第15期女流桜花Aリーグ第6節B卓レポート

1回戦の東1局に亜樹の小四喜が出ました。

 

 

その柔らかな所作に経験の深さを感じます。
鳳凰戦A2リーグ・Mリーグや様々な対局に出続けながら女流桜花はAリーグから一度も落ちたことがない鉄人・二階堂亜樹。
第2期・3期と連覇したことで女流桜花と言えば亜樹という印象がありましたが、ここ数年は仲田と魚谷に主役の座を譲っています。
今節は+16.7Pして7位に浮上。
普段守備型の人が攻撃にバランスを寄せた時の麻雀は見ていて熱いので、亜樹が追いかける展開でプレーオフに残ると楽しくなりそうです。

 

 

この日、苦しんだのが2位スタートの中山。
前節の同卓は瑠美・山脇・白銀で今節の同卓が亜樹・山脇・白銀と、瑠美のところが亜樹と入れ替わった卓組になっていました。
前節は瑠美の仕掛けに受けなかったことが功を奏して大きくプラスした中山は、今節の東1局の亜樹の仕掛けにも同様に対応。
この過去の成功体験が裏目に出てしまいました。
オタ風をポンしていた亜樹のドラから切られたリャンメンターツ落としに対し、攻め返したことで小四喜を親被り。
中山は強気の攻めがハマると大きくプラスしますが、その武器の出しどころを今節は間違えてしまって▲57.1P。
トータルが+41.3Pになり6位まで順位を落としました。

 

 

いきなりの大物手が飛び出す展開にも、自分は満貫分払っただけと全く動じた様子を見せない山脇。
流局を挟んでの5連続アガリなどで役満をアガった亜樹を逆転しての2連勝。
最後はかなりポイントを削られてしまいましたが、+18.6Pで2位に浮上です。

 

 

一方テンパイから小四喜のあたり牌を止めて降りた白銀は序盤で苦しむも、3回戦4回戦と連勝して+21.8P。
2節連続の卓内トップで9位に浮上し、プレーオフ進出も見えてきました。

 

 

(文:越野智紀)

10月10日、11時から行われた八段戦の熱気冷めやらぬ中、16時半からはレジェンド級のシード選手が集い九段戦が開始された。

 

 

ここまでの対局とは異なり、打ち切り無しで5回戦を争うという長い戦い。

注目は4卓の滝沢・魚谷、5卓の前原・二階堂のMリーガー対決や、森山・荒・吉田といった重鎮選手に元十段位の櫻井というメンツの6卓か。また、五段戦から勝ち上がっている日吉は実況として放送対局のお馴染みであり、麻雀教室の生徒も多く持つファンの多い選手。Twitterの速報には「日吉プロの選手としての姿が見たい」「先生頑張れ!」といった声が多く寄せられた。それ以外の選手も、ここを抜ければ晴れ舞台の配信対局ということもあり、より一層打牌に気合いがこもっているように思われた。

結果は画像の通り、各卓2位までがベスト16の戦いに駒を進めた。

 

 

1卓は西島・藤原が終始リード。2卓の日吉は2回戦までは首位に立っていたが、今年グランプリ獲得・最強戦ファイナル進出と乗りに乗っている本田と元十段位の柴田が底力を見せつける結果に。3卓は瀬戸熊・西川・石渡の競りとなっていたが瀬戸熊が渾身の6,000オールで勝ち上がりを決定づけ、終盤アガリの遠かった石渡を西川がかわした。4卓は珍しく全員が約30P差程の範囲で最終戦を迎える競りとなったが、滝沢がトータル首位のリードを生かして逃げ切り、3者接戦のところを仁平が勝利。5卓は山田が突き抜け、最終戦、前原・二階堂の着順勝負を前原が制した。
この勝ち上がり者に昨年度ファイナリストが加わり、ベスト16が行われる。日程と卓組は以下画像の通り。

 

 

どの卓も注目の集まる魅力的な選手が出揃った。対局は全てOPENREC、ニコニコ生放送の「日本プロ麻雀連盟チャンネル」で放送される。また日本プロ麻雀連盟公式Twitterでも対局の模様を速報するので、是非ご覧頂きたいと思う。

文中敬称略
文:浜野太陽

第37期十段戦八段戦レポート

10月10日、雨が降り急に肌寒くなった中、第37期十段戦の八・九段戦が行われた。
午前11時に巣鴨の日本プロ麻雀連盟本部道場に集まったのは、9月27日に七段戦を勝ち上がった選手と八段シードの選手たち。歴代タイトルホルダーやMリーグ出場選手など、どの卓も放送対局で観たいような魅力的な選手が出揃った。
特に注目となるのはMリーグの和久津・魚谷のセガサミーフェニックス対決、勝又、滝沢のEX風林火山対決の卓か。他にも歴代タイトルホルダーやAリーガーなど注目の集まる卓組となっている。

 

 

1回戦が始まり、いきなり大きな得点を手にしたのは山田。親でドラ3のリーチをかけた日吉から大三元のアガリで大きなリードを獲得。また前述の風林火山対決の卓では勝又が1人浮きのトップ。一方でセガサミーフェニックス対決では前田が1人浮きで和久津・魚谷は3・4着のスタートに。しかしその後は劣勢のプロが巻き返す展開が多く見られ、全4回戦が終了した時のスコアは以下のようになった。

 

 

各卓2位までが勝ち上がり。ワイルドカード(2位までのポイントが最も近かった選手)で齋藤も勝ち上がりとなっている。全体的に接戦の決着となり、終了後非常に悔しそうな表情を見せる選手たちが印象的だった。また、1人浮きスタートの勝又・前田はまさかの敗退。大三元放銃の日吉が勝ち抜けるなどドラマのある展開が見られた。この八段戦の中では最も段位の低い四段戦から勝ち上がりの髙橋信夫はここで敗退となった。

普段のリーグ戦などであれば4半荘の公式戦を打てば疲労困憊の状態になることも多いが、勝ち上がりの選手は数十分と経たずに開始される九段戦(全5回戦)へ進出となる。1日に9半荘もの条件戦を打つという非常に長い1日。次にシード選手として登場するのはレジェンドと呼ばれる百戦錬磨のプロたちである。
果たして見事勝ち抜き、ベスト16の放送対局へ駒を進めるのは誰になるのだろうか。

文中敬称略
文:浜野太陽

第18期プロクイーン決定戦初日レポート

【第18期プロクイーン決定戦 初日 藤井がオールプラスで首位を走る】

プロクイーン決定戦は前年度優勝者に予選を勝ち抜いた4名が挑戦するディフェンディング制。10回戦(各者2回抜け番)を戦い下位1名が途中敗退。4名で2回戦を戦いトータル首位が優勝。

現プロクイーンは最高位戦日本プロ麻雀協会の日向藍子(ひなたあいこ)。

 

 

昨年の第17期プロクイーン決定戦最終日南3局。瑠美がアガれば決定打になる先制リーチ。 1巡前に瑠美のアタリ牌九万を処理した日向が追っかけ、リーチ一発ツモドラ9(表4裏5)の三倍満となった。劇的なアガリで2連覇を決めた日向がチャンピオンとして挑戦者を迎え討つ。

