終わってしまうと優勝への道はかなり厳しいものとなる。どうしてもアガリたいリーチ。
そしてその気持ちが通じたのか、この手をすぐにツモり、この日ほとんど乗らなかった裏ドラを3枚乗せ嬉しい嬉しい6,000オール。
これで朝倉が亜樹をまくり、この半荘のトップ目となる。

そのまま朝倉がトップを守り、最終戦へチャンスをつなげる。そこに亜樹、宮内が続くが、苦しくなってしまったのは連続4着の仲田。持ち味の攻撃力で、一発逆転を狙ってゆけるか。

3回戦結果
朝倉+34.0P 亜樹+14.4P 宮内▲12.4P 仲田▲33.9P

トータル
亜樹+45.8P 朝倉▲6.0P 宮内▲8.1P 仲田▲31.7P

 

最終戦
亜樹+45.8 朝倉▲6.0 宮内▲8.1 仲田▲31.7

27戦を経てきた女流プロ日本シリーズ2017もついに最終半荘となった。
ここまで、2着、トップ、2着の二階堂亜樹が1人浮きとなり、かなり優位な位置に立った。
対する3者は、亜樹との差を着順のウマと素点でどのように縮めていくかの戦いになっていく。
泣いても笑っても、これが最後。決勝最終半荘が今はじまった。
※日本プロ麻雀連盟の競技規定により、席順はトータル2位→3位→4位→1位でのスタート。

東1局

そんな3人の意図とは裏腹に、北家・亜樹の手がいい。なんと開局3巡目のリーチ。

捨て牌
北二万 上向き八万 左向き

それを受けて1発目、西家・仲田の手がこちら。

 

100

 

手の中に亜樹の現物はない。
放銃の可能性をなるべく抑える発切り、効率通りに手をまっすぐ進めるなら打三索、345の変化を見つつ、ツモ七索でもテンパイを取れる打六索。様々な選択肢のある中で、仲田が選んだのは打九索
2巡の間しのぎつつ、ドラの受け入れを残し、234・345の三色の可能性も残す一打だ。
この局面において冷静に最も柔軟に攻めを選んだ仲田らしい一打だといえる。

しかしその九索が亜樹への放銃となる。

二索三索四索七索八索六筒七筒八筒九筒九筒東東東  ロン九索  ドラ二索

リーチ・一発・東・ドラの8,000点。
役ありのテンパイだが、ここは攻めのリーチ選択をした亜樹に嬉しいアガリとなる。
一方仲田にとって、そして他の2名にとっても、不穏な半荘スタートとなった。

東2局1本場

またしても南家・仲田の選択。

 

100

 

親の宮内が発を、西家の亜樹が白を仕掛けている局面。
効率で考えれば二索五索切りだが、仲田の選択は四万。567の可能性を追う六万もあったが、場に打たれている枚数で四万を外し、ドラのまたぎの五索八索を極力打たない選択をする。

この時の亜樹の手牌はこの形。

五万七万八万八万六索七索七筒八筒九筒西  ポン白白白  ドラ六索

五索八索六万も欲しい手であった。
そして次巡、仲田が嬉しいツモ六索でテンパイ、3枚持ちの五索八索を使いきり、六万を勝負してリーチといく。

四万五万六万二索三索四索五索六索七索八索八索五筒六筒

亜樹もその六万をチー、トータル4番手の仲田のリーチに応戦の構えだ。
戦いの行末に注目が集まったが、仲田がすぐに7枚目の五索八索を掴み、亜樹に2,000は2,300の放銃。

上手く立ち回り攻めた仲田だったが、ここでも亜樹に絡めとられてしまい、苦しい展開となる。

南1局2本場

ここまでの点数状況は、朝倉17.1P 宮内31.4P 仲田34.1P 亜樹37.4P
10巡目、どうしても連荘したい親の朝倉に大物手のテンパイが入る。

三万四万五万六万六万六索六索六索六筒七筒東東東  ドラ東

リーチをかけツモって6,000オールとなる手、ポイントが欲しいこの状況ならその選択もあったがここはヤミテン。亜樹からの直撃を狙う。
局が長引き、各者の手にかかる牌に注目が集まるが、ここは誰も五筒八筒を切ることなく流局。
残り4枚の五筒八筒はすべて王牌に眠っていた。

南2局

6巡目、西家・亜樹の手が早い。

二万二万三万四万五万一索二索三索四筒七筒七筒七筒八筒  ツモ五万  ドラ九万

ここはピンフの役ありテンパイを目指してここは四筒切りとする。
東1局は役ありもリーチと構えた亜樹だが、ここではしっかりとヤミテンに出来る手組をしていく。
次巡、九筒を引き、ひとまず五万を切って、二万七筒の役なしテンパイにとる。
そして8巡後、手変わりを待たずに二万をツモり300・500。

ゆっくりと、しかし確実に、優勝への階段をのぼっていく。

南3局も亜樹が自力で400・700をアガリ局を進めていく。

そしてオーラス、3者に与えられたまくり条件は、宮内役満ツモ三倍満直、朝倉ダブル役満ツモ三倍満直、仲田ダブル役満ツモ役満直、とかなり厳しいものとなった。
この局、亜樹が三倍満や役満は放銃することも、3者がツモ上がることもなく、半荘が終わる。

