女流プロ麻雀日本シリーズ2017 プレーオフレポート 楠原 遊

女流プロ麻雀日本シリーズ2017のプレーオフが行われた。
予選までの成績は以下の通り。

1位 仲田加南 +84.1P
2位 朝倉ゆかり +44.2P
3位 和泉由希子 +25.4P
4位 高宮まり +19.1P
5位 二階堂亜樹 +16.6P
6位 宮内こずえ +15.8P
7位 大平亜季 ▲2.7P
8位 魚谷侑未 ▲2.7P

※プレーオフ全4回戦(各自2回対局)は予選までのポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
※ルールに関してはこちら→女流プロ麻雀日本シリーズ2017第1節レポートを参照

プレーオフの組み合わせは以下の通り。

1回戦:仲田加南vs高宮まりvs大平亜季vs魚谷侑未
2回戦:朝倉ゆかりvs和泉由希子vs二階堂亜樹vs宮内こずえ
3回戦:1位vs4位vs5位vs8位
4回戦:2位vs3位vs6位vs7位

ここから、決勝進出をかけた8名での戦いがはじまる。

プレーオフ1回戦
魚谷▲2.7P 高宮+19.1P 仲田+84.1P 大平▲2.7P

ポイントでアタマひとつ抜けている仲田。プレーオフは2戦で決勝までのポイント持ち越しもないため決勝進出の見込みはかなり高い。
一方、進出ボーダーとなる高宮、そしてポイント下位の大平・魚谷がどのように道を切り開いてゆくのか、注目していきたい。

東3局

8巡目、親番の仲田から強烈なリーチが入る。

五万六万二索三索四索一筒二筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒  リーチ  ドラ二筒

親のピンフドラ3。4枚切れのリャンメンを少し迷ってリーチ。
立場が違う大平や魚谷ならどうしてもアガリたいリーチだが、仲田にはポイント的な余裕がある。
決めにいったのか、それとも局を長引かせることを選択したか。

11巡目、丁寧に手を作っていた西家魚谷にもテンパイが入る。

 

100

 

ドラを切っての高目リャンペーコー、もしくは仲田の中筋の六万を切ってのドラ単騎の七対子。九万は4枚切れなので、河に見える待ち牌の数は同じ。
マンズが安くアガリ易さでいえばマンズ待ちとしたいが、親の仲田にドラで放銃してしまうと1戦目とはいえ決勝進出が遠のいてしまう。
難しい選択となったが、魚谷が選択したのは打六万切りリーチ。ドラの二筒に賭けた。
しかし二筒は親のリーチが3枚使ってしまっている。仲田の待ち牌も山にはない。
2件リーチも流局かと思われたが、手詰まった大平が苦しい形から仲田に12,000の放銃。
魚谷にも大平にとっても、非常に難しい選択を迫られた局となってしまった。

東3局1本場

続く仲田の親番。ここでも最初に動いたのは仲田。
魚谷の切ったダブ東をポンして4巡目にこの形。

三万八万九万五索五索一筒二筒三筒南南  ポン東東東  ドラ五索

またしても12,000点が見える手を、積極的に仕掛けていく。
しかし最初にテンパイしたのは北家・高宮。

七万七万八万八万一索二索二索五索五索九索九索七筒七筒

7巡目、生牌の一索単騎をヤミテンとする。
そして同巡、南家の大平も七対子テンパイ。

四万四万六万六万九万九万一索一索三索三索八筒八筒中

ポイントの欲しい大平、ここはリーチといく。
そして次巡、西家の魚谷もテンパイ。

一万二万三万四万五万六万七索八索三筒三筒三筒七筒七筒

六索九索待ちで追い掛けリーチといく。
9巡目にして3人テンパイ。しかも注目すべきは、トイツ手にせよメンツ手にせよ、各者与えられた配牌から最速のテンパイだということだ。
各者のこの戦いに対する集中力がみてとれる。

しかし3巡後、手を開いたのは親の仲田。

一万二万三万五索五索二筒三筒四筒南南  ポン東東東

この手を魚谷から12,000は12,300。強すぎる仲田が、下位2人にポイントを与えない。
このまま南場にも4,000オールをアガリ、1人プラスの大きな大きなトップで終了。

1回戦結果
仲田+54.5P 魚谷▲4.1P 高宮▲16.7P 大平▲34.7P

 

プレーオフ2回戦
朝倉+44.5P 和泉+25.4P 二階堂+16.6P 宮内+15.8P

仲田の大爆発によって、いくぶん楽になった2回戦卓の4人。
1回戦の結果を受け、2位朝倉・3位和泉・4位二階堂・5位宮内の対決となったが、こちらの卓はポイントが大きく離れていない分、1回1回の着順が大切な戦いになってくるだろう。

東2局、9巡目、北家の朝倉が先行リーチ。

三万四万四万五万五万四索五索六索三筒三筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ西

2巡前にドラの西も切り、ポイント的にも上位の朝倉からの先制。受ける側も愚形のリーチではないことは十分に分かる。
そこに、13巡目迂回しながら手を作っていた亜樹がこの形。

四万六万三索四索五索四筒四筒五筒六筒七筒白白白

朝倉には通っていない九索を押して現物待ちのカンチャンテンパイ。続けて無筋の二筒も切っていく。
しかし16巡目、残りツモ3回のところで引いてきたのはアタリ牌の三万。アガリについてだけ考えるなら六万を切ってのリャンメン変化の牌だがここで亜樹の手が止まる。
そして少考の末、手を掛けたのは暗刻の白
ぎりぎりまで押すも、アタリ牌をピタリと止める形となった。

そして次巡、朝倉がラス牌の六万を引き1,300・2,600のアガリ。

 

100

 

開かれた手を見た亜樹の表情は、安堵か落胆か。

南2局1本場

親の和泉の手、何を切るか難しい。

 

100

 

七対子の1シャンテンだが、メンツ手も見える手。八万は既に2枚場に切られ六万九万のターツも外しがたい。
ここで和泉が選択したのは八万。七対子とメンツ手、両方の可能性を残す選択をした。
そして5巡後、超大物手のテンパイを果たす。

一万一万一万三万三万三万六索六索七索七索七索一筒一筒  ドラ一索

この手をヤミテンとする。最高打点を見た見事な手作りをした和泉だったが、静かにテンパイを組んでいた亜樹に3,900は4,200の放銃となり局を終える。

そのまま好調の亜樹・朝倉が宮内・和泉を抑えつつ局をまわす。
オーラスも仕掛けた朝倉が親の宮内のリーチをかわし2,000・4,000をアガリ、半荘を終わらせた。

2回戦結果
亜樹+29.4P 朝倉+16.5P 宮内▲13.1P 和泉▲32.8P

ここまで、プレーオフ前半戦を終えてトータル成績は以下の通り。

1位 仲田加南 +138.6P
2位 朝倉ゆかり +60.7P
3位 二階堂亜樹 +46.0P
4位 宮内こずえ +2.7P
====決勝進出ボーダー====
5位 高宮まり +2.4P
6位 魚谷侑未 ▲6.8P
7位 和泉由希子 ▲7.4P
8位 大平亜季 ▲37.4P

 

プレーオフ3回戦
高宮+2.4P  仲田+138.6P 大平▲37.4P 宮内+2.7P

決勝進出ボーダーである宮内・高宮の順位争いと、そして現在は最下位となってしまっている大平がこの2人をかわして上位に上がる可能性をどれだけ作れるかが半荘のポイントとなる。

東2局1本場

南家・大平が先行テンパイ。

四万五万六万二索三索四索四筒四筒六筒七筒八筒中中  ドラ三筒

この手を10巡目に先行リーチとするが、同巡、西家・宮内にもテンパイが入る。

七万八万七索八索九索一筒二筒三筒九筒九筒九筒白白

序盤に打たれた白を鳴かずに面前で育てたこの手で追い掛けリーチ。
手がぶつかるが、終盤に宮内が九万をツモり3,000・6,000。高宮とのボーダー争いを一歩有利に進める。

南1局

 

100

 

高宮にドラ3の手が入る。南場の親番、ラス目、アガリ逃ししたくないこの手をペンチャン外しでテンパイ取らずとする。
そして七万をツモってこの形。

二万三万四万五万六万七万七万八万三索四索西西西  ドラ西

そこに一番乗りのリーチは西家・大平。

一万二万三万八万九万二筒三筒四筒六筒六筒中中中  リーチ

入り目によっては、高宮のテンパイ打牌で七万が出てしまう。
そしてトップ目・宮内もテンパイ。

三万四万五万二索二索四索五索七索七索七索三筒四筒西  ツモ六索

西家の大平の一発目だけに西も切りづらいかと思われたが、躊躇なく切ってヤミテン。
そして9巡目、高宮も三索を引いてようやくのテンパイ。

二万三万四万五万六万七万七万八万三索三索西西西

追い掛けリーチとするも、すぐに宮内が五筒をツモって500・1,000。
度胸のあるドラ切りが、高宮・大平の勝負手を蹴ってゆく形となった。

このアガリで6万点を超えた宮内が、オーラスの親番でもドラ単騎などをツモり8万点オーバーのトップ。力強い麻雀で2位の朝倉までをかわし決勝進出をほぼ確実なものとした。
一方、前回優勝者高宮と現女流最高位大平は苦しい展開になったこの2戦で、女流日本シリーズプレーオフ敗退となってしまった。

3回戦結果
宮内+66.7P 大平▲6.7P 仲田▲17.3P 高宮▲43.4P

 

プレーオフ4回戦
亜樹+46.0P 朝倉+60.7P 和泉▲7.4P 魚谷▲6.8P

ここまで、長かった決勝進出者を決める戦いもこれで最終戦。メンバーは4位亜樹・3位朝倉・6位和泉・5位魚谷。3回戦で宮内が大きくポイントを伸ばしたため、亜樹が決勝進出ボーダーとなった。とはいえ、4位と5位の差が50Pあるので、朝倉・亜樹にとっては大きな失点を防ぎながらきょう局を進める戦いに、そして下位の魚谷・和泉にとっては彼女たちに楽な局まわしをさせないように、場を作りゲームを作りながらチャンスを切り開いていかねばならない戦いとなってゆくだろう。

東4局

8巡目、西家・朝倉がテンパイ

二万二万五万五万八万八万六索六索四筒四筒白発発  ドラ白

すぐに白をツモり2,000・4,000。大きなアガリで魚谷の親を落としてゆく。

南2局

10巡目、先行テンパイは親番・朝倉。

七万八万九万三索四索五索五索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ六筒

この手をヤミテンとすると、すぐに西家・魚谷がリーチ。

七万八万九万四索四索五索六索一筒二筒三筒白白白  リーチ

これを受け13巡目、北家・亜樹の手がこちら。

 

100

 

東南ともに1枚切れ、役有りとなるNは魚谷の現物だ。ポイントの差を考えるとここはヤミテンに構えるかと思われたが、亜樹の選択は追い掛けリーチ!

3巡後、亜樹がツモり上げたのは高目の南。裏ドラも乗って2,000・4,000のアガリ。
逃げる立場の朝倉・亜樹だったが、その後も力強い麻雀で自らの力で決勝進出を決める。
モンド王座・魚谷と、特別推薦の和泉はここで悔しい敗退となった。

4回戦結果
朝倉+23.0P 亜樹+11.3P 魚谷▲10.8P 和泉▲23.5P

以上を以って、女流麻雀日本シリーズのプレーオフが終了した。
最終結果は以下の通り。

 

システム

■予選全20回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦

プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) 84.1 54.5 ▲ 17.3 121.3
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 44.2 16.5 23.0 83.7
3 宮内 こずえ(プロクイーン) 15.8 ▲ 13.1 66.7 69.4
4 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 16.6 29.4 11.3 57.3
5 魚谷 侑未(モンド王座優勝) ▲ 2.7 ▲ 4.1 ▲ 10.8 ▲ 17.6
6 和泉由希子(連盟会長推薦) 25.4 ▲ 32.8 ▲ 23.5 ▲ 30.9
7 高宮 まり(前年度優勝) 19.1 ▲ 16.7 ▲ 43.4 ▲ 41.0
8 大平 亜季(女流最高位) 17.3 ▲ 34.7 ▲ 6.0 ▲ 43.4

※ペナルティ込み

予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) ▲ 10.0 45.9 ▲ 25.5 11.4 6.9 24.4 41.4 ▲ 10.4 84.1
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 7.0 5.8 ▲ 12.6 ▲ 9.4 8.8 8.8 25.3 10.5 44.2
3 和泉由希子(連盟会長推薦) ▲ 40.9 80.9 29.1 ▲ 27.1 ▲ 28.9 ▲ 23.9 31.2 5.0 25.4
4 高宮 まり(前年度優勝) ▲ 20.2 11.5 ▲ 11.9 6.9 28.4 ▲ 18.4 ▲ 7.7 30.5 19.1
5 大平 亜季(女流最高位) 23.2 7.9 46.2 48.5 ▲ 28.4 ▲ 35.8 ▲ 14.7 ▲ 29.6 17.3
6 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 24.5 ▲ 2.2 ▲ 2.9 26.3 ▲ 26.5 3.6 4.1 ▲ 10.3 16.6
7 宮内 こずえ(プロクイーン) ▲ 9.1 ▲ 47.1 23.2 ▲ 15.1 ▲ 13.3 38.7 7.8 30.7 15.8
8 魚谷 侑未(モンド王座優勝) 12.5 0.8 4.4 14.2 ▲ 43.7 7.1 22.6 ▲ 20.6 ▲ 2.7
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 37.5 ▲ 8.0 ▲ 23.7 ▲ 30.5 ▲ 4.8 ▲ 21.2 ▲ 19.3 ▲ 20.6 ▲ 90.6
10 大崎初音(ファン投票1位) ▲ 93.2 ▲ 4.6 24.2 ▲ 6.7 15.5 ▲ 33.8 ▲ 7.4 ▲ 25.2 ▲ 131.2

 

決勝進出者は仲田加南、宮内こずえ、朝倉ゆかり、二階堂亜樹の4名に決定した。
ここまで24戦にわたる女流プロナンバーワンを決める戦いも、あとは決勝の1日を残すのみ。
最後まで、彼女たちの戦いから目が離せない。

麻雀日本シリーズ/女流プロ麻雀日本シリーズ2017 プレーオフレポート 楠原 遊

女流プロ麻雀日本シリーズ2017のプレーオフが行われた。
予選までの成績は以下の通り。
1位 仲田加南 +84.1P
2位 朝倉ゆかり +44.2P
3位 和泉由希子 +25.4P
4位 高宮まり +19.1P
5位 二階堂亜樹 +16.6P
6位 宮内こずえ +15.8P
7位 大平亜季 ▲2.7P
8位 魚谷侑未 ▲2.7P
※プレーオフ全4回戦(各自2回対局)は予選までのポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
※ルールに関してはこちら→女流プロ麻雀日本シリーズ2017第1節レポートを参照
プレーオフの組み合わせは以下の通り。
1回戦:仲田加南vs高宮まりvs大平亜季vs魚谷侑未
2回戦:朝倉ゆかりvs和泉由希子vs二階堂亜樹vs宮内こずえ
3回戦:1位vs4位vs5位vs8位
4回戦:2位vs3位vs6位vs7位
ここから、決勝進出をかけた8名での戦いがはじまる。
プレーオフ1回戦
魚谷▲2.7P 高宮+19.1P 仲田+84.1P 大平▲2.7P
ポイントでアタマひとつ抜けている仲田。プレーオフは2戦で決勝までのポイント持ち越しもないため決勝進出の見込みはかなり高い。
一方、進出ボーダーとなる高宮、そしてポイント下位の大平・魚谷がどのように道を切り開いてゆくのか、注目していきたい。
東3局
8巡目、親番の仲田から強烈なリーチが入る。
五万六万二索三索四索一筒二筒二筒二筒三筒三筒四筒五筒  リーチ  ドラ二筒
親のピンフドラ3。4枚切れのリャンメンを少し迷ってリーチ。
立場が違う大平や魚谷ならどうしてもアガリたいリーチだが、仲田にはポイント的な余裕がある。
決めにいったのか、それとも局を長引かせることを選択したか。
11巡目、丁寧に手を作っていた西家魚谷にもテンパイが入る。
 
100
 
ドラを切っての高目リャンペーコー、もしくは仲田の中筋の六万を切ってのドラ単騎の七対子。九万は4枚切れなので、河に見える待ち牌の数は同じ。
マンズが安くアガリ易さでいえばマンズ待ちとしたいが、親の仲田にドラで放銃してしまうと1戦目とはいえ決勝進出が遠のいてしまう。
難しい選択となったが、魚谷が選択したのは打六万切りリーチ。ドラの二筒に賭けた。
しかし二筒は親のリーチが3枚使ってしまっている。仲田の待ち牌も山にはない。
2件リーチも流局かと思われたが、手詰まった大平が苦しい形から仲田に12,000の放銃。
魚谷にも大平にとっても、非常に難しい選択を迫られた局となってしまった。
東3局1本場
続く仲田の親番。ここでも最初に動いたのは仲田。
魚谷の切ったダブ東をポンして4巡目にこの形。
三万八万九万五索五索一筒二筒三筒南南  ポン東東東  ドラ五索
またしても12,000点が見える手を、積極的に仕掛けていく。
しかし最初にテンパイしたのは北家・高宮。
七万七万八万八万一索二索二索五索五索九索九索七筒七筒
7巡目、生牌の一索単騎をヤミテンとする。
そして同巡、南家の大平も七対子テンパイ。
四万四万六万六万九万九万一索一索三索三索八筒八筒中
ポイントの欲しい大平、ここはリーチといく。
そして次巡、西家の魚谷もテンパイ。
一万二万三万四万五万六万七索八索三筒三筒三筒七筒七筒
六索九索待ちで追い掛けリーチといく。
9巡目にして3人テンパイ。しかも注目すべきは、トイツ手にせよメンツ手にせよ、各者与えられた配牌から最速のテンパイだということだ。
各者のこの戦いに対する集中力がみてとれる。
しかし3巡後、手を開いたのは親の仲田。
一万二万三万五索五索二筒三筒四筒南南  ポン東東東
この手を魚谷から12,000は12,300。強すぎる仲田が、下位2人にポイントを与えない。
このまま南場にも4,000オールをアガリ、1人プラスの大きな大きなトップで終了。
1回戦結果
仲田+54.5P 魚谷▲4.1P 高宮▲16.7P 大平▲34.7P
 
プレーオフ2回戦
朝倉+44.5P 和泉+25.4P 二階堂+16.6P 宮内+15.8P
仲田の大爆発によって、いくぶん楽になった2回戦卓の4人。
1回戦の結果を受け、2位朝倉・3位和泉・4位二階堂・5位宮内の対決となったが、こちらの卓はポイントが大きく離れていない分、1回1回の着順が大切な戦いになってくるだろう。
東2局、9巡目、北家の朝倉が先行リーチ。
三万四万四万五万五万四索五索六索三筒三筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ西
2巡前にドラの西も切り、ポイント的にも上位の朝倉からの先制。受ける側も愚形のリーチではないことは十分に分かる。
そこに、13巡目迂回しながら手を作っていた亜樹がこの形。
四万六万三索四索五索四筒四筒五筒六筒七筒白白白
朝倉には通っていない九索を押して現物待ちのカンチャンテンパイ。続けて無筋の二筒も切っていく。
しかし16巡目、残りツモ3回のところで引いてきたのはアタリ牌の三万。アガリについてだけ考えるなら六万を切ってのリャンメン変化の牌だがここで亜樹の手が止まる。
そして少考の末、手を掛けたのは暗刻の白
ぎりぎりまで押すも、アタリ牌をピタリと止める形となった。
そして次巡、朝倉がラス牌の六万を引き1,300・2,600のアガリ。
 
100
 
開かれた手を見た亜樹の表情は、安堵か落胆か。
南2局1本場
親の和泉の手、何を切るか難しい。
 
100
 
七対子の1シャンテンだが、メンツ手も見える手。八万は既に2枚場に切られ六万九万のターツも外しがたい。
ここで和泉が選択したのは八万。七対子とメンツ手、両方の可能性を残す選択をした。
そして5巡後、超大物手のテンパイを果たす。
一万一万一万三万三万三万六索六索七索七索七索一筒一筒  ドラ一索
この手をヤミテンとする。最高打点を見た見事な手作りをした和泉だったが、静かにテンパイを組んでいた亜樹に3,900は4,200の放銃となり局を終える。
そのまま好調の亜樹・朝倉が宮内・和泉を抑えつつ局をまわす。
オーラスも仕掛けた朝倉が親の宮内のリーチをかわし2,000・4,000をアガリ、半荘を終わらせた。
2回戦結果
亜樹+29.4P 朝倉+16.5P 宮内▲13.1P 和泉▲32.8P
ここまで、プレーオフ前半戦を終えてトータル成績は以下の通り。
1位 仲田加南 +138.6P
2位 朝倉ゆかり +60.7P
3位 二階堂亜樹 +46.0P
4位 宮内こずえ +2.7P
====決勝進出ボーダー====
5位 高宮まり +2.4P
6位 魚谷侑未 ▲6.8P
7位 和泉由希子 ▲7.4P
8位 大平亜季 ▲37.4P
 
プレーオフ3回戦
高宮+2.4P  仲田+138.6P 大平▲37.4P 宮内+2.7P
決勝進出ボーダーである宮内・高宮の順位争いと、そして現在は最下位となってしまっている大平がこの2人をかわして上位に上がる可能性をどれだけ作れるかが半荘のポイントとなる。
東2局1本場
南家・大平が先行テンパイ。
四万五万六万二索三索四索四筒四筒六筒七筒八筒中中  ドラ三筒
この手を10巡目に先行リーチとするが、同巡、西家・宮内にもテンパイが入る。
七万八万七索八索九索一筒二筒三筒九筒九筒九筒白白
序盤に打たれた白を鳴かずに面前で育てたこの手で追い掛けリーチ。
手がぶつかるが、終盤に宮内が九万をツモり3,000・6,000。高宮とのボーダー争いを一歩有利に進める。
南1局
 
