第101回:ケネス 徳田

片倉まちプロからバトンを渡されましたケネス徳田です。
渡されたのが離婚届じゃなかったのでホッとしました。

プロ連盟に入会してもうすぐ丸2年、時の立つのは早いものです。その前に12年ほど他団体に在籍していました。
ただ、どちらかというとその時期は『むこうぶち』(竹書房・近代麻雀)をはじめとした、闘牌原作やVシネマ闘牌指導、『夕刊フジ』の麻雀原稿(毎週火曜日掲載「艶姿真剣勝負」)などの創作活動が主な活躍分野です。
そのせいか日頃麻雀を打つ機会も時間も全くありませんでした。

もちろん日常的には麻雀の仕事に携わっており、モンド麻雀プロリーグ(CSチャンネル「MONDOTV」)などをはじめとする麻雀番組の撮影にも10年以上スタッフとして参加しており、同じ対局を撮影・編集・原稿と基本3回見ています。そのため目と頭では充分麻雀を吸収していたつもりでしたが、やはり稽古不足のためか勝負勘的なものが全く欠落していました。麻雀の成績を残せてなかった最大の原因です。

2013年にプロ連盟に入会します。それまでは異なる団体にいても、プロ連盟の人々と共に仕事をする機会が多く、麻雀に対する考え方、姿勢、発想に魅力を感じたのがプロ連盟入りした理由です。

同じ時期に夏目坂スタジオの開設作業にも携わり、今では『日本プロ麻雀連盟チャンネル』でタイトル戦、リーグ戦の配信が日常的に行なわれ、また「麻雀トライアスロン」を始めとした特別対局も随時放送されています。
幸い今期の大会レポートも任され、さらに嫁もMCをやらせてもらい、ずいぶん家計が助かっています、ありがたや。

プロ連盟のAルールというのは巷で行われる麻雀とは異なり、同じ麻雀でも感覚的には別のゲームです。
特に一番の違いは「点数がある時に攻めて、点数が無い時に守る」おそらく普通の麻雀とは全く逆の発想です。
他団体よりも順位点の割合が低く素点重視。つまり「稼げる時に稼ぐ」「ダメな時は極力失点を抑える」が最大のポイントです。
「一発・裏ドラがない」「手役を作る」はその次の違いでしかありません。

幸い、この考えを早い時期から身につけられた、公式戦の成績は予想以上に上々。
デビュー期のDⅢでは2位昇級、そのおかげで翌期の特別昇級リーグに参加。
最大BⅡリーグへのジャンプアップのチャンスでしたが…1回目は準決勝敗退。
DⅡ1位昇級で得た2度目の参加は準優勝(プロリーグマイナスのためC1昇級権利無し)。

何とか今期もチャンピオンズリーグ準優勝の権利で3回目の参加です。現状半分終わって2位。
リーグ戦も今回は多めのプラスなので、前回みたいにマイナスで終わることはないと思うのですが…。

公式戦の成績が良いのは、あげマンの嫁さん捕まえたから…ではなく、おそらく稽古の賜物だと思います。
「先手を取られたら基本オリる」だけなら正直稽古は不要でしょう。安全度の優先順位つけて切っていけば良いだけですから。

ですが「先手を取られたら行くか退くか」という押し引き、つまり勝負勘を身に付けるならば、適度な数と良質の稽古が必須です。
幸い、良質な稽古相手に恵まれ、お互い切磋琢磨し合って成績を伸ばし合っています。

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約1名、調子の悪い人がいますが、世界やTVで優勝しているのでよしとしましょう。

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最近、「プロ連盟に入って良かった?」と各方面から聞かれることが多々あります。
入ってみてわかったのが、努力すれば努力するほど報われる組織というのは他にありません。向上心が湧きます。

「これが最高というものはない-常に改善・進化があるのだから」

麻雀も仕事もそういうものなのです。プロ連盟も、上の人々は日々進化しています。
タイトルを取ってもそこがゴールでなく、むしろスタート。60歳過ぎているベテランの方々も成長期の如く。
組織はもちろん個人レベルにおいても、常に前に進み続けている人たちがいる限りは停滞することはないでしょう。

そんな環境に身を置けること、「本当に良かった」の一言です。

次回は、野口賞で決勝進出を果たした、連盟一の巨漢、柚木正仁プロお願いします!

リレーエッセィ/第101回:ケネス 徳田

片倉まちプロからバトンを渡されましたケネス徳田です。
渡されたのが離婚届じゃなかったのでホッとしました。
プロ連盟に入会してもうすぐ丸2年、時の立つのは早いものです。その前に12年ほど他団体に在籍していました。
ただ、どちらかというとその時期は『むこうぶち』(竹書房・近代麻雀)をはじめとした、闘牌原作やVシネマ闘牌指導、『夕刊フジ』の麻雀原稿(毎週火曜日掲載「艶姿真剣勝負」)などの創作活動が主な活躍分野です。
そのせいか日頃麻雀を打つ機会も時間も全くありませんでした。
もちろん日常的には麻雀の仕事に携わっており、モンド麻雀プロリーグ(CSチャンネル「MONDOTV」)などをはじめとする麻雀番組の撮影にも10年以上スタッフとして参加しており、同じ対局を撮影・編集・原稿と基本3回見ています。そのため目と頭では充分麻雀を吸収していたつもりでしたが、やはり稽古不足のためか勝負勘的なものが全く欠落していました。麻雀の成績を残せてなかった最大の原因です。
2013年にプロ連盟に入会します。それまでは異なる団体にいても、プロ連盟の人々と共に仕事をする機会が多く、麻雀に対する考え方、姿勢、発想に魅力を感じたのがプロ連盟入りした理由です。
同じ時期に夏目坂スタジオの開設作業にも携わり、今では『日本プロ麻雀連盟チャンネル』でタイトル戦、リーグ戦の配信が日常的に行なわれ、また「麻雀トライアスロン」を始めとした特別対局も随時放送されています。
幸い今期の大会レポートも任され、さらに嫁もMCをやらせてもらい、ずいぶん家計が助かっています、ありがたや。
プロ連盟のAルールというのは巷で行われる麻雀とは異なり、同じ麻雀でも感覚的には別のゲームです。
特に一番の違いは「点数がある時に攻めて、点数が無い時に守る」おそらく普通の麻雀とは全く逆の発想です。
他団体よりも順位点の割合が低く素点重視。つまり「稼げる時に稼ぐ」「ダメな時は極力失点を抑える」が最大のポイントです。
「一発・裏ドラがない」「手役を作る」はその次の違いでしかありません。
幸い、この考えを早い時期から身につけられた、公式戦の成績は予想以上に上々。
デビュー期のDⅢでは2位昇級、そのおかげで翌期の特別昇級リーグに参加。
最大BⅡリーグへのジャンプアップのチャンスでしたが…1回目は準決勝敗退。
DⅡ1位昇級で得た2度目の参加は準優勝(プロリーグマイナスのためC1昇級権利無し)。
何とか今期もチャンピオンズリーグ準優勝の権利で3回目の参加です。現状半分終わって2位。
リーグ戦も今回は多めのプラスなので、前回みたいにマイナスで終わることはないと思うのですが…。
公式戦の成績が良いのは、あげマンの嫁さん捕まえたから…ではなく、おそらく稽古の賜物だと思います。
「先手を取られたら基本オリる」だけなら正直稽古は不要でしょう。安全度の優先順位つけて切っていけば良いだけですから。
ですが「先手を取られたら行くか退くか」という押し引き、つまり勝負勘を身に付けるならば、適度な数と良質の稽古が必須です。
幸い、良質な稽古相手に恵まれ、お互い切磋琢磨し合って成績を伸ばし合っています。

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約1名、調子の悪い人がいますが、世界やTVで優勝しているのでよしとしましょう。

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最近、「プロ連盟に入って良かった?」と各方面から聞かれることが多々あります。
入ってみてわかったのが、努力すれば努力するほど報われる組織というのは他にありません。向上心が湧きます。
「これが最高というものはない-常に改善・進化があるのだから」
麻雀も仕事もそういうものなのです。プロ連盟も、上の人々は日々進化しています。
タイトルを取ってもそこがゴールでなく、むしろスタート。60歳過ぎているベテランの方々も成長期の如く。
組織はもちろん個人レベルにおいても、常に前に進み続けている人たちがいる限りは停滞することはないでしょう。
そんな環境に身を置けること、「本当に良かった」の一言です。
次回は、野口賞で決勝進出を果たした、連盟一の巨漢、柚木正仁プロお願いします!

第12期 北陸リーグ 最終節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 合計
1 栗野 健翔 一般 84.0 26.6 ▲ 8.0 59.5 162.1
2 北川 光 一般 ▲ 2.6 12.3 62.3 34.0 106.0
3 久々湊 康雄 一般 61.0 47.1 ▲ 57.2 47.9 98.8
4 濱平 光朗 プロ 54.2 23.6 ▲ 17.7 31.9 92.0
5 西田 有佑 一般 ▲ 1.6 57.5 32.8 ▲ 1.5 87.2
6 荒谷 誠 プロ 56.0 ▲ 10.3 45.9 ▲ 6.3 85.3
7 久保 智央 一般 ▲ 10.8 23.0 0.0 68.8 81.0
8 本田 朋広 プロ 36.2 ▲ 4.6 54.4 ▲ 24.2 61.8
9 高出 智宏 一般 3.5 47.5 ▲ 8.7 9.7 52.0
10 平澤 憲一 一般 4.8 ▲ 47.5 86.7 ▲ 14.6 29.4
11 安城 るい プロ 40.8 ▲ 21.2 43.8 ▲ 36.0 27.4
12 山川 眞一郎 一般 ▲ 15.6 21.7 13.5 ▲ 10.9 8.7
13 木戸 僚之 プロ ▲ 2.6 6.5 ▲ 8.1 ▲ 0.4 ▲ 4.6
14 中西 正行 一般 ▲ 82.9 42.0 22.1 5.6 ▲ 13.2
15 森田 有一 一般 ▲ 34.1 ▲ 11.1 ▲ 1.4 27.6 ▲ 19.0
16 押川 憲一 一般 15.9 ▲ 8.1 ▲ 27.4 0.1 ▲ 19.5
17 小泉 陽平 一般 ▲ 13.3 ▲ 10.5 18.7 ▲ 15.5 ▲ 20.6
18 光岡 大幸 一般 10.6 ▲ 18.8 10.1 ▲ 52.6 ▲ 50.7
19 後藤 正博 プロ ▲ 20.4 ▲ 5.7 ▲ 52.6 ▲ 11.1 ▲ 89.8
20 飯田 輝雄 一般 2.6 ▲ 19.6 ▲ 47.5 ▲ 27.2 ▲ 91.7
21 木下 玄基 一般 ▲ 52.4 1.8 ▲ 6.8 ▲ 36.9 ▲ 94.3
22 浦野 裕稀 一般 ▲ 22.0 ▲ 79.2 ▲ 7.0 ▲ 1.9 ▲ 110.1
23 窪田 一彦 一般 ▲ 12.0 ▲ 25.2 ▲ 39.4 ▲ 36.0 ▲ 112.6
24 中島 亮 一般 ▲ 26.2 ▲ 17.6 ▲ 50.0 ▲ 23.2 ▲ 117.0
25 恵比須 均 一般 ▲ 118.1 6.6 ▲ 21.5 ▲ 14.0 ▲ 147.0
26 志多木 健 一般 ▲ 10.4 ▲ 7.1 ▲ 88.0 ▲ 61.4 ▲ 166.9
27 村上 拓也 プロ ▲ 62.8 ▲ 81.7 ▲ 100.0 67.6 ▲ 176.9

北陸リーグ 成績表/第12期 北陸リーグ 最終節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 合計
1 栗野 健翔 一般 84.0 26.6 ▲ 8.0 59.5 162.1
2 北川 光 一般 ▲ 2.6 12.3 62.3 34.0 106.0
3 久々湊 康雄 一般 61.0 47.1 ▲ 57.2 47.9 98.8
4 濱平 光朗 プロ 54.2 23.6 ▲ 17.7 31.9 92.0
5 西田 有佑 一般 ▲ 1.6 57.5 32.8 ▲ 1.5 87.2
6 荒谷 誠 プロ 56.0 ▲ 10.3 45.9 ▲ 6.3 85.3
7 久保 智央 一般 ▲ 10.8 23.0 0.0 68.8 81.0
8 本田 朋広 プロ 36.2 ▲ 4.6 54.4 ▲ 24.2 61.8
9 高出 智宏 一般 3.5 47.5 ▲ 8.7 9.7 52.0
10 平澤 憲一 一般 4.8 ▲ 47.5 86.7 ▲ 14.6 29.4
11 安城 るい プロ 40.8 ▲ 21.2 43.8 ▲ 36.0 27.4
12 山川 眞一郎 一般 ▲ 15.6 21.7 13.5 ▲ 10.9 8.7
13 木戸 僚之 プロ ▲ 2.6 6.5 ▲ 8.1 ▲ 0.4 ▲ 4.6
14 中西 正行 一般 ▲ 82.9 42.0 22.1 5.6 ▲ 13.2
15 森田 有一 一般 ▲ 34.1 ▲ 11.1 ▲ 1.4 27.6 ▲ 19.0
16 押川 憲一 一般 15.9 ▲ 8.1 ▲ 27.4 0.1 ▲ 19.5
17 小泉 陽平 一般 ▲ 13.3 ▲ 10.5 18.7 ▲ 15.5 ▲ 20.6
18 光岡 大幸 一般 10.6 ▲ 18.8 10.1 ▲ 52.6 ▲ 50.7
19 後藤 正博 プロ ▲ 20.4 ▲ 5.7 ▲ 52.6 ▲ 11.1 ▲ 89.8
20 飯田 輝雄 一般 2.6 ▲ 19.6 ▲ 47.5 ▲ 27.2 ▲ 91.7
21 木下 玄基 一般 ▲ 52.4 1.8 ▲ 6.8 ▲ 36.9 ▲ 94.3
22 浦野 裕稀 一般 ▲ 22.0 ▲ 79.2 ▲ 7.0 ▲ 1.9 ▲ 110.1
23 窪田 一彦 一般 ▲ 12.0 ▲ 25.2 ▲ 39.4 ▲ 36.0 ▲ 112.6
24 中島 亮 一般 ▲ 26.2 ▲ 17.6 ▲ 50.0 ▲ 23.2 ▲ 117.0
25 恵比須 均 一般 ▲ 118.1 6.6 ▲ 21.5 ▲ 14.0 ▲ 147.0
26 志多木 健 一般 ▲ 10.4 ▲ 7.1 ▲ 88.0 ▲ 61.4 ▲ 166.9
27 村上 拓也 プロ ▲ 62.8 ▲ 81.7 ▲ 100.0 67.6 ▲ 176.9

第126回:第9回モンド名人戦優勝特別インタビュー 前原 雄大 インタビュアー:増田 隆一

目覚めとまどろみを繰り返していた、ある日の午前中、編集部からのメールが鳴った。

「前原さんのモンド名人戦優勝インタビューを書いてもらえませんか?」

まず、最初に思ったのは「なぜ私なのか?」と言う疑問。
前原と言えば、若手相手の稽古で有名である。その相手の誰かが書くべきではないのか?
その疑問に答えるかのように、再びメールが鳴る。

「増田くんも野口賞勝てばモンド杯出場なので、その辺りの話を織り交ぜて書いてもらいたいです」

なるほど。モンド名人戦を優勝した前原に触れれば、おのずと野口賞へ向けてテンションも上がるはず。これは俄然やる気が湧いてきた。

何度かのやり取りの末、待ち合わせ場所は国分寺駅。

増田「お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます」

前原「こちらこそ、わざわざ遠くまでありがとう!その代わり、好きな物を食べてください」

 

・体力をつけること

2人で注文を決めていると・・・

前原「今日はトンカツと言ってくれてよかったよ。あまり肉を食べる習慣がないのだけれど、週に1日は食べないとって思って食べるようにしてるから」

増田「肉食系のイメージしかないですけれど・・・(失礼)」

前原「今は体型維持のために、ドレッシングや炒め物の油をエゴマに替えたり、ウォーキングを心掛けたりしてるね」

増田「きっかけは何かあったんですか?」

前原「結構前の鳳凰戦でヘルニアをやって、集中力が落ちて負けて悔しかったんだよな。3年で30キロ落としたよ。そこから、対局前の朝カレーや、疲れた時のチョコレートなど、自己管理というものを意識し始めたんだ」

増田「その辺りの話は有名ですもんね」

前原「実は名人戦も、昨期A2最終節の翌日から収録が始まってるんだ。これから(麻雀界が)映像の世界になり、過密な日程も増えると思う。メジャーリーガーは広大なアメリカを移動するに耐えうる体を作るし、マラソン選手も高地の低酸素でトレーニングを積むでしょ?」

増田「そうですね」

前原「技術で勝負は決まらないんだよ。大切なのは精神力。そして結局、精神を支えるのは体力。そして、体力がなければ頭の働きも悪くなる。ベストのパフォーマンスを見せるために、体力は必要不可欠なんだよ」

増田「なるほど」

前原「最近は歩くようにしているし、名人戦も前日に収録場所のそばに宿を取って、朝はジャグジーで目を覚ます。起きて6時間後がベストのコンディションなので、9時からの収録なら、朝5時起きを心掛けている」

 

・身綺麗であること

すでに目の前には、揚げたてのトンカツが置かれているのだが、なかなか箸に手を付けようとしない。

仕事ながら、久々の前原との会話を楽しんでいる私。そして、私を通して若手やファンの方に少しでも多くのことを伝えたい前原。

ここで、ふと前原が言う。

前原「とりあえず、先に食べちゃおうか」

増田「ですね」

前原「増田、箸の使い方がきれいだな。滝沢の次くらいにきれいかもしれない。こういうのはすごく大事なんだよ」

増田「ありがとうございます」

前原「今は映像の時代になって、身綺麗さというものが大切なんだ。街を歩けば、モンドTVや連盟チャンネル、最強戦などを見ている人から声を掛けられる。その時にヒドイ格好でいるわけにはいかないだろ?」

増田「そうですね」

前原「そういう点で、増田はいつもオシャレな格好をしているからいいよ。不潔と思ったこともないし。僕も、爪を磨いてもらったり、馬油で手がガサガサにならないようにしているよ。それと、映像では模打(※モータ。ツモって切る動作のこと)も大切」

増田「ありがとうございます!模打はキレイだと見ている側も心地いいですもんね」

前原「そう、視聴者の方の楽しみ方はそれぞれで、内容を楽しんだり、所作動作に感心したり、それは見る側の自由だから」

増田「確かに視聴者が何を楽しむかは、こちらが押し付ける話ではありませんからね」

前原「あとはルックスかな?昔、(北野)たけしさんと、伊集院(静)さんの対談で、ジャニーズがお笑いに参入したら、今のお笑い芸人は潰れてしまうだろうと言う話があった。やっぱり見ている側はルックスがいい方がいいもん」

増田「確かに、イケメンや美人の方が見ている側として心地よさはありますよね」

前原「猿ちゃん(猿川真寿)や増田は打っている顔がいいね。それは、イケメンとかそういう話ではなくて、麻雀打ちの顔をしてるよ」

増田「ありがとうございます!」

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・よく稽古をし、礼儀正しくあること

4月14日、夏目坂スタジオで、私は森山会長の前に立っていた。

「負けたのか?」
「4着2着で約40ポイントのマイナス、8人中7位です」

野口賞第4次審査(準決勝)第1節の対局を終えた直後のことである。

「普段、適当に麻雀してるからダメなんだよ。ムダな放銃が多過ぎる」

その日の対局を見ていなかったはずの会長に、敗因をピタリと言い当てられた。

「普段からしっかりやらないと、打ち手としてダメになるぞ」

怒っているようで、少し悲しげな表情が印象的な出来事であった。

前原「今、連盟はスタジオを持っているし、機材やナレーターといったハード面が充実しているよね?」

増田「そうですね。夏目坂は映像もキレイですよね」

前原「今、連盟に不足しているのはソフト面なんだ。つまりは、打ち手。だから、増田にもがんばって欲しいんだよ」

増田「最近は練習量も増やすようにはしているので、がんばります」

前原「あ、その練習って言葉なんだけど、練習は趣味のもの。我々は勝負の世界で生きる勝負師なんだから、稽古をしなくてはならないんだ。稽古は本番と同じ、練習は遊びだから」

増田「なるほど。相撲なんかもそうですが、稽古ですよね」

前原「本番だけ上手くやろうとしても無理。どこまでいっても普段以上のものは出ないんだ。だから、稽古をすることが我々の仕事とも言えるんだよ」

増田「この前、会長にも似たことを言われました」

前原「それと、人としての礼儀も大切。この間、加藤哲郎さん(元近鉄投手)がトライアスロンのお礼のメールをくれたんだ。昨日は、差し入れを持ってきてくれたし。若い子達には、そんなことを当たり前に出来る人間になって欲しい」

増田「人間としての成長ですね」

前原「これから、映像の仕事は確実に増えてくる。外に出て行く機会も増えるだろうし。そんなときに、礼儀を欠いたら先がなくなってしまうからね」

 

・麻雀に誠実であること

「麻雀に誠実に」

前原がよく使う言葉である。私はこれを、アガリや、アガリ逃し、放銃、仕掛け倒れetc・・・麻雀において起こった全ての事柄を受け入れ、そして対応することだと考えている。

私が、今回の名人戦を見て、最も興味を惹かれた1局が下記である。

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前原は4巡目にファン牌の白を合わせた。

増田「上家の白に鳴きが入らなかったので、ヤマにある可能性が高いと考えて、他家にトイツで持たれている可能性がある生牌(ションパイ)の南を打ち出すかなと思ったのですが?」

前原「ああ、南のトイツを拾えずにアガリ逃しをした局ね。もちろん、アガリだけを目指したら白は合わせない方がいいよ。ただ、あの局は小島先生に満貫を放銃した次局でしょ?」

増田「そうですね」

前原「であれば、ポンされる可能性がある南を絞るべきだと思ったんだ。自分が絶好調であれば、もちろん自分勝手に攻めるけどね」

増田「顔に似合わずと言っては失礼ですが、序盤の字牌の扱いが実に繊細ですよね」

前原「常に、自分や相手のツキを考えているから、(あの局は放銃の次局と言う事実を踏まえ)アガリ逃しの形になったけど、ああ打つのが誠実だと思う」

 

・ファンを裏切らないこと

私は、対局で、稽古で、勉強会で、過去に何度か前原と打たせてもらう機会があった。

その度に感じたのが、常にテストを受けているという感覚である。

詳しく説明すると、前原の仕掛けやリーチが、本物かガラクタかを毎回考えなくてはならないのだ。

それでは、前原麻雀の真髄は、若手にありがちな先手ありきの麻雀なのか?