4位朝倉ゆかり
「もう少し腹をくくらないといけないところがあったと思います。自分の中ではディフェンスによってしまう時は良くない時が多い気がしていて、もう少し勝負できたらよかったのですが、足りなかったと思います。」

3位宮内こずえ
「亜樹ちゃんが強すぎました。見逃しをしてもいい局面もあったかもしれません。また映像を見直して、勉強しなおしたいと思います。」

2位仲田加南
「今日は亜樹さんにばかり放銃してしまい、捕まっているのをどこかで止めなくてはいけなかった。ツキはあったと思うのですが技術が足りなかったです。」

優勝二階堂亜樹
「ものすごく手が良かったわけでも、ものすごくツキがあった訳でもなかったのですが、とにかく展開に恵まれました。最後まで気を抜かずに打とうと心がけていましたが、最終戦の南2局、なかなか手変わらないシャンポンのテンパイをツモ上がれた時に、優勝を意識しました。」

長かった28半荘が終わり、女流プロ日本シリーズ2017は、二階堂亜樹の優勝で幕を閉じた。
昨年は女流モンド杯優勝に戦術本の出版、そして今年は最強戦の女流プロ代表決定戦を勝ち、夏には自身の半生を描いたコミックスが映画化される。
決勝戦を見ていた誰かが言った。

「今年は亜樹の年になる。」

プロになって18年、常に女流プロの最前線を走り続けていた二階堂亜樹の活躍から、これからも目が離せない。

 

100

100

 

麻雀日本シリーズ/女流プロ麻雀日本シリーズ2017 決勝戦レポート 楠原 遊

3月12日、女流プロ麻雀日本シリーズ2017の決勝戦が行われた。
全4節の予選と、プレーオフを経て勝ち進んだプレーヤーは以下の4名。(敬称略)
 
100
 
仲田加南
日本プロ麻雀連盟所属。現女流桜花。予選・プレーオフ1位通過。
 
100
 
朝倉ゆかり
日本プロ麻雀協会所属。現女流雀王。予選・プレーオフ2位通過。
 
100
 
宮内こずえ
日本プロ麻雀連盟所属。現プロクイーン。予選・プレーオフ3位通過。
 
100
 
二階堂亜樹
日本プロ麻雀連盟所属。女流モンド杯優勝。予選・プレーオフ4位通過。
 
予選序盤で四暗刻をアガリ、その後も終始安定した成績を守った仲田、敗退圏内から強い麻雀でぐいぐいとポイントを伸ばし2位まで上りつめた宮内、そして大きなトップやラスがなく各回素点を守り続けて常に上位にいた朝倉。そして最後に守備型というイメージを大きく覆し、要所でしっかりとした攻めを見せ決勝進出を果たした亜樹。
決勝はこれまでのポイントをリセットして4回戦。
個性的な4名の打ち手が集まり、ここから女流プロ日本一を決める熱い戦いが始まった。
 
決勝1回戦 朝倉 宮内 亜樹 仲田
ポイントをフラットにして決勝1回戦。初戦のトップは一体誰が手にするか。
東2局1本場
8巡目、先手でリーチを掛けたのは南家・亜樹。
六万六万七万八万九万七索八索九索三筒三筒三筒五筒六筒  ドラ四索
このリーチを受け北家・朝倉の手がこちら。
 
100
 
七筒を切ればタンヤオのシャンポンテンパイだが、ここは中筋の四万を切り1シャンテン維持とする。
そしてその同巡、親の宮内も
一万二万二万三万三万三索四索四索五索八索四筒四筒四筒  ツモ八索  ドラ四索中
こちらの形でドラ切りのテンパイ取りも出来たが、一万四万が薄いことも有り一旦一万切りとして後退。
その後もツモが伸びず、朝倉・宮内の手が再びテンパイすることはなかった。
西家の仲田も、1シャンテンまで手を伸ばすが、有効牌を引かずノーテン。
このリーチがなければ手格好としては誰がアガっていたか分からないような局だったが、3者が慎重に打ち、亜樹の1人テンパイで流局となる。
東4局3本場
7巡目、南家の朝倉が鳴いてゆく。
二万二万四万五万六万六索八索三筒四筒五筒  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ八索
1枚目の二索をポンしてドラ表示牌の七索待ち。ここまで、予選やプレーオフで2枚目の字牌も鳴かないことが多かった朝倉の、決勝ならではの打ち方が現れた仕掛けといえる。
その後仲田のリーチを受けるも、すぐに七索をツモって500・1,000は800・1,300。
しっかりと局をさばいてゆく。
南3局
5巡目北家・宮内の手。
 
100
 
(ツモってきたのは四索)
南家の仲田がオタ風の西北とポンしてマンズが高い状況。
一旦テンパイ外しの八索切りかと思われたがここは真っ直ぐにヤミテンの打五万とする。
染め手に見える仲田の色である五万を先に切った形で、思いきった選択にも見えたがすぐに七索をツモって300・500。宮内らしい素直なアガリで局を進めていく。
南4局
親の仲田の配牌がこちら。
一万一万三万四万五万七万九万二筒二筒六筒九筒九筒白中  ドラ五万
ここから、一万と引いてきた九万をポンして8巡目、この形まで手を育てる。
三万四万五万五万五万六万七万  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き
ドラ3枚使いのチンイツ3メンチャン24,000点。巡目も早く大きな手が決まってしまうと思いきやここは流局。宮内との2人テンパイで局が終了。
その後連荘した仲田がアガ続け、トップで半荘終了。亜樹、宮内、朝倉と続いた。
1回戦結果
仲田+24.6P 亜樹+8.6P 宮内▲3.9P 朝倉▲29.3P 
 
