第16期静岡プロリーグ 第3節レポート

8月になり、ようやく夏らしい気候となった。

静岡プロリーグ第3節、2020年8月16日(日)の静岡県浜松市の気温は40℃超。翌日は41.1℃を観測。

もしかしたら夏が気を利かせすぎたのだろうか。それとも長い梅雨の鬱憤を晴らすかのように太陽が帳尻でも合わせたのだろうか。

そんな気分に浸っていたが、静岡プロリーグ当日に吹いた風は我々が経験してきたそれではなく、サウナの『ロウリュ』のような熱波であった。
私の弛緩した気持ちに制裁を加えるかのような厳しい暑さであった。

しかし、そんな誰も経験したことのない『日本で一番熱い夏』の中、各選手はそれにも負けない熱い戦いを魅せてくれた。
もしかしたら浜松市を熱した、タオルを振り回す『熱波師』は静岡プロリーグの選手達だったのかもしれない。

静岡プロリーグ第3節、開幕。

1卓

太田昌樹 × 青嶋宏樹 × 蓮沼友樹 × 島崎涼

結果
島崎 +80.8P(+94.6P) 蓮沼 ▲13.4P(+105.9P)
青嶋 ▲29.9P(▲56.9P) 太田 ▲38.5P(▲67.6P)

島崎のワンサイドゲーム。島崎はトータル3位までジャンプアップ。高打点を決める姿はブランクを感じさせない。
今期の活躍に期待しよう。

蓮沼はポイントを重ねたかったが、少々のマイナスでトータル2位に陥落。

青嶋は後半失速。勝負に入りきれなかったか。

太田はアガリが遠く辛い展開だったか。まだまだ先は長い、辛い展開を打開しようとする姿は今後に期待できるだろう。

2卓

中寿文 × 石津寿人 × 佐藤伶太 × 京平遥

結果
京平 +70.7P(+20.7P) 石津 +3.5P(▲92.5P)
佐藤 ▲22.2P(+36.0P) 中 ▲52.0P(▲69.3P)

高打点を次々と決めて、京平の1人舞台でフィニッシュ。
他の3人は成す術なしと言ったところか。

石津は前節の大きなマイナスをリカバリしたかったが、京平の勢いに押されてしまったか。

佐藤・中ともにマイナス。
佐藤は得意のリーチ攻撃が出来ず、モヤモヤした展開だったか。
中は気合が空回りしてしまったか、前回の静岡プロリーグ決勝進出者としての意地を次節以降期待している。

3卓
鈴木秀幸 × 大橋幸正 × 斉藤隆 × 渡辺洋巳 × 中村裕之

結果
鈴木秀 +19.4P(+19.4P) 中村 ▲3.5P(+11.2P)
大橋 ▲4.2P(+113.2P) 渡辺 ▲6.9P(▲3.1P)
斉藤 ▲24.8P(▲8.5P)

平たい展開を制したのは初戦の鈴木秀。3回戦まで好調だったが、4回戦で失速。卓内トップだが、鈴木秀の心中は如何に?

大橋は、序盤に中打点+ノーテン罰符で順調に加点したが、満貫の親被りをするなどなかなか思い通りにはいかず、僅かなマイナス。
蓮沼のマイナスにより、トータルトップになるも消化不良の節となったか。
次節以降に期待。

4卓
岡本和也 × 平野敬悟 × 田中寛治 × 天音まこと

結果
田中 +15.6P(+15.6P) 平野 +3.5P(▲29.5P)
岡本 ▲6.5P(▲72.3P) 天音 ▲12.6P(+19.2P)

田中が小さいながらも卓内トップ。
麻雀は浮き沈みのあるゲームだが、田中にとっての至上命題である『初戦の卓内トップ』を奪取。
今期も優勝を目指す。

平野は今一つ突き抜ける展開に持っていけなかったが、小さいながらもプラス。
前向きに闘って欲しい。

岡本・天音はマイナス。岡本は3節連続のマイナスとなり、まだ本調子ではないか。
天音は前節のプラスを更に伸ばしたいところだったが、足踏み。
次節以降ブレイクできるのか。

5卓
鈴木郁孝 × 木原翼 × 鷲見隼人 × 土屋幸弘

結果
木原 +69.7P(+54.6P) 土屋 +13.1P(▲5.4P)
鈴木郁 ▲37.3P(+31.7P) 鷲見 ▲45.5P(▲72.9P)

木原は1回戦の1人沈みを跳ね返し、大きなプラス。
土屋は小さいながらもプラスで纏めた。

鈴木郁・鷲見は大きなマイナス。
まだ残り5節、打点力のある2人なだけに巻き返すことが期待される。

【別日対局】
藤島健二郎 × 望月雅継 × 杉村泰治 × 平岡理恵

結果
望月 +76.9P(+17.6P) 藤島 +30.9P(+55.8P)
杉村 ▲40.1P(▲115.6P) 平岡 ▲67.7P(▲106.9P)

望月の大トップで終了。
2節まで本調子とは言い難い成績だったが、ここに来て支部長としての貫禄を魅せつけたか。

藤島も望月の勢いに負けず、きっちりプラス。
残り5節の闘い方に注目である。

杉村・平岡はまだまだ本調子ではないか。
ともに▲100Pを超えてしまい、大変厳しい位置だが自分らしい闘いを期待している。

熱戦はまだまだ続く。

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 合計
1 大橋幸正 75.8 41.6 ▲ 4.2           113.2
2 蓮沼友樹 67.8 51.5 ▲ 13.4           105.9
3 島﨑涼   13.8 80.8           94.6
4 藤島健二郎 ▲ 60.4 85.3 30.9           55.8
5 木原翼 ▲ 19.7 4.6 69.7           54.6
6 佐藤伶太 59.1 ▲ 0.9 ▲ 22.2           36.0
7 鈴木郁孝 123.5 ▲ 54.5 ▲ 37.3           31.7
8 京平遥 ▲ 50.0   70.7           20.7
9 鈴木秀幸     19.4           19.4
10 天音まこと 31.8   ▲ 12.6           19.2
11 望月雅継 ▲ 58.5 ▲ 0.8 76.9           17.6
12 田中寛治     15.6           15.6
13 中村裕之 ▲ 12.3 27.0 ▲ 3.5           11.2
14 渡辺洋巳 ▲ 13.4 17.2 ▲ 6.9           ▲ 3.1
15 土屋幸弘 ▲ 32.0 13.5 13.1           ▲ 5.4
16 斉藤隆   16.3 ▲ 24.8           ▲ 8.5
17 平野敬悟 ▲ 33.0   3.5           ▲ 29.5
18 青嶋宏樹   ▲ 27.0 ▲ 29.9           ▲ 56.9
19 太田昌樹 ▲ 29.1   ▲ 38.5           ▲ 67.6
20 中寿文   ▲ 17.3 ▲ 52.0           ▲ 69.3
21 岡本和也 ▲ 35.0 ▲ 30.8 ▲ 6.5           ▲ 72.3
22 鷲見隼人 ▲ 27.4   ▲ 45.5           ▲ 72.9
23 石津寿人   ▲ 96.0 3.5           ▲ 92.5
24 平岡理恵 ▲ 39.2   ▲ 67.7           ▲ 106.9
25 杉村泰治   ▲ 75.5 ▲ 40.1           ▲ 115.6

第21期北関東プロアマ混合リーグ  第6節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 合計
1 千明 英雄 一般   8.8 65.4 49.3 28.8       152.3
2 栗林 佑 一般 36.6 35.5 51.1 20.1         143.3
3 安藤 順一 一般   80.3 ▲ 19.3 10.2   48.9     120.1
4 百瀬 元気 一般   ▲ 17.8 ▲ 26.0 45.4 20.3     95.6 117.5
5 福田 栄司 一般 38.1   105.4 ▲ 8.0 ▲ 41.1       94.4
6 渋澤 大貴 一般   13.7 ▲ 5.6 31.9 37.1       77.1
7 須長 正和 プロ 45.9   30.8 23.6       ▲ 28.1 72.2
8 檜山 拓 一般 52.2 3.2 ▲ 5.7 ▲ 10.4     37.5 ▲ 33.0 43.8
9 渡部 正 一般 5.1 27.6             32.7
10 高橋 信夫 プロ   37.2 39.8 ▲ 60.5       ▲ 4.5 12.0
11 吉田 幸雄 プロ   2.7   ▲ 17.0 59.8   ▲ 115.9 50.5 ▲ 19.9
12 下田 昌克 一般 ▲ 8.4 ▲ 7.1 ▲ 22.2 9.1         ▲ 28.6
13 小川 尚哉 プロ ▲ 3.2   15.9 7.8       ▲ 53.8 ▲ 33.3
14 高松 伸好 一般 ▲ 2.1 ▲ 32.9     ▲ 9.4 37.5 26.8 ▲ 65.0 ▲ 45.1
15 鈴木 祥汰 一般 ▲ 82.6 45.2 ▲ 16.2           ▲ 53.6
16 蒼山 秀佑 プロ ▲ 57.2               ▲ 57.2
17 白戸 隆寛 一般   ▲ 29.6 ▲ 46.0           ▲ 75.6
18 大月 れみ プロ     ▲ 52.9 ▲ 79.6         ▲ 132.5
19 西嶋 ゆかり プロ ▲ 44.1 ▲ 66.9   ▲ 15.3 ▲ 48.0 ▲ 24.4 50.6 4.3 ▲ 143.8
20 石倉 弘之 プロ ▲ 21.3 ▲ 26.2 ▲ 65.5 0.8 ▲ 49.5       ▲ 161.7
21 安藤 真由美 一般   ▲ 77.7 ▲ 53.0 ▲ 9.4   ▲ 62.0     ▲ 202.1

第19期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第2節レポート

Aリーグ2節:広報部

1節から長い休み明けの2節。この期間でどの様にそれぞれの対局に影響が出たのであろうか?
1節大きくマイナスしてしまった稲岡であったが、気持ちを変えるには十分な休みだったようだ。
まずは1回戦。

二万三万五万六万七万一索二索三索六索六索一筒三筒五筒  ドラ四筒

ここから一万を引いて五筒切りのヤミテンにして様子をみると2巡後二筒が吉本から出でて2,600のアガリ。
これが今日の稲岡を後押しすることになる。

2回戦。

一万一万三万三万五万六索七索八索一筒一筒二筒三筒四筒  ドラ二筒

1シャンテンから二万を引いて五万切り、今度はリーチとした。
親の坂本も続けてリーチとくる。高そうなリーチに一瞬とまる。

四万五万六万七万八万九万四索五索六索二筒二筒五筒六筒 

跳満まである手牌。でも、流れは稲岡にあった。二万ツモの2,000 3,900。
今節、稲岡は+30.7Pとして、勝負はまだまだこれからよ!そう言っているようなアガリ。

花岡は、休み期間に十分調整できたようで、タイミング良くポン、チーをして1,000点、2,000点をアガリ、まずはスピードで先行していく。
2回戦は手牌も伸びていく。

一筒一筒六筒六筒六筒七筒七筒七筒八筒八筒西西西  ドラ西

この凄い手牌をテンパイ。
配牌では、西とピンズは一筒一筒六筒七筒しかなく予想もしなかった。引きの強さを感じる。
八筒が辻本から切り出された。
花岡は今節ダントツでトップに踊り出る。

面白くなるAリーグ、次節はどのようになるでしょうか?

Cリーグでは新人紹介をさしていただきます。
下記の質問に答えてもらいました。

➀氏名  
②出身地 
③自分をアピールして下さい。 
④好きな役 
⑤好きな雀士(プロ、アマ問わず) 
⑥プロになろうと思ったきっかけは?      
⑦これからどうなれば良い、どうしていきたい?