1回戦 起家からりんの・日向・瑠美・古谷

今期決定戦最初のアガリは日向。ドラの北がアタマのピンフリーチで跳満ツモ。

 

 

日向が飛び出す形でスタートしたが、二階堂瑠美(にかいどうるみ)が得意の三色で一度は逆転。

 

 

その後、満貫をアガった日向が再逆転し、1回戦トップとなった。

2回戦 起家から、瑠美・日向・古谷・藤井

2回戦から登場した藤井すみれは開局に難しい選択を外してしまい、タンヤオ七対子ドラ2をアガリ逃してしまうが、2本場でピンフリーチ。一発で高めのドラをツモり満貫のアガリ。オーラスは3人横並び状態で2,000オールをツモると、次局18,000(+300)を日向からアガリ大トップを取った。

 

 

3回戦 起家から、りんの・日向・藤井・瑠美

1回戦▲1.0P、2回戦抜け番とほぼスタートラインに居たりんのなお(日本プロ麻雀協会)が3回戦で爆発。

 

 

途中にトイツ手も見える難しい手だったが、りんのはメンツ手に決め打ち、なおかつ四万六万六万七万七万の形で残していた。五万引きでテンパイし、ピンフを付けると一発で高めのドラをツモ。裏も1枚乗せて倍満に仕上げた。

4回戦 起家から、瑠美・りんの・藤井・古谷

この日一番苦しんでいたのは現女流桜花の古谷。2戦で▲68.7Pと大きく出遅れていた。
ピンチはまだ続いていた。まずはりんのが先制リーチ。ドラ2七対子でテンパイを入れた古谷はヤミテン。すると瑠美からも追っかけリーチが入った。現在古谷は五万単騎。りんののアタり牌でもあった。待ちを変えれば放銃、もし瑠美が掴んでも上家取りでりんのがアガリだ。

絶体絶命の古谷のツモは

 

 

タンヤオツモ七対子ドラ2で跳満のツモアガリ。4回戦トップとなり、あと2日にのぞみを繋いだ。

 

 

初日が終了し、藤井がオールプラスで+48.5Pの首位。藤井はこの大舞台で絶妙な好バランスの麻雀を観せてくれた。彼女の苦しい時間帯はこの後だ。初戴冠に向けて頑張ってほしい。

2位はりんの。2年連続のプロクイーン決勝進出はそれだけで素晴らしいが、今年は是が非でもタイトルを持ち帰りたいはず。今日の倍満だけでなく、彼女のアガりにはそれまでの全てをひっくり返すパワーがある。

3位は瑠美。ノートップながらもマイナスを最小限に抑えて2度目の戴冠を狙う。昨年度も後一歩だった。後半戦になれば経験値の差も活きてくるだろう。

4位は日向。スタートダッシュでトップを取った後の2ラスは痛いが、実質18,000放銃分もマイナスしなかったと思えば上出来とも言える。史上初の3連覇に向けての意欲も十分観せてくれた。

5位は古谷。厳しい初日となったが、最後のトップで圏内に踏み止まった。トップラスのウマで30ポイントひっくり返るルールならまだまだチャンスはあると思う。

第18期プロクイーン決定戦2日目は10/18(日)14:00から配信予定。是非ご覧ください。

(文:編集部)

第37期鳳凰戦A1リーグ第9節A卓レポート

【A1第9節A卓は柴田と勝又がプラス。西川は首位キープ。全体順位は変わらず】

 

 

この日の対局者は、1位西川、4位勝又、6位前田、9位柴田。前々節に好調の兆しを見せ、前節は完璧な内容でプラスに転じた前田。今日もポイントを伸ばせば決定戦が現実味を帯びる。勝又は首位西川を沈めて自身が浮くのが理想で、前田にかわされるのは避けたい。西川は調子が良ければ加点し、悪ければマイナスを抑えれば良いといった所。柴田はとにかくマイナスしない事、プラスを叩ければなお良し。

1回戦東2局、西川はダブ東の1,000オール、タンピン一手変わり三色もヤミテンのままアガリ連荘し、いよいよ2本場でチンイツを決める。

 

 

今度は東3局1本場で柴田、4,000(+300)オール。

勝又のテンパイ外し、前田は2枚目の白を鳴かず、西川の東ポンテン。それぞれの思考は自然で誰のミスでもない。しかし誰か1人でも違っていたら生まれない親満だった。

2本場も中ドラ3の3,900(+600)オールをツモり、1回戦は柴田がトップで終了。

 

 

2回戦は西川がトップ。1回戦の2着と合わせると+27.6Pで、あと2戦を大きな放銃せずに乗り切れば無事に終わる。大胆な攻めが武器だがポイントを持つ今は無理する必要がない。前田は現在降級エリアを抜け、決定戦を見ている。腰の重い麻雀が武器だが、今は鳴きも使ってアガリに向かっている。柴田はキレ味鋭いギリギリの攻めが脅威だが、トータルマイナスの現在は慎重になっている。勝又は牌理と場況で最適を探し、入れられるテンパイは積極的に入れるが、打ったら高い牌は押さない。

各自置かれたポジションを考慮し、今の状況にふさわしい麻雀を打つ。さすがA1リーガーだ。しかし本来と違うスタイルで打っているようにも見える。そう、勝又を除いては。

 

 

リーチツモ七対子の1,600・3,200をきっかけに勝又が3回戦トップを取る。

4回戦は大接戦、南場は1局進むごとに点差が詰まっていく。オーラスは31,700持ちトップ目の柴田が前田に1,000点を放銃。勝又と前田が順位点+5.5ポイントの同点トップとなった。

 

 

卓内トップは柴田で勝又もプラス。西川はわずかなマイナスで終了。前田がマイナスをほとんど背負う結果となった。

 

 

トータル順位に変動はなし。西川は首位をキープしているが、その差はジリジリ迫って来ている。
今節はまだ沢崎、佐々木、吉田のプラス勢の対局が残っている。第9節B卓も楽しみである。

 

(文:編集部)

何を切る? 2020年10月

WRC Online festival 2020 決勝2回戦 東3局 1本場 東家 高田翔プロ

 

 

■ Twitterで実施したアンケートの結果

 

 

■大会参加者&プロ解答
翻訳協力:平野良栄

九索切り

 


 

七万切り

 

 

八索切り

 

 

四筒切り

 

 

一筒切り

 

 

■プロの視点 “Professional perspective”

高田翔プロ
七万切り
「親でドラドラ、アガリを取りたいチャンス手です。現状ドラの四万とその筋七万のトイツや、場に(特に上目が)高いソーズの愚形など苦しい部分を抱えており、このまま1シャンテンに取った場合、良くてテンパイ(リーチ)止まりと考えました。ではアガリを取るためには?と考えたとき、ツモってきたピンズにくっ付けてのテンパイが場に安く理想と思いました。1シャンテンに取りつつ打九索という選択もありますが、場況の最も悪いターツを弱くしてしまうため、やはりアガリが遠のきそうな上、最終形がピンズ待ちになりづらくなるためNG。となると1シャンテンキープは不可能なのですが、打七万としてシャンテン数を落としても、三色と一通が見え、6,000オールも目指せるので打点を考えても戻る価値があると判断しました。この後の本線はピンズテンパイ、次点で三色を目指して七万切りとしました。」