決勝2回戦 亜樹 仲田 宮内 朝倉
南4局
ここまで中々チャンス手が回ってこなかった親の朝倉に大きな手が入る。
 
100
 
四暗刻の1シャンテン。ここからドラの五索を先切りとせず南を切って行く。打ち手によってはここで先にドラを放してしまうもの者も多いだろう。
この時西家・仲田の手がこちら。
二万四万六万八万三索三索三索五索五索二筒四筒四筒五筒  ドラ五索
ドラのポンが入る手がたちだった。
そして朝倉、次巡4枚目のツモ五万
ドラの五索を先に切って仲田がポンしていると、対面に座る仲田にとっては絶好の牌が入っていたことになる。ここで朝倉、五万の暗カンはせずに打五索、一巡遅れてこれを仲田がポンする。
そして朝倉、次巡待望のツモ三筒五万を暗カンし、満を持しての四暗刻リーチとする。
四万四万三筒三筒三筒東東東白白  暗カン牌の背五万 上向き五万 上向き牌の背
この切り順でしかテンパイ出来ない大物手。決勝の舞台での大きなアガリに期待が高まるが、ドラポンの仲田も押し返し、配牌からなかなか手が進まなかった宮内もようやくテンパイし追いかけリーチ。3者による手に汗握る戦いとなったがここは宮内がツモって2,000・4,000。しっかりとラス目から2着に着を上げて半荘を終わらせる。
一方、1回戦4着だった朝倉にとっては厳しい3着落ちとなってしまった。
2回戦結果
亜樹+24.9P 宮内+8.2P 朝倉▲10.7P 仲田▲22.4P
トータル
亜樹+33.5P 宮内+4.3P 仲田+2.2P 朝倉▲40.0P 
 
3回戦 仲田 朝倉 亜樹 宮内
2着、1着と安定してポイントを伸ばした亜樹、そしてそれに続く宮内、仲田までがポイントプラス。一方、ここまで大きくマイナスしている朝倉は、この3回戦が大きな勝負どころとなるだろう。
最終半荘は規定によりそれまでのポイントで席順が決まるため、各者、この半荘での戦い方が大切になってくる。
東1局1本場
10巡目、西家・亜樹が配牌のドラトイツを活かして七対子テンパイ、リーチといく。
六万六万六索六索八索八索九索九索六筒六筒東東西  ドラ東
生牌の南か、1枚切れの西の選択となったが、ここは隙なく西待ちを選択。どちらも山に全て残っている牌だった。受ける3者も各々、1シャンテンまで手を伸ばすが追いつけない。
リーチから6巡、亜樹が自力で西を引き3,000・6,000のツモアガリ。
東2局
6巡目、北家の仲田が仕掛けていく。
一索三索三索三索七索九索四筒白白発  ポン中中中  ドラ五索
ドラ色のホンイツで、小三元・大三元も見える手だ。
しかし一番にテンパイしたのはここでも亜樹。
五万五万五索五索六索六索一筒一筒二筒二筒西西発
仲田の仕掛けに対し、字牌の切りだしは注目が集まる局面、ここでは東発の選択だったが、三元役を想定しここは発単騎のヤミテンとする。
そして仲田も手が進んでこの形。
一索三索三索三索白白発  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン中中中
ここに4枚目の七索を引いてくるが、ここはカンせずリリース。
それを見た亜樹は引いてきた二索もツモ切ってゆく。
そして次巡、仲田が引いたのは4枚目の三索
変則的な捨て牌で染め手に押している亜樹に、発は切りづらくなっていた仲田だったが、この4枚目の牌を引いてのテンパイ、待ちは今切られた二索
ポイント的にもアガリが欲しい仲田が発を切り亜樹に6,400の放銃。
2局連続の七対子ドラドラで、亜樹が一気に5万点近くまで点数を伸ばす。
南2局
ここまで、トータル1位の亜樹がトップ目。ここでもトップを取られてしまうと、3者の最終戦はかなり厳しいものとなってしまう。最短残り3局で、亜樹をどれだけ苦しめることが出来るかが課題となる。
10巡目、初めにテンパイを入れたのは宮内。
 
100
 
一通確定の手を、迷わずにリーチ。
そして次巡、親の朝倉もテンパイ。
三万四万五万六万六万六万七索七索六筒七筒八筒南南  ドラ北
朝倉らしい、丁寧に取っておいた安牌を切っての追い掛けリーチ。
トータルラス目、この親が終わってしまうと優勝への道はかなり厳しいものとなる。どうしてもアガリたいリーチ。
そしてその気持ちが通じたのか、この手をすぐにツモり、この日ほとんど乗らなかった裏ドラを3枚乗せ嬉しい嬉しい6,000オール。
これで朝倉が亜樹をまくり、この半荘のトップ目となる。
そのまま朝倉がトップを守り、最終戦へチャンスをつなげる。そこに亜樹、宮内が続くが、苦しくなってしまったのは連続4着の仲田。持ち味の攻撃力で、一発逆転を狙ってゆけるか。
3回戦結果
朝倉+34.0P 亜樹+14.4P 宮内▲12.4P 仲田▲33.9P
トータル
亜樹+45.8P 朝倉▲6.0P 宮内▲8.1P 仲田▲31.7P
 