 

100

 

① 河野 智士(こうのさとし)
② 大阪府
③ 私は会社員で商品開発に所属しております。
以前、開発に関わった商品が展示会にてある賞を受賞しました。
④ 平和
⑤ 瀬戸熊直樹プロ
⑥ 人生一度きり、好きな麻雀に関わりたい、今後の麻雀業界の発展に貢献したいと思いました。
⑦ 多く方と麻雀を打ちたいので、リーグ戦や各大会の予選一つずつを大切にしていきたいです。
また、最近はプロの方々が動画投稿サイトで活躍されているのを見て、動画撮影や編集に興味があります。  

 

100

            

①三代 凱(みしろ がい)
②鳥取県
③麻雀店に勤めています、守備派雀士です
④ピンフとタンヤオ
⑤瀬戸熊直樹プロ
⑥中学生の時モンドTVの対局を見て
⑦Aリーガーになれるよう頑張りたいです

戦術の系譜10 猿川 真寿

今回からこちらのコラムを担当させていただくことになりました。
基本、書き手の自由ということで、何を書こうかなと数日悩んでいました。
滝沢氏が書いた、読みの基本みたいなものは読み手の為にはかなり需要があるし、求められている物なのかなと思いましたが、この先の書き手がまた書くだろうということで、私は麻雀に対してのメンタルや考え方などを書かせていただこうかと思います。

あくまで、私の主観ですので雀力向上というよりは読み物として見てもらいたいです。
面白い思考だなと思われたら幸いです。

麻雀に一番大事なものは、「メンタル管理」だと思っています。
当然、技術的な部分は勝敗において大きなウエイトを占めますが、雀力が同じぐらいのもの同士の戦いは、メンタルが強い人のほうが、強者になりやすい。
もっと言うと、メンタルをぶれにくくするために、技術向上をすると言っても過言ではないと思っています。

初心者の方は、正解が分かりにくく、合っているかなという気持ちで麻雀をしている人も少なくないと思います。
不安があれば当然メンタルもぶれて、普段切れる牌が切れなくなったり、リーチをかけれなくなったりする。
それが、負けに繋がります。

ではどうすればメンタルが強くなるのか?ということですが、先ほども書いた技術向上ということになるでしょう。

このテンパイ形ならリーチする。余剰牌が3~7ならペンチャンを落とす。など、ある程度有効だと思われる決め事を作ることも大事なことです。そうすることによって、結果が裏目だったときもミスではない。と思えるようになるからです。

技術面は、他の人のコラムや戦術本で勉強していただければと思います。
前置きが長くなりましたが、麻雀についての考え方について、書いていきたいと思います。
考え方1つでメンタルも強くなっていきます。

 

1. 己を知る

このコラムを読んでいる人は、大体初級者から中級者ぐらいの人が多いのではないかと思います。
それなりに、場数を踏んでいるかと思われます。トップをとったり、ラスを引いたりと何回も繰り返しているかと。

まず、どんな展開のときにトップをとったか、できる限り思い出してほしい。
東1局に8,000オールをアガってそのまま逃げ切った、オーラス5本場まで積んで捲ったなど色々あります。
また、逃げ切りトップが多いとか、追いかけるほうが得意、小場、荒場のほうが好きなど人それぞれだと思います。

まずは、自分の勝ちパターンを知ることが大切だと思っています。
麻雀は、道中でいくら点棒がなくなろうが、南4局が終わった時点で、一番点数を持っていた人が勝ちとなる競技です。
誰でも、理想は加点しても失点はしたくないと思うでしょう。でも、そんなに上手くいくことが毎回ある筈もありません。
人には理系、文系タイプや性格の違いなどあり、麻雀の打ち方、勝ち方も十人十色だと思っています。
自分は、どういう展開(パターン)のときトップになっているか、打ちやすいか(気持ちよく打てているか)。ということを意識してみてはいかがでしょうか?
そうすることによって、その局ごとの目的がはっきりしてきて、メンタルがぶれにくくなっていきます。

 

2.要否

皆さんは、参考にしている打ち手はいるでしょうか? または、アドバイスを受けている人などがいるでしょうか?その人はどんな雀士ですか?
なぜ、こんな質問をしたかというと、その人がどんなに強くても、自分にとっては必要のない情報(戦術)になることもあるからです。

理想としては、打ち筋や好みが似ているタイプの人を参考にしたほうがいいと思います。
真逆なタイプは、自分の欠陥の部分を持っていますが、一朝一夕で真似できるものではありません。
例えその1局が同じ思考だったとしても、全体的なバランスとしてはうまくいかないケースが多いからです。

少し前によく言われた、一貫性とは相異なので勘違いしないでもらいたいです。
よく言われる引き出し(技術)は、多ければいいというわけではないと思います。
理想はすごく沢山あってバランスが取れればいいですが、矛盾する技術もあるので、相当困難だと思われます。
それよりも、自分の武器を磨くことが成績アップの秘訣になります。

上記に必要のない情報(技術)とありますが、必要なくてもそういう考え方があるのだと記憶しておくことは大切です。
対戦相手の思考を探ることは非常に大事なことです。ということで、効率のいい引き出しを探してみてください。

 

3.一路邁進

例えば、こんな牌姿で

一万二万三万六万七万八万一索二索三索二筒三筒九筒九筒白  ドラ八万

親が4巡目でリーチをしていて、一筒四筒が河にある。同巡テンパイで白は現物。さてどうするのが正解でしょうか?
正解はありません。でも不正解はあります。
白を切らないことです。

私は性格上リーチといきますが、ヤミテンも有力だと思います。アガリ率が圧倒的に違いますので。
もし、四筒だけが現物だった場合はどうでしょうか?
また、現物待ちではなかったとしたら、ヤミテンはおかしいでしょうか?
他にも、親のリーチが入っていなかったとしたら?

私の答えはどちらも(リーチもヤミテンも)有力。
確かに、メンタル的にはこういうときはこうすると決めておいたほうが、失敗したときに、しょうがないと思えるので痛みは少ないかも知れません。
しかし、決め事を増やすと成長の妨げになることも多々あります。

対戦相手の雀力もまちまちで、先ほど書いた状況もキー牌だけで、4者の河についても同じ状況はないからです。
ではどうすればいいのか?

とにかく、自分の打牌を正解だと思い込んでください。一種のマインドコントロールです。
結果は水もので、リーチしたなら、しなかった時にどうなったかは分かりません。
ヤミテンにして高めをツモッたとしても、リーチしていたら鳴きが入ったかも知れませんし、牌譜があればあとからは分かりますが、対局中は分からないし、知る必要もありません。

あくまで、結果に対してポジティブな思考を持つことが大事です。
反省は対局後にするもので、後悔はしないように心掛けてください。

 

4.勝つことより負けないこと

麻雀において勝つ(トップをとる)ことは、非常に大事で、麻雀の醍醐味の1つだと思います。
でも、同じぐらい大事なことがあります。負けないことです。

麻雀は、4人のうち1人しか勝てないゲームです。4分の3は敗者ということになりそうです。
決勝においては確かにそうですが、最強戦のような1半荘勝負でなければ、敗者は何人でしょうか?私の考え方では4着の1人で、2、3着は引き分け(痛み分け)です。

トーナメント方式と言われる2位まで勝ち上がりのシステムや、決勝といった勝者が明確なもの以外に対しては、1位を目指すより負けないこと(2着、3着)でもよし、ぐらいの気持ちが大事で、道中トップと何点差になったとか気にしてても、麻雀は与えられた配牌とツモで戦うゲームなので、無理に点差を詰めようとしたりするゲームではありません。無理をすれば、それだけ負ける可能性が増えます。

では具体的にどうやって打てばいいのか?ということになりますが、その日調子の悪そうな人に厳しく打つになります。
オカルト的な話に聞こえるかも知れませんが、4着目をできる限りアガらせないと言えば分かりやすいでしょうか。
当然、高打点をアガられて復活されることも多々ありますが、厳しく打っていればアガられてなかった場面なのに、打たなかったせいでアガられてしまうのはよくありません。
それによって、自身のアガリを逃してしまうこともあるかも知れません。

でも、よく考えてください。常に4分の1しかアガれないゲームです。残りの4分の3をアガられても致し方ないのです。
風牌を切るときの順番も私はこの思考で選んでいます。自分が1着目の時以外は、4着目の風牌は最後まで絞ります。
1着目のときは、4番手があがってきて3者が混戦になるほうがトップで終わる確率があがるので、2着目の風牌が最後になることが多いです。
他の戦術は次回書きます。

 

5.好きこそ物の上手なれ

ここまで読んでいかがでしょうか?
メンタル強化=ポジティブシンキング。
難しく考えないほうがいいです。麻雀という不確定要素が多いものを、完璧に打とうという発想が自らを苦しめているのです。
もっとシンプルに、アガれそうだから押す。持ち点は減ってから考える。これぐらいの気楽さで、打つほうが麻雀の楽しさに触れられると思います。

楽しいから、また麻雀をやりたくなる。もっと楽しみたいから、強くなる。
数学ではないので、答えは1つではありません。間違えてもいいんです。
と今回はここまでにします。

次回は、麻雀に王道があるのかどうか私には分かりませんが、どちらかと言えば真逆にある邪道の戦術について書きたいと思っています。

FRESH! OPENREC統合のお知らせ

「FRESH!日本プロ麻雀連盟チャンネル」はサービス統合に伴い、「OPENREC日本プロ麻雀連盟チャンネル」に統合いたします。
9/1よりFRESH!では新規コンテンツの更新は停止いたします。今までご覧いただけていたコンテンツは今後OPENRECにて配信いたします。
FRESH!のアーカイブは11月までご覧いただける予定です。
つきましてはFRESH!に入会されているお客様はOPENRECへのご移行を8月中にお願いいたします。
OPENREC入会の詳細は下記をご覧ください。

 

■OPENRECで日本プロ麻雀連盟チャンネル入会方法について■

Q.OPENRECとFRESHの機能に違いはありますか?
A.基本的な機能の違いはありませんが、OPENRECでは1080p対応の高画質でご覧頂くことが可能です。
また、FRESHと同じくアーカイブのご視聴やバックグラウンド再生にも対応しています。

Q.OPENRECの日本プロ麻雀連盟チャンネルはどこで見れますか?
A. こちらよりご視聴いただけます。

なお、「日本プロ麻雀連盟チャンネル」のサブスクに入会すれば「日本プロ麻雀連盟チャンネル」の配信は全て視聴可能となります。

Q.OPENRECでの入会方法を教えてください
A. FRESHと同じくPC・iOSアプリ・Andoroidアプリから入会できます。

▼入会方法
1)ログインされた状態でこちらをリンクをクリック。

2)チャンネルページ左にあります青い「サブスク」をクリック
3)ページ中ほどにあります青い「このプランを選択」をクリック
よりご入会ください。

 

■FRESHの日本プロ麻雀連盟チャンネル方法に解約方法について■

Q.8月に入ってFRESHの日本プロ麻雀連盟チャンネルの課金を更新(or新規入会)したが新規コンテンツが見れないため返金してほしい
A.申し訳ございませんが、返金に応じることはできかねます。

Q.自分の課金更新日を確認したいです
A.以下、ご自身の課金方法に合わせて確認方法をご確認ください。

①PCで課金されているお客様
ログインされた状態でFRESH LIVEトップページ右上メニュー→「入会しているチャンネルの管理」
よりご確認ください。

②iOSアプリで課金されているお客様
1)[設定]アプリ>ご自身のお名前をタップ
2)[サブスクリプション]をタップ
よりご確認ください。

③Androidアプリで課金されているお客様
1)アプリの[マイページ]>[入会しているチャンネルの管理]>[購読管理] をタップ
2)FRESH LIVEのGooglePlayページ
よりご確認ください。

Q.自主退会の方法がわかりません
A.自動購読を解約したい場合、下記の手順に従ってください。
解約は、チャンネル単位での解約となります。
解約日に即日解約ではなく、次回更新予定日での自動購読解約となります。

[PCの場合]
1)ヘッダー右上のメニュー>[入会しているチャンネルの管理]
2)解約したいチャンネルの[自動更新を解除]をクリック
3)解約ページへ遷移するので、内容を確認し解除をすすめてください

[iOSアプリの場合]
1)[設定]アプリ>ご自身のお名前をタップ
2)サブスクリプション をタップ
3)購読リストの中から、解約したいチャンネルを選択
4)サブスクリプションをキャンセルする をタップ
※アプリをアンインストールしても、自動購読は解約されませんのでご注意ください。

[Androidアプリの場合]
1)アプリの[マイページ]>[入会しているチャンネルの管理]>[購読管理] をタップ
2)FRESH LIVEのGooglePlayページに遷移するので、解約したいチャンネルの[定期購入を解約]をタップ
※アプリをアンインストールしても、自動購読は解約されませんのでご注意ください。

沢崎誠の強すぎる麻雀経験論  単行本(ソフトカバー) – 2020/8/25

100

 

本書はMリーグで大活躍の沢崎誠プロによる初の麻雀戦術書です。65歳のベテランである沢崎プロがMリーグでトップを独走した要因は35年間プロとして麻雀を打ってきた経験にあるといいます。本書ではその圧倒的な経験値から紡ぎだされた麻雀戦術を初めて明かすものです。

単行本(ソフトカバー): 224ページ
出版社: マイナビ出版
発売日: 2020/8/25

日本プロ麻雀連盟 書籍・出版物の紹介はこちら

何を切る? 2020年8月

第37期鳳凰戦A1リーグ 第4節 A卓 1回戦 東3局 東家 沢崎誠プロ

 

 

 

 

 

■ Twitterで実施したアンケートの結果

 

 

■プロ解答

二索切り

 

 

六索切りリーチ

 

 

六索切り

 

 

一筒切り

 

 

■実況・解説陣

 

 

内川「さすがに五索八索にしますか?。」
古橋「二索はノーチャンスか。おー!カン三索だ!」
内川「で、ヤミテン!」

■プロの視点
沢崎誠プロ
「捨牌から対面はマンズ模様で、上家はソーズのホンイツ一本。ピンズは安く、字牌は三元牌を中心に高い状況。
八索は場に全て見えており、四索が河に3牌、手の内に1牌とソーズの数牌は四索八索で分断されている。
二索切りは役有りのピンフだが、ドラそばで一索三索三索三索の形があっても不思議なく、六索の待ち形にリャンメン形はないのでアタリになる可能性は低そうだ。
手牌は一筒四筒が入れ替われば満貫クラスの勝負手となるので、ここは六索切りのヤミテンとする。

次巡ツモ六万と来て456の三色を考える。
ドラは暗刻と判断しているだけに一索三索三索三索の形があるかどうか?を守備面で再検討する。
待ちは字牌とのシャンポン形だろうと決めて二索切りのフリテン形を取る。
以降、五万引きは六筒ツモまでヤミテン、七万引きは四筒ツモまでヤミテンの予定でしたが・・・ツモ七索でした。」

 

 

■終局図

 

 