 

 

第1回リーチ麻雀世界選手権優勝 山井弘プロ
一筒切り
「789の三色を想定します。ピンズの伸びを見て九索切りもありますが、ドラ引きの即リーチは九索待ちにしたい。巡目も深いので、ここはシンプルに1シャンテンの受け入れが広い一筒を切ります。」

 

 

第2回リーチ麻雀世界選手権優勝 ともたけ雅晴プロ
七万切り
「シャンテン数は下がるが、七万を切って一通と三色を見たい。ダイレクトにドラを引いてのテンパイ逃しは痛いかもしれないが、一通が崩れてもピンズが伸びた方がアガリやすそうなので、1シャンテン維持の九索切りでソーズの形を固定したくない。六万八万九万を引けば一筒を切って一通を見切る。」

 

■終局図

 

 

▼日本プロ麻雀連盟チャンネルはこちらから
Click here for JPML channel
OPENREC 日本プロ麻雀連盟チャンネル
ニコニコ生放送<PC版>

第37期鳳凰戦A2リーグ第7節A卓レポート

魚谷、粘り強い麻雀で降級圏脱出!

10月6日に行われたA2リーグ第7節A卓は魚谷が毎回のように3本場以上の連荘を見せ、山田を逆転し降級圏を脱出することに成功しました。
当日のメンバーと開始前のスコアは画像の通り。

 

 

かなり抜け出してしまった杉浦を除くと、昇級の椅子はあと1つ。その1つを懸けた内川と藤島の争いに客野が加わっていけるか。また山田・魚谷の降級ボーダー争いも見どころとなる1日。

1戦目は内川の抜け番。ここまでの好調をそのままに藤島が6万点弱の大トップ。すると2戦目には内川が全員拮抗したオーラスでメンチンをアガリ、1人浮きのトップで藤島を再び引き離します。

一方で苦しいのは山田。三色確定のリーチなど勝負手が実らず、避けがたい放銃が続きます。なかでも解説の古橋崇志が「これは帰りたくなる」と話したのがこの一局。

 

 

すでに34.6Pのマイナスで迎えた3回戦、山田にチャンスが訪れました。一度カンチャンテンパイを取らず、アガリやすいリャンメンにしてから渾身のピンフドラドラリーチ!手応え十分ですがここで不穏な動きが入ります。

 

 

親の藤島が現物の九万をポン。不穏です。すると山田の次のツモはなんと

 

 

“中”。藤島がポンしてテンパイが入ります。すると次に積まれていたのはそう…

 

 

リャンシャンテンから追いつかれ、なんとも悲しい放銃での決着となりました。結局山田はこの日の最高打点が1,000・2,000と苦しく、▲52.3Pで魚谷と入れ替わり降級圏へ。かなりのマイナスにはなりましたが、「教授」と言われるほど知識や技術の高さがある山田のこれからの挽回に注目しましょう。

この日終了時点でのトータルポイントは画像の通り。

 

 

昇級争いの内川・藤島は結局互いにわずかなプラスでまだまだ先の読めない展開となりました。客野は現状維持でしたがまだ昇級争いに加わる可能性があります。
まだまだ先の読めないA2リーグ、一波乱も二波乱も起こる予感があります。今後もご注目ください。

文中敬称略
文:浜野太陽

第15期女流桜花Aリーグ第6節A卓レポート

内田が第1節以来となる卓内トップで9位に浮上しました。

 

 

【第6節A卓結果】
内田+34.4P 稲岡+1.0P 松岡▲2.7P 仲田▲32.7P

ここまで波に乗れていなかった内田ですが、第1節でも同卓した稲岡・松岡との対戦で調子を取り戻しました。

第4期女流桜花Bリーグを優勝し、今年で11期目のAリーグ。
その内田を評する時に

「我慢強い」「安定感がある」

という言葉が良く出てきます。
麻雀はアガリや流局テンパイで加点の出来る局が全体の30%程度。
内田は加点の出来ない残りの70%の局の凌ぎ方で安定感を出しています。
放銃率は人並ですが、平均放銃点が他の選手と比べて相当低いのです。
場に危険を感じたらヤミテンを選択する等して、大きな失点を巧みに回避しています。
この危険回避能力が内田の強さで、我慢強さや安定感があると言われている理由の1つです。

この日も内田は大きな放銃をすることなく、3回戦まで凌ぎ続け…

 

 

最後に満貫級のアガリを連発。
我慢が実を結びました。

これでプレーオフ進出の8位以内も見えてきた内田ですが、上位と下位のポイントが接近している状態で▲22.5Pは全く油断のできない数字。
最終節の1回戦目が内田にとっての勝負所で、分岐点になりそうです。

(文:越野智紀)

第37期鳳凰戦B1Select前期第最終節レポート

【第37期前期B1リーグ最終節が終了。A2昇級は石渡正志と仁平宣明の2名に決定】

 

 

10/3(土)第37期前期B1リーグ最終節。今期は新型コロナウイルス感染症対策のため、2会場に分けて対局が行われ、昇級2枠を争う2位森下、3位石渡の卓が放映された。

 

 

2位森下と3位石渡の差は19.9ポイント。石渡トップ森下3着で並ぶくらいのわずかな差でしかない。例外はあるが、基本は4回終わった時に上にいる片方だけが昇級だと思った方が良い。さらに別卓で大きなプラス者が出た場合に備えて、ポイントも増やしておきたい。
井出は+10.2。昇級争いの2人がお互いをマークしている隙を突いて飛び抜ければ昇級の可能性が出て来るが、西島に振り込めば降級も意識させられる難しいポジションだ。
西島は同卓の井出(103.3差)を交わすのが理想だが、かなり遠い。別卓で誰かがマイナスするのも考慮すると自身が今日プラスで終えれば残留の可能性がある。

それぞれの課題を抱えて始まった1回戦。
東1局3,900をアガってライバル森下の親番を蹴ると、その後も全て石渡がアガリ連荘。早くもトータルで森下をかわしている。

 

 

親番石渡が先制。ドラ含みの変則3メンチャンにも出来たが、ドラを切ってのピンフに取ってリーチ。四筒七筒待ち。

これを受けて森下は、同巡に打たれたドラをチーして応戦。発七筒待ちで追いつくが、石渡にラス牌の七筒をツモられる。

1回戦は石渡の大トップで終了。それを追う立場の森下は、役ありテンパイを外して技ありの2,000オールを決める。

 

 

1本場も森下は確定三色のリーチを打つも流局。2本場で森下に今日の勝負を決定付ける分岐点が訪れた。

 

 