100
 
高宮にドラ3の手が入る。南場の親番、ラス目、アガリ逃ししたくないこの手をペンチャン外しでテンパイ取らずとする。
そして七万をツモってこの形。
二万三万四万五万六万七万七万八万三索四索西西西  ドラ西
そこに一番乗りのリーチは西家・大平。
一万二万三万八万九万二筒三筒四筒六筒六筒中中中  リーチ
入り目によっては、高宮のテンパイ打牌で七万が出てしまう。
そしてトップ目・宮内もテンパイ。
三万四万五万二索二索四索五索七索七索七索三筒四筒西  ツモ六索
西家の大平の一発目だけに西も切りづらいかと思われたが、躊躇なく切ってヤミテン。
そして9巡目、高宮も三索を引いてようやくのテンパイ。
二万三万四万五万六万七万七万八万三索三索西西西
追い掛けリーチとするも、すぐに宮内が五筒をツモって500・1,000。
度胸のあるドラ切りが、高宮・大平の勝負手を蹴ってゆく形となった。
このアガリで6万点を超えた宮内が、オーラスの親番でもドラ単騎などをツモり8万点オーバーのトップ。力強い麻雀で2位の朝倉までをかわし決勝進出をほぼ確実なものとした。
一方、前回優勝者高宮と現女流最高位大平は苦しい展開になったこの2戦で、女流日本シリーズプレーオフ敗退となってしまった。
3回戦結果
宮内+66.7P 大平▲6.7P 仲田▲17.3P 高宮▲43.4P
 
プレーオフ4回戦
亜樹+46.0P 朝倉+60.7P 和泉▲7.4P 魚谷▲6.8P
ここまで、長かった決勝進出者を決める戦いもこれで最終戦。メンバーは4位亜樹・3位朝倉・6位和泉・5位魚谷。3回戦で宮内が大きくポイントを伸ばしたため、亜樹が決勝進出ボーダーとなった。とはいえ、4位と5位の差が50Pあるので、朝倉・亜樹にとっては大きな失点を防ぎながらきょう局を進める戦いに、そして下位の魚谷・和泉にとっては彼女たちに楽な局まわしをさせないように、場を作りゲームを作りながらチャンスを切り開いていかねばならない戦いとなってゆくだろう。
東4局
8巡目、西家・朝倉がテンパイ
二万二万五万五万八万八万六索六索四筒四筒白発発  ドラ白
すぐに白をツモり2,000・4,000。大きなアガリで魚谷の親を落としてゆく。
南2局
10巡目、先行テンパイは親番・朝倉。
七万八万九万三索四索五索五索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ六筒
この手をヤミテンとすると、すぐに西家・魚谷がリーチ。
七万八万九万四索四索五索六索一筒二筒三筒白白白  リーチ
これを受け13巡目、北家・亜樹の手がこちら。
 
100
 
東南ともに1枚切れ、役有りとなるNは魚谷の現物だ。ポイントの差を考えるとここはヤミテンに構えるかと思われたが、亜樹の選択は追い掛けリーチ!
3巡後、亜樹がツモり上げたのは高目の南。裏ドラも乗って2,000・4,000のアガリ。
逃げる立場の朝倉・亜樹だったが、その後も力強い麻雀で自らの力で決勝進出を決める。
モンド王座・魚谷と、特別推薦の和泉はここで悔しい敗退となった。
4回戦結果
朝倉+23.0P 亜樹+11.3P 魚谷▲10.8P 和泉▲23.5P
以上を以って、女流麻雀日本シリーズのプレーオフが終了した。
最終結果は以下の通り。
 
システム
■予選全20回戦(各自8回対局)を行いポイント上位8名がプレーオフ進出
■プレーオフ全4回戦(各自2回対局)ポイントを持ち越し上位4名が決勝進出
■決勝全4回戦
プレーオフ成績

順位 名前 予選合計 プレーオフ1回戦 プレーオフ2回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) 84.1 54.5 ▲ 17.3 121.3
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 44.2 16.5 23.0 83.7
3 宮内 こずえ(プロクイーン) 15.8 ▲ 13.1 66.7 69.4
4 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 16.6 29.4 11.3 57.3
5 魚谷 侑未(モンド王座優勝) ▲ 2.7 ▲ 4.1 ▲ 10.8 ▲ 17.6
6 和泉由希子(連盟会長推薦) 25.4 ▲ 32.8 ▲ 23.5 ▲ 30.9
7 高宮 まり(前年度優勝) 19.1 ▲ 16.7 ▲ 43.4 ▲ 41.0
8 大平 亜季(女流最高位) 17.3 ▲ 34.7 ▲ 6.0 ▲ 43.4

※ペナルティ込み
予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 合計
1 仲田加南(女流桜花) ▲ 10.0 45.9 ▲ 25.5 11.4 6.9 24.4 41.4 ▲ 10.4 84.1
2 朝倉ゆかり(女流雀王) 7.0 5.8 ▲ 12.6 ▲ 9.4 8.8 8.8 25.3 10.5 44.2
3 和泉由希子(連盟会長推薦) ▲ 40.9 80.9 29.1 ▲ 27.1 ▲ 28.9 ▲ 23.9 31.2 5.0 25.4
4 高宮 まり(前年度優勝) ▲ 20.2 11.5 ▲ 11.9 6.9 28.4 ▲ 18.4 ▲ 7.7 30.5 19.1
5 大平 亜季(女流最高位) 23.2 7.9 46.2 48.5 ▲ 28.4 ▲ 35.8 ▲ 14.7 ▲ 29.6 17.3
6 二階堂 亜樹(女流モンド杯優勝) 24.5 ▲ 2.2 ▲ 2.9 26.3 ▲ 26.5 3.6 4.1 ▲ 10.3 16.6
7 宮内 こずえ(プロクイーン) ▲ 9.1 ▲ 47.1 23.2 ▲ 15.1 ▲ 13.3 38.7 7.8 30.7 15.8
8 魚谷 侑未(モンド王座優勝) 12.5 0.8 4.4 14.2 ▲ 43.7 7.1 22.6 ▲ 20.6 ▲ 2.7
9 和久津 晶(連盟会長推薦) 37.5 ▲ 8.0 ▲ 23.7 ▲ 30.5 ▲ 4.8 ▲ 21.2 ▲ 19.3 ▲ 20.6 ▲ 90.6
10 大崎初音(ファン投票1位) ▲ 93.2 ▲ 4.6 24.2 ▲ 6.7 15.5 ▲ 33.8 ▲ 7.4 ▲ 25.2 ▲ 131.2

 
決勝進出者は仲田加南、宮内こずえ、朝倉ゆかり、二階堂亜樹の4名に決定した。
ここまで24戦にわたる女流プロナンバーワンを決める戦いも、あとは決勝の1日を残すのみ。
最後まで、彼女たちの戦いから目が離せない。

第15期北関東リーグ 決勝レポート

鳳凰位決定戦やWRCリーグの熱い話題が絶えない2月某日、北関東プロリーグの決勝が行われた。
今期の決勝進出者が若手中心ということもあり、まずは選手紹介から。

1位通過
小川尚哉(22期)
第33期王位戦3位、グランプリ(2007)3位、更には特昇リーグ優勝など決勝での対戦経験は4人の中で最も豊富。
北関東プロリーグ準優勝、プロアマリーグでは優勝経験もあり、決勝常連組の1人。順当に考えれば大本命。
後輩3人に囲まれた今回の決勝戦、負けられない戦いである。本人曰く雀風は「なんでもやりたい型」。

2位通過
小暮智貴(31期)
第1回モンド新人戦3位。アマチュア時代に北関東プロアマリーグでの準優勝経験がある。
普段から麻雀では負けん気の強さを見せ、自他ともに認める攻撃型。麻雀以外では会社のマラソン部に所属しているそう。
5回戦という決勝戦の長丁場、持ち前の持久力を発揮することができるか。

3位通過
福田雄大(33期)
麻雀プロになって間もない彼にまだ決勝経験はない。雀風は「わかりません」。まだ自身の麻雀を模索中といったところか。
普段は麻雀卓販売の仕事をしているそう。麻雀に関わる職業を選び、麻雀プロの世界へ足を踏み入れ1年目で勝ち取った決勝戦への切符。優勝への思いは計り知れない。

4位通過
塚越裕次郎(28期)
アマチュア時代、北関東プロアマリーグの優勝経験あり。最近は雀風についてあまり意識していないとのこと。
普段は麻雀広告サイトの営業を生業とする彼は、今期で連盟を退会することになった。
今大会が最後の公式戦となるため、有終の美を飾るべく優勝を勝ち取りにいくに違いない。

 

1回戦 起家から塚越、小川、福田、木暮

この日、最初のアガリは東2局のこと。配牌に恵まれた西家の木暮が、

六万七万八万一索一索一索六索八索二筒四筒四筒東東  ドラ七索

この形に早くも5巡目で絶好のドラ七索を引き入れリーチ。程無くして福田から東が切られ、6,400は6,700のロンアガリ。気持ちの良いスタートを切る。

東3局、南家木暮が3巡目に中の一鳴きから、一気にマンズの一色手へと向かう。
4巡目にはカン四万チー、13巡目に南をポンしてこのテンパイ。

二万三万六万六万  ポン中中中  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  ポン南南南  ドラ九索

下家の木暮に対しマンズをぶつけ続けた親の福田も勝負手をテンパイ。

三索三索四索四索五索五索六索七索白白  ポン東東東

西家塚越も本日最初の勝負手をヤミテンに構えていた。

一万一万一万一索二索七索八索九索七筒八筒九筒発発

3者が静かにぶつかり合ったこの局を制したのも木暮。あっさり四万をツモり2,000・3,900。
誰の目にも好調に映っていたであろう木暮は、親を迎えた東4局も、一手変わり三色のタンピンのテンパイを入れヤミテンで押し続ける小川をリーチのみの2,000点で打ち取ることに成功する。
この日最初に親を連荘したのも木暮だった。
東3局1本場、木暮はさらにアグレッシブな攻撃を見せつける。
7巡目にチーしてテンパイ。

四万五万六万四筒四筒四筒五筒中中中  チー七筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ドラ六筒

同巡、下家の塚越の切った中を大明カン。嶺上からツモって来たのは三筒。塚越から7,700は8,000のアガリとなる。

しかし、放っておいたらどこまでも続きそうな木暮の時間を流しにかかったのは、この南家の塚越。

二万二万六万七万三索四索五索六索六索六索  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ドラ五万

好調を確信していたであろう木暮のリーチ宣言牌となったドラの五万を打ち取り2,000は2,000のアガリ。塚越にとってこの日の初アガリである。

南1局、木暮の親を落とすことに成功した塚越の親番。
6巡目の塚越、木暮、両者の手牌がこちら(ドラ中

塚越
八万八万七索七索一筒一筒二筒六筒九筒東南西中

木暮
三万四万五万五万六万五索六索七索八索五筒六筒発発

見ている方が苦しくなる塚越の手牌は、ドラの中も1枚浮いている。観戦者のほとんどが、木暮があっさりアガることを想像しただろう。案の定2巡後に四筒を引いた木暮はリーチに打って出る。しかし塚越も粘りを見せ、見事14巡目に七対子テンパイで木暮に追いつく。

八万八万五索五索七索七索一筒一筒東東南南中

迷いなく「リーチ」の発声。しかしツモ番が来ることなく木暮の500・1,000ツモアガリ。結果的に木暮のアガリとなったが、観戦者の目を引く塚越の粘りであった。

南3局には再び3者の手がぶつかる。
7巡目に四索ポンから仕掛けた親の福田が16巡目、西家塚越の切ったドラの七筒をポンしてテンパイ。

二万四万六索六索三筒四筒五筒  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き  ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 上向き  ドラ七筒

塚越は四暗刻1シャンテン。その後もツモ切りを続ける塚越に対しロンと発声をしたのはまたしても木暮。

南家
四万四万四万五万六万六万七万八万六索七索八索五筒六筒  ロン四筒

タンピンで2,000。

1回戦、好調者木暮が5万点を超える1人浮きのトップ。この半荘の主役となった。
対して小川はこの半荘アガリなし。しかし執念のテンパイ取りなどで小さな沈みの2着につけているのは流石である。

1回戦終了時
木暮+36.8P 小川▲4.4P 塚越▲12.4P 福田▲20.0P

 

2回戦 起家から福田、木暮、小川、塚越

東1局、西家の小川が早い段階で1枚目の白から仕掛けにかかり、続けて北もポン、8巡目にカン二万をチーしてこの牌姿。

六万八万東中  ポン白白白  ポン北北北  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ドラ六万

自身としては一度もアガリがなく終わった1回戦での木暮の好調ぶりを見て、上家の木暮の警戒を煽るためか、苦しいながらもどうにかアガリをものにしようという意志か。
次巡、親の福田のリーチを受け、字牌を払いながら受けにまわる。
程無くして福田が高めの六万をツモり2,600オールのアガリ。

七万八万五索六索七索六筒七筒八筒九筒九筒九筒東東  ツモ六万

福田としてもマンズに寄せている小川の3フーロを見せられてからの六万九万待ちのリーチ、あっさりドラをツモることができ感触はよかったはずだ。

そして続く東1局1本場8巡目、小川にとって待ちに待ったこの日初のアガリが。

二万三万四万七万七万八万九万九万三索三索六筒七筒八筒  ツモ八万  ドラ三索

2,000・3,900は2,100・4,000。

この時北家の塚越もひっそりと勝負手を入れていた。

三万四万五万三索三索四索四索四索三筒三筒四筒五筒五筒

そして親の福田もタンピンイーペーコーの好形イ1シャンテン。

四万四万五万五万六万六万八万八万六索七索六筒七筒七筒

この半荘も4者の手がぶつかり合う予感がする。

東2局でも南家小川は4巡目でホンイツがすぐそこに見えるこの牌姿。

一筒二筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒東北北中中  ドラ六万

次巡八筒をツモると八筒を空切り。ターツが足りているので先に処理したと考えられるが、結果、小川の河はこのようになっていた。

九万 上向き四万 上向き五万 上向き五索 上向き八筒 上向き東
一筒 上向き九索 上向き九索 上向き

変則手には見えるが、東切りが他家に合わせて切られており、速度や手役が判断しにくい。そして7巡目に中ポンでテンパイ。

二筒二筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒北北  ポン中中中

またも小川のアガリとなりそうな空気が流れる中、2巡後、北家福田からリーチが入る。

四万四万七万八万九万二索三索四索六索七索八索六筒七筒

これをヤミテンとしていたところに、注文通りドラの六万をひき、タンヤオ高め三色含みに振り替わりリーチ。安めではあるものの五筒を即ツモ、2,000・4,000のアガリとなった。

東3局、親を迎えた小川、ダブ東とドラの三筒がトイツ、そして1面子1両面と、大物手を予感させる配牌であったが、福田から塚越へ2,600横移動に終わる。小川の時間帯が来るのはまだもう少し先か。

南1局。北家の塚越は早い段階で1シャンテンに漕ぎつける。

一万二万三万五万六万七万七万八万一索三索三筒四筒五筒  ドラ六万

しかしここから有効牌を全く持ってこなくなる。私も普段実感することだが、不調の時は1シャンテンが異様に長い。そうした時、自分の不調さが改めて身に染みる。中終盤になりやっと引いてきた牌は八。テンパイ打牌となる七万はドラの跨ぎで切りにくく、切っても役なしテンパイではあるが、塚越はテンパイを取った。ドラ2枚使いの順子手や一通まで伸びる可能性も秘めていただけに納得のいく形ではないとは思うが、数巡後二索をツモり500・1,000。折り合いをつけながら我慢の麻雀を強いられている塚越、ぐっと堪えヤミテンで押してのこのアガリは打点以上の価値あるものに見受けられた。

南2局1本場、西家塚越はここで積極的な攻撃に出る。8巡目に1枚目の白を仕掛けてから有効牌を立て続けに引き入れ、2巡後にこのテンパイ。

一索一索一索八索八索四筒五筒発発発  ポン白白白  ドラ三万

同巡八索もポンして四筒単騎に受けトイトイテンパイ。
実はこの時南家小川に大物手が入っていた。

三万三万四万五万六万三索四索五索六索六索六筒七筒八筒

北家の福田はドラ1枚使い、イーペーコー含みの1シャンテン。

一万一万二万二万二万三万八万八万五索六索二筒三筒四筒

親の木暮はチーしてタンヤオテンパイ

二索二索二索五索五索六索七索八索三筒四筒  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き

塚越の仕掛けに対し3者は一歩も引かなかった。
さらに塚越は発を大明カン。嶺上からツモって来たのは五筒。木暮の当たり牌である。五筒単騎に受けていれば…しかし塚越は表情を変えない。自分の不調を受け入れ、自然体で麻雀と向き合っているように見える。

その後塚越は南2局2本場で3,200は3,800、南3局で1,300、2,600をアガリ。少しずつ復調が見られた頃にオーラスで親番を迎える。
トップ目の福田は36,700、塚越は33,600、その差3,100点。
中盤にきて塚越はドラの四万をポンしタンヤオドラ3のテンパイを入れる。
対する福田は次の牌姿から三索を切り三色を狙う。

五万六万七万三索五索七索一筒二筒三筒六筒七筒九筒九筒中  ドラ四万

上家塚越の切った六索をチーしてテンパイ。五筒をツモり300・500のアガリ。トップを守りきった。
1回戦目1人浮きのトップだった木暮は2回戦で1人沈みのラス、また4着だった福田がトップをとったことで混戦模様となった。

2回戦結果(2回戦終了時トータル)
木暮▲23.6P(+13.2P)
小川+1.7P (▲2.7P)
福田+15.8P(▲4.2P)
塚越+6.1P (▲6.3P)

 

3回戦 起親から塚越、木暮、小川、福田

東1局、西家小川が先制リーチ。

一万四索四索四筒四筒五筒五筒七筒七筒東東北北  リーチ  ドラ四筒

福田から8,000のアガリ。

しかし若手選手の勢いも衰えない。東4局福田がピンズを1枚も余らせることなくこのテンパイ、塚越から5,800のアガリ。

二筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒六筒八筒九筒  ポン発発発  ロン七筒

続く2本場でも福田は4巡目に先制リーチを打つ。テンパイの入った塚越から3,900は4,200のアガリ。

一万二万四万五万六万一索一索四索四索四索五筒六筒七筒  リーチ  ロン三万  ドラ五筒

塚越には苦しい展開の幕開けかと思われた。

しかし次局、塚越は跳満を引きアガる。

二万二万七万七万九万九万三索三索六索六索九筒九筒東東西  リーチ  ツモ西  ドラ西

これでまた混戦模様である。

南2局1本場、ここまでしばらく静かだった木暮の親番である。21,900持ちの4着目、ここは積極的にアガリを目指したいところ。僅か7巡で三色テンパイ。

七万八万九万二索二索七索八索九索一筒二筒三筒八筒九筒  ドラ白

七筒は場に2枚切れ、小川と福田の手に1枚ずつで山には残っていない。小川はメンツで使っていたが、福田は手が進むにつれ五筒七筒のカンチャンターツに手がかかり木暮に3,900は4,200の放銃。点数状況的にリーチを選択する打ち手もいるとは思うが、今回はリーチがかかればアガリは無かったと考えられるだけにこの木暮の冷静な選択が吉と出た。

その後も1,500は1,800、2,000は2,900と細かいながらもアガリを重ね連荘し浮きに回ることに成功する。

南4局、北家木暮が4巡目でこの牌姿からドラをリリース。

三万三万六万六万七万七万四索五索六索四筒六筒北発発  ドラ北

トイツ手もまだ否定できず、カンチャンターツも残っており、北を切っても発を暗刻にするかポンしない限り役も見えないだけに、ドラを切らないうち手が多いのではないかと思う。アガリたい気持ちが強く伺えた。自身が北家ということも切りやすい要素となっていたか。しかしこの北を西家塚越がポン。

四万五万六万二索四索五索八索四筒六筒白  ポン北北北

なんとか三色へ持っていきたい2シャンテン。
そこへ8巡目に親の福田がリーチを被せるが、それらを掻い潜り小川が400・700ツモ。
東場での加点を守り抜き、最後も他家をかわしてトップを守り抜いた。トータルでも木暮と約7ポイント差に詰め寄る。

3回戦結果(3回戦終了時トータル)
木暮+9.1P (+22.3P)
小川+18.1P(+15.4P)
塚越▲7.0P (▲13.3P)
福田▲20.2P(▲24.4P)

 

4回戦 起家から塚越、木暮、福田、小川

トータル首位の木暮と4着目福田は、1半荘で入れ替わる可能性も十分にあるポイント差。この4回戦がターニングポイントとなりそうである。

この半荘どうにかトップ、最低でもプラスが欲しい西家福田が東1局から積極的に仕掛けていく。

二索二索五筒六筒  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ドラ二索

親の塚越もプラスが欲しいのは同様だが、手牌がなかなか動かない。どうにかドラ単騎の七対子テンパイに漕ぎつけるが、間もなく福田が1,000・2,000をツモアガる。

トータル首位の木暮の勢いも衰えず、次局迎えた親番で2メンツ1両面とドラトイツの好配牌。わずか4巡でリーチ、4,000オールを決める。

一索二索三索五索六索七索一筒二筒三筒四筒五筒九筒九筒  リーチ  ツモ三筒  ドラ九筒

続く東2局でも木暮、福田の手がいい。親の木暮は白ポンテンもとれる形の1シャンテン。南家福田は役なしテンパイからドラを引き入れ役ありの5,200テンパイに振り替わる。