日本プロ麻雀連盟チャンネルはこちらから
FRESH!<PC版>
ニコニコ生放送<PC版>

第35回静岡リーグ(プロアマ混合)第2節レポート

静岡は梅雨がまだ明けず、外は曇り空の中でも蝉時雨が響き渡り、蒸し暑さも一段と厳しくなってきた。

静岡リーグは今節第2節ではあるが、4節開催の今回は、終わった時点で折り返しになってしまう。
いつもより、1節少ないだけで、こんなにもあっという間と感じてしまうのは、私だけではないと思う。
マスクをしているせいか、余計にこの暑さが身にしみる。
梅雨時の暑さもあるだろうが、それに負けじと、参加者たちの熱気が、会場の温度をあげている。

今節も新型コロナウイルス感染防止対策として検温、消毒、マスク着用としているが、今回の参加者全員問題なくクリアし、体調管理も万全の状態で第2節も開幕した。

さて今節の結果だが、前節から首位に立っている山田さんが、今節も首位をキープ。
他を寄せ付けない圧倒的な強さで着実にポイントを重ね、2位に40p差をつけた。
このままの勢いで決勝の椅子を確実なものにしたいといったところだろう。

2位には、安藤真由美さんが浮上。
前節に続き、大きくポイントを伸ばした。
前々回の雪辱を果たし、今回こそは決勝の舞台に出たいことだろう。

3位は鷲見プロ。
今回の静岡リーグは一般参加の方々の躍進で、プロは少々不甲斐ない結果となっている。
その中で孤軍奮闘して、プロの意地を見せている。
本人いわく、マスク下の髭をちゃんと整えて試合に挑んだとのこと。
身だしなみをしっかり整えたらちゃんと結果に結びつくといったところか。

4位には、村瀬さんが浮上。色々なプロアマ戦に出場し、日頃から切磋琢磨している選手。
そういった積み重ねがポイントに繋がっていくのだと、身を持って教えてくれている。

5位には、大谷さん。
日頃から麻雀の強さは示しているが、静岡リーグでは、いいところまでは行くがあと一歩といった闘いが続いていた。
今回はこの位置から、上に迫っていきたい。

次節の注目は8位につけている平野プロ。
過去に何度も決勝にも残っている実力者だけにここからの巻き返しての決勝進出を狙っているはず。

もう一人は一昨年のアマ最強位の7位の影山さん。
前節は別日対局となり、今節が開幕戦。
そのなかで今節、全選手の中のベストスコアを叩き、いかんなく実力を発揮した。

今節も前節同様、上位は一般参加の方々が占めており、もしかしたら一般参加の方だけでの決勝もあるかとささやかれている状況だけに、プロの意地を見せたいところだ。
今節ではプロも順位を上げ、虎視眈々と上位を狙っている。
あと8半荘の捉え方によって今後の成績も変わってくるか。

縦長の状況にはなってきたが、残り8半荘悔いのないように各選手打ちきりたい気持ちだろう。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 合計
1 山田昭裕 一般 106.7 52.8 159.5
2 安藤真由美 一般 51.9 67.9 119.8
3 鷲見隼人 プロ 72.3 38.7 111.0
4 村瀬光佳 一般 34.0 67.7 101.7
5 白井健夫 一般 47.2 51.1 98.3
6 大谷数則 一般 49.7 29.3 79.0
7 平野敬悟 プロ 19.9 48.9 68.8
8 斉藤隆 プロ 19.7 43.9 63.6
9 松清一樹 一般 54.3 0.7 55.0
10 天音まこと プロ 49.9 0.0 49.9
11 高村龍一 一般 ▲ 0.8 50.0 49.2
12 加藤拓 一般 42.4 5.4 47.8
13 影山恒太 一般 0.0 43.7 43.7
14 井上一雄 一般 ▲ 17.8 59.9 42.1
15 堀孔明 一般 38.6 3.5 42.1
16 渡辺洋巳 プロ 7.1 30.6 37.7
17 太田昌樹 プロ 17.5 19.1 36.6
18 高橋大輔 一般 14.8 15.0 29.8
19 木原翼 プロ ▲ 18.8 36.4 17.6
20 鈴木秀幸 プロ 14.9 0.0 14.9
21 栗島有紀 一般 ▲ 23.7 38.3 14.6
22 西田孝志 一般 29.9 ▲ 18.2 11.7
23 鈴木貴仁 一般 ▲ 34.8 45.9 11.1
24 石津寿人 プロ 0.0 10.7 10.7
25 中野一男 一般 27.7 ▲ 18.6 9.1
26 土屋幸弘 プロ 0.0 8.9 8.9
27 渡部文也 一般 7.2 ▲ 5.1 2.1
28 松本貴仁 一般 ▲ 30.8 32.2 1.4
29 京平遥 プロ 0.0 0.0 0.0
30 小山剛史 一般 0.0 0.0 0.0
31 伊藤真 一般 ▲ 5.3 2.7 ▲ 2.6
32 牧野卓人 一般 38.0 ▲ 43.5 ▲ 5.5
33 佐藤伶太 プロ 21.0 ▲ 26.7 ▲ 5.7
34 島﨑涼 プロ 3.2 ▲ 28.1 ▲ 24.9
35 宮地孝尚 一般 ▲ 27.0 0.0 ▲ 27.0
36 望月雅継 プロ ▲ 35.5 5.8 ▲ 29.7
37 鈴木優貴 一般 ▲ 33.8 ▲ 7.0 ▲ 40.8
38 小倉雨 一般 ▲ 15.6 ▲ 29.7 ▲ 45.3
39 前嶋茂 一般 ▲ 6.7 ▲ 39.3 ▲ 46.0
40 藤島健二郎 プロ ▲ 84.5 33.0 ▲ 51.5
41 伊藤裕美子 一般 ▲ 74.8 22.2 ▲ 52.6
42 杉村泰治 プロ 15.5 ▲ 71.3 ▲ 55.8
43 青嶋宏樹 プロ 0.0 ▲ 56.5 ▲ 56.5
44 安藤銀一 一般 12.8 ▲ 77.1 ▲ 64.3
45 岡本和也 プロ ▲ 42.0 ▲ 26.4 ▲ 68.4
46 服部哲也 一般 0.0 ▲ 68.9 ▲ 68.9
47 鈴木博直 一般 ▲ 52.5 ▲ 21.4 ▲ 73.9
48 湯本紳介 一般 ▲ 51.9 ▲ 24.3 ▲ 76.2
49 柳瀬真志 一般 ▲ 79.0 ▲ 3.1 ▲ 82.1
50 片山一哉 一般 ▲ 22.7 ▲ 65.3 ▲ 88.0
51 金田年伸 一般 ▲ 22.9 ▲ 68.9 ▲ 91.8
52 山内紀博 一般 ▲ 13.5 ▲ 86.4 ▲ 99.9
53 中寿文 プロ ▲ 72.4 ▲ 27.9 ▲ 100.3
54 鈴木郁孝 プロ ▲ 56.4 ▲ 53.6 ▲ 110.0

第16期静岡プロリーグ 第2節レポート

静岡プロリーグの会場の2階はフローリングのため土足厳禁であり、室内に入るにはスリッパに履き替える必要がある。

それに伴い、2階には室内用のスリッパが大量に用意されている。
ちなみに今節、2階を訪れた際にピンク色のウサギのようなスリッパが置いてあった。

以前、クリスマスの時期に女性従業員がピンク色のクリスマスツリーを購入したという話を聞いた。このピンクのスリッパもその女性従業員が買ったのだろうか。
その光景を思うと微笑ましく、何をされても許せる気分になってくる。

フローリングの部屋で卓の椅子に座り対局を待っていると、実家のリビングにいるような気分になる。このまま待っていたら、実家で母がよく作ってくれた、甘い卵焼きと鶏の唐揚げが入ったおにぎりでも出てきそうだ。
私の母はあまり料理が上手な方ではないが、私はそのおにぎりを好んで食べていたことを思い出す。

対局前にこんな緩んだ気持ちになるなんて、対局者に失礼だ。
しかし、こんな思いを馳せられるようになったのは月日の経過が生み出す風情である。
こんな出来事でも、私の人生の名シーンになり得るのかもしれないのだ。

・・・弛緩した気持ちで私は対局までの時間を過ごしていたが、今節も刺激的な対局となった。

大谷翔平の『109kmのスローカーブの後に投じた159kmのストレート』のような、対局前と対局中の緩急が静岡プロリーグの魅力なのかもしれない。

そんなこんなで静岡プロリーグ、第2節開幕。

1卓
藤島健二郎 × 青嶋宏樹 × 杉村泰治 × 渡辺洋巳

結果
藤島 +85.3P(+24.9P) 渡辺 +17.2P(+17.2P)
青嶋 ▲27.0P(▲27.0P) 杉村 ▲75.5P(▲75.5P)

前節、精彩を欠いた『俯瞰の眼差し』が猛威を振るい、大きな卓内トップ。
マイナスを返済して20人抜きの大勝利。藤島は前節の結果を受けて、自身の麻雀を見直したとのことである。私も精進しよう。

渡辺は藤島を何とか振り切りプラスで終えた。好調の藤島に攻め返して一矢報うなど、今期の渡辺は一味違うかもしれない。

青嶋は勝負に入り込めなかったか・・・。奮起に期待。

杉村は痛恨の大マイナス。笑顔が印象的な杉村だが、今節は笑顔ではいられないか。

2卓
鈴木郁孝 × 大橋幸正 × 佐藤伶太 × 島崎涼

結果
大橋 +41.6P(+117.4P) 島崎 +13.8P(+13.8P)
佐藤 ▲0.9P(+58.2P) 鈴木郁 ▲54.5P(+69.0P)

大橋が2節連続の卓内トップ。大橋は2節終了後、『反省すべき点は多かったが、楽しい対局だった。』という弁を述べていた。次節もその意気で駆け抜けて欲しい。

ブランクを感じさせず、鳳凰位戦も好調である島崎はプラスで纏めた。

佐藤は足踏みか。立直で攻める姿勢は良かったが、少々空振りしてしまったか。

そして、前節+100オーバーの鈴木郁が大きくマイナス。しかしトータルは+69.0P。まだまだこれからである。次節も無骨に攻めるだろう。

3卓
中寿文 × 蓮沼友樹 × 斉藤隆 × 土屋幸弘 × 石津寿人

結果
蓮沼 +51.5P(+119.3P) 斉藤 +16.3P(+16.3P)
土屋 +13.5P(▲18.5P) 中 ▲17.3P(▲17.3P)
石津 ▲96.0P(▲96.0P)
※石津はペナルティのため▲30.0P

蓮沼がポイントを伸ばしトータルトップとなった。今期は違う。本人がそれを一番感じている。次節もいつも通り対局に挑む。

斉藤・土屋は何とかプラスで終えた。
斉藤は1回戦のノー和了のラスを取り返した上でのプラスだが、土屋は前半が好調にも関わらず失速。両者はほぼ同ポイントだが、今節の所感は全く違うものであろう。今後に期待したい。

中・石津はマイナススタート。

中は気合十分の闘牌だったが、今一歩の結果。次節の闘いは見物である。

石津は痛恨のマイナス。次節、今節の我慢を燃料にして、一気にマイナスを返済する石津に期待しよう。

4卓
岡本和也 × 木原翼 × 望月雅継 × 中村裕之

結果
中村 +27.0P(+14.7P) 木原 +4.6P(▲15.1P)
望月 ▲0.8P(▲59.3P) 岡本 ▲30.8P(▲65.8P)

中村は確かなアガりを重ねて、静岡で初の卓内トップ。現静岡チャンピオンの田中を追って、このまま突っ走るか。

木原は冷静な試合進行でプラスで終えた。その名の通り、大空を自由に飛ぶように突き抜ける闘牌を期待したい。

望月は前半のマイナスを後半の2トップで見事返済。持ち前の高打点で、卓内のみならず卓外の観戦者をも魅了して欲しい。

岡本は2節連続のマイナス。手になっていない状態での放銃など、少々バランスを崩していたか。次節はマイナスの返済を目標に闘って欲しい。

熱戦はまだまだ続く。

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 蓮沼友樹 67.8 51.5                 119.3
2 大橋幸正 75.8 41.6                 117.4
3 鈴木郁孝 123.5 ▲ 54.5                 69.0
4 佐藤伶太 59.1 ▲ 0.9                 58.2
5 天音まこと 31.8                   31.8
6 藤島健二郎 ▲ 60.4 85.3                 24.9
7 斉藤隆 0.0 16.3                 16.3
8 中村裕之 ▲ 12.3 27.0                 14.7
9 島﨑涼 0.0 13.8                 13.8
10 渡辺洋巳 ▲ 13.4 17.2                 3.8
11 川崎義之 0.0                   0.0
12 京平遥 0.0                   0.0
13 鈴木秀幸 0.0                   0.0
14 田中寛治 0.0                   0.0
15 木原翼 ▲ 19.7 4.6                 ▲ 15.1
16 中寿文 0.0 ▲ 17.3                 ▲ 17.3
17 土屋幸弘 ▲ 32.0 13.5                 ▲ 18.5
18 青嶋宏樹 0.0 ▲ 27.0                 ▲ 27.0
19 鷲見隼人 ▲ 27.4                   ▲ 27.4
20 太田昌樹 ▲ 29.1                   ▲ 29.1
21 平野敬悟 ▲ 33.0                   ▲ 33.0
22 平岡理恵 ▲ 39.2                   ▲ 39.2
23 望月雅継 ▲ 58.5 ▲ 0.8                 ▲ 59.3
24 岡本和也 ▲ 35.0 ▲ 30.8                 ▲ 65.8
25 杉村泰治 0.0 ▲ 75.5                 ▲ 75.5
26 石津寿人 0.0 ▲ 96.0                 ▲ 96.0