①親番森下は一気通貫と三色の両天秤の手牌。1巡前に打七筒とし手役を逃さないようにした。次巡ツモ七筒
ドラが九索なので最高打点メンピンツモ一通ドラの6,000オールを見るならマンズ払い。
ただし先に三索を引いてしまうとピンフのみになってしまう。
マンズとソーズ両方の受けの広さを取りつつ678三色目を残すならソーズ払い。まだアガリを積み上げれば十分追いつく差なら、ソーズ払いの方がバランスが良い。

森下の選択は一索

②しかし森下の選択の前巡。八万を切った石渡は五万八万6枚持ち。森下が欲しい八万は山に残っていなかった。

③裏目の九索ツモでテンパイした森下はメンピンドラのリーチ。だが、1局で再逆転出来る6,000オールになる一通のアガリ牌六索はツモってしまうが、アガリ牌はツモれず。井出と2人テンパイで流局となった。

 

 

石渡は勢いを保ち続けて3連勝。最終戦もプラスの2着で+117.1Pと特大ポイントを叩き圧勝。

 

 

別卓仁平もプラスポイントで終了。

 

 

第37期前期B1リーグは優勝石渡正志、2位仁平宣明の2名が昇級。半期の休場を経て、第38期からA2リーグ参戦となります。

(文:編集部)

第37期鳳凰戦A1リーグ第8節B卓レポート

【A1第8節B卓は前田直哉のミサイルが炸裂 首位2位共にマイナスで決定戦エリアが混戦に】

 

 

10/2(金)に行われた鳳凰戦A1リーグ第8節B卓の組み合わせは1位西川、2位吉田、7位前田、8位瀬戸熊。

 

 

1回戦東4局。1人沈みだった瀬戸熊がドラ2の手をリーチ。ツモアガリで浮きに回ると、接戦の中トップを取る事に成功。

 

 

リーグ戦の傾向を見ると2回戦から荒れ場になる事が多い。1回戦で肩を温めつつ各者の状態を測った。もし失敗してもまだ2回あるので立て直しも可能。一番思い通りに手を組んで、勝負に出やすい回だからだろう。

今節も例外ではなかった。前田はホンイツが見える手牌ながらもマンズの形が整っていないため2巡目の發を鳴かず。自身で育ててメンホン七対子に仕上げる。
このアガリをきっかけに、ピンフ三色、七対子ドラ2と縦横無尽のツモアガリを決めた前田が、2回戦トップ。
A1らしい攻防が観られたのが、前田が1人浮きトップ目で迎えた3回戦オーラス。

 

 

27,100持ち親番の西川。30,000点を基準とする公式ルールなら、通常是が非でも連荘を狙いたいが、西川からはドラが1枚も見えず、吉田の河は高打点狙いでソーズが高い。解説勝又は「一索だと8,000放銃の3着落ちもあり得るので、(チャンタ系の高打点にアタらなそうな)四索切りテンパイ取りもありますね」と言っていた局面。

しかし西川はさらに丁寧にテンパイ取らずのマンズ切りを選択した。
観ている方がハラハラするほどの攻めと、徹底した高め狙いで手に入れたプラスポイントは、沈み2着を受け入れるために使う。これがA1での西川の戦い方なのだろう。

一方九索暗カンで中張牌をバラ切りしていた吉田はやっと白を重ねてマンズのターツ払い。

ドラ単騎で役なしテンパイを入れていた前田は、西川のオリと吉田のノーテンを読みとってツモ切りリーチを敢行し、1人テンパイで流局。2連勝を決めた。

4回戦は東1局に2,000オールをアガった西川がオーラスに親リーチを受けながらもアガリ切りトップ。

 

 

前田が卓内トップ。瀬戸熊は現状維持。西川は小さいマイナスで抑えた。
大きく沈んでしまったのは吉田。巻き返しに期待したい。

 

 

トータルは、西川は首位キープ。吉田は5位、すぐ下6位に前田。瀬戸熊は変わらず8位となった。

(文:編集部)

巣鴨本部道場 2020年9月度プロアマオープン大会成績表 最終結果(プラス者のみ)

WRCルール部門(連続16戦)

 

順位 名前 打数 成績
1 中村 51 334.7
2 藤原隆弘 53 276.1
3 きのぴー 24 248.9
4 蛇ノ目誠司 24 242.4
5 金山二郎 40 236.1
6 藤次祐紀 82 231.5
7 稲熊勝明 47 213.9
8 松村祐輔 35 201.9
9 小泉忠 28 194.6
10 岡本浩一 21 180.2
11 しーら 34 172
12 岡田充弘 32 167
13 江田源太郎 24 158.6
14 水野裕来 24 146.3
15 茶谷正人 39 129.3
16 立岩知朗 36 127.7
17 有田将之 18 126.3
18 ドラ次郎 23 123.4
19 Andy-San 31 97.6
20 後藤竜司 26 80.2
21 鈴木康功 22 79.9
22 市川幹人 36 79
23 シマカタ 23 61.3
24 山部正人 17 58
25 井出博幸 17 49.1
26 のりさん 39 41.3
27 西角健二 44 30.74
28 ケンタ 17 26.7
29 岡野 55 24.5
30 新井 21 19.9
31 加藤はるみ 49 17.5
32 テツ 18 6.8
33 前原由紀子 23 1.8

 

 

公式ルール(連続8戦)

順位 名前 打数 成績
1 もと 12 146.7
2 藤原隆弘 12 113.4
3 中村 21 102.3
4 ドロンボーZ 23 97.9
5 岡本浩一 9 90.5
6 立岩知朗 12 85.8
7 深沢岳彦 19 78.7
8 篠田拓郎 8 75
9 加藤はるみ 12 73.4
10 市川幹人 21 72.7
11 水野裕来 16 68.9
12 葭葉 12 66.5
13 有田将之 15 64.4
14 後藤竜司 10 64.1
15 極楽7 8 63.9
16 奥住将 10 63.4
17 山田浩之 16 54.2
18 リョータ 11 50.7
19 くまお 11 42.5
20 岡田充弘 17 40.1
21 塚田悠介 21 39.3
22 宗形周平 17 33
23 tucky 12 32.6
24 箕島英司 10 19.2
25 Spitz@T雷電 10 13.9
26 井出博幸 15 7.8
27 中谷あずさ 9 5.2
28 金山二郎 10 4.3
29 岡野 17 1

 