最終戦
亜樹+45.8 朝倉▲6.0 宮内▲8.1 仲田▲31.7
27戦を経てきた女流プロ日本シリーズ2017もついに最終半荘となった。
ここまで、2着、トップ、2着の二階堂亜樹が1人浮きとなり、かなり優位な位置に立った。
対する3者は、亜樹との差を着順のウマと素点でどのように縮めていくかの戦いになっていく。
泣いても笑っても、これが最後。決勝最終半荘が今はじまった。
※日本プロ麻雀連盟の競技規定により、席順はトータル2位→3位→4位→1位でのスタート。
東1局
そんな3人の意図とは裏腹に、北家・亜樹の手がいい。なんと開局3巡目のリーチ。
捨て牌
北二万 上向き八万 左向き
それを受けて1発目、西家・仲田の手がこちら。
 
100
 
手の中に亜樹の現物はない。
放銃の可能性をなるべく抑える発切り、効率通りに手をまっすぐ進めるなら打三索、345の変化を見つつ、ツモ七索でもテンパイを取れる打六索。様々な選択肢のある中で、仲田が選んだのは打九索
2巡の間しのぎつつ、ドラの受け入れを残し、234・345の三色の可能性も残す一打だ。
この局面において冷静に最も柔軟に攻めを選んだ仲田らしい一打だといえる。
しかしその九索が亜樹への放銃となる。
二索三索四索七索八索六筒七筒八筒九筒九筒東東東  ロン九索  ドラ二索
リーチ・一発・東・ドラの8,000点。
役ありのテンパイだが、ここは攻めのリーチ選択をした亜樹に嬉しいアガリとなる。
一方仲田にとって、そして他の2名にとっても、不穏な半荘スタートとなった。
東2局1本場
またしても南家・仲田の選択。
 
100
 
親の宮内が発を、西家の亜樹が白を仕掛けている局面。
効率で考えれば二索五索切りだが、仲田の選択は四万。567の可能性を追う六万もあったが、場に打たれている枚数で四万を外し、ドラのまたぎの五索八索を極力打たない選択をする。
この時の亜樹の手牌はこの形。
五万七万八万八万六索七索七筒八筒九筒西  ポン白白白  ドラ六索
五索八索六万も欲しい手であった。
そして次巡、仲田が嬉しいツモ六索でテンパイ、3枚持ちの五索八索を使いきり、六万を勝負してリーチといく。
四万五万六万二索三索四索五索六索七索八索八索五筒六筒
亜樹もその六万をチー、トータル4番手の仲田のリーチに応戦の構えだ。
戦いの行末に注目が集まったが、仲田がすぐに7枚目の五索八索を掴み、亜樹に2,000は2,300の放銃。
上手く立ち回り攻めた仲田だったが、ここでも亜樹に絡めとられてしまい、苦しい展開となる。
南1局2本場
ここまでの点数状況は、朝倉17.1P 宮内31.4P 仲田34.1P 亜樹37.4P
10巡目、どうしても連荘したい親の朝倉に大物手のテンパイが入る。
三万四万五万六万六万六索六索六索六筒七筒東東東  ドラ東
リーチをかけツモって6,000オールとなる手、ポイントが欲しいこの状況ならその選択もあったがここはヤミテン。亜樹からの直撃を狙う。
局が長引き、各者の手にかかる牌に注目が集まるが、ここは誰も五筒八筒を切ることなく流局。
残り4枚の五筒八筒はすべて王牌に眠っていた。
南2局
6巡目、西家・亜樹の手が早い。
二万二万三万四万五万一索二索三索四筒七筒七筒七筒八筒  ツモ五万  ドラ九万
ここはピンフの役ありテンパイを目指してここは四筒切りとする。
東1局は役ありもリーチと構えた亜樹だが、ここではしっかりとヤミテンに出来る手組をしていく。
次巡、九筒を引き、ひとまず五万を切って、二万七筒の役なしテンパイにとる。
そして8巡後、手変わりを待たずに二万をツモり300・500。
ゆっくりと、しかし確実に、優勝への階段をのぼっていく。
南3局も亜樹が自力で400・700をアガリ局を進めていく。
そしてオーラス、3者に与えられたまくり条件は、宮内役満ツモ三倍満直、朝倉ダブル役満ツモ三倍満直、仲田ダブル役満ツモ役満直、とかなり厳しいものとなった。
この局、亜樹が三倍満や役満は放銃することも、3者がツモ上がることもなく、半荘が終わる。
4位朝倉ゆかり
「もう少し腹をくくらないといけないところがあったと思います。自分の中ではディフェンスによってしまう時は良くない時が多い気がしていて、もう少し勝負できたらよかったのですが、足りなかったと思います。」
3位宮内こずえ
「亜樹ちゃんが強すぎました。見逃しをしてもいい局面もあったかもしれません。また映像を見直して、勉強しなおしたいと思います。」
2位仲田加南
「今日は亜樹さんにばかり放銃してしまい、捕まっているのをどこかで止めなくてはいけなかった。ツキはあったと思うのですが技術が足りなかったです。」
優勝二階堂亜樹
「ものすごく手が良かったわけでも、ものすごくツキがあった訳でもなかったのですが、とにかく展開に恵まれました。最後まで気を抜かずに打とうと心がけていましたが、最終戦の南2局、なかなか手変わらないシャンポンのテンパイをツモ上がれた時に、優勝を意識しました。」
長かった28半荘が終わり、女流プロ日本シリーズ2017は、二階堂亜樹の優勝で幕を閉じた。
昨年は女流モンド杯優勝に戦術本の出版、そして今年は最強戦の女流プロ代表決定戦を勝ち、夏には自身の半生を描いたコミックスが映画化される。
決勝戦を見ていた誰かが言った。
「今年は亜樹の年になる。」
プロになって18年、常に女流プロの最前線を走り続けていた二階堂亜樹の活躍から、これからも目が離せない。
 
