第108回『確率の向こう側へ③』 瀬戸熊 直樹

皆さんこんにちは。
いきなりですが、本題に入る前に、今回はさらに細かく、配牌の入れ方に必須な「読み」と「サイン」を見逃さない方法を書きたいと思っておりましたが、書き出したら長文になりすぎてしまい、今回「読み」次回「サイン」と二部に分けさせて頂きましたので、ご了承ください。
また、この講座は「鳳凰位」になる為を念頭に入れて書いておりますので、連盟Aルールをベースに、牌姿など全てそこから抜粋しております。

では参りましょう。

以下の捨て牌をざっと見て牌姿と打点を想像してみて下さい。
※薄暗い牌はツモ切り※

A群  
【1】ドラ二筒 西家
100 

【2】ドラ六筒 東家
100 

【3】ドラ四索 東家
100 

A群それぞれの最終手牌にはある共通点があります。
もう一度考えてみましょう。

では解答です。以下が各最終形です。

【1】三万三万五万六万七万一索二索三索五索六索二筒二筒二筒
【2】二万三万三万四万五万五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒
【3】五万六万七万一索一索四索四索四索三筒三筒三筒六筒七筒

いかがですか。全て両面マチですね。

僕の思考はこうです。【1】と【2】の捨て牌には、キー牌があります。

【1】ドラ二筒 西家 
100 
          ↓
三万三万五万六万七万一索二索三索五索六索二筒二筒二筒(最終形)

五筒一筒の切り順とツモ切りですが、六索。そして宣言牌の二万
まず読みとして、二筒が2枚以上ではないかと予測できます。
それは、五筒のあとに一筒が切られ、ピンズのドラを除く一筒五筒が全て不用とされている所。
マンズが高い捨て牌ですが、ポイントは宣言牌の二万。このそばの一万四万を入り目と見るか、マチとみるか、関係なしと見るか。
最悪マンズの一色は?と質問もきそうですが、これだけのピンズの手出しがあると、ドラ色だけにその可能性はなさそうです。
六索ツモ切りのあと、手出し中となっており、この六索が意図的にツモ切られたものとするなら、六索の裏スジも一応考慮に入れなければなりません。この辺りは、打ち手の傾向も考慮にいれれば、よりマチが浮かびます。
かなり高い手と考えられ、勝負に行くにはそれ相応の勇気がいりそうです。

【2】ドラ六筒 東家 
100 
          ↓
二万三万三万四万五万五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒(最終形)

まず目につくのは、宣言牌の七万六筒三筒の切り順。
西八万東の切り出しから普通に手なりにスピードに重きを置いて、メンツを作っていった事は憶測できます。
典型的なピンフの捨て牌に見えます。ピンズは上より下の方が危険です。
宣言牌の七万のそばと、二万三万三万四万五万七万の形の七万切りもあり、マンズとピンズの下は危険なのが解ります。
二択なら場の状況から埋まった方を推測するしかありません。

【3】ドラ四索 東家
100 
          ↓
五万六万七万一索一索四索四索四索三筒三筒三筒六筒七筒(最終形)

非常に読みづらい捨て牌です。親なので、何でもありそうです。正直読めませんでした。
切り出しから、手なり進行だと憶測できますが、無筋が多すぎる為、こういう時は自分の手牌と相手の状況から押し引きを考えるしかないでしょう。

続いてもう一問いきましょう。

B群
【1】ドラ七筒 東家 
100 

【2】ドラ二索 西家 
100 

【3】ドラ七万 東家
一筒 上向き九索 上向き二索 上向き一索 上向き五索 上向き三索 上向き六万 左向き 

B群もそれぞれの最終手牌にはある共通点があります。
もう一度考えてみましょう。

それでは解答です。

B群最終形
【1】一万一万三万三万六万六万九万九万三索四筒四筒八筒八筒
【2】二万二万三万三万五万五万九索一筒一筒三筒三筒西西
【3】二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発

B群は七対子でした。

【1】ドラ七筒 東家 
100 
          ↓
一万一万三万三万六万六万九万九万三索四筒四筒八筒八筒(最終形)

捨て牌からある程度読めます。やはり宣言牌の八索六索七索とツモ切りの後に切られている所が最大のポイントです。
宣言牌までの3巡、六索七索とツモ切りのあとの最終手出しの宣言牌八索をどのように読むかにつきます。
1巡まわしてのカラ切りリーチでなければ、七対子が濃厚です。
ダブルメンツが埋まる、何らかの理由で1巡ヤミテン、スライドか八索ツモ八索宣言のレアケースが面子手のケースですが、レアケースを考えれば考えるほど切れない種類は増えますので、なるべくシンプルに考えます。
そこの読みと心中できればある程度押せる場面とみます。

【2】ドラ二索 西家 
100 
          ↓
二万二万三万三万五万五万九索一筒一筒三筒三筒西西(最終形)

非常に解りづらいです。打ち手も七対子と読めないと思ってリーチを打っているのが解ります。
ただ、こういう手牌は必要以上に読まず、自分の中でゴーサインが出れば真っ直ぐ打ち抜くだけです。
チャンス手をやめて、オリ打ちのような事態になれば攻守が完全に入れ替わります。
相手に主導権を握られる七対子の典型的な例です。

【3】ドラ七万 東家 
一筒 上向き九索 上向き二索 上向き一索 上向き五索 上向き三索 上向き六万 左向き 
          ↓
二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発(最終形)

捨て牌から変則手っぽいですが、実はこれ決勝戦で追い上げる立場の人のリーチでした。
河からは、変則としか読めませんが、この場面は、決勝戦の追う立場の人がリーチときていて、打点は高いと想定できる場面だったので、背景からドラがらみと予測できる捨て牌でした。

僕が前回言った、時間帯に突入させる為の行為に必要不可欠なものとして、ギリギリまで攻めると言う行為があります。
もし仮に、相手のマチが全て解れば麻雀の勝率は9割を超えるでしょう。
なぜならほとんど失点なく、加点だけできるからです。そして相手のチャンスを潰せば、必然的に自分の時間帯となっていくからです。
しかし、そんなことは不可能なのでラインぎりぎりまで押し進める行為が必要となります。
つまり押せる牌を増やすことと、押し引きです。
∴「読み」を強化することが第一のステップとしてもっとも重要なのです。

もちろん、一点で読むのは難しいですが、まず相手に攻め込まれた時に、自分の手牌と相談はもちろんですが、打点と相手のマチが両面なのか、リーチをする事の意味がどこにあるのか、そして場の状況からある程度推測して押し進める事が大事です。

今回はほとんど打点のある手牌でしたが、当然麻雀ですから、リーチのみや相手がオリてくれればラッキーくらいのリーチも多いです。
全てのリーチに逃げ回って、うまく追いついた時だけ、エイっと追いかけるような麻雀では、手牌はなかなか入ってきません。
普段の訓練から、常に相手の手牌を推測する事を繰り返すことで、大事な場面での究極の二択で、必ず正解できると信じで努力しております。

余談ですが、ある講習会で、若手がリーチに屈してオリてアガリ逃しをして、相手のペースになった場面で、
僕は「通る牌は全て行って、アタリ牌だけ止めるくらいの気持ちで行かなくちゃダメだよ」と言いました。
それを隣で聞いていた麻雀IQ220勝又さんが、
「瀬戸熊さん滅茶苦茶言ってますね」と笑いながら言ってきました。
もちろん彼も僕の意志は解ってくれていて、僕がそういう事を言ってから、彼が理論的に、どの牌とどの牌が押せて、リスクとリターンの事を教えるという暗黙の了解があったからの指導でした。

考えてみて下さい。放送対局では視聴者の皆さんは、たった一牌押せない、応援しているプロのプレイに対して、
「それくらい行けよ」とか、「行って欲しかった」と言いますよね。
それは、そのプロを本気で応援しているからです。だからプロは応援してくれる人の為にも、いや自分がこの世界で生きていく為にも、必死で戦わなければなりません。

だから、限界まで読むのです。考えるのです。
捨て牌、点数状況、打ち手の思考、先にある展開。

素晴らしい攻めの後のアガリには、素敵な時間帯が待っていますが、安易な放銃の後には、じわじわいと苦しい時間が押し寄せてくるものです。

以下の図を眺めてみてください。

100
 

これは、僕の麻雀ノートのある部分の抜粋です。
展開予想の基本の考えです。ここからさらに細かく枝わかれしていきますが、まず、読みをいれて、勇気をもって戦う人にしか手牌は入らないのが解ると思います。
さらに講座を進めて、完成チャートを作っていきましょう。

Capter3  沢崎 誠プロの場合

以前紹介したこともありますが、沢崎さんのスーパープレイとして何度でも紹介したい場面がこちら。

第27期鳳凰位決定戦 1回戦南1局沢崎三万ツモアガリ場面

100

四筒七筒の比較はほとんどない場面。しかし沢崎さんは、三色を捨てる四筒を切り、12,000点放銃となる⑦を止めた。
心が震えるプレイとはこの事でしょう。何度も見返すこの牌譜を見るたびに頂きの高さを感じます。

数年後、沢崎さんにこのシーンを聞くと、笑って
「三色が確定した訳でもない以上、やはり何回やってもあの場面は、四筒切るよ」
と、仰いました。 先輩カッコ良過ぎです!
  
次回は、手牌を入れる方法のもう一つのキモである、サインの感じ方と、「鳴き」についての説明を予定しておりますので、お楽しみに。

上級/第108回『確率の向こう側へ③』 瀬戸熊 直樹

皆さんこんにちは。
いきなりですが、本題に入る前に、今回はさらに細かく、配牌の入れ方に必須な「読み」と「サイン」を見逃さない方法を書きたいと思っておりましたが、書き出したら長文になりすぎてしまい、今回「読み」次回「サイン」と二部に分けさせて頂きましたので、ご了承ください。
また、この講座は「鳳凰位」になる為を念頭に入れて書いておりますので、連盟Aルールをベースに、牌姿など全てそこから抜粋しております。
では参りましょう。
以下の捨て牌をざっと見て牌姿と打点を想像してみて下さい。
※薄暗い牌はツモ切り※
A群  
【1】ドラ二筒 西家
100 
【2】ドラ六筒 東家
100 
【3】ドラ四索 東家
100 
A群それぞれの最終手牌にはある共通点があります。
もう一度考えてみましょう。
では解答です。以下が各最終形です。
【1】三万三万五万六万七万一索二索三索五索六索二筒二筒二筒
【2】二万三万三万四万五万五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒
【3】五万六万七万一索一索四索四索四索三筒三筒三筒六筒七筒
いかがですか。全て両面マチですね。
僕の思考はこうです。【1】と【2】の捨て牌には、キー牌があります。
【1】ドラ二筒 西家 
100 
          ↓
三万三万五万六万七万一索二索三索五索六索二筒二筒二筒(最終形)
五筒一筒の切り順とツモ切りですが、六索。そして宣言牌の二万
まず読みとして、二筒が2枚以上ではないかと予測できます。
それは、五筒のあとに一筒が切られ、ピンズのドラを除く一筒五筒が全て不用とされている所。
マンズが高い捨て牌ですが、ポイントは宣言牌の二万。このそばの一万四万を入り目と見るか、マチとみるか、関係なしと見るか。
最悪マンズの一色は?と質問もきそうですが、これだけのピンズの手出しがあると、ドラ色だけにその可能性はなさそうです。
六索ツモ切りのあと、手出し中となっており、この六索が意図的にツモ切られたものとするなら、六索の裏スジも一応考慮に入れなければなりません。この辺りは、打ち手の傾向も考慮にいれれば、よりマチが浮かびます。
かなり高い手と考えられ、勝負に行くにはそれ相応の勇気がいりそうです。
【2】ドラ六筒 東家 
100 
          ↓
二万三万三万四万五万五索六索七索三筒四筒五筒九筒九筒(最終形)
まず目につくのは、宣言牌の七万六筒三筒の切り順。
西八万東の切り出しから普通に手なりにスピードに重きを置いて、メンツを作っていった事は憶測できます。
典型的なピンフの捨て牌に見えます。ピンズは上より下の方が危険です。
宣言牌の七万のそばと、二万三万三万四万五万七万の形の七万切りもあり、マンズとピンズの下は危険なのが解ります。
二択なら場の状況から埋まった方を推測するしかありません。
【3】ドラ四索 東家
100 
          ↓
五万六万七万一索一索四索四索四索三筒三筒三筒六筒七筒(最終形)
非常に読みづらい捨て牌です。親なので、何でもありそうです。正直読めませんでした。
切り出しから、手なり進行だと憶測できますが、無筋が多すぎる為、こういう時は自分の手牌と相手の状況から押し引きを考えるしかないでしょう。
続いてもう一問いきましょう。
B群
【1】ドラ七筒 東家 
100 
【2】ドラ二索 西家 
100 
【3】ドラ七万 東家
一筒 上向き九索 上向き二索 上向き一索 上向き五索 上向き三索 上向き六万 左向き 
B群もそれぞれの最終手牌にはある共通点があります。
もう一度考えてみましょう。
それでは解答です。
B群最終形
【1】一万一万三万三万六万六万九万九万三索四筒四筒八筒八筒
【2】二万二万三万三万五万五万九索一筒一筒三筒三筒西西
【3】二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発
B群は七対子でした。
【1】ドラ七筒 東家 
100 
          ↓
一万一万三万三万六万六万九万九万三索四筒四筒八筒八筒(最終形)
捨て牌からある程度読めます。やはり宣言牌の八索六索七索とツモ切りの後に切られている所が最大のポイントです。
宣言牌までの3巡、六索七索とツモ切りのあとの最終手出しの宣言牌八索をどのように読むかにつきます。
1巡まわしてのカラ切りリーチでなければ、七対子が濃厚です。
ダブルメンツが埋まる、何らかの理由で1巡ヤミテン、スライドか八索ツモ八索宣言のレアケースが面子手のケースですが、レアケースを考えれば考えるほど切れない種類は増えますので、なるべくシンプルに考えます。
そこの読みと心中できればある程度押せる場面とみます。
【2】ドラ二索 西家 
100 
          ↓
二万二万三万三万五万五万九索一筒一筒三筒三筒西西(最終形)
非常に解りづらいです。打ち手も七対子と読めないと思ってリーチを打っているのが解ります。
ただ、こういう手牌は必要以上に読まず、自分の中でゴーサインが出れば真っ直ぐ打ち抜くだけです。
チャンス手をやめて、オリ打ちのような事態になれば攻守が完全に入れ替わります。
相手に主導権を握られる七対子の典型的な例です。
【3】ドラ七万 東家 
一筒 上向き九索 上向き二索 上向き一索 上向き五索 上向き三索 上向き六万 左向き 
          ↓
二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発(最終形)
捨て牌から変則手っぽいですが、実はこれ決勝戦で追い上げる立場の人のリーチでした。
河からは、変則としか読めませんが、この場面は、決勝戦の追う立場の人がリーチときていて、打点は高いと想定できる場面だったので、背景からドラがらみと予測できる捨て牌でした。
僕が前回言った、時間帯に突入させる為の行為に必要不可欠なものとして、ギリギリまで攻めると言う行為があります。
もし仮に、相手のマチが全て解れば麻雀の勝率は9割を超えるでしょう。
なぜならほとんど失点なく、加点だけできるからです。そして相手のチャンスを潰せば、必然的に自分の時間帯となっていくからです。
しかし、そんなことは不可能なのでラインぎりぎりまで押し進める行為が必要となります。
つまり押せる牌を増やすことと、押し引きです。
∴「読み」を強化することが第一のステップとしてもっとも重要なのです。
もちろん、一点で読むのは難しいですが、まず相手に攻め込まれた時に、自分の手牌と相談はもちろんですが、打点と相手のマチが両面なのか、リーチをする事の意味がどこにあるのか、そして場の状況からある程度推測して押し進める事が大事です。
今回はほとんど打点のある手牌でしたが、当然麻雀ですから、リーチのみや相手がオリてくれればラッキーくらいのリーチも多いです。
全てのリーチに逃げ回って、うまく追いついた時だけ、エイっと追いかけるような麻雀では、手牌はなかなか入ってきません。
普段の訓練から、常に相手の手牌を推測する事を繰り返すことで、大事な場面での究極の二択で、必ず正解できると信じで努力しております。
余談ですが、ある講習会で、若手がリーチに屈してオリてアガリ逃しをして、相手のペースになった場面で、
僕は「通る牌は全て行って、アタリ牌だけ止めるくらいの気持ちで行かなくちゃダメだよ」と言いました。
それを隣で聞いていた麻雀IQ220勝又さんが、
「瀬戸熊さん滅茶苦茶言ってますね」と笑いながら言ってきました。
もちろん彼も僕の意志は解ってくれていて、僕がそういう事を言ってから、彼が理論的に、どの牌とどの牌が押せて、リスクとリターンの事を教えるという暗黙の了解があったからの指導でした。
考えてみて下さい。放送対局では視聴者の皆さんは、たった一牌押せない、応援しているプロのプレイに対して、
「それくらい行けよ」とか、「行って欲しかった」と言いますよね。
それは、そのプロを本気で応援しているからです。だからプロは応援してくれる人の為にも、いや自分がこの世界で生きていく為にも、必死で戦わなければなりません。
だから、限界まで読むのです。考えるのです。
捨て牌、点数状況、打ち手の思考、先にある展開。
素晴らしい攻めの後のアガリには、素敵な時間帯が待っていますが、安易な放銃の後には、じわじわいと苦しい時間が押し寄せてくるものです。
以下の図を眺めてみてください。
100
 
これは、僕の麻雀ノートのある部分の抜粋です。
展開予想の基本の考えです。ここからさらに細かく枝わかれしていきますが、まず、読みをいれて、勇気をもって戦う人にしか手牌は入らないのが解ると思います。
さらに講座を進めて、完成チャートを作っていきましょう。
Capter3  沢崎 誠プロの場合
以前紹介したこともありますが、沢崎さんのスーパープレイとして何度でも紹介したい場面がこちら。
第27期鳳凰位決定戦 1回戦南1局沢崎三万ツモアガリ場面
100
四筒七筒の比較はほとんどない場面。しかし沢崎さんは、三色を捨てる四筒を切り、12,000点放銃となる⑦を止めた。
心が震えるプレイとはこの事でしょう。何度も見返すこの牌譜を見るたびに頂きの高さを感じます。
数年後、沢崎さんにこのシーンを聞くと、笑って
「三色が確定した訳でもない以上、やはり何回やってもあの場面は、四筒切るよ」
と、仰いました。 先輩カッコ良過ぎです!
  
次回は、手牌を入れる方法のもう一つのキモである、サインの感じ方と、「鳴き」についての説明を予定しておりますので、お楽しみに。

第19期特別昇級リーグ 決勝レポート 東谷 達矢

日本プロ麻雀連盟が誇る最高峰の戦い、鳳凰位決定戦が行われている最中、いつの日かその舞台で戦うことを夢見て4名の決勝進出者が座席に着いた。
特別昇級リーグ(※以下特昇リーグ)は、プロリーグまたはタイトル戦成績優秀者に参加資格があり、全8節の合計ポイントで優勝を争う。7節目までの上位4名だけが、最終節となる8節目の決勝で戦う権利を持つ。

7節目終了時点でのトータルポイント
中村慎吾 +199.9P
斉藤豪 +179.0P
一井慎也 +163.6P
吉野敦志 +31.5P

上位3名は半荘1回で順位が変わる点差だが、4位吉野はかなり苦しい。連盟Aルールの1半荘でのポイント変動は、素点に大きく左右される為、この決勝4回戦を全て1人浮きのトップで終えたとしても優勝できる保証はない。唯一の救いは、上位3人が競っている為、吉野が先手を取った時に3人が向かってこない可能性が高いことだろうか。うまくプレッシャーを掛けていきたいところだ。
さあ、果たしてこの中の誰が来期B2リーグへの切符を手にするのだろうか。

 

1回戦(起家から一井、中村、吉野、斉藤)

誰もが主導権を取りたいと思っているであろう。最初にリーチと発生したのは親の一井だった。

一万二万三万六万七万一索二索三索五索六索七索三筒三筒  リーチ  ドラ二筒

一発裏ドラの無いAルールにおいて、このようなピンフのみの手でリーチを掛けるか否かはしばしば議論になることがある。メリットとして、打点がわずかながら上昇すること、相手の手牌進行を遅らせ、場合によってはオロすことができるということが挙げられるが、一方でリーチを掛けていなければ出アガリできていたであろう牌が出てこなくなったり、手の入った者から押し返された際のリスクが高い等のデメリットもある。決して、リーチを掛けることが悪いというわけではない。点数の状況や場況、相手の心理状況等を総合的に勘案して、そこに意義を見出すことができるかが重要となる。
この一井のリーチは功を奏した。狙い通り、中村、吉野は早々にオリ、前に出てきた斉藤から2,900をアガリ、本人としてもほっと胸を撫で下ろしたことだろう。

一井は17期生である。17期生のプレイヤーを挙げれば、鳳凰位前田を筆頭に、リーグ戦や各タイトル戦で活躍している猛者揃いである。今もっとも勢いに乗っている世代だといっても過言ではないだろう。一井も前年度十段戦でベスト8まで進んだことは記憶に新しい。また、今期リーグ戦でも既に自力でB2昇級を決めている。だが、それでも同期の活躍を目の当たりにしては満足のいく成果をあげたとは言えないだろう。渇望しているのはタイトル戦優勝の座。この、特昇リーグでも簡単に後輩に負けるわけにはいかない、そう思っているはずだ。
1本場、その一井が更なる攻勢に出る。

一万一万二索三索四索一筒一筒六筒七筒八筒  加カン白白白白  ドラ一万

テンパイ打牌となった二万に他家の視線が一斉に注がれた。というのも、一井はこの数巡前に四万を手出ししているのだ。全員がこの瞬間に、一井が一万をトイツ以上で持っていることを確信しただろう。
更に、この時下家に座っている中村の手牌はこうだった。

一万三万七万七万八万一索一索七索八索九索七筒八筒九筒

一井の放った二万を鳴き七万を切れば、片アガリだが7,700のテンパイである。一井のテンパイ気配を感じ、打点も決して悪くなく、余剰牌も比較的安全。鳴くには十分すぎるほどの材料が揃っているが、この時中村は二万を鳴くことを良しとはしなかった。
急所はここではないと思っているのだ。鳴いて形を他家に悟られるよりも、先に九万を入れてのカン二万待ちに魅力がある、対局後に中村はそう語っていた。
中村は、先日V7という対局で7回連続勝ち上がりを達成したことで話題となった。第23期チャンピオンズリーグの覇者でもあり、勝負強さは抜群である。メリハリのある攻守の切り替えが持ち味で、突出した武器はなくとも総合的な実力では若手の中では頭ひとつ抜きんでている。
中村の読み通り、山に眠っていた二万をすぐに引き入れ、自力でテンパイを果たしたが、九万が場に出ることはなく流局となった。

東1局2本場、局面は動いた。ファーストテンパイを入れたのは斉藤。

三万三万五万五万五万七万八万九万七筒八筒九筒東東  リーチ  ドラ八筒

未だ5巡目。東でアガることができれば打点としては申し分ないだけに、斉藤の手に力が入る。だが、他家も楽はさせてくれない。

10巡目、親の一井

一万二万三万四索五索一筒一筒一筒三筒五筒六筒八筒八筒

ドラ2枚持ちの1シャンテンである。オリるつもりはないとばかりに、生牌の白をノータイムでツモ切る。これに反応したのは吉野。

一索一索七索八索九索中中  ポン白白白  ポン南南南

こうなっては吉野もオリるはずがない。誰がチャンス手をものにするのか、3者の摸打に一層緊張感が強まった。
決着が着いたのは2巡後。一際高くツモの声を発したのは、吉野だった。一索を手元に置き2,000・4,000。
斉藤は表情にこそ出さなかったものの、肩が静かに落ちた。放銃という最悪の結果にはならなかったが、中村との差を縮めるチャンスをひとつ失ったのだ。それは一井も同様だった。
そんな2人に東2局、親の中村が追いうちをかける。

三索三索五筒六筒七筒東東  ポン白白白  ポン発発発  ドラ五索  ツモ東

この4,000オールだ。

落胆する暇もない。1本場10巡目、親の中村の口からリーチと声が出た。
一井、斉藤共に戦える手牌ではない。これ以上中村の独走を許すわけにはいかない。そう思ってはいても、2人にはオリて耐えることしかできなかった。
そして、中村からリーチの声が掛かるまではマンズのホンイツを狙っていた吉野は、ドラを引きこの形、

三万四万五万六万六万八万九万二索発発  ポン白白白  ドラ二索

唯一戦えそうな吉野だが、果たして発が鳴けたらドラを切り勝負するのだろうか。ただ、このドラの二索は中村の待ち牌なのだ。

二万三万四万一索三索五索五索七索八索九索二筒三筒四筒

中村がリーチ前に少考したのは、このリーチにはリスクがあるからだ。他家をオロしてツモることができれば2,000オールだが、如何せんドラのカンチャン待ちでは出アガりは期待できない上、押し返された時に弱い。ただ、吉野がマンズで染めているのならドラも出るだろう、そう思いリーチに踏み切ったのだ。

確かに注文通り、吉野はドラを引いた。だが、これが誤算だった。吉野はこの後、なんとドラを2枚引き暗刻となりテンパイ。

三万四万五万六万六万二索二索二索発発  ポン白白白  ドラ二索

こうなっては中村に勝ち目はない。発を掴み満貫の放銃となった。
リスクは承知で抑えこみにいってのリーチなのだから悪いとは言い切れない。しかし、対局後本人が悔いていたように、やはりこのリーチは不要であっただろう。これは全員が優勝を狙う決勝戦なのだから。

東3局 前局放銃という結果になったが、中村の勢いが落ちない。

三万四万五万六万七万八万五索五索六索八索六筒七筒八筒  ドラ南

5巡目にしてこのテンパイである。当然のようにヤミテンに構える。更に次巡五索をツモると、三色はなくなるが好形でリーチを打った。

三万四万五万六万七万八万五索五索五索六索六筒七筒八筒  リーチ

これに飛び込んだのが斉藤。斉藤は中村の1期後輩の28期生である。リーグ戦やタイトル戦では突出した結果こそ出ていないものの、平均的にかなりの好成績をキープしている。だからこそ斉藤はこの決勝で勝ちたいはずだ。斉藤の安定力はリーグ戦でこそ真価を発揮する。麻雀に対する強い熱情も持っている斉藤は、早く上のリーグで戦いたい、そう思っているはずだ。
※尚、斉藤は決勝メンバーの中で唯一準優勝や3位でも意味を持つ(準優勝ならC1リーグ、3位ならC2リーグへ特別昇級)。

ただ、この放銃を見る限り、その勝ちへの執着が少し焦りを生んでいるのかもしれない。

一方、中村は、放銃直後のアガリで気分が悪かろうはずがない。2着だが、一井、斉藤が原点から大きく沈んでいる為、このままこの半荘が終わればかなり大きなアドバンテージを得ることになる。
そんな中村に待ったを掛けたのが吉野だった。

南2局

二万三万四万五万六万七万九万九万九万東東白白  ドラ一索  ツモ東 2,000・4,000

南3局

二万三万四万五万六万一索二索三索三筒三筒四筒五筒六筒  ドラ南  ツモ四万 700オール

南3局1本場

六万六万八万八万二索四索四索八索八索七筒七筒発発  ドラ三筒  ロン二索 2,400(+300)