七万八万九万三索三索四索五索五索九索九索一筒二筒三筒  ドラ五索

一方小川と塚越は2人とも2フーロして1シャンテン。木暮の親番をどうにか落とすためにアガリへの道を探っているようだ。こういうとき、勢いや流れ、態勢などという目に見えないはずのものが実際に具現化されているように感じる。麻雀にはやはりそういった類のものが大いに影響しているとわたしは思っているし、このときも心のどこかで(やっぱり...)と思っていた。

結果、この局は木暮が白をポンして塚越から1,500は1,800をアガリ、福田の勝負手をかわし親番連荘に成功する。
続く東2局、西家小川が西をポンして木暮から1,000は1,600をアガリ、木暮の連荘を止めることに成功する。このときも木暮は中張牌だけで2メンツ1両面2トイツの超好配牌であった。

小川と木暮の勢いの差は誰の目にも明らかだった。しかしそれを揺るがすような局があった。
東3局1本場、北家木暮は6巡目にソーズのホンイツ1シャンテン。

二索二索四索四索五索六索七索七索八索九索南北北  ドラ四万

そこへ南家小川が9巡目に1,300のリーチ。

六万七万八万一索三索七索八索九索一筒一筒二筒三筒四筒  リーチ

木暮がソーズのホンイツということもありソーズはやや場に高いというだけでなく、木暮が字牌を余らせ始めた後のことである。ここが小川の強さなのではないかと思う。
対する木暮はリーチを受け、上記のホンイツ1シャンテンの牌姿に六万をツモってきて少考。確かに六万はドラ跨ぎで切りにくい牌ではあるが、木暮という選手の印象からすると六万をツモ切ってもおかしくない。実際小川への当たり牌二索は木暮からはほぼ出ない形になっている。ここも木暮がアガリきるのか。

しかし木暮は唯一の現物五索を抜いた。これには驚いた。ここまでの両者の態勢や、今までの木暮の攻めっぷりを見てきた観戦者はどう感じただろうか。
他に現物のない木暮の手牌。次巡一万をツモり、五索の筋を追って二索で1,300放銃となる。
失点こそ小さいものの、いつもの木暮なら当たり牌を使い切ってテンパイしアガリきるビジョンまで見える。そして、そうやってこの決勝への道を開拓してきたと私は思う。木暮としても決勝での戦い方を考えてのことだろう。しかし何かが変わりそうな気がした。4回戦まできてトータルトップ、この半荘もトップ目という現状、木暮に守りたい気持ちが出始めているように見受けられた。

次局、親番は前局見事1,300のアガリを決めた小川。
6巡目南家塚越から先行リーチが打たれる。

二万三万四万七万八万九万七索八索四筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ四万

塚越もここまで我慢が続いただけに、この勝負手で先手を打てたのは大きい。
しかし小川の手牌もまとまっており、9巡目に追いつきリーチ。

五万五万六万六万七万七万二索三索四索五索六索三筒三筒  リーチ

塚越が四索で11,600の放銃。塚越には苦しい時間帯が続く。対して小川は前々局の木暮の親番落とし、そして前局の1,300と流れを感じさせる大きなアガリである。もうひとアガリあれば木暮をかわせる、そんな勢いを感じた。

しかし次局アガったのは木暮。

三万三万三万四索五索六索二筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒  ドラ五筒

塚越から5,200は5,500のアガリでさらに加点し木暮が44,100持ちのトップ目。大抵のことでは揺るがないほどの態勢ができあがっているか、若しくは木暮は牌に愛されているのか、そんなことを思った。

南1局、痛い放銃が続いた塚越は3,000持ちのラス目で親番を迎えた。9巡目に両面2ターツのピンフ1シャンテン。しかしここから全くテンパイまで至らない。ギリギリのところでチーして形式テンパイをとりなんとか親番を維持する。続く1本場も2フーロでタンヤオテンパイを入れるがアガリには至らない。2本場で木暮が700・1,300は900・1,500をツモアガリ、塚越はアガリなく3着に大きく離されたラス目のまま親番を落としてしまう。

その後は大きな点数の変動はなく、勢い衰えない木暮はトップを守り切りリードを広げた。塚越は1人沈みのラス、トータルトップとは約97ポイント差と最終戦の条件は厳しいものになった。

4回戦結果(4回戦終了時トータル)
木暮+23.2P(+45.5P)
小川+4.1P (+19.5P)
福田+10.6P(▲13.8P)
塚越▲37.9P(▲51.2P)

 

最終戦 起親から小川、福田、塚越、木暮

東1局にアガリを決めたのは、中盤から勢いを見せ始めた福田の1,300・2,600。

二万二万四万五万六万一索二索三索四索五索六索二筒三筒  リーチ  ツモ四筒  ドラ二筒

福田は続く東2局親番を迎え、3,900オールをアガリしさらに加点。

しかしこの福田の親番を、トップ走者木暮が流しにかかる。

二索三索四索五筒五筒七筒八筒九筒白白  暗カン牌の背四筒 上向き四筒 上向き牌の背  ツモ白  ドラ北

800・1,600は1,000・1,800のアガリで原点近い2着目につける。この並びのまま終局とすると、福田は少なくともあと30ポイント以上素点で差をつけなければならないが、実際、福田は最終戦開始時から東2局までに計算上ポイント差をほぼ半分に詰めたことになる。後半に勢いを増してきた福田と守備態勢を強めた木暮。選手たちを見つめる観戦者たちの目が、勝負の行方を見守る。

東3局、西家小川が国士無双の1シャンテンという場面。気配がなかったか他家は字牌をノータイムで淡々とツモ切る。南家の木暮が3枚目の西を切った直後、小川の手に4枚目の西が舞い込み、2枚切れ白待ちの国士無双テンパイ。白を引いたら誰もがツモ切ろうという場面。しかしここはポンテンを入れていた親番塚越の1,000オールのアガリ。

四万五万六万四索五索三筒三筒五筒六筒七筒  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ツモ三索  ドラ四万

小川、塚越もまだ勝負を諦めてはいない。

続く東3局1本場、塚越は苦しいながらもなんとかテンパイを入れリーチ、ドラトイツの1シャンテンで押していた小川から2,000は2,300のアガリ。

一万二万三万一索二索三索八索八索四筒五筒六筒七筒九筒  リーチ  ロン八筒  ドラ四万

ところが2本場ではツモがかみ合わず、2フーロして粘るが痛恨のノーテンで親が流れる。塚越はまだ原点を割る3着目、南場の親番での大逆転に賭けることになる。

東4局、トータルトップ目の木暮の親番。木暮は10巡目にチーテンをとることを選択する。

六万七万八万六索八索二筒三筒四筒西西  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き  ドラ一万

西のトイツを守備要素とみなしてのテンパイ取りか。現状のポイント差を考えると1,500点のアガリで自身の親番を1局増やすより、失点を抑えて親番を消化する選択もあるように思える。他家からのリーチやテンパイ気配があればアガリの構えか。
この仕掛けにかぶせるように北家の塚越がドラ単騎七対子のリーチ。

一万二索二索七索七索九索九索六筒六筒東東中中  リーチ

この日1日で、苦しい手牌からどうにかドラ単騎の七対子テンパイに漕ぎつけた塚越を何度見ただろう。そしてこのリーチを掻い潜りテンパイを入れたのは小川。

一万一万二万二万三万三筒四筒五筒七筒七筒北北北

これに対し木暮は西のトイツ落としで受け、塚越、小川の2人テンパイで流局。勝負はいよいよ最終戦南場へ突入する。

南1局4本場、20,800持ち4着目で親番を迎えた小川はここが勝負どころ。7巡目で

二索三索四索九索九索九索一筒一筒三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ四万

この3面張リーチを打つが結果は福田に1,300は2,500の放銃。最後の親番も流れ、このあとは条件との兼ね合いの手組を組むことを強いられることとなる。

南2局、最後の親番を迎えた福田はなかなかアガリに結びつかないもののテンパイを入れ連荘。
2本場で福田は7巡目のピンフテンパイをヤミテンに構え、小川から1,500は2,100と供託のリーチ棒で4,100点の加点。
この時点で福田は木暮まであと13ポイント。親番継続中の福田にとって大チャンス。

3本場、小川が11巡目にピンフドラ1のリーチ。

一万二万三万四万五万六万二索二索三筒四筒四筒五筒六筒  ドラ六筒

流局が近づく16巡目、西家の木暮がチーテンをとる。次巡、木暮のツモは九索。ノータイムでツモ切った木暮の九索に塚越がロンの発声。

「12,000は12,900」

四万四万四万八索八索八索九索九索六筒六筒北北北  ドラ六筒

四暗刻が食い流れた。この放銃により木暮は4着目へ。トータルで福田に逆転される。その差3.6ポイント。

南3局、前局にその場が騒然とするアガリを見せた塚越の親番、わたしは密かに奇跡の大連荘を期待した。

四万五万八索八索一筒二筒三筒四筒五筒五筒七筒八筒西

九筒チーしドラの西を切ると、最終局条件を残したい西家小川がこれをポン。小川が2,000・3,900をツモアガリる。

六万七万八万六索八索六筒六筒  ポン西西西  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き

南4局、福田を追いかける立場となった木暮の親番。
まずは仕掛けてタンヤオの1,500を小川からアガリ。

四万五万五索五索二筒三筒四筒  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き

続く1本場、11巡目に木暮がリーチ。

三万三万四万五万六万一索三索五筒六筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  ドラ五筒

これに対し西家福田も優勝を決めに動く。

四万五万六万三筒三筒三筒五筒六筒七筒八筒  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き

しかし結果は、木暮が小川から3,900は4,200のアガリ。これで再び福田を逆転するが、その差2.1ポイント。
すっかり勢いを取り戻した木暮。次局5,800は6,400を小川からアガリ。

六万六万七万七万八万八万二索三索五索五索一筒二筒三筒  ロン一索  ドラ七索

木暮と小川の着順が入れ替わったことにより、木暮は福田に12.5ポイントの差をつけた。

最終局、福田はさっきまですぐそこにいた木暮を逆転するのに満貫ツモ条件となり、必死でその条件を満たす手組を探っていくが、ツモが効かない。
一方、一度は手放しそうになった優勝の2文字が、再びすぐそこに迫ってきている木暮の手は震えていた。

対局後に木暮は言った。
「内容は20点でした」
それを聞いて周りは笑ったが、木暮はこの優勝を糧にさらに進化するだろう。そしてこんな風に生きのいい若手選手が増えつつあることが、北関東支部の今後の発展の要となることは違いない。
そして退いていく者。彼もまた北関東支部で共に闘い、麻雀について熱く語り合い、何度も牌を交わした仲間である。新たな道での活躍を期待する。

最終戦結果(総合ポイント)
木暮▲14.7P(+30.8P)
福田+33.2P(+19.4P)
小川▲29.1P(▲9.6P)
塚越+10.6P(▲40.6P)

北関東プロリーグ レポート/第15期北関東リーグ 決勝レポート

鳳凰位決定戦やWRCリーグの熱い話題が絶えない2月某日、北関東プロリーグの決勝が行われた。
今期の決勝進出者が若手中心ということもあり、まずは選手紹介から。
1位通過
小川尚哉(22期)
第33期王位戦3位、グランプリ(2007)3位、更には特昇リーグ優勝など決勝での対戦経験は4人の中で最も豊富。
北関東プロリーグ準優勝、プロアマリーグでは優勝経験もあり、決勝常連組の1人。順当に考えれば大本命。
後輩3人に囲まれた今回の決勝戦、負けられない戦いである。本人曰く雀風は「なんでもやりたい型」。
2位通過
小暮智貴(31期)
第1回モンド新人戦3位。アマチュア時代に北関東プロアマリーグでの準優勝経験がある。
普段から麻雀では負けん気の強さを見せ、自他ともに認める攻撃型。麻雀以外では会社のマラソン部に所属しているそう。
5回戦という決勝戦の長丁場、持ち前の持久力を発揮することができるか。
3位通過
福田雄大(33期)
麻雀プロになって間もない彼にまだ決勝経験はない。雀風は「わかりません」。まだ自身の麻雀を模索中といったところか。
普段は麻雀卓販売の仕事をしているそう。麻雀に関わる職業を選び、麻雀プロの世界へ足を踏み入れ1年目で勝ち取った決勝戦への切符。優勝への思いは計り知れない。
4位通過
塚越裕次郎(28期)
アマチュア時代、北関東プロアマリーグの優勝経験あり。最近は雀風についてあまり意識していないとのこと。
普段は麻雀広告サイトの営業を生業とする彼は、今期で連盟を退会することになった。
今大会が最後の公式戦となるため、有終の美を飾るべく優勝を勝ち取りにいくに違いない。
 
1回戦 起家から塚越、小川、福田、木暮
この日、最初のアガリは東2局のこと。配牌に恵まれた西家の木暮が、
六万七万八万一索一索一索六索八索二筒四筒四筒東東  ドラ七索
この形に早くも5巡目で絶好のドラ七索を引き入れリーチ。程無くして福田から東が切られ、6,400は6,700のロンアガリ。気持ちの良いスタートを切る。
東3局、南家木暮が3巡目に中の一鳴きから、一気にマンズの一色手へと向かう。
4巡目にはカン四万チー、13巡目に南をポンしてこのテンパイ。
二万三万六万六万  ポン中中中  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き  ポン南南南  ドラ九索
下家の木暮に対しマンズをぶつけ続けた親の福田も勝負手をテンパイ。
三索三索四索四索五索五索六索七索白白  ポン東東東
西家塚越も本日最初の勝負手をヤミテンに構えていた。
一万一万一万一索二索七索八索九索七筒八筒九筒発発
3者が静かにぶつかり合ったこの局を制したのも木暮。あっさり四万をツモり2,000・3,900。
誰の目にも好調に映っていたであろう木暮は、親を迎えた東4局も、一手変わり三色のタンピンのテンパイを入れヤミテンで押し続ける小川をリーチのみの2,000点で打ち取ることに成功する。
この日最初に親を連荘したのも木暮だった。
東3局1本場、木暮はさらにアグレッシブな攻撃を見せつける。
7巡目にチーしてテンパイ。
四万五万六万四筒四筒四筒五筒中中中  チー七筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  ドラ六筒
同巡、下家の塚越の切った中を大明カン。嶺上からツモって来たのは三筒。塚越から7,700は8,000のアガリとなる。
しかし、放っておいたらどこまでも続きそうな木暮の時間を流しにかかったのは、この南家の塚越。
二万二万六万七万三索四索五索六索六索六索  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ドラ五万
好調を確信していたであろう木暮のリーチ宣言牌となったドラの五万を打ち取り2,000は2,000のアガリ。塚越にとってこの日の初アガリである。
南1局、木暮の親を落とすことに成功した塚越の親番。
6巡目の塚越、木暮、両者の手牌がこちら(ドラ中
塚越
八万八万七索七索一筒一筒二筒六筒九筒東南西中
木暮
三万四万五万五万六万五索六索七索八索五筒六筒発発
見ている方が苦しくなる塚越の手牌は、ドラの中も1枚浮いている。観戦者のほとんどが、木暮があっさりアガることを想像しただろう。案の定2巡後に四筒を引いた木暮はリーチに打って出る。しかし塚越も粘りを見せ、見事14巡目に七対子テンパイで木暮に追いつく。
八万八万五索五索七索七索一筒一筒東東南南中
迷いなく「リーチ」の発声。しかしツモ番が来ることなく木暮の500・1,000ツモアガリ。結果的に木暮のアガリとなったが、観戦者の目を引く塚越の粘りであった。
南3局には再び3者の手がぶつかる。
7巡目に四索ポンから仕掛けた親の福田が16巡目、西家塚越の切ったドラの七筒をポンしてテンパイ。
二万四万六索六索三筒四筒五筒  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き  ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 上向き  ドラ七筒
塚越は四暗刻1シャンテン。その後もツモ切りを続ける塚越に対しロンと発声をしたのはまたしても木暮。
南家
四万四万四万五万六万六万七万八万六索七索八索五筒六筒  ロン四筒
タンピンで2,000。
1回戦、好調者木暮が5万点を超える1人浮きのトップ。この半荘の主役となった。
対して小川はこの半荘アガリなし。しかし執念のテンパイ取りなどで小さな沈みの2着につけているのは流石である。
1回戦終了時
木暮+36.8P 小川▲4.4P 塚越▲12.4P 福田▲20.0P
 
2回戦 起家から福田、木暮、小川、塚越
東1局、西家の小川が早い段階で1枚目の白から仕掛けにかかり、続けて北もポン、8巡目にカン二万をチーしてこの牌姿。
六万八万東中  ポン白白白  ポン北北北  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ドラ六万
自身としては一度もアガリがなく終わった1回戦での木暮の好調ぶりを見て、上家の木暮の警戒を煽るためか、苦しいながらもどうにかアガリをものにしようという意志か。
次巡、親の福田のリーチを受け、字牌を払いながら受けにまわる。
程無くして福田が高めの六万をツモり2,600オールのアガリ。
七万八万五索六索七索六筒七筒八筒九筒九筒九筒東東  ツモ六万
福田としてもマンズに寄せている小川の3フーロを見せられてからの六万九万待ちのリーチ、あっさりドラをツモることができ感触はよかったはずだ。
そして続く東1局1本場8巡目、小川にとって待ちに待ったこの日初のアガリが。
二万三万四万七万七万八万九万九万三索三索六筒七筒八筒  ツモ八万  ドラ三索
2,000・3,900は2,100・4,000。
この時北家の塚越もひっそりと勝負手を入れていた。
三万四万五万三索三索四索四索四索三筒三筒四筒五筒五筒
そして親の福田もタンピンイーペーコーの好形イ1シャンテン。
四万四万五万五万六万六万八万八万六索七索六筒七筒七筒
この半荘も4者の手がぶつかり合う予感がする。
東2局でも南家小川は4巡目でホンイツがすぐそこに見えるこの牌姿。
一筒二筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒東北北中中  ドラ六万
次巡八筒をツモると八筒を空切り。ターツが足りているので先に処理したと考えられるが、結果、小川の河はこのようになっていた。
九万 上向き四万 上向き五万 上向き五索 上向き八筒 上向き東
一筒 上向き九索 上向き九索 上向き
変則手には見えるが、東切りが他家に合わせて切られており、速度や手役が判断しにくい。そして7巡目に中ポンでテンパイ。
二筒二筒二筒三筒四筒六筒七筒八筒北北  ポン中中中
またも小川のアガリとなりそうな空気が流れる中、2巡後、北家福田からリーチが入る。
四万四万七万八万九万二索三索四索六索七索八索六筒七筒
これをヤミテンとしていたところに、注文通りドラの六万をひき、タンヤオ高め三色含みに振り替わりリーチ。安めではあるものの五筒を即ツモ、2,000・4,000のアガリとなった。
東3局、親を迎えた小川、ダブ東とドラの三筒がトイツ、そして1面子1両面と、大物手を予感させる配牌であったが、福田から塚越へ2,600横移動に終わる。小川の時間帯が来るのはまだもう少し先か。
南1局。北家の塚越は早い段階で1シャンテンに漕ぎつける。
一万二万三万五万六万七万七万八万一索三索三筒四筒五筒  ドラ六万
しかしここから有効牌を全く持ってこなくなる。私も普段実感することだが、不調の時は1シャンテンが異様に長い。そうした時、自分の不調さが改めて身に染みる。中終盤になりやっと引いてきた牌は八。テンパイ打牌となる七万はドラの跨ぎで切りにくく、切っても役なしテンパイではあるが、塚越はテンパイを取った。ドラ2枚使いの順子手や一通まで伸びる可能性も秘めていただけに納得のいく形ではないとは思うが、数巡後二索をツモり500・1,000。折り合いをつけながら我慢の麻雀を強いられている塚越、ぐっと堪えヤミテンで押してのこのアガリは打点以上の価値あるものに見受けられた。
南2局1本場、西家塚越はここで積極的な攻撃に出る。8巡目に1枚目の白を仕掛けてから有効牌を立て続けに引き入れ、2巡後にこのテンパイ。
一索一索一索八索八索四筒五筒発発発  ポン白白白  ドラ三万
同巡八索もポンして四筒単騎に受けトイトイテンパイ。
実はこの時南家小川に大物手が入っていた。
三万三万四万五万六万三索四索五索六索六索六筒七筒八筒
北家の福田はドラ1枚使い、イーペーコー含みの1シャンテン。
一万一万二万二万二万三万八万八万五索六索二筒三筒四筒
親の木暮はチーしてタンヤオテンパイ
二索二索二索五索五索六索七索八索三筒四筒  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き
塚越の仕掛けに対し3者は一歩も引かなかった。
さらに塚越は発を大明カン。嶺上からツモって来たのは五筒。木暮の当たり牌である。五筒単騎に受けていれば…しかし塚越は表情を変えない。自分の不調を受け入れ、自然体で麻雀と向き合っているように見える。
その後塚越は南2局2本場で3,200は3,800、南3局で1,300、2,600をアガリ。少しずつ復調が見られた頃にオーラスで親番を迎える。
トップ目の福田は36,700、塚越は33,600、その差3,100点。
中盤にきて塚越はドラの四万をポンしタンヤオドラ3のテンパイを入れる。
対する福田は次の牌姿から三索を切り三色を狙う。
五万六万七万三索五索七索一筒二筒三筒六筒七筒九筒九筒中  ドラ四万
上家塚越の切った六索をチーしてテンパイ。五筒をツモり300・500のアガリ。トップを守りきった。
1回戦目1人浮きのトップだった木暮は2回戦で1人沈みのラス、また4着だった福田がトップをとったことで混戦模様となった。
2回戦結果(2回戦終了時トータル)
木暮▲23.6P(+13.2P)
小川+1.7P (▲2.7P)
福田+15.8P(▲4.2P)
塚越+6.1P (▲6.3P)
 