増田「私が前原さんと打っていると、本物かガラクタか常に考えさせられて疲れるんですよね。やっぱり先手を取ることを大切にしているんですか?」

前原「それは違うよ。別に先手を取ろうと思ってやってるのではなくて、あくまでツモアガリベース。相手の手牌、ツキ、性格を考えて打っているんだ」

増田「なるほど」

前原「だから、常に先手を取りたがる若手と違ってガラリーもよくツモるだろ?」

増田「確かに。また愚形リーチをツモられたと、心が折れそうになりますよね(笑)」

前原「それは相手の手牌を読んでいるからであって、とりあえずリーチを掛けて相手に考えてもらおうと言うのとは違うんだよ」

増田「6回戦のカン七索リーチもノータイムでしたし、あっさりツモアガリでしたね」

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前原「あれは七索に自信があった。それと、あの手で七筒を先に外したり、テンパイ取らずしたりは、森山さんや、荒さんに任せればいい。あくまで僕のファンが見たいのはガラクタだから」

増田「なるほど。私も七筒を外しそうですが、それだと前原さんらしくないですよね」

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前原「大切なのはファンを裏切らないこと。映像対局で闘っている相手は目の前の3人ではなく、視聴者なんだ。視聴者が、ファンが、前原らしいと納得してくれる麻雀を打たなきゃしょうがないだろ」

増田「ああ打ったら空振りでも前原さんのファンは納得ですよね。そして、13回戦のメンチンリーチと」

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前原「本当にガラクタリーチばかりだと、相手も簡単に攻め返してくるからね。もちろん、(ポイント的にオリそうな)荒さんの仕掛けに対する牽制もあるけど、ああいう高いリーチは打つようにしているよ」

増田「そうなんですよ。ああいうのがあるから、前原さんのリーチは読むの疲れるんですよね」

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・心構えと人に可愛がられること

5月12日、野口賞第4次審査(準決勝)第2節、1回戦目のラス前の親を迎えた時点で私の持ち点は、わずかに600点。

トータル7位スタートの私は、放映対局の2回戦を前にしてほぼ敗退が決まった。

最後の親番。早々に原からリーチが入る。

私の頭に浮かんだのは、私の応援のために仕事を入れなかった和久津の顔。

そして、前節ハッパを掛けてくれた森山会長の顔、その他、応援してくれている先輩の顔。

そして、TwitterやLINEで応援のコメントをくれた後輩やファンの顔。

ここで諦めて、負けの決まっている対局を見せたくない。最後まで諦めずに攻める覚悟を決め、そこから41,000点までアガリ倒し、続く2回戦のトップ条件(実際は別卓の状況で違ったのだが)をクリアし、最終審査(決勝)の椅子を勝ち取ることができた。

前原「そろそろ、野口賞の話をしようか。増田が50%だな」

増田「え?どういう意味ですか?」

前原「人として、先輩に可愛がられてるもん。他の対局者には悪いけれど、応援してる人の数を考えたら、増田が50%、残り3人で50%なんじゃないの?それは技術とかでなくてね」

増田「ありがとうございます。確かに、準決勝負けそうな時に、応援してくれている人の顔が頭に浮かびました」

前原「キャラと本質は近いところにある。増田が愛されるキャラってことは、人間がいいんだよ」

増田「褒められすぎて怖いです(汗)。何かアドバイス的なものってありますか?」

前原「僕は年齢的にも体力的にも、これが最後かもしれないと思って打っているよ。そうすることで、情熱が落ちないから。僕は生涯現役で、死ぬときは寝てそのまま死んでいるのがいい」

増田「なるほど」

前原「それと、僕は去年負けた名人戦の映像を週に1度は見て悔しさを忘れないようにしていたね。増田にはまだ先があるんだし、とにかく、あとはがんばれ」

 

・人を育てること

今回のインタビューの中で、前原が何度も言っていたことがある。

「増田に話をすることで、このインタビューを読んだ若手に何かを伝えられたらいい」

連盟と生涯を共にし、数々のタイトルを獲得した前原にとって今、一番喜べることは後輩の成長なのかもしれない。

増田「最後に何か伝えたいことはありますか?」

前原「僕は連盟があったお陰でここまで生きてこれた。だから、これから先は恩返しがしたい。それは後輩を育てることだよ。人だけはお金では買えないから、育てないと」

増田「なるほど」

前原「増田もお金で動かないから、先輩たちも可愛がるんだよ」

増田「確かにそれはあるかもしれません」

前原「何回も言っているけど、増田に伝えることで、その後輩にも何かが伝わればそれは素晴らしいことだよな」

増田「私も先輩たちから伝えられたことを、少しでも後輩に引き継げるようにがんばります。今日は長い時間ありがとうございました」

 

・文章にまとめること

このインタビューで前原と話した時間は実に4時間。私は本来、長々とした文章が嫌いである。長々と書けば本当に大切な部分の濃度が薄れてしまうからだ。

しかし、今回はかなりの長文となってしまった。

なぜならば、簡潔にまとめたい気持ちを、前原が話した内容のどこも省きたくない気持ちが勝ってしまったからである。

打ち手として、育成者として、組織の運営者として、前原はこれまで輝いてきたし、これからも輝き続けるであろう。

私はその背中を見つめ、自らの成長した姿を見せて、前原に対する恩返しとしたい。

最後となりましたが、長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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プロ雀士インタビュー/第126回:第9回モンド名人戦優勝特別インタビュー 前原 雄大 インタビュアー:増田 隆一

目覚めとまどろみを繰り返していた、ある日の午前中、編集部からのメールが鳴った。
「前原さんのモンド名人戦優勝インタビューを書いてもらえませんか?」
まず、最初に思ったのは「なぜ私なのか?」と言う疑問。
前原と言えば、若手相手の稽古で有名である。その相手の誰かが書くべきではないのか?
その疑問に答えるかのように、再びメールが鳴る。
「増田くんも野口賞勝てばモンド杯出場なので、その辺りの話を織り交ぜて書いてもらいたいです」
なるほど。モンド名人戦を優勝した前原に触れれば、おのずと野口賞へ向けてテンションも上がるはず。これは俄然やる気が湧いてきた。
何度かのやり取りの末、待ち合わせ場所は国分寺駅。
増田「お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます」
前原「こちらこそ、わざわざ遠くまでありがとう!その代わり、好きな物を食べてください」
 
・体力をつけること
2人で注文を決めていると・・・
前原「今日はトンカツと言ってくれてよかったよ。あまり肉を食べる習慣がないのだけれど、週に1日は食べないとって思って食べるようにしてるから」
増田「肉食系のイメージしかないですけれど・・・(失礼)」
前原「今は体型維持のために、ドレッシングや炒め物の油をエゴマに替えたり、ウォーキングを心掛けたりしてるね」
増田「きっかけは何かあったんですか?」
前原「結構前の鳳凰戦でヘルニアをやって、集中力が落ちて負けて悔しかったんだよな。3年で30キロ落としたよ。そこから、対局前の朝カレーや、疲れた時のチョコレートなど、自己管理というものを意識し始めたんだ」
増田「その辺りの話は有名ですもんね」
前原「実は名人戦も、昨期A2最終節の翌日から収録が始まってるんだ。これから(麻雀界が)映像の世界になり、過密な日程も増えると思う。メジャーリーガーは広大なアメリカを移動するに耐えうる体を作るし、マラソン選手も高地の低酸素でトレーニングを積むでしょ?」
増田「そうですね」
前原「技術で勝負は決まらないんだよ。大切なのは精神力。そして結局、精神を支えるのは体力。そして、体力がなければ頭の働きも悪くなる。ベストのパフォーマンスを見せるために、体力は必要不可欠なんだよ」
増田「なるほど」
前原「最近は歩くようにしているし、名人戦も前日に収録場所のそばに宿を取って、朝はジャグジーで目を覚ます。起きて6時間後がベストのコンディションなので、9時からの収録なら、朝5時起きを心掛けている」
 
・身綺麗であること
すでに目の前には、揚げたてのトンカツが置かれているのだが、なかなか箸に手を付けようとしない。
仕事ながら、久々の前原との会話を楽しんでいる私。そして、私を通して若手やファンの方に少しでも多くのことを伝えたい前原。
ここで、ふと前原が言う。
前原「とりあえず、先に食べちゃおうか」
増田「ですね」
前原「増田、箸の使い方がきれいだな。滝沢の次くらいにきれいかもしれない。こういうのはすごく大事なんだよ」
増田「ありがとうございます」
前原「今は映像の時代になって、身綺麗さというものが大切なんだ。街を歩けば、モンドTVや連盟チャンネル、最強戦などを見ている人から声を掛けられる。その時にヒドイ格好でいるわけにはいかないだろ?」
増田「そうですね」
前原「そういう点で、増田はいつもオシャレな格好をしているからいいよ。不潔と思ったこともないし。僕も、爪を磨いてもらったり、馬油で手がガサガサにならないようにしているよ。それと、映像では模打(※モータ。ツモって切る動作のこと)も大切」
増田「ありがとうございます!模打はキレイだと見ている側も心地いいですもんね」
前原「そう、視聴者の方の楽しみ方はそれぞれで、内容を楽しんだり、所作動作に感心したり、それは見る側の自由だから」
増田「確かに視聴者が何を楽しむかは、こちらが押し付ける話ではありませんからね」
前原「あとはルックスかな?昔、(北野)たけしさんと、伊集院(静)さんの対談で、ジャニーズがお笑いに参入したら、今のお笑い芸人は潰れてしまうだろうと言う話があった。やっぱり見ている側はルックスがいい方がいいもん」
増田「確かに、イケメンや美人の方が見ている側として心地よさはありますよね」
前原「猿ちゃん(猿川真寿)や増田は打っている顔がいいね。それは、イケメンとかそういう話ではなくて、麻雀打ちの顔をしてるよ」
増田「ありがとうございます!」

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・よく稽古をし、礼儀正しくあること
4月14日、夏目坂スタジオで、私は森山会長の前に立っていた。
「負けたのか?」
「4着2着で約40ポイントのマイナス、8人中7位です」
野口賞第4次審査(準決勝)第1節の対局を終えた直後のことである。
「普段、適当に麻雀してるからダメなんだよ。ムダな放銃が多過ぎる」
その日の対局を見ていなかったはずの会長に、敗因をピタリと言い当てられた。
「普段からしっかりやらないと、打ち手としてダメになるぞ」
怒っているようで、少し悲しげな表情が印象的な出来事であった。
前原「今、連盟はスタジオを持っているし、機材やナレーターといったハード面が充実しているよね?」
増田「そうですね。夏目坂は映像もキレイですよね」
前原「今、連盟に不足しているのはソフト面なんだ。つまりは、打ち手。だから、増田にもがんばって欲しいんだよ」
増田「最近は練習量も増やすようにはしているので、がんばります」
前原「あ、その練習って言葉なんだけど、練習は趣味のもの。我々は勝負の世界で生きる勝負師なんだから、稽古をしなくてはならないんだ。稽古は本番と同じ、練習は遊びだから」
増田「なるほど。相撲なんかもそうですが、稽古ですよね」
前原「本番だけ上手くやろうとしても無理。どこまでいっても普段以上のものは出ないんだ。だから、稽古をすることが我々の仕事とも言えるんだよ」
増田「この前、会長にも似たことを言われました」
前原「それと、人としての礼儀も大切。この間、加藤哲郎さん(元近鉄投手)がトライアスロンのお礼のメールをくれたんだ。昨日は、差し入れを持ってきてくれたし。若い子達には、そんなことを当たり前に出来る人間になって欲しい」
増田「人間としての成長ですね」
前原「これから、映像の仕事は確実に増えてくる。外に出て行く機会も増えるだろうし。そんなときに、礼儀を欠いたら先がなくなってしまうからね」
 
・麻雀に誠実であること
「麻雀に誠実に」
前原がよく使う言葉である。私はこれを、アガリや、アガリ逃し、放銃、仕掛け倒れetc・・・麻雀において起こった全ての事柄を受け入れ、そして対応することだと考えている。
私が、今回の名人戦を見て、最も興味を惹かれた1局が下記である。
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前原は4巡目にファン牌の白を合わせた。
増田「上家の白に鳴きが入らなかったので、ヤマにある可能性が高いと考えて、他家にトイツで持たれている可能性がある生牌(ションパイ)の南を打ち出すかなと思ったのですが?」
前原「ああ、南のトイツを拾えずにアガリ逃しをした局ね。もちろん、アガリだけを目指したら白は合わせない方がいいよ。ただ、あの局は小島先生に満貫を放銃した次局でしょ?」
増田「そうですね」
前原「であれば、ポンされる可能性がある南を絞るべきだと思ったんだ。自分が絶好調であれば、もちろん自分勝手に攻めるけどね」
増田「顔に似合わずと言っては失礼ですが、序盤の字牌の扱いが実に繊細ですよね」
前原「常に、自分や相手のツキを考えているから、(あの局は放銃の次局と言う事実を踏まえ)アガリ逃しの形になったけど、ああ打つのが誠実だと思う」
 
・ファンを裏切らないこと
私は、対局で、稽古で、勉強会で、過去に何度か前原と打たせてもらう機会があった。
その度に感じたのが、常にテストを受けているという感覚である。
詳しく説明すると、前原の仕掛けやリーチが、本物かガラクタかを毎回考えなくてはならないのだ。
それでは、前原麻雀の真髄は、若手にありがちな先手ありきの麻雀なのか?
増田「私が前原さんと打っていると、本物かガラクタか常に考えさせられて疲れるんですよね。やっぱり先手を取ることを大切にしているんですか?」
前原「それは違うよ。別に先手を取ろうと思ってやってるのではなくて、あくまでツモアガリベース。相手の手牌、ツキ、性格を考えて打っているんだ」
増田「なるほど」
前原「だから、常に先手を取りたがる若手と違ってガラリーもよくツモるだろ?」
増田「確かに。また愚形リーチをツモられたと、心が折れそうになりますよね(笑)」
前原「それは相手の手牌を読んでいるからであって、とりあえずリーチを掛けて相手に考えてもらおうと言うのとは違うんだよ」
増田「6回戦のカン七索リーチもノータイムでしたし、あっさりツモアガリでしたね」
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前原「あれは七索に自信があった。それと、あの手で七筒を先に外したり、テンパイ取らずしたりは、森山さんや、荒さんに任せればいい。あくまで僕のファンが見たいのはガラクタだから」
増田「なるほど。私も七筒を外しそうですが、それだと前原さんらしくないですよね」
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前原「大切なのはファンを裏切らないこと。映像対局で闘っている相手は目の前の3人ではなく、視聴者なんだ。視聴者が、ファンが、前原らしいと納得してくれる麻雀を打たなきゃしょうがないだろ」
増田「ああ打ったら空振りでも前原さんのファンは納得ですよね。そして、13回戦のメンチンリーチと」
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前原「本当にガラクタリーチばかりだと、相手も簡単に攻め返してくるからね。もちろん、(ポイント的にオリそうな)荒さんの仕掛けに対する牽制もあるけど、ああいう高いリーチは打つようにしているよ」
増田「そうなんですよ。ああいうのがあるから、前原さんのリーチは読むの疲れるんですよね」
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・心構えと人に可愛がられること
5月12日、野口賞第4次審査(準決勝)第2節、1回戦目のラス前の親を迎えた時点で私の持ち点は、わずかに600点。
トータル7位スタートの私は、放映対局の2回戦を前にしてほぼ敗退が決まった。
最後の親番。早々に原からリーチが入る。
私の頭に浮かんだのは、私の応援のために仕事を入れなかった和久津の顔。
そして、前節ハッパを掛けてくれた森山会長の顔、その他、応援してくれている先輩の顔。
そして、TwitterやLINEで応援のコメントをくれた後輩やファンの顔。
ここで諦めて、負けの決まっている対局を見せたくない。最後まで諦めずに攻める覚悟を決め、そこから41,000点までアガリ倒し、続く2回戦のトップ条件(実際は別卓の状況で違ったのだが)をクリアし、最終審査(決勝)の椅子を勝ち取ることができた。
前原「そろそろ、野口賞の話をしようか。増田が50%だな」
増田「え?どういう意味ですか?」
前原「人として、先輩に可愛がられてるもん。他の対局者には悪いけれど、応援してる人の数を考えたら、増田が50%、残り3人で50%なんじゃないの?それは技術とかでなくてね」
増田「ありがとうございます。確かに、準決勝負けそうな時に、応援してくれている人の顔が頭に浮かびました」
前原「キャラと本質は近いところにある。増田が愛されるキャラってことは、人間がいいんだよ」
増田「褒められすぎて怖いです(汗)。何かアドバイス的なものってありますか?」
前原「僕は年齢的にも体力的にも、これが最後かもしれないと思って打っているよ。そうすることで、情熱が落ちないから。僕は生涯現役で、死ぬときは寝てそのまま死んでいるのがいい」
増田「なるほど」
前原「それと、僕は去年負けた名人戦の映像を週に1度は見て悔しさを忘れないようにしていたね。増田にはまだ先があるんだし、とにかく、あとはがんばれ」
 
・人を育てること
今回のインタビューの中で、前原が何度も言っていたことがある。
「増田に話をすることで、このインタビューを読んだ若手に何かを伝えられたらいい」
連盟と生涯を共にし、数々のタイトルを獲得した前原にとって今、一番喜べることは後輩の成長なのかもしれない。
増田「最後に何か伝えたいことはありますか?」
前原「僕は連盟があったお陰でここまで生きてこれた。だから、これから先は恩返しがしたい。それは後輩を育てることだよ。人だけはお金では買えないから、育てないと」
増田「なるほど」
前原「増田もお金で動かないから、先輩たちも可愛がるんだよ」
増田「確かにそれはあるかもしれません」
前原「何回も言っているけど、増田に伝えることで、その後輩にも何かが伝わればそれは素晴らしいことだよな」
増田「私も先輩たちから伝えられたことを、少しでも後輩に引き継げるようにがんばります。今日は長い時間ありがとうございました」
 
・文章にまとめること
このインタビューで前原と話した時間は実に4時間。私は本来、長々とした文章が嫌いである。長々と書けば本当に大切な部分の濃度が薄れてしまうからだ。
しかし、今回はかなりの長文となってしまった。
なぜならば、簡潔にまとめたい気持ちを、前原が話した内容のどこも省きたくない気持ちが勝ってしまったからである。
打ち手として、育成者として、組織の運営者として、前原はこれまで輝いてきたし、これからも輝き続けるであろう。
私はその背中を見つめ、自らの成長した姿を見せて、前原に対する恩返しとしたい。
最後となりましたが、長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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第32期十段戦 八九段・九段戦Sレポート 福光 聖雄

今日は八九段戦と九段戦S。ここを勝ち上がると連盟スタジオでのニコ生放送となり、低段位から勝ち上がってきた者は「あと2つ」という思いは強いだろう。
初段から勝ち上がりの土屋幸弘、高谷圭一。そしてシードの現王位清原継光、現マスターズ白鳥翔に注目が集まる。

 

【八・九段戦】

1卓:ともたけ雅晴、山田浩之、ダンプ大橋、高谷圭一

初段からの勝ち上がりの高谷、夏目坂(連盟スタジオ)に向けてあと2つ。
立ち上がりに失点が続き、一時15,000点まで落ち込むも、役役ホンイツをともたけから出アガリ、ドラ八万単騎の七対子をリーチでツモるなど、終わってみればこの半荘はトップ。
今日の1半荘目をトップで終えられたのは、気分的にも大きかったのは想像に難くない。

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3半荘が終わり、
高谷+29.4P 山田+18.9P ダンプ+15.4P ともたけ▲63.7P

と3分の2の争い。
序盤に細かいアガリで浮きを保った高谷と、

三万四万五万七万八万九万三索四索五索三筒四筒東東  リーチ  ツモ五筒

南2局に、これを高めでツモったダンプの勝ち上がり。

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勝ち上がり 高谷圭一 ダンプ大橋

 

2卓:藤原隆弘、野方祐介、太田昌樹、小車祥

野方+42.7P 藤原+3.4P 小車▲5.3P 太田昌▲40.8P

これで迎えた最終戦。藤原、小車の2着争い。

南3局、小車

三万三万五万六万七万中中  ポン北北北  ポン発発発  ツモ三万  ドラ八万

藤原がドラ八万の暗カンだったが、一番の勝負処を制し、価値ある1,300・2,600。
3,700点リードしてオーラスを迎える。

最終戦オーラス、小車自身が親のため、藤原が1人テンパイの場合はノーテンにできない。

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西家・藤原
三万三万三万五万一索二索三索三筒四筒五筒  ポン西西西  ドラ五万

道中は、

三万三万三万二索二索三索三索四筒四筒五筒  ポン西西西

トイトイ狙いであったが、小車にノーテン宣言させないためにテンパイ取りからの変化。

東家・小車
七索七索二筒二筒三筒四筒五筒  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き

残り2巡のところにドラ五万をつかんでしまい、ゲームセット。
野方からテンパイ気配が出ており、切らない選択もあったかもしれないが、藤原の緻密な打ち回しを褒めるべきであろう。

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勝ち上がり 野方祐介 藤原隆弘

 

3卓:吉田幸雄、望月雅継、二階堂亜樹、魚谷侑未

開始早々、魚谷の3,000・6,000が会場内に響き渡ったが、以降は望月のアガリに3者がしのげるか、という戦いになった。

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3回戦終了時
望月+94.9P 魚谷▲0.8P 吉田幸▲45.4P 二階堂亜▲48.7P

魚谷がリードして迎えた最終戦。
東場の吉田、二階堂の親、南場の吉田の親を流し、最後の関門、二階堂の親。

南3局

南家・魚谷
二万二万三万四万五万三索四索五索一筒二筒三筒七筒九筒  ダブルリーチ  ドラ四万

9割方魚谷の勝ちだろう。本人はアガリきるまで勝ちとは思っていないだろうが。
しかし、諦めず丁寧に歩を進めた二階堂、12巡目にテンパイが入る。

東家・二階堂
六万七万八万四索五索六索七索八索四筒四筒六筒七筒八筒  フリテンリーチ  ツモ六索

オーラスの魚谷の親も二階堂が自らアガリ勝ちあがりを決めた。

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勝ち上がり 望月雅継 二階堂亜樹

 

4卓:木村東平、浜上文吾、中村毅、柴田吉和

3回戦終了時
浜上+28.3P 木村+25.4P 柴田吉▲5.4P 中村毅▲48.3P

四段Sシードの新人王柴田、厳しい状況であったが、東場の親でこの嬉しい4,000オール。

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三万四万五万二索三索四索七索八索四筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六索  ドラ八索

最終戦オーラス、ドラは白

木村+18.8P 柴田吉+11.0P 浜上+10.5P 中村毅▲40.3P

東家・柴田
六索七索七筒七筒白白白発発発  チー三索 左向き二索 上向き四索 上向き

南家・浜上
一万一万七万八万四索五索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒

西家・木村
二万三万八索八索  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ポン中中中

アガったら勝ち、放銃者は敗退のめくりあい。

木村 ツモ四万

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勝ち上がり 木村東平 柴田吉和

 

5卓:清原継光、奈良圭純、近藤久春、土屋幸弘

リーチ、ツモ、一通、ドラ1
ピンフ、ツモ、チンイツ
リーチ、役牌、ドラ1
ツモ、ホンイツ
全て1回戦南1局の土屋。1つの親番で勝ち上がりを決めてしまった。

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A1リーガー近藤、現王位清原、マスターズを獲ったことのある奈良の3者で1席を争うことになるとは、予想外だっただろう。
2番手争いは清原から役牌、トイトイ、三暗刻、ドラ3の16,000をアガった奈良に。

最終戦南3局

近藤
二索二索三索三索三索六索六索七索八索九索中中中  リーチ
清原
二万三万四万七万七万三索四索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

南4局

清原
一万九万一索九索一筒九筒九筒東南西北白中

と最後まで奈良を追い詰めるも流局。

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勝ち上がり 土屋幸弘 奈良圭純

 

6卓:白鳥翔、斎藤桂史、勝又健志、滝沢和典

現マスターズの白鳥は、シードでここからの登場。
自身の持つ段位より数段上からの出場で、決勝とは言わないまでもベスト16には、と思っていたことだろう。
しかし、勝又、斎藤が的確にアガリを決め大苦戦。

3回戦オーラスのこのリーチも勝又に捌かれてしまった。

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白鳥
一万一万三万七万七万九万九万東東南南西西  リーチ

3回戦終了時
勝又+48.4P 滝沢+0.5P 斎藤桂▲1.7P 白鳥▲47.2P

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滝沢、斎藤の着順勝負はオーラスまでもつれ、滝沢37,900、斎藤37,000とアガリ勝負に。
親の白鳥はオリずに攻めるため、押し引きが難しい局面であったが、滝沢がアガリ勝ち上がりを決めた。

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勝ち上がり 勝又健志 滝沢和典

 

7卓:須浦正裕、仁平宜明、浦田豊人、斉藤等

2回戦にトップを取った須浦が抜け出す展開。

2回戦終了時
須浦+29.0P 仁平▲3.9P 浦田▲11.3P 斉藤等▲13.8P

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須浦がアガれるのとは対象に、2番手を争う3者はなかなか決め手が出ない。
ベテランの浦田、斉藤が決め手を出させないよう局面をコントロールしているとも言える。
その中でも絶妙の押し引きを見せた仁平が、大きなアガリはないものの、小さなアガリとテンパイ料でリードを築いた打ち回しは見事であった。

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勝ち上がり 須浦正裕、仁平宜明

ワイルドカードにより、浜上文吾、斎藤桂史が繰り上がりとなった。

 

【九段戦S】

ここからの登場は、灘麻太郎、森山茂和、伊藤優孝、荒正義、古川孝次、沢崎誠と鳳凰位・前田直哉、世界チャンピオン山井弘の8人。

1卓:灘麻太郎、木村東平、土屋幸弘、斎藤桂史

2回戦終了時
木村+31.2P 斎藤桂+6.9P 灘▲13.6P 土屋▲24.5P

初段から勝ち上がりの土屋は3着、4着と今度は苦しい展開。
しかし3回戦にトップを取ると、4回戦は2番手の斎藤を沈めての2着とリードで最終戦を迎える。

4回戦終了時
木村+40.9P 土屋+7.9P 斎藤桂▲23.1P 灘▲25.7P

微差のリードで迎えた最終戦。念願の夏目坂まであと少し。
土屋はどういう心境であっただろうか。
追いかける立場はアガリに向かえばよいのでわかりやすいが、リードを守る側は選択肢がある分難しい。