 
道場ポイントランキング

順位 名前 7WRC 7公式 8WRC 8公式 9WRC 9公式 10~12 合計
1 しーら 400 0 400 0 119 0 0 919
2 中村 112 25.25 113 75 400 62.5 0 787.75
3 藤原隆弘 180 24 170 28.75 300 75 0 777.75
4 小泉忠 97 0 300 24 150 0 0 571
5 シマカタ 300 0 112 0 96 0 0 508
6 くまお 81 28.75 180 42.5 140 28 0 500.25
7 岡本浩一 101 42.5 160 21.5 120 47.5 0 492.5
8 立岩知朗 100 0 200 29.25 115 45 0 489.25
9 藤次祐紀 115 50 92 29.5 180 21.25 0 487.75
10 金山二郎 84 21 114 50 190 23.5 0 482.5
11 稲熊勝明 190 0 119 0 170 0 0 479
12 松村祐輔 92 0 140 24.25 160 0 0 416.25
13 山田樹 250 0 95 0 69 0 0 414
14 水野裕来 0 45 190 30 100 30 0 395
15 市川幹人 98 29.5 111 20.5 98 35 0 392
16 篠田拓郎 200 25 80 37.5 0 40 0 382.5
17 後藤竜司 117 35 87 0 111 29.25 0 379.25
18 加藤はるみ 99 29.25 117 0 86 37.5 0 368.75
19 江田源太郎 150 0 100 0 117 0 0 367
20 蛇ノ目誠司 82 0 81 0 200 0 0 363
21 岡田充弘 0 62.5 115 29 118 27.75 0 352.25
22 Andy-San 83 28 118 20 101 0 0 350
23 西角健二 140 0 97 0 112 0 0 349
24 丹野賢一 96 37.5 79 29.75 70 23 0 335.25
25 ドラ次郎 119 0 73 0 113 0 0 305
26 木本一郎 116 0 101 0 82 0 0 299
27 のりさん 113 0 86 0 93 0 0 292
28 有田将之 94 24.75 0 28.5 114 29.5 0 290.75
29 葭葉 0 28.25 85 62.5 79 29.75 0 284.5
30 福永雄介 120 0 78 0 83 0 0 281
31 西部健寛 170 40 0 47.5 0 21.5 0 279
32 原佑典 79 21.75 93 0 73 0 0 266.75
33 厚地 0 0 250 0 0 0 0 250
34 きのぴー 0 0 0 0 250 0 0 250
35 塚田悠介 0 23 150 45 0 25.25 0 243.25
36 前原由紀子 87 23.75 0 23 84 21 0 238.75
37 Spitz@T雷電 0 0 96 28 81 24.25 0 229.25
38 齋藤麻衣子 86 0 69 0 71 0 0 226
39 テツ 0 0 116 0 85 0 0 201
40 佐藤好子 0 20.5 71 20.25 68 20.75 0 200.5
41 タカ 78 21.5 72 21 0 0 0 192.5
42 かずちゃん 0 0 83 0 78 21.75 0 182.75
43 ケンタ 0 0 84 0 97 0 0 181
44 ドロンボーZ 0 27.75 0 100 0 50 0 177.75
45 加藤恵美子 0 0 94 0 80 0 0 174
46 松本裕也 160 0 0 0 0 0 0 160
47 大橋由隆 118 0 0 24.75 0 0 0 142.75
48 井出博幸 0 0 0 23.5 94 24 0 141.5
49 HAYAX 0 100 0 25 0 0 0 125
50 もと 0 24.25 0 0 0 100 0 124.25

第15期女流桜花Aリーグ第5節D卓レポート

この日の吾妻はメンゼン役有りのテンパイをほぼヤミテンにして潜んでいました。

 

 

【第5節D卓結果】
吾妻+55.5P 藤井+1.8P 川原▲19.8P 松岡▲37.5P

 

 

待ちの選択も正解し続け、3連勝して卓内トップで降級圏から脱出に成功。

吾妻は第1期から女流桜花に参加し、第3期にBリーグで優勝してAリーグに入りました。
4期から14期の間に3度決定戦に進出して2回優勝と、大一番での勝負強さを持っています。
現在1位の魚谷は決定戦に8度進出しているが、吾妻と仲田には勝てていません。
吾妻が好調を維持してプレーオフに進出が出来れば面白い存在になりそうです。

今期Aリーグ5年目の松岡は、これまでの4年間の全てでプレーオフに進出して安定感抜群。
この日は▲37.5Pとポイントを落としましたが、面白いプレーもありました。

 

 

3巡目に出た1枚目の役牌をポンしてドラ切り。
これを鳴く人、控えめに言ってほとんどいません。大げさに言うと松岡以外鳴かないです。
その「誰も鳴かないような鳴き」ということに大きな価値があります。

1回戦目の早い段階で同卓者に強い印象を植えつけて、

 

 

松岡の仕掛けに対しての、相手の守備意識を低下させます。
同じ相手と何度も対局する場合には、このような印象操作は有効な手段です。

プロクイーン決勝に進出した藤井に女流桜花での今期初プラスが出て、ポイント上位にいた川原がマイナス。
D卓も上位陣が負けて下位陣が勝つ流れで、更にプレーオフ・残留争いが混迷を極めました。

(文:越野智紀)

第37期鳳凰戦A1リーグ第8節A卓レポート

【A1第8節A卓 マムシの沢崎が本領発揮+52.9Pの快勝で3位浮上鳳凰位決定戦圏内に。】

 

 

鳳凰戦A1第8節A卓が9/28(月)に行われた。
3位 佐々木寿人
5位 沢崎誠
8位 HIRO柴田
10位 伊藤優孝

開始前の成績表はこちら

 

 

1回戦のトップは沢崎。東2局のピンフ三色ドラを柴田からアガる。山には高めが1枚しかなかったが、ラス牌を掴んでしまった柴田はここから長い時間苦しむ展開となる。

 

 

2回戦は佐々木が東4局の時点で6,900持ち1人沈み。しかしタンヤオドラの2,600をアガって南1局の親番での出来事。

 

 

①沢崎がドラ暗刻で先制テンパイ。二万はアガれないがヤミテンにする。
②佐々木に二万を打たれてしまうが、ポンしてタンヤオに移行。
③沢崎と持ち持ちだった中を佐々木がポン
④佐々木500オールのアガリ。

これをきっかけに佐々木が大連荘し、30,900点の加点に成功。総まくりトップを決めた。

3回戦は伊藤の半荘。

六万六万八万五筒二索二索南西北北発発中 ツモ南

七対子1シャンテンのこの手を3巡目の南からポンして発トイトイの5,200(+600)をアガると、東3局2本場にはタンピンツモ三色ドラの八万をツモ。

 

 

伊藤が今日のマイナスをほとんど返済のトップを取った。
この展開を黙って受け入れるわけにはいかない。柴田が最終4回戦に意地を見せる。

 

 

トップ目沢崎を追う2着につけていた柴田はこの手を1巡ヤミテンに取るが、跳満ツモ狙いでリーチに踏み切り、四万ツモアガり。4回戦トップを取り、今日のマイナスを約半分に減らした。

 

 

4者が1回ずつトップを取った今節だが、沢崎はその他3回を全てプラスの2着でまとめ、トータルで3位に浮上。佐々木は1桁のプラス。柴田と伊藤がマイナスを分け合う形となった。

 

 

3位沢崎、4位佐々木も決定戦を狙うのは間違いない。この先に大勝負をかける節が必ず来る。それぞれどこでギアを入れて来るのか楽しみである。
9位柴田、10位伊藤は厳しい節となってしまった。両者の実力と爆発力であればこの位置からでも降級エリア脱却の可能性は十分ある。しかし、ポイント下位の者には辛く打つのが定石だ。包囲網を掻い潜っての復活に期待したい。