3回戦 起親から塚越、木暮、小川、福田
東1局、西家小川が先制リーチ。
一万四索四索四筒四筒五筒五筒七筒七筒東東北北  リーチ  ドラ四筒
福田から8,000のアガリ。
しかし若手選手の勢いも衰えない。東4局福田がピンズを1枚も余らせることなくこのテンパイ、塚越から5,800のアガリ。
二筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒六筒八筒九筒  ポン発発発  ロン七筒
続く2本場でも福田は4巡目に先制リーチを打つ。テンパイの入った塚越から3,900は4,200のアガリ。
一万二万四万五万六万一索一索四索四索四索五筒六筒七筒  リーチ  ロン三万  ドラ五筒
塚越には苦しい展開の幕開けかと思われた。
しかし次局、塚越は跳満を引きアガる。
二万二万七万七万九万九万三索三索六索六索九筒九筒東東西  リーチ  ツモ西  ドラ西
これでまた混戦模様である。
南2局1本場、ここまでしばらく静かだった木暮の親番である。21,900持ちの4着目、ここは積極的にアガリを目指したいところ。僅か7巡で三色テンパイ。
七万八万九万二索二索七索八索九索一筒二筒三筒八筒九筒  ドラ白
七筒は場に2枚切れ、小川と福田の手に1枚ずつで山には残っていない。小川はメンツで使っていたが、福田は手が進むにつれ五筒七筒のカンチャンターツに手がかかり木暮に3,900は4,200の放銃。点数状況的にリーチを選択する打ち手もいるとは思うが、今回はリーチがかかればアガリは無かったと考えられるだけにこの木暮の冷静な選択が吉と出た。
その後も1,500は1,800、2,000は2,900と細かいながらもアガリを重ね連荘し浮きに回ることに成功する。
南4局、北家木暮が4巡目でこの牌姿からドラをリリース。
三万三万六万六万七万七万四索五索六索四筒六筒北発発  ドラ北
トイツ手もまだ否定できず、カンチャンターツも残っており、北を切っても発を暗刻にするかポンしない限り役も見えないだけに、ドラを切らないうち手が多いのではないかと思う。アガリたい気持ちが強く伺えた。自身が北家ということも切りやすい要素となっていたか。しかしこの北を西家塚越がポン。
四万五万六万二索四索五索八索四筒六筒白  ポン北北北
なんとか三色へ持っていきたい2シャンテン。
そこへ8巡目に親の福田がリーチを被せるが、それらを掻い潜り小川が400・700ツモ。
東場での加点を守り抜き、最後も他家をかわしてトップを守り抜いた。トータルでも木暮と約7ポイント差に詰め寄る。
3回戦結果(3回戦終了時トータル)
木暮+9.1P (+22.3P)
小川+18.1P(+15.4P)
塚越▲7.0P (▲13.3P)
福田▲20.2P(▲24.4P)
 
4回戦 起家から塚越、木暮、福田、小川
トータル首位の木暮と4着目福田は、1半荘で入れ替わる可能性も十分にあるポイント差。この4回戦がターニングポイントとなりそうである。
この半荘どうにかトップ、最低でもプラスが欲しい西家福田が東1局から積極的に仕掛けていく。
二索二索五筒六筒  ポン四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ドラ二索
親の塚越もプラスが欲しいのは同様だが、手牌がなかなか動かない。どうにかドラ単騎の七対子テンパイに漕ぎつけるが、間もなく福田が1,000・2,000をツモアガる。
トータル首位の木暮の勢いも衰えず、次局迎えた親番で2メンツ1両面とドラトイツの好配牌。わずか4巡でリーチ、4,000オールを決める。
一索二索三索五索六索七索一筒二筒三筒四筒五筒九筒九筒  リーチ  ツモ三筒  ドラ九筒
続く東2局でも木暮、福田の手がいい。親の木暮は白ポンテンもとれる形の1シャンテン。南家福田は役なしテンパイからドラを引き入れ役ありの5,200テンパイに振り替わる。
七万八万九万三索三索四索五索五索九索九索一筒二筒三筒  ドラ五索
一方小川と塚越は2人とも2フーロして1シャンテン。木暮の親番をどうにか落とすためにアガリへの道を探っているようだ。こういうとき、勢いや流れ、態勢などという目に見えないはずのものが実際に具現化されているように感じる。麻雀にはやはりそういった類のものが大いに影響しているとわたしは思っているし、このときも心のどこかで(やっぱり...)と思っていた。
結果、この局は木暮が白をポンして塚越から1,500は1,800をアガリ、福田の勝負手をかわし親番連荘に成功する。
続く東2局、西家小川が西をポンして木暮から1,000は1,600をアガリ、木暮の連荘を止めることに成功する。このときも木暮は中張牌だけで2メンツ1両面2トイツの超好配牌であった。
小川と木暮の勢いの差は誰の目にも明らかだった。しかしそれを揺るがすような局があった。
東3局1本場、北家木暮は6巡目にソーズのホンイツ1シャンテン。
二索二索四索四索五索六索七索七索八索九索南北北  ドラ四万
そこへ南家小川が9巡目に1,300のリーチ。
六万七万八万一索三索七索八索九索一筒一筒二筒三筒四筒  リーチ
木暮がソーズのホンイツということもありソーズはやや場に高いというだけでなく、木暮が字牌を余らせ始めた後のことである。ここが小川の強さなのではないかと思う。
対する木暮はリーチを受け、上記のホンイツ1シャンテンの牌姿に六万をツモってきて少考。確かに六万はドラ跨ぎで切りにくい牌ではあるが、木暮という選手の印象からすると六万をツモ切ってもおかしくない。実際小川への当たり牌二索は木暮からはほぼ出ない形になっている。ここも木暮がアガリきるのか。
しかし木暮は唯一の現物五索を抜いた。これには驚いた。ここまでの両者の態勢や、今までの木暮の攻めっぷりを見てきた観戦者はどう感じただろうか。
他に現物のない木暮の手牌。次巡一万をツモり、五索の筋を追って二索で1,300放銃となる。
失点こそ小さいものの、いつもの木暮なら当たり牌を使い切ってテンパイしアガリきるビジョンまで見える。そして、そうやってこの決勝への道を開拓してきたと私は思う。木暮としても決勝での戦い方を考えてのことだろう。しかし何かが変わりそうな気がした。4回戦まできてトータルトップ、この半荘もトップ目という現状、木暮に守りたい気持ちが出始めているように見受けられた。
次局、親番は前局見事1,300のアガリを決めた小川。
6巡目南家塚越から先行リーチが打たれる。
二万三万四万七万八万九万七索八索四筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ四万
塚越もここまで我慢が続いただけに、この勝負手で先手を打てたのは大きい。
しかし小川の手牌もまとまっており、9巡目に追いつきリーチ。
五万五万六万六万七万七万二索三索四索五索六索三筒三筒  リーチ
塚越が四索で11,600の放銃。塚越には苦しい時間帯が続く。対して小川は前々局の木暮の親番落とし、そして前局の1,300と流れを感じさせる大きなアガリである。もうひとアガリあれば木暮をかわせる、そんな勢いを感じた。
しかし次局アガったのは木暮。
三万三万三万四索五索六索二筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒  ドラ五筒
塚越から5,200は5,500のアガリでさらに加点し木暮が44,100持ちのトップ目。大抵のことでは揺るがないほどの態勢ができあがっているか、若しくは木暮は牌に愛されているのか、そんなことを思った。
南1局、痛い放銃が続いた塚越は3,000持ちのラス目で親番を迎えた。9巡目に両面2ターツのピンフ1シャンテン。しかしここから全くテンパイまで至らない。ギリギリのところでチーして形式テンパイをとりなんとか親番を維持する。続く1本場も2フーロでタンヤオテンパイを入れるがアガリには至らない。2本場で木暮が700・1,300は900・1,500をツモアガリ、塚越はアガリなく3着に大きく離されたラス目のまま親番を落としてしまう。
その後は大きな点数の変動はなく、勢い衰えない木暮はトップを守り切りリードを広げた。塚越は1人沈みのラス、トータルトップとは約97ポイント差と最終戦の条件は厳しいものになった。
4回戦結果(4回戦終了時トータル)
木暮+23.2P(+45.5P)
小川+4.1P (+19.5P)
福田+10.6P(▲13.8P)
塚越▲37.9P(▲51.2P)
 
最終戦 起親から小川、福田、塚越、木暮
東1局にアガリを決めたのは、中盤から勢いを見せ始めた福田の1,300・2,600。
二万二万四万五万六万一索二索三索四索五索六索二筒三筒  リーチ  ツモ四筒  ドラ二筒
福田は続く東2局親番を迎え、3,900オールをアガリしさらに加点。
しかしこの福田の親番を、トップ走者木暮が流しにかかる。
二索三索四索五筒五筒七筒八筒九筒白白  暗カン牌の背四筒 上向き四筒 上向き牌の背  ツモ白  ドラ北
800・1,600は1,000・1,800のアガリで原点近い2着目につける。この並びのまま終局とすると、福田は少なくともあと30ポイント以上素点で差をつけなければならないが、実際、福田は最終戦開始時から東2局までに計算上ポイント差をほぼ半分に詰めたことになる。後半に勢いを増してきた福田と守備態勢を強めた木暮。選手たちを見つめる観戦者たちの目が、勝負の行方を見守る。
東3局、西家小川が国士無双の1シャンテンという場面。気配がなかったか他家は字牌をノータイムで淡々とツモ切る。南家の木暮が3枚目の西を切った直後、小川の手に4枚目の西が舞い込み、2枚切れ白待ちの国士無双テンパイ。白を引いたら誰もがツモ切ろうという場面。しかしここはポンテンを入れていた親番塚越の1,000オールのアガリ。
四万五万六万四索五索三筒三筒五筒六筒七筒  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ツモ三索  ドラ四万
小川、塚越もまだ勝負を諦めてはいない。
続く東3局1本場、塚越は苦しいながらもなんとかテンパイを入れリーチ、ドラトイツの1シャンテンで押していた小川から2,000は2,300のアガリ。
一万二万三万一索二索三索八索八索四筒五筒六筒七筒九筒  リーチ  ロン八筒  ドラ四万
ところが2本場ではツモがかみ合わず、2フーロして粘るが痛恨のノーテンで親が流れる。塚越はまだ原点を割る3着目、南場の親番での大逆転に賭けることになる。
東4局、トータルトップ目の木暮の親番。木暮は10巡目にチーテンをとることを選択する。
六万七万八万六索八索二筒三筒四筒西西  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き  ドラ一万
西のトイツを守備要素とみなしてのテンパイ取りか。現状のポイント差を考えると1,500点のアガリで自身の親番を1局増やすより、失点を抑えて親番を消化する選択もあるように思える。他家からのリーチやテンパイ気配があればアガリの構えか。
この仕掛けにかぶせるように北家の塚越がドラ単騎七対子のリーチ。
一万二索二索七索七索九索九索六筒六筒東東中中  リーチ
この日1日で、苦しい手牌からどうにかドラ単騎の七対子テンパイに漕ぎつけた塚越を何度見ただろう。そしてこのリーチを掻い潜りテンパイを入れたのは小川。
一万一万二万二万三万三筒四筒五筒七筒七筒北北北
これに対し木暮は西のトイツ落としで受け、塚越、小川の2人テンパイで流局。勝負はいよいよ最終戦南場へ突入する。
南1局4本場、20,800持ち4着目で親番を迎えた小川はここが勝負どころ。7巡目で
二索三索四索九索九索九索一筒一筒三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ四万
この3面張リーチを打つが結果は福田に1,300は2,500の放銃。最後の親番も流れ、このあとは条件との兼ね合いの手組を組むことを強いられることとなる。
南2局、最後の親番を迎えた福田はなかなかアガリに結びつかないもののテンパイを入れ連荘。
2本場で福田は7巡目のピンフテンパイをヤミテンに構え、小川から1,500は2,100と供託のリーチ棒で4,100点の加点。
この時点で福田は木暮まであと13ポイント。親番継続中の福田にとって大チャンス。
3本場、小川が11巡目にピンフドラ1のリーチ。
一万二万三万四万五万六万二索二索三筒四筒四筒五筒六筒  ドラ六筒
流局が近づく16巡目、西家の木暮がチーテンをとる。次巡、木暮のツモは九索。ノータイムでツモ切った木暮の九索に塚越がロンの発声。
「12,000は12,900」
四万四万四万八索八索八索九索九索六筒六筒北北北  ドラ六筒
四暗刻が食い流れた。この放銃により木暮は4着目へ。トータルで福田に逆転される。その差3.6ポイント。
南3局、前局にその場が騒然とするアガリを見せた塚越の親番、わたしは密かに奇跡の大連荘を期待した。
四万五万八索八索一筒二筒三筒四筒五筒五筒七筒八筒西
九筒チーしドラの西を切ると、最終局条件を残したい西家小川がこれをポン。小川が2,000・3,900をツモアガリる。
六万七万八万六索八索六筒六筒  ポン西西西  ポン五索 上向き五索 上向き五索 上向き
南4局、福田を追いかける立場となった木暮の親番。
まずは仕掛けてタンヤオの1,500を小川からアガリ。
四万五万五索五索二筒三筒四筒  チー七筒 左向き六筒 上向き八筒 上向き  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き
続く1本場、11巡目に木暮がリーチ。
三万三万四万五万六万一索三索五筒六筒六筒七筒七筒八筒  リーチ  ドラ五筒
これに対し西家福田も優勝を決めに動く。
四万五万六万三筒三筒三筒五筒六筒七筒八筒  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き
しかし結果は、木暮が小川から3,900は4,200のアガリ。これで再び福田を逆転するが、その差2.1ポイント。
すっかり勢いを取り戻した木暮。次局5,800は6,400を小川からアガリ。
六万六万七万七万八万八万二索三索五索五索一筒二筒三筒  ロン一索  ドラ七索
木暮と小川の着順が入れ替わったことにより、木暮は福田に12.5ポイントの差をつけた。
最終局、福田はさっきまですぐそこにいた木暮を逆転するのに満貫ツモ条件となり、必死でその条件を満たす手組を探っていくが、ツモが効かない。
一方、一度は手放しそうになった優勝の2文字が、再びすぐそこに迫ってきている木暮の手は震えていた。
対局後に木暮は言った。
「内容は20点でした」
それを聞いて周りは笑ったが、木暮はこの優勝を糧にさらに進化するだろう。そしてこんな風に生きのいい若手選手が増えつつあることが、北関東支部の今後の発展の要となることは違いない。
そして退いていく者。彼もまた北関東支部で共に闘い、麻雀について熱く語り合い、何度も牌を交わした仲間である。新たな道での活躍を期待する。
最終戦結果(総合ポイント)
木暮▲14.7P(+30.8P)
福田+33.2P(+19.4P)
小川▲29.1P(▲9.6P)
塚越+10.6P(▲40.6P)

第51期 北海道プロリーグ 決勝レポート

「結果自然成」この言葉の解釈は、

人は誰もが成功や勝利を求めて生きる。そしてより良い「結果」を求める。
しかし「結果」のみを重要視したり、あからさまに「結果」に自分の利益のみを優先させる、そういった態度はとても醜いものだが、正しい目的に向かって日々たゆまぬ努力を続ける人には、必ずそれ相応の「結果」が現れる。
その結実はまるで季節が巡れば自然に果実が熟するように人間の思惑や計らいを離れている、という意味合いである。

第51期北海道プロリーグ、6節(24半荘)終了時の成績上位4人が得点持ち越しの上、決勝卓(4半荘)に進出。

3月11日に行われた決勝に進出した選手は以下の通り。

*敬称略

喜多清貴(28期 二段)
連盟入会期は遅いが北海道の麻雀業界を支えてきた功労者の1人。
入会後はコンスタントに上位争い、3度目の決勝進出で初の優勝なるか。

野々川博之(6期 六段)
こちらも北海道で麻雀の普及活動に力を注いできた1人。
北海道本部の年功者、35期以来の優勝を目指す。

三盃志(19期 五段)
北海道プロリーグ参戦者の中で年長者だが、速度のある麻雀が特徴。
過去2度の優勝経験があり、通算3度目の優勝に手が届くか。

石田雅人(26期 四段)
前節+90オーバーの成績で決勝に滑り込み。
ポイント的に厳しい戦いになるであろうが、持ち前の粘りと、高打点の手組で2度目の優勝をもぎとれるか。

これまでの成績は

喜多+210.1P
野々川+169.2P
三盃+140.5P
石田+120.8P

持ちポイント的には喜多が有利だが爆発力のある石田が4番手に控える。
野々川、三盃は喜多をこれ以上走らせないような展開に持ち込めるかが勝負の肝になりそうである。
どのメンバーも厳しく長年麻雀に対して努力と研鑽を続けてきた。

誰の想いが「結果」となって実るか。
それぞれが素晴らしい「結果」を求めて戦う火蓋が切って落とされた。

 

1回戦 (起家から、三盃・喜多・野々川・石田)

東1局 ドラ三万

勝負の入りを重要視する打ち手が多い中、一番の配牌を貰ったのはトータルトップ目の喜多。
3巡目に

二万四万六万六万七万五索六索七索二筒三筒中中中  ドラ三万

この形の1シャンテンになる。
すんなりドラを引き入れるようだと今日は喜多で決まりかなと思うような牌姿ではあったが、思うように手が進まないまま14巡目に親の三盃からリーチの発声。

一万一万六万六万七万七万五索五索白白発発西  リーチ

先にテンパイを入れていたのは野々川。

二万四万九万九万五索六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒

12巡目に5枚目の四筒を打たれて喜多もチーテンを入れた。

一万二万四万四万五索六索七索中中中  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き

2人が終盤オリに回って流局。
喜多にとっては貰った配牌の形から考えるとなんとなく感触の悪い滑り出しとなった。

東1局1本場3巡目。
前局のリーチは不発に終わったが、親の三盃が積極的に仕掛ける。
上家から打たれた五索をチーして

三万三万一索二索三索三索三索八索九索六筒  チー五索 左向き四索 上向き六索 上向き  ドラ九筒

その後要牌を引き入れ

一索一索二索三索三索三索三索七索八索九索  チー五索 左向き四索 上向き六索 上向き

この高め跳満テンパイを入れる。一気に突き抜けるかに思われたが、親の河を警戒して序盤からピンズのホンイツに向かっていた石田が六筒を切るとロンの発声

西家・野々川

六万七万八万六索七索八索三筒四筒五筒七筒八筒九筒九筒  ロン六筒

8,000は8,300のアガリで今日最初のアガリをものにした。

東2局、現状2番手の野々川に先行される立ち上がりになった喜多だが15巡目、

三万三万三万四万五万六索七索八索白白白中中  ツモ三万  ドラ北

この1,300オールをツモる。
ドラも見えていない三暗刻変化のある手牌だが、六万が場に3枚出とはいえリーチの選択肢もあったのではないか。
喜多は南2局の親番で苦悩を迎えることになる。

南2局、流局と小さなアガリで局が消化され迎えた喜多2度目の親番3巡目に、

六索七索八索六筒東南西西北白発中中  ツモ六索  ドラ二万

ここからホンイツへ一直線。
9巡目、持ち点が14,400になっていた石田からリーチが飛んでくる。

この時すでに喜多は

二索三索四索四索六索六索七索八索西西中中中  ドラ二万

このメンホンテンパイがはいっていた。すぐに九索を引いて

二索三索四索四索六索六索七索八索西西中中中  ツモ九索

ここで選択の機会。場には五索六索西も放たれていないが喜多の選択は九索(リーチ者の現物)。
その後、裏目の西をツモってしまう。石田の河には一索四索も出ていないが、西もツモ切りとなった。
このまま終盤まで全部の牌を押し、当然のように三筒もツモ切ると石田の手牌が倒される

二万三万四万六索六索七索八索九索三筒四筒四筒五筒五筒  ロン三筒

高めの三筒で7,700の放銃。この時喜多は何を思ったのか。
トータルトップ目の喜多が、ラス目の石田に放銃した事で野々川の士気も上がる。
その野々川の親番。

南3局、三盃が仕掛けて

四万一索二索三索六索七索九索中中中  ポン白白白  ドラ八万

野々川
五万五万七索八索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  チー八万 左向き七万 上向き九万 上向き

ここから八索を引いて打五万とした。ホンイツ気配の三盃をケアして迂回する選択だが、三盃は比較的全員に安全そうな四万を残して字牌を先切りしテンパイ気配を出していた。
終盤手出しで四万としたのを見て

野々川
七索八索八索九索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  チー八万 左向き七万 上向き九万 上向き  ツモ一索

この一索も最終盤にツモ切りとして結果1人テンパイ。アガリ同等の1,000オールとした。
細かい所までのケアが行き届いている。当たり前の打牌を当たり前のように。思っている事をしっかりと反映させる野々川らしい一打だった。
次局は石田のリーチに3人がオリてオーラスを迎える。