この3連続アガリで、持ち点は一気に60,000点を越えた。その後は一井と斉藤もアガリ、中村の独走に歯止めを掛けた。

1回戦結果
吉野:+36.5P 一井:▲6.2P 中村:▲8.6P 斉藤:▲21.7P

トータルポイント
中村:+191.3P 一井:+157.4P 斉藤:+157.3P 吉野:+68.0P

 

2回戦(起家から吉野、一井、斉藤、中村)

1回戦で大きなトップを取った吉野は上位3人と50ポイント前後の点差を縮めたことになる。つまり、単純に考えれば同じことをあと3回やれば優勝できることになる。
吉野はリーグ戦がマイナス成績だったことで残念ながら特昇権利はない。モチベーションを高く持つのは大変だが、吉野はプロ意識が高い為、緩むことはないだろう。それに、このままライバル視する中村を簡単にB2に送り出すわけにもいくまい。もしここで逆転優勝を叶えることができれば、大きな自信がつき今後の対局に間違いなく活きるはずだ。

東1局

どうしても連荘したい吉野の配牌は

三万四万七万九万一索二索九索三筒六筒西西北白白  ドラ二筒

うまく寄れば高打点にもなり得る、悪くない配牌だ。吉野はここから打六筒とした。そしてその後出た白をスルー。
落ち着いているが、ここは上家の中村にプレッシャーを掛ける為に鳴く手もあったか。ここは雀風によるところだろう。
だが、この手が中々思うように寄らない。そして、斉藤は6巡目にテンパイ。

三万四万五万七万七万二索三索四索七索八索三筒四筒五筒

ドラ引き、又は五索を引いて三色が確定したらリーチといく腹だろう。無論、その間アガリ牌が場にこぼれればアガるはずだ。
ただ、この六索九索がなかなか顔を出さない。そして13巡目、誰もがいやがる中村のリーチが飛んできた。

四万五万五索六索七索七索八索九索二筒二筒二筒八筒八筒  リーチ

ドラが暗刻の強烈なリーチ。斉藤もトータルトップ目の中村がリーチを掛けてきているのだから、役なし良形、又は高打点のどちらか一方は当てはまるであろうことを想定しているはずだ。
だが、斉藤にとってはここでオリる理由がない。当然ヤミのまま押し続ける。
それを見た一井、吉野もここは斉藤を応援していたはずだ。
だが、ツモの発生は中村だった。

四万五万五索六索七索七索八索九索二筒二筒二筒八筒八筒   リーチ  ツモ六万 2,000・3,900

またもや先行する中村を追うことになってしまった3人。だが、中村に安心できるほどのリードを与えたわけでもない。東2局、斉藤はテンパイすると、即座にリーチと打ってでた。

六万七万八万一索二索三索四索五索六索七筒七筒南南  リーチ  ドラ九索

リーグ戦ならおそらくリーチは掛けないだろう。理由は冒頭のピンフのみでリーチを掛けるか否かで述べた通りだ。このリーチの打点は1,300~4,000で、押し返された時のリスクを考えると得られるリターンが大きいとは思えない。もし七筒を拾える自信があれば話はまた変わるのだが、本局に限ってはそういった情報も河にはない。
斉藤の狙いは中村の足止めで、出アガリは期待していないということであろう。
ただ、代わりに前に出たのは親の一井だった。

三万四万五万七索八索九索四筒五筒九筒九筒東東東  ツモ六筒

一井は12巡目にこの3,900オールを決め、中村を追う1番手に浮上した。斉藤としても、放銃にならずに中村の点数が削られたことを考えれば、悲観するほど悪い結果だったとは思っていないはずだ。

そして次局、いよいよ中村に勝負所がやってきた。

東2局1本場 西家中村の3巡目手牌

一万二万三万七万八万九万二索三索四索二筒四筒白白  ドラ四索

役なしカンチャンのテンパイである。1回戦親番の時とは形が似ているようで違う。雀頭が翻牌であることも大きく、ここはヤミテンに構える。
そして、親の一井が12巡目に追いつく。

一万一万四万五万六万六索七索八索四筒五筒中中中  リーチ  ドラ四索

こうなると、中村としても勝負にいきづらい所だが、この瞬間に中村の手元に四万が来た。一万を切れば確定三色となり、役あり5,200ならば危険牌を押す価値もある。
もし中村が追う側ならほとんどオリることはないだろう。しかし、リードする側は押し引きに選択の余地がある。有利である反面、選択を間違い敗因を作ることもあり得る。
そして、導かれるように次巡中村の手に完全無筋の七索がきた。

ドラ筋だからといって、放銃した時の打点が安いとは限らない。複合形でドラを使われている場合には7,700~12,000は覚悟しなければならない。
中村が長考に沈んだ。高打点の放銃をすればトータルポイントで逆転してしまう。一井の河は何度見ても、待ちを推測するだけの十分な情報は落ちていない。押すか引くか、ただそれだけのことだが、その選択が終局までの運命を決めてしまうことも麻雀には往々にしてあるのだ。

そして中村が意を決して河に牌を放った。その牌は七索。通った。
そのごほうびだろうか。次巡、中村の手に三筒が舞い降りた。

南1局 まだ2半荘目だが、吉野にとってはラストチャンスだろう。この親番を簡単に落としてしまえば優勝は非現実的なものとなってしまう。

四万六万三索四索二筒三筒四筒六筒六筒六筒八筒南中  ドラ六索

吉野は5巡目、この形から五万をチーした。確かにドラは無く、連荘しなければならないという点を考えれば鳴く気持ちもわかる。鳴けばアガれる可能性は非常に高いだろう。ただ、マンズが変化すれば234の三色も狙えるだけに、この形から鳴くのは若干もったいないようにも感じる。
ただそれはあくまで外から見たものの意見だ。この鳴きは、このまま終われないという吉野の意地がそうさせたのだ。
この後、吉野は3本場まで粘るが、原点を下回ったまま親権を落としてしまう。

2回戦結果
中村:+24.3P 一井:+5.4P 斉藤:▲12.0P 吉野:▲17.7P

トータルポイント
中村:+215.6P 一井:+162.8P 斉藤:+145.3P 吉野:+50.3P

 

3回戦(起家から斉藤、中村、一井、吉野)

東1局 斉藤が優勝する為には自身が浮き、中村を原点以下に抑えるのが必須。その上で可能な限り点差を広げたい。そんな斉藤にチャンス手が入った。

三万四万五万二索三索四索七索八索二筒二筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ三万

7巡目のリーチで、高めの六索をツモれば3,900オールだ。そうなれば反撃の狼煙としては十分である。中村はテンパイが入っていない限りは押してこないだろう。悠々とツモればいい。
しかし、ここで斉藤に立ちはだかったのは中村ではなく一井だった。

三万四万五万一索一索五索六索六索六索七索中中中  ロン一索

斉藤から3,200の出アガリである。一井にとってはアガるのが自然だ。もしこれを見逃したとして良い結果を生むことはほとんどないだろう。ただ、このアガリで一井以上に喜んだのが中村である。

東2局 一井が早々に切ったドラの発を斉藤が鳴いた。

四万五万六万三索三索七索八索八索九索九索  ポン発発発  ドラ発

これを見た瞬間、中村はすぐに撤退する。中村が親の為、斉藤がツモることができれば親被りをさせることができる。だが、一井の河にこぼれた七索を斉藤は掬った。
本局に関してもアガるのが自然だ。斉藤はもちろん優勝を最後まで狙うが、最終的に優勝が非現実味を帯びた場合準優勝狙いにシフトする為、斉藤にとっては一井も浮上させるわけにはいかないのだ。ただ、この局も中村の失点はゼロである。

そして南2局、決定打が出た。

三万四万五万六万七万八万二筒二筒三筒三筒四筒四筒五筒  ツモ五筒  ドラ八索

中村のこの2,600オールで大勢は決した。

3回戦結果
中村:+22.5P 吉野:+5.9P 斉藤:▲4.6P 一井:▲23.8P

トータルポイント
中村:+238.1P 斉藤:+140.7P 一井:+139.0P 吉野:+56.2P

4回戦結果
中村:+22.6P 斉藤:+7.5P 一井:▲8.7P 吉野:▲22.4P

トータルポイント
中村:+260.7P 斉藤:+148.2P 一井:+130.3P 吉野:+33.8P

こうして特昇リーグの決勝の幕が下りた。
トータルポイントだけみればかなりの開きがあるが、2回戦での結果如何では最終結果はまったく別のものとなっていたかもしれない。
ただ、この日の中村は押し引きの精度が非常に高く、優勝者にふさわしい戦い方を実践していたと言えるであろう。

これで来期B2リーグで戦うことになった中村、「1期で降級しないようにがんばります」とは言っていたが、おそらく昇級戦線に食い込んでくるはずだ。
今回敗れた一井も、リーグ戦昇級により来期B2で戦える為、次は中村にリベンジをすべく調整してくるだろう。
斉藤は4回戦で一井に競り勝ちC1昇級の権利を手にした。吉野は残念であったが、地力はあるので本場所のリーグ戦で来期は奮起するだろう。

さて、この特別昇級リーグだが、以前存続が危ぶまれたことがあった。それはリーグ参加者のレベル低下を懸念してのものだ。
”いや、そんなことはない、特別昇級リーグ参加者の中には有望な若手がいる”と声を大にして言う為には、特昇権利を勝ち取ったものが技術向上への意欲を持ち続け研鑽し、また公式戦で結果を出さなければならない。

今回決勝に残ったものはそれができるはずだ。そして来期以降登場する特昇リーグ参加者もそうあってほしい。

”いつかこのリーグ出身者から鳳凰位が誕生することを願って”

特別昇級リーグ 決勝観戦記/第19期特別昇級リーグ 決勝レポート 東谷 達矢

日本プロ麻雀連盟が誇る最高峰の戦い、鳳凰位決定戦が行われている最中、いつの日かその舞台で戦うことを夢見て4名の決勝進出者が座席に着いた。
特別昇級リーグ(※以下特昇リーグ)は、プロリーグまたはタイトル戦成績優秀者に参加資格があり、全8節の合計ポイントで優勝を争う。7節目までの上位4名だけが、最終節となる8節目の決勝で戦う権利を持つ。
7節目終了時点でのトータルポイント
中村慎吾 +199.9P
斉藤豪 +179.0P
一井慎也 +163.6P
吉野敦志 +31.5P
上位3名は半荘1回で順位が変わる点差だが、4位吉野はかなり苦しい。連盟Aルールの1半荘でのポイント変動は、素点に大きく左右される為、この決勝4回戦を全て1人浮きのトップで終えたとしても優勝できる保証はない。唯一の救いは、上位3人が競っている為、吉野が先手を取った時に3人が向かってこない可能性が高いことだろうか。うまくプレッシャーを掛けていきたいところだ。
さあ、果たしてこの中の誰が来期B2リーグへの切符を手にするのだろうか。
 
1回戦(起家から一井、中村、吉野、斉藤)
誰もが主導権を取りたいと思っているであろう。最初にリーチと発生したのは親の一井だった。
一万二万三万六万七万一索二索三索五索六索七索三筒三筒  リーチ  ドラ二筒
一発裏ドラの無いAルールにおいて、このようなピンフのみの手でリーチを掛けるか否かはしばしば議論になることがある。メリットとして、打点がわずかながら上昇すること、相手の手牌進行を遅らせ、場合によってはオロすことができるということが挙げられるが、一方でリーチを掛けていなければ出アガリできていたであろう牌が出てこなくなったり、手の入った者から押し返された際のリスクが高い等のデメリットもある。決して、リーチを掛けることが悪いというわけではない。点数の状況や場況、相手の心理状況等を総合的に勘案して、そこに意義を見出すことができるかが重要となる。
この一井のリーチは功を奏した。狙い通り、中村、吉野は早々にオリ、前に出てきた斉藤から2,900をアガリ、本人としてもほっと胸を撫で下ろしたことだろう。
一井は17期生である。17期生のプレイヤーを挙げれば、鳳凰位前田を筆頭に、リーグ戦や各タイトル戦で活躍している猛者揃いである。今もっとも勢いに乗っている世代だといっても過言ではないだろう。一井も前年度十段戦でベスト8まで進んだことは記憶に新しい。また、今期リーグ戦でも既に自力でB2昇級を決めている。だが、それでも同期の活躍を目の当たりにしては満足のいく成果をあげたとは言えないだろう。渇望しているのはタイトル戦優勝の座。この、特昇リーグでも簡単に後輩に負けるわけにはいかない、そう思っているはずだ。
1本場、その一井が更なる攻勢に出る。
一万一万二索三索四索一筒一筒六筒七筒八筒  加カン白白白白  ドラ一万
テンパイ打牌となった二万に他家の視線が一斉に注がれた。というのも、一井はこの数巡前に四万を手出ししているのだ。全員がこの瞬間に、一井が一万をトイツ以上で持っていることを確信しただろう。
更に、この時下家に座っている中村の手牌はこうだった。
一万三万七万七万八万一索一索七索八索九索七筒八筒九筒
一井の放った二万を鳴き七万を切れば、片アガリだが7,700のテンパイである。一井のテンパイ気配を感じ、打点も決して悪くなく、余剰牌も比較的安全。鳴くには十分すぎるほどの材料が揃っているが、この時中村は二万を鳴くことを良しとはしなかった。
急所はここではないと思っているのだ。鳴いて形を他家に悟られるよりも、先に九万を入れてのカン二万待ちに魅力がある、対局後に中村はそう語っていた。
中村は、先日V7という対局で7回連続勝ち上がりを達成したことで話題となった。第23期チャンピオンズリーグの覇者でもあり、勝負強さは抜群である。メリハリのある攻守の切り替えが持ち味で、突出した武器はなくとも総合的な実力では若手の中では頭ひとつ抜きんでている。
中村の読み通り、山に眠っていた二万をすぐに引き入れ、自力でテンパイを果たしたが、九万が場に出ることはなく流局となった。
東1局2本場、局面は動いた。ファーストテンパイを入れたのは斉藤。
三万三万五万五万五万七万八万九万七筒八筒九筒東東  リーチ  ドラ八筒
未だ5巡目。東でアガることができれば打点としては申し分ないだけに、斉藤の手に力が入る。だが、他家も楽はさせてくれない。
10巡目、親の一井
一万二万三万四索五索一筒一筒一筒三筒五筒六筒八筒八筒
ドラ2枚持ちの1シャンテンである。オリるつもりはないとばかりに、生牌の白をノータイムでツモ切る。これに反応したのは吉野。
一索一索七索八索九索中中  ポン白白白  ポン南南南
こうなっては吉野もオリるはずがない。誰がチャンス手をものにするのか、3者の摸打に一層緊張感が強まった。
決着が着いたのは2巡後。一際高くツモの声を発したのは、吉野だった。一索を手元に置き2,000・4,000。
斉藤は表情にこそ出さなかったものの、肩が静かに落ちた。放銃という最悪の結果にはならなかったが、中村との差を縮めるチャンスをひとつ失ったのだ。それは一井も同様だった。
そんな2人に東2局、親の中村が追いうちをかける。
三索三索五筒六筒七筒東東  ポン白白白  ポン発発発  ドラ五索  ツモ東
この4,000オールだ。
落胆する暇もない。1本場10巡目、親の中村の口からリーチと声が出た。
一井、斉藤共に戦える手牌ではない。これ以上中村の独走を許すわけにはいかない。そう思ってはいても、2人にはオリて耐えることしかできなかった。
そして、中村からリーチの声が掛かるまではマンズのホンイツを狙っていた吉野は、ドラを引きこの形、
三万四万五万六万六万八万九万二索発発  ポン白白白  ドラ二索
唯一戦えそうな吉野だが、果たして発が鳴けたらドラを切り勝負するのだろうか。ただ、このドラの二索は中村の待ち牌なのだ。
二万三万四万一索三索五索五索七索八索九索二筒三筒四筒
中村がリーチ前に少考したのは、このリーチにはリスクがあるからだ。他家をオロしてツモることができれば2,000オールだが、如何せんドラのカンチャン待ちでは出アガりは期待できない上、押し返された時に弱い。ただ、吉野がマンズで染めているのならドラも出るだろう、そう思いリーチに踏み切ったのだ。
確かに注文通り、吉野はドラを引いた。だが、これが誤算だった。吉野はこの後、なんとドラを2枚引き暗刻となりテンパイ。
三万四万五万六万六万二索二索二索発発  ポン白白白  ドラ二索
こうなっては中村に勝ち目はない。発を掴み満貫の放銃となった。
リスクは承知で抑えこみにいってのリーチなのだから悪いとは言い切れない。しかし、対局後本人が悔いていたように、やはりこのリーチは不要であっただろう。これは全員が優勝を狙う決勝戦なのだから。
東3局 前局放銃という結果になったが、中村の勢いが落ちない。
三万四万五万六万七万八万五索五索六索八索六筒七筒八筒  ドラ南
5巡目にしてこのテンパイである。当然のようにヤミテンに構える。更に次巡五索をツモると、三色はなくなるが好形でリーチを打った。
三万四万五万六万七万八万五索五索五索六索六筒七筒八筒  リーチ
これに飛び込んだのが斉藤。斉藤は中村の1期後輩の28期生である。リーグ戦やタイトル戦では突出した結果こそ出ていないものの、平均的にかなりの好成績をキープしている。だからこそ斉藤はこの決勝で勝ちたいはずだ。斉藤の安定力はリーグ戦でこそ真価を発揮する。麻雀に対する強い熱情も持っている斉藤は、早く上のリーグで戦いたい、そう思っているはずだ。
※尚、斉藤は決勝メンバーの中で唯一準優勝や3位でも意味を持つ(準優勝ならC1リーグ、3位ならC2リーグへ特別昇級)。
ただ、この放銃を見る限り、その勝ちへの執着が少し焦りを生んでいるのかもしれない。
一方、中村は、放銃直後のアガリで気分が悪かろうはずがない。2着だが、一井、斉藤が原点から大きく沈んでいる為、このままこの半荘が終わればかなり大きなアドバンテージを得ることになる。
そんな中村に待ったを掛けたのが吉野だった。
南2局
二万三万四万五万六万七万九万九万九万東東白白  ドラ一索  ツモ東 2,000・4,000
南3局
二万三万四万五万六万一索二索三索三筒三筒四筒五筒六筒  ドラ南  ツモ四万 700オール
南3局1本場
六万六万八万八万二索四索四索八索八索七筒七筒発発  ドラ三筒  ロン二索 2,400(+300)
この3連続アガリで、持ち点は一気に60,000点を越えた。その後は一井と斉藤もアガリ、中村の独走に歯止めを掛けた。
1回戦結果
吉野:+36.5P 一井:▲6.2P 中村:▲8.6P 斉藤:▲21.7P
トータルポイント
中村:+191.3P 一井:+157.4P 斉藤:+157.3P 吉野:+68.0P
 
2回戦(起家から吉野、一井、斉藤、中村)
1回戦で大きなトップを取った吉野は上位3人と50ポイント前後の点差を縮めたことになる。つまり、単純に考えれば同じことをあと3回やれば優勝できることになる。
吉野はリーグ戦がマイナス成績だったことで残念ながら特昇権利はない。モチベーションを高く持つのは大変だが、吉野はプロ意識が高い為、緩むことはないだろう。それに、このままライバル視する中村を簡単にB2に送り出すわけにもいくまい。もしここで逆転優勝を叶えることができれば、大きな自信がつき今後の対局に間違いなく活きるはずだ。
東1局
どうしても連荘したい吉野の配牌は
三万四万七万九万一索二索九索三筒六筒西西北白白  ドラ二筒
うまく寄れば高打点にもなり得る、悪くない配牌だ。吉野はここから打六筒とした。そしてその後出た白をスルー。
落ち着いているが、ここは上家の中村にプレッシャーを掛ける為に鳴く手もあったか。ここは雀風によるところだろう。
だが、この手が中々思うように寄らない。そして、斉藤は6巡目にテンパイ。
三万四万五万七万七万二索三索四索七索八索三筒四筒五筒
ドラ引き、又は五索を引いて三色が確定したらリーチといく腹だろう。無論、その間アガリ牌が場にこぼれればアガるはずだ。
ただ、この六索九索がなかなか顔を出さない。そして13巡目、誰もがいやがる中村のリーチが飛んできた。
四万五万五索六索七索七索八索九索二筒二筒二筒八筒八筒  リーチ
ドラが暗刻の強烈なリーチ。斉藤もトータルトップ目の中村がリーチを掛けてきているのだから、役なし良形、又は高打点のどちらか一方は当てはまるであろうことを想定しているはずだ。
だが、斉藤にとってはここでオリる理由がない。当然ヤミのまま押し続ける。
それを見た一井、吉野もここは斉藤を応援していたはずだ。
だが、ツモの発生は中村だった。
四万五万五索六索七索七索八索九索二筒二筒二筒八筒八筒   リーチ  ツモ六万 2,000・3,900
またもや先行する中村を追うことになってしまった3人。だが、中村に安心できるほどのリードを与えたわけでもない。東2局、斉藤はテンパイすると、即座にリーチと打ってでた。
六万七万八万一索二索三索四索五索六索七筒七筒南南  リーチ  ドラ九索
リーグ戦ならおそらくリーチは掛けないだろう。理由は冒頭のピンフのみでリーチを掛けるか否かで述べた通りだ。このリーチの打点は1,300~4,000で、押し返された時のリスクを考えると得られるリターンが大きいとは思えない。もし七筒を拾える自信があれば話はまた変わるのだが、本局に限ってはそういった情報も河にはない。
斉藤の狙いは中村の足止めで、出アガリは期待していないということであろう。
ただ、代わりに前に出たのは親の一井だった。
三万四万五万七索八索九索四筒五筒九筒九筒東東東  ツモ六筒
一井は12巡目にこの3,900オールを決め、中村を追う1番手に浮上した。斉藤としても、放銃にならずに中村の点数が削られたことを考えれば、悲観するほど悪い結果だったとは思っていないはずだ。
そして次局、いよいよ中村に勝負所がやってきた。
東2局1本場 西家中村の3巡目手牌
一万二万三万七万八万九万二索三索四索二筒四筒白白  ドラ四索
役なしカンチャンのテンパイである。1回戦親番の時とは形が似ているようで違う。雀頭が翻牌であることも大きく、ここはヤミテンに構える。
そして、親の一井が12巡目に追いつく。
一万一万四万五万六万六索七索八索四筒五筒中中中  リーチ  ドラ四索
こうなると、中村としても勝負にいきづらい所だが、この瞬間に中村の手元に四万が来た。一万を切れば確定三色となり、役あり5,200ならば危険牌を押す価値もある。
もし中村が追う側ならほとんどオリることはないだろう。しかし、リードする側は押し引きに選択の余地がある。有利である反面、選択を間違い敗因を作ることもあり得る。
そして、導かれるように次巡中村の手に完全無筋の七索がきた。
ドラ筋だからといって、放銃した時の打点が安いとは限らない。複合形でドラを使われている場合には7,700~12,000は覚悟しなければならない。
中村が長考に沈んだ。高打点の放銃をすればトータルポイントで逆転してしまう。一井の河は何度見ても、待ちを推測するだけの十分な情報は落ちていない。押すか引くか、ただそれだけのことだが、その選択が終局までの運命を決めてしまうことも麻雀には往々にしてあるのだ。
そして中村が意を決して河に牌を放った。その牌は七索。通った。
そのごほうびだろうか。次巡、中村の手に三筒が舞い降りた。
南1局 まだ2半荘目だが、吉野にとってはラストチャンスだろう。この親番を簡単に落としてしまえば優勝は非現実的なものとなってしまう。
四万六万三索四索二筒三筒四筒六筒六筒六筒八筒南中  ドラ六索
吉野は5巡目、この形から五万をチーした。確かにドラは無く、連荘しなければならないという点を考えれば鳴く気持ちもわかる。鳴けばアガれる可能性は非常に高いだろう。ただ、マンズが変化すれば234の三色も狙えるだけに、この形から鳴くのは若干もったいないようにも感じる。
ただそれはあくまで外から見たものの意見だ。この鳴きは、このまま終われないという吉野の意地がそうさせたのだ。
この後、吉野は3本場まで粘るが、原点を下回ったまま親権を落としてしまう。
2回戦結果
中村:+24.3P 一井:+5.4P 斉藤:▲12.0P 吉野:▲17.7P
トータルポイント
中村:+215.6P 一井:+162.8P 斉藤:+145.3P 吉野:+50.3P
 
3回戦(起家から斉藤、中村、一井、吉野)
東1局 斉藤が優勝する為には自身が浮き、中村を原点以下に抑えるのが必須。その上で可能な限り点差を広げたい。そんな斉藤にチャンス手が入った。
三万四万五万二索三索四索七索八索二筒二筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ三万
7巡目のリーチで、高めの六索をツモれば3,900オールだ。そうなれば反撃の狼煙としては十分である。中村はテンパイが入っていない限りは押してこないだろう。悠々とツモればいい。
しかし、ここで斉藤に立ちはだかったのは中村ではなく一井だった。
三万四万五万一索一索五索六索六索六索七索中中中  ロン一索
斉藤から3,200の出アガリである。一井にとってはアガるのが自然だ。もしこれを見逃したとして良い結果を生むことはほとんどないだろう。ただ、このアガリで一井以上に喜んだのが中村である。
東2局 一井が早々に切ったドラの発を斉藤が鳴いた。
四万五万六万三索三索七索八索八索九索九索  ポン発発発  ドラ発
これを見た瞬間、中村はすぐに撤退する。中村が親の為、斉藤がツモることができれば親被りをさせることができる。だが、一井の河にこぼれた七索を斉藤は掬った。
本局に関してもアガるのが自然だ。斉藤はもちろん優勝を最後まで狙うが、最終的に優勝が非現実味を帯びた場合準優勝狙いにシフトする為、斉藤にとっては一井も浮上させるわけにはいかないのだ。ただ、この局も中村の失点はゼロである。
そして南2局、決定打が出た。
三万四万五万六万七万八万二筒二筒三筒三筒四筒四筒五筒  ツモ五筒  ドラ八索
中村のこの2,600オールで大勢は決した。
3回戦結果
中村:+22.5P 吉野:+5.9P 斉藤:▲4.6P 一井:▲23.8P
トータルポイント
中村:+238.1P 斉藤:+140.7P 一井:+139.0P 吉野:+56.2P
4回戦結果
中村:+22.6P 斉藤:+7.5P 一井:▲8.7P 吉野:▲22.4P
トータルポイント
中村:+260.7P 斉藤:+148.2P 一井:+130.3P 吉野:+33.8P
こうして特昇リーグの決勝の幕が下りた。
トータルポイントだけみればかなりの開きがあるが、2回戦での結果如何では最終結果はまったく別のものとなっていたかもしれない。
ただ、この日の中村は押し引きの精度が非常に高く、優勝者にふさわしい戦い方を実践していたと言えるであろう。
これで来期B2リーグで戦うことになった中村、「1期で降級しないようにがんばります」とは言っていたが、おそらく昇級戦線に食い込んでくるはずだ。
今回敗れた一井も、リーグ戦昇級により来期B2で戦える為、次は中村にリベンジをすべく調整してくるだろう。
斉藤は4回戦で一井に競り勝ちC1昇級の権利を手にした。吉野は残念であったが、地力はあるので本場所のリーグ戦で来期は奮起するだろう。
さて、この特別昇級リーグだが、以前存続が危ぶまれたことがあった。それはリーグ参加者のレベル低下を懸念してのものだ。
”いや、そんなことはない、特別昇級リーグ参加者の中には有望な若手がいる”と声を大にして言う為には、特昇権利を勝ち取ったものが技術向上への意欲を持ち続け研鑽し、また公式戦で結果を出さなければならない。
今回決勝に残ったものはそれができるはずだ。そして来期以降登場する特昇リーグ参加者もそうあってほしい。
”いつかこのリーグ出身者から鳳凰位が誕生することを願って”