最終戦南3局


三万三万三万八索八索一筒一筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン白白白  ツモ八索

この1,300・2,600のアガリで灘と土屋の差は700点!
オーラスはアガリ勝負なのだが、頭が真っ白になっていてもおかしくない。

そしてオーラス


二索四索五索六索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  チー五筒 左向き四筒 上向き六筒 上向き  ツモ二索

4巡目にチー、7巡目にツモと土屋は為す術なく、灘らしいアガリで勝ち上がりを決めた。

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勝ち上がり 木村東平 灘麻太郎

 

2卓:伊藤優孝、望月雅継、勝又健志、浜上文吾

1回戦、2回戦と勝又が連勝。

2回戦終了時
勝又+43.9P 望月▲2.8P 伊藤優▲11.9P 浜上▲29.2P

全5回戦にもかかわらず、1枠は勝又で決まってしまった空気が流れる。
有利であることには変わらないが、昨今の成績や安定感が相手にそう思わせてしまうのだろう。

3回戦終了時
勝又+77.1P 望月+12.7P 浜上▲42.6P 伊藤優▲47.2P

4回戦終了時
勝又+68.6P 望月▲1.0P 伊藤優▲30.5P 浜上▲37.1P

一旦望月がリードを広げるが、伊藤、浜上が粘って最終戦に望みをつなぐ。

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最終戦、東2局

東家・浜上
一筒二筒三筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒中中  ロン五筒

望月の五筒を捉えると、東3局は伊藤、望月の2件リーチに果敢に勝負しこのアガリ。

浜上
四筒五筒五筒五筒九筒九筒九筒発発発  ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 上向き  ロン三筒  ドラ四筒

浜上が大逆転で勝ち上がりを決めた。

 

勝ち上がり 勝又健志 浜上文吾

 

3卓:荒正義、野方祐介、須浦正裕、ダンプ大橋

1回戦、須浦のメンチンに荒が飛び込むという波乱の幕開け。

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1回戦終了時
野方+21.9P 須浦+15.7P ダンプ大橋+6.5P 荒▲44.1P

対照的に四段戦から勝ち上がりの野方は、ここまでの勢いがあるのか絶好調。
3連勝を飾り、早々と安全圏にいってしまった。

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3回戦終了時
野方+63.0P ダンプ大橋+10.3P 須浦▲9.7P 荒▲64.6P

須浦も最善を尽くすのだが、今日のダンプは押し引きが的確だった。

ダンプ
二万三万四万七万九万二索三索四索二筒二筒二筒三筒四筒  ロン八万  ドラ九万

ダンプ
一万二万三万一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒八筒白白  ツモ白  ドラ三万

どちらもきっちりヤミテンでアガリを取ると、チャンス手はまっすぐに仕掛け、

南家・ダソプ
三索三索九索九索  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ポン南南南  ロン三索

攻めるしかない荒から12,000のアガリであった。

 

勝ち上がり 野方祐介 ダンプ大橋

 

4卓:古川孝次、藤原隆弘、仁平宜明、高谷圭一

Aリーガー3人に、初段から勝ちあがりの高谷が挑む組み合わせ。
古川、藤原、仁平は何度も対戦経験があり、相手の雀風がわかるので、お互いに牽制しあうことになったのだろうか。
他の卓を見ている間に、予想もしない展開に。

3回戦終了時
高谷+92.8P 藤原▲30.1P 仁平▲30.9P 古川▲31.8P

残りの1枠の争いは劇的な幕切れ。

5回戦オーラス

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古川
四万五万六万二索三索四索五索五索五索七索八索三筒三筒  チャンカン ロン九索  ドラ四万

仁平と古川の差が2,600点で(仁平が上)テンパイノーテンで変わってしまうため、そして親番の藤原がノーテンであることを読み切った上での加カンであった。(仁平の最終手番)

 

勝ち上がり 高谷圭一 古川孝次

 

5卓:沢崎誠、前田直哉、滝沢和典、二階堂亜樹

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ギャラリーが多かった好カード。
連盟チャンネルのためにも(?)、二階堂には期待がかかる。

3回戦終了時
前田+44.4P 滝沢+12.4P 沢崎▲0.5P 二階堂亜▲56.3P

4回戦終了時
前田+50.4P 滝沢+6.5P 沢崎▲28.2P 二階堂亜▲28.7P

5回戦東場終了時(トータル)
前田+25.8P 滝沢+2.0P 二階堂亜▲7.1P 沢崎▲20.7P

二階堂は一時は絶望的と思われた点差だったが、滝沢にかなり肉薄する。

そして南2局。
親沢崎が滝沢から3,900+600をアガリ、誰が勝つのか本当にわからなくなった。

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しかし、滝沢に慌てる様子はない。迎えた南2局3本場。

滝沢
四万五万六万東東南南発発発  チー八索 左向き七索 上向き九索 上向き  ロン南  ドラ発

このアガリで逃げ切り、ベスト16の切符を手に入れた。

 

勝ち上がり 前田直哉 滝沢和典

 

6卓:森山茂和、山井弘、奈良圭純、柴田吉和

全5回戦、局数にすると50局前後だろうが、ある1局で勝負が決まるのだから麻雀はわからない。

2回戦終了時
柴田吉+35.7P 奈良+12.2P 森山▲22.7P 山井▲25.2P

この3回戦も奈良が2万点台から2,000・3,900をツモり、持ち直したかと思っていた。

南2局、東家・山井

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二万三万四万二索二索三索四索五索二筒三筒四筒六筒八筒  リーチ  ドラ二万

北家・森山

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九索九索九索五筒五筒七筒七筒八筒八筒八筒  ポン発発発

山井が最終手番で七筒を引き上がると、同1本場は2番手の奈良から、ホンイツ、七対子、ドラ2の18,000を出アガリ逆転。
次の半荘も奈良は箱ラスとなり、4回戦で大差となってしまった。
奈良にとっては、「この局以降は、局面も心境もあまり記憶に残っていない」ほどの痛い放銃であった。

森山も随所に手筋を魅せるのだが、相手のアガリ牌が先にいる不運。
4回戦で2者との差がついてしまい、不完全燃焼であった。

勝ち上がり 山井弘 柴田吉和

最後にベスト16の組み合わせと展望を。(瀬戸熊、藤崎、柴田弘、前原はシード)
A卓(6/26) 瀬戸熊直樹、前田直哉、柴田吉和、高谷圭一
B卓(7/10) 藤崎智、山井弘、滝沢和典、野方祐介
C卓(7/17) 柴田弘幸、灘麻太郎、古川孝次、勝又建志
D卓(7/24) 前原雄大、木村東平、浜上文吾、ダンプ大橋

A卓
「実力・実績の瀬戸熊、前田で堅い」と思うようでは連盟通とは言えない。
実は瀬戸熊は初顔合わせに・・・だったりする。(想像にお任せします)
そして柴田、高谷にとって、一番間があかないA卓に入ったのは幸運で、良いイメージを維持したまま対局に臨めるんじゃないかなと。
「波乱必至」

B卓
バランス型が揃った印象。最終戦まで競っている展開が予想できない。
ある局に分岐点があって、そこを制した者の一方的なアガリになると予想する。
つまり「オープニングから連盟チャンネルで」だ。

C卓
安定の勝又。だが、灘、古川と仕掛けの多いこの組み合わせは苦手とみる。
柴田は相手の手牌読みに長けている打ち手。あまり仕掛けに対しての対応は苦としないだろう。
「誰がこの対戦を解説できるのか?」が実は一番の見所(違)。

D卓
前原が先手を取ることが予想されるが、3者がどう対応するかがポイント。
2人勝ち上がりなので、自分が攻め返して傷を負うのはなぁ・・・という心理が働く。
「攻め返したら○○だった」本物?ガラクタ?どっちだ?

※ 全て私の勝手な予想です。事実に基づかない情報も多々あるので笑ってお赦しください。

全対局、日本プロ麻雀連盟チャンネルで完全生中継。
熱戦、お見逃しなく!

十段戦 レポート/第32期十段戦 八九段・九段戦Sレポート 福光 聖雄

今日は八九段戦と九段戦S。ここを勝ち上がると連盟スタジオでのニコ生放送となり、低段位から勝ち上がってきた者は「あと2つ」という思いは強いだろう。
初段から勝ち上がりの土屋幸弘、高谷圭一。そしてシードの現王位清原継光、現マスターズ白鳥翔に注目が集まる。
 
【八・九段戦】
1卓:ともたけ雅晴、山田浩之、ダンプ大橋、高谷圭一
初段からの勝ち上がりの高谷、夏目坂(連盟スタジオ)に向けてあと2つ。
立ち上がりに失点が続き、一時15,000点まで落ち込むも、役役ホンイツをともたけから出アガリ、ドラ八万単騎の七対子をリーチでツモるなど、終わってみればこの半荘はトップ。
今日の1半荘目をトップで終えられたのは、気分的にも大きかったのは想像に難くない。
100
3半荘が終わり、
高谷+29.4P 山田+18.9P ダンプ+15.4P ともたけ▲63.7P
と3分の2の争い。
序盤に細かいアガリで浮きを保った高谷と、
三万四万五万七万八万九万三索四索五索三筒四筒東東  リーチ  ツモ五筒
南2局に、これを高めでツモったダンプの勝ち上がり。
100
 
勝ち上がり 高谷圭一 ダンプ大橋
 
2卓:藤原隆弘、野方祐介、太田昌樹、小車祥
野方+42.7P 藤原+3.4P 小車▲5.3P 太田昌▲40.8P
これで迎えた最終戦。藤原、小車の2着争い。
南3局、小車
三万三万五万六万七万中中  ポン北北北  ポン発発発  ツモ三万  ドラ八万
藤原がドラ八万の暗カンだったが、一番の勝負処を制し、価値ある1,300・2,600。
3,700点リードしてオーラスを迎える。
最終戦オーラス、小車自身が親のため、藤原が1人テンパイの場合はノーテンにできない。
100
西家・藤原
三万三万三万五万一索二索三索三筒四筒五筒  ポン西西西  ドラ五万
道中は、
三万三万三万二索二索三索三索四筒四筒五筒  ポン西西西
トイトイ狙いであったが、小車にノーテン宣言させないためにテンパイ取りからの変化。
東家・小車
七索七索二筒二筒三筒四筒五筒  チー三索 左向き四索 上向き五索 上向き  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き
残り2巡のところにドラ五万をつかんでしまい、ゲームセット。
野方からテンパイ気配が出ており、切らない選択もあったかもしれないが、藤原の緻密な打ち回しを褒めるべきであろう。
100
 
勝ち上がり 野方祐介 藤原隆弘
 
3卓:吉田幸雄、望月雅継、二階堂亜樹、魚谷侑未
開始早々、魚谷の3,000・6,000が会場内に響き渡ったが、以降は望月のアガリに3者がしのげるか、という戦いになった。
100
3回戦終了時
望月+94.9P 魚谷▲0.8P 吉田幸▲45.4P 二階堂亜▲48.7P
魚谷がリードして迎えた最終戦。
東場の吉田、二階堂の親、南場の吉田の親を流し、最後の関門、二階堂の親。
南3局
南家・魚谷
二万二万三万四万五万三索四索五索一筒二筒三筒七筒九筒  ダブルリーチ  ドラ四万
9割方魚谷の勝ちだろう。本人はアガリきるまで勝ちとは思っていないだろうが。
しかし、諦めず丁寧に歩を進めた二階堂、12巡目にテンパイが入る。
東家・二階堂
六万七万八万四索五索六索七索八索四筒四筒六筒七筒八筒  フリテンリーチ  ツモ六索
オーラスの魚谷の親も二階堂が自らアガリ勝ちあがりを決めた。

100
100

 
勝ち上がり 望月雅継 二階堂亜樹
 
4卓:木村東平、浜上文吾、中村毅、柴田吉和
3回戦終了時
浜上+28.3P 木村+25.4P 柴田吉▲5.4P 中村毅▲48.3P
四段Sシードの新人王柴田、厳しい状況であったが、東場の親でこの嬉しい4,000オール。
100
三万四万五万二索三索四索七索八索四筒四筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ六索  ドラ八索
最終戦オーラス、ドラは白
木村+18.8P 柴田吉+11.0P 浜上+10.5P 中村毅▲40.3P
東家・柴田
六索七索七筒七筒白白白発発発  チー三索 左向き二索 上向き四索 上向き
南家・浜上
一万一万七万八万四索五索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒
西家・木村
二万三万八索八索  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ポン中中中
アガったら勝ち、放銃者は敗退のめくりあい。
木村 ツモ四万
100
勝ち上がり 木村東平 柴田吉和
 
5卓:清原継光、奈良圭純、近藤久春、土屋幸弘
リーチ、ツモ、一通、ドラ1
ピンフ、ツモ、チンイツ
リーチ、役牌、ドラ1
ツモ、ホンイツ
全て1回戦南1局の土屋。1つの親番で勝ち上がりを決めてしまった。
100
A1リーガー近藤、現王位清原、マスターズを獲ったことのある奈良の3者で1席を争うことになるとは、予想外だっただろう。
2番手争いは清原から役牌、トイトイ、三暗刻、ドラ3の16,000をアガった奈良に。
最終戦南3局
近藤
二索二索三索三索三索六索六索七索八索九索中中中  リーチ
清原
二万三万四万七万七万三索四索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ
南4局
清原
一万九万一索九索一筒九筒九筒東南西北白中
と最後まで奈良を追い詰めるも流局。
100
 
勝ち上がり 土屋幸弘 奈良圭純
 
6卓:白鳥翔、斎藤桂史、勝又健志、滝沢和典
現マスターズの白鳥は、シードでここからの登場。
自身の持つ段位より数段上からの出場で、決勝とは言わないまでもベスト16には、と思っていたことだろう。
しかし、勝又、斎藤が的確にアガリを決め大苦戦。
3回戦オーラスのこのリーチも勝又に捌かれてしまった。
100
白鳥
一万一万三万七万七万九万九万東東南南西西  リーチ
3回戦終了時
勝又+48.4P 滝沢+0.5P 斎藤桂▲1.7P 白鳥▲47.2P
100
滝沢、斎藤の着順勝負はオーラスまでもつれ、滝沢37,900、斎藤37,000とアガリ勝負に。
親の白鳥はオリずに攻めるため、押し引きが難しい局面であったが、滝沢がアガリ勝ち上がりを決めた。
100
 
勝ち上がり 勝又健志 滝沢和典
 
7卓:須浦正裕、仁平宜明、浦田豊人、斉藤等
2回戦にトップを取った須浦が抜け出す展開。
2回戦終了時
須浦+29.0P 仁平▲3.9P 浦田▲11.3P 斉藤等▲13.8P
100
須浦がアガれるのとは対象に、2番手を争う3者はなかなか決め手が出ない。
ベテランの浦田、斉藤が決め手を出させないよう局面をコントロールしているとも言える。
その中でも絶妙の押し引きを見せた仁平が、大きなアガリはないものの、小さなアガリとテンパイ料でリードを築いた打ち回しは見事であった。
100
 
勝ち上がり 須浦正裕、仁平宜明
ワイルドカードにより、浜上文吾、斎藤桂史が繰り上がりとなった。
 
【九段戦S】
ここからの登場は、灘麻太郎、森山茂和、伊藤優孝、荒正義、古川孝次、沢崎誠と鳳凰位・前田直哉、世界チャンピオン山井弘の8人。
1卓:灘麻太郎、木村東平、土屋幸弘、斎藤桂史
2回戦終了時
木村+31.2P 斎藤桂+6.9P 灘▲13.6P 土屋▲24.5P
初段から勝ち上がりの土屋は3着、4着と今度は苦しい展開。
しかし3回戦にトップを取ると、4回戦は2番手の斎藤を沈めての2着とリードで最終戦を迎える。
4回戦終了時
木村+40.9P 土屋+7.9P 斎藤桂▲23.1P 灘▲25.7P
微差のリードで迎えた最終戦。念願の夏目坂まであと少し。
土屋はどういう心境であっただろうか。
追いかける立場はアガリに向かえばよいのでわかりやすいが、リードを守る側は選択肢がある分難しい。
最終戦南3局

三万三万三万八索八索一筒一筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン白白白  ツモ八索
この1,300・2,600のアガリで灘と土屋の差は700点!
オーラスはアガリ勝負なのだが、頭が真っ白になっていてもおかしくない。
そしてオーラス

二索四索五索六索一筒二筒三筒七筒八筒九筒  チー五筒 左向き四筒 上向き六筒 上向き  ツモ二索
4巡目にチー、7巡目にツモと土屋は為す術なく、灘らしいアガリで勝ち上がりを決めた。
100
 
勝ち上がり 木村東平 灘麻太郎
 
2卓:伊藤優孝、望月雅継、勝又健志、浜上文吾
1回戦、2回戦と勝又が連勝。
2回戦終了時
勝又+43.9P 望月▲2.8P 伊藤優▲11.9P 浜上▲29.2P
全5回戦にもかかわらず、1枠は勝又で決まってしまった空気が流れる。
有利であることには変わらないが、昨今の成績や安定感が相手にそう思わせてしまうのだろう。
3回戦終了時
勝又+77.1P 望月+12.7P 浜上▲42.6P 伊藤優▲47.2P
4回戦終了時
勝又+68.6P 望月▲1.0P 伊藤優▲30.5P 浜上▲37.1P
一旦望月がリードを広げるが、伊藤、浜上が粘って最終戦に望みをつなぐ。

100
100

最終戦、東2局
東家・浜上
一筒二筒三筒四筒五筒五筒五筒六筒七筒八筒九筒中中  ロン五筒
望月の五筒を捉えると、東3局は伊藤、望月の2件リーチに果敢に勝負しこのアガリ。
浜上
四筒五筒五筒五筒九筒九筒九筒発発発  ポン七筒 上向き七筒 上向き七筒 上向き  ロン三筒  ドラ四筒
浜上が大逆転で勝ち上がりを決めた。
 
勝ち上がり 勝又健志 浜上文吾
 
3卓:荒正義、野方祐介、須浦正裕、ダンプ大橋
1回戦、須浦のメンチンに荒が飛び込むという波乱の幕開け。
100
1回戦終了時
野方+21.9P 須浦+15.7P ダンプ大橋+6.5P 荒▲44.1P
対照的に四段戦から勝ち上がりの野方は、ここまでの勢いがあるのか絶好調。
3連勝を飾り、早々と安全圏にいってしまった。
100
3回戦終了時
野方+63.0P ダンプ大橋+10.3P 須浦▲9.7P 荒▲64.6P
須浦も最善を尽くすのだが、今日のダンプは押し引きが的確だった。
ダンプ
二万三万四万七万九万二索三索四索二筒二筒二筒三筒四筒  ロン八万  ドラ九万
ダンプ
一万二万三万一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒八筒白白  ツモ白  ドラ三万
どちらもきっちりヤミテンでアガリを取ると、チャンス手はまっすぐに仕掛け、
南家・ダソプ
三索三索九索九索  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ポン六索 上向き六索 上向き六索 上向き  ポン南南南  ロン三索
攻めるしかない荒から12,000のアガリであった。
 
勝ち上がり 野方祐介 ダンプ大橋
 
4卓:古川孝次、藤原隆弘、仁平宜明、高谷圭一
Aリーガー3人に、初段から勝ちあがりの高谷が挑む組み合わせ。
古川、藤原、仁平は何度も対戦経験があり、相手の雀風がわかるので、お互いに牽制しあうことになったのだろうか。
他の卓を見ている間に、予想もしない展開に。
3回戦終了時
高谷+92.8P 藤原▲30.1P 仁平▲30.9P 古川▲31.8P
残りの1枠の争いは劇的な幕切れ。
5回戦オーラス
100
古川
四万五万六万二索三索四索五索五索五索七索八索三筒三筒  チャンカン ロン九索  ドラ四万
仁平と古川の差が2,600点で(仁平が上)テンパイノーテンで変わってしまうため、そして親番の藤原がノーテンであることを読み切った上での加カンであった。(仁平の最終手番)
 
勝ち上がり 高谷圭一 古川孝次
 
5卓:沢崎誠、前田直哉、滝沢和典、二階堂亜樹
100
ギャラリーが多かった好カード。
連盟チャンネルのためにも(?)、二階堂には期待がかかる。
3回戦終了時
前田+44.4P 滝沢+12.4P 沢崎▲0.5P 二階堂亜▲56.3P
4回戦終了時
前田+50.4P 滝沢+6.5P 沢崎▲28.2P 二階堂亜▲28.7P
5回戦東場終了時(トータル)
前田+25.8P 滝沢+2.0P 二階堂亜▲7.1P 沢崎▲20.7P
二階堂は一時は絶望的と思われた点差だったが、滝沢にかなり肉薄する。
そして南2局。
親沢崎が滝沢から3,900+600をアガリ、誰が勝つのか本当にわからなくなった。
100
しかし、滝沢に慌てる様子はない。迎えた南2局3本場。
滝沢
四万五万六万東東南南発発発  チー八索 左向き七索 上向き九索 上向き  ロン南  ドラ発
このアガリで逃げ切り、ベスト16の切符を手に入れた。
 
勝ち上がり 前田直哉 滝沢和典
 
6卓:森山茂和、山井弘、奈良圭純、柴田吉和
全5回戦、局数にすると50局前後だろうが、ある1局で勝負が決まるのだから麻雀はわからない。
2回戦終了時
柴田吉+35.7P 奈良+12.2P 森山▲22.7P 山井▲25.2P
この3回戦も奈良が2万点台から2,000・3,900をツモり、持ち直したかと思っていた。
南2局、東家・山井
100
二万三万四万二索二索三索四索五索二筒三筒四筒六筒八筒  リーチ  ドラ二万
北家・森山
100
九索九索九索五筒五筒七筒七筒八筒八筒八筒  ポン発発発
山井が最終手番で七筒を引き上がると、同1本場は2番手の奈良から、ホンイツ、七対子、ドラ2の18,000を出アガリ逆転。
次の半荘も奈良は箱ラスとなり、4回戦で大差となってしまった。
奈良にとっては、「この局以降は、局面も心境もあまり記憶に残っていない」ほどの痛い放銃であった。
森山も随所に手筋を魅せるのだが、相手のアガリ牌が先にいる不運。
4回戦で2者との差がついてしまい、不完全燃焼であった。
勝ち上がり 山井弘 柴田吉和
最後にベスト16の組み合わせと展望を。(瀬戸熊、藤崎、柴田弘、前原はシード)
A卓(6/26) 瀬戸熊直樹、前田直哉、柴田吉和、高谷圭一
B卓(7/10) 藤崎智、山井弘、滝沢和典、野方祐介
C卓(7/17) 柴田弘幸、灘麻太郎、古川孝次、勝又建志
D卓(7/24) 前原雄大、木村東平、浜上文吾、ダンプ大橋
A卓
「実力・実績の瀬戸熊、前田で堅い」と思うようでは連盟通とは言えない。
実は瀬戸熊は初顔合わせに・・・だったりする。(想像にお任せします)
そして柴田、高谷にとって、一番間があかないA卓に入ったのは幸運で、良いイメージを維持したまま対局に臨めるんじゃないかなと。
「波乱必至」
B卓
バランス型が揃った印象。最終戦まで競っている展開が予想できない。
ある局に分岐点があって、そこを制した者の一方的なアガリになると予想する。
つまり「オープニングから連盟チャンネルで」だ。
C卓
安定の勝又。だが、灘、古川と仕掛けの多いこの組み合わせは苦手とみる。
柴田は相手の手牌読みに長けている打ち手。あまり仕掛けに対しての対応は苦としないだろう。
「誰がこの対戦を解説できるのか?」が実は一番の見所(違)。
D卓
前原が先手を取ることが予想されるが、3者がどう対応するかがポイント。
2人勝ち上がりなので、自分が攻め返して傷を負うのはなぁ・・・という心理が働く。
「攻め返したら○○だった」本物?ガラクタ?どっちだ?
※ 全て私の勝手な予想です。事実に基づかない情報も多々あるので笑ってお赦しください。
全対局、日本プロ麻雀連盟チャンネルで完全生中継。
熱戦、お見逃しなく!