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天鳳位vs.連盟プロ 2nd season 第4節終了時成績表

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 勝又健志 31.1 10.9 ▲ 12.3 11.5 7.2 20.3 17.0 18.3 104.0
2 前原雄大 37.4 8.8 ▲ 19.8 25.2 21.1 ▲ 5.6 ▲ 1.3 3.5 69.3
3 就活生@川村軍団
(9代目天鳳位)
17.6 21.6 5.8 55.6 ▲ 21.5 32.7 ▲ 23.5 ▲ 23.0 65.3
4 瀬戸熊直樹 12.0 ▲ 5.7 ▲ 10.1 22.0 ▲ 15.5 5.1 31.0 ▲ 4.7 34.1
5 すずめクレイジー
(4代目天鳳位)
▲ 2.0 ▲ 19.1 ▲ 14.1 ▲ 32.0 22.9 20.5 ▲ 6.2 19.1 ▲ 10.9
6 かにマジン
(8代目天鳳位)
▲ 22.4 ▲ 2.4 ▲ 30.4 11.8 36.8 ▲ 16.8 5.3 6.1 ▲ 12.0
7 前田直哉 ▲ 7.2 ▲ 21.8 2.4 15.0 26.6 ▲ 20.2 ▲ 4.7 ▲ 19.7 ▲ 29.6
8 独歩
(3代目天鳳位)
23.1 ▲ 16.5 ▲ 8.7 ▲ 59.0 ▲ 8.1 ▲ 24.4 1.2 26.9 ▲ 65.5
9 藤崎智 ▲ 4.5 ▲ 15.0 ▲ 27.1 ▲ 6.7 13.5 ▲ 9.2 2.1 ▲ 20.5 ▲ 67.4
10 ASAPIN
(初代・11代目天鳳位)
▲ 24.6 ▲ 37.2 17.8 10.9 ▲ 18.5 5.7 ▲ 39.9 ▲ 2.5 ▲ 108.3

特集企画/天鳳位vs.連盟プロ 2nd season 第4節終了時成績表

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 勝又健志 31.1 10.9 ▲ 12.3 11.5 7.2 20.3 17.0 18.3 104.0
2 前原雄大 37.4 8.8 ▲ 19.8 25.2 21.1 ▲ 5.6 ▲ 1.3 3.5 69.3
3 就活生@川村軍団
(9代目天鳳位)
17.6 21.6 5.8 55.6 ▲ 21.5 32.7 ▲ 23.5 ▲ 23.0 65.3
4 瀬戸熊直樹 12.0 ▲ 5.7 ▲ 10.1 22.0 ▲ 15.5 5.1 31.0 ▲ 4.7 34.1
5 すずめクレイジー
(4代目天鳳位)
▲ 2.0 ▲ 19.1 ▲ 14.1 ▲ 32.0 22.9 20.5 ▲ 6.2 19.1 ▲ 10.9
6 かにマジン
(8代目天鳳位)
▲ 22.4 ▲ 2.4 ▲ 30.4 11.8 36.8 ▲ 16.8 5.3 6.1 ▲ 12.0
7 前田直哉 ▲ 7.2 ▲ 21.8 2.4 15.0 26.6 ▲ 20.2 ▲ 4.7 ▲ 19.7 ▲ 29.6
8 独歩
(3代目天鳳位)
23.1 ▲ 16.5 ▲ 8.7 ▲ 59.0 ▲ 8.1 ▲ 24.4 1.2 26.9 ▲ 65.5
9 藤崎智 ▲ 4.5 ▲ 15.0 ▲ 27.1 ▲ 6.7 13.5 ▲ 9.2 2.1 ▲ 20.5 ▲ 67.4
10 ASAPIN
(初代・11代目天鳳位)
▲ 24.6 ▲ 37.2 17.8 10.9 ▲ 18.5 5.7 ▲ 39.9 ▲ 2.5 ▲ 108.3

第161回:第1期WRCリーグ優勝特別インタビュー 羽山 真生  インタビュアー:和久津 晶

100

 

皆様いかがお過ごしでしょうか!

今回のインタビューは「雀荘のおやじ」こと羽山真生プロ。
第1期WRCリーグ優勝についてお届けしたいと思います。
インタビュアーは淑女なわたくし、和久津晶がつとめます。

面白くないですねすみません。
それではよろしくお願いいたします!