第4期両毛カップ太田リーグ(プロアマ混合) 第5節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 森田 雅博 一般 ▲ 3.7 43.2 54.0 101.0 194.5
2 沢崎  誠 プロ 64.4 68.0 ▲ 24.4 2.3 110.3
3 中津 真吾 プロ ▲ 5.5 22.0 23.0 ▲ 9.0 58.2 88.7
4 笹岡 一生 一般 ▲ 7.8 70.6 2.5 21.8 87.1
5 高沢 雅 プロ 12.4 27.4 28.7 13.5 82.0
6 小林 晃 一般 18.1 ▲ 59.1 40.0 36.8 38.8 74.6
7 国定 功修 一般 ▲ 7.5 6.6 30.5 39.3 68.9
8 小坂 智徳 一般 59.6 47.6 ▲ 2.6 ▲ 41.5 63.1
9 福田 栄司 一般 ▲ 23.0 15.6 ▲ 25.9 76.1 12.4 55.2
10 重原 聡 プロ 19.5 ▲ 17.6 54.8 ▲ 5.9 50.8
11 小林 正和 プロ 1.5 8.8 ▲ 40.1 10.1 34.8 15.1
12 岩間 寿樹 一般 38.3 ▲ 31.9 22.3 61.2 ▲ 77.0 12.9
13 髙橋 信夫 プロ ▲ 18.4 37.7 ▲ 5.4 14.0 ▲ 22.9 5.0
14 桝井 律男 一般 73.8 10.6 1.2 ▲ 64.3 ▲ 65.0 ▲ 43.7
15 茂木 博 一般 37.1 ▲ 79.9 ▲ 22.7 20.1 ▲ 45.4
16 水掫 文浩 一般 ▲ 5.5 0.3 17.8 ▲ 70.9 ▲ 58.3
17 堰合 正治 一般 ▲ 37.1 13.6 ▲ 16.1 ▲ 28.2 ▲ 67.8
18 桧山 拓 一般 17.9 0.0 7.4 ▲ 108.8 ▲ 83.5
19 吉田 幸雄 プロ ▲ 17.5 ▲ 49.6 ▲ 51.8 ▲ 19.5 34.9 ▲ 103.5
20 石田 守 一般 ▲ 24.0 ▲ 26.5 22.9 ▲ 89.9 ▲ 117.5
21 高月 章男 一般 ▲ 43.6 ▲ 79.7 ▲ 123.3
22 大里 幸弘 一般 ▲ 69.4 ▲ 68.4 14.8 27.9 ▲ 41.4 ▲ 136.5
23 桑原 俊之 一般 ▲ 76.2 ▲ 15.2 ▲ 81.3 ▲ 172.7

北関東プロリーグ 成績表/第4期両毛カップ太田リーグ(プロアマ混合) 第5節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 森田 雅博 一般 ▲ 3.7 43.2 54.0 101.0 194.5
2 沢崎  誠 プロ 64.4 68.0 ▲ 24.4 2.3 110.3
3 中津 真吾 プロ ▲ 5.5 22.0 23.0 ▲ 9.0 58.2 88.7
4 笹岡 一生 一般 ▲ 7.8 70.6 2.5 21.8 87.1
5 高沢 雅 プロ 12.4 27.4 28.7 13.5 82.0
6 小林 晃 一般 18.1 ▲ 59.1 40.0 36.8 38.8 74.6
7 国定 功修 一般 ▲ 7.5 6.6 30.5 39.3 68.9
8 小坂 智徳 一般 59.6 47.6 ▲ 2.6 ▲ 41.5 63.1
9 福田 栄司 一般 ▲ 23.0 15.6 ▲ 25.9 76.1 12.4 55.2
10 重原 聡 プロ 19.5 ▲ 17.6 54.8 ▲ 5.9 50.8
11 小林 正和 プロ 1.5 8.8 ▲ 40.1 10.1 34.8 15.1
12 岩間 寿樹 一般 38.3 ▲ 31.9 22.3 61.2 ▲ 77.0 12.9
13 髙橋 信夫 プロ ▲ 18.4 37.7 ▲ 5.4 14.0 ▲ 22.9 5.0
14 桝井 律男 一般 73.8 10.6 1.2 ▲ 64.3 ▲ 65.0 ▲ 43.7
15 茂木 博 一般 37.1 ▲ 79.9 ▲ 22.7 20.1 ▲ 45.4
16 水掫 文浩 一般 ▲ 5.5 0.3 17.8 ▲ 70.9 ▲ 58.3
17 堰合 正治 一般 ▲ 37.1 13.6 ▲ 16.1 ▲ 28.2 ▲ 67.8
18 桧山 拓 一般 17.9 0.0 7.4 ▲ 108.8 ▲ 83.5
19 吉田 幸雄 プロ ▲ 17.5 ▲ 49.6 ▲ 51.8 ▲ 19.5 34.9 ▲ 103.5
20 石田 守 一般 ▲ 24.0 ▲ 26.5 22.9 ▲ 89.9 ▲ 117.5
21 高月 章男 一般 ▲ 43.6 ▲ 79.7 ▲ 123.3
22 大里 幸弘 一般 ▲ 69.4 ▲ 68.4 14.8 27.9 ▲ 41.4 ▲ 136.5
23 桑原 俊之 一般 ▲ 76.2 ▲ 15.2 ▲ 81.3 ▲ 172.7

第29期チャンピオンズリーグ 決勝観戦記 藤島 健二郎

過去のチャンピオンズリーグの観戦記を調べていくと、第3期と第4期を自分が担当していた。懐かし半分に読み返してみると、生意気な若輩者が批判じみた描写を交え、駄文をつらねていた。今から13年前のことである。

当時はどのプロ団体にもホームページなど無く、連盟の報も主にプロ連ニュースという名の紙媒体だった。
原稿も手書きであったし、編集などのやり取りもファックスを使用していた記憶がある。

あれから私自身の麻雀感はどれくらい進歩しただろうか。
この十余年の間、少なくとも麻雀界は確実な進化を遂げてきた。

ロン2や麻雀格闘倶楽部の通信対戦の立ち上げに始まり、採譜のPC化並びに牌譜機能の充実、また連絡手段も書物の郵送から携帯端末へのメール伝達が主流になるなど、あらゆる方面でいわゆるデジタル化が進んだ。
そしてその最たるものが麻雀対局の映像化である。

今や麻雀界は完全に映像の時代となった。それに伴い戦いの場は増加、他団体のタイトル戦を含めた試合の日程は可能な限り調整され、今や毎週のように何かしらの対局が行われている。
世間が慌ただしい暮れから1月にかけてもそれは同様であり、例えば私のような一般の連盟員であればまずはリーグ戦の最終節があり、最高位戦主催の發王戦、チャンピオンズリーグの最終節に予選を抜ければトーナメント戦へと続く。また地方在籍の者にとってもそれぞれのリーグが決定戦を迎えるのも今の時期である。

一方で観戦側としても誰もが胸を熱くさせたAリーグの昇降級に始まり、麻雀日本シリーズやロン2カップまた対局番組としては麻雀Battle of generationなども必見である。そしてこの時期はなんと言っても鳳凰位決定戦が控えている。

そんな隙間に入り込むように行われた後期チャンピオンズリーグ決勝は、連盟の全体像を踏まえればやや注目度は低いのかもしれない。それでも新人や若手、または実績のない私のような連盟員にとっては最も身近かつ意義のあるタイトル戦である。

ただし、チャンピオンズリーグという舞台は「所属リーグの垣根を越えた戦い」でもある。どうしても選手のキャリアによってモチベーションに差が生まれる背景がある。下位リーグの打ち手はあがってナンボ勝ってナンボの意識が強くなるため打牌自体はラフになりやすく、上位の者にとっては難しい局面が増える傾向にある。”麻雀の質”としては多少ゆがむことは性質上否めない。

そういった側面もあり、実際にチャンピオンズリーグの決勝面子にはリーグ格差が生じることが多い。参加人数の関係もあるが、過去28回の中でAリーガーが1人も残れなかった回が9度。今回のようにA1人のケースは14度(A2人は5度)あるが、実際にAリーガーの優勝はうち半分の7勝に止まっている。

ともあれ29期決勝にもAリーグのスター選手が1人勝ち上がった。

今回の決勝で大本命を背負うAリーガーは山田浩之。先日のAⅡ最終節で最後まで昇級を争ったことは記憶に新しい。
AⅠ所属歴もあり、現在も実況・解説・運営に講師までこなすプロ連盟の花形プレーヤー。
第19期チャンピオンズリーグ優勝。17期39歳AⅡ所属。
100

 

野方裕介は今期の十段戦のファイナリスト。徹底した鳴きから先手をとるスタイルで存在感を存分に示している。今回の決勝でもキーマンとなることは間違いない。トーナメント巧者が頭取りの決勝でどんな戦いを見せるか。
18期36歳CⅡ(来期CⅢ)所属。
100

 

阿部謙一は一昨年の十段戦にて初段戦から八九段戦まで勝ち上がった実績がある。ただ決勝進出どころか映像対局が初めてであり、その点では3者に比べてハンデを背負うことが予想される。既婚者で子供2人。28期36歳DⅢ所属。
100

 

福島佑一は最強戦プロ代表決定戦の決勝に乗ったことがある。当時や勝ち抜きバトルV7などでも映像対局は経験している。ただなんと言っても彼の特徴は、将棋や囲碁がプロ並みの腕前であること。とてもクレバーな打ち手であるという印象があり、性格もとにかく真面目。
29期26歳DⅠ所属。
100

 

山田以外の3名はここまでの勝ち上がりは立派の一言に尽きる。ただ展開をどう想定しても、山田対3者という図式しか思い浮かばなかった。それほど山田の能力は突出している。最初から山田の”相手”は誰になるかが焦点となる。

100

1回戦(起家から山田・野方・阿部・福島)

東1局から各者興味深い選択を迫られる。
まずは阿部の6巡目

一万二万三万五万七万七万八万五索七索七索五筒六筒七筒北??ドラ四索

三色や一通が見えるが二度受けながらピンフの1シャンテンでもある。しかし素直に打北とせず阿部の打牌は七万。2飜役を天秤にかける構えだ。
結果は、ツモ六万から9巡目のツモ九万でアガリ逃し。ここから高め一通のフリテンリーチと打って出る。ただ志しは高い。

一万二万三万五万六万七万八万九万七索七索五筒六筒七筒

一方、北家・福島の8巡目の手牌

五万六万七万四索四索七索八索二筒二筒三筒三筒六筒七筒八筒

ドラ2枚の明確な勝負手であり二筒or三筒の二択である。福島は打三筒を選択も次巡のツモは無情にも三筒。山田に即九索をツモ切られてアガリ逃しも、12巡目に一筒四筒テンパイにはこぎ着ける。

また、南家・野方は2巡目にすでに七対子の1シャンテン。4巡目

一万八万八万九万一索一索五索四筒四筒六筒六筒八筒北北

ここから野方の選択は打一万。しかし自然な外寄せをチョイスできれば

一万八万八万一索一索八索八索四筒四筒六筒六筒北北??ツモ一万

このアガリが10巡目にあったかもしれない。

そして親の山田

配牌
八万二索六索一筒一筒一筒三筒四筒五筒五筒九筒九筒南発

この手が三色になるのだから麻雀はおもしろい。
ただここは山田の丁寧さが光った1局。
ホンイツも見て打八万から入るのだがドラの四索を引くと普通の面子手へとシフト。

二万三万四万二索四索二筒三筒四筒九筒九筒??暗カン牌の背一筒 上向き一筒 上向き牌の背??リーチ??ツモ三索

100

3者のもたつきを尻目にこの4, 000オールをものにした。
上手く打てればアガリがあった3者に対し、完璧に打った山田の親はこの後約30分続く。
立ち上がり早々自分の時間帯をつくり、持ち点も6万オーバーとなる。

同5本場でも

七万八万九万七索八索九索一筒二筒三筒五筒五筒七筒八筒??リーチ

この高め三色で先制。
しかしこれに立ち向かったのが阿部だった。
阿部は2巡目に

二万二万五万六万七万七万八万九万四索五索六索一筒三筒

役なしテンパイから4巡目のツモ六筒でテンパイ外し。
ここからツモ六万でまずはタンヤオ形に、ツモ五筒でタンピンテンパイ、そしてツモ七索で高め三色となったところでリーチ。山田の親リーチに真っ向勝負で高め撃ち取りに成功。

二万二万五万六万六万七万七万八万五索六索七索五筒六筒??リーチ??ロン七筒

100

ひとまず山田の独走阻止となった。
この場面は山田の親落としをテーマとするのが一般的な思考である。普通ならカン二筒の300・500かリーチで500・1,000になっている打ち手が多いように思う。阿部の構えが際立った局だった。

東2局1本場、野方3巡目に後付けぎみの仕掛けで三索をポン。
この鳴きの直後、阿部が絶好の一索四索待ちで高め三色リーチ。

一万二万三万四万四万二索三索一筒二筒三筒七筒八筒九筒??リーチ??ドラ七筒

局面のアヤと言ってしまえばそれまでだが、山田は野方の三索ポンによってワンチャンスとなった一索しか選びようがなく、これが高めにジャストして8,000は8,300。
この瞬間、明らかに潮目が変わった。私のメモには「対抗は阿部に」と記された。

南1局、西家・阿部は

四万五万七万二索二筒四筒五筒六筒七筒東西西北??ドラ四筒

ここから自風の西を2枚見送り。するとツモが効く。
10巡目のテンパイとらずを経て、12巡目になんとタンピンドラ3のテンパイ。

四万五万五万六万七万三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒

またも捌き手かもしれない手牌を本手へと変貌させる。
16巡目に役なしテンパイをしていた野方が、当たれないロン牌をチーして安全な形式テンパイへ。するとその動きで阿部が3,000・6,000。

100

親は山田。阿部はなんと一時は5万点近く差のあった山田をあっという間に逆転。
野方の鳴きがまたしても山田を苦しめる1局となった。

阿部は続く南2局でもわずか6巡で1,300・2,600と完全に波に乗る。

三万四万五万七万八万九万六索七索二筒三筒四筒六筒六筒??リーチ??ツモ五索??ドラ五索

そして迎えた南3局親番阿部、11巡目。
2枚目の発をポンしたにも関わらず、阿部の選択は雀頭落としのテンパイとらず。

六万七万二索四索四索四索一筒一筒五筒六筒七筒??ポン発発発??打一筒 上向き??ドラ二索

しかし今回はこれがアガリ逃しの緩手となり、さらには有効牌であった三索を食い下げ福島に初アガリを献上となった。
ここはポンならドラ切りの一手であったように思う。ただこのような少しスピード感のない組み方が、逆に阿部の長所であるようにも思える。

南4局、しかし前局の因果か福島が息を吹き返し、

五万六万七万七万八万九万五索六索六索七索七索五筒五筒??リーチ??ツモ五索??ドラ八索

この2,600オールをアガると、続く1本場でも阿部のリーチのアタリ牌を全て吸収し、全ツッパの構えから16巡目にリーチ。

二万三万四万三索三索三索四索五索六索七索八索三筒四筒??リーチ??ドラ一索

惜しくも流局となるが、福島はテンパイ料でラス抜けとなる。
肝を冷やしたであろう阿部であるが、やはり親の落とし方やこのオーラスの立ち回りには少し不安は残った。

南4局2本場、その隙をつくかのようにやはり山田が来た。

四万六万九万二索八索一筒三筒六筒七筒東南発発

この配牌が

一筒三筒五筒六筒七筒発発??ポン南南南??ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き

瞬く間にこのテンパイ。12巡目ツモ五筒での待ち選択も山田は打一筒
愚形だけにスジにかけたくなるし、何より手出ししなくて済むので五筒ツモ切りがマジョリティか。しかし待ち変えから見事にカン四筒を引き当て、2,000・4,000 。結局山田がトップに返り咲き初戦が終了した。

1回戦
山田+28.2P 阿部+16.8P 野方▲24.5P 福島▲24.5P

 

2回戦(起家から福島・山田・阿部・野方)

東1局、例のごとく野方の仕掛けから始まったが、ドラ2枚の山田はスピードで対抗、福島・阿部も対応しながら打牌していくのだが、阿部はノーリスクで最も高い手に…。
全員テンパイで流局も、阿部だけ野方の仕掛けの恩恵を受けている印象が残った。

東2局1本場、子方3者が中盤には皆テンパイを果たす。
南家・阿部

六索七索八索二筒四筒東東中中中??ポン南南南 5,200

西家・野方

一万二万三万四万五万六万四筒四筒西西??チー六筒 上向き七筒 上向き八筒 上向き 3,900

北家・福島

六万七万二索三索三索三索四索四索五索六索二筒三筒四筒??リーチ 7,700

親山田の手牌

一万二万三万四万五万五万六万三筒三筒五筒六筒六筒東東

この手詰まりから打五万

100

まっすぐ行った結果ではあるが、最も高い7,700を放銃。野方のチーでアタリ牌を掴まされた格好となる。これは少しダメージが残りそうだと感じた。

南2局、福島は2枚目の白スルーからドラを重ねると12巡目に

一索二索三索四索五索六索八索九索四筒四筒六筒七筒八筒??ドラ四筒

この8,000テンパイ。すると野方が形式テンパイへ向かうチー。一方、タンヤオドラ1でテンパイしていた阿部かツモ切りリーチを敢行。

二万三万四万三索三索二筒三筒四筒五筒五筒五筒七筒七筒??リーチ

一索五索が自分の河に切られ三色手変わりがフリテンになることや、ツモ切った宣言牌がスジにかかることも理由としてあるが、決勝を戦っている構えとしては良い判断に映った。
一方、親の山田も選択を迫られるがピンズを打ち切れず、テンパイとらず。山田は少し押せなくなっているか。
結局、野方の動きでロン牌がまわってきた福島から阿部へ5,200。

100

阿部の決断も見事だったが、福島は数少ない勝負手だっただけに痛恨の放銃となる。

南4局、この回ラス目の山田が魅せる。
5巡目

一万二万三万三万四万五万五万九万六索七索八索西北北

ここからの何と打六索。これが10巡目には

一万二万三万三万三万四万五万五万九万九万九万北北

このメンホンテンパイ。さすがとしか言いようがない。

しかしアガリトップの阿部、親の野方から同時にリーチがかかる。
安めながら山田が野方のロン牌を掴み放銃。

二万三万四万六万六万二索三索四索三筒四筒発発発??ロン五筒

これで野方がトップ目に。

南4局1本場、阿部の5巡目。

一万二万二万三万四万六万六万七万八万四索五索六索五筒五筒??ドラ二万

二万か打六万、または打一万のとらずの三択。阿部の選択は六万切りリーチ。
これはうまく打てれば色んなアガリがあっただけに微妙な判断であったが、3者対応の阿部1人テンパイ。テンパイ料でトップ逆転となる。

2回戦成績
阿部+14.2P 野方+7.6P 福島▲5.9P 山田▲16.9P

2回戦終了時
阿部+35.0P 山田+11.3P 野方▲16.9P 福島▲30.4P 

 

3回戦(起家から山田・阿部・野方・福島)

東2局3本場
山田配牌

三万四万五万五万六万七万七万九万八索九筒東南発

ここから得意の寄せ。15巡目

二万二万二万三万三万四万四万五万五万六万七万七万九万

カン八万のメンチンテンパイ。一方、親の阿部の14巡目。

一万二万三万六万六万七万八万八万三索四索六索六索二筒三筒

このターツ選択から打六万八万が浮いた。阿部はテンパイすれば八万が飛び出すはずだったが…
よもやのツモ八万でそれを回避、打六索とした。
またも阿部を押し上げるような牌の巡り合わせ。この局は終盤に福島が300・500は500・700。

東3局3本場、ドラの発をポンできた親の野方の12巡目

七万八万九万七索九索一筒二筒三筒八筒八筒八筒??ポン発発発

ここから打八筒のカン八索を選択。待ちは絞り辛く見え、さらには河に五索が置かれている。
そんななか阿部の手牌に八索が浮いていたが…飛び込んでしまったのは福島。テンパイからのツモ切り放銃だっただけに責められないが、またしても阿部は助かった形。
福島にはキツい11,600。この時点で野方はトータル2位に浮上した。

東4局、野方の仕掛けに阿部が被せていき6巡目にリーチ。

六万六万四索五索六索六索七索七索八索八索七筒八筒九筒??リーチ??ドラ七筒

それを受けて野方の選択

二万二万二万三万三万六万七万七万??ポン南南南??ポン発発発

ここから打七万。しかし次々巡のツモが無情にも七万…。
こうなるとアガるのは阿部。安めながら福島から3,900。

南3局1本場、親の野方は4巡目にドラドラの1シャンテン。

五万五万七万八万二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒五筒白??ドラ三筒

しかしここから一向にテンパイせず、ようやくテンパイしたのが16巡目。最後は四暗刻への手変わりで

五万五万五万七万七万七万二筒二筒三筒三筒五筒五筒五筒

この牌姿になるも流局。
ただ野方の河には八筒九筒中と暗刻かぶりが3種、つまり暗刻が6個できていたことになる。さすがに捕らえるのは酷か。

南4局、3着目の福島、4巡目に高め2, 600オールのメンタンピンで先制。

四万五万五万六万六万七万四索四索二筒三筒四筒五筒六筒??ドラ北

一方ラス目の山田、11巡目に手が止まる。

一通の崩れる三筒引きでピンフのみのテンパイ。

100

六筒九筒は親リーの現物、七筒八筒は共に無スジ、そして点棒状況が山田21,400点、福島27,100点(野方37,100、阿部34,400)
一般的な思考としては八筒切りのヤミで1人沈みを阻止しにいくところか。
しかし山田の選択はリーチだった。3着目の親がリーチ棒を出したことにより700・1,300か2,000の直撃で3着に浮上できる。

結果は福島が即六筒を掴み、山田見事なラス抜け。
ただポイント的には阿部が1人抜け出した。

3回戦成績
野方+15.1P 阿部+8.4P 山田▲9.6P 福島▲13.9P

3回戦終了時
阿部+43.4P 山田+1.7P 野方▲1.8P 福島▲44.3P

 

4回戦(起家から野方・福島・阿部・山田)

残り2回。山田・野方はこの回で阿部を沈めるか、自身がトップを取らないと苦しくなる。福島はすでにその両方。

東1局、12巡目南家・福島タンヤオドラ1の先制リーチ。

四万四万四万五万六万七万五索五索二筒三筒四筒六筒七筒??リーチ??ドラ二筒

しかし直後の13巡目親の野方に追っかけられ、

四万五万六万九万九万七索八索一筒二筒三筒七筒八筒九筒??ロン九索

この5,800放銃。待ち枚数も有利、なおかつ現張りをリーチされ福島はさすがにキツい。

東3局、それでも福島ドラドラで8巡目リーチ。

一万一万四万五万六万七万八万九万三索四索五索八索八索??リーチ??ドラ八索

野方も14巡目に高め三色で追っかけ。

六万七万八万六索七索八索九索九索九索七筒八筒白白??リーチ

この局は印象的だった。七対子を決め打ちしていた阿部は

四万四万三索四索一筒一筒三筒三筒四筒四筒六筒六筒九筒

この牌姿からすでに一筒を落としてオリに回ったのだが、ほぼノーリスクで張り返し、切れずにいて残った九万がすぐに出て

四万四万九万三索三索三筒三筒四筒四筒六筒六筒九筒九筒??ロン九万

100

この2,400のアガリ。今日の阿部の調子を象徴するような1局だった。

南1局、9巡目、山田が魅せる。

一万二万二万三万五万七万八万八万八万九万九万一筒二筒三筒

カン六万のテンパイだが、山田はとらずの打三筒でチンイツへ。
六万を自力のあと三万をチーテンで、

二万三万五万六万七万七万八万八万八万九万??チー一万 上向き二万 上向き三万 上向き??ロン一万

100

メンツ落としからの色寄せがついに成就。野方から8,000。

続く南2局でも再び山田が魅せる。

配牌
三万五万五万一索二索四索八索五筒五筒五筒八筒八筒九筒??ドラ九索

序盤から縦一本に絞った見事な手順で10巡目

五万五万二索二索二索五筒五筒五筒八筒八筒八筒発発

この四暗刻テンパイ。山に発が2枚生きだったが…
脇にながれここは流局。

南3局1本場、6巡目山田。

四万五万六万七万八万六索六索二筒三筒五筒六筒七筒白白

3枚飛んでいる一筒四筒が良くないと判断しての何切るである。かなり時間を使っての打牌だったが山田の選択は打白
この牌姿で長考したのだから山田の第一感は二筒三筒外しだったということだ。その感覚には恐れ入る。
一方、親の阿部はこの回もトップ目だが9巡目、

七万八万三索三索七索八索九索五筒六筒七筒発発発??リーチ??ドラ二万

これでリーチ。優勝に向けて手を緩めない。

山田の河に白が3枚並ぶ…しかし対応して張り返し追っかける。

二万三万四万五万六万七万七万八万六索六索五筒六筒七筒

待ちは同じ六万九万。めくり合いかと思われたがドラドラの福島がテンパイ打牌で九万を河に…阿部の頭ハネは山田には痛恨。さすがに決まりかと思われる1局だった。

100

しかし続く南3局2本場、南家・山田メンツ手との葛藤の中、ノーミスでこのテンパイを組む。

7巡目
二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発??リーチ??ドラ七万

七万はヤマに1枚だけあるが、3者がオリにまわり流局かと思われた。
しかし山田の意地とプライドがこのドラ単をツモに導く。
執念の3,000・6,000。

100

山田がこのアガリで逆転トップ。現実的なポイント差まで追い上げての最終戦勝負となった。

4回戦成績
山田+20.9P 阿部+8.4P 野方▲0.2P 福島▲17.1P

4回戦終了時
阿部+51.8P 山田+22.6P 野方▲6.0P 福島▲69.4P

 

最終戦(起家から山田・野方・福島・阿部)

阿部と山田のマッチレースとなったが、その差は29.2P。

東1局、阿部10巡目ポンテン。

八索八索八索六筒六筒七筒八筒発発発??ポン四筒 上向き四筒 上向き四筒 上向き

しかし次巡、山田もポンテンで追いつき、

四万四万四万二索二索五索七索南南南??ポン中中中??ツモ六索??ドラ四万

この4,000オール。これでポイントはほぼ並びに。
この後山田は福島に3,900放銃も、東2局の1,000・2,000でついに阿部をトータルで逆転。

東3局、4巡目阿部

六索九索四筒四筒六筒南西北白白白中中

ここから中を一鳴き。正直微妙な仕掛けであるが、仕上がれば高くはなりそうか。
しかしこの直後、後のない福島の親リーチを誘発。受けぎみに字牌を並べていった阿部であったが、1シャンテンになったところで攻めに転じる。
そして14巡目