南4局2本場
持ち点は、野々川36,100 三盃34,400 喜多24,400 石田24,100

ラス目のラス親でここを落とすと更に苦しくなる石田にチャンス手。

三万四万五万六万七万三索三索四索三筒三筒五筒六筒六筒  ドラ三筒

しかし今日の石田はなかなか有効牌を持ってこない。終盤にかけてなんとか2つ鳴いて、

三万四万五万三筒三筒六筒六筒  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き

最終ツモは七万。当然のように河に置くも、下家の三盃が静かに静かにそっと開いた手牌は、

一万二万三万五万六万七万八万九万白白白東東  ロン七万  ドラ三筒

8,000は8,600で大事な初戦を制した。

1回戦成績
三盃+22.3P 野々川+10.1P 喜多▲9.6P 石田▲22.8P

1回戦終了時
喜多+200.5P 野々川+179.3P 三盃+162.8P 石田+98.0P

 

2回戦 (起家から、喜多・野々川・石田・三盃)

初戦を終えて野々川と喜多の差はおよそ20ポイント。
三盃と喜多も40ポイントとかなり肉薄してきた。
喜多としてはこの2回戦で、また突き放したいところであるが、最初の親番は手が進まないまま流局となってしまう。

勝負が動いたのは東3局。前局300・500をツモアガった三盃が、

六万七万八万五索六索七索六筒七筒八筒発中中中  ドラ発

このテンパイをすぐにツモりあげ2,000・4,000。
1回戦トップの三盃がこのまま連勝となれば更に勝負はもつれるが、次局三盃に親番は野々川が動いて300・500。

喜多が親番でテンパイ流局連荘したあとに、1,000は1,100オールをツモった後の南1局2本場、野々川が以下の形でリーチ。

七万八万六索七索八索一筒二筒三筒六筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ八万

高目の六万もまだ山に生きていたが、九万をツモって1,300・2,600は1,500・2,800のアガリ。

七万八万六索七索八索一筒二筒三筒六筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ八万  ツモ九万

南3局も積極的に動いていた野々川が、

二万三万一索二索三索五索九索  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き  ポン発発発  ツモ四万  ドラ二万

この九索単騎のテンパイ。
喜多もタンヤオの渡りがある形式テンパイに向かうが、九索が浮いている。
単騎をケアして放銃はなさそうであるが、無事に六索と振り替わらないまま終盤の野々川

二万三万四万一索二索三索九索  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き  ポン発発発  ツモ二万

待望のドラを持ってきて、高目のドラで7,700に変化。
ドラはまだ生きていたがアガリは生まれずにオーラスを迎える。

南4局2本場は、親の三盃が先制でリーチを打って1人テンパイ。
これによりオーラスの持ち点が
喜多27,800 野々川35,200 三盃37,300 石田17,700こうなった。

南4局3本場 供託2.0
ここも三盃が九万ポンから動いて

三万三万五万六万六万北発  ポン西西西  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ドラ中

としたが、全員が被せ気味の打牌になった道中、南家・喜多

一万一万四索五索六索七索七索八索八索南南南西  ドラ中

ここから三索をチーしてテンパイ。
石田から九索で2,000は2,900と供託の2,000を取りきって浮きの3着を確保した。

一万一万六索七索七索八索八索南南南  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き  ロン九索  ドラ中

2回戦成績
三盃+15.3P 野々川+8.2P 喜多+3.7P 石田▲27.2P

2回戦終了時
喜多+204.2P 野々川+187.5P 三盃+178.1P 石田+70.8P

 

3回戦 (起家から三盃・石田・野々川・喜多)

東1局野々川が、

四万五万八万八万九万東東白白白  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ドラ七万

ここから六万をツモって九万を切ってテンパイだが東は三盃がトイツ。
喜多もテンパイ取るが終盤オリにまわり、野々川が1人テンパイ

東2局1本場、野々川が先制リーチしてツモ。

一万二万三万六万六万二索三索四索五索六索四筒五筒六筒  ツモ四索  ドラ三万

1,300・2,600は1,400・2,700。

東3局は喜多が300・500をツモアガリ。

東4局、三盃がピンズのホンイツに向かうが道中、意図的にホンイツ臭を消した手組にしていたところに、絶好のツモ八筒で以下の形。

一筒四筒五筒六筒七筒八筒八筒  ポン西西西  ポン白白白  ツモ八筒  ドラ四筒

野々川から六筒で7,700。

南1局は喜多が300・500をツモり迎えた南2局。
親番を迎えた石田、ただ黙っている訳にはいかない石田がここで魅せる。

一万二万三万二索三索四索七索八索八索八索九索一筒二筒  ドラ二索

このペン三筒テンパイから三筒をツモり、フリテンの高目6,000オールリーチを敢行する。
石田はこのリーチがアガれずに親権を流してしまう。
ここまで苦しい戦いを強いられている石田だが最後までしっかりと自分の打ち筋を貫いていた。

今期の決勝はこのリーチがアガれなかった時点で、4回戦があるとはいえほぼ終戦となったように思えた。

南3局は喜多が

四万五万六万四索四索七索八索四筒五筒五筒六筒六筒七筒  ツモ九索  ドラ九索

これをツモで1,300・2,600。

そして大事なオーラスを迎えて点棒状況は
喜多32,900 三盃30,700 野々川29,500 石田26,900

オーラスの親番は前局のアガリでトップ目に立った喜多。
良いとは言えない配牌の中、局を捌きに行くが、野々川が中盤に

二万三万四万六筒六筒発発  ポン中中中  カン九索 上向き九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ドラ発

このテンパイを入れる。喜多も粘りに粘って発単騎のテンパイ。
山には六筒が2枚、発が1枚生きていた最終盤に野々川若干トーンの高い「ツモ!」の発声。

二万三万四万六筒六筒発発  ポン中中中  カン九索 上向き九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ツモ六筒  ドラ発

値千金の2,000・4,000は当面の敵喜多を沈みの2着にしての1人浮きトップ。
野々川の日々真摯に取り組んだ想いが牌に「結果」として伝わったツモアガリだった。

3回戦成績
野々川+19.5P 喜多▲2.1P 三盃▲4,3 石田▲13,1

3回戦終了時
野々川+207.0P 喜多+202.1P 三盃+173.8P 石田+57.7P

いよいよ第51期北海道プロリーグ決勝も最終節最終戦となった。
上位3人に優勝の可能性が残る。野々川と喜多はほぼ着順勝負、三盃は両者より上の着順になった上で3万点近く差をつければ優勝である。
石田が150P以上離された位置で、どのようにプロらしさを表現していくのかも注目したい。
それぞれの思惑が交錯する中最後の挨拶が交わされた。

 

4回戦

連盟規定に乗っ取り席順が決定(起家から、喜多、三盃、石田、野々川)

東1局、喜多の親番は石田が

三万四万五万七万八万九万七索八索九索七筒九筒白白  ツモ八筒  ドラ四万

この2,000・3,900をツモ。
終始苦しかった石田に最後に軽く安い手が入るのもまた麻雀か。

その石田が親権を維持した東3局1本場にリーチ

三万四万七万八万九万四索五索六索一筒二筒三筒五筒五筒  リーチ  ドラ二万

その時喜多も以下の形でテンパイしていた

一万二万二万二万三万三万五万五万六万七万  ポン白白白  ドラ二万

ここからツモ一万でツモ切り、カン四万のまま押し切るも終盤石田が五万をツモって1,300は1,400オール。
これをアガればという喜多のホンイツだったが実らず。勝負は南場にもつれる。

南2局1本場、親の三盃がペン三万待ちの一通でリーチ。

一万二万四万五万六万七万八万九万六筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ八索

このゲームここまでラス目の喜多が

三万四万二索三索四索五索五索六索七索八索二筒三筒四筒  リーチ

これでリーチ。道中、ホンイツとの岐路も役牌2種を見切って最高形に。
次巡、二万をツモリ3,100・6,100で一躍トップ目に。

喜多、初優勝まであと2局!しかし次局に落とし穴が。

南3局10巡目

野々川
三万三万六万六万三索四索五索三筒四筒五筒  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ロン六万  ドラ八索

ドラを手放したのは1シャンテンの石田。その是非はあえて問うまい。

五万六万六万七万六索七索一筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒六筒

喜多はこの形から野々川に六万で7,700を放銃
安全策の一筒切りで粘る手もあったが。
野々川がラス親、残り巡目も考えるとこの結果は淡白すぎではなかったか。

南4局 ドラ三万
野々川36,100 石田33,400 喜多26,700 三盃23,800

喜多の逆転優勝の条件は

ツモアガリなら、1,600.3,200。出アガリなら12,000。
(野々川からの直撃なら5,200)

喜多8巡目

五万一索一索二索二索三索五索五索九索九索七筒七筒七筒

ツモ四万で喜多本日最後の何切る?
ちなみに六万は自身のフリテンで3枚切れ。ドラと五万は生牌。三索四万は1枚切れ。四索は4枚とも切れている。

喜多はここで七対子に見切りをつける。
今局は選択を間違えることなく、ドラを引いて待望の再逆転のリーチを打つ。

三万四万五万一索一索二索二索三索五索五索七筒七筒七筒  リーチ  ドラ三万

野々川も役牌を仕掛け喜多の現物待ちで1,500テンパイ。
喜多のリーチだけに、出たら連荘するしか術はない。

この後、両者のアガリ牌が場に顔を出すことはなかった。
最後のツモが河に置かれて優勝者が決まると同時にどこからともなく拍手が。

野々川博之が「結果」を最高の物として戴冠。
優勝おめでとう。

4回戦成績
野々川+13.1P 石田+6.4P 喜多▲5.3P 三盃▲15.2P

最終成績
野々川+220.1P 喜多+196.8P 三盃+158.6P 石田+64.1P

さて冒頭の一句には対句がある。

「一華開五葉」という言葉で解釈は以下の通り。

「一つの花がある。その花が五つの花びらを開いた、という意であるが、この花はあなたが生まれたときからあなた自身の深いところに咲いている花だ。
もしあなたが「五つの花びら」の意味を知りたいのなら、道はたった一つ。自身が心の中を深く訪ねて自分の力でもってその意味を体得するしかない。
その行はあなたの心に美しさを与え、そしてあなたの人生を限りなく豊かにするに違いない。

麻雀道に終わりはない。

昨年WRCリーグに出た時に同卓した今年鳳凰位を大観された前原プロも、「全節消化はできないが、麻雀を強くなりたいから参加した。それ以外に意味があるのか?」という類の事をおっしゃっていた。
結果を求めるためには研鑚を積むしかない。麻雀を強くなるためには沢山見て、沢山学んで、沢山打ってを繰り返すしかない。
いつか自分の花びらが「結果」となって開くか分からないが、これからも連盟の一員として麻雀道をしっかりと進みたいと思う。
また今期決勝の最後を盛り上げた2人は副本部長として新しい北海道本部を作る2人であった。両者の戦いを見て私は勿論の事、観戦者も皆胸に秘めた物があるのではないか。

次はこの場所でこの2人と、そう思える対局を見れた事に感謝の気持ち、対局を作った4人に感謝の気持ち、そしてこの対局を自分が文字にできることへの感謝の気持ちを込めて最後を締めたいと思う。

筆:真光 祐尚

北海道プロリーグ 成績表/第51期 北海道プロリーグ 決勝レポート

「結果自然成」この言葉の解釈は、
人は誰もが成功や勝利を求めて生きる。そしてより良い「結果」を求める。
しかし「結果」のみを重要視したり、あからさまに「結果」に自分の利益のみを優先させる、そういった態度はとても醜いものだが、正しい目的に向かって日々たゆまぬ努力を続ける人には、必ずそれ相応の「結果」が現れる。
その結実はまるで季節が巡れば自然に果実が熟するように人間の思惑や計らいを離れている、という意味合いである。
第51期北海道プロリーグ、6節(24半荘)終了時の成績上位4人が得点持ち越しの上、決勝卓(4半荘)に進出。
3月11日に行われた決勝に進出した選手は以下の通り。
*敬称略
喜多清貴(28期 二段)
連盟入会期は遅いが北海道の麻雀業界を支えてきた功労者の1人。
入会後はコンスタントに上位争い、3度目の決勝進出で初の優勝なるか。
野々川博之(6期 六段)
こちらも北海道で麻雀の普及活動に力を注いできた1人。
北海道本部の年功者、35期以来の優勝を目指す。
三盃志(19期 五段)
北海道プロリーグ参戦者の中で年長者だが、速度のある麻雀が特徴。
過去2度の優勝経験があり、通算3度目の優勝に手が届くか。
石田雅人(26期 四段)
前節+90オーバーの成績で決勝に滑り込み。
ポイント的に厳しい戦いになるであろうが、持ち前の粘りと、高打点の手組で2度目の優勝をもぎとれるか。
これまでの成績は
喜多+210.1P
野々川+169.2P
三盃+140.5P
石田+120.8P
持ちポイント的には喜多が有利だが爆発力のある石田が4番手に控える。
野々川、三盃は喜多をこれ以上走らせないような展開に持ち込めるかが勝負の肝になりそうである。
どのメンバーも厳しく長年麻雀に対して努力と研鑽を続けてきた。
誰の想いが「結果」となって実るか。
それぞれが素晴らしい「結果」を求めて戦う火蓋が切って落とされた。
 
1回戦 (起家から、三盃・喜多・野々川・石田)
東1局 ドラ三万
勝負の入りを重要視する打ち手が多い中、一番の配牌を貰ったのはトータルトップ目の喜多。
3巡目に
二万四万六万六万七万五索六索七索二筒三筒中中中  ドラ三万
この形の1シャンテンになる。
すんなりドラを引き入れるようだと今日は喜多で決まりかなと思うような牌姿ではあったが、思うように手が進まないまま14巡目に親の三盃からリーチの発声。
一万一万六万六万七万七万五索五索白白発発西  リーチ
先にテンパイを入れていたのは野々川。
二万四万九万九万五索六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒
12巡目に5枚目の四筒を打たれて喜多もチーテンを入れた。
一万二万四万四万五索六索七索中中中  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き
2人が終盤オリに回って流局。
喜多にとっては貰った配牌の形から考えるとなんとなく感触の悪い滑り出しとなった。
東1局1本場3巡目。
前局のリーチは不発に終わったが、親の三盃が積極的に仕掛ける。
上家から打たれた五索をチーして
三万三万一索二索三索三索三索八索九索六筒  チー五索 左向き四索 上向き六索 上向き  ドラ九筒
その後要牌を引き入れ
一索一索二索三索三索三索三索七索八索九索  チー五索 左向き四索 上向き六索 上向き
この高め跳満テンパイを入れる。一気に突き抜けるかに思われたが、親の河を警戒して序盤からピンズのホンイツに向かっていた石田が六筒を切るとロンの発声
西家・野々川
六万七万八万六索七索八索三筒四筒五筒七筒八筒九筒九筒  ロン六筒
8,000は8,300のアガリで今日最初のアガリをものにした。
東2局、現状2番手の野々川に先行される立ち上がりになった喜多だが15巡目、
三万三万三万四万五万六索七索八索白白白中中  ツモ三万  ドラ北
この1,300オールをツモる。
ドラも見えていない三暗刻変化のある手牌だが、六万が場に3枚出とはいえリーチの選択肢もあったのではないか。
喜多は南2局の親番で苦悩を迎えることになる。
南2局、流局と小さなアガリで局が消化され迎えた喜多2度目の親番3巡目に、
六索七索八索六筒東南西西北白発中中  ツモ六索  ドラ二万
ここからホンイツへ一直線。
9巡目、持ち点が14,400になっていた石田からリーチが飛んでくる。
この時すでに喜多は
二索三索四索四索六索六索七索八索西西中中中  ドラ二万
このメンホンテンパイがはいっていた。すぐに九索を引いて
二索三索四索四索六索六索七索八索西西中中中  ツモ九索
ここで選択の機会。場には五索六索西も放たれていないが喜多の選択は九索(リーチ者の現物)。
その後、裏目の西をツモってしまう。石田の河には一索四索も出ていないが、西もツモ切りとなった。
このまま終盤まで全部の牌を押し、当然のように三筒もツモ切ると石田の手牌が倒される
二万三万四万六索六索七索八索九索三筒四筒四筒五筒五筒  ロン三筒
高めの三筒で7,700の放銃。この時喜多は何を思ったのか。
トータルトップ目の喜多が、ラス目の石田に放銃した事で野々川の士気も上がる。
その野々川の親番。
南3局、三盃が仕掛けて
四万一索二索三索六索七索九索中中中  ポン白白白  ドラ八万
野々川
五万五万七索八索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  チー八万 左向き七万 上向き九万 上向き
ここから八索を引いて打五万とした。ホンイツ気配の三盃をケアして迂回する選択だが、三盃は比較的全員に安全そうな四万を残して字牌を先切りしテンパイ気配を出していた。
終盤手出しで四万としたのを見て
野々川
七索八索八索九索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  チー八万 左向き七万 上向き九万 上向き  ツモ一索
この一索も最終盤にツモ切りとして結果1人テンパイ。アガリ同等の1,000オールとした。
細かい所までのケアが行き届いている。当たり前の打牌を当たり前のように。思っている事をしっかりと反映させる野々川らしい一打だった。
次局は石田のリーチに3人がオリてオーラスを迎える。
南4局2本場
持ち点は、野々川36,100 三盃34,400 喜多24,400 石田24,100
ラス目のラス親でここを落とすと更に苦しくなる石田にチャンス手。
三万四万五万六万七万三索三索四索三筒三筒五筒六筒六筒  ドラ三筒
しかし今日の石田はなかなか有効牌を持ってこない。終盤にかけてなんとか2つ鳴いて、
三万四万五万三筒三筒六筒六筒  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き
最終ツモは七万。当然のように河に置くも、下家の三盃が静かに静かにそっと開いた手牌は、
一万二万三万五万六万七万八万九万白白白東東  ロン七万  ドラ三筒
8,000は8,600で大事な初戦を制した。
1回戦成績
三盃+22.3P 野々川+10.1P 喜多▲9.6P 石田▲22.8P
1回戦終了時
喜多+200.5P 野々川+179.3P 三盃+162.8P 石田+98.0P
 
2回戦 (起家から、喜多・野々川・石田・三盃)
初戦を終えて野々川と喜多の差はおよそ20ポイント。
三盃と喜多も40ポイントとかなり肉薄してきた。
喜多としてはこの2回戦で、また突き放したいところであるが、最初の親番は手が進まないまま流局となってしまう。
勝負が動いたのは東3局。前局300・500をツモアガった三盃が、
六万七万八万五索六索七索六筒七筒八筒発中中中  ドラ発
このテンパイをすぐにツモりあげ2,000・4,000。
1回戦トップの三盃がこのまま連勝となれば更に勝負はもつれるが、次局三盃に親番は野々川が動いて300・500。
喜多が親番でテンパイ流局連荘したあとに、1,000は1,100オールをツモった後の南1局2本場、野々川が以下の形でリーチ。
七万八万六索七索八索一筒二筒三筒六筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ八万
高目の六万もまだ山に生きていたが、九万をツモって1,300・2,600は1,500・2,800のアガリ。
七万八万六索七索八索一筒二筒三筒六筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ八万  ツモ九万
南3局も積極的に動いていた野々川が、
二万三万一索二索三索五索九索  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き  ポン発発発  ツモ四万  ドラ二万
この九索単騎のテンパイ。
喜多もタンヤオの渡りがある形式テンパイに向かうが、九索が浮いている。
単騎をケアして放銃はなさそうであるが、無事に六索と振り替わらないまま終盤の野々川
二万三万四万一索二索三索九索  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き  ポン発発発  ツモ二万
待望のドラを持ってきて、高目のドラで7,700に変化。
ドラはまだ生きていたがアガリは生まれずにオーラスを迎える。
南4局2本場は、親の三盃が先制でリーチを打って1人テンパイ。
これによりオーラスの持ち点が
喜多27,800 野々川35,200 三盃37,300 石田17,700こうなった。
南4局3本場 供託2.0
ここも三盃が九万ポンから動いて
三万三万五万六万六万北発  ポン西西西  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ドラ中
としたが、全員が被せ気味の打牌になった道中、南家・喜多
一万一万四索五索六索七索七索八索八索南南南西  ドラ中
ここから三索をチーしてテンパイ。
石田から九索で2,000は2,900と供託の2,000を取りきって浮きの3着を確保した。
一万一万六索七索七索八索八索南南南  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き  ロン九索  ドラ中
2回戦成績
三盃+15.3P 野々川+8.2P 喜多+3.7P 石田▲27.2P
2回戦終了時
喜多+204.2P 野々川+187.5P 三盃+178.1P 石田+70.8P
 