早速羽山プロから

「いつ空いてる?俺20日まで東京いるよ!」
とメールが飛んできたので、

「麻雀と同じで積極的だなあ、、、」
と思いながらグランプリMAX一次予選後なら空いていると伝えると

「じゃあその日にしよう、終わったら連絡してー」

相手に合わせる対応型。
O型の私が何も連絡せず(むしろ忘れてた)にいると、二次から出場の羽山が、気付いたら会場で観戦をしていた。

私と羽山はまあまあ前から仲が良い。
どの位かと言うと、一緒にカラオケに行くとマイクを奪い合う、くらいの仲だ。
もちろん会計は羽山社長だが。

和久津「ごめんごめん終わったよー!」

羽山 「いやー明日古川さんとだわー!」

和久津「悪かったねあたしじゃなくて」

羽山 「どうする?今日行ける?」

和久津「え?勿論。ってか無理ですね、とか言ったらどーすんのよ」

羽山 「明日も空いてますよ」

こんな感じである。

羽山真生
四段、27期生、来期からC3リーグ所属。
1975年9月14日生まれ、A型。

現在は名古屋在住で、対局の度に新幹線で通っている。
確か前は滋賀から、その前は福岡から来てた気がするなー。
私が10代の頃から知り合っているので、付き合いはそろそろ20年近いか。

皆様、意外に若くてびっくりしました??
見た目、所作、おなか周りは正に「雀荘のおやじ」。
ハンドルネームは譲りますよ。

知っているマニアな方もいらっしゃると思いますが、羽山はアマ時代、今から19年も前にG1タイトル王位を獲得し見事連覇。

「もっと遠くへ行きたいと願った たった一度生まれてきた奇跡は計り知れない だからこそ怖いのかもしれないレールに乗っかるのも無限に広がる自由も」

羽山「当時は大学3年生だったからなあ。就職活動してて、全部駄目だったら麻雀プロになろうかとも考えていたけど」

羽山は現在会社員。結婚して中2と小2のお子様がいる。

和久津「色々と余裕が出来たから麻雀プロしてみようかなーて感じ?」

羽山「1つ目の理由は王位戦のシード権が切れたこと。」

和久津「まだあんの」

羽山「こっからが大事だから聞いてよ!あのね、当時僕が王位を獲った時に瀬戸熊さんが」

和久津「大先生と呼びなさい」

羽山「瀬戸熊大先生が、羽山が勝てるなら僕も勝てるからプロになろう、って言ってプロになったんですよ」

和久津「自慢かい!若干ディスられてるじゃん!」

羽山「そうなんだけどね。そうしたら瀬戸熊さんが鳳凰位になったから俺も出来るかなって思って試験を受けたんですよ。なんだけど全然リーグ上がらなくてタイトル戦もダメで、大変だけどWRCリーグ参加しよう!って訳だったのよ」

確かに、WRCリーグは地方プロが参加するのは大変である。
5節参加して負けなら交通費と時間の大きなダメージをくらう。

羽山「瀬戸熊さんに、羽山さんは過去の人だからなあ 笑、と言われてやる気になりました。」

和久津「ほらね大先生のおかげじゃん!感謝して!」

羽山「勿論です。それと会社の皆様にスケジュール等で大変ご迷惑おかけしたにも関わらず負けましたーじゃ申し訳なくて。」

なるほどそういうプレッシャーもあるのかー。
先日の地方リーグチャンピオンシップ、地方の代表として戦った選手達の気持ちを、ちょっと想像しただけで胸が苦しい。

「何処まで行ってもゴールはいつも心の中にあるものだから、どの十字路が繋ぐ未来へも目の前の一瞬に全てを捧げて」

自分で決めた事ではあるが、自分だけの物ではない。それが人道を行く麻雀プロの忘れてはならない真実か。

和久津「そー言えば麻雀の話してなかった。あれ良かったねオーラスのフリテンリーチ」

羽山「それベスト8」

和久津「あそーだっけか。アレも良かったじゃん」

羽山「それはバトジェネね、、、」

和久津「まじか。んじゃ羽山さん的なベストショット教えてよ」

羽山「菊原プロのタブリーにゼンツして三万六万で追っかけたやつ!」

和久津「あれね!鳴いたらツモられてたやつだ」

羽山「そうあの親が続いたのが良かったかなと。」

和久津「随分と謙虚な感じですね。どやどやしてよ」

羽山「いや今回は本当に恵まれて、他の選手の方々のほうが我慢我慢の麻雀でしたから。」

和久津「まさか羽山さんの口からそんな言葉が!これ別に録音とかしてないよ??」

羽山「ホントに思ってますから!ただ、二度と来ないチャンスかも知れないから力が入り過ぎて、所作が荒々しくなってしまったのが申し訳なく、、、。」

和久津「やっぱ変わったよねー」

実は今回、もしかしたら羽山が勝つんじゃないか、と思っていた。
正確には、勝つ可能性が出た、だが。
偉そうに言っているつもりはない(実際自分は全然勝ってはいないし、、)。