七索九索四筒四筒六筒六筒六筒白白白??ポン中中中

この5200テンパイ。しかし待ちである八索はドラ表示を含め3枚出ている。
それでも無スジを押し切ってラス牌の八索を捕らえる。

100

自身の微妙な動きに始まり親リーチを受け、オリやすい字牌の暗刻もある。そして現状、競りの相手ではない親との勝負は損だと考えてしまう場面だ。しかし決勝ではこういったアガリにも価値があるのかもしれない。
この5,200で阿部は浮きにまわって再逆転。

残りの東場は阿部・山田とも安手を1回ずつアガリ、南1局の山田の1人テンパイを経てその差は6.3P阿部がリード。

南1局1本場、野方の仕掛けから局面は動き、13巡目に山田がピンフテンパイ。続く14巡目に阿部がリーチ。

一索一索一索五索六索二筒三筒四筒六筒七筒八筒発発??リーチ??ドラ発

そしてその直後の山田。

一万一万五万六万七万七万八万九万四索五索六索五筒六筒??ツモ七索

高めに振り変わったとはいえ阿部の危険牌、というより実際に当たり牌。
山田、今日一番の長考に入る。

100

親番でピンフ三色テンパイだけに目をつぶって四索を押すか。
もしくは高めが薄いだけに一索四索待ちケアで七索を勝負するか…

どちらにせよ阿部の待ちは四索七索なので放銃となる。しかも打点もドラドラの5,200あり、直撃はほぼ優勝が決まる。
万事休すか…

そして意を決した山田が打牌を選んだ。

一万

なんと山田は阿部の当たり牌を止めた。

麻雀プロが長考するケースは難しい何切るを除けばオリる牌を探す時や、攻めるシーンでも行くべき理由を確認する時がほとんどである。
私は山田の長考は、七索切りヤミか四索切りリーチを迷っているものだと思っていた。

決勝直後に山田に聞いた。
「まず高めの七筒がないことが阿部君の宣言牌から明確だった。それにこの局面でリーチしてくる以上、ほぼドラは2枚で、5,200打ったら終わっちゃう。マンズ待ちはほぼ無いし、強いリャンメンは四索七索六筒九筒くらい。あと自分がピンズ失敗してるしね。」

決勝の最終戦、しかも最後の親番の佳境とも言えるこの局面。あまりにも正確な山田の読みに感服した。
しかもこの局、山田はしぶとく張り返す。自分の読みと立ち回りに自信があるからこそ無スジである二筒が最後に切れるのだと思う。

100

南1局2本場、それでも阿部の手は落ちない。4巡目に早くも七対子ドラドラの6,400テンパイ。待ちの一筒は2枚ヤマで全員が切りそうな状況。
しかし7巡目、山田が満を持してリーチ。それを受けて阿部も腹をくくってツモ切りで追っかける。
決勝戦らしいめくり合いとなったが…

100

手詰まりした野方の選んだ牌は阿部の当たり牌一筒
決定打となる8,000は8,600…

麻雀が時としてあまりに無情であることは百も承知しているが、この場面だけは脇からのロン決着は見たくなかった。野方には2巡凌げる一万を選んでほしかったが…
ともかくこれで阿部のリードは16.9P。

南2局、さすがに苦しくなった山田だがこの状況下、使命の元にしっかりと手を組む。
14巡目

三索三索六索七索八索四筒四筒四筒南南南西西??リーチ

このツモり三暗刻をリーチ。見逃しも視野に入れていたはずだが、親の野方の宣言牌が西。不本意ではあったがロンをかけ3,200。
あと12.7P。

南3局、山田にひとアガリされると満貫条件になってしまう阿部。七対子をテンパイするとしっかり親の現物で受け野方から1,600。14.3Pのリードで最終局へ。

南4局、注目の山田の配牌。

五万七万三索四索七索二筒四筒六筒東西西北白白??ドラ二筒

それは跳ツモ条件としては最悪の配牌であった。
勝負アリ。最後は静かに全員ノーテンの終局で優勝は阿部となった。

初めての映像対局にも怯まず、そして変に格好つけることもなく打ち抜いた阿部。麻雀の本質、またこのチャンピオンズリーグという舞台にマッチした良い内容に映った。
阿部は二度プロテストに落ちた苦労人でもある。家庭があり立場ある職に従事しながら、それでも麻雀プロを諦めなかった。その裏では相当な努力を要しただろうし、一つ結果を出せたことは私の想像など到底及ばない達成感がそこにはあったと思う。様々な恩恵はあったもののその胆力は賞賛に値するべきで、素直に祝福の言葉を贈りたい。

2位に終わった山田であるが、終始すばらしい麻雀を見せてくれた。正確な手順はもちろんでだが時に大胆な手筋を踏み、受けにおいても的確な読みを披露してくれた。度重なる不利や理不尽さを跳ね返すには至らなかったが、観ているものを唸らせたことは間違いないだろう。

私は山田と同期生であり、CⅡ在籍当時わずか100点差で昇級と残留を分け合ったことがある。その後私が5年かかってCリーグを抜け出した頃、山田はすでにAⅠにいた。
当時はその境遇を嘆いたものだが、今回の山田の麻雀の質を目の当たりにして、あの100点にこんなに膨大な開きがあったのだと改めて痛感した。

のちに山田が言っていた。
「負けて言い訳することなんてないから。」

やはり“連盟のAリーガーは特別な存在”なのである。

四万二索二索二筒二筒四筒四筒五筒西西白白中

これは伏せられた最後の山田の手牌である。
河にはトイツが3組。針の穴を通すレベルだが、跳満ツモのアガリ形が存在した事実が、逆にそれを証明しているように思う。

100

JPML WRCリーグ 決勝観戦記/第29期チャンピオンズリーグ 決勝観戦記 藤島 健二郎

過去のチャンピオンズリーグの観戦記を調べていくと、第3期と第4期を自分が担当していた。懐かし半分に読み返してみると、生意気な若輩者が批判じみた描写を交え、駄文をつらねていた。今から13年前のことである。
当時はどのプロ団体にもホームページなど無く、連盟の報も主にプロ連ニュースという名の紙媒体だった。
原稿も手書きであったし、編集などのやり取りもファックスを使用していた記憶がある。
あれから私自身の麻雀感はどれくらい進歩しただろうか。
この十余年の間、少なくとも麻雀界は確実な進化を遂げてきた。
ロン2や麻雀格闘倶楽部の通信対戦の立ち上げに始まり、採譜のPC化並びに牌譜機能の充実、また連絡手段も書物の郵送から携帯端末へのメール伝達が主流になるなど、あらゆる方面でいわゆるデジタル化が進んだ。
そしてその最たるものが麻雀対局の映像化である。
今や麻雀界は完全に映像の時代となった。それに伴い戦いの場は増加、他団体のタイトル戦を含めた試合の日程は可能な限り調整され、今や毎週のように何かしらの対局が行われている。
世間が慌ただしい暮れから1月にかけてもそれは同様であり、例えば私のような一般の連盟員であればまずはリーグ戦の最終節があり、最高位戦主催の發王戦、チャンピオンズリーグの最終節に予選を抜ければトーナメント戦へと続く。また地方在籍の者にとってもそれぞれのリーグが決定戦を迎えるのも今の時期である。
一方で観戦側としても誰もが胸を熱くさせたAリーグの昇降級に始まり、麻雀日本シリーズやロン2カップまた対局番組としては麻雀Battle of generationなども必見である。そしてこの時期はなんと言っても鳳凰位決定戦が控えている。
そんな隙間に入り込むように行われた後期チャンピオンズリーグ決勝は、連盟の全体像を踏まえればやや注目度は低いのかもしれない。それでも新人や若手、または実績のない私のような連盟員にとっては最も身近かつ意義のあるタイトル戦である。
ただし、チャンピオンズリーグという舞台は「所属リーグの垣根を越えた戦い」でもある。どうしても選手のキャリアによってモチベーションに差が生まれる背景がある。下位リーグの打ち手はあがってナンボ勝ってナンボの意識が強くなるため打牌自体はラフになりやすく、上位の者にとっては難しい局面が増える傾向にある。”麻雀の質”としては多少ゆがむことは性質上否めない。
そういった側面もあり、実際にチャンピオンズリーグの決勝面子にはリーグ格差が生じることが多い。参加人数の関係もあるが、過去28回の中でAリーガーが1人も残れなかった回が9度。今回のようにA1人のケースは14度(A2人は5度)あるが、実際にAリーガーの優勝はうち半分の7勝に止まっている。
ともあれ29期決勝にもAリーグのスター選手が1人勝ち上がった。
今回の決勝で大本命を背負うAリーガーは山田浩之。先日のAⅡ最終節で最後まで昇級を争ったことは記憶に新しい。
AⅠ所属歴もあり、現在も実況・解説・運営に講師までこなすプロ連盟の花形プレーヤー。
第19期チャンピオンズリーグ優勝。17期39歳AⅡ所属。
100
 
野方裕介は今期の十段戦のファイナリスト。徹底した鳴きから先手をとるスタイルで存在感を存分に示している。今回の決勝でもキーマンとなることは間違いない。トーナメント巧者が頭取りの決勝でどんな戦いを見せるか。
18期36歳CⅡ(来期CⅢ)所属。
100
 
阿部謙一は一昨年の十段戦にて初段戦から八九段戦まで勝ち上がった実績がある。ただ決勝進出どころか映像対局が初めてであり、その点では3者に比べてハンデを背負うことが予想される。既婚者で子供2人。28期36歳DⅢ所属。
100
 
福島佑一は最強戦プロ代表決定戦の決勝に乗ったことがある。当時や勝ち抜きバトルV7などでも映像対局は経験している。ただなんと言っても彼の特徴は、将棋や囲碁がプロ並みの腕前であること。とてもクレバーな打ち手であるという印象があり、性格もとにかく真面目。
29期26歳DⅠ所属。
100
 
山田以外の3名はここまでの勝ち上がりは立派の一言に尽きる。ただ展開をどう想定しても、山田対3者という図式しか思い浮かばなかった。それほど山田の能力は突出している。最初から山田の”相手”は誰になるかが焦点となる。
100
1回戦(起家から山田・野方・阿部・福島)
東1局から各者興味深い選択を迫られる。
まずは阿部の6巡目
一万二万三万五万七万七万八万五索七索七索五筒六筒七筒北??ドラ四索
三色や一通が見えるが二度受けながらピンフの1シャンテンでもある。しかし素直に打北とせず阿部の打牌は七万。2飜役を天秤にかける構えだ。
結果は、ツモ六万から9巡目のツモ九万でアガリ逃し。ここから高め一通のフリテンリーチと打って出る。ただ志しは高い。
一万二万三万五万六万七万八万九万七索七索五筒六筒七筒
一方、北家・福島の8巡目の手牌
五万六万七万四索四索七索八索二筒二筒三筒三筒六筒七筒八筒
ドラ2枚の明確な勝負手であり二筒or三筒の二択である。福島は打三筒を選択も次巡のツモは無情にも三筒。山田に即九索をツモ切られてアガリ逃しも、12巡目に一筒四筒テンパイにはこぎ着ける。
また、南家・野方は2巡目にすでに七対子の1シャンテン。4巡目
一万八万八万九万一索一索五索四筒四筒六筒六筒八筒北北
ここから野方の選択は打一万。しかし自然な外寄せをチョイスできれば
一万八万八万一索一索八索八索四筒四筒六筒六筒北北??ツモ一万
このアガリが10巡目にあったかもしれない。
そして親の山田
配牌
八万二索六索一筒一筒一筒三筒四筒五筒五筒九筒九筒南発
この手が三色になるのだから麻雀はおもしろい。
ただここは山田の丁寧さが光った1局。
ホンイツも見て打八万から入るのだがドラの四索を引くと普通の面子手へとシフト。
二万三万四万二索四索二筒三筒四筒九筒九筒??暗カン牌の背一筒 上向き一筒 上向き牌の背??リーチ??ツモ三索
100
3者のもたつきを尻目にこの4, 000オールをものにした。
上手く打てればアガリがあった3者に対し、完璧に打った山田の親はこの後約30分続く。
立ち上がり早々自分の時間帯をつくり、持ち点も6万オーバーとなる。
同5本場でも
七万八万九万七索八索九索一筒二筒三筒五筒五筒七筒八筒??リーチ
この高め三色で先制。
しかしこれに立ち向かったのが阿部だった。
阿部は2巡目に
二万二万五万六万七万七万八万九万四索五索六索一筒三筒
役なしテンパイから4巡目のツモ六筒でテンパイ外し。
ここからツモ六万でまずはタンヤオ形に、ツモ五筒でタンピンテンパイ、そしてツモ七索で高め三色となったところでリーチ。山田の親リーチに真っ向勝負で高め撃ち取りに成功。
二万二万五万六万六万七万七万八万五索六索七索五筒六筒??リーチ??ロン七筒
100
ひとまず山田の独走阻止となった。
この場面は山田の親落としをテーマとするのが一般的な思考である。普通ならカン二筒の300・500かリーチで500・1,000になっている打ち手が多いように思う。阿部の構えが際立った局だった。
東2局1本場、野方3巡目に後付けぎみの仕掛けで三索をポン。
この鳴きの直後、阿部が絶好の一索四索待ちで高め三色リーチ。
一万二万三万四万四万二索三索一筒二筒三筒七筒八筒九筒??リーチ??ドラ七筒
局面のアヤと言ってしまえばそれまでだが、山田は野方の三索ポンによってワンチャンスとなった一索しか選びようがなく、これが高めにジャストして8,000は8,300。
この瞬間、明らかに潮目が変わった。私のメモには「対抗は阿部に」と記された。
南1局、西家・阿部は
四万五万七万二索二筒四筒五筒六筒七筒東西西北??ドラ四筒
ここから自風の西を2枚見送り。するとツモが効く。
10巡目のテンパイとらずを経て、12巡目になんとタンピンドラ3のテンパイ。
四万五万五万六万七万三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒
またも捌き手かもしれない手牌を本手へと変貌させる。
16巡目に役なしテンパイをしていた野方が、当たれないロン牌をチーして安全な形式テンパイへ。するとその動きで阿部が3,000・6,000。
100
親は山田。阿部はなんと一時は5万点近く差のあった山田をあっという間に逆転。
野方の鳴きがまたしても山田を苦しめる1局となった。
阿部は続く南2局でもわずか6巡で1,300・2,600と完全に波に乗る。
三万四万五万七万八万九万六索七索二筒三筒四筒六筒六筒??リーチ??ツモ五索??ドラ五索
そして迎えた南3局親番阿部、11巡目。
2枚目の発をポンしたにも関わらず、阿部の選択は雀頭落としのテンパイとらず。
六万七万二索四索四索四索一筒一筒五筒六筒七筒??ポン発発発??打一筒 上向き??ドラ二索
しかし今回はこれがアガリ逃しの緩手となり、さらには有効牌であった三索を食い下げ福島に初アガリを献上となった。
ここはポンならドラ切りの一手であったように思う。ただこのような少しスピード感のない組み方が、逆に阿部の長所であるようにも思える。
南4局、しかし前局の因果か福島が息を吹き返し、
五万六万七万七万八万九万五索六索六索七索七索五筒五筒??リーチ??ツモ五索??ドラ八索
この2,600オールをアガると、続く1本場でも阿部のリーチのアタリ牌を全て吸収し、全ツッパの構えから16巡目にリーチ。
二万三万四万三索三索三索四索五索六索七索八索三筒四筒??リーチ??ドラ一索
惜しくも流局となるが、福島はテンパイ料でラス抜けとなる。
肝を冷やしたであろう阿部であるが、やはり親の落とし方やこのオーラスの立ち回りには少し不安は残った。
南4局2本場、その隙をつくかのようにやはり山田が来た。
四万六万九万二索八索一筒三筒六筒七筒東南発発
この配牌が
一筒三筒五筒六筒七筒発発??ポン南南南??ポン六筒 上向き六筒 上向き六筒 上向き
瞬く間にこのテンパイ。12巡目ツモ五筒での待ち選択も山田は打一筒
愚形だけにスジにかけたくなるし、何より手出ししなくて済むので五筒ツモ切りがマジョリティか。しかし待ち変えから見事にカン四筒を引き当て、2,000・4,000 。結局山田がトップに返り咲き初戦が終了した。
1回戦
山田+28.2P 阿部+16.8P 野方▲24.5P 福島▲24.5P
 
2回戦(起家から福島・山田・阿部・野方)
東1局、例のごとく野方の仕掛けから始まったが、ドラ2枚の山田はスピードで対抗、福島・阿部も対応しながら打牌していくのだが、阿部はノーリスクで最も高い手に…。
全員テンパイで流局も、阿部だけ野方の仕掛けの恩恵を受けている印象が残った。
東2局1本場、子方3者が中盤には皆テンパイを果たす。
南家・阿部
六索七索八索二筒四筒東東中中中??ポン南南南 5,200
西家・野方
一万二万三万四万五万六万四筒四筒西西??チー六筒 上向き七筒 上向き八筒 上向き 3,900
北家・福島
六万七万二索三索三索三索四索四索五索六索二筒三筒四筒??リーチ 7,700
親山田の手牌
一万二万三万四万五万五万六万三筒三筒五筒六筒六筒東東
この手詰まりから打五万
100
まっすぐ行った結果ではあるが、最も高い7,700を放銃。野方のチーでアタリ牌を掴まされた格好となる。これは少しダメージが残りそうだと感じた。
南2局、福島は2枚目の白スルーからドラを重ねると12巡目に
一索二索三索四索五索六索八索九索四筒四筒六筒七筒八筒??ドラ四筒
この8,000テンパイ。すると野方が形式テンパイへ向かうチー。一方、タンヤオドラ1でテンパイしていた阿部かツモ切りリーチを敢行。
二万三万四万三索三索二筒三筒四筒五筒五筒五筒七筒七筒??リーチ
一索五索が自分の河に切られ三色手変わりがフリテンになることや、ツモ切った宣言牌がスジにかかることも理由としてあるが、決勝を戦っている構えとしては良い判断に映った。
一方、親の山田も選択を迫られるがピンズを打ち切れず、テンパイとらず。山田は少し押せなくなっているか。
結局、野方の動きでロン牌がまわってきた福島から阿部へ5,200。
100
阿部の決断も見事だったが、福島は数少ない勝負手だっただけに痛恨の放銃となる。
南4局、この回ラス目の山田が魅せる。
5巡目
一万二万三万三万四万五万五万九万六索七索八索西北北
ここからの何と打六索。これが10巡目には
一万二万三万三万三万四万五万五万九万九万九万北北
このメンホンテンパイ。さすがとしか言いようがない。
しかしアガリトップの阿部、親の野方から同時にリーチがかかる。
安めながら山田が野方のロン牌を掴み放銃。
二万三万四万六万六万二索三索四索三筒四筒発発発??ロン五筒
これで野方がトップ目に。
南4局1本場、阿部の5巡目。
一万二万二万三万四万六万六万七万八万四索五索六索五筒五筒??ドラ二万
二万か打六万、または打一万のとらずの三択。阿部の選択は六万切りリーチ。
これはうまく打てれば色んなアガリがあっただけに微妙な判断であったが、3者対応の阿部1人テンパイ。テンパイ料でトップ逆転となる。
2回戦成績
阿部+14.2P 野方+7.6P 福島▲5.9P 山田▲16.9P
2回戦終了時
阿部+35.0P 山田+11.3P 野方▲16.9P 福島▲30.4P 
 
3回戦(起家から山田・阿部・野方・福島)
東2局3本場
山田配牌
三万四万五万五万六万七万七万九万八索九筒東南発
ここから得意の寄せ。15巡目
二万二万二万三万三万四万四万五万五万六万七万七万九万
カン八万のメンチンテンパイ。一方、親の阿部の14巡目。
一万二万三万六万六万七万八万八万三索四索六索六索二筒三筒
このターツ選択から打六万八万が浮いた。阿部はテンパイすれば八万が飛び出すはずだったが…
よもやのツモ八万でそれを回避、打六索とした。
またも阿部を押し上げるような牌の巡り合わせ。この局は終盤に福島が300・500は500・700。
東3局3本場、ドラの発をポンできた親の野方の12巡目
七万八万九万七索九索一筒二筒三筒八筒八筒八筒??ポン発発発
ここから打八筒のカン八索を選択。待ちは絞り辛く見え、さらには河に五索が置かれている。
そんななか阿部の手牌に八索が浮いていたが…飛び込んでしまったのは福島。テンパイからのツモ切り放銃だっただけに責められないが、またしても阿部は助かった形。
福島にはキツい11,600。この時点で野方はトータル2位に浮上した。
東4局、野方の仕掛けに阿部が被せていき6巡目にリーチ。
六万六万四索五索六索六索七索七索八索八索七筒八筒九筒??リーチ??ドラ七筒
それを受けて野方の選択
二万二万二万三万三万六万七万七万??ポン南南南??ポン発発発
ここから打七万。しかし次々巡のツモが無情にも七万…。
こうなるとアガるのは阿部。安めながら福島から3,900。
南3局1本場、親の野方は4巡目にドラドラの1シャンテン。
五万五万七万八万二筒二筒三筒三筒四筒五筒五筒五筒白??ドラ三筒
しかしここから一向にテンパイせず、ようやくテンパイしたのが16巡目。最後は四暗刻への手変わりで
五万五万五万七万七万七万二筒二筒三筒三筒五筒五筒五筒
この牌姿になるも流局。
ただ野方の河には八筒九筒中と暗刻かぶりが3種、つまり暗刻が6個できていたことになる。さすがに捕らえるのは酷か。
南4局、3着目の福島、4巡目に高め2, 600オールのメンタンピンで先制。
四万五万五万六万六万七万四索四索二筒三筒四筒五筒六筒??ドラ北
一方ラス目の山田、11巡目に手が止まる。
一通の崩れる三筒引きでピンフのみのテンパイ。
100
六筒九筒は親リーの現物、七筒八筒は共に無スジ、そして点棒状況が山田21,400点、福島27,100点(野方37,100、阿部34,400)
一般的な思考としては八筒切りのヤミで1人沈みを阻止しにいくところか。
しかし山田の選択はリーチだった。3着目の親がリーチ棒を出したことにより700・1,300か2,000の直撃で3着に浮上できる。
結果は福島が即六筒を掴み、山田見事なラス抜け。
ただポイント的には阿部が1人抜け出した。
3回戦成績
野方+15.1P 阿部+8.4P 山田▲9.6P 福島▲13.9P
3回戦終了時
阿部+43.4P 山田+1.7P 野方▲1.8P 福島▲44.3P
 
4回戦(起家から野方・福島・阿部・山田)
残り2回。山田・野方はこの回で阿部を沈めるか、自身がトップを取らないと苦しくなる。福島はすでにその両方。
東1局、12巡目南家・福島タンヤオドラ1の先制リーチ。
四万四万四万五万六万七万五索五索二筒三筒四筒六筒七筒??リーチ??ドラ二筒
しかし直後の13巡目親の野方に追っかけられ、
四万五万六万九万九万七索八索一筒二筒三筒七筒八筒九筒??ロン九索
この5,800放銃。待ち枚数も有利、なおかつ現張りをリーチされ福島はさすがにキツい。
東3局、それでも福島ドラドラで8巡目リーチ。
一万一万四万五万六万七万八万九万三索四索五索八索八索??リーチ??ドラ八索
野方も14巡目に高め三色で追っかけ。
六万七万八万六索七索八索九索九索九索七筒八筒白白??リーチ
この局は印象的だった。七対子を決め打ちしていた阿部は
四万四万三索四索一筒一筒三筒三筒四筒四筒六筒六筒九筒
この牌姿からすでに一筒を落としてオリに回ったのだが、ほぼノーリスクで張り返し、切れずにいて残った九万がすぐに出て
四万四万九万三索三索三筒三筒四筒四筒六筒六筒九筒九筒??ロン九万
100
この2,400のアガリ。今日の阿部の調子を象徴するような1局だった。
南1局、9巡目、山田が魅せる。
一万二万二万三万五万七万八万八万八万九万九万一筒二筒三筒
カン六万のテンパイだが、山田はとらずの打三筒でチンイツへ。
六万を自力のあと三万をチーテンで、
二万三万五万六万七万七万八万八万八万九万??チー一万 上向き二万 上向き三万 上向き??ロン一万
100
メンツ落としからの色寄せがついに成就。野方から8,000。
続く南2局でも再び山田が魅せる。
配牌
三万五万五万一索二索四索八索五筒五筒五筒八筒八筒九筒??ドラ九索
序盤から縦一本に絞った見事な手順で10巡目
五万五万二索二索二索五筒五筒五筒八筒八筒八筒発発
この四暗刻テンパイ。山に発が2枚生きだったが…
脇にながれここは流局。
南3局1本場、6巡目山田。
四万五万六万七万八万六索六索二筒三筒五筒六筒七筒白白
3枚飛んでいる一筒四筒が良くないと判断しての何切るである。かなり時間を使っての打牌だったが山田の選択は打白
この牌姿で長考したのだから山田の第一感は二筒三筒外しだったということだ。その感覚には恐れ入る。
一方、親の阿部はこの回もトップ目だが9巡目、
七万八万三索三索七索八索九索五筒六筒七筒発発発??リーチ??ドラ二万
これでリーチ。優勝に向けて手を緩めない。
山田の河に白が3枚並ぶ…しかし対応して張り返し追っかける。
二万三万四万五万六万七万七万八万六索六索五筒六筒七筒
待ちは同じ六万九万。めくり合いかと思われたがドラドラの福島がテンパイ打牌で九万を河に…阿部の頭ハネは山田には痛恨。さすがに決まりかと思われる1局だった。
100
しかし続く南3局2本場、南家・山田メンツ手との葛藤の中、ノーミスでこのテンパイを組む。
7巡目
二万二万四万四万七万五筒五筒七筒七筒南南発発??リーチ??ドラ七万
七万はヤマに1枚だけあるが、3者がオリにまわり流局かと思われた。
しかし山田の意地とプライドがこのドラ単をツモに導く。
執念の3,000・6,000。
100
山田がこのアガリで逆転トップ。現実的なポイント差まで追い上げての最終戦勝負となった。
4回戦成績
山田+20.9P 阿部+8.4P 野方▲0.2P 福島▲17.1P
4回戦終了時
阿部+51.8P 山田+22.6P 野方▲6.0P 福島▲69.4P
 