3回戦 (起家から三盃・石田・野々川・喜多)
東1局野々川が、
四万五万八万八万九万東東白白白  チー三万 左向き一万 上向き二万 上向き  ドラ七万
ここから六万をツモって九万を切ってテンパイだが東は三盃がトイツ。
喜多もテンパイ取るが終盤オリにまわり、野々川が1人テンパイ
東2局1本場、野々川が先制リーチしてツモ。
一万二万三万六万六万二索三索四索五索六索四筒五筒六筒  ツモ四索  ドラ三万
1,300・2,600は1,400・2,700。
東3局は喜多が300・500をツモアガリ。
東4局、三盃がピンズのホンイツに向かうが道中、意図的にホンイツ臭を消した手組にしていたところに、絶好のツモ八筒で以下の形。
一筒四筒五筒六筒七筒八筒八筒  ポン西西西  ポン白白白  ツモ八筒  ドラ四筒
野々川から六筒で7,700。
南1局は喜多が300・500をツモり迎えた南2局。
親番を迎えた石田、ただ黙っている訳にはいかない石田がここで魅せる。
一万二万三万二索三索四索七索八索八索八索九索一筒二筒  ドラ二索
このペン三筒テンパイから三筒をツモり、フリテンの高目6,000オールリーチを敢行する。
石田はこのリーチがアガれずに親権を流してしまう。
ここまで苦しい戦いを強いられている石田だが最後までしっかりと自分の打ち筋を貫いていた。
今期の決勝はこのリーチがアガれなかった時点で、4回戦があるとはいえほぼ終戦となったように思えた。
南3局は喜多が
四万五万六万四索四索七索八索四筒五筒五筒六筒六筒七筒  ツモ九索  ドラ九索
これをツモで1,300・2,600。
そして大事なオーラスを迎えて点棒状況は
喜多32,900 三盃30,700 野々川29,500 石田26,900
オーラスの親番は前局のアガリでトップ目に立った喜多。
良いとは言えない配牌の中、局を捌きに行くが、野々川が中盤に
二万三万四万六筒六筒発発  ポン中中中  カン九索 上向き九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ドラ発
このテンパイを入れる。喜多も粘りに粘って発単騎のテンパイ。
山には六筒が2枚、発が1枚生きていた最終盤に野々川若干トーンの高い「ツモ!」の発声。
二万三万四万六筒六筒発発  ポン中中中  カン九索 上向き九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ツモ六筒  ドラ発
値千金の2,000・4,000は当面の敵喜多を沈みの2着にしての1人浮きトップ。
野々川の日々真摯に取り組んだ想いが牌に「結果」として伝わったツモアガリだった。
3回戦成績
野々川+19.5P 喜多▲2.1P 三盃▲4,3 石田▲13,1
3回戦終了時
野々川+207.0P 喜多+202.1P 三盃+173.8P 石田+57.7P
いよいよ第51期北海道プロリーグ決勝も最終節最終戦となった。
上位3人に優勝の可能性が残る。野々川と喜多はほぼ着順勝負、三盃は両者より上の着順になった上で3万点近く差をつければ優勝である。
石田が150P以上離された位置で、どのようにプロらしさを表現していくのかも注目したい。
それぞれの思惑が交錯する中最後の挨拶が交わされた。
 
4回戦
連盟規定に乗っ取り席順が決定(起家から、喜多、三盃、石田、野々川)
東1局、喜多の親番は石田が
三万四万五万七万八万九万七索八索九索七筒九筒白白  ツモ八筒  ドラ四万
この2,000・3,900をツモ。
終始苦しかった石田に最後に軽く安い手が入るのもまた麻雀か。
その石田が親権を維持した東3局1本場にリーチ
三万四万七万八万九万四索五索六索一筒二筒三筒五筒五筒  リーチ  ドラ二万
その時喜多も以下の形でテンパイしていた
一万二万二万二万三万三万五万五万六万七万  ポン白白白  ドラ二万
ここからツモ一万でツモ切り、カン四万のまま押し切るも終盤石田が五万をツモって1,300は1,400オール。
これをアガればという喜多のホンイツだったが実らず。勝負は南場にもつれる。
南2局1本場、親の三盃がペン三万待ちの一通でリーチ。
一万二万四万五万六万七万八万九万六筒六筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ八索
このゲームここまでラス目の喜多が
三万四万二索三索四索五索五索六索七索八索二筒三筒四筒  リーチ
これでリーチ。道中、ホンイツとの岐路も役牌2種を見切って最高形に。
次巡、二万をツモリ3,100・6,100で一躍トップ目に。
喜多、初優勝まであと2局!しかし次局に落とし穴が。
南3局10巡目
野々川
三万三万六万六万三索四索五索三筒四筒五筒  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ロン六万  ドラ八索
ドラを手放したのは1シャンテンの石田。その是非はあえて問うまい。
五万六万六万七万六索七索一筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒六筒
喜多はこの形から野々川に六万で7,700を放銃
安全策の一筒切りで粘る手もあったが。
野々川がラス親、残り巡目も考えるとこの結果は淡白すぎではなかったか。
南4局 ドラ三万
野々川36,100 石田33,400 喜多26,700 三盃23,800
喜多の逆転優勝の条件は
ツモアガリなら、1,600.3,200。出アガリなら12,000。
(野々川からの直撃なら5,200)
喜多8巡目
五万一索一索二索二索三索五索五索九索九索七筒七筒七筒
ツモ四万で喜多本日最後の何切る?
ちなみに六万は自身のフリテンで3枚切れ。ドラと五万は生牌。三索四万は1枚切れ。四索は4枚とも切れている。
喜多はここで七対子に見切りをつける。
今局は選択を間違えることなく、ドラを引いて待望の再逆転のリーチを打つ。
三万四万五万一索一索二索二索三索五索五索七筒七筒七筒  リーチ  ドラ三万
野々川も役牌を仕掛け喜多の現物待ちで1,500テンパイ。
喜多のリーチだけに、出たら連荘するしか術はない。
この後、両者のアガリ牌が場に顔を出すことはなかった。
最後のツモが河に置かれて優勝者が決まると同時にどこからともなく拍手が。
野々川博之が「結果」を最高の物として戴冠。
優勝おめでとう。
4回戦成績
野々川+13.1P 石田+6.4P 喜多▲5.3P 三盃▲15.2P
最終成績
野々川+220.1P 喜多+196.8P 三盃+158.6P 石田+64.1P
さて冒頭の一句には対句がある。
「一華開五葉」という言葉で解釈は以下の通り。
「一つの花がある。その花が五つの花びらを開いた、という意であるが、この花はあなたが生まれたときからあなた自身の深いところに咲いている花だ。
もしあなたが「五つの花びら」の意味を知りたいのなら、道はたった一つ。自身が心の中を深く訪ねて自分の力でもってその意味を体得するしかない。
その行はあなたの心に美しさを与え、そしてあなたの人生を限りなく豊かにするに違いない。
麻雀道に終わりはない。
昨年WRCリーグに出た時に同卓した今年鳳凰位を大観された前原プロも、「全節消化はできないが、麻雀を強くなりたいから参加した。それ以外に意味があるのか?」という類の事をおっしゃっていた。
結果を求めるためには研鑚を積むしかない。麻雀を強くなるためには沢山見て、沢山学んで、沢山打ってを繰り返すしかない。
いつか自分の花びらが「結果」となって開くか分からないが、これからも連盟の一員として麻雀道をしっかりと進みたいと思う。
また今期決勝の最後を盛り上げた2人は副本部長として新しい北海道本部を作る2人であった。両者の戦いを見て私は勿論の事、観戦者も皆胸に秘めた物があるのではないか。
次はこの場所でこの2人と、そう思える対局を見れた事に感謝の気持ち、対局を作った4人に感謝の気持ち、そしてこの対局を自分が文字にできることへの感謝の気持ちを込めて最後を締めたいと思う。
筆:真光 祐尚

Mr.Xの連盟Weekly!

100

 

 

【がらくた時代到来】
 

100

 
遂に…遂に念願のG1タイトルホルダーとなったのは佐々木寿人だ!

 

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先日の無礼なインタビューをご覧になったであろうか?

第159回:プロ雀士インタビュー 佐々木 寿人

モンド杯を獲得した時のもので、インタビュアーは日本オープンを獲得した山口大和だ。

「目立たぬようにーはしゃがぬようにー♪」
とインタビュー中、河島英五の時代遅れをスタジオに流すスタッフのはからいがあったが、この日だけは目立って、はしゃいだことであろう。

100

 

十段戦の再現なるか、と最後まで追い上げた柴田吉和も見事であった。
牌譜を汚すまい、とメンチンペンカン七索リーチをかけた内川もまた見事なプロ意識で対局を終えた。

 

100

 

そして、惜しくも敗れた白鳥。

彼ががらくた傘下に加わったかどうかは定かではないが、とりあえずこのポーズで写真に収まっている。
対局終了直後、佐々木寿人の口から「白鳥が強くて…」という言葉があったが、これはもちろん本音である。
常日頃、白鳥に対して情けないだの何だの声をかけているが、今回ばかりは白鳥の強さを感じたようだ。
4人共、素晴らしい対局をありがとう!

 

100

 

 

【がらくた番組の方も…】
 
チームがらくた(総勢2名)総帥である前原雄大の鳳凰位獲得、佐々木寿人のモンド杯、グランプリMAX獲得により、さらに「がらくたチャレンジ」にも注目が集まる。

次回は、
3/21(火)18時~
C卓
小川尚哉vs真鍋明広vs高谷圭一vs山田学武
実況:部谷幸則
解説:前原雄大

D卓は3/27(月)18時~予選D卓が開催される。
庄田祐生vsケネス徳田vs三浦智博vs小林正和
実況:桜川姫子
解説:前原雄大

桜川姫子!?凄い名前!白鳥翔みたいな感じ!?

 

100

修行の様子

 

 

【メイクアップ】
 
「俺も日吉さんみたいに名前間違えられたいっす!」
ワクワクしてメイクを直してもらっている白鳥だが……

 

100

 

何も声をかけてもらえなかった。
一切!の声もかけてもらえなかった。
白鳥も惜しかったね。また次は頑張ろう。

 

 

【Battle of generation決勝】
 
3/24(金)18時~
勝又健志vs西川淳vs近藤久春vs森山茂和
実況:優月みか
解説:未定
ルール:WRC世界選手権ルール
システム:半荘3回戦を行い優勝者を決める

それぞれの世代予選を勝ち上がってきた4名の戦い。
反射神経は若手に分があるのは間違いないが、競技麻雀が強い年齢というのは未だに不明だ。
持ち味を出し切り、世代別の頂点に輝くのは誰だ!?

 

 

【詮索するべからず】

 

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100

 

写真は正月になると現れる”グレートタカ”のマスクを被る瞬間の写真だ。
誰なのかは未だに不明だが、持ち前の筋肉ボディーでいわゆる「オヤジ狩り」を撃退したこともあるらしい。
だから情報は「オヤジ」であること。そして繰り出す技から、かなりのプロレス好きであるということ。しかし、麻雀は守備型。
とりあえずそれだけである。
「タカ」というネーミングから古橋タカ志の可能性も考えられるが体型的にどうか?

スタジオだからまだしも、この姿で外を歩いている人がいたなら、私なら直ぐに逃げる。
 
 
【打ち上げ】
 
結局感極まって泣いてしまった。
 

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結局箸を使うのも面倒になった。
 

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プロ雀士コラム/Mr.Xの連盟Weekly!

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【がらくた時代到来】
 

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遂に…遂に念願のG1タイトルホルダーとなったのは佐々木寿人だ!
 

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先日の無礼なインタビューをご覧になったであろうか?
第159回:プロ雀士インタビュー 佐々木 寿人
モンド杯を獲得した時のもので、インタビュアーは日本オープンを獲得した山口大和だ。
「目立たぬようにーはしゃがぬようにー♪」
とインタビュー中、河島英五の時代遅れをスタジオに流すスタッフのはからいがあったが、この日だけは目立って、はしゃいだことであろう。

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十段戦の再現なるか、と最後まで追い上げた柴田吉和も見事であった。
牌譜を汚すまい、とメンチンペンカン七索リーチをかけた内川もまた見事なプロ意識で対局を終えた。
 

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そして、惜しくも敗れた白鳥。
彼ががらくた傘下に加わったかどうかは定かではないが、とりあえずこのポーズで写真に収まっている。
対局終了直後、佐々木寿人の口から「白鳥が強くて…」という言葉があったが、これはもちろん本音である。
常日頃、白鳥に対して情けないだの何だの声をかけているが、今回ばかりは白鳥の強さを感じたようだ。
4人共、素晴らしい対局をありがとう!
 

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【がらくた番組の方も…】
 
チームがらくた(総勢2名)総帥である前原雄大の鳳凰位獲得、佐々木寿人のモンド杯、グランプリMAX獲得により、さらに「がらくたチャレンジ」にも注目が集まる。
次回は、
3/21(火)18時~
C卓
小川尚哉vs真鍋明広vs高谷圭一vs山田学武
実況:部谷幸則
解説:前原雄大
D卓は3/27(月)18時~予選D卓が開催される。
庄田祐生vsケネス徳田vs三浦智博vs小林正和
実況:桜川姫子
解説:前原雄大
桜川姫子!?凄い名前!白鳥翔みたいな感じ!?
 

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修行の様子

 
 
【メイクアップ】
 
「俺も日吉さんみたいに名前間違えられたいっす!」
ワクワクしてメイクを直してもらっている白鳥だが……
 

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何も声をかけてもらえなかった。
一切!の声もかけてもらえなかった。
白鳥も惜しかったね。また次は頑張ろう。
 
 
【Battle of generation決勝】
 
3/24(金)18時~
勝又健志vs西川淳vs近藤久春vs森山茂和
実況:優月みか
解説:未定
ルール:WRC世界選手権ルール
システム:半荘3回戦を行い優勝者を決める
それぞれの世代予選を勝ち上がってきた4名の戦い。
反射神経は若手に分があるのは間違いないが、競技麻雀が強い年齢というのは未だに不明だ。
持ち味を出し切り、世代別の頂点に輝くのは誰だ!?
 
 
【詮索するべからず】
 

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写真は正月になると現れる”グレートタカ”のマスクを被る瞬間の写真だ。
誰なのかは未だに不明だが、持ち前の筋肉ボディーでいわゆる「オヤジ狩り」を撃退したこともあるらしい。
だから情報は「オヤジ」であること。そして繰り出す技から、かなりのプロレス好きであるということ。しかし、麻雀は守備型。
とりあえずそれだけである。
「タカ」というネーミングから古橋タカ志の可能性も考えられるが体型的にどうか?
スタジオだからまだしも、この姿で外を歩いている人がいたなら、私なら直ぐに逃げる。
 
 
【打ち上げ】
 
結局感極まって泣いてしまった。
 

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結局箸を使うのも面倒になった。
 

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第7期麻雀グランプリMAX 優勝は佐々木 寿人!

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優勝:佐々木寿人 準優勝:白鳥翔 第3位:柴田吉和 第4位:内川幸太郎

連盟インフォメーション/第7期麻雀グランプリMAX 優勝は佐々木 寿人!

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優勝:佐々木寿人 準優勝:白鳥翔 第3位:柴田吉和 第4位:内川幸太郎

第1期JPML WRCリーグ 決勝観戦記 黒木 真生

WBCではなくWRCです

日本プロ麻雀連盟のルールはAとBがあり、Aは一発裏ドラなしで、Bはあり。Bは順位点が少し違うという程度で、大きな差異はなかった。
だが、今期からBルールは廃止されることとなった。
一発・裏ドラありの試合は、すべてWRCルールで行うことを決めたからである。

WRCとは、World Riichi Championshipの略で、リーチ麻雀世界選手権のことである。
2014年にフランス・パリで第1回大会が行われ、山井弘プロが優勝した。女性部門の1位は魚谷侑未プロだった。

大会には、実に40名もの連盟プロが参加した。総勢120名の大会だったので、約3分の1が連盟の選手だった。世界選手権の委員会から招待されたわけではなく、全員が自腹でエントリー費や旅費宿泊費を支払って参加したものである。
ヨーロッパの麻雀愛好家が組織を作り、ヨーロッパの選手権大会を何回か開催した後、満を持して世界大会を開催するのであれば、本家本元の日本の麻雀プロとして参加しないわけにはいかない。
日本式麻雀の世界への普及のために。そしてあわよくば、自らが初代チャンピオンとなって名を挙げようと、数十万円を工面して臨んだわけである。私もコツコツと毎月お金を積み立てて、旅費を作った。
否、私たち中堅や若手はそういった野望もあるにはあったが、小島武夫、森山茂和、伊藤優孝、荒正義、前原雄大、沢崎誠ら、もういい加減「名」は十分に挙がり切っている人たちもこぞって参加したのであった。彼らはただ「思い」に応えるためだけに行った。

特に、当時すでに77歳と超・高齢の小島先生が「行く」と言った時は驚いた。
先生、しんどかったら別に行かなくてもいいんですよ? と言っても、
「いや、ファンの人が楽しみにしてるんだろ? なら俺は行くんだよ」
と言われた。

いや先生、戸田や平和島へ行くんとちゃいますよ? 地球の裏側へ行くんですけど大丈夫ですか? しかも、ファンって言ったって外国の人だし…。正直そう思ったが、実際に行ってみて驚いた。

小島先生と一緒に会場入りした私の方を、離れたところから外国人の三人組が、チラチラ見ている。私はそちらへ近づいて行った。そして、
「キミら、あのお方が、どなたやと心得てガン飛ばしてくれとんの? え?(実際は Do you know him? と言った)」
と聞いてみた。しかし、答えは帰ってこず、3人の若者は顔を見合わせている。

何だ、私の英語の発音がアカンすぎて通じていないのだろうか。もしかしてフランス人とかロシア人で英語知らんのかこの子らは。
と思っていたら、
「ミスター麻雀・小島武夫御大ですよね。Youtubeでチューレンポートーをアガるのを見ました」
と返ってきたではないか!

そうなのだ。もうすでに麻雀の映像は世界に届きつつあったのである。

とまぁ、話は大幅にそれてしまったが、要するに、日本式麻雀で世界への普及に貢献したいと考えているからこそ、Bルールを撤廃して、できるだけ世界選手権ルールを採用するようにと考えているわけだ。

もちろん、リーグ戦や十段戦、王位戦など、Aルールで行われてきたものは別だが、マスターズやプロクイーンなど、一発・裏ドラありのBルールが採用されてきたものは、2017年4月からすべてWRCルールに変わる。

これに伴い、Aルールという名称もなくなる。これまでAルールと呼ばれていたものは、日本プロ麻雀連盟公式ルールとなる。つまり連盟の公式戦は、連盟公式ルールか、WRCルールの2通りになるわけだ。
ちなみに、WRCルールは、途中流局や国士無双の暗槓チャンカンなどの「例外」が極力排除されている。初めて麻雀に触れる人が、覚えるべきことがちょっとでも少なくなるように配慮されているのだ。

このJPMLWRCリーグも、同様の発想でスタートした。
今年10月に行われる第2回世界選手権ラスベガス大会を盛り上げる意味もあって、この年にスタートさせたのだ。

WRCリーグには、初年度から多くの連盟員が参加した。
何となく皆、麻雀を真面目に頑張れば報われるという気持ちになっているのだろう。
特に無名の若手にとってはチャンスである。

これに勝ったからといってラスベガス大会でシード権があったりするわけじゃないが、出たいと言えば出られる可能性は高いだろう。

だが、決勝まで進んだ者の中で、まったくの優勝未経験者は菊原真人だけだった。
勝又健志は、言わずとしれた前・鳳凰位であり、グランプリMAX優勝の経験もある。麻雀プロ団体日本一決定戦では連盟の大将として、ぶっちぎりの成績で他団体を圧倒した。WRCリーグ決勝戦の前日まで鳳凰位決定戦で打つという、超ハードスケジュールだった。
中村慎吾も若手ではあるが、WRCリーグと同じG2クラスのチャンピオンズリーグで優勝している。
羽山真生はプロ入り前、学生時代に王位を連覇するという経歴を持っている。また、プロデビュー後も、九州の大会で二度優勝を経験している。

この羽山という人、名前が私と同じ真生と書くのだが、読み方が「まこと」というのは決勝戦で初めて知った。私は「まさお」である。
20年近く前、彼が王位を連覇した時に、下の名前が一緒だということで覚えていたのだが、何と読むかは知らなかったのだ。

それがどないしてん。と言われるのは百も千も承知である。この羽山が、好スタートを切ったからこそ、このエピソードを挟んだまでである。
何が悲しゅうて、40過ぎたオッサンの、下の名前、一緒だね、言うてじゃれなアカンのか。
ちなみに、羽山の方が年下というのも決勝戦で初めて知った。
ずっと「さん」づけしてて損したと思った。

100

「待て」のサインでも「振れ」

一回戦、羽山が好調だったのは間違いないが、羽山はその好調をキープすべく、独走態勢に入ってもその手は緩めなかった。

14巡目、白を仕掛けた親の羽山だが、勝又のリーチを受け、アタリ牌の八索をつかんでオリを選択。
五万六万七万の順子から七万を捨てて手を崩した。
しかし次巡、羽山は四万をツモって順子が四万五万六万と復活し、浮いていた1枚切れの東がリーチに通った。
さらに次巡、八索七索がくっつき、一索の対子落とし。最後は九索をツモって、結局テンパイしてしまった。
アタリ牌を持ってきて一度は諦めた親が、続いたのであるから不調なわけがない。

100

羽山は、南2局の勝又の親リーチに対して、暗刻の七索を勝負してテンパイを維持した。

100

確かに二索よりは七索の方が通りそうである。ただ、七索が必ず通るとは限らない。自分は6万点持っていて相手は親のリーチ。もうツモはない。麻雀を数字でとらえている人なら、ほとんどがオリるのではないだろうか。
だが、なぜか羽山は七索を打った。
これはたぶん「気合」なのだろうと思ったが、いくら観戦記だとはいえ、勝手にそんなことを書いて全然違ったら羽山に申し訳ないので、電話取材をしてみた。

「普段のリーグ戦なら現物を切ってオリると思います。でも決勝はアタマ獲りですから。ただ普通にやっててもダメだと思うんです。ここでヒヨると、この後、徐々に腰が引けた麻雀になって、行くべき時に行けなくなるんで」

つまり、かなり要約すれば「気合」ということである。気合が足りないと、麻雀は勝てないのだ。それを羽山は経験で知っていた。

「でも、王位を連覇した頃は分かってませんでした。あの頃は、ただひたすら、丁寧に麻雀を打っていただけなんです。そうしたら勝つことができました。でも三連覇がかかった時の最終戦で、ありえないところから逆転負けを喫したんです。その時に気づきました。勝負事っていうのは、自分が勝ってて勢いがある時に、とことんまでリードを広げようとしなければならないんだなと」

しかし、羽山はただ、気合バカのごとく、何でも切るというわけではない。

「理想は、アタらないようにガンガン突っ込んでいくことですね。放銃はしたくないけど、アタらない牌でオリるのも嫌なんで。それを完璧にできる人はいないかもしれないけど、それを目指して打ちたいですね」