「~復活~」 藤崎 智

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 古川 孝次(愛知) 79.9 6.3 ▲ 7.9 26.8 31.1 136.2
2 HIRO柴田(神奈川) 5.7 25.3 3.9 ▲ 4.4 21.2 51.7
3 沢崎 誠(群馬) 0.1 ▲ 4.9 40.3 ▲ 20.0 34.4 49.9
4 西川 淳(愛媛) 2.9 ▲ 53.5 42.4 26.6 ▲ 9.6 8.8
5 前原 雄大(東京) 79.0 33.6 ▲ 58.2 ▲ 23.5 ▲ 41.9 ▲ 11.0
6 勝又 健志(東京) 12.8 27.5 ▲ 36.1 ▲ 33.4 ▲ 3.4 ▲ 32.6
7 和久津 晶(東京) ▲ 8.4 ▲ 63.8 ▲ 7.8 19.4 27.6 ▲ 33.0
8 前田 直哉(静岡) ▲ 27.7 24.8 ▲ 10.1 5.3 ▲ 29.2 ▲ 36.9
9 伊藤 優孝(秋田) ▲ 65.0 65.4 0.1 ▲ 6.5 ▲ 42.7 ▲ 48.7
10 瀬戸熊 直樹(東京) ▲ 51.3 ▲ 68.7 25.0 29.6 11.4 ▲ 54.0
11 藤崎 智(秋田) ▲ 0.2 37.1 ▲ 30.3 ▲ 11.4 ▲ 52.4 ▲ 57.2
12 紺野 真太郎(静岡) ▲ 27.8 ▲ 29.1 ▲ 31.3 ▲ 8.5 33.5 ▲ 63.2

 

 

第36期鳳凰戦A1リーグ第6節。
5節まで▲60ポイント弱。まだまだお尻に火が付いた状況というわけではないのだが、これ以上負けると・・・というポジション。

ここで約30ポイントプラスして、トータルの数字だけみれば一息ついた。
もちろんこの日だけで考えればしっかり打ててはいたし納得のいく対局だったと思う。
しかし麻雀の感覚が完全に戻ったという感覚は全くない。

今にして思えば単なる被害妄想だったのかもしれないが、とにかく1年間戦って勝ちきれる気もしなければ、1日4半荘でプラスできる気もしない。
とにかく、麻雀プロにとって重要な根拠のない自信といったものが全く持てなかった。

第7節。+95.7P。もちろんこの数字、実力でたたける数字ではない。
ただツイていただけである。しかし本当に久しぶりにリーグ戦を闘っていて麻雀自体が楽しかった。
この対局の前に十段戦の決勝戦にも進出を決めている。

第8節。0.0P。1回戦目、瀬戸熊プロのクマクマタイムをくらうも、きっちりスコアをまとめて、納得度では今期一番の対局。

第9節。+56.5P。これでトータルも+100ポイントオーバーで2位まで浮上。
ここまで来ると、ついこの間までの不安はどこへやら。抱えていたことすらすっかり忘れていた。「背水の陣」、何だそれ?状態。
完全に「病は気から」で、自分にとっての一番の薬は大きなプラスポイントだったのかもしれない。

本当は4月の開幕の時点で麻雀は戻っていたのかもしれないし、夏場くらいにようやく戻ったのかもしれない。
今となっては自分でもわからないが、麻雀プロとしてある種の自信というのは大切なもののような気がした。

第12節、最終節。4位の勝又プロに80ポイント以上の差をつけて3位でのスタート。
最後にヒヤッとさせられる展開となったが、大きなリードがあったおかげで決定戦に進むことができた。
この日の対局も、11節までの大きなリードと展開にも恵まれたにもかかわらず、安定感のある対局とはいかなかったが、追ってきた勝又プロが素晴らしかっただけで、自分としては納得できる内容だったと思う。

5年ぶりの決定戦。昨年はたった2ヶ月、たった2節の欠場だったはずなのにほとんどリーグ戦の記憶がないし、吉田プロが勝った決定戦の内容も全く覚えていない。
1年間、10節闘って唯一覚えているのは最終節近藤プロとの降級争いの大接戦で、最後、紺野プロの仕掛けに放銃すれば降級の局面で、自分でツモアガった300・500だけである。
吉田プロとの付き合いも長いし、A1初昇級でのA1リーグ・鳳凰位決定戦での快勝の快挙を成し遂げた後輩を全く覚えていないのは我ながら不思議でしかたがない。
間違いなくリーグ戦のどこかで何度か対戦しているはずだし、おそらく負けているはずである。今決定戦で吉田現鳳凰位との対戦が楽しみでしょうがない。

 

第36期鳳凰位決定戦予想

番号 名前 プロフィール 紺野 HIRO 前田 沢崎 伊藤 佐々木 黒沢
1

吉田直

23期生

第35期鳳凰位

ロン2プロフィール

2

古川孝次

1期生

第16、17、18期 鳳凰位

ロン2プロフィール

2

西川淳

18期生

第22期チャンピオンズリーグ 優勝

ロン2プロフィール

4

藤崎智

13期生

第30期 鳳凰位
第16、33、34期 十段位
グランプリ2005 優勝
第3、5、6回 日本オープン 優勝

ロン2プロフィール

 

第33期十段位決定戦でも似たような予想で周りから期待された経験がある。
やはり少しプレッシャーになる。
しかし今回は自分自身一抹の不安もない。プレッシャーもない。自信に満ちあふれている。勝つ自信ではなく、自分の麻雀を打ち切る自信である。
とにかく楽しみでしょうがなかった。G1タイトル戦の決勝30回目にして初めての経験だと思う。結果的にこの気持ちが一番の勝因だったのかもしれない。

次回「決定戦始まる」

第37期十段戦

開催概要はこちら

戦術の系譜9 西川 淳

将棋界でかの羽生善治と並び才能を認められながらも29歳の若さで夭逝した「怪童丸」こと村山聖九段。
その生涯は映画化され、大好きだったという麻雀のシーンも再三でてきます。
彼が亡くなる寸前の1996年の将棋年鑑に「コンピュータがプロ棋士を負かす日は?来るとしたらいつ」というアンケートがありました。

村山 聖「来ない」

血の滲む思いで研鑽を重ねた一流棋士の自負がたった三文字に色濃く映し出されています。
元日本将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖に至っては「永遠になし」と切り捨てました。
達人が断じるほどに、その道は深く、人間の知性でしか成し得ない領域があると信じられていたのでしょう。

しかし、世紀が変わり、コンピュータテクノロジーがもたらしたAI(人工知能)は将棋界の一流棋士を圧倒。
そして「将棋」の数倍の世界的競技人口と歴史を有する「碁」においても同様のことが起ります。
2016年、Google DeepMindが開発したAI(人工知能)のAlphaGoが、世界最強と評された囲碁の李九段に圧勝。
翌年、「大帝」と崇められ人類最強との呼び声高い柯潔九段に完全勝利を果たした直後「役割を終えた」と碁の世界から引退(開発終了)を発表。
完膚なきまでに叩きのめされ、静かに涙を拭い投了に及んだ柯潔の姿は、世界に衝撃を与えました。
同時に、コンピュータが人類に勝つのが最も難しい分野と言われ続けた碁におけるこの結末は、人類はどうやってもAIに勝てない、という現実を突きつけられることとなりました。

分野や規模は違えども、同じ知性を競う世界に生きる私にとって、この出来事は雷に打たれたようなインパクトがありました。
卓越した能力の持ち主が、寝食を惜しみ人生を賭けて取り組み、人類の頂点に立った競技において、わずか数時間学習したAI(人工知能)にどうやっても太刀打ちできない。
プライドがずたずたに切り裂かれる彼らの魂を自分に重ねると、胸が締め付けられるような心持になったものです。不完全情報という性質の差を考慮してもおそらく麻雀でも同様の結論が待っていると考えています。

ならば、もうプロ棋士は必要ないのでしょうか。
人類が囲碁や将棋、そして麻雀に取り組む価値はないのでしょうか。

 

 

第3章
【① 対局相手に敬意を】

 

AI(人工知能)は計算を間違えることはありません。
また判断を迷うことはありません。

しかし、人間は、必ず間違えます。
数手先のことを読むのには時間がかかります。
直感という素晴らしい能力がありますが、それは心理状態や体調によって左右されます。
不安な状態、興奮した状態だと、判断がブレることが多々あります。
私も、あなたも、例外なく、です。

技術を向上することと同様に、そのブレを極力抑えることはとても重要です。
そのために大切なことは何でしょうか。

私が一番大切と考えている事の一つが「対戦相手に敬意を払う事」です。

下は第36期鳳凰位戦第7節A卓からです。

 

100

 

上家の伊藤優孝プロからリーチが入っています。
そのリーチを受けたあと、藤崎智プロが私の切った三索三索 左向き二索 上向き四索 上向きでチーして、2枚目の打一筒
そして次の巡目に藤崎プロが中をツモ切りしました。

私は、そっと置かれたこの中に、背筋が凍りました。

なぜ中なのでしょう。
藤崎プロは、リーチに対して、多少のチャンス手でなんとなく生牌の中を捨てる打ち手ではありません。

可能性を考えていきましょう…
① 実は中は安全牌?あるいは安全牌が無い?
⇒暗刻になった中を切った?
⇒リーチの伊藤プロ(私や勝又プロも含めて)に中が安全だという根拠がある?
② 実は藤崎プロもテンパイ?
⇒だとしたら、どのような構成?何待ち?
③ ちょっとアツくなってバランスを崩している?

それまでの得点状況、雰囲気、何より現在に至るまでの数々の実績・データから③だけはないと考えます。
同様に安全牌がないということも考えにくいでしょう。

① である可能性を、対局者全員の捨て牌、テンションからひとつずつ検討していきます
・伊藤プロの捨て牌は、ノーマルなもの。中待ちになっていない、という根拠は薄い
・藤崎プロの手は、第一打が六索、典型的な変則手。中が手の内にトイツになっているのだとしたら七対子が考えられるが、一筒がトイツ落としだからそれは無さそう
・勝又プロが中をトイツ落とし…やはり中は危ない牌だった。勝負して切り出した牌なんだな…

といった具合に、です。
藤崎プロはその後、無筋の七索を捨てます。

ここで、確信に変わります。
藤崎プロは、実はテンパイしているから勝負している、のです。

では、どんな構成なんでしょうか?
・安い手で、勝負する?⇒藤崎プロの持ち点、状況からいっても可能性は低い
・伊藤プロの手をどう感じている?⇒例えば、有力な待ち候補を自分がつぶしている、とかドラを自分が多く持っているので相手にない、等
・役は何?⇒役牌は全部切られているから無い。前述の通り、七対子はまず無い。変則手だからピンフ系は考えにくい。三色?一気通貫?

といった具合に、です。

更に細部まで読んでいきます。
3巡目の打八筒が光っています。ドラの九筒がトイツ以上と濃く予想できます。1,000点の手では中は押すに値しないでしょうから、より強い根拠となります。
三索二索四索で鳴いたのに第一打が六索なのが気になります。一気通貫ならば二索四索六索の形から六索は切らないのではないでしょうか。
おそらく三色同順なのです。

二万三万四万二索三索四索二筒三筒四筒九筒九筒牌の背牌の背牌の背

という藤崎プロの目指しているアガリのイメージが浮かんできます。
牌の背牌の背牌の背はソウズ以外のメンツ、あるいは九筒が暗刻+頭というあたりが想像できますが、他の中張牌を未練なく捨てているのですでに完成している可能性が高い、少なくともリャンメンと感じていました。

待ちは何?
一筒のトイツ落としをしているからシャンポン待ちやタンキも考えにくいです。
何かのシャンポン待ちならば待ち頃となる一筒をトイツ落とししないでしょうし、ここでテンパイならそもそも一筒をポンするでしょう。
きっとアガリやすい牌と藤崎プロが読んでいる牌でしょう。
・山にいる可能性が高い、と予想するような牌
・リーチ者の現物待ちなども有力

…そうすると、四万は実に素晴らしい牌ではないでしょうか。
だとすると片アガリ?そんな不安定なことを…いや、だからこそ盲点、か!