最終戦(起家から山田・野方・福島・阿部)
阿部と山田のマッチレースとなったが、その差は29.2P。
東1局、阿部10巡目ポンテン。
八索八索八索六筒六筒七筒八筒発発発??ポン四筒 上向き四筒 上向き四筒 上向き
しかし次巡、山田もポンテンで追いつき、
四万四万四万二索二索五索七索南南南??ポン中中中??ツモ六索??ドラ四万
この4,000オール。これでポイントはほぼ並びに。
この後山田は福島に3,900放銃も、東2局の1,000・2,000でついに阿部をトータルで逆転。
東3局、4巡目阿部
六索九索四筒四筒六筒南西北白白白中中
ここから中を一鳴き。正直微妙な仕掛けであるが、仕上がれば高くはなりそうか。
しかしこの直後、後のない福島の親リーチを誘発。受けぎみに字牌を並べていった阿部であったが、1シャンテンになったところで攻めに転じる。
そして14巡目
七索九索四筒四筒六筒六筒六筒白白白??ポン中中中
この5200テンパイ。しかし待ちである八索はドラ表示を含め3枚出ている。
それでも無スジを押し切ってラス牌の八索を捕らえる。
100
自身の微妙な動きに始まり親リーチを受け、オリやすい字牌の暗刻もある。そして現状、競りの相手ではない親との勝負は損だと考えてしまう場面だ。しかし決勝ではこういったアガリにも価値があるのかもしれない。
この5,200で阿部は浮きにまわって再逆転。
残りの東場は阿部・山田とも安手を1回ずつアガリ、南1局の山田の1人テンパイを経てその差は6.3P阿部がリード。
南1局1本場、野方の仕掛けから局面は動き、13巡目に山田がピンフテンパイ。続く14巡目に阿部がリーチ。
一索一索一索五索六索二筒三筒四筒六筒七筒八筒発発??リーチ??ドラ発
そしてその直後の山田。
一万一万五万六万七万七万八万九万四索五索六索五筒六筒??ツモ七索
高めに振り変わったとはいえ阿部の危険牌、というより実際に当たり牌。
山田、今日一番の長考に入る。
100
親番でピンフ三色テンパイだけに目をつぶって四索を押すか。
もしくは高めが薄いだけに一索四索待ちケアで七索を勝負するか…
どちらにせよ阿部の待ちは四索七索なので放銃となる。しかも打点もドラドラの5,200あり、直撃はほぼ優勝が決まる。
万事休すか…
そして意を決した山田が打牌を選んだ。
一万
なんと山田は阿部の当たり牌を止めた。
麻雀プロが長考するケースは難しい何切るを除けばオリる牌を探す時や、攻めるシーンでも行くべき理由を確認する時がほとんどである。
私は山田の長考は、七索切りヤミか四索切りリーチを迷っているものだと思っていた。
決勝直後に山田に聞いた。
「まず高めの七筒がないことが阿部君の宣言牌から明確だった。それにこの局面でリーチしてくる以上、ほぼドラは2枚で、5,200打ったら終わっちゃう。マンズ待ちはほぼ無いし、強いリャンメンは四索七索六筒九筒くらい。あと自分がピンズ失敗してるしね。」
決勝の最終戦、しかも最後の親番の佳境とも言えるこの局面。あまりにも正確な山田の読みに感服した。
しかもこの局、山田はしぶとく張り返す。自分の読みと立ち回りに自信があるからこそ無スジである二筒が最後に切れるのだと思う。
100
南1局2本場、それでも阿部の手は落ちない。4巡目に早くも七対子ドラドラの6,400テンパイ。待ちの一筒は2枚ヤマで全員が切りそうな状況。
しかし7巡目、山田が満を持してリーチ。それを受けて阿部も腹をくくってツモ切りで追っかける。
決勝戦らしいめくり合いとなったが…
100
手詰まりした野方の選んだ牌は阿部の当たり牌一筒
決定打となる8,000は8,600…
麻雀が時としてあまりに無情であることは百も承知しているが、この場面だけは脇からのロン決着は見たくなかった。野方には2巡凌げる一万を選んでほしかったが…
ともかくこれで阿部のリードは16.9P。
南2局、さすがに苦しくなった山田だがこの状況下、使命の元にしっかりと手を組む。
14巡目
三索三索六索七索八索四筒四筒四筒南南南西西??リーチ
このツモり三暗刻をリーチ。見逃しも視野に入れていたはずだが、親の野方の宣言牌が西。不本意ではあったがロンをかけ3,200。
あと12.7P。
南3局、山田にひとアガリされると満貫条件になってしまう阿部。七対子をテンパイするとしっかり親の現物で受け野方から1,600。14.3Pのリードで最終局へ。
南4局、注目の山田の配牌。
五万七万三索四索七索二筒四筒六筒東西西北白白??ドラ二筒
それは跳ツモ条件としては最悪の配牌であった。
勝負アリ。最後は静かに全員ノーテンの終局で優勝は阿部となった。
初めての映像対局にも怯まず、そして変に格好つけることもなく打ち抜いた阿部。麻雀の本質、またこのチャンピオンズリーグという舞台にマッチした良い内容に映った。
阿部は二度プロテストに落ちた苦労人でもある。家庭があり立場ある職に従事しながら、それでも麻雀プロを諦めなかった。その裏では相当な努力を要しただろうし、一つ結果を出せたことは私の想像など到底及ばない達成感がそこにはあったと思う。様々な恩恵はあったもののその胆力は賞賛に値するべきで、素直に祝福の言葉を贈りたい。
2位に終わった山田であるが、終始すばらしい麻雀を見せてくれた。正確な手順はもちろんでだが時に大胆な手筋を踏み、受けにおいても的確な読みを披露してくれた。度重なる不利や理不尽さを跳ね返すには至らなかったが、観ているものを唸らせたことは間違いないだろう。
私は山田と同期生であり、CⅡ在籍当時わずか100点差で昇級と残留を分け合ったことがある。その後私が5年かかってCリーグを抜け出した頃、山田はすでにAⅠにいた。
当時はその境遇を嘆いたものだが、今回の山田の麻雀の質を目の当たりにして、あの100点にこんなに膨大な開きがあったのだと改めて痛感した。
のちに山田が言っていた。
「負けて言い訳することなんてないから。」
やはり“連盟のAリーガーは特別な存在”なのである。
四万二索二索二筒二筒四筒四筒五筒西西白白中
これは伏せられた最後の山田の手牌である。
河にはトイツが3組。針の穴を通すレベルだが、跳満ツモのアガリ形が存在した事実が、逆にそれを証明しているように思う。
100

第32期A2リーグ最終節D卓レポート 古橋 崇志

ついにプロ連盟最高峰A1リーグへ昇級する2名が決まる。
組み合わせは9節終了時の1位、2位、3位、4位。
ポイントは以下の通り。
1位石渡正志+194.2P
2位内川幸太郎+112.4P
3位柴田弘幸+76.8P
4位山田浩之+65.6P

1回戦
東1局から白熱した戦いとなる。
まずは親番山田の配牌。

一万二万三万四万六万六万七万二索四索三筒四筒白白中  ドラ中

234の三色が見える配牌だが山田の選択は打二索、ホンイツへ向かう。
今期のA2リーグでは佐々木寿人の影に隠れているように見えるが、山田もかなりホンイツを狙う打ち手である。
ここも高打点を狙い一気に勝負を懸けようと言う事だろう。

そしてこちらは西家・内川の5巡目。

二万三万四万二索三索三索五索六索七筒七筒南南南  ツモ六筒

テンパイまでの牌効率だけで言えば打二索だが内川の選択は打七筒。役ありにしたいと言う事か。
内川は山田とは反対に様子見から入ったように見える。

そして山田の手が進み、12巡目テンパイが入る。

一万二万二万三万四万五万六万六万七万七万白白中  ツモ八万  ドラ中

ペンカン三万待ちだが一通やリャンペーコーの手変わりもある。
山田は当然テンパイ取りの打中。このドラの中を南家・石渡がポン!
場が一気に緊張に包まれる!

五万六万七万一索三索五索二筒二筒四筒五筒六筒  ポン中中中

三索が自身から3枚見え、ソウズの下はかなり場況が良く見えるが二索が2枚切れ。
石渡は打一索のカン四索に受ける。

2巡進み北家の柴田にテンパイが入る。

一万二万三万五万五万四索五索六索七索八索三筒四筒五筒

しかし次巡、石渡のアタリ牌である四索を掴んでしまう。
ここで柴田は長考。石渡の河には一索七索が切られているが最終手出しは一索
カン四索を読みきったように現物の八索を切り役無しテンパイに受けた柴田。
このあたりの読みは柴田ならば当たり前なのかも知れない。
だが、もちろんファインプレーである。

次巡、山田のアタリ牌の三万を掴んでオリを選択。
東1局は山田、石渡の2人テンパイで流局となった。

非常に濃い1局であったのだが、1つ気になるのが内川だ。
5巡目の段階で

二万三万四万二索三索三索五索六索七筒七筒南南南  ツモ六筒

二索を切っても六筒を切ってもアガリがあった。
解説の瀬戸熊は「このポイント差は守って守れるものではない」と言う。
内川は守りにいった訳ではないかも知れないが少し消極的にも感じられた。
この作戦が吉と出るか凶と出るか。

この後は柴田が順調に加点し1人浮きのトップ。
内川は東3局と南3局の親番でリーチを打つも、どちらも柴田が被せ、内川の放銃となってしまった。
結果を見れば勝負所の半荘、ここを制した柴田が早くも内川を捕らえた。

1回戦終了時トータルポイント
1位石渡+188.5P
2位柴田+104.6P
3位内川+90.5P
4位山田+64.4P

2回戦
東場は石渡と山田が交互にアガリ迎えた南1局。
10巡目に南家内川がリーチの宣言。

四万五万六万四索五索六索六筒七筒南南西西西  ドラ五万

出アガリ3,200、ツモれば1,300・2,600のリーチ。
手変わり待ちでヤミテンもあるが、リーチを打つのも自然だ。

しかし1回戦、内川のリーチにことごとく被せ、そして直撃した柴田。
不思議とこの局面でも噛み合ってしまう。同巡、親番柴田の手牌

五万五万七万八万五索六索二筒三筒四筒七筒八筒九筒白  ツモ九万 

ピンフドラ2のテンパイである。そして内川の河には七索
現物待ちなのでヤミテンを選択するかと思われたが柴田は何とリーチ!
ここは勝負所と捉えたか、1回戦からの相性なども考えたか。
そして内川の一発目のツモは無常にも四索・・・
これで柴田に決まったか、会場内もそんな雰囲気に包まれる。

2回戦終了時トータルポイント
1位石渡+202.8P
2位柴田+111.6P
3位山田+69.0P
4位内川+64.6P

しかし最後まで諦めない男がいた。
東1局、内川に満貫を放銃してしまった山田。
この放銃で目が覚めたのか次局から怒涛の攻めを繰り出す!

東2局

二万三万四万五万三索四索五索一筒六筒六筒八筒九筒北発  ドラ六万

この配牌を

一万二万三万四万五万三索三索四索五索六索四筒五筒六筒

ここまで仕上げリーチ!
3巡後にド高目の六万を力強くツモアガリ、3,000・6,000!

次局東3局も山田が先制リーチ!
このリーチを受け、柴田が山田の現物で親の内川に放銃となる。
山田、アガれはしなかったものの、柴田を苦しめる。
1本場またもや先制リーチ!

七万八万九万二索二索三索三索四索一筒一筒四筒五筒六筒  ドラ八万

今度は高目の四索をツモリ2,000・4,000!持ち点は4万点を越えた!
東4局、山田何と4局連続の先制リーチ!

七万七万八万九万九万九索九索一筒一筒一筒  暗カン牌の背五万 上向き五万 上向き牌の背  ドラ三万

四暗刻の手変わりもあるが、七万が2枚切られていた為か、それとも先制でリーチを打つ事に重きを置いたのか。
しかし親番の柴田も譲らない。

三万三万三万三索四索五索八索八索二筒三筒四筒七筒八筒  ドラ三万

ドラ暗刻の追いかけリーチ!
これがA1リーグを経験した者の戦いか。復権に懸ける思いは両者譲らず流局となる。
1本場またしてもこの両者のぶつかり合い!
まずは山田が先制。5局連続のリーチとはいかなかったものの10巡目に以下のポンテン。

六万七万八万五索五索三筒四筒南南南  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ドラ二索

ここはサバいて親番で勝負、と言ったところか。
そしてこの鳴きにより同巡、柴田にテンパイが入る。

四万五万六万二索二索四索六索六索四筒五筒六筒発発  ツモ六索 

ドラと発のシャンポン待ち、どちらが出ても12,000のリーチ!
山田、一発で無筋の七万を掴むがノータイムで切り飛ばしていく。
そして次巡、柴田が二筒を掴み1,000点の放銃となった。

勝負所を制した山田、南場の親番を迎える。
この親番、山田の大連荘に期待が掛かるが、まだ柴田も引き下がらない!
発ホンイツの1,300・2,600をツモり3着に浮上。
しかし、この半荘の主役はやはり山田。
オーラス、ピンフドラ1の手を当然のようにリーチし、ツモ。
1人浮きのトップでついに柴田を捕えた。

3回戦終了時トータルポイント
1位石渡+186.4P
2位柴田+102.3P
3位山田+99.2P
4位内川+60.1P

4回戦
柴田と山田ポイント差はわずかに3.1ポイント。順位が上の方がA1リーグに昇級となる。
お互いに譲れない、絶対に負けられない半荘。しかし、決着は驚くほど早く訪れた。
柴田、東1局からホームラン級のアガリ。

二万三万二索二索五索六索七索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四万  ドラ五筒

この6,000オールで勝負あり。
オーラス、山田の親も柴田がきっちりとアガリ、激闘に終止符が打たれた。

100

こうして第32期A2リーグは幕を閉じた。
A1昇級を果たしたのは石渡正志・柴田弘幸。次点は惜しくも山田。
しかし、いつの日かA1リーグで戦う山田の姿が見えた気がした。
そしてA1リーグからは荒正義・ともたけ雅晴が降級。
来期も当然、激戦が予想される。誰が喜び、誰が涙を呑むのか。今からその戦いが楽しみである。

そしてその戦い、実況を務めるのは私、古橋崇志!
最終節に体調を崩さないように頑張りたいものである。
(視聴者・関係者の皆様、ご迷惑をお掛けして申し訳ございません!汗)
1年間ありがとうございました!

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第32期A2リーグ最終節D卓レポート 古橋 崇志

ついにプロ連盟最高峰A1リーグへ昇級する2名が決まる。
組み合わせは9節終了時の1位、2位、3位、4位。
ポイントは以下の通り。
1位石渡正志+194.2P
2位内川幸太郎+112.4P
3位柴田弘幸+76.8P
4位山田浩之+65.6P
1回戦
東1局から白熱した戦いとなる。
まずは親番山田の配牌。
一万二万三万四万六万六万七万二索四索三筒四筒白白中  ドラ中
234の三色が見える配牌だが山田の選択は打二索、ホンイツへ向かう。
今期のA2リーグでは佐々木寿人の影に隠れているように見えるが、山田もかなりホンイツを狙う打ち手である。
ここも高打点を狙い一気に勝負を懸けようと言う事だろう。
そしてこちらは西家・内川の5巡目。
二万三万四万二索三索三索五索六索七筒七筒南南南  ツモ六筒
テンパイまでの牌効率だけで言えば打二索だが内川の選択は打七筒。役ありにしたいと言う事か。
内川は山田とは反対に様子見から入ったように見える。
そして山田の手が進み、12巡目テンパイが入る。
一万二万二万三万四万五万六万六万七万七万白白中  ツモ八万  ドラ中
ペンカン三万待ちだが一通やリャンペーコーの手変わりもある。
山田は当然テンパイ取りの打中。このドラの中を南家・石渡がポン!
場が一気に緊張に包まれる!
五万六万七万一索三索五索二筒二筒四筒五筒六筒  ポン中中中
三索が自身から3枚見え、ソウズの下はかなり場況が良く見えるが二索が2枚切れ。
石渡は打一索のカン四索に受ける。
2巡進み北家の柴田にテンパイが入る。
一万二万三万五万五万四索五索六索七索八索三筒四筒五筒
しかし次巡、石渡のアタリ牌である四索を掴んでしまう。
ここで柴田は長考。石渡の河には一索七索が切られているが最終手出しは一索
カン四索を読みきったように現物の八索を切り役無しテンパイに受けた柴田。
このあたりの読みは柴田ならば当たり前なのかも知れない。
だが、もちろんファインプレーである。
次巡、山田のアタリ牌の三万を掴んでオリを選択。
東1局は山田、石渡の2人テンパイで流局となった。
非常に濃い1局であったのだが、1つ気になるのが内川だ。
5巡目の段階で
二万三万四万二索三索三索五索六索七筒七筒南南南  ツモ六筒
二索を切っても六筒を切ってもアガリがあった。
解説の瀬戸熊は「このポイント差は守って守れるものではない」と言う。
内川は守りにいった訳ではないかも知れないが少し消極的にも感じられた。
この作戦が吉と出るか凶と出るか。
この後は柴田が順調に加点し1人浮きのトップ。
内川は東3局と南3局の親番でリーチを打つも、どちらも柴田が被せ、内川の放銃となってしまった。
結果を見れば勝負所の半荘、ここを制した柴田が早くも内川を捕らえた。
1回戦終了時トータルポイント
1位石渡+188.5P
2位柴田+104.6P
3位内川+90.5P
4位山田+64.4P
2回戦
東場は石渡と山田が交互にアガリ迎えた南1局。
10巡目に南家内川がリーチの宣言。
四万五万六万四索五索六索六筒七筒南南西西西  ドラ五万
出アガリ3,200、ツモれば1,300・2,600のリーチ。
手変わり待ちでヤミテンもあるが、リーチを打つのも自然だ。
しかし1回戦、内川のリーチにことごとく被せ、そして直撃した柴田。
不思議とこの局面でも噛み合ってしまう。同巡、親番柴田の手牌
五万五万七万八万五索六索二筒三筒四筒七筒八筒九筒白  ツモ九万 
ピンフドラ2のテンパイである。そして内川の河には七索
現物待ちなのでヤミテンを選択するかと思われたが柴田は何とリーチ!
ここは勝負所と捉えたか、1回戦からの相性なども考えたか。
そして内川の一発目のツモは無常にも四索・・・
これで柴田に決まったか、会場内もそんな雰囲気に包まれる。
2回戦終了時トータルポイント
1位石渡+202.8P
2位柴田+111.6P
3位山田+69.0P
4位内川+64.6P
しかし最後まで諦めない男がいた。
東1局、内川に満貫を放銃してしまった山田。
この放銃で目が覚めたのか次局から怒涛の攻めを繰り出す!
東2局
二万三万四万五万三索四索五索一筒六筒六筒八筒九筒北発  ドラ六万
この配牌を
一万二万三万四万五万三索三索四索五索六索四筒五筒六筒
ここまで仕上げリーチ!
3巡後にド高目の六万を力強くツモアガリ、3,000・6,000!
次局東3局も山田が先制リーチ!
このリーチを受け、柴田が山田の現物で親の内川に放銃となる。
山田、アガれはしなかったものの、柴田を苦しめる。
1本場またもや先制リーチ!
七万八万九万二索二索三索三索四索一筒一筒四筒五筒六筒  ドラ八万
今度は高目の四索をツモリ2,000・4,000!持ち点は4万点を越えた!
東4局、山田何と4局連続の先制リーチ!
七万七万八万九万九万九索九索一筒一筒一筒  暗カン牌の背五万 上向き五万 上向き牌の背  ドラ三万
四暗刻の手変わりもあるが、七万が2枚切られていた為か、それとも先制でリーチを打つ事に重きを置いたのか。
しかし親番の柴田も譲らない。
三万三万三万三索四索五索八索八索二筒三筒四筒七筒八筒  ドラ三万
ドラ暗刻の追いかけリーチ!
これがA1リーグを経験した者の戦いか。復権に懸ける思いは両者譲らず流局となる。
1本場またしてもこの両者のぶつかり合い!
まずは山田が先制。5局連続のリーチとはいかなかったものの10巡目に以下のポンテン。
六万七万八万五索五索三筒四筒南南南  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ドラ二索
ここはサバいて親番で勝負、と言ったところか。
そしてこの鳴きにより同巡、柴田にテンパイが入る。
四万五万六万二索二索四索六索六索四筒五筒六筒発発  ツモ六索 
ドラと発のシャンポン待ち、どちらが出ても12,000のリーチ!
山田、一発で無筋の七万を掴むがノータイムで切り飛ばしていく。
そして次巡、柴田が二筒を掴み1,000点の放銃となった。
勝負所を制した山田、南場の親番を迎える。
この親番、山田の大連荘に期待が掛かるが、まだ柴田も引き下がらない!
発ホンイツの1,300・2,600をツモり3着に浮上。
しかし、この半荘の主役はやはり山田。
オーラス、ピンフドラ1の手を当然のようにリーチし、ツモ。
1人浮きのトップでついに柴田を捕えた。
3回戦終了時トータルポイント
1位石渡+186.4P
2位柴田+102.3P
3位山田+99.2P
4位内川+60.1P
4回戦
柴田と山田ポイント差はわずかに3.1ポイント。順位が上の方がA1リーグに昇級となる。
お互いに譲れない、絶対に負けられない半荘。しかし、決着は驚くほど早く訪れた。
柴田、東1局からホームラン級のアガリ。
二万三万二索二索五索六索七索三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四万  ドラ五筒
この6,000オールで勝負あり。
オーラス、山田の親も柴田がきっちりとアガリ、激闘に終止符が打たれた。
100
こうして第32期A2リーグは幕を閉じた。
A1昇級を果たしたのは石渡正志・柴田弘幸。次点は惜しくも山田。
しかし、いつの日かA1リーグで戦う山田の姿が見えた気がした。
そしてA1リーグからは荒正義・ともたけ雅晴が降級。
来期も当然、激戦が予想される。誰が喜び、誰が涙を呑むのか。今からその戦いが楽しみである。
そしてその戦い、実況を務めるのは私、古橋崇志!
最終節に体調を崩さないように頑張りたいものである。
(視聴者・関係者の皆様、ご迷惑をお掛けして申し訳ございません!汗)
1年間ありがとうございました!

第35期関西リーグ(プロアマリーグ) 冬 最終節成績表

順位 名前 プロ/一般 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 合計
1 小田 雅之 一般 96.3 51.5 ▲ 7.9 82.6 54.0 276.5
2 段谷 昭夫 一般 70.7 40.7 82.3 ▲ 79.3 101.4 215.8
3 吉田 圭吾 プロ 79.1 73.0 73.5 6.7 ▲ 36.4 195.9
4 石沢 勇人 一般 29.4 0.0 ▲ 44.4 70.2 82.9 138.1
5 三好 直幸 プロ 34.7 36.0 59.1 ▲ 18.8 24.0 135.0
6 木下 恭子 プロ ▲ 42.0 83.1 42.5 23.5 26.6 133.7
7 米津 紘平

一般

12.7 21.0 26.8 7.0 63.2 130.7
8 脇本 健弘 一般 52.5 72.9 ▲ 8.7 12.5 ▲ 15.7 113.5
9 佐藤 智一 一般 ▲ 88.6 24.6 49.7 55.7 60.0 101.4
10 山中 翼 プロ 29.3 63.4 48.0 ▲ 42.7 0.0 98.0
11 岡崎 興二 一般 82.7 ▲ 14.7 20.1 49.0 ▲ 53.8 83.3
12 柴田 秀昭 一般   ▲ 19.9 ▲ 7.3 11.2 90.4 74.4
13 坂本 誠裕 プロ ▲ 13.3 67.2 ▲ 13.8 32.4 1.7 74.2
14 稲岡 ミカ プロ 24.1 49.7 57.8 ▲ 1.4 ▲ 59.9 70.3
15 木内 章夫 テスト 67.5 0.0 17.2 ▲ 16.3 0.0 68.4
16 松永 侑己 プロ   47.9 16.1 0.0 0.0 64.0
17 重枝 登志雄 一般 29.3 28.6 ▲ 38.2 ▲ 27.7 62.7 54.7
18 筒井 宏晶 プロ   19.1 35.1 9.6 ▲ 13.6 50.2
19 倉本信平 一般     38.7 0.0 7.8 46.5
20 高橋 正人 プロ   2.8 2.7 74.4 ▲ 33.7 46.2
21 中谷 護 一般 49.7 15.1 ▲ 50.6 ▲ 36.2 65.4 43.4
22 川上 直也 プロ 19.9 50.1 7.4 ▲ 17.5 ▲ 19.7 40.2
23 吉田 雄二 一般 67.2 ▲ 8.5 ▲ 10.3 ▲ 52.3 43.4 39.5
24 吉本 卓矢 プロ 88.1 ▲ 35.6 14.7 ▲ 36.6 4.4 35.0
25 平川 輝明  一般 13.9 0.0 0.0 0.0 0.0 13.9
26 後藤 俊孝 プロ ▲ 0.7 14.0 0.0 0.0 0.0 13.3
27 熊田 高大 一般 ▲ 80.0 ▲ 44.7 76.9 39.9 17.2 9.3
28 稲垣 悠 テスト 39.6 2.9 ▲ 2.6 21.0 ▲ 52.8 8.1
29 高谷 圭一 プロ ▲ 3.4 114.1 ▲ 104.2 13.8 ▲ 12.3 8.0
30 辰巳 晴基 プロ   25.4 ▲ 17.5 0.0 0.0 7.9
31 田中 万結 テスト 17.8 ▲ 4.4 ▲ 36.7 47.9 ▲ 22.6 2.0
32 勝間 伸生 プロ ▲ 36.7 43.2 77.3 0.0 ▲ 85.0 ▲ 1.2
33 山下 加代子 一般   ▲ 9.8 0.0 0.0 0.0 ▲ 9.8
34 秋山 淑子 プロ ▲ 76.8 35.9 24.1 35.9 ▲ 31.7 ▲ 12.6
35 岸辺 恵里 一般 ▲ 38.1 95.5 ▲ 39.2 0.8 ▲ 36.2 ▲ 17.2
36 中川 天基 テスト 3.6 ▲ 68.7 ▲ 22.1 51.2 18.1 ▲ 17.9
37 大久保 直哉 一般 13.3 ▲ 25.4 ▲ 32.9 22.5 0.0 ▲ 22.5
38 獅坂 祐一 テスト ▲ 29.4 29.6 37.6 ▲ 62.6 ▲ 4.1 ▲ 28.9
39 名越 昭子 一般 ▲ 13.8 0.0 ▲ 37.2 18.7 0.0 ▲ 32.3
40 横山 毅 プロ 55.2 ▲ 10.1 0.0 ▲ 23.4 ▲ 55.0 ▲ 33.3
41 井上 礼子 一般 ▲ 35.7 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 35.7
42 大川 道子 一般   ▲ 36.8 0.0 0.0 0.0 ▲ 36.8
43 延原 明美 プロ 16.8 ▲ 39.6 40.0 ▲ 39.3 ▲ 17.7 ▲ 39.8
44 水島 勉 一般     ▲ 44.8 0.0 0.0 ▲ 44.8
45 中野 孝治 プロ   ▲ 45.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 45.0
46 山地 義昌 一般   ▲ 107.1 16.6 45.3 0.0 ▲ 45.2
47 駒井 康夫 一般 ▲ 25.7 ▲ 12.0 ▲ 4.9 0.0 ▲ 6.9 ▲ 49.5
48 稲森 英子 プロ ▲ 7.0 0.0 0.0 ▲ 43.6 0.0 ▲ 50.6
49 堀 昭義 プロ ▲ 13.7 ▲ 55.2 ▲ 37.9 ▲ 11.1 66.1 ▲ 51.8
50 原田 安博 一般 ▲ 11.7 7.6 ▲ 32.3 ▲ 39.7 21.8 ▲ 54.3
51 山本 夏樹 一般   ▲ 0.7 2.6 ▲ 57.0 0.0 ▲ 55.1
52 藤井 一弘 一般 ▲ 48.0 ▲ 7.2 0.0 0.0 0.0 ▲ 55.2
53 原田 保正 プロ ▲ 20.3 ▲ 10.8 89.0 ▲ 63.0 ▲ 50.2 ▲ 55.3
54 山口 昇子 一般 ▲ 32.0 ▲ 37.8 35.5 ▲ 21.7 0.0 ▲ 56.0
55 貫上 洋志 プロ ▲ 59.8 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 59.8
56 佐藤 昌子 一般 ▲ 30.1 ▲ 75.4 ▲ 5.7 ▲ 17.8 55.9 ▲ 73.1
57 吉田卓也 プロ         ▲ 76.7 ▲ 76.7
58 大川 定子 一般 ▲ 45.6 22.1 ▲ 61.7 0.0 0.0 ▲ 85.2
59 松尾 菜々 テスト ▲ 66.5 ▲ 15.5 0.0 ▲ 44.8 41.5 ▲ 85.3
60 西本 恵市 一般 6.9 ▲ 19.2 ▲ 59.0 ▲ 17.2 ▲ 1.0 ▲ 89.5
61 五月女 義彦 一般 32.9 ▲ 51.3 ▲ 11.6 ▲ 48.3 ▲ 13.6 ▲ 91.9
62 宮城 典生 一般 ▲ 100.5 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 100.5
63 前川 憲一 プロ 103.6 ▲ 49.7 ▲ 36.3 ▲ 33.1 ▲ 92.7 ▲ 108.2
64 南田 明宏 プロ   21.7 ▲ 61.1 ▲ 1.9 ▲ 71.5 ▲ 112.8
65 八嶋 麻穂 一般 ▲ 17.7 ▲ 15.0 ▲ 75.1 7.9 ▲ 34.8 ▲ 134.7
66 濱口 美枝子 一般 57.3 ▲ 50.4 ▲ 114.1 ▲ 2.0 ▲ 56.7 ▲ 165.9
67 大川 照子 一般 ▲ 60.2 ▲ 84.0 ▲ 18.5 ▲ 35.4 0.0 ▲ 198.1
68 榧野 幸一 一般 ▲ 73.5 ▲ 133.7 25.9 32.0 ▲ 49.9 ▲ 199.2
69 見野 マリ子 一般 ▲ 119.4 ▲ 82.5 ▲ 23.1 33.9 ▲ 30.1 ▲ 221.2