麻雀プロの試験を受けに来るには、皆何かしらの自信を持ってくる。
羽山の場合はプラス「実績」も持ってきた。

なりたての頃よく

「上家が全然意味不明の鳴きするから」
「下家が親に3フーロもさせてべたおりして」

とかリーグ戦の後は文句ばっかり言っていた。
これは羽山に限らずだが。

ある日から突然言わなくなった。
C3リーグに降級した日からだ。

羽山「落ちたからには自分に原因があると思います。勉強し直します」

羽山は明らかに「変わった」のだ。

「何度だってやり直せる だけど今は二度と来ない 進んで行くのさ時代のせいや誰かのせいにするくらいならもう一度夢を」

 

100

 

和久津「あとなんかある?インタビューて。羽山さんの女性のタイプとか?」

羽山「結婚しとるがな!」

和久津「あそーね。じゃーお肉食べていい?おなか空いたー。ゆーみんに全部食われるー」

魚谷「これ一人一皿だから大丈夫です」

和久津「まじか!贅沢ー!」

一次で敗退した魚谷プロが可愛い顔して待っていたので連れてきた。

魚谷「糖質制限中だからお肉がいい!」

和久津「じゃーここ入ろー(手前のホルモン屋)」

魚谷「あっちがいい!(奥のしゃぶしゃぶ割烹)」

羽山「はいはい分かりました」

和久津、魚谷「羽山さんご馳走様でーす!」

羽山「わしのインタビューやないんかい!」

羽山は見た目よりも年上に思われる事が多い。多いというかほとんどか。
それでもみんなに

「えー羽山さんそんな若いの?見えない!」
「羽山さんマナー悪っ!」
「ウィングツモうざっ!」

とかいつもめちゃめちゃに言われている。
みんな羽山が怒らないのを知っているからだ。

それって凄いことじゃないですか。
真面目で気さくで頭が良く(少々理屈っぽくもあるが)、家族や友達思い(特に女子に甘い)、勉強熱心で向上心の塊。
これに謙虚な姿勢(麻雀中は勘弁してあげて)が加わった、今まさに勝つべくして勝った愛すべし戦士!

羽山真生はこれからどんどん活躍し、好感度もちょっとずつ上がっていくことだろう。
期待の意味も込めて。

とりま羽山さん、優勝ホントにおめでとう。
過去の人じゃなくて良かったです。笑

文中の言葉はレミオロメンさんから。
地方から頑張る全ての麻雀プロへ、もっと遠くへ!