第10期女流桜花第2節レポート 斎藤 理絵

対局日:2015年5月27日

2006年に始まった女流桜花も今年で10年目を迎えました。
私自身は、第4期にBリーグからスタートし、Aリーグに昇級してからは5年目の挑戦です。

今期から全卓、連盟チャンネルで生配信が始まり、毎回緊張していますが、“見て“見られる”ことによって、もっと強くなりたいという気持ちが大きくなってきています。

さて、今回の対戦者は、小宮山プロ、瑠美プロ、和泉プロ。
私は25期生なので、9期生の小宮山プロはなんと16年先輩!瑠美プロ、和泉プロは言わずとしれた四天王様です!
今回も厳しい戦いになりそうな中

1回戦
東1局(起家から和泉・斉藤・瑠美・小宮山)

私の配牌は

一万四万六万七万八万四索五索六索二筒三筒四筒四筒中  ドラ中

ツモが五筒三万五万と続き3巡目で

三万四万五万六万七万八万四索五索六索二筒三筒四筒五筒中

この選択になりました。(2巡目で中を切らずに打四筒とした為)
ドラの中単騎リーチも良いなと、思っていたのですが、三色の変化も見つつヤミテンでも出アガリできる二筒五筒待ちを選択。
しかし良い変化はなく、ついに11巡目に親の和泉プロからリーチが入ります。
次巡、リーチ後に和泉プロがもってきたドラの中をポンした小宮山プロもテンパイ気配。
結果は、和泉プロが小宮山プロから2,400のアガリ。

六万七万九万九万九万六索七索八索七筒七筒七筒東東  ロン八万

あとからタイムシフトを見返すと、西家の瑠美プロも7巡目に西のみ出アガリ出きる形のテンパイ。
北家の小宮山プロは、一番配牌が厳しい所から、中をポンして、北二筒待ちのテンパイでした。
1局目のアガリを勝ち取った和泉プロ。

続く東1局1本場は流局でしたが、和泉プロのテンパイの手牌は

一万一万一万七万七万八万八万九万九万九万東東東

怖いです…(笑)

このあとも2回戦目の南場まで和泉プロのペースで局が進み、南3局に、和泉プロがイレギュラーに私に跳満を打ってくれたあとのオーラスが、この日の勝負所だったと思います。
オーラスでソウズのホンイツに向かっている和泉プロに対して、早々に店じまいをしてしまい、オーラスに跳満をアガリ返されてしまいました。
これで和泉プロが2連勝を決めました。

3回戦目は、小宮山プロがトップを守りきり、瑠美プロもオーラスでしっかり三色を作って原点復帰の2着に。

4回戦目は、私がオーラスを22,700点のラスで迎え

三万四万一索六索八索九索一筒二筒六筒八筒九筒白中  ドラ七万

この配牌から終盤で

三万三万七万八万五索六索七索二筒三筒四筒八筒八筒八筒

ここまで伸び、リーチ、ツモ六万で運良くなんとか2着に浮上。

最終結果は、

和泉+71.5P
斉藤▲10.4P
小宮山▲19.9P
瑠美▲41.2P

となりました。最後の運の良いアガリがなければ、私が一番の負け頭でした。

昨年は、念願であった初のプレーオフに7位で進むことが出来て、自分としては上出来だと喜んでいましたが、プレーオフの結果は思った以上の惨敗。
この5年間、Aリーグにいることをすごく大事にしていて、とにかく降級しない事を第一目標にしていましたが、女流桜花に出ているからには、決勝を目指して優勝をしたいと思うようになりました。
そう思ったきっかけは、やはり連盟チャンネルで、他の選手の麻雀を見たことで麻雀に対する情熱が伝わってきたからです。

残り4節も強い相手ばかりですが、降級を恐れて弱気な打牌選択をする自分に活を入れ、気持ちだけは負けないように決勝を目指して対局に挑みたいと思います!

女流プロリーグ(女流桜花) レポート/第10期女流桜花第2節レポート 斎藤 理絵

対局日:2015年5月27日
2006年に始まった女流桜花も今年で10年目を迎えました。
私自身は、第4期にBリーグからスタートし、Aリーグに昇級してからは5年目の挑戦です。
今期から全卓、連盟チャンネルで生配信が始まり、毎回緊張していますが、“見て“見られる”ことによって、もっと強くなりたいという気持ちが大きくなってきています。
さて、今回の対戦者は、小宮山プロ、瑠美プロ、和泉プロ。
私は25期生なので、9期生の小宮山プロはなんと16年先輩!瑠美プロ、和泉プロは言わずとしれた四天王様です!
今回も厳しい戦いになりそうな中
1回戦
東1局(起家から和泉・斉藤・瑠美・小宮山)
私の配牌は
一万四万六万七万八万四索五索六索二筒三筒四筒四筒中  ドラ中
ツモが五筒三万五万と続き3巡目で
三万四万五万六万七万八万四索五索六索二筒三筒四筒五筒中
この選択になりました。(2巡目で中を切らずに打四筒とした為)
ドラの中単騎リーチも良いなと、思っていたのですが、三色の変化も見つつヤミテンでも出アガリできる二筒五筒待ちを選択。
しかし良い変化はなく、ついに11巡目に親の和泉プロからリーチが入ります。
次巡、リーチ後に和泉プロがもってきたドラの中をポンした小宮山プロもテンパイ気配。
結果は、和泉プロが小宮山プロから2,400のアガリ。
六万七万九万九万九万六索七索八索七筒七筒七筒東東  ロン八万
あとからタイムシフトを見返すと、西家の瑠美プロも7巡目に西のみ出アガリ出きる形のテンパイ。
北家の小宮山プロは、一番配牌が厳しい所から、中をポンして、北二筒待ちのテンパイでした。
1局目のアガリを勝ち取った和泉プロ。
続く東1局1本場は流局でしたが、和泉プロのテンパイの手牌は
一万一万一万七万七万八万八万九万九万九万東東東
怖いです…(笑)
このあとも2回戦目の南場まで和泉プロのペースで局が進み、南3局に、和泉プロがイレギュラーに私に跳満を打ってくれたあとのオーラスが、この日の勝負所だったと思います。
オーラスでソウズのホンイツに向かっている和泉プロに対して、早々に店じまいをしてしまい、オーラスに跳満をアガリ返されてしまいました。
これで和泉プロが2連勝を決めました。
3回戦目は、小宮山プロがトップを守りきり、瑠美プロもオーラスでしっかり三色を作って原点復帰の2着に。
4回戦目は、私がオーラスを22,700点のラスで迎え
三万四万一索六索八索九索一筒二筒六筒八筒九筒白中  ドラ七万
この配牌から終盤で
三万三万七万八万五索六索七索二筒三筒四筒八筒八筒八筒
ここまで伸び、リーチ、ツモ六万で運良くなんとか2着に浮上。
最終結果は、
和泉+71.5P
斉藤▲10.4P
小宮山▲19.9P
瑠美▲41.2P
となりました。最後の運の良いアガリがなければ、私が一番の負け頭でした。
昨年は、念願であった初のプレーオフに7位で進むことが出来て、自分としては上出来だと喜んでいましたが、プレーオフの結果は思った以上の惨敗。
この5年間、Aリーグにいることをすごく大事にしていて、とにかく降級しない事を第一目標にしていましたが、女流桜花に出ているからには、決勝を目指して優勝をしたいと思うようになりました。
そう思ったきっかけは、やはり連盟チャンネルで、他の選手の麻雀を見たことで麻雀に対する情熱が伝わってきたからです。
残り4節も強い相手ばかりですが、降級を恐れて弱気な打牌選択をする自分に活を入れ、気持ちだけは負けないように決勝を目指して対局に挑みたいと思います!

第101回『サバキの神髄⑦ 逆転の発想…その②』 荒 正義

勝負は第9節3回戦の南場に入った。
ここまで、この半荘の持ち点は次の通り(カッコ内は、この日の2回戦までの成績)。

瀬戸熊29,400(+4.8P)
望月30,600(▲13.8P) 
ともたけ+27,200(▲51.0P)
沢崎32,800(+60.0P)

東場の動きは微細である。しかし、これまでの流れから視聴者は、沢崎がアガリを重ね得点を大きく伸ばす、と思ったはずだ。私も同じである。
彼には、腰の重さと多彩な技があるのだ。このチャンスを逃すはずが無いと思える。

だから注目は、絶好調の沢崎が浮きを百の大台に乗せるかどうかだ。まだ沢崎には、1回の親番と次の半荘があるのだ。
もう1つの注目は望月の反発である。彼は耐えに耐え、鷹の目をして陥落からの脱出のチャンスを狙っているのだ。果たして、そのチャンスは来るのか―。

では、南家の望月の手の進行を見よう。ドラは三万である。

五万八万一索一索四索八索九索九索二筒九筒九筒東北  ツモ一筒

これが望月の1巡目の手である。ここから手役の構想は、純チャンか七対子である。
その手役は、どちらにせよ捨て牌が派手になるから望月は北を切った。
これが相手の読みをかわす、ぼかしである。

次が七万ツモの五万切り。そして3巡目のツモが一筒四索を切る。このとき司会進行の白鳥が、感嘆の声を漏らした。

「あれ、この手は―」

七万八万一索一索八索九索九索一筒一筒二筒九筒九筒東

そうだ、ここから純チャンや七対子を見るのでは、狙いが小さい。一筒を重ねたことで、この手は一気に役満の清老頭(チンロウトウ)へと夢が広がったのだ。
望月の目はキラリと光ったに違いない。
すぐに下家のともたけから一筒が出る。すぐにポンだ。続いてともたけから九索が出る。これもポンだ。はたから見たら望月の手はこうだ。

???????  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

そして、その河がこう。

北五万 上向き四索 上向き二筒 上向き八索 上向き

この2つの意外な仕掛けで、場に一瞬緊張が走ったはずだ。そう、3人の警戒すべきことは役満の清老頭なのだ。
清老頭は1と9の牌だけの構成役である。狙いが丸見えになっても、ここは1枚目が出ても鳴かなければならない。
スルーして、もう1枚が相手の手の内に使われたら終わりになるからだ。この時点で一万が河に2枚出ていた(すぐに3枚目出て枯れる)。

(本当にあるのか…?)
と、3人は疑心暗鬼だったはずだ。

清老頭なら、望月の手牌7枚はトイツが3組で、こうなっていることになる。

九万九万一索一索九筒九筒?  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

出来すぎだが、可能性はあるのだ。だが、実際の望月の手はこうだ。

七万八万一索一索九筒九筒東  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

この形なら一見、清老頭になる前にアガリになるように見える。だが、そうではない。
九万一索九筒の3種の牌が生きている限り、可能性があるのだ。あとは追求するかどうか、望月の意志の問題である。

ではこの後の、望月の手の内の変化図を示そう。
中が来て東切り。八万が来て中切り。そして九筒が来て七万切りである。

八万八万一索一索九筒九筒九筒  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

まだだ、これが最終形ではない。八万が出たらスルーで、一索が出たらポンである。
望月はここまで考えていたはずだ。しかし、一索の出の期待は現実には無理だ。
出るときは九万が枯れて役満が否定されたときだけなのである。それがA1の対応である。それでも追求、これが望月の構えだ。

だが、実戦は先に九万が来てこれを手元に残し、望月は振りテンの辺七万に受ける。もちろんツモっても、アがる気はなしである。

八万九万一索一索九筒九筒九筒  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

あとは一索九万のツモを待つだけだ。だが、展開は自分の思い通りに運ぶとは限らない。ここに、親の瀬戸熊からリーチが飛んで来た。

白中北東一万 上向き四万 上向き
五索 上向き七万 上向き三索 左向き

リーチなら七万を引けば、今度はアガる。なぜなら瀬戸熊が望月にぶつけてきた以上、打点は十分だしマチも相当と判断できる。
さらに、役満の否定材料が瀬戸熊の手にあることも予想されるからだ。
このあと望月に九万が重なる。

九万九万一索一索九筒九筒九筒  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き

こうなれば話は別だ。空テンでもいい、前に突き進むだけである。ドラだって切る。
このとき、瀬戸熊の手はこうだ。

三万三万三万四万五万六万二索二索三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三万

手の内に役満の否定材料はなかったが、代わりに強烈な3枚のドラがある。
しかも、待ちは両面の好形である。こうなると脇の2軒は全面撤退だ。望月の手にリーチでぶつける以上、親も相当の手と判断できるからである。また、こうも考える。
(瀬戸熊のことだ。役満の否定材料があるかも知れない。いや、ないかも知れない…)
と、疑心暗鬼になる。

この後、3度4度と危険牌の叩き合いが続いた。この時点で、瀬戸熊のアガリ牌は残り1枚。望月は3枚生きていた。
しかし、顔を見せない。一索が他家に吸収された。このまま流局かと思いきや、望月の最後のツモが九万だった。

九万九万一索一索九筒九筒九筒  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ツモ九万

見事な清老頭の完成である。この後、望月は得点こそ伸ばせなかったが3人を沈めて1人浮きのトップだ。
次の最終戦も望月はこの流れに乗り、大量得点をたたき出したのである。2回戦終了時の得点はこうである。

瀬戸熊(+4.8P)望月(▲13.8P)ともたけ(▲51.0P)沢崎(+60.0P)

それが4回戦終了時にはこうだ。

瀬戸熊(▲33.3P)望月(+63.2P)ともたけ(▲47.8P)沢崎(+17.9P)

役満が出たとはいえ、この点棒の動きは珍しい。だが、褒めるべきは清老頭のアガリではなく、望月の闘う姿勢にあったのだ。
彼には必ず浮上するという「強い心」があった。そして我慢強い「忍耐」である。
さらに、チャンスが来たら、一気に攻め込む「機敏さ」も備えている。
心と忍耐、そして機敏さ。これが逆転の発想の三大要素で、サバキの基本なのである。

以下次号。

上級/第101回『サバキの神髄⑦ 逆転の発想…その②』 荒 正義

勝負は第9節3回戦の南場に入った。
ここまで、この半荘の持ち点は次の通り(カッコ内は、この日の2回戦までの成績)。
瀬戸熊29,400(+4.8P)
望月30,600(▲13.8P) 
ともたけ+27,200(▲51.0P)
沢崎32,800(+60.0P)
東場の動きは微細である。しかし、これまでの流れから視聴者は、沢崎がアガリを重ね得点を大きく伸ばす、と思ったはずだ。私も同じである。
彼には、腰の重さと多彩な技があるのだ。このチャンスを逃すはずが無いと思える。
だから注目は、絶好調の沢崎が浮きを百の大台に乗せるかどうかだ。まだ沢崎には、1回の親番と次の半荘があるのだ。
もう1つの注目は望月の反発である。彼は耐えに耐え、鷹の目をして陥落からの脱出のチャンスを狙っているのだ。果たして、そのチャンスは来るのか―。
では、南家の望月の手の進行を見よう。ドラは三万である。
五万八万一索一索四索八索九索九索二筒九筒九筒東北  ツモ一筒
これが望月の1巡目の手である。ここから手役の構想は、純チャンか七対子である。
その手役は、どちらにせよ捨て牌が派手になるから望月は北を切った。
これが相手の読みをかわす、ぼかしである。
次が七万ツモの五万切り。そして3巡目のツモが一筒四索を切る。このとき司会進行の白鳥が、感嘆の声を漏らした。
「あれ、この手は―」
七万八万一索一索八索九索九索一筒一筒二筒九筒九筒東
そうだ、ここから純チャンや七対子を見るのでは、狙いが小さい。一筒を重ねたことで、この手は一気に役満の清老頭(チンロウトウ)へと夢が広がったのだ。
望月の目はキラリと光ったに違いない。
すぐに下家のともたけから一筒が出る。すぐにポンだ。続いてともたけから九索が出る。これもポンだ。はたから見たら望月の手はこうだ。
???????  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き
そして、その河がこう。
北五万 上向き四索 上向き二筒 上向き八索 上向き
この2つの意外な仕掛けで、場に一瞬緊張が走ったはずだ。そう、3人の警戒すべきことは役満の清老頭なのだ。
清老頭は1と9の牌だけの構成役である。狙いが丸見えになっても、ここは1枚目が出ても鳴かなければならない。
スルーして、もう1枚が相手の手の内に使われたら終わりになるからだ。この時点で一万が河に2枚出ていた(すぐに3枚目出て枯れる)。
(本当にあるのか…?)
と、3人は疑心暗鬼だったはずだ。
清老頭なら、望月の手牌7枚はトイツが3組で、こうなっていることになる。
九万九万一索一索九筒九筒?  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き
出来すぎだが、可能性はあるのだ。だが、実際の望月の手はこうだ。
七万八万一索一索九筒九筒東  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き
この形なら一見、清老頭になる前にアガリになるように見える。だが、そうではない。
九万一索九筒の3種の牌が生きている限り、可能性があるのだ。あとは追求するかどうか、望月の意志の問題である。
ではこの後の、望月の手の内の変化図を示そう。
中が来て東切り。八万が来て中切り。そして九筒が来て七万切りである。
八万八万一索一索九筒九筒九筒  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き
まだだ、これが最終形ではない。八万が出たらスルーで、一索が出たらポンである。
望月はここまで考えていたはずだ。しかし、一索の出の期待は現実には無理だ。
出るときは九万が枯れて役満が否定されたときだけなのである。それがA1の対応である。それでも追求、これが望月の構えだ。
だが、実戦は先に九万が来てこれを手元に残し、望月は振りテンの辺七万に受ける。もちろんツモっても、アがる気はなしである。
八万九万一索一索九筒九筒九筒  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き
あとは一索九万のツモを待つだけだ。だが、展開は自分の思い通りに運ぶとは限らない。ここに、親の瀬戸熊からリーチが飛んで来た。
白中北東一万 上向き四万 上向き
五索 上向き七万 上向き三索 左向き
リーチなら七万を引けば、今度はアガる。なぜなら瀬戸熊が望月にぶつけてきた以上、打点は十分だしマチも相当と判断できる。
さらに、役満の否定材料が瀬戸熊の手にあることも予想されるからだ。
このあと望月に九万が重なる。
九万九万一索一索九筒九筒九筒  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き
こうなれば話は別だ。空テンでもいい、前に突き進むだけである。ドラだって切る。
このとき、瀬戸熊の手はこうだ。
三万三万三万四万五万六万二索二索三筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三万
手の内に役満の否定材料はなかったが、代わりに強烈な3枚のドラがある。
しかも、待ちは両面の好形である。こうなると脇の2軒は全面撤退だ。望月の手にリーチでぶつける以上、親も相当の手と判断できるからである。また、こうも考える。
(瀬戸熊のことだ。役満の否定材料があるかも知れない。いや、ないかも知れない…)
と、疑心暗鬼になる。
この後、3度4度と危険牌の叩き合いが続いた。この時点で、瀬戸熊のアガリ牌は残り1枚。望月は3枚生きていた。
しかし、顔を見せない。一索が他家に吸収された。このまま流局かと思いきや、望月の最後のツモが九万だった。
九万九万一索一索九筒九筒九筒  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  ツモ九万
見事な清老頭の完成である。この後、望月は得点こそ伸ばせなかったが3人を沈めて1人浮きのトップだ。
次の最終戦も望月はこの流れに乗り、大量得点をたたき出したのである。2回戦終了時の得点はこうである。
瀬戸熊(+4.8P)望月(▲13.8P)ともたけ(▲51.0P)沢崎(+60.0P)
それが4回戦終了時にはこうだ。
瀬戸熊(▲33.3P)望月(+63.2P)ともたけ(▲47.8P)沢崎(+17.9P)
役満が出たとはいえ、この点棒の動きは珍しい。だが、褒めるべきは清老頭のアガリではなく、望月の闘う姿勢にあったのだ。
彼には必ず浮上するという「強い心」があった。そして我慢強い「忍耐」である。
さらに、チャンスが来たら、一気に攻め込む「機敏さ」も備えている。
心と忍耐、そして機敏さ。これが逆転の発想の三大要素で、サバキの基本なのである。
以下次号。

第32期A1リーグ第3節レポート 伊藤 優孝

第32期A1リーグ自戦記:伊藤優孝

今節の対戦相手を知って少し驚いた。
偶然とはいえ、2年前の鳳凰位決定戦と同じメンバーではないか。

ヨシ!雪辱戦だ、と気合いが入る(この時の決定戦は、藤崎 瀬戸熊 沢崎。完敗だった)

1回戦

東家・瀬戸熊、南家・藤崎、西家・伊藤、北家・沢崎
東1局 私の配牌は

四万五万五万五索六索六索二筒三筒六筒七筒西白白  ドラ六索

ドラがトイツ、悪くて3,900、跳満、倍満まで狙えそうな好配牌だ。
第一ツモ四筒、打西。良い感触だ。
この時、2年前の戦いがふと脳裏をかすめる。囁きが入る。
{親は瀬戸熊だよ、連荘させると面倒だよ、ここは白がでたらサッサと鳴いて親を蹴飛ばせ、3,900で十分だろう}

すると3巡目、すぐに白が出る、考える間もなく1枚目を手拍子でポン、1シャンテンに構える。

四万五万五万六索六索二筒三筒四筒六筒七筒  ポン白白白

しかし、しだいに違和感を覚える。
これで良いの…?… 2枚目ならいざ知らず、なぜ1枚目の白に飛びついたの? 普段だったら鳴かないのに、なに焦ってるの。

確かに最悪の鳴きと言うわけでも無いし、状況によっては良い場合もある。
しかし今、この時では無い。自ら可能性に蓋をしてしまった。私のスタイルではない……悔やむ思いが大きくなる。

結局この後もこの思いをずっと引きずってしまった。あきらかに心理戦で後手を踏み雪辱したいという気持が気負いとなり焦った形となった。(2年前のトラウマなのか?)
泰然自若に構えて置くべきだったのだ… たとえ3,900でアガれたとしても、エンジンの仕上がりも伸びしろも期待できずに結局負けていただろう。
当時のことを意識していないと思っていたが気持は呑まれていた訳だ。

麻雀は究極の心理ゲームとも言われている。手順、手筋、基本対応も大事だが、心理が占める割合は大きい。
強者の戦いはより心理戦が激化する。この部分で私はすでに早ばやと負けているのだ。実に情けない…
勝負と言うものは、相手に自分を意識させ呑んだらほぼ勝ちとなる。逆に相手を意識し呑まれたら負けだ。
東1局で、この日の戦いは苦戦するだろうと自覚した。

東4局、西家・藤崎、6巡目ツモ一筒でこの形。

一万二万三万三万六万六万六万三索七索八索九索一筒二筒三筒  ドラ三万

藤崎は三色を見切り打三索の仮テンのドラ三万単騎に構えた。そして次巡、ツモ三万で2,000・3,900!
このアガリを見て、他の3人は苦笑い、(これはヤバイと感じる)このアガリの心理インパクトは大きい。
この後、藤崎を意識せざるを得ない戦いとなる。そして安の定、藤崎に主導権を取られることになった。

結果は、藤崎と瀬戸熊がブラス、私と沢崎がマイナス、東1局で自覚したからか、その後は萎縮した戦いとなり情けなかったが、不幸中の幸いかマイナスを小さく押さえることができてホッ。
藤崎と瀬戸熊は打ち盛りの40代 さすがに強い!(麻雀は40才~55才ぐらい迄が一番充実し強いと思っている)

今節は2人に返り討ちにあったが、必ずどこかでリベンジします!!応援して下さい。死神はまだ闘える!