関西プロリーグ 成績表/第35期関西リーグ(プロアマリーグ) 冬 最終節成績表

順位 名前 プロ/一般 1 節 2 節 3 節 4 節 5 節 合計
1 小田 雅之 一般 96.3 51.5 ▲ 7.9 82.6 54.0 276.5
2 段谷 昭夫 一般 70.7 40.7 82.3 ▲ 79.3 101.4 215.8
3 吉田 圭吾 プロ 79.1 73.0 73.5 6.7 ▲ 36.4 195.9
4 石沢 勇人 一般 29.4 0.0 ▲ 44.4 70.2 82.9 138.1
5 三好 直幸 プロ 34.7 36.0 59.1 ▲ 18.8 24.0 135.0
6 木下 恭子 プロ ▲ 42.0 83.1 42.5 23.5 26.6 133.7
7 米津 紘平 一般 12.7 21.0 26.8 7.0 63.2 130.7
8 脇本 健弘 一般 52.5 72.9 ▲ 8.7 12.5 ▲ 15.7 113.5
9 佐藤 智一 一般 ▲ 88.6 24.6 49.7 55.7 60.0 101.4
10 山中 翼 プロ 29.3 63.4 48.0 ▲ 42.7 0.0 98.0
11 岡崎 興二 一般 82.7 ▲ 14.7 20.1 49.0 ▲ 53.8 83.3
12 柴田 秀昭 一般   ▲ 19.9 ▲ 7.3 11.2 90.4 74.4
13 坂本 誠裕 プロ ▲ 13.3 67.2 ▲ 13.8 32.4 1.7 74.2
14 稲岡 ミカ プロ 24.1 49.7 57.8 ▲ 1.4 ▲ 59.9 70.3
15 木内 章夫 テスト 67.5 0.0 17.2 ▲ 16.3 0.0 68.4
16 松永 侑己 プロ   47.9 16.1 0.0 0.0 64.0
17 重枝 登志雄 一般 29.3 28.6 ▲ 38.2 ▲ 27.7 62.7 54.7
18 筒井 宏晶 プロ   19.1 35.1 9.6 ▲ 13.6 50.2
19 倉本信平 一般     38.7 0.0 7.8 46.5
20 高橋 正人 プロ   2.8 2.7 74.4 ▲ 33.7 46.2
21 中谷 護 一般 49.7 15.1 ▲ 50.6 ▲ 36.2 65.4 43.4
22 川上 直也 プロ 19.9 50.1 7.4 ▲ 17.5 ▲ 19.7 40.2
23 吉田 雄二 一般 67.2 ▲ 8.5 ▲ 10.3 ▲ 52.3 43.4 39.5
24 吉本 卓矢 プロ 88.1 ▲ 35.6 14.7 ▲ 36.6 4.4 35.0
25 平川 輝明  一般 13.9 0.0 0.0 0.0 0.0 13.9
26 後藤 俊孝 プロ ▲ 0.7 14.0 0.0 0.0 0.0 13.3
27 熊田 高大 一般 ▲ 80.0 ▲ 44.7 76.9 39.9 17.2 9.3
28 稲垣 悠 テスト 39.6 2.9 ▲ 2.6 21.0 ▲ 52.8 8.1
29 高谷 圭一 プロ ▲ 3.4 114.1 ▲ 104.2 13.8 ▲ 12.3 8.0
30 辰巳 晴基 プロ   25.4 ▲ 17.5 0.0 0.0 7.9
31 田中 万結 テスト 17.8 ▲ 4.4 ▲ 36.7 47.9 ▲ 22.6 2.0
32 勝間 伸生 プロ ▲ 36.7 43.2 77.3 0.0 ▲ 85.0 ▲ 1.2
33 山下 加代子 一般   ▲ 9.8 0.0 0.0 0.0 ▲ 9.8
34 秋山 淑子 プロ ▲ 76.8 35.9 24.1 35.9 ▲ 31.7 ▲ 12.6
35 岸辺 恵里 一般 ▲ 38.1 95.5 ▲ 39.2 0.8 ▲ 36.2 ▲ 17.2
36 中川 天基 テスト 3.6 ▲ 68.7 ▲ 22.1 51.2 18.1 ▲ 17.9
37 大久保 直哉 一般 13.3 ▲ 25.4 ▲ 32.9 22.5 0.0 ▲ 22.5
38 獅坂 祐一 テスト ▲ 29.4 29.6 37.6 ▲ 62.6 ▲ 4.1 ▲ 28.9
39 名越 昭子 一般 ▲ 13.8 0.0 ▲ 37.2 18.7 0.0 ▲ 32.3
40 横山 毅 プロ 55.2 ▲ 10.1 0.0 ▲ 23.4 ▲ 55.0 ▲ 33.3
41 井上 礼子 一般 ▲ 35.7 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 35.7
42 大川 道子 一般   ▲ 36.8 0.0 0.0 0.0 ▲ 36.8
43 延原 明美 プロ 16.8 ▲ 39.6 40.0 ▲ 39.3 ▲ 17.7 ▲ 39.8
44 水島 勉 一般     ▲ 44.8 0.0 0.0 ▲ 44.8
45 中野 孝治 プロ   ▲ 45.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 45.0
46 山地 義昌 一般   ▲ 107.1 16.6 45.3 0.0 ▲ 45.2
47 駒井 康夫 一般 ▲ 25.7 ▲ 12.0 ▲ 4.9 0.0 ▲ 6.9 ▲ 49.5
48 稲森 英子 プロ ▲ 7.0 0.0 0.0 ▲ 43.6 0.0 ▲ 50.6
49 堀 昭義 プロ ▲ 13.7 ▲ 55.2 ▲ 37.9 ▲ 11.1 66.1 ▲ 51.8
50 原田 安博 一般 ▲ 11.7 7.6 ▲ 32.3 ▲ 39.7 21.8 ▲ 54.3
51 山本 夏樹 一般   ▲ 0.7 2.6 ▲ 57.0 0.0 ▲ 55.1
52 藤井 一弘 一般 ▲ 48.0 ▲ 7.2 0.0 0.0 0.0 ▲ 55.2
53 原田 保正 プロ ▲ 20.3 ▲ 10.8 89.0 ▲ 63.0 ▲ 50.2 ▲ 55.3
54 山口 昇子 一般 ▲ 32.0 ▲ 37.8 35.5 ▲ 21.7 0.0 ▲ 56.0
55 貫上 洋志 プロ ▲ 59.8 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 59.8
56 佐藤 昌子 一般 ▲ 30.1 ▲ 75.4 ▲ 5.7 ▲ 17.8 55.9 ▲ 73.1
57 吉田卓也 プロ         ▲ 76.7 ▲ 76.7
58 大川 定子 一般 ▲ 45.6 22.1 ▲ 61.7 0.0 0.0 ▲ 85.2
59 松尾 菜々 テスト ▲ 66.5 ▲ 15.5 0.0 ▲ 44.8 41.5 ▲ 85.3
60 西本 恵市 一般 6.9 ▲ 19.2 ▲ 59.0 ▲ 17.2 ▲ 1.0 ▲ 89.5
61 五月女 義彦 一般 32.9 ▲ 51.3 ▲ 11.6 ▲ 48.3 ▲ 13.6 ▲ 91.9
62 宮城 典生 一般 ▲ 100.5 0.0 0.0 0.0 0.0 ▲ 100.5
63 前川 憲一 プロ 103.6 ▲ 49.7 ▲ 36.3 ▲ 33.1 ▲ 92.7 ▲ 108.2
64 南田 明宏 プロ   21.7 ▲ 61.1 ▲ 1.9 ▲ 71.5 ▲ 112.8
65 八嶋 麻穂 一般 ▲ 17.7 ▲ 15.0 ▲ 75.1 7.9 ▲ 34.8 ▲ 134.7
66 濱口 美枝子 一般 57.3 ▲ 50.4 ▲ 114.1 ▲ 2.0 ▲ 56.7 ▲ 165.9
67 大川 照子 一般 ▲ 60.2 ▲ 84.0 ▲ 18.5 ▲ 35.4 0.0 ▲ 198.1
68 榧野 幸一 一般 ▲ 73.5 ▲ 133.7 25.9 32.0 ▲ 49.9 ▲ 199.2
69 見野 マリ子 一般 ▲ 119.4 ▲ 82.5 ▲ 23.1 33.9 ▲ 30.1 ▲ 221.2

第23期東北プロリーグ後期最終節レポート

東北リーグ後期第4節レポート

第4節組み合わせ(敬称略)
Aリーグ
・粕谷勇吉×皆川直毅××山下敬介×栗林明(別日対局)
・東幸一郎×森麻沙也×安ヶ平浩希×遠藤昭太×武藤武(5人打ち)
・椎名斗南×大里奈美×神藤極×石井良樹
Bリーグ
・早川林香×新田大輔×千田諒×佐々木啓文
・佐藤晃大×吉田勝弥×野家龍治×斎藤智大
・泉亮多×及川慶次×井上美里×藤本修二

Aリーグ
・粕谷勇吉×皆川直毅××山下敬介×栗林明
今回、別日対局の立会人を務めたのでこの卓のレポートを書こうと思う。
ここまでのトータルが皆川▲0.2P・山下+9.4P・栗林+34.7P・粕谷+52.5Pで迎えた第4節。
全員に優勝の可能性があり、ぶつかり合いになる場面が多いだろう。

1回戦
東1局 山下が六巡目にリーチ。

七万七万二索三索七索八索九索五筒五筒六筒六筒七筒七筒  リーチ  ツモ四索

この1,300・2,600スタートで順調な滑り出し。

東2局、親の粕谷からリーチ。皆川が痛い7,700放銃。
東4局、じっと我慢していた栗林が粕谷のリーチに対して

二万三万四万五万六万七万二索三索四索二筒四筒八筒八筒  リーチ

これで追いかけリーチ。
これがアガれればと思いきや、皆川が粕谷にリーチドラ3を放銃。皆川も痛いが栗林も勝負手が実らず苦しいところ。
結局この半荘は粕谷が50,000点オーバーのトップを取り、順調にトータルポイントを伸ばす。

2回戦
序盤は粕谷が調子良く点数を伸ばしていたが、ここで大きな落とし穴に嵌ってしまう。
東4局、親の粕谷が早めにドラの南を切り、早そうな雰囲気。
8巡目に山下が先制リーチを打つが、同巡 栗林がツモ切りで追いかけリーチを打つ。
粕谷も今日の調子が良い判断したのだろう。次巡ツモ切りの追いかけリーチを打って出したのが①。そこに栗林からロンの声が。
「32,000」トップ目からの直撃で価千金の国士無双を出アガった。

この半荘この局で勝負が決まったかに思えたが、南場に入って皆川が猛連チャン。栗林をまくり60,000点を越えるトップを取り、一気に上位陣を射程圏内に入れた。

3回戦・4回戦は山下がトップを取り、この4半荘の成績は山下+49.5P・皆川+40.6P・粕谷-42.3P・栗林▲47.8Pとチャンスを活かせた者と活かせなかった者とで明暗が分かれた。

後期最終節は上位4名の潰し合いになるので、椎名・武藤・皆川・山下の4名となり、その内2位までが東北天翔位の切符を手にする。大きな差がないだけに接戦となるだろう。

 

東北リーグ後期最終節レポート

最終節組み合わせ(敬称略)
Aリーグ
・武藤武×椎名斗南×皆川直毅×山下敬介
・東幸一郎×粕谷勇吉×森麻沙也×石井良樹×栗林明(5人打ち)
・遠藤昭太×大里奈美×神藤極×安ヶ平浩希
Bリーグ
・早川林香×泉亮多×吉田勝弥×新田大輔
・及川慶次×佐藤晃大×佐々木啓文×井上美里
・斎藤智大×野家龍治×千田諒×(黒子)

東北リーグの最終節は上位からの潰し合いになり、前期・後期の上位2人が決勝の東北天翔位に進める。
第4節までのポイントが
椎名+99.9P 武藤+82.2P 山下+58.9P 皆川+40.4Pで最終節を迎えた。

1回戦は山下がトップをとり、武藤を抜きトータル2位に。椎名は痛恨の4位。皆川のリーチに対し終盤①で高め一通に放銃。ただ、守っているだけでは勝てないという思いの表れに見え、普段の椎名の麻雀からすると意外だった。

2回戦は皆川の1人浮きのトップで4人がほぼ並びに。

3回戦も皆川のトップで天翔位に向けて大きくチャンスを引き寄せた。
ここまでの並びは
椎名+88.3P 皆川+84.7P 武藤+64.1P 山下+44.3P

4回戦は武藤が踏ん張り、南4局5本場 供託3本という状況で、椎名 武藤 皆川3人の誰かがアガれば優勝の大接戦。全員が前に出る中、ツモアガったのは皆川だった。
優勝は皆川 直毅プロ。2位は上位卓ではなく、最終節+74.6Pと大きく点数を伸ばした杜 麻沙也プロが天翔位の切符を手にした。

これで東北天翔位の出場者は
前期1・2位の東幸一郎プロと大里奈美プロ
後期1・2位の皆川直毅プロと杜麻沙也プロに決まった。

ベテランの3人に紅一点の大里がどう立ち向かうか。また、東以外は皆、初優勝が掛かっているので、意気込んでいることだろう。白熱した闘いを期待しています。

Aリーグ

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 合計
1 皆川 直毅 32.1 9.5 ▲ 41.8 40.6 64.1 104.5
2 杜 麻沙也 14.0 ▲ 36.7 4.5 39.2 74.6 95.6
3 武藤 武 75.5 ▲ 17.8 7.3 17.2 ▲ 6.1 76.1
4 椎名 斗南 ▲ 35.3 51.6 83.2 0.4 ▲ 32.4 67.5
5 東 幸一郎 ▲ 28.7 ▲ 36.3 72.5 17.1 10.9 35.5
6 山下 敬介 25.4 ▲ 7.9 ▲ 8.1 49.5 ▲ 25.7 33.2
7 粕谷 勇吉 26.4 20.1 6.0 ▲ 42.3 22.5 32.7
8 遠藤 昭太 13.6 ▲ 37.7 5.6 ▲ 34.3 25.8 ▲ 27.0
9 栗林 明 ▲ 38.1 45.0 27.8 ▲ 47.8 ▲ 31.1 ▲ 44.2
10 神藤 極 ▲ 17.0 7.3 ▲ 48.7 ▲ 28.6 10.7 ▲ 76.3
11 石井 良樹 1.4 8.1 ▲ 42.5 14.8 ▲ 76.9 ▲ 95.1
12 大里 奈美 ▲ 16.1 ▲ 20.2 ▲ 24.8 12.4 ▲ 64.4 ▲ 113.1
13 安ヶ平 浩希 ▲ 54.2 ▲ 6.0 ▲ 63.0 ▲ 39.2 27.9 ▲ 134.5

Bリーグ

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 合計
1 吉田 勝弥 28.0 1.0 ▲ 1.5 47.1 7.3 81.9
2 早川 林香 45.7 25.0 14.3 ▲ 6.8 ▲ 4.3 73.9
3 泉 亮太 1.8 ▲ 33.7 14.1 59.0 24.4 65.6
4 佐々木 啓文 37.6 ▲ 9.7 1.7 ▲ 18.4 41.7 52.9
5 及川 慶次 23.5 1.4 50.8 ▲ 53.2 10.2 32.7
6 野家 龍治 ▲ 64.0 11.2 ▲ 34.0 ▲ 12.8 129.3 29.7
7 新田 大輔 3.9 75.1 ▲ 42.2 0.3 ▲ 27.4 9.7
8 井上 美里 14.4 ▲ 29.7 33.8 ▲ 20.3 8.5 6.7
9 佐藤 晃大 25.8 12.0 ▲ 10.4 ▲ 7.4 ▲ 60.4 ▲ 40.4
10 千田 諒 ▲ 85.2 ▲ 32.5 41.7 24.9 ▲ 27.2 ▲ 78.3
11 斎藤 智大 0.5 ▲ 20.1 ▲ 50.3 ▲ 26.9 ▲ 94.9 ▲ 191.7

東北プロリーグ レポート/第23期東北プロリーグ後期最終節レポート

東北リーグ後期第4節レポート
第4節組み合わせ(敬称略)
Aリーグ
・粕谷勇吉×皆川直毅××山下敬介×栗林明(別日対局)
・東幸一郎×森麻沙也×安ヶ平浩希×遠藤昭太×武藤武(5人打ち)
・椎名斗南×大里奈美×神藤極×石井良樹
Bリーグ
・早川林香×新田大輔×千田諒×佐々木啓文
・佐藤晃大×吉田勝弥×野家龍治×斎藤智大
・泉亮多×及川慶次×井上美里×藤本修二
Aリーグ
・粕谷勇吉×皆川直毅××山下敬介×栗林明
今回、別日対局の立会人を務めたのでこの卓のレポートを書こうと思う。
ここまでのトータルが皆川▲0.2P・山下+9.4P・栗林+34.7P・粕谷+52.5Pで迎えた第4節。
全員に優勝の可能性があり、ぶつかり合いになる場面が多いだろう。
1回戦
東1局 山下が六巡目にリーチ。
七万七万二索三索七索八索九索五筒五筒六筒六筒七筒七筒  リーチ  ツモ四索
この1,300・2,600スタートで順調な滑り出し。
東2局、親の粕谷からリーチ。皆川が痛い7,700放銃。
東4局、じっと我慢していた栗林が粕谷のリーチに対して
二万三万四万五万六万七万二索三索四索二筒四筒八筒八筒  リーチ
これで追いかけリーチ。
これがアガれればと思いきや、皆川が粕谷にリーチドラ3を放銃。皆川も痛いが栗林も勝負手が実らず苦しいところ。
結局この半荘は粕谷が50,000点オーバーのトップを取り、順調にトータルポイントを伸ばす。
2回戦
序盤は粕谷が調子良く点数を伸ばしていたが、ここで大きな落とし穴に嵌ってしまう。
東4局、親の粕谷が早めにドラの南を切り、早そうな雰囲気。
8巡目に山下が先制リーチを打つが、同巡 栗林がツモ切りで追いかけリーチを打つ。
粕谷も今日の調子が良い判断したのだろう。次巡ツモ切りの追いかけリーチを打って出したのが①。そこに栗林からロンの声が。
「32,000」トップ目からの直撃で価千金の国士無双を出アガった。
この半荘この局で勝負が決まったかに思えたが、南場に入って皆川が猛連チャン。栗林をまくり60,000点を越えるトップを取り、一気に上位陣を射程圏内に入れた。
3回戦・4回戦は山下がトップを取り、この4半荘の成績は山下+49.5P・皆川+40.6P・粕谷-42.3P・栗林▲47.8Pとチャンスを活かせた者と活かせなかった者とで明暗が分かれた。
後期最終節は上位4名の潰し合いになるので、椎名・武藤・皆川・山下の4名となり、その内2位までが東北天翔位の切符を手にする。大きな差がないだけに接戦となるだろう。
 
東北リーグ後期最終節レポート
最終節組み合わせ(敬称略)
Aリーグ
・武藤武×椎名斗南×皆川直毅×山下敬介
・東幸一郎×粕谷勇吉×森麻沙也×石井良樹×栗林明(5人打ち)
・遠藤昭太×大里奈美×神藤極×安ヶ平浩希
Bリーグ
・早川林香×泉亮多×吉田勝弥×新田大輔
・及川慶次×佐藤晃大×佐々木啓文×井上美里
・斎藤智大×野家龍治×千田諒×(黒子)
東北リーグの最終節は上位からの潰し合いになり、前期・後期の上位2人が決勝の東北天翔位に進める。
第4節までのポイントが
椎名+99.9P 武藤+82.2P 山下+58.9P 皆川+40.4Pで最終節を迎えた。
1回戦は山下がトップをとり、武藤を抜きトータル2位に。椎名は痛恨の4位。皆川のリーチに対し終盤①で高め一通に放銃。ただ、守っているだけでは勝てないという思いの表れに見え、普段の椎名の麻雀からすると意外だった。
2回戦は皆川の1人浮きのトップで4人がほぼ並びに。
3回戦も皆川のトップで天翔位に向けて大きくチャンスを引き寄せた。
ここまでの並びは
椎名+88.3P 皆川+84.7P 武藤+64.1P 山下+44.3P
4回戦は武藤が踏ん張り、南4局5本場 供託3本という状況で、椎名 武藤 皆川3人の誰かがアガれば優勝の大接戦。全員が前に出る中、ツモアガったのは皆川だった。
優勝は皆川 直毅プロ。2位は上位卓ではなく、最終節+74.6Pと大きく点数を伸ばした杜 麻沙也プロが天翔位の切符を手にした。
これで東北天翔位の出場者は
前期1・2位の東幸一郎プロと大里奈美プロ
後期1・2位の皆川直毅プロと杜麻沙也プロに決まった。
ベテランの3人に紅一点の大里がどう立ち向かうか。また、東以外は皆、初優勝が掛かっているので、意気込んでいることだろう。白熱した闘いを期待しています。
Aリーグ

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 合計
1 皆川 直毅 32.1 9.5 ▲ 41.8 40.6 64.1 104.5
2 杜 麻沙也 14.0 ▲ 36.7 4.5 39.2 74.6 95.6
3 武藤 武 75.5 ▲ 17.8 7.3 17.2 ▲ 6.1 76.1
4 椎名 斗南 ▲ 35.3 51.6 83.2 0.4 ▲ 32.4 67.5
5 東 幸一郎 ▲ 28.7 ▲ 36.3 72.5 17.1 10.9 35.5
6 山下 敬介 25.4 ▲ 7.9 ▲ 8.1 49.5 ▲ 25.7 33.2
7 粕谷 勇吉 26.4 20.1 6.0 ▲ 42.3 22.5 32.7
8 遠藤 昭太 13.6 ▲ 37.7 5.6 ▲ 34.3 25.8 ▲ 27.0
9 栗林 明 ▲ 38.1 45.0 27.8 ▲ 47.8 ▲ 31.1 ▲ 44.2
10 神藤 極 ▲ 17.0 7.3 ▲ 48.7 ▲ 28.6 10.7 ▲ 76.3
11 石井 良樹 1.4 8.1 ▲ 42.5 14.8 ▲ 76.9 ▲ 95.1
12 大里 奈美 ▲ 16.1 ▲ 20.2 ▲ 24.8 12.4 ▲ 64.4 ▲ 113.1
13 安ヶ平 浩希 ▲ 54.2 ▲ 6.0 ▲ 63.0 ▲ 39.2 27.9 ▲ 134.5

Bリーグ

順位 名前 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 合計
1 吉田 勝弥 28.0 1.0 ▲ 1.5 47.1 7.3 81.9
2 早川 林香 45.7 25.0 14.3 ▲ 6.8 ▲ 4.3 73.9
3 泉 亮太 1.8 ▲ 33.7 14.1 59.0 24.4 65.6
4 佐々木 啓文 37.6 ▲ 9.7 1.7 ▲ 18.4 41.7 52.9
5 及川 慶次 23.5 1.4 50.8 ▲ 53.2 10.2 32.7
6 野家 龍治 ▲ 64.0 11.2 ▲ 34.0 ▲ 12.8 129.3 29.7
7 新田 大輔 3.9 75.1 ▲ 42.2 0.3 ▲ 27.4 9.7
8 井上 美里 14.4 ▲ 29.7 33.8 ▲ 20.3 8.5 6.7
9 佐藤 晃大 25.8 12.0 ▲ 10.4 ▲ 7.4 ▲ 60.4 ▲ 40.4
10 千田 諒 ▲ 85.2 ▲ 32.5 41.7 24.9 ▲ 27.2 ▲ 78.3
11 斎藤 智大 0.5 ▲ 20.1 ▲ 50.3 ▲ 26.9 ▲ 94.9 ▲ 191.7

第137回:DVD発売記念特別インタビュー:高宮まり 東城りお  インタビュアー:ケネス徳田

~朝から始まった麻雀対局番組の収録終了後、高宮まり・東城りお2人だけの軽い打ち上げ~

高宮「りおたん、お疲れ~」

東城「まりしゃん、お疲れ~」

100
100

 

●映像コンテンツ激増の一年

東城「去年も色々あったね」

高宮「そうだね。新しい対局番組とか随分増えたもんね」

東城「うん。CSだと【八局麻雀】(V☆パラダイス)とか【Lady’s麻雀グランプリ】(エンタメーテレ)とか。あと私は出てないけど【てんパイクイーン】(CS日テレ)も始まったし」

高宮「私がプロ連盟入った時は【女流モンド杯】(モンドTV)と【天空麻雀】(エンタメーテレ)しかなかったから」

東城「どっちもまりしゃんが優勝してるもんね」

高宮「えへへ」

100

第11回女流モンド杯優勝

100

第17回天空麻雀優勝

東城「あと、ネットTVも『ニコ生』だけじゃなく『AmebaFRESH!』も始まったよね」

高宮「そうだね。今まで『連盟チャンネル』イコールニコ生だったけど、これからはどっちのチャンネル?みたいなこともあるんだろうね」

東城「いっぱい番組ありすぎて全部見るの大変だわ、アワアワ」

 

●DVDでも大活躍!