(文:編集部)

第19期関西プロリーグ A・B・Cリーグ 第3節レポート

前節では、花岡の猛チャージと稲岡の功打点が光ったが、今節はどの様な対局になるのか。

2卓(坂本・辻本・横山・吉本)

2回戦。
辻本、吉本が親番でアガリ続ける中、その旋風に巻き込まれることなく冷静に立ち回ったのが、過去太閤位3度輝いたことのある横山。

一万二万七索八索九索北北  ポン発発発  チー七筒 上向き八筒 上向き九筒 上向き  ロン三万  ドラ北

親番の吉本がピンズに寄せる中、この手7,700を辻本からアガる。
これがペン三万かカン三万では点数が倍違う。改めて公式ルールの手役の偉大さを実感。
そしてこの勢いのまま、今節+20.3Pでまとめた。今後上昇気流に乗りそうで注目したい。

1卓(藤川・高谷・稲岡・城)抜け番花岡

南3局 西家 7巡目 藤川の手牌

三万四万六万七万二索三索六索八索八索六筒七筒八筒九筒九筒  ドラ九筒

五万が入ると3メンチャンになるので少し悩むところだが、藤川はノータイムで打四万
678とドラ暗刻の受け入れを考えた。そして以下のテンパイに。

六万七万八万二索三索四索六索八索六筒七筒八筒九筒九筒  ドラ九筒

三色同順確定のドラドラと大物手に育つ。ここで親番の稲岡からリーチ。真っ向勝負に出るかと思ったが、六筒をつかみテンパイを崩す。そして再び六筒を持ってきてテンパイに持っていく。

稲岡の手牌
一万二万三万八万八万二索三索四索三筒四筒五筒七筒八筒 

藤川の手牌
六万七万八万二索三索四索六筒六筒六筒七筒八筒九筒九筒 

守備力に定評のある藤川の好判断が光る1局となった。
藤川はこの半荘2着で、第3節を+22.2Pでまとめて次節に挑む。

1卓の卓内トップは稲岡。
「花岡プロの仕掛けに臆することなく親番アガリ切ったのが大きかった」と話してくれた。
第1節大きなマイナスからスタートしたが、たった2節でほぼマイナスを返済。今後上昇が期待できる。
決定戦への戦いは3分の1消化したばかり。         

<吉本卓也> 

Bリーグ3節レポート

Bリーグ第3節。コロナ禍での開催ですから検温、マスク、手洗い、消毒等の徹底はもちろん、私語を控えるなど、各プロが気を引き締めての対局となりました。それでも牌を握れるのは嬉しいもの。

B2卓最終戦、この日の各者の成績は以下の通り。

辰巳▲10.3P 川上+20.0P 音羽+48.0P 北村▲10.1P

紅一点の音羽がリード。追うのが川上。卓内トップの行方はまだまだわかりません。

南2局をむかえた時点での点数状況は以下。
親 川上30,000
南 音羽 38,600
西 北村 22,400
北 辰巳 29,000
親の川上は是が非でも連荘を狙いたい局面です。

9巡目 川上の手牌は

二万三万三万六万七万八万三索四索八索八索五筒六筒七筒  ドラ八索

ドラが2枚の大チャンス手。しかし三索をポンしていた北村がここで下家から九索をポン。そして捨て牌がドラの八索。染め手のテンパイが濃厚です。一瞬の逡巡があったように感じましたが川上は八索をポン!

三万三万六万七万八万三索四索五筒六筒七筒  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き

タンヤオドラ3のテンパイ。
しかし、次順ツモ牌は4枚目の九索。祈るようにツモ切ります。
が、無情にも北村の手牌が倒されました。

一索一索四索五索六索七索八索  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き

チンイツドラで12,000点の放銃。結局これが決め手となりました。
卓内トップは音羽、トータルでも+69.7Pと大きく加点しました。
まだまだ、これからです。そう感じる対局でした。
                               
<杉田モン太>

新人紹介レポート

Cリーグでは新人紹介をさしていただきます。
下記の質問に答えてもらいました。

➀氏名  ②出身地 ③自分をアピールして下さい。 ④好きな役 
⑤好きな雀士(プロ、アマ問わず) ⑥プロになろうと思ったきっかけは?      
⑦これからどうなれば良い、どうしていきたい?

① 中村昂太
② 滋賀県
③ 半荘の終盤までトップを狙える立ち回りを目指しています。
④ 断么九
⑤ 土田浩翔プロ
⑥ 麻雀の奥深さをさらに知りたいから。(知識や戦術etc)
⑦ 未だ、麻雀の世間のイメージは良くないのが現実です。活動を通じてこれを改善し、麻雀は素晴らしいものだと思ってもらいたいです。
                        

「~開幕~」 藤崎 智

第36期鳳凰位決定戦初日。29期30期31期に続いて5年ぶり4回目の決定戦。
29期は初日▲50Pオーバーで1人大きく出遅れて結果3位。30期は初日からロケットスタートでそのまま大差での優勝。31期は初日▲50Pオーバーながら3日目に一旦トータルトップまでいき最終的には2位。というわけで過去3回は初日上か下かに振り切れていた。さて今回はいかに。

今決定戦の作戦はズバリ「出たとこ勝負」。個性的なメンバーとなった36期の決定戦なのだが、古川プロの仕掛けにどう対応しようか?打点力のある吉田プロと西川プロ相手にどこまで捌きを使おうか?等少し作戦を考えたが、自分が勝つ確率を少しでも上げるためには正攻法が一番良いのでは?という結論に達した。
自分の麻雀が正攻法という意味ではない。あくまで自分の中での正攻法、つまりはいつも通りの自分のスタイルでという事である。というわけで「出たとこ勝負」といってもけして何も考えていないわけではない・・・つもりである。しいていえば初日大きく出遅れるのは嫌ってくらい。

1回戦ノー和了のラス。▲29.3P。
2回戦。南4局の親番を迎えた時点で10,500点持ちのラス目。このまま終われば▲57P弱。さらにトップの古川プロとの差は早くも100ポイント以上ついている。とにかく全くアガれないし、とにかく何も出来ない感じである。

 

 

配牌には恵まれなかったもののツモがきいてくれて10巡目1シャンテン。これがなかなかテンパイ出来ない。15巡目にこの半荘を終わらせたい古川プロの仕掛けが入って16巡目テンパイ。これほど悪い状態でなければ少しでもアガリの確率を上げたい手なのでヤミテンに構えるのだが、このときはどうやってもアガリに結びつくイメージがわかなかった。なのでおそらくテンパイであろう古川プロにオリて欲しくてリーチといった。

 

 

自分なりの正攻法で?自分のスタイルで?
全16回戦の2回戦目にして早くも自分のスタイルを曲げた。早々に自分の中では「非常事態」となっていたのである。
思えば今決定戦で自分のスタイルを曲げたのはこの局だけだったように思う。4日間を通しても一番印象に残っている局である。

 

 