私は、ほぼこの四万が藤崎プロのアガリ牌で、3,900か7,700点の手だと強く予想しました。
伊藤プロのリーチに対してこの後手詰まったとしても、左端に置いた四万だけは絶対切らないと心に決めました。
この対局の感想戦でふれた「感じることができた」と振り返った局面はこの時のことです。

 

100

 

さて、長い説明になってしまいましたが、私がここで主張したかったのは、読みのテクニックではありません。

私が強調したいのは、藤崎プロの中に対して「なんだと!?」と感じることの重要性なのです。

読みの前提となるのは、その出された牌に対する、正当な評価です。
正当な評価をするために必要なことは、対局者相手に対する敬意です。
敬意が欠如していると、アンテナが働かなくなり、牌がぼやけて意味を見失います。
「必ず意味があるはずだ」と謹んで受け取り、分析することによって真相に近づくことができます。

もちろん、打ち手のレベルによっては、打牌の意味の軽重もかわってくることでしょう。
しかし、それでも敬意を払って、軽重を加味した上で吟味することが重要です。

「なんでも出てくるんだもの。読むことができないよ、無視無視!」といった趣旨の発言を時に耳にします。
しかし、それは思考放棄の言い訳にすぎません。
誰に対しても敬意を払い、理由・意味を五感を総動員して探るほうが、「相手を見ない」ことよりも確実に適切な対応ができます。
それに「相手を見ない」のなら、そもそも4人でやる必要がないゲームですよね。

相手に敬意を払うこと、敬意を失うこと、どちらもAI(人工知能)には無い現象です。

 

100

 

 

 

【② 感謝する心】

 

この原稿を書いている現在、世界は新型コロナウイルス感染症の影響で多大なるダメージを受けています。
麻雀界も例外ではなく、長い間、麻雀を楽しむことができなくなりました。
私も人生で初めて、1秒も牌に触れない期間が続きました。
当たり前のようにできていた麻雀が、こんなにも有難いものだったのか、と振り返る時間でした。

2020年6月1日に再開されたリーグ戦。
マスク着用での不自由な対局となりましたが、麻雀を打てることへの感謝の気持ちでいっぱいでした。
ドラが来るだけで嬉しく、アガリの一つ一つを愛おしく感じたものです。
場を壊さないように一打一打を丁寧に打つように心がけました。

考えてみれば、麻雀ができるということは奇跡的なことです。
何も心配なく麻雀を打てる環境の背景には多くの人のサポートがあります。
何より対戦相手がいなければやることができません。
今回のような感染症でなくても、戦争などが起こったらすぐにできなくなってしまう儚いものなのです。

そう考えるとなんと有難いことか。

麻雀で負けたとき、振り返ると、途上で投げやりな打牌が混ざっていることが多くあります。
それはやはり、麻雀が打てることについての有難さを忘れていることに起因していると思います。

有難さを理解し、喜びをもって臨むときはそれがありません。
自然と安定した選択をすることができます。
攻めるべきときは攻め、オリるときはオリる。
たとえ負けたとしてもダメージはありません。
なぜなら「打てるだけで倖せ」なことと分かっていて、ベストを尽くすことができたからです。

何らかの事情でしばらく打ってない状態だった人が、大勝して「ツキがたまってる」などと理由付けされることをよく見かけます。
私にとってはツキが理由ではなく、打てるありがたさを噛みしめ、丁寧に打ったことが勝ちにつながっただけ、と分析しています。

ある程度のレベルに達すると、勝敗は、心の動きで決まります。

危険牌の見落としは、「慢心」や「恐怖」による視野の狭さが原因。
押し引きのバランスの崩壊は、「怒り」や「不安」が原因。
選択のミスは「欲」や「打算」が原因。
結果が出たあとに、人間は思い知ります。
「心のせいで判断を間違えた。本能が教えてくれて、本当は正解を知っていたはずなのに…」

それらを克服するために重要なのが「感謝すること」だと思うのです。
感謝しているときに、上記のような「悪い心の動き」は顔を出しません。

どうやったら麻雀の価値に感謝することができるか。
それは日々、しっかり生きることだと思います。
・あいさつをしっかりすること
・仕事をしっかりやること
・良質な書籍や映画などを観ること
等々いくらでもあります。
それらを全うすることで麻雀ができる感謝心が生まれると考えています。

だから、麻雀で勝つためには、1半荘打つことよりも、身の回りの掃除をすることの方が有効、と心の底から信じています。

AI(人工知能)には感謝する、という概念はありません。人間だけの特権です。

 

 

【③ 成長し続けること】

 

AI(人工知能)の碁は、多くのプロが「違和感がある、気持ち悪い」、「考えられない悪手にみえる」と評しました。
人間が長い年月をかけて築き信じていた定石や真理を逸脱し、破壊するものばかりだったそうです。

麻雀においても、現在の「正しい常識」が、近い将来、間違っていると評価されるケースが多々でてくるでしょう。
したがって、研究の進歩にあわせて、進化する技術・戦略などを、常に取り入れていかないと取り残されます。
どこまでも勉強、成長していく必要があるのです。
自分の中で正しいと考えている固定観念に固執し、他を否定する姿勢だとこれは叶いません。

いつまでも成長の可能性を信じ、進むことができるかどうかは、本人次第です。
そしてそれができる人間こそがやはり強い。
また成長し続けられるからこそ、麻雀、そして人生は楽しい、ともいえます。

AlphaGoに敗れた柯潔九段が残したコメントがそれを物語ります。
「(人工知能のおかげで)新しい領域に進むことができ、新しい世界に到達することができる」

 

 

【④ 楽しむこと】

 

最後に。
麻雀で勝つために一番大切なことは「楽しむこと」だと思います。最強です。
理論を勉強して習得し、研究を重ね、対戦相手に敬意を払い、感謝し、成長を実感できるならば、どう考えても麻雀は楽しいものです。
楽しんでいるときに麻雀で負けた人はかつていたのでしょうか?

楽しくない時は、その理由を探ってみましょう。
何かを失うことが怖かったり、何かを欲しがったりしていないでしょうか。
評価や結果を恐れてないでしょうか。
そんなことで楽しさを失うのは、とてももったいないことだと私は感じます。

AI(人工知能)は、どんなに強くても麻雀を楽しむことができない。
人類は楽しむことができる。

人は、志や信念によって、足りない部分を努力して克服して成長することができる。
恐怖や欲に打ち勝ったり我慢したりすることができる。
だからこそ、打っていても、観ていても、それが伝わる瞬間、人は感動するのではないでしょうか。
そして麻雀を通して成長する機会を与えられていると思うのです。

私のコラムはこれで終りになります。
思想的な内容が多くなりましたので、この手の文章が苦手な方もいらっしゃったかもしれません。
また戦術というタイトルから技術面の話を期待した方には申し訳ありません。
ただ、強くなるために本当に必要と私が考えることを正直に書きました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

最後に一番伝えたいことです。
麻雀を楽しみましょう!

「碁の本質は楽しむこと。AlphaGoとの対局はずっと楽しかった」
李九段

「AlphaGoは世界を変えてしまったが、ぼくはぼく自身でありたい。そして囲碁が楽しいことを伝えたい。その責任がある」
柯潔九段

 

100

第16期静岡プロリーグ 第1節レポート

未曾有の脅威が我々を襲った2020年も夏を迎えた。
手放しで夏の到来を喜べないのは歯痒いが、僅かに光明が見えた。
顔を俯いて過ごした冬が終わり、少しだけ顔を上げて今宵の月を眺めながら物思いに耽られるようになった。

前年度、各選手は様々な思いを抱いたのだろう。だが一喜一憂している暇はないのだ。
頂上に辿り着いたら、また新たな旅路の始まりだ。未踏の山々を目指し、己の足で踏みしめるのだ。

涙を流した者はその流した涙を種にして、己の心にある畑にそっと植えるのだ。その畑を毎日手入れして、いつか訪れる実りを願うのだ。
前年度を回顧すると、私は『畑手入れ派』である。『未踏の山々派』が羨ましい。
まだまだ汗をかいて、実りを待っているのである。

しかしながら、近頃はオムライス作りに熱中しており、自宅でオムライスばかり食べているという体たらくである。
むしろ早めに仕事や麻雀を引き上げて、オムライス作りの時間を確保しているきらいがある。

『これこれ、心の畑に種を植えるとかって言う話はどうなってるんだい?』という疑問が皆様の頭に浮かんだと思う。

違うのだ。
畑の手入れ方法はお風呂の湯加減や薬の効き方と同じなのだ。
そう、人それぞれ違うのだ。自分の畑からどんな花が咲くのかは分からない。私はいつ咲くかも分からない花の色を確かめるために、またあの場所に向かったのだ。

静岡プロリーグ、2ヶ月遅れの開幕。

1卓
藤島健二郎 × 蓮沼友樹 × 天音まこと × 平岡理恵

ベテラン3人vs若手1人の構図。

結果
蓮沼 +67.8P 天音 +31.8P
平岡 ▲39.2P 藤島 ▲60.4P

大荒れの展開を制したのは蓮沼と天音。
藤島と平岡は大きく出遅れた。

対局終了後、藤島の複雑な表情が印象的であった。

復帰戦の平岡は本調子ではないか…。
次節以降の奮起を願う。
この世の強者は総合格闘技のチャンピオンでもなく、あらゆる利権を持った権力者でもない、母なのだ。

2卓
太田昌樹 × 木原翼 × 佐藤伶太 × 中村裕之

ベテラン太田vs静岡初参戦の関西・中部・北陸の若手。

結果
佐藤 +59.1P 中村 ▲12.3P
木原 ▲19.7P 太田 ▲29.1P

佐藤・中村・木原が太田に尻込みするかと思いきや、ここは関西本部・佐藤の1人浮き。
太田は辛い展開の中、4回戦で浮きを取りマイナスを減らした。

3卓
鈴木郁孝 × 平野敬悟 × 望月雅継 × 土屋幸弘

やはり注目は望月と現静岡リーグチャンピオンの鈴木郁であるが、平野と土屋のカウンターにも注目である。

結果
鈴木郁 +123.5P 土屋 ▲32.0P
平野 ▲33.0P 望月▲58.5P

鈴木郁の超特大トップ。
土屋・平野・望月は成す術なしか…。
そして望月がまさかの大沈み。

4卓
岡本和也 × 大橋幸正 × 鷲見隼人 × 渡辺洋巳

こちらも楽しみな卓である。

結果
大橋 +75.8P 渡辺 ▲13.4P
鷲見 ▲27.4P 岡本 ▲35.0P

大橋の大きな1人浮き。
親番で高打点のツモアガリをした際、渡辺・鷲見・岡本の落胆が私の卓まで届いていた。
大橋は『麻雀整体師』のキャッチコピーの通り、整体師である。たとえ何日も眠れないくらい体が痛んでも、立ち上がれない程のぎっくり腰になったとしても、渡辺・鷲見・岡本が大橋に整体を頼むことは一切無いのだろう。

熱戦はまだまだ続く。

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計
1 鈴木郁孝 123.5 123.5
2 大橋幸正 75.8 75.8
3 蓮沼友樹 67.8 67.8
4 佐藤伶太 59.1 59.1
5 天音まこと 31.8 31.8
6 青嶋宏樹 0.0 0.0
7 石津寿人 0.0 0.0
8 川崎義之 0.0 0.0
9 京平遥 0.0 0.0
10 斉藤隆 0.0 0.0
11 島﨑涼 0.0 0.0
12 鈴木秀幸 0.0 0.0
13 中寿文 0.0 0.0
14 杉村泰治 0.0 0.0
15 田中寛治 0.0 0.0
16 中村裕之 ▲ 12.3 ▲ 12.3
17 渡辺洋巳 ▲ 13.4 ▲ 13.4
18 木原翼 ▲ 19.7 ▲ 19.7
19 鷲見隼人 ▲ 27.4 ▲ 27.4
20 太田昌樹 ▲ 29.1 ▲ 29.1
21 土屋幸弘 ▲ 32.0 ▲ 32.0
22 平野敬悟 ▲ 33.0 ▲ 33.0
23 岡本和也 ▲ 35.0 ▲ 35.0
24 平岡理恵 ▲ 39.2 ▲ 39.2
25 望月雅継 ▲ 58.5 ▲ 58.5
26 藤島健二郎 ▲ 60.4 ▲ 60.4

第35回静岡リーグ(プロアマ混合)第1節レポート

みなさんはじめまして。

第35回静岡リーグのレポートを担当させていただくことになりました34期後期生の斉藤隆と申します。
拙い文章になるかもしれませんが、半年間お付き合い頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

2月、鈴木郁孝プロの涙の初優勝で幕を閉じた第34回静岡リーグから4か月。
新型コロナウイルスによる非常事態宣言の発令により、当初の4月開幕から延期になり、開催そのものも危ぶまれたが、6月21日ようやく待ちに待った第35回静岡リーグが開幕した。

今回は延期の影響で4節開催となってしまったため、1節あたりの比重が非常に大きいものとなっている。

今回はコロナの影響で参加を見合わせる参加者も多かった。
それでも60名弱という多くの参加者での開催となった。

そのような状況下の中、東京本部、中部本部、関西本部、北陸支部の各本支部所属のプロ、そして静岡内外から参加していただいているアマチュアの皆様のおかげで無事に開催に至ったことをこの場を借りてお礼申しあげます。

感染防止対策として、消毒やマスク着用、検温と例年にはない雰囲気ではあったが、やっと開催できる喜びが参加者からひしひしと伝わった。

密集を防ぐために参加者を半分にして開会式。
例年の選手紹介を簡略化し、意気込みはなしという形だったが、いざ対局がはじまると、各卓から参加者の熱がこもった打牌や発声が会場中に響いていた。

結果に目を向けると、首位にたったのが、アマチュアの山田さん。
+106.7Pのポイントをたたき出した。
今回からレギュラー参加、誰もが知る実力者だが、1節目からトップ3回、2着1回と結果をまとめてきた。
4節開催の短期決戦でこのポイントは決勝に向けての大きなアドバンテージである。

2位につけたのは、リーグ戦開始前に今回は絶対上位に入ると、昨年の不調から巻き返しを誓っていた鷲見隼人プロが有言実行の+72.3P。
鷲見プロは2年前、静岡プロリーグ、地方チャンピオンシップを制した実力者。
決勝を見据えた上々のスタートが切れたというところだろう。

3位には32回、34回と決勝進出を果たしているアマチュアの松清さん。
松清さんは決勝の常連になりつつあるが、あと一歩優勝には手が届いていない。
過去2回での忘れ物を取りに行くための好スタートといったところだろう。
公式ルールを勉強、研究を日々しているからこその結果ともいえよう。

余談ではあるが、リーグ戦直前の公式ルールでの練習で、1半荘に国士無双と緑一色を放銃しており、その時には「リーグ戦の分も放銃しきったから、その分プラスにする。」と笑顔で意気込んでおり、有言実行したところはさすがである。