高宮「去年はりおたん、グラビアデビューもしたもんね」

東城「そうそう! 麻雀プロがグラビア?って最初思ったけど」

高宮「そうだね。私も最初は随分戸惑ったかな」

東城「えー、だってまりしゃん…(胸大きいし)」

高宮「りおたんだって…(スタイル抜群だし)」

100
100

100

「まりさんぽ」絶賛発売中

100

「RIOTIME」絶賛発売中

東城「でもグラビアの先駆けはまりしゃんだよね」

高宮「そうかな?」

東城「だって、【女神降臨】(モンドTV)に麻雀プロが出るってなかなかないことだし」

高宮「でもりおたんも出たじゃない」

東城「まりしゃんあっての東城でございますから(笑)」

高宮「いやいや。それにりおたん、近代麻雀のDVDBOXだと大活躍じゃん」

東城「あ、確かに。第2回の東風女王でした」

100
100

 

●裏事情を知る者?
石田「遅れてごめ~ん」

100

高宮「あ、あさみんだ」

東城「初代東風女王が来た(笑)」

石田「ごめんごめん、ちょっとパスポート受け取りに行ってたから」

東城「どっか行くの?」

石田「違うよ。元々グラビアDVDのロケ、サイパンでやる予定だったでしょ?」

高宮「うん。でも撮ったのは沖縄だけど」

石田「そうなのよ。申請している間に沖縄に変わっちゃったから、ついパスポートの受け取り忘れちゃって…」

東城「そうなんだ。でもあさちびがロケについて行ってくれたおかげで安心できたよ」

高宮「私も~」

石田「マネージャー的役割で一緒に行ったからね、とくにまりしゃん、ほんとに寝起き悪いし(笑)」

東城「せっかく沖縄一緒に行ったんだから、あさちびもグラビア出ればよかったに」

石田「私は元読モだから、服着てないとダメなのよ」

高宮「でも今年の連盟カレンダー、泡風呂だったよね?」

石田「逆に肌まったく見せてないでしょ? キャハハハハハハハハハハ」

東城「まりしゃんは毎年安定の水着担当だけどね」

2016日本プロ麻雀連盟卓上カレンダー 中山 奈々美

2015日本プロ麻雀連盟卓上カレンダー 中山 奈々美

 

●変化を恐れないことが大事
高宮「そういえば、あさみんって去年東京に出てきたんだよね?」

石田「そうなのよ。プロ連盟入った時は『公式戦だけ上京すればいいから』って思ってたんだけど、想像以上にお仕事たくさんもらちゃって」

東城「新幹線代もかかるしね」

石田「だから思い切って東京来ちゃったのよ」

高宮「東京来てよかった?」

石田「うん! お仕事こなして、そのお仕事から新しいお仕事につながるみたいな。そんな楽しさが味わえるのって、やっぱり東京来たからだと思う」

東城「そうなんだ。そういえば私も…」

石田「秋田から?」

東城「いや、そんな昔の話じゃなくて(笑) 元々違う団体でプロデビューしたから」

高宮「ああ、そうだったね確か」

石田「すぐに移ったって感じ?」

東城「1年かな」

石田「それもすごい決断な気がするね」

東城「うん。最初プロになった時、私にとって麻雀ってゲームの延長みたいな感じだったんだよね、言い方良くないけど」

高宮「自分で楽しむのが第一みたいな?」

東城「そんな感じだね。でもある日、麻雀店の勉強会に参加した時」

石田「麻雀店の勉強会なんてあるんだ?」

東城「うん、所属の女流プロとかメンバー対象のね。そこでプロ連盟の山田浩之プロが講師で来てくれて、その時にすごい衝撃受けたの」

高宮「ヒロさんに?」

東城「うん。今までやってた麻雀とは全く別の考え方。最初はヒロさんだけなのかな、って思ってたんだけど、ゲストで伊藤優孝プロや瀬戸熊直樹プロと御一緒した時にも「ああ、同じこと言ってる」と思って」

高宮「プロ連盟は団体でしっかり教えてるからね」

東城「そう。それ聞いて、けっこう迷ったんけど、結局プロ連盟に移籍というか試験受けたの」

石田「そうなんだ。てっきり色々なメディアに出たいとか、そういう理由かと思ってた(笑)」

東城「それは全くなかったね。というか、麻雀をもっとしっかり勉強したいといのが最大の理由だったし。ここまでメディアの仕事が多いなんて全然知らなかったもの」

高宮「私もりおたんと一緒で、麻雀強くなりたいから連盟入ったの」

石田「え、そうなんだ?」

高宮「一発・裏ドラ無しルールにすごい興味持ってたってのもあるかな」

東城「そうそう! 普段は赤ありの麻雀打ってても、一発・裏ドラ無しを勉強するとすごい役に立つもんね」

 

●日々是決戦
高宮「あ、もうこんな時間だ」

石田「え、何かあるの?」

高宮「うん、19時から連盟チャンネルに出てその後21時からロン2のゲスト」

東城「なんか売れっ子みたい(笑)」

高宮「油断するとスケジュールをキツキツに入れられてしまうのだ(笑)」

石田「あ、わかる! 私も夕方まで対局の日に「じゃあ夕方から入れるね」ってよく言われるもん」

東城「2人ともタフなんだね」

高宮「りおたんはダブルヘッダーはやらない?」

東城「そうだね。あんまり頭の切り替えうまいほうじゃないから。仕事終わりに麻雀格闘倶楽部やるくらいかな」

石田「それも立派なお仕事だもんね」

高宮「じゃあ帰るね、お疲れ~」

東城「うん、頑張ってね」

石田「じゃあ私たちは麻雀格闘倶楽部並び打ちしようか?」

東城「うん!」

~女流プロたちの一日はまだまだ続くのであった~

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プロ雀士インタビュー/第137回:DVD発売記念特別インタビュー:高宮まり 東城りお  インタビュアー:ケネス徳田

~朝から始まった麻雀対局番組の収録終了後、高宮まり・東城りお2人だけの軽い打ち上げ~
高宮「りおたん、お疲れ~」
東城「まりしゃん、お疲れ~」

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●映像コンテンツ激増の一年
東城「去年も色々あったね」
高宮「そうだね。新しい対局番組とか随分増えたもんね」
東城「うん。CSだと【八局麻雀】(V☆パラダイス)とか【Lady’s麻雀グランプリ】(エンタメーテレ)とか。あと私は出てないけど【てんパイクイーン】(CS日テレ)も始まったし」
高宮「私がプロ連盟入った時は【女流モンド杯】(モンドTV)と【天空麻雀】(エンタメーテレ)しかなかったから」
東城「どっちもまりしゃんが優勝してるもんね」
高宮「えへへ」

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第11回女流モンド杯優勝

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第17回天空麻雀優勝

東城「あと、ネットTVも『ニコ生』だけじゃなく『AmebaFRESH!』も始まったよね」
高宮「そうだね。今まで『連盟チャンネル』イコールニコ生だったけど、これからはどっちのチャンネル?みたいなこともあるんだろうね」
東城「いっぱい番組ありすぎて全部見るの大変だわ、アワアワ」
 
●DVDでも大活躍!
高宮「去年はりおたん、グラビアデビューもしたもんね」
東城「そうそう! 麻雀プロがグラビア?って最初思ったけど」
高宮「そうだね。私も最初は随分戸惑ったかな」
東城「えー、だってまりしゃん…(胸大きいし)」
高宮「りおたんだって…(スタイル抜群だし)」
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「まりさんぽ」絶賛発売中

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「RIOTIME」絶賛発売中

東城「でもグラビアの先駆けはまりしゃんだよね」
高宮「そうかな?」
東城「だって、【女神降臨】(モンドTV)に麻雀プロが出るってなかなかないことだし」
高宮「でもりおたんも出たじゃない」
東城「まりしゃんあっての東城でございますから(笑)」
高宮「いやいや。それにりおたん、近代麻雀のDVDBOXだと大活躍じゃん」
東城「あ、確かに。第2回の東風女王でした」

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●裏事情を知る者?
石田「遅れてごめ~ん」
100
高宮「あ、あさみんだ」
東城「初代東風女王が来た(笑)」
石田「ごめんごめん、ちょっとパスポート受け取りに行ってたから」
東城「どっか行くの?」
石田「違うよ。元々グラビアDVDのロケ、サイパンでやる予定だったでしょ?」
高宮「うん。でも撮ったのは沖縄だけど」
石田「そうなのよ。申請している間に沖縄に変わっちゃったから、ついパスポートの受け取り忘れちゃって…」
東城「そうなんだ。でもあさちびがロケについて行ってくれたおかげで安心できたよ」
高宮「私も~」
石田「マネージャー的役割で一緒に行ったからね、とくにまりしゃん、ほんとに寝起き悪いし(笑)」
東城「せっかく沖縄一緒に行ったんだから、あさちびもグラビア出ればよかったに」
石田「私は元読モだから、服着てないとダメなのよ」
高宮「でも今年の連盟カレンダー、泡風呂だったよね?」
石田「逆に肌まったく見せてないでしょ? キャハハハハハハハハハハ」
東城「まりしゃんは毎年安定の水着担当だけどね」
2016日本プロ麻雀連盟卓上カレンダー 中山 奈々美
2015日本プロ麻雀連盟卓上カレンダー 中山 奈々美
 
●変化を恐れないことが大事
高宮「そういえば、あさみんって去年東京に出てきたんだよね?」
石田「そうなのよ。プロ連盟入った時は『公式戦だけ上京すればいいから』って思ってたんだけど、想像以上にお仕事たくさんもらちゃって」
東城「新幹線代もかかるしね」
石田「だから思い切って東京来ちゃったのよ」
高宮「東京来てよかった?」
石田「うん! お仕事こなして、そのお仕事から新しいお仕事につながるみたいな。そんな楽しさが味わえるのって、やっぱり東京来たからだと思う」
東城「そうなんだ。そういえば私も…」
石田「秋田から?」
東城「いや、そんな昔の話じゃなくて(笑) 元々違う団体でプロデビューしたから」
高宮「ああ、そうだったね確か」
石田「すぐに移ったって感じ?」
東城「1年かな」
石田「それもすごい決断な気がするね」
東城「うん。最初プロになった時、私にとって麻雀ってゲームの延長みたいな感じだったんだよね、言い方良くないけど」
高宮「自分で楽しむのが第一みたいな?」
東城「そんな感じだね。でもある日、麻雀店の勉強会に参加した時」
石田「麻雀店の勉強会なんてあるんだ?」
東城「うん、所属の女流プロとかメンバー対象のね。そこでプロ連盟の山田浩之プロが講師で来てくれて、その時にすごい衝撃受けたの」
高宮「ヒロさんに?」
東城「うん。今までやってた麻雀とは全く別の考え方。最初はヒロさんだけなのかな、って思ってたんだけど、ゲストで伊藤優孝プロや瀬戸熊直樹プロと御一緒した時にも「ああ、同じこと言ってる」と思って」
高宮「プロ連盟は団体でしっかり教えてるからね」
東城「そう。それ聞いて、けっこう迷ったんけど、結局プロ連盟に移籍というか試験受けたの」
石田「そうなんだ。てっきり色々なメディアに出たいとか、そういう理由かと思ってた(笑)」
東城「それは全くなかったね。というか、麻雀をもっとしっかり勉強したいといのが最大の理由だったし。ここまでメディアの仕事が多いなんて全然知らなかったもの」
高宮「私もりおたんと一緒で、麻雀強くなりたいから連盟入ったの」
石田「え、そうなんだ?」
高宮「一発・裏ドラ無しルールにすごい興味持ってたってのもあるかな」
東城「そうそう! 普段は赤ありの麻雀打ってても、一発・裏ドラ無しを勉強するとすごい役に立つもんね」
 
●日々是決戦
高宮「あ、もうこんな時間だ」
石田「え、何かあるの?」
高宮「うん、19時から連盟チャンネルに出てその後21時からロン2のゲスト」
東城「なんか売れっ子みたい(笑)」
高宮「油断するとスケジュールをキツキツに入れられてしまうのだ(笑)」
石田「あ、わかる! 私も夕方まで対局の日に「じゃあ夕方から入れるね」ってよく言われるもん」
東城「2人ともタフなんだね」
高宮「りおたんはダブルヘッダーはやらない?」
東城「そうだね。あんまり頭の切り替えうまいほうじゃないから。仕事終わりに麻雀格闘倶楽部やるくらいかな」
石田「それも立派なお仕事だもんね」
高宮「じゃあ帰るね、お疲れ~」
東城「うん、頑張ってね」
石田「じゃあ私たちは麻雀格闘倶楽部並び打ちしようか?」
東城「うん!」
~女流プロたちの一日はまだまだ続くのであった~
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第32期鳳凰位決定戦 初日観戦記 HIRO柴田

初めてA1へ昇級をした年、わたしはこの場にいた。あれからもう7年か…
この時期になるとあの時の悔しさを思い出す。その時からの成長を今一度みせてやりたいと思う気持ち。皆それぞれ思う気持ちがある。
それが年間のプロリーグでありこの決定戦であろう。

今期のリーグ戦では生きる伝説、荒のまさかの降級。決定戦争いに敗れた前原。
それらを退けて勝ち取った瀬戸熊直樹、勝又健志、古川孝次の3名が、前年度の鳳凰位である前田直哉に挑戦する。
溢れる個性を持ったこの4者が、4日間に渡る戦いを始めようとしている。

100

1回戦(起家から瀬戸熊・前田・古川・勝又)

東1局 ドラ三万
初動はやはり古川、白をポン

100

この1年間の戦いをみてきた古川ファンには嬉しい第一声にも聞こえる。
西家の古川が白をポンして、

六万七万二筒四筒五筒六筒七筒九筒東東北  ポン白白白

ここから七万六万と払いピンズに寄せる。
その数巡後、「リーチ!」と最初のリーチ発声は期待どおり親の瀬戸熊。

100

古川、瀬戸熊の「らしさ」が開局に観られて力が入ってしまったのは私だけではないだろう。

三万四万五万七万八万九万一索一索三索四索五筒六筒七筒  リーチ

瀬戸熊のリーチをみて、古川がリーチ後に表示牌である二万→ドラの三万とツモり、

二万三万五筒六筒七筒七筒八筒九筒東東  ポン白白白  ロン一万 

古川が勝又より2,000のアガリ。

東2局、これぞ現鳳凰位の前田の構想力。

親の前田
二万三万二索三索四索四索六索四筒五筒六筒六筒七筒九筒九筒  ドラ一万

実況の山井は言っていた「四索六索で迷っているのでしょうか?」
解説の沢崎は答えを知っていたかのように「九筒をスーッて打てないとね」
前田の選択は九筒だった。

正直私の力量では234三色への渡りを見ることはできるが、ここで九筒という器量はない。
だが、昨年の前田の麻雀を観た人は知っている、これが前田なのだ。

そしてこの手をリーチ、入り目は六筒宣言牌は七筒
きっと入り目が三筒だったら打六索でテンパイとらずだったのだろう。

100

二万三万二索三索四索六索六索四筒五筒六筒六筒六筒六筒  リーチ  ロン四万

当たってみろとばかりに瀬戸熊が四万を打ち3,900のアガリ。
リーチのみの2,000とこの3,900が明暗を分ける勝負になるのでは?と感じさせられるほどのアガリであった。

南1局、東場は我慢が続いた勝又が、三索六索の振り変わりを頃合とみてリーチといく。

100

古川もこのテンパイで七索四索を振り替え手痛い高めの放銃となってしまう。

古川
二万二万四万五万六万四索四索五索六索七索七索  ポン七万 上向き七万 上向き七万 上向き  ドラ二万

勝又
三万四万五万八万八万四索五索五索六索六索二筒三筒四筒  リーチ  ロン四索 

南3局1本場、古川の持つエネルギーは凄まじい。
4巡目に、北家・前田の四筒を迷うことなくチー。

五万六万四索六索七索七索五筒六筒中中  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ドラ三筒

前田も10巡目にテンパイを入れる。待ちの二索は山に3枚。

七万八万九万一索三索五索六索七索三筒三筒白白白  ドラ三筒

そして瀬戸熊も残りツモ2回に賭けたリーチ。

二万三万四万四万五万六万二索三索四索二筒二筒四筒五筒  リーチ  ドラ三筒

前田、リーチ直後に持ってきた七万を覚悟を決め河に放つ。
そこに古川の手が開かれる。

五万六万二索三索四索七索七索五筒六筒七筒  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ロン七万  ドラ三筒

古川にはわからないことだが、実際には四筒四筒五索と跳満まであるツモを自らの仕掛けでさげてはいる。
しかしそんなことは関係ないのだろう、相手を勝負の形で討ち取って自分の型にもっていく。
3者のアンテナは、既にこの古川の仕掛けでずれてきているのかもしれない?と感じさせられた。

南3局、古川はここから南を手牌に残して打三筒とする。

一万三万六万七万八万六索七索八索二筒二筒三筒六筒七筒南  ドラ三万 

その三筒を勝又がチーして絶好のテンパイ。

二万三万四万九万九万五索六索  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ポン白白白  ドラ三万

三筒切りは失敗なのでは?と大半の方は感じたと思う
だが、古川のツモは四万そして八筒チーと一気に勝又へ追いつき追い越すこの2,000は2,200オールのツモアガりでこの半荘1浮きのトップとなる。

三万四万六万七万八万六索七索八索二筒二筒  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ツモ二万  ドラ三万

1回戦成績
古川+20.7P 勝又▲2.1P 前田▲5.4P 瀬戸熊▲13.2P

2回戦 (起家から、前田・古川・勝又・瀬戸熊)

東1局、親の前田6巡目の牌姿。

二万三万六万七万一索三索六索六索一筒二筒五筒七筒東  ドラ八索

123三色やタンヤオピンフなどを見て東を捨てると瀬戸熊へ8,000の放銃となる。

瀬戸熊
二筒三筒四筒六筒六筒六筒八筒八筒八筒東東中中  ドラ八索

打点力のある前田の選択は123三色を見切る一筒、もうすでに卓上の何かを感じているのだ。

そして11巡目に勝又リーチ。

八万八万八万九万九万四索五索六索八索八索三筒四筒五筒  リーチ

瀬戸熊もツモ切りリーチで倍満狙いとくる、だがこうなると前田の東はもうでることはなく流局。
運があるとかないなどあるが、東を掴んでいた前田に運がないのか、それともアガリがない瀬戸熊、勝又にないのか?
無傷で済んだ古川に運が有るのは確かだろう。

東3局 ドラ七万

100

誰が打ってもおかしくない二索を瀬戸熊が掴む。
私は3者を狙った七対子や国士無双などを放銃するのは、それまで一番運が無い人または落としている人が持ってくると思っている。
この局面もそれに類似していると思う、瀬戸熊不調だなと。

東4局、そんな人の予想を吹き飛ばすように瀬戸熊の形には拘らないこの2,000オールのツモアガリ。

八万九万四索四索五索六索七索四筒四筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ七万  ドラ六索

本人はどう受けとめたのだろうか、まわりにはどうみえたのだろう。

東4局1本場
「これは意外だった」私の感想である。
瀬戸熊はよく「テンパイでの放銃にもっていきたい」と言う。

瀬戸熊
二万二万三万四万四万四万五万七万九万九万六筒東東  ドラ三万

古川
三万四万九万九万三索四索五索七索八索九索五筒六筒七筒  リーチ  ロン二万 

ここから一万をチーして二万で放銃。シャンテン数をあげる仕掛けなので普通にも見えるが、私の見てきた瀬戸熊の麻雀ではない。
ここから先テンパイしての六筒で放銃ならよしと、先ほどの言葉は違うと思う。
先ほどの2,000オールを信じて繋げるのならチーせずもあると思う。
色々思うことはあるが、先ほどの七万のツモアガリに感触は無かったのだと私は結論づけた。

南3局、勝又の読みの精度。

100

勝又
二万四万五万五万七万九万六索七索八索四筒五筒中中中 
二万四万五万五万六万七万九万六索七索八索五筒中中中
二万三万四万五万五万六万七万九万六索七索八索中中中

二万三万四万五万五万六万七万六索七索八索中中中  ロン八万

三筒六筒を嫌って見事にマンズを伸ばし二万五万八万待ちで瀬戸熊から12,000をアガる。
この大舞台でこの選択ができる勝又の胆力でトップを勝ち取る。

2回戦成績
勝又+21.0P 前田+7.3P 古川+1.9P 瀬戸熊▲30.2P

2回戦終了時
古川+22.6P 勝又+18.9P 前田+1.9P 瀬戸熊▲43.4P

3回戦 (起家から、前田・古川・勝又・瀬戸熊)

東3局、親の勝又のリーチに瀬戸熊が押し切り6,400をアガる。

勝又
一万二万三万五索五索五索一筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ一筒

瀬戸熊
六万六万七万七万一筒一筒三筒三筒四筒四筒八筒八筒白  ロン白 

東4局、アガリをものにした瀬戸熊に気分良く打たせないぞと勝又が動くが瀬戸熊へ放銃。

勝又
八万八万四索五索六索六筒七筒  チー三索 上向き四索 上向き五索 上向き  チー二筒 上向き三筒 上向き四筒 上向き  ドラ四筒

瀬戸熊
六万六万五筒六筒  暗カン牌の背一万 上向き一万 上向き牌の背  チー二万 上向き三万 上向き四万 上向き  ポン東東東  ロン七筒 

南2局、ヤミテンで息を潜める前田、親の古川リーチ、古川の河には二筒があるが不要牌の六索を持ってきて、これを打つ以上はと追いかけリーチで古川から8,000のアガリ。

古川
三万四万五万三索三索五索五索五索七索九索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ七索

前田
六万七万八万六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン二筒

南3局、この時点で17,800持ちの勝又からの猛反撃が始まる。
先にテンパイを入れていた古川から3,900。

五万六万七万三索三索三索四索五索六索三筒三筒五筒六筒  リーチ  ロン四筒  ドラ八索

南3局1本場、続けてトップ目の瀬戸熊から12,000は12,300。

一筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒九筒東  ロン東  ドラ三筒

南3局2本場、リーチ宣言牌は七筒これは流局。

一万二万三万一索二索三索四索四索四索二筒三筒四筒六筒  リーチ  ドラ六筒

南3局3本場、3フーロしている瀬戸熊からホウテイで捕らえる。
後日、瀬戸熊にコメントをもらったが、この局に対して自分を呪ったと言っていた。
胸が裂けるようないろいろな気持ちが伝わる…

勝又
三万四万五万七索八索九索二筒三筒四筒九筒九筒東東  リーチ  ロン九筒  ドラ四万

南3局4本場 

100

瀬戸熊は八筒を手の中から入れ替えてリーチ。
残り枚数は2枚対1枚。勢いは勝又、瀬戸熊は焦りにみえたが非常に大きなツモアガリをものにする。

3回戦成績
勝又+16.2P 前田+5.7P 古川▲7.8P 瀬戸熊▲14.1P

3回戦終了時
勝又+35.1P 古川+14.8P 前田+7.6P 瀬戸熊▲57.5P

4回戦 (起家から、瀬戸熊・前田・古川・勝又)

東1局、親の瀬戸熊が力を込めて一筒を叩きつける。

100

この日の瀬戸熊は、リードしてからそれが繋がらない展開が続いていた。
守る点棒とみるか、攻める点棒とみるかだが、手格好に拘らない態勢良しの攻めは、トータルポイントが許してくれない気もする。

東2局、7巡目前田の親リーチ。

五万六万七万二索二索五索六索七索四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ九筒

この時の古川の牌姿。

四万五万六万八万八万三索四索五索九索九索九筒九筒東

これをドラ2に溺れず、古川は丁寧に進め16巡目に追いつき18巡目にツモアガリ。

100

古川の手牌に九筒はあるが三筒六筒は1枚もないのが前田には見えるだけに前田もまだ不調にみえる。

東3局1本場、親の古川が難しい牌姿。

四万五万六万二索二索四索六索六索二筒二筒三筒四筒四筒六筒  ドラ二筒

四万五万六万二索二索四索六索六索二筒二筒三筒四筒四筒五筒

上から六筒六索と選択してこのテンパイ。

四万五万六万二索二索四索六索二筒二筒三筒三筒四筒四筒

100

前田ここは跳満ツモを狙いリーチ、瀬戸熊も四暗刻の1シャンテンで山には残っていない四万のトイツを選択し、古川の待ちである五索を引き入れて追いかける。
2人の待ちはどちらも山に3枚。勝負形の古川から瀬戸熊が東のアガリとなる。

南1局、古川先制リーチ。ここでは絶対に退くことはない瀬戸熊もすぐに追いつきリーチ。

古川
九万九万一索一索一索四索五索六索七索八索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ五索

瀬戸熊
一万一万二万二万三万三万四万五万六万北北発発  リーチ

瀬戸熊はこれをアガれば本日の負債を全て返すことができる。応援コメントにも熱が入るが流局。

南1局1本場、リャンメン形リーチにアガリの感触がないと前田は終局時に語っていた。

前田
一万二万一索二索三索一筒一筒七筒八筒九筒東東東  リーチ  ドラ三筒

瀬戸熊
三万三万六万七万八万七索七索七索三筒三筒五筒六筒七筒  リーチ

瀬戸熊も放銃となる三万を打たずに五万を宣言牌としてリーチする、もう一本のアガリが欲しいところだが流局。

南4局1本場、3回戦までトータル首位の勝又が親リーチ。
この半荘トップ目の瀬戸熊も3回戦までの借りを返すとばかりにリーチを打つが軍配は勝又にあがる。

勝又
五万六万七万八万一索二索三索二筒三筒四筒北北北  リーチ  ロン八万  ドラ三筒

瀬戸熊
四万四万六万六万六万一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ

南4局2本場、今日の勝又は失点してからの親が強い!
最後の選択も正解を選び、他3者にこれでもかとばかりの6,000オール。

三万三万三万三万四万五万六万七万八万七筒七筒八筒八筒  ツモ七筒  ドラ三万

南3局4本場 

100

六万四万の切り出しで愚形の可能性が少なく、かなり危険な状態だったがここでいかないとまずい」と対局後の前田のコメント。

四索八筒二索九索五万二万と切り飛ばし価値ある1,300。胸が熱くなる1局だった。

4回戦成績
瀬戸熊+29.6P 勝又+11.3P 前田▲10.4P 古川▲30.5P

4回戦終了時成績
勝又+46.4P 前田▲2.8P 古川▲15.7P 瀬戸熊▲27.9P

初日を終えてみれば不調の瀬戸熊が持ち直し、勝又は見事な安定感でリードという並びで終えた。
まだまだ続く激戦を是非ご覧頂きたい。

最後に勝又から初日を終えてのコメントを頂いた。

勝又「初日をプラスで終えることができたという結果は嬉しく思いますが、その内容はというと満足できないものにしてしまいました。課題を乗り越えるためにも、1週間、徹底的に自分を追い込み、結果、内容ともに充実したものにしたいと思います。」

 
 