余談だが、最近よく藤崎にからかわれる。
「ユウコウさん昔に比べ、最近麻雀も気持も随分ちっちゃくなりましたネーウッシッシイ~ チームちっちゃいにはいりませんか!」
「クウッー・・・」苦笑い (イッ、イヤダー )

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第32期A1リーグ第3節レポート 伊藤 優孝

第32期A1リーグ自戦記:伊藤優孝
今節の対戦相手を知って少し驚いた。
偶然とはいえ、2年前の鳳凰位決定戦と同じメンバーではないか。
ヨシ!雪辱戦だ、と気合いが入る(この時の決定戦は、藤崎 瀬戸熊 沢崎。完敗だった)
1回戦
東家・瀬戸熊、南家・藤崎、西家・伊藤、北家・沢崎
東1局 私の配牌は
四万五万五万五索六索六索二筒三筒六筒七筒西白白  ドラ六索
ドラがトイツ、悪くて3,900、跳満、倍満まで狙えそうな好配牌だ。
第一ツモ四筒、打西。良い感触だ。
この時、2年前の戦いがふと脳裏をかすめる。囁きが入る。
{親は瀬戸熊だよ、連荘させると面倒だよ、ここは白がでたらサッサと鳴いて親を蹴飛ばせ、3,900で十分だろう}
すると3巡目、すぐに白が出る、考える間もなく1枚目を手拍子でポン、1シャンテンに構える。
四万五万五万六索六索二筒三筒四筒六筒七筒  ポン白白白
しかし、しだいに違和感を覚える。
これで良いの…?… 2枚目ならいざ知らず、なぜ1枚目の白に飛びついたの? 普段だったら鳴かないのに、なに焦ってるの。
確かに最悪の鳴きと言うわけでも無いし、状況によっては良い場合もある。
しかし今、この時では無い。自ら可能性に蓋をしてしまった。私のスタイルではない……悔やむ思いが大きくなる。
結局この後もこの思いをずっと引きずってしまった。あきらかに心理戦で後手を踏み雪辱したいという気持が気負いとなり焦った形となった。(2年前のトラウマなのか?)
泰然自若に構えて置くべきだったのだ… たとえ3,900でアガれたとしても、エンジンの仕上がりも伸びしろも期待できずに結局負けていただろう。
当時のことを意識していないと思っていたが気持は呑まれていた訳だ。
麻雀は究極の心理ゲームとも言われている。手順、手筋、基本対応も大事だが、心理が占める割合は大きい。
強者の戦いはより心理戦が激化する。この部分で私はすでに早ばやと負けているのだ。実に情けない…
勝負と言うものは、相手に自分を意識させ呑んだらほぼ勝ちとなる。逆に相手を意識し呑まれたら負けだ。
東1局で、この日の戦いは苦戦するだろうと自覚した。
東4局、西家・藤崎、6巡目ツモ一筒でこの形。
一万二万三万三万六万六万六万三索七索八索九索一筒二筒三筒  ドラ三万
藤崎は三色を見切り打三索の仮テンのドラ三万単騎に構えた。そして次巡、ツモ三万で2,000・3,900!
このアガリを見て、他の3人は苦笑い、(これはヤバイと感じる)このアガリの心理インパクトは大きい。
この後、藤崎を意識せざるを得ない戦いとなる。そして安の定、藤崎に主導権を取られることになった。
結果は、藤崎と瀬戸熊がブラス、私と沢崎がマイナス、東1局で自覚したからか、その後は萎縮した戦いとなり情けなかったが、不幸中の幸いかマイナスを小さく押さえることができてホッ。
藤崎と瀬戸熊は打ち盛りの40代 さすがに強い!(麻雀は40才~55才ぐらい迄が一番充実し強いと思っている)
今節は2人に返り討ちにあったが、必ずどこかでリベンジします!!応援して下さい。死神はまだ闘える!
余談だが、最近よく藤崎にからかわれる。
「ユウコウさん昔に比べ、最近麻雀も気持も随分ちっちゃくなりましたネーウッシッシイ~ チームちっちゃいにはいりませんか!」
「クウッー・・・」苦笑い (イッ、イヤダー )

第10期静岡プロリーグ決勝戦レポート

第10期静岡プロリーグ決勝戦が2015年1月4日と1月25日の2日に分けて行われた。

今回から静岡プロリーグに決勝戦が導入され、初日7半荘と2日目3半荘の合計10半荘の総合得点によって優勝者が決まる。
一般参加混合の静岡リーグでは予選突破順位ごとのアドバンテージが発生するがプロリーグではフラットな状態からのスタートとなり、さらには10半荘と今までにない長期戦となった。

当日、決勝戦出場選手は会場設営する支部員よりも遅い集合時間となるが「寒いなぁ」と言いながら早めに会場入りして来たのは、総合3位での決勝進出を果たした鷲見隼人プロ。

100

他のプロと談笑している姿はいつも通りで気負いはまったく感じられない。
静岡プロリーグでは第8期、第9期共に総合2位と戦績を残した鷲見プロが今期も決勝戦へと勝ち残って来た。連続2位というだけでも十分すごいのだが、優勝できなかったという悔しさがあるのは間違いない。
今回の決勝戦は長期戦だけにその安定した強さで優勝を勝ち取ることができるのかが注目だ。

 

そして会場入り2番手は越川清一プロ。

100

時折飲み物を口に含んでいるところを見ると、少し緊張しているのかもしれない。
静岡リーグでも決勝進出へ向けて好成績を残しており、さらには今回の決勝進出も最終節での逆転と勢いもある。
長期戦も楽しみだと話していたので今回の決勝戦をどのように戦うのかに注目したい。

 

その後に入場は岡本和也プロ。

100

入ってきて早々、中華まんを口にしている姿に緊張は微塵も感じられなかった。
新人王を奪取し、今期プロリーグ総合ダントツ1位の戦績を残して決勝進出など、静岡を代表する麻雀プロとなった岡本プロ。
そろそろ静岡支部でも輝かしい成績が欲しいに違いない。

 

そして最後は長内真美プロ。

100

「今日の私の採譜者誰ですか?」と長内プロ。
「私です」と鈴木郁プロが手を上げる。
「ふえー!!本当ですか!すみませんよろしくお願いします」といつもと変わらない元気な姿を見るとこちらも気負いはまったく見られない。
鳳凰位戦リーグのD1リーグではぶっちぎりの1位を独走中など爆発的な力を見せて静岡プロリーグも決勝戦へ進出。
決勝戦でもその力強さが見られるかに注目したい。

そして牌確認が終了後、静岡プロリーグ決勝戦の初日がスタートした。
(以下敬称略)

 

1回戦(起家から越川、長内、鷲見、岡本)

開始早々親の越川が11巡目に岡本のツモ切りを捕らえ1,500のアガリ。
1本場はすぐに岡本プロが安めながらツモり返して1,000・2,000は1,100・2,100と開始早々からアガリが続く。

東2局では親の長内が2,000オール、1,000は1,100オールと連荘に成功。

そして東3局では親の鷲見が岡本から2,900をアガるという、東3局にして対局者4人全員にアガリが出るという波乱の展開。
点数が低いながらもアガっているのが親の時というのもこの決勝戦に登ってきた彼らの強さを物語っているように感じる。

越川、長内、鷲見が親でアガって岡本もアガることができるのかと注目していると、

五万六万七万九万九万六索七索八索五筒七筒南南南  ツモ六筒  ドラ五索

岡本もこれに続く。
本当に今、力と勢いがある者が集まったと言える。
この局の岡本の親も700オールと点数は低いながらも場が動き始めたと感じられる中、南場で点数が大きく動くこととなる。

「ロン。12,000」

アガったのは越川。そしてそのリーチに振り込んだのは鷲見だ。

一万二万三万四万五万六万七万八万四索五索六索六筒六筒  ロン九万  ドラ六万

南1局、鷲見も手牌にドラが2枚あり勝負するが軍配は親の越川。
そしてこの後の親で同じように他3人がアガれるかに注目が集まるが越川が長内の親を潰しさらに加点、鷲見と岡本の親は長内が2局ともアガりきって終了。

1回戦成績
越川+24.4P 長内+18.5P 岡本▲10.0P 鷲見▲32.9P

 

2回戦(起家から長内、鷲見、岡本、越川)

2回戦は鷲見と越川の一騎打ちとなった。
開局アガリは1回戦で沈んだ鷲見。越川から2,600。
そして鷲見は親を迎えてなんとか加点したいところで越川からリーチが入る。

七万九万三索三索三索四索四索六索七索八索五筒六筒七筒  ドラ七索

1回戦ドラ2枚持ちで勝負して負け、さらにその後の配牌ドラ3も活かせずに大きく沈んだ鷲見にとって嫌な展開だが、果敢にリーチ。

四万四万二索四索五索六索七索三筒三筒三筒七筒八筒九筒  リーチ

鷲見のアガリ牌の三索は越川に暗槓されてしまうが結果は流局。
次局の1本場で鷲見は選択ミスで親を落としてしまうなど噛み合わない状態が続く。

そして直後の東3局2本場で越川が魅せる。

東3局2本場南家の越川、

一万二万三万三万一索三索南南南北北白白  ドラ発

7巡目でここから二索が2枚場に切られたのを見て即座に二万をチー。
迷いのないチーから最後は高めの一万をしっかりと確かめてツモを宣言。

二万三万南南南白白  ポン北北北  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ツモ一万  ドラ発

この2,000・4,000は自身の好調を確信したアガリだったのではないだろうか。そして次局の親でも2,600オールを決める。

このアガリに少し苦い顔をしたのは鷲見。
越川が勝負してきた東をポンしてホンイツの跳満テンパイを潰されてのアガリだった。
好調の越川に不調の鷲見という構図。

その越川の親を流したのは長内。
さらに長内は次局南1局の親で岡本へのアタリ牌をしっかり止めるなど、きっちり打っているのが分かる長内は、この半荘は捌き役に回る。

南2局1本場、鷲見と越川がまたも衝突する。
先にテンパイはまたしても西家の越川。

一筒一筒二筒二筒三筒三筒七筒八筒南南  ポン西西西  ドラ七万

そして親の鷲見も1シャンテンから危険牌の七筒一筒を通してリーチを決断。

三万四万五万六万六万二索三索三索四索四索四索五索六索  ドラ七万

鷲見の意地を見せた勝負の行方は、

「ロン。11,600は11,900」

勝ったのは鷲見。二索を掴んだ越川から直取りに成功。
これで流れが変わるかと思われたが鷲見の追撃弾は炸裂しないまま岡本が満貫のツモアガリで親落ち。

そしてオーラス。
長内が1人大きく沈み、越川も原点近くの30,100なのでプラスの鷲見と岡本は2人を沈めての終局が理想。
鷲見は悩みつつも役なしのカン八索のヤミでテンパイ、岡本もホンイツへ南ポン、西ポンとテンパイを急ぐ。

しかし静かに手を倒したのは越川だった。
「ロン。11,600」
綺麗なタンピン三色で高めを振り込むことになったのは意外にも鷲見。

このアガリをモノにした越川は総合で1人浮きとなる。

2回戦成績
越川+22.0P 岡本+6.1P 鷲見▲7.7P 長内▲20.4P

2回戦終了時
越川+46.4P 長内▲1.9P 岡本▲3.9P 鷲見▲40.6P

 

3回戦(起家から長内、鷲見、越川、岡本)

これでマークするのは1人浮きの越川となる。
しかしまだ3回戦。10回戦勝負なのでまずは自身の加点が大事。

序盤アガリを見せたのは鷲見。
親の長内から5,200を打ち取り、東2局の親で2,600オールをツモアガリとスタートダッシュに成功。

しかし東2局1本場で鷲見は越川のリーチに対してドラを切って放銃してしまう。

二万三万四万三索四索七索七索八索二筒四筒六筒中中中  ドラ八索  打八索

前巡にドラの八索をツモってトイツの二筒を崩し、六筒を引いて頭固定の八索切りで放銃。
様々な選択と可能性と読みがあった手牌だが結果は最悪の越川へ3,900の振り込みとなった。
鷲見が今日一番苦しそうな顔をした瞬間だった。
この半荘、この後鷲見がアガることはなく43,000もあった点数も13,000まで減らすこととなった。

東4局、長内が一気通貫の高めをツモって原点復帰。
しかしやはりこの半荘は如何に親でアガるかが重要なようで、長内と鷲見の親が流されると越川が連荘で加点、岡本も連荘に成功し越川と岡本の2人浮きで終局することとなった。

3回戦成績
越川+19.9 岡本+10.7 長内▲5.6P 鷲見▲25.0P

3回戦終了時
越川+66.3P 岡本+6.8P 長内▲7.5P 鷲見▲65.6P

 

4回戦(起家から越川、岡本、鷲見、長内)

気付けば越川が3連勝と波に乗る。
こうなるとさすがに他3人は意識せざるを得ないだろう。

東1局の越川の親は岡本がヤミテンで早々に流す。

しかし越川は伸び伸びと打っているように見える。
親の鷲見からリーチが入るも、七対子ドラドラで1巡前に切られた五万で待つか通っていない三万で待つかの選択で迷わず通っていない三万を切った。
そしてすぐに自分で切った五万を掴んでくる鷲見。
越川が6,400のアガリと勢いはまだ続くのかと思われた。

が今回奮起したのは長内と岡本。
長内が東4局の親でアガリには結び付かないものの連荘を続け少しずつ加点。
岡本も越川の親を東場南場ともヤミテンで流し、無理をせずに落ち着いて手を進めていく。

そして南3局に長内のホンイツが越川を捉え、越川をラスにして終局することに成功。

二万三万三万四万四万五万七万七万東東東白白  ドラ六筒  ロン白

4回戦成績
岡本+15.8P 長内+8.1P 鷲見▲7.9P 越川▲16.0P

4回戦終了時
越川+50.3P 岡本+22.6P 長内+0.6P 鷲見▲73.5P

 

5回戦(起家から鷲見、岡本、越川、長内)

総合で鷲見が1人大きく沈んでしまう結果となり、この5回戦で折り返しとなるためなんとかプラスで終わりたい鷲見だが、調子が上がらず逆に振り込みに回る。

東1局、南家の岡本が高めをツモ倍満のリーチを打つ。

一万二万三万八万九万九万九万七索八索九索七筒八筒九筒  ドラ九筒

そして親の鷲見の手牌

六万七万八万八万三索三索四索四索五索四筒四筒七筒九筒  ツモ五万  打四筒

テンパイすれば八万でアタリになってしまうところ、ツモ五万で頭を振り替えて打四筒とするがこれを捉えたのは長内。

四万四万五万五万七万七万四筒五筒五筒七筒七筒九筒九筒  ロン四筒  ドラ九筒

八万でも四筒でもどちらを切っても振り込みに回る中、2,600で済む振り込みを6,400になってしまうのは不運としか言いようがない。
しかしその鷲見は次局で6,400をツモアガりで挽回、岡本も7,700をアガるなどして序盤で長内と岡本の優位を築き、今回は相手の連荘を防ぐ形となり越川の最後の親も鷲見がツモアガって最終的には越川に1人沈みのラスを押し付けることに成功。

この時点で越川を抜き岡本が総合トップに立つ。

5回戦成績
岡本+11.1P 鷲見+5.0P 長内+1.8P 越川▲17.9P 

5回戦終了時
岡本+33.7P 越川+30.4P 長内+2.4P 鷲見▲68.5P

 

6回戦(起家から長内、越川、岡本、鷲見)

ようやく折り返しとなる6回戦。
初日は7回戦なのであと2回戦で終了。2日目へ勢いを繋ぐためにもここで少しでもポイントを稼いでおきたいところ。

ここで鬱憤の溜まった越川と、後がなくなってきた鷲見がここで叩き合いを見せる。

越川が東1局で軽く鳴いてドラドラをツモアガると次局の親で4.000オールを決める。

二万三万東東東南南  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ポン西西西  ツモ一万  ドラ六索

5回戦、岡本と長内2人で作った優位とは打って変わって、越川は1人の自力で優位に立つ。

それを追うのは鷲見だった。越川と岡本が初牌の白を切れずに困っているのを尻目に岡本から5,200をアガリ、さらにもう一度岡本から7,700をアガる。
岡本も前に出るがそれが裏目に出る形で放銃してしまい、ここで大きく失速することになってしまう。

オーラス鷲見の親。
越川がこの時点で5万点オーバーのトップという状態。
長内と岡本が無理に前に出てこない状況で終わらせに来るのは越川だけなので、ここはポイントを稼ぐチャンスとなる。

親で高め三色をツモアガって3,900オール。

六万七万三索四索五索六索七索八索六筒七筒八筒発発  ツモ八万  ドラ四万

あまり調子が良い状態ではなかった鷲見だが、この日一番の気持ち良いアガリだったのではないだろうか。

続く1本場で鷲見が10巡目にリーチ。

五万六万七万四索五索六索九索九索四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ五索

やはり潰しに来たのは越川。
通っていない牌を切りつつも12巡目に高め3色で追っかけリーチ。

七万八万九万七索八索九索二筒三筒四筒八筒九筒九筒九筒  リーチ  ドラ五索

何度見てきたかこの勝負。
越川も好調を感じていただろうが今回は鷲見に軍配が上がる。
力強く六筒をツモアガる2,600は2,700オール。

そして2本場でも鷲見がリーチを打つが、仕掛けた越川がお返しとばかりに同巡でツモアガリし終局。
長内と岡本はそれぞれ相手の親を落とすのが精一杯となり、2人がツモアガった分だけマイナスが膨らんでしまう結果となった。

6回戦成績
鷲見+33.8P 越川+20.1P 長内▲19.6P 岡本▲34.3P

6回戦終了時
越川+52.5P 岡本▲0.6P 長内▲17.2P 鷲見▲34.7P

 

7回戦(起家から岡本、長内、鷲見、越川)

越川の1人浮きで迎えた初日の最終戦。
ここで少しでも稼いで2日目を気分良く迎えたいところ。

ここまで大きな手が入らず苦しい展開が続いてきた長内。
東1局も役なしながらも先制リーチを敢行するなど、まだまだやる気を失ってはいない。
親の岡本も親の連荘が欲しいため追いかける。
長内は一万四万五万待ちで、岡本は一万四万待ちの勝負で軍配は長内。

一万二万三万四万六万六万六万一筒一筒一筒五筒六筒七筒  ツモ四万  ドラ西

岡本は4回戦からずっと連荘させてもらえない状況が続く。
長内も次局連荘したいが1シャンテンから動かず、その間に越川が捌いて親落ち。
越川はこの半荘大きく稼がれなければ満足だろう。すべて躱しに来てもおかしくない。

岡本もなんとか連荘するも次局は長内に大きくツモアガられて加点できず。
そして是が非でも親で大きなアガリが欲しい長内についにアガリが出る。

一万六万七万八万九万五索三筒四筒九筒九筒発発中中  ドラ二筒

南場2局の親でこの配牌から一気にマンズに寄せることを決断し、ツモもそれに応えてテンパイしアガリに結びつけたのは見事の一言。

一万一万六万六万七万七万八万九万九万発発中中  ロン八万  ドラ二筒

そしてここに飛び込んだのはなんと越川。
こちらも七対子の待ちに手頃の八筒と振り替える際に放銃。
まだテンパイしていないだろうという読みだろうが長内の強い思いが実った局だった。

この後、長内はオーラスで親の越川と岡本にそれぞれ振り込んで点数を減らすが後悔はしていないだろう。
傍から見ていて強気で気持ちの良い攻めだった。

7回戦成績
長内+22.2P 鷲見▲14.4P 岡本▲2.2P 越川▲2.6P
7回戦終了時
越川+49.9P 長内+5.0P 岡本▲5.8P 鷲見▲49.1P

初日の7回戦が終わり、残すは2日目の3回戦のみ。
ポイント的には越川が一人抜け出しているが3回戦あれば100ポイント差などあっという間にひっくり返る。
スタートの8回戦を選手たちがどのように戦うかに注目が集まった。

 

8回戦(起家から鷲見、長内、岡本、越川)

東1局は長内、東2局は鷲見がアガリ、迎えた親を連荘した岡本に東3局1本場、配牌でチャンス手が入る。

四万一索三索四索五索五索六索七索八索九索四筒九筒東白  ドラ七万

この手をソウズに寄せると東を2枚連続で引きなんと4巡目でテンパイ。

一索三索四索四索五索五索六索七索八索九索東東東

一索待ちで早くもテンパイし、その後六索を引いて待ち変えし高めの出アガリ跳満にまで育つが、六索を引く前に越川に三索を切られ、切った一索を長内が合わせるなどなかなかアガれないままツモ切りが続く。
さらに点数的に攻めるしかない鷲見が4巡目からドラドラをアガろうと鳴いてテンパイを急ぐ。

長内が対局後に、
八索をツモ切ったときに岡本プロが反応したように思ったので、もうソウズは危ないのかもと思った。」
と話しており岡本がアガリたいという思いが仕草に出ていたのかもしれない。

その岡本の三索六索九索待ちは山に何枚も残っていたが引けず、この局は長内が鷲見に振り込んで終局となってしまう。

私は岡本の後ろでそれを見ていた。
岡本は後ろに仰け反るようにゆっくり体を少しだけ倒した。
表情を見なくても背中が語っているようだった。

もしこの手をツモアガリ、または越川からアガっていたとしたら全く違う展開になったに違いない。
この決勝戦の中で、本当に数少ない千載一遇のチャンスを逃した悔しさは計り知れないものだったと思う。

その後鷲見も長内も果敢に攻め、岡本も切り換えてアガリに結び付けるなど、親での連荘には繋がらずともそれぞれ腹を括ったように攻める中、越川は少し引き気味に打っているように見えた。

結果は鷲見と岡本の2人浮きで終局。

8回戦成績
鷲見+19.9P 岡本+7.5P 越川▲10.8P 長内▲16.6P
8回戦終了時
越川+39.1P 岡本+1.7P 長内▲11.6P 鷲見▲29.2P

 

9回戦(起家から鷲見、長内、岡本、越川)

残り2回戦となり、まだ終われないと岡本が東1局にドラを力強くツモって2,000・3,900のアガリを見せる。

三万四万五万七万八万八万九万九万二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ七万  ドラ七万

東3局1本場には11巡目に西家の鷲見がリーチ。

三万四万五万六万六万四索四索五索五索六索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ二筒

ここに同巡に北家の長内が追っかけリーチ。

五万五万七万八万九万二索三索四索二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ

最終戦を前に少しでも加点しようと迷いのない攻めが8回戦から続く。
鷲見が一筒を掴んで振り込み、3,900のアガリ。
越川もここに参戦し虎視眈々と親で加点を狙うがアガリは付かず。

南1局1本場。
連荘した鷲見はここでさらに加点が欲しいと前に出るが岡本がホンイツで打ち取って7,700のアガリ。
鷲見はこの振り込みが大きく響き、最終戦に少しでも望みを繋ぎたかったがこの半荘大きく沈んでしまう。

ここまでアガリのない越川だったが、南2局南3局と加点に成功。
長内の親と岡本の親でツモアガって一気にトップに立つ。

トップの越川がオーラスの親を迎える。
止められる者がいるのかと心配したが、長内が出アガリは期待できない中で、力強くドラをツモって越川に跳満の親被りをさせてトップを奪取して見せた。

三筒四筒五筒白白発発  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ポン西西西  ドラ白  ツモ白

そして静岡プロリーグ決勝戦は最終戦を迎える。

9回戦成績
長内+20.5P 越川+12.6P 岡本+1.4P 鷲見▲34.5P

9回戦終了時
越川+51.7P 長内+8.9P 岡本+3.1P 鷲見▲63.7P

 

最終戦(起家から長内、岡本、鷲見、越川)

越川プロが大きくリードしたまま、いよいよ最終戦。
まだまだ諦めない鷲見が、東2局満貫などをアガって場が進み、東3局1本場。

南家の越川が早々に八索をポン、さらに東をポンしてテンパイ。

一索二索二索三索三索四索南  ポン東東東  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ドラ一索

ドラドラの長内が東を仕掛ける前に南を勝負しており、その後東を鳴いた後に岡本が南を掴みツモ切って放銃となってしまう。
逆転優勝を目指すには、越川を大きく沈ませなければいけない条件でこのアガリは大きく、その後形勢が変わることはなく終局した。

10回戦成績
鷲見+13.4P 越川+6.2P 長内▲4.2P 岡本▲15.4P

最終成績
≪優勝≫越川+57.9P ≪準優勝≫長内+4.7P 岡本▲12.3P 鷲見▲50.3P

 

栄えある第10期静岡プロリーグを制したのは越川清一プロだ。
「初日はいい麻雀ができたが今日は全然違った。ひどいというか感触がなかった。勝っても納得できないほどにグダグダで、自分がここまでメンタルが弱いとは思わなかった。」
と対局後に越川プロは話しており、それほど長期戦での戦いはプレッシャーがすごかったということなのだろう。