4位にはアマチュアの安藤さん。
遠方から参加していただいて、今回で3回目の参戦。
過去3回では上位で終了した実績もあるだけに、あとはポイントを積み重ねるだけって言ったところだろうか。

そして、個人的に注目したいのは5位の天音まことプロ。
こういう時期だからこそ静岡にと、今期プロリーグ・静岡リーグに参加していただいた。
そういう意気込みはうれしい限りである。
静岡リーグでは上位につけ、次節以降も注目していきたいと思う。

全体を見ていると、リーグ戦という舞台だけに真剣勝負なのは当然なのだが、真剣な顔の中にも参加者みんな笑顔が多かったように感じた。

麻雀を打てる喜び、リーグ戦に参加できる喜びをみんな噛みしめていたのだろうと想像した。

ちなみに私はというと、+19.7Pというスタート。
上位に離されていかないようについていきたいと思う。

結果としては、上位10人中8人はアマチュアの方が占める結果に。
今節下位に沈んでしまったプロは、爆発力のあるプロが揃っている。
今後のプロの巻き返しを次節以降に期待したい。

ただ、例年よりも決勝進出圏内は全体的に大きく離れておらずの団子状態。

2節以降の巻き返しで、大きく上位は変動する状況ではある。
ましてや、1節少ない戦いはみんな未知数の戦いとなる。
この後の1半荘1半荘が目の離せない戦いとなるだろう。

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 合計
1 山田昭裕 一般 106.7       106.7
2 鷲見隼人 プロ 72.3       72.3
3 松清一樹 一般 54.3       54.3
4 安藤真由美 一般 51.9       51.9
5 天音まこと プロ 49.9       49.9
6 大谷数則 一般 49.7       49.7
7 白井健夫 一般 47.2       47.2
8 加藤拓 一般 42.4       42.4
9 堀孔明 一般 38.6       38.6
10 牧野卓人 一般 38.0       38.0
11 村瀬光佳 一般 34.0       34.0
12 西田孝志 一般 29.9       29.9
13 中野一男 一般 27.7       27.7
14 佐藤伶太 プロ 21.0       21.0
15 平野敬悟 プロ 19.9       19.9
16 斉藤隆 プロ 19.7       19.7
17 太田昌樹 プロ 17.5       17.5
18 杉村泰治 プロ 15.5       15.5
19 鈴木秀幸 プロ 14.9       14.9
20 高橋大輔 一般 14.8       14.8
21 安藤順一 一般 12.8       12.8
22 渡部文也 一般 7.2       7.2
23 渡辺洋巳 プロ 7.1       7.1
24 島﨑涼 プロ 3.2       3.2
25 青嶋宏樹 プロ 0.0       0.0
26 石津寿人 プロ 0.0       0.0
27 京平遥 プロ 0.0       0.0
28 土屋幸弘 プロ 0.0       0.0
29 蓮沼友樹 プロ 0.0       0.0
30 大橋幸正 プロ 0.0       0.0
31 中村裕之 プロ 0.0       0.0
32 影山恒太 一般 0.0       0.0
33 小山剛史 一般 0.0       0.0
34 服部哲也 一般 0.0       0.0
35 高村龍一 一般 ▲ 0.8       ▲ 0.8
36 伊藤真 一般 ▲ 5.3       ▲ 5.3
37 前嶋茂 一般 ▲ 6.7       ▲ 6.7
38 山内紀博 一般 ▲ 13.5       ▲ 13.5
39 小倉雨 一般 ▲ 15.6       ▲ 15.6
40 井上一雄 一般 ▲ 17.8       ▲ 17.8
41 木原翼 プロ ▲ 18.8       ▲ 18.8
42 片山一哉 一般 ▲ 22.7       ▲ 22.7
43 金田年伸 一般 ▲ 22.9       ▲ 22.9
44 栗島有紀 一般 ▲ 23.7       ▲ 23.7
45 宮地孝尚 一般 ▲ 27.0       ▲ 27.0
46 松本貴仁 一般 ▲ 30.8       ▲ 30.8
47 鈴木優貴 一般 ▲ 33.8       ▲ 33.8
48 鈴木貴仁 一般 ▲ 34.8       ▲ 34.8
49 望月雅継 プロ ▲ 35.5       ▲ 35.5
50 岡本和也 プロ ▲ 42.0       ▲ 42.0
51 湯本紳介 一般 ▲ 51.9       ▲ 51.9
52 鈴木博直 一般 ▲ 52.5       ▲ 52.5
53 鈴木郁孝 プロ ▲ 56.4       ▲ 56.4
54 中寿文 プロ ▲ 72.4       ▲ 72.4
55 伊藤裕美子 一般 ▲ 74.8       ▲ 74.8
56 柳瀬真志 一般 ▲ 79.0       ▲ 79.0
57 藤島健二郎 プロ ▲ 84.5       ▲ 84.5

土田浩翔氏の打牌について

当連盟より、一般社団法人最高位戦日本プロ麻雀協会様宛に以下の文書を提出させていただきました。

令和 2 年 3 月25日
一般社団法人 最高位戦日本プロ麻雀協会 御中

日本プロ麻雀連盟
会長 森山茂和

MONDOTV放送対局における土田浩翔氏の打牌について

拝啓 時下ますますご清栄のことと拝察いたします。
さて、4月からの新しい年度を迎えるにあたって、今期のことは今期中に方を付けるべくご連絡させていただきました。
先般、貴団体から映像媒体に関するもっともな抗議をいただき、お互いに主張するべきことは主張するのが、今後のプロ麻雀界にとって最良であると考えるに至りました。
2019年4月にMONDOTVで放送された「第13回モンド名人戦」の予選最終戦(#10)の南4局2本場での、貴団体所属の土田浩翔プロの打牌について疑問がございます。
この時点での牌図を別紙に添付いたしますのでご覧ください。
親の森山と貴団体所属の金子正輝プロがリーチを掛けていました。森山と金子プロのどちらがアガっても、両者とも予選通過が決まっているという状況(金子プロは森山に三倍満を放銃すると予選落ちになりますが、森山からのリーチ棒が出たことで満貫ツモで2着になるという状況でした)で、北家の土田プロは現状だと予選落ち。1,000点でもアガれば予選ボーダーをクリアするという状況でした。また、予選のポイントは次のステージまで持ち越されるというシステムです。
リーチの一発目に土田プロは2ピンをチーして、打牌の直前が牌図の局面です。
両者に通る牌はありません。自分の都合だけなら普通は8ピンを対子落とししていくところだと思われます。
親の森山の現物の3ソーは、36ソーのスジが6枚見えており、金子プロには危険です。ドラの4ソーは金子プロの中スジですが、森山には危険です。
ここで土田プロは3ソー切りを選び、金子プロに放銃しました。次は森山に放銃となる4ソー切りだったのでしょうか?
実力のあるベテランプロ雀士として、かなり不自然な打牌であるため、貴団体のお考えを聞かせていただきたく思い、ご連絡させていただきました。
何卒、よろしくお願い申し上げます。

敬具

 

100

 

先日、以下のようなお返事をいただきましたので、掲載させていただきます。

 

令和2年7月5日

日本プロ麻雀連盟 御中

一般社団法人 最高位戦日本プロ麻雀協会
代表 新津潔

第13回モンド名人戦の予選最終戦における土田浩翔選手の打牌について
拝啓 時下ますますご清栄のことと拝察いたします。
お問い合わせいただいておりました件につきまして回答が遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。
当会はお問い合わせいただいたこと自体に困惑しており、土田の意図をご理解頂けなかったことに関して誠に遺憾ではございますが、以下ご説明させて頂きます。

 

■該当局面で打3ソウと選択した理由について
 
まずは該当局面において自身の予選通過を目指すという前提の下、土田の狙いは大きく分けて以下の4点でした。

① 自身がアガる
② 森山プロが金子からアガることで自身の着順が浮上する
③ 流局
④ 森山プロがツモアガり、次局に進む

ポイント状況をふまえますと、①は通過が確定。②~④は次局に勝負を持ち越すという選択です。ここでは3ソウが先制リーチの森山プロの現物であること、金子がヤミテンを選択しており、ツモ切り追いかけリーチに至ったことを考慮すると、36ソウ待ちの可能性は低いと考えました。
・役あり36ソウ待ちであれば、現物待ちなのでヤミテンを続行する可能性が高い ・役なし36ソウ待ちであれば、他家の攻撃に対して守備の意識でヤミテンを選択していたことになるので、親リーチという明確な攻撃を受けてからリーチに踏み切る可能性は低い
以上の点から金子に最も通りやすい牌は3ソウであると判断した次第です。
当協会といたしましても、上記の①を目指す上での最善が打3ソウなのか打8ピンなのかは判断できませんが、金子へ放銃してしまうと上記①~④の狙いも消えてしまう状況の手順として、現時点でも最も安全だと判断した打3ソウに不自然さは感じません。また土田の手牌の中で金子に対して最も安全な牌は8ピンではなく3ソウであるという土田と同じ見解を当協会の複数選手が持っております。

 

■3ソウが放銃とならなかった場合に4ソウを切ったのか?について
 
ドラ4ソウが放銃となる可能性は当然考えられ、森山プロに放銃となった場合には自身の予選通過が厳しいものになることは重々承知しながらも、以降の聴牌のタイミングと局面によっては切り出す予定だったと申しております。
当協会としましても、この後土田が聴牌した場合に、流局連荘等に期待し、4ソウではなく、その瞬間一番安全だと思われる牌を選択することは十分にあると捉えておりますし、また4ソウを打つことも勝負に値するものだという認識もございます。
具体的には
・森山プロのリャンメン待ちは上下ワンチャンスである
・森山プロにリャンメンで放銃する分には(5800などであれば)次局可能性が残る
・森山プロのシャンポン待ちは手順として考えにくい
・金子のシャンポン待ちがあるのであれば即リーチしている可能性が高い
・聴牌流局すれば次局の横移動でも勝ち上がりできる
という打4ソウを後押しする要素に加えて
・残りの巡目
・残っているリーチの待ち(4ソウがどれくらいの確率で放銃になるのか)
・自身の待ち枚数(山に残っている枚数)
・自身の安全牌の枚数(と安全度)
などの刻一刻と変わる要素によって都度判断するものですので、必ず4ソウを切ったとも切らなかったともお答えすることが出来ないことご容赦くださいませ。
以上が土田浩翔の選択根拠と、土田が所属する当会の見解です。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

何を切る? 2020年7月

第37期鳳凰戦A2リーグ 第1節 B卓 5回戦 東3局1本場 東家 古橋崇志プロ

 

 

 

 

 

■ Twitterで実施したアンケートの結果

 

 

 

 

■プロ解答

七索切り

 

 

 

 

七万切り

 

 

 

 

九万切り

 

 

 

 

九筒切り

 

 

■実況・解説陣

 

 

内川「ツモ切りかなぁー?六万切りたいくらいの手だね。」
小笠原「六万切りたい。ドラじゃなければ・・・」
内川「(七索切り)七対子かー。」
小笠原「七対子の1シャンテンに構えました。内川さんはツモ切りなんですね。」
内川「九万をツモ切るか、八索を切っておくか。」

 

■プロの視点

 

 

 

■終局図

 

 

日本プロ麻雀連盟チャンネルはこちらから
FRESH!<PC版>
ニコニコ生放送<PC版>

第34回静岡リーグ(プロアマ混合)決勝観戦記

決勝進出者は以下の5名。

鈴木郁孝(静岡支部)
高木翔太(静岡支部)・
舟橋晃(一般参加)
松清一樹(一般参加)
望月雅継(静岡支部)

 

1回戦(起家から鈴木・高木・望月・松清)

東3局1本場、いきなり山場が訪れる。

15巡目、松清さんから「ツモ」の発声。

四暗刻のアガリである。

四万四万六万六万六万九万九万七索七索七索六筒六筒六筒  ツモ九万  ドラ九万

しかし、望月・鈴木の両名がこのまま黙ってはいない。
2人がそれぞれ跳満をツモアガリ、松清さんの独走に待ったをかける。

1回戦は松清さんの四暗刻をきっかけに大物手の応酬となり、実に静岡リーグらしい幕開けとなった。

1回戦成績
松清+34.5P 鈴木+4.3P 望月▲15.7P 高木▲23.1P

1回戦終了時
松清+44.5P 鈴木+44.3P 舟橋+20.0P 高木+6.9P 望月▲15.7P

 

 

2回戦(起家から望月・松清・舟橋・鈴木)

南1局、望月・鈴木・舟橋さんの手がぶつかる。

親・望月
七万八万九万七索八索九索二筒二筒七筒八筒九筒中中  リーチ  ドラ七索

西家・舟橋
三万四万五万三索四索七索八索九索三筒四筒五筒北北  リーチ

北家・鈴木
六万六万七万七万八万八万二索三索四索五索二筒三筒四筒  リーチ

結果は、鈴木が二索をツモり2,000・3,900のアガリ。
それでも望月はこの後2,000・4,000、1,000・2,000と連続でアガリ、この半荘トップで終える。

2回戦成績
望月+25.9P 鈴木+14.1P 松清▲15.3P 舟橋▲24.7P

2回戦終了時
鈴木+58.4P 松清+29.2P 望月+10.2P 高木+6.9P 舟橋▲4.7P

 

 

3回戦(起家から望月・高木・松清・舟橋)