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第32期鳳凰位決定戦 初日観戦記 HIRO柴田

初めてA1へ昇級をした年、わたしはこの場にいた。あれからもう7年か…
この時期になるとあの時の悔しさを思い出す。その時からの成長を今一度みせてやりたいと思う気持ち。皆それぞれ思う気持ちがある。
それが年間のプロリーグでありこの決定戦であろう。
今期のリーグ戦では生きる伝説、荒のまさかの降級。決定戦争いに敗れた前原。
それらを退けて勝ち取った瀬戸熊直樹、勝又健志、古川孝次の3名が、前年度の鳳凰位である前田直哉に挑戦する。
溢れる個性を持ったこの4者が、4日間に渡る戦いを始めようとしている。
100
1回戦(起家から瀬戸熊・前田・古川・勝又)
東1局 ドラ三万
初動はやはり古川、白をポン
100
この1年間の戦いをみてきた古川ファンには嬉しい第一声にも聞こえる。
西家の古川が白をポンして、
六万七万二筒四筒五筒六筒七筒九筒東東北  ポン白白白
ここから七万六万と払いピンズに寄せる。
その数巡後、「リーチ!」と最初のリーチ発声は期待どおり親の瀬戸熊。
100
古川、瀬戸熊の「らしさ」が開局に観られて力が入ってしまったのは私だけではないだろう。
三万四万五万七万八万九万一索一索三索四索五筒六筒七筒  リーチ
瀬戸熊のリーチをみて、古川がリーチ後に表示牌である二万→ドラの三万とツモり、
二万三万五筒六筒七筒七筒八筒九筒東東  ポン白白白  ロン一万 
古川が勝又より2,000のアガリ。
東2局、これぞ現鳳凰位の前田の構想力。
親の前田
二万三万二索三索四索四索六索四筒五筒六筒六筒七筒九筒九筒  ドラ一万
実況の山井は言っていた「四索六索で迷っているのでしょうか?」
解説の沢崎は答えを知っていたかのように「九筒をスーッて打てないとね」
前田の選択は九筒だった。
正直私の力量では234三色への渡りを見ることはできるが、ここで九筒という器量はない。
だが、昨年の前田の麻雀を観た人は知っている、これが前田なのだ。
そしてこの手をリーチ、入り目は六筒宣言牌は七筒
きっと入り目が三筒だったら打六索でテンパイとらずだったのだろう。
100
二万三万二索三索四索六索六索四筒五筒六筒六筒六筒六筒  リーチ  ロン四万
当たってみろとばかりに瀬戸熊が四万を打ち3,900のアガリ。
リーチのみの2,000とこの3,900が明暗を分ける勝負になるのでは?と感じさせられるほどのアガリであった。
南1局、東場は我慢が続いた勝又が、三索六索の振り変わりを頃合とみてリーチといく。
100
古川もこのテンパイで七索四索を振り替え手痛い高めの放銃となってしまう。
古川
二万二万四万五万六万四索四索五索六索七索七索  ポン七万 上向き七万 上向き七万 上向き  ドラ二万
勝又
三万四万五万八万八万四索五索五索六索六索二筒三筒四筒  リーチ  ロン四索 
南3局1本場、古川の持つエネルギーは凄まじい。
4巡目に、北家・前田の四筒を迷うことなくチー。
五万六万四索六索七索七索五筒六筒中中  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ドラ三筒
前田も10巡目にテンパイを入れる。待ちの二索は山に3枚。
七万八万九万一索三索五索六索七索三筒三筒白白白  ドラ三筒
そして瀬戸熊も残りツモ2回に賭けたリーチ。
二万三万四万四万五万六万二索三索四索二筒二筒四筒五筒  リーチ  ドラ三筒
前田、リーチ直後に持ってきた七万を覚悟を決め河に放つ。
そこに古川の手が開かれる。
五万六万二索三索四索七索七索五筒六筒七筒  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ロン七万  ドラ三筒
古川にはわからないことだが、実際には四筒四筒五索と跳満まであるツモを自らの仕掛けでさげてはいる。
しかしそんなことは関係ないのだろう、相手を勝負の形で討ち取って自分の型にもっていく。
3者のアンテナは、既にこの古川の仕掛けでずれてきているのかもしれない?と感じさせられた。
南3局、古川はここから南を手牌に残して打三筒とする。
一万三万六万七万八万六索七索八索二筒二筒三筒六筒七筒南  ドラ三万 
その三筒を勝又がチーして絶好のテンパイ。
二万三万四万九万九万五索六索  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ポン白白白  ドラ三万
三筒切りは失敗なのでは?と大半の方は感じたと思う
だが、古川のツモは四万そして八筒チーと一気に勝又へ追いつき追い越すこの2,000は2,200オールのツモアガりでこの半荘1浮きのトップとなる。
三万四万六万七万八万六索七索八索二筒二筒  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ツモ二万  ドラ三万
1回戦成績
古川+20.7P 勝又▲2.1P 前田▲5.4P 瀬戸熊▲13.2P
2回戦 (起家から、前田・古川・勝又・瀬戸熊)
東1局、親の前田6巡目の牌姿。
二万三万六万七万一索三索六索六索一筒二筒五筒七筒東  ドラ八索
123三色やタンヤオピンフなどを見て東を捨てると瀬戸熊へ8,000の放銃となる。
瀬戸熊
二筒三筒四筒六筒六筒六筒八筒八筒八筒東東中中  ドラ八索
打点力のある前田の選択は123三色を見切る一筒、もうすでに卓上の何かを感じているのだ。
そして11巡目に勝又リーチ。
八万八万八万九万九万四索五索六索八索八索三筒四筒五筒  リーチ
瀬戸熊もツモ切りリーチで倍満狙いとくる、だがこうなると前田の東はもうでることはなく流局。
運があるとかないなどあるが、東を掴んでいた前田に運がないのか、それともアガリがない瀬戸熊、勝又にないのか?
無傷で済んだ古川に運が有るのは確かだろう。
東3局 ドラ七万
100
誰が打ってもおかしくない二索を瀬戸熊が掴む。
私は3者を狙った七対子や国士無双などを放銃するのは、それまで一番運が無い人または落としている人が持ってくると思っている。
この局面もそれに類似していると思う、瀬戸熊不調だなと。
東4局、そんな人の予想を吹き飛ばすように瀬戸熊の形には拘らないこの2,000オールのツモアガリ。
八万九万四索四索五索六索七索四筒四筒四筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ七万  ドラ六索
本人はどう受けとめたのだろうか、まわりにはどうみえたのだろう。
東4局1本場
「これは意外だった」私の感想である。
瀬戸熊はよく「テンパイでの放銃にもっていきたい」と言う。
瀬戸熊
二万二万三万四万四万四万五万七万九万九万六筒東東  ドラ三万
古川
三万四万九万九万三索四索五索七索八索九索五筒六筒七筒  リーチ  ロン二万 
ここから一万をチーして二万で放銃。シャンテン数をあげる仕掛けなので普通にも見えるが、私の見てきた瀬戸熊の麻雀ではない。
ここから先テンパイしての六筒で放銃ならよしと、先ほどの言葉は違うと思う。
先ほどの2,000オールを信じて繋げるのならチーせずもあると思う。
色々思うことはあるが、先ほどの七万のツモアガリに感触は無かったのだと私は結論づけた。
南3局、勝又の読みの精度。
100
勝又
二万四万五万五万七万九万六索七索八索四筒五筒中中中 
二万四万五万五万六万七万九万六索七索八索五筒中中中
二万三万四万五万五万六万七万九万六索七索八索中中中
二万三万四万五万五万六万七万六索七索八索中中中  ロン八万
三筒六筒を嫌って見事にマンズを伸ばし二万五万八万待ちで瀬戸熊から12,000をアガる。
この大舞台でこの選択ができる勝又の胆力でトップを勝ち取る。
2回戦成績
勝又+21.0P 前田+7.3P 古川+1.9P 瀬戸熊▲30.2P
2回戦終了時
古川+22.6P 勝又+18.9P 前田+1.9P 瀬戸熊▲43.4P
3回戦 (起家から、前田・古川・勝又・瀬戸熊)
東3局、親の勝又のリーチに瀬戸熊が押し切り6,400をアガる。
勝又
一万二万三万五索五索五索一筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ一筒
瀬戸熊
六万六万七万七万一筒一筒三筒三筒四筒四筒八筒八筒白  ロン白 
東4局、アガリをものにした瀬戸熊に気分良く打たせないぞと勝又が動くが瀬戸熊へ放銃。
勝又
八万八万四索五索六索六筒七筒  チー三索 上向き四索 上向き五索 上向き  チー二筒 上向き三筒 上向き四筒 上向き  ドラ四筒
瀬戸熊
六万六万五筒六筒  暗カン牌の背一万 上向き一万 上向き牌の背  チー二万 上向き三万 上向き四万 上向き  ポン東東東  ロン七筒 
南2局、ヤミテンで息を潜める前田、親の古川リーチ、古川の河には二筒があるが不要牌の六索を持ってきて、これを打つ以上はと追いかけリーチで古川から8,000のアガリ。
古川
三万四万五万三索三索五索五索五索七索九索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ七索
前田
六万七万八万六索七索八索二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン二筒
南3局、この時点で17,800持ちの勝又からの猛反撃が始まる。
先にテンパイを入れていた古川から3,900。
五万六万七万三索三索三索四索五索六索三筒三筒五筒六筒  リーチ  ロン四筒  ドラ八索
南3局1本場、続けてトップ目の瀬戸熊から12,000は12,300。
一筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒九筒東  ロン東  ドラ三筒
南3局2本場、リーチ宣言牌は七筒これは流局。
一万二万三万一索二索三索四索四索四索二筒三筒四筒六筒  リーチ  ドラ六筒
南3局3本場、3フーロしている瀬戸熊からホウテイで捕らえる。
後日、瀬戸熊にコメントをもらったが、この局に対して自分を呪ったと言っていた。
胸が裂けるようないろいろな気持ちが伝わる…
勝又
三万四万五万七索八索九索二筒三筒四筒九筒九筒東東  リーチ  ロン九筒  ドラ四万
南3局4本場 
100
瀬戸熊は八筒を手の中から入れ替えてリーチ。
残り枚数は2枚対1枚。勢いは勝又、瀬戸熊は焦りにみえたが非常に大きなツモアガリをものにする。
3回戦成績
勝又+16.2P 前田+5.7P 古川▲7.8P 瀬戸熊▲14.1P
3回戦終了時
勝又+35.1P 古川+14.8P 前田+7.6P 瀬戸熊▲57.5P
4回戦 (起家から、瀬戸熊・前田・古川・勝又)
東1局、親の瀬戸熊が力を込めて一筒を叩きつける。
100
この日の瀬戸熊は、リードしてからそれが繋がらない展開が続いていた。
守る点棒とみるか、攻める点棒とみるかだが、手格好に拘らない態勢良しの攻めは、トータルポイントが許してくれない気もする。
東2局、7巡目前田の親リーチ。
五万六万七万二索二索五索六索七索四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ九筒
この時の古川の牌姿。
四万五万六万八万八万三索四索五索九索九索九筒九筒東
これをドラ2に溺れず、古川は丁寧に進め16巡目に追いつき18巡目にツモアガリ。
100
古川の手牌に九筒はあるが三筒六筒は1枚もないのが前田には見えるだけに前田もまだ不調にみえる。
東3局1本場、親の古川が難しい牌姿。
四万五万六万二索二索四索六索六索二筒二筒三筒四筒四筒六筒  ドラ二筒
四万五万六万二索二索四索六索六索二筒二筒三筒四筒四筒五筒
上から六筒六索と選択してこのテンパイ。
四万五万六万二索二索四索六索二筒二筒三筒三筒四筒四筒
100
前田ここは跳満ツモを狙いリーチ、瀬戸熊も四暗刻の1シャンテンで山には残っていない四万のトイツを選択し、古川の待ちである五索を引き入れて追いかける。
2人の待ちはどちらも山に3枚。勝負形の古川から瀬戸熊が東のアガリとなる。
南1局、古川先制リーチ。ここでは絶対に退くことはない瀬戸熊もすぐに追いつきリーチ。
古川
九万九万一索一索一索四索五索六索七索八索一筒二筒三筒  リーチ  ドラ五索
瀬戸熊
一万一万二万二万三万三万四万五万六万北北発発  リーチ
瀬戸熊はこれをアガれば本日の負債を全て返すことができる。応援コメントにも熱が入るが流局。
南1局1本場、リャンメン形リーチにアガリの感触がないと前田は終局時に語っていた。
前田
一万二万一索二索三索一筒一筒七筒八筒九筒東東東  リーチ  ドラ三筒
瀬戸熊
三万三万六万七万八万七索七索七索三筒三筒五筒六筒七筒  リーチ
瀬戸熊も放銃となる三万を打たずに五万を宣言牌としてリーチする、もう一本のアガリが欲しいところだが流局。
南4局1本場、3回戦までトータル首位の勝又が親リーチ。
この半荘トップ目の瀬戸熊も3回戦までの借りを返すとばかりにリーチを打つが軍配は勝又にあがる。
勝又
五万六万七万八万一索二索三索二筒三筒四筒北北北  リーチ  ロン八万  ドラ三筒
瀬戸熊
四万四万六万六万六万一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ
南4局2本場、今日の勝又は失点してからの親が強い!
最後の選択も正解を選び、他3者にこれでもかとばかりの6,000オール。
三万三万三万三万四万五万六万七万八万七筒七筒八筒八筒  ツモ七筒  ドラ三万
南3局4本場 
100
六万四万の切り出しで愚形の可能性が少なく、かなり危険な状態だったがここでいかないとまずい」と対局後の前田のコメント。
四索八筒二索九索五万二万と切り飛ばし価値ある1,300。胸が熱くなる1局だった。
4回戦成績
瀬戸熊+29.6P 勝又+11.3P 前田▲10.4P 古川▲30.5P
4回戦終了時成績
勝又+46.4P 前田▲2.8P 古川▲15.7P 瀬戸熊▲27.9P
初日を終えてみれば不調の瀬戸熊が持ち直し、勝又は見事な安定感でリードという並びで終えた。
まだまだ続く激戦を是非ご覧頂きたい。
最後に勝又から初日を終えてのコメントを頂いた。
勝又「初日をプラスで終えることができたという結果は嬉しく思いますが、その内容はというと満足できないものにしてしまいました。課題を乗り越えるためにも、1週間、徹底的に自分を追い込み、結果、内容ともに充実したものにしたいと思います。」
 
 

「プロテスト実行委員会」 紺野 真太郎

私がプロテストを受験したのが1999年9月。今の若い人は知らないかもしれないが、ノストラダムスの大予言が外れた直後であった。当時の受験者は50名ほどだったと記憶している。
合格して入会したのが2000年4月だから、もう16年もこの世界で生きてきたことになる。
受験時や入会当初は自分のことを日本一強いと思っていた。若かったし、何も知らなかったからただの怖いもの知らずだった。だが、少しずつこの世界を知るごとに勘違いに気づいていった。

この世界で生きていくにはどうしたらいいのだろうか。

答えはわからなかったが、出来る仕事に対して丁寧に誠実にこなしていくことしかないかなと出来ることは一生懸命やってきた。

当時出来る仕事といえば麻雀荘で働く以外ほとんどなかった。麻雀荘での仕事に不満があったわけではなかったが、もっとこの世界に深く関わることがしたかった。声がかかる仕事はなんでも一生懸命に丁寧に誠実にやった。そうしているうちに本当に徐々にではあるが仕事が増えていった。

そんな仕事の一つにプロテストの手伝いがあった。

現プロテスト実行委員会委員長の前原雄大に連れられ1年目からアシスタントをやらせてもらっているが、最初のうちは教え方もまったくだったと思う。だからといって今は満足しているかといえばそんなことはない。いかにして伝えるかという課題はやっていく限りついてくるものだと思っている。

過去のコラムにも書いてあったと思うが、プロテストは半年間の長期にわたる。一次は書類選考、二次は筆記、実技、面接等、三次が約半年、全5回のテストで、ここでは、テストでありながらも、競技麻雀における作法、マナーや闘牌フォームの撮影、それによる悪癖の指摘、矯正、もちろん実戦指導も行われる。

長かった三次テストの最後にはスタジオでの最終テストも待っている。講師陣が解説を担当し、放送こそされないが、生放送さながらの雰囲気で対局を行ってもらう。これは将来的に選手としてここに戻って来たときに大きな財産となるであろう。

スタジオを使用してのテストは前回が初めてであった。プロテストも基本は変わらないものの、少しずつ形を変えつつある。なぜなら、ここ数年この世界を取り巻く環境は劇的に変化した。というより変化し続けているからである。

受験生の質も変化してきている。昔ながらに麻雀荘で働きながらこの世界のトップを目指す者も勿論いるが、増えているのは正業を持ちながらもこの世界で生きていきたいと思う者。しかも食べていける目処が立てばこの世界に絞るという。実際にこの世界で食べていけるようになるには並大抵のことではない。だが、男女問わずこの世界で麻雀プロを職業としている者はいる。そういう者達を目の当たりにし、自分もそうなりたいと夢を持つのであろう。それだけ魅力的に見える世界になってきたということであろう。

取り巻く環境も受験する者の意識も変わってきた。ならばプロテストも変化していかなければならない。カリキュラムの1つであるフォーム撮影は過去には行っていなかった。機材を揃えるだけでも大変であったし、見られることを意識したフォームなどは、自己の意識に任されていた。もちろん当時でも見られることを意識し、鏡などを利用し、フォームの矯正を行っていた者もいたが。

時が進み、機材も進化し(現在はデジタルカメラで撮影、再生、編集も難しくないが、当時はビデオテープを使用するタイプが主で同じ作業でも手間がかかった。)揃えやすくもなり、麻雀プロとして見られることの需要が増えてきたことへの対応、変化であった。

スタジオを利用してのテストも環境の変化からしたらプロテストに組み込まれるのも必然であったであろう。入会当時はプロ団体がスタジオを持つなんて考えもつかなかったし、そこからリーグ戦をはじめとする各タイトル戦や公式戦、オリジナル番組などを自らの手で配信するなんて夢をも超える世界となった。

今後もこの世界は進化を続けるであろう。もう見られることを無視できない、というより見られなければいけない状況である。
スタジオを作り、チャンネルも持った今、どれだけ多くの人に見てもらい、支持を得るかがプロの価値になってきたと言っても過言ではないだろう。
フォームなどの見た目も大事であるが、見られる上でもっと大事なことがある。それは勿論、麻雀そのものである。

三次テストのなかで行ういろいろなカリキュラムでも毎回一番時間を割くところでもある。実戦指導ではとにかく序盤を重点的に指導する。5,6巡目までの繰り返しだけでテスト時間の大半を使うこともしばしばである。

「序盤には実力が出やすい。ここを徹底的に鍛えれば強くなる。」

と前原は言う。前原からこの序盤が大事であるという話を聞いたのは最近のことではない。知り合ったころから「序盤を見れば力はわかるよ」と聞かされていた。
実際に指導に入り疑問手があると質問をする。

「なんでそこでそれを切ったのですか?」

返ってくる答えはだいたい2パターン。論理的に正しいかどうかは別として、しっかり自分の意見を答えてくる受験生と、ただなんとなく進めてしまったのか、うまく答えられず口籠ってしまうかだ。

自分なりの意見を発してくれれば、こちらとしても対応は容易い。素直に納得することもあるし、論理的に外れていると思えばこちらの意見を言う。ここでも反応は2つに分かれ、納得するしないは別としても受け入れる者と、更に自分の意見を述べてくる者。その姿勢はある意味頼もしくもある。そこで更にこちらの意見を重ねてしまうと収まりがつかなくなるのでそれ以上はその場では広げない。いつか活躍するときまでに理解してくれればと思う。

自分の意見というか思考を答えられない者には司会者、解説者または一般視聴者に

「なんであの時あれを切ったのですか?」

って聞かれたらどうしますか?と問う。別に責めているわけでもなんでもなく、自分の思考を発することの大事さを伝えたいだけなのだ。

こんなカリキュラムを半年も続けていると最終テストを迎えるころには、受験生もプロとしてのスタートラインに立てるだけの力をつけていることが多い。それはテスト期間中に本当に必死にやったからであろう。ただ、本当の勝負は合格してスタートラインに立ってからであり、テスト期間のテンションを保ち続けて欲しいと思う。合格はゴールではなくただのスタートにすぎない。

合格後は各々が上を目指しもがいていく。それを努力と呼ぶ者もいれば、稽古と、または修行と呼ぶ者もいる。それを1人でやる者もいればグループでセットなどを組んで行う者、当連盟に存在する幾つかの勉強会に顔を出す者もいる。そういう所で出来る関係性を師弟関係と見られることもあるが、そんな上下関係ではない。上は下に対し自分の持つもの、知りえることを隠したりしない。聞かれれば答えるし伝えていく。みな仲間であり、願うことはレベルの向上、簡単に言えば強くなって欲しいだけなのだ。

自分が今聞かれて話すことの7割くらいは先輩方に伝え聞いたこと。それに少しの自分の言葉を付け加えて話しているだけだ。そうすることでレベルの向上に繋がればいいなと思う。そうやって後輩達に伝えていくことが伝統となっていくのだろう。

また新しいプロテストがやってくる。今度はどんな受験者がやってくるだろうか。期待して待ちたい。

→募集要項はこちら

プロテスト実行委員会コラムまとめ

32期前期プロテストコラム-大庭三四郎

31期後期プロテストコラム-望月雅継

31期前期プロテストコラム-紺野真太郎

30期後期プロテストコラム-杉浦勘介

30期前期プロテストコラム-内川幸太郎

プロ雀士コラム/「プロテスト実行委員会」 紺野 真太郎

私がプロテストを受験したのが1999年9月。今の若い人は知らないかもしれないが、ノストラダムスの大予言が外れた直後であった。当時の受験者は50名ほどだったと記憶している。
合格して入会したのが2000年4月だから、もう16年もこの世界で生きてきたことになる。
受験時や入会当初は自分のことを日本一強いと思っていた。若かったし、何も知らなかったからただの怖いもの知らずだった。だが、少しずつこの世界を知るごとに勘違いに気づいていった。
この世界で生きていくにはどうしたらいいのだろうか。
答えはわからなかったが、出来る仕事に対して丁寧に誠実にこなしていくことしかないかなと出来ることは一生懸命やってきた。
当時出来る仕事といえば麻雀荘で働く以外ほとんどなかった。麻雀荘での仕事に不満があったわけではなかったが、もっとこの世界に深く関わることがしたかった。声がかかる仕事はなんでも一生懸命に丁寧に誠実にやった。そうしているうちに本当に徐々にではあるが仕事が増えていった。
そんな仕事の一つにプロテストの手伝いがあった。
現プロテスト実行委員会委員長の前原雄大に連れられ1年目からアシスタントをやらせてもらっているが、最初のうちは教え方もまったくだったと思う。だからといって今は満足しているかといえばそんなことはない。いかにして伝えるかという課題はやっていく限りついてくるものだと思っている。
過去のコラムにも書いてあったと思うが、プロテストは半年間の長期にわたる。一次は書類選考、二次は筆記、実技、面接等、三次が約半年、全5回のテストで、ここでは、テストでありながらも、競技麻雀における作法、マナーや闘牌フォームの撮影、それによる悪癖の指摘、矯正、もちろん実戦指導も行われる。
長かった三次テストの最後にはスタジオでの最終テストも待っている。講師陣が解説を担当し、放送こそされないが、生放送さながらの雰囲気で対局を行ってもらう。これは将来的に選手としてここに戻って来たときに大きな財産となるであろう。
スタジオを使用してのテストは前回が初めてであった。プロテストも基本は変わらないものの、少しずつ形を変えつつある。なぜなら、ここ数年この世界を取り巻く環境は劇的に変化した。というより変化し続けているからである。
受験生の質も変化してきている。昔ながらに麻雀荘で働きながらこの世界のトップを目指す者も勿論いるが、増えているのは正業を持ちながらもこの世界で生きていきたいと思う者。しかも食べていける目処が立てばこの世界に絞るという。実際にこの世界で食べていけるようになるには並大抵のことではない。だが、男女問わずこの世界で麻雀プロを職業としている者はいる。そういう者達を目の当たりにし、自分もそうなりたいと夢を持つのであろう。それだけ魅力的に見える世界になってきたということであろう。
取り巻く環境も受験する者の意識も変わってきた。ならばプロテストも変化していかなければならない。カリキュラムの1つであるフォーム撮影は過去には行っていなかった。機材を揃えるだけでも大変であったし、見られることを意識したフォームなどは、自己の意識に任されていた。もちろん当時でも見られることを意識し、鏡などを利用し、フォームの矯正を行っていた者もいたが。
時が進み、機材も進化し(現在はデジタルカメラで撮影、再生、編集も難しくないが、当時はビデオテープを使用するタイプが主で同じ作業でも手間がかかった。)揃えやすくもなり、麻雀プロとして見られることの需要が増えてきたことへの対応、変化であった。
スタジオを利用してのテストも環境の変化からしたらプロテストに組み込まれるのも必然であったであろう。入会当時はプロ団体がスタジオを持つなんて考えもつかなかったし、そこからリーグ戦をはじめとする各タイトル戦や公式戦、オリジナル番組などを自らの手で配信するなんて夢をも超える世界となった。
今後もこの世界は進化を続けるであろう。もう見られることを無視できない、というより見られなければいけない状況である。
スタジオを作り、チャンネルも持った今、どれだけ多くの人に見てもらい、支持を得るかがプロの価値になってきたと言っても過言ではないだろう。
フォームなどの見た目も大事であるが、見られる上でもっと大事なことがある。それは勿論、麻雀そのものである。
三次テストのなかで行ういろいろなカリキュラムでも毎回一番時間を割くところでもある。実戦指導ではとにかく序盤を重点的に指導する。5,6巡目までの繰り返しだけでテスト時間の大半を使うこともしばしばである。
「序盤には実力が出やすい。ここを徹底的に鍛えれば強くなる。」
と前原は言う。前原からこの序盤が大事であるという話を聞いたのは最近のことではない。知り合ったころから「序盤を見れば力はわかるよ」と聞かされていた。
実際に指導に入り疑問手があると質問をする。
「なんでそこでそれを切ったのですか?」
返ってくる答えはだいたい2パターン。論理的に正しいかどうかは別として、しっかり自分の意見を答えてくる受験生と、ただなんとなく進めてしまったのか、うまく答えられず口籠ってしまうかだ。
自分なりの意見を発してくれれば、こちらとしても対応は容易い。素直に納得することもあるし、論理的に外れていると思えばこちらの意見を言う。ここでも反応は2つに分かれ、納得するしないは別としても受け入れる者と、更に自分の意見を述べてくる者。その姿勢はある意味頼もしくもある。そこで更にこちらの意見を重ねてしまうと収まりがつかなくなるのでそれ以上はその場では広げない。いつか活躍するときまでに理解してくれればと思う。
自分の意見というか思考を答えられない者には司会者、解説者または一般視聴者に
「なんであの時あれを切ったのですか?」
って聞かれたらどうしますか?と問う。別に責めているわけでもなんでもなく、自分の思考を発することの大事さを伝えたいだけなのだ。
こんなカリキュラムを半年も続けていると最終テストを迎えるころには、受験生もプロとしてのスタートラインに立てるだけの力をつけていることが多い。それはテスト期間中に本当に必死にやったからであろう。ただ、本当の勝負は合格してスタートラインに立ってからであり、テスト期間のテンションを保ち続けて欲しいと思う。合格はゴールではなくただのスタートにすぎない。
合格後は各々が上を目指しもがいていく。それを努力と呼ぶ者もいれば、稽古と、または修行と呼ぶ者もいる。それを1人でやる者もいればグループでセットなどを組んで行う者、当連盟に存在する幾つかの勉強会に顔を出す者もいる。そういう所で出来る関係性を師弟関係と見られることもあるが、そんな上下関係ではない。上は下に対し自分の持つもの、知りえることを隠したりしない。聞かれれば答えるし伝えていく。みな仲間であり、願うことはレベルの向上、簡単に言えば強くなって欲しいだけなのだ。
自分が今聞かれて話すことの7割くらいは先輩方に伝え聞いたこと。それに少しの自分の言葉を付け加えて話しているだけだ。そうすることでレベルの向上に繋がればいいなと思う。そうやって後輩達に伝えていくことが伝統となっていくのだろう。
また新しいプロテストがやってくる。今度はどんな受験者がやってくるだろうか。期待して待ちたい。
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