結果は自分でも驚きの6,000オール。まだ麻雀の神様には見放されてはいなかったようである。

1本場ではアガれず浮きまでとはいかなかったが、このアガりのあと3回戦以降雰囲気が一変した。

2回戦終了時 
古川+50.6P 吉田+17.4P 西川▲30.3P 藤崎▲37.7P

3回戦。東4局。ここまでアガリはないもののツモの伸びや展開で先程までとは明らかに雰囲気が違う。

 

 

場にすでに4枚見えの二万五万待ち。ヤミテンでも簡単に拾えそうでもないし打点的な兼ね合いでもリーチを選択。

 

 

この半荘トップ目の親番の西川プロの押し返し(実際メンホン一通のテンパイが入っていた)に内心ドキドキしていたが意外とあっさり2,000・4000のツモアガリ。
ここからは簡単ではなかったものの、展開が自分のスタイルに見事なまでにマッチして3回戦4回戦と2連勝で初日を締めくくった。

初日4回戦まで 
古川+53.2P 藤崎+6.4P 吉田▲25.7P 西川▲33.9P

どうなることやらと思っていた前半戦も終わってみればプラスで終えることが出来た。
1日で50ポイント近い差は決して小さくはないが前半の感じからすれば満点以上の結果だったと思う。

1日目を終えてのインタビューで、吉田プロが「藤崎さんばかり見ていた。2日目以降も藤崎さんマークで」と答えていた。

初日、局面を常にリードしていたのは明らか古川プロである。「サーフィン打法恐るべし」をまざまざと見せつけていた。「直それはないだろう!」と思って聞いていたのだが、考えてみればたいへん名誉なことである。鳳凰位を獲得するくらいの後輩に意識してもらえるのだから。

2日目以降も自分の出来る全てのものを出し惜しみせず出して、全力で勝ちにいこうと改めて思った瞬間だった。

第37期鳳凰戦A2リーグ第6節C卓レポート

客野直、勝負節を乗り切り昇級を視野に!

9月30日に行われた第37期鳳凰戦A2リーグ第6節C卓は客野直が卓内トップとなり、トータルマイナスしていた所から34.4Pをプラスし、残り5節の目標を昇級に設定することに成功しました。

試合開始前のトータルポイントは以下の通り。

 

 

当日の解説を務めた勝又健志は「今節の結果次第で、今後の目標(昇級と降級回避どちらを目指すか)が変わる。今日は勝負節です」と、通年リーグの折り返し地点である今節の重要性を強調。

 

 

1戦目はオーラスに安村の猛連荘で1人浮きに。暫定のトータルポイントで山田浩之をかわし、降級圏を逃れます。
一方、オーラスに浮きから4着まで転落してしまい尻に火がついたのは客野。2戦目に入ると和久津の役役ホンイツ、安村のチンイツなど大物手が飛び出しますが、自身もメンタンピンドラ1をアガると親番で連荘。1半荘で+38.3Pの特大トップに。

次戦は道中8,600点まで沈んでしまいますが、南場の親番ではペン三索テンパイを取らずにフリテンリーチとするとしっかり高目をツモり6,000オール。

 

 

さらに次局も手を緩めず2,600は2,700オール。

 

 

大きい沈みから+21.0Pのトップまでのし上がると、最終戦も3着とまとめてトータルで古橋を逆転。「勝負節」を勝ちきりました。
1日を終えてのトータルは以下の通り。

 

 

客野は「5万点行ったり5,000点になったり忙しい日だった…トータルもプラスになりました」と振り返りました。

内川は3回戦までアガリが少なく沈んでいましたが、最終戦にはトップを取りプラスでまとめました。

和久津・安村はわずかにプラス。

古橋は4戦中3回の4着で降級回避も視野に入れるべき状況に。
「やってしまいました!なんとか立て直せるように次節頑張ります」と振り返りました。

(文中敬称略)
文:浜野太陽

第37期十段戦 七段戦レポート

9/27(日)の六段戦終了後、勝ち上がり者が残った会場にシード選手が加わり七段戦が行われた。

 

 

 

新型コロナウイルス感染症予防のため、今年の十段戦は初段から隣合った卓を使用せず広く間隔を空けている。受付前の検温(高熱の者は参戦不可)や、半荘ごとの手洗いとアルコール消毒、全員マスク着用など、出来る限りの対策をして慎重に運営している。プロ雀士は対局に参加したり麻雀普及活動をするために、対局当日だけでなく日頃から大人数が集まる場所でのレジャー施設訪問や会食などを控えて感染症予防に努めているはずである。

七段から出場して勝ち上がったのは、前田、近藤、山井、勝又、斉藤、二階堂亜樹、滝沢、本田。Mリーグ「EX風林火山」の3名が全員参戦し、白星を挙げた。

Aリーガーでは、和久津が+115.1Pで圧勝。トーナメントで100超えはなかなか見ない数字だ。

西川、吉田、藤島、魚谷、佐々木も勝ち上がり。

A2山田は3位者の惜敗率1位でワイルドカードを使っての八段戦進出が確定している。(当日までに欠場者が出た場合、惜敗率2位以下の者が繰り上がりで八段戦に進む事がある。)

名前が広く知られていない選手が決勝に来るのも十段戦の醍醐味だが、破竹の勢いを見せていた三段以下のルーキー達はことごとく先輩の強さを思い知らされる結果に。四段から出場、北関東所属の髙橋が最下段からの勝ち上がりとなった。

八段戦は10/10(日)開催予定。Mリーグの和久津、魚谷のセガサミーフェニックス直接対決、勝又、滝沢のEX風林火山直接対決は特に関心が集まるであろう。北関東支部長吉田幸雄、静岡支部長の望月、歴代十段位の櫻井秀樹、柴田吉和の参戦も楽しみだ。

勝ち上がり者も猛者ばかり。現グランプリで七段から出場した北陸の本田。初代世界チャンピオンの山井。鳳凰位・最強位・グランプリの三冠A1リーガーの前田。67歳でマスターズ獲得し、70を超えた現在も第一線で活躍する西島。上記以外にも歴代タイトルホルダーやAリーガーの名が並び、注目選手を挙げたらキリがないほど全卓豪華なカードが揃っている。

連盟公式Twitterでの速報(当日リアルタイム)、公式ホームページのレポート(後日)を通して今期十段戦の様子を皆さんにお伝えしていくので、是非ご覧頂きたいと思う。

(文:編集部)

第37期十段戦 六段戦レポート

9/27(日)六段戦が行われた。段位制を採用している麻雀プロ団体は当連盟のみ。

 

 

 