東2局、高木と舟橋さんの手がぶつかる。

東家・高木が9巡目に以下の形でリーチ。

五万六万七万三索四索六索六索五筒五筒六筒六筒七筒七筒  リーチ  ドラ六索

西家・舟橋さんが12巡目に追いつく。

七万八万九万五索六索二筒三筒三筒四筒四筒五筒北北  リーチ

軍配は舟橋さん。高木から3,900の出アガリだった。
舟橋さんはここまでの鬱憤を晴らすかのようにアガリ続け、ダントツの1人浮き状態に。
しかしオーラスで高木が意地のチンイツを成就させ、浮きに回る。

3回戦成績
舟橋+27.0P 高木+9.5P 望月▲8.9P 松清▲27.6P

3回戦終了時
鈴木+58.4P 舟橋+22.3P 高木+16.4P 松清+1.6P 望月+1.3P

 

 

4回戦(起家から舟橋・望月・鈴木・高木)

開局から望月が5,800、2,600と放銃が続くも、東3局に2,000・3,900をアガリ返し迎えた東4局、親の高木が5巡目にドラの二万を暗カンし、7巡目にリーチ。

六万七万八万七筒八筒九筒南白白白  暗カン牌の背二万 上向き二万 上向き牌の背  リーチ  ドラ二万

普通なら他家はベタオリとなりそうだが、このリーチに立ち向かう者がいた。

望月である。

五索六索六索七索七索八索九索九索三筒四筒五筒六筒七筒  リーチ

望月の気合いに押されるかのように高木が二筒を掴む。

この後、望月は立て続けにアガリ、終わってみれば1人浮きの大トップ。
トータルでも首位の鈴木に並んだ。

4回戦成績
望月+38.0P 舟橋▲3.0P 鈴木▲12.9P 高木▲22.1P

4回戦終了時
鈴木+45.5P 望月+39.3P 舟橋+19.3P 松清+1.6P 高木▲5.7P

 

 

5回戦(起家から鈴木・舟橋・松清・高木)
この半荘終了時、トータルラスの選手が敗退となる。

比較的小場で進み迎えた南3局、この半荘のトップを決定づけるアガリが出る。
親の松清さんが10巡目に南ポンテンの7,700のテンパイを入れる。

七索八索一筒一筒一筒三筒三筒三筒六筒六筒  ポン南南南  ドラ六筒

2巡後、ツモ七索でMAX8,000オールを見てシャンポンに受けかえる。
これが功を奏し、同巡にリーチをかけた高木から七索を討ち取り12,000の出アガリとなる。

七索七索一筒一筒一筒三筒三筒三筒六筒六筒  ポン南南南  ロン七索

このリードを守り切り5回戦は松清さんがトップ。

5回戦成績
松清+26.6P 舟橋+7.6P 鈴木+4.3P 高木▲38.5P

5回戦終了時
鈴木+49.8P 望月+39.3P 松清+28.2P 舟橋+26.9P 高木▲44.2P 

 

 

6回戦(起家から望月・松清・舟橋・鈴木)
首位から4位までのポイント差が22.9Pと過去に類を見ないほどの大混戦となった。
こうなると席順の有利不利はない。

東1局、親の望月が8巡目に先制リーチ。
これに対し舟橋さんが無筋を3枚勝負し、アガリきる。

四万五万七万七万三索四索五索六索七索八索  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ロン六万

東2局1本場、今度は鈴木が攻める。
1,300は1,600の出アガリで局回しに成功する。

東4局は西家・松清さんが1,300・2,600のツモアガリ。
これで鈴木は原点を割り更なる大混戦に。

南3局、配牌でドラドラの舟橋さんが6巡目にリーチ。
1シャンテンだった望月から討ち取り、7,700の出アガリとなる。

そして迎えたオーラス。
微差ながらトータルトップ目の鈴木は1,000オールをツモアガリ、ノーテン終了できる点差に。

南4局1本場、各者の優勝条件は以下の通り。

望月 跳満ツモ、鈴木から跳満直撃、3倍満
松清さん・舟橋さん 1,300・2,600ツモ、鈴木から3,900直撃、倍満
鈴木 1人ノーテンOK

一番条件の厳しかった望月が無駄ヅモ無しで5巡目に以下のテンパイでリーチ。

一万一万一万五万六万七万九万三筒三筒三筒西西西  リーチ  ドラ九万

九万は山に残り2枚。

15巡目、ようやく舟橋さんにも条件が入る。

二万三万六万七万八万二索二索三索四索五索三筒四筒五筒  リーチ

この時点で望月・舟橋さんのアガリ牌は山に1枚ずつ残っていた。
しかし最後まで両者の手が開かれることは無く、アガリ牌は王牌に死んでいた。

6回戦成績
舟橋+13.4 松清+9.2 鈴木▲4.9 望月▲19.7(供託2.0)

最終結果
鈴木+44.9 舟橋+40.3 松清+37.4 望月+19.6 高木▲44.2(途中敗退) 供託2.0

鈴木はついに念願の初タイトルに手が届いた。
小さくても、タイトルを取ると景色が変わるという。
この日の勝利は鈴木にとって大きな意味を持つことになるだろう。
これからの更なる活躍に期待したい。

八局麻雀11<セブンネット限定特典:生写真セット付き>(DVD)7月3日予約発売開始!

100

 

★V☆パラダイスで放送中、大人気麻雀バラエティ「八局麻雀」第11弾がDVD化決定!
親連荘なしの八局という画期的なルールにより対局がスピーディに展開。
実況席からもタレント・雀士によるコメントが入り、まるで有名人のプライベート麻雀を自宅で覗き見しているかのような、これまでの対局番組には無いバラエティ要素満載の新感覚麻雀番組!

予約発売日 2020年07月03日

特典つき セブンネット限定特典 生写真セット(高宮まり、東城りお、古谷知美、岡田紗佳 )

販売価格 : 5,800円 (税込:6,380円)

コピーライト ©V☆パラダイス

詳細はこちらをご覧ください。

第210回:第14回MONDO名人戦優勝特別インタビュー 沢崎 誠  インタビュアー:清原 継光

100

 

MONDO名人戦は沢崎プロが優勝した。そのインタビューは世間の騒動から例年より少し遅れてなされた。

 

~決勝のテーマ~

 

清原「まずは優勝おめでとうございます。」

沢崎「ありがとう」

清原「今回、優勝ということで決勝戦を見させてもらったのですが、正直優勝しそうな雰囲気を感じませんでした。え?ここから優勝したの?ってのが映像を見たときの最初の感想でした。最後の最後、オーラスでの逆転劇、ご自分ではどう感じながら打ってたのですか?」

沢崎「特に何も。いつもどおりよ。あれぐらいあたりまえだよ。(笑)」

清原「1回戦は3着で終える。1回戦を終えてどう考えてらしたのですか?厳しいなぁとか苦しいなぁとか?」

沢崎「全然苦にしてなかった。半荘2回勝負の決勝は必ずどちらかをトップをとらなければならない。2着2着で優勝てのはまずありえないんだよ。必ずどっちかにトップが必要。
あとは1回戦トップのともたけとの着差だけを考えればいいから、3着で終えても自分の中では何も。1回戦はまだ途中経過だからね。」

清原「1回戦の結果はホントに気にしてなかったんですね。」

沢崎「4着だけはダメだよ。4着をとると全員の着差を考えなければならないから。それか大トップか。4着をとると条件が厳しくなる。4着を回避できたからあとはトップをとれば優勝だなと。」

清原「優勝のための条件計算がすでになされてたんですね。」

沢崎「あたりまえじゃない。それが決勝のテーマ。そんなことは決勝をやる前から分かってなくちゃダメなんだよ。」

清原「(決勝経験の豊富さが違うな。それだけ条件戦の場数をこなした量が違うのだろう。)
話は変わりますが、優勝のためにトップが必要でホントにトップをとるのはさすがですね。」

沢崎「予選から3着1着3着1着で予選をクリア。次を2着1着でクリア。トップ率50%で来てたからね。」

清原「それはすごいですね。しっかりトップをとって予選を通過してきてたんですね。」

沢崎「でもそれも最後の半荘のトップ条件をクリアしての通過なんだよ。ギリギリの通過。そしてそれが大事なんだよ。大トップで余裕の状態だと緩んじゃうから。どこか麻雀が弛緩してしまう。でも厳しい条件の中、それをクリアするってのは緊張状態の中でそれだけいい麻雀を打ててるということ。そういう方が決勝もそのままいい麻雀が打てることが多い。」

清原「(勝たなければならない半荘で勝ちきること。予選の厳しい条件をクリアしてきたことが決勝を勝ちきる自負につながってるのかな)。その予選があって決勝での自信になってるんですね。」

 

 

~逆襲の心構え~

 

清原「決勝の2回戦。ここから沢崎さんの逆襲がはじまるかと思ってたのですが、東2局に親の藤崎さんのヤミテンのホンイツに飛び込んでしまう。この9,600放銃は痛すぎます。」

沢崎「全然痛くないよ。」

清原「僕なら心が折れてます。どう考えてたんですか?」

沢崎「まずな、打ってる時にダメだと思った人間が優勝することはないから。」

清原「はい」

沢崎「点数がないからダメだと思うかもしれないけど、そんなことはない。アガリを目指す手が来たうえでの放銃なので、放銃ができてるということはそれだけの手が組めてるということなんだ。悪いという状況は理解してるけどツイてないのとは違う。」

清原「はい」

沢崎「ツキがないわけではない。なぜか、それはちゃんと戦えてるから。それは良いと解釈しなくちゃいけない。それを悪いと解釈したらどんどん悪くなってしまう。」

清原「ドツボにハマってしまうような感じですね。」

沢崎「ツイてないとは思わない。点数は厳しい状況にあるけど。」

清原「この放銃で藤崎さんは41,300点、沢崎さんは9,200点、点数だけ見ると厳しいです。どう思考したのですか?」

沢崎「この放銃で自分よりも他の2人(新津プロとともたけプロ)、特にともたけが痛がってるな、と。」

清原「1回戦トップのともたけさんは逆に藤崎さんに条件を突きつけられた形になりましたからね。(放銃した瞬間に対戦相手の心理をまず考えてるのか!)」

沢崎「それと藤崎と32,000点差あるわけだけど、これを32,100点アガれば勝てると思うと苦しむ。逃げる者と追う者、ゴール前で並んだらどちらが有利か分かるか?追いかけるほうが有利なんだよ。オーラス満貫ツモ圏内までいけば追いかけるこちらが有利だ。だからオーラスまでに22,000点アガれば勝てる。そう考えれば満貫ツモ2回で届く。もちろんラス親が新津であるということも大事だよ。ラス親が藤崎だと1局勝負になってしまうから。そこはもちろん確認した上で。」

清原「(究極のポジティブシンキング!)。オーラス満貫ツモ圏内なら勝ちというのもまたすごい自信です。」

沢崎「普段から練習をしてるからね。逆転手をつくる練習をしてないと大事な局面で逆転手をうまくつくれないから。」

清原「(圧倒的な練習量が自信につながってるのだろうなぁ)。そして見事に有言実行をする、と。」

そして放銃の次の局

七筒七筒八筒八筒九筒九筒東東中中  ポン白白白  ドラ七万

リーチしている新津から中を討ち取る。

東4局には

一万一万四万五万六万一索二索三索五索六索二筒三筒四筒  ドラ六索

リーチを打って一発ツモウラで跳満のツモアガリ。わずか3局で満貫ツモ圏内に復帰する。

沢崎「ラッキーだったね(笑)」

 

 

~負けを覚悟した瞬間~

 

沢崎「実は決勝では『負けた』と思った瞬間が2回あった。どこだか分かるか?」

清原「どこですか?一番苦しそうな時間帯は乗り越えたと思ってました。」

沢崎「オーラス(藤崎35,800点、沢崎35,300点。アガった方が優勝)。藤崎にチーと言われた瞬間。藤崎が中途半端な仕掛けをするはずがないから。あいつがチーと言った瞬間、最終形なんだよ。対してこちらはバラバラでテンパイも遠い。負けたと思ったよ。」

清原「とてもそうは見えませんでした。仕掛け返して戦ってるように見えました。」

沢崎「あれは悪あがきだね。形だけ仕掛け返したけど、バラバラで端牌だらけでいらない牌を切っても放銃しないし、いつ藤崎にツモと言われるかと思ってた。」

清原「そうだったんですか。。」

沢崎「それが終盤までもつれて親の新津からリーチが入ってハイテイで新津がツモって、それでこれで勝てるぞと思った。」

清原「そこは急に変わるんですね」

沢崎「負けたと思った。それがもう1局できることになった。これは自分に分があるぞ、と。負けたと思ったのに負けにならなかった。これは自分に運気がある。次は戦える。そして勝てる、と。」

清原「次の局で勝敗を決せると?」

沢崎「それが次の局も藤崎に先制リーチを打たれて、それが二度目の負けを覚悟した瞬間。」

清原「(笑)。勝てると思ってたのにまた先にテンパイを入れられた。。」

沢崎「あれ?おかしいな?違うかな?負けたかな?って」

清原「沢崎さんでもそう思う瞬間があるんですね。(笑)」

が、この局、沢崎は藤崎のリーチをかいくぐり

二万三万四万六万七万八万二索三索二筒三筒四筒五筒五筒  ドラ一筒

この手をテンパイすると、親の新津から四索を討ち取る。

清原「見事なタンピンサンショクでした。」

沢崎「1,000点も8,000点も変わらないけどな。藤崎のチーで負けたと思ったけど負けなかった。それが全部だな。あれは藤崎がアガリきらなければダメだよ。」

その言葉は、藤崎のほんの少しの選択の瑕疵で勝負の天秤の傾きが変わったような、そんな含みを感じさせる言葉だった。

 