今回非常に好戦的な4人が決勝へ進出し、誰が勝つかという前にどんな展開になるのかということすら予想できない見所の多い組み合わせとなった。

この4人は本当にメンタルが強いと私は思った。
その強さが麻雀への勢いとなり、思いを乗せて力へと変えているのを体現している。
対局を見ていてまた一つ勉強になった。

越川清一プロ優勝おめでとうございます。
そして対局者のみなさんお疲れ様でした。

静岡プロリーグ 決勝観戦記/第10期静岡プロリーグ決勝戦レポート

第10期静岡プロリーグ決勝戦が2015年1月4日と1月25日の2日に分けて行われた。
今回から静岡プロリーグに決勝戦が導入され、初日7半荘と2日目3半荘の合計10半荘の総合得点によって優勝者が決まる。
一般参加混合の静岡リーグでは予選突破順位ごとのアドバンテージが発生するがプロリーグではフラットな状態からのスタートとなり、さらには10半荘と今までにない長期戦となった。
当日、決勝戦出場選手は会場設営する支部員よりも遅い集合時間となるが「寒いなぁ」と言いながら早めに会場入りして来たのは、総合3位での決勝進出を果たした鷲見隼人プロ。
100
他のプロと談笑している姿はいつも通りで気負いはまったく感じられない。
静岡プロリーグでは第8期、第9期共に総合2位と戦績を残した鷲見プロが今期も決勝戦へと勝ち残って来た。連続2位というだけでも十分すごいのだが、優勝できなかったという悔しさがあるのは間違いない。
今回の決勝戦は長期戦だけにその安定した強さで優勝を勝ち取ることができるのかが注目だ。
 
そして会場入り2番手は越川清一プロ。
100
時折飲み物を口に含んでいるところを見ると、少し緊張しているのかもしれない。
静岡リーグでも決勝進出へ向けて好成績を残しており、さらには今回の決勝進出も最終節での逆転と勢いもある。
長期戦も楽しみだと話していたので今回の決勝戦をどのように戦うのかに注目したい。
 
その後に入場は岡本和也プロ。
100
入ってきて早々、中華まんを口にしている姿に緊張は微塵も感じられなかった。
新人王を奪取し、今期プロリーグ総合ダントツ1位の戦績を残して決勝進出など、静岡を代表する麻雀プロとなった岡本プロ。
そろそろ静岡支部でも輝かしい成績が欲しいに違いない。
 
そして最後は長内真美プロ。
100
「今日の私の採譜者誰ですか?」と長内プロ。
「私です」と鈴木郁プロが手を上げる。
「ふえー!!本当ですか!すみませんよろしくお願いします」といつもと変わらない元気な姿を見るとこちらも気負いはまったく見られない。
鳳凰位戦リーグのD1リーグではぶっちぎりの1位を独走中など爆発的な力を見せて静岡プロリーグも決勝戦へ進出。
決勝戦でもその力強さが見られるかに注目したい。
そして牌確認が終了後、静岡プロリーグ決勝戦の初日がスタートした。
(以下敬称略)
 
1回戦(起家から越川、長内、鷲見、岡本)
開始早々親の越川が11巡目に岡本のツモ切りを捕らえ1,500のアガリ。
1本場はすぐに岡本プロが安めながらツモり返して1,000・2,000は1,100・2,100と開始早々からアガリが続く。
東2局では親の長内が2,000オール、1,000は1,100オールと連荘に成功。
そして東3局では親の鷲見が岡本から2,900をアガるという、東3局にして対局者4人全員にアガリが出るという波乱の展開。
点数が低いながらもアガっているのが親の時というのもこの決勝戦に登ってきた彼らの強さを物語っているように感じる。
越川、長内、鷲見が親でアガって岡本もアガることができるのかと注目していると、
五万六万七万九万九万六索七索八索五筒七筒南南南  ツモ六筒  ドラ五索
岡本もこれに続く。
本当に今、力と勢いがある者が集まったと言える。
この局の岡本の親も700オールと点数は低いながらも場が動き始めたと感じられる中、南場で点数が大きく動くこととなる。
「ロン。12,000」
アガったのは越川。そしてそのリーチに振り込んだのは鷲見だ。
一万二万三万四万五万六万七万八万四索五索六索六筒六筒  ロン九万  ドラ六万
南1局、鷲見も手牌にドラが2枚あり勝負するが軍配は親の越川。
そしてこの後の親で同じように他3人がアガれるかに注目が集まるが越川が長内の親を潰しさらに加点、鷲見と岡本の親は長内が2局ともアガりきって終了。
1回戦成績
越川+24.4P 長内+18.5P 岡本▲10.0P 鷲見▲32.9P
 
2回戦(起家から長内、鷲見、岡本、越川)
2回戦は鷲見と越川の一騎打ちとなった。
開局アガリは1回戦で沈んだ鷲見。越川から2,600。
そして鷲見は親を迎えてなんとか加点したいところで越川からリーチが入る。
七万九万三索三索三索四索四索六索七索八索五筒六筒七筒  ドラ七索
1回戦ドラ2枚持ちで勝負して負け、さらにその後の配牌ドラ3も活かせずに大きく沈んだ鷲見にとって嫌な展開だが、果敢にリーチ。
四万四万二索四索五索六索七索三筒三筒三筒七筒八筒九筒  リーチ
鷲見のアガリ牌の三索は越川に暗槓されてしまうが結果は流局。
次局の1本場で鷲見は選択ミスで親を落としてしまうなど噛み合わない状態が続く。
そして直後の東3局2本場で越川が魅せる。
東3局2本場南家の越川、
一万二万三万三万一索三索南南南北北白白  ドラ発
7巡目でここから二索が2枚場に切られたのを見て即座に二万をチー。
迷いのないチーから最後は高めの一万をしっかりと確かめてツモを宣言。
二万三万南南南白白  ポン北北北  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ツモ一万  ドラ発
この2,000・4,000は自身の好調を確信したアガリだったのではないだろうか。そして次局の親でも2,600オールを決める。
このアガリに少し苦い顔をしたのは鷲見。
越川が勝負してきた東をポンしてホンイツの跳満テンパイを潰されてのアガリだった。
好調の越川に不調の鷲見という構図。
その越川の親を流したのは長内。
さらに長内は次局南1局の親で岡本へのアタリ牌をしっかり止めるなど、きっちり打っているのが分かる長内は、この半荘は捌き役に回る。
南2局1本場、鷲見と越川がまたも衝突する。
先にテンパイはまたしても西家の越川。
一筒一筒二筒二筒三筒三筒七筒八筒南南  ポン西西西  ドラ七万
そして親の鷲見も1シャンテンから危険牌の七筒一筒を通してリーチを決断。
三万四万五万六万六万二索三索三索四索四索四索五索六索  ドラ七万
鷲見の意地を見せた勝負の行方は、
「ロン。11,600は11,900」
勝ったのは鷲見。二索を掴んだ越川から直取りに成功。
これで流れが変わるかと思われたが鷲見の追撃弾は炸裂しないまま岡本が満貫のツモアガリで親落ち。
そしてオーラス。
長内が1人大きく沈み、越川も原点近くの30,100なのでプラスの鷲見と岡本は2人を沈めての終局が理想。
鷲見は悩みつつも役なしのカン八索のヤミでテンパイ、岡本もホンイツへ南ポン、西ポンとテンパイを急ぐ。
しかし静かに手を倒したのは越川だった。
「ロン。11,600」
綺麗なタンピン三色で高めを振り込むことになったのは意外にも鷲見。
このアガリをモノにした越川は総合で1人浮きとなる。
2回戦成績
越川+22.0P 岡本+6.1P 鷲見▲7.7P 長内▲20.4P
2回戦終了時
越川+46.4P 長内▲1.9P 岡本▲3.9P 鷲見▲40.6P
 
3回戦(起家から長内、鷲見、越川、岡本)
これでマークするのは1人浮きの越川となる。
しかしまだ3回戦。10回戦勝負なのでまずは自身の加点が大事。
序盤アガリを見せたのは鷲見。
親の長内から5,200を打ち取り、東2局の親で2,600オールをツモアガリとスタートダッシュに成功。
しかし東2局1本場で鷲見は越川のリーチに対してドラを切って放銃してしまう。
二万三万四万三索四索七索七索八索二筒四筒六筒中中中  ドラ八索  打八索
前巡にドラの八索をツモってトイツの二筒を崩し、六筒を引いて頭固定の八索切りで放銃。
様々な選択と可能性と読みがあった手牌だが結果は最悪の越川へ3,900の振り込みとなった。
鷲見が今日一番苦しそうな顔をした瞬間だった。
この半荘、この後鷲見がアガることはなく43,000もあった点数も13,000まで減らすこととなった。
東4局、長内が一気通貫の高めをツモって原点復帰。
しかしやはりこの半荘は如何に親でアガるかが重要なようで、長内と鷲見の親が流されると越川が連荘で加点、岡本も連荘に成功し越川と岡本の2人浮きで終局することとなった。
3回戦成績
越川+19.9 岡本+10.7 長内▲5.6P 鷲見▲25.0P
3回戦終了時
越川+66.3P 岡本+6.8P 長内▲7.5P 鷲見▲65.6P
 
4回戦(起家から越川、岡本、鷲見、長内)
気付けば越川が3連勝と波に乗る。
こうなるとさすがに他3人は意識せざるを得ないだろう。
東1局の越川の親は岡本がヤミテンで早々に流す。
しかし越川は伸び伸びと打っているように見える。
親の鷲見からリーチが入るも、七対子ドラドラで1巡前に切られた五万で待つか通っていない三万で待つかの選択で迷わず通っていない三万を切った。
そしてすぐに自分で切った五万を掴んでくる鷲見。
越川が6,400のアガリと勢いはまだ続くのかと思われた。
が今回奮起したのは長内と岡本。
長内が東4局の親でアガリには結び付かないものの連荘を続け少しずつ加点。
岡本も越川の親を東場南場ともヤミテンで流し、無理をせずに落ち着いて手を進めていく。
そして南3局に長内のホンイツが越川を捉え、越川をラスにして終局することに成功。
二万三万三万四万四万五万七万七万東東東白白  ドラ六筒  ロン白
4回戦成績
岡本+15.8P 長内+8.1P 鷲見▲7.9P 越川▲16.0P
4回戦終了時
越川+50.3P 岡本+22.6P 長内+0.6P 鷲見▲73.5P
 
5回戦(起家から鷲見、岡本、越川、長内)
総合で鷲見が1人大きく沈んでしまう結果となり、この5回戦で折り返しとなるためなんとかプラスで終わりたい鷲見だが、調子が上がらず逆に振り込みに回る。
東1局、南家の岡本が高めをツモ倍満のリーチを打つ。
一万二万三万八万九万九万九万七索八索九索七筒八筒九筒  ドラ九筒
そして親の鷲見の手牌
六万七万八万八万三索三索四索四索五索四筒四筒七筒九筒  ツモ五万  打四筒
テンパイすれば八万でアタリになってしまうところ、ツモ五万で頭を振り替えて打四筒とするがこれを捉えたのは長内。
四万四万五万五万七万七万四筒五筒五筒七筒七筒九筒九筒  ロン四筒  ドラ九筒
八万でも四筒でもどちらを切っても振り込みに回る中、2,600で済む振り込みを6,400になってしまうのは不運としか言いようがない。
しかしその鷲見は次局で6,400をツモアガりで挽回、岡本も7,700をアガるなどして序盤で長内と岡本の優位を築き、今回は相手の連荘を防ぐ形となり越川の最後の親も鷲見がツモアガって最終的には越川に1人沈みのラスを押し付けることに成功。
この時点で越川を抜き岡本が総合トップに立つ。
5回戦成績
岡本+11.1P 鷲見+5.0P 長内+1.8P 越川▲17.9P 
5回戦終了時
岡本+33.7P 越川+30.4P 長内+2.4P 鷲見▲68.5P
 
6回戦(起家から長内、越川、岡本、鷲見)
ようやく折り返しとなる6回戦。
初日は7回戦なのであと2回戦で終了。2日目へ勢いを繋ぐためにもここで少しでもポイントを稼いでおきたいところ。
ここで鬱憤の溜まった越川と、後がなくなってきた鷲見がここで叩き合いを見せる。
越川が東1局で軽く鳴いてドラドラをツモアガると次局の親で4.000オールを決める。
二万三万東東東南南  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ポン西西西  ツモ一万  ドラ六索
5回戦、岡本と長内2人で作った優位とは打って変わって、越川は1人の自力で優位に立つ。
それを追うのは鷲見だった。越川と岡本が初牌の白を切れずに困っているのを尻目に岡本から5,200をアガリ、さらにもう一度岡本から7,700をアガる。
岡本も前に出るがそれが裏目に出る形で放銃してしまい、ここで大きく失速することになってしまう。
オーラス鷲見の親。
越川がこの時点で5万点オーバーのトップという状態。
長内と岡本が無理に前に出てこない状況で終わらせに来るのは越川だけなので、ここはポイントを稼ぐチャンスとなる。
親で高め三色をツモアガって3,900オール。
六万七万三索四索五索六索七索八索六筒七筒八筒発発  ツモ八万  ドラ四万
あまり調子が良い状態ではなかった鷲見だが、この日一番の気持ち良いアガリだったのではないだろうか。
続く1本場で鷲見が10巡目にリーチ。
五万六万七万四索五索六索九索九索四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ドラ五索
やはり潰しに来たのは越川。
通っていない牌を切りつつも12巡目に高め3色で追っかけリーチ。
七万八万九万七索八索九索二筒三筒四筒八筒九筒九筒九筒  リーチ  ドラ五索
何度見てきたかこの勝負。
越川も好調を感じていただろうが今回は鷲見に軍配が上がる。
力強く六筒をツモアガる2,600は2,700オール。
そして2本場でも鷲見がリーチを打つが、仕掛けた越川がお返しとばかりに同巡でツモアガリし終局。
長内と岡本はそれぞれ相手の親を落とすのが精一杯となり、2人がツモアガった分だけマイナスが膨らんでしまう結果となった。
6回戦成績
鷲見+33.8P 越川+20.1P 長内▲19.6P 岡本▲34.3P
6回戦終了時
越川+52.5P 岡本▲0.6P 長内▲17.2P 鷲見▲34.7P
 
7回戦(起家から岡本、長内、鷲見、越川)
越川の1人浮きで迎えた初日の最終戦。
ここで少しでも稼いで2日目を気分良く迎えたいところ。
ここまで大きな手が入らず苦しい展開が続いてきた長内。
東1局も役なしながらも先制リーチを敢行するなど、まだまだやる気を失ってはいない。
親の岡本も親の連荘が欲しいため追いかける。
長内は一万四万五万待ちで、岡本は一万四万待ちの勝負で軍配は長内。
一万二万三万四万六万六万六万一筒一筒一筒五筒六筒七筒  ツモ四万  ドラ西
岡本は4回戦からずっと連荘させてもらえない状況が続く。
長内も次局連荘したいが1シャンテンから動かず、その間に越川が捌いて親落ち。
越川はこの半荘大きく稼がれなければ満足だろう。すべて躱しに来てもおかしくない。
岡本もなんとか連荘するも次局は長内に大きくツモアガられて加点できず。
そして是が非でも親で大きなアガリが欲しい長内についにアガリが出る。
一万六万七万八万九万五索三筒四筒九筒九筒発発中中  ドラ二筒
南場2局の親でこの配牌から一気にマンズに寄せることを決断し、ツモもそれに応えてテンパイしアガリに結びつけたのは見事の一言。
一万一万六万六万七万七万八万九万九万発発中中  ロン八万  ドラ二筒
そしてここに飛び込んだのはなんと越川。
こちらも七対子の待ちに手頃の八筒と振り替える際に放銃。
まだテンパイしていないだろうという読みだろうが長内の強い思いが実った局だった。
この後、長内はオーラスで親の越川と岡本にそれぞれ振り込んで点数を減らすが後悔はしていないだろう。
傍から見ていて強気で気持ちの良い攻めだった。
7回戦成績
長内+22.2P 鷲見▲14.4P 岡本▲2.2P 越川▲2.6P
7回戦終了時
越川+49.9P 長内+5.0P 岡本▲5.8P 鷲見▲49.1P
初日の7回戦が終わり、残すは2日目の3回戦のみ。
ポイント的には越川が一人抜け出しているが3回戦あれば100ポイント差などあっという間にひっくり返る。
スタートの8回戦を選手たちがどのように戦うかに注目が集まった。
 
8回戦(起家から鷲見、長内、岡本、越川)
東1局は長内、東2局は鷲見がアガリ、迎えた親を連荘した岡本に東3局1本場、配牌でチャンス手が入る。
四万一索三索四索五索五索六索七索八索九索四筒九筒東白  ドラ七万
この手をソウズに寄せると東を2枚連続で引きなんと4巡目でテンパイ。
一索三索四索四索五索五索六索七索八索九索東東東
一索待ちで早くもテンパイし、その後六索を引いて待ち変えし高めの出アガリ跳満にまで育つが、六索を引く前に越川に三索を切られ、切った一索を長内が合わせるなどなかなかアガれないままツモ切りが続く。
さらに点数的に攻めるしかない鷲見が4巡目からドラドラをアガろうと鳴いてテンパイを急ぐ。
長内が対局後に、
八索をツモ切ったときに岡本プロが反応したように思ったので、もうソウズは危ないのかもと思った。」
と話しており岡本がアガリたいという思いが仕草に出ていたのかもしれない。
その岡本の三索六索九索待ちは山に何枚も残っていたが引けず、この局は長内が鷲見に振り込んで終局となってしまう。
私は岡本の後ろでそれを見ていた。
岡本は後ろに仰け反るようにゆっくり体を少しだけ倒した。
表情を見なくても背中が語っているようだった。
もしこの手をツモアガリ、または越川からアガっていたとしたら全く違う展開になったに違いない。
この決勝戦の中で、本当に数少ない千載一遇のチャンスを逃した悔しさは計り知れないものだったと思う。
その後鷲見も長内も果敢に攻め、岡本も切り換えてアガリに結び付けるなど、親での連荘には繋がらずともそれぞれ腹を括ったように攻める中、越川は少し引き気味に打っているように見えた。
結果は鷲見と岡本の2人浮きで終局。
8回戦成績
鷲見+19.9P 岡本+7.5P 越川▲10.8P 長内▲16.6P
8回戦終了時
越川+39.1P 岡本+1.7P 長内▲11.6P 鷲見▲29.2P
 
9回戦(起家から鷲見、長内、岡本、越川)
残り2回戦となり、まだ終われないと岡本が東1局にドラを力強くツモって2,000・3,900のアガリを見せる。
三万四万五万七万八万八万九万九万二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ七万  ドラ七万
東3局1本場には11巡目に西家の鷲見がリーチ。
三万四万五万六万六万四索四索五索五索六索四筒五筒六筒  リーチ  ドラ二筒
ここに同巡に北家の長内が追っかけリーチ。
五万五万七万八万九万二索三索四索二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ
最終戦を前に少しでも加点しようと迷いのない攻めが8回戦から続く。
鷲見が一筒を掴んで振り込み、3,900のアガリ。
越川もここに参戦し虎視眈々と親で加点を狙うがアガリは付かず。
南1局1本場。
連荘した鷲見はここでさらに加点が欲しいと前に出るが岡本がホンイツで打ち取って7,700のアガリ。
鷲見はこの振り込みが大きく響き、最終戦に少しでも望みを繋ぎたかったがこの半荘大きく沈んでしまう。
ここまでアガリのない越川だったが、南2局南3局と加点に成功。
長内の親と岡本の親でツモアガって一気にトップに立つ。
トップの越川がオーラスの親を迎える。
止められる者がいるのかと心配したが、長内が出アガリは期待できない中で、力強くドラをツモって越川に跳満の親被りをさせてトップを奪取して見せた。
三筒四筒五筒白白発発  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ポン西西西  ドラ白  ツモ白
そして静岡プロリーグ決勝戦は最終戦を迎える。
9回戦成績
長内+20.5P 越川+12.6P 岡本+1.4P 鷲見▲34.5P
9回戦終了時
越川+51.7P 長内+8.9P 岡本+3.1P 鷲見▲63.7P
 
最終戦(起家から長内、岡本、鷲見、越川)
越川プロが大きくリードしたまま、いよいよ最終戦。
まだまだ諦めない鷲見が、東2局満貫などをアガって場が進み、東3局1本場。
南家の越川が早々に八索をポン、さらに東をポンしてテンパイ。
一索二索二索三索三索四索南  ポン東東東  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  ドラ一索
ドラドラの長内が東を仕掛ける前に南を勝負しており、その後東を鳴いた後に岡本が南を掴みツモ切って放銃となってしまう。
逆転優勝を目指すには、越川を大きく沈ませなければいけない条件でこのアガリは大きく、その後形勢が変わることはなく終局した。
10回戦成績
鷲見+13.4P 越川+6.2P 長内▲4.2P 岡本▲15.4P
最終成績
≪優勝≫越川+57.9P ≪準優勝≫長内+4.7P 岡本▲12.3P 鷲見▲50.3P
 
栄えある第10期静岡プロリーグを制したのは越川清一プロだ。
「初日はいい麻雀ができたが今日は全然違った。ひどいというか感触がなかった。勝っても納得できないほどにグダグダで、自分がここまでメンタルが弱いとは思わなかった。」
と対局後に越川プロは話しており、それほど長期戦での戦いはプレッシャーがすごかったということなのだろう。
今回非常に好戦的な4人が決勝へ進出し、誰が勝つかという前にどんな展開になるのかということすら予想できない見所の多い組み合わせとなった。
この4人は本当にメンタルが強いと私は思った。
その強さが麻雀への勢いとなり、思いを乗せて力へと変えているのを体現している。
対局を見ていてまた一つ勉強になった。
越川清一プロ優勝おめでとうございます。
そして対局者のみなさんお疲れ様でした。

第24回静岡リーグ決勝観戦記

去る2月1日(日)、第24回静岡リーグ決勝戦が行われた。
静岡リーグは予選5節・半荘20回を戦い、上位5名が決勝進出となる。
また、予選通過順に 1位40.0P 2位30.0P 3位20.0P 4位10.0P が加算される。
決勝戦は全6回戦行われ、5回戦終了時にポイント最下位の者が敗退となる。

栄えある決勝の舞台に勝ち進んできたのは、この5名。

1位通過 竹内仁さん(一般)
9回の参加で7回の決勝進出と圧倒的な成績を残している。
ここ数年の静岡リーグは彼を中心に回っていると言っても過言ではないほど。
そして、今回も優勝候補筆頭。

コメント「自分の麻雀が打てれば良い。前回の決勝では勝ちを焦った鳴きが敗因となってしまったので、落ち着いて打つことを心掛ける。」

 

2位通過 越川清一プロ(中部本部)
今期、静岡プロリーグを制した越川プロ。
史上初の併冠を目指し、決勝の舞台へ舞い戻って来た。

コメント「最後まで攻め切り、併冠出来るようにがんばります。」

 

3位通過 中澤諒さん(一般)
豊橋技術科学大学麻雀部から初の決勝進出となる。
今節は安定した麻雀でポイントを加点し決勝の切符を手に入れた。
決勝戦では、緊張を乗り越えて普段通りの麻雀を打ち切ってもらいたい。
勢いに乗ることが出来れば、初決勝の舞台で初優勝も期待できる。

コメント「今日のために稽古を積んで来ました。稽古に付き合ってくれた部員達のためにも優勝します!」

 

4位通過 太田昌樹プロ(静岡支部)
静岡支部きっての試合巧者。
4位通過は通過ポイントが首位と30ポイント差となるが、太田にとってはそれほど気になる点差ではないだろう。

コメント「丁寧に打っていきたい。いろいろなパターンを考えている。4位通過だが優勝のチャンスはある。」

 

5位通過 岡本和也プロ(静岡支部)
近年の岡本プロの成績は、第27期新人王・第10期静岡プロリーグ3位と目覚しいものがある。この勢いをそのままに初の決勝戦に名乗りを上げてきた。
岡本のスタイルを考慮すると、首位と40ポイント差も十分にひっくり返すことも可能だろう。今回の決勝戦のキーマンになりそうな存在である。

コメント「厳しい位置からのスタートですが、優勝を目指して頑張ります。1回戦は普通に打ち今日のスタイルを決めて行きます。」

(以下敬称略)

 

1回戦(起家から、中澤・太田・越川・岡本)抜け番 竹内

今回の決勝戦は高打点を狙うパワーヒッターが揃っていることから、激しい打ち合いが予想されたが、序盤は静かな立ち上がりとなった。

初アガリは中澤。東3局2本場

三万四万四万五万五万六万三索四索五索三筒五筒中中  ツモ四筒  ドラ七索

緊張気味な初出場の中澤にとっては、この1,000・2,000のアガリは点数以上に価値があったのではないだろうか。
続く東4局も中澤が太田から1,000をアガリ試合をリードしていく。