他のタイトル戦とは一味違う面白さがあり、そのシステムを理解するとより速報結果や観戦が楽しめると思う。

要点は2点。

①トーナメント戦
会場内上位◯◯%通過というシステムは1回戦ごとに対戦相手が変わる。通過ラインは変動するため、大まかに予想しそれを上回るように照準を合わせて打つ。最終戦はトップなら間違いなく通過、2着は7割方通過、3着ならかなり素点が必要といった具合だ。今同卓している相手を上回る戦略はもちろん大事だが、ライバルは卓内の人間とは限らない。先に終わった卓が不利にならないよう最終戦の別卓の結果は全卓が終わるまで明かされないよう配慮されている。
一方トーナメント戦は同一の4名で規定回数を戦い、卓内上位2名が次に進む。これだと別卓の結果は影響なく、目の前の3名のみがライバルとなる。序盤は自分のみが連勝などして当確になる事を目指す。もし自分以外の人が当確になれば2、3、4位のうち1人しか勝ち上がれないので、現状2位の自分は3位には振り込まないように打つなど、毎局正確な戦略を立てる事が出来る。トーナメント巧者と言われるプロは他家とのポイント差を瞬時に判断し、その局の最善手を選ぶ能力が高い打ち手だ。ベスト16からは配信される予定なので、選手の戦略に注目してご覧頂けたらと思う。

②段位戦
連盟に入るとまずは初段からスタートとなる。規定値を達成すると二段に昇段となる。プロリーグ戦やタイトル戦に出場する事で段位ポイントが加算されるが、そこで好成績をおさめるとポイントが多く加算され、昇段が早くなる。
初段から二、三、四…と勝ち上がる十段戦は強者の集まる塔を登る行為に近い。4人中2人しか登れない階段があり、同フロアのライバルを倒して登ると次のステージにはボスが2人待ち構えている。そこで何とか勝っても次の階にはさらに強いボスが現れる。六階ともなるとフロア中がボスだらけ、それ以外は傷だらけになりながらも目力はギラついて勝利を欲しているような顔ぶれだ。一階で見かけた者が向こうで無念を滲ませ倒れているのが見える。三階で激突し、自分が非常に苦戦した相手はAリーガーに惨敗し、俯いて悔しさを堪えている。例えるならそういうシビアなタイトル戦である。高段者の圧倒的な強さももちろん見所だ。低段位からスタートして勝ち上がっている勢いのあるルーキーに着目すれば、いつかタイトルを獲得するような大物を早くから見つけて応援する事が出来る。次の段でも高段者やタイトルホルダー相手に大金星を挙げるかもしれない。未来のスターを発掘するのも十段戦観戦の楽しみの1つと言えよう。

 

 

六段戦
現A1リーガーは西川淳、吉田直、佐々木寿人が、A2リーガーは和久津、藤島、一井、魚谷、麓、白鳥が七段戦に駒を進めた。
魚谷は卓内1人プラスで同卓者を圧倒し、一方白鳥と一井は最終戦着順勝負の痺れる接戦を切り抜けた。

リーグ戦の上位者が強さを見せつける結果となった六段戦。実況でおなじみの日吉や、「麻雀番組が10倍楽しくなる本」を出版した黒木も注目したい。
初段から出場の曽篠は7回目の勝ち上がり。今期十段最大のルーキーだ。ワイルドカードを使用しているが初段からの津村、二段からの奥津、古川も厳しい戦いを制し七段進出。初段から勝ち上がり続けたダニエル、立田は残念ながらここまでとなった。

(文:編集部)

【菊田政俊、D1リーグからB2リーグへ!特別昇級リーグレポート】

2020年9月26日に行われた第28期特別昇級リーグ決勝戦は、準決勝終了時点で首位に立っていた小林正和を逆転し、菊田政俊が優勝。
D1リーグから4階級ジャンプアップの快挙となりました。

特別昇級リーグは2006年から開始した力量ある若手のためのリーグ戦。2020年現在で11階層まで増えたリーグ戦をジャンプアップするチャンスを設け、プロリーグ全体の活性化を目指す制度です。
「本場所のリーグ戦での成績がプラスである」という条件はあるものの、優勝すればB2リーグ、準優勝でC1リーグ、3位でもCリーグまで昇級することができます。

 決勝開始時点での成績は以下の通り。
1位 小林正和 +223.6P(C1リーグ所属)
2位 菊田政俊 +216.6P (D1リーグ所属)
3位 東谷達矢 +160.6P (C2リーグ所属)
4位 上田稜 +123.8P(D1リーグ所属)

既にC1リーグにいる小林は優勝した場合のみ、C2リーグにいる東谷は準優勝以上の場合のみ昇級するチャンスがあります。

 

 

試合が始まるとまず目立ったのは小林の手数の多さ。1回戦12局中6局をアガリ、ライバルの菊田の親番では遠くて安くても仕掛けを入れるなど、今日に向けて戦い方を練ってきたことを感じさせる内容でトップをもぎ取ります。

 

 

上田もオーラスの親番までアガリが無かったものの、鳴いての連荘で粘りこみ、2万点近く加点して準優勝以上への希望を繋ぎました。

 

 

トータル首位のトップで苦しくなった東谷でしたが、2回戦目ではリーチ三色の5,200を小林から直撃。さらに南1局では驚くような手が。3巡目に出た中に「ポン」の声をかけた西家・東谷の手牌がこう。

五索五索東東西西西発発発 ポン中中中

次の巡目には小林から東が放たれ、跳満の直撃。

 

 

そしてオーラスの菊田の親番になった時点では菊田・小林が3・4着に。東谷は役牌をポンして終わらせにいきますが、メンゼンで東・一通の7,700をテンパイしていた菊田に痛恨の放銃。小林とともに沈みに。

そして当日菊田が「一番大きかった」と振り返るのが3回戦オーラス。
親番の東谷のリーチがかかった巡目に菊田はくっつきの1シャンテン。

六万七万八万一筒二筒三筒六筒七筒七筒七筒四索四索七索 ドラ六筒

ノーテンからは押しづらい手ですが、なんとここに引いたのが四索
現物の七索を切って追いかけリーチとすると、すぐに六筒をツモアガリトップに。

 

 

最終戦は100ポイント差を逆転したい東谷がタンヤオドラ3をリーチしてツモるなど1人浮き状態に。
僅差で優勝を争う菊田・小林は決定的なアガリが出ないまま菊田リードでオーラスへ。
ノーテン罰符で順位が入れ替わる程拮抗していましたが、上田が3位確保のピンフのみをアガリ、決着。

最終的なポイントと結果は以下の通り。

優勝 菊田政俊 +225.1P
準優勝 小林正和 +216.4P
3位 上田稜 +152.4P
4位 東谷達矢 +130.7P

菊田はB2リーグへ、上田はC2リーグへの昇級権利を得ました。

 

 

二人のコメントは以下の通り。

菊田政俊
「最初から最後まで、勝った気がまったくしない戦いでしたが、優勝という結果になりました。沢山の応援いただいた力が勝たせてくれたのだと思います。これからも戦いつづけます!感謝。」

上田稜
「(優勝のために)100ポイント差は捲れなかったですけど、何とか3位でC2リーグに昇級出来ました!これからも頑張ります!」

2選手の今後の活躍にご注目ください!

(文中敬称略)
文:浜野太陽

麻雀最強戦2020 最強「M」トーナメント

【麻雀最強戦2020 最強「M」トーナメント】優勝は二階堂亜樹プロ。
二階堂プロは12月12日の最強戦ファイナルに出場となります。

(麻雀最強戦キンマweb-近代麻雀)