 

~名人戦はおもしろい~

 

清原「今回、名人戦の決勝を見せてもらいました。すごくおもしろかったです。なんでこんなにおもしろいんでしょうね。」

沢崎「やっぱり質だろうな。変な打牌が少ない。周りの見つめる視線もきついし好き勝手に切ればいいわけじゃない。変わった打牌をするなら結果が必要ということ。あと変な放銃が少ない。ぶつかる前半の手組みが大事で、その上で勝負手どうしがぶつかる。それがいい対局をつくる。あとタイプは違うけど皆、個性的だな。」

清原「それは見ていてとても感じます。次は名人戦優勝者として王座戦ですね」

沢崎「俺は今、MONDO2冠なんだよ。3人麻雀と名人戦。次に王座を勝って3冠といきたいね。」

清原「名人戦のファンとして、ベテランの強さを是非見せてください。最後に抱負をお聞かせください。」

沢崎「ファンのため、見てる人に刺激を与えたい。アンチでもいい。アンチが見て刺激を受けてくれたら、こんなおもしろいことはないね。あと、勝ちにいくところを見せたい。トップが見えればできるだけトップを目指す。それが見てる人が喜ぶから。麻雀は世界で一番楽しいゲーム。打つ人も楽しく打ってほしいし、見てる人も楽しんでほしい。皆、刺激をもって見てほしい。高い手、可愛い女の子、こんなおじいちゃん、なんでもいいから。」

 

 

~エピローグ~

 

インタビューを終えて、宵もふけて酔いも進んだころ、Cリーガーも合流して、いろんな麻雀の質問をする。名人がそれらに答えてくれる。それはとても素晴らしい時間だ。
そんなベテランが若者たちに向けて語った言葉は酔いと共に忘れ去られるには惜しい。そんな言葉をとどめておきたい。

「プロなら貪欲に自分にないものを求めろ。ただ、昇級したい、勝ちたい、じゃない。自分にない技術がほしい。でも手に入れたい。それにはまず見ること。見方、考え方、自分と違うものを見て複合的な視野での見方を得ることが大事。」
「映像から学べるものはくさるほどある。決勝は見る価値がある。決勝は皆勝ちたいから。自分が成長できるチャンスはいっぱいある。いっぱい見ろ。負けられない試合を。」
「勉強することは自分のためでもあり、ファンのためでもある。自分にはファンがいないと思ってるかもしれないけど、自分が思ってる以上にファンがいる。」
「ファンのために勝ちたい、タイトルが欲しい、じゃない。目標はそこじゃない。勝つことが目標じゃなくて、戦うことが目標。ファンのためにやりたいことをやることが目標。」
「勝つだけではダメ。自分からいろいろな経験をしないと。負けることも大事。負けて悔しくてそういう経験から分かることもある。ずっと進歩するしかないし、それを追っていくしかない。下手なんだから。俺だって自分でそう思ってるんだから。プロは練習するしかない。」
「連盟はいろんなことを教えてくれる先輩がいる。俺も北海道元本部長の仲澤さんの言葉とか、はじめはわからなくていいから何年か経ってからで分かってきたりする。若いうちはガムシャラに勝ちに貪欲でいい。そのうちに分かってきたら後輩に伝えていければいい。でも結果出せないやつが物言える世界じゃないからな、まずは勝て。」

麻雀の文化の継承として次の世代につなげていこうと思える言葉だった。
その先にもっともっと麻雀がおもしろくなる世界が広がっている。
そんな景色を想像させる宵の淵。夜は更けていく・・・。

戦術の系譜8 西川 淳

たとえば。

あなたが麻雀をするとき。
あなたが望めば、いつでもアガることができるとしましょう。
あなたが望めば、いつでもトップをとることができるとしましょう。

果たして、そのような麻雀は、あなたにとって楽しいですか?
勝って嬉しいでしょうか。

連戦連勝。
プロならば、最高リーグで常勝。出るタイトルを獲りまくりです。
周囲からは称賛され、尊敬の目でみられることでしょう。

しかし、それで心は満たされるでしょうか。

私は、それだとツマラナイとしか感じません。
麻雀はアガれるかどうか「わからないからこそ」ワクワクする。
トップを取ることが「困難だからこそ」達成したら嬉しい。
努力の末に何かを成し遂げた時「自分で自分を褒めることができたときこそ」心の底から充足感を得られると考えています。

 

第2章

【①どの山をどのように登りたいのか】

 

前回の連載では、理論的な背景も踏まえて、アガリを登山にたとえて
・終盤にかけてアガリへの道のりは厳しくなる
・どのようなルートを選ぶか、などの技術や見識が大切
と、山を登りきるために重要な要素を主張しました。

今回は、その前提の上で敢えて提唱したいことがあります。
みなさんは、次のAとBのどちらの山を登りたいでしょうか。

A・険しくて高いけれど、山容が美しく、山頂からの眺めも絶景な山
B・誰でも容易に登ることができ、山頂からの眺めが凡庸な山

もし「Aのほうを登りたい!」と思われるようでしたら、是非一緒にそうしましょう。
「Bのほうが良い」という方は、それはなぜなのか振り返ってみてください。
価値観を押し付けるつもりは毛頭ありませんが、「それは本当に楽しいことなのか?」と見つめ直してもらえれば幸いです。

「そうはいっても現実問題、Bを目指すほうが効率的だし、アガれなかったら身も蓋もないじゃないか」
と思う方もいらっしゃるでしょう。
確かに麻雀はアガってなんぼ、です。他の人が先にアガったら何もないように見えます。

でも、思い出してください。
麻雀のアガリの成否は、途上が楽かどうかはあまり関係がなく、最後の瞬発力によって決することが多いのです。
どんなにキツそうに見えても、どんなに回り道をしても、最後の最後でしっかりと力を発揮できればアガリをとることができます。
険しい山だったとしても、ちゃんと登りきることができるのです。

下の牌姿は、第36期鳳凰位戦第10節の私の手です。

 

100

 

すでにテンパイしています。
私は、ここから六筒を切りテンパイを崩して清一色に向かいました。
・牌の組み合わせ・つながりが良好で、伸びがある上、まだ序盤で十分アガリが見込めること。
・上家の捨て牌からマンズを仕掛けることも期待できること。
・得点状況に余裕があること。
など、いくつかの方針決定の要素はありました。

しかし、根幹となっている意思決定基準、思想は「どの山を登りたいか」です。
この手、最初のテンパイでアガっても何が残るのでしょうか。
険しくて登れるかどうかわからない、でもチャレンジしがいのある山のほうに登りたくはありませんか。
きっと頂上からの眺めはサイコーです!

メンツを崩すことを「強欲」だと感じる方もいるかもしれません。
でも、私にとっては、チンイツに向かうことが「自然」であり、アガリ逃しやノーテンを恐れ、最初のテンパイにこだわるほうがむしろ「強欲」だと感じます。

「何かを捨てたほうが、かえって大きなものを得ることがある。」
このことは実は麻雀の分野でも摂理に近い気がしています。

一日を終えたときに「どんな山を登ったのか」によって、満足度は違うでしょう。
大袈裟に言えば、人生を終えるときに「あんな山に登ったことがある」という思い出があるほうが、実りある一生だと考えています。

 

100
100

 

 

【②急所を登りきる脚力】

 
取り組みがいのある山にチャレンジしているとき、最大の難所は前回も言及したとおり、やはり山頂の手前となります。
しかし、それこそが力の見せ所、面白いところと言えるのではないでしょうか。

誰も登れなさそうな崖を、人並外れた技術や腕力を持って踏破する人には憧れます。
誰も通らない獣道を勇気をもって分け入り目的地に到達する人には心を動かされます。

それらを成し遂げるには、やはり研究や分析の努力、練習が必須でしょう。
時には定説となっていることを疑い検証することも大切かもしれません。

・数多く放銃を経験している人の方が、「どういう時に放銃する」とか「どういう時に高い点である」と知っている。
・数多く鳴いている人の方が、「鳴いた後の変化の度合」や「守備力の向上」の技術を身に着けている。
・常識的な選択に「本当にそうか?」と掘り下げている人の方が、選択肢は多く視野は広い。

柔軟な思考で神羅万象に探求心を持ち
「こうすればこうなる」
と、より多く理解している人の方が麻雀は強いと私は考えています。

私は過去に下のようなトレーニングをしたことがあります。
①3巡以内に必ず振り込む。
②振り込む前に相手の点数を読む。
③決めた時間にちょうど半荘を終らせる。
④どんな手でも巡目でも、とにかくリーチする。
⑤ホンイツ七対子しか狙わない。
などなど。
もし麻雀や対戦相手を冒とくしているように感じた方がいたらごめんなさい。
しかし、このような取り組みを経て、それまで見えていなくて、わかってきたことが私には多々ありました。
よかったら⑤だけでも機会があったら試してみてください。
結構な確率で良い線までいくことが理解していただけると思います。
もしかしたら麻雀観が少し変わるかもしれません。
そういった積み重ねで「イメージや先入観」と「真理」との溝を徐々に埋めることができると私は考えています。

下は第34期十段戦ベスト16D卓3回戦からです。

 

100

 

このテンパイから四索を切り八索単騎のリーチに踏み切りました。
「ピンフの役」とリャンメンという「待ちの枚数の多さ」を捨てたわけです。
結果すぐに出アガリできたのですが、この選択は多くの方に驚かれました。

このときは、下家のダンプ大橋プロが九索をポンしています。
他にも何点か判断材料がありましたが、ざっくり書くと
八索が使われていない(良さそう)
一索四索が使われている(あまり良くない)
という読みがありました。
ツモったときに満貫となる枚数が多い八索単騎のほうが優秀(またそのためにここまで温存していた)と考えたこともあり、
個人的にはごくごく普通の自然な選択で、奇をてらったつもりはありませんでした。
ただ、手拍子で打ち一索四索待ちにする人も多いかと思います。
正解はこうだ、といいたいわけではありません。
正解は私にはわかりませんし、裏目ももちろんあるでしょう。

主張したいことは、一打一打、麻雀の真理に沿ったものになるように絞り出すように真剣に考えることの重要性です。
先入観にとらわれることなく、惰性になることもなく取り組み、またその土台となる技術を日頃養う事の肝要さなのです。

それが、他の人があきらめるかもしれない山を登るための大事なトレーニングになると信じているのです。

 

 

【③相手との距離感】

 

もうひとつ大事なことがあります。
それは対戦相手との兼ね合いです。
対局者がいるのだから自分の都合だけで進めることはできません。
手合いのレベルが上がってくるとなおさらのことです。

自分がいくら自信の持てる手作りをしたり、待ちになったからといって必ずしも勝てるとは限りません。
相手がさらに上回る手作りや待ちをしている可能性が十分あるからです。

自分が3面待ちで、相手のカンチャン待ちに負けた時に、嘆く暇があったら何故負けたのか手がかりを探るべきです。
もしかしたら自分の3面待ちより遥かに優秀なカンチャン待ちかもしれません。
そういうときは未だ自分のアガリの基準が甘く、まだまだ努力不足で工夫する余地があるということなのでしょう。
それに気が付くことが、相手を知ることであり、自分の麻雀の幅を広げる成長のチャンスかもしれません。

 

 

【④絵を描く】

 

私は、配牌を手にしたときに、まず最終形のイメージを描き構想を練ります。
「こうなりそうだなあ」
「こうしたいなあ」
というイメージです。

それは「絵を描く」ことに似ているなと、常々感じています。
与えられた材料で真っ白なキャンバスに美しいアガリの絵を描くのです。
もちろん、完成に至る設計図は何パターンも用意するし、途中で新しいアイデアが湧くこともあります。
しかし、最初に抱いたビジョンが鮮明であるほど実現する可能性は高く、構想に寄り添えるほど達成率は高いと感じています。

絵を描くことは右脳を使う。計算は左脳を使う。
と言われます。
右脳が主導権を握り、左脳がしっかり基本をサポートする。
双方が合致して調和しているとき、そうそう悪い結果になることはないと信じています。

 

100

 

「あの山に登りたい」
「こんな絵を描きたい」

その思いを基に、集中力と技術を結集させて歩を進めれば、道に迷うことはないし、うまくいかず退却するときも潔く諦めることができます。
そして何より、相手と全面対決になったときに動じないし、結果がどうなろうと後悔がないのです。
「この手だったら心中できる」という覚悟があるからです。

それでも負けたら…
相手が上回ったのだから仕方がなくありませんか?
それだけ素晴らしい対戦相手に恵まれたことに感謝すべきで、また努力して上を目指せば良いだけだと私は考えています。

「麻雀讃」で有名な昭和の文豪、菊池 寛は、「麻雀春秋」の中で以下のような言葉を残しています。

麻雀の世界は、生活を離れた一つの楽園である。
そこではどんな空想も描くことができるし、どんな計画でもたてることができる。
他と競いながらも、自分は自分で創造の快感に酔うことができる。

私はこの表現に深く共感をもつ人間です。
「プロならば結果が全て。勝たないといけない。」という考えがあることは承知しており、そう考えない私は悩んだ時期がありました。
しかし、現在はこの文脈の上で「麻雀は描いてこそ。挑戦を楽しんでこそ。」と表現していきたいと決意しています。

次回で最終回です。