単なる気合ではなかった。失礼した。ちゃんとした理論があった。
つまるところ、羽山は常に戦っていたかったのであろう。

強い高校野球チームの監督は「待て」のサインの時でも、ストライクゾーンにボールがきたらちゃんとスイングするよう指導するという話を聞いたことがある。もちろん打者は力強く空振りをしなければならない。
一瞬、無意味に思えるかもしれない。
「待て」のサインが出ているということは、相手の投手が何を投げてきても、打者に打たせたくないわけだ。
ランナーが走るためかもしれないし、投手がコントロールに苦しんでいて、四球を狙うため、ストライクが1つ入るまでは待たせたいのかもしれない。あるいは、投球後に相手の守備陣形がどう変化するか、見たいのかもしれない。
いろいろな理由があるが、もし振るように指導したために、ボール球を振ってしまったら大損である。万が一、ボールに当たってしまったら目も当てられない。
ではなぜ、そんなリスクがあるのにわざわざ振らせるか。
それはリスクがあるからだ。
監督として、常に選手を「戦闘態勢」にしておきたいのだろう。「待て」と言われて、一瞬でも「何もしなくていいや」と気を抜いた選手が、プチ平和ボケ状態になることを避けたいのである。最初は「プチ」平和ボケで済むかもしれないが、徐々にその平和ボケウィルスが増殖し、体と心を蝕んでいくかもしれない。だからあえて、リスクを冒させるのだ。

羽山の七索切りは、それと似たような意味があったのだと思う。
オリるのは簡単だけど、次に同じような局面がきたら、またオリるのか。
少しずつ点差が縮まって、打ったらヤバイぐらいになってきたら、もっと早くオリるべきか。そうやってオリの局面が増えてくると、放銃は減るだろう。しかし、相手にそれを悟られると、攻め込まれることになり、さらにオリるべきケースが増える。これを繰り返している内に、大量リードがいつのまにか接戦となり、逆転される。
こういった決勝戦のパターンを、羽山は自身でも味わい、また、他人が打つ決勝戦を見てきたのであろう。

「羽山は七索が通る」と「思った」から七索を切った。そして手を開けてみると、二索の方がアタリ牌になっていた。
羽山は、今日は牌のめぐりも良いし、自分の感性も間違っていない。勝てる日だと考えたと思う。
しかし、ここまで腹をくくって戦っているつもりの選手でも、思うようにいかないのが麻雀なのだ。

一回戦は羽山のダントツで終了したが、二、三回戦は完全に菊原ペース。
最終四回戦開始時点では、以下のように大幅にリードを許していた。

菊原 +57.8
羽山 +21.6
勝又 ▲37.3
中村 ▲42.9

羽山本人いわく、
「途中、どこかで守ろうという意識が働いてしまったのだと思います。それが敵に付け入る隙を与えたと思います。これじゃいけないと思い直しても、たいていは遅すぎてダメなのですが、今回は幸いにも、最終戦でチャンスが訪れ、優勝することができました。これはラッキーだったと思います」

本人は謙遜しているが、ただのラッキーでないことは明白だ。
羽山自身の評価では「もっと攻めることができた」「もっと踏み込めた」という反省があったかもしれないが、少なくとも、相手のそれを凌いでいたからこそ、優勝できたはずである。

麻雀は精神論がすべてだと言うつもりはない。
ただ、少し前まで鳳凰位だった勝又でさえ、絶不調のバイオリズムにあたったら、優勝のチャンス皆無状態で4戦を戦わなければならないこともある。
中村にしても同じだ。当日は、何をやってもうまくいかないように見えた。あれ? 僕どうやって決勝戦まで上がってこれたんでしょう? といわんばかりの不調ぶりであった。中村の実力を発揮するチャンスがほとんどなかった。
でも、こういった現象が常に起きうるのが麻雀なのである。

だからこそ、勝てるチャンスがあって、それが指に引っかかった時ぐらいは確実に勝ちたい。漏らしたくない。プロ雀士はみな、そう思うのだ。

今日は勝てそうだ。否、勝たねばならない。
暗刻の七索を打てばテンパイする。アガリはなさそうだ。テンパイ料が欲しいというわけでもない。打たなくても、どうってことはない。打つと痛い。でも、これはアタらないと思う。アタらない保証はない。
こう考えた時には、羽山は打つ人なのである。
どうしても勝ちたいからこそ、自分を信じて、打つ人。一方で、勝ちたいからこそ、絶対に打たないという人。どちらもいる。
今回勝った羽山は、前者の人なのである。

100

JPML WRCリーグ 決勝観戦記/第1期JPML WRCリーグ 決勝観戦記 黒木 真生

WBCではなくWRCです
日本プロ麻雀連盟のルールはAとBがあり、Aは一発裏ドラなしで、Bはあり。Bは順位点が少し違うという程度で、大きな差異はなかった。
だが、今期からBルールは廃止されることとなった。
一発・裏ドラありの試合は、すべてWRCルールで行うことを決めたからである。
WRCとは、World Riichi Championshipの略で、リーチ麻雀世界選手権のことである。
2014年にフランス・パリで第1回大会が行われ、山井弘プロが優勝した。女性部門の1位は魚谷侑未プロだった。
大会には、実に40名もの連盟プロが参加した。総勢120名の大会だったので、約3分の1が連盟の選手だった。世界選手権の委員会から招待されたわけではなく、全員が自腹でエントリー費や旅費宿泊費を支払って参加したものである。
ヨーロッパの麻雀愛好家が組織を作り、ヨーロッパの選手権大会を何回か開催した後、満を持して世界大会を開催するのであれば、本家本元の日本の麻雀プロとして参加しないわけにはいかない。
日本式麻雀の世界への普及のために。そしてあわよくば、自らが初代チャンピオンとなって名を挙げようと、数十万円を工面して臨んだわけである。私もコツコツと毎月お金を積み立てて、旅費を作った。
否、私たち中堅や若手はそういった野望もあるにはあったが、小島武夫、森山茂和、伊藤優孝、荒正義、前原雄大、沢崎誠ら、もういい加減「名」は十分に挙がり切っている人たちもこぞって参加したのであった。彼らはただ「思い」に応えるためだけに行った。
特に、当時すでに77歳と超・高齢の小島先生が「行く」と言った時は驚いた。
先生、しんどかったら別に行かなくてもいいんですよ? と言っても、
「いや、ファンの人が楽しみにしてるんだろ? なら俺は行くんだよ」
と言われた。
いや先生、戸田や平和島へ行くんとちゃいますよ? 地球の裏側へ行くんですけど大丈夫ですか? しかも、ファンって言ったって外国の人だし…。正直そう思ったが、実際に行ってみて驚いた。
小島先生と一緒に会場入りした私の方を、離れたところから外国人の三人組が、チラチラ見ている。私はそちらへ近づいて行った。そして、
「キミら、あのお方が、どなたやと心得てガン飛ばしてくれとんの? え?(実際は Do you know him? と言った)」
と聞いてみた。しかし、答えは帰ってこず、3人の若者は顔を見合わせている。
何だ、私の英語の発音がアカンすぎて通じていないのだろうか。もしかしてフランス人とかロシア人で英語知らんのかこの子らは。
と思っていたら、
「ミスター麻雀・小島武夫御大ですよね。Youtubeでチューレンポートーをアガるのを見ました」
と返ってきたではないか!
そうなのだ。もうすでに麻雀の映像は世界に届きつつあったのである。
とまぁ、話は大幅にそれてしまったが、要するに、日本式麻雀で世界への普及に貢献したいと考えているからこそ、Bルールを撤廃して、できるだけ世界選手権ルールを採用するようにと考えているわけだ。
もちろん、リーグ戦や十段戦、王位戦など、Aルールで行われてきたものは別だが、マスターズやプロクイーンなど、一発・裏ドラありのBルールが採用されてきたものは、2017年4月からすべてWRCルールに変わる。
これに伴い、Aルールという名称もなくなる。これまでAルールと呼ばれていたものは、日本プロ麻雀連盟公式ルールとなる。つまり連盟の公式戦は、連盟公式ルールか、WRCルールの2通りになるわけだ。
ちなみに、WRCルールは、途中流局や国士無双の暗槓チャンカンなどの「例外」が極力排除されている。初めて麻雀に触れる人が、覚えるべきことがちょっとでも少なくなるように配慮されているのだ。
このJPMLWRCリーグも、同様の発想でスタートした。
今年10月に行われる第2回世界選手権ラスベガス大会を盛り上げる意味もあって、この年にスタートさせたのだ。
WRCリーグには、初年度から多くの連盟員が参加した。
何となく皆、麻雀を真面目に頑張れば報われるという気持ちになっているのだろう。
特に無名の若手にとってはチャンスである。
これに勝ったからといってラスベガス大会でシード権があったりするわけじゃないが、出たいと言えば出られる可能性は高いだろう。
だが、決勝まで進んだ者の中で、まったくの優勝未経験者は菊原真人だけだった。
勝又健志は、言わずとしれた前・鳳凰位であり、グランプリMAX優勝の経験もある。麻雀プロ団体日本一決定戦では連盟の大将として、ぶっちぎりの成績で他団体を圧倒した。WRCリーグ決勝戦の前日まで鳳凰位決定戦で打つという、超ハードスケジュールだった。
中村慎吾も若手ではあるが、WRCリーグと同じG2クラスのチャンピオンズリーグで優勝している。
羽山真生はプロ入り前、学生時代に王位を連覇するという経歴を持っている。また、プロデビュー後も、九州の大会で二度優勝を経験している。
この羽山という人、名前が私と同じ真生と書くのだが、読み方が「まこと」というのは決勝戦で初めて知った。私は「まさお」である。
20年近く前、彼が王位を連覇した時に、下の名前が一緒だということで覚えていたのだが、何と読むかは知らなかったのだ。
それがどないしてん。と言われるのは百も千も承知である。この羽山が、好スタートを切ったからこそ、このエピソードを挟んだまでである。
何が悲しゅうて、40過ぎたオッサンの、下の名前、一緒だね、言うてじゃれなアカンのか。
ちなみに、羽山の方が年下というのも決勝戦で初めて知った。
ずっと「さん」づけしてて損したと思った。
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「待て」のサインでも「振れ」
一回戦、羽山が好調だったのは間違いないが、羽山はその好調をキープすべく、独走態勢に入ってもその手は緩めなかった。

14巡目、白を仕掛けた親の羽山だが、勝又のリーチを受け、アタリ牌の八索をつかんでオリを選択。
五万六万七万の順子から七万を捨てて手を崩した。
しかし次巡、羽山は四万をツモって順子が四万五万六万と復活し、浮いていた1枚切れの東がリーチに通った。
さらに次巡、八索七索がくっつき、一索の対子落とし。最後は九索をツモって、結局テンパイしてしまった。
アタリ牌を持ってきて一度は諦めた親が、続いたのであるから不調なわけがない。
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羽山は、南2局の勝又の親リーチに対して、暗刻の七索を勝負してテンパイを維持した。
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確かに二索よりは七索の方が通りそうである。ただ、七索が必ず通るとは限らない。自分は6万点持っていて相手は親のリーチ。もうツモはない。麻雀を数字でとらえている人なら、ほとんどがオリるのではないだろうか。
だが、なぜか羽山は七索を打った。
これはたぶん「気合」なのだろうと思ったが、いくら観戦記だとはいえ、勝手にそんなことを書いて全然違ったら羽山に申し訳ないので、電話取材をしてみた。
「普段のリーグ戦なら現物を切ってオリると思います。でも決勝はアタマ獲りですから。ただ普通にやっててもダメだと思うんです。ここでヒヨると、この後、徐々に腰が引けた麻雀になって、行くべき時に行けなくなるんで」
つまり、かなり要約すれば「気合」ということである。気合が足りないと、麻雀は勝てないのだ。それを羽山は経験で知っていた。
「でも、王位を連覇した頃は分かってませんでした。あの頃は、ただひたすら、丁寧に麻雀を打っていただけなんです。そうしたら勝つことができました。でも三連覇がかかった時の最終戦で、ありえないところから逆転負けを喫したんです。その時に気づきました。勝負事っていうのは、自分が勝ってて勢いがある時に、とことんまでリードを広げようとしなければならないんだなと」
しかし、羽山はただ、気合バカのごとく、何でも切るというわけではない。
「理想は、アタらないようにガンガン突っ込んでいくことですね。放銃はしたくないけど、アタらない牌でオリるのも嫌なんで。それを完璧にできる人はいないかもしれないけど、それを目指して打ちたいですね」
単なる気合ではなかった。失礼した。ちゃんとした理論があった。
つまるところ、羽山は常に戦っていたかったのであろう。
強い高校野球チームの監督は「待て」のサインの時でも、ストライクゾーンにボールがきたらちゃんとスイングするよう指導するという話を聞いたことがある。もちろん打者は力強く空振りをしなければならない。
一瞬、無意味に思えるかもしれない。
「待て」のサインが出ているということは、相手の投手が何を投げてきても、打者に打たせたくないわけだ。
ランナーが走るためかもしれないし、投手がコントロールに苦しんでいて、四球を狙うため、ストライクが1つ入るまでは待たせたいのかもしれない。あるいは、投球後に相手の守備陣形がどう変化するか、見たいのかもしれない。
いろいろな理由があるが、もし振るように指導したために、ボール球を振ってしまったら大損である。万が一、ボールに当たってしまったら目も当てられない。
ではなぜ、そんなリスクがあるのにわざわざ振らせるか。
それはリスクがあるからだ。
監督として、常に選手を「戦闘態勢」にしておきたいのだろう。「待て」と言われて、一瞬でも「何もしなくていいや」と気を抜いた選手が、プチ平和ボケ状態になることを避けたいのである。最初は「プチ」平和ボケで済むかもしれないが、徐々にその平和ボケウィルスが増殖し、体と心を蝕んでいくかもしれない。だからあえて、リスクを冒させるのだ。
羽山の七索切りは、それと似たような意味があったのだと思う。
オリるのは簡単だけど、次に同じような局面がきたら、またオリるのか。
少しずつ点差が縮まって、打ったらヤバイぐらいになってきたら、もっと早くオリるべきか。そうやってオリの局面が増えてくると、放銃は減るだろう。しかし、相手にそれを悟られると、攻め込まれることになり、さらにオリるべきケースが増える。これを繰り返している内に、大量リードがいつのまにか接戦となり、逆転される。
こういった決勝戦のパターンを、羽山は自身でも味わい、また、他人が打つ決勝戦を見てきたのであろう。
「羽山は七索が通る」と「思った」から七索を切った。そして手を開けてみると、二索の方がアタリ牌になっていた。
羽山は、今日は牌のめぐりも良いし、自分の感性も間違っていない。勝てる日だと考えたと思う。
しかし、ここまで腹をくくって戦っているつもりの選手でも、思うようにいかないのが麻雀なのだ。
一回戦は羽山のダントツで終了したが、二、三回戦は完全に菊原ペース。
最終四回戦開始時点では、以下のように大幅にリードを許していた。
菊原 +57.8
羽山 +21.6
勝又 ▲37.3
中村 ▲42.9
羽山本人いわく、
「途中、どこかで守ろうという意識が働いてしまったのだと思います。それが敵に付け入る隙を与えたと思います。これじゃいけないと思い直しても、たいていは遅すぎてダメなのですが、今回は幸いにも、最終戦でチャンスが訪れ、優勝することができました。これはラッキーだったと思います」
本人は謙遜しているが、ただのラッキーでないことは明白だ。
羽山自身の評価では「もっと攻めることができた」「もっと踏み込めた」という反省があったかもしれないが、少なくとも、相手のそれを凌いでいたからこそ、優勝できたはずである。
麻雀は精神論がすべてだと言うつもりはない。
ただ、少し前まで鳳凰位だった勝又でさえ、絶不調のバイオリズムにあたったら、優勝のチャンス皆無状態で4戦を戦わなければならないこともある。
中村にしても同じだ。当日は、何をやってもうまくいかないように見えた。あれ? 僕どうやって決勝戦まで上がってこれたんでしょう? といわんばかりの不調ぶりであった。中村の実力を発揮するチャンスがほとんどなかった。
でも、こういった現象が常に起きうるのが麻雀なのである。
だからこそ、勝てるチャンスがあって、それが指に引っかかった時ぐらいは確実に勝ちたい。漏らしたくない。プロ雀士はみな、そう思うのだ。
今日は勝てそうだ。否、勝たねばならない。
暗刻の七索を打てばテンパイする。アガリはなさそうだ。テンパイ料が欲しいというわけでもない。打たなくても、どうってことはない。打つと痛い。でも、これはアタらないと思う。アタらない保証はない。
こう考えた時には、羽山は打つ人なのである。
どうしても勝ちたいからこそ、自分を信じて、打つ人。一方で、勝ちたいからこそ、絶対に打たないという人。どちらもいる。
今回勝った羽山は、前者の人なのである。
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天鳳位vs.連盟プロ対抗戦 2nd season 第3節レポート:ケネス徳田

~ルールの相違点の対応~

 

麻雀は基本頭を使うものと思いがちだが、身体で打つ「慣れ」の部分も大きい。例えばターツ選択や押し引きなどは頭、不要牌を切る、カンチャンをリャンメンに変化させる、など思考を入れず条件反射で行える部分は身体が担っているといえる。その身体で打つ部分が多ければ多いほど、「打ち慣れてる」ということになる。
しかしこの「打ち慣れてる」からこそ失敗するパターンもある。頭ではルールの違いを把握していたとしても、条件反射の部分でついいつものルールと同じ選択をしてしまう事がある。今節は天鳳勢にとってそういった皮肉な結果が目立った。
例えば11回戦南2局4本場、かにマジンさんの手牌。中をポンして二索五索とカン七索のイーシャンテン。不要牌で三筒を浮かしているところに4枚目の中

 

100

 

一発裏ドラカンドラありルールならばとりあえず加カンせず安全牌として持っておき、カン七索の方を先に引いてリャンメン待ちなら加カン…という打ち手が多いだろう。
勿論かにマジンさんもその選択、中を加カンせずに打三筒とした。
しかし一発裏ドラ無しルールならば…三筒を好形変化の種として持っている以上は中を加カンが攻めの手筋である。
だが結果は…これが大成功を収める。五索をツモってテンパイからの加カン、するとリンシャン牌の七索でツモアガリ。

九万九万三索四索五索六索八索東東東  加カン中中中中  リンシャンツモ七索  ドラ三索

唯一の満貫の手順となったわけである。

 

100

  

 

~点棒=エネルギー?~
 
 

通常の麻雀が順位戦とするならば、プロ連盟のルールは素点麻雀。普通の麻雀と違い「勝っているところからさらに得点を伸ばす」のが勝つ秘訣というのは前回のレポートでも記したとおりである。
逆に負けている場合、普通の麻雀ならばせめて1順位でも上の順位、あるいは満貫クラスなら…というのがセオリーなのだが、このルールでは「これ以上の失点を防ぐ」のが望ましい考え方である。
30000点を原点として、浮きで終わればプラスの順位点、沈みで終わればマイナスの順位点がこのルールの特徴。
「沈んでいた場合、浮きを狙って大きく狙えばいいんでしょ」…このルールを打ち慣れていない人はそう考えがちである。おそらくこのルールの強者であるほど、沈んている時こそ慎重にこれ以上失点を増やさない打ち方を選ぶ。
例えば11回戦東4局2本場、ここまで独歩さんが1人苦しい戦いを強いられている。とそこに東家・前田直哉プロから8巡目に先制リーチ。

 

100

 

独歩さんが安全牌を切りつつツモ五索でテンパイが入る。打八索で高目タンピンイーペーコー。普通なら追っかけリーチで挽回したい気持ちになるが…このルールではこれが罠。独歩さんも五索をツモった時の手つきに躊躇が見られた。おそらく心中は「行きたくない、けどこの形でテンパイしたからには…」という葛藤があったと思う。結果この八索が前田に11600の放銃となってしまう。

三万四万五万二索三索四索六索七索三筒三筒五筒六筒七筒  ロン八索  ドラ六筒
 
普通のルールならば順位点が大きいため接戦のラスも大きいラスもそこまで差はない。しかしこのルールは順位点が大きくないため、ある程度の失点、浮きが見込めないところまで落ちたら、今度は徹底的に失点を避けるべきなのである。
テンパイとイーシャンテンは大違いとよく言われるが、テンパイとアガリもそれこそ大違い。むしろ「テンパイだから」という理由で危険牌を切らざるを得なくなり、さらに傷を広げる結果となることが多い。
この半荘も南場の独歩さんが…

 

100

 

さらに傷を広げ、そしてこの南家・前田のリーチに九索で放銃してしまう。

一万二万三万四万五万六万七索八索七筒八筒九筒北北  ロン九索

もちろんこの状況では安全牌がそこまでないため九索切りになるだろう。しかしこれも「親番でイーシャンテンだから」という理由で打たされた牌である。
プロ連盟のルールでは「ラスを受け入れる」という考え方がある。順位点がそれほど大きくないため、ラスであってもこれ以上失点しないようにする作戦である。
このルールに精通していれば、手を組まないで極力安全牌を残しながら進めて、おそらく放銃は免れていただろう。
皮肉にも攻撃力のある独歩さんだからこそ、逆に傷を深くしてしまったのかもしれない。

 

100

 

 

~止めてもまた来る当たり牌~

 
 
12回戦のすずめクレイジーさんもだいぶ苦戦を強いられた。東1局に11600を放銃しじわりじわりと削られ

 

100

 

カン二筒でテンパイしているところに5巡目、東家・前田プロのリーチが入る。
このツモ五万で…すずめクレイジーさんは打一筒でテンパイくずし。一筒も通っていないのだが、マンズを厚く持っての反撃を考えたのである。
実はこの五万は見事に前田プロの当たり牌。
 
三万四万五万六万七万六索七索八索四筒五筒六筒白白  ドラ三万  リーチ

回ったすずめクレイジーさん。12巡目で

二万二万三万四万五万四索五索六索六索七索七筒八筒九筒  ツモ七索  ドラ三万
 
高目イーペーコーがついて四索切りで追いかける。反撃ののろしを上げたいところだが…一度止めた五万をもう一度掴んでしまい3900の放銃。
持ち点が少ないほどアガリも遠のくのがこのルールの不思議な点である。

 

100

 

 

~一方どん底からの生還も!?~

 

13回戦ではASAPINさんも泥沼に。東4局4本場で8300点まで減らされたが…このテンパイ

三筒三筒南南  ポン白白白  ポン北北北  ポン九筒 左向き九筒 上向き九筒 上向き  ドラ八万

そして連荘中の勝又プロからハネ満直撃。

 

100

 

この起死回生のアガリからなんと31700の浮きまで回復する。これ以上のマイナスは背負えないだけに、ここでの踏ん張りは値千金。

 

100

 

予選成績

順位 名前 合計
1 勝又健志 85.7
2 就活生@川村軍団
(9代目天鳳位)
79.1
3 前原雄大 67.1
4 瀬戸熊直樹 2.7
5 前田直哉 ▲ 5.2
6 かにマジン
(8代目天鳳位)
▲ 18.1
7 すずめクレイジー
(4代目天鳳位)
▲ 23.8
8 ASAPIN
(初代・11代目天鳳位)
▲ 45.9
9 藤崎智 ▲ 49.0
10 独歩
(3代目天鳳位)
▲ 93.6

 
第3節で大きく稼いだ勝又プロが首位に。逆にやはり11回戦での負けが響いた独歩さんが最下位に転落。残る予選1節で挽回できるか!?
 