「諦めないで その心が決めた道を走り抜けて 強い風が吹いた日こそ誰よりも早く強く美しく 駆け抜けてよ夢の中を 光の方へ闇を裂いて」

プロ雀士インタビュー/第161回:第1期WRCリーグ優勝特別インタビュー 羽山 真生  インタビュアー:和久津 晶

100

 
皆様いかがお過ごしでしょうか!
今回のインタビューは「雀荘のおやじ」こと羽山真生プロ。
第1期WRCリーグ優勝についてお届けしたいと思います。
インタビュアーは淑女なわたくし、和久津晶がつとめます。
面白くないですねすみません。
それではよろしくお願いいたします!
早速羽山プロから
「いつ空いてる?俺20日まで東京いるよ!」
とメールが飛んできたので、
「麻雀と同じで積極的だなあ、、、」
と思いながらグランプリMAX一次予選後なら空いていると伝えると
「じゃあその日にしよう、終わったら連絡してー」
相手に合わせる対応型。
O型の私が何も連絡せず(むしろ忘れてた)にいると、二次から出場の羽山が、気付いたら会場で観戦をしていた。
私と羽山はまあまあ前から仲が良い。
どの位かと言うと、一緒にカラオケに行くとマイクを奪い合う、くらいの仲だ。
もちろん会計は羽山社長だが。
和久津「ごめんごめん終わったよー!」
羽山 「いやー明日古川さんとだわー!」
和久津「悪かったねあたしじゃなくて」
羽山 「どうする?今日行ける?」
和久津「え?勿論。ってか無理ですね、とか言ったらどーすんのよ」
羽山 「明日も空いてますよ」
こんな感じである。
羽山真生
四段、27期生、来期からC3リーグ所属。
1975年9月14日生まれ、A型。
現在は名古屋在住で、対局の度に新幹線で通っている。
確か前は滋賀から、その前は福岡から来てた気がするなー。
私が10代の頃から知り合っているので、付き合いはそろそろ20年近いか。
皆様、意外に若くてびっくりしました??
見た目、所作、おなか周りは正に「雀荘のおやじ」。
ハンドルネームは譲りますよ。
知っているマニアな方もいらっしゃると思いますが、羽山はアマ時代、今から19年も前にG1タイトル王位を獲得し見事連覇。
「もっと遠くへ行きたいと願った たった一度生まれてきた奇跡は計り知れない だからこそ怖いのかもしれないレールに乗っかるのも無限に広がる自由も」
羽山「当時は大学3年生だったからなあ。就職活動してて、全部駄目だったら麻雀プロになろうかとも考えていたけど」
羽山は現在会社員。結婚して中2と小2のお子様がいる。
和久津「色々と余裕が出来たから麻雀プロしてみようかなーて感じ?」
羽山「1つ目の理由は王位戦のシード権が切れたこと。」
和久津「まだあんの」
羽山「こっからが大事だから聞いてよ!あのね、当時僕が王位を獲った時に瀬戸熊さんが」
和久津「大先生と呼びなさい」
羽山「瀬戸熊大先生が、羽山が勝てるなら僕も勝てるからプロになろう、って言ってプロになったんですよ」
和久津「自慢かい!若干ディスられてるじゃん!」
羽山「そうなんだけどね。そうしたら瀬戸熊さんが鳳凰位になったから俺も出来るかなって思って試験を受けたんですよ。なんだけど全然リーグ上がらなくてタイトル戦もダメで、大変だけどWRCリーグ参加しよう!って訳だったのよ」
確かに、WRCリーグは地方プロが参加するのは大変である。
5節参加して負けなら交通費と時間の大きなダメージをくらう。
羽山「瀬戸熊さんに、羽山さんは過去の人だからなあ 笑、と言われてやる気になりました。」
和久津「ほらね大先生のおかげじゃん!感謝して!」
羽山「勿論です。それと会社の皆様にスケジュール等で大変ご迷惑おかけしたにも関わらず負けましたーじゃ申し訳なくて。」
なるほどそういうプレッシャーもあるのかー。
先日の地方リーグチャンピオンシップ、地方の代表として戦った選手達の気持ちを、ちょっと想像しただけで胸が苦しい。
「何処まで行ってもゴールはいつも心の中にあるものだから、どの十字路が繋ぐ未来へも目の前の一瞬に全てを捧げて」
自分で決めた事ではあるが、自分だけの物ではない。それが人道を行く麻雀プロの忘れてはならない真実か。
和久津「そー言えば麻雀の話してなかった。あれ良かったねオーラスのフリテンリーチ」
羽山「それベスト8」
和久津「あそーだっけか。アレも良かったじゃん」
羽山「それはバトジェネね、、、」
和久津「まじか。んじゃ羽山さん的なベストショット教えてよ」
羽山「菊原プロのタブリーにゼンツして三万六万で追っかけたやつ!」
和久津「あれね!鳴いたらツモられてたやつだ」
羽山「そうあの親が続いたのが良かったかなと。」
和久津「随分と謙虚な感じですね。どやどやしてよ」
羽山「いや今回は本当に恵まれて、他の選手の方々のほうが我慢我慢の麻雀でしたから。」
和久津「まさか羽山さんの口からそんな言葉が!これ別に録音とかしてないよ??」
羽山「ホントに思ってますから!ただ、二度と来ないチャンスかも知れないから力が入り過ぎて、所作が荒々しくなってしまったのが申し訳なく、、、。」
和久津「やっぱ変わったよねー」
実は今回、もしかしたら羽山が勝つんじゃないか、と思っていた。
正確には、勝つ可能性が出た、だが。
偉そうに言っているつもりはない(実際自分は全然勝ってはいないし、、)。
麻雀プロの試験を受けに来るには、皆何かしらの自信を持ってくる。
羽山の場合はプラス「実績」も持ってきた。
なりたての頃よく
「上家が全然意味不明の鳴きするから」
「下家が親に3フーロもさせてべたおりして」
とかリーグ戦の後は文句ばっかり言っていた。
これは羽山に限らずだが。
ある日から突然言わなくなった。
C3リーグに降級した日からだ。
羽山「落ちたからには自分に原因があると思います。勉強し直します」
羽山は明らかに「変わった」のだ。
「何度だってやり直せる だけど今は二度と来ない 進んで行くのさ時代のせいや誰かのせいにするくらいならもう一度夢を」
 

100

 
和久津「あとなんかある?インタビューて。羽山さんの女性のタイプとか?」
羽山「結婚しとるがな!」
和久津「あそーね。じゃーお肉食べていい?おなか空いたー。ゆーみんに全部食われるー」
魚谷「これ一人一皿だから大丈夫です」
和久津「まじか!贅沢ー!」
一次で敗退した魚谷プロが可愛い顔して待っていたので連れてきた。
魚谷「糖質制限中だからお肉がいい!」
和久津「じゃーここ入ろー(手前のホルモン屋)」
魚谷「あっちがいい!(奥のしゃぶしゃぶ割烹)」
羽山「はいはい分かりました」
和久津、魚谷「羽山さんご馳走様でーす!」
羽山「わしのインタビューやないんかい!」
羽山は見た目よりも年上に思われる事が多い。多いというかほとんどか。
それでもみんなに
「えー羽山さんそんな若いの?見えない!」
「羽山さんマナー悪っ!」
「ウィングツモうざっ!」
とかいつもめちゃめちゃに言われている。
みんな羽山が怒らないのを知っているからだ。
それって凄いことじゃないですか。
真面目で気さくで頭が良く(少々理屈っぽくもあるが)、家族や友達思い(特に女子に甘い)、勉強熱心で向上心の塊。
これに謙虚な姿勢(麻雀中は勘弁してあげて)が加わった、今まさに勝つべくして勝った愛すべし戦士!
羽山真生はこれからどんどん活躍し、好感度もちょっとずつ上がっていくことだろう。
期待の意味も込めて。
とりま羽山さん、優勝ホントにおめでとう。
過去の人じゃなくて良かったです。笑
文中の言葉はレミオロメンさんから。
地方から頑張る全ての麻雀プロへ、もっと遠くへ!
「諦めないで その心が決めた道を走り抜けて 強い風が吹いた日こそ誰よりも早く強く美しく 駆け抜けてよ夢の中を 光の方へ闇を裂いて」