南1局、ここまでおとなしく様子を見ていた越川が動く。

三筒四筒五筒五筒六筒七筒北北発発  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ロン北  ドラ四筒

この3,900を中澤からアガる。
そして南2局、越川に本手が入る。

一筒一筒二筒二筒三筒三筒六筒七筒八筒九筒九筒東東  ロン九筒  ドラ西

これを太田からアガリ8,000の加点、頭一つ抜け出す展開となった。

南3局、ここまでアガリが無い太田と岡本の手がぶつかる。

太田
四万四万一索二索三索七索八索九索四筒五筒  ポン白白白  ドラ白

岡本
一万二万三万七万八万九万南南西西  ポン北北北

この勝負は太田に軍配が上がる。岡本が六筒を掴み7,700を献上。

南4局は30,200点の中澤が丁寧に2,000をアガリ、浮きの2着を決めた。
トップの越川は抜け番の竹内をかわして暫定首位に立った。
また、緊張気味だった中澤はこの半荘を浮きで終われたことで、次の半荘からは伸び伸びと自分の麻雀を打つことが出来るだろう。
そして、5位通過の岡本は今回のラスで優勝するにはもう後が無い苦しい状況に追い込まれた。

1回戦成績
越川+20.2P 中澤+7.2P 太田▲8.0P 岡本▲19.4P

1回戦終了時
越川+50.2P 竹内+40.0P 中澤+27.2P 太田+2.0P 岡本▲19.4P

 

2回戦(起家から、中澤・越川・竹内・岡本)抜け番 太田

東1局、越川が1,000・2,000をアガる。
東2局も親の越川が

三索三索三索五索六索東東南南南  ポン中中中  ツモ四索  ドラ発

この3,200オールをアガリ順調に加点していく。
東場は竹内に動きは無く、暫定首位の越川が一人浮きで南場に突入する。

南1局1本場、岡本がリーチを打つ。

一万二万三万四万五万七万八万九万一索一索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ三筒

しかし、親の中澤が追い付きリーチを打つ。

五万六万六万七万七万六索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ

しかし、次巡中澤が持ってきたのは岡本のアタリ牌の六だった。
リーチ・ピンフ・一通・ドラ1 の8,000は8,300のアガリ。
このアガリをきっかけに岡本の反撃が始まる。
南2局、越川に先制リーチが入るが、直ぐに岡本が追いかける。

岡本リーチ

二索三索三索四索四索五索六索六索七索七索八索八筒八筒  リーチ  ドラ八筒

軽々と高目の二索をツモり 3,000・6,000。
首位の越川に親被りをさせてトップ目に立つ。

南3局、このまま岡本の時間帯になると思われたが、親の竹内が立ちはだかる。
ここまでアガリの無い竹内だが、自分の親までしっかりと足を溜めてチャンスを伺っていた。

五万六万三索四索五索七索八索九索二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ七万  ドラ六万

ドラ跨ぎの四万七万待ちを力強くツモり2,600オール。
しかし、二の矢は続かず南3局1本場は岡本が700・1,300をアガり竹内の親を落とす。
南4局、岡本が2,000オール、1,300は1,400オールと加点し、60,000点オーバーの一人浮きで2回戦を終了した。

2回戦成績
岡本+42.3P 越川▲1.8P 竹内▲9.4P 中澤▲31.1P

2回戦終了時
越川+48.4P 竹内+30.6P 岡本+22.9P 太田+2.0P 中澤▲3.9P 

 

3回戦(起家から、太田・竹内・岡本・越川)抜け番 中澤

東1局、越川が縦の流れに乗ってトイツ一組からホンロウ・七対子・ドラドラをアガる。

一索一索九筒九筒東東南南西北北中中  ツモ西  ドラ東

この3,000・6,000で独走態勢に入るかと思われたが、これに待ったを掛けたのは竹内。
南2局、親番の竹内がリーチ・ドラ2の7,700をアガる。

四万四万四万三索四索五索一筒三筒六筒六筒六筒西西  ロン二筒  ドラ西

南2局1本場、竹内4,000は4,100オールのアガリ。

四万四万四万四万五万九索九索九索二筒二筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ六万  ドラ二筒

南場に入りこの2局のアガリを含め、4局連続のアガリで越川を捕らえる。
南4局、親の越川がリーチを打つ。

四万五万六万四索五索六索六索七索八索二筒二筒四筒五筒  ドラ三索

しかし、竹内がヤミテンで2,000をアガリ3回戦が終了。
竹内が越川をかわしてトータルトップとなった。

3回戦成績
竹内+35.2P 越川+14.2P 岡本▲21.2P 太田▲28.2P

3回戦終了時
竹内+65.8P 越川+62.6P 岡本+1.7P 中澤▲3.9P 太田▲26.2P  

3回戦が終了して、竹内と越川の2名が抜け出す展開となった。
また、現在トータルポイント最下位の太田と5回戦抜け番の岡本はかなり厳しい状況となってきた。

 

4回戦(起家から、岡本・太田・竹内・中澤)抜け番 越川

東1局2本場、これまで苦しい展開だった太田にようやく本手が入る。

二万三万四万四万五万六万七万二索三索四索二筒三筒四筒  ドラ一万

この7巡目リーチに対し親の岡本が追いかけリーチを打つ。

一万二万一索二索三索四索五索六索七索七索七筒八筒九筒

しかし、数巡後太田の高目四万を掴み8,000は8,600の放銃となった。

南1局、親の岡本が12巡目にリーチを打つ。

五万五万二索四索六索七索八索四筒五筒六筒  暗カン牌の背三万 上向き三万 上向き牌の背  リーチ  ロン三索  ドラ五筒

この9,600を意地でアガる。
しかし、次局はテンパイすることが出来ず最後の親が流れてしまう。
南3局、中澤リーチ。

六万七万八万一索一索三索四索五索六索七索八索六筒七筒  ロン八筒  ドラ七索

このリーチに飛び込んだのは太田。この8,000の放銃で太田は原点を割ってしまう。
南4局、親の中澤が700オールをツモアガリ、トップ目となった。
南4局1本場、岡本7巡目の先制リーチ。

一万六万六万七万七万一筒一筒三筒三筒四筒四筒中中  ドラ九索

岡本の点数は24,000点。これをツモアガることが出来れば原点を超える。
しかし、太田が追い付きリーチを打つ。

四万四万二索二索三索三索四索四索七索八索九索六筒七筒  リーチ

岡本が五筒を掴み8,000の放銃。
岡本は痛恨の1人沈みとなり4回戦が終了。

4回戦成績
中澤+13.3P 竹内+8.2P 太田+5.5P 岡本▲27.0P

4回戦終了時
竹内+74.0P 越川+62.6P 中澤+9.4P 太田▲20.7P 岡本▲25.3P  

 

5回戦(起家から、越川・太田・中澤・竹内)抜け番 岡本

この5回戦が終了した時点でポイント最下位の者が敗退となる。
現在のポイントだと、今回抜け番の岡本が敗退となる。
太田も岡本との差は4.6Pと厳しい状況となっている。

東1局、先手を取ったのは竹内。7巡目リーチ。

六万六万一筒一筒二筒二筒五筒五筒九筒南南発発  リーチ  ツモ九筒  ドラ九索

これを10巡目にあっさりとツモる。
当面の敵越川を親被りさせる見事なアガリ。

東2局、越川がドラ暗刻でテンパイするが、テンパイ一番乗りしていた中澤のアタリ牌を掴み2,600の放銃となってしまう。
越川はトータル首位の竹内が現状トップだということを考慮すると、これ以上の失点は防ぎたいところだが、ノーテン罰符などで東場終了時には18,700点まで点数を削られてしまう。

南1局、親の越川は積極的に1枚目の役牌から仕掛けて行くが、アガリに結びつけることは出来ずテンパイで流局。

南1局1本場、竹内が仕掛けを駆使して、ライバル越川の親落としに成功する。

五万六万三索四索五索五索五索  ポン中中中  加カン一万 上向き一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ロン七万

南3局、越川リーチ

四索五索六索六索七索八索二筒二筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ三筒  ドラ四索

越川が意地の2,000・4,000をアガるが反撃もここまで。竹内のトップで5回戦が終了。

5回戦成績
竹内+12.8P 中澤+8.2P 太田▲5.9P 越川▲15.1P

5回戦終了時
竹内+86.8P 越川+47.5P 中澤+17.6P 岡本▲25.3P 太田▲26.6P

ここでトータルポイント最下位の太田が敗退となった。

 

最終戦(起家から、越川・中澤・岡本・竹内)

席順は起家からトータルポイント2・3・4・1の順で座る。
1位の竹内と2位の越川の差は39.3P。仮に越川が1人浮きのトップで竹内をラスにすることができても、素点で19.4Pの差を付けなければならない。
中澤・岡本が優勝するには親での大連チャンが必須となってくる。各選手のポイント確認が行われ最終戦が開始された。

東1局、越川2巡目

六万七万一索一索三索四索五索五索六索一筒二筒八筒南  ツモ三筒

親の越川が2巡目に絶好の三筒を引き入れ1シャンテンとするが、この後有効牌を一向にツモることが出来ずに流局。東場の親が流れてしまう。
そして、東場は竹内が巧みに場を進ませ南場に突入する。

東場終了時
越川 29,500 中澤 24,300 岡本 33,000 竹内 33,200

南1局、越川はこの親が落ちてしまうと非常に苦しくなる。
しかし、中澤が500・1,000をアガリ越川の最後の親が落ちる。

南2局、中澤・岡本・越川にテンパイが入るが流局。

南2局1本場・南2局2本場は中澤の1人テンパイで流局。

南2局3本場、越川が勝負に出る。
打点を求め打七索のフリテンリーチを打つ。

五万六万七万一索二索三索五索六索七索八索九索発発  リーチ  ドラ西

しかし、親の中澤も追い付きリーチを打つ。

三万三万三万四万五万六万七筒七筒七筒七筒九筒西西  リーチ  ツモ八筒

中澤はこれをすぐにツモリ4,000は4,300オール。
このアガリで中澤が現状トータルポイント2位となった。
そして、更に中澤の連荘が続く。

南2局4本場、竹内が中澤の親を落とそうと仕掛けて行く。
しかし、この仕掛けを見て中澤も仕掛けを入れてスピードを合わせに行く。

五索五索六筒六筒七筒七筒八筒  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き  暗カン牌の背中中牌の背  ツモ五筒  ドラ三万

この勝負は中澤のアガリで決着がつく。
南2局5本場、越川が先制リーチを入れる。

三万三万七万八万九万二索三索四索八索九索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ六索

中澤はこのリーチを受け丁寧に回していき、最後のツモでテンパイを入れ親を維持する。
南2局6本場、竹内が勝負所と判断し、リーチ・ドラ1の手で先制リーチを打つ。

三万四万八万八万八万九万九万二索三索四索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ七筒

しかし、越川が追い付きリーチ。

四万四万五万五万六万七万七万五索六索七索二筒三筒四筒  リーチ

越川はトータルトップの竹内から高目を召し取りたいところだ。
そして、もちろん中澤も勝負に出る。
この時の中澤の手牌

一万二万二万三万三万三万四筒五筒五筒六筒七筒八筒八筒

この1シャンテン。ここへ一万をツモリ打三万。越川へ3,900は5,700の放銃となった。
竹内からすれば、自分がアガれ無くても中澤の親が落ちたことで目的達成といったところか。

南3局は竹内の1人テンパイで流局。残すは南4局のみとなった。
ここまでの得点状況は下記となる。

越川 28,000・中澤 46,200・岡本 23,300・竹内 22,500

現在の得点をトータルポイントに加算すると下記となる。

1位 竹内 +71.3P 2位 中澤 +45.8P 3位 越川 +44.5P 4位 岡本 ▲35.0P

中澤が優勝するには、3倍満ツモか倍満直撃。
越川が優勝するには、倍満ツモか跳満直撃。
岡本が優勝するには、ダブル役満ツモが必要となる。

経験豊富な竹内から甘い牌が出てくることは考えづらいため、優勝するためには条件を満たすツモアガリが現実的となる。
しかし、条件が一番軽い越川でさえ倍満ツモという厳しい条件となっている。
競技麻雀(Aルール)を経験されている方は分かるだろうが、一発・裏ドラ・赤牌の無いこのルールで倍満をアガるのは簡単なことでは無い。
2着狙いのアガリも十分に考えられるところだ。

各選手がポイントを確認した後オーラスが再開された。
越川の配牌を見ると、純チャン・三色が見える。

一万八万一索二索三索八索九索一筒三筒六筒南発中  ドラ七索

これにリーチ・ツモ・ドラ1を加えれば倍満になる。
越川は純チャン・三色に向かい手を進めて行く。
ノーテンを宣言できる竹内は安牌を抱えアガリに向かわない様子。
中澤と岡本は配牌から条件を満たす手役は見えず、今後のツモと相談しながら手を組んで行くこととなった。
そして、順調にツモが伸びた越川から優勝の条件を満たすリーチが入る。

一万三万七万八万九万一索二索三索九索九索一筒二筒三筒  ドラ七索

しかし、アガリにまでは至らず試合終了。
第24回静岡リーグは、竹内の優勝で幕を閉じた。

試合が終わると会場から自然と拍手が沸き起こった。
この拍手は優勝した竹内を賞賛するだけでは無く、素晴らしい決勝戦を見せてくれた選手たちを称えるものだったに違いない。

最終成績
1位 竹内+71.3P 2位 中澤+49.7P 3位 越川+40.6P 4位 岡本▲35.0P

竹内さん優勝おめでとうございました。
また、素晴らしい決勝戦を見せてくれた対局者の皆様、本当にありがとうございました。

100

左から 岡本プロ・越川プロ・竹内さん・中澤さん・太田プロ

静岡プロリーグ レポート/第24回静岡リーグ決勝観戦記

去る2月1日(日)、第24回静岡リーグ決勝戦が行われた。
静岡リーグは予選5節・半荘20回を戦い、上位5名が決勝進出となる。
また、予選通過順に 1位40.0P 2位30.0P 3位20.0P 4位10.0P が加算される。
決勝戦は全6回戦行われ、5回戦終了時にポイント最下位の者が敗退となる。
栄えある決勝の舞台に勝ち進んできたのは、この5名。
1位通過 竹内仁さん(一般)
9回の参加で7回の決勝進出と圧倒的な成績を残している。
ここ数年の静岡リーグは彼を中心に回っていると言っても過言ではないほど。
そして、今回も優勝候補筆頭。
コメント「自分の麻雀が打てれば良い。前回の決勝では勝ちを焦った鳴きが敗因となってしまったので、落ち着いて打つことを心掛ける。」
 
2位通過 越川清一プロ(中部本部)
今期、静岡プロリーグを制した越川プロ。
史上初の併冠を目指し、決勝の舞台へ舞い戻って来た。
コメント「最後まで攻め切り、併冠出来るようにがんばります。」
 
3位通過 中澤諒さん(一般)
豊橋技術科学大学麻雀部から初の決勝進出となる。
今節は安定した麻雀でポイントを加点し決勝の切符を手に入れた。
決勝戦では、緊張を乗り越えて普段通りの麻雀を打ち切ってもらいたい。
勢いに乗ることが出来れば、初決勝の舞台で初優勝も期待できる。
コメント「今日のために稽古を積んで来ました。稽古に付き合ってくれた部員達のためにも優勝します!」
 
4位通過 太田昌樹プロ(静岡支部)
静岡支部きっての試合巧者。
4位通過は通過ポイントが首位と30ポイント差となるが、太田にとってはそれほど気になる点差ではないだろう。
コメント「丁寧に打っていきたい。いろいろなパターンを考えている。4位通過だが優勝のチャンスはある。」
 
5位通過 岡本和也プロ(静岡支部)
近年の岡本プロの成績は、第27期新人王・第10期静岡プロリーグ3位と目覚しいものがある。この勢いをそのままに初の決勝戦に名乗りを上げてきた。
岡本のスタイルを考慮すると、首位と40ポイント差も十分にひっくり返すことも可能だろう。今回の決勝戦のキーマンになりそうな存在である。
コメント「厳しい位置からのスタートですが、優勝を目指して頑張ります。1回戦は普通に打ち今日のスタイルを決めて行きます。」
(以下敬称略)
 
1回戦(起家から、中澤・太田・越川・岡本)抜け番 竹内
今回の決勝戦は高打点を狙うパワーヒッターが揃っていることから、激しい打ち合いが予想されたが、序盤は静かな立ち上がりとなった。
初アガリは中澤。東3局2本場
三万四万四万五万五万六万三索四索五索三筒五筒中中  ツモ四筒  ドラ七索
緊張気味な初出場の中澤にとっては、この1,000・2,000のアガリは点数以上に価値があったのではないだろうか。
続く東4局も中澤が太田から1,000をアガリ試合をリードしていく。
南1局、ここまでおとなしく様子を見ていた越川が動く。
三筒四筒五筒五筒六筒七筒北北発発  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ロン北  ドラ四筒
この3,900を中澤からアガる。
そして南2局、越川に本手が入る。
一筒一筒二筒二筒三筒三筒六筒七筒八筒九筒九筒東東  ロン九筒  ドラ西
これを太田からアガリ8,000の加点、頭一つ抜け出す展開となった。
南3局、ここまでアガリが無い太田と岡本の手がぶつかる。
太田
四万四万一索二索三索七索八索九索四筒五筒  ポン白白白  ドラ白
岡本
一万二万三万七万八万九万南南西西  ポン北北北
この勝負は太田に軍配が上がる。岡本が六筒を掴み7,700を献上。
南4局は30,200点の中澤が丁寧に2,000をアガリ、浮きの2着を決めた。
トップの越川は抜け番の竹内をかわして暫定首位に立った。
また、緊張気味だった中澤はこの半荘を浮きで終われたことで、次の半荘からは伸び伸びと自分の麻雀を打つことが出来るだろう。
そして、5位通過の岡本は今回のラスで優勝するにはもう後が無い苦しい状況に追い込まれた。
1回戦成績
越川+20.2P 中澤+7.2P 太田▲8.0P 岡本▲19.4P
1回戦終了時
越川+50.2P 竹内+40.0P 中澤+27.2P 太田+2.0P 岡本▲19.4P
 
2回戦(起家から、中澤・越川・竹内・岡本)抜け番 太田
東1局、越川が1,000・2,000をアガる。
東2局も親の越川が
三索三索三索五索六索東東南南南  ポン中中中  ツモ四索  ドラ発
この3,200オールをアガリ順調に加点していく。
東場は竹内に動きは無く、暫定首位の越川が一人浮きで南場に突入する。
南1局1本場、岡本がリーチを打つ。
一万二万三万四万五万七万八万九万一索一索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ三筒
しかし、親の中澤が追い付きリーチを打つ。
五万六万六万七万七万六索六索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ
しかし、次巡中澤が持ってきたのは岡本のアタリ牌の六だった。
リーチ・ピンフ・一通・ドラ1 の8,000は8,300のアガリ。
このアガリをきっかけに岡本の反撃が始まる。
南2局、越川に先制リーチが入るが、直ぐに岡本が追いかける。
岡本リーチ
二索三索三索四索四索五索六索六索七索七索八索八筒八筒  リーチ  ドラ八筒
軽々と高目の二索をツモり 3,000・6,000。
首位の越川に親被りをさせてトップ目に立つ。
南3局、このまま岡本の時間帯になると思われたが、親の竹内が立ちはだかる。
ここまでアガリの無い竹内だが、自分の親までしっかりと足を溜めてチャンスを伺っていた。
五万六万三索四索五索七索八索九索二筒二筒四筒五筒六筒  ツモ七万  ドラ六万
ドラ跨ぎの四万七万待ちを力強くツモり2,600オール。
しかし、二の矢は続かず南3局1本場は岡本が700・1,300をアガり竹内の親を落とす。
南4局、岡本が2,000オール、1,300は1,400オールと加点し、60,000点オーバーの一人浮きで2回戦を終了した。
2回戦成績
岡本+42.3P 越川▲1.8P 竹内▲9.4P 中澤▲31.1P
2回戦終了時
越川+48.4P 竹内+30.6P 岡本+22.9P 太田+2.0P 中澤▲3.9P 
 
3回戦(起家から、太田・竹内・岡本・越川)抜け番 中澤
東1局、越川が縦の流れに乗ってトイツ一組からホンロウ・七対子・ドラドラをアガる。
一索一索九筒九筒東東南南西北北中中  ツモ西  ドラ東
この3,000・6,000で独走態勢に入るかと思われたが、これに待ったを掛けたのは竹内。
南2局、親番の竹内がリーチ・ドラ2の7,700をアガる。
四万四万四万三索四索五索一筒三筒六筒六筒六筒西西  ロン二筒  ドラ西
南2局1本場、竹内4,000は4,100オールのアガリ。
四万四万四万四万五万九索九索九索二筒二筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ六万  ドラ二筒
南場に入りこの2局のアガリを含め、4局連続のアガリで越川を捕らえる。
南4局、親の越川がリーチを打つ。
四万五万六万四索五索六索六索七索八索二筒二筒四筒五筒  ドラ三索
しかし、竹内がヤミテンで2,000をアガリ3回戦が終了。
竹内が越川をかわしてトータルトップとなった。
3回戦成績
竹内+35.2P 越川+14.2P 岡本▲21.2P 太田▲28.2P
3回戦終了時
竹内+65.8P 越川+62.6P 岡本+1.7P 中澤▲3.9P 太田▲26.2P  
3回戦が終了して、竹内と越川の2名が抜け出す展開となった。
また、現在トータルポイント最下位の太田と5回戦抜け番の岡本はかなり厳しい状況となってきた。
 
4回戦(起家から、岡本・太田・竹内・中澤)抜け番 越川
東1局2本場、これまで苦しい展開だった太田にようやく本手が入る。
二万三万四万四万五万六万七万二索三索四索二筒三筒四筒  ドラ一万
この7巡目リーチに対し親の岡本が追いかけリーチを打つ。
一万二万一索二索三索四索五索六索七索七索七筒八筒九筒
しかし、数巡後太田の高目四万を掴み8,000は8,600の放銃となった。
南1局、親の岡本が12巡目にリーチを打つ。
五万五万二索四索六索七索八索四筒五筒六筒  暗カン牌の背三万 上向き三万 上向き牌の背  リーチ  ロン三索  ドラ五筒
この9,600を意地でアガる。
しかし、次局はテンパイすることが出来ず最後の親が流れてしまう。
南3局、中澤リーチ。
六万七万八万一索一索三索四索五索六索七索八索六筒七筒  ロン八筒  ドラ七索
このリーチに飛び込んだのは太田。この8,000の放銃で太田は原点を割ってしまう。
南4局、親の中澤が700オールをツモアガリ、トップ目となった。
南4局1本場、岡本7巡目の先制リーチ。
一万六万六万七万七万一筒一筒三筒三筒四筒四筒中中  ドラ九索
岡本の点数は24,000点。これをツモアガることが出来れば原点を超える。
しかし、太田が追い付きリーチを打つ。
四万四万二索二索三索三索四索四索七索八索九索六筒七筒  リーチ
岡本が五筒を掴み8,000の放銃。
岡本は痛恨の1人沈みとなり4回戦が終了。
4回戦成績
中澤+13.3P 竹内+8.2P 太田+5.5P 岡本▲27.0P
4回戦終了時
竹内+74.0P 越川+62.6P 中澤+9.4P 太田▲20.7P 岡本▲25.3P  
 
5回戦(起家から、越川・太田・中澤・竹内)抜け番 岡本
この5回戦が終了した時点でポイント最下位の者が敗退となる。
現在のポイントだと、今回抜け番の岡本が敗退となる。
太田も岡本との差は4.6Pと厳しい状況となっている。
東1局、先手を取ったのは竹内。7巡目リーチ。
六万六万一筒一筒二筒二筒五筒五筒九筒南南発発  リーチ  ツモ九筒  ドラ九索
これを10巡目にあっさりとツモる。
当面の敵越川を親被りさせる見事なアガリ。
東2局、越川がドラ暗刻でテンパイするが、テンパイ一番乗りしていた中澤のアタリ牌を掴み2,600の放銃となってしまう。
越川はトータル首位の竹内が現状トップだということを考慮すると、これ以上の失点は防ぎたいところだが、ノーテン罰符などで東場終了時には18,700点まで点数を削られてしまう。
南1局、親の越川は積極的に1枚目の役牌から仕掛けて行くが、アガリに結びつけることは出来ずテンパイで流局。
南1局1本場、竹内が仕掛けを駆使して、ライバル越川の親落としに成功する。
五万六万三索四索五索五索五索  ポン中中中  加カン一万 上向き一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ロン七万
南3局、越川リーチ
四索五索六索六索七索八索二筒二筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ三筒  ドラ四索
越川が意地の2,000・4,000をアガるが反撃もここまで。竹内のトップで5回戦が終了。
5回戦成績
竹内+12.8P 中澤+8.2P 太田▲5.9P 越川▲15.1P
5回戦終了時
竹内+86.8P 越川+47.5P 中澤+17.6P 岡本▲25.3P 太田▲26.6P
ここでトータルポイント最下位の太田が敗退となった。
 
最終戦(起家から、越川・中澤・岡本・竹内)
席順は起家からトータルポイント2・3・4・1の順で座る。
1位の竹内と2位の越川の差は39.3P。仮に越川が1人浮きのトップで竹内をラスにすることができても、素点で19.4Pの差を付けなければならない。
中澤・岡本が優勝するには親での大連チャンが必須となってくる。各選手のポイント確認が行われ最終戦が開始された。
東1局、越川2巡目
六万七万一索一索三索四索五索五索六索一筒二筒八筒南  ツモ三筒
親の越川が2巡目に絶好の三筒を引き入れ1シャンテンとするが、この後有効牌を一向にツモることが出来ずに流局。東場の親が流れてしまう。
そして、東場は竹内が巧みに場を進ませ南場に突入する。
東場終了時
越川 29,500 中澤 24,300 岡本 33,000 竹内 33,200
南1局、越川はこの親が落ちてしまうと非常に苦しくなる。
しかし、中澤が500・1,000をアガリ越川の最後の親が落ちる。
南2局、中澤・岡本・越川にテンパイが入るが流局。
南2局1本場・南2局2本場は中澤の1人テンパイで流局。
南2局3本場、越川が勝負に出る。
打点を求め打七索のフリテンリーチを打つ。
五万六万七万一索二索三索五索六索七索八索九索発発  リーチ  ドラ西
しかし、親の中澤も追い付きリーチを打つ。
三万三万三万四万五万六万七筒七筒七筒七筒九筒西西  リーチ  ツモ八筒
中澤はこれをすぐにツモリ4,000は4,300オール。
このアガリで中澤が現状トータルポイント2位となった。
そして、更に中澤の連荘が続く。
南2局4本場、竹内が中澤の親を落とそうと仕掛けて行く。
しかし、この仕掛けを見て中澤も仕掛けを入れてスピードを合わせに行く。
五索五索六筒六筒七筒七筒八筒  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き  暗カン牌の背中中牌の背  ツモ五筒  ドラ三万
この勝負は中澤のアガリで決着がつく。
南2局5本場、越川が先制リーチを入れる。
三万三万七万八万九万二索三索四索八索九索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ六索
中澤はこのリーチを受け丁寧に回していき、最後のツモでテンパイを入れ親を維持する。
南2局6本場、竹内が勝負所と判断し、リーチ・ドラ1の手で先制リーチを打つ。
三万四万八万八万八万九万九万二索三索四索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ七筒
しかし、越川が追い付きリーチ。
四万四万五万五万六万七万七万五索六索七索二筒三筒四筒  リーチ
越川はトータルトップの竹内から高目を召し取りたいところだ。
そして、もちろん中澤も勝負に出る。
この時の中澤の手牌
一万二万二万三万三万三万四筒五筒五筒六筒七筒八筒八筒
この1シャンテン。ここへ一万をツモリ打三万。越川へ3,900は5,700の放銃となった。
竹内からすれば、自分がアガれ無くても中澤の親が落ちたことで目的達成といったところか。
南3局は竹内の1人テンパイで流局。残すは南4局のみとなった。
ここまでの得点状況は下記となる。
越川 28,000・中澤 46,200・岡本 23,300・竹内 22,500
現在の得点をトータルポイントに加算すると下記となる。
1位 竹内 +71.3P 2位 中澤 +45.8P 3位 越川 +44.5P 4位 岡本 ▲35.0P
中澤が優勝するには、3倍満ツモか倍満直撃。
越川が優勝するには、倍満ツモか跳満直撃。
岡本が優勝するには、ダブル役満ツモが必要となる。
経験豊富な竹内から甘い牌が出てくることは考えづらいため、優勝するためには条件を満たすツモアガリが現実的となる。
しかし、条件が一番軽い越川でさえ倍満ツモという厳しい条件となっている。
競技麻雀(Aルール)を経験されている方は分かるだろうが、一発・裏ドラ・赤牌の無いこのルールで倍満をアガるのは簡単なことでは無い。
2着狙いのアガリも十分に考えられるところだ。
各選手がポイントを確認した後オーラスが再開された。
越川の配牌を見ると、純チャン・三色が見える。
一万八万一索二索三索八索九索一筒三筒六筒南発中  ドラ七索
これにリーチ・ツモ・ドラ1を加えれば倍満になる。
越川は純チャン・三色に向かい手を進めて行く。
ノーテンを宣言できる竹内は安牌を抱えアガリに向かわない様子。
中澤と岡本は配牌から条件を満たす手役は見えず、今後のツモと相談しながら手を組んで行くこととなった。
そして、順調にツモが伸びた越川から優勝の条件を満たすリーチが入る。
一万三万七万八万九万一索二索三索九索九索一筒二筒三筒  ドラ七索
しかし、アガリにまでは至らず試合終了。
第24回静岡リーグは、竹内の優勝で幕を閉じた。
試合が終わると会場から自然と拍手が沸き起こった。
この拍手は優勝した竹内を賞賛するだけでは無く、素晴らしい決勝戦を見せてくれた選手たちを称えるものだったに違いない。
最終成績
1位 竹内+71.3P 2位 中澤+49.7P 3位 越川+40.6P 4位 岡本▲35.0P
竹内さん優勝おめでとうございました。
また、素晴らしい決勝戦を見せてくれた対局者の皆様、本当にありがとうございました。

100

左から 岡本プロ・越川プロ・竹内さん・中澤さん・太田プロ

第32期十段戦 五段・六段・七段戦レポート 蛯原 朗

5月上旬の爽やかな気候から、徐々に暑くなり夏を感じさせる季節となってきた。
私も十段戦に選手として参加したが、5月24日(日)に行われた四段戦Sで敗退した。

落ち込んで会場を去った私に翌日一通のメールが届いた。
それは「五段・六段・七段戦のレポート」の依頼だった。

初めてのことなので、私などに務まるものかと不安である反面、強者達の繰り広げる頭脳戦や、その白熱する駆け引きを間近で観戦できると思うと居ても立っても居られなかった。
「是非やらせて下さい。」と返信した。

今年はどんなドラマが生まれるのかと、非常に楽しみであった。
当日の朝私は、いつものブラックコーヒーを飲み十段戦の会場である有楽町「錦江荘」に足を運んだ。

五段・六段・七段戦のシステムは下記のとおりである。
連盟Aルール 各同卓メンバーで3回戦 各回55分(ポイント上位2名が勝ち上がり)
一発、裏ドラなし
3万点持ち3万点返し
1人浮き(+12P ▲1P ▲3P ▲8P)
2人浮き(+8P +4P ▲4P ▲8P)
3人浮き(+8P +3P +1P ▲12P)

午前中は五段戦が行われた。

100

四段戦Sを勝ち上がった選手に、ここからのシード選手が加わり全17卓68名が34名に絞られる。
ここまで来るとAリーガーを始め、タイトルを持つ強者達が集結してくる。

100

刀川昌浩 四段
(A2リーガー)

100

吉田直 四段
(A2リーガー)

100

魚谷侑未 四段
(第6・7期女流桜花)

100

小車祥 四段
(第22期マスターズ)

100

黒沢咲 五段
(第6・7期プロクイーン)

100

柴田吉和 二段
(第28期新人王)

100

嶋村泰之 三段
(第26期新人王・第18期チャンピオンズリーグ)

100

仲田加南 五段
(第4期女流桜花・第21期新人王)

100

奈良圭純 四段
(第20期マスターズ)

100

西川淳 五段
(第22期チャンピオンズリーグ)

100

樋口新 四段
(第19期マスターズ)

100

森下剛任 四段
(第39期王位)

8卓ではトップ目の客野に大物手が入る。

二索三索三索三索  ポン南南南  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン発発発  ロン四索

安めではあるが5,200点のアガリ。
続く局でもセンス溢れる手組で以下の手牌に仕上げ8,000点のアガリ。

三万三万四万五万六万四索五索六索二筒三筒四筒五筒六筒  ロン四筒  ドラ七筒

通過すると思われたが、3回戦高谷に大きいトップを取られここで敗退。

100

客野直 四段
(現チャンピオンズリーグ)

100

高谷圭一 初段

五段戦勝ちあがり者(17卓68名中34名)

「初段戦からの勝ち上がり」

小野雅峻 齋藤健人 高谷圭一 土屋幸弘

「二段戦からの勝ち上がり」

柴田吉和 福島佑一

「三段戦からの勝ち上がり」

相沢かおる 嶋村泰之 新谷翔平 野方祐介

「四段戦からの勝ち上がり」

土井悟 一井慎也

「四段戦Sからの勝ち上がり」

鮎川卓 魚谷侑未 太田昌樹 小川尚哉
小車祥 須浦正裕 武田裕希 刀川昌浩
奈良圭純 羽山真生 藤本哲也 安秉参
吉田直

「シード選手勝ち上がり」

勝間伸生 黒沢咲 斎藤桂史 鈴木墓芳
中村毅 西川淳 西島一彦 花岡章生
浜上文吾 福山満幸 増田隆一 四柳弘樹

午後には六段戦が行われた。

五段戦を勝ち上がった選手に、ここからのシード選手が加わり全12卓48名が27名に絞られる。
シード選手からは現女流桜花の吾妻さおり、現プロクイーンの和久津晶などが登場する。

100

明石定家 六段

100

井出一寛 六段
(第36期王位)

100

金子貴行 六段

100

三田不二夫 六段

100

森脇翼 六段

9卓では1回戦オーラス、トップ目の羽山が以下の手牌でリーチをかける。

四万四万五万六万五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ三索

これに対し吾妻も追っかけリーチ。羽山勝負手だけに手に力が入る。
しかしここを制したのは吾妻である。

三万三万六万七万八万九万九万九万三索四索五索三筒四筒  ツモ二筒

1回戦終了後、羽山が悔しい表情で私に語った。

「場況的にアガれそうだと思ったのであそこで決めたかった。」

私はただ頷くことしかできなかった。
続く2回戦、3回戦と苦しい展開が続き無念の敗退。

100

羽山真生 四段
(第22期・23期王位)

100

吾妻さおり 四段
(第8期・第9期女流桜花)

11卓では佐々木が南場の親で6,000オールを決める。その勢いのまま、初戦+34.5P。
2回戦では西島が以下の手牌でテンパイ。

二万二万二万五万五万五索五索五索五索六索七索四筒五筒  ドラ五索

佐々木もカン五索の2,900のテンパイをしているが、五索は西島に4枚持たれており純カラ。
そこに終盤、嶋村からリーチが入り佐々木は即座にオリにまわる。
西島と嶋村の捲りあいになるが、ここは西島に軍配があがる。

続く南2局、流れに乗った西島は以下の手牌で先制リーチをかけるが、中盤に親の新谷からも追っかけリーチが入る。

一万二万三万六万七万八万六索八索四筒四筒九筒九筒九筒  ドラ五索

七索は佐々木に3枚持たれていてやや新谷が有利かと思われたが西島が残り1枚の七索をツモる。
3回戦目、親の新谷は満貫をツモり巻き返すものの力及ばず敗退。
佐々木、西島が七段戦へ駒を進めた。

100

佐々木寿人 五段
(A2リーガー・第10期チャンピオンズリーグ)

100

西島一彦 五段
(第23期マスターズ)

六段戦勝ちあがり者(12卓48名中24名)

「初段戦からの勝ち上がり」

齋藤健人 高谷圭一 土屋幸弘

「二段戦からの勝ち上がり」

柴田吉和 福島佑一

「三段戦からの勝ち上がり」

相沢かおる 野方祐介

「四段戦からの勝ち上がり」

一井慎也

「四段戦Sからの勝ち上がり」

魚谷侑未 太田昌樹 小川尚哉 小車祥
須浦正裕 武田裕希 奈良圭純 藤本哲也

「五段戦からの勝ち上がり」

勝間伸生 黒沢咲 斎藤桂史 中村毅
西島一彦 浜上文吾

「シード選手勝ち上がり」

明石定家 吾妻さおり 老月貴紀 佐々木寿人
和久津晶

夕方から七段戦が行われた。

六段戦を勝ち上がった選手に、ここからのシード選手が加わり全10卓40名が20名に絞られる。
十段戦も終盤に差し掛かかる。
ここから登場する強者の大半はA1リーガー、G1タイトルを持つ有名プロだ。

100

石渡正志 七段
(A2リーガー)

100

二階堂 亜樹 六段
(A2リーガー・第2期・3期女流桜花・第3期プロクイーン)

100

勝又健志 六段
(A1リーガー・第2期グランプリMAX)

100

近藤久春 六段
(A1リーガー)

100

紺野真太郎 六段
(A2リーガー・第15期新人王)

100

猿川真寿 六段
(A2リーガー・第17期マスターズ)

100

滝沢和典 七段
(A2リーガー・第32期・33期王位)

100

ダンプ大橋 六段
(A2リーガー・第34期王位・第18期新人王)

100

仁平宣明 七段
(A1リーガー)

100

望月雅継 七段
(A1リーガー・第23期鳳凰位)

8卓では南場の親で山田は以下の手牌。

二万二万六万七万八万九万七索  ポン南南南  ポン発発発

ここで小車からリーチが入る。
捨て牌には4巡目五筒、5巡目六筒と切っての七対子の八筒待ち。
山田はここを勝負所とみて押し切り12,000点をアガる。

六万七万八万九万  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン南南南  ポン発発発  ロン六万

その後は場の状況に合わせて変幻自在に打ちまわし1位で通過した。
超攻撃アマゾネスこと和久津は大物狙いが成就せずここで敗退。

100

山田浩之 六段
(A2リーガー・第19期チャンピオンズリーグ)

100

和久津晶 四段
(第9期・12期プロクイーン)

七段戦勝ちあがり者(10卓40名中20名)

「初段戦からの勝ち上がり」

高谷圭一 土屋幸弘

「二段戦からの勝ち上がり」

柴田吉和

「三段戦からの勝ち上がり」

野方祐介

「四段戦Sからの勝ち上がり」

魚谷侑未 太田昌樹 小車祥 須浦正裕
奈良圭純

「五段戦からの勝ち上がり」

斎藤桂史 中村毅 浜上文吾

「シード選手勝ち上がり」

浦田豊人 勝又健志 近藤久春 斉藤等
滝沢和典 二階堂亜樹 仁平宣明 ダンプ大橋
望月雅継 山田浩之

明日からは八段、九段、九段S戦が行われる。
高段者達や歴代十段位、現鳳凰位前田直哉、世界チャンピオン山井弘など強者が出揃う。
来月のトーナメント16に勝ち上がるのは誰か。
そして誰が現十段位櫻井秀樹に挑戦するのか。
強者達の白熱した戦いになること必至だ。
是非ご覧いただきたい。

十段戦 レポート/第32期十段戦 五段・六段・七段戦レポート 蛯原 朗

5月上旬の爽やかな気候から、徐々に暑くなり夏を感じさせる季節となってきた。
私も十段戦に選手として参加したが、5月24日(日)に行われた四段戦Sで敗退した。
落ち込んで会場を去った私に翌日一通のメールが届いた。
それは「五段・六段・七段戦のレポート」の依頼だった。
初めてのことなので、私などに務まるものかと不安である反面、強者達の繰り広げる頭脳戦や、その白熱する駆け引きを間近で観戦できると思うと居ても立っても居られなかった。
「是非やらせて下さい。」と返信した。
今年はどんなドラマが生まれるのかと、非常に楽しみであった。
当日の朝私は、いつものブラックコーヒーを飲み十段戦の会場である有楽町「錦江荘」に足を運んだ。
五段・六段・七段戦のシステムは下記のとおりである。
連盟Aルール 各同卓メンバーで3回戦 各回55分(ポイント上位2名が勝ち上がり)
一発、裏ドラなし
3万点持ち3万点返し
1人浮き(+12P ▲1P ▲3P ▲8P)
2人浮き(+8P +4P ▲4P ▲8P)
3人浮き(+8P +3P +1P ▲12P)
午前中は五段戦が行われた。

100

四段戦Sを勝ち上がった選手に、ここからのシード選手が加わり全17卓68名が34名に絞られる。
ここまで来るとAリーガーを始め、タイトルを持つ強者達が集結してくる。

100

刀川昌浩 四段
(A2リーガー)

100

吉田直 四段
(A2リーガー)

100

魚谷侑未 四段
(第6・7期女流桜花)

100

小車祥 四段
(第22期マスターズ)

100

黒沢咲 五段
(第6・7期プロクイーン)

100

柴田吉和 二段
(第28期新人王)

100

嶋村泰之 三段
(第26期新人王・第18期チャンピオンズリーグ)

100

仲田加南 五段
(第4期女流桜花・第21期新人王)

100

奈良圭純 四段
(第20期マスターズ)

100

西川淳 五段
(第22期チャンピオンズリーグ)

100

樋口新 四段
(第19期マスターズ)

100

森下剛任 四段
(第39期王位)

8卓ではトップ目の客野に大物手が入る。
二索三索三索三索  ポン南南南  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン発発発  ロン四索
安めではあるが5,200点のアガリ。
続く局でもセンス溢れる手組で以下の手牌に仕上げ8,000点のアガリ。
三万三万四万五万六万四索五索六索二筒三筒四筒五筒六筒  ロン四筒  ドラ七筒
通過すると思われたが、3回戦高谷に大きいトップを取られここで敗退。

100

客野直 四段
(現チャンピオンズリーグ)

100

高谷圭一 初段

五段戦勝ちあがり者(17卓68名中34名)
「初段戦からの勝ち上がり」

小野雅峻 齋藤健人 高谷圭一 土屋幸弘

「二段戦からの勝ち上がり」

柴田吉和 福島佑一

「三段戦からの勝ち上がり」

相沢かおる 嶋村泰之 新谷翔平 野方祐介

「四段戦からの勝ち上がり」

土井悟 一井慎也

「四段戦Sからの勝ち上がり」

鮎川卓 魚谷侑未 太田昌樹 小川尚哉
小車祥 須浦正裕 武田裕希 刀川昌浩
奈良圭純 羽山真生 藤本哲也 安秉参
吉田直

「シード選手勝ち上がり」

勝間伸生 黒沢咲 斎藤桂史 鈴木墓芳
中村毅 西川淳 西島一彦 花岡章生
浜上文吾 福山満幸 増田隆一 四柳弘樹

午後には六段戦が行われた。
五段戦を勝ち上がった選手に、ここからのシード選手が加わり全12卓48名が27名に絞られる。
シード選手からは現女流桜花の吾妻さおり、現プロクイーンの和久津晶などが登場する。

100

明石定家 六段

100

井出一寛 六段
(第36期王位)

100

金子貴行 六段

100

三田不二夫 六段

100

森脇翼 六段

9卓では1回戦オーラス、トップ目の羽山が以下の手牌でリーチをかける。
四万四万五万六万五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ三索
これに対し吾妻も追っかけリーチ。羽山勝負手だけに手に力が入る。
しかしここを制したのは吾妻である。
三万三万六万七万八万九万九万九万三索四索五索三筒四筒  ツモ二筒
1回戦終了後、羽山が悔しい表情で私に語った。
「場況的にアガれそうだと思ったのであそこで決めたかった。」
私はただ頷くことしかできなかった。
続く2回戦、3回戦と苦しい展開が続き無念の敗退。

100

羽山真生 四段
(第22期・23期王位)

100

吾妻さおり 四段
(第8期・第9期女流桜花)

11卓では佐々木が南場の親で6,000オールを決める。その勢いのまま、初戦+34.5P。
2回戦では西島が以下の手牌でテンパイ。
二万二万二万五万五万五索五索五索五索六索七索四筒五筒  ドラ五索
佐々木もカン五索の2,900のテンパイをしているが、五索は西島に4枚持たれており純カラ。
そこに終盤、嶋村からリーチが入り佐々木は即座にオリにまわる。
西島と嶋村の捲りあいになるが、ここは西島に軍配があがる。
続く南2局、流れに乗った西島は以下の手牌で先制リーチをかけるが、中盤に親の新谷からも追っかけリーチが入る。
一万二万三万六万七万八万六索八索四筒四筒九筒九筒九筒  ドラ五索
七索は佐々木に3枚持たれていてやや新谷が有利かと思われたが西島が残り1枚の七索をツモる。
3回戦目、親の新谷は満貫をツモり巻き返すものの力及ばず敗退。
佐々木、西島が七段戦へ駒を進めた。

100

佐々木寿人 五段
(A2リーガー・第10期チャンピオンズリーグ)

100

西島一彦 五段
(第23期マスターズ)

六段戦勝ちあがり者(12卓48名中24名)
「初段戦からの勝ち上がり」

齋藤健人 高谷圭一 土屋幸弘

「二段戦からの勝ち上がり」

柴田吉和 福島佑一

「三段戦からの勝ち上がり」

相沢かおる 野方祐介

「四段戦からの勝ち上がり」

一井慎也

「四段戦Sからの勝ち上がり」

魚谷侑未 太田昌樹 小川尚哉 小車祥
須浦正裕 武田裕希 奈良圭純 藤本哲也

「五段戦からの勝ち上がり」

勝間伸生 黒沢咲 斎藤桂史 中村毅
西島一彦 浜上文吾

「シード選手勝ち上がり」

明石定家 吾妻さおり 老月貴紀 佐々木寿人
和久津晶

夕方から七段戦が行われた。
六段戦を勝ち上がった選手に、ここからのシード選手が加わり全10卓40名が20名に絞られる。
十段戦も終盤に差し掛かかる。
ここから登場する強者の大半はA1リーガー、G1タイトルを持つ有名プロだ。

100

石渡正志 七段
(A2リーガー)

100

二階堂 亜樹 六段
(A2リーガー・第2期・3期女流桜花・第3期プロクイーン)

100

勝又健志 六段
(A1リーガー・第2期グランプリMAX)

100

近藤久春 六段
(A1リーガー)

100

紺野真太郎 六段
(A2リーガー・第15期新人王)

100

猿川真寿 六段
(A2リーガー・第17期マスターズ)

100

滝沢和典 七段
(A2リーガー・第32期・33期王位)

100

ダンプ大橋 六段
(A2リーガー・第34期王位・第18期新人王)

100

仁平宣明 七段
(A1リーガー)

100

望月雅継 七段
(A1リーガー・第23期鳳凰位)

8卓では南場の親で山田は以下の手牌。
二万二万六万七万八万九万七索  ポン南南南  ポン発発発
ここで小車からリーチが入る。
捨て牌には4巡目五筒、5巡目六筒と切っての七対子の八筒待ち。
山田はここを勝負所とみて押し切り12,000点をアガる。
六万七万八万九万  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン南南南  ポン発発発  ロン六万
その後は場の状況に合わせて変幻自在に打ちまわし1位で通過した。
超攻撃アマゾネスこと和久津は大物狙いが成就せずここで敗退。

100

山田浩之 六段
(A2リーガー・第19期チャンピオンズリーグ)

100

和久津晶 四段
(第9期・12期プロクイーン)

七段戦勝ちあがり者(10卓40名中20名)
「初段戦からの勝ち上がり」

高谷圭一 土屋幸弘

「二段戦からの勝ち上がり」

柴田吉和

「三段戦からの勝ち上がり」

野方祐介

「四段戦Sからの勝ち上がり」

魚谷侑未 太田昌樹 小車祥 須浦正裕
奈良圭純

「五段戦からの勝ち上がり」

斎藤桂史 中村毅 浜上文吾

「シード選手勝ち上がり」

浦田豊人 勝又健志 近藤久春 斉藤等
滝沢和典 二階堂亜樹 仁平宣明 ダンプ大橋
望月雅継 山田浩之

明日からは八段、九段、九段S戦が行われる。
高段者達や歴代十段位、現鳳凰位前田直哉、世界チャンピオン山井弘など強者が出揃う。
来月のトーナメント16に勝ち上がるのは誰か。
そして誰が現十段位櫻井秀樹に挑戦するのか。
強者達の白熱した戦いになること必至だ。
是非ご覧いただきたい。