 

【スケジュール】
 

放送予定 3/20 13:00~
天鳳位vs.連盟プロ 2nd season第4節


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プレーオフ:4月15日(土)
決勝戦  :5月 4日(木)

特集企画/天鳳位vs.連盟プロ対抗戦 2nd season 第3節レポート:ケネス徳田

~ルールの相違点の対応~
 
麻雀は基本頭を使うものと思いがちだが、身体で打つ「慣れ」の部分も大きい。例えばターツ選択や押し引きなどは頭、不要牌を切る、カンチャンをリャンメンに変化させる、など思考を入れず条件反射で行える部分は身体が担っているといえる。その身体で打つ部分が多ければ多いほど、「打ち慣れてる」ということになる。
しかしこの「打ち慣れてる」からこそ失敗するパターンもある。頭ではルールの違いを把握していたとしても、条件反射の部分でついいつものルールと同じ選択をしてしまう事がある。今節は天鳳勢にとってそういった皮肉な結果が目立った。
例えば11回戦南2局4本場、かにマジンさんの手牌。中をポンして二索五索とカン七索のイーシャンテン。不要牌で三筒を浮かしているところに4枚目の中
 
100
 
一発裏ドラカンドラありルールならばとりあえず加カンせず安全牌として持っておき、カン七索の方を先に引いてリャンメン待ちなら加カン…という打ち手が多いだろう。
勿論かにマジンさんもその選択、中を加カンせずに打三筒とした。
しかし一発裏ドラ無しルールならば…三筒を好形変化の種として持っている以上は中を加カンが攻めの手筋である。
だが結果は…これが大成功を収める。五索をツモってテンパイからの加カン、するとリンシャン牌の七索でツモアガリ。
九万九万三索四索五索六索八索東東東  加カン中中中中  リンシャンツモ七索  ドラ三索
唯一の満貫の手順となったわけである。
 
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~点棒=エネルギー?~
 
 
通常の麻雀が順位戦とするならば、プロ連盟のルールは素点麻雀。普通の麻雀と違い「勝っているところからさらに得点を伸ばす」のが勝つ秘訣というのは前回のレポートでも記したとおりである。
逆に負けている場合、普通の麻雀ならばせめて1順位でも上の順位、あるいは満貫クラスなら…というのがセオリーなのだが、このルールでは「これ以上の失点を防ぐ」のが望ましい考え方である。
30000点を原点として、浮きで終わればプラスの順位点、沈みで終わればマイナスの順位点がこのルールの特徴。
「沈んでいた場合、浮きを狙って大きく狙えばいいんでしょ」…このルールを打ち慣れていない人はそう考えがちである。おそらくこのルールの強者であるほど、沈んている時こそ慎重にこれ以上失点を増やさない打ち方を選ぶ。
例えば11回戦東4局2本場、ここまで独歩さんが1人苦しい戦いを強いられている。とそこに東家・前田直哉プロから8巡目に先制リーチ。
 
100
 
独歩さんが安全牌を切りつつツモ五索でテンパイが入る。打八索で高目タンピンイーペーコー。普通なら追っかけリーチで挽回したい気持ちになるが…このルールではこれが罠。独歩さんも五索をツモった時の手つきに躊躇が見られた。おそらく心中は「行きたくない、けどこの形でテンパイしたからには…」という葛藤があったと思う。結果この八索が前田に11600の放銃となってしまう。
三万四万五万二索三索四索六索七索三筒三筒五筒六筒七筒  ロン八索  ドラ六筒
 
普通のルールならば順位点が大きいため接戦のラスも大きいラスもそこまで差はない。しかしこのルールは順位点が大きくないため、ある程度の失点、浮きが見込めないところまで落ちたら、今度は徹底的に失点を避けるべきなのである。
テンパイとイーシャンテンは大違いとよく言われるが、テンパイとアガリもそれこそ大違い。むしろ「テンパイだから」という理由で危険牌を切らざるを得なくなり、さらに傷を広げる結果となることが多い。
この半荘も南場の独歩さんが…
 
100
 
さらに傷を広げ、そしてこの南家・前田のリーチに九索で放銃してしまう。
一万二万三万四万五万六万七索八索七筒八筒九筒北北  ロン九索
もちろんこの状況では安全牌がそこまでないため九索切りになるだろう。しかしこれも「親番でイーシャンテンだから」という理由で打たされた牌である。
プロ連盟のルールでは「ラスを受け入れる」という考え方がある。順位点がそれほど大きくないため、ラスであってもこれ以上失点しないようにする作戦である。
このルールに精通していれば、手を組まないで極力安全牌を残しながら進めて、おそらく放銃は免れていただろう。
皮肉にも攻撃力のある独歩さんだからこそ、逆に傷を深くしてしまったのかもしれない。
 
100
 
 
~止めてもまた来る当たり牌~
 
 
12回戦のすずめクレイジーさんもだいぶ苦戦を強いられた。東1局に11600を放銃しじわりじわりと削られ
 
100
 
カン二筒でテンパイしているところに5巡目、東家・前田プロのリーチが入る。
このツモ五万で…すずめクレイジーさんは打一筒でテンパイくずし。一筒も通っていないのだが、マンズを厚く持っての反撃を考えたのである。
実はこの五万は見事に前田プロの当たり牌。
 
三万四万五万六万七万六索七索八索四筒五筒六筒白白  ドラ三万  リーチ
回ったすずめクレイジーさん。12巡目で
二万二万三万四万五万四索五索六索六索七索七筒八筒九筒  ツモ七索  ドラ三万
 
高目イーペーコーがついて四索切りで追いかける。反撃ののろしを上げたいところだが…一度止めた五万をもう一度掴んでしまい3900の放銃。
持ち点が少ないほどアガリも遠のくのがこのルールの不思議な点である。
 
100
 
 
~一方どん底からの生還も!?~
 
13回戦ではASAPINさんも泥沼に。東4局4本場で8300点まで減らされたが…このテンパイ
三筒三筒南南  ポン白白白  ポン北北北  ポン九筒 左向き九筒 上向き九筒 上向き  ドラ八万
そして連荘中の勝又プロからハネ満直撃。
 
100
 
この起死回生のアガリからなんと31700の浮きまで回復する。これ以上のマイナスは背負えないだけに、ここでの踏ん張りは値千金。
 
100
 
予選成績

順位 名前 合計
1 勝又健志 85.7
2 就活生@川村軍団
(9代目天鳳位)
79.1
3 前原雄大 67.1
4 瀬戸熊直樹 2.7
5 前田直哉 ▲ 5.2
6 かにマジン
(8代目天鳳位)
▲ 18.1
7 すずめクレイジー
(4代目天鳳位)
▲ 23.8
8 ASAPIN
(初代・11代目天鳳位)
▲ 45.9
9 藤崎智 ▲ 49.0
10 独歩
(3代目天鳳位)
▲ 93.6

 
第3節で大きく稼いだ勝又プロが首位に。逆にやはり11回戦での負けが響いた独歩さんが最下位に転落。残る予選1節で挽回できるか!?
 
 
【スケジュール】
 

放送予定 3/20 13:00~
天鳳位vs.連盟プロ 2nd season第4節


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プレーオフ:4月15日(土)
決勝戦  :5月 4日(木)

第6期両毛カップ太田リーグ(プロアマ混合) 最終節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 吉田 幸雄 プロ 52.9 54.0 69.0 ▲ 25.9 150.0
2 西尾 猛 一般 64.7 43.7 31.3 8.1 147.8
3 小林 晃 一般 25.8 48.8 31.0 13.9 119.5
4 高沢 雅 プロ 37.2 63.1 ▲ 51.5 44.2 93.0
5 重原 聡 プロ ▲ 10.5 15.2 ▲ 31.4 42.2 15.5
6 岩間 寿樹 一般 ▲ 48.3 ▲ 37.6 16.7 50.9 23.5 5.2
7 森田 雅博 一般 7.8 ▲ 6.0 50.9 ▲ 60.6 ▲ 7.9
8 中津 真吾 プロ ▲ 26.3 69.9 23.5 ▲ 61.1 ▲ 16.0 ▲ 10.0
9 髙月 章男 一般 ▲ 12.2 63.5 0.7 ▲ 62.8 ▲ 10.8
10 桑原 俊之 一般 38.6 ▲ 43.2 ▲ 31.5 8.9 ▲ 27.2
11 大里 幸弘 一般 ▲ 22.3 ▲ 92.6 1.5 61.2 15.1 ▲ 37.1
12 福田 栄司 一般 66.5 ▲ 4.4 ▲ 31.1 ▲ 53.8 ▲ 16.8 ▲ 39.6
13 小坂 智徳 一般 ▲ 74.5 28.5 ▲ 46.0
14 安達 智 一般 8.4 ▲ 24.1 ▲ 4.7 ▲ 48.0 ▲ 9.3 ▲ 77.7
15 檜山 拓 一般 1.9 ▲ 66.9 ▲ 66.0 ▲ 4.8 ▲ 135.8
16 高橋 信夫 プロ ▲ 93.8 ▲ 12.8 ▲ 0.6 5.5 ▲ 47.2 ▲ 148.9

北関東プロリーグ 成績表/第6期両毛カップ太田リーグ(プロアマ混合) 最終節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 吉田 幸雄 プロ 52.9 54.0 69.0 ▲ 25.9 150.0
2 西尾 猛 一般 64.7 43.7 31.3 8.1 147.8
3 小林 晃 一般 25.8 48.8 31.0 13.9 119.5
4 高沢 雅 プロ 37.2 63.1 ▲ 51.5 44.2 93.0
5 重原 聡 プロ ▲ 10.5 15.2 ▲ 31.4 42.2 15.5
6 岩間 寿樹 一般 ▲ 48.3 ▲ 37.6 16.7 50.9 23.5 5.2
7 森田 雅博 一般 7.8 ▲ 6.0 50.9 ▲ 60.6 ▲ 7.9
8 中津 真吾 プロ ▲ 26.3 69.9 23.5 ▲ 61.1 ▲ 16.0 ▲ 10.0
9 髙月 章男 一般 ▲ 12.2 63.5 0.7 ▲ 62.8 ▲ 10.8
10 桑原 俊之 一般 38.6 ▲ 43.2 ▲ 31.5 8.9 ▲ 27.2
11 大里 幸弘 一般 ▲ 22.3 ▲ 92.6 1.5 61.2 15.1 ▲ 37.1
12 福田 栄司 一般 66.5 ▲ 4.4 ▲ 31.1 ▲ 53.8 ▲ 16.8 ▲ 39.6
13 小坂 智徳 一般 ▲ 74.5 28.5 ▲ 46.0
14 安達 智 一般 8.4 ▲ 24.1 ▲ 4.7 ▲ 48.0 ▲ 9.3 ▲ 77.7
15 檜山 拓 一般 1.9 ▲ 66.9 ▲ 66.0 ▲ 4.8 ▲ 135.8
16 高橋 信夫 プロ ▲ 93.8 ▲ 12.8 ▲ 0.6 5.5 ▲ 47.2 ▲ 148.9

第7期麻雀グランプリMAX ベスト8レポート

ベスト8A卓
 

100
100

 

現在の麻雀界の礎を築いた、レジェンド2名とこれからの未来を担う若手二人の好カード。
1回戦は打ち盛りの若手がリード。
しかし2、3回戦はMR麻雀小島武夫が追い上げる。伊藤は苦しい展開。
三回戦終了時
白鳥+23.6 内川+19.9 小島+10.1 伊藤△55.6
伊藤は追い込まれた。
勝負の四回戦、三者の隊列は若手二人の勢いに崩れた。
四回戦終了時
内川+41.2 白鳥+36.3 小島△0.6 伊藤△79.9
 
決勝進出
1位通過 内川幸太郎
2位通過 白鳥翔
 
 
ベスト8B卓
 

100
100

 

A卓とは違い若手が揃ったB卓
タイトル戦決勝に数回残ってる3名にG1タイトルはベスト8も初めてという佐々木寿人。
A1昇級を決めた内川が勝ち上がっただけに和久津も続きたいところ。
柴田は去年もこのグランプリの決勝に残っていて相性の良さを感じる。
吉田は勝って男泣きを見せられるか。
一回戦は吉田が一人沈みの4着。佐々木がトップとなるが2回戦、吉田がやり返し四者横一線。
二回戦終了時
和久津+12.4 柴田+0.8 佐々木△3.6 吉田△9.6
三回戦
このグランプリ調子の良かった和久津だったが異変が。一人沈みの△60ポイント。
そして佐々木が60,000点のトップを取り抜け出す。
柴田はトップがないものの安定した戦いで加点をしていく。
四回戦終了時
佐々木+56.0 柴田+24.4 吉田△22.8 和久津△57.6
最終戦吉田は並びを作って一人浮きのトップになる。
オーラスは稀に見る接戦に。
無情にも佐々木が吉田からアガリ、柴田は助けられた形となった。
 
決勝進出
1位通過 佐々木寿人
2位通過 柴田吉和

グランプリ レポート/第7期麻雀グランプリMAX ベスト8レポート

ベスト8A卓
 

100
100

 
現在の麻雀界の礎を築いた、レジェンド2名とこれからの未来を担う若手二人の好カード。
1回戦は打ち盛りの若手がリード。
しかし2、3回戦はMR麻雀小島武夫が追い上げる。伊藤は苦しい展開。
三回戦終了時
白鳥+23.6 内川+19.9 小島+10.1 伊藤△55.6
伊藤は追い込まれた。
勝負の四回戦、三者の隊列は若手二人の勢いに崩れた。
四回戦終了時
内川+41.2 白鳥+36.3 小島△0.6 伊藤△79.9
 
決勝進出
1位通過 内川幸太郎
2位通過 白鳥翔
 
 
ベスト8B卓
 

100
100

 
A卓とは違い若手が揃ったB卓
タイトル戦決勝に数回残ってる3名にG1タイトルはベスト8も初めてという佐々木寿人。
A1昇級を決めた内川が勝ち上がっただけに和久津も続きたいところ。
柴田は去年もこのグランプリの決勝に残っていて相性の良さを感じる。
吉田は勝って男泣きを見せられるか。
一回戦は吉田が一人沈みの4着。佐々木がトップとなるが2回戦、吉田がやり返し四者横一線。
二回戦終了時
和久津+12.4 柴田+0.8 佐々木△3.6 吉田△9.6
三回戦
このグランプリ調子の良かった和久津だったが異変が。一人沈みの△60ポイント。
そして佐々木が60,000点のトップを取り抜け出す。
柴田はトップがないものの安定した戦いで加点をしていく。
四回戦終了時
佐々木+56.0 柴田+24.4 吉田△22.8 和久津△57.6
最終戦吉田は並びを作って一人浮きのトップになる。
オーラスは稀に見る接戦に。
無情にも佐々木が吉田からアガリ、柴田は助けられた形となった。
 
決勝進出
1位通過 佐々木寿人
2位通過 柴田吉和

第51期 北海道プロリーグ 最終節成績表

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 最終節 合計
1 野々川 博之 25.9 0.3 60.3 69.5 13.2 50.9 220.1
2 喜多 清貴 71.9 25.7 ▲ 11.7 84.7 39.5 ▲ 13.3 196.8
3 三盃 志 80.5 2.6 ▲ 11.5 86.5 ▲ 17.6 18.1 158.6
4 石田 雅人 21.8 ▲ 39.1 9.3 36.7 92.1 ▲ 56.7 64.1
5 浦山 祐輔 ▲ 6.9 30.8 0.7 45.8 32.3 102.7
6 吉木 輝 46.5 21.0 28.3 5.0 ▲ 38.0 62.8
7 池田 太郎 ▲ 42.8 37.4 50.3 ▲ 56.0 25.5 14.4
8 三盃 貴之 ▲ 26.0 99.4 ▲ 20.2 ▲ 43.7 ▲ 74.5 ▲ 65.0
9 佐藤 賢忠 35.3 30.4 ▲ 9.5 ▲ 51.7 ▲ 12.5 ▲ 8.0
10 平島 誉久 5.2 ▲ 86.9 40.7 ▲ 19.9 51.5 ▲ 9.4
11 西野 拓也 20.9 ▲ 3.6 48.0 ▲ 9.4 ▲ 33.2 ▲ 17.3
12 中村 龍太 8.1 ▲ 37.4 ▲ 17.8 27.4 ▲ 22.3 ▲ 42.0
13 野坂 健一 30.9 ▲ 40.0 ▲ 4.2 ▲ 9.9 ▲ 22.4 ▲ 45.6
14 須賀 智博 ▲ 16.4 ▲ 33.8 5.1 17.9 ▲ 77.2
15 中村 瞬 ▲ 10.0 0.1 ▲ 68.8 5.2 ▲ 30.4 ▲ 103.9
16 加藤 晋平 ▲ 90.0 ▲ 0.1 ▲ 1.7 ▲ 4.1 ▲ 23.1 ▲ 119.0
17 村上 良 ▲ 44.8 43.3 ▲ 41.4 ▲ 53.1 ▲ 96.0
18 真光 祐尚 ▲ 16.6 ▲ 10.0 ▲ 34.2 ▲ 62.5 ▲ 123.3
19 市川 敦士 ▲ 3.9 ▲ 50.5 ▲ 154.4
20 藤原 洋一 ▲ 21.7 ▲ 171.7
21 小川 稔貴 ▲ 42.1 ▲ 192.1

北海道プロリーグ 成績表/第51期 北海道プロリーグ 最終節成績表

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 最終節 合計
1 野々川 博之 25.9 0.3 60.3 69.5 13.2 50.9 220.1
2 喜多 清貴 71.9 25.7 ▲ 11.7 84.7 39.5 ▲ 13.3 196.8
3 三盃 志 80.5 2.6 ▲ 11.5 86.5 ▲ 17.6 18.1 158.6
4 石田 雅人 21.8 ▲ 39.1 9.3 36.7 92.1 ▲ 56.7 64.1
5 浦山 祐輔 ▲ 6.9 30.8 0.7 45.8 32.3 102.7
6 吉木 輝 46.5 21.0 28.3 5.0 ▲ 38.0 62.8
7 池田 太郎 ▲ 42.8 37.4 50.3 ▲ 56.0 25.5 14.4
8 三盃 貴之 ▲ 26.0 99.4 ▲ 20.2 ▲ 43.7 ▲ 74.5 ▲ 65.0
9 佐藤 賢忠 35.3 30.4 ▲ 9.5 ▲ 51.7 ▲ 12.5 ▲ 8.0
10 平島 誉久 5.2 ▲ 86.9 40.7 ▲ 19.9 51.5 ▲ 9.4
11 西野 拓也 20.9 ▲ 3.6 48.0 ▲ 9.4 ▲ 33.2 ▲ 17.3
12 中村 龍太 8.1 ▲ 37.4 ▲ 17.8 27.4 ▲ 22.3 ▲ 42.0
13 野坂 健一 30.9 ▲ 40.0 ▲ 4.2 ▲ 9.9 ▲ 22.4 ▲ 45.6
14 須賀 智博 ▲ 16.4 ▲ 33.8 5.1 17.9 ▲ 77.2
15 中村 瞬 ▲ 10.0 0.1 ▲ 68.8 5.2 ▲ 30.4 ▲ 103.9
16 加藤 晋平 ▲ 90.0 ▲ 0.1 ▲ 1.7 ▲ 4.1 ▲ 23.1 ▲ 119.0
17 村上 良 ▲ 44.8 43.3 ▲ 41.4 ▲ 53.1 ▲ 96.0
18 真光 祐尚 ▲ 16.6 ▲ 10.0 ▲ 34.2 ▲ 62.5 ▲ 123.3
19 市川 敦士 ▲ 3.9 ▲ 50.5 ▲ 154.4
20 藤原 洋一 ▲ 21.7 ▲ 171.7
21 小川 稔貴 ▲ 42.1 ▲